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JP2014510759A - 疼痛の慢性化を予防するためのタペンタドール - Google Patents

疼痛の慢性化を予防するためのタペンタドール Download PDF

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JP2014510759A JP2014503019A JP2014503019A JP2014510759A JP 2014510759 A JP2014510759 A JP 2014510759A JP 2014503019 A JP2014503019 A JP 2014503019A JP 2014503019 A JP2014503019 A JP 2014503019A JP 2014510759 A JP2014510759 A JP 2014510759A
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ヤーネル・ウルリヒ
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グリュネンタール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
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Abstract

本発明は、疼痛の慢性化を患っている対象における疼痛の治療に使用するための、および/または疼痛の慢性化の治療または予防において使用するためのタペンタドールに関する。本発明は、片頭痛の治療または予防で使用するためのタペンタドールにも関する。

Description

本発明は、疼痛慢性化を患っている対象における疼痛の治療に使用するための、および/または疼痛慢性化の治療または予防において使用するためのタペンタドールに関する。本発明はまた、片頭痛の、すなわち片頭痛に関連する疼痛の、および頭痛に関連する疼痛の治療または予防に使用するためのタペンタドールに関する。
化学名が(−)−(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノールであるタペンタドール(CG5503)は、中程度〜どちらかというと重度の急性または慢性疼痛の治療に有効な、合成の、中枢作用性鎮痛薬である。前記化合物は、遊離塩基またはその薬学的に許容可能な塩および溶媒和物として使用することができる。遊離塩基の調製は、特許文献1から公知である。
タペンタドールは、μ−オピオイド受容体(MOR)アゴニズムおよびノルエピネフリン(NE)再取込み阻害から成る二重の作用様式を有する中枢作用性鎮痛薬である。タペンタドールの効能、安全性および薬物動態プロファイルは、該薬剤が急性ならびに慢性疼痛を治療するのに有用であることを示す。混合性のμ−オピオイド受容体アゴニスト/ノルアドレナリン再取り込み阻害剤であるタペンタドールが、有効な動物モデルにおける急性および慢性疼痛を減少させることが見出された。しかしながら、これらのモデルはいずれも、頭部レベルでの疼痛に関連していなかった。
タペンタドールの活性は代謝活性化に依存せず、容易に血液脳関門を横断する単一のエナンチオマーに属し;従って、タペンタドールは投与後に迅速な作用の発現を示す。代謝酵素によるタペンタドールの生体内変化により非活性化がもたらされ、すなわち、タペンタドールは活性代謝物を有さず、排泄用の主な代謝経路は第II相のグルクロン酸抱合である。第I相生体内変化、例えばヒドロキシル化およびN−脱メチル化は、タペンタドールの代謝的運命においてわずかな役割のみを果たす。第I相代謝経路の関与が小さいために、タペンタドールの薬物−薬物相互作用および個人間変動のポテンシャルは低い(非特許文献1;非特許文献2参照)。
特許文献2は、タペンタドールの漸増摂生法に関する。タペンタドールを含む商品であるPalexia(登録商標)に関する公式の専門家用の情報では、タペンタドールが慢性疼痛の治療のためのものであることが示されている。非特許文献3は、膝の骨関節炎による慢性疼痛の治療に関する臨床試験に関する。
しかしながら、疼痛の慢性化による慢性疼痛は概して慢性疼痛と同義ではなく;全ての慢性疼痛が疼痛慢性化の結果であるとは限らない。むしろ、疼痛の慢性化による慢性疼痛は慢性疼痛の1つのサブタイプである。疼痛の慢性化は急性疼痛の慢性疼痛への転換である。従来の鎮痛薬による急性疼痛、例えば術後疼痛(外科手術後の疼痛)の治療が、疼痛の慢性化をもたらし得ることが知られている。その結果、痛覚が、術後の創傷治癒の進行を考慮して典型的に期待されるよりも長く続き;たとえ創傷治癒がほとんど完了したとしても、患者はなおも疼痛を患う。疼痛の慢性化は、例えば、慢性の術後疼痛(CPSP)とも呼ばれる持続術後痛(PPP)をもたらし得、これは、国際疼痛学会が、術後2か月を超えて明白であり、他の原因(疾患の再発、炎症およびその他)によって説明できない持続性の疼痛状態として定義している。
慢性の術後疼痛は、切断後に30〜50%、胸部手術後に20〜30%、開胸術後に30〜40%、鼡径部ヘルニア修復後に約10%、冠状動脈バイパス手術後に30〜50%、および帝王切開後に約10%の推定発症率を有する。慢性疼痛を患っている患者は、典型的には、広範囲の疼痛、長く続く病歴、精神−社会的問題ならびに多くの治療の失敗を特徴とする。さらなる詳細のために、例えば、非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9を参照することができる。
中枢神経系に作用するすべての侵害刺激が長期間において疼痛を増強することができ、したがって、疼痛の慢性化をもたらすと考えられている。対応する刺激が長期間にわたって維持されると、「長期増強」と呼ばれる過程を通してシナプス伝達が増幅され、その結果、疼痛慢性化がもたらされる。慢性化プロセスは、ニューロンの機能の可塑性によって引き起こされるニューロンの伝導プロセスである。ニューロンの機能の可塑性は、引き続いて入力インパルスが増幅される「wind up(ワインドアップ)」と呼ばれるメカニズムを可能にする。しかしながら、疼痛の慢性化は単に持続期間の単純な問題ではない。慢性化はさらに、身体的レベルに関する、持続期間に関する、そしてさらには心理的および社会的レベルにさえ関する疼痛の拡大である。慢性化の量の評価は、例えば、von Korffによる慢性疼痛の等級に基づくことができる。疼痛の慢性度は、クオリティー・オブ・ライフおよび医療の有効性と相関する。
一方では、メカニズムは抹消性であること、すなわち、例えば、自発活動、減少した閾値、閾値上の興奮薬に対する増加した応答、非活動性侵害受容器の漸増などによる一次求心性侵害受容器感作であることができる。他方では、メカニズムは中枢性であることもでき、すなわち、例えば、増強されたシナプス興奮性(後根神経節、後角)、受容器領域の拡大、大脳辺縁系および視床下部における気分および自律反射の変化、脳幹からの脊髄神経回路の活性化などによる中枢性感作であることもできる。
慢性の術後疼痛に関する限り、多くの医師が、手術の時間周辺の疼痛が神経系を感作し、この過剰感作状態が、慢性疼痛の発現に寄与すると考えている。あいにく、手術後の慢性疼痛に対する種々の麻酔薬および鎮痛薬レジメンの効果に関する証拠は乱雑している。いくつかの研究は、例えば子宮摘出、帝王切開、腸骨稜骨採収および開胸術の後の、局所麻酔からの利点を示す。しかしながら、利点を示さなかった研究も存在する。いくつかの研究は、多様な鎮痛技術および薬剤(例えばガバペンチン、ベンラファキシンおよびケタミン)の使用を観察しているが、しかしながら再度、結果は一致していない(非特許文献4参照)。
従来のオピオイド鎮痛薬が慢性疼痛の発現に有害に影響し得ることが知られている。例えば、非特許文献10は、モルヒネが、切開(すなわち手術)の24時間後にマウスの後肢における切開誘発の痛覚過敏症を阻害しないことを報告している。食塩水で処理されたマウスでは切開の72時間後に痛覚過敏症が軽減するのに対して、モルヒネで処理されたマウスでは痛覚過敏症はなお維持される。したがって、マウスにおける術後痛覚過敏症の阻害に関する限り、モルヒネは有利な効果を持たないか、または不利でさえある。
疼痛の慢性化を治療するかまたは予防するのに有用で、疼痛の慢性化を患う対象の疼痛を治療するのに有用な薬剤に対する需要が存在する。
利用可能な治療が不十分な疼痛寛解をもたらし、用量を制限する副作用を有するので、神経因性疼痛は臨床医にとって大きな問題である。その上、三叉神経系によって神経支配された領域(「頭部」領域)における神経因性疼痛は、他の身体各部(「頭外」領域)におけるものよりも治療するのがさらに困難である。実際、頭部領域対頭外領域における神経因性疼痛症状は、薬剤によって差をもって減衰する。坐骨神経への(CCI−SN)または眼窩下神経への(CCI−ION)慢性絞扼性損傷のラットモデルにおける従前の研究では、低用量のモルヒネ、三環系抗うつ薬およびテトロドトキシンが、CCI−SNラットにおける後肢の異痛症/痛覚過敏症を逆転したが、CCI−IONラットの震毛領域の異痛症に対しては不活性であったことが示された。
反対に、抗片頭痛薬、例えばトリプタンおよびCGRP受容体アンタゴニストは、CCI−IONラットの異痛症を軽減したが、CCI−SNラットでは不活性であった。さらなる研究では、神経因性疼痛の基礎をなす生理病理学的メカニズムがCCI−SN対CCI−IONラットにおいて異なることも示された。特に、CCI−SNは腰髄の同側の後角におけるインターロイキン6(IL−6)産生を引き起こすことが見出されたが、CCI−IONラットの三叉神経の脊髄核(Sp5c)にIL−6誘導は検出することができなかった。
望ましくないさらなる副作用を引き起こさずに薬理学的治療の効能を増強するための潜在的なストラテジーは薬剤の組み合わせの使用であり得る。特に、CCI−IONラットではグリシン/NMDA受容体アンタゴニスト(+)−HA966およびモルヒネの併用投与が、各薬剤単独では不活性にもかかわらず、頭部の神経因性疼痛を減衰させることが実証された。
慢性疼痛に関して、タペンタドールはストレプトゾトシン投与(糖尿病性多発ニューロパチー)、脊髄神経結紮またはCCI−SNによって引き起こされた神経因性疼痛を患うラットにおいて、明らかな抗痛覚過敏/抗異痛効果を発揮することが示された。しかしながら、これらのモデルはすべて、頭外領域の神経因性疼痛に関するものであり、頭部領域のタペンタドールの潜在的な抗異痛/抗痛覚過敏効果に関してはまだ何もわかっていない。
片頭痛を治療もしくは予防するのに有用な薬剤に対する需要が存在する。
欧州特許出願公開第693475号明細書 欧州特許第1 985 292号
Tzschentke T. M. et al. Tapentadol Hydrochloride. Drugs of the Future 2006, 31, 1053−1061 Evans W. E., Relling, M. V. Pharmacogenomics: Translating Functional Genomics into Rational Therapies. Science 1999, 286, 487−491 Rauschkolb−Loeffler et al., Annals of the rheumatic diseases, 2007, 507 W.A. Macrae, British Journal of Anaesthesia 101(1): 77−86 (2008) T.J. Brennan, Anesthesiology, 2010, 112:514−5 J.P. Rathmell et al., Anesthesiology, 2011, 114:1021−4 P. Lavand’homme, Curr Opin Anesthesiol 2011, 24:545−550 J.B. Dahl et al., Curr Opin Anesthesiol 2011, 24:331−338 E.A. Shipton, Anaesth Intensive Care 2011; 39, 824−836 L. DeYoung et al., Molecular Pain, 2008, 4(7), 1−12
本発明の目的は、先行技術と比較して有利な点を有する医薬および投薬法を提供することである。
この目的は、特許請求の範囲の主題によって達成された。
驚くべきことに、タペンタドールが疼痛の慢性化を発現する顕著な傾向を示さないことが見出された。従って、タペンタドールは、疼痛慢性化を患っている対象における疼痛の治療において、および/または疼痛慢性化の治療または予防において使用するために、特に有用である。
さらに、驚くべきことにタペンタドールが片頭痛の治療および予防に有用であることが見出された。頭部領域対頭外領域における神経因性疼痛を異なって減少させるほとんどの鎮痛剤とは対照的に、タペンタドールは両方の領域において同等に有効であることが見出された。その効果は、驚くべきことに、特に頭部レベルにおいて、タペンタドールの2つの薬理作用間の相乗作用を伴う。
図1は試験スキームを示す。14.7mg/kgの腹腔内経路(i.p.)の用量でタペンタドールを、1日目〜5日目を通して1日2回(BID)(午前7時/午後7時)投与した。第一の投与は、1日目の手術の20分前に与えられた。6日目〜13日目まで、物質は与えられなかった(ウォッシュアウト相)。 図2は、外科手術による損傷後の持続性の触覚過敏症に関する結果が、治療期間よりも長く続くこと(すなわち、ウォッシュアウト相でもなお存在する)を示す。 図3は、術後疼痛の足底切開モデルにおける損傷した後肢(同側)および損傷していない後肢(対側)の触覚刺激後の逃避閾値に対するタペンタドールの効果を示す。1群あたりN=10匹の動物。***=p<0.001;**=p<0.01;=p<0.05、n.s.=有意性なし。 図4は、最終治療日(5日目)の効果と比較した、ウォッシュアウト相におけるタペンタドールの残っている効能を示す。 図5は、CCI−SNラットにおけるタペンタドールの抗痛覚過敏効果を示す。 図6は、CCI−SNラットにおけるタペンタドールでの急性もしくは亜慢性治療の抗異痛効果を示す。 図7は、CCI−IONラットにおけるタペンタドールでの急性もしくは亜慢性治療の抗異痛効果を示す。 図8はCCI−SNラットにおけるモルヒネの用量依存的な抗異痛効果を示す。 図9はCCI−SNラットにおけるレボキセチンおよびモルヒネ(単独または併用)の急性投与の抗異痛効果を示す。 図10はCCI−IONラットにおけるレボキセチンおよびモルヒネ(単独または併用)の急性投与の抗異痛効果を示す。 図11は、CCI−SNおよび偽性手術ラットにおける(A)同側のDRG(L4−L6)および(B)腰膨大の側背の四分円でのATF3、IL−6およびBDNFをコードするmRNAの組織レベルを示す−タペンタドールでの亜慢性治療の効果。 図12は、CCI−IONラットおよび偽性手術ラットにおける(A)同側の三叉神経節および(B)叉神経脊髄路核(Sp5c)の尾部でのATF3、IL−6およびBDNFをコードするmRNAの組織レベルを示す−タペンタドールでの亜慢性治療の効果。
本発明の第一の態様は、好ましくは疼痛慢性化を患っている対象における疼痛の治療に使用するための、および/または疼痛慢性化の治療または予防において使用するためのタペンタドールに関する。
したがって、本発明は、とりわけ、
(i)疼痛慢性化を患っている対象における疼痛の治療(疼痛慢性化に起因する慢性疼痛の治療、慢性化した疼痛の治療);
(ii)疼痛慢性化を患っている対象における疼痛慢性化の治療;
(iii)疼痛慢性化の予防;
(iv)疼痛慢性化を患っている対象における疼痛の治療および疼痛慢性化の同時の治療;および
(v)疼痛の治療および疼痛慢性化の同時の予防、
における使用のためのタペンタドールに関する。
本発明の第二の態様は、有効量のタペンタドールの投与を含む、疼痛慢性化を患っている対象における疼痛の治療のための方法、および/または疼痛慢性化の治療または予防のための方法に関する。
本発明の第三の態様は、片頭痛の治療において使用するためのタペンタドールに関する。
本発明の第四の態様は、有効量のタペンタドールの、それを必要とする対象への投与を含む、片頭痛の治療のための方法に関する。
本明細書の目的において、「タペンタドール」は、(−)−(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、その薬学的に許容可能な塩およびその溶媒和物を含むことが意図される。好適な薬学的に許容可能な塩には、無機酸、例えば、塩酸(タペンタドールHCl)、臭化水素酸および硫酸の塩、および有機酸、例えばメタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸、乳酸、クエン酸、グルタミン酸、アセチルサリチル酸、ニコチン酸、アミノ安息香酸、α−リポ酸、馬尿酸およびアスパラギン酸の塩が含まれる。好ましい塩は塩酸塩である。
明細書の目的において、タペンタドールの用量は遊離塩基に関する。したがって、薬学的に許容可能な塩が代わりに使用される場合、その用量は遊離塩基の等価用量に適合されていなければならない。例えば、用量「200mg」は、200mgの遊離塩基の量または200mgの遊離塩基(例えば約233mgの塩酸塩)に対応する薬学的に許容可能な塩または溶媒和物の任意の等価量を意味する。特に明記しない限り、用量は「1回の投与当たり」であり、「1日当たり」ではない。
本発明において、タペンタドールは、疼痛慢性化を患っている対象における疼痛の治療において、および/または疼痛慢性化の治療または予防において使用される。好ましくは、治療されるべき疼痛および/または予防されるべき疼痛の慢性化は、中程度または重度であり、好ましくは中枢性または末梢性であることができる。好ましい実施形態では、疼痛は急性である。好ましくは、急性疼痛は、機械的疼痛、熱疼痛(heat pain)、冷覚疼痛(cold pain)、虚血性疼痛および化学物質誘発性疼痛からなる群から選択される。
明細書の目的において、疼痛慢性化は慢性疼痛状態(慢性化された疼痛、持続痛)をもたらす。好ましくは、前記の慢性疼痛状態は転換により、すなわち、より早期の非慢性疼痛状態の疼痛慢性化によるものであり、これ自体は、その起源では、慢性とはみなされず、通常の状況下では慢性になるとも予期されない。言いかえれば、本発明の意味における疼痛慢性化は、好ましくは、原発の非慢性疼痛状態の刺激自体は初期において非慢性であったが、非慢性疼痛状態が慢性疼痛状態に転換する。疼痛の慢性化は、典型的には、最初に前記非慢性疼痛状態を患っている患者の部分母集団においてのみ観察される。したがって、前記の非慢性疼痛を患う患者が全てが自動的にその慢性化を発現するわけでなない。
タペンタドールが疼痛慢性化を患う対象における疼痛の治療に使用するためのものである場合、最初に前記の非慢性疼痛状態を誘発した疼痛刺激が、もう存在しないか、または少なくとも当該患者がなおも患っている慢性疼痛の程度を示さなくとも、治療されるべき疼痛には典型的には疼痛慢性化による慢性疼痛、すなわち、初めは非慢性の疼痛状態(例えば、急性疼痛状態)が前記慢性疼痛状態(=慢性化疼痛)へ転換した慢性化プロセスの結果である慢性疼痛状態が含まれる。したがって、本発明のこの実施形態では、疼痛慢性化が既に起こった。
タペンタドールが疼痛慢性化を患う対象の疼痛慢性化の治療に使用するためのものである場合、最初に前記の非慢性疼痛状態を誘発した疼痛刺激が、もう存在しないか、または少なくとも当該患者がなおも患っている慢性疼痛の程度を示さなくとも、進行中の慢性化プロセスは、非慢性疼痛状態を慢性疼痛状態(=慢性化疼痛)に転換するところである。
したがって、本発明のこの実施形態では、疼痛慢性化が生じている。
タペンタドールが疼痛慢性化の予防で使用するためのものである場合、慢性化プロセスは典型的には始まっておらず、すなわち、疼痛状態はまだ非慢性(例えば急性)である。したがって、本発明のこの実施形態では、疼痛慢性化はまだ起こっていない。
患者が異なる疼痛状態を同時に患っていてもよく、したがって、上記の状況(i)、(ii)および(iii)が互いに重複していてもよいことは、当業者に認識される。
本明細書の目的で、それは典型的には非慢性疼痛を誘発する疼痛刺激(例えば手術)と、典型的には慢性疼痛を誘発する疼痛刺激(例えば骨関節炎)の間で区別することができる。
通常の状況の下では、典型的に非慢性疼痛を誘発する刺激によって引き起こされた非慢性疼痛は、該刺激が消滅した場合に(例えば、手術の創傷治癒がある程度達成された場合に)消滅する。疼痛慢性化の特定の状況下では、しかしながら、疼痛は、刺激が消滅しても消滅せず、それにより、当該非慢性疼痛が慢性疼痛(慢性化疼痛)に転換する。
好ましい実施形態では、治療されるべき疼痛および/または慢性化が予防されるべき疼痛は、頭痛、顔面痛、脈管疾患の疼痛、神経因性疼痛、脊椎痛、筋骨格痛、内臓痛、外傷後疼痛および身体的理由のない疼痛から成る群から選択される。
別の好ましい実施形態では、治療されるべき疼痛および/または慢性化が予防されるべき疼痛は、術後疼痛、炎症性疼痛、片頭痛に関連する疼痛、頭痛に関連する疼痛、過敏性大腸症候群に関連する疼痛、線維筋痛に関連する疼痛、関節性痛、骨痛、関節痛、消化器痛、筋肉痛、狭心症疼痛、顔面痛、骨盤痛、跛行、術後疼痛、外傷後疼痛、緊張型頭痛、産科の疼痛、婦人科の疼痛および化学療法によって誘発された疼痛から成る群から選択される。
別の好ましい実施形態では、治療されるべき疼痛および/または慢性化が予防されるべき疼痛は、骨関節症に起因する疼痛、椎間板障害に起因する疼痛、他の特定の背部痛、神経因性疼痛、非特異性の背部痛、頭痛、外傷性骨折の後の疼痛、多重病的な高維持患者の疼痛および癌性疼痛から成る群から選択される。
さらに別の好ましい実施形態では、治療されるべき疼痛および/または慢性化が予防されるべき疼痛は、パニック障害[挿間性発作性不安][F41.0];解離性[転換性]障害[F44];持続性身体表現性疼痛障害[F45.4];もっぱら心理的要因と関連する疼痛障害[F45.41];非器質性性交疼痛[F52.6];その他の持続的人格変化[F62.8];サドマゾヒズム[F65.5];心理的理由による身体症状の発展[F68.0];偏頭痛[G43];その他の頭痛症候群[G44];三叉神経痛[G50.0];非定型顔面痛[G50.1];疼痛を伴う幻肢症候群[G54.6];疼痛を伴わない幻肢症候群[G54.7];急性及び慢性疼痛、他に分類されないもの[G89];眼痛[H57.1];耳痛[H92.0];狭心症、詳細不明[I20.9];鼻及び副鼻腔のその他の明示された障害[J34.8];咽頭のその他の疾患[J39.2];顎関節障害[K07.6];歯及び歯の支持組織のその他の明示された障害[K08.8];顎骨のその他の明示された疾患[K10.8];その他及び詳細不明の口腔粘膜の病変[K13.7];舌痛[K14.6];肛門及び直腸のその他の明示された疾患[K62.8];関節痛[M25.5];肩部痛[M25.51];仙骨尾骨障害、他に分類されないもの[M53.3];背部痛[M54.];神経根障害[M54.1];頚部痛[M54.2];坐骨神経痛[M54.3];下背部痛[M54.5];胸椎の疼痛[M54.6];その他の背部痛[M54.8];背部痛、詳細不明[M54.9];その他の肩の傷害[M75.8];その他の軟部組織障害、他に分類されないもの[M79];筋痛[M79.1];神経痛及び神経炎、詳細不明[M79.2];四肢痛[M79.6];その他の明示された骨障害[M89.8];詳細不明の腎仙痛[N23];陰茎のその他の明示された障害[N48.8];男性生殖器のその他の明示された障害[N50.8];乳房痛[N64.4];女性生殖器及び月経周期に関連する疼痛及びその他の病態[N94];排卵痛[N94.0];女性生殖器及び月経周期に関連するその他の明示された病態[N94.8];咽喉痛及び胸痛[R07];咽喉痛[R07.0];呼吸時の胸痛[R07.1];前胸部痛[R07.2];その他の胸痛[R07.3];胸痛、詳細不明[R07.4];腹痛及び骨盤痛[R10];急性腹症[R10.0];上腹部に限局した疼痛[R10.1];骨盤痛及び会陰痛[R10.2];下腹部のその他の部位に限局した疼痛[R10.3];その他及び詳細不明の腹痛[R10.4];鼓腸及び関連病態[R14];筋性防御[R19.3];その他及び詳細不明の皮膚感覚障害[R20.8];排尿に関連する疼痛[R30];尿路系に関するその他及び詳細不明の症状及び徴候[R39.8];頭痛[R51];疼痛、他に分類されないもの[R52];急性疼痛[R52.0];慢性難治性疼痛[R52.1];その他の慢性疼痛[R52.2];疼痛、詳細不明[R52.9];心臓及び血管のプロステーシス、挿入物、及び移植片のその他の合併症[T82.8];尿路性器のプロステーシス、挿入物、及び移植片のその他合併症[T83.8];体内整形外科的プロステーシス、挿入物、及び移植片のその他合併症[T84.8];体内プロステーシス、挿入物及び移植片のその他の合併症、他に分類されないもの[T85.8] である疼痛、またはこれらと関連する疼痛からなる群から選択され;ここで、括弧内の情報は、ICD−10に従った分類を表す。
別の態様では、本発明は、対象が疼痛の慢性化を同時に患っているか否かにかかわらず、ICD−10による上記の疼痛形態のリストから選択される疼痛、好ましくは片頭痛、三叉神経痛および他のタイプの頭部の神経因性疼痛の予防または治療に関する。特に好ましい実施形態では、本発明は、片頭痛[G43]の予防または治療に関する。
本明細書の目的で、片頭痛は好ましくは片頭痛に関連する疼痛を含む。
好ましい実施形態では、片頭痛を患っている対象は、疼痛の慢性化を同時に患う。別の好ましい実施形態では、片頭痛を患っている対象は、同時に疼痛の慢性化を患っていない。
好ましくは、タペンタドールは、経口、口腔、舌下、口腔粘膜、腰椎内、腹腔内、経皮、静脈内、筋肉内、殿筋内、皮内および皮下から成る群から選択される経路により投与される。最も好ましくは、しかしながら、タペンタドールは経口で投与される。
好ましくは、タペンタドールは、毎日1日1回または1日2回投与される。
好ましくは、タペンタドールは、25〜600mgの範囲内の一日用量で投与される。
好ましい実施形態において、各投与の過程で1日1回または1日2回投与されるべきタペンタドールの用量は、50mg(±75%)、より好ましくは50mg(±50%)、さらに好ましくは50mg(±30%)、より一層好ましくは50mg(±20%)、最も好ましくは50mg(±10%)、特に50mg(±5%)である。
別の好ましい実施形態において、各投与の過程で1日1回または1日2回投与されるべきタペンタドールの用量は、100mg(±75%)、より好ましくは100mg(±50%)、さらに好ましくは100mg(±30%)、より一層好ましくは100mg(±20%)、最も好ましくは100mg(±10%)、特に100mg(±5%)である。
さらに別の好ましい実施形態において、各投与の過程で1日1回または1日2回投与されるべきタペンタドールの用量は、150mg(±75%)、より好ましくは150mg(±50%)、さらに好ましくは150mg(±30%)、より一層好ましくは150mg(±20%)、最も好ましくは150mg(±10%)、特に150mg(±5%)である。
さらに別の好ましい実施形態において、各投与の過程で1日1回または1日2回投与されるべきタペンタドールの用量は、200mg(±75%)、より好ましくは200mg(±50%)、さらに好ましくは200mg(±30%)、より一層好ましくは200mg(±20%)、最も好ましくは200mg(±10%)、特に200mg(±5%)である。
好ましい実施形態において、各投与の過程で1日1回または1日2回投与されるべきタペンタドールの用量は、250mg(±75%)、より好ましくは250mg(±50%)、さらに好ましくは250mg(±30%)、より一層好ましくは250mg(±20%)、最も好ましくは250mg(±10%)、特に250mg(±5%)である。
好ましくは、タペンタドールは毎日1日1回または2回投与されるが、31日間以下、より好ましくは28日間以下、さらに好ましくは25日間以下、より一層好ましくは21日間以下、最も好ましくは18日間以下、特に14日間以下で投与される。
好ましい実施形態では、治療されるべき疼痛または慢性化が予防されるべき疼痛は急性疼痛であり、そしてタペンタドールが、
−相Oの連続M日の間、場合により他の鎮痛薬と組み合わせて、
−しかし、前記の相Oの直後 相Oの連続M日の間ではなく、
投与され;ここでMおよびMは、独立して1〜100の整数であり、好ましくはそのM≧Mであることを条件とする。
相OおよびOの好ましい実施形態D〜D12は、ここで以下のように要約される:
好ましい実施形態では、治療されるべき疼痛または慢性化が予防されるべき疼痛は急性疼痛、好ましくは術後疼痛であり、そしてタペンタドールが、
−好ましくは術後の相Pの連続N日の間、場合により他の鎮痛薬と組み合わせて、
−前記の好ましくは術後相Pの直後、相Pの連続N日の間、場合により他の鎮痛薬と組み合わせて、
−しかし、前記の相Pの直後、相Pの連続N日の間ではなく、
投与され;ここでN、NおよびNは、独立して1〜100の整数であり、好ましくはN≧Nであることを条件とする。
タペンタドールが他の鎮痛薬と組み合わせて投与される場合、前記のその他の鎮痛薬は、好ましくはNSAIDおよびオピオイドの群から選択される。
好ましい実施形態では、術後相Pの連続N日の間に投与されるタペンタドールの1日用量は、前記の術後相Pの直後、相Pの連続N日の間に投与されるタペンタドールの1日用量と同一である。
別の好ましい実施形態では、術後相Pの連続N日の間に投与されるタペンタドールの1日用量は、前記の術後相Pの直後、相Pの連続N2日の間に投与されるタペンタドールの1日用量より高い。
さらに別の実施形態では、術後相Pの連続N日の間に投与されるタペンタドールの1日用量は、前記の術後相Pの直後、相Pの連続N日の間に投与されるタペンタドールの1日用量より低い。
別の好ましい実施形態では、治療されるべき疼痛または慢性化が予防されるべき疼痛は急性疼痛、好ましくは術後疼痛であり、そしてタペンタドールが、
−好ましくは術後相Pの連続N日の間ではなく、
−しかし、前記の好ましくは術後相Pの直後、相Pの連続N日の間ではなく、
−そして、前記相Pの直後、相Pの連続N日の間ではなく、
投与され;ここでN、NおよびNは、独立して1〜100の整数であり、好ましくはN≧Nであることを条件とする。
好ましくは、これらの状況の下で、別の鎮痛薬(好ましくは上記で定義されるような)は、術後相Pの連続N日の間に投与される。
さらに別の好ましい実施形態では、治療されるべき疼痛または慢性化が予防されるべき疼痛は急性疼痛、好ましくは術後疼痛であり、そしてタペンタドールが、
−好ましくは術後相Pの連続N日の間に、
−前記の好ましくは術後相Pの直後、相Pの連続N日の間に、
−そして、前記の相Pの直後、相Pの連続N日の間に、
投与され;ここでN、NおよびNは、独立して1〜100の整数であり、好ましくはN≧Nであることを条件とし;相Pの連続N日の間に投与されるタペンタドールの1日用量は、鎮痛に有効なタペンタドールの1日用量未満、例えば25mgである。
好ましい実施形態において、相Pが「術後相P」である場合、それは手術後および麻酔薬ケアユニット後における期間として定義される。
別の好ましい実施形態において、相Pが「術後の相P」である場合、それは炎症相および創傷治癒の増殖相を含むが、リモデリング相は含まない。この点に関して、術後の創傷治癒は、傷の瞬間に始まり、数か月から数年続き得、炎症相を発端に、それに続く増殖相、順にリモデリング相が続く、複雑な一連の事象を含む。炎症相は、典型的には傷/手術直後に開始して2〜5日続き、止血(血管収縮、血小板凝集、トロンボプラスチンの血塊形成)ならびに炎症(血管拡張およびファゴサイトーシス)を特徴とする。増殖相は、典型的には2日から3週起こり、肉芽形成(繊維芽細胞がコラーゲン床上に広がり、欠損を塞ぎ、新しい毛細管を産生する)、収縮(傷の端が一緒に引き寄せ欠損を減少させる)および上皮形成(湿った表面を横断して、細胞が起源の地点から約3cm全ての方向に進む)を特徴とする。最後に、リモデリング相が典型的には3週〜2年起こり、傷と瘢痕組織への引っ張り強度を増加させる新しいコラーゲン形成を特徴とする。
好ましい実施形態において、N≧N≧Nである。別の好ましい実施形態において、N≧N≧Nである。
相P、PおよびPの好ましい実施態様E〜E12を以下にまとめる:
相P、PおよびPの好ましい実施態様F〜F12を以下にまとめる:
好ましくは、タペンタドールは、タペンタドールの他に添加剤および/または補助物質を含有する医薬組成物の形態で投与される。
本発明との関連において好適な添加剤および/または補助物質は、本草薬の製剤を達成するために当業者に知られているすべての物質である。これらの補助物質の選択と、使用されるべきその量は、その投与単位/剤形が経口、静脈内、腹腔内、皮内、筋肉内、鼻腔内、経口腔粘膜又は局所のいずれで投与されるべきかに依存する。錠剤、咀嚼錠、コーティング錠、カプセル剤、顆粒剤、滴剤、ジュース剤またはシロップ剤の形態にある製剤は、経口投与に適しており、液剤、懸濁剤、容易に再構成可能な乾燥製剤およびスプレー剤は非経口、局所および吸入投与に適している。直腸において使用するための坐剤はさらなる可能性である。溶解した形態にあるデポー剤、キャリアーフィルム若しくはパッチにおける使用(場合により、皮膚を通した浸透を促進する薬剤の添加を伴う)は、経皮投与のための好適な形態の例である。
経口投与単位/剤形のための補助物質及び添加剤の例としては、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、充填剤、離型剤、場合により溶媒、矯味矯臭剤、糖類、特にキャリアー剤、希釈剤、染料、酸化防止剤などが挙げられる。坐剤のために、特にワックスおよび脂肪酸エステルを使用することができ、非経口投与用組成物のために、キャリアー物質、保存剤、懸濁補助剤などを使用することができる。
剤形は、好ましくは0.05重量%〜99.5重量%、より好ましくは0.1〜90重量%、さらに好ましくは0.5〜80重量%、最も好ましくは1.0〜50重量%、特に5.0〜20重量%のタペンタドールを含む。
補助物質は例えば以下であることができる:水、エタノール、2−プロパノール、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グルコース、フルクトース、ラクトース、スクロース、デキストロース、糖みつ、デンプン、加工デンプン、ゼラチン、ソルビトール、イノシトール、マンニトール、微結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、シェラック、セチルアルコール、ポリビニルピロリドン、パラフィン、ワックス、天然起源および合成ゴム、アラビアゴム、アルギナート、デキストラン、飽和及び不飽和脂肪酸、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸グリセリル、ラウリル硫酸ナトリウム、食用油、ゴマ油、ヤシ油、落花生油、大豆油、レシチン、乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンおよびポリプロピレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビン酸、安息香酸、クエン酸、アスコルビン酸、タンニン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、酸化チタン、二酸化チタン、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸カルシウム、炭酸カリ、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、滑石、カオリン、ペクチン、クロスポビドン、寒天およびベントナイト。
本発明による投与単位/剤形は、制御放出、遅延放出、持続放出/徐放、長期放出、復効放出などであることができる。持続放出投与単位/剤形が好ましい。
本発明の投与単位/剤形は、医薬製剤の先行技術において周知の手段、デバイス、方法及びプロセス(例えばA.R.Gennaro編「Remington’s Pharmaceutical Sciences」第17版、Mack Publishing Company、ペンシルバニア州イーストン1985年、特に第8部、第76〜93章に記載されている)を使って製造される。
したがって、例えば、固形製剤、例えば錠剤については、均質な分布においてタペンタドールを含む固体組成物を形成させるために、タペンタドールを、薬学的なキャリアー、例えば慣用の錠剤構成要素、例えば、トウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、ソルビトール、滑石、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムまたは薬学的に許容可能なゴムおよび薬学的な希釈剤、例えば、水を用いて顆粒化することができる。均質な分布は、ここでは、タペンタドールが組成物全体にわたって一様に分布し、その結果これは容易に、同一の活性を有する単位投薬形態、例えば錠剤、丸剤またはカプセル剤に分割できることを意味すると理解される。従って、固体組成物は、単位投薬形態に分割される。本発明による投与ユニットは、遅延放出を有する投薬形態を提供するために、別の方法でコーティングされるかまたは配合されることもできる。適当なコーティング組成物は、特に、ポリマー酸およびポリマー酸とシェラック、セチルアルコールおよび/または酢酸セルロースのような物質との混合物である。
タペンタドールは、経口、直腸または経皮的に使用できる投与単位/剤形から、遅延放出または持続放出または徐放の様式で放出することができる。対応する製剤(特に1日に2回(bid)だけ摂取されなければならない「1日2回(bid)」調製物の形態にある)が、本発明を示すために特に好ましい(US−A−2005−58706参照)。
タペンタドールの遅延放出または持続放出または徐放は、例えば、1〜80重量%、特に5〜80重量%の1種またはそれ以上の親水性または疎水性ポリマーを薬学的に許容可能なマトリックス形成剤として含み、2重量%の水性溶液において20℃で3,000〜150,000mPa・sの粘度(欧州薬局方キャピラリー粘度計を用いて測定)を有するセルロースエーテルおよび/またはセルロースエステルを薬学的に許容可能なマトリックス形成剤として含むマトリックス中にタペンタドールを含む投与単位/剤形によって達成することができる。好ましい薬学的に許容可能なマトリックス形成剤には、0.5mio g/molを超える分子量を有するポリエチレンオキシド、2重量%の水性溶液において20℃で10,000、特に50,000mPa・s〜150,000mPa・sの粘度を有するセルロースエーテルおよび/またはセルロースエステルが含まれる。特に好適な薬学的に許容可能なマトリックス形成剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルローズ(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース、エチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースから成る群から選択することができ、特に、HPMC、ヒドロキシエチルセルロースおよびHPCから成る群から選択される。2重量%の水性溶液において20℃で測定した場合に約100,000mPa・sの粘度を有するHPMCが最も好ましい。
本発明の投与単位/剤形は、単一の錠剤としておよびコーティング錠としての両方で、例えばフィルム錠またはドラジェとして存在することができる。錠剤は典型的には円形かつ両凸であるが、錠剤を分割できる長方形の錠剤形状も可能である。サッシェまたはカプセル剤に注がれるか、または崩壊性錠剤に圧縮することができる顆粒剤、スフェロイド、小丸薬またはマイクロカプセルもまた、本発明の範囲内に含まれ得る。
遅延放出マトリックスの代わりに、活性成分の放出を遅らせるコーティングを有する通常の放出マトリックスを使用することも可能である。例えば、タペンタドールは、微結晶セルロースおよび任意にさらなる薬学的補助剤、例えば、結合剤、充填剤、グライダント、滑沢剤および流動調整剤の慣用のマトリックスに含まれることができ、これは、水性媒体におけるタペンタドールの遅い放出を制御する物質で覆われているかまたはコーティングされている。好適なコーティング剤には例えば、水不溶性のワックスおよびポリマー、例えばポリメタクリレート(Eudragitなど)または水不溶性のセルロース、特にエチルセルロースが含まれる。コーティング材料は、場合により、水溶性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、水溶性セルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロース、他の水溶性剤、例えばポリソルベート80または親水性孔形成剤、例えばポリエチレングリコール、ラクトースまたはマンニトールを含むことができる。
遅延放出または持続放出または徐放剤形における遅延放出マトリックスの、あるいはタペンタドールの放出を遅らせるコーティングを有する通常放出マトリックスの可能性の代替もしくは補足として、浸透により駆動する放出系も、遅延放出を達成するために使用することができる。浸透により駆動する放出系の実際の製造の実施態様および例は、US4,765,989、US4,783,337およびUS4,612,008において見出すことができる。
以下の例は、本発明をさらに例証するが、本発明の範囲を限定するものとして解してはならない。
例1−術後疼痛のための足底切開モデル
術後の切開による疼痛は、持続性の急性疼痛の一般的な形態である。Brennan et al. (Brennan TJ, Vandermeulen EP, and Gebhart GF. Characterization of a rat model of incisional pain. Pain 1996; 64:493−501)は、新規の鎮痛性治療の評価のために、後肢の足底表面上に外科的処置を施したラットにおける術後モデルを開発した。ラットの肢の外科的切開は、最初の術後期間の間、信頼性があり、定量可能な触覚過敏症を引き起こし、外科手術後数日間継続する。従って、このモデルは、術後疼痛用の試験薬剤による無痛覚を予測するために有用であり得る。
実験は民間のブリーダー(Charles River, Germany)から入手した170g〜230gの体重を有する雄のシロネズミ(Sprague Dawley)において実施した。外科手術はこれまでに記載されてきたように行った。Brennan et al. (Brennan TJ, Vandermeulen EP, and Gebhart GF. Characterization of a rat model of incisional pain. Pain 1996; 64:493−501)。簡潔に言うと、ラットをイソフルランで麻酔し、踵の近位端から開始して中足骨のつま先方向へ、肢の足底面の皮膚および筋膜を通して1cmの縦方向の切開を施した。足底筋を上げ、縦方向に切開した。筋肉起始および停止は手を付けずに維持した。筋肉を伸ばし、穏やかな圧力で止血した後に、2つの単一の結節縫合により皮膚を閉じた。手術後に、ラットをホームケージにおいて回復させると、該動物は2〜5分以内に意識を回復した。麻酔からの完全な回復を保証するために、個々の動物のベースライン値は手術の2時間後まで記録しなかった。
ラットを、肢への完全なアクセスが可能なワイヤーメッシュ底を有するプラスチックケージに入れた。機械刺激後の後肢の逃避閾値を、電子的なvon Frey hairs(Somedic Sales AB, Hoerby, Sweden)で試験した。1つの実験群当たり10匹のラットを使用した。動物を、肢への完全なアクセスが可能なワイヤーメッシュ底を有するプラスチックケージに入れた。30分間、行動的な馴化を行った。それぞれの場合において、逃避反応を、傷に隣接した領域(同側)、および損傷していない肢の同じ領域(対側性)で測定した。手術の2時間後に、一次性の過敏症を、薬剤投与の直前に、および薬剤適用後の種々の時間点で、触覚逃避閾値(触覚痛覚過敏)として試験した。ビヒクルを注射した動物が、コントロールとしての役割を果たした。予備試験測定を手術に先立って行い、1つの試験あたり2つの閾値を採り、平均した。1つの実験群当たり10匹のラットを使用した。触覚逃避閾値を、手術後1日目から5日目まで、物質投与の前および後に測定した。手術後6日目から13日目に、物質投与なしで逃避閾値を測定した(ウオッシュアウト相)。効能は、MPE%=可能な最大効果の%として表し、MPEはビヒクル群と比較して、触覚痛覚過敏の100%の逆転として定義される。
タペンタドール:投与用量/経路
14.7mg/kgの腹腔内経路(i.p.)の用量でタペンタドールを、1日目〜5日目を通して1日2回(BID)(午前7時/午後7時)投与した。第一の投与は、1日目の手術の20分前に与えられた。6日目〜13日目まで、物質は与えられなかった(ウォッシュアウト相)。試験スキームを、図1で概略的に示す。
結果
図2によって証明されるように、触覚刺激に対する感受性の増加(von Frey hairでの刺激に対する逃避閾値の減少、いわゆる触覚痛覚過敏症)が、足の切開の直後に始まり、試験の終了まで続く(手術後少なくとも12日間)。
外科的な損傷後の、持続性の触覚痛覚過敏におけるタペンタドールの効果は、治療期間より長く続く(すなわち、ウォッシュアウト相においてもなお存在する)(図3;表1)。
14.7mg/kg(BID)の用量のタペンタドールの腹腔内投与は、生理食塩水群と比較して、38.3±5.48%(触覚痛覚過敏の減少)の効果を示した(図3;表1)。
BIDの腹腔内処理の5日後、効能は22.8±5.29%(治療の最後の日)であった(図3;表1)。
ウォッシュアウトの3日目(8日目)に、残りの効能は3%であり、翌日(9日目)には17%に増加した(図3;表1)。この残りの効能は、5日目の物質処理後の効能の74%であった(図4)。ウォッシュアウトの7日後、残りの効能は9%であり、これは5日目における物質処理後の効能の39%を表していた(図4)。
表1:術後疼痛の足底切開モデルにおける触覚痛覚過敏におけるタペンタドールの効果[1群あたりN=10匹の動物。***=p<0.001;**=p<0.01;=p<0.05、n.s.=有意でない]。
MPE%=可能な最大効果の%;MPEはビヒクル群と比較して、触覚痛覚過敏の100%の逆転として定義される;pre=物質投与前または処理なしでの効果;pre d8〜pre−9=ウォッシュアウト相における効果;d2_0.5h=手術の2日後における物質処理の0.5h後での効果;手術の日(1日目)には解析なし;他の日にも略語を用いる。
例2−眼窩下神経対坐骨神経の結紮を有するラットの機械的な異痛症/痛覚過敏症におけるタペンタドールのそれぞれの効果
方法
到着時150−200gの体重である雄のSprague−Dawleyラット(Charles River Laboratories, L’Arbresle, France)を使用した。動物は、研究所への受け入れから、いずれの介入もしくは処置の前に少なくとも1週間、その後安楽死まで、管理された環境条件(22±1°C、60%の相対湿度、12h/12hの明/暗サイクル、飼料および水は自由摂取)下で維持された。
眼窩下神経の慢性絞扼性損傷(CCI−ION)
ラットにペントバルビタールナトリウム(50mg/kgのi.p.)で麻酔を施した。片側のCCI−IONをZeiss顕微鏡(10−25×)を使用して、直接目視管理下で行った。簡潔に言うと、頭をHorsley−Clarkeの定位フレームに固定し、正中頭皮切開を施し、頭蓋および鼻骨を露出させた。上顎骨、前頭骨、涙骨および頬骨によって形成される眼窩の縁を切り取った。その後、眼窩内容を、ちょうど仙骨から眼窩下孔への眼窩で最も吻側の範囲で切り取られた眼窩下神経にアクセスするように穏やかにそらした。神経のうちの5mmのみを切除できれば、そのまわりに緩く(約2mmの間隔で)くくりつけられた2つのクローミック腸線(5−0)結紮を配置するための空間が与えられる。所望の程度の狭窄を得るために、Bennett and Xie (1988)によって定められた基準を使用した:結紮は、ちょうど目に見える量によって神経の直径を減少させ、神経上膜の循環を遅らせるが、妨げはしなかった。最後に、頭皮の切開を絹製縫合糸(4−0)を使用して閉じた。偽性手術ラットでは、IONを同じ手順を用いて露出したが、結紮しなかった。
座骨神経の慢性絞扼性損傷(CCI−SN)
上記のようにラットに麻酔を施し、総坐骨神経を露出させた。解剖顕微鏡(2×倍率)を使用して、4つのクローミック腸線(5−0)結紮を、約1mmの間隔で座骨神経の3つに分岐する前で緩く結んだ(Bennett and Xie, 1988)。最後に、皮膚と筋肉を絹製縫合糸(4−0)を使用して縫い合わせた。偽性手術動物では、同一の手術を行ったが、神経は結紮しなかった。
CCI−IONおよびCCI−SN手術の両方に関して、ラットは、麻酔から回復するまで暖めたパッド上に静かに置かれ、その後、それらのホームケージに戻された(42×42×18cmのケージ1つあたり3匹の動物)。
薬理学的処置
異痛症/痛覚過敏症がCCI−SNおよびCCI−IONラットの両方においてプラトーに達した時に、タペンタドール(1、3および10mg/kg i.p.)、レボキセチン(10mg/kg i.p.)、モルヒネ(1および3mg/kg s.c.)またはそれらのビヒクル(0.9% NaCl)を手術の14日後に急速に注射した。行動試験を注射の4時間後までに、様々な時間において行った。薬剤関連手順において、レボキセチンまたは生理食塩水を、モルヒネまたは生理食塩水の15分前に投与した。
亜慢性治療は、CCI−IONおよびCCI−SNラットの両方において、神経結紮後15日目に開始して4日間の、タペンタドール(午前10:00および午後6:00に10mg/kg i.p.)または生理食塩水の1日2回の注射から構成された。動物はさらに、翌日(術後19日目)午前10:00にタペンタドール(10mg/kg i.p.)または生理食塩水を注射され、von Freyフィラメント試験(以下を参照)を用いる異痛症の評価を、この注射の4時間後までに様々な時間において行った。神経節および中枢組織における特定のmRNAのリアルタイムqRT−PCR測定のために、最後の注射の4時間後に全てのラットを断頭によって屠殺した(以下を参照)。
行動試験
CCI−IONラットにおけるVon Freyフィラメント
2時間の馴化期間、ラットは小さな(35×20×15cm)プラスチックケージに個々に置かれた。いずれの刺激セッションの前にも、ラットを2時間、観察ケージおよび試験環境を自由に探索させた。その後、機械的感受性を、段階的な一連の11本のvon Freyフィラメント(Bioseb, Bordeaux, France)で測定した。フィラメントはそれぞれ、0.40、0.60、1.00、2.00、4.00、6.00、8.00、10.00および12.00gの曲げに要する力を提供する。刺激を神経損傷の側でION領域内に3回適用し(震毛パッド)、その後、対側部位においてラット1匹あたり各フィラメントを合計6回適用し、いつも最低の力をもたらすフィラメントを用いて開始した。ラットがその最初の休止状態に戻った少なくとも3秒後に、von Freyフィラメントを適用した。各セッションに関して、von Freyフィラメントの全シリーズを力が増加する順番で試験した。行動の侵害刺激反応は以下のいずれかからなる:(1)活発な逃避反応:ラットは活発に後退した;(2)回避/攻撃:ラットは、ケージの壁に対して屈む姿勢(時々、体の下に頭が埋もれるように)をとるために刺激対象からその体を離すことにより受動的に、あるいは、噛みつきおよび掴み取り行動を行い、刺激対象を攻撃することにより積極的に、フィラメントとさらに接触することを回避した;あるいは(3)非対称性の顔の身づくろい:ラットは、刺激された顔面野に向けて少なくとも3回の連続的な一連の洗顔行動を示した(活発な逃避反応がしばしば先行した)。後の反応は、Vos et al. (1994)によって最初に記述されたランク付け応答スコア化システム(rank−ordered response scoring system)において最高スコアを示した。我々自身の条件下では、機械的応答閾値は、震毛領域における3回の適用のうちの少なくとも2回に対するこれらの応答の中の少なくとも1回を生じる最小の力のフィラメントとして決定された。12.00gのフィラメントが、カットオフ閾値(この押力では組織損傷が生じなかった)であった。手術前の試験では、12.00gのフィラメントを用いる刺激は、大部分のラット(>90%)において侵害受容行動を誘発しなかった。非特異的な反応を回避するために、これらのラットだけを試験に含ませた。
CCI−SNラットにおけるvon Freyフィラメント
試験の前に、各ラットを上記のように2時間馴化させ、その後、機械的感受性を、段階的な一連の8本のvon Freyフィラメント(それぞれ6、8、10、12、15、26および60gの曲げに要する力を生じる)を用いて測定した。刺激は、SN領域(後肢底部の外側部)内に適用された。最も低い力を生じるフィラメントから開始して増加していく順序で、各フィラメントにつき神経損傷部位において3回試験を行った。CCI−IONラットに関しては、ラットがその最初の休止状態に戻った少なくとも3秒後に、von Freyフィラメントを適用した。動物が3回の刺激のうちの少なくとも2回に応答する活発な足の逃避および/または退避の試みのいずれかを示す最小の力のフィラメントによって、機械的応答閾値を測定できた。いずれの組織損傷も予防するためのカットオフ閾値として60.00gのフィラメントを選択した。
CCI−SNラットにおける下肢足底の知覚テスト(paw pressure test)
gとして表される侵害受容の閾値は、Ugo Basile無痛覚計(Bioseb、Chaville、France)を使用して、神経を損傷した後足に、増加する圧力を加えることにより測定された。侵害受容の閾値を定量するために使用された応答は、動物の後肢の逃避および発声であった(Randall and Selitto,1957年)。後肢逃避およびその後に鳴き声が得られるまで(すなわち、後肢が圧力下に置かれた時の発声閾値)、増加する圧力を神経が損傷した後肢に適用した。後肢逃避が脊髄性の協調反射であるのに対して、発声は上脊髄で統合される反応なので、この試験は、脊髄対上脊髄メカニズムのそれぞれの寄与の予備評価を提供する。
組織採取およびRNA抽出
qRT−PCR法に使用される動物は、亜慢性の治療条件のために、タペンタドールまたは生理食塩水の最終注射の4時間後、von Freyフィラメント試験の実施直後に断頭された(上記参照)。CCI−IONラットに関して三叉神経節および脊髄核尾側部(Sp5c)、およびSN−CCIラットに関してL4−L5後根神経節(DRG)および脊髄の腰膨大の同側および対側性の背部四分円を0〜4°Cで切開し、組織を液体窒素中で直ちに凍結させ、−80°Cで保管した。total RNA抽出に、NucleoSpin RNA II抽出キット(Macherey−Nagel、Hoerdt、France)を使用した。
リアルタイムqRT−PCR
供給業者(Invitrogen、Cergy Pontoise、France)によって推奨されるように、第一鎖cDNA合成(20μl反応混合物あたり660ngのtotal RNAから)を、SuperScript(商標)III逆転写酵素およびランダムプライマー(1反応あたり250ng)を使用して行った。その後、標的遺伝子:Activating Transcription Factor 3 (ATF3; Rn00563784_m1)、インターロイキン−6 (IL6; Rn00561420_m1)およびBrain Derived Neurotrophic Factor (BDNF, Rn02531967_s1)、に関して、PCR増幅を各サンプルあたり三重に、ABI Prism 7300(Applied Biosystems, Courtaboeuf, France), ABgene(登録商標) ABsolute QPCR ROX Mix (ABgene, Couraboeuf, France)およびAssays−on−Demand Gene Expression probes (Applied Biosystems)を使用して行った。半定量的測定を、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GaPDH; Rn99999916_sl)をコードするレポーター遺伝子を対照として行った。反応は、95℃で15分のポリメラーゼ活性化段階で始まり、95℃で15秒および60℃で60秒を30〜40サイクル続けた。結果の妥当性を、適切なネガティブコントロールを実施することにより常に確認した(PCR増幅に関して、cDNAと水との置き換え;cDNA合成に関して逆転写酵素の省略)。特定のmRNAレベルを、各サンプルにおけるGaDPH mRNAで標準化した後に計算した(Latremoliere et al., 2008)。データはコントロール値と比較した相対的なmRNA単位として示す。
統計解析
結果は、平均±S.E.M.として表す。分散(ANOVA)、それに続くDunnett検定の測定解析を、時間に対する薬剤効果を比較するために行った。mRNAレベルにおける薬剤効果を比較するために、一元配置分散分析、それに続きニューマン−クールズ検定を使用した。経時変化曲線下面積(AUC)を台形規則を使用して計算した。様々な治療群に対応するAUC値における差の統計的有意性を、スチューデントt検定によって解析した。有意水準はP<0.05に設定した。
結果
CCI−SNラットにおけるタペンタドールを用いた急性もしくは亜慢性治療の効果
Randall−Selitto試験
図5:CCI−SNラットにおけるタペンタドールの反痛覚過敏効果
坐骨神経への片側の慢性絞扼性損傷の2週間後に、タペンタドール(10mg/kg i.p.)または生理食塩水を注射し(横座標上の0)、その後の種々の時間における、後肢逃避(A)および発声(B)に対する圧力閾値(gとして)を測定するために、Randall−Selitto試験を使用した。各ポイントは、4つの独立した測定の平均±S.E.M.である。P<0.05、コントロールの健康なラットにおける圧力閾値と比較(手術前、横座標上のC)、Dunnett検定。
CCI−SN(図5A)に対する同側の後肢逃避および発声(図5B)を引き起こすための圧力閾値が、坐骨神経の片側の結紮の2週間後に有意に減少した。この時、生理食塩水の急性i.p.投与は、両方の圧力閾値におけるCCI−SN誘発の減少に有意な影響を及ぼさなかった(図5A、B)。対照的に、タペンタドールは10mg/kgのi.pの用量で、これらの値の急速な増加をもたらし、それは薬剤投与後少なくとも60分間続いた。実際、タペンタドール治療後の最初の1時間、後肢逃避を引き起こす圧力閾値は、神経結紮の手術前の損傷させていない健康なラットにおいて測定されたものと有意に相違しなかった(図5A)。発声に関して、この応答を引き起こす圧力閾値は、未処置の健康なラットにおけるより、CCI−SNラットにおけるタペンタドール投与後の最初の45分間はわずかに高く(+20%)さえあり(図5B)、これは、CCI−SN誘発の痛覚過敏症の逆転に加えて鎮痛効果の発生を示唆している。
von Freyフィラメント試験
図6:CCI−SNラットにおけるタペンタドールでの急性もしくは亜慢性治療の抗異痛効果
A−坐骨神経への片側性の慢性絞扼性損傷の2週間後に、同側の後肢の足底表面上へのvon Freyフィラメント適用に対する侵害防衛反応を引き起こすための圧力閾値(gとして)を、タペンタドール(1、3または10mg/kg、i.p.)または生理食塩水の急性注射後の様々な時間に測定した。B−神経結紮の後15日目(横座標上のD)に、ラットを4日間、タペンタドール(10mg/kg、i.p.、1日2回、午前10:00および午後6:00)または生理食塩水で亜慢性に処置した。翌日(手術後19日目)に、タペンタドールおよび生理食塩水で予備処置されたCCI−SNラット両方に、タペンタドール(10mg/kg、i.p.;横座標上の0)を注射し、続いて、その後様々な時間に、圧力閾値(gとして)の測定のために同側の後肢へ適合させたvon Frey試験に付した。各ポイントは、5〜10回の独立した測定の平均±S.E.M.である。P<0.05、タペンタドールまたは生理食塩水注射の直前に測定した圧力閾値と比較、Dunnett検定。
横座標上:C、手術の前の損傷させていない健康なラット;D、坐骨神経の片側性の結紮後15日目;0、SN−CCI後15日目(A)または19日目(B)におけるタペンタドールまたは生理食塩水の注射。
図6に表されるように、結紮された側におけるvon Freyフィラメントの足底への適用に応答した後肢逃避を引き起こす圧力閾値は、損傷していない健康なラットと比較して、CCI−SNラットにおいて85%低下した。1mg/kgのi.p.の用量で、タペンタドールは孤立性の効果のみを発揮し、その結果、注射後の最初の15〜30分間、圧力閾値の約40%の増加(有意でない)がもたらされた(図6A)。対照的に、薬剤投与の15〜30分後に、圧力閾値は、CCI−SNラットにおいて健康なコントロール値ともはや相違しないので、大きな効果はタペンタドールの10mg/kg i.p.の投与後に観察された(図6A)。その後、タペンタドールの効果は次第に消え、薬剤注射の90分後、機械的な異痛症は、生理食塩水処置CCI−SNラットで測定されたものと有意に相違しなかった。3mg/kgのi.p.の用量で、タペンタドールはまた圧力閾値を増加させたが、10mg/kg i.p.より低い程度で増加させ、これは、CCI−SNラットにおける1〜10mg/kgのi.p.用量範囲での薬剤の明確な用量依存的抗異痛効果を示唆している(図6A)。
亜慢性治療条件下でタペンタドールへの感作/脱感作の発現の可能性を評価するために、第二の一連の実験は、薬剤による繰り返し治療対急性治療の効果を比較することから構成された。図6Bのデータは、タペンタドール投与が、CCI−SNラットが生理食塩水またはタペンタドールで前もって4日間予備処置をされたか否かにかかわらず同一の抗異痛効果をもたらしたことを示す。前の一連の実験における急性処置後(図6A)のように、タペンタドールは注射後の最初の45分間に圧力閾値を著しく増加させ、この効果は、CCI−SNラットが薬剤で前もって処理されたか否かにかからわず類似の時間経過後に次第に消滅した(図6B)。
CCI−IONラットにおけるタペンタドールを用いた急性もしくは亜慢性治療の効果
von Freyフィラメント試験
図7:CCI−IONラットにおけるタペンタドールでの急性もしくは亜慢性治療の抗異痛効果
A−眼窩下神経への片側性の慢性絞扼性損傷の2週間後に、同側の震毛パッド上へのvon Freyフィラメント適用に対する侵害防衛反応を引き起こすための圧力閾値(gとして)を、タペンタドール(1または10mg/kg、i.p.)または生理食塩水の急性注射後の様々な時間に測定した。B−神経結紮の後15日目(横座標上のD)に、ラットを4日間、タペンタドール(10mg/kg、i.p.、1日2回、午前10:00および午後6:00)または生理食塩水で亜慢性に処置した。翌日(手術後19日目)に、タペンタドールおよび生理食塩水で予備処置されたCCI−IONラット両方に、タペンタドール(10mg/kg、i.p.;横座標上の0)を注射し、続いて、その後様々な時間に、圧力閾値の測定のために同側の震毛パッドに適用されるvon Frey試験に付した。各ポイントは、4〜8回の独立した測定の平均±S.E.M.である。P<0.05、タペンタドールまたは生理食塩水注射の直前に測定した圧力閾値と比較、Dunnett検定。
横座標上:C、手術の前の損傷させていない健康なラット;D、眼窩下神経の片側性の結紮後15日目;0、CCI−ION後15日目(A)または19日目(B)におけるタペンタドールまたは生理食塩水の注射。
著しい機械的異痛症が、眼窩下神経への片側のCCIの2週間後に観察された。図7Aに示されるように、CCI−IONラットにおける震毛パッド上へのvon Freyフィラメントの適用に対する侵害防衛反応を引き起こすための圧力閾値は、損傷していない健康なラットにおいて測定されたものの5%未満であった。1mg/kg i.p.でのタペンタドールの急性i.p.投与は、生理食塩水処理CCI−IONラットで測定された値と比較して、圧力閾値を最大6倍増加させた。この増加はタペンタドール注射後の最初の45分間で次第に発現し、その後、圧力閾値は引き続いての45分間以内に、生理食塩水処理CCI−IONラットで見出されたものと同一の最低レベルに至るまで戻る(図7A)。10mg/kgのi.p.の用量で、薬剤注射30〜60分後に、圧力閾値は注射前に測定した値より最大15〜20倍高かったので、タペンタドールの抗異痛効果は、大きさと期間の両方で著しく増加した。更に、この用量では、圧力閾値の薬剤誘導性の増加を通して評価されたタペンタドールの抗異痛効果は、薬剤注射後少なくとも2時間、統計的に有意に維持された(図7A)。第二の一連の実験では、CCI−SNラットにおける亜慢性治療に関して上記で使用されたのと同一のプロトコールを、CCI−IONラットに適用した。CCI−SNラットが前もって4日間生理食塩水またはタペンタドールの繰り返しの注射を受けたか否かにかかわらず、タペンタドール(10mg/kg i.p.)の抗異痛効果は同一の特性(大きさ、期間)を有することが観察された(図7B)。したがって、CCI−SNラットにおいてもCCI−IONを施したラットにおいても、亜慢性治療条件下でのタペンタドールへの感作または脱感作の兆候は検出できなかった。
神経結紮ラットにおけるモルヒネおよびレボキセチン(単独または併用)の効果
CCI−SNラットにおいて
図8:CCI−SNラットにおけるモルヒネの用量依存的な抗異痛効果
坐骨神経への片側性の慢性絞扼性損傷の2週間後に、同側の後肢の足底表面上へのvon Freyフィラメント適用に対する侵害防衛反応を引き起こすための圧力閾値(gとして)を、モルヒネ(1、3または10mg/kg、s.c.)または生理食塩水の急性注射(横座標上の0)後の様々な時間に測定した。各ポイントは、5〜7回の独立した測定の平均±S.E.M.である。P<0.05、モルヒネまたは生理食塩水注射の直前に測定した圧力閾値と比較、Dunnett検定。
横座標上のC、手術の前の損傷していない健康なラット。
これらの実験の実施前に、CCI−SNラットにおける機械的異痛症へのモルヒネでの急性期治療の用量依存的効果を最初に測定した。図8に示されるように、10mg/kg s.c.の用量でのモルヒネは、薬剤注射の30分後という早期にCCI−SN誘発性の機械的異痛症を完全な逆転させ、この効果は少なくとも1時間持続した。試験された他の2つの用量、1および3mg/kgのs.c.では、異痛症はモルヒネによって完全には逆転せず、薬剤の効果はより短い期間であった(図4)。これにより、我々はこれらの後者の2つの用量を、レボキセチンがモルヒネの効果と相互作用できるかどうかを調べるために選択した。
図9:CCI−SNラットにおけるレボキセチンおよびモルヒネ(単独または併用)の急性投与の抗異痛効果
坐骨神経への片側性の慢性絞扼性損傷の2週間後に、同側の後肢の足底表面上へのvon Freyフィラメント適用に対する侵害防衛反応を引き起こすための圧力閾値(gとして)を、レボキセチン(10mg/kg、i.p.)または生理食塩水の注射、その15分後に続く1mg/kg s.c.(A)または3mg/kg s.c.(B)のモルヒネあるいは生理食塩水の注射後の様々な時間に測定した。各ポイントは、5〜6回の独立した測定の平均±S.E.M.である。
P<0.05、第二の注射直前のCCI−SNラットにおいて測定した圧力閾値と比較(2番目の矢印、横座標上の0)、Dunnett検定。
棒グラフ:それぞれの経時変化曲線から計算されたAUC値:R=レボキセチン+生理食塩水;M=生理食塩水+モルヒネ;[RM]=レボキセチン+モルヒネ。三番目のバー(R+M)は、最初の2本のバー(RおよびM)の合計に相当する。P<0.05、スチューデントt検定。
第一の一連の薬剤組み合わせ実験では、CCI−SNラットにレボキセチン(10mg/kg i.p.)または生理食塩水を注射し、その後、15分後にモルヒネ(1.0mg/kg s.c.)または生理食塩水、を注射し、そして動物を続いて4時間、von Freyフィラメント試験に付した。図9Aに示すように、いずれかの薬剤単独の投与の後に、圧力閾値の孤立性の増加のみが観察された。対照的に、併用治療後に著しい増加が観察され、これはCCI−SNラットにおけるレボキセチン+モルヒネの明確な抗異痛効果を示している(図9A)。それぞれのAUC値の計算により、レボキセチン+モルヒネの併用[RM]に関して、レボキセチンまたはモルヒネの単独投与に対するそれぞれの値の合計R+Mよりも80%高い値が得られ(図9A)、これは、当該薬剤の併用により得られる抗異痛効果が、別々に考慮された各薬剤の効果の単純な和から予期されるより効果を大幅に超えることを示している。
レボキセチンとモルヒネの間のそのような明白な相乗作用がさらにアヘン剤薬剤の中間用量(3.0mg/kg s.c.)でも生じるかどうかを、前回と同一の時間条件下で、しかしCCI−SNラットの他の群において試験した。図9Bにおけるデータは、レボキセチン+モルヒネでの併用治療が、いずれかの薬剤単独の投与よりも、von Freyフィラメント試験において後肢逃避を引き起こす圧力閾値を増加させるために効果的であることを示す。しかしながら、対応するAUC値の計算は、レボキセチン+モルヒネ[RM]の併用の全体的な抗異痛効果が、各薬剤単独投与により誘発される効果の合計R+Mよりも、25%だけ高いこと(P>0.05、NS)を示した。従って、3.0mg/kg s.c.のモルヒネで、このオピオイド受容体アゴニストの抗異痛効果とレボキセチン(10mg/kg i.p.)の効果との間の相乗作用の証拠は証明することができなかった。
CCI−IONラットにおいて
図10:CCI−IONラットにおけるレボキセチンおよびモルヒネ(単独または併用)の急性投与の抗異痛効果
眼窩下神経への片側性の慢性絞扼性損傷の2週間後に、同側の震毛パッド上へのvon Freyフィラメント適用に対する侵害防衛反応を引き起こすための圧力閾値(gとして)を、レボキセチン(10mg/kg、i.p.)または生理食塩水の注射、その15分後に続くモルヒネ(3mg/kg s.c.)あるいは生理食塩水の注射後の様々な時間に測定した。各ポイントは、5〜6回の独立した測定の平均±S.E.M.である。
P<0.05、第二の注射直前のCCI−IONラットにおいて測定した圧力閾値を比較(2番目の矢印、横座標上の0)、Dunnettの試験。
棒グラフ:それぞれの経時変化曲線から計算されたAUC値:R=レボキセチン+生理食塩水;M=生理食塩水+モルヒネ;[RM]=レボキセチン+モルヒネ。三番目のバー(R+M)は、最初の2本のバー(RおよびM)の合計に相当する。P<0.05、スチューデントt検定。
この一連の実験については、以前の研究で、神経因性疼痛を緩和するためのモルヒネの効力がCCI−SNラットにおけるよりもCCI−IONラットにおいて大幅に低いことが示されたため、モルヒネを3mg/kg s.c.の用量で使用した。実際、CCI−SNラットにおいて明確に抗異痛性であったこの用量でさえ(図8参照)、モルヒネはCCI−IONラットにおける孤立性の効果のみをもたらした。その最大限では、圧力閾値において生じる増加は、損傷していない健康なラットにおいて測定した値の20%に達しただけであった(図10)。他方、レボキセチン(10mg/kg i.p.)は独力では完全に不活性であった(図10)。対照的に、レボキセチン+モルヒネの組み合わせは明確な抗異痛効果を発揮し、これはいずれかの薬剤単独により生じる効果よりも著しく高かった。実際、AUC値により、レボキセチン+モルヒネ[RM]の組み合わせの全体的な効果が、単独で投与された各薬剤の効果の合計R+Mよりも310%高いことが示された(図10)。
後者のデータは、モルヒネとレボキセチンの間の相乗効果がCCI−IONラットに存在するだけでなく、CCI−SNラットにおけるより顕著でさえあったことを強く示唆している。
CCI−SN−およびCCI−IONラット対それぞれの偽性手術ラットにおける神経節および中枢組織でのATF3、IL−6およびBDNFをコードするmRNAのレベルに対する、タペンタドールでの亜慢性治療の効果
CCI−SNラット対偽性ラットにおいて
特定のmRNAレベルのリアルタイムのqRT−PCR測定を、亜慢性の5日間治療条件下で行われたタペンタドールまたは生理食塩水の最終注射の4時間後に屠殺したラットから切除した組織において行った(方法欄を参照)。
図11:CCI−SNおよび偽性手術ラットにおける(A)同側のDRG(L4−L6)および(B)腰膨大の側背の四分円でのATF3、IL−6およびBDNFをコードするmRNAの組織レベル−タペンタドールでの亜慢性治療の効果。
生理食塩水またはタペンタドールを、図6の説明に記載された治療条件下で15−19日目にCCI−SNラットに投与した。19日目の最終注射の4時間後にラットを断頭し、冷却下(0℃)で組織を直ちに切除し、mRNA抽出およびリアルタイムqRT−PCRによる定量化のために処理した。mRNAレベルは、レポーター遺伝子GaPDHをコードする転写物を参照として表す。各バーは、5〜6回の独立した測定の平均±S.E.M.である。P<0.05、手術後15〜19日目に生理食塩水で処理された偽性手術ラットにおけるそれぞれのmRNAレベルとの比較、ニューマン−クールズ検定。タペンタドールおよび生理食塩水で処置されたCCI−SNラットの間で有意差は観察されなかった。
偽性手術動物と比較して、ATF3 mRNA(およそ7倍)およびIL−6 mRNA(およそ15倍)の著しい過剰発現が、CCI−SNラットの同側の(結紮された坐骨神経に対して)L4−L6 DRGで見出された(図11A)。CCI−SNラットでのより高いBDNF−mRNAレベルもL4−L6 DRGにおいて観察されたが(図11A)、この変化は、ATF3およびIL−6 mRNAのものより低い幅(偽性手術ラットの値の+56%)であり、統計的有意性(P>0.05)の臨界値に達しなかった。対照的に、脊髄の腰膨大の同側の背側の四分円では、L4−L6においてBDNFmRNAレベルは偽性手術ラットと比較してCCI−SNラットにおいて著しく高かった(+66%、P<0.05)(図11B)。他方、偽性手術ラットおよびCCI−SNラットの間で、この脊髄領域におけるATF3 mRNAおよびIL−6 mRNAレベルの有意差は見られなかった(図11B)。また、対側部位においては、DRGおよび腰膨大の背側の四分円の両方で、これら転写産物のいずれも、偽性手術ラットと比較して神経結紮ラットにおいて有意に異なるレベルを示さなかった(図示せず)。
図11A、Bに示すように、同側のL4−L6 DRGおよび脊髄の腰膨大の背側の四分円の両方におけるATF3、IL−6およびBDNFをコードするmRNAのレベルは、CCI−SNラットがタペンタドールまたは生理食塩水で亜慢性的に治療されたかどうかにかかわらず、有意に相違しなかった。これらのデータは、亜慢性治療に使用された条件下で、タペンタドールがCCI−SNによって引き起こされた神経炎症マーカーの過剰発現を妨げなかったことを示唆する。
CCI−IONラット対偽性ラットにおいて
図12:CCI−IONラットおよび偽性手術ラットにおける(A)同側の三叉神経節および(B)叉神経脊髄路核(Sp5c)の尾部でのATF3、IL−6およびBDNFをコードするmRNAの組織レベル−タペンタドールでの亜慢性治療の効果。
生理食塩水またはタペンタドールを、図6の説明に記載された治療条件下で15−19日目にCCI−IONラットに投与した。19日目の最終注射の4時間後にラットを断頭し、冷却下(0℃)で組織を直ちに切除し、mRNA抽出およびリアルタイムqRT−PCRによる定量化のために処理した。mRNAレベルは、レポーター遺伝子GaPDHをコードするmRNAを参照として表す。各バーは、5〜6回の独立した測定の平均±S.E.M.である。P<0.05、手術後15〜19日目に生理食塩水で処理された偽性手術ラットにおけるそれぞれの値との比較、ニューマン−クールズ検定。タペンタドールおよび生理食塩水で処置されたCCI−IONラットの間で有意差は観察されなかった。
ATF3 mRNA(およそ15倍)およびIL−6 mRNA(20倍を越える)の著しい過剰発現が、偽性手術ラットと比較して、CCI−IONラットにおいて傷害を施した側の三叉神経節で観察された(図12A)。さらに、BDNF mRNAも、偽性ラットに対して、ION結紮されたラットの同側の三叉神経節においてアップレギュレートされた(+82%)が、他の2つのmRNAより程度は低かった(図12A)。対照的に、同側のSp5c領域では、ATF3、IL−6およびBDNFをコードするmRNAレベルは、CCI−IONラットおよび偽性ラット間で相違しなかった(図12B)。同様に、これらの3つの特定のmRNAのレベルの変化は、偽性手術動物と比較してCCI−IONラットにおいて、眼窩下神経結紮の対側で三叉神経節およびSp5c領域の両方で観察されなかった(データ示さず)。DRGと脊髄に関して上述のように、タペンタドールでの亜慢性治療は、CCI−IONラットにおける神経結紮と同側の三叉神経節およびSp5c領域の両方で、ATF3、IL−6およびBDNF mRNAレベルに有意な効果を有しなかった(図12A、B)。
結論
タペンタドール(1−10mg/kg、i.p.)の急性投与は、CCI−SNおよびCCI−IONラットの両方において異痛症を有意に軽減した。モルヒネ(3mg/kg、s.c.)またはレボキセチン(10mg/kg、i.p.)は単独ではわずかに活性なだけだったが、両方の薬剤の併用はタペンタドールで観察されたもののように超相加的効果をもたらした。同側の神経節および/または中枢組織における、ATF3−、IL−6−およびBDNF転写産物の神経結紮誘発性の過剰発現は、タペンタドールでの亜慢性の抗異痛治療によって変化しなかった。
抗片頭痛薬剤、例えばトリプタンおよびCGRP受容体アンタゴニストは、CCI−IONラットにおいて明らかな抗異痛効果を有する。タペンタドールはCCI−IONラットの機械的異痛症も軽減するので、タペンタドールは抗片頭痛特性も予想外に有していることが示唆される。

Claims (13)

  1. 疼痛慢性化を患っている対象における疼痛の治療における使用のための、および/または疼痛慢性化の治療または予防における使用のためのタペンタドール。
  2. (i)疼痛慢性化を患っている対象における疼痛の治療;
    (ii)疼痛慢性化を患っている対象における疼痛慢性化の治療;
    (iii)疼痛慢性化の予防;
    (iv)疼痛慢性化を患っている対象における疼痛の治療、および疼痛慢性化の同時の治療;または
    (v)疼痛の治療、および疼痛慢性化の同時の予防、
    における使用のためである、請求項1に記載の使用のためのタペンタドール。
  3. 疼痛が中枢性または末梢性である、請求項1または2に記載の使用のためのタペンタドール。
  4. 疼痛が急性である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の使用のためのタペンタドール。
  5. 急性疼痛が、機械的疼痛、熱疼痛(heat pain)、冷覚疼痛(cold pain)、虚血性疼痛および化学物質誘発性疼痛からなる群から選択される、請求項4に記載の使用のためのタペンタドール。
  6. 疼痛が、術後疼痛、炎症性疼痛、片頭痛に関連する疼痛、頭痛に関連する疼痛、過敏性大腸症候群に関連する疼痛、線維筋痛に関連する疼痛、関節性痛、骨痛、関節痛、消化器痛、筋肉痛、狭心症疼痛、顔面痛、骨盤痛、跛行、術後疼痛、外傷後疼痛、緊張型頭痛、産科の疼痛、婦人科の疼痛および化学療法によって誘発された疼痛から成る群から選択される、請求項1〜5のいずれか1つに記載の使用のためのタペンタドール。
  7. 疼痛が術後疼痛であり、そしてタペンタドールが、
    −術後相Pの連続N日の間、
    −前記の術後相Pの後、相Pの連続N日の間、
    −しかし、前記の相Pの後、相Pの連続N日の間ではなく;
    投与され;ここでN、NおよびNは、独立して1〜100の整数であり、ただし、N≧Nであることを条件とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載の使用のためのタペンタドール。
  8. ≧N≧Nであるか、またはN≧N≧Nである、請求項7に記載の使用のためのタペンタドール。
  9. 片頭痛の治療または予防において使用するためのタペンタドール。
  10. 疼痛が中程度または重度である、請求項1〜9のいずれか1つに記載の使用のためのタペンタドール。
  11. タペンタドールが経口投与される、請求項1〜10のいずれか1つに記載の使用のためのタペンタドール。
  12. タペンタドールが毎日1日1回または1日2回投与される、請求項1〜11のいずれか1つに記載の使用のためのタペンタドール。
  13. タペンタドールが25〜600mgの範囲内の1日用量で投与される、請求項1〜12のいずれか1つに記載の使用のためのタペンタドール。
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