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JP2014237880A - 水性金属表面処理剤 - Google Patents

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JP2014237880A JP2013121385A JP2013121385A JP2014237880A JP 2014237880 A JP2014237880 A JP 2014237880A JP 2013121385 A JP2013121385 A JP 2013121385A JP 2013121385 A JP2013121385 A JP 2013121385A JP 2014237880 A JP2014237880 A JP 2014237880A
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Abstract

【課題】加工性、耐食性、上塗塗膜密着性に優れた皮膜を形成することができる、クロム化合物を含まない水性金属表面処理組成物を提供する。【解決手段】(A)ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の水性有機樹脂を固形分量で100質量部、並びに該水性有機樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に基いて、固形分量で、(B)エポキシ基含有シランカップリング剤(a)と、トリアルキルアルコキシシランなどのアルコキシシラン化合物(b)との加水分解縮合物 0.1〜40質量部、及び(C)コロイダルシリカ 5.0〜50質量部、を含有することを特徴とする水系金属表面処理剤。【選択図】 なし

Description

本発明は、従来のクロム酸塩処理及びリン酸塩処理に替わる、加工性、耐食性、上塗塗膜密着性等に優れた皮膜を得ることができ、且つ貯蔵安定性に優れた、クロムを含まない無公害型の水性金属表面処理組成物、該水性金属表面処理組成物を用いた金属表面処理方法及び該表面処理組成物を用いた表面処理金属板に関する。
従来、金属表面の耐食性を向上させるためクロム酸塩処理及びリン酸塩処理が一般に行われている。しかしながら近年クロムの毒性が社会問題になっている。クロム酸塩を使用する表面処理方法は、処理工程でのクロム酸塩ヒュ− ムの飛散の問題、排水処理設備に多大な費用を要すること、さらには化成処理皮膜からクロム酸の溶出による問題などがある。
また、リン酸塩処理では、リン酸亜鉛系、リン酸鉄系の表面処理が通常行われているが、耐食性を付与する目的でリン酸塩処理後、通常クロム酸によるリンス処理を行うためクロム処理の問題とともに、金属表面のエッチングを行うためにリン酸塩処理剤中に配合されるフッ素化合物などの反応促進剤や、金属イオンなどの排水処理、および被処理金属からの金属イオンの溶出によるスラッジ処理などの問題がある。
クロム酸塩処理やリン酸亜鉛処理以外の処理方法としては、
(1)重燐酸アルミニウムを含有する水溶液で処理した後、150〜550℃の温度で加熱する表面処理方法(例えば、特許文献1など参照)、
(2)タンニン酸を含有する水溶液で処理する方法(例えば、特許文献2 など参照)などが提案されている。
しかしながら、(1)の方法は、この上に塗料を塗装する場合、塗料の密着性が十分ではなく、(2)の方法は、耐食性が劣るという問題がある。
また、例えば、特許文献3には、膜厚数μm以下の薄膜の表面処理被膜を有する亜鉛系めっき鋼板として、亜鉛系めっき鋼板を基材とし、これにクロメート被膜を形成し、さらにこの上に最上層として有機複合シリケート被膜を形成した、カチオン電着塗装用防錆鋼板が知られており、このものは、加工性及び耐食性に優れた性能を有する。しかしながら、 この防錆鋼板はクロメート被膜を有するため、前記したと同様にクロメートイオンによる安全衛生面の問題があった。また、この防錆鋼板からクロメート被膜を除いた鋼板では、耐食性が大幅に低下する。
特許文献4には、カチオン性ウレタン樹脂、特定のフェノール樹脂、シランカップリング剤、チタン化合物、ならびに特定の酸もしくはその塩を含む表面処理液を用いて亜鉛系またはアルミニウム系めっき鋼板を表面処理した表面処理鋼板が開示されている。しかしながら、この表面処理鋼板では、平面部耐食性、加工部耐食性、耐指紋性、塗装密着性、加工性、耐水性等の特性の性能バランスが必ずしも良好ではない。
特許文献5には、水性分散樹脂に、シリカ粒子及び有機チタネート化合物を配合した鋼板用水性被覆剤を用いて、耐食性、耐溶剤性、耐アルカリ性、塗装密着性、皮膜密着性、浴安定性に優れた1液タイプの水性被覆剤が開示されている。
また、特許文献6には、特定の樹脂化合物(A)と、第1〜3アミノ基及び第4アンモニウム塩基から選ばれるカチオン性官能基を有するカチオン性ウレタン樹脂(B)と、特定の反応性基を有するシランカップリング剤(C)と、特定の酸化合物(E)とを、所定量含有する表面処理剤を用いた、耐食性に優れ、さらに耐指紋性、耐黒変性及び塗装密着性に優れたノンクロム系表面処理鋼板が開示されている。
しかしながら、特許文献5又は6に記載の技術は、樹脂がアニオン系であれば表面処理皮膜は耐アルカリ性に弱く、カチオン性であれば表面処理皮膜は耐酸性に弱いという欠点を有し、使用する用途が制限される。
特許文献7には、ケイ酸リチウム水溶液に有機樹脂、シランカップリング剤、固体潤滑剤を含有させた処理液で金属板表面を処理する技術が開示されているが、無機成分が硬い高分子を形成し易いため、折り曲げ加工などの加工部の耐食性が不十分となる。また、アルカリ金属を多く含むため、この表面処理鋼板上に上塗り塗膜を形成した場合に、上塗り塗膜の二次密着性に劣る。
このようにいずれの方法でもクロメート皮膜の代替として使用できるような表面処理剤を得られていないのが現状であり、代替できる表面処理剤及び表面処理方法の開発が切望されている。
特公昭53−28857号公報 特開昭51−71233号公報 特開昭60−50180号公報 特開2003−105562号公報 特開2001−353750号公報 特開2003−105562号公報 特開平11−58599号公報
本発明は、クロム化合物を含有することなく、従来技術の有する問題点を解決でき、貯蔵安定性に優れ、金属材表面に耐食性、成形加工性、塗料密着性に優れ、耐酸性、耐アルカリ性を有する表面処理皮膜を形成することができる水性金属表面処理組成物、この表面処理組成物を用いた金属表面処理方法、及びこの表面処理組成物による表面処理がなされた表面処理金属板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、特定の水性有機樹脂に、エポキシ基含有シランカップリング剤とアルコキシシラン(縮合物)との加水分解共縮合物、及びコロイダルシリカをそれぞれ所定量配合してなる水性金属表面処理組成物により、表面処理組成物の貯蔵安定性が優れ、かつ該表面処理組成物により形成される皮膜の耐食性、成形加工性などの諸性能が極めて優れ、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明は、(A)ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の水性有機樹脂を固形分量で100質量部、並びに
該水性有機樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に基いて、固形分量で、
(B)エポキシ基含有シランカップリング剤(a)と、下記式[1]
(R)4−n−Si−(X) [1]
(式中、Rは、反応性を有さない置換基で置換されていてもよい炭素原子数1〜18の炭化水素基を表し、Xは、アルコキシル基を表し、nは1〜3の整数を表す。)で示される少なくとも1種のアルコキシシラン化合物及び/又は該アルコキシシラン化合物の縮合物(b)との加水分解縮合物 0.1〜40質量部、及び
(C)コロイダルシリカ 5.0〜50質量部
を含有することを特徴とする水系金属表面処理剤、を提供するものである。
また、本発明は、上記水性金属表面処理組成物を、金属製被塗物上に塗布し、乾燥させることを特徴とする金属表面処理方法を提供するものである。
さらに、本発明は、上記水性金属表面処理組成物による表面処理が金属製被塗物の表面になされてなる表面処理金属板を提供するものである。
本発明の水性金属表面処理組成物は、クロム化合物を含有しない表面処理組成物でありながら、金属材表面に平面部や加工部における耐食性、深絞り加工性などの成形加工性、塗料密着性に優れ、耐酸性、耐アルカリ性を有し、諸性能のバランスに優れた表面処理皮膜を形成することができ、かつ貯蔵安定性に優れた組成物である。
本発明の表面処理金属板は、金属製被塗物の表面に上記水性金属表面処理組成物による表面処理がなされたものであり、上記諸性能のバランスに優れたものである。本発明の表面処理金属板は、上塗り塗料無塗装で使用しても、あるいは上塗り塗料を塗装して使用してもよい。
また、本発明の水性金属表面処理組成物、この処理組成物による表面処理がなされた表面処理金属板は、クロム化合物を含有せず、環境上の問題を克服することができるものである。
本発明の水性金属表面処理組成物は、(A)水性有機樹脂、(B)エポキシ基含有シランカップリング剤と、アルコキシシラン化合物又は該アルコキシシラン化合物の縮合物との加水分解縮合物、及び(C)コロイダルシリカを必須成分として含有する。
本発明の金属表面処理組成物における各成分について以下に述べる。
水性有機樹脂(A)
本発明金属表面処理組成物の(A)成分である水性有機樹脂は、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の水性有機樹脂であることが好ましく、水に溶解又は分散しているものが好ましく、通常、水溶液又は水分散液の形態で供される。
上記ポリウレタン樹脂としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどのポリオールと脂肪族、脂環式もしくは芳香族ポリイソシアネートとの縮重合物などが挙げられる。
ポリウレタン樹脂を水中に安定に分散もしくは溶解させる方法としては、例えば以下の方法が利用できる。(1)ポリウレタンポリマーの側鎖又は末端に、水酸基、アミノ基、カルボキル基等のイオン性基を導入することにより親水性を付与し自己乳化により水中に分散又は溶解する方法;(2)反応の完結したポリマー又は末端イソシアネート基を、オキシム、アルコール、フェノール、メルカプタン、アミン、重亜硫酸ソーダ等のブロック剤でブロックしたポリマーを、乳化剤及び機械的せん断力を用いて強制的に水中に分散する方法;(3)末端イソシアネート基を持つウレタンプレポリマーを、水、乳化剤及び伸長剤と混合し、機械的せん断力を用いて分散化及び高分子化を同時に行う方法;(4)ポリウレタン主原料のポリオールとしてポリエチレングリコールのような水溶性ポリオールを使用し、水に可溶なポリウレタンとして水中に分散又は溶解する方法等が挙げられる。なおポリウレタン樹脂の分子量は特に限定するものではないが、重量平均分子量で10,000〜1,000,000、好ましくは50,000〜500,000が好ましい。
上記ポリウレタン樹脂の市販品としては、例えばハイドランHW−330、ハイドランHW−340、ハイドランHW−350(いずれも大日本インキ化学工業社製)、スーパーフレックス100、スーパーフレックス130、スーパーフレックス150、スーパーフレックス170、(いずれも第一工業製薬社製)、アデカポンタイダーHUX−206、アデカボンタイダーHUX−232、アデカボンタイダーHUX−360、アデカポンタイダーHUX−540(いずれもアデカ社製)等を挙げることができる。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ポリフェノール化合物とエピルロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ化合物、このエポキシ化合物にアミンを付加してなるカチオン系エポキシ樹脂、このエポキシ化合物に多塩基酸を付加して酸基を導入したアニオン系エポキシ樹脂、これらのエポキシ化合物やカチオン系もしくはアニオン系エポキシ樹脂にアクリル変性、ウレタン変性などの変性がなされた変性エポキシ樹脂などを挙げることができる。
上記エポキシ化合物としては、数平均分子量が400〜4000、特に800〜2000、エポキシ当量が190〜2000、特に400〜1000であるものが好ましい。上記ポリフェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン、4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチルフェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどが挙げられる。
上記アクリル樹脂としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレートなどのアクリルエステル、メタクリルエステルのホモポリマー、コポリマーと、これらと共重合可能なモノマー、例えばスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアリルアミンなどとの共重合物が挙げられる。アクリル樹脂は、樹脂中に酸基などのアニオン性基、アミノ基などのカチオン性基を導入し、これらの基を中和して水中に分散又は溶解されたものであることができる。また、界面活性剤、反応型乳化剤などを用いた乳化重合によって得られる水系エマルジョン、水溶性高分子を乳化剤に用いたソープフリー型のものであることもできる。
上記ポリオレフィン樹脂としては、エチレンとアクリル酸、もしくはメタクリル酸との共重合体をアンモニアやアミンを用いて水分散させたもの、エチレンとビニルアルコールの共重合体を界面活性剤で強制乳化したものなどが挙げられる。
加水分解縮合物(B)
本発明金属表面処理組成物の(B)成分である加水分解縮合物は、エポキシ基含有シランカップリング剤(a)と、下記式[1]
(R)4−n−Si−(X) [1]
(式中、Rは、反応性を有さない置換基で置換されていてもよい炭素原子数1〜18の炭化水素基を表し、Xは、アルコキシル基を表し、nは1〜3の整数を表す。)で示される少なくとも1種のアルコキシシラン化合物及び/又は該アルコキシシラン化合物の縮合物(b)(以下、「アルコキシシラン(縮合物)(b)」と略称することがある。)との加水分解縮合物である。
上記エポキシ基含有シランカップリング剤(a)は、1分子中に少なくとも1個のエポキシ基と加水分解性基とを有するシランカップリング剤である限り、特に制限されるものではない。上記加水分解性基は、特に制限されるものではないが、好適なものとして、珪素元素に直接結合するアルコキシシリル基を挙げることができる。
上記エポキシ基含有シランカップリング剤(a)の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。なかでもγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを好適に使用することができる。
上記アルコキシシラン(縮合物)(b)における式[1]で示されるアルコキシシラン化合物としては、トリアルコキシシラン化合物、ジアルコキシシラン化合物、モノアルコキシシラン化合物であることができるが、水性媒体中への溶解性の点などから、トリアルコキシシラン化合物が好適である。
上記トリアルコキシシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ヘキルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、エチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどを挙げることができる。これらのうち、特にメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、エチルトリス(メトキシエトキシ)シランが好ましい。
上記モノ−もしくはジ−アルコキシシラン化合物としては、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシランなどのモノアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジプロピルトリメトキシシランなどのジアルコキシシランなどを挙げることができる。
上記アルコキシシラン化合物の縮合物としては、平均重合度が1.5〜10、好ましくは1.5〜5のものを使用することができる。
加水分解縮合物(B)は、上記エポキシ基含有シランカップリング剤(a)と、上記アルコキシシラン(縮合物)(b)との配合割合を、前者/後者のケイ素元素量の比で、好ましくは3/1〜1/3の範囲内、さらに好ましくは2/1〜1/2として、加水分解縮合反応させることによって得ることができる。
上記加水分解縮合反応は、エポキシ基含有シランカップリング剤(a)と、アルコキシシラン(縮合物)(b)との両者を、必要に応じて酸触媒を含む水性媒体中で、例えば、20〜100℃で0.5〜20時間、好ましくは40〜90℃で1〜10時間程度にて反応させることが好適である。水性媒体中におけるエポキシ基含有シランカップリング剤(a)と、アルコキシシラン(縮合物)(b)との両者の合計は、3〜40質量%、好ましくは5〜30質量%の範囲内であることが好適である。加水分解縮合物(B)の重量平均分子量は、400〜20000、好ましくは500〜12000の範囲内であることが好適である。
本明細書において、加水分解縮合物(B)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した保持時間(保持容量)を、同一条件で測定した分子量既知の標準ポリスチレンの保持時間(保持容量)によりポリスチレンの分子量に換算して求めた値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフ装置として、「HLC−8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムとして、「TSKgel GMHHR−L」(商品名、東ソー社製)を1本使用し、検出器として、示差屈折率計を使用し、 移動相:ジメチルホルムアミド(トリエタノールアミン0.5質量%含む)、測定温度:25℃、流速:1mL/minの条件下で測定することができる。
加水分解縮合物(B)の量は、水性有機樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に基いて、固形分量で、0.1〜40質量部、好ましくは5〜20質量部の範囲であることが好適である。
コロイダルシリカ(C)
本発明金属表面処理組成物の(C)成分であるコロイダルシリカは、二酸化ケイ素(SiO)の超微粒子をナトリウム、アンモニウムで安定化させたコロイダルシリカを使用することが好ましい。二酸化ケイ素(SiO)の超微粒子は、シロキサン結合により高分子量化しており且つその表面に水酸基を有してもよい球状のシリカが好ましい。また、該微粒子の大きさは1〜50nm、特に5〜20nmの範囲が好ましい。
該(C)成分に使用し得るコロイダルシリカは、市販品として入手することができ、例えば、スノーテックスN、スノーテックスS、スノーテックスNXS、スノーテックスC(いずれも日産化学工業(株)製、商品名)、アデライトAT−20A、アデライトAT−2045(株式会社アデカ製、商品名)等が挙げられる。
また、コロイダルシリカ(C)は、上記コロイダルシリカをシランカップリング剤によって処理したものであってもよい。シランカップリング剤によって処理する場合、コロイダルシリカの固形分量100質量部に対して、シランカップリング剤1〜50質量部、好ましくは3〜30質量部、さらに好ましくは5〜20質量部を加え、反応させて得ることができる。
上記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
本発明組成物中にコロイダルシリカ(C)を配合することによって、得られる処理皮膜の基材に対する密着性を向上するとともに、皮膜の耐食性を向上することができるが、過剰に配合すると、皮膜の加工性を低下させ、密着性が劣化するとともに、表面処理皮膜のバリヤー性が損なわれ、腐食環境における腐食因子の透過を抑制できず、耐食性が低下しやすくなる。
コロイダルシリカ(C)の配合量は、前記水性有機樹脂分散液(A)の樹脂固形分100質量部に基づいて、5.0〜50質量部、好ましくは10〜30質量部の範囲内であることが、上記観点から適している。
水系金属表面処理剤
本発明の水系金属表面処理剤は、前記水性有機樹脂(A)、加水分解縮合物(B)及びコロイダルシリカを必須成分として所定量含有するものであり、さらに必要に応じて、有機リン酸化合物(D)、防錆金属化合物(E)、ワックス(F)などを含有することができる。本発明の水系金属表面処理剤において、上記各成分が安定に水に溶解又は分散していることが好ましい。以下に、上記(D)〜(F)成分について説明する。
有機リン酸化合物(D)
本発明の水系金属表面処理剤において、金属表面への表面処理皮膜の皮膜密着性の向上などを目的に、必要に応じて有機リン酸化合物(D)を含有することができる。有機リン酸化合物(D)は、コロイダルシリカと相俟って更に防錆性を向上させることができ、また、金属表面処理剤の貯蔵安定性の向上に寄与することもできる。
有機リン酸化合物(D)としては、例えば、1−ヒドロキシメタン−1,1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシプロパン−1,1−ジホスホン酸等のヒドロキシル基含有有機亜リン酸;2−ヒドロキシホスホノ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸等のカルボキシル基含有有機亜リン酸、及びこれらの塩等が好適なものとして挙げられる。中でも特に1−ヒドロキシエタン−1、1−ジホスホン酸が好適である。
本発明の水系金属表面処理剤中に有機リン酸化合物(D)を配合する場合には、その添加量は、水性有機樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に基いて、固形分量で、0.1〜5.0質量部、好ましくは0.5〜3.0質量部の範囲であることが好適である。
防錆金属化合物(E)
本発明の水系金属表面処理剤において、表面処理皮膜の防錆性の向上などを目的に、必要に応じて、防錆金属化合物(E)を含有することができる。
防錆金属化合物(E)としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、タングステン、モリブデン、アルミニウム、ニッケル、コバルト、カルシウムなどの金属元素を有する金属化合物を挙げることができる。
防錆金属化合物(E)としては、例えば、上記金属元素のフルオロ酸、リン酸、炭酸、硝酸および硫酸などの無機酸、又はギ酸、酢酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、DL−リンゴ酸、マロン酸、マレイン酸、フタル酸などの有機酸との塩;これらの金属元素の酸化物;かかる金属のアルコキシド、アルキルアセトネート、アルカンジオレート、ラクテート、アミネートおよびステアレートなどの錯塩などが挙げられる。これらの金属化合物は、無水物であっても水和物であってもよい。
上記金属化合物(E)の代表例として、塩基性炭酸ジルコニウム(ZrCO・ZrO・8HO)、炭酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸ニッケル、硝酸ジルコニウム、硫酸バナジル、硫酸ジルコニウム、硝酸アルミニウム、酢酸ニッケル、酢酸ジルコニウム、酸化バナジウム、メタバナジン酸アンモニウム、五酸化バナジウム(V)、リンバナドモリブデン酸;六フッ化チタン酸( HTiF)、六フッ化ジルコニウム酸(HZrF)、六フッ化ハフニウム酸(HHfF)、六フッ化アルミニウム酸(HAlF)等のフルオロ酸、これらのフルオロ酸の塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、亜鉛塩など)などが挙げられる。上記金属化合物のうち、なかでも、バナジウム、ジルコニウムの金属化合物が好適である。防錆金属化合物(E)としては、金属化合物を単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
防錆金属化合物(E)は、水中でイオンを発生し、腐食環境における金属表面の腐食電位のコントロールおよび酸化還元反応のコントロール、金属表面への極薄膜皮膜の成膜および皮膜成分中の官能基との架橋反応による皮膜密度の向上などにより耐食性を向上させる効果を有すると考えられる。
本発明の水系金属表面処理剤中に防錆金属化合物(E)を配合する場合には、その添加量は、水性有機樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に基いて、固形分量で、0.1〜30質量部、好ましくは1.0〜20質量部の範囲であることが好適である。
ワックス(F)
本発明の水系金属表面処理剤において、表面処理皮膜の潤滑性の向上などを目的に、必要に応じて、ワックス(F)を含有することができる。
ワックス(F)としては、表面処理皮膜の潤滑性を向上できるワックスである限り、特に限定されるものではなく、パラフィン、マイクロスタリン、ポリエチレン、およびポリプロピレン等の石油ワックス、および含フッ素有機化合物などを挙げることができ、これらは単独で又は組合せて使用することができる。上記含フッ素有機化合物としては、例えばポリエチレン(PE)の繰り返し単位−(CH2−CH2)−の水素原子をフッ素原子で置換したポリマー、即ちポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリトリフルオロエチレン(PTrFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびこれらのポリマーとオレフィン系との共重合物またはこれらの変性物など各種の高分子含フッ素有機化合物が挙げられる。
ワックス(F)としては、なかでもJIS K 2351で規定される軟化点が50〜160℃であるものがと潤滑性向上の点から好ましい。また、ワックスの粒径については小さい(1μm以下)方が表面処理剤の安定性に優れているが、潤滑性向上の面からは大きい(数μm〜10数μm)方が優れているので、使用目的によって1種または2種以上を適宜選択することが好ましい。
ワックス(F)の種類としては、なかでもポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスを好適に用いることができる。
本発明の水系金属表面処理剤中にワックス(F)を配合する場合には、その添加量は、水性有機樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に基いて、固形分量で、0.5〜50質量部、好ましくは1.0〜20質量部の範囲であることが好適である。
本発明の水系金属表面処理剤は、建浴用組成物(濃縮液)及び作業用組成物(希釈液)の両方を包含する。建浴用組成物における全固形分濃度は10〜40質量%であるのが好ましく、15〜30質量%であるのがより好ましい。作業用組成物における全固形分濃度は、1〜40質量%であるのが好ましく、5〜30質量%であるのがより好ましい。
本発明の表面処理剤は、測定温度20℃、B型回転粘度計にて60rpmの条件にて測定した粘度が、2.5mPa・s以下であることが、表面処理剤の塗装性の面から好適である。
本発明の水系金属表面処理剤は、前記成分以外に、さらに必要に応じて、pH調整剤(酸もしくは塩基)、充填剤、着色剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、抗菌剤などを適宜含有することができる。
本発明の水系金属表面処理剤を作業用組成物として用いる場合のpHは、5.0〜10.0の範囲が好ましく、6.0〜9.0の範囲がより好ましい。その際、pH調整剤としては、表面処理用組成物のpHを上げる場合には、アンモニア水、アミン化合物、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩等を用いることができ、pHを下げる場合には、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸などの有機カルボン酸;アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸などの有機ホスホン酸などの酸成分で調整することが好ましい。
上記充填剤としては、シリカ、タルク、バリタ、炭酸カルシウム、マイカなどの微粉末を挙げることができ、体質顔料として使用されるものが例示できる。上記着色剤としては、着色顔料、染料などを挙げることができる。
金属表面処理方法
本発明の金属表面処理方法は、上記本発明の水性金属表面処理組成物を、金属製被塗物上に塗布し、乾燥させることを特徴とする金属表面処理方法であり、金属製被塗物表面に本発明の水性金属表面処理組成物による処理皮膜を形成する方法である。
本発明において、「処理皮膜」とは、連続した処理皮膜のみならず、処理付着量が少ないため連続した処理皮膜とならず、不連続となった処理物をも包含する。
上記金属製被塗物とは、金属素材であれば何ら制限を受けず、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛ならびにこれらの金属を含む合金、及びこれらの金属によるめっき鋼板もしくは蒸着製品等が挙げられる。なかで、金属板を好適に使用するこができる。
上記被塗物として用いられる金属板としては、例えば、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金(亜鉛−鉄、亜鉛−アルミニウム、亜鉛−ニッケルなどの合金)メッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、ステンレス鋼板、銅メッキ鋼板、錫メッキ鋼板、アルミニウム板、銅板などを挙げることができる。なかでも亜鉛メッキ鋼板(溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板のいずれも包含する)、亜鉛合金メッキ鋼板を好適に使用できる。
上記金属製被塗物上に本発明の水性金属表面処理組成物を塗布する前に、金属製被塗物を、脱脂、酸洗、湯洗、洗剤洗浄などの1または2以上により表面調整することができ、いずれの場合も、最後に十分に水洗することが好ましい。また、塗布時の本発明の水性金属表面処理組成物の液温は常温でよいが、所望により冷却または加温することも可能である。
上記金属製被塗物上に、ロールコート法、スプレー塗装法、刷毛塗り法、静電塗装法、浸漬法、電着塗装法、カーテン塗装法、ローラー塗装法等の公知の方法により本発明の水性金属表面処理組成物を塗装し、乾燥させることにより処理皮膜を形成させることができる。なお、上述した表面処理皮膜の形成は、金属製被塗物の片面のみ、両面のいずれであってもよい。
本発明の水性金属表面処理組成物による処理皮膜の皮膜量は、特に限定されるものではないが、通常、0.4〜4.0g/m、好ましくは0.7〜3.0g/mの範囲であることが耐食性、加工性の観点から好適である。
処理皮膜の乾燥条件は、適宜設定すればよいが、コイルコーティング法などによって塗装したものを連続的に焼付ける場合には、通常、素材到達最高温度が80〜200℃、好ましくは90〜120℃となる条件で5〜60秒間加熱することにより行なうことができる。バッチ式で焼付ける場合には、例えば、雰囲気温度100〜180℃で1〜30分間加熱することによっても行なうことができる。
表面処理金属板
本発明の表面処理金属板は、本発明の水性金属表面処理組成物による表面処理が金属製被塗物の表面になされてなる表面処理金属板である。本発明の表面処理金属板は、金属製被塗物が板状形状であって、上記本発明の金属表面処理方法によって得ることができるものである。
本発明の表面処理金属板は、本発明の水性金属表面処理組成物による処理皮膜の皮膜量が、0.4〜4.0g/m、好ましくは0.7〜3.0g/mの範囲であることが耐食性、加工性の観点から好適である。
本発明の表面処理金属板の処理皮膜上には、さらに美粧性向上、耐久性向上、その他機能性向上などの目的で、着色塗膜、クリヤ塗膜などの上層膜を形成してもよい。この上層膜の形成は、本発明の表面処理金属板を成型加工する前に行うこともできるが、成型加工後に行うことが好ましい。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、これらにより限定されるものではない。
次に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものでない。各例において、「部」及び「%」は、特記しない限り、質量基準によるものとする。また、処理皮膜の皮膜量は、乾燥皮膜量に基づくものとする。
加水分解縮合物(B)の製造
製造例1
攪拌機、還流冷却器、温度計を備えた4つ口フラスコに、脱イオン水1000部、メタノール1000部、酢酸10部を配合し、40℃まで昇温して保持した。エポキシ基含有シランカップリング剤(a)としての3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン101部とアルコキシシラン化合物(b)としてのメチルトリメトキシシラン58部との混合物159部を、上記フラスコ内に1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間撹拌した後、60℃で減圧蒸留を行い、配合したメタノールと加水分解で生じたメタノールを留去した。固形分濃度を10%以下に保つように脱イオン水を適宜投入しながら、ガスクロマトグラフィーで測定されるメタノール濃度が1%以下となるまで減圧蒸留を継続した。最終的な固形分は10%となるように調整し、加水分解縮合物液を製造した。この加水分解縮合物製造において、使用原料の(a)/(b)のケイ素元素比は1/1である。
製造例2〜6
(a)成分と(b)成分の種類及び量を後記表1に示すとおりする以外、製造例1と同様に操作して、製造例2〜6の加水分解縮合物を製造した。
製造例7
攪拌機、還流冷却器、温度計を備えた4つ口フラスコに、メチルトリメトキシシランを58部、メタノール10部、酢酸1部、水7部を仕込み、40℃で1時間撹拌した。減圧下で揮発物がなくなるまで蒸留し、(b)成分となるメチルトリメトキシシランオリゴマーを得た。この中に(a)成分である3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン101部を投入し、シラン混合液を調製した。
攪拌機、還流冷却器、温度計を備えた別の4つ口フラスコに、脱イオン水1000部、メタノール1000部、酢酸9部を配合し、40℃まで昇温して保持した。上記で調製したシラン混合液を1時間かけてフラスコ内に滴下した。更に1時間撹拌した後、60℃で減圧蒸留を行い、配合したメタノールと加水分解で生じたメタノールを留去した。固形分濃度を10%以下に保つように脱イオン水を適宜投入しながら、ガスクロマトグラフィーで測定されるメタノール濃度が1%以下となるまで減圧蒸留を継続した。最終的な固形分は10%となるように調整し、製造例7の加水分解縮合物液を製造した。この加水分解縮合物製造において、使用原料の(a)/(b)のケイ素元素比は1/1である。
上記製造例1〜7で製造された加水分解縮合物の、GPC測定による重量平均分子量はいずれも500〜12000の範囲内であった。
Figure 2014237880
金属表面処理組成物の製造
実施例1〜21及び比較例1〜8
後記表1に示す配合割合に従って配合し、固形分濃度が25質量%となるように脱イオン水を加えて調整し、十分攪拌を行って各金属表面処理組成物を得た。なお、表2の配合は固形分質量で示した。
得られた各表面処理組成物の貯蔵安定性について、下記試験方法に従って評価した。得られた試験結果を後記表2に示す。
貯蔵安定性:内容量1Lのガラス容器に各表面処理剤を500g入れて密封し、40℃の恒温室中で14日間貯蔵した。その後、室温に戻し、容器の中の状態を目視にて観察し、次の基準で評価した:
◎:著しい増粘、ソフトケーキングや分離が認められず良好、
○:ソフトケーキングや分離が認められるが、10分間以下の攪拌により均一となる、
△:ソフトケーキングや分離が認められ、10分間を超えて、60分間未満の攪拌で均一になる、
×:ハードケーキングや分離が認められ、60分間を超える攪拌でも均一にならない。
Figure 2014237880
表2における有機樹脂(A)の種類は、下記のとおりである。
A1:アデカボンタイダーHUX−206((株)ADEKA製、商品名、ポリウレタン樹脂水分散液、PH8、固形分30%)、
A2アデカボンタイダーHUX−540((株)ADEKA製、商品名、アニオン性ウレタン樹脂水分散液、pH8、樹脂酸価32mgKOH/g、固形分30質量%)、
A3:ウオーターゾールCD−550LAP(DIC(株)製、商品名、エポキシ樹脂水性液、PH9、固形分濃度40%)、
A4:モデピクス302(荒川化学工業(株)製、商品名、エポキシ樹脂水性液、PH8.5、固形分濃度33%)、
A5:アクアブリッドCC234(DIC(株)製、商品名、アクリル樹脂水性液、PH7、固形分濃度34%)、
A6:ケミパールS−100(三井化学(株)製、商品名、エチレン−アクリル酸共重合体のナトリウム塩水分散液、アイオノマー、PH10、固形分濃度27%)。
表2におけるコロイダルシリカ(C)、有機リン酸化合物(D)、防錆金属化合物(E)及びワックス(F)の種類は、下記のとおりである。
C1:スノーテックスNSX(日産化学工業(株)製、コロイダルシリカ水分散液、pH9.0〜10.0、粒子径5nm)、
C2:スノーテックスN(日産化学工業(株)製、コロイダルシリカ水分散液、pH9.0〜10.0、粒子径10〜20nm)、
D1:1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、
E1:メタバナジン酸アンモニウム、
E2:炭酸ジルコニウムアンモニウム、
E3:6フッ化ジルコニウムアンモニウム、
F1:LUVAX1151(日本精鑞社製、ポリエチレンワックス、環球法軟化点107℃)。
表2における加水分解縮合物(B)の欄に記載のX及びYは、加水分解縮合物ではないが便宜的にこの欄に記載したものであり、下記の意味を有する。
X:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
Y:メチルトリメトキシシラン。
実施例22〜48及び比較例9〜16
前記各表面処理組成物を用いて下記表3に示す仕様にて、表面処理金属板を得た。
表3における金属板種類は下記のとおりである。
(金属板種類)
EG:メッキ付着量が片面20g/mで、板厚0.8mmの両面電気亜鉛メッキ鋼板、
GA:メッキ付着量が片面45g/mで、板厚0.8mmの両面合金化Zn-Fe溶融メッキ鋼板、
GI:メッキ付着量が片面60g/mで板厚0.6mmの両面溶融亜鉛メッキ鋼板。
(処理工程)
各例において、金属板(EG)を、濃度2%のアルカリ脱脂剤「CC−561B」(日本シービーケミカル社製、珪酸3号相当品)水分散液にて、液温65℃で60秒間スプレー脱脂し、ついで液温50℃、スプレー時間20秒間の条件にて湯洗を行った。得られたアルカリ脱脂金属板について、前記各例で得られた表面処理組成物を後記表2に示された組み合わせ及び乾燥皮膜質量に従ってバーコータにて塗布し、金属板の最高到達温度が110℃となるように15秒間加熱乾燥し、各表面処理金属板を得た。
得られた各例の表面処理金属板について、処理皮膜性能を下記試験方法に従って評価した。得られた結果を後記表3に示す。
仕上がり外観:得られた表面処理金属板の外観を以下で評価した。
◎:異常なし
○:長径が0.1〜5mmの斑点が30cm×30cm四方に1〜5点以下発生
△:長径が0.1〜5mmの斑点が30cm×30cm四方に5〜19点発生
×:長径が0.1〜5mmの斑点が30cm×30cm四方に20点以上発生。
耐食性:表面処理金属板の端面部及び裏面部をシールした試験板に、JIS Z2371に規定する塩水噴霧試験を360時間まで行い、処理膜面の錆の程度を下記基準により評価した。
◎:白錆の発生が認められない、
○:白錆の発生が認められるが、発生程度が処理膜面積の5%未満、
△:白錆の発生程度が処理膜面積の5%以上で、かつ20%未満、
×:白錆の発生程度が処理膜面積の20%以上。
耐指紋性:試験板の塗装面の半分にワセリンを塗布して20℃の恒温室に24時間放置した後ガーゼでワセリンを拭き取り、ワセリン拭き取り後の塗面と、ワセリンを塗布していない塗面との色差を測定して下記基準により評価した。尚、色差測定はミノルタ製色差計「CR−100」を用いて行った。
○:色差(△E)が2未満
×:色差(△E)が2以上。
深絞り加工性:表面処理金属板をエリクセン社製の金属薄板深絞り試験器142型を使用し、20℃にて深絞り試験を行なった。加工試験の条件は、シートホルダー圧1500kg、ポンチ径50mm、ブランク径110mm、絞り比:2.2、絞り速度10mm/秒、下記評価基準にて被加工物の表面状態より評価した。
◎:ダイスに付着物がなく、被加工物の表面にすり傷が認められない、
○:ダイスに微量の付着物があり、被加工物の表面に微小のすり傷が認められる、
△:ダイスにやや多くの付着物があり、被加工物の表面に、全面ではないが、多くのすり傷が認められる、
×:ダイスに多量の付着物があり、被加工物の表面全面に著しいすり傷が認められる、又は加工できない。
上塗塗膜密着性:表面処理金属板の表面に、「マジクロン1000ホワイト」(関西ペイント社製、アクリル−メラミン樹脂系塗料、白色)を乾燥膜厚が25μmになるようにして塗装し、150℃で20分間焼付けて試験塗板を得た。その試験塗板を約98℃の沸騰水中に2時間浸漬した後、引き上げて室温に2時間放置し、この試験塗板の塗膜面にナイフにて素地に達する縦横各11本の傷を碁盤目状にいれて1mm角の桝目を100個作成した。この碁盤目部にセロハン粘着テープを密着させて瞬間にテープを剥がした。テープを剥がした際に、試験塗板から剥離した碁盤目塗膜の数により以下の基準で評価した。
◎:上塗塗膜の剥離が認められない、
○:1〜20個の碁盤目塗膜の剥離が認められるが、実用範囲内である、
△:20〜50個の碁盤目塗膜の剥離が認められる、
×:51個以上の碁盤目塗膜の剥離が認められる。
Figure 2014237880

Claims (8)

  1. (A)ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の水性有機樹脂を固形分量で100質量部、並びに
    該水性有機樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に基いて、固形分量で、
    (B)エポキシ基含有シランカップリング剤(a)と、下記式[1]
    (R)4−n−Si−(X) [1]
    (式中、Rは、反応性を有さない置換基で置換されていてもよい炭素原子数1〜18の炭化水素基を表し、Xは、アルコキシル基を表し、nは1〜3の整数を表す。)で示される少なくとも1種のアルコキシシラン化合物及び/又は該アルコキシシラン化合物の縮合物(b)との加水分解縮合物 0.1〜40質量部、及び
    (C)コロイダルシリカ 5.0〜50質量部
    を含有することを特徴とする水系金属表面処理剤。
  2. (B)成分におけるエポキシ基含有シランカップリング剤が、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランから選ばれる少なくとも1種の化合物であり、(B)成分におけるアルコキシシラン化合物がメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ヘキルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、エチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランから選ばれる少なくとも1種のトリアルコキシシランであることを特徴とする請求項1記載の水系金属表面処理剤。
  3. (B)成分におけるエポキシ基含有シランカップリング剤(a)と、アルコキシシラン化合物及び/又は該アルコキシシラン化合物の縮合物(b)との配合割合が、前者/後者のケイ素元素量の比で、3/1〜1/3の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水系金属表面処理剤。
  4. さらに、(D)有機リン酸化合物を、水性有機樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に基いて、固形分量で、0.1〜5.0質量部含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の水系金属表面処理剤。
  5. さらに、(E)防錆金属化合物を、水性有機樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に基いて、固形分量で、0.1〜30質量部含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の水系金属表面処理剤。
  6. さらに、(F)ワックスを、水性有機樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に基いて、固形分量で、0.5〜50質量部含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の水系金属表面処理剤。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の水性金属表面処理組成物を、金属製被塗物上に塗布し、乾燥させることを特徴とする金属表面処理方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の水性金属表面処理組成物による表面処理が金属製被塗物の表面になされてなる表面処理金属板。
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