JP2014231820A - バイナリー駆動装置 - Google Patents
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Description
そして、このような回転機器には回転軸やこの回転軸の回転を受ける軸受などが設けられており、この軸受に対しては適宜潤滑を行うのが好ましい。そのため、従来のバイナリー駆動装置には、一般に回転機器の軸受などに潤滑油を供給して潤滑を行う潤滑機構が設けられている。この潤滑機構では、潤滑が終わった後で潤滑油を再び回収し、回収した潤滑油を回転機器に再び供給するといった循環方式が採用されている。
一方、特許文献2のバイナリー駆動装置は、膨張機の吸込側、言い換えれば蒸発器の出側に油分離器を設け、この油分離器で回収した潤滑油を膨張機の軸受などに供給する潤滑機構を備えている。この油分離器は、膨張機で駆動力を取り出す前の高圧の作動媒体から潤滑油を回収するものであり、前述の「低圧分離器」に対して「高圧分離器」と呼ばれている。
ところが、この溜まっていた潤滑油が回転機器に達するのに必要な時間は、非常に長く
なることが多い。というのも、流路断面積が大きな蒸発器を経由してからでなければ潤滑油は回転機器に到達できないし、起動初期には作動媒体のガス化が十分でなく作動媒体の流速も低いので、機器によっては回転機器の潤滑が開始されるまで非常に長い時間がかかる場合も少なくない。
特に、油分離器の内部に潤滑油を大量に貯留することができない小型の油分離器を用いる場合や、複数の回転機器に潤滑油を供給しなくてはならない場合には、潤滑油の枯渇が顕著に起きやすい。
即ち、本発明のバイナリー駆動装置は、作動媒体を蒸発させ、蒸発した作動媒体を膨張させると共に駆動力を発生させ、膨張した作動媒体を凝縮し、凝縮した作動媒体を再び蒸発させる循環経路上に設けられた回転機器に潤滑油を供給して前記回転機器の潤滑を行う潤滑機構を備えたバイナリー駆動装置であって、前記潤滑機構は、前記作動媒体から潤滑油を分離する油分離器と、前記油分離器で分離された潤滑油を回転機器に送る潤滑油供給配管と、前記油分離器にて潤滑油が分離される前の作動媒体を回転機器に送る作動媒体供給配管とを備えていることを特徴とする。
なお、好ましくは、前記循環経路には、前記作動媒体を蒸発させる蒸発器が設けられており、前記蒸発器の下流側に、前記油分離器が設けられているとよい。
なお、好ましくは、前記油分離器には、当該油分離器内に潤滑油が貯留されていることを検知する検知器が設けられており、前記検知器での検知結果に基づいて、前記切替弁の切替が行われるとよい。
なお、好ましくは、前記回転機器が前記循環経路に沿って作動媒体を循環させる循環ポンプであり、前記潤滑油供給配管は前記循環ポンプの軸受に潤滑油を供給すると共に、前記作動媒体供給配管は前記循環ポンプの軸受に作動媒体を供給するように構成されているとよい。
以下、本発明のバイナリー駆動装置1の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
図1は、第1実施形態のバイナリー駆動装置1の装置レイアウトを模式的に示したものである。
図1に示すように、バイナリー駆動装置1は、作動媒体を蒸発させ、蒸発した作動媒体を膨張させることで駆動力を発生させるものである。また、バイナリー駆動装置1は、このようにして駆動力を発生させた作動媒体が凝縮され、凝縮された液体の作動媒体を再び蒸発に用いる構成となっている。
蒸発器2は、ボイラの排蒸気や温泉などのような熱源から1次側に供給された蒸気や温水などと、2次側に供給された作動媒体との熱交換を行う熱交換器であり、熱源から1次側に供給される熱を利用して液体の作動媒体を気化(蒸発)させるものである。本実施形態の蒸発器2は、排蒸気や温泉(地熱源)から1次側に供給される蒸気や温水の熱を利用して液体の作動媒体を気化させる構成とされている。
に圧送するものであり、発電効率などが良好となるように回転数、電圧、あるいは電流などの運転条件を調整可能とされている。
ところで、本発明のバイナリー駆動装置1は、上述した蒸発器2、膨張機3、凝縮器4、循環ポンプ5の順番に巡回して蒸発器2に戻る循環配管6(循環経路)に沿って作動媒体を循環させる構成となっている。そして、本発明のバイナリー駆動装置1は、この循環経路上に設けられた回転機器に潤滑油を供給して回転機器の潤滑を行う潤滑機構を備えることを特徴としている。
次に、第1実施形態のバイナリー駆動装置1の特徴である油分離器13、潤滑油供給配管14、作動媒体供給配管15について説明する。
第1実施形態の潤滑機構で潤滑を行う回転機器は、循環経路上に設けられたものであり、潤滑油による潤滑を必要とするような回転動作を行っている機器である。具体的には、回転機器としては、上述した膨張機3や循環ポンプ5などが挙げられる。
つまり、膨張機3は、蒸発器2で蒸発した作動媒体をタービンなどで受けて回転駆動されるものであり、タービンの駆動軸やこの駆動軸を受ける軸受などを潤滑するために潤滑油が用いられる。また、循環ポンプ5は、ロータやギヤを回転させることで凝縮器4で凝縮した作動媒体を圧送するものであり、ロータやギヤの駆動軸やこの駆動軸を受ける軸受などを潤滑するために潤滑油が同様に用いられる。つまり、上述した回転機器には膨張機3や循環ポンプ5などがあり、本発明の潤滑機構は、膨張機3の軸受や駆動軸、乃至は循環ポンプ5の軸受や駆動軸に潤滑油を供給する。
油分離器13は、循環配管6を流通する作動媒体から、作動媒体に含まれる潤滑油を取り除くものであり、遠心力を利用して潤滑油を分離するものや、フィルタなどを用いて潤滑油を分離するものなどを用いることができる。循環経路上の油分離器13が配設される位置は、循環配管6における蒸発器2と膨張機3との間であり、膨張機3で動力を取り出す前の高圧の作動媒体から潤滑油を分離する構成となっている。
器と潤滑油供給配管14または作動媒体供給配管15との連通状態を切り替える切替弁が設けられている。
具体的には、この切替弁は、潤滑油供給配管14に配備された第1遮断弁20と、作動媒体供給配管15に配備された第2遮断弁21と、を有している。この第1遮断弁20は、内部タンク16から、潤滑油供給配管14との合流点までの作動媒体供給配管15に配備されている。また、第2遮断弁21は、潤滑油供給配管14の経路中途、言い換えれば、循環配管6から作動媒体供給配管15との合流点までの潤滑油供給配管14に配備されている。つまり、第1遮断弁20を開放すると共に第2遮断弁21を閉鎖することで潤滑油供給配管14を経由した潤滑油の供給が可能となり、第1遮断弁20を閉鎖すると共に第2遮断弁21を開放することで作動媒体供給配管15を経由した作動媒体(潤滑油を含む分離前の作動媒体)の供給が可能となる。
制御部18は、油分離器13の内部タンク16に設けられた液位計17から入力された信号を基に、第1遮断弁20及び第2遮断弁21の開閉を制御しており、潤滑油供給配管14を経由して油分離器13の内部タンク16の潤滑油を膨張機3の軸受に供給するか、作動媒体供給配管15を経由して油分離器13で潤滑油が分離される前の作動媒体を膨張機3の軸受に供給するかを選択できるようになっている。この制御部18には、パソコンやシーケンサなどが用いられている。
例えば、何らかの理由で一時的に停止していたバイナリー駆動装置1を、再始動する場合を考える。
従来のバイナリー駆動装置101で始動を行う場合、図6(従来装置)に示すように、まず循環ポンプ105を起動し、液体の作動媒体を蒸発器102に送る。そうすると、蒸発器102で熱交換が行われ、液体の作動媒体が蒸発する。このとき、例えば蒸発器102の下部や蒸発器102入側の立ち上がり部といった循環配管106の内でも低い場所(図例では蒸発器102内の黒塗りの四角部分)に、液体となった潤滑油が溜まっている。この液体の潤滑油は蒸発器110でミスト状になり、油分離器113に送られ、回収される。この油分離器113で回収された潤滑油が膨張機103の軸受へ供給されてはじめて、膨張機103の軸受の潤滑が可能となる。
そこで、第1実施形態のバイナリー駆動装置1では、油分離器13にて潤滑油が分離される前の作動媒体を回転機器に直接送って、回転機器を潤滑する潤滑機構を採用している。
制御部18では、計測された液位が予め入力された液位の設定値以上であるかどうかを判定する。例えば、循環ポンプ5を始動した直後は、内部タンク16に潤滑油が残っているため、計測された液位が液位の設定値以上との判定結果が得られる。そして、制御部18から第1遮断弁20に向かって弁を「開」にする指令が送られると共に、第2遮断弁21に弁を「閉」にする指令が送られる。
することが可能となる。
やがて、循環ポンプ5を始動して数秒程度で、貯留されていた潤滑油が徐々に膨張機3の軸受に送られ、油分離器13の内部タンク16の液位が減少する。そうすると、計測された液位が液位の設定値を下回るとの判定結果が得られ、制御部18から第1遮断弁20に向かって弁を「閉」にする指令が送られると共に、第2遮断弁21に弁を「開」にする指令が送られる。
そして、分離器の内部タンク16に貯留された潤滑油が空になると、油分離器13にて分離される前の作動媒体に含まれる潤滑油が膨張機3の軸受に供給されるので、作動媒体に含まれる潤滑油を用いて膨張機3の軸受を潤滑することが可能となる。
上述した潤滑機構を用いれば、何らかの理由で停止していたバイナリー駆動装置1の運転を再始動する場合にも、回転機器に対する潤滑を安定して継続することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のバイナリー駆動装置1について図を用いて説明する。
すなわち、第2実施形態の潤滑機構に設けられる潤滑油供給配管14の一端側(入側)は第1実施形態と同様に上述した油分離器13の内部タンク16に接続されている。しかし、潤滑油供給配管14の他端側(出側)は、2つに分岐しており、膨張機3の軸受と循環ポンプ5の軸受との双方に接続されていて、潤滑油や作動媒体を膨張機3の軸受だけでなく循環ポンプ5の軸受にも供給できるようになっている。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態のバイナリー駆動装置1について図を用いて説明する。
具体的には、第3実施形態のバイナリー駆動装置1は、内部タンク16から作動媒体供給配管15との合流点までの間の潤滑油供給配管14に、潤滑油供給配管14を流れる作動媒体の流量を計測する流量計22を備えている。この流量計22は、潤滑油供給配管14を流れる作動媒体の密度に応じて流量が変化する構成となっており、作動媒体が液体であるときの流量に比べて、作動媒体が気体であるときの流量は非常に小さくなっている。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態のバイナリー駆動装置1について図を用いて説明する。
図4に示すように、第4実施形態のバイナリー駆動装置1は、第1実施形態のように循環配管6における蒸発器2と膨張機3との間に油分離器13を配備したものでなく、膨張機3と凝縮器4との間に油分離器13を配備したものとなっている。つまり、第4実施形態のバイナリー駆動装置1は、第1実施形態のように膨張機3で動力を取り出す前の高圧の作動媒体から潤滑油を分離するものではなく、膨張機3で動力を取り出した後の低圧の作動媒体から潤滑油を分離する構成となっている。
また、上述した潤滑油供給配管14のオイルポンプ23には、上述した第1遮断弁20及び第2遮断弁21と同様に、制御部18から制御信号が入力されており、このオイルポンプ23により潤滑油供給配管14を流れる潤滑油の流量を調整できるようになっている。
を送ってオイルポンプ23の吐出圧を変化させることで、膨張機3の軸受の潤滑状態を変更するようにしてもよい。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態のバイナリー駆動装置1について図を用いて説明する。
上述したような第5施形態のバイナリー駆動装置1は、既存設備に設けられるリバースサーキュレーション配管24を有効に利用して、簡単に潤滑油が分離される前の作動媒体を回転機器に供給する潤滑機構を設けることが可能となる。
2 蒸発器
3 膨張機
4 凝縮器
5 循環ポンプ
6 循環配管
7 蒸気配管
8 駆動軸
9 発電機
10 冷却水配管
13 油分離器
14 潤滑油供給配管
15 作動媒体供給配管
16 内部タンク
17 液位計
18 制御部
20 第1遮断弁
21 第2遮断弁
22 流量計
23 オイルポンプ
24 リバースサーキュレーション配管
25 リバースサーキュレーションポンプ
Claims (8)
- 作動媒体を蒸発させ、蒸発した作動媒体を膨張させると共に駆動力を発生させ、膨張した作動媒体を凝縮し、凝縮した作動媒体を再び蒸発させる循環経路上に設けられた回転機器に潤滑油を供給して前記回転機器の潤滑を行う潤滑機構を備えたバイナリー駆動装置であって、
前記潤滑機構は、前記作動媒体から潤滑油を分離する油分離器と、前記油分離器で分離された潤滑油を回転機器に送る潤滑油供給配管と、前記油分離器にて潤滑油が分離される前の作動媒体を回転機器に送る作動媒体供給配管とを備えていることを特徴とするバイナリー駆動装置。 - 前記作動媒体供給配管は、前記油分離器から回転機器に向かう途中の潤滑油供給配管に合流しており、
前記潤滑油供給配管または作動媒体供給配管に、前記回転機器と潤滑油供給配管または作動媒体供給配管との連通状態を切り替える切替弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバイナリー駆動装置。 - 前記循環経路には、前記作動媒体を蒸発させる蒸発器が設けられており、
前記蒸発器の下流側に、前記油分離器が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のバイナリー駆動装置。 - 前記循環経路には、前記作動媒体を膨張させる膨張機が設けられており、
前記膨張機の下流側に、前記油分離器が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のバイナリー駆動装置。 - 前記油分離器には、当該油分離器内に潤滑油が貯留されていることを検知する検知器が設けられており、
前記検知器での検知結果に基づいて、前記切替弁の切替が行われることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のバイナリー駆動装置。 - 前記回転機器が前記膨張機であり、
前記潤滑油供給配管は前記膨張機の軸受に潤滑油を供給すると共に、前記作動媒体供給配管は前記膨張機の軸受に作動媒体を供給するように構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のバイナリー駆動装置。 - 前記回転機器が前記循環経路に沿って作動媒体を循環させる循環ポンプであり、
前記潤滑油供給配管は前記循環ポンプの軸受に潤滑油を供給すると共に、前記作動媒体供給配管は前記循環ポンプの軸受に作動媒体を供給するように構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のバイナリー駆動装置。 - 前記循環ポンプには、当該循環ポンプで圧送される作動媒体の一部を前記循環ポンプの上流側に帰還させるリバースサーキュレーション配管が設けられており、
前記作動媒体供給配管は、前記リバースサーキュレーション配管から分岐していることを特徴とする請求項7に記載のバイナリー駆動装置。
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