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JP2014231185A - 樹脂モールド装置および樹脂モールド方法 - Google Patents

樹脂モールド装置および樹脂モールド方法 Download PDF

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JP2014231185A
JP2014231185A JP2013113222A JP2013113222A JP2014231185A JP 2014231185 A JP2014231185 A JP 2014231185A JP 2013113222 A JP2013113222 A JP 2013113222A JP 2013113222 A JP2013113222 A JP 2013113222A JP 2014231185 A JP2014231185 A JP 2014231185A
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Masahiko Fujisawa
雅彦 藤沢
中沢 英明
Hideaki Nakazawa
英明 中沢
吉和 村松
Yoshikazu Muramatsu
吉和 村松
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Abstract

【課題】成形品の品質性を向上することのできる技術を提供する。
【解決手段】下型32は、キャビティ凹部33の底部を構成する下型キャビティ駒34と、キャビティ凹部33の側部を構成する下型クランパ35と、樹脂Rが搭載されたフィルムFを保持して搬送可能なフィルムローダ57と、下型キャビティ駒34の端面と下型クランパ35の端面とを覆うように配置されたフィルムFを吸着する吸着部67とを備える。下型キャビティ駒34は、下型クランパ35に対して相対的に移動する。フィルムローダ57は、下型キャビティ駒34の端面と下型クランパ35の端面とが水平に保持された下型32に、樹脂Rが下型キャビティ駒34上に位置するようにフィルムFを配置し、吸着部67は、キャビティ凹部33の内面に追従してフィルムFを吸着保持し、キャビティ凹部33に樹脂Rを供給する。
【選択図】図3

Description

本発明は、樹脂モールド装置および樹脂モールド方法に適用して有効な技術に関する。
例えばWLP(Wafer Level Package)等のモールド成形において、下型に大判のワーク(例えば、基板に実装された複数のチップ部品が基板とボンディングワイヤを介して電気的接続がなされたもの。)を配置し、上型にキャビティ凹部(ワークのクランプ時にはキャビティとなる。)を構成するモールド金型を用いて行われる。しかしながら、このようなモールド金型を用いてワーク上に樹脂を供給して圧縮成形を行うときには、ワーク中央に載せられた樹脂が外側に流れるため、エアの巻き込みによるボイドやワイヤスイープなどによる成形品の品質不良の問題が生じやすい。
他方、下型にキャビティ凹部(下型キャビティ)を構成するモールド金型を用いることで、そのキャビティ凹部に樹脂を供給し、そこで溶融した樹脂に上型で保持されたワークのチップ部品やボンディングワイヤを浸漬させて樹脂モールドすることができる。このような下型キャビティでの樹脂モールドは、ボイドやワイヤスイープなどの成形品の品質不良を低減することができる。このような下型キャビティを構成するモールド金型としては、例えば、特開2004−148621号公報(特許文献1)に記載されている。
この特許文献1には、モールド金型の外部でリリースフィルムをキャビティ凹部の形状に合わせて変形させて、キャビティ凹部の底部に対応するプリフォーム部(底部)に樹脂を供給した状態で、リリースフィルムおよび樹脂をモールド金型の内部に搬入して配置する技術が記載されている。
特開2004−148621号公報
特許文献1に記載のようなリリースフィルムには、例えば、一定の柔軟性、伸縮性、耐熱性のフィルムが用いられる。このようなリリースフィルムは、ある程度の温度で加熱されることで、その中央に向かって収縮するように熱収縮したり、不均一なシワとなるように熱収縮したりすることが起こる。また、リリースフィルムは、例えばキャビティ凹部の形状に合わせて変形させた場合、少なからず歪みを蓄えた状態であるといえる。
このため、リリースフィルムが、例えばキャビティ凹部の形状のように変形した状態のまま、予め加熱されているモールド金型に配置される際には、所望の形状にリリースフィルムの形状を維持することができない。例えば、リリースフィルムにシワができたり、シワが重なって隙間ができてしまったりしてしまう場合がある。このようにリリースフィルムにシワができたり、重なりができたりすると、成形品の外観に転写されたり、重なった箇所から樹脂が漏れてしまったりする問題が生じる。
本発明の目的は、成形品の品質性を向上することのできる技術を提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明の一実施形態における樹脂モールド装置は、上型とキャビティ凹部が形成される下型とを型閉じして、前記キャビティ凹部に充填された樹脂でワークを樹脂モールドする樹脂モールド装置であって、前記下型は、前記キャビティ凹部の底部を構成する下型キャビティ駒と、前記キャビティ凹部の側部を構成する下型クランパと、前記樹脂が搭載されたフィルムを保持して搬送可能なローダと、前記下型キャビティ駒の端面および前記下型クランパの端面を覆うように配置(セットともいう。)された前記フィルムを吸着する吸着部と、を備え、前記下型キャビティ駒は、前記下型クランパに対して相対的に移動可能に構成され、前記ローダは、前記下型キャビティ駒の端面と前記下型クランパの端面とが水平(面一、同等な高さともいう。)に保持された前記下型に、前記樹脂が前記下型キャビティ駒上に位置するように前記フィルムを配置し、前記吸着部は、前記キャビティ凹部の内面に追従して前記フィルムを吸着保持し、前記キャビティ凹部に前記樹脂を供給することを特徴とする。
本発明の他の実施形態における樹脂モールド装置は、第一型とキャビティ凹部が形成される第二型とを型閉じして、前記キャビティ凹部に充填された樹脂でワークを樹脂モールドする樹脂モールド装置であって、前記第二型は、前記キャビティ凹部の底部を構成するキャビティ駒と、前記キャビティ凹部の側部を構成するクランパと、当該クランパに対して当該キャビティ駒を相対的に移動させる可動部と、前記キャビティ駒の端面と前記クランパの端面とを覆うように配置されたフィルムを吸着する吸着部と、を備え、前記フィルムをフラットな状態で搬送すると共に、前記キャビティ駒の端面と前記クランパの端面とを同等な高さ(水平、面一ともいう。)に位置させながら前記フィルムをフラットな状態のままで前記キャビティ駒の端面と前記クランパの端面とに配置するローダを備えることを特徴とする。
本発明の一実施形態における樹脂モールド方法は、樹脂モールド装置を用いて、上型とキャビティ凹部が形成される下型とを型閉じして、前記キャビティ凹部に充填された樹脂でワークを樹脂モールドする樹脂モールド方法であって、前記下型は、前記キャビティ凹部の底部を構成する下型キャビティ駒と、前記キャビティ凹部の側部を構成する下型クランパと、前記樹脂が搭載されたフィルムを保持して搬送可能なローダと、前記下型キャビティ駒の端面と前記下型クランパの端面とを覆うように配置された前記フィルムを吸着する吸着部と、を備え、(a)前記下型キャビティ駒の端面と前記下型クランパの端面とが水平に保持された前記下型に、前記ローダによって前記樹脂が前記下型キャビティ駒上に位置するように前記フィルムを配置する工程と、(b)前記吸着部によって前記フィルムを吸引しながら、前記下型クランパに対して前記下型キャビティ駒を相対的に移動して前記キャビティ凹部を形成することで、前記キャビティ凹部の内面に追従させながら前記フィルムを吸着保持すると共に、前記樹脂をそのまま前記キャビティ凹部に供給する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、フラットな状態でフィルムを配置してからキャビティ凹部の形状に追従してフィルムを変形することができ、例えば、フィルムのシワ発生を防止したり、フィルムの重なりを防止したりすることができる。したがって、成形品の外観不良が形成されるのを防止したり、重なった箇所からの樹脂漏れを防止したりして、成形品の品質性を向上することができる。また、下型にキャビティ凹部を構成することで、キャビティ凹部で溶融した樹脂に、例えば、チップ部品(例えば、半導体チップ、チップコンデンサ)やボンディングワイヤを浸漬させることで、ボイドやワイヤスイープなどによる成形品の品質不良を低減することができる。
また、本発明の一実施形態における樹脂モールド装置において、前記ローダは、前記フィルムを保持する保持面と、前記フィルムに搭載された前記樹脂の逃がしとなる、前記保持面から凹んだ凹部と、前記凹部の周囲の前記保持面に通じ、前記フィルムを吸引するエア路とを有するハンド部を備えることが好ましい。
これによれば、フィルムに搭載された樹脂の状態(形状、量)を保持して、キャビティ凹部に樹脂を供給することができる。また、フィルム上に搭載されている凹部内の樹脂の重みによってフィルムが撓まないように吸着保持することができる。
また、本発明の一実施形態における樹脂モールド装置において、前記ローダは、前記保持面を開閉可能なロール状のシャッタ部を備え、前記シャッタ部の閉状態で前記フィルムを前記シャッタ部で支持して搬送し、前記シャッタ部の開状態で前記下型に前記フィルムを配置することが好ましい。
これによれば、フィルム上に搭載されている凹部内の樹脂の重みによってフィルムが撓まないように、シャッタ部でフィルムをフラットに保持することができる。また、フィルムの下型への配置時にはシャッタ部を巻き取って省スペース化を図ることができる。
また、本発明の一実施形態における樹脂モールド装置において、前記ローダは、加熱部および冷却部を備えることが好ましい。
これによれば、フィルムやこれに搭載される樹脂の加熱を補助したり、冷却したりすることが容易となる。
また、本発明の一実施形態における樹脂モールド装置において、前記下型キャビティ駒の上部が分離可能に設けられ、前記下型クランパの上部が分離可能に設けられ、前記下型キャビティ駒の上部と前記下型クランパの上部とが接続部材によって接続され、前記ローダは、前記下型キャビティ駒の上部の端面と前記下型クランパの上部の端面とが水平な状態で、前記下型キャビティ駒の上部の端面および前記下型クランパの上部の端面を覆うように配置された前記フィルムを搬送することが好ましい。
これによれば、フィルムおよびこれに搭載された樹脂を安定した状態でモールド金型に配置することができる。
また、本発明の一実施形態における樹脂モールド装置において、リング状の上部および下部プレートを備え、前記下部プレートは、周縁部端で前記上部プレート側の面から窪んで周方向に延びる段付き部が形成され、前記上部プレートと前記下部プレートの間に前記フィルムを挟んで、前記下部プレートの段付き部に前記上部プレートの内径部を対応させて前記上部プレートがはめ合わさってフィルムプレート部が構成され、前記下型クランパには周縁部端で端面から窪んで周方向に延びる段付き部が形成され、前記下型クランパの段付き部に前記下部プレートの内径部を対応させて前記フィルムプレート部がはめ合わさることが好ましい。
これによれば、簡単な構成でフィルムをフラットに保持することができ、そのままの状態で下型に配置することができる。
また、本発明の一実施形態における樹脂モールド装置において、前記下型キャビティ駒の上部が分離可能に設けられ、型開きした状態で、前記下型キャビティ駒の上部の端面と前記下型クランパの端面とが水平となるように、前記下型キャビティ駒の上部がフローティング支持されていることが好ましい。
これによれば、例えば、搬送部によって下型クランパを押し下げて下型キャビティ駒の端面と下型クランパの端面とを水平にする必要がなくなり、搬送部の動作・構成を簡素化することができる。また、下型にフィルムが配置された際には、下型キャビティ駒の上部がフローティングした状態であるため、フィルムの熱収縮を防止することができ、フィルムに搭載される樹脂の過熱を防止したり、加熱調整を行ったりすることが容易となる。
また、本発明の一実施形態における樹脂モールド装置において、前記下型クランパには、前記下型クランパの端面から突出可能にフローティング支持された複数のピンを備え、前記複数のピンは、前記下型クランパの端面から突出して前記ワークを支持し、前記ワークをクランプした状態では前記下型クランパの内部に収容されることが好ましい。
これによれば、クランプ前に上型で保持されているワークが落下するのを防止することができる。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、成形品の品質性を向上することができる。
本発明の一実施形態における樹脂モールド装置を平面レイアウトで示す全体構成図である。 顆粒タイプの樹脂を供給する樹脂供給部の動作を説明するための図である。 本発明の第1実施形態における樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図3に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図4に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図5に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図6に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図7に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図8に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 本発明の第2実施形態における樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図10に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図11に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図12に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図13に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 本発明の第3実施形態における樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図15に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図16に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図17に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図18に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 本発明の第4実施形態における樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図20に示すフィルムプレート部の分解断面図である。 図20に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図22に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図23に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 本発明の第5実施形態における樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図25に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 本発明の第6実施形態における樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 本発明のその他の構成例における樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図28に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 本発明のその他の構成例における樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図30に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。 図31に続く樹脂モールド工程中のプレス部の模式的断面図である。
以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらはお互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、同様の構成から得られる同様の効果についてはその繰り返しの説明は省略する場合がある。
また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
(第1実施形態)
まず、本実施形態における樹脂モールド装置100について図1を参照して説明する。図1は、樹脂モールド装置100を平面レイアウトで示す全体構成図である。この樹脂モールド装置100は、樹脂モールドを行う構成であることはもちろん、樹脂モールド後のワーク(成形品)を検査してから、良品を加熱硬化(ポストキュア)させて収納する構成も含むものとなっている。
樹脂モールド装置100は、種々の処理工程を行う処理部として、ワーク供給部110、樹脂供給部120、プレス部130、ワーク検査部・冷却部140、キュア部150(キュア炉)、ワーク収納部160を備えている。また、樹脂モールド装置100は、各処理工程を制御する制御部170を備えている。各処理部としては、少なくとも単数で構成されていればよく、本実施形態では、樹脂供給部120、プレス部130がそれぞれ2機(複数)で構成されている場合を示す。このように、他の処理部より処理時間の掛かるものを複数で構成することで、樹脂モールド装置100全体の稼働率を向上することができる。
また、樹脂モールド装置100は、処理部間にワークや樹脂を搬送する搬送ロボットを備えたロボット機構部180を備えている。搬送ロボットは、例えば、各処理部間を回転および直線移動可能で、多関節の先にハンドを有するロボットである。樹脂モールド装置100では、ロボット機構部180(搬送ロボット)を囲んで各処理部を配置している。このため、各処理部間でのワークや樹脂の移動距離(図1では破線でワークや樹脂の移動を示す。)が短縮され、効率のよいワーク搬送をすることができる。なお、ロボット機構部180に替えて、エアシリンダやリニアモータのような直動機構によって構成された搬送ロボット以外の搬送機構によって処理部間にワークや樹脂を搬送してもよい。
ワーク供給部110(図1参照)は、樹脂モールドが行われるプレス部130へワークを供給するための処理部である。ワーク供給部110は、成形前のワーク(被成形品)を複数収納することができるマガジン(図示せず)を備えている。このマガジンから供給されたワークは、ロボット機構部180の搬送ロボットによってロボット機構部180が備えるワーク載置部(図示せず)に一時的に載置され、プレス部130が備えるローダ190(搬送部)によってプレス部130へ搬送される。
樹脂供給部120(図1参照)は、樹脂モールドが行われるプレス部130へ樹脂を供給するための処理部である。ここで、樹脂供給部120について図2を参照して説明する。図2は、顆粒タイプの樹脂R(以下、顆粒樹脂という。)を供給する樹脂供給部120の動作を説明するための図である。
図2に示すように、樹脂供給部120は、顆粒樹脂Rを貯留することができる樹脂貯留部121、複数の小型の樹脂貯留部122と、樹脂供給領域(供給対象)へ顆粒樹脂Rを供給する複数のトラフ123とを備えている。対をなす樹脂貯留部122とトラフ123とは連通されており、XY駆動機構(図示しない)によって移動可能に設けられている。樹脂貯留部121は、固定して設けられて顆粒樹脂Rを大量に貯留することができ、これよりも小型の樹脂貯留部122へ小分けして顆粒樹脂Rを供給する。そして、電磁フィーダ(図示しない)によって樹脂貯留部122からトラフ123へ顆粒樹脂Rが送り出されて、樹脂供給領域に所定の形状(例えば、平坦状)に投下される。
樹脂貯留部122およびトラフ123の対は、少なくとも一対設けられていればよいが、複数対(図2では、三対)設けることで樹脂供給領域への顆粒樹脂Rの投下時間を短縮することができる。三対の樹脂貯留部122およびトラフ123は、連結部材124によって連結されている。この連結により、各対に電磁フィーダを設けなくとも一つの電磁フィーダで同時に同程度の量の樹脂を所望の形状となるように樹脂供給領域に供給することができる。このように、複数の樹脂供給用構造を設けることで、正確な分量の樹脂を素早く供給することができる。同様に、液状樹脂を供給するディスペンサを複数備えてもよい。この場合にも、正確な分量の液状樹脂を素早く供給することができる。
樹脂供給部120での供給対象は、リリースフィルムFである。リリースフィルムFには、例えば、FEPフィルム、PETフィルム、フッ素含浸ガラスクロス、ポリ塩化ビニリデン、PTFE、ETFEなどの一定の柔軟性、伸縮性、耐熱性のフィルムが用いられる。そして、樹脂供給対象となるリリースフィルムFは、ロール状の状態から支持台125上において一方の把持部材126により引き出され、所定幅となる位置において把持部材126、126で把持された状態で、一回の成形分のフィルム幅に切断部材127(例えば、カッタ)で切断されて、所定の形状(例えば、短冊状)の状態となる。
リリースフィルムF(樹脂供給領域)への樹脂供給は、まず、各トラフ123が一列目の供給領域の延在方向(X方向)に移動しながら顆粒樹脂Rを供給していき、一列分の矩形状供給領域に樹脂供給が終了した後、二列目方向(Y方向)に向けて移動する。次いで、各トラフ123が二列目の供給領域の延在方向(X方向)に移動しながら顆粒樹脂Rを供給していき、一列分の樹脂供給が終了した後、三列目方向(Y方向)に移動する。次いで、各トラフ123が三列目の供給領域の延在方向(X方向)に移動しながら顆粒樹脂Rを供給していき、一列分の樹脂供給が終了して、樹脂供給領域全体への樹脂供給が終了する。
このような樹脂供給部120によれば、リリースフィルムF上に、所定の領域(面積)、所定の厚み(高さ)で顆粒樹脂Rを所定の時間で供給(搭載)することができる。そして、リリースフィルムF上に供給された顆粒樹脂Rは、リリースフィルムFとともに、ロボット機構部180によってローダ190へ搬送された後、ローダ190によりプレス部130の内部へ搬入される。このため、リリースフィルムFは、樹脂Rを搬送するキャリアフィルムでもある。
プレス部130(図1参照)は、ワークへ樹脂モールドを行い、モールド樹脂部(成形部)を成形するための処理部である。この処理工程については、後に詳細に説明する。成形後のワークは、ローダ190によってロボット機構部180が備えるワーク載置部(図示せず)に一時的に載置され、ロボット機構部180の搬送ロボットに渡される。
ワーク検査部・冷却部140(図1参照)は、成形後のワーク(成形品)の状態を検査するための処理部であり、また、加熱されているワークを冷却するための処理部である。冷却部は、ワーク検査部とは別個に設けることもできるが、ワーク検査部の空き領域に配置することで、構成をコンパクトにすることができる。
ワーク検査部の検査項目としては、例えば、ワークの厚み計測、ワークの外観検査などがある。これらの検査結果は、制御部170へ送信されて処理される。例えば、成形品を一括あるいは分割して撮像して外観観察によって未充填などの成形不良がないか否かが検査される。成形の良否と不良がある場合には不良の種類や撮像画像を稼働情報として制御部170の記憶部に記憶する。異常(想定を上回る未充填など)が検出されたときには装置全体の動作を止めてメンテナンスすることで、不良品が連続生産されるのを防止することができる。検査が終了すると、ワーク検査部・冷却部140のワーク受け渡し位置から搬送ロボットによってワークがキュア部150へ搬送される。
キュア部150(図1参照)は、ワークのモールド樹脂部を加熱硬化(ポストキュア)するための処理部である。キュア部150は、外部に対して開閉扉(図示せず)によって閉塞され、内部が所定温度に加熱されている。搬送ロボットに保持されているワークがキュア炉150に近づくと開閉扉が開放され、ワークが内部に配置されて搬送ロボットが退避すると開閉扉が閉塞し、所定時間加熱硬化される。その後、キュア部150から搬送ロボットによって搬出されたワークは、ワーク検査部・冷却部140で冷却された後、ワーク収納部160へ搬送される。
ワーク収納部160(図1参照)は、樹脂モールド装置100の最終工程としてワークを収納するための処理部である。ワーク収納部160は、ワーク供給部110と同様のマガジンを備えており、このマガジンにロボット機構部180の搬送ロボットによってワーク(成形品)が収納されていく。
次に、本実施形態における樹脂モールド装置100のプレス部130について図3を参照して説明する。図3は、本実施形態におけるプレス部130の模式的断面図である。この図3では、被成形品の状態のワークWも示している。ワークWは、基板10(例えば、配線基板)上にチップ部品11(例えば、半導体チップ)がダイボンドにより実装され、ボンディングワイヤ(図示せず)によって基板10とチップ部品11とが電気的に接続されている。
プレス部130は、モールド金型30(対をなす上型31および下型32)を備えている。本実施形態では、下型32を可動型とし上型31を固定型として説明するが、上型31を可動型、下型32を固定型としたり、上型31および下型32を可動型としたりする場合でもよい。
モールド金型30では、上型31にワークWが保持され、下型32にキャビティ凹部33(ワーククランプ時にキャビティCを構成する。)が設けられている。モールド金型30は、キャビティ凹部33の底部を構成する下型キャビティ駒34とこれを囲ってキャビティ凹部33の側部(壁部)を構成する下型クランパ35とを備えている。モールド金型30では、下型クランパ35に対して下型キャビティ駒34が相対的に移動することでキャビティ凹部33の深さ(高さ)が変化してキャビティCの容積が変化する。
上型31の構成について具体的に説明する。上型31は、上型ベース36と、上型インサート37と、上型クランパ40とを備えている。上型ベース36の下面に、図示しないヒータを備えてワークWを加熱可能に構成された上型インサート37が固定して組み付けられ、また、上型クランパ40が上下方向に移動可能に組み付けられている。上型クランパ40は、一枚の板状金型から構成され、これに貫通孔41が形成されている。この上型クランパ40の貫通孔41に、上型インサート37が挿入して配置されている。すなわち、上型インサート37は、上型クランパ40に囲まれている。
上型クランパ40は、上型ベース36に可動部を構成する弾性部材42(例えば、スプリング)を介して上下方向に移動可能に組み付けられ、吊下げ支持(フローティング支持)されている。このため、上型ベース36に対して、固定の上型インサート37と、可動する上型クランパ40との関係は、上型インサート37が弾性部材42の伸縮によって上型クランパ40に対して相対的に移動することとなる。
型開きしている場合のような弾性部材42が付勢されていない状態(外部からの影響を受けていない状態)では、上型インサート37の下面(下側の端面)は、上型クランパ40の下面(下側の端面)よりも高い位置(上方の位置)にある。換言すると、上型クランパ40の下面は、上型インサート37の下面(下側の端面)よりも低い位置(下方の位置)にある。後述するが、このような高低差をつけて、型閉じするときに上型クランパ40と下型クランパ35とで密閉空間(チャンバー)を構成することで、減圧しながら樹脂モールドすることができる。また、上型クランパ40に対して上型インサート37を相対的に移動可能に設けることで、ワークWの板厚に拘わらず均一な高さ位置でワークWをクランプすることができる。
また、上型31は、上型インサート37の外周面と上型クランパ40の貫通孔41の内周面との間に設けられたシール部材43(例えば、Oリング)を備えている。このシール部材43は、ワーククランプ時に形成されるキャビティC内を減圧にするために、上型インサート37の外周面と上型クランパ40の貫通孔41の内周面との間の隙間がエア路41Aとなるようにシールしている(図7参照)。
エア路41Aと連通するように、上型クランパ40には、貫通孔41の内周面から金型外部へ通じるエア路44が形成されている。このエア路44は、金型外部の減圧部45(例えば、ポンプ)と連通されている。後述するが、隙間のエア路41Aおよびエア路44を介して減圧部45によって、キャビティCが減圧される。
なお、上型31には、ワークWを保持するワーク保持部が設けられている(図27参照)。このワーク保持部は、上型インサート37の端面に連通するエア路90を設け、このエア路90に通じる減圧部91によって、上型インサート37の下面にワークWの基板10の裏面を合わさるように吸着させ、ワークWを保持する。あるいは、ワーク保持部は、上型インサート37の端面に設けられた爪部や、静電チャックによってワークWを保持する場合であってもよい。
下型32の構成について具体的に説明する。可動型である下型32は、駆動源(電動モータ)により駆動する駆動伝達機構(トグルリンク等のリンク機構若しくはねじ軸等)を介して下型可動プラテンを昇降させる公知の型クランプ機構によって型開閉が行われるようになっている。この場合、下型32の昇降動作は移動速度や加圧力等を任意に設定することができる。
下型32は、下型ベース46と、下型キャビティ駒34と、下型クランパ35とを備えている。下型ベース46の上面に、下型キャビティ駒34が固定して組み付けられ、また、下型クランパ35が上下方向に移動可能に組み付けられている。下型クランパ35は、一枚の板状金型から構成され、これに貫通孔47が形成されている。この下型クランパ35の貫通孔47に、下型キャビティ駒34が挿入して配置されている。すなわち、下型キャビティ駒34は、下型クランパ35に囲まれている。また、下型キャビティ駒34は、図示しないヒータを備えることで後述するように樹脂Rを加熱可能に構成されている。
下型クランパ35は、下型ベース46に可動部を構成する弾性部材50(例えば、スプリング)を介して上下方向に移動可能に組み付けられ、フローティング支持されている。このため、下型ベース46に対して固定の下型キャビティ駒34と、可動する下型クランパ35との関係は、下型キャビティ駒34が弾性部材50の伸縮によって下型クランパ35に対して相対的に移動することとなる。
型開きしている場合のような弾性部材50が付勢されていない状態(外部からの影響を受けていない状態)では、下型キャビティ駒34の上面(上側の端面)は、下型クランパ35の上面(上側の端面)よりも低い位置(下方の位置)にある。後述するが、このような高低差をつけて、下型クランパ35に対して下型キャビティ駒34を相対的に移動可能に設けることで、キャビティ凹部33の深さ(キャビティCの容積)を変化させることができる。
また、下型32は、下型キャビティ駒34の外周面と下型クランパ35の貫通孔47の内周面との間に設けられたシール部材51(例えば、Oリング)を備えている。このシール部材51は、下型32のパーティング面に配置されるリリースフィルムFを吸引するために、下型キャビティ駒34の外周面と下型クランパ35の貫通孔47の内周面との間の隙間がエア路47Aとなるようにシールしている(図5参照)。下型キャビティ駒34の上面と、下型クランパ35の貫通孔47の内周面とがキャビティ凹部33を構成するので、エア路47Aは、キャビティ凹部33の底部と側部との角部に連通することとなる。
このエア路47Aと連通するように、下型クランパ35には、貫通孔47の内周面から金型外部へ通じるエア路52が形成されている。このエア路52は、金型外部の吸着部53(例えば、ポンプ)と連通されている。後述するが、隙間のエア路47Aおよびエア路52を介して吸着部53によって、リリースフィルムFの中央部がキャビティ凹部33の形状に追従して吸着保持される。
また、下型クランパ35には、下型クランパ35の上面から金型外部へ通じるエア路54が形成されている。このエア路54は、金型外部の吸着部55(例えば、ポンプ)と連通されている。後述するが、エア路54を介して吸着部55によって、リリースフィルムFの外周部が下型クランパ35のクランプ面に吸着保持される。
また、各プレス部130に隣接して、ワークWを上型31へ搬送可能なワークローダ56と、樹脂RおよびリリースフィルムFを下型32へ搬送可能なフィルムローダ57とを有するローダ190(図1参照)を備えられている。ローダ190では、ワークローダ56およびフィルムローダ57は、ロボット機構部180からプレス部130内部へワークWやリリースフィルムFを受渡し可能に構成され、図示しない駆動機構によってそれぞれ別系統で駆動されてプレス部130へワークWやリリースフィルムFの搬出入が可能となっている。なお、フィルムローダ57は、樹脂RおよびリリースフィルムFをローダ190内でロボット機構部180から受け取る構成としてもよいし、ロボット機構部180により樹脂供給部120に搬送されて樹脂RおよびリリースフィルムFを供給されてもよい。
ワークローダ56は、支持板60と、支持部61と、位置決め部62とを備えている。支持板60は、その平面領域の大きさが、例えば上型クランパ40の貫通孔41の平面領域よりも大きく構成されている。この支持板60の上面に、所定の高さで平面視リング状の支持部61が設けられている。また、支持板60の上面であって支持部61よりも外側に、所定の高さで複数の位置決め部62(例えば、ピン)が設けられている。
支持部61は、その平面領域がワークWの基板10の外縁内側に沿って設けられて、基板10の平面領域とできるだけ同程度となるように設けられている。また、支持部61は、その高さがワークWの基板10に搭載された部材の高さ(例えばチップ部品11の厚みやボンディングワイヤの高さ)よりも高くなるように設けられている。これにより、ワークWは、チップ部品11およびボンディングワイヤ(図示せず)に対して支持板60が接触(干渉)しないように、基板10の表面外周部で支持部61によって支持される。
位置決め部62は、上型クランパ40の貫通孔41の内周面に接触することで、ワークローダ56を上型インサート37に対して位置決め可能に構成され、一例としてその平面配置が上型クランパ40の平面視矩形状の貫通孔41の角部それぞれに設けられている。また、位置決め部62は、その高さがワークWを上型インサート37に渡される前に貫通孔41の内周面と接するように設けられている。これにより、ワークWは、上型インサート37の下面の所定領域に配置されるように、位置決め部62によって位置決めされる。
このような構成のワークローダ56によって、ワークWの基板10の裏面を上型インサート37の下面に接触させて、ワークWが上型31へ引き渡される。このとき、支持部61によって基板10が上型インサート37の下面に押し付けられ、この基板10(ワークW)が上型31の保持部によって保持されることとなる。
フィルムローダ57は、樹脂Rが搭載されたリリースフィルムFを吸着して保持するハンド部63を備えている。ハンド部63は、リリースフィルムFを保持する保持面64(吸着面)と、保持面64に通じるエア路65と、保持面64から凹んだ凹部66とを有する。
保持面64は、その大きさ(ハンド部63の平面領域の大きさ)が、例えば短冊状のリリースフィルムFの平面領域の外周に沿って吸着可能な大きさとなっている。凹部66は、保持面64の領域内で、例えばn行m列(n、mの少なくともいずれかが2以上)のマトリクス配置されるようにハンド部63に複数形成されている。エア路65は、凹部66と干渉せずに保持面64(例えば、保持面64の外周部や、凹部66間の保持面64)からハンド部63の外部へ通じるようにハンド部63に形成されている。保持面64へ通じるエア路65は、凹部66の周囲(各凹部66間)に設けられている。また、エア路65は、ハンド部63の外部の吸着部67(例えば、ポンプ)と連通されている。これによって、樹脂Rが搭載されたリリースフィルムFを、樹脂Rを囲んで吸着することで必要に応じて外周において引っ張りを加えながら保持することができ、樹脂Rの重みによってリリースフィルムFが撓まないようにフラットに吸着保持することができる。なお、ここでいう、リリースフィルムFがフラットな状態とは、リリースフィルムFが折り曲げられたり歪められたりしておらず樹脂Rの搬送やモールド金型30へのセットに問題のない程度に平らな状態をいい、必ずしも完全な平面となっている必要はない。
このような構成のフィルムローダ57によって、凹部66でリリースフィルムFに搭載された樹脂Rに対しては逃がしを確保しながら、凹部66の周囲のエア路65からリリースフィルムFを吸引している。これにより、保持面64にリリースフィルムFがフラットに保持された状態(変形のない状態)で、樹脂RおよびリリースフィルムFが下型32へ渡される。また、凹部66によって樹脂Rに対する逃がしを確保することができるので、リリースフィルムFに搭載された樹脂Rの状態(形状、量)を保持することができる。なお、本実施形態では、リリースフィルムFの全面ではなく、複数のエリア(複数の凹部66に対応している。)に分かれて樹脂Rが搭載される。なお、リリースフィルムFの強度や樹脂Rの重量によってはリリースフィルムFの外周のみで吸引して保持することもできる。
次に、本実施形態における樹脂モールド装置100を用いた樹脂モールド方法(樹脂モールド装置100の動作方法)について図3〜図9を参照して説明する。図3〜図9は、本実施形態における樹脂モールド工程中のプレス部130の模式的断面図である。
本実施形態における樹脂モールド装置100は、下型32のパーティング面に配置されるリリースフィルムFを備えている。リリースフィルムFを用いることで、下型キャビティ駒34と下型クランパ35との隙間からの樹脂漏れを防止することができる。また、下型キャビティ駒34と下型クランパ35との間の樹脂詰まりを防止して下型クランパ35に対する下型キャビティ駒34の相対的移動を確保することができる。なお、リリースフィルムFの強度や樹脂Rの重量によってはリリースフィルムFの外周のみで吸引して保持することもできる。
図3に示すように、モールド金型30が型開きした状態において、金型外部から、ワークローダ56によってワークWを搬入する。
また、モールド金型30が型開きした状態において、フィルムローダ57によって樹脂RおよびリリースフィルムFを搬入する。これに先立ち、ロール状のリリースフィルムF上に樹脂Rが搭載(供給)され、所定の形状(例えば、短冊状)にリリースフィルムFが切断されている(図2参照)。このリリースフィルムFは、吸着部67によって吸引して保持面64に吸着されてフラットな状態で搬入される。なお、吸着部67などの吸引動作は、矢印で示されている(図3等参照)。
続いて、図4に示すように、ワークローダ56を上昇させ、上型31にワークWを引き渡す。具体的には、ワークローダ56の上昇によって、位置決め部62を上型クランパ40の貫通孔41の内周面に当接させた後、基板10の裏面を上型インサート37の下面に当接させる。次いで、ワーク保持部(図示せず)によって、上型インサート37の下面に基板10(ワークW)が保持される。このようにして、ワークローダ56から上型31へワークWが引き渡される。
また、図4に示すように、フィルムローダ57を下降させ、下型32に樹脂Rが搭載されたリリースフィルムFを引き渡して樹脂Rの溶融を開始させる。具体的には、まず、フィルムローダ57の下降によって、リリースフィルムFを介して保持面64を下型クランパ35の上面に当接させた後、弾性部材50を押し縮める(可動部を可動させる)。すなわち、フィルムローダ57の下降によって、下型クランパ35を押し下げる。次いで、下型キャビティ駒34の上面(上側の端面)と下型クランパ35の上面(上側の端面)とが水平の状態となるまで、フィルムローダ57を下降させる。なお、ここで、フィルムローダ57を下降させる動作に替えて、下型32を上昇させる動作により下型32にリリースフィルムFを引き渡してもよい。
このとき、リリースフィルムF上の樹脂Rは下型キャビティ駒34内により加熱されることで溶融が開始する。また、フィルムローダ57は、保持面64でフラットなリリースフィルムFを保持している。すなわち、下型キャビティ駒34の上面(上側の端面)と下型クランパ35の上面(上側の端面)とが水平に保持された下型32に、フィルムローダ57によって樹脂Rが下型キャビティ駒34上に位置するようにフラットなリリースフィルムFを配置する。なお、リリースフィルムFは、下型32に配置(供給)されたときにフラットであればよい。この場合、図4に示すように、フィルムローダ57の保持面64がリリースフィルムFを介してキャビティ凹部33に押し付けられるような形状または大きさとした場合には、フィルムローダ57がキャビティ駒34の端面に当接するまで押し下げる動作を行うだけで、水平状態の下型32にリリースフィルムFを供給することができ、シワなど発生させずに簡単に供給することができる。
次いで、下型キャビティ駒34の上面と下型クランパ35の上面とが水平な状態で、下型キャビティ駒34の上面および下型クランパ35の上面を覆うように配置されたフラットな状態のリリースフィルムFを、吸着部53、55によって吸着、保持する。これによって、フィルムローダ57から下型32へ樹脂RおよびリリースフィルムFが引き渡される。なお、吸着部53、55は、別系統であってもよいし、同一系統であってもよい。
続いて、後述するようにワークWを保持した後、図5に示すように、ワークローダ56を下降させる。これにより、ワークローダ56がワークWから離隔する。そして、ワークWは、上型31のみで保持される。
また、図5に示すように、吸着部53、55によってフラットなリリースフィルムFをエア路47A、52、54から吸引しながら、フィルムローダ57を上昇させて、弾性部材50を伸長させる(可動部を可動させる)。そして、この弾性部材50によって下型クランパ35に対して下型キャビティ駒34を相対的に移動してキャビティ凹部33を形成する。このとき、吸着部55によってリリースフィルムFの外周部が吸着され、吸着部53によってリリースフィルムFのキャビティ凹部33の角部に対応する箇所が吸着されているので、キャビティ凹部33の内面に追従させながらリリースフィルムFが変形する。これにより、リリースフィルムFがキャビティ凹部33の内面に追従して吸着保持される。
また、キャビティ凹部33の内面に追従させながらリリースフィルムFを吸着保持すると共に、樹脂Rをそのままキャビティ凹部33に供給する。フィルムローダ57によって樹脂RがリリースフィルムFを介して下型キャビティ駒34上に配置されているので、下型クランパ35に対して下型キャビティ駒34が相対的に移動してキャビティ凹部33が形成されても、樹脂Rはそのままの状態を保持してキャビティ凹部33に供給される。したがって、樹脂Rの形状が崩れず、また位置が変わらずにキャビティ凹部33の底部に樹脂Rを供給することができる。このようにキャビティ凹部33に所望の状態で樹脂Rを供給することは、ボイドやワイヤスイープなどによる成形品の品質不良を低減することに作用する。
続いて、図6に示すように、ワークローダ56およびフィルムローダ57をモールド金型30内部から退避させる。
続いて、図7に示すように、可動型である下型32を上昇させて、モールド金型30を型閉じ(型締め)する。具体的には、下型クランパ35と上型クランパ40とでリリースフィルムFをクランプする位置まで下型32を上昇させる。これにより、キャビティ凹部33を含むモールド金型30内部が気密される。このとき、減圧部45を駆動しておくことで、エア路41Aおよびエア路44を介してキャビティ凹部33を含むモールド金型30内部が減圧(脱気)される。モールド金型30内部を減圧することにより、その後の樹脂モールドにおいて溶融した樹脂Rに混入するエアが除去され、成形品にボイドの発生を防ぐことができる。
続いて、図8に示すように、可動型である下型32を更に上昇させて、基板10の外周部にリリースフィルムFを介して下型クランパ35の上面を当接させる。このとき、弾性部材42が弾性部材50より弱いので、下型32(下型クランパ35)の上昇によって、上型クランパ40を介して弾性部材42が押し縮められる。これにより、上型インサート37(上型31)と下型クランパ35(下型32)とでワークWがクランプされ、基板10の表面と上型クランパ40の下面とは水平な状態となる。このように、上型クランパ40に対して上型インサート37を相対的に移動させることで、ワークWの板厚に拘わらず均一な高さ位置でワークWをクランプすることができる。
続いて、図9に示すように、可動型である下型32を更に上昇させて、チップ部品11を金型温度で溶融した樹脂Rに浸漬させた後、キャビティC(キャビティ凹部33)に充填された溶融樹脂Rを加熱硬化して、ワークWに樹脂モールドを行う。このとき、下型クランパ35が基板10を介して上型31に当接して移動が妨げられているので、下型32(下型ベース46)の上昇によって、弾性部材50が押し縮められる。下型32の上昇停止位置(換言すれば、この弾性部材50の縮み量)を調整することで所望の成形厚み(成形位置)において樹脂モールドが行われる。これにより、成形品が略完成する。
その後、ワーク保持部によってワークW(成形品)が上型31で保持され、また、吸着部53、55によってリリースフィルムFが下型32で保持された状態で型開きする。このとき、リリースフィルムFを用いていることで、ワークWを容易に離型させることができる。そして、前述したように、検査部・冷却部140、キュア部150を経てワーク収納部160にワークWを収納する。
本実施形態における樹脂モールド装置100を用いることで、フラットな状態でリリースフィルムFを配置してからキャビティ凹部33の形状に追従してリリースフィルムFを変形することができる。例えば、リリースフィルムFがシワとなったり重なったりした状態でモールド金型30に供給されることはない。したがって、リリースフィルムFのシワ等による成形品の外観への転写を防止したり、重なった箇所からの樹脂漏れを防止したりして、成形品の品質性を向上することができる。また、下型32にキャビティ凹部33を構成することで、キャビティ凹部33の全面に供給され溶融した樹脂Rに、例えば、チップ部品11やボンディングワイヤ(図示せず)を浸漬させることで、樹脂Rの流動を最小限とすることでボイドやワイヤスイープなどの成形品の品質不良を低減することができる。
(第2実施形態)
前記第1実施形態に対して、本実施形態では、ワークローダ56がワークWを治具(上型インサート37の下部)とともに上型31に配置(セット)し、フィルムローダ57が加熱部、冷却部、シャッタ部を備える点が相違する。以下では、この相違点を中心に図10〜図14を参照して説明する。図10〜図14は、本実施形態におけるプレス部130の模式的断面図である。
ワークW(基板10)が大判になるに従い、ワークWには撓み(反り)が大きく発生するため、前記第1実施形態のように、単に、基板10の表面外周部でワークローダ56(支持部61)によってワークWを保持した場合には、基板10が自重で撓んで型内での保持が困難となったり、搬送中に落下したりするなどの問題が生じてしまう。そこで、本実施形態では、大判の基板10の裏面にプレート状の治具37A(部材)を当てて撓みの発生を防止し、治具37AとともにワークWをワークローダ56によって搬送する。この治具37Aは、例えば、上型インサート37と同じ材質(ステンレス鋼)である。このため、治具37Aは、上型インサート37の下部が分離可能に設けられたものとみなすこともできる。
また、前記第1実施形態のように、フィルムローダ57に複数の凹部66を設ける構成の場合、凹部66の外周部(保持面64に通じるエア路65が設けられている。)の領域には、リリースフィルムF上に樹脂Rを搭載することができない。しかし、ハンド部63に開口部の広い一つの凹部66を形成して、リリースフィルムFに広範囲で樹脂Rを搭載した場合には、樹脂Rの重みによってリリースフィルムFが撓みすぎてフラットに保持することが困難となることが考えられる。そこで、本実施形態では、ハンド部63の開口部下において、樹脂Rが搭載されたリリースフィルムFを保持可能なシャッタ部70を設けている。
ここで、本実施形態におけるフィルムローダ57について具体的に説明する。フィルムローダ57は、保持面64を開閉可能なロール状のシャッタ部70を備えている。このシャッタ部70は、図示しない駆動部によって、保持面64を開く状態(開状態)には、巻き取られて保持面64から退避され、保持面64を閉じた状態(閉状態)には、保持面64に送り出される。このため、フィルムローダ57は、シャッタ部70の閉状態でリリースフィルムFをシャッタ部70で支持して搬送し、シャッタ部70の開状態で下型32にリリースフィルムFを配置することができる。
シャッタ部70は、例えば、薄い板金や樹脂材のような巻き取りが可能な材質で構成される。また、シャッタ部70の材質は、リリースフィルムFに対する摩擦抵抗が低い材質や形状を有するものが好ましい。これにより、リリースフィルムFを歪ませることなく巻き取ることができる。また、シャッタ部70には、巻取り方向に直交する方向に延在する支持棒のような芯71が入ったものがよりリリースフィルムFを平坦に保持する上で好ましい。
このようなフィルムローダ57によれば、リリースフィルムF上に搭載されている凹部66内の樹脂Rの重みによってリリースフィルムFが撓まないように、シャッタ部70でリリースフィルムFをフラットに保持(支持)することができる。また、リリースフィルムFの下型32への配置時にはシャッタ部70を巻き取って省スペース化を図ることができる。ただし、シャッタ部70は、必ずしも巻き取り可能な構成とする必要はなく、板状の部材を開閉可能とする構成としてもリリースフィルムF(即ち樹脂R)を保持することができる。
また、フィルムローダ57は、冷却部72および加熱部73を備えている。これによれば、リリースフィルムFやこれに搭載される樹脂Rの加熱を補助したり、冷却したりすることが容易となる。
次に、本実施形態における樹脂モールド装置100を用いた樹脂モールド方法(樹脂モールド装置100の動作方法)について説明する。
図10に示すように、モールド金型30が型開きした状態において、金型外部から、ワークローダ56によって治具37Aと共にワークWを搬入する。
また、モールド金型30が型開きした状態において、フィルムローダ57によって樹脂RおよびリリースフィルムFを搬入する。このとき、金型からの輻射熱で樹脂Rが加熱されるのを防止したいときには、冷却部72をオン状態(あるいはオフ状態)とし、加熱部73をオフ状態としておくことで、リリースフィルムFや樹脂Rが加熱されるのを防止することもできる。
また、閉じた状態のシャッタ部70により、リリースフィルムF上に搭載された樹脂Rを保持させた状態でモールド金型30に搬入する。このリリースフィルムFは、吸着部67によって吸引して保持面64に吸着されてフラットな状態で搬入される。
続いて、図11に示すように、ワークローダ56を上昇させ、治具37Aと共にワークWを上型31へ引き渡す。具体的には、ワークローダ56の上昇によって、位置決め部62を上型クランパ40の貫通孔41の内周面に当接させた後、ワークWを保持している治具37Aを上型インサート37の下面に当接させる。次いで、ワーク保持部(図示せず)によって、上型インサート37の下面にワークWおよび治具37Aを保持する。このようにして、ワークローダ56から上型31へワークWが引き渡される。
また、図11に示すように、フィルムローダ57を下降する。具体的には、まず、フィルムローダ57の下降によって、リリースフィルムFおよびシャッタ部70を介して保持面64を下型クランパ35の上面に当接させた後、弾性部材50を押し縮める(可動部を可動させる)。すなわち、フィルムローダ57の下降によって、下型クランパ35を押し下げる。次いで、下型キャビティ駒34の上面と下型クランパ35の上面とが水平の状態となるまで、フィルムローダ57を下降させる。なお、冷却部72をオン状態としている場合、モールド金型30の金型温度を低下させないように、図11に示す工程では、冷却部72はオフ状態とするのが好ましい。
続いて、図12に示すように、ワークローダ56を下降させる。これにより、ワークローダ56がワークWから離隔する。そして、ワークWは、上型31で保持される。
また、図12に示すように、下型32に樹脂Rが搭載されたリリースフィルムFを渡す。具体的には、まず、シャッタ部70を巻き取って、下型キャビティ駒34の上面と下型クランパ35の上面とが水平に保持された下型32に、フィルムローダ57によって樹脂Rが下型キャビティ駒34上に位置するようにフラットなリリースフィルムFを配置する。次いで、吸着部53、55によって、下型キャビティ駒34の上面および下型クランパ35の上面が水平となった下型32のパーティング面に、フラットな状態のリリースフィルムFを吸着、保持する。これによって、フィルムローダ57から下型32へ樹脂RおよびリリースフィルムFが引き渡される。また、加熱部73をオン状態とすることで、下型32側(下方)からの加熱に加え、上方からも樹脂Rに対して加熱することができ、溶融させるための時間を短縮させることができる。これにより、生産性を向上することができる。
続いて、図13に示すように、吸着部53、55によってフラットなリリースフィルムFをエア路47A、52、54から吸引しながら、フィルムローダ57を上昇させて、弾性部材50を伸長させる(可動部を可動させる)。そして、この弾性部材50によって下型クランパ35に対して下型キャビティ駒34を相対的に移動してキャビティ凹部33を形成する。このとき、吸着部55によってリリースフィルムFの外周部が吸着され、吸着部53によってリリースフィルムFのキャビティ凹部33の角部に対応する箇所が吸着されているので、キャビティ凹部33の内面に追従させながらリリースフィルムFが変形する。これにより、リリースフィルムFがキャビティ凹部33の内面に追従して吸着保持される。
この際に、キャビティ凹部33の内面に追従させながらリリースフィルムFを吸着保持することで、樹脂Rがそのままの形状でキャビティ凹部33に供給される。換言すれば、フィルムローダ57によって樹脂RがリリースフィルムFを介して下型キャビティ駒34上に配置されているので、下型クランパ35に対して下型キャビティ駒34が相対的に移動してキャビティ凹部33が形成されても、樹脂Rはそのままの状態を保持してキャビティ凹部33に供給される。したがって、樹脂Rの形状が崩れず、また位置が変わらずにキャビティ凹部33の底部に樹脂Rを供給することができる。
続いて、図14に示すように、ワークローダ56およびフィルムローダ57をモールド金型30内部から退避させる。その後、前記第1実施形態で図7〜図9を参照して説明した工程を経て、成形品が略完成する。
(第3実施形態)
前記第2実施形態では、フィルムローダ57として、樹脂Rが搭載された搭載面側でリリースフィルムFを吸着保持するハンド部63およびその搭載面とは反対面側でリリースフィルムFを支持するシャッタ部70を用いた場合について説明した。これに対して、本実施形態では、フィルムローダ57として、樹脂RおよびリリースフィルムFを支持し、そのまま下型32に配置(セット)される治具(部材)を用いる点が相違する。以下では、この相違点を中心に図15〜図19を参照して説明する。図15〜図19は、本実施形態におけるプレス部130の模式的断面図である。
前記第2実施形態のように、リリースフィルムFを支持するシャッタ部70では、リリースフィルムFを下型32に配置する際に、シャッタ部70を巻き取る(取り外す)必要がある。このとき、リリースフィルムF上の樹脂Rがくずれるなどによりその分布に偏りが発生するおそれがある。そこで、本実施形態では、リリースフィルムF下にプレート状の治具34Aを当ててフラットのリリースフィルムFを保持し、治具34AとともにリリースフィルムFをフィルムローダ57によって搬送し、リリースフィルムFが配置されたままの状態の治具34Aを下型32として使用する。すなわち、この治具34Aは、例えば、下型キャビティ駒34と同じ材質(ステンレス鋼)であるため、下型キャビティ駒34の上部が分離可能に設けられたものとみなすことができる。
ここで、本実施形態におけるフィルムローダ57とプレス部130について具体的に説明する。フィルムローダ57は、下型キャビティ駒34の上部が分離可能に設けられた治具34Aと、下型クランパ35の上部が分離可能に設けられた治具35Aとを備えている。また、治具35Aの貫通孔に治具34Aが配置され、治具34Aを持ち上げ支持するように、治具34Aの外周面と治具35Aの内周面とが複数の接続部材74によって接続されている。この接続部材74は、例えば、板バネのように、治具34Aに対して治具35Aを上下方向に可動できる可動部としても用いられる。
これら治具34Aと治具35の厚みが異なり、治具34Aが治具35Aよりも厚みが薄い。そして、外部からの影響を受けていない状態では、接続部材74によって、治具34Aの端面と治具35Aの端面とが水平に保持されている。また、プレス部130では、型開きしている場合のような弾性部材50が付勢されていない状態(外部からの影響を受けていない状態)において、下型キャビティ駒34の下部上面と、下型クランパ35の下部上面とは、同じ高さ位置とすることができる。本実施形態では、このような治具34A、35Aの厚み差(高低差)をつけて、治具35A(下型クランパ35の上部)に対して治具34A(下型キャビティ駒34の上部)を相対的に移動可能に設けることで、キャビティ凹部33の深さ(キャビティCの容積)を変化させることができる。
また、本実施形態におけるプレス部130(フィルムローダ57)は、上面(樹脂Rが搭載された面)からリリースフィルムFを押さえる押さえ部75、76を備えている。押さえ部75は、樹脂Rの周囲でリリースフィルムFを押さえることができるように、外形の異なる2つの角環状部材を組み合わせたようなフランジ形状に形成され、治具34Aの外周部の端面に対向して設けられる。また、押さえ部76は、リリースフィルムFにおける下型クランパ35の端面に対向して外周部を押さえることができるように、治具35Aの端面に対向して設けられる。
フィルムローダ57によって、治具34Aの端面と治具35Aの端面とを水平に保持しながら、これら端面にリリースフィルムFをフラットに保持してリリースフィルムFが搬送される。これによれば、リリースフィルムFおよびこれに搭載された樹脂Rを安定した状態でモールド金型30に配置することができる。
次に、本実施形態における樹脂モールド装置100を用いた樹脂モールド方法(樹脂モールド装置100の動作方法)について説明する。
図15に示すように、モールド金型30が型開きした状態において、金型外部から、ワークローダ56によってワークWを搬入する。また、モールド金型30が型開きした状態において、フィルムローダ57によって樹脂RおよびリリースフィルムFを搬入する。
なお、これに先立ち、例えば、樹脂供給部120において、治具34Aの端面と治具35Aの端面とが水平に保持された状態で、ロール状のリリースフィルムFを送り出し、このリリースフィルムF上に樹脂Rが搭載(供給)される。次いで、所定の形状(例えば、短冊状)にリリースフィルムFが切断されることで(図2参照)、このリリースフィルムFは、治具34Aおよび治具35Aの端面が水平であるため、それに配置されるときの状態もフラットとなる。これがロボット機構部180とローダ190を介して、プレス部130に供給される。
続いて、図16に示すように、ワークローダ56を上昇させ、ワークWを上型31へ引き渡す。
また、図16に示すように、フィルムローダ57を下降させる。具体的には、フィルムローダ57の下降によって、治具35Aを下型クランパ35の上面に当接させる。このとき、リリースフィルムFは、治具34A(下型キャビティ駒34の上部)の端面と治具35A(下型クランパ35の上部)の端面とが水平に保持された下型32にフィルムローダ57によってフラットに配置される。なお、このとき、治具34Aは下型キャビティ駒34Aの上面に当接していない。
続いて、図17に示すように、ワークローダ56を下降させる。これにより、ワークローダ56がワークWから離隔する。
また、図17に示すように、吸着部53、55によって、リリースフィルムFを吸引する。具体的には、吸着部55によってリリースフィルムFの外周部が吸着され、吸着部53によってリリースフィルムFの中央部が吸着されて、治具35Aに対して上下方向に可動に設けられている治具34Aが接続部材74によって下降する(可動部を可動させる)。
この接続部材74によって下型クランパ35に対して下型キャビティ駒34を相対的に移動してキャビティ凹部33が形成されることとなる。このとき、吸着部55によってリリースフィルムFの外周部が吸着され、吸着部53によってリリースフィルムFのキャビティ凹部33の角部に対応する箇所が吸着されているので、キャビティ凹部33の内面に追従させながらリリースフィルムFが変形する。これにより、リリースフィルムFがキャビティ凹部33の内面に追従して吸着保持される。
また、キャビティ凹部33の内面に追従させながらリリースフィルムFを吸着保持すると共に、樹脂Rをそのままキャビティ凹部33に供給する。フィルムローダ57によって樹脂RがリリースフィルムFを介して治具34A上に配置されているので、キャビティ凹部33が形成されても、樹脂Rはそのままの状態を保持してキャビティ凹部33に供給される。したがって、樹脂Rの形状が崩れず、また位置が変わらずにキャビティ凹部33の底部に樹脂Rを供給することができる。
続いて、図18に示すように、吸着部53、55によってリリースフィルムFをエア路52、54から吸引しながら、フィルムローダ57を上昇させて、下型32に樹脂RおよびリリースフィルムFを引き渡す。
続いて、図19に示すように、ワークローダ56およびフィルムローダ57をモールド金型30内部から退避させる。その後、前記第1実施形態で図7〜図9を参照して説明した工程を経て、成形品が略完成する。
(第4実施形態)
前記実施形態1では、フィルムローダ57としてリリースフィルムFをフラットに吸着保持するハンド部63を用いた場合について説明した。これに対して本実施形態では、フィルムローダ57として、リリースフィルムFをプレートとして支持し、そのまま下型32に配置(セット)させる治具(部材)を用いる点が相違する。以下では、この相違点を中心に図20〜図24を参照して説明する。図20、図22〜図14は、本実施形態におけるプレス部130の模式的断面図である。図21は、図20に示すフィルムローダ57(フィルムプレート部)の分解断面図である。
本実施形態におけるプレス部130について具体的に説明する。フィルムローダ57は、リング状の上部プレート80および下部プレート81を備えて、上下から挟み込むことでリリースフィルムFを全周から引っ張った状態で保持可能に構成されている(特に、図21参照)。図21に示す例では、下部プレート81は、フランジ状となるように、周縁部端で上部プレート80側の面から窪んで周方向に延びる段付き部82が形成されている。上部プレート80と下部プレート81の間にリリースフィルムFを挟んで、下部プレート81の段付き部82(細径部)に上部プレート80の内径部80aを対応させて上部プレート80がはめ合わさってフィルムプレート部(フィルムローダ57)が構成される(特に、図20参照)。そして、リリースフィルムFは、上部プレート80および下部プレート81の内周においてフラットとなるように、張設される。
なお、例えば、同一のリング状の上部プレート80および下部プレート81を用いて、それらの周縁部で貫通する孔をボルトなどで固定して(リリースフィルムF位置を避けて)、フィルムプレート部を構成してもよい。
また、下型クランパ35には周縁部端で端面から窪んで周方向に延びる段付き部83が形成されている。そして、下型クランパ35の段付き部83に下部プレート81の内径部81aを対応させてフィルムプレート部(フィルムローダ57)がはめ合わさって固定される。本実施形態では、簡単な構成でリリースフィルムFをフラットに保持することができ、フラットな状態でリリースフィルムFを下型32に配置することができる。
次に、本実施形態における樹脂モールド装置100を用いた樹脂モールド方法(樹脂モールド装置100の動作方法)について説明する。
図20に示すように、モールド金型30が型開きした状態において、金型外部から、ワークローダ56によってワークWを搬入する。また、モールド金型30が型開きした状態において、フィルムローダ57によって樹脂RおよびリリースフィルムFを搬入する。
なお、これに先立ち、図21に示すように、上部プレート80と下部プレート81の間にリリースフィルムFを挟んでフィルムプレート部を構成し、このフィルムプレート部のリリースフィルムF上に樹脂Rが搭載(供給)されている。
続いて、図22に示すように、ワークローダ56を上昇させ、ワークWを上型31へ引き渡す。
また、図22に示すように、フィルムローダ57を下降させ、下型32に樹脂Rが搭載されたリリースフィルムFを引き渡す。具体的には、まず、フィルムローダ57の下降によって、下部プレート81下面を下型クランパ35の段付き部83上面に当接させて固定した後、弾性部材50を押し縮める(可動部を可動させる)。すなわち、フィルムローダ57の下降によって、下型クランパ35を押し下げる。次いで、下型キャビティ駒34の上面(上側の端面)と下型クランパ35の上面(上側の端面)とが水平の状態となるまで、フィルムローダ57を下降させる。
このとき、フィルムローダ57は、フラットなリリースフィルムFを張設保持している。すなわち、下型キャビティ駒34の上面と下型クランパ35の上面とが水平に保持された下型32に、フィルムローダ57によって樹脂Rが下型キャビティ駒34上に位置するようにフラットなリリースフィルムFを配置する。
次いで、下型キャビティ駒34の上面と下型クランパ35の上面とが水平な状態で、下型キャビティ駒34の上面および下型クランパ35の上面を覆うように配置されたフラットな状態のリリースフィルムFを、吸着部53によって吸着、保持する。
続いて、図23に示すように、ワークローダ56を下降させる。これにより、ワークローダ56がワークWから離隔する。そして、ワークWは、上型31のみで保持される。次いで、ワークローダ56をモールド金型30内部から退避させる。
また、図23に示すように、吸着部53によってフラットなリリースフィルムFをエア路47A、52から吸引しながら、フィルムローダ57を上昇させて、弾性部材50を伸長させる(可動部を可動させる)。そして、この弾性部材50によって下型クランパ35に対して下型キャビティ駒34を相対的に移動してキャビティ凹部33を形成する。このとき、下部プレート81の内径部81aと下型クランパ35の段付き部83とが嵌め合わさりによってリリースフィルムFの外周部が固定され、吸着部53によってリリースフィルムFのキャビティ凹部33の角部に対応する箇所が吸着されているので、キャビティ凹部33の内面に追従させながらリリースフィルムFが変形する。これにより、リリースフィルムFがキャビティ凹部33の内面に追従して吸着保持される。
この際に、キャビティ凹部33の内面に追従させながらリリースフィルムFを吸着保持することで、樹脂Rがそのままの形状でキャビティ凹部33に供給される。換言すれば、フィルムローダ57によって樹脂RがリリースフィルムFを介して下型キャビティ駒34上に配置されているので、下型クランパ35に対して下型キャビティ駒34が相対的に移動してキャビティ凹部33が形成されても、樹脂Rはそのままの状態を保持してキャビティ凹部33に供給される。したがって、樹脂Rの形状が崩れず、また位置が変わらずにキャビティ凹部33の底部に樹脂Rを供給することができる。このようにキャビティ凹部33に所望の状態で樹脂Rを供給することは、ボイドやワイヤスイープなどによる成形品の品質不良を低減することに作用する。
続いて、図24に示すように、可動型である下型32を上昇させて、モールド金型30を型閉じ(型締め)する。これにより、リリースフィルムFがクランプされ、すなわち、上型31と下型32とでフィルムプレート部(フィルムローダ57)が挟み込まれる。その後、前記第1実施形態で図8〜図9を参照して説明した工程を経て、成形品が略完成する。
(第5実施形態)
前記第1実施形態では、フィルムローダ57(ハンド部63)によって下型クランパ35を押し下げることで、下型キャビティ駒34の上面と下型クランパ35の上面とを水平とする場合について説明した。これに対して、本実施形態では、下型32内にフローティング支持したプレート状の治具34A(下型キャビティ駒34の上部)を設け、その治具34Aの上面と下型クランパ35の上面とを水平とする点が相違する。以下では、この相違点を中心に図25〜図26を参照して説明する。図25〜図26は、本実施形態におけるプレス部130の模式的断面図である。
本実施形態におけるプレス部130について具体的に説明する。プレス部130は、下型キャビティ駒34の上部が分離可能に設けられたプレート状の治具34Aを備えている。また、プレス部130は、プレート状の治具34Aの例えば四隅を支持する複数の支持ピン84を備えている。また、プレス部130は、下型ベース46に対して支持ピン84を上下方向に移動可能に組み付けられ、支持ピン84と同数の弾性部材85(例えば、スプリング)を備えている。このため、型開きした状態で、治具34A(下型キャビティ駒34の上部)の上面と下型クランパ35の上面とが水平となるように、支持ピン84および可動部を構成する弾性部材85によって治具34Aがフローティング支持されている。なお、プレート状の治具34Aは、弾性部材85を用いずにエアシリンダやサーボモータといった駆動機構を用いて昇降可能な構成とすることもできる。
次に、本実施形態における樹脂モールド装置100を用いた樹脂モールド方法(樹脂モールド装置100の動作方法)について説明する。
図25に示すように、モールド金型30が型開きした状態において、樹脂RおよびリリースフィルムFを搬入し、下型32へ引き渡す。このとき、リリースフィルムFは、治具34A(下型キャビティ駒34の上部)の上面と下型クランパ35の上面とが水平に保持された下型32にフィルムローダ57によってフラットに配置される。そして、吸着部53、55によって、リリースフィルムFを吸引し始める。
続いて、図26に示すように、吸着部53、55によって、リリースフィルムFを吸引する。具体的には、吸着部55によってリリースフィルムFの外周部が吸着され、吸着部53によってリリースフィルムF以下の空間の空気が吸引されて、下型クランパ35に対して上下方向に可動に設けられている治具34Aが弾性部材85を押し縮めながら下降する(可動部を可動させる)。
この弾性部材85によって下型クランパ35に対して治具34A(下型キャビティ駒34の上部)を相対的に移動してキャビティ凹部33が形成されることとなる。このとき、吸着部55によってリリースフィルムFの外周部が吸着され、吸着部53によってリリースフィルムFのキャビティ凹部33の角部に対応する箇所が吸着されているので、キャビティ凹部33の内面に追従させながらリリースフィルムFが変形する。これにより、リリースフィルムFがキャビティ凹部33の内面に追従して吸着保持される。
また、キャビティ凹部33の内面に追従させながらリリースフィルムFを吸着保持すると共に、樹脂Rをそのままキャビティ凹部33に供給する。フィルムローダ57によって樹脂RがリリースフィルムFを介して治具34A上に配置されているので、キャビティ凹部33が形成されても、樹脂Rはそのままの状態を保持してキャビティ凹部33に供給される。したがって、樹脂Rの形状が崩れず、また位置が変わらずにキャビティ凹部33の底部に樹脂Rを供給することができる。その後、前記第1実施形態で図7〜図9を参照して説明した工程を経て、成形品が略完成する。
これによれば、例えば、フィルムローダ57によって下型クランパ35を押し下げて下型キャビティ駒34の端面と下型クランパ35の端面とを水平にする必要がなくなり、フィルムローダ57の動作・構成(例えば、駆動モータの出力、ストロークの低減)を簡素化することができる。また、下型32にリリースフィルムFが配置された際には、治具34A(下型キャビティ駒34の上部)がフローティングした状態であるため、リリースフィルムFの熱収縮を防止することができ、リリースフィルムFに搭載される樹脂Rの過熱を防止したり、加熱調整を行ったりすることが容易となる。
(第6実施形態)
前記第1実施形態では、図7を参照して説明したように、型閉じしてキャビティ凹部33を含むモールド金型30内部が気密された状態で、モールド金型30内部を減圧(脱気)する場合について説明した。このとき、上型31のワーク保持部(エア路90および吸着部91)によって、基板10(ワークW)を吸着により上型31へ保持する場合、減圧のための吸引力により基板吸着のための吸引力が低下して、基板10が落下するおそれがある。このような前記第1実施形態に対して、本実施形態では、下型クランパ35に複数個のピンをフローティング支持させて減圧空間の形成状態において、基板10を上型31に押し付けるように支持する構成としている点が相違する。以下では、この相違点を中心に図27を参照して説明する。図27は、本実施形態におけるプレス部130の模式的断面図である。
プレス部130は、下型クランパ35の貫通孔47の周囲に沿って下型クランパ35の内部に設けられた複数のピン86を備えている。また、プレス部130は、下型クランパ35に対してピン86を上下方向に移動可能に下型クランパ35の内部に組み付けられ、ピン86と同数の弾性部材87(例えば、スプリング)を備えている。
このため、減圧空間を形成する状態で、下型クランパ35の端面から突出して、リリースフィルムFを介して基板10の表面と当接してワークWを支持するように、可動部を構成する弾性部材87によってピン86がフローティング支持されている。そして、ワークWをクランプした状態では(図8参照)、ピン86は下型クランパ35の内部に収容される。したがって、クランプ前に上型31で保持されているワークWが落下するのを防止することができる。
なお、図27では、エア路44を通じて減圧部45による減圧空間形成する際に、その吸引経路が塞がれたようにみえるが、ピン86は部分的に配置されているため、減圧が阻害されることはない。
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
前記第1実施形態では、樹脂Rとして顆粒樹脂を用いた場合について説明した。これに限らず、樹脂Rとして、フィルム状の樹脂を用いてもよく、また、大きさのことなるフィルム状の樹脂を山状となるように積層させたものを用いてもよい。
具体的には、図28、図29に示すようなワークWおよび樹脂Rを用いる成形を採用することができる。これらの図に示すように、ワークWとしては、基板10上にチップ部品11がフリップチップ実装されたものを用いることができる。この場合、樹脂Rとしては、中高に形成されたフィルム状の樹脂を用いたり、中高に供給した顆粒樹脂を用いたりすることができる。この場合、上述した実施形態と同様にワークW及び樹脂Rを供給してからモールドする工程において、型閉じ後に更に型締めする過程で、図29に示すように、チップ部材11が溶融した樹脂Rに浸漬されるときに、中央側のチップ部材11から順に樹脂Rに浸漬していく。この際に、溶融した樹脂Rは基板10中央から外周側に流されることとなる。したがって、チップ部品11がフリップチップ実装されたワークWを封止するときには、チップ部品11と基板10との間のアンダーフィルが容易となる。
前記第1実施形態では、樹脂供給部120において、複数のトラフ123を用いて、同時に同程度の量の樹脂Rを樹脂供給領域であるリリースフィルムF上に供給(搭載)する場合について説明した。これに限らず、複数のトラフ123の代わりに、顆粒樹脂や液状樹脂のような流動性のある樹脂を供給可能な多連ノズルを有するディスペンサを用いてもよい。これによれば、樹脂供給量の増大(樹脂供給領域の大型化)に起因する供給時間の長時間化を防止することができる。また、例えば樹脂供給領域に対して、各ノズルを分布して配置して樹脂供給にムラのないようにすることで、均一に供給することもできる。
前記第1実施形態では、型クランプ機構の型開閉に伴って、弾性部材50を伸縮させて下型クランパ35に対して下型キャビティ駒34を相対的に移動させる場合について説明した。これに限らず、型クランプ機構とは別に駆動させる、下型クランパ35の高さを可変する機構を用いてもよい。
キャビティ高さの可変機構としては、例えば、下型キャビティ駒34が駆動源と接続されてモールド金型30の下型ベース46に移動可能に組み付けられ、下型クランパ35が下型ベース46に固定して組み付けられる構成であってもよい。
また、キャビティ高さの可変機構としては、下型キャビティ駒34と下型ベース46との間に、界面がテーパ面(傾斜面)に形成された板厚調整ブロック(テーパーブロック)を重ね合わせてくさび部を設け、板厚調整ブロックのうちの一方がエアシリンダ、モータなどの駆動源によりスライド可能とした構成であってもよい。
前記実施形態では、フィルムローダ57において保持面64からのみ吸着部67と接続してエア吸引する場合について説明した(図3参照)。これに限らず、フィルムローダ57aとして、凹部66内においてエア吸引可能な構成としてもよく、また、凹部66内にエアを充填して加圧可能な構成としてもよい。具体的には、図30〜図32に示すようなフィルムローダ57aを用いることができる。なお、図30〜図32において、上型31(図3参照)は省略している。
このフィルムローダ57aによれば、図30に示すように、樹脂Rが搭載されたリリースフィルムFを搬送する際には、図3に示したエア路65と同様の機能を有するエア路65aとは別系統の吸引・加圧部67bと凹部66とを接続するエア路65bから吸引または加圧を行う。具体的には、樹脂Rの重量によるリリースフィルムFへの加圧と吸着部67aによる吸引力(負圧)とを均衡させることで、樹脂Rの重量によってリリースフィルムFの撓みを防止することができる。
また、このフィルムローダ57によれば、図31、図32に示すように、リリースフィルムFをキャビティ凹部33に配置するときに、吸引・加圧部67bからエアを供給し凹部66内にエアを充填して加圧することでリリースフィルムFのシワを伸ばすこともできる。これによれば、キャビティ凹部33の角部に対応する箇所からの吸引によってリリースフィルムFをキャビティ凹部33の形状に倣わせながら、キャビティ駒34の端面にリリースフィルムFのシワを外側に押し出しながら押し潰すこともできるので、シワの発生をより確実に防止することができる。なお、このとき凹部66内に充填するエアとして加熱エアを用いることができ、型温を下げずにシワの発生を防止することができる。
なお、前記実施形態では、フィルムローダ57は、樹脂Rが搭載されたリリースフィルムFを下型32に配置する例について説明したが本発明はこれに限定されず、上型31に配置することもできる。この場合、樹脂モールド装置100におけるモールド金型30は、下型32と上型31とを上下反転したような構成とされて、下型(本発明における第一型に相当)とキャビティ凹部が形成される上型(本発明における第二型に相当)とを型閉じして、このキャビティ凹部に充填された樹脂でワークWを樹脂モールド可能に構成される。この上型は、前記実施形態における下型32と同様に、キャビティ凹部の底部を構成するキャビティ駒と、キャビティ凹部の側部を構成するクランパと、クランパに対してキャビティ駒を相対的に移動させる可動部と、キャビティ駒の端面とクランパの端面とを覆うように配置されたリリースフィルムFを吸引して吸着する吸着部と、を備える構成を採用することができる。また、フィルムローダは、前記実施形態におけるフィルムローダ57と同様に、リリースフィルムFをフラットな状態で搬送すると共に、キャビティ駒の端面とクランパの端面とを同等な高さに位置させながらリリースフィルムFを平坦な状態のままでこのキャビティ駒の端面とこのクランパの端面とに配置する。このような樹脂モールド装置100によれば、樹脂Rと一緒にプレス部130に搬入しない場合であっても、シワの発生を防止しながら配置することができる。
また、前記実施形態では樹脂供給部120において顆粒状の樹脂RをリリースフィルムFに供給する場合について説明した。これに限らず、樹脂供給部120は、液状の樹脂Rを供給することもできる。この場合、樹脂供給部120が液状の樹脂RをワークW上に供給した後に、ロボット機構部180がワークWごとプレス部130に搬入してもよい。また、樹脂供給部120は、シート状の樹脂Rを供給することもできる。この場合、ロボット機構部180は、樹脂供給部120によって供給されたシート状の樹脂Rを、リリースフィルムFまたはワークWと重ね合わせて、もしくは、この樹脂Rのみでプレス部130に搬入してもよい。
31 上型
32 下型
33 キャビティ凹部
34 下型キャビティ駒
35 下型クランパ
53 吸着部
57 フィルムローダ
F リリースフィルム
R 樹脂

Claims (10)

  1. 上型とキャビティ凹部が形成される下型とを型閉じして、前記キャビティ凹部に充填された樹脂でワークを樹脂モールドする樹脂モールド装置であって、
    前記下型は、前記キャビティ凹部の底部を構成する下型キャビティ駒と、前記キャビティ凹部の側部を構成する下型クランパと、前記樹脂が搭載されたフィルムを保持して搬送可能なローダと、前記下型キャビティ駒の端面および前記下型クランパの端面を覆うように配置された前記フィルムを吸着する吸着部と、を備え、
    前記下型キャビティ駒は、前記下型クランパに対して相対的に移動可能に構成され、
    前記ローダは、前記下型キャビティ駒の端面と前記下型クランパの端面とが水平に保持された前記下型に、前記樹脂が前記下型キャビティ駒上に位置するように前記フィルムを配置し、
    前記吸着部は、前記キャビティ凹部の内面に追従して前記フィルムを吸着保持し、前記キャビティ凹部に前記樹脂を供給することを特徴とする樹脂モールド装置。
  2. 請求項1記載の樹脂モールド装置において、
    前記ローダは、前記フィルムを保持する保持面と、前記フィルムに搭載された前記樹脂の逃がしとなる、前記保持面から凹んだ凹部と、前記凹部の周囲の前記保持面に通じ、前記フィルムを吸引するエア路とを有するハンド部を備えることを特徴とする樹脂モールド装置。
  3. 請求項2記載の樹脂モールド装置において、
    前記ローダは、前記保持面を開閉可能なロール状のシャッタ部を備え、前記シャッタ部の閉状態で前記フィルムを前記シャッタ部で支持して搬送し、前記シャッタ部の開状態で前記下型に前記フィルムを配置することを特徴とする樹脂モールド装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂モールド装置において、
    前記ローダは、加熱部および冷却部を備えることを特徴とする樹脂モールド装置。
  5. 請求項1記載の樹脂モールド装置において、
    前記下型キャビティ駒の上部が分離可能に設けられ、
    前記下型クランパの上部が分離可能に設けられ、
    前記下型キャビティ駒の上部と前記下型クランパの上部とが接続部材によって接続され、
    前記ローダは、前記下型キャビティ駒の上部の端面と前記下型クランパの上部の端面とが水平な状態で、前記下型キャビティ駒の上部の端面および前記下型クランパの上部の端面を覆うように配置された前記フィルムを搬送することを特徴とする樹脂モールド装置。
  6. 請求項1記載の樹脂モールド装置において、
    リング状の上部および下部プレートを備え、
    前記下部プレートは、周縁部端で前記上部プレート側の面から窪んで周方向に延びる段付き部が形成され、
    前記上部プレートと前記下部プレートの間に前記フィルムを挟んで、前記下部プレートの段付き部に前記上部プレートの内径部を対応させて前記上部プレートがはめ合わさってフィルムプレート部が構成され、
    前記下型クランパには周縁部端で端面から窪んで周方向に延びる段付き部が形成され、前記下型クランパの段付き部に前記下部プレートの内径部を対応させて前記フィルムプレート部がはめ合わさることを特徴とする樹脂モールド装置。
  7. 請求項1記載の樹脂モールド装置において、
    前記下型キャビティ駒の上部が分離可能に設けられ、
    型開きした状態で、前記下型キャビティ駒の上部の端面と前記下型クランパの端面とが水平となるように、前記下型キャビティ駒の上部がフローティング支持されていることを特徴とする樹脂モールド装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂モールド装置において、
    前記下型クランパには、前記下型クランパの端面から突出可能にフローティング支持された複数のピンを備え、
    前記複数のピンは、前記下型クランパの端面から突出して前記ワークを支持し、前記ワークをクランプした状態では前記下型クランパの内部に収容されることを特徴とする樹脂モールド装置。
  9. 第一型とキャビティ凹部が形成される第二型とを型閉じして、前記キャビティ凹部に充填された樹脂でワークを樹脂モールドする樹脂モールド装置であって、
    前記第二型は、前記キャビティ凹部の底部を構成するキャビティ駒と、前記キャビティ凹部の側部を構成するクランパと、当該クランパに対して当該キャビティ駒を相対的に移動させる可動部と、前記キャビティ駒の端面と前記クランパの端面とを覆うように配置されたフィルムを吸着する吸着部と、を備え、
    前記フィルムをフラットな状態で搬送すると共に、前記キャビティ駒の端面と前記クランパの端面とを同等な高さに位置させながら前記フィルムをフラットな状態のままで前記キャビティ駒の端面と前記クランパの端面とに配置するローダを備えることを特徴とする樹脂モールド装置。
  10. 樹脂モールド装置を用いて、上型とキャビティ凹部が形成される下型とを型閉じして、前記キャビティ凹部に充填された樹脂でワークを樹脂モールドする樹脂モールド方法であって、
    前記下型は、前記キャビティ凹部の底部を構成する下型キャビティ駒と、前記キャビティ凹部の側部を構成する下型クランパと、前記樹脂が搭載されたフィルムを保持して搬送可能なローダと、前記下型キャビティ駒の端面と前記下型クランパの端面とを覆うように配置された前記フィルムを吸着する吸着部と、を備え、
    (a)前記下型キャビティ駒の端面と前記下型クランパの端面とが水平に保持された前記下型に、前記ローダによって前記樹脂が前記下型キャビティ駒上に位置するように前記フィルムを配置する工程と、
    (b)前記吸着部によって前記フィルムを吸引しながら、前記下型クランパに対して前記下型キャビティ駒を相対的に移動して前記キャビティ凹部を形成することで、前記キャビティ凹部の内面に追従させながら前記フィルムを吸着保持すると共に、前記樹脂をそのまま前記キャビティ凹部に供給する工程と、
    を含むことを特徴とする樹脂モールド方法。
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