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JP2014201740A - イミドオリゴマー及びこれを加熱硬化させてなるポリイミド樹脂 - Google Patents

イミドオリゴマー及びこれを加熱硬化させてなるポリイミド樹脂 Download PDF

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JP2014201740A JP2013090734A JP2013090734A JP2014201740A JP 2014201740 A JP2014201740 A JP 2014201740A JP 2013090734 A JP2013090734 A JP 2013090734A JP 2013090734 A JP2013090734 A JP 2013090734A JP 2014201740 A JP2014201740 A JP 2014201740A
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Abstract

【課題】低温で熱成形でき、加熱硬化後のポリイミド樹脂が優れた耐熱性と大きな破断伸度を示すイミドオリゴマーを提供する。
【解決手段】2,3,3’、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水化物、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,4‘−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンからなり、両末端が4−フェニルエチニルフタル酸無水物由来の残基であることを特徴とするイミドオリゴマー。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性のイミドオリゴマー、N−メチルピロロリドン(NMP)、γ‐ブチロタクトン、アクアミド(TM)等の極性の強い溶剤に可溶で、且つ特に、酸素存在下高温での耐久性に優れた熱硬化性ポリイミド樹脂を得ることのできるイミドオリゴマーに関する。
ポリイミド樹脂は耐熱性に優れており、非常に高い熱分解温度を示すことから、ロケットや人工衛星分野のカーボンファイバー強化構造材マトリックスとして用いられている(例えば、非特許文献1参照)。また、近年,Siウエハーを利用するLSIの分野では、情報の高密度化高速化に伴いSi−Cを用いた電子部品が盛んに研究されており、Si−Cを用いたLSI等では400℃を超える温度での動作が想定されているものの、耐熱性に優れているといわれる従来のポリイミド樹脂を用いたとしても対応することができない。そこで、ポリイミド樹脂に限らず、様々な耐熱性高分子フィルムの使用も検討されている(例えば、非特許文献2参照)。
一方で、ポリイミド樹脂は高耐熱性であるが故、結晶構造が強固であり、溶解・溶融特性に欠け、成形が困難であるという問題がある。このような問題に対して、近年、熱硬化性を有するイミドオリゴマーの研究開発が進められている。すなわち、4−フェニルエチニルフタル酸無水化物(4−PEPA)等の架橋反応性官能基をイミドオリゴマーの末端に付加することで、イミドオリゴマーを成形した後に、加熱によりオリゴマー鎖間の架橋反応を進行させて樹脂を硬化し、高耐熱性を有するポリイミド樹脂成形体を得ようとするものである。
さらに、このようなイミドオリゴマーの溶解・溶融特性、あるいは得られるポリイミド樹脂の物性を改善する目的で、例えば、2,3,3’、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水化物(a−BPDA)のような非軸対称性のビフェニル酸二無水化物を導入したイミドオリゴマーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。なお、通常のポリイミド構造は直線性が高く分子間相互作用が非常に大きいのに対して、このような非軸対称性分子を導入することによってポリイミド鎖が螺旋性を示すため、分子間相互作用が小さくなり、熱溶融性や着色性が改善されることが明らかとなっている(例えば、非特許文献3参照)。
その他、ジアミンとして、例えば、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)のような屈曲形状のジアミンと、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3,4’−ODA)のような直線形状のジアミンとを、特定の割合で用いたイミドオリゴマーが、樹脂トランスファー成形(RTM)や樹脂注入(RI)技術によるポリイミド樹脂の成形に適していることが報告されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献1,2において記載されているようなイミドオリゴマーから得られるポリイミドは、破断伸度も小さく、有機溶剤への溶解性もなく、得られたイミドオリゴマーを様々な分野へと応用することは、事実上困難であった。
一方、a−BPDAを用いた熱硬化性ポリイミドでは、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(1,4,4−APB)が大きな破断伸度を示すことが報告され、熱硬化性ポリイミドオリゴマーの主組成として採用すれば、大きな破断伸度が得られる可能性があると考えた(例えば、特許文献4参照)。
また、イミドオリゴマーの末端に使用する架橋性反応基については検討されており、従来、特に4−PEPAが、成形性、耐熱性、力学特性等のバランスに優れているとされ、最も広く用いられている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、これら従来の4−PEPAを用いたイミドオリゴマーは靱性に乏しく、長期間高熱下で使用すると樹脂成形品にクラックを生じるなど問題があった。
特開2000−219741号 米国特許6,359,107号 特開2007−99969号 特願201,1−84895号 柿本雅明監修,「最新ポリイミド材料と応用技術」,シ−エムシ−出版 「SiCパワ−エレクトロニクス実用化・導入普及戦略に係る調査研究」,財団法人新機能素子研究開発協会,平成17年3月 Masatoshi Hasegawaら,Macromolecules,1999,32,p382. Hongwei Zhou, C.C., Reito Kanbara, Takeishi Sasaki,Rikio Yokota,2005, 17, p213.
本発明は前記従来技術の課題に鑑みて行われたものであり、その解決すべき課題は、熱成形が容易であり、加熱硬化後のポリイミド樹脂として優れた耐熱性を有するとともに、容易にN−メチルピロリドン等の極性の強い溶剤に溶解させることのできるイミドオリゴマーを提供することにある。
本発明者らが、前記従来技術の課題に鑑み鋭意検討を行った結果、非軸対称性芳香族酸無水化物2,3,3’、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水化物(a−BPDA)を4量体あたり3分子以上、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(1,4,4−APB)を4量体あたり3分子以上と主組成とし、3,4‘−ジアミノジフェニルエーテル(3,4’−ODA)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3,3−APB)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3,4−APB)から選ばれる少なくとも1種以上1分子以下のみ有し、且つ架橋性末端が4−フェニルエチニルフタル酸無水化物残基(4−PEPA)からなり、下記一般式(1)により表されることを特徴とするイミドオリゴマーが最適であることを見いだした。4−PEPAを架橋性反応基として使用することで、酸素存在下高温に耐えるイミドオリゴマーが得られることを見出し、さらにこのイミドオリゴマーを加熱硬化して得られたポリイミド樹脂が、優れた靱性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかるイミドオリゴマーは、非軸対称性a−BPDAに由来する非軸対称部位をオリゴマー鎖に酸二無水化物主分子として4量体あたり3分子以上有し、1,4,4−APBをジアミン主分子として4量体あたり3分子以上、3,4’−ODA、1,3,3−APB、1,3,4−APB1分子以下のみ有し、且つ架橋性末端が4−PEPAからなり、下記一般式(1)により表されることを特徴とするものである。
Figure 2014201740
また、前記イミドオリゴマーにおいて、各イミド繰り返し構造の平均重合度m、nは各イミド繰り返し構造の平均重合度でmは1〜12、nは0〜3であり、m+n≦ 12,且つイミドオリゴマー全体の平均分子量が8,000以下であることが好適である。
また、前記イミドオリゴマーにおいて、酸二無水化物残基が、a−BPDAを4量体あたり3分子以上必須とし、物性に応じ、酸二無水化物残基が、4,4‘−オキシジフタル酸二無水化物(s−ODPA)、4,4‘−ビフタリック酸二無水化物(s−BPDA)、3,3,4,4’−ベンゾフェノン酸二無水化物(s−BZPDA)3,3,4,4’−ジフェニルスルフォン酸(s−DSPDA)から選ばれる少なくとも1種以上の酸二無水化物を導入できる。
また、前記イミドオリゴマーにおいて、ジアミン残基が、1,4,4−APBを4量体あたり3分子以上必須とし、目的により3,4’−ODA、1,3,3−APB、1,3,4−APBから選ばれる少なくとも1種以上のジアミンに由来することが好適である。これらのジアミノ残基の一部が、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、1,2−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(1,2,4−APB)、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン,3,3‘−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン(4−APBZ)も使用できる。
また、本発明にかかるアミック酸オリゴマーは、4量体あたり非軸対称性酸二無水化物a−BPDA3分子以上、1,4,4−APBを3分子以上と主分子とし、3,4’−ODA、1,3,3−APB、1,3,4−APBから選ばれたジアミン単独または組み合わせて1分子以下のみ有するオリゴマー鎖を特徴とし、且つ架橋性末端基が4−PEPAからなり、下記一般式(2)により表されることを特徴とするものである。
Figure 2014201740
(m、nは各イミド繰り返し構造の平均重合度でmは1〜12、nは0〜3である。)
また、本発明にかかるポリイミド樹脂は、前記アミック酸オリゴマーを化学イミド化させた後、化学イミド化剤を留去、または加熱縮合によりイミド化後、イミドオリゴマーワニス等を、メタノール等に投入し、沈殿、粉体化し、加熱硬化させてなることを特徴とするものである。
本発明によれば、2つのカルボン酸無水基が同一軸上に導入されていない非軸対称性の芳香族酸無水化物a−BPDAを4量体あたり少なくとも3分子をイミドオリゴマー鎖に配置し、且つ芳香族ジアミンとして1,4,4−APBを3分子以上必須とし、3,4’−ODA、1,3,3−APB、1,3,4−APBから選ばれたジアミン単独または組み合わせて1分子以下のみ有する導入し、末端の架橋性反応基として4−PEPAを使用することにより、優れた溶解・溶融特性を有し、且つ低温で一次硬化可能な熱成形性に優れたイミドオリゴマー容易に得ることができる。また、このイミドオリゴマーの粉末を加熱硬化して得られたポリイミド樹脂は、優れた耐熱性を示す。
本発明にかかるイミドオリゴマーは、非軸対称性芳香族酸無水化物a−BPDAを4量体あたり3分子以上、1,4,4−APB3分子以上、3,4’−ODA、1,3,3−APB、1,3,4−APBを目的に応じてから選ばれ、単独または組み合わせて4量体あたり1分子以下のみ有する1分子以下導入し、且つ架橋性末端が4−PEPA残基からなるものである。
上記一般式(2)により表される芳香族酸無水化物は、非軸対称性芳香族酸無水化物a−BPDAを4量体あたり3分子以上用い、より具体的には、物性に応じ、酸二無水化物残基が、s−ODPA、s−BPDA、s−BZPDA、s−DSPDAから選ばれる少なくとも1種以上の酸二無水化物を4量体あたり1分子以下導入できる。なお、s−ODPA、s−BPDAを特に好適に用いることができる。
また、上記一般式(2)により表される芳香族ジアミンは、より具体的には、1,4,4−APBを4量体あたり3分子以上必須とし、目的によりジアミン残基が、3,4’−ODA、1,3,3−APB、1,3,4−APBが好適に用いられ、1,2,4−APB、ODA、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン,3,3‘−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンも用いることができる。なお、これらの芳香族ジアミンは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて、4量体あたり1分子以下用いてよい。
すなわち、本発明にかかるイミドオリゴマーは、上記一般式(1)により表される非軸対称性芳香族酸無水化物a−BPDAを4量体あたり3分子以上用い、1,4,4−APBを3分子以上用い、3,4’−ODA、1,3,3−APB、1,3,4−APBをそれぞれの末端アミノ基に、任意の酸二無水化物とジアミンとの重縮合により形成したイミドオリゴマー鎖が末端にアミノ基が付加した化合物であって、これにより、非軸対称性芳香族無水化物a−BPDAを4量体あたり3分子以上、芳香族ジアミンは、より具体的には、1,4,4−APBを3分子以上と3,4’−ODA、1,3,3−APB、1,3,4−APBを1分子以下からなるオリゴマー鎖である。
また、本発明にかかるイミドオリゴマーにおいては、架橋性末端を形成するための化合物として、4−PEPAが用いられる。
本発明において架橋性末端化合物として用いられる4−PEPAは、下記一般式(3)により表される化合物である。
Figure 2014201740
すなわち、上記一般式(3)により表される、4−PEPA残基が、イミドオリゴマー鎖末端の任意の酸無水基と縮合してイミド結合を形成し、架橋性反応基として付加される。
通常のイミドオリゴマーは、架橋性末端化合物により末端を修飾することにより熱硬化性が付与される。架橋性末端化合物としては、従来、例えば、4−PEPAが広く用いられているものの、これら従来の架橋性末端化合物は、架橋反応(熱硬化)に高温を要し、一方で硬化後のポリイミド樹脂は非常に強固となるため、成形の柔軟性に欠け、取り扱いにくい。これに対して、本発明のイミドオリゴマーは、架橋性末端化合物として、4−PEPAを用いることによって、従来よりも低温で一次硬化することが可能となる。このため、例えば、低温での一次硬化によりおおよその型をとり、次いで細かく成形した後に高温で二次硬化する等、目的とする製品に適した成形方法を柔軟に採用することができる。
本発明にかかるイミドオリゴマーは、下記一般式(1)により表される。
Figure 2014201740
本発明のイミドオリゴマーに用いる酸二無水化物a−BPDAは、非軸対称性であって、4量体あたり3分子以上、他に4量体あたり1分子以下共重合させる酸二無水化物は、ジアミンと縮合反応してポリイミド構造を形成し得るものであればよく、特に限定されるものではない。本発明に用いる共重合酸二無水化物としては、例えば、ODPA、s−BPDA、s−BZPDA、s−DSPDA等が挙げられる。これらのうち、特にODPA、s−BPDAを好適に用いることができる。
上記一般式(1),(2)において、本発明のイミドオリゴマーに用いるジアミンは、酸二無水化物と縮合反応してポリイミド構造を形成し得るものであればよく、特に限定されるものではない。本発明に用いるジアミンとしては、1,4,4−APBを4量体あたり3分子以上必須とし、目的により3,4’−ODA、1,3,3−APBや1,3,4−APBを1分子以下用いる。その他、1,2,4−APB、ODPA、1,3,3−APB、1,3,4−APB、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルンゼンや1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンを好適に用いることができる。
上記一般式(1),(2)において、本発明のイミドオリゴマーにおいては、4−PEPAにより末端を修飾することで、従来の架橋性末端化合物(例えば、4−エチニルフタル酸無水化物(4−EPA))よりも酸素存在下高温での連続使用が可能となる。このため、本発明のイミドオリゴマーは、ポリイミド樹脂成形品の製造に際して、酸素存在下高温での連続使用を目的とする成形品への応用が可能となる。
また、上記一般式(1),(2)において、m、nはイミド繰り返し構造の平均重合度であり、平均重合度(m+n)は1〜16である。なお、この平均重合度は、イミドオリゴマーの製造に用いる芳香族ジアミン、酸二無水化物の比率を変化させることで適宜調整することが可能である。本発明のイミドオリゴマーにおいて、各イミド繰り返し構造の平均重合度m+nが12を超えると、熱溶融性に劣り、成形が困難になる場合がある。イミドオリゴマーの成形性の観点から、各イミド繰り返し構造の平均重合度(m+n)は1〜12であることが好ましく、さらに好ましくは2〜8である。各イミド繰り返し構造の平均重合度が前記範囲内であり、mがnより大きいと特に大きな破断伸度に優れたイミドオリゴマーが得られる。
本発明にかかるイミドオリゴマーにおいては、上記一般式(1),(2)に示されるように、上記非軸対称性酸二無水化物a−BPDAを4量体あたり3分子以上、ジアミン主組成1,4,4−APBを3分子以上と3,4’−ODA、1,3,4−APBや1,3,3−APBを1分子以下からまるオリゴマー鎖の基本構造としているだけで、オリゴマー鎖は全体として螺旋構造を示している。そして、この結果、本発明にかかるイミドオリゴマーは比較的低い温度で熱溶融するため、熱成形が容易であり、また、加熱硬化後のポリイミド樹脂の熱分解温度が500℃以上に達し、耐熱性においても非常に優れている。
なお、例えば、特許文献1に記載されているような従来の螺旋性のイミドオリゴマーは、熱成形性及び加熱硬化後のポリイミド樹脂の耐熱性に優れてはいるものの、反応溶剤への溶解性は低く、製造において多大なコストがかかってしまうという問題があった。これに対し、本発明にかかるイミドオリゴマーは、NMP等の有機溶剤に溶解し、優れた熱成形性及び加熱硬化後のポリイミド樹脂の耐熱性を有するイミドオリゴマーを、容易且つ安価に得ることができる。
以上のようにして得られたアミド酸オリゴマーは、反応終了後の溶液を攪拌しながら、化学イミド化剤を加え、イミド化終了後に、溶剤より低沸点の化学イミド化剤を真空留去後、数時間60℃程度で真空下に放置することで、イミドオリゴマー溶液として用いることができる。また、加熱脱水反応させ、イミドオリゴマーワニスとして用いられる。さらに、アルコール類を攪拌し、滴化沈殿させて得られたイミドオリゴマー粉末を濾別乾燥し使用することもできる。
また、以上のようにして得られたイミドオリゴマーは、オリゴマー単独で、あるいは炭素繊維等の繊維状補強材に含浸させた状態で加熱硬化することで、耐熱性に優れたポリイミドマトリックス樹脂とすることができる。加えて、本発明にかかるイミドオリゴマーは、溶融性を示すため、成形性に優れていることから、例えば、金型等により容易に成形することが可能であり、あるいは繊維状補強材等への含浸も容易に行うことができる。
また、イミドオリゴマーの加熱硬化に際し、加熱温度及び加熱時間については、所望のポリイミド樹脂の物性に合わせて適宜調整することができる。なお、本発明にかかるイミドオリゴマーは、約280℃程度で一次硬化を開始する。より具体的には、例えば、予備的に200℃程度の温度で一定時間加熱することでイミドオリゴマーを熱溶融し、その後、280〜320℃程度で一定時間加熱して一次硬化を行い、その後、340〜400℃の温度で一定時間加熱して二次硬化して、耐熱性及び機械的特性に優れたポリイミド樹脂硬化物を得ることができる。なお、それぞれの加熱工程における加熱温度を高くするか、あるいは加熱時間を長くすることによって、通常、ポリイミド樹脂硬化物の耐熱性が向上する。
なお、本発明のイミドオリゴマーを用いたポリイミド樹脂成形体の製造は、公知の方法にしたがって行なえばよい。例えば、本発明のイミドオリゴマーの粉末を金型内に充填し、280℃、0.5〜5MPa程度で、1〜12時間程度加熱圧縮成形して一次成形品を得ることができる。つづいて、230〜350℃、0.5〜5MPa程度で、1〜3時間程度加熱圧縮成形することにより、耐熱性及び機械的特性に優れたポリイミド樹脂成形体を得ることができる。なお、一次成形品を得る必要がなければ、直接300〜400℃程度の高温で加熱処理圧縮処理を行なってもよい。また、例えば、本発明のイミドオリゴマーワニスを炭素繊維等の繊維状補強材に含浸させ、〜200℃で1〜3時間程度加熱乾燥した後、さらに加圧下、280〜400℃で1〜5時間程度加熱して、ポリイミド樹脂の繊維含有複合体を得ることができる。また、例えば、ガラス板等の剥離性の良好な支持体上へと塗布し、250〜350℃で1〜5時間程度加熱して、ポリイミド樹脂フィルムを得ることができることが分かった。
実施例1
Figure 2014201740
下記7としたイミドオリゴマーを例示すると(他も7−7と同じ操作手順)、四つ口フラスコ(500ml)を室温下、窒素置換し、窒素気流下、NMP230gをN/N〜30%となるように攪拌し、1,4,4−APB41.150g、3,4’−ODA8.053gとa−BPDA47.332gを加え、室温下攪拌する。2時間後温度センサーが発熱の終了を確認後、4−PEPAを9.984g加え、二時間後温度センサーで発熱の終了を確認した。その後、窒素気流下、無水酢酸400g、トリエチルアミン36.7g、を加え12〜24時間続け、淡い黄色を呈したポリイミドオリゴマーワニスを得た。
その後、生成した酢酸とトリエチルアミン等を真空下留去して得たワニスを洗浄乾燥させたガラス板にカプトンテープを用い、成形型とし、ガラス棒を用い、均一にガラス板に塗布し、190℃で1時間乾燥させ、380℃で2時間加熱処理をした。冷却後、ナイフで切れ目を入れ、水の入ったビーカーにガラス板ごと付けた。剥離したフィルムを室温で一昼夜乾燥させ、幅3mm、長さ50mmに切り取り、膜厚測定後、力学試験を行った。
以下は、イミドオリゴマーの物性を示す。
Figure 2014201740
Figure 2014201740
以上とで得られたイミドオリゴマーに準じて得られた各種イミドオリゴマーの物理的製出を4量体で検討した。その結果を表2に示す。
Figure 2014201740
Figure 2014201740
さらに、7の組成と量体数の関係を検討した。但し、NMP溶液の安定性から組成比が若干異なるが、その結果得を表3に示す。
Figure 2014201740
以上で得られたポリイミド樹脂硬化物については、引張り試験は、島津製作所社製,ASGS−1kgNGを用い、恒温恒湿室で測定した。Tについては、Perkins社製DSC8500により計測した。TG−DTAはPerkins社製STA 6000を用い窒素雰囲気下、昇音速度10℃/mm−1で見積もった。線膨張係数CTEは島津社製TMA−60昇温速度10℃/mm−1,ロード10.0g、空気雰囲気下で測定し、例えば、7−8では,CTE=18.8ppmと電子材料として使えることが分かった。
実施例2
実施例1で重合したオリゴマー溶液をメタノール700mlに反応液を投入し、濾過後メタノールで洗浄濾過を数回繰り返し、80℃で一晩乾燥させ、黄色の粉末状イミドオリゴマーを得た。
以上で得られたイミドオリゴマー粉末をポリイミドフィルムに所要量を取り、ホットプレス上250℃で0.5時間溶融・脱泡した後、250℃、2MPaでホットプレス上を用い10分脱泡・加圧を繰り返し、380℃2時間加熱し(昇温速度5℃/分)、ポリイミド樹脂硬化物を得た。窒素気流下、TG−DTAによる分析の結果、5%熱分解温度が562℃(昇温速度10℃/分)、DSCによるTが371.7℃(昇温速度10℃/分)CTEは19ppmであることを確認した。また、厚さ約75μmのフィルムの初期弾性率は3.6GPa、破断強度114.8MPa、破断伸度37.1%であった。
比較例
表1に示したイミドナンバー1、3、4、5が比較例である。
上記実施例1,2の結果から、非軸対称性芳香族酸無水化物a−BPDAを4量体あたり3分子以上、1,4,4−APBを4量体あたり3分子以上とし、3,4’−ODAを1分子以下のみ有し、且つ架橋性末端が4−PEPA残基からなり、上記一般式(1)により表されることを特徴とするイミドオリゴマー実施例1,2のイミドオリゴマーにおいては、容易にフィルムが得られることから、従来よりも低温での一次成形が可能であることがわかった。また、このイミドオリゴマーを熱硬化して得られたポリイミド樹脂硬化物の50℃%熱分解温度(τ)は500℃以上であり、耐熱性にも非常に優れていることが確認された。また、得られたポリイミド樹脂硬化物の機械的特性も良好なものであることがわかった。
なお、上記実施例1のイミドオリゴマーの化学構造は、オリゴマー鎖が全体として螺旋性を示していると推定できる。そして、以上のようにオリゴマー鎖が螺旋性を示す結果、直線性(結晶性)の高い従来のイミドオリゴマーと比較して、より低い温度で容易に熱成形を行なうことが可能となると考えられる。また、架橋性末端化合物として4−PEPAを使用することによって、従来よりも低温で一次硬化を行うことができるため、より幅広い成形品への応用が可能となると考えられる。さらに、1,4,4−APBを主分子とすることで、加熱硬化後のポリイミド樹脂においては、優れた耐熱性及び大きな破断伸度に代表される機械的特性が得られ、3,4’−ODAとa−BPDAにより溶解性を確保し、低温硬化と有機溶剤への溶解性を実現し、1,4,4−APBにより大きな破断伸度を実現している。
本発明のイミドオリゴマーの化学構造の模式図 実施例1のイミドオリゴマーの化学構造の模式図 本発明のイミドオリゴマーの末端架橋基の化学構造の模式図

Claims (7)

  1. 非軸対称性芳香族酸無水化物2,3,3’、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水化物(a−BPDA)を4量体あたり3分子以上、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(1,4,4−APB)を単独または組み合わせて3分子以上有し、3,4’−オキシジアニリン(3,4’−ODA)を1分子以下有し且つ架橋性末端が4−フェニルエチニルフタル酸無水化物(4−PEPA)残基からなり、下記一般式(1)により表されることを特徴とするイミドオリゴマー。
    Figure 2014201740
    (上記式(1)において、m、nは各イミド繰り返し構造の平均重合度でmは1〜8、nは0〜3であり、m+n≦8)
  2. 請求項1に記載のイミドオリゴマーにおいて、イミドオリゴマー全体の平均分子量が8,000以下であることを特徴とするイミドオリゴマー。
  3. 請求項1から3のいずれかに記載のイミドオリゴマーにおいて、下記一般式(2)を特徴とするアミック酸オリゴマー。
    Figure 2014201740
  4. 請求項3に記載のアミド酸オリゴマーにおいて、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、γ−ブチロタクトン、アクアミド(TM)等の極性溶媒存在下、加熱脱水反応によりイミド化し得られるイミドオリゴマー。
  5. 請求項3に記載のアミド酸オリゴマーで、60℃以下の低温でトリエチルアミン/無水酢酸等化学イミド化剤を用い、イミド化後、残存化学イミド化剤並びにその副生成物を減圧下留去して得られるイミドオリゴマーとそのワニス。
  6. 請求項1、2、4,5で得られたイミドオリゴマーを、メタノール等のアルコールを用いて沈殿させ得られる粉体イミドオリゴマー。
  7. 請求項1から6に記載オリゴマーを加熱硬化させてなることを特徴とするポリイミド樹脂。
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