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JP2014139483A - 減速装置 - Google Patents

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JP2014139483A JP2014088543A JP2014088543A JP2014139483A JP 2014139483 A JP2014139483 A JP 2014139483A JP 2014088543 A JP2014088543 A JP 2014088543A JP 2014088543 A JP2014088543 A JP 2014088543A JP 2014139483 A JP2014139483 A JP 2014139483A
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Abstract

【課題】主軸受の加工性が高く、ひいてはコストの低減を図ることのできる減速装置を得る。
【解決手段】ケーシング16と、内歯歯車48と、該内歯歯車48に内接噛合する外歯歯車44と、前記ケーシング16とフランジ体12との間に介在される主軸受18と、を備えた減速装置2において、前記主軸受18の転動体として、前記内歯歯車48の軸線O1に対して傾斜した回転軸O2、O3を有する複数の円筒ころ60A、61Aよりなる一対の円筒ころ列60、61と、前記円筒ころ60A、61Aの転走面を提供する内輪64、66及び外輪68、70と、を備え、該内輪64、66及び外輪68、70には前記円筒ころ60A、61Aの軸方向の移動を拘束する鍔部がなく、リテーナ74、76によって該円筒ころ60A、61Aの軸方向の移動が拘束され、前記リテーナ74、76は、前記主軸受18以外の部材に接触している。
【選択図】図2

Description

本発明は、出力部材と固定部材との間に介在される主軸受を備えた減速装置に関する。
特許文献1に出力部材と固定部材との間に介在される主軸受として、円筒ころを用いた一対のアンギュラころ軸受を備えた減速装置が開示されている。このアンギュラころ軸受は、前記円筒ころを支持する専用の内輪及び外輪を備えている。このうち内輪は「鍔部」を有しており、円筒ころが内輪及び外輪から外れないように該円筒ころの軸方向の移動をこの「鍔部」によって規制している。
特開2003−74646号公報(段落[0012]、図4)
特許文献1で開示されているような、円筒ころの軸方向の移動を押さえるための「鍔部」を備えた内輪あるいは外輪を備えた主軸受は、当該鍔部を有する内輪あるいは外輪の加工性がその素材の硬度の高さ故に非常に悪く、コスト高になり易いという問題があった。
本発明は、このような従来の問題を解消するためになされたものであって、主軸受の加工性が高く、ひいてはコストの低減が図られる減速装置を提供することをその課題としている。
本発明は、ケーシングと、内歯歯車と、該内歯歯車に内接噛合する外歯歯車と、前記ケーシングとフランジ体との間に介在される主軸受と、を備えた減速装置において、前記主軸受の転動体として、前記内歯歯車の軸線に対して傾斜した回転軸を有する複数のころよりなる一対のころ列と、前記ころの転走面を提供する内輪及び外輪と、を備え、該内輪及び外輪には前記ころの軸方向の移動を拘束する鍔部がなく、リテーナによって該ころの軸方向の移動が拘束され、前記リテーナは、前記主軸受以外の部材に接触していることにより、上記課題を解決したものである。
本発明によれば、主軸受の加工性が高く、ひいてはコストの低減を図ることのできる減速装置を得ることができる。
本発明の参考例に係る減速装置の断面図 図1の要部拡大図 リテーナに円筒ローラが組み込まれている斜視図 リテーナの部分拡大正面図 第1、第2主軸受付近の要部拡大図 第1、第2主軸受の形状的変形例を示す図5相当の拡大図付近の要部拡大図であって(A)は参考図、(B)は本発明の実施形態の一例を示す要部拡大図 本発明の他の参考例に係る減速装置の例を示す断面図
以下、図面に基づいて本発明の参考例から詳細に説明する。
なお、以下においては、主軸受の転動体として、単純な「円筒ころ」を用いる。「円筒ころ」よりなる転動体は、例えばテーパころに比べて低コストであり、また、回転軸と外周(転走面と接触する面)が平行であるため軸方向に移動しようとする分力が基本的に発生しない(製造誤差、組みつけ誤差等の理由によって発生したとしても弱い)。そこで、円筒ころの軸方向の移動を規制するための「鍔部」を内外輪自体に形成するのを敢えて省略し、この機能をリテーナに持たせるようにしている。このため、主軸受の内外輪は、その形状を簡素化でき、極めて良好な加工性が得られるようになり、加工の簡略化及び低コスト化が実現できる。また、鍔部がある場合に比べて、回転ロスを低減することができる。
また、以下の記載における円筒ころは、出力部材の軸線に対して傾斜した回転軸を有している。そのため、ラジアル及びスラストの双方の荷重を受けることができる。また、円筒ころの回転軸が出力部材の軸線に対して傾斜していることから、リテーナによって各円筒ころを支持した状態で固定部材と出力部材との間に円筒ころを配置すると、リテーナは円筒ころの回転軸の軸方向には、大径側にも小径側にも動くことができなくなるため、リテーナ自体の位置決め機構が基本的に不要となる。このため円筒ころを支持した状態のリテーナの組み込みも容易である。
なお、以下の記載における「出力部材」と「固定部材」は、相対的なものである。例えばロボットの関節駆動用として適用されている場合には、着目する部材を変えれば、出力部材と固定部材は逆転する。また、ロボットの関節自体が動いていることから、出力部材も固定部材も工場の土台から見るならば動いていることになる。即ち、固定部材は、必ずしも絶対的に停止しているという意味では用いられていない。ただし、減速装置の各部材の中で、出力部材は、固定部材に対し、非常に遅い相対回転速度で、且つ非常に大きなトルクで回転している。「主軸受」は、出力部材と固定部材を構成するケーシングとフランジ体との間に介在され、減速装置の軸受の中で相対回転速度は非常に遅い(例えば100rpm以下)が、扱うトルクは非常に大きな箇所(またはそれに準じる箇所)に用いられる軸受を意味している。
図1は、本発明の参考例の一例が適用されたロボット用精密制御機械の減速装置の断面図、図2は、その要部拡大図である。
この減速装置2は、ロボットを制御するための、例えばバックラッシ15分(15/60度)〜2分(2/60度)程度、より精密度の高いものにおいては、2分(2/60度)〜0.3分(0.3/60度)程度の精密機械に使用されるもので、前段にモータ4からの駆動力を受ける平行軸歯車構造の減速機構5、後段に内接噛合遊星歯車構造の減速機構6を備える。この減速装置2はロボット(全体は図示略)の第1部材8と第2部材10との間に配置され、第1部材8に対し第2部材10を相対的に回転駆動する。従って、この参考例では、後述する第1、第2フランジ体12、14が固定部材、ケーシング16が出力部材に相当している。即ち、いわゆる枠回転型の減速装置である。
以下具体的な構成を詳述してゆく。
モータ4は、ロボットの第1部材8にボルト22を介して固定されている。モータ4のモータ軸24には継手26が連結されている。継手26の先端にはピニオン28が形成されている。ピニオン28は3個の振り分けギヤ30A〜30Cと同時に噛合している。図1、図2では3個の振り分けギヤ30A〜30Cのうちの振り分けギヤ30Aのみが描写されている。
各振り分けギヤ30A〜30Cは、3本の偏心体軸32A〜32Cに組み込まれている(図1、図2では偏心体軸32Aのみ描写)。
各偏心体軸32A〜32Cは、円錐ころ軸受34、36を介して、第1、第2フランジ体12、14に支持されている。偏心体軸32A〜32Cには偏心体40A〜40C、42A〜42Cが一体的に形成されている(図1、図2では偏心体軸32Aの偏心体40A、42Aのみ描写)。同一の偏心体軸に組み込まれた偏心体、例えば偏心体軸32Aに組み込まれた偏心体40A、42Aは、互いに180度の偏心位相を有している。各偏心体軸32A〜32Cの軸方向同位置にある偏心体、例えば、偏心体軸32Aの偏心体40A、偏心体軸32Bの偏心体40B、及び偏心体軸32Cの偏心体40Cは、互いに同一の偏心位相で組み込まれている。また、偏心体軸32Aの偏心体42A、偏心体軸32Bの偏心体42B、及び偏心体軸32Cの偏心体42Cも、互いに同一の偏心位相で組み込まれている。
これらの構成により、各偏心体軸32A〜32Cはそれぞれの振り分けギヤ30A〜30Cと一体的に同一方向に同一速度で回転可能であり、且つ、各偏心体軸32A〜32Cの回転により、偏心体40A、40B、40Cがセットで同一位相で回転し、同様に偏心体42A、42B、42Cのセットが同一位相で回転する。なお、偏心体40A、40B、40Cのセットの偏心位相と、偏心体42A、42B、42Cのセットの偏心位相は、互いに180度ずれている。
一方、この減速装置2は、2枚の外歯歯車44、46と該外歯歯車44、46が内接噛合する内歯歯車48を備える。外歯歯車44は、前記偏心体軸32A〜32Cに対応する偏心体軸孔44A、44B、44Cを備え(図1、図2には、偏心体軸32Aに対応する偏心体軸孔44Aのみ図示)、外歯歯車46も、同様に各偏心体軸32A〜32Cに対応する偏心体軸孔46A、46B、46Cを備える(図1、図2には、偏心体軸32Aに対応する偏心体軸孔46Aのみ図示)。
外歯歯車44の偏心体軸孔44A、44B、44Cには、前記偏心体軸32A〜32Cの偏心体40A、40B、40Cがころ48A〜48C(ころ48Aのみ図示)を介して嵌入している。外歯歯車46の偏心体軸孔46A、46B、46Cには、前記偏心体軸32A〜32Cの偏心体42A、42B、42Cがころ50A〜50C(ころ50Aのみ図示)を介して嵌入している。
この構成により、各偏心体軸32A〜32Cの偏心体40A、40B、40Cのセット、及び偏心体42A、42B、42Cのセットが、それぞれ同一方向に同一速度で回転することにより、2枚の外歯歯車44、46が180度の位相差にて偏心揺動するようになっている。
2枚の外歯歯車44、46は、前記内歯歯車48に内接噛合している。内歯歯車48はケーシング16と一体化されている。ケーシング16はボルト56を介してロボットの第2部材10に固定され、「出力部材」として機能している。内歯歯車48の内歯は円筒状の外ピン52によって構成されている。外歯歯車44、46の歯数はNであり、内歯歯車48の歯数(外ピン52の数)は、N+1である。即ち、内歯歯車48の歯数は外歯歯車44、46の歯数より1だけ多い。
ここで、各偏心体軸32A〜32Cは、円錐ころ軸受34、36を介して第1、第2フランジ体12、14に回転自在に支持されている。第1、第2フランジ体12、14は、ボルト58によって連結されている。第1フランジ体12とケーシング16の間には、第1主軸受18が設けられている。第2フランジ体14とケーシング16の間には、第2主軸受20が設けられている。
第1、第2主軸受18、20は、第1、第2フランジ体(固定部材)12、14の外周に配置され、ケーシング(出力部材)16を、第1、第2フランジ体12、14に対し、減速装置2内の部材の中で、最も遅い相対回転速度(例えば100rpm以下)で、且つ最も大きなトルクで回転自在に支持している。この参考例では、第1、第2フランジ体12、14は、共に固定部材として一体的にロボットの前記第1部材8に固定されている。このため、第1、第2フランジ体12、14に対してケーシング16が相対回転すると、結果として該第1、第2フランジ体12、14と一体化されているロボットの第1部材8に対して、ケーシング16と一体化されているロボットの第2部材10が相対回転することになる。
次に、図1〜図3を合わせて参照して、第1、第2主軸受18、20付近の構成について詳細に説明する。
第1、第2主軸受18、20は、その転動体として、背面組合せで組み込まれた一対の円筒ころ列60、61を備える。各円筒ころ列60、61は、第1、第2フランジ体12、14の軸線O1に対して45度傾斜した回転軸O2、O3を有するように並べられた複数の円筒ころ60A、61Aで構成されている。この円筒ころ60A、61Aとしては、いわゆるクロスローラ軸受に用いる直径と高さ(軸方向長さ)が同一の円筒ころを転用することができる。即ち、クロスローラところを兼用できるので、さらなるコスト低減が図れる。
円筒ころ60A、61Aは、テーパころと異なり、回転軸と外周が平行(ケーシング16側の接触線と第1、第2フランジ体12、14側の接触線が平行)であるため、基本的に運転によるスラスト方向の分力が発生しない。この点に着目し、この参考例では、第1、第2主軸受18、20の内輪64、66及び外輪68、70を、(内外輪の)円周方向と直角の断面がほぼ直角2等辺3角形とし、円筒ころ60A、61Aの軸方向の移動を拘束するためのいわゆる「鍔部」の形成を省略している。その上で、製造誤差、組みつけ誤差等の理由によって実際には発生する可能性のある円筒ころ60A、61Aの軸方向の移動をリテーナ74、76によって押さえるようにしている。
第1主軸受18と第2主軸受20は、対称に組み込まれており、構成としては内輪64、66、外輪68、70、及びリテーナ74、76を含め基本的に同一である。したがって、便宜上、以降第2主軸受20側に着目して詳細に説明することとし、第1主軸受18については重複説明を省略する。
この参考例の第2主軸受20に係るリテーナ76は、樹脂製である。なお、鉄製や鋼製でもよい。
図3は、円筒ころ61Aを組み込んだ状態(一部の円筒ころのみ外してある)を示す斜視図であり、図4は、円筒ころ61Aを外した状態のリテーナ76の一部を拡大して示した正面図である。リテーナ76には、円筒ころ61Aを組み付けるためのポケット76Aが複数(円筒ころの数だけ)形成されており、各ポケット76Aの内周には円筒ころ61Aを回転自在に保持するための凹部(係止部)76Bが形成されている。円筒ころ61Aは、樹脂の弾性(ポケット76A周りの弾性変形)を利用して押し込むようにしてポケット76A内に組み込まれる。一度各ポケット76A内に組み込まれた円筒ころ61Aは、ポケット内周の凹部76Bに支持されて自由に回転できる。全円筒ころ61Aがリテーナ76に組み込まれることで、恰も1部品であるかのような(全体がほぼ円錐台形状の)転動体アセンブリ80が形成される。
図5は、図1、図2の第2主軸受20付近の要部拡大図である。第2主軸受20の内輪66及び外輪70は該内外輪の円周方向と直角の断面がほぼ直角2等辺3角形とされ、円筒ころ61Aの軸方向の移動規制するための鍔部は特に設けられていない。内輪66及び外輪70の断面の直角2等辺3角形の斜辺は円筒ころ61Aの転走面66A、70Aを構成している。この転走面66A、70Aの軸(円筒ころの軸)方向長さL1、L2は、円筒ころ61Aの軸方向長さL0とほぼ同一である。
外輪70には、該外輪70をケーシング16に軸方向(この例では右側)から組み込む際に、組み込みの際の押圧の受面となる(軸と直角の)被押圧部70Bが形成されている。また、内輪66には、該内輪66を第2フランジ体14に軸方向(この例では左側)から組み込む際に、組み込みの際の押圧の受面となる(軸と直角の)被押圧部66Bが形成されている。
外輪70は、その軸方向内側面70Cにて内歯歯車48の内歯を構成する外ピン52の軸方向の移動を規制している。また、外歯歯車44、46の軸方向移動も規制している(外ピン52及び外歯歯車44、46の移動規制手段を兼ねている)。
転動体アセンブリ80は、全体がほぼ円錐台形状となっているため、特にリテーナ76の軸方向の支持(移動拘束)を行わなくても、基本的に該転動体アセンブリ80全体が円筒ころ61Aの軸方向に動くことはない(動けない)。そのため、この参考例では、リテーナ76の軸方向の移動を拘束するための構成は特に採用していない。
なお、この参考例では、被押圧面66B、70Bだけでなく、転走面の反対側の側端部にも、平坦面66C、70Cが形成されているが、この平坦面66C、70Cは(押圧の必要がないので)なくてもよいし、被押圧面66B、70Bより幅がせまくてもよい。この場合には、一層のコンパクト化が可能である。
また、この第1、第2主軸受18、20は、接触角が45°に設定されているため、作用点スパンを長くすることができ、軸受に作用する荷重を低減できる為、コンパクト化もしくは、長寿命化が可能である。
なお、第2(第1も同様)主軸受の形状的変形例として、例えば、図6(A)、(B)に示されるような構成も採用できる。図6(A)に示されるように、第2主軸受82の内輪84及び外輪86の転走面84A、86Aの軸方向長さL3、L4は、円筒ころ61Aの軸長L0よりも短く形成するようにしてもよい。内輪84及び外輪86の転走面84A、86Aの軸方向長さL3、L4を、円筒ころ61Aの軸長Loよりも短く形成した場合には、鍔部がないことと相まって、さらに、回転ロスを少なくできるようになると共に、内輪84及び外輪86の一層のコンパクト化を図ることができ、第2主軸受82全体の大きさをより小さくすることができる。
また、図6(B)は本発明の実施形態の一例に相当するもので、この第2主軸受91の例では、内輪92及び外輪94の円周方向と直角の断面の被押圧面92A、94Aをなくすことによって内輪92及び外輪94を極小化している。つまり、断面を直角二等辺三角形としている。また、リテーナ90の一部をそれぞれケーシング16及び外歯歯車46と接触させている。このような構成とした場合には、第2主軸受91を更に小型化でき、また、リテーナ90の軸方向の移動を当該接触によっても拘束することができるため、円筒ころ61Aがリテーナ90内で軸方向に移動しようとした際に該リテーナ90に生じる(圧縮或いは引張りの)内部応力をより低減することができる。
これらの構成は、第1主軸受18の側でも同様に可能である。
次にこの減速装置2の作用を説明する。
ロボットの第1部材8と第2部材10の動きは、相対的なものであるが、ここでは便宜上、第1部材8が固定されている状態であると考えて、当該減速装置2の作用を説明する。
モータ4のモータ軸24が回転すると該モータ軸24と連結されている継手26が回転し、該継手26の先端に形成されているピニオン28が回転する。ピニオン28が回転すると、該ピニオン28と噛合している振り分けギヤ30A〜30Cが回転し、偏心体軸32A〜32Cが同一方向に同一の回転速度で回転する。偏心体軸32A〜32Cが回転すると、偏心体40A〜40C及び円筒ころ48A〜48Cを介して外歯歯車44が偏心揺動すると共に、偏心体42A〜42C及び円筒ころ50A〜50Cを介して外歯歯車46が偏心揺動する。
この構成例では、外歯歯車44の偏心体軸孔44A〜44C、及び外歯歯車46の偏心体軸孔46A〜46Cをそれぞれ偏心体軸32A〜32Cが貫通している。また、各偏心体軸32A〜32Cは、円錐ころ軸受34、36により回転(自転)はできるが、第1、第2フランジ体12、14に対する組み込み位置は固定されている。そのため、偏心体軸32A〜32Cが貫通している外歯歯車44、46は、その自転が拘束され、偏心体軸32A〜32Cの回転によって揺動するのみとなり、該揺動によって内歯歯車48との噛合位置が順次ずれることになる。この結果、外歯歯車44、46が1回揺動するごとに、内歯歯車48は外歯歯車44、46との歯数差分「1/(N+1)」だけ外歯歯車44、46に対する位相がずれる(回転する)。この内歯歯車48の回転は、該内歯歯車48と一体化されているケーシング16の回転となって現れ、ボルト56を介してロボットの第2部材10を(ロボットの第1部材8に対して)回転させる。なお、この(相対)回転速度は、例えばこの構成例のようなロボット駆動用の減速装置2の場合、大きくとも100rpmである。この程度の回転速度ならば、「円筒ころ」でも十分に実用になり得る。逆に言うならば、これ以上速くなると、内輪側−外輪側の速度差が大きくなり、発熱によるグリース乾き、ひいては損傷が生じる恐れがあるため好ましくない。
ここで、第1、第2主軸受18、20の円筒ころ60A、61Aは、単純な「円筒ころ」であるため、低コストであり、また、回転軸O2、O3と外周が平行であるため軸方向に移動しようとする分力が基本的に発生しない。そのため、リテーナ74、76によって円筒ころ60A、61Aを支持するだけで、各円筒ころ60A、61Aの軸方向の動きを十分規制することができる。
そのため、内輪64、66及び外輪68、70は円筒ころ60A、61Aの軸方向の動きを規制するためのいわゆる鍔部を形成する必要がなく、軸直角断面がほぼ直角二等辺三角形の単純な形状とすることができ、加工工数及び加工コスト、ひいては、減速装置のコストを大幅に低減することができる。さらに、回転ロスも低減できる。
また、内輪64、66及び外輪68、70とも、該内輪64、66または外輪68、70を前記ケーシング16あるいは第1、第2フランジ体12、14に軸方向から組み込む際に、組み込みの際の押圧の受面となる(軸と直角の)被押圧部66B、70B(第2主軸受20の場合)を形成するようにしたため、内外輪の円周方向と直角の断面が基本的な形状が直角二等辺三角形であるにも拘わらず、組付けも容易に且つ確実に行うことができる。
更に、このような複数の円筒ころ60A、61Aを、出力部材であるケーシング16の軸線O1に対して45度傾斜した回転軸O2、O3を有して「背面合わせの一対の円筒ころ列60、61」として組み込んでいるため、広い作用スパンでラジアル及びスラストの双方の荷重を良好に受けることができ、ロボットの第1部材と第2部材が相対回転したときの捻れ荷重を良好に受け止めることができる。また、各円筒ころ60A、61Aは、内外輪の転走面66A、70A(第2主軸受20の場合)とは線接触で当接するため、耐荷重が大きく、且つバックラッシは小さい。
本発明においては、減速装置の具体的な構成は特に限定されない。モータから減速装置に動力を入力するための構成についても、特に上記構成例に限定されない。又、例えば、減速機構には、単純遊星歯車機構を採用してもよいし、図7に示されるような、いわゆるセンタクランク式と称されるタイプの内接噛合遊星歯車構造の減速歯車機構を有するものであってもよい。
図7に示す減速装置100は、入力軸102と、該入力軸102と一体的に形成された偏心体104、106と、該偏心体104、106の外周にころ108、110を介して揺動回転自在に組み込まれた外歯歯車112、114と、該外歯歯車112、114が内接噛合する内歯歯車116と、を備える。
外歯歯車112、114と内歯歯車116は僅少の歯数差(例えば1)を有している。
内歯歯車116は、ケーシング118と一体化されて固定されている。又、外歯歯車112、114の自転成分が内ピン120を介して該内ピン120と一体的な第1、第2フランジ体122、124から取り出されるようになっている。入力軸102は、一対の軸受126、128を介して第1、第2フランジ体122、124に支持されている。
このような構成の減速装置でも、前記構成例と全く同様の構成の第1、第2主軸受18、20をそのまま適用・組み込み可能であり、全く同様の作用効果を得ることができる。
なお、上記構成例においては、円筒ころが、第1、第2フランジ体の軸線に対して45度傾斜するようにして組み込むように設定されていたが、本発明においては、円筒ころの軸線に対する傾斜は45度に限定されない。これに関連して、上記構成例においては、内外輪の円周方向と直角の断面の形状を略直角2等辺3角形に形成していたが、必ずしも直角2等辺3角形である必要はない。
また、上記構成例においては、第1、第2主軸受の内輪及び外輪に、該内輪または外輪をケーシング(出力部材)または第1、第2フランジ体(固定部材)に軸方向から組み込む際に、組み込みの際の押圧の受面となる軸と直角の被押圧部を形成するようにしていたが、この被押圧部についても、必ずしも形成する必要はない。
なお、転動体である円筒ころの軸方向両端部にはクラウニング処理を施してもよい。この場合、減速装置2の軸方向内側端部のクラウニング部のクラウニング量よりも軸方向外側端部のクラウニング部の方を大きく形成すると、主軸受の内輪側と外輪側とに捻れ変位が発生した場合に、軸方向外側の方がより変位が大きくなって、エッジロードが立ち易くなる現象に良好に対応することができる。もちろん、同一の大きさのクラウニング部としてもよいし、軸方向外側端のみにクラウニング部を形成しても良いし、全く形成しなくともよい。
更に、上記構成例においては外輪68、70によって外歯歯車44、46を押さえるようにしていたが、内輪の被押圧面を減速装置の軸方向に延長して、外歯歯車を押さえるようにしてもよい。逆に、外輪あるいは内輪に、このような押さえ機能を持たせないような構成としてもよい。
ロボットや工作機械のような精密制御機械の駆動用の減速装置として特に有用である。
2…減速装置
4…モータ
5…平行軸歯車構造の減速機構
6…内接噛合遊星歯車構造の減速機構
8…ロボットの第1部材
10…ロボットの第2部材
12…第1フランジ体
14…第2フランジ体
16…ケーシング
32…入力軸
60、61…円筒ころ列
60A、61A…円筒ころ
64、66…内輪
68、70…外輪
74、76…リテーナ

Claims (4)

  1. ケーシングと、内歯歯車と、該内歯歯車に内接噛合する外歯歯車と、前記ケーシングとフランジ体との間に介在される主軸受と、を備えた減速装置において、
    前記主軸受の転動体として、前記内歯歯車の軸線に対して傾斜した回転軸を有する複数のころよりなる一対のころ列と、
    前記ころの転走面を提供する内輪及び外輪と、を備え、
    該内輪及び外輪には前記ころの軸方向の移動を拘束する鍔部がなく、リテーナによって該ころの軸方向の移動が拘束され、
    前記リテーナは、前記主軸受以外の部材に接触している
    ことを特徴とする減速装置。
  2. 請求項1において、
    前記リテーナは、前記ケーシングに接触している
    ことを特徴とする減速装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記主軸受は、軸方向に離れて配置された第1主軸受および第2主軸受を有し、該第1主軸受と第2主軸受との間に前記外歯歯車が配置される
    ことを特徴とする減速装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記内歯歯車は、前記ケーシングに組み込まれた外ピンによって構成され、前記外輪によって、前記外ピンの軸方向移動が規制されている
    ことを特徴とする減速装置。
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