JP2014109334A - 真空断熱材及びそれに用いる真空断熱材用外包材 - Google Patents
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Abstract
【課題】真空断熱材用外包材の初期劣化を抑制し、真空断熱材の性能を維持する。
【解決手段】真空断熱材10は、芯材12と、芯材12を包み且つ内部が真空状態にされた外包材11とを備える。外包材11は、水分及びガスの少なくとも一方を吸着する吸着層23と、吸着層23を両面から挟むように設けられ、ガスバリア性を有する第1のバリア層22及び第2のバリア層24とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】真空断熱材10は、芯材12と、芯材12を包み且つ内部が真空状態にされた外包材11とを備える。外包材11は、水分及びガスの少なくとも一方を吸着する吸着層23と、吸着層23を両面から挟むように設けられ、ガスバリア性を有する第1のバリア層22及び第2のバリア層24とを有する。
【選択図】図1
Description
本開示は、断熱芯材を外包材に封入して外包材の内部を真空状態とした真空断熱材と、それに用いる外包材とに関する。
冷蔵庫、保温庫等に用いる断熱材として、真空断熱材が知られている。真空断熱材は、断熱芯材を袋状の外包材に封入し、外包材の内部を真空状態として密封した構造を有する。
真空断熱材の断熱性能を長期間に亘って維持するためには、外包材内部における真空度を維持することが要求される。
そこで、外部からの水分及びガスの侵入を抑えるために、外包材にはガスバリア性の高い材料が用いられる。また、侵入した水分及びガスを吸着するために、断熱芯材に加えて吸着剤を外包材の中に設けることも行なわれている。例えば、断熱芯材に設けた切り欠きに吸着剤を入れる構成、シート状の吸着剤を断熱芯材と共に外包材に封入する構成等がある。
更に、外包材において、ガスバリア層の一方に水分及びガスを吸着するための吸着層を設けることも行なわれている(例えば、特許文献1及び2)。これにより、ガス及び水分の侵入を抑える機能と、ガス及び水分が侵入した場合にもこれを吸着する機能とを有する外包材となっている。
また、外包材の密封は、一般にはヒートシールによって行なわれる。そこで、外包材の一方の面を、ヒートシールに適した材料からなるヒートシール層とする。真空断熱材の製造の際には、ヒートシール層を内側にした袋状の外包材に断熱芯材を挿入し、ヒートシール層同士を溶着させることで密封が行なわれる。
しかしながら、前記の特許文献1及び2における真空断熱材の外包材には、製造した時からすぐに劣化が始まるという課題がある。つまり、ガス及び水分が吸着材に接触すると吸着はすぐに始まるので、外包材を製造した後、真空断熱材の製造に用いられるまでの間にも吸着層にはガス及び水分が吸着する。この結果、真空断熱材が製造された際、既に吸着層の吸着性能は劣化しており、十分な機能を発揮できない場合がある。
このような外包材の初期劣化を抑制するために、製造した外包材の保存方法及び真空断熱材の製造方法について様々な対策が取られているが、それが製造工程の増加、外包材の無駄(使用できない部分)の増加等の原因となり、コストの上昇を招いている。
また、真空断熱材の状態において、ガスバリア層にピンホールが生じた場合、ガス及び水分が真空断熱材内に侵入して真空度を劣化させ、ひいては断熱性能を劣化させる原因となる。
以上に鑑み、本開示は、真空断熱材用外包材の使用前の劣化(初期劣化)を抑制すると共に、真空断熱材における断熱性能の維持を目的とする。
本願発明者等は、外包材の初期劣化を抑えるために、吸着層の両面にバリア層を設けることを着想した。
また、ヒートシール層同士が溶着されたヒートシール部が、ガス及び水分が真空断熱材内に侵入する経路となること、当該経路からの侵入は外包材の面部分からの侵入に比べて非常に多いことに着目した。更に、その対策として、外包材の内側においてヒートシール部に沿って吸着層を含むシートを設けることを着想した。
具体的に、本開示の真空断熱材は、芯材と、芯材を包み且つ内部が真空状態にされた外包材とを備え、外包材は、水分及びガスの少なくとも一方を吸着する吸着層と、吸着層を両面から挟むように設けられ、ガスバリア性を有する第1のバリア層及び第2のバリア層とを有する。
このような真空断熱材において、外包材の吸着層はその両面にバリア層(第1のバリア層及び第2のバリア層)を備えている。これにより、外包材の吸着層に達する水分及びガスは僅かとなるので、特別な対策を取らなくても外包材の初期劣化は抑制されている。従って、コスト増加を避けながら真空断熱材の性能を確保することができる。
第1のバリア層及び第2のバリア層の少なくとも一方はアルミニウム層であり、アルミニウム層は、アルミニウム箔層又はアルミニウム蒸着層であっても良い。
アルミニウム層は、水分及びガスの侵入を抑えるバリア性に優れるので、バリア層として用いるのに適している。また、アルミニウム層の例としてはアルミニウム箔層及びアルミニウム蒸着層が挙げられ、これらを比較すると、バリア性についてはアルミニウム箔層、断熱性についてはアルミニウム蒸着層が優れている。従って、それぞれ必要に応じて選択するのがよい。
また、外包材は、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる層を備えても良い。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)からなる層は、ガスに対するバリア性に優れている。従って、このような層を設けることにより、外包材のバリア性がより向上するので、より確実に性能が維持される真空断熱材が実現する。ここで、EVOHからなる層は、アルミニウム層からなる第1又は第2のバリア層とは別の追加のバリア層として設けられていても良いし、第1又は第2のバリア層がEVOHからなる層であっても良い。
また、吸着層は、バリア性の高い樹脂に水分及びガスの少なくとも一方を吸着する吸着性材料を含有させた構成であっても良い。
つまり、吸着層自体もバリア性を有するようにしても良い。これにより、外包材のバリア性を更に向上することができる。
また、外包材は、いずれも一方の面にヒートシール層を備え、ヒートシール層同士が溶着されることにより芯材を包んでおり、外包材の内側において、ヒートシール層同士の溶着部に沿って、水分及びガスの少なくとも一方を吸着する吸着層を含むシートが配置されていても良い。
真空断熱材は、ヒートシール層同士が向き合うように2枚の外包材により芯材を挟み、芯材の周囲を囲んでヒートシール層同士を溶着させた構成を有する。ここで、ヒートシール層自体は、通常は吸着性及びバリア性が低い。従って、ヒートシール層同士が合わさったヒートシール部が、水分及びガスの侵入経路となり得る。これに対し、外包材の内側において、ヒートシール部に沿って吸着層を含むシートを配置することにより、ヒートシール部から侵入した水分及びガスを吸着できるようにする。これにより、ヒートシール部を経路とする水分及びガスによる真空断熱材の性能劣化を抑制することができる。
ここで、シートは、外包材と同じ構成を有していてもよい。
また、シートは、外包材に対して溶着されていてもよい。
このようにすると、より確実にヒートシール部から侵入した水分及びガス等を吸着することができる。
また、吸着層は、酸化セリウム、酸化コバルト、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、ゼオライト及びシリカゲルの少なくとも1つを材料として含んでいても良い。
吸着剤の具体的材料として、このようなものを用いることができる。
次に、本開示の真空断熱材用外包材は、水分及びガスの少なくとも一方を吸着する吸着層と、吸着層を両面から挟むように設けられ、ガスバリア性を有する第1のバリア層及び第2のバリア層とを有する。
これにより、ガスバリア性及び吸着性に優れ、且つ、真空断熱材に用いられる前に吸着層が水分及びガスを吸着することが抑制されていることから外包材としての初期劣化を抑制することができる外包材となっている。
尚、第1のバリア層及び第2のバリア層の少なくとも一方はアルミニウム層であり、アルミニウム層は、アルミニウム箔層又はアルミニウム蒸着層であっても良い。
先にも述べた通り、バリア性に優れるアルミニウム層はバリア層として用いるのに適しており、また、バリア性についてはアルミニウム箔層、断熱性についてはアルミニウム蒸着層が優れているので、それぞれ必要に応じて選択するのがよい。
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる層を備えていても良い。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)からなる層はバリア性に優れているので、このような層を設けることにより、外包材のバリア性が向上する。ここで、EVOHからなる層は、アルミニウム層からなる第1又は第2のバリア層とは別の追加のバリア層として設けられていても良いし、第1又は第2のバリア層がEVOHからなる層であっても良い。
また、吸着層は、バリア性の高い樹脂に水分及びガスの少なくとも一方を吸着する吸着性材料を含有させた構成であっても良い。
吸着層自体もバリア性を有するようにすることにより、外包材のバリア性を更に向上させることができる。
また、吸着層は、酸化セリウム、酸化コバルト、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、ゼオライト及びシリカゲルの少なくとも1つを材料として含んでいても良い。
吸着剤の具体的材料として、このようなものを用いることができる。
以上の通り、本開示の真空断熱材用外包材は初期劣化を抑えることができるので、真空断熱材の性能維持及びコスト低下に貢献する。また、ヒートシール部からの水分及びガスの侵入に対応して、真空断熱材の性能を維持することができる。
以下、本開示の真空断熱材及びそれに用いる外包材の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、以下はいずれも例示であり、本開示の技術を記載内容に限定することを意図するものではない。また、図面はそれぞれの構成要素を主体に模式的に示すものであり、細かな形状、寸法等については理解を容易にするための強調及び省略等を含む場合がある。
図1(a)は、本開示の例示的真空断熱材10の断面を示す図であり、図1(b)は、真空断熱材10に用いられている外包材11の構造を示す断面図である。
図1(a)に示す通り、真空断熱材10は、薄い板状又はシート状に形成された断熱芯材12を、両側から外包材11の間に挟んで収納した構造を有する。断熱芯材12の周囲において外包材11同士はヒートシール(熱溶着)されてヒートシール部31を形成している。外包材11の内部は減圧されている。また、外包材11の内側において、ヒートシール部31に沿って吸着シート13が設けられている。断熱芯材12は、例えば、グラスウール等の繊維積層体又は珪酸カルシウム等からなる。
以上のような真空断熱材10は、断熱芯材12によって形状を維持しながら外包材11の内部を真空状態に減圧することにより、断熱性を発揮する。尚、ここで言う真空状態とは、例えば0.1Pa以上で且つ100Pa以下程度に減圧された状態を指すものとする。
真空断熱材10が断熱性を長期にわたって維持するためには、外包材11の内部における減圧状態を維持する必要がある。従って、外包材11は、外部からの水分及びガスの侵入を防止又は抑制する構成とする。
そのために、外包材11は、図1(b)に例示すような積層構造を有する。具体的には、外包材11は、真空断熱材10として使用する際の外側から順に、外表層21、第1のバリア層22、吸着層23、第2のバリア層24及びヒートシール層25が積層された構造を有している。
第1のバリア層22及び第2のバリア層24は、例えば、アルミニウム蒸着層であり、水分及びガスの透過を防止又は抑制するガスバリア性を有する層である。いずれも、膜厚は例えば0.01μm以上で且つ0.1μm以下程度とするのが望ましく、ここでは0.05μmとしている。
吸着層23は、水蒸気、窒素及び酸素等を吸着するための層であり、酸化セリウム、酸化コバルト、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、ゼオライト又はシリカゲル等を用いることができる。この膜厚は例えば10μm以上で且つ200μm以下程度とするのが望ましく、ここでは80μmとしている。
外表層21は、外包材11の機械的強度を得ると共に、より内側の層(第1のバリア層22、吸着層23、第2のバリア層24等)を保護する機能を有する。これは、例えばナイロン又はPET(ポリエチレンテレフタレート)等からなっていても良いし、外表層21自体も複数の層からなっていてもよい。例えば、膜厚12μmのPET層及びその上に積層された膜厚25μmのナイロン層からなっていても良い。
ヒートシール層25は、断熱芯材12を外包材11の内側に封入するために熱溶着が可能な材料、例えばLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)からなる層である。膜厚は例えば20μm以上で且つ100μm以下程度とするのが望ましく、ここでは50μmとしている。
真空断熱材10の内部に対するガス及び水分の侵入は、まず、第1のバリア層22によって防止又は抑制される。水分及びガスが第1のバリア層22を透過した場合、又は、第1のバリア層22にピンホール等が生じ、該ピンホール等から水分及びガスが侵入した場合、吸着層23によって吸着することで外包材11よりも内側への到達を抑制する。第2のバリア層24についても、水分及びガスの侵入を抑制する機能を果たす。
また、吸着層23を第1のバリア層22及び第2のバリア層24によって挟んでいる構造により、真空断熱材10に用いられるよりも前に外包材11が劣化するのを抑制している。
つまり、真空断熱材10を製造するためには、外包材11及び断熱芯材12等の材料が製造され、その後、真空断熱材10に加工される。ここで、外包材11において、吸着層23のいずれか一方のみにガスバリア性を有する層が設けられていたとすると、その反対側からは吸着層に対して水分及びガスが制限無く吸着される。このような吸着は外包材が製造された直後から始まり、真空断熱材に用いられた時点では多くの水分及びガスが吸着していることもありうる。そのような状態の外包材を用いて製造された真空断熱材は、性能を維持することができない。
これに対し、本実施形態の外包材11の場合、吸着層23を両面から挟むように第1のバリア層22及び第2のバリア層24が形成されている。従って、吸着層23に対する水分及びガスの吸着は抑制されており、外包材11の製造後、真空断熱材10に利用されるまでの間に発生する初期劣化は抑制されている。これは、外包材11を用いて製造される真空断熱材10の信頼性(断熱性能の維持)に貢献する。
次に、図1(a)の吸着シート13について更に説明する。図2は、真空断熱材10の外周部を拡大して示す図である。尚、外包材11の積層構造については一部の層のみを示している。
前述の通り、真空断熱材10において、2枚の外包材11が断熱芯材12を挟み、断熱芯材12の周囲においてヒートシール層25同士が溶着されている。ここで、ヒートシール層25はガスバリア性が低いので、断熱芯材12の周囲に形成されるヒートシール部31の端部から真空断熱材10(外包材11)の内側に通じる水分及びガスの侵入路41が形成されてしまう。第2のバリア層24は、ヒートシール層25よりも外側に位置しているので、侵入路41を塞ぐことはできない。
そこで、外包材11の内側において、ヒートシール部31に沿うように、少なくとも吸着層33を含む吸着シート13を配置する。これは、ヒートシール部31における侵入路41を塞ぐように、ヒートシール部31に対して略直角に配置するのが良い。
このようにすると、侵入路41から侵入した水分及びガスについて、吸着シート13を配置の吸着層33によって吸着し、真空断熱材10内の真空度の劣化を抑制することができる。
尚、吸着シート13は、バリア層を更に備えていても良い。吸着層23よりも断熱芯材12の側にバリア層35を備えるようにすると、水分及びガスが断熱芯材12の側に進むのを抑えて真空断熱材10の厚さ方向(矢印42)に拡散させると共に、吸着層23に吸着させることができる。
更に、吸着シート13は、外包材11と同じ構造を備えていても良い。つまり、吸着層33に対し、バリア層35とは反対側にも他のバリア層36を備えていても良い。この場合、水分及びガスを矢印42方向に拡散させることにより経路が長くなり、水分及びガスが断熱芯材12に到達するのを抑制できる。また、仮に吸着シート13に垂直に水分等が侵入したとしても、吸着層23によって吸着させるので、断熱芯材12には到達し難くなっている。
尚、吸着シート13は、ヒートシール部31の側にヒートシール層34を備えているのが良い。これにより、外包材11のヒートシール層25に対して吸着シート13のヒートシール層34を熱溶着させることができる。従って、ヒートシール部31の沿うように吸着シート13を固定し、より確実に侵入路41からの水分及びガスの侵入を抑制することができる。
尚、吸着シート13は、外包材11同士をヒートシールしてヒートシール部31とする際に、吸着シート13付近も同時に加熱することによって、外包材11に対して熱溶着させる。また、外包材11同士のヒートシールとは別に、少なくとも吸着シート13の部分を加熱することによって外包材11に熱溶着させても良い。
(実施例)
次に、実施形態の実施例1について説明する。図3(a)は、実施例1の外包材11aについて、積層構造を示す図である。
次に、実施形態の実施例1について説明する。図3(a)は、実施例1の外包材11aについて、積層構造を示す図である。
本実施例において、吸着層23と、その両側の第1のバリア層22及び第2のバリア層24と、ヒートシール層25とについては、図1(b)に示すのと同様である。つまり、酸化カルシウムからなる膜厚80μmの吸着層33に対し、いずれもアルミニウム蒸着層からなり且つ膜厚が0.05μmである第1のバリア層22及び第2のバリア層24が形成されている。また、最も内側となるヒートシール層25は、膜厚50μmのLLDPE層である。
更に、第1のバリア層22上には、外表層21として、膜厚12μmのPET層52と、その上に積層された膜厚25μmのナイロン層51とが形成されている。
また、第2のバリア層24とヒートシール層25との間に、膜厚12μmのEVOH層53が設けられている。
EVOHはガスに対するバリア性が高い。従って、アルミ蒸着層である第2のバリア層24に加えてEVOH層53を備えることにより、ガスを更に確実に抑制することができる。
尚、外包材11aを用いて形成される真空断熱材全体の厚さは、例えば5mmから20mm程度である。また、ヒートシール部31の幅は、例えば10mmから20mm程度である。
ここで、比較例として、膜厚50μmのLLDPE層からなるヒートシール層と、膜厚6μmのアルミニウム箔層からなるバリア層と、膜厚12μmのPET層及び膜厚25μmのナイロン層からなる外表層だけからなる外包材を考える。
このような比較例の外包材は、例えば、水蒸気透過度において5×10−4g/m2・day性能を有する。これを用いて410mm×290mm(ヒートシール部を含まない)の真空断熱材を形成したとすると、両面からの水分の侵入量は、10年間で0.4g程度となる。
これに対し、本実施例の外包材11では、酸化カルシウムを用いた吸着層23は例えば7g/m2の水分吸着能力を有しており、前記の寸法(410mm×290mm)であれば両側の外包材11を合わせて1.7g程度の水分を吸着できる。
従って、10年間に侵入する水分を十分に吸着可能である。更に、外包材11aを製造してから真空断熱材に用いるまでの期間は、当然ながら10年よりも遙かに短いので、この期間に外包材11aの吸着層23が水分等を吸着して劣化することは防がれている。
また、本実施例の外包材11aを用い、前記の寸法(410mm×290mm)であり且つヒートシール部の幅が20mmである真空断熱材10とした場合、ヒートシール層25部分(侵入路41)からの水分の侵入は10年間で例えば 5.1mg程度となる。これについても、真空断熱材の内部においてヒートシール部31に沿うように吸着シート13を配置することにより、水分侵入を抑制することができる。
尚、図3(a)の例では、第2のバリア層24側にのみEVOH層を設けている。しかしながら、第1のバリア層22の側にもEVOH層を設けても良い。無論、第2のバリア層24側のみにEVOH層を設けても良い。
更に、アルミニウム蒸着層からなるバリア層に代えてEVOH層を設けても良い。この例を図3(b)に示す。図3(b)の外包材11bは、図3(a)の外包材11aから単純に第2のバリア層24を除いた構成を有する。この場合、外包材11aに比べるとヒートシール層25の側におけるバリア性は低くなるが、EVOH層53のバリア性は機能する。使用目的及び要求される性能によっては、このような構成とすることも考えられる。
また、以上では、吸着層23として酸化カルシウムを用いた層を想定しており、吸着層23自体はバリア性を有していない。しかしながら、例えばEVOH、PVOH(polyvinyl alcohol)、PVC(polyvinyl chloride)、PVA(polyvinyl alcohol)、PET(Polyethyleneterephthalate)等のバリア性の高い樹脂に吸着剤を練り込んだ材料によって吸着層23を形成し、吸着性と共にバリア性も有する吸着層としても良い。
また、第1のバリア層22及び第2のバリア層24について、アルミニウム蒸着層からなるものとして説明した。しかしながら、同じアルミニウムを材料としていても、アルミニウム箔層によりバリア層を構成しても良い。
アルミニウム箔層は、アルミニウム蒸着層と比較すると通常は膜厚が大きい。よって、水分及びガスに対するバリア性の観点からはアルミニウム箔層の方が優れている。しかしながら、外包材の他の層を構成する樹脂等に比べてアルミニウムは熱伝導率が高いので、断熱性の観点からは膜厚の薄いアルミニウム蒸着層の方が優れている。
従って、真空断熱材に求められる性能に従って、第1のバリア層22及び第2のバリア層24を個別にアルミニウム箔層又はアルミニウム蒸着層に設定すればよい。
尚、アルミニウム蒸着層の膜厚は0.01μm以上で且つ1μm以下程度、アルミニウム箔層の膜厚は1μm以上で且つ10μm以下程度である。
また、図4に示すように、外包材11とは別に、断熱芯材12を包むように吸着シート61を設けても良い。これにより、外包材11では侵入を防ぐことのできなかった水分及びガスを吸着することができる。例えば、外包材11にピンホールが生じて該ピンホールから水分及びガスが侵入した場合も、これを吸着することによって真空断熱材10の断熱性劣化を抑制することができる。吸着シート61としては、外包材11の吸着層23と同様に、酸化カルシウム等を用いたものを使用すればよい。
本開示の真空断熱材及びそれに用いる外包材は、初期劣化の抑制及び使用中の性能維持に優れるので、冷蔵庫等の断熱用部材として有用である。
10 真空断熱材
11 外包材
11a 外包材
11b 外包材
12 断熱芯材
13 吸着シート
21 外表層
22 第1のバリア層
23 吸着層
24 第2のバリア層
25 ヒートシール層
31 ヒートシール部
33 吸着層
34 ヒートシール層
35 バリア層
36 バリア層
41 侵入路
42 矢印
51 ナイロン層
52 PET層
53 EVOH層
61 吸着シート
11 外包材
11a 外包材
11b 外包材
12 断熱芯材
13 吸着シート
21 外表層
22 第1のバリア層
23 吸着層
24 第2のバリア層
25 ヒートシール層
31 ヒートシール部
33 吸着層
34 ヒートシール層
35 バリア層
36 バリア層
41 侵入路
42 矢印
51 ナイロン層
52 PET層
53 EVOH層
61 吸着シート
Claims (13)
- 芯材と、
前記芯材を包み且つ内部が真空状態にされた外包材とを備え、
前記外包材は、
水分及びガスの少なくとも一方を吸着する吸着層と、
前記吸着層を両面から挟むように設けられ、ガスバリア性を有する第1のバリア層及び第2のバリア層とを有することを特徴とする真空断熱材。 - 請求項1において、
前記第1のバリア層及び前記第2のバリア層の少なくとも一方はアルミニウム層であり、
前記アルミニウム層は、アルミニウム箔層又はアルミニウム蒸着層であることを特徴とする真空断熱材。 - 請求項1又は2において、
前記外包材は、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる層を備えることを特徴とする真空断熱材。 - 請求項1〜3のいずれか1つにおいて、
前記吸着層は、バリア性の高い樹脂に水分及びガスの少なくとも一方を吸着する吸着性材料を含有させた構成であることを特徴とする真空断熱材。 - 請求項1〜4のいずれか1つにおいて、
前記外包材は、いずれも一方の面にヒートシール層を備え、
前記ヒートシール層同士が溶着されることにより前記芯材を包んでおり、
前記外包材の内側において、前記ヒートシール層同士の溶着部に沿って、水分及びガスの少なくとも一方を吸着する吸着層を含むシートが配置されていることを特徴とする真空断熱材。 - 請求項5において、
前記シートは、前記外包材と同じ構成を有することを特徴とする真空断熱材。 - 請求項5又は6において、
前記シートは、前記外包材に対して溶着されていることを特徴とする真空断熱材。 - 請求項1〜7のいずれか1つにおいて、
前記吸着層は、酸化セリウム、酸化コバルト、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、ゼオライト及びシリカゲルの少なくとも1つを材料として含むことを特徴とする真空断熱材。 - 水分及びガスの少なくとも一方を吸着する吸着層と、
前記吸着層を両面から挟むように設けられ、ガスバリア性を有する第1のバリア層及び第2のバリア層とを有することを特徴とする真空断熱材用外包材。 - 請求項9において、
前記第1のバリア層及び前記第2のバリア層の少なくとも一方はアルミニウム層であり、
前記アルミニウム層は、アルミニウム箔層又はアルミニウム蒸着層であることを特徴とする真空断熱材用外包材。 - 請求項9又は10において、
エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる層を備えることを特徴とする真空断熱材用外包材。 - 請求項9〜11のいずれか1つにおいて、
前記吸着層は、バリア性の高い樹脂に水分及びガスの少なくとも一方を吸着する吸着性材料を含有させた構成であることを特徴とする真空断熱材用外包材。 - 請求項9〜12のいずれか1つにおいて、
前記吸着層は、酸化セリウム、酸化コバルト、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、ゼオライト及びシリカゲルの少なくとも1つを材料として含むことを特徴とする真空断熱材用外包材。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012264533A JP2014109334A (ja) | 2012-12-03 | 2012-12-03 | 真空断熱材及びそれに用いる真空断熱材用外包材 |
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JP2012264533A JP2014109334A (ja) | 2012-12-03 | 2012-12-03 | 真空断熱材及びそれに用いる真空断熱材用外包材 |
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