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JP2014108916A - 炭化珪素基板の製造方法 - Google Patents

炭化珪素基板の製造方法 Download PDF

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JP2014108916A JP2012265197A JP2012265197A JP2014108916A JP 2014108916 A JP2014108916 A JP 2014108916A JP 2012265197 A JP2012265197 A JP 2012265197A JP 2012265197 A JP2012265197 A JP 2012265197A JP 2014108916 A JP2014108916 A JP 2014108916A
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Abstract

【課題】転位密度が低く、積層欠陥の発生が抑制されたSiC基板を歩留まりを向上して製造するSiC基板の製造方法を提供する。
【解決手段】SiC基板の製造方法は、オフ角を有し、主面が形成されたSiC基板10の製造方法である。SiC基板の製造方法は、{0001}面に対してオフ角を有する種基板を準備する工程と、種基板上にSiC結晶を成長する工程と、基底面転位の転位線12の方向と、オフ方向Dとのなす角度が75°以上105°以下になるように、SiC結晶からSiC基板10を切り出す工程とを備えている。種基板の上記オフ角は、10°以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭化珪素(SiC)基板の製造方法に関する。
SiCは、バンドギャップが大きく、また最大絶縁破壊電界および熱伝導率はシリコン(Si)と比較して大きい一方、キャリアの移動度はシリコンと同程度に大きく、電子の飽和ドリフト速度および耐圧も大きい。そのため、高効率化、高耐圧化、および大容量化を要求される半導体デバイスへの適用が期待される。
このようなSiC半導体デバイスは、SiC基板と、SiC基板上に形成されたエピタキシャル層とを備えている。SiC半導体デバイスの特性を向上するためには、高品質のエピタキシャル層を形成する必要がある。たとえば、特開2010−76967号公報(以下、特許文献1という)では、転位密度の低いSiC基板を歩留まりを向上して製造するためのSiC基板の製造方法が開示されている。
特開2010−76967号公報
上述のように、上記特許文献1では、転位密度の低いSiC基板を歩留まりを向上して製造することができる。しかし、上記特許文献1では、SiC基板における積層欠陥の発生を抑制する方法が開示されていない。このため、より高品質なSiC基板を製造するためには、積層欠陥の発生を抑制するための方法が要求される。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、転位密度が低く、積層欠陥の発生が抑制されたSiC基板を歩留まりを向上して製造するSiC基板の製造方法を提供することである。
本発明のSiC基板の製造方法は、オフ角を有し、主面が形成されたSiC基板の製造方法であって、以下の工程を備えている。{0001}面に対してオフ角を有する種基板を準備する。種基板上にSiC結晶を成長する。基底面転位の転位線の方向と、SiC基板のオフ方向とのなす角度が75°以上105°以下になるように、SiC結晶からSiC基板を切り出す。種結晶の上記オフ角は、10°以下である。
本発明のSiC基板の製造方法によれば、オフ角を有する種基板上にSiC結晶を成長させている。これにより、基底面転位の転位線が一方向に並ぶ。さらに、上記なす角度が75°以上105°以下の場合には、基底面転位の転位線と主面とが交差することを抑制できる。つまり、転位密度が低いSiC基板を製造することができる。このように、基底面転位の転位線は一方向に並んでいるので、上記なす角度を設定することで、転位密度の低いSiC基板を歩留まりを向上して製造することができる。また、種基板の上記オフ角が10°以下である場合、SiC結晶における積層欠陥の発生が抑制されることを、本発明者は鋭意研究の結果見出した。つまり、{0001}面に対するオフ角が10°以下である種基板を準備し、その種基板上にSiC結晶を成長することにより、積層欠陥の発生が抑制されたSiC基板を製造することができる。したがって、本発明のSiC基板の製造方法によれば、転位密度が低く、積層欠陥の発生が抑制されたSiC基板を歩留まりを向上して製造することができる。
上記SiC基板の製造方法において好ましくは、上記切り出す工程では、上記なす角度が85°以上95°以下になるようにSiC基板を切り出す。
これにより、基底面転位の転位線と主面との交差をより抑制することができる。このため、転位密度のより低いSiC基板をより歩留まりを向上して製造することができる。
上記SiC基板の製造方法において好ましくは、主面が10cm−2以下の基底面転位密度を有するようにSiC基板を切り出す。
上述したように、基底面転位の転位線と主面とが交差することが抑制されているので、このように基底面転位密度を低減したSiC基板を得ることができる。
上記SiC基板の製造方法において好ましくは、上記切り出す工程では、主面が{03−38}面に対して±10°の範囲で傾斜するようにSiC基板を切り出す。
これにより、このSiC基板を用いて作製された半導体デバイスの特性を向上することができる。
上記SiC基板の製造方法において好ましくは、上記切り出す工程では、主面が1000mm以上の面積を有するようにSiC基板を切り出す。また、上記切り出す工程では、主面が4インチ以上の最大幅を有するようにSiC基板を切り出す。
これにより、半導体デバイスの基板として利便性の高いSiC基板を得ることができる。
上記SiC基板の製造方法において好ましくは、上記切り出す工程では、ポリタイプが4HであるSiC基板を切り出す。これにより、このSiC基板を用いて作製された半導体デバイスの特性をさらに向上することができる。
本発明のSiC基板の製造方法によれば、転位密度が低く、積層欠陥の発生が抑制されたSiC基板を歩留まりを向上して製造することができる。
本発明の実施の形態におけるSiC基板を概略的に示す斜視図である。 本発明の実施の形態において、転位線の方向とオフ方向とのなす角度を示す図である。 本発明の実施の形態において、転位線の方向とオフ方向とのなす角度αが90°の場合の図である。 本発明の実施の形態におけるオフ角θおよびオフ方向を説明するための図である。 本発明の実施の形態において、{03−38}面を説明するための図である。 本発明の実施の形態における種基板を概略的に示す斜視図である。 本発明の実施の形態における種基板上に成長したSiC結晶を概略的に示す斜視図である。 一般的な基底面転位を示す図である。 本発明の実施の形態のSiC基板とは異なるSiC基板を概略的に示す斜視図である。 比較例におけるSiC基板を概略的に示す斜視図である。 比較例における転位線の方向とオフ方向とのなす角度を示す図である。 実施例におけるSiC基板の主面のエッチピットを観察した状態を示す図である。 実施例におけるなす角度αと基底面転位密度との関係を示す図である
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。また、本明細書中においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示している。また、負の指数については、結晶学上、”−”(バー)を数字の上に付けることになっているが、本明細書中では、数字の前に負の符号を付けている。
図1は、本実施の形態におけるSiC基板を概略的に示す斜視図である。図1を参照して、本実施の形態におけるSiC基板10を説明する。図1に示すように、SiC基板10は、オフ角θを有しているとともに、主面11を有している。また、SiC基板10には、基底面転位の転位線12が形成されている。転位線12は、基底面において一方向に揃っている。また、主面11は、4インチ以上の最大幅を有している。
図2は、転位線の方向とオフ方向とのなす角度を示す図である。図1および図2に示すように、SiC基板10において、基底面転位の転位線12の方向と、オフ方向Dとのなす角度αは、75°以上105°以下であり、好ましくは85°以上95°以下である。図3は、転位線の方向とオフ方向とのなす角度αが90°の場合の図である。角度αは、図3に示すように90°近傍であることが特に好ましい。角度αが上記範囲の場合、基底面転位の転位線12と主面11とが交差することを抑制することができる。言い換えると、転位線12と主面11とはほぼ交差していない。さらに言い換えると、主面11に露出する転位線12は少ない。このため、主面11における転位密度が低くなる。角度αが75°以上105°以下の場合、主面11は10cm−2以下の低い基底面転位密度を有している。角度αが85°以上95°以下の場合、10cm−2未満のより低い基底面転位密度を有している。角度αが90°近傍の場合、4cm−2以下のより低い基底面転位密度を有している。
このように、角度αを75°以上105°以下にすることにより、主面11の基底面転位密度を10cm−2以下にすることができる。この場合、このSiC基板10の主面11上に形成するエピタキシャル層に引き継がれる転位密度が低くなる。このため、特性を向上したエピタキシャル層を形成できるので、特性を向上したSiC半導体デバイスを実現することができる。
なお、上記転位密度は、たとえばKOH(水酸化カリウム)融液中にSiC基板10を浸し、エッチングされた表面についてノマルスキー微分干渉顕微鏡を用いてカウントされたエッチピット数から求められるエッチピット密度(Etch Pit Density)とする。
ここで、上述した用語について説明する。転位とは、一次元(線状)の結晶欠陥を言う。つまり、転位は、方向を有している。基底面とは、{0001}面(c面)を言う。基底面転位とは、結晶の基底面内に転位線がある転位を言う。
図4は、オフ角θおよびオフ方向を説明するための図である。図4を参照して、(0001)面からのオフ角θおよびオフ方向Dについて説明する。図4に示すように、オフ角θとは、主面11の法線(基板面法線)Nと、<0001>方向(c軸方向)とのなす角度を言う。オフ方向Dとは、主面11の法線Nの(0001)面への投影ベクトルの方向を言う。つまり、オフ方向Dは、法線Nの(0001)面への投影ベクトルが(0001)面内のどの方向を向いているのかを意味する。
また、主面11は、{03−38}面に対して±10°の範囲で傾斜していることが好ましい。この場合、SiC基板10を用いて作製された半導体デバイスの特性を向上することができる。
ここで、図5を参照して、{03−38}面とは、{0001}面に対して約55°(54.7°)の傾斜を有する面である。言い換えると、{03−38}面とは、<0001>軸方向に対して約35°(35.3°)の傾斜を有している面である。つまり、主面11は、{0001}面に対して45°以上65°以下傾斜していることが好ましい。なお、図5は、{03−38}面を説明するための図である。
主面11は、1000mm以上の面積を有することが好ましい。この場合、、SiC基板10を半導体デバイスの基板として用いた場合、利便性を向上することができる。
SiC基板10は、1周期の積層数が4の4H(Hexagonal)型であることが好ましい。4H型のSiC基板を用いたSiC半導体デバイスは、移動度が大きく、損失を低減できるので、パワーデバイスに好適に用いることができる。なお、本発明のSiC基板は、1周期の積層数が6の6H型などであってもよい。
続いて、本実施の形態におけるSiC基板10の製造方法について説明する。図6は、本実施の形態における種基板を概略的に示す斜視図である。まず、図6に示すように、c面に対してオフ角を有する種基板20を準備する。種基板20は、主面20aを有している。また、種基板20は、SiC基板であることが好ましい。種基板20の主面20aのc面に対するオフ角は、0°以上10°以下となっており、好ましくは0°以上8°以下となっており、より好ましくは2°以上6°以下となっている。
図7は、本実施の形態における種基板上に成長したSiC結晶を概略的に示す斜視図である。次に、図7に示すように、種基板20の主面20a上にSiC結晶21を成長する。SiC結晶21の成長方法は、オフ方向に向かって進むステップフロー成長である。つまり、SiC結晶21の成長方向を一方向に制限している。この結果、SiC結晶21において、基底面転位の転位線12を一方向に揃えることができる。
この成長する工程では、結晶成長空間の温度分布を最適化することにより、一方向へのステップフロー成長をSiC結晶21の全工程に渡って維持することが好ましい。
また、この成長する工程では、SiCバルク結晶を成長することが好ましい。なお、SiC結晶21の厚みは特に限定されない。
なお、成長方法は特に限定されず、昇華法、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy:ハイドライド気相成長)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシ)法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属化学気相堆積)法などの気相成長法、あるいは溶媒を用いた液相成長法などを採用することができる。
次に、基底面転位の転位線12の方向と、SiC基板10のオフ方向とのなす角度αが75°以上105°以下になるように、SiC結晶21からSiC基板10を切り出す。この工程では、なす角度αが85°以上95°以下になるようにSiC基板10を切り出すことが好ましい。
具体的には、たとえば図7において矢印Tと平行な方向に沿って、SiC基板10を切り出している。なお、切り出す方向は、矢印Tと垂直に交差する方向であってもよい。
この切り出す工程では、主面11が10cm−2以下の基底面転位密度を有するようにSiC基板10を切り出すことが好ましい。特に、主面11が4cm−2以下の基底面転位密度を有するようにSiC基板10を切り出すことが好ましい。
また、切り出す工程では、主面11が{03−38}面に対して±10°の範囲で傾斜するようにSiC基板10を切り出すことが好ましい。
また、主面11が1000mm以上の面積を有するようにSiC基板10を切り出すことが好ましい。また、主面11の口径が50mm以上になるようにSiC基板10を切り出すことが好ましい。主面11が4インチ以上の最大幅(主面11の上方から平面視したときのSiC基板10の最大幅)を有するようにSiC基板10を切り出すことが好ましい。
SiC基板10を切り出す方法は特に限定されず、たとえば切断など機械的な加工方法を用いることができる。なお、切断とは、外周刃を持つスライサー、内周刃を持つスライサー、ワイヤーソーなどで機械的にSiC結晶21からSiC基板10を切り出すことをいう。
また、1周期の積層数が4の4H型(ポリタイプが4H型)であるSiC基板10を切り出すことが好ましい。
以上の工程を実施することにより、図1に示すSiC基板10を製造することができる。なお、必要に応じて、SiC基板10の主面11に研磨、表面処理などをさらに施してもよい。研磨する方法および表面処理方法については特に限定されず、任意の方法を採用できる。
続いて、本実施の形態におけるSiC基板10およびその製造方法の効果について説明する。
図8は、一般的な基底面転位を示す図である。一般的に、基底面転位は、図8に示すように、結晶の基底面内に転位線12a、12bがある転位を言う。転位線12a、12bは基底面内に存在しているが、転位線12a、12bの方向は異なっている。
また、転位線12a、12bは、結晶成長方向に伸展する性質を有している。つまり、結晶成長の方向と、転位線の延びる方向とはほぼ同じになっている。このため、本実施の形態では、種基板20にオフ角を導入し、結晶成長方向を一定の方向を制限している。したがって、図7に示すように基底面転位の転位線12の方向を一方向に揃えたSiC結晶21を得ている。
加えて、SiC結晶21は基底面転位の転位線12の方向が一方向に揃っているので、SiC基板10の切り出す方向により、主面11に転位線12が露出することを抑制できる。つまり、基底面転位の転位線12の方向と、SiC基板10のオフ方向Dとのなす角度αが75°以上105°以下となるように、SiC結晶21からSiC基板10を切り出すことにより、転位線12の主面11への露出を効果的に抑止することができる。この場合、SiC基板10において、基底面転位の転位線12と主面11とがほぼ交差せず、SiC基板10の内部を貫通するように転位線12が形成される。このため、主面11の転位密度が低いSiC基板10を製造できる。
図9は、本実施の形態のSiC基板とは異なるSiC基板を概略的に示す斜視図である。複数枚のSiC基板10を切り出すと、図9に示すように、主面11にストライプ状の転位線12が露出するSiC基板を製造する場合がある。しかし、このようなSiC基板を製造する場合とは、図7において転位線12が切り出し面に含まれる場合のみである。言い換えると、図7において転位線12が切り出し面に含まれることを抑制されると、図1に示すように主面11に転位線12が露出することが抑制されたSiC基板10を製造することができる。このため、SiC基板10の主面に、転位線12が露出する確率は低い。したがって、図1に示すように、主面11に転位線12がほとんど露出しない転位密度が低いSiC基板10を歩留まりを向上して製造することができる。
さらに、本発明者は、SiC結晶21において積層欠陥の発生を抑制するための条件について鋭意研究した。その結果、積層欠陥は、{0001}面内において伸展することを本発明者は見出した。このため、本実施の形態では、種基板20の{0001}面に対するオフ角を10°以下に規定することにより、積層欠陥の発生が抑制されたSiC基板10を製造することができる。
SiC基板10を用いてSiC半導体デバイスを作製する場合、SiC基板10上に形成するエピタキシャル層は、SiC基板10の主面11の転位密度や積層欠陥密度を引き継ぐ。しかし、本実施の形態では、上述したようにSiC基板10の主面11の転位密度が低く、積層欠陥の発生が抑制されているため、エピタキシャル層に引き継がれる転位密度および積層欠陥密度も低くなる。また転位密度が低く、積層欠陥の発生が抑制されたSiC基板10を歩留まりを向上して製造できる。このため、特性を向上したSiC半導体デバイスを歩留まりを向上して製造することができる。
図10は、比較例におけるSiC基板を概略的に示す斜視図である。図11は、比較例における転位線の方向とオフ方向とのなす角度を示す図である。図10および図11に示すように、比較例におけるSiC基板100は、基底面転位の転位線12の方向と、SiC基板100のオフ方向Dとのなす角度が0°になるように、SiC結晶21からSiC基板100を切り出している。このため、SiC基板100の主面101には、基底面転位の転位線12がドット状に露出している。このため、SiC基板100の主面101の転位密度は高くなる。
また、SiC結晶21からSiC基板100を切り出すと、角度αが0°の場合、切り出し方に依らずに、転位線12と切り出し面とはほぼ交差する。このため、転位線12が主面101に露出する確率は高い。このため、転位密度の低いSiC基板を作製することは難しく、かつ歩留まりが極めて悪くなる。
本実施例では、基底面転位の転位線の方向と、オフ方向とのなす角度が75°以上105°以下になるように、SiC結晶からSiC基板を切り出す工程を備えることによる効果について調べた。
(本発明例1〜3)
本発明例1〜3は、上述した実施の形態におけるSiC基板の製造方法にしたがって、それぞれSiC基板を製造した。
具体的には、まず、主面20aが(000−1)面で、<11−20>方向から15°傾斜したオフ角を有する4H−SiC基板を種基板20として準備した。
次に、成長温度が2300℃で、かつ成長圧力が10Toorの条件で、種基板20の主面20a上にSiC結晶21を成長した。
次に、SiC結晶21からSiC基板10を切り出した。詳細には、本発明例1〜3のSiC基板10のオフ方向を、種基板20のオフ方向である<11−20>方向に垂直な方向である<1−100>方向、<1−100>方向から+15°、<1−100>方向から−15°になるように、それぞれ切り出した。また、主面11が(03−38)面になるように、SiC基板10を切り出した。
以上の工程より、基底面転位の転位線12の方向と、オフ方向とのなす角度αがそれぞれ90°、105°、75°である本発明例1〜3のSiC基板10を製造した。なお、本発明例1〜3のSiC基板10の主面は、2026mmの面積を有していた。
(比較例1〜6)
比較例1〜6は、基本的には、本発明例1と同様に製造したが、オフ方向を、<11−20>方向から+30°、+45°、+60°、−30°、−45°、−60°になるようにそれぞれ切り出した点において異なっていた。つまり、比較例1〜6のSiC基板は、基底面転位の転位線12の方向と、オフ方向とのなす角度αがそれぞれ120°、135°、150°、60°、45°、30°であった。
(測定方法)
本発明例1〜3および比較例1〜6のSiC基板について、主面における基底面転位密度を以下の方法で測定した。すなわち、KOH中のエッチングによりできるピットを、図12に示すように、ノマルスキー微分干渉顕微鏡を用いて観察し、ピットの数を測定した。なお、図12は、SiC基板の主面のエッチピットを観察した状態を示す図である。たとえば図12において丸で囲んだ細長いピットは基底面転位に対応し、この視野には、基底面転位は2個存在していたことがわかる。この観察により求めた基底面転位密度の結果を図13に示す。なお、図13は、実施例におけるなす角度αと基底面転位密度との関係を示す図である。図13中、縦軸は、主面の基底面転位密度(単位:cm−2)を示し、横軸は、なす角度(単位:°)を示す。
(測定結果)
図13に示すように、基底面転位の転位線の方向と、オフ方向とのなす角度αが75°以上105°以下である本発明例1〜3のSiC基板は、主面における基底面転位密度が10cm−2以下と低かった。特に、角度αが90°の場合には、基底面転位密度が4cm−2と非常に低かった。
一方、基底面転位の転位線の方向と、オフ方向とのなす角度αが75°以上105°以下の範囲外の比較例1〜6のSiC基板は、主面における基底面転位密度が50cm−2を超え、本発明例1〜3のSiC基板の主面の基底転位密度よりも非常に高かった。
以上より、本実施例によれば、基底面転位の転位線の方向と、SiC基板のオフ方向とのなす角度が75°以上105°以下になるように、SiC結晶からSiC基板を切り出すことにより、転位密度の低いSiC基板を製造することができることがわかった。
本実施例では、種基板の{0001}面に対するオフ角を10°以下とすることによる効果について調べた。
(本発明例)
本発明例は、上記実施例1の場合と同様に、上述した実施の形態におけるSiC基板の製造方法にしたがって、それぞれSiC基板を製造した。
まず、{0001}面に対するオフ角が0°、1°、2°、3°、4°、5°、6°、7°、8°、9°、および10°である主面20aを有する4H−SiC基板を種基板20として準備した。
次に、昇華法により種基板20の主面20a上にSiC結晶21を成長した。成長条件としては、坩堝における種基板20側(台座側)の温度を2100℃〜2200℃、原料側(坩堝下部)の温度を2200℃〜2300℃とした。また、雰囲気ガスとしては、ヘリウムおよび窒素を用いた。また、坩堝内の圧力(成長圧力)は、10Torr〜100Torrとした。
次に、SiC結晶21からSiC基板10を切り出した。このとき、基底面転位の転位線12の方向と、SiC基板10のオフ方向とのなす角度αは一定とした。以上の工程より、種基板20の{0001}面に対するオフ角が0°以上10°以下である本発明例のSiC基板10を製造した。
(比較例)
比較例では、基本的には本発明例と同様に製造したが、種基板20の{0001}面に対するオフ角を、11°、12°、13°、14°、および15°とした点において異なっていた。
(測定方法)
本発明例および比較例のSiC基板について、上記実施例1と同様の方法により、主面における積層欠陥密度および基底面転位密度を測定した。表1は、各々のオフ角における積層欠陥密度(単位:cm−1)および基底面転位密度(単位:cm−2)を測定した結果を示している。
(測定結果)
表1に示すように、種基板20の{0001}面に対するオフ角が10°以下である本発明例のSiC基板は、上記オフ角が11°以上である比較例のSiC基板に比べて積層欠陥密度が低減されていた。また、上記オフ角が8°以下である場合、さらに6°以下である場合には、積層欠陥密度の低減が著しかった。さらに、上記オフ角が2°以上である場合には、積層欠陥密度が低減され、かつ基底面転位密度の増加も抑制されていた。以上より、本実施例によれば、種基板の{0001}面に対するオフ角を10°以下とすることにより、積層欠陥の発生が抑制されたSiC基板を製造することができることが分かった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のSiC基板の製造方法は、転位密度が低く、積層欠陥の発生が抑制されたSiC基板を歩留まりを向上して製造することが要求されるSiC基板の製造方法において、特に有利に適用され得る。
10 SiC基板、11,20a 主面、12,12a,12b 転位線、20 種基板、21 SiC結晶、D オフ方向、N 法線、T 矢印、α 角度、θ オフ角。

Claims (7)

  1. オフ角を有し、主面が形成された炭化珪素基板の製造方法であって、
    {0001}面に対してオフ角を有する種基板を準備する工程と、
    前記種基板上に炭化珪素結晶を成長する工程と、
    基底面転位の転位線の方向と、オフ方向とのなす角度が75°以上105°以下になるように、前記炭化珪素結晶から前記炭化珪素基板を切り出す工程とを備え、
    前記種基板の前記オフ角は、10°以下である、炭化珪素基板の製造方法。
  2. 前記切り出す工程では、前記なす角度が85°以上95°以下になるように前記炭化珪素基板を切り出す、請求項1に記載の炭化珪素基板の製造方法。
  3. 前記切り出す工程では、前記主面が10cm−2以下の基底面転位密度を有するように前記炭化珪素基板を切り出す、請求項1または2に記載の炭化珪素基板の製造方法。
  4. 前記切り出す工程では、前記主面が{03−38}面に対して±10°の範囲で傾斜するように前記炭化珪素基板を切り出す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化珪素基板の製造方法。
  5. 前記切り出す工程では、前記主面が1000mm以上の面積を有するように前記炭化珪素基板を切り出す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭化珪素基板の製造方法。
  6. 前記切り出す工程では、前記主面が4インチ以上の最大幅を有するように前記炭化珪素基板を切り出す、請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭化珪素基板の製造方法。
  7. 前記切り出す工程では、ポリタイプが4H型である前記炭化珪素基板を切り出す、請求項1〜6のいずれか1項に記載の炭化珪素基板の製造方法。
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