本発明では、工程(A)として、ジアゾニウム塩(I)と、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、水とをpH5.5〜7.5の範囲で、かつ45〜100℃で混合した後、得られた混合物を45〜100℃で熱処理し、次いで、酸との接触処理に付すことにより、フェニルヒドラジン化合物(II)を得る。
式(I)、(II)、(V)及び(VI)中のR1において、アルキル基としては、炭素数が1〜6のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基等が挙げられる。シクロアルキル基としては、炭素数が3〜6のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アルケニル基としては、炭素数が2〜6のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、2−メチルアリル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、2−メチル−2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基等が挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、トリフェニルエチル基、(1−ナフチル)メチル基、(2−ナフチル)メチル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数が1〜6のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチロキシ基、ヘキシロキシ基等が挙げられる。カルボキシアルキル基としては、例えば、カルボキシメチル基、1−カルボキシエチル基、2−カルボキシエチル基等が挙げられる。ジアゾニウム塩(I)としては、R1がアルコキシ基であるものが好ましく使用され、中でも、R1がメトキシ基のものが好ましく使用される。
式(I)中、アニオンとしては、例えば、Cl−、1/2SO4 2−、1/3PO4 3−、NO3 −等が挙げられる。ジアゾニウム塩(I)としては、X−がCl−又は1/2SO4 2−のものが好ましく使用され、Cl−のものがより好ましく使用される。
前記ジアゾニウム塩(I)の中でも、塩化o−メトキシベンゼンジアゾニウムを原料とする場合に、本発明の方法は有利に採用される。
本発明のジアゾニウム塩(I)は、例えば、オルト置換アニリン類(VII)をジアゾ化することにより得られる。ジアゾ化反応に用いられるジアゾ化剤としては、例えば、亜硝酸、一酸化窒素、二酸化窒素等の窒素酸化物、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム等の亜硝酸塩、亜硝酸n−ブチル、亜硝酸i−ブチル、亜硝酸n−ペンチル、亜硝酸i−ペンチル等の亜硝酸エステル等が挙げられ、中でも、取り扱いが容易である点で、亜硝酸塩が好ましい。亜硝酸塩を使用する場合、固体状のものを使用してもよいし、水溶液として使用してもよいが、好ましくは水溶液として用いられる。亜硝酸塩の使用量は、オルト置換アニリン類(VII)1モルに対して、1.0〜1.2モルの範囲が好ましい。
ジアゾ化反応には、通常、ジアゾ化剤と共に、酸が用いられる。酸の存在下にジアゾ化反応を行うことにより、使用した酸の対アニオンをX−として有するジアゾニウム塩(I)が得られる。酸としては、無機酸が好ましく、例えば、塩化水素、硫酸、リン酸、硝酸等が挙げられる。無機酸の中でも、塩化水素、硫酸が好ましい。特に、ジアゾ化剤として窒素酸化物を用いる場合は、得られるジアゾニウム塩(I)の収率の点で、酸として硫酸を用いるのが好ましく、ジアゾ化剤として亜硝酸塩を用いる場合は、得られるジアゾニウム塩(I)の収率の点で、酸として塩化水素を用いるのが好ましい。酸は、好ましくは水溶液として用いられる。酸の使用量は、オルト置換アニリン類(VII)1モルに対して、通常1.0〜10モルであり、好ましくは1.5〜5モルであり、より好ましくは2.0〜4.0モルの範囲である。
ジアゾ化反応には、通常、水を含む溶媒が用いられる。水を含む溶媒としては、水単独であってもよいし、水と有機溶媒との混合溶媒であってもよいが、水単独の溶媒が好ましい。該有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−ドデカノール等のアルコール、ペンタン、ヘキサン、石油エーテル、リグロイン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられ、必要に応じてこれらの2種以上を用いることもできる。
水を含む溶媒の使用量は、オルト置換アニリン類(VII)に対して、通常1〜20重量倍、好ましくは1〜10重量倍である。
ジアゾ化反応において、オルト置換アニリン類(VII)、ジアゾ化剤、酸、及び、水を含む溶媒の添加順序は特に限定されないが、オルト置換アニリン類(VII)と、酸と、水を含む溶媒との混合物に、ジアゾ化剤を加えるのが好ましい。ジアゾ化剤として前記窒素酸化物を使用する場合においては、オルト置換アニリン類(VII)と、酸と、水を含む溶媒との混合物に、前記窒素酸化物を吹き込むのが好ましい。ジアゾ化反応の反応温度は、通常、−20〜20℃、好ましくは−10〜10℃、より好ましくは−5〜5℃の範囲である。ジアゾ化反応の反応時間は、反応温度等の反応条件により異なるが、通常、1〜20時間である。ジアゾ化反応は通常、常圧付近で実施されるが、必要に応じて加圧下で行ってもよい。ジアゾ化反応の反応方式としては、連続式、半回分式、回分式のいずれも採用することができる。
工程(A)において使用される亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種において、亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等が挙げられる。また、亜硫酸水素塩としては、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等が挙げられる。亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の使用量は、ジアゾニウム塩(I)1モルに対して、好ましくは2モル以上であり、より好ましくは2.0〜3.0モルであり、さらに好ましくは2.1〜2.8モルの範囲である。亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩を併用する場合は、その合計使用量が上記範囲となればよい。亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種は、固体状のものを使用してもよいし、水溶液として使用してもよいが、好ましくは水溶液として用いられる。亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む水溶液は、pHが調整されたものを使用するのが好ましく、そのpHとしては、5.0〜8.0の範囲が好ましく、5.5〜7.5の範囲がより好ましい。pHの調整には、塩化水素、硫酸等の酸や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の塩基を使用することができる。
ジアゾニウム塩(I)と、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、水との混合時におけるpHは、通常5.5〜7.5の範囲であり、好ましくは6.0〜7.0の範囲となるように調整する。混合時のpHを5.5〜7.5の範囲とすることにより、最終的に得られるオキサジアゾリノン化合物(VI)の収率を高くすることができる。pHの調整には、塩化水素、硫酸等の酸や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の塩基を使用することができる。水の使用量は、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種に対して、1〜20重量倍が好ましく、より好ましくは1〜10重量倍である。亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩を併用する場合は、その合計使用量に対して水の使用量が上記範囲となればよい。ジアゾニウム塩(I)と、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、水との混合方法としては、適宜選択されるが、例えば、(a)亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む水溶液にジアゾニウム塩(I)を加える方法、(b)ジアゾニウム塩(I)に亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む水溶液を加える方法、(c)ジアゾニウム塩(I)と水との混合物に亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を加える方法、(d)ジアゾニウム塩(I)と、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む水溶液とを反応系内に併注する方法、(e)ジアゾニウム塩(I)及び水の混合物と、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種とを反応系内に併注する方法、(f)ジアゾニウム塩(I)と、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、水とを反応系内に併注する方法等が挙げられるが、最終的に得られるオキサジアゾリノン化合物(VI)の収率を高くすることができる点で、前記(a)の方法が好ましい。前記(a)、(b)及び(d)の方法において、ジアゾニウム塩(I)は、水との混合物であってもよい。pHの調整は、ジアゾニウム塩(I)と、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、水との混合時に酸や塩基を添加することにより行ってもよいし、上述の亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む水溶液や、ジアゾニウム塩(I)と水との混合物にあらかじめ酸や塩基を添加し、さらに必要に応じて、混合時に酸や塩基を添加することにより行ってもよい。
ジアゾニウム塩(I)と、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、水との混合時に、さらに有機溶媒を混合してもよい。該有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−ドデカノール等のアルコール、ペンタン、ヘキサン、石油エーテル、リグロイン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられ、必要に応じてこれらの2種以上を用いることもできる。
ジアゾニウム塩(I)と、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、水との混合時の温度は、通常45〜100℃であり、好ましくは50〜80℃である。混合時の温度を45〜100℃とすることにより最終的に得られるオキサジアゾリノン化合物(VI)の収率を高くすることができる。混合は、通常、常圧付近で実施されるが、必要に応じて加圧下で行ってもよい。
ジアゾニウム塩(I)と、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、水とを混合した後、得られた混合物に熱処理を施す。熱処理の温度は、通常45〜100℃であり、好ましくは55〜85℃である。熱処理の温度が45℃より低いと、熱処理後に得られる反応混合物がゲル状となり、均一な攪拌や反応混合物の取り出し及び移送が困難となるおそれや、反応混合物の取り出しや移送時に配管の閉塞を引き起こすおそれがある。熱処理の温度が100℃より高いと、最終的に得られるオキサジアゾリノン化合物(VI)の収率が低下する傾向にある。熱処理の時間は、熱処理の温度等の条件により異なるが、0.5〜5時間が好ましい。熱処理において、必要に応じて酸や塩基を添加することによりpHを調整してもよい。
前記熱処理時には、有機溶媒を使用してもよい。該有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−ドデカノール等のアルコール、ペンタン、ヘキサン、石油エーテル、リグロイン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられ、必要に応じてこれらの2種以上を用いることもできる。尚、熱処理時にさらに水を添加してもよい。
前記熱処理は、通常、常圧付近で実施されるが、必要に応じて加圧下で行ってもよい。前記混合と、混合後の熱処理は、同じ反応器内で回分式により行ってもよいし、直列に接続した複数の反応器に連続して流通させて、混合と熱処理とを別々の反応器で連続式により実施してもよい。前記反応器としては、通常、攪拌混合方式の反応器が使用される。
前記熱処理後に得られる反応混合物を、次いで、酸との接触処理に付す。接触処理としては、前記反応混合物に酸を添加した後、保持する方法、前記反応混合物を酸に添加した後、保持する方法、前記反応混合物と酸とを反応系内に併注した後、保持する方法等が挙げられるが、前記反応混合物に酸を添加した後、保持する方法が好ましい。酸としては、無機酸が好ましく、例えば、塩化水素、硫酸、リン酸、硝酸等が挙げられる。無機酸の中でも、最終的に得られるオキサジアゾリノン化合物(VI)の収率を高くすることができる点で、塩化水素、硫酸が好ましく、塩化水素がより好ましい。酸は、好ましくは水溶液として用いられる。酸の使用量は、ジアゾニウム塩(I)1モルに対して、1.0〜10モルが好ましく、より好ましくは2.0〜8.0モルであり、さらに好ましくは3.0〜7.0モルの範囲である。尚、酸との接触処理後に得られる混合物におけるpHは、3以下が好ましく、1以下がより好ましい。酸との接触処理後に得られる混合物におけるpHは、酸の使用量により調整することができる。前記接触処理の温度は、0〜40℃が好ましい。前記接触処理の時間は、接触処理温度等の反応条件により異なるが、0.5〜10時間が好ましい。前記接触処理は、通常、常圧付近で実施されるが、必要に応じて加圧下で行ってもよい。前記接触処理は、連続式、半回分式、回分式のいずれにおいても行うことができる。
特に、前記接触処理時の酸として、塩化水素を用いる場合、該接触処理は、前記熱処理後に得られる反応混合物を、塩化水素と0〜30℃で混合した後、10〜40℃で保持することにより行うのが好ましい。該混合温度は、0〜20℃が好ましく、該保持温度は10〜30℃が好ましい。該混合方法としては、前記反応混合物に塩化水素を添加する方法、前記反応混合物を塩化水素に添加する方法、前記反応混合物と塩化水素とを反応系内に併注する方法等が挙げられるが、最終的に得られるオキサジアゾリノン化合物(VI)の収率を高くすることができる点で、前記熱処理後に得られる反応混合物に塩化水素を添加する方法が好ましい。塩化水素としては、塩化水素ガス又は塩酸が使用できるが、塩酸を使用するのが好ましい。塩酸中の塩化水素の濃度は、10〜40重量%が好ましく、より好ましくは25〜37重量%である。塩化水素との混合後の混合物におけるpHは、塩化水素の使用量により調整することができる。塩化水素との混合は、通常、常圧付近で実施されるが、必要に応じて加圧下で行ってもよい。また、保持温度は、塩化水素と混合した際の温度より高い温度とするのが好ましい。保持時間は、保持温度等の条件により異なるが、0.5〜3時間が好ましい。保持の際の圧力は、通常、常圧付近であるが、必要に応じて加圧されていてもよい。前記塩化水素との混合と、混合後の保持は、同じ反応器内で回分式により行ってもよいし、直列に接続した複数の反応器に連続して流通させて、混合と保持とを別々の反応器で連続式により実施してもよい。前記反応器としては、通常、攪拌混合方式の反応器が使用される。回分式で前記熱処理後に得られる反応混合物に塩化水素を添加する場合、塩化水素の添加時間は、使用量等により適宜設定されるが、好ましくは0.5〜5時間である。
前記接触処理時には、有機溶媒を使用してもよい。該有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−ドデカノール等のアルコール、ペンタン、ヘキサン、石油エーテル、リグロイン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられ、必要に応じてこれらの2種以上を用いることもできる。
前記接触処理後に得られるフェニルヒドラジン化合物(II)を含む反応混合物は、次いで、塩基と混合してpH8〜12の範囲に調整されるのが好ましい。混合方法としては、前記接触処理後に得られる反応混合物に塩基を添加する方法、前記接触処理後に得られる反応混合物を塩基に添加する方法、前記接触処理後に得られる反応混合物と塩基とを反応系内に併注する方法等が挙げられるが、最終的に得られるオキサジアゾリノン化合物(VI)の収率を高くすることができる点で、前記接触処理後に得られる反応混合物に塩基を添加する方法が好ましい。塩基としては、無機塩基、有機塩基のいずれでもよいが、中でも、無機塩基が好ましい。無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属重炭酸塩、アンモニア等が挙げられ、中でも、アルカリ金属水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。有機塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン等が挙げられる。上記無機塩基を使用する場合、水溶液として使用することもできる。塩基の使用量は、ジアゾニウム塩(I)1モルに対して、6.0〜25.0モルが好ましく、より好ましくは7.0〜12.5モルの範囲である。塩基と混合後の混合物におけるpHは、最終的に得られるオキサジアゾリノン化合物(VI)の収率を高くすることができる点で、8.0〜11.0の範囲がより好ましい。塩基との混合後の混合物におけるpHは、塩基の使用量により調整することができる。塩基との混合は、通常、常圧付近で実施されるが、必要に応じて加圧下で行ってもよい。塩基との混合は、連続式、半回分式、回分式のいずれにおいても行うことができる。半回分式又は回分式で前記接触処理後に得られる反応混合物に塩基を添加する場合、塩基の添加時間は、使用量等により適宜設定されるが、好ましくは0.5〜10時間である。
前記接触処理後に得られるフェニルヒドラジン化合物(II)を含む反応混合物を塩基と混合する場合には、さらに溶媒を混合してもよい。該溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−ドデカノール等のアルコール、ペンタン、ヘキサン、石油エーテル、リグロイン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、水等が挙げられ、必要に応じてこれらの2種以上を用いることもできる。
前記酸との接触処理後は、必要に応じて上述の塩基との混合を行った後、得られるフェニルヒドラジン化合物(II)を含む反応混合物をそのまま工程(B)に付してもよいし、後処理操作を行ってから工程(B)に付してもよい。該後処理操作については適宜選択されるが、例えば、(g)酸との接触処理後に得られる反応混合物を、適宜上述の塩基との混合に付した後、濃縮することによりフェニルヒドラジン化合物(II)を回収する、(h)酸との接触処理後に得られる反応混合物を適宜上述の塩基との混合に付した後、水と分液可能な有機溶媒と混合して混合物を得、該混合物をフェニルヒドラジン化合物(II)を含む油層と水層とに分離することにより有機溶媒溶液としてフェニルヒドラジン化合物(II)を回収する、(i)酸との接触処理後あるいは適宜上述の塩基との混合を行った後に得られる反応混合物がフェニルヒドラジン化合物(II)のスラリーである場合には、濾過によりフェニルヒドラジン化合物(II)を回収する、等の後処理操作が挙げられ、中でも、反応混合物中の不純物を効率的に除去できるという点で、前記(h)の後処理操作が好ましい。前記(h)においては、有機溶媒溶液をさらに濃縮してフェニルヒドラジン化合物(II)を回収してもよい。前記(h)における有機溶媒としては、水と分液可能なものであればよいが、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、リグロイン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ベンゾニトリル等のニトリル;ニトロベンゼン等のニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、安息香酸エチル等のエステル化合物;n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−ドデカノール等の炭素数4〜12の脂肪族アルコール;等が挙げられ、必要に応じてこれらの2種以上を用いることもできる。中でも、芳香族炭化水素が好ましく、その中でもトルエンの使用が好ましい。前記(h)における有機溶媒の使用量は、前記塩基との混合後に得られる反応混合物1重量部に対して、好ましくは0.1〜1重量部であり、より好ましくは0.2〜0.5重量部である。前記(h)における有機溶媒との混合時の温度、及び油層と水層とに分離する際の温度は、好ましくは10〜70℃であり、より好ましくは30〜50℃である。尚、前記(h)の後処理操作を行う場合、ジアゾニウム塩(I)と亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と水との混合時や、前記熱処理時や、前記酸との接触処理や、前記塩基との混合時において、抽出溶媒を兼ねて水と分液可能な有機溶媒を使用してもよい。回収されたフェニルヒドラジン化合物(II)は、必要に応じて再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等の操作により精製することができる。
本発明では、工程(B)として、工程(A)で得られたフェニルヒドラジン化合物(II)と、ハロゲン化炭酸アルキル(III)又はジアルキルジカーボネート(IV)とを反応させてフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を得る。
式(III)、(IV)、(V)及び(VI)中のR2において、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。中でも、R2がメチル基である場合に本発明の方法は有利に採用される。
式(III)中、Yで示されるハロゲン原子としては、塩素、フッ素、臭素またはヨウ素が挙げられる。
ハロゲン化炭酸アルキル(III)としては、クロロ炭酸アルキル、ブロモ炭酸アルキル、ヨード炭酸アルキルが挙げられ、中でも、クロロ炭酸アルキルが好ましい。クロロ炭酸アルキルとしては、クロロ炭酸メチル、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸プロピル、クロロ炭酸イソプロピル、クロロ炭酸ブチル、クロロ炭酸イソブチル、クロロ炭酸s−ブチル、クロロ炭酸t−ブチルが挙げられる。ブロモ炭酸アルキルとしては、ブロモ炭酸メチル、ブロモ炭酸エチル、ブロモ炭酸プロピル、ブロモ炭酸イソプロピル、ブロモ炭酸ブチル、ブロモ炭酸イソブチル、ブロモ炭酸s−ブチル、ブロモ炭酸t−ブチルが挙げられる。ヨード炭酸アルキルとしては、ヨード炭酸メチル、ヨード炭酸エチル、ヨード炭酸プロピル、ヨード炭酸イソプロピル、ヨード炭酸ブチル、ヨード炭酸イソブチル、ヨード炭酸s−ブチル、ヨード炭酸t−ブチルが挙げられる。ハロゲン化炭酸アルキル(III)の使用量は、フェニルヒドラジン化合物(II)1モルに対して、1.0モル以上が好ましく、より好ましくは1.0〜3.0モルであり、さらに好ましくは1.1〜1.5モルの範囲である。
ジアルキルジカーボネート(IV)としては、ジ−t−ブチルジカーボネート、ジメチルジカーボネート等が挙げられる。ジアルキルジカーボネート(IV)の使用量は、フェニルヒドラジン化合物(II)1モルに対して、0.5モル以上が好ましく、より好ましくは0.5〜1.5モルであり、さらに好ましくは0.55〜0.75モルの範囲である。
工程(B)における前記反応は、塩基の存在下に行われるのが好ましい。該塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、アンモニア等の無機塩基、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基が挙げられ、中でも、無機塩基が好ましい。該塩基の使用量は、フェニルヒドラジン化合物(II)1モルに対して、0.8モル以上が好ましく、より好ましくは1.0〜2.0モルである。
工程(B)における前記反応においては、溶媒を使用してもよい。該溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−ドデカノール等のアルコール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、リグロイン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ベンゾニトリル等のニトリル;ニトロベンゼン等のニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、安息香酸エチル等のエステル化合物;n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−ドデカノール等の炭素数4〜12の脂肪族アルコール;水等が挙げられ、必要に応じてこれらの2種以上を用いることもできる。また、工程(B)における前記反応に必要に応じて用いられる塩基と共に、あるいは塩基を兼ねて、トリエチルアミン、ピリジン等の塩基性溶媒を用いることもできる。後述の後処理操作において油水分離を採用する場合には、反応に用いる溶媒として、水及び/又は水と分液可能な有機溶媒を採用するのが有利であり、水と分液可能な有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、リグロイン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ベンゾニトリル等のニトリル;ニトロベンゼン等のニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、安息香酸エチル等のエステル化合物;n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−ドデカノール等の炭素数4〜12の脂肪族アルコール;等が挙げられ、必要に応じてこれらの2種以上を用いることもできる。中でも、芳香族炭化水素が好ましく、その中でもトルエンの使用が好ましい。
工程(B)における前記反応における反応温度は、最終的に得られるオキサジアゾリノン化合物(VI)の収率を高くすることができる点で、好ましくは−10〜50℃であり、より好ましくは−10〜30℃である。該反応は、通常、常圧付近で実施されるが、必要に応じて加圧下で行ってもよい。反応時間は、反応温度等の条件により異なるが、0.1〜10時間が好ましい。反応方式としては、連続式、半回分式、回分式のいずれも採用することができる。該反応を行うにあたって、工程(A)で得られたフェニルヒドラジン化合物(II)と、ハロゲン化炭酸アルキル(III)又はジアルキルジカーボネート(IV)とを混合する際は、−10〜50℃で混合するのが好ましく、−5〜30℃で混合するのがより好ましい。該混合と、混合後の反応は、同じ反応器内で回分式により行ってもよいし、直列に接続した複数の反応器に連続して流通させて、混合と反応とを別々の反応器で連続式により実施してもよい。該反応器としては、通常、攪拌混合方式の反応器が使用される。回分式で前記混合を行う場合、工程(A)で得られたフェニルヒドラジン化合物(II)を含む反応混合物に、ハロゲン化炭酸アルキル(III)又はジアルキルジカーボネート(IV)を添加するのが好ましく、ハロゲン化炭酸アルキル(III)又はジアルキルジカーボネート(IV)の添加時間は、使用量等により適宜設定されるが、好ましくは0.1〜10時間である。
工程(B)における前記反応後は、得られるフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を含む反応混合物をそのまま工程(C)に付してもよいし、後処理操作を行ってから工程(C)に付してもよいが、後処理操作を行うのが好ましい。該後処理操作については、適宜選択されるが、例えば、(j)前記フェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を含む反応混合物を濃縮することによりフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を回収する、(k)前記フェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を含む反応混合物に必要に応じて水及び/又は水と分液可能な有機溶媒を加えた後、フェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を含む油層と水層とに分離することにより、有機溶媒溶液としてフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を回収する、(l)前記フェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を含む反応混合物がフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)のスラリーである場合には、濾過によりフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を回収する、等の後処理操作が挙げられるが、最終的に得られるオキサジアゾリノン化合物(VI)に含まれる不純物量を少なくすることができる点で、前記(k)の後処理操作を行うのが好ましい。前記(k)においては、回収された有機溶媒溶液をさらに濃縮してオキサジアゾリノン化合物(VI)を回収してもよい。前記(k)における有機溶媒としては、水と分液可能なものであればよいが、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、リグロイン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ベンゾニトリル等のニトリル;ニトロベンゼン等のニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、安息香酸エチル等のエステル化合物;n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−ドデカノール等の炭素数4〜12の脂肪族アルコール;等が挙げられ、必要に応じてこれらの2種以上を用いることもできる。中でも、芳香族炭化水素が好ましく、その中でもトルエンの使用が好ましい。前記(k)における油層と水層とに分離する際の温度は、0〜100℃が好ましい。回収されたフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)は、さらに必要に応じて精製処理を施してもよく、例えば、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーや、(m)フェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を酸の存在下に水及び水と分液可能な有機溶媒と混合した後、フェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を含む油層と水層とに分離することにより、有機溶媒溶液としてフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を回収する、等の精製操作が挙げられ、これらの精製操作を組み合わせてもよい。中でも、最終的に得られるオキサジアゾリノン化合物(VI)に含まれる不純物量を少なくすることができる点で、前記(m)の精製操作が好ましい。工程(B)における前記反応により、副生物として、下記式(VIII)
(式中、R1及びR2は、それぞれ前記と同じ意味を表す。)
で示されるフェニルヒドラジン−α−カルボキシレート化合物〔以下、フェニルヒドラジン−α−カルボキシレート化合物(VIII)ということがある〕等が生成し得るため、上記のフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を含む反応混合物には、フェニルヒドラジン−α−カルボキシレート化合物(VIII)等の不純物が含まれ得る。また、使用したジアゾニウム塩(I)がオルト置換アニリン類(VII)を塩化水素の存在下に亜硝酸塩と反応させて得られたものである場合には、上記のフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を含む反応混合物には、下記式(IX)
(式中、R1は、前記と同じ意味を表す。)
で示される化合物〔以下、クロロアニリン化合物(IX)ということがある〕等の不純物が含まれ得る。フェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を含む反応混合物に対して、上述の後処理操作を施し、さらに必要に応じて上述の精製処理を施すことにより、精製されたフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を得ることができる。
前記(m)の精製操作を行う場合、該精製操作における酸としては、無機酸、有機酸が挙げられ、中でも、不純物を効率的に除去できる点で、無機酸が好ましい。無機酸としては、例えば、塩化水素、硫酸、リン酸、硝酸等が挙げられる。無機酸の中でも、塩化水素、硫酸が好ましい。有機酸としては、カルボン酸、スルホン酸等が挙げられる。カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、アクリル酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の脂肪族モノカルボン酸;蓚酸、琥珀酸、アジピン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、安息香酸、桂皮酸、チオフェンカルボン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸等の芳香族ポリカルボン酸;等が挙げられる。スルホン酸としては、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。有機酸の中でも、脂肪族モノカルボン酸が好ましく、その中でも、酢酸が好ましい。前記酸の使用量は、不純物を効率的に除去できる点で、フェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)1モルに対して、0.01〜1.0モルが好ましく、0.05〜0.5モルがより好ましい。
前記(m)の精製操作を行う場合、該精製操作における混合時の水の使用量は、フェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)100重量部に対して、10〜1000重量部が好ましい。前記混合において、水と分液可能な有機溶媒としては、水と分液可能であり、かつフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、リグロイン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ベンゾニトリル等のニトリル;ニトロベンゼン等のニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、安息香酸エチル等のエステル化合物;n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−ドデカノール等の炭素数4〜12の脂肪族アルコール;等が挙げられ、必要に応じてこれらの2種以上を用いることもできる。中でも、芳香族炭化水素が好ましく、その中でもトルエンの使用が好ましい。水と分液可能な有機溶媒の使用量は、フェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)100重量部に対して、10〜10000重量部が好ましく、50〜5000重量部がより好ましい。
前記(m)の精製操作を行う場合、該精製操作における混合時の混合温度は、不純物を効率的に除去できる点で、10〜100℃が好ましく、30〜90℃がより好ましく、50〜70℃がさらに好ましい。混合時間は適宜設定される。混合方法としては、(n)水と分液可能な有機溶媒及びフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)の混合溶液を、酸性水溶液と任意の順序で混合する方法、(o)水と分液可能な有機溶媒及びフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)の混合溶液を、水と混合した後、酸を添加して混合する方法、(p)水と分液可能な有機溶媒及びフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)の混合溶液を、混合処理装置内に酸性水溶液と併注しながら混合する方法、(q)フェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)と、水と分液可能な有機溶媒と、酸性水溶液とをそれぞれ任意の順序で混合する方法、(r)フェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)と、水と分液可能な有機溶媒と、水と、酸とをそれぞれ任意の順序で混合する方法等が挙げられるが、前記(n)の方法が好ましい。前記(n)及び(q)の方法においては、水を任意の順序でさらに混合してもよい。前記(p)の方法においては、さらに水を併注してもよい。酸性水溶液を使用する場合、該酸性水溶液における酸の含有量は、1〜30重量%が好ましく、より好ましくは2〜20重量%である。前記混合は、通常、常圧付近で実施されるが、必要に応じて加圧下で行ってもよい。前記混合は、連続式、半回分式、回分式のいずれにおいても行うことができる。
前記(m)の精製操作を行う場合、該精製操作においてフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を含む油層と水層とに分離する際の温度は、不純物を効率的に除去できる点で、10〜100℃が好ましく、30〜90℃がより好ましく、50〜70℃がさらに好ましい。油水分離は、回分式で行う場合、通常、静置することで行うことができるが、必要に応じて、遠心分離により行ってもよい。該油水分離後に得られるフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を含む油層は、油水分離後に水層を除去することにより、有機溶媒溶液としてフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を回収し、工程(C)に付してもよいし、該有機溶媒溶液に、さらに晶析、濃縮、蒸留、クロマトグラフィー等の精製操作を施すことによりフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)の精製物を回収し、工程(C)に付してもよい。また、水層を除去した後に得られる油層に対して、水及び酸を混合後、油水分離を行い、次いで水層を除去する一連の処理をさらに1回以上繰り返してもよい。加えて、該一連の処理の前及び/又は後に、水洗浄、油水分離及び水層除去の操作を行ってもよい。さらに、前記有機溶媒溶液に対して、塩基性水溶液を混合後、油水分離を行い、水層を除去する操作を行ってもよい。該塩基性溶液に用いられる塩基としては、無機塩基が好ましく、無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属重炭酸塩、アンモニア等が挙げられ、中でも、アルカリ金属水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。該塩基性水溶液との混合時における水層のpHは、8〜12の範囲が好ましい。該塩基性水溶液との混合時における温度は、10〜100℃が好ましく、30〜90℃がより好ましく、50〜70℃がさらに好ましい。精製操作により不溶物が生じたときには、濾過して除去するのがよい。
前記(m)の精製操作を行う場合、該精製操作において分離された水層に回収可能な不純物としては、フェニルヒドラジン−α−カルボキシレート化合物(VIII)、クロロアニリン化合物(IX)等が挙げられる。分離された水層には、酸が含まれ得るが、該水層は、適宜精製して、水又は酸性水溶液として前記(m)の精製操作にリサイクルすることができる。さらに、該水層に微量のフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)が含まれる場合には、該水層を水と分液可能な有機溶媒と混合し、油水分離することによりフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を含む油層を回収してもよい。回収された油層においては、該油層に必要に応じて晶析、濃縮、蒸留、クロマトグラフィー等の操作を施すことによりフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)を回収してもよいし、該油層を前記(m)の精製操作における混合に付してもよい。
本発明では、工程(C)として、工程(B)で得られたフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)とホスゲンとを反応させた後、塩基性化合物と接触させることにより、オキサジアゾリノン化合物(VI)を得る。
工程(C)におけるホスゲンとの反応においては、有機溶媒を使用してもよい。該有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、リグロイン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ベンゾニトリル等のニトリル;ニトロベンゼン等のニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、安息香酸エチル等のエステル化合物;n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−ドデカノール等の炭素数4〜12の脂肪族アルコール;等が挙げられ、必要に応じてこれらの2種以上を用いることもできる。中でも、芳香族炭化水素が好ましく、その中でもトルエンの使用が好ましい。
工程(C)において、ホスゲンの使用量は、フェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)1モルに対して、1モル以上が好ましく、より好ましくは1.0〜5.0モルである。尚、ホスゲンは、ガス状のものを用いてもよいし、液状のものを用いてもよい。また、有機溶媒溶液として反応系に供給してもよい。該有機溶媒としては、上述の工程(C)におけるホスゲンとの反応に使用可能な有機溶媒が挙げられる。
工程(C)において、ホスゲンとの反応時の反応温度は、最終的に得られるオキサジアゾリノン化合物(VI)の収率を高くすることができる点で、好ましくは−10〜80℃である。該反応は、通常、常圧付近で実施されるが、必要に応じて加圧下で行ってもよい。反応時間は、反応温度等の条件により異なるが、1〜20時間が好ましい。反応方式としては、連続式、半回分式、回分式のいずれも採用することができる。該反応は、工程(B)で得られたフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)とホスゲンとを混合後、得られた混合物を熱処理することにより行うことが好ましい。該混合時の温度は、−10〜80℃が好ましく、より好ましくは−10〜50℃である。該熱処理時の温度は、0〜80℃が好ましく、より好ましくは10〜80℃である。また、該熱処理時の温度は、該混合時の温度より高い温度とするのが好ましい。該混合と、混合後の熱処理は、同じ反応器内で回分式により行ってもよいし、直列に接続した複数の反応器に連続して流通させて、混合と熱処理とを別々の反応器で連続式により実施してもよい。該反応器としては、通常、攪拌混合方式の反応器が使用される。回分式で前記混合を行う場合、工程(B)で得られたフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)に、ホスゲンを添加するのが好ましく、ホスゲンの添加時間は、使用量等により適宜設定されるが、好ましくは1〜10時間である。
工程(C)において、前記塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、炭酸カリウム等の無機塩基性化合物、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基化合物が挙げられ、中でも、無機塩基性化合物が好ましい。前記塩基性化合物の使用量は、ホスゲンとの反応に供されたフェニルヒドラジン−β−カルボキシレート化合物(V)1モルに対して、1.0モル以上が好ましく、より好ましくは1.0〜5.0モルである。
工程(C)における前記塩基性化合物との接触においては、溶媒を使用してもよい。該溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、リグロイン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ベンゾニトリル等のニトリル;ニトロベンゼン等のニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、安息香酸エチル等のエステル化合物;n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−ドデカノール等の炭素数4〜12の脂肪族アルコール;水等が挙げられ、必要に応じてこれらの2種以上を用いることもできる。該接触は、水及び/又は水と分液可能な有機溶媒の存在下に行うのが好ましい。また、工程(C)における前記塩基性化合物と共に、あるいは塩基性化合物を兼ねて、トリエチルアミン、ピリジン等の塩基性溶媒を用いることもできる。
工程(C)において、前記塩基性化合物との接触を、水の存在下あるいは水及び水と分液可能な有機溶媒の存在下に行う場合、水層におけるpHは、最終的に得られるオキサジアゾリノン化合物(VI)の収率を高くすることができる点で、8.0〜13.0の範囲が好ましく、より好ましくは9.0〜12.0の範囲である。pHの調整には、塩化水素、硫酸等の酸を使用してもよい。
工程(C)において、前記塩基性化合物との接触時の温度は、最終的に得られるオキサジアゾリノン化合物(VI)の収率を高くすることができる点で、好ましくは−10〜100℃であり、好ましくは−5〜50℃である。該接触は、通常、常圧付近で実施されるが、必要に応じて加圧下で行ってもよい。接触時間は、温度等の条件により異なるが、0.1〜5時間が好ましい。該接触は、連続式、半回分式、回分式のいずれの方式で行ってもよい。
工程(C)において、前記塩基性化合物との接触により得られるオキサジアゾリノン化合物(VI)を含む反応混合物の後処理操作については、適宜選択されるが、例えば、(s)前記オキサジアゾリノン化合物(VI)を含む反応混合物を濃縮することによりオキサジアゾリノン化合物(VI)を回収する、(t)前記オキサジアゾリノン化合物(VI)を含む反応混合物に必要に応じて水及び/又は水と分液可能な有機溶媒を加えた後、オキサジアゾリノン化合物(VI)を含む油層と水層とに分離することにより、有機溶媒溶液としてオキサジアゾリノン化合物(VI)を回収する、(u)前記オキサジアゾリノン化合物(VI)を含む反応混合物がオキサジアゾリノン化合物(VI)のスラリーである場合には、濾過によりオキサジアゾリノン化合物(VI)を回収する、等の後処理操作が挙げられる。前記(s)、(t)及び(u)においては、酸を添加することにより中和してから、前記(s)の濃縮、前記(t)の油水分離又は前記(u)の濾過を行ってもよい。酸としては、上述の(m)の精製操作で例示の酸が使用できる。前記(t)においては、有機溶媒溶液をさらに濃縮してオキサジアゾリノン化合物(VI)を回収してもよい。前記(t)における有機溶媒としては、水と分液可能なものであればよいが、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、リグロイン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ベンゾニトリル等のニトリル;ニトロベンゼン等のニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、安息香酸エチル等のエステル化合物;n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−ドデカノール等の炭素数4〜12の脂肪族アルコール;等が挙げられ、必要に応じてこれらの2種以上を用いることもできる。中でも、芳香族炭化水素が好ましく、その中でもトルエンの使用が好ましい。前記(t)における油層と水層とに分離する際の温度は、0〜80℃が好ましい。また、得られた油層に対して、水洗浄、油水分離及び水層除去の一連の操作を1回以上行ってもよい。回収されたオキサジアゾリノン化合物(VI)は、必要に応じて再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等の操作により精製することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれによって限定されるものではない。尚、実施例中、o−アニシジン〔式(VII)中、R1がメトキシ基である化合物〕の含有量、塩化o−メトキシベンゼンジアゾニウム〔式(I)中、R1がメトキシ基であり、X−がCl−である化合物〕の含有量、o−メトキシフェニルヒドラジン〔式(II)中、R1がメトキシ基である化合物〕の含有量、2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチル〔式(V)中、R1がメトキシ基であり、R2がメチル基である化合物〕の含有量、5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン〔式(VI)中、R1がメトキシ基であり、R2がメチル基である化合物〕の含有量、及び2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−2−カルボン酸メチル〔式(VIII)中、R1がメトキシ基であり、R2がメチル基である化合物〕の含有量は、高速液体クロマトグラフィーにより分析し、算出した。また、クロロ−o−アニシジン〔式(IX)中、R1がメトキシ基である化合物〕の存在は、高速液体クロマトグラフィーにより分析し、確認した。
実施例1
[o−メトキシフェニルヒドラジンの製造]
300mlフラスコに、o−アニシジン20.06g(0.16モル)と、水24.07gと、20重量%塩酸60.43g(0.33モル)とを入れて室温で攪拌し溶液とした。該溶液を攪拌しながら0℃に冷却し、40重量%亜硝酸ナトリウム水溶液28.13g(0.16モル)を、混合液の温度を0℃に保ちながら、4時間かけて滴下して、塩化o−メトキシベンゼンジアゾニウムを含む混合液(A1)132.69gを得た。該混合液(A1)を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、混合液(A1)中の塩化o−メトキシベンゼンジアゾニウムの含有量は20.9重量%であった。
1Lフラスコに、33重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液107.56g(0.34モル)と、塩化ナトリウム32.42g(0.55モル)と、水78.72gとを入れて室温で攪拌し溶液とした。該溶液を攪拌しながら、25重量%アンモニア水溶液を加え、pH5.8に調整し、混合液(B1)を得た。得られた混合液(B1)を攪拌しながら60℃に昇温し、60℃で、25重量%アンモニア水溶液を加えてpH5.8に保ちながら、上記で得られた混合液(A1)を、2時間かけて全量加えた。次いで、75℃に2.5時間かけて昇温し、75℃で1時間攪拌した後、5℃に4時間かけて冷却し、反応混合物(C1)を得た。得られた反応混合物(C1)は溶液であった。該反応混合物(C1)を攪拌し5℃に保ちながら、35重量%塩酸85.85g(0.82モル)を3時間かけて滴下した後、25℃に1時間かけて昇温し、次いで25℃で1時間攪拌し、反応混合物(D1)を得た。得られた反応混合物(D1)のpHは−0.2であった。得られた反応混合物(D1)に48重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10.5に調整した後、40℃に昇温し、次いでトルエン142.42gを加えて40℃で0.5時間攪拌した。攪拌後、40℃で1時間静置することで油水分離し、有機相として、o−メトキシフェニルヒドラジンのトルエン溶液162.40gを得た。この溶液を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、溶液中のo−メトキシフェニルヒドラジンの含有量は11.3重量%であった。
[2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルの製造]
上記[o−メトキシフェニルヒドラジンの製造]で得られたo−メトキシフェニルヒドラジンのトルエン溶液158.93g(o−メトキシフェニルヒドラジン含有量:0.13モル)に、水59.68gと、25重量%水酸化ナトリウム水溶液22.43g(0.14モル)とを入れて、3℃で0.1時間攪拌した。攪拌後、得られた混合液を3℃に保ち攪拌しながら、クロロ炭酸メチル12.26g(0.13モル)を2時間かけて滴下し、さらに3℃で0.5時間攪拌することにより反応を行った。次いで、65℃に昇温し、65℃で0.5時間攪拌した後、攪拌を止め、65℃で0.5時間静置することで油水分離を行った。得られた油層に水15.97gを加え、65℃で0.5時間攪拌した。攪拌後、攪拌を止め、65℃で0.5時間静置することで油水分離した後、得られた油層にトルエン101.60gを加え、65℃で0.5時間攪拌して、2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルのトルエン溶液262.58gを得た。この溶液を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、溶液中の2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルの含有量は8.24重量%であった。また、該溶液には、不純物として2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−2−カルボン酸メチルが0.72重量%含まれ、クロロ−o−アニシジンの存在も確認された。
500mlフラスコに、上記で得られた2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルのトルエン溶液230.09gと、水22.63gと、20重量%塩酸5.37g(0.029モル)とを入れて、攪拌しながら50℃に昇温し、50℃で0.5時間攪拌した。攪拌後、攪拌を止め、50℃で0.1時間静置することで油水分離した後、得られた油層に水22.62gと、20重量%塩酸5.33g(0.029モル)とを加え、50℃で0.5時間攪拌した。攪拌後、攪拌を止め、50℃で0.1時間静置することで油水分離した後、得られた油層に水22.63gと、20重量%塩酸5.34g(0.029モル)とを加え、50℃で0.5時間攪拌した。攪拌後、攪拌を止め、50℃で0.1時間静置することで油水分離した後、得られた油層に、水層のpHが9.0となるように5重量%水酸化ナトリウム水溶液を加え、次いで50℃で0.5時間攪拌した。攪拌後、攪拌を止め、50℃で0.1時間静置することで油水分離した後、得られた油層を50℃、0.01MPaにて濃縮し、2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルのトルエン溶液88.19gを得た。該溶液にトルエンを加え、2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルの含有量が12.7重量%である2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルのトルエン溶液を得た。また、該溶液には、2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−2−カルボン酸メチルが0.26重量%含まれていた。
[5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンの製造]
上記[2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルの製造]で得られた2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルの含有量が12.7重量%である2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルのトルエン溶液の全量を攪拌しながら5℃に冷却し、5℃で攪拌しながらホスゲン16.54g(0.17モル)を2時間かけてフラスコ内の気相部に導入した。導入後、25℃に昇温し、25℃で5時間攪拌し、反応混合物(E1)を得た。得られた反応混合物(E1)に水129.79gを加えた後、水層のpHが10.0となるように25重量%水酸化ナトリウム水溶液を加え、次いで25℃で0.5時間攪拌した。攪拌後、水層のpHが7.0となるように20重量%塩酸を加えた後、25℃で0.5時間静置することで油水分離した後、得られた油層に水29.96gを加え、25℃で0.2時間攪拌した。攪拌後、攪拌を止め、25℃で0.5時間静置することで油水分離した後、得られた油層に水29.97gを加え、25℃で0.2時間攪拌した。攪拌後、攪拌を止め、25℃で0.5時間静置することで油水分離した後、油層として5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンのトルエン溶液143.32gを回収した。この溶液を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、溶液中の5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンの含有量は13.0重量%であり、塩化o−メトキシベンゼンジアゾニウムに対する5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンの収率は60.1%であった。得られた溶液を濃縮した後、再結晶させ、得られたスラリーを濾過し、濾残を乾燥することにより、無色の5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンの結晶を得た。
実施例2
[o−メトキシフェニルヒドラジンの製造]
300mlフラスコに、o−アニシジン20.17g(0.16モル)と、水24.52gと、20重量%塩酸60.51g(0.33モル)とを入れて室温で攪拌し溶液とした。該溶液を攪拌しながら0℃に冷却し、40重量%亜硝酸ナトリウム水溶液28.26g(0.16モル)を、混合液の温度を0℃に保ちながら、1時間かけて滴下して、塩化o−メトキシベンゼンジアゾニウムを含む混合液(A2)133.46gを得た。該混合液(A2)を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、混合液(A2)中の塩化o−メトキシベンゼンジアゾニウムの含有量は20.9重量%であった。
1Lフラスコに、35重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液101.72g(0.34モル)と、塩化ナトリウム32.41g(0.55モル)と、水79.70gとを入れて室温で攪拌し溶液とした。該溶液を攪拌しながら、25重量%アンモニア水溶液を加え、pH5.9に調整し、混合液(B2)を得た。得られた混合液(B2)を攪拌しながら60℃に昇温し、60℃で、25重量%アンモニア水溶液を加えてpH5.9に保ちながら、上記で得られた混合液(A2)を、0.5時間かけて全量加えた。次いで、75℃に昇温し、75℃で1時間攪拌した後、20℃に冷却し、反応混合物(C2)を得た。得られた反応混合物(C2)は溶液であった。該反応混合物(C2)を攪拌し20℃に保ちながら、35重量%塩酸84.42g(0.81モル)を0.1時間かけて滴下した後、25℃に昇温し、次いで25℃で1時間攪拌し、反応混合物(D2)を得た。得られた反応混合物(D2)のpHは−0.6であった。得られた反応混合物(D2)に48重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9.8に調整した後、40℃に昇温し、次いでトルエン142.65gを加えて40℃で0.5時間攪拌した。攪拌後、40℃で0.1時間静置することで油水分離し、有機相として、o−メトキシフェニルヒドラジンのトルエン溶液160.83gを得た。この溶液を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、溶液中のo−メトキシフェニルヒドラジンの含有量は11.5重量%であった。
[2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルの製造]
上記[o−メトキシフェニルヒドラジンの製造]で得られたo−メトキシフェニルヒドラジンのトルエン溶液159.90g(o−メトキシフェニルヒドラジン含有量:0.13モル)に、水60.47gと、25重量%水酸化ナトリウム水溶液22.73g(0.14モル)とを入れて、3℃で0.1時間攪拌した。攪拌後、得られた混合液を3℃に保ち攪拌しながら、クロロ炭酸メチル12.42g(0.13モル)を0.1時間かけて滴下し、さらに3℃で0.5時間攪拌することにより反応を行った。次いで、65℃に昇温し、65℃で0.2時間攪拌した後、攪拌を止め、65℃で0.1時間静置することで油水分離を行った。得られた油層に水15.90gを加え、65℃で0.2時間攪拌した。攪拌後、攪拌を止め、65℃で0.1時間静置することで油水分離した後、得られた油層にトルエン101.60gを加え、65℃で0.5時間攪拌して、2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルのトルエン溶液266.71gを得た。この溶液を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、溶液中の2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルの含有量は8.26重量%であった。また、該溶液には、不純物として2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−2−カルボン酸メチルが0.76重量%含まれ、クロロ−o−アニシジンの存在も確認された。
500mlフラスコに、上記で得られた2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルのトルエン溶液248.98gと、水24.46gと、20重量%塩酸5.73g(0.031モル)とを入れて、攪拌しながら50℃に昇温し、50℃で0.5時間攪拌した。攪拌後、攪拌を止め、50℃で0.1時間静置することで油水分離した後、得られた油層に水24.40gと、20重量%塩酸5.70g(0.031モル)とを加え、50℃で0.5時間攪拌した。攪拌後、攪拌を止め、50℃で0.1時間静置することで油水分離した後、得られた油層に水24.43gと、20重量%塩酸5.72g(0.031モル)とを加え、50℃で0.5時間攪拌した。攪拌後、攪拌を止め、50℃で0.1時間静置することで油水分離した後、得られた油層に5重量%水酸化ナトリウム水溶液0.6gを加えた。水層のpHは8.7であった。次いで50℃で0.5時間攪拌した後、攪拌を止め、50℃で0.1時間静置することで油水分離した後、得られた油層を50℃、0.01MPaにて濃縮し、2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルのトルエン溶液88.20gを得た。該溶液にトルエンを加え、2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルの含有量が12.7重量%である2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルのトルエン溶液を得た。また、該溶液には、2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−2−カルボン酸メチルが0.25重量%含まれていた。
[5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンの製造]
上記[2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルの製造]で得られた2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルの含有量が12.7重量%である2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルのトルエン溶液の全量を攪拌しながら5℃に冷却し、5℃で攪拌しながらホスゲン17.90g(0.18モル)を2時間かけてフラスコ内の気相部に導入した。導入後、25℃に昇温し、25℃で5時間攪拌し、反応混合物(E2)を得た。得られた反応混合物(E2)に水140.40gを加えた後、水層のpHが10.0となるように25重量%水酸化ナトリウム水溶液を加え、次いで25℃で0.5時間攪拌した。攪拌後、水層のpHが7.0となるように20重量%塩酸を加えた後、25℃で0.5時間静置することで油水分離した後、得られた油層に水32.32gを加え、25℃で0.2時間攪拌した。攪拌後、攪拌を止め、25℃で0.5時間静置することで油水分離した後、得られた油層に水32.34gを加え、25℃で0.2時間攪拌した。攪拌後、攪拌を止め、25℃で0.5時間静置することで油水分離した後、油層として5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンのトルエン溶液157.55gを回収した。この溶液を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、溶液中の5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンの含有量は13.2重量%であり、塩化o−メトキシベンゼンジアゾニウムに対する5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンの収率は61.6%であった。得られた溶液を濃縮した後、再結晶させ、得られたスラリーを濾過し、濾残を乾燥することにより、無色の5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンの結晶を得た。
実施例3
[o−メトキシフェニルヒドラジンの製造]
300mlフラスコに、o−アニシジン20.06g(0.16モル)と、水24.09gと、20重量%塩酸60.40g(0.33モル)とを入れて室温で攪拌し溶液とした。該溶液を攪拌しながら0℃に冷却し、40重量%亜硝酸ナトリウム水溶液28.08g(0.16モル)を、混合液の温度を0℃に保ちながら、1時間かけて滴下して、塩化o−メトキシベンゼンジアゾニウムを含む混合液(A3)132.63gを得た。該混合液(A3)を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、混合液(A3)中の塩化o−メトキシベンゼンジアゾニウムの含有量は20.9重量%であった。
1Lフラスコに、35重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液120.70g(0.40モル)と、塩化ナトリウム38.61g(0.66モル)と、水93.92gとを入れて室温で攪拌し溶液とした。該溶液を攪拌しながら、25重量%アンモニア水溶液を加え、pH6.0に調整し、混合液(B3)を得た。得られた混合液(B3)を攪拌しながら50℃に昇温し、50℃で、25重量%アンモニア水溶液を加えてpH6.0に保ちながら、上記で得られた混合液(A3)を、0.5時間かけて全量加えた。次いで、75℃に昇温し、75℃で1時間攪拌した後、20℃に冷却し、反応混合物(C3)を得た。得られた反応混合物(C3)は溶液であった。該反応混合物(C3)を攪拌し20℃に保ちながら、35重量%塩酸135.19g(1.3モル)を0.1時間かけて滴下した後、20℃で1時間攪拌し、反応混合物(D3)を得た。得られた反応混合物(D3)のpHは−1.0であった。得られた反応混合物(D3)に48重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9.8に調整した後、40℃に昇温し、次いでトルエン142.36gを加えて40℃で0.5時間攪拌した。攪拌後、40℃で1時間静置することで油水分離し、有機相として、o−メトキシフェニルヒドラジンのトルエン溶液161.10gを得た。この溶液を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、溶液中のo−メトキシフェニルヒドラジンの含有量は12.5重量%であった。
[2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルの製造]
上記[o−メトキシフェニルヒドラジンの製造]で得られたo−メトキシフェニルヒドラジンのトルエン溶液160.05g(o−メトキシフェニルヒドラジン含有量:0.15モル)に、水66.72gと、25重量%水酸化ナトリウム水溶液25.08g(0.16モル)とを入れて、3℃で0.1時間攪拌した。攪拌後、得られた混合液を3℃に保ち攪拌しながら、クロロ炭酸メチル13.70g(0.15モル)を0.1時間かけて滴下し、さらに3℃で0.5時間攪拌することにより反応を行った。次いで、65℃に昇温し、65℃で0.2時間攪拌した後、攪拌を止め、65℃で0.1時間静置することで油水分離を行った。得られた油層に水15.92gを加え、65℃で0.2時間攪拌した。攪拌後、攪拌を止め、65℃で0.1時間静置することで油水分離した後、得られた油層にトルエン101.63gを加え、65℃で0.5時間攪拌して、2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルのトルエン溶液266.03gを得た。この溶液を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、溶液中の2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルの含有量は8.94重量%であった。また、該溶液には、不純物として2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−2−カルボン酸メチルが0.84重量%含まれ、クロロ−o−アニシジンの存在も確認された。
500mlフラスコに、上記で得られた2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルのトルエン溶液248.26gと、水24.49gと、20重量%塩酸5.79g(0.032モル)とを入れて、攪拌しながら50℃に昇温し、50℃で0.5時間攪拌した。攪拌後、攪拌を止め、50℃で0.1時間静置することで油水分離した後、得られた油層に水24.49gと、20重量%塩酸5.78g(0.032モル)とを加え、50℃で0.5時間攪拌した。攪拌後、攪拌を止め、50℃で0.1時間静置することで油水分離した後、得られた油層に水24.48gと、20重量%塩酸5.78g(0.032モル)とを加え、50℃で0.5時間攪拌した。攪拌後、攪拌を止め、50℃で0.1時間静置することで油水分離した後、得られた油層に、水層のpHが9.5となるように5重量%水酸化ナトリウム水溶液を加え、次いで50℃で0.5時間攪拌した。攪拌後、攪拌を止め、50℃で0.1時間静置することで油水分離した後、得られた油層を50℃、0.01MPaにて濃縮し、2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルのトルエン溶液88.20gを得た。該溶液にトルエンを加え、2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルの含有量が12.7重量%である2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルのトルエン溶液を得た。また、該溶液には、2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−2−カルボン酸メチルが0.30重量%含まれていた。
[5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンの製造]
上記[2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルの製造]で得られた2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルの含有量が12.7重量%である2−(2−メトキシフェニル)ヒドラジン−1−カルボン酸メチルのトルエン溶液の全量を攪拌しながら5℃に冷却し、5℃で攪拌しながらホスゲン19.40g(0.20モル)を2時間かけてフラスコ内の気相部に導入した。導入後、25℃に昇温し、25℃で5時間攪拌し、反応混合物(E3)を得た。得られた反応混合物(E3)に水140.40gを加えた後、水層のpHが10.0となるように25重量%水酸化ナトリウム水溶液を加え、次いで25℃で0.5時間攪拌した。攪拌後、水層のpHが7.0となるように20重量%塩酸を加えた後、25℃で0.5時間静置することで油水分離した後、得られた油層に水32.30gを加え、25℃で0.2時間攪拌した。攪拌後、攪拌を止め、25℃で0.5時間静置することで油水分離した後、得られた油層に水32.30gを加え、25℃で0.2時間攪拌した。攪拌後、攪拌を止め、25℃で0.5時間静置することで油水分離した後、油層として5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンのトルエン溶液171.31gを回収した。この溶液を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、溶液中の5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンの含有量は12.7重量%であり、塩化o−メトキシベンゼンジアゾニウムに対する5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンの収率は65.0%であった。得られた溶液を濃縮した後、再結晶させ、得られたスラリーを濾過し、濾残を乾燥することにより、無色の5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンの結晶を得た。
比較例1
[o−メトキシフェニルヒドラジンの製造]
300mlフラスコに、o−アニシジン20.23g(0.16モル)と、水24.47gと、20重量%塩酸60.57g(0.33モル)とを入れて室温で攪拌し溶液とした。該溶液を攪拌しながら0℃に冷却し、40重量%亜硝酸ナトリウム水溶液28.74g(0.17モル)を、混合液の温度を0℃に保ちながら、1時間かけて滴下して、塩化o−メトキシベンゼンジアゾニウムを含む混合液(A4)134.01gを得た。該混合液(A4)を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、混合液(A4)中の塩化o−メトキシベンゼンジアゾニウムの含有量は20.9重量%であった。
1Lフラスコに、35重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液109.26g(0.36モル)と、塩化ナトリウム34.72g(0.59モル)と、水91.78gとを入れて室温で攪拌し溶液とした。該溶液を攪拌しながら、25重量%アンモニア水溶液を加え、pH4.5に調整し、混合液(B4)を得た。得られた混合液(B4)を攪拌しながら60℃に昇温し、60℃で、25重量%アンモニア水溶液を加えてpH4.5に保ちながら、上記で得られた混合液(A4)を、0.5時間かけて全量加えた。次いで、60℃でさらに5時間攪拌した。攪拌後の混合物のpHは4.5であった。次いで、75℃に昇温し、75℃で1時間攪拌した後、20℃に冷却し、反応混合物(C4)を得た。得られた反応混合物(C4)は溶液であった。得られた反応混合物(C4)を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、反応混合物(C4)中のo−メトキシフェニルヒドラジンの含有量は0重量%であり、混合液(A4)に含まれる塩化o−メトキシベンゼンジアゾニウムが全量回収され、塩化o−メトキシベンゼンジアゾニウムと亜硫酸水素ナトリウムとの反応は進行しなかった。