以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1には、一実施形態が適用された携帯端末1を示している。携帯端末1は、表示情報を出力する表示面と操作情報を入力するセンサ面を一体に有したセンサ一体型表示デバイス100と、上記センサ面で感知された信号をもとに三次元情報(RAW−D)を生成し出力するデータ転送デバイス200と、データ転送デバイスが出力した三次元情報(RAW−D)をもとに上記センサ面の複数の感知点における三次元のイメージデータを生し、生成したイメージデータをもとに上記センサ面上を操作した導体の操作内容を解析する処理機能を有したアプリケーション動作デバイス300とを備えた電子機器を構成している。
センサ一体型表示デバイス100は、表示面(又は表示パネル)と操作面(又は操作入力パネル)を一体に有し、そのために表示素子構成部品110、及びセンサ構成部品150を有する。
このセンサ一体型表示デバイス100には、後述するドライバ210から表示用信号(又は画素信号)が供給される。そしてドライバ210からゲート信号が供給されると、表示素子構成部品110の画素に対して画素信号が書き込まれる。この画素信号に応じて、画素電極と共通電極間の電圧が決まり、この電圧により電極間の液晶分子が変位し、液晶分子の変位に応じた輝度が得られる。
センサ一体型表示デバイス100の呼び名は、これに限定されるものではなく、入力センサ一体型表示部、ユーザインターフェースなどと称してもよい。
表示素子構成部品110は、液晶表示パネル、LED、有機ELなどの発光素子による表示部を採用してもよい。表示素子構成部品110は、単純にディスプレイと称されてもよい。センサ構成部品150は、静電容量変化検知方式、光量変化検知方式などがあり、何れが採用されてもよい。センサ構成部品150はタッチ入力を検出するためのパネルと称されてもよい。
センサ一体型表示デバイス100は、データ転送デバイス200を介してアプリケーション動作デバイス300に接続される。
データ転送デバイス200は、ドライバ210、センサ検出器250を有する。ドライバ210は、基本的には、アプリケーション動作デバイス300から転送されてくるグラフィックデータを表示素子構成部品110に入力する。また、センサ信号検出器250は、センサ構成部品150から出力されるセンサ信号を検出する。
ドライバ210とセンサ信号検出器250は、相互に同期動作するもので、同期制御は、アプリケーション動作デバイス300の制御に基づいている。
アプリケーション動作デバイス300は、携帯電話等の電子機器内に組み込まれている、たとえば半導体集積回路(LSI)であって、OS等のソフトウエアによってWebブラウジングやマルチメディア処理などの複数の機能処理を複合的に実行する役割を持つものである。これらアプリケーションプロセッサは、高速な演算処理を行うもので、デュアルコア、あるいはQuad−Coreのものであってもよい。動作速度としてたとえば500MHz以上、より好ましくは1GHzのものが好適である。
ドライバ210は、アプリケーションに基づいて、表示構成素子構成部品110に表示信号(グラフィックスデータがアナログ変換された信号)を供給する。さらにドライバ210は、センサ信号検出器250からのタイミング信号に基づいて、センサ構成部品150をアクセスするためのセンサ駆動信号Txを出力する。このセンサ駆動信号Txに同期して読み出されたセンサ信号Rxは、センサ構成部品150から読み出されて、センサ信号検出器250に入力する。
センサ信号検出器250は、センサ信号をスライスし、ノイズ除去し、生の読み取りイメージデータ(3次元イメージデータと称することができる)としてアプリケーション動作デバイス300に入力する。この実施形態では上記センサ信号検出器250から出力される生の読み取りイメージデータをロウデータ(RAW−D)若しくは符号を除いたロウデータと呼称する。
センサ構成部品150が容量検出方式である場合、イメージデータは、単純に座標を表す2次元データではなく、容量の大きさに応じて異なる多値(2ビット以上の例えば3値−7値)を持つことができる。したがって、このイメージデータは、物理量と座標を含む3次元データと称することができる。対象物となる導体(例えばユーザの指先)とタッチパネルとの遠近(近接度)に応じて容量の変化があるので、この変化を物理量の変化として捕らえることができる。
上記したようにデータ転送デバイス200のセンサ信号検出器250が、イメージデータを直接、アプリケーション動作デバイス300に提供する理由は以下の理由に基づいている。
まずアプリケーション動作デバイス300は、その高速演算機能を活かして、イメージデータを各種の用途に用いることができる。
アプリケーション動作デバイス300においては、ユーザからの種々の要望に応じて、新しい種々のアプリケーションが格納される。新しいアプリケーションは、データ処理内容に応じて、イメージデータの処理方法、読み出しタイミング、読み出しフォーマット、読み出し領域または、読み出し密度などの変化や切換えを望む場合がある。
このような場合、従来の装置のように座標データのみを受け取ると、その取得情報量が制約される。しかし、この装置のように生の3次元イメージデータを解析すると、例えば座標位置情報のほかに、導体の近接度に応じた遠近情報も得ることができる。
さらに、アプリケーションによる各種機能の拡張性を得るために、データ転送デバイス200は、アプリケーションによる制御に基づく各種の動作に追従できることが望ましい。そこで、データ転送デバイス200は、できるだけシンプルな機能として、アプリケーションによる制御に応じて、センサ信号の読み取りタイミング、読み取り領域、読み取り密度などを任意に切換え可能な構造としている。この点は、後でも説明する。
アプリケーション動作デバイス300は、この実施形態の場合、無線機インターフェース(図1参照)を備えたベースバンドエンジンを搭載して多種のアプリケーションの処理を可能にした、所謂、アプリケーションプロセッサと称される単一の半導体集積回路により構成されており、上記した無線機インターフェース以外に、例えばカメラ機能インターフェースなどをも含むことができる。さらにアプリケーション動作デバイス300には、センサ信号検出器250から受けたロウデータ(RAW−D)をもとに、センサ構成部品150のセンサ面の複数の感知点における三次元イメージデータを生成するイメージデータ生成処理部(P1)と、このイメージデータ生成処理部で生成されたイメージデータをもとに上記センサ面上を操作した導体の操作内容を認識するイメージ解析処理部(P2)と、このイメージ解析処理部で認識した操作内容に従うアプリケーションを実行する各種のアプリケーション実行部(Ps)と、座標演算処理部(P3)が含まれる。
図2Aには、表示素子構成部品110とセンサ構成部品150とが一体となった、センサ一体型表示デバイス100、つまり表示パネルと操作入力パネルが一体化した表示装置の断面構造を示している。
薄膜トランジスタ(TFT)基板11上に、共通電極13、さらに絶縁層を介して画素電極12が形成され、画素基板10が構成されている。画素基板10対して、液晶層30を挟んで、対向基板20が画素基板10と平行に配置されている。対向基板20は、液晶層側から順次カラーフィルタ22、ガラス基板23、センサ用検出電極24、偏光板25が配置されて構成されている。
共通電極13は、表示用の共通駆動電極でもあるが、センサ用駆動電極(或いはセンサの共通駆動電極)としても機能する。
図2Bは、共通電極とセンサ用検出電極の交差点付近に、導体、例えばユーザの指先が近接した場合であって、この交差点からセンサ用検出電極を介して読み出した電圧がV0からV1に変化した様子を示している。指を接触していない状態では、交差点の容量(第1容量素子とする)に対する充放電に伴って第1容量素子の容量値に応じた電流が流れる。このときの第1容量素子の他端の電位波形は、例えば図2Bの波形V0のようになる。センサ用検出電極にユーザの指先が近接すると、指によって形成される第2容量素子が第1容量素子に直列に追加された形となる。この状態では、第1容量素子と第2容量素子とに対する充放電に伴って、それぞれ電流が流れる。このときの第1容量素子の他端の電位波形は、例えば図4の波形V1のようになり、これが検出回路20によって検出される。このとき、第1容量素子の他端の電位は、第1容量素子と第2容量素子とを流れる電流の値によって定まる分圧電位となる。このため、波形V1は、非接触状態での波形V0よりも小さい値となる。したがって、このセンサ信号Rxと閾値Vthと比較することにより、センサに接触しているか否かを判断することが可能となる。
図3は、操作入力パネルのセンサ構成部品とその駆動方法を説明するために示した斜視図であり、センサ用検出電極24と共通電極21との配置関係を示している。図3に示す例は一例であり、このようなタイプに限定されるものではない。
図4には再度、センサ一体表示デバイス100、データ転送デバイス200及びアプリケーション動作デバイス300を示している。
ここでは、データ転送デバイス200とアプリケーション動作デバイス300の内部構成例をさらに示している。
データ転送デバイス200は、大きく分けてドライバ210と、センサ信号検出器250を有する。ドライバ210、センサ信号検出器250の名称は、これに限定されるものではなく、表示器ドライバIC,タッチICと称されてもよい。ブロックは別々に示されているが、一体に構成され、1チップとしてされてもよい。
ドライバ210は、アプリケーション動作デバイス300から表示用データを受け取る。表示用データは、時分割されておりブランキング期間を備える。表示用データは、バッファとしてのビデオランダムアクセスメモリ(VRAM)211を介して、タイミング回路及びデジタルアナログ変換器212に入力される。本システムでは、VRAM211は、1フレーム以下の容量であってもよい。
アナログ量としての表示用データSigXは、出力増幅器213で増幅されて、表示素子に書き込むためにセンサ一体型表示デバイス100に入力される。タイミング回路及びデジタルアナログ変換器212で検出されたブランキング検出信号は、センサ信号検出器250のタイミング制御器251に入力する。このタイミング制御器251は、ドライバ210内に設けられてもよい、また同期化回路と称されてもよい。
タイミング制御器251は、前記表示用信号のブランキング期間にセンサをアクセスするためのセンサクセスパルスを生成する。このセンサクセスパルスは、出力増幅器214で増幅されてセンサ一体型表示デバイス100に入力される。
駆動信号Txがセンサ用検出電極を駆動することにより、センサ信号Rxがセンサ一体型表示デバイス100から出力される。センサ信号Rxは、センサ信号検出器250内の積分回路252に入力する。センサ信号Rxは、積分回路252で基準電圧(閾値)Vrefと比較され、基準電位以上のレベルのセンサ信号Rxは、コンデンサで積分され、積分出力が出力され、そして検出単位期間ごとにスイッチによりリセットされ、Rxのアナログ出力を得ることができる。積分回路252の出力は、サンプルホールド及びアナログデジタル変換器253に入力され、デジタル化される。デジタル化された検出データは、デジタルフィルタ254を介して生のデータとして、アプリケーション動作デバイス300に入力する。
検出データは、操作入力の検出データ及び操作入力の非検出データの両方を含む3次元データ(多値のデータ)である。プレゼンス検出器255は、例えばアプリケーション動作デバイスがスリープモードにあり、操作面上のタッチ座標の検出が行われていないときに機能する。プレゼンス検出器255は、何か接近物があるような場合、接近物を感知し、スリープモードを解除することができる。
アプリケーション動作デバイス300は、検出データを受け取り解析し、解析結果に応じた前記表示用データを出力することができる、また、システムの動作機能を切り替えることができる。
アプリケーション動作デバイス300は、各種のアプリケーションを展開して装置の動作手順の設定、機能切り替え、表示用信号の生成、切り替えなどを実行することができる。センサ信号検出器250から出力されたセンサ出力(ロウデータ)を用いて、座標演算処理を行い操作位置の解析を行うことができる。このセンサ出力は、イメージデータとして捉えられるので、アプリケーションにより3次元イメージデータが構築されることもできる。3次元イメージデータの登録処理、消去処理、確認処理なども実行できる。登録イメージデータと、取得したイメージデータを比較することにより、動作機能のロック及びロック解除を実行することもできる。
またセンサ信号を取得する場合、アプリケーション動作デバイス300は、タイミング制御器251から出力されるセンサ検出用電極へのアクセスパルスの周波数変更、アクセスパルスの出力タイミングを行うこともできる。これにより、アプリケーション動作デバイスは、センサ構成部品150のアクセス領域の切換え、アクセス速度の設定を行うことができる。
また、アプリケーション動作デバイス300は、センサ出力信号のサンプリング密度、センサ出力信号に対する付加データの追加なども実行することができる。
このアプリケーション動作デバイス300には、センサ出力(ロウデータ)に基づくイメージデータに対して平坦化のためのノイズ除去を行うフィルタ(T1)と、イメージデータから操作面上の操作位置座標を算出する座標演算アルゴリズム(T2)が、それぞれ種類を変え、複数用意される。このフィルタ(T1)と、座標演算アルゴリズム(T2)は、アプリケーションやセンサ面上の操作位置などの機能や条件により演算結果として座標値にバラツキが生じ得ることを想定して予め複数用意される。この複数のフィルタ(T1)と座標演算アルゴリズム(T2)の中から、それぞれ、ユーザの使い勝手やアプリケーションの処理内容に応じて、ユーザ若しくはアプリケーションにより一つ(一組)が選択される。このフィルタ(T1)と座標演算アルゴリズム(T2)の選択手段は、後述する図20に、座標演算アルゴリズム(アルゴリズムA,アルゴリズムB,アルゴリズムC)、フィルタ(FilterA,FilterB,FilterC)として示されている。
図5Aには、データ転送デバイス200から出力される時分割の表示用データSigXと、センサ駆動信号Tx(Tx1−Txn)のタイミングチャートの一例を示している。図5Bは、共通電極とセンサ用検出電極とを含むセンサ構成部品150を、共通電圧Vcomとセンサ駆動信号Txとが2次元スキャンを行う様子を模式的に示している。共通電圧Vcomは、共通電極13に対して順次印加される。また共通電極13には、任意の期間にセンサ出力を得るための駆動信号Txが与えられる。
アプリケーション動作デバイス300から、表示用データSigxとセンサ駆動信号Txとは、同じバスを介して時分割によりドライバ210に入力してもよい。タイミング回路及びデジタルアナログ変換器212で、表示用データSigxとセンサ駆動信号Txが分離されてもよい。センサ駆動信号Txは、タイミング制御器251、増幅器214を介して先に説明した共通電極13に供給される。タイミング制御器251からセンサ駆動信号Txを出力するタイミング、周波数などはアプリケーション動作デバイス300の指令により変更することができる。またタイミング制御器251は、センサ信号検出器250の積分回路252に対してリセットタイミング信号を供給し、サンプルホールド及アナログデジタル変換器253、デジタルフィルタ254にクロックを供給することができる。
図6には、センサ出力の生データの例であり、操作入力が検出されていないときのデータをグラフ化した模式図を示している。
図7には、センサ出力の生データの例であり、操作入力が検出されたときのデータをグラフ化した模式図を示している。
図8には、アプリケーション動作デバイス300において、センサ信号検出器250から入力されたロウデータ(RAW−D)をもとに生成した三次元イメージデータにより、マルチタッチインタフェース機能を含んだ多種多様なアプリケーション動作機能を実現した具体例を示している。図8に示す例では、ロウデータ(RAW−D)をもとに生成した三次元イメージデータにより、例えば操作者(ユーザ)の耳の形状(Ia)、操作者が大人の場合、子供の場合のそれぞれの掌の形状(Ib)、特定のジェスチャーと操作の組み合わせ(Ic)、複数本の指タッチによる操作(Id)、指の腹がセンサ面に触れた状態(Ie)、指の先がセンサ面に触れた状態(If)、など、センサ面上における、多種多様な操作内容の認識が可能である。これら認識が可能な操作内容の三次元イメージデータをアプリケーション機能とともに登録しておくことにより、イメージ照合による多種多様な制御が可能となる。
例えば、操作者が耳を携帯端末1のセンサ面に当てることにより、耳の形状(Ia参照)を認識して、操作者の真贋判定やその他の機能制御が可能である。真贋判定では、操作者の耳であることを認識して、携帯端末1の機能ロックを解除することが可能となる。機能制御では、操作者がセンサ面に耳を当てることで通話に入ることを認識して動作モードを通話モード(受話状態)に切り替える、機能の自動切替制御が可能となる。
また、掌サイズを認識する(Ib参照)ことで、世代別アプリケーションの選択的な提供、ユーザ別アプリケーションの選択的な提供、操作者を特定した機器またはアプリケーションの使用許可または使用禁止などが可能になる。
また、特定のジェスチャーと操作の組み合わせ(Ic参照)では、例えばピースサインの2本の指で操作面を2回連続タッチすると、カメラアプリケーションが起動してカメラ撮影を可能にし、3回連続タッチすると、音楽プレーヤが起動して音楽再生を可能にする。
また、複数本の指を使い分け(Id参照)、例えば親指でスクロール操作を行い、人差指でタップ操作を行い、小指でズーム操作を行うことが操作機能の切替なしで可能となる。
また、指の腹のタッチ(Ie参照)と、爪を立てた指先のタッチ(If参照)とを区別して認識し、それぞれ別のアプリケーションを起動することも可能である。
図9には、携帯端末1における、上記した各種の操作内容の認識による、ロック解除例を示している。この例では、耳の形状で認証が得られた場合(SB31)と、掌の形状で認証が得られた場合(SB32)と、指先の形状で認証が得られた場合(SB33)とを対象に、そのオア条件、若しくはいずれかのアンド条件で、携帯端末1の機能ロックを選択的に解除(SB34)し、携帯端末1の使用を可能(SB35)にしている。このロック解除手段により、セキュリティレベルに合わせた使い勝手のよい認証機能が実現可能である。
これらの認証に用いられる三次元イメージデータの登録処理は、例えばイメージの登録画面、音声ガイダンスの双方若しくはいずれかによる操作案内で円滑に実施可能である。
アプリケーション動作デバイス300には、上記した三次元イメージデータに基づく各種操作内容に従うアプリケーション機能を実現するためのイメージの登録処理、並びに認証処理を実現するための処理手順が予め用意されている。
図10および図11には、耳の形状(Ia参照)を認識して携帯端末1の機能ロックを選択的に解除する登録並びに認証の処理手順を示している。
図10に登録シーケンスの一例を示している。この登録シーケンスでは、携帯端末1を所有するユーザの耳の三次元イメージデータをアプリケーション動作デバイス300上で動作するアプリケーションに登録し(S11〜S13)、さらに登録した耳の三次元イメージデータを用いて機能の選択を行い(S14)、ロック解除(S14A)を登録して、耳形状による認証の登録処理を完了する。なおロック解除でなくその他の機能(S14B)を用いてもよい。
図11にロック解除シーケンスの一例を示している。ロック解除シーケンスでは、携帯端末1を所有するユーザがセンサ構成部品150のセンサ面に耳を当てることにより生成された耳の三次元イメージデータが、耳の三次元イメージデータを予め登録したアプリケーション内で照合され(S21〜S22)、登録判定し(S23)、特徴が一致した判定により、耳の三次元イメージデータを予め登録したアプリケーションのロックが解除される(S23A〜S24)。なおロック解除でなくその他の機能(S23B)を用いてもよい。 図12および図13には、複数本の指を使い分けた操作入力(Id参照)を可能にする登録並びに操作の処理手順を示している。
図12に登録シーケンスの一例を示している。この登録シーケンスでは、センサ面の操作に用いる指それぞれの形状を三次元イメージデータで予め登録しておく。例えば、親指でスクロール操作を行い、人差指でタップ操作を行い、小指でズーム操作を行う場合、先ずセンサ面に親指を触れて親指の三次元イメージデータを登録し(S31〜S33)、続いて機能選択を行い(S34)、登録した親指の操作機能(スクロール操作機能)を登録する(S34A〜S35)。さらに続いて人差指の三次元イメージデータ、並びに同人差指の操作機能(タップ操作機能(S34B〜S35))を登録した後、小指の三次元イメージデータ、並びに同小指の操作機能(ズーム操作機能(S34C〜S35))を登録する。
図13に操作シーケンスの一例を示している。この操作シーケンスでは、センサ面に触れた指のイメージデータと登録された指のイメージデータとが照合され(S43)、親指でのスクロール操作(S43A〜S44)と、人差指でのタップ操作(S43B〜S44)と、小指でのズーム操作(S43C〜S44)とをそれぞれ、機能選択を行うことなく可能にしている。
図14には、センサ面の2カ所を別々にタッチしてアプリケーション機能を切り替える操作例を示している。例えば左手の親指で描画の線種機能を選択し、右手の人差指で描画部分をタッチすることで、人差指の描画部分の線種を変えることができ、左手の親指で描画の色指定を選択し、右手の人差指で描画部分をタッチすることで、人差指の描画部分の色を変えることができ、左手の親指で描画の部分取消を選択し、右手の人差指で描画部分をタッチすることで、人差指の描画部分を消しゴムで消すことができる。このように複数本の指操作による機能切替を可能にしたことで操作性に優れたタッチ操作機能が提供できる。
図15には、特定形状のイメージデータを予め登録しておき、ロック解除時の認証用パターンとして使用する例を示している。例えばスタンプのような特定形状のイメージデータを予め登録しておくことで、当該形状のスタンプイメージを用いたロック解除の認証手続が可能である。
図16には、数フレーム分のイメージデータを予め登録しておき、ゼスチャーとして使用する例を示している。例えば人差指の原全体でセンサ面を画面の上方向にスライド操作することによりロックを解除し、その逆方向にスライド操作することによりスリープ状態にする機能制御が可能である。
また、図16に示す機能の応用として、例えば操作方向に応じた前曲方向、次曲方向への選曲操作、音楽プレーヤの起動、停止など、様々な機能切替、機能選択が可能である。これらの操作は必ずしもセンサ面に導体となる指をタッチした状態で行う必要はなく、ロウデータ(RAW−D)に基づく三次元イメージデータにより感知が可能となるようにセンサ面の感知レベルを調整することで、センサ面上において非接触で(例えば鞄の外側から)操作可能である。
上記した多種多様なアプリケーション機能を実現する場合、アプリケーション機能の特性に合わせた高精度の位置座標算出機能が要求される。特に近年のセンサ一体型表示デバイスは高精細になり、非常に細かい操作を必要とする場面が増えてきている。
このような状況下において、センサ一体型表示デバイスでのタッチユーザインタフェースとして、ユーザとなる個人毎に異なる操作感覚(タッチしたい箇所と機器が認識したタッチ座標とのずれ)が発生している。
そこで、この問題を解消するため、本実施形態では、アプリケーション動作デバイス300の高速演算処理機能により、ロウデータ(RAW−D)に基づく三次元イメージデータを用いてユーザの操作に適合した正確な座標を算出する。
この実施形態では、図4に示すフィルタ(T1)および座標演算アルゴリズム(T2)をそれぞれ複数組用意し、使用用途、目的、物理的な条件などによって使い分ける、若しくは、ユーザの習慣または嗜好などによって任意に選択可能にしている。これら複数組のフィルタ(T1)および座標演算アルゴリズム(T2)は、例えば、それぞれ、算出過程における演算パラメータを含む構成要素を違えたものが用意される。
この複数組のフィルタ(T1)および座標演算アルゴリズム(T2)をアプリケーションによって使い分ける場合は、例えば、アプリケーション動作デバイス300内の各アプリケーションと、フィルタ(T1)および座標演算アルゴリズム(T2)とを対応付けた対応テーブルを用意しておき、起動するアプリケーションに応じ、対応テーブルを参照して、当該アプリケーションに適合したフィルタ(T1)と座標演算アルゴリズム(T2)を選択し、選択したフィルタ(T1)と座標演算アルゴリズム(T2)を用いて操作位置座標の座標演算処理を実施する。また、ユーザが任意に選択する場合は、ユーザの習慣や嗜好、若しくは特定のアプリケーション動作に対して、最も相応しい座標認識処理が実施されるフィルタ(T1)と座標演算アルゴリズム(T2)を選択する。
図17には、座標演算アルゴリズムの複数の例を示している。例えば、三次元イメージデータから、タッチ操作した指の重心を算出する座標演算アルゴリズム(アルゴリズムA)と、タッチ操作(非タッチ操作を含む)した指の先端を算出する座標演算アルゴリズム(アルゴリズムB)とをそれぞれユーザ若しくはアプリケーションにより選択可能に用意する。
図18Aにタッチデータを取得するためのセンサの等価回路を示し、図18Bにセンサの出力波形を示している。あるセンサ線から出力されるセンサ信号の、タッチしたときと、タッチしないときの差分Δ(図18Bにおいて2つの矢印に挟まれた部分)をシグナルとしたとき、すべてのセンサ線から同じように差分Δが出力される。すべてのセンサ出力の差分Δからイメージデータを作成し、その中から閾値を超えるセンサ出力をタッチデータとして演算してゆく。差分Δは各センサ線の両側から出ている電界を遮ることによって現れるため、対象物となる導体が大きいほど、差分Δは大きな値を得ることができる。
図19Aにセンサ線上でタッチしたイメージの大きさを示し、図19Bにタッチした各イメージのタッチデータ例を示している。タッチしたイメージデータにおいて、閾値を超えるイメージが小さい場合は、センサ線の両側にある電界を十分に遮ることができなくなり、センサ線の直上にタッチしたときと、センサ線の間にタッチしたときとで差分Δの値は大きく変化する。このようにセンサ線の直上にタッチしたときと、センサ線の間にタッチしたときでは差分Δが不均衡になるため、差分Δが均衡になる補正が必要となる。
図20に、フィルタおよび座標演算アルゴリズムを複数組用意し、使用用途、目的など、上記した各種の条件によって使い分ける、若しくは選択することが可能なタッチ座標演算処理手段を示している。タッチ座標演算処理手段は図1に示す座標演算処理部(P3)により実現される。
予め用意される複数組のフィルタおよび座標演算アルゴリズムは、それぞれ座標値の演算結果において必ずしも値が一致しない操作条件若しくは演算要素を含んでいる。
ロウデータ(RAW−D)に基づく三次元イメージデータからタッチ座標を算出するにあたって、ユーザ若しくはアプリケーションにより、予め用意した複数種のフィルタ(FilterA,FilterB,FilterC)、および複数種の座標演算アルゴリズム(アルゴリズムA,アルゴリズムB,アルゴリズムC)から、ユーザ操作若しくはアプリケーションに適合した1種の座標演算アルゴリズムが選択される。
ロウデータ(RAW−D)に基づく三次元イメージデータから座標を求める処理において、選択されたフィルタ(例えばFilterA)を用いてノイズ除去の処理を施したイメージデータが取得される。さらに、選択された座標演算アルゴリズム(例えばアルゴリズムB)を用いてタッチ操作座標の演算処理が実施される。これにより、非常に細かいピッチのタッチ操作を必要とする高精細パネル仕様において、多種多様なアプリケーション操作に対して、ユーザ操作若しくはアプリケーションに適合した正確な座標指定が可能になり、操作誤りを低減した、使い勝手のよい座標入力機能が提供される。
上記した座標演算処理手段以外に、例えば、座標値補完テーブルを用意して、座標データを扱うアプリケーション毎(若しくは座標演算アルゴリズム毎)に、それぞれ座標値の補正係数をアプリケーションと対応付けて座標値補完テーブルに登録しておき、座標値補完テーブルに登録された補正係数を用いて算出される座標値を正しい座標値に補正することも可能である。
ここでは本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。さらにまた、請求項の各構成要素において、構成要素を分割して表現した場合、或いは複数を合わせて表現した場合、或いはこれらを組み合わせて表現した場合であっても本発明の範疇である。また請求項を方法、ステップ、或いはプログラムとして表現した場合であっても本発明の装置を適用したものである。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。