以下、本発明に係るエンジンのオイル供給装置1の実施形態について、図1から図13を参照しながら説明する。
まず、図1を参照しながら、本発明の実施形態に係るオイル供給装置1が適用されるエンジン2について説明する。図示するように、エンジン2は、第1気筒から第4気筒が順に直列に配置された直列4気筒ガソリンエンジンであり、カムキャップ3、シリンダヘッド4、シリンダブロック5、クランクケース(図示せず)及びオイルパン6(図4参照)が上下に連結され、シリンダブロック5に形成された4つのシリンダボア7内をそれぞれ摺動可能なピストン8と、クランクケースに回転自在に支持されたクランクシャフト9とがコネクティングロッド10によって連結された構成を備えており、シリンダブロック5の上部においてシリンダボア7とピストン8によって燃焼室11が気筒毎に形成されている。
シリンダヘッド4には、燃焼室11に開口する吸気ポート12と排気ポート13が設けられ、吸気ポート12及び排気ポート13を開閉する吸気弁14及び排気弁15が各ポート12、13に装備されている。これら吸排気弁14、15は、リターンスプリング16、17により閉方向(図1上方)に付勢されており、回転するカムシャフト18、19の外周に設けたカム部18a、19aによって、スイングアーム20、21の略中央部に回転自在に設けられたカムフォロア20a、21aが下方に押されて、スイングアーム20、21の一端側に設けられたピボット機構25aの頂部を支点にして、スイングアーム20、21が揺動することで、スイングアーム20、21の他端部で吸排気弁14、15がリターンスプリング16、17の付勢力に抗して下方に押されて開動するように構成されている。
エンジン中央にある第2、第3気筒のスイングアーム20、21のピボット機構25aとして、油圧により自動的にバルブクリアランスをゼロに調整する公知の油圧ラッシュアジャスタ24(以降、Hydraulic Lash Adjusterの略記を用いて「HLA」という)が設けられている。
また、エンジン両端にある第1、第4気筒のスイングアーム20、21に対しては、ピボット機構25aを備える後述する弁停止機構付きHLA25(図1参照)が設けられている。この弁停止機構付きHLA25は、HLA24と同様に自動的にバルブクリアランスをゼロに調整可能に構成されているが、エンジン2の運転状態に応じて第1、第4気筒の吸排気弁14、15の開閉動作を停止させる減気筒運転と、全気筒の吸排気弁14、15を開閉動作させる全気筒運転とに切り替え可能にも構成されている。
シリンダヘッド4には、これらHLA24及び弁停止機構付きHLA25の下端部を挿入して装着するための装着穴26、27がそれぞれ設けられている。また、シリンダヘッド4には、弁停止機構付きHLA25用の装着穴26、27に連通する2つの油路61、62、63、64が穿設されており、弁停止機構付きHLA25が装着穴26、27に嵌合された状態で、油路61、62は、弁停止機構付きHLA25の弁停止機構25bを作動させる油圧(作動圧)を供給し、油路63、64は弁停止機構付きHLA25のピボット機構25aが自動的にバルブクリアランスをゼロに調整するための油圧を供給するように構成されている。
シリンダブロック5には、シリンダボア7の排気側の側壁内を気筒列方向に延びるメインギャラリ54が設けられている。このメインギャラリ54の下側近傍には、このメインギャラリ54と連通するピストン冷却用のオイルジェット28が各ピストン8毎に設けられている。このオイルジェット28は、ピストン8の下側に配置されたノズル部28aを有しており、このノズル部28aからピストン8の頂部の裏面に向けてエンジンオイル(以下、単に「オイル」という。)を噴射するように構成されている。
各カムシャフト18、19の上方には、パイプで形成されたオイルシャワー29、30が設けられており、該オイルシャワー29、30から潤滑用のオイルを下方にあるカムシャフト18、19のカム部18a、19aと、さらに下方にあるスイングアーム20、21とのカムフォロア20a、21aとの接触部に滴下するように構成されている。
次に、図2を参照しながら、油圧作動装置の一つである弁停止機構25bについて説明する。弁停止機構25bは、エンジン2の運転状態に応じて第1、第4気筒の吸排気弁14、15の開閉動作を停止させる減気筒運転と、全てのHLA24を通常動作させることで全気筒の吸排気弁14、15に開閉動作をさせる全気筒運転とに切り替えるための機構である。
図示するように、弁停止機構付きHLA25は、ピボット機構25aと弁停止機構25bを備えている。ピボット機構25aは、油圧により自動的にバルブクリアランスをゼロに調整するHLAで構成されており、第2、3気筒に用いられている周知のHLA24と実質的に同じ構成であるため説明を省略する。弁停止機構25bは、ピボット機構25aを軸方向に摺動自在に収納する有底の外筒251と、該外筒251の側周面に対向して設けられた2つの貫通孔251aを出入り可能に設けられ、上方にある軸方向に摺動自在なピボット機構25aをロック状態またはロック解除状態に切替可能な一対のロックピン252と、これらロックピン252を径方向外側へ付勢するロックスプリング253、外筒251の内底部とピボット機構25aの底部との間に設けられ、ピボット機構25aを外筒251の上方に押圧して付勢するロストモーションスプリング254を備えている。
図2(a)に示すように、ロックピン252が外筒251の貫通孔251aに嵌合してピボット機構25aが上方に突出して固定されたロック状態にあるとき、図1に示すように、ロック状態のピボット機構25aの頂部がスイングアーム20、21の揺動の支点となるため、カムシャフト18、19の回転によりカム部18a、19aがカムフォロア20a、21aを下方に押すと、吸排気弁14、15がリターンスプリング16、17の付勢力に抗して下方に押されて開弁する。したがって、第1、第4気筒について弁停止機構25bをこのロック状態にすることで、全気筒運転を行うことができる。
図2(b)に示すように、作動油圧により両ロックピン252の外側端面を押圧すると、ロックスプリング253の引張力に抗して、両ロックピン252は互いに接近するように外筒251の内径方向に後退し、外筒251の貫通孔251aと嵌合しなくなり、上方にあるピボット機構25aが軸方向に移動可能なロック解除状態となる。
このロック解除状態で、ピボット機構25aがロストモーションスプリング254の付勢力に抗して下方に押圧されると、図2(c)に示すような弁停止状態となる。すなわち、吸排気弁14、15を上方に付勢するリターンスプリング16、17の方がピボット機構25aを上方に付勢するロストモーションスプリング254よりも付勢力が強く構成されているため、ロック解除状態でカムシャフト18、19の回転によりカム部18a、19aがカムフォロア20a、21aを下方に押すと、吸排気弁14、15の頂部がスイングアーム20、21の揺動の支点となり、吸排気弁14、15は閉弁されたまま、ピボット機構25aがロストモーションスプリング254の付勢力に抗して下方に押される。したがって、弁停止機構25bをロック解除状態にすることで、減気筒運転を行うことができる。
次に、図3を参照しながら、油圧作動装置の一つである可変バルブタイミング機構32、33(以下、単に「VVT」という。)について説明する。図3(a)を参照すると、VVT32、33は、略円環状のハウジング331と、該ハウジング331の内部に収容されたロータ332を有しており、ハウジング331はクランクシャフト9と同期して回転するカムプーリ333と、ロータ332は吸排気弁14、15を開閉させるカムシャフト18、19と一体回転可能に連結されている。ハウジング331の内部には、ハウジング331の内周面とロータ332に設けられたベーン334とで区画された遅角油圧室335と進角油圧室336が複数形成されている。これら油圧室335、336には第1方向切替弁34、35を介してオイルを供給するポンプ36が接続されている。この第1方向切替弁34、35の制御により遅角油圧室335にオイルを導くと、油圧によりカムシャフト18、19は回転方向とは逆向きに動くため、吸排気弁14、15の開時期が遅くなり、一方で、進角油圧室336にオイルを導くと、油圧によりカムシャフト18、19は回転方向に動くため、吸排気弁14、15の開時期が早くなる。
図3(b)は、吸気弁14と排気弁15の開弁位相を示しており、図からわかるように、VVT32、33によって吸気弁14の開弁位相を進角方向(矢印を参照)に変更すると、排気弁15の開弁期間と吸気弁14の開弁期間(一点鎖線を参照)がオーバーラップする。このように吸気弁14と排気弁15の開弁期間をオーバーラップさせることで、エンジン燃焼時の内部EGR量を増加させることができ、ポンピングロスを低減して燃費性能を向上できる。また、燃焼温度を抑えることもできるため、NOxの発生を抑えて排気浄化を図れる。一方、VVT32、33によって吸気弁14の開弁位相を遅角方向に変更すると、排気弁15と開弁期間と吸気弁14の開弁期間(実線を参照)がオーバーラップしないため、アイドル運転時には安定燃焼を確保でき、高回転運転時にエンジン出力を向上できる。
次に、図4を参照しながら、本発明の実施形態に係るオイル供給装置1について詳細に説明する。図示するように、本実施形態のオイル供給装置1は、上述のエンジン2にオイルを供給するための装置であり、図示しないクランクシャフト9の回転によって駆動される可変容量型オイルポンプ36(以下、単に「ポンプ」という。)と、ポンプ36に連結され、昇圧されたオイルをエンジン各部に導く給油路50を備えている。
この給油路50は、パイプや、シリンダブロック5及びシリンダヘッド4等に穿設された通路からなる。給油路50は、ポンプ36に連通され、オイルパン6からシリンダブロック5内の分岐点54aまで延びる第1連通路51と、シリンダブロック5内で気筒列方向に延びるメインギャラリ54と、メインギャラリ54上の分岐点54bからシリンダヘッド4まで延びる第2連通路52と、シリンダヘッド4内で吸気側と排気側との間を略水平方向に延びる第3連通路53と、シリンダヘッド4内で第3連通路53から分岐する複数の油路61〜68を備えている。
本実施形態のポンプ36は、公知の可変容量型のオイルポンプであって、一端側が開口するように形成され、内部に円柱状の空間からなるポンプ収容室を有する断面コ字形状のポンプボディと該ポンプボディの一旦開口を閉塞するカバー部材とからなるハウジング361と、該ハウジング361に回転自在に支持され、ポンプ収容室のほぼ中心部を貫通してクランクシャフト9によって回転駆動される駆動軸362と、ポンプ収容室内に回転自在に収容されて中心部が駆動軸に結合されたロータ363及び該ロータ363の外周部に放射状に切欠形成された複数のスリット内にそれぞれ出没自在に収容されたべーン364からなるポンプ要素と、該ポンプ要素の外周側にロータ363の回転中心に対して偏心可能に配置され、ロータ363及び隣接するべーン364と共に複数の作動油室であるポンプ室365を画成するカムリング366と、ポンプボディ内に収容され、ロータ363の回転中心に対するカムリング366の偏心量が増大する方向へカムリング366を常時付勢する付勢部材であるスプリング367と、ロータ363の内周側の両側部に摺動自在に配置されたロータ363よりも小径な一対のリング部材368とを備えている。ハウジング361は、内部のポンプ室365にオイルを供給する吸入口361aと、ポンプ室365からオイルを吐出する吐出口361bを備えている。ハウジング361の内部には、該ハウジング361の内周面とカムリング366の外周面により画成された圧力室369が形成されており、該圧力室369に開口する導入孔369aが設けられている。ポンプ36は、導入孔369aから圧力室369にオイルを導入することで、カムリング366が支点361cに対して揺動して、ロータ363がカムリング366に対して相対的に偏心し、ポンプ36の吐出容量が増えるように構成されている。
ポンプ36の吸入口361aには、オイルパン6に臨むオイルストレーナ39が連結されている。ポンプ36の吐出口361bに連通する第1連通路51には、上流側から下流側に順にオイルフィルタ37,オイルクーラ38が配置されており、オイルパン6内に貯留されたオイルは、オイルストレーナ39を通じてポンプ36によってくみ上げられ、オイルフィルタ37で濾過され、オイルクーラ38で冷却されてからシリンダブロック5内のメインギャラリ54に導入される。
メインギャラリ54は、4つピストン8の背面側に冷却用オイルを噴射するためのオイルジェット28と、クランクシャフト9を回動自在に支持する5つのメインジャーナルに配置されたメタルベアリングのオイル供給部41と、4つのコネクティングロッドを回転自在に連結するクランクシャフト9のクランクピンに配置されたメタルベアリングのオイル供給部42とに連結されており、このメインギャラリ54にはオイルが常時供給される。
メインギャラリ54上の分岐点54cの下流には、順に、油圧式チェーンテンショナへオイルを供給するオイル供給部43と、リニアソレノイドバルブ49を介してポンプ36の圧力室369への導入孔369aからオイルを供給する油路40が連結されている。
第3連通路53の分岐点53aから分岐する油路68は、排気側第1方向切替弁35を介して排気弁15の開閉時期を変更するための排気側VVT33の進角油圧室336と遅角油圧室335に連結されており、第1方向切替弁35を操作することでオイルが供給されるように構成されている。油路64の分岐点64aから分岐する油路66は、排気側のスイングアーム21に潤滑用オイルを供給するオイルシャワー30に連結されており、この油路66には油が常時供給される。油路64は、排気側のカムシャフト19のカムジャーナルに配置されたメタルベアリングのオイル供給部45(図4の白三角△を参照)と、HLA24(図4の黒三角▲を参照)と、弁停止機構付きHLA25(図4の白楕円を参照)とに連結されており、この油路64にはオイルが常時供給される。
同様に、吸気側についても、第3連通路53の分岐点53cから分岐する油路67は、吸気側第1方向切替弁34を介して吸気弁14の開閉時期を変更するためのVVT32の進角油圧室326と遅角油圧室325に連結されている。油路63の分岐点63aから分岐する油路65は、吸気側のスイングアーム20に潤滑用オイルを供給するオイルシャワー29に連結されている。第3連通路53の分岐点53dから分岐する油路63は、吸気側のカムシャフト18のカムジャーナルに配置されたメタルベアリングのオイル供給部44(図4の白三角△を参照)と、HLA24(図4の黒三角▲を参照)と、弁停止機構付きHLA25(図4の白楕円を参照)とに連結されている。
また、第3連通路53の分岐点53cから分岐する油路69は、オイルの流れる方向を上流側から下流側への一方向のみに規制する逆止弁48を介して分岐点69aで分岐して排気側及び吸気側の第2方向切替弁46、47を介して排気側及び吸気側の弁停止機構付きHLA25の弁停止機構25bにそれぞれ連結されており、これら第2方向切替弁46、47を操作することで各弁停止機構25bにオイルが供給されるように構成されている。さらに、この油路69上の逆止弁48と分岐点53cの間には油圧を検知する油圧センサ70が接続されている。
クランクシャフト9とカムシャフト18、19を回転自在に支持するメタルベアリング、オイルジェット28、オイルシャワー29、30等に供給された潤滑用及び冷却用オイルは、冷却や潤滑を終えた後、図示しないドレイン油路を通ってオイルパン6内に滴下して環流される。
エンジンの運転状態は各種センサによって検出される。例えば、クランクポジションセンサ71によりクランクシャフト9の回転角度が検出され、その検出信号に基づいてエンジン回転速度が算出される。スロットルポジションセンサ72によりスロットルバルブの開度が検出され、これに基づいてエンジン負荷が算出される。油温センサ73及び油圧センサ70によりエンジンオイルの温度及び圧力がそれぞれ検出される。カムシャフト18、19の近傍に設けられたカム角センサ74によりカムシャフト18、19の回転位相が検出され、このカム角に基づいてVVT32、33の作動角が検出される。また、エンジン2を冷却する冷却水の水温が、水温センサ75によって検出される。
コントローラ100は、マイクロコンピュータ等からなり、各種センサ(クランクポジションセンサ71、スロットルポジションセンサ72、油温センサ73、油圧センサ70等)からの検出信号を入力する信号入力部、制御に係る演算処理を行う演算部、制御対象となる装置(後述するリニアソレノイドバルブ49等)に制御信号を出力する信号出力部、制御に必要なプログラムやデータ(後述する油圧制御マップやデューティ比マップ等)を記憶する記憶部を備えている。
リニアソレノイドバルブ49は、エンジンの運転状態に応じてポンプ36からの吐出量を制御するためのポンプ制御装置である。リニアソレノイドバルブ49の開弁時にポンプ36の圧力室369にオイルが供給されるようになっているが、リニアソレノイドバルブ49自体の構成は周知であるため説明を省略する。
エンジン2の運転状態に基づいてコントローラ100から送られてきたデューティ比の制御信号に応じて、リニアソレノイドバルブ49はポンプ36の圧力室369へ供給する油圧を制御する。この圧力室369の油圧により、カムリング366の偏心量を制御してポンプ室365の内部容積の変化量を制御することで、ポンプ36の吐出量(流量)を制御する。つまり、デューティ比によってポンプ36の容量が制御される。ここで、ポンプ36はエンジン2のクランクシャフト9で駆動するため、図5に示すように、ポンプ36の流量(吐出量)はエンジン回転速度と比例する。そして、デューティ比が1サイクルの時間に対するリニアソレノイドバルブへの通電時間の割合を表す場合、図示するように、デューティ比が大きいほどポンプ36の圧力室369への油圧が増すため、エンジン回転速度に対するポンプ36の流量の傾きが減る。
次に、図6を参照しながら、エンジンの減気筒運転について説明する。エンジンの減気筒運転または全気筒運転は、エンジンの運転状態に応じて切り替えられる。すなわち、エンジン回転速度、エンジン負荷及びエンジンの冷却水の水温から把握されるエンジンの運転状態が、図示する減気筒運転領域内にあるときは減気筒運転が実行される。また、図示するように、この減気筒運転領域に隣接して減気筒運転準備領域が設けられており、エンジンの運転状態がこの減気筒運転準備領域内にあるときは減気筒運転を実行するための準備として、油圧を弁停止機構の要求油圧に向けて予め昇圧させておく。そして、エンジンの運転状態がこれら減気筒運転領域と減気筒運転準備領域の外にあるときは、全気筒運転を実行する。
図6(a)を参照すると、例えば、所定のエンジン負荷で加速して、エンジン回転速度が上昇する場合、エンジン回転速度がV1未満では、全気筒運転を行い、エンジン回転速度がV1以上、V2未満になると、減気筒運転の準備に入り、エンジン回転速度がV2以上になると、減気筒運転を行う。また、例えば、所定のエンジン負荷で減速して、エンジン回転速度が下降する場合、エンジン回転速度がV4以上では、全気筒運転を行い、エンジン回転速度がV3以上、V4未満になると、減気筒運転の準備を行い、エンジン回転速度がV3以下になると、減気筒運転を行う。
図6(b)を参照すると、例えば、所定のエンジン回転速度、所定のエンジン負荷で走行し、エンジンが暖機して冷却水の温度が上昇する場合、水温がT0未満では全気筒運転を行い、水温がT0以上、T1未満になると減気筒運転の準備を行い、水温がT1以上になると減気筒運転を行う。
もし、この減気筒運転準備領域を設けなかった場合、全気筒運転から減気筒運転に切り替える際、エンジンの運転状態が減気筒運転領域に入ってから油圧を弁停止機構の要求油圧まで昇圧させることになるが、油圧が要求油圧に達するまでの時間分、減気筒運転を行う時間が短くなるため、この減気筒運転を行う時間が短くなる分、エンジンの燃費効率が下がってしまう。
そこで、本実施形態では、エンジン燃費効率を最大限上げるため、減気筒運転領域に隣接して減気筒運転準備領域が設けて、この減気筒運転準備領域において油圧を予め昇圧させておき、油圧が要求油圧に達するまでの時間分のロスをなくすように目標油圧マップ(図7(a)参照)を設定しておく。
なお、図6(a)に示すように、減気筒運転領域の高エンジン負荷側に隣接する、一点鎖線で示された領域を減気筒運転準備領域としてもよい。これにより、例えば、所定のエンジン回転速度においてエンジン負荷が下降する場合、エンジン負荷がL1(>L0)以上では、全気筒運転を行い、エンジン負荷がL0以上、L1未満になると、減気筒運転の準備に入り、エンジン負荷がL0以下になると、減気筒運転を行うようにしてもよい。
次に、図7を参照しながら、各油圧作動装置の要求油圧とポンプ36の目標油圧について説明する。本実施形態におけるオイル供給装置1は、1つのポンプ36によって複数の油圧作動装置にオイルを供給しており、各油圧作動装置が必要とする要求油圧は、エンジンの運転状態に応じて変化する。そのため、全てのエンジンの運転状態において全ての油圧作動装置が必要な油圧を得るためには、当該ポンプ36は、エンジンの運転状態ごとに各油圧作動装置の要求油圧のうちで最も高い要求油圧以上の油圧を当該エンジンの運転状態に応じた目標油圧に設定する必要がある。そのためには、本実施形態においては、全ての油圧作動装置のうちで要求油圧が比較的高い弁停止機構25b、オイルジェット28、クランクシャフトのジャーナル等のメタルベアリング及びVVT32、33の要求油圧を満たすように目標油圧を設定すればよい。なぜなら、このように目標油圧を設定すれば、要求油圧が比較的低い他の油圧作動装置は当然に要求油圧が満たされるからである。
図7(a)を参照すると、エンジンが低負荷運転時において、要求油圧が比較的高い油圧作動装置は、VVT32、33、メタルベアリング及び弁停止機構25bである。これら各油圧作動装置の要求油圧は、エンジンの運転状態に応じて変化する。例えば、VVT要求油圧は、所定のエンジン回転速度(V0)以上ではほぼ一定である。メタルベアリングの要求油圧(「メタル要求油圧」と図示)は、エンジン回転速度が大きくなるにつれて大きくなる。弁停止要求油圧は、所定範囲のエンジン回転速度(V2〜V3)においてほぼ一定である。そして、これらの要求油圧をエンジン回転速度ごとに大小を比較すると、エンジン回転速度がV0以下ではメタル要求油圧しかなく、エンジン回転速度がV0からV2では、VVT要求油圧が最も高く、エンジン回転速度がV2からV3では、弁停止要求油圧が最も高く、エンジン回転速度がV3からV6では、VVT要求油圧が最も高く、エンジン回転速度がV6以上では、メタル要求油圧が最も高い。したがって、エンジン回転速度ごとに上述の最も高い要求油圧を基準目標油圧としてポンプ36の目標油圧に設定する必要がある。
ここで、減気筒運転を行うエンジン回転速度(V2からV3)の前後のエンジン回転速度(V1からV2、V3からV4)においては、減気筒運転の準備のために目標油圧が、弁停止要求油圧に向けて予め昇圧するように基準目標油圧から補正して設定されている。これによれば、図6において説明したように、エンジン回転速度が減気筒運転を行うエンジン回転速度になる際に油圧が弁停止要求油圧に達するまでの時間分のロスをなくして、エンジンの燃費効率を向上できる。この補正により設定されたオイルポンプ目標油圧の一例が、図7(a)の太線(V1からV2、V3からV4)で示されている。
さらに、ポンプ36の応答遅れやポンプ36の過負荷等を考慮すると、前述の減気筒運転準備の補正を行った後の基準目標油圧について、エンジン回転速度に対して要求油圧が急激に変化するエンジン回転速度(例えば、V0、V1、V4)における油圧の変化が小さくなるように、要求油圧以上の油圧でエンジン回転速度に応じて漸次増加または減少するように補正して目標油圧として設定するのがよい。この補正を行って設定されたオイルポンプ目標油圧の一例が、図7(a)に太線(V0以下、V0からV1、V4からV5)で示されている。
図7(b)を参照すると、エンジンが高負荷運転時において、要求油圧が比較的高い油圧作動装置は、VVT32、33、メタルベアリング及びオイルジェット28である。低負荷運転の場合と同様に、これら各油圧作動装置の要求油圧はエンジンの運転状態に応じて変化し、例えば、VVT要求油圧は、所定のエンジン回転速度(V0´)以上ではほぼ一定であり、メタル要求油圧は、エンジン回転速度が大きくなるにつれて大きくなる。また、オイルジェット28は、所定のエンジン回転速度まではエンジン回転速度に応じて高くなり、その所定のエンジン回転速度以上では一定である。
高負荷運転の場合も低負荷運転の場合と同様に、エンジン回転速度に対して要求油圧が急激に変化するエンジン回転速度(例えば、V0´、V2´)において基準目標油圧を補正して目標油圧として設定するのがよく、適宜補正を行って設定されたオイルポンプ目標油圧の一例が、図7(b)に太線(特に、V0´以下、V1´からV2´)で示されている。
なお、図示されているオイルポンプ目標油圧は、折れ線状に変化するものであるが、曲線状に滑らかに変化するものであってもよい。また、本実施形態においては、要求油圧が比較的高い弁停止機構25b、オイルジェット28、メタルベアリング及びVVT32、33の要求油圧に基づいて目標油圧を設定したが、目標油圧を設定するのに考慮する油圧作動装置はこれらに限るものではない。要求油圧が比較的高い油圧作動装置があればどのようなものであっても、その要求油圧を考慮して目標油圧を設定すればよい。
次に、図8を参照しながら、油圧制御マップについて説明する。図7で示したオイルポンプ目標油圧はエンジン回転速度をパラメータとしたものであるが、さらに、エンジン負荷と油温もパラメータとしてオイルポンプ目標油圧を3次元グラフに表したのが、図8に示した油圧制御マップである。すなわち、この油圧制御マップは、エンジンの運転状態(エンジン回転速度、エンジン負荷及び油温)ごとに各油圧作動装置の要求油圧のうちで最も高い要求油圧に基づいて当該エンジンの運転状態に応じた目標油圧が予め設定されたものである。
図8(a)、図8(b)及び図8(c)は、エンジン(油温)が高温時、温間時及び冷間時の油圧制御マップをそれぞれ示している。コントローラ100は、オイルの油温に応じてこれらの油圧制御マップを使い分ける。すなわち、エンジンを始動してエンジンが冷間状態(油温がT1未満)にあるときは、コントローラ100は、図8(c)に示す冷間時の油圧制御マップに基づいてエンジンの運転状態(エンジン回転速度、エンジン負荷)に応じた目標油圧を読み取る。エンジンが暖機してオイルが所定の油温T1以上になると、図8(b)に示す温間時の油圧制御マップに基づいて目標油圧を読み取り、エンジンが完全に暖機してオイルが所定の油温T2(>T1)以上になると、図8(a)に示す高温時の油圧制御マップに基づいて目標油圧を読み取る。
なお、この実施形態では、油温を高温時、温間時及び冷間時の3つの温度範囲に分けて各温度範囲ごとに予め設定された油圧制御マップを用いて目標油圧を読み取ったが、より細かく温度範囲を分けてより多くの油圧制御マップを用意してよい。また、1つの油圧制御マップ(例えば、温間時の油圧制御マップ)が対象とする温度範囲内(T1≦t<T2)にある油温tはいずれも同じ値の目標油圧P1を読み取ったが、前後の温度範囲内(T2≦t)の目標油圧(P2)を考慮して、油温tに応じて目標油圧pを比例換算(p=(t−T1)×(P2−P1)/(T2−T1))により算出できるようにしてもよい。このように温度に応じた目標油圧をより高精度に読み取り、算出可能にすることで、より高精度なポンプ容量の制御が可能になる。
次に、図9を参照しながら、デューティ比マップについて説明する。ここでのデューティ比マップとは、前述の油圧制御マップからエンジンの運転状態(エンジン回転速度、エンジン負荷、油温)ごとの目標油圧を読み取り、読み取った目標油圧に基づいて油路の流路抵抗等を考慮してポンプ36から供給されるオイルの目標吐出量を設定し、設定した目標吐出量に基づいてそのエンジン回転速度(オイルポンプ回転数)等を考慮して算出した当該エンジンの運転状態に応じた目標デューティ比が予め設定されたものである。
図9(a)、図9(b)及び図9(c)は、エンジン(油温)が高温時、温間時及び冷間時のデューティ比マップをそれぞれ示している。コントローラ100は、オイルの油温に応じてこれらのデューティ比マップを使い分ける。すなわち、エンジン始動時は、エンジンが冷間状態であるため、コントローラ100は、図9(c)に示す冷間時のデューティ比マップに基づいてエンジンの運転状態(エンジン回転速度、エンジン負荷)に応じたデューティ比を読み取る。エンジンが暖機してオイルが所定の油温T1以上になると、図9(b)に示す温間時のデューティ比マップに基づいて目標デューティ比を読み取り、エンジンが完全に暖機してエンジンが所定の油温T2(>T1)以上になると、図9(a)に示す高温時のデューティ比マップに基づいて目標デューティ比を読み取る。
なお、この実施形態では、油温を高温時、温間時及び冷間時の3つの温度範囲に分けて各温度範囲ごとに予め設定されたデューティ比マップを用いてデューティ比を読み取ったが、上述の油圧制御マップと同様に、より細かく温度範囲を分けてより多くのデューティ比マップを用意したり、油温に応じて目標デューティ比を比例換算により算出できるようにしてもよい。これによれば、より高精度なポンプ容量の制御が可能になる。
次に、図10のフローチャートに従って、コントローラ100によるポンプ36の流量(吐出量)制御方法について以下に説明する。
まず、エンジン2を始動して、エンジン2の運転状態を把握するため、各種センサからエンジン負荷、エンジン回転速度及び油温を読み込む(ステップS1)。
次に、コントローラ100に予め記憶されているデューティ比マップを読み出し、ステップS1で読み込まれたエンジン負荷、エンジン回転速度及び油温に応じた目標デューティ比を読み取る(ステップS2)。
ステップS2で読み取られた目標デューティ比と現在のデューティ比を比較する(ステップS3)。
ステップS3で、現在のデューティ比が目標デューティ比に達していると判定されると次のステップS5へ進む。
ステップS3で、現在のデューティ比が目標デューティ比に達していないと判定されると、目標デューティ比をリニアソレノイドバルブ49へ信号を出力してから次のステップS5へ進む(ステップS4)。
次に、油圧センサ70から現在の油圧を読み込む(ステップS5)。
次に、予め記憶されている油圧制御マップを読み出し、この油圧制御マップから現在のエンジンの運転状態に応じた目標油圧を読み取る(ステップS6)。
ステップS6で読み取られた目標油圧と現在の油圧を比較する(ステップS7)。
ステップS7で、現在の油圧が目標油圧に達していないと判定されると、リニアソレノイドバルブ49への目標デューティ比を所定割合変更した出力信号を出して、ステップS5に戻る(ステップS8)。
ステップS7で、現在の油圧が目標油圧に達していると判定されると、エンジン負荷、エンジン回転速度及び油温を読み込む(ステップS9)。
最後に、エンジン負荷、エンジン回転数及び油温が変わったか判定して(ステップS10)、変わったと判定されると、ステップS2に戻り、変わっていないと判定されるとステップS5に戻る。なお、上述の制御は、エンジン2が停止するまで継続される。
上述のポンプ36の流量制御は、デューティ比のフィードフォワード制御と油圧のフィードバック制御を組み合わせたものであり、この流量制御によれば、フィードフォワード制御による応答性の向上とフィードバック制御による精度の向上を実現している。
次に、図11のフローチャートに従って、コントローラ100による気筒数制御方法について以下に説明する。
まず、エンジン2を始動し、エンジンの運転状態を把握するため各種センサからエンジン負荷、エンジン回転速度及び水温を読み込む(ステップS11)。
次に、読み込んだエンジン負荷、エンジン回転速度及び水温に基づいて、現在のエンジンの運転状態が弁停止作動条件を満たしているか(減気筒運転領域内にあるか)判定する(ステップS12)。
ステップS12で、弁停止作動条件を満たしていない(減気筒運転領域内にない)と判定されると、4気筒運転を行う(ステップS13)。
ステップS12で、弁停止作動条件を満たしていると判定されると、VVT32、33につながる第1方向切替弁34、35を作動する(ステップS14)。
次に、カム角センサ74から現在のカム角を読み込む(ステップS15)。
次に、読み込んだ現在のカム角に基づいてVVT32、33の現在の作動角を算出し、この現在の作動角が目標の作動角となっているか判定する(ステップS16)。
ステップS16で、VVT32、33の現在の作動角が目標の作動角(θ1)になっていないと判定されると、ステップS15に戻る(ステップS14)。すなわち、目標の作動角になるまで第2方向切替弁46、47の作動を禁止する。
S16で目標の作動角になったと判定されると、第2方向切替弁46、47を作動させて2気筒運転を行う(ステップS17)。
次に、図12を参照しながら、エンジンの運転状態が減気筒運転領域内に入る減気筒運転要求時においてVVT32、33が作動している場合に、図11に示した気筒数制御方法を実行した具体例について説明する。
時刻t1において、VVT32、33の第1方向切替弁34、35が作動される。これにより、VVT32、33の進角油圧室326、336へのオイルの供給が開始され、VVT32、33の作動角が変化する(θ2からθ1)。これにより、油圧が弁停止要求油圧P1よりも低下する。
ここで、現在のエンジンの運転状態が減気筒運転領域内に入り弁停止作動条件を満たした場合、VVT32、33の作動を継続させてVVT32、33の作動角が目標の作動角θ1に達するまで、すなわち、油圧が弁停止要求油圧P1よりも低下している間は、弁停止機構25bを作動させない。
時刻t2において、VVT32、33の作動角が目標の作動角θ1になり、VVT32、33の作動が完了すると、VVT32、33の進角油圧室326、336へのオイルの供給が終了するため、油圧が弁停止要求油圧P1まで戻る。
油圧が弁停止要求油圧P1に戻った時刻t2以降の時刻t3において、第2方向切替弁46、47が作動されて弁停止機構25bに油圧が供給され、エンジンは4気筒運転から2気筒運転に切り替わる。上記のように、VVT32、33の進角制御した後に、減気筒(2気筒)運転に移行するため、吸排気弁14、15の進角制御により吸気充填量を高めて2気筒で負荷を受け持つこととなりエンジンの回転変動を抑制することができる。
図13は、図4のオイル供給装置1の下流側の構成を拡大して、吸気側と排気側をまとめて簡略化して示した図である。図示するように、ポンプ36からオイルが吐出されるメインギャラリ54に通じる第3連通路53から油路67、68、69が分岐している。油路67、68には、第1方向切替弁34、35を介して進角油圧室326、336と遅角油圧室325、335が接続されている。また、油路69には、逆止弁48と第2方向切替弁46、47を介して弁停止機構付きHLA25の弁停止機構25bが接続されている。
この逆止弁48は、第3連通路53における油圧が、弁停止機構25bの要求油圧以上になると開弁するようにスプリングで付勢され、上流側から下流側への一方向のみにオイル流れを規制する。また、この逆止弁48は、VVT32、33の要求油圧より大きい油圧で開弁するものである。
ここで、弁停止機構25bを作動させる減気筒運転中にVVT32、33が作動すると、第3連通路53の油圧が低下するが、油路69に設けられた逆止弁48によって、弁停止機構25bから油路69上で逆止弁48の上流にある第3連通路53へのオイルの流れが遮蔽されるため、油路69上で逆止弁48の下流側にある弁停止機構25bでの要求油圧が確保される。
以上の実施形態によれば、エンジンの運転状態ごとにVVT32、33、弁停止機構25b及びオイルジェット28等の各油圧作動装置の要求油圧のうちで最も高い要求油圧に基づいて当該エンジンの運転状態に応じた目標油圧が予め設定された油圧制御マップから現時点の目標油圧が設定されているため、油路の油圧をこの目標油圧に一致させることで、各油圧作動装置の作動油圧及びオイル噴射圧等の要求油圧を確保することができる。また、この目標油圧を実現するように油路の油圧を検出値に基づいてフィードバック制御するため、ポンプ36の容量を精度良く制御できる。したがって、エンジンの更なる燃費向上を実現できる。
また、油圧制御マップは、弁停止機構25bが作動するエンジンの運転領域の隣接領域では最も高い要求油圧よりも高い補正油圧が設定されているため、この油圧制御マップに基づいてポンプ36を制御することで、弁停止機構25bの作動応答性を高めて減気筒運転への移行を促進でき、燃費低減効果を高めることができる。
さらに、VVT32、33を作動させると、特に、エンジン2が低速回転時でポンプ36からのオイル吐出量が少ないときに、吸気側と排気側のVVT32、33を同時に作動させると、VVT32、33と通じる第3連通路53の油圧が低下するが、本実施形態によれば、減気筒運転中にVVT32、33が作動している間は、油路に設けられた逆止弁48により第3連通路53と弁停止機構25bとの間のオイルの流れが遮蔽されるため、VVT32、33の作動により油路の油圧が一時的に低下することが防止される。これにより、弁停止機構25bに供給されるオイルの油圧が低下して弁停止機構25bが誤作動し、吸気弁14と排気弁15を停止状態に保持する減気筒運転ができなくなるのを防止できる。したがって、減気筒運転中に弁特性を変更することで、エンジンの燃費性能を更に向上することが可能である。
また、第3連通路53の油圧が弁停止機構25bの要求油圧以上のときは、この逆止弁48が開弁するため油路69の油圧が第3連通路53の油圧と同じになり、弁停止機構25bに要求油圧以上の油圧を供給できる。一方で、第3連通路53の油圧が弁停止機構25bの要求油圧未満のときは、逆止弁48が閉弁するため、油路69の油圧は、第3連通路53の油圧の影響を受けず、弁停止機構25bの要求油圧が維持される。従って、特段の制御を行わなくとも、油路69にスプリング付勢の逆止弁48を設けるという簡単な構成の追加のみで、弁停止機構25bの誤作動を防止できる。
さらに、本実施形態によれば、減気筒運転要求時において、VVT32、33が作動しているときは、VVT32、33の作動完了後、弁停止機構25bが作動するため、VVT32、33の作動により低下した油圧が再び上昇した後に弁停止機構25bが作動することとなり、油圧不足により弁停止機構25bが誤作動するのを防止できる。したがって、VVT32、33と弁停止機構25bを同時に確実に作動できる。
なお、本発明は例示された実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態では、直列4気筒ガソリンエンジンに適用したが、本発明の気筒数は何気筒であっても良く、また、ディーゼルエンジンに適用しても良い。また、本実施形態では、ポンプ36を制御するためにリニアソレノイドバルブを用いたが、これに限るものではなく、電磁制御弁を用いても良い。
また、本実施形態では、弁停止機構25bの油路に逆止弁48を設け、該逆止弁48として、弁停止機構25bの要求油圧以上で開弁し、かつ、VVT32、33の要求油圧より大きい油圧で開弁するものを用いたが、弁停止機構25bとVVT32、33の作動期間が重なるような減気筒要求と弁特性制御要求があったときの弁停止機構25bの誤動作の防止のみを目的とする場合には、逆止弁48としてVVT32、33の要求油圧より大きい油圧で開弁するものを用いれば、この目的を達することができる。なお、このような逆止弁48の替わりに、VVT32、33の作動角に基づいて所望のタイミングで開閉の制御ができる公知の電磁制御弁を用いてもよい。