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JP2014196230A - 窒化ガリウム結晶自立基板の製造方法 - Google Patents

窒化ガリウム結晶自立基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】暗点密度が小さく、厚みが0.2〜5mm、アズグロウンの結晶表面のRMSが300nm未満の平滑な面を持ち、無極性或いは半極性の面方位を有する大面積のGaN結晶自立基板を、低コストで、簡便な操作で、且つ結晶品質を劣化させることなく得る方法を提供する。【解決手段】下地基板の主面に対して傾斜した側壁を有する複数本の溝部を形成したサファイア下地基板上に窒化ガリウム結晶層を成長させて、{11−22}面などの半極性又は{11−20}面などの無極性の主面を持つ窒化ガリウム結晶自立基板を製造する方法において、サファイア下地基板上にMOVPE法により0.05〜5μm厚の半極性又は無極性の主面を持つ窒化ガリウム結晶層を形成し、その表面の一部をマスキングした後、HVPE法により0.2〜5mm厚の半極性又は無極性の主面を持つ窒化ガリウム結晶層を形成し、その後サファイア下地基板を分離せしめる。【選択図】図6

Description

本発明は、半極性又は無極性の主面を持ち、結晶層厚が大きく、大面積で高品質の窒化ガリウム(GaN)結晶自立基板の製造方法に関する。
発光ダイオード(LED)や半導体レーザ(LD)などの半導体発光素子として、サファイア基板上に、n型GaN層、InGaN層からなる量子井戸層とGaN層からなる障壁層とが交互積層された多重量子井戸層(Multiple Quantum Wells:MQWs)、及びp型GaN層が順に積層形成された構造を有するものが量産化されている。このような量産化されている半導体発光素子では、いずれのGaN層も、軸方向にGaN結晶が結晶成長し、その表面がc面({0001}面)となっている。
ところで、表面がc面であるGaN結晶層では、c軸方向(層厚さ方向)に自発分極が発生する。また、GaN結晶層上に異種半導体層をヘテロエピタキシャル成長させた場合、両者の格子定数の違いによって、GaN結晶内でc軸方向に圧電分極(ピエゾ分極)が発生する(特許文献1及び2)。この結果、前記構成の半導体発光素子では、多重量子井戸層において、c軸方向に大きな内部分極電場が発生し、量子閉じ込めシュタルク効果(Quantum Confined Stark Effect:QCSE)により、発光効率の低下や必要な注入電流の増大に伴う発光のピーク波長シフトなどの問題が生じると考えられている。
上記問題を解決するために、GaN結晶の無極性面である、a面({11−20}面)やm面({1−100}面)を用いて、その上にInGaN層を形成し、自発分極とピエゾ分極の重畳された内部電界の影響を回避することが検討されている(特許文献1〜3)。更に、極性面であるc面が、a軸あるいはm軸方向に傾斜した半極性面といわれている面、例えば、半極性の{11−22}面上にInGaN量子井戸層を形成し、それによって内部電界の影響を回避することも検討されている(非特許文献1及び2)。
ところで、結晶転位は、下地基板であるサファイアと成長結晶であるGaNとの格子定数差などによって、サファイアとGaNとの界面から発生する。この転位発生を抑制するためには、GaN結晶基板上へGaN結晶層を成長するホモエピタキシャル成長が有効である。ホモエピタキシャル成長では、下地基板と成長層とが同じ物質であるため、物性の違いによる転位の発生を抑えることが可能である。このため、ホモエピタキシャル成長を行うためにはGaN結晶自立基板が必要となる。加えて、上記の内部電界の影響を回避するため、無極性面および半極性面を主面とするGaN結晶自立基板が高効率な半導体発光素子の作製に有用である。
しかしながら、現在、無極性面および半極性面を主面とするGaN結晶自立基板は流通しておらず、入手が困難である。その理由として以下の理由が挙げられる。無極性面および半極性面を主面とするGaN結晶自立基板の作製方法としては、バルクのGaN結晶から特定の面を主面として切り出す方法があるが、極めてコストが高くなる、また、大面積の基板が得られないなどの問題があり、工業的には受け入れられない。
一方、{1010}面を有するフラットなサファイア下地基板から形成される、{11−22}面GaN結晶表面をマスキングして、更にその上にGaN結晶層を形成する技術が開示されているが、形成するGaN結晶層の厚みは薄く、GaN結晶自立基板に関するものではない(非特許文献3)。
特開2008−53593号公報 特開2008−53594号公報 特開2007−243006号公報
Japanese Journal of Applied Physics Vol.45,2006,L659. Applied Physics Letters Vol.90,2007,261912 Applied Physics Letters Vol.94,2009,191903
本願発明者らは、{0001}面を有するフラットなサファイア下地基板上に形成された{0001}面を有するGaN結晶層表面に、HVPE法により3mm厚程度のc面を主面とするGaN結晶を成長させて、自立基板を製造する方法を開発した。
ところが、同様な方法で、半極性又は無極性のGaN結晶自立基板を製造したところ、クラックが発生して極端な場合は裂けが生じたり、割れない場合でも表面の平滑性が悪く、厚みのある高品質で大面積の自立基板が製造できなかった。前者のクラック発生の場合は、製造時或いは後工程処理時に裂けることが多く、大面積の自立基板が得られない。後者の場合、平滑な自立基板とするために表面研磨を行わねばならず、製造効率が悪い(ロスが大きい)だけでなく、品質の悪い(欠陥密度が大きい)薄い結晶層を有する自立基板しか得られないという問題が生じる。
本発明者らは、上記MOVPE法とHVPE法とを組み合せて、GaN結晶自立基板を製造する際に、MOVPE法による結晶成長のためのサファイア下地基板として特定の溝部を形成した加工基板を使用し、且つ、HVPE法による結晶成長に先立ちMOVPE法によって形成されたGaN結晶層表面の一部をマスキングすることにより、クラックの発生や割れがない大型で表面が平滑な、厚みが数mmの半極性又は無極性のGaN結晶自立基板を製造することができることを見出し、本願発明を完成するに至った。
即ち、本発明により、下地基板の主面に対して傾斜した側壁を有する複数本の溝部を形成したサファイア下地基板上に半極性又は無極性の主面を持つ窒化ガリウム結晶層を成長させて、半極性又は無極性の主面を持つ窒化ガリウム結晶自立基板を製造する方法において、
前記サファイア下地基板上に有機金属気相成長(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy:MOVPE)法により、0.05〜5μm厚の半極性又は無極性の主面を持つ窒化ガリウム結晶層を形成し、次いで当該結晶層の表面の一部をマスキングした後、当該結晶層表面上にハイドライド気相成長(Hydride Vapor Phase Epitaxy:HVPE)法により0.2〜5mm厚の半極性又は無極性の主面を持つ窒化ガリウム結晶層を形成し、その後サファイア下地基板を分離せしめることを特徴とする窒化ガリウム結晶自立基板の製造方法が提供される。
上記発明において、
1)形成した窒化ガリウム結晶層が、サファイア下地基板の溝部からの結晶成長により形成される複数本の結晶会合部を有し、マスキングが、上記窒化ガリウム結晶層表面に存在する結晶会合部の一部をマスキングすることが特に好適であり、更に、
2)マスキングにより、MOVPEによって形成した窒化ガリウム結晶層の成長表面の10〜90%が覆われ、且つ、窒化ガリウム結晶層表面に存在する結晶会合部の20%〜80%が覆われていること
3)マスキングに使用するマスクが、ストライプ状の形状を有すること
4)マスキングに使用するマスクが、格子状の形状を有すること
5)マスキングに使用するマスクが、ドット状の形状を有すること
6)下地基板の窒化ガリウム結晶層を形成する側の全表面積に対して、結晶成長の起点となる側壁の総面積の割合が、1〜20%であること
7)半極性又は無極性の主面を持つ窒化ガリウム結晶自立基板が、{0001}面が<10−10>軸方向に向かって1°〜90°傾いた面を主面とする窒化ガリウム結晶自立基板であること、
8)半極性又は無極性の主面を持つ窒化ガリウム結晶自立基板が、{0001}面が<11−20>軸方向に向かって1°〜90°傾いた面を主面とする窒化ガリウム結晶自立基板であること、
9)窒化ガリウム結晶自立基板の暗点密度が、2×10個/cm未満であること、
10)HVPE法による結晶形成後の結晶成長炉から取り出した時点における窒化ガリウム結晶表面のRMS(表面粗さ)が、300nm未満であること、が好適である。
本発明の、MOVPE法とHVPEと法を組み合わせた半極性または無極性面のGaN結晶自立基板の製造方法によって、割れや、欠陥が少なく、表面凹凸ないGaN結晶自立基板を提供することができる。
即ち、本発明によれば、暗点密度が2×10個/cm未満、厚みが0.2〜5mm、アズグロウンの結晶表面のRMSが300nm未満の平滑な面を持ち、半極性或いは無極性の面方位を有する大面積のGaN結晶自立基板を、低コストで、提供することができる。
該自立基板を用いてLEDやLDなどの半導体発光素子構造を形成した場合、サファイア基板上へのヘテロエピタキシャル成長とは異なり、下地基板と成長層との物質が同じであるため、基板と成長層との間での転位の発生を抑えることができ、高発光効率の半導体発光素子が作製できる。更に、GaN結晶層表面の面方位は無極性面または半極性面であるため、従来のc面を主面とするGaN結晶層基板に比べて、量子閉じ込めシュタルク効果による発光効率の低下の影響が小さい。
また、本発明の方法は、前記結晶成長層の面積が大きい場合であるほど有利であり、得られる結晶の面積が1cm以上、好ましくは、5cm以上、更に好ましくは、10cm以上の大面積のGaN結晶自立基板の製造に好適である。
溝部形成サファイア下地基板の一例を示す図である。 サファイア下地基板の溝部の部分断面図である。 マスク部を有するサファイア下地基板の一例を示す部分斜視図である。 マスキング時のマスクの形状例を示す平面図である。 下地基板溝部の溝部方向とマスキングのストライプの方向とを変化させた場合の状態を示す図である。 下地基板の溝部、結晶会合部表面、ストライプ状マスクの関係を示す模式図である。 溝部を有する下地基板上にGaN種結晶を成長させた場合と、下地基板の溝部に対してマスキングのストライプ方向を直交させた場合のノマルスキー型微分干渉顕微鏡により観察した表面像である。 マスキングのない場合と有る場合の、形成したGaN結晶の結晶表面状態を示す写真である。 実施例1使用したマスク(ストライプ)の模式図と、生成した自立GaN結晶の表面と裏面の写真である。 実施例9で使用したマスク(ストライプ)の模式図と、生成した自立GaN結晶の表面と裏面の写真である。 実施例12で使用したマスク(ドット)の模式図と、生成した自立GaN結晶の表面と裏面の写真である。
本発明の半極性或いは無極性のGaN結晶自立基板の製造方法は、傾斜した側壁を有する複数本の溝部を形成したサファイア下地基板上にMOVPE法による高結晶性の結晶成長を行い、次いでマスキングした後、更にHVPE法による高速の結晶成長を行うため、クラックの発生を抑制し、欠陥密度(暗点密度)が小さく、且つ、結晶表面の平滑性に優れる。
尚、上記暗点密度は、結晶の転位欠陥である貫通転位の密度を示すための指標となる物性値であり、走査型電子顕微鏡/カソードルミネッセンス(SEM・CL)装置を用いて測定される。測定時の加速電圧は5kVとし、観察範囲は20μm×20μmとする。このとき、観察範囲内に観察された暗点の総数より暗点密度を算出する。また、半極性と無極性を総称して非極性と言う場合がある。
本発明で使用する下地基板はサファイアからなる基板であって、サファイア下地基板の主面は、目的とするGaN結晶の結晶面に合わせて任意の面方位が選択される。特にGaN結晶の{0001}面が<10−10>軸方向に向かって1°〜90°傾いた面を主面とする、或いはGaN結晶の{0001}面が<11−20>軸方向に向かって1°〜90°傾いた面を主面とする窒化ガリウム結晶自立基板が、InGaN層形成における内部電界回避の点で好ましい製造対象物とされる。
サファイア上にGaN結晶を成長させる場合、主としてサファイアのc軸とGaN結晶のc軸が揃い、サファイアのm軸とGaN結晶のa軸が揃って成長することから、傾いた面を主面とするGaN結晶を得るには、対応した角度だけ傾斜したミスカット面を有するサファイアを使用する。
具体的には、無極性のa面({11−20}面)やm面({1−100}面)を表面に有するGaN結晶を成長させたい場合は、主面が、各々{1−100}面、{11−20}面であるサファイア下地基板を使用する。半極性の{11−22}面を表面に有するGaN結晶を成長させたい場合は、サファイア下地基板の主面はr面({10−12}面)とする。{10−11}面を表面に有するGaN結晶を成長させたい場合は、サファイア下地基板の主面はn面({11−23}面)とする。{20−21}面を表面に有するGaN結晶を成長させたい場合は、サファイア下地基板の主面は{22−43}面とする。その他、{20−21}面等を主面するサファイア下地基板を用いることができる。
該下地基板は、通常、厚みが0.3〜3.0mm、直径が50〜300mmの円盤状のものが使用されるが、特にこれに限定されるものではない。
本発明において、サファイア下地基板は、上記説明の通りの主面を有する基板であり、しかも、図1に示すような、複数の溝部を有し、且つ、溝部側壁の一部が結晶成長の起点となりうる溝部を有する下地基板(溝部形成サファイア下地基板)を使用することが必須である。当該下地基板の使用により、結晶品質の向上、また、後工程での下地基板とGaN結晶層との冷却による簡単な操作での分離が可能となる。
例えば、下地基板主面が{10−12}面、溝部の延びる方向が{11−20}面の面方位、即ち、a軸方向である場合に、溝部の一方の側壁にc面が形成される。或いは、下地基板主面が{11−23}面、溝部の延びる方向が{10−10}面の面方位、即ち、m軸方向である場合に、溝部の一方の側壁にc面が形成される。
主面が上記何れの面方位であっても、成長起点となる側壁を起点として選択的横方向成長(Epitaxial Lateral Overgrowth:ELO)して結晶が成長する。前記剥離を容易にするためには、側壁は、その総面積が下地基板の窒化ガリウム結晶層を形成する側の全表面積に対して、1〜20%であることが好ましい。
溝部形成サファイア下地基板の主面には、複数本の溝部が並行に設けられる。溝部の開口部幅は特に制限されず、通常0.5〜10μmの範囲から設定される。溝部の間隔、即ち、相互に隣接する溝部と溝部との下地基板主面上の間隔は、1〜100μmである。溝部の深さは、1〜1000μmが一般的である。主面上の溝部の数は、形成されるGaN結晶の所望する面積に応じて任意に設けることができるが、上記開口幅、溝部の間隔、底面の幅を勘案して、通常、1mm当り、10〜500本程度設ければ良い。
上記溝部は、下地基板主面に対して所定の角度で傾斜した側壁を有しており、図2に示すように、その断面形状は、溝開口部から溝底部に向かって溝幅を狭めるように傾斜したテ―パー状になっている。傾斜角度とは、図2に示すように、下地基板主面と溝部側壁の延長面とがなす角度(θ)を意味する。該角度は、下地基板主面の面方位に対応して形成される側壁面の面方位を勘案して決定される。
例えば、サファイア下地基板主面の面方位が{10−12}であり、所望するGaN結晶の面方位が{11−22}である場合は、この角度(θ)を58.4度として、この側壁から、GaN結晶を、サファイア下地基板のc軸にGaN結晶のc軸が同一の方向となるように成長させて所望の結晶を得る。
このときの角度58.4度は、所望するGaN結晶の主面である{11−22}面と、成長方向であるGaN結晶のc軸に対して垂直となるGaN結晶のc面とがなす角度が、58.4度であることに依る。しかし、サファイア下地基板の主面である{10−12}面と、溝部の側壁に現れるサファイアc面とがなす角度は57.6度であるため、その上に成長したGaN結晶層の表面は、サファイア下地基板の主面に対し、約0.8度傾斜する。そこで、この角度を相殺するように、サファイア{10−12}面にオフ角をつけた面を主面とするミスカット基板を用いることにより、GaN結晶の{11−22}面がサファイア下地基板主面に対して平行となるように成長したGaN結晶層を得ることができる。
サファイア下地基板主面の面方位が{11−23}であり、所望するGaN結晶の面方位が{10−11}面である場合は、この角度を62.0度とする。上記理由と同じ理由により生じる、約0.8度の下地基板主面とGaN結晶表面との傾斜角度を相殺するように、オフ角をつけた面であるミスカット基板を用いることにより、GaN結晶の{10−11}面がサファイア下地基板主面に対して平行となるように成長したGaN結晶層を得ることができる。
サファイア下地基板主面の面方位が{22−43}であり、所望するGaN結晶の面方位が{20−21}面である場合は、この角度を75.1度とする。上記理由と同じ理由により生じる、約0.5度の下地基板主面とGaN結晶表面との傾斜角度を相殺するように、オフ角をつけた面であるミスカット基板を用いることにより、GaN結晶の{20−21}面がサファイア下地基板主面に対して平行となるように成長したGaN結晶層を得ることができる。
サファイア下地基板主面の面方位が{11−20}であり、所望するGaN結晶の面方位が{10−10}面である場合、或いは、サファイア下地基板主面の面方位が{10−10}であり、所望するGaN結晶の面方位が{11−20}面である場合は、この角度を90度として、この側壁から、GaN結晶を、サファイア下地基板のc軸とGaN結晶のc軸とが同一の方向となるように成長させて所望の結晶を得る。
しかし、下地基板主面と溝部側壁とがなす角度(θ)が90度となる溝部を形成することはエッチング技術上困難であるが、下地基板主面と溝部側壁とがなす角度(θ)が90度に近い溝部を有するサファイア下地基板を用いることにより、{11−20}面を主面とするサファイア下地基板上に、GaN結晶の{10−10}面がサファイア下地基板主面に対して平行となるように成長したGaN結晶層を、或いは、{10−10}面を主面とするサファイア下地基板上に、GaN結晶の{11−20}面がサファイア下地基板主面に対して平行となるように成長したGaN結晶層を得ることができる。
サファイア下地基板主面の面方位が{10−10}であり、所望するGaN結晶の面方位が{11−20}面である場合は、この角度を90度として、この側壁から、GaNを、サファイア下地基板のc軸にGaN結晶のc軸が同一の方向となるように成長させて所望の結晶を得る。この場合も角度(θ)が90度となる溝部を形成することは技術上困難であるが、角度(θ)が90度に近い溝部を有するサファイア基板を用いることにより、{10−10}面を主面とするサファイア下地基板上に、GaNの{11−20}面がサファイア下地基板主面に対して平行となるように成長したGaN層を得ることができる。
上記溝部側壁における、GaN結晶を成長させる領域(以下、結晶成長領域という)の幅(d)は特に制限されないが、暗点密度を低減するためには、0.01〜3μmとすることが好ましく、0.1〜1μmとすることが特に好ましい。結晶成長領域の幅(d)の下限は小さいほど良いが、下記に述べる溝部作製の際の技術上の制約から決定される。
結晶成長領域の幅(d)とは、図2に示す如く、側壁全てが結晶成長領域である場合は、下地基板主面と側壁が交わる辺と、側壁と溝部底面が交わる辺との間の、側壁上の最短距離(間隔)を云う。図3に示す如く、側壁の一部がマスキングされ結晶成長領域が制限されている場合は、上記最短距離(間隔)から、マスキング部分の幅を除いた距離(d)を云う。
上記所定の傾斜角度の側壁を有する溝部は、溝部形成予定部分だけが開口部となるようにフォトレジストのパターニングを形成し、フォトレジストをエッチングレジストとし、サファイア下地基板を反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)等のドライエッチング或いはウエットエッチングをすることにより形成することができる。
更に、側壁の幅、溝部開口部幅、溝部間隔、底面幅などの制御手段としては、フォトレジストのパターニングを形成する段階において、フォトレジストの塗布量、ベーク温度、ベーク時間、UV照射量、UV照射する際のフォトマスクの形状などが挙げられる。また、エッチングの段階において、エッチングガス種、エッチングガス濃度、エッチングガス混合比、アンテナパワー、バイアスパワー、エッチング時間などによっても制御できる。
これら種々の条件を組み合わせることにより、所定の形状の溝部を有したサファイア下地基板を得ることができる。前記側壁の幅は、単位時間あたりにサファイアがエッチングされる速度であるエッチングレートを求め、エッチング時間を変更することで制御が可能である。
上記方法において、サファイア下地基板主面の選定、並びに溝部の延びる方向の設定により、種々の面方位の側壁を有する下地基板を作成することができる。
具体的には、下地基板主面が{10−12}面、溝部の延びる方向が{11−20}面の面方位、即ち、a軸方向である場合は、結晶成長面である側壁にはc面が露出する。下地基板主面が{11−23}面、溝部の延びる方向が{10−10}面の面方位、即ち、m軸方向である場合は、結晶成長面である側壁にはc面が露出する。下地基板主面が{11−20}面、溝部の延びる方向が{10−10}面の面方位、即ち、m軸方向である場合は、結晶成長面である側壁にはc面が露出する。下地基板主面が{10−10}面、溝部の延びる方向が{11−20}面の面方位、即ち、a軸方向である場合は、結晶成長面である側壁にはc面が露出する。下地基板主面が{22−43}面、溝部の延びる方向が{10−10}面の面方位、即ち、m軸方向である場合は、結晶成長面である側壁にはc面が露出する。
上記の通り、サファイア下地基板は、その主面の面方位並びに結晶成長の起点の面となる側壁の面方位を任意に設計することができる。種々の面方位を有する側壁の中で、c面側壁を起点とした横方向成長が優先的に起こり易いし制御し易い。従って、溝部を構成する側壁の少なくとも一部にc面からなる側壁を形成しておくことは、好ましい態様である。
本発明において、上記サファイア下地基板上に、MOVPE法により高品質の半極性又は無極性のGaN結晶を成長させる。その厚みは、0.05〜5μmである。厚みが0.05μm未満では、得られる結晶の暗点密度が大きくその後の結晶成長で高品質の結晶が得られなく、5μmを超えて成長させることは成長効率が悪い。
溝部形成サファイア下地基板を用いてGaNの結晶成長を行う際、該基板主面からの成長を起こさずに、溝部の側壁から優先的に成長がおこるように制御するためには、成長温度、成長圧力、原料ガス供給量、原料ガス供給比、キャリアガス種、キャリアガス量等の種々の条件を最適化する必要があり、使用する成長方法や反応装置や原料等を決定した上で、予め、予備的な実験でその条件を決定しておけば良い。
具体的には、下地基板主面が{10−12}面、{11−23}面、或いは{22−43}面である場合、GaN結晶は下、地基板主面、サファイアc面が露出した溝部側壁、及びもう一方の溝部側壁から結晶成長する可能性がある。この場合、サファイアc面が露出した溝部側壁から優先的に成長が起こるように制御するには、上記種々の成長条件の最適化が必要である。また、下地基板主面からの成長は、結晶成長阻害層の形成付与によっても抑制が可能である。
下地基板主面が{11−20}面、或いは{10−10}面である場合、GaN結晶は下地基板主面、及び溝部側壁から結晶成長する可能性がある。このとき、両側の溝部側壁は同じ面方位を有しているため、どちらからも同じ面方位を有したGaN結晶が成長し、どちらか一方の溝部側壁から結晶が成長するように制御する必要はなく、下地基板主面からの成長を抑制すればよい。下地基板主面からの成長を抑制するには結晶成長阻害層の形成付与が効果的であるが、上記種々の成長条件の最適化のみでも制御は可能である。
サファイア下地基板の溝部に露出した複数のc面からGaN結晶が成長し大きくなっていくと、隣り合う溝部から成長したGaN結晶同志が会合して結晶会合部が形成される。形成されるGaN結晶層の表面において、当該結晶会合部は線状に現れる。それぞれのGaN結晶は、ごくわずかな軸ズレやごくわずかな歪の差異があるため、その結晶会合部には欠陥が発生する。そして、上記欠陥は結晶表面まで伝播する。これは結晶成長条件の最適化では制御できない現象である。
本発明において、前記溝部形成サファイア下地基板上へのMOVPE法による半極性または無極性のGaN結晶層の形成後に、該GaN結晶層の成長表面の一部をマスキングし、次いでHVPE法でGaN結晶の成長を行うことが重要である。
マスキングは、溝部形成サファイア下地基板上に直接マスキング処理を施して結晶成長させても、クラック発生の抑制には効果がない。これは溝部形成により微小核形成や転位発生領域をすでに制御しているためである。そして、この方法では、HVPE法で成長を行って形成したGaN層のクラックの発生や表面平坦性の改善に寄与しない。
本願発明では、MOVPE法によって予め形成したGaN結晶層の上にマスキングを行うことにより、GaN結晶層の部分的な面ズレや軸ズレの影響を防止し、クラックの発生が抑制される。
上記抑制の機構としては、決められた開口部からのみELO成長することで成長方向を制御し、成長方向や方位の異なる異常成長を防止することも影響していると考えられる。また、マスキングにより、マスク部が溝部形成サファイア下地基板とGaN結晶との熱膨張差を吸収する緩衝層としても働き、上方に形成されるGaN結晶内のクラックの発生を抑制しているものと考えらえる。
本発明において、上記マスキングはGaN結晶層表面の一部に対して行えばよいが、特に前記GaN結晶層表面に存在する結晶会合部の一部をマスキングすることが好ましい。即ち、結晶会合部の表面の一部をマスキングすることにより、欠陥に溜った歪が分散、開放される。その結果、次いでHVPE法によって成長させるGaN結晶に生じるクラックを、効果的に低減できる。
ただし、上記マスキングは上記結晶会合部の全部に対して行わないことがより好ましい。結晶会合部の欠陥表面全部をマスキングすると、欠陥に溜った歪が分散、開放せず、その上に成長させるGaN結晶にクラックが発生し易くなる恐れがある。
マスキング手段はそれ自体公知であり、真空蒸着、スパッタリング、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の方法により、下地基板表面に、サファイアおよびGaN結晶に比較して熱膨張係数が小さな、SiO膜、SiN膜、TiO膜、ZrO膜等を形成してマスキングする方法が挙げられる。該マスキング層の厚さは、通常0.001〜3μm程度である。
前記MOVPE法により形成されるGaN結晶層表面のマスキングの割合(成長表面マスク被覆率)は、通常、基板上の結晶成長面の全表面積に対して、10〜90%が好ましい。成長表面マスク被覆率が10%未満では、クラックの防止並びに結晶表面の平滑性向上への効果が低減する恐れがある。成長表面マスク被覆率が90%を超えると、マスク上からの多結晶成長が起こるため単結晶を得ることが困難となる恐れがある。このような観点から、特に、成長表面マスク被覆率が20〜80%であることが好ましく、30%〜70%であることが更に好ましい。
また、前記GaN結晶層表面に存在する結晶会合部に対するマスク被覆率(会合部表面マスク被覆率=GaN結晶層表面に存在する会合部のマスク被覆面積/GaN結晶層表面に存在する会合部の全面積)は、20%〜80%とするのが効果的である。会合部表面マスク被覆率が20%未満では、歪の抑制に効果が低減する傾向がある。また、会合部表面マスク被覆率が80%を超えると、歪の分散効果が低減する傾向がある。
当該GaN結晶層表面に存在する会合部の面積は、前出のSEM・CL装置による観察範囲において存在する暗点の会合部の幅と長さの積の総和から算出される。
上記マスキングのマスク形状は、GaN結晶層表面が被覆されるものであれば特に制限されるものではなく、図4に示すように、ストライプ状マスク、格子状マスク、ドット状マスク、ハニカム状マスクなど様々な形状が採用される。格子状マスクの格子は、直交して良いし、所定の角度でクロスしてもよい。ドットの形状も特に制限はなく、円形、三角形、正方形、六角形などが具体的に挙げられる。
上記マスクを構成するユニット、例えば、前記ストライプ状マスクの場合は線、ドット状マスクの場合のドットは、相互に等間隔に存在することが好ましい。また、上記ユニットは単一であってもよいし、複数の集合体であってもよい。例えば、ストライプ状マスクを構成する線は1本でもよいし、複数本の線の組み合わせでもよい。
目的とするGaNの結晶面方位(使用するサファイア下地基板の面方位)が、{0001}面({0001}面)の場合は、成長面内の面方位内において6回の対称性を持つため、上記の何れのマスクを使用しても、クラックの発生や結晶の割れには、ほとんど影響しない。即ちマスク形状への依存性が少ない。しかしながら、GaNの結晶面方位(使用するサファイア下地基板の面方位)が、{11−22}面({−1012}面)、{10−11}面({11−23}面)、{20−21}面({22−43}面)等の場合は、成長面の面方位内において二本の直交する対称軸を有しており、各軸の熱膨張率の差異が顕著に出てクラックの発生が起こりやすいので、歪を多方向から分散して緩和できるマスクが好ましい。この点から、特に、ドットが円形のドット状マスクが好ましい。
図4(e)、(f)、(g)に、各種形状のドット状のマスクを示す。ドット状マスクにおいて、ドットの直径とは、円形以外は各ドットの外接円の直径をいう。当該直径が0.1〜100μmであって、あるドットの中心と隣接するドットの中心との距離は0.2〜200μmであり、これらのドットが規則的に配列されたマスクが好適に採用される。ドットの直径が0.1μm未満であると結晶表面の平滑性構造への効果が低減する傾向があり、100μmを超えるとマスク上からの異常成長の可能性が高くなり、多結晶体となる傾向にある。一方、あるドットの中心と隣接するドットの中心との距離が0.2μm未満であると選択横方向成長における欠陥密度低下の効果が低減する傾向がある。200μmを超えた場合も同様に欠陥密度低下の効果が低減する傾向がある。
図4(b)に示すようなストライプ状のマスクにおいて、ストライプのマスク幅(短軸幅)は、通常、0.5〜500μmであり、開口幅(ストライプ同士の間隔)は、通常、0.5〜50μmである。ストライプのマスク幅が0.5μm未満であると結晶表面の平滑性構造への効果が低減する傾向があり、500μmを超えるとマスク上からの異常成長の可能性が高くなり、多結晶体となる傾向にある。一方、開口幅が0.5μm未満であると選択横方向成長における欠陥密度低下の効果が低減する傾向がある。50μmを超えた場合も同様に欠陥密度低下の効果が低減する傾向がある。
本発明において、前記ストライプ状マスクを使用する場合、溝部の長軸方向とストライプの長軸方向のなす交差角度を大きくさせることは、クラックの発生を防止させることができ、暗点密度低減を低減させることができ、好ましい。
即ち、本発明で使用するサファイア下地基板は単結晶であり、目的とするGaN結晶の結晶方位に対応させた、前述の通りの様々に選択された結晶主面を持つ。それ故、当該基板は、直交する異なる2つの熱膨張係数を有している。したがって、ストライプ状のマスクを熱膨張の大きい方向と平行に形成することにより、GaN結晶層と溝部形成サファイア下地基板間にかかる歪を緩衝することができ、ひいてはHVPE法により形成されるGaN結晶の割れを防止できる。
MOVPE法により形成した半極性又は無極性のGaN結晶層の表面の一部を、上記の通りのマスキング処理を行った後、更にその上にHVPE法で高速の結晶形成を行う。当該マスキング処理を行うことにより、半極性又は無極性のGaN結晶であっても、クラックの発生が少なく、且つ、表面が平坦な、しかも数mmの膜厚で大面積のGaN結晶が得られる。
HVPE法は、塩化ガリウムと、窒素源となるアンモニア等を、気相反応させて下地基板上にGaN結晶をエピタキシャル成長させる方法であり、それ自体公知の方法である。
結晶成長に用いられるHVPE装置は、大きくは反応管、加熱系、ガス供給系、及びガス排気系から構成される。ガス供給系はマスフローコントローラーによって、ガス供給量の精密な制御が可能である。加熱系は、石英製の反応管を抵抗加熱式のヒーターで覆い、反応管、及びその中に設置される基板やサセプタ、金属原料を加熱するホットウォール法が用いられている。ホットウォール法を用いることにより、原料ガスを充分に加熱して基板表面に供給することができ、供給原料の飽和蒸気圧を高くすることができる。その結果、多量の原料供給が可能となり高速成長を実現できる。
反応管の中は大きく金属原料部と基板加熱部に分けられる。金属原料部にはGa金属が置かれており、高温下にて、HClガスを供給することにより、Ga金属とHClガスとが反応し、GaClが生成する。生成したGaClガスは、石英製の配管を通り、基板加熱部へと運ばれる。基板加熱部には、ガスの流れに対して垂直に炭素製或いはSiCのサセプタが配置され、サセプタは自転機構を有している。そして、そのサセプタ上にサファイア下地基板、もしくは、サファイア下地基板上にGaN結晶を成長させた積層基板がセットされ、金属原料部で生成したGaClガス、及び、NHガスとが基板上で反応することで、GaN結晶の成長が進行する。
結晶成長には原料ガスとして窒素原料であるNHガス、Ga源であるGaClを生成するためのHClガスが用いられる。GaCl生成には、HClガスの代わりにClガスを使用しても良い。またGa原料であるGa金属は装置内に設置される。原料ガスであるNHとHClガスの他に、HやNなどのキャリアガスが用いられる。
HVPE法による結晶形成後の結晶成長炉から取り出した時点における、即ちアズグロウンの窒化ガリウム結晶表面のRMSは、300nm未満、好適には30nm未満であって、表面の平滑性に優れるGaN結晶が得られる。
上記HVPE法による厚膜のGaN結晶を育成した後、レーザー照射分離や研磨等の公知の方法により、下地基板を分離してGaNの自立基板が得られる。
しかしながら、レーザー照射分離や研磨等の方法では、GaN結晶へのダメージが発生する恐れがあり、しかも、必ずしも効率的な分離方法ではない。
前記溝部形成サファイア下地基板を用いて膜厚が100μm以上、好適には300μm以上のGaN結晶を成長した後、基板の冷却を行うと、特別に機械的応力を印加することなく、冷却時の熱応力のみにてサファイア下地基板とGaN結晶層との界面において自然剥離が生じて分離できる。冷却は、例えば、低温ガス等を供給して強制的に行ってもよく、また、自然放冷によって行ってもよい。冷却によってサファイア下地基板、及びGaN結晶層の温度を20℃〜150℃まで低下させる。冷却速度は、例えば、1〜100℃/minである。
以下、本発明を、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。また、実施例の中で説明されている特徴の組み合わせすべてが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
実施例1
〔GaN結晶層の形成〕
{10−12}面サファイア基板上にストライプ状にレジストをパターニングし、次いで反応性イオンエッチング(RIE)によりドライエッチングすることで、サファイア基板上に複数本の溝部を形成した。溝部は溝開口幅が3μm、溝の深さが1μm、及び隣接する溝部までの基板主面部分の幅が3μmとなるように形成した。
ドライエッチングの後、レジストを洗浄除去することで溝部形成サファイア下地基板を得た。この溝部形成サファイア下地基板は、基板主面(2インチφ)、基板主面に複数本形成された溝部の側壁から構成される表面露出した結晶成長領域(C面)、及び溝部底面を有する。
作成した溝部形成サファイア下地基板を、MOVPE装置内に、基板上面が上向きになるように石英トレイをセットした後、基板を1150℃に加熱するとともに反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内にキャリアガスとしてHを10L/minで流通させ、その状態を10分間保持することにより基板をサーマルクリーニングした。
次いで、基板の温度を460℃とすると共に反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスHを5L/minの流量で流しながら、そこにV族元素供給源(NH)、及びIII族元素供給源(TMG)を、それぞれの供給量が5L/min及び5.5μmol/minで基板上にアモルファス上のGaNを約25nm体積させた。続いて基板の温度を1025℃とすると共に反応容器内の圧力を20kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスをHとして、それを5L/minの流量で流通させることで、基板上に堆積したGaNを再結晶化し、溝部側壁の結晶成長領域に選択的にGaN結晶核を形成した。
続いて、基板の温度を1075℃とすると共に反応容器内の圧力を20kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスをHとして、それを5L/minの流量で流通させながら、そこにV族元素供給源(NH)、及びIII族元素供給源(TMG)を、それぞれの供給量が2L/min及び30μmol/minとなるように300分間流し、GaNを成長させることにより、基板の主面に複数本形成された溝部の各側壁から成長したGaN結晶同士を会合し、基板主面に対して平行に表面が形成されるように{11−22}面GaN結晶層を形成した。
〔ストライプ状マスキング〕
作成したGaN結晶層(成長表面)上にレジストをスピンコートした。次いでフォトリソグラフィー法にてサファイア基板の溝部に対して90°となる向きにストライプ状にレジストのパターニングを行った。次いでスパッタリングによりSiOを100nm成膜した。成膜の後、レジストを洗浄除去することでGaN結晶層上に複数本のストライプを有するSiO層を形成した。ストライプ幅は3μm、マスクの高さは100nm、開口幅は3μmであった。
GaN結晶成長表面に対するマスキングの割合、即ち、「成長表面マスク被覆率」、並びに「会合部表面マスク被覆率」は以下の通り定義され、各々次のようにして算出した。
「成長表面マスク被覆率」
=(マスク部分の総面積/GaN結晶表面の面積)×100
「会合部表面マスク被覆率」
=(GaN結晶層表面に存在する会合部のマスキング面積/GaN結晶層表面に存在する結晶会合部の結晶表面における総面積)×100
GaN結晶表面の面積は、下地基板の面積とし、その表面におけるマスク部部の総面積は、ストライプ幅と開口幅の間隔から求められる。「成長表面マスク被覆率」は50%である。
結晶会合部のGaN結晶表面における総面積は、1.01cmであり、会合部表面のマスキング部の総面積は、0.50cmとなる。従って、「会合部表面マスク被覆率」は50%である。
〔GaN厚膜の形成〕
作成したマスク付きGaN結晶を、HVPE装置内にマスクがガスの上流を向くように炭素製資料固定台にセットした後、反応管内にNガスを30min流通させ、反応管内をNガス雰囲気下とした。金属原料部が850℃、基板加熱部が1100℃となるように反応管を加熱し、設定温度到達後、25分間保持した。このとき、基板加熱部が500℃に達するまでは反応管内にはN2ガスを流通させ、500℃以上ではHガス、及び、NHガスを流通させた。
次いで、反応管内に設置されたGa金属にHClガスを1.2L/min流通させた。また、NHガスを36L/min、キャリアガスであるHガスを4.1L/min流通し、240分間GaN結晶を成長させた。GaN結晶の膜厚は2500μmであった。
その後、HClガスの流通を止めて、成長を終了させ、基板の冷却を行った。冷却はガスを流通させながら、自然放冷にて行った。冷却時、基板温度が600℃以下になるまではNHガスを5L/mind流通し、600℃以下ではN2ガスを37.7L/min流通した。
基板温度が150℃以下になった時点で、装置内から基板を取り出したところ、その時点においてすでにサファイア下地基板とGaN結晶層とは50%以上の面積で剥離しており、剥離していない部分についてもSUS製のピンセットで容易に剥離できた。
得られたGaN結晶自立基板の特性を、以下の方法で測定した。
〔暗点密度評価〕
得られたGaN結晶自立基板について、走査型電子顕微鏡/カソードルミネッセンス(SEM/CL)装置(日本電子社製JSM―7600F/Gatan社製MonoCL4)を用いて、GaN結晶自立基板の表面の観察を行った。このときの加速電圧は5kV、観察範囲は20μm×20μmとし、観察範囲内に観察された暗点の総数から暗点密度を算出した。
〔クラック本数評価〕
得られたGaN結晶自立基板について、高強度ハロゲン光を照射し、結晶内に存在するクラックの本数を測定した。
〔表面凹凸〕
得られたGaN結晶自立基板について、ノギスを用いて結晶の全表面の最大高低差を評価し、200μm以上の高低差のものを表面凹凸有、200μm未満の高低差のものを表面凹凸無とし判別した。
〔RMS〕
得られたGaN結晶自立基板について、表面の観察を行った。このときの観察視野範囲は140μm×105μmとし、観察視野範囲内の表面粗さ(RMS)を算出した。
得られた結晶は、{11−22}面を主面とする、厚みが2500μmで、RMSが300nm未満の自立GaN基板であった。表側にはクラックは確認できなかった。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、割れることなく自発分離して、GaN結晶のみからなっていた。暗点密度は4.09×10個/cmであった。
実施例2
GaN結晶層は実施例1と同様にして形成した。続いて、GaN結晶成長表面上に平面視において1辺5μmの正三角形の各頂点に直径3μmの円が配列された高さ100nmのSiOからなるドット状マスクを形成した。次いで、GaN厚膜を実施例1と同様にして形成して、{11−22}面を主面とする、同等の面積を有する、厚みが2500μmで、RMSが300nm未満の自立GaN基板を得た。表側には、1本のクラックが入っていた。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、自発分離してGaN結晶のみからなっていた。暗点密度は9.02×10個/cmであった。
実施例3
GaN結晶層は実施例1と同様にして形成した。続いて、サファイア基板上の溝部に対して平行をなす角度でSiOからなるストライプ状マスクを形成した。ストライプ幅、開口幅、マスク高さは実施例1と同じであった。次いで、GaN厚膜の形成を実施例1と同様にして行い、{11−22}面を主面とする、厚みが2500μmで、RMSが300nm未満の自立GaN基板を得た。表側にはクラックは確認できなかった。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、割れることなく自発分離して、GaN結晶のみからなっていた。暗点密度は2.14×10個/cmであった。
実施例4
GaN結晶層は実施例1と同様にして形成した。続いて、サファイア基板上の溝部に対して1°をなす交差角度でSiOからなるストライプ状マスクを形成した。ストライプ幅、開口幅、マスク高さは実施例1と同じであった。次いで、GaN厚膜の形成を実施例1と同様にして行い、{11−22}面を主面とする、厚みが2500μmで、RMSが300nm未満の自立GaN基板を得た。表側にはクラックは確認できなかった。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、割れることなく自発分離して、GaN結晶のみからなっていた。暗点密度は1.93×10個/cmであった。
実施例5
GaN結晶層は実施例1と同様にして形成した。続いて、サファイア基板上の溝部に対して30°をなす交差角度でSiOからなるストライプ状マスクを形成した。ストライプ幅、開口幅、マスク高さは実施例1と同じであった。次いで、GaN厚膜の形成を実施例1と同様にして行い、{11−22}面を主面とする、厚みが2500μmで、RMSが300nm未満の自立GaN基板を得た。表側には、1本のクラックが入っていた。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、自発分離してGaN結晶のみからなっていた。暗点密度は4.60×10個/cmであった。
実施例6
GaN結晶層は実施例1と同様にして形成した。続いて、サファイア基板上の溝部に対して45°をなす交差角度でSiOからなるストライプ状マスクを形成した。ストライプ幅、開口幅、マスク高さは実施例1と同じであった。次いで、GaN厚膜の形成を実施例1と同様にして行い、{11−22}面を主面とする、厚みが2500μmで、RMSが300nm未満の自立GaN基板を得た。表側にはクラックは確認できなかった。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、割れることなく自発分離して、GaN結晶のみからなっていた。暗点密度は6.17×10個/cmであった。
実施例7
GaN結晶層は実施例1と同様にして形成した。続いて、サファイア基板上の溝部に対して60°をなす交差角度でSiOからなるストライプ状マスクを形成した。ストライプ幅、開口幅、マスク高さは実施例1と同じであった。次いで、GaN厚膜の形成を実施例1と同様にして行い、{11−22}面を主面とする、厚みが2500μmで、RMSが300nm未満の自立GaN基板を得た。表側には、1本のクラックが入っていた。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、自発分離してGaN結晶のみからなっていた。暗点密度は7.77×10個/cmであった。
実施例8
GaN結晶層は実施例1と同様にして形成した。続いて、サファイア基板上の溝部に対して89°をなす交差角度でSiOからなるストライプ状マスクを形成した。ストライプ幅、開口幅、マスク高さは実施例1と同じであった。次いで、GaN厚膜の形成を実施例1と同様にして行い、{11−22}面を主面とする、厚みが2500μm、RMSが300nm未満の自立GaN基板を得た。表側にはクラックは確認できなかった。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、割れることなく自発分離して、GaN結晶のみからなっていた。暗点密度は4.24×10個/cmであった。
実施例9
〔GaN結晶層の形成〕
{11−23}面サファイア基板上にスパッタリングによりSiOを成膜した。次いでストライプ状にレジストをパターニングし、次いで反応性イオンエッチング(RIE)によりドライエッチングすることで、サファイア基板上に複数本の溝部を形成した。溝部は溝開口幅が2μm、溝の深さが1μm、及び隣接する溝部までの基板主面部分の幅が2μmとなるように形成すると共に、基板主面部分をSiOからなる結晶成長阻害層で被覆した下地基板を作製した。
ドライエッチングの後、レジストを洗浄除去することで溝部形成サファイア下地基板を得た。この溝部形成サファイア下地基板は、基板主面、複数本形成された溝部の側壁から構成される表面露出した結晶成長領域、及び溝部底面を有する。
作成した溝部形成サファイア下地基板を、MOVPE装置内に、基板上面が上向きになるように石英トレイをセットした後、基板を1150℃に加熱するとともに反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内にキャリアガスとしてHを10L/minで流通させ、その状態を10分間保持することにより基板をサーマルクリーニングした。
次いで、基板の温度を460℃とすると共に反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスをHを5L/minの流量で流しながら、そこにV族元素供給源(NH)、及びIII族元素供給源(TMG)を、それぞれの供給量が5L/min及び5.5μmol/minで基板上にアモルファス上のGaNを約25nm体積させた。続いて基板の温度を1050℃とすると共に反応容器内の圧力を20kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスをHとして、それを5L/minの流量で流通させることで、基板上に堆積したGaNを再結晶化し、溝部側壁の結晶成長領域に選択的にGaN結晶核を形成した。
続いて、基板の温度を1050℃とすると共に反応容器内の圧力を20kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスをHとして、それを5L/minの流量で流通させながら、そこにV族元素供給源(NH)、及びIII族元素供給源(TMG)を、それぞれの供給量が2L/min及び30μmol/minとなるように180分間流し、GaNを成長させることにより、基板の主面に複数本形成された溝部の各側壁から成長したGaN結晶同士を会合し、基板主面に対して平行に表面が形成されるように{10−11}面GaN結晶層を形成した。
〔マスキングとGaN厚膜の形成〕
次いで、このGaN結晶成長表面上へのマスキング及びGaN厚膜の形成を実施例1と同様にして行いった。「成長表面マスク被覆率」は50%であり、「会合部表面マスク被覆率」は50%であった。
{10−11}面を主面とする、下地基板と同等の面積を有する、厚みが2000μmで、RMSが11.1nmの自立GaN基板を得た。表側には、1本のクラックが入っていた。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、自発分離してGaN結晶のみからなっていた。暗点密度は3.61×10個/cmであった。
実施例10
GaN結晶層は実施例9と同様にして形成した。続いて、マスクの形成を実施例2と同様にして行った。次いで、GaN厚膜の形成を実施例9と同様にして行い、{10−11}面を主面とする、厚みが2000μmで、RMSが16.1nmの自立GaN基板を得た。表側には、1本のクラックが入っていた。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、自発分離してGaN結晶のみからなっていた。暗点密度は3.90×10個/cmであった。
実施例11
〔GaN結晶層の形成〕
{22−43}面サファイア基板上にスパッタリングによりSiOを成膜した。次いでストライプ状にレジストをパターニングし、次いで反応性イオンエッチング(RIE)によりドライエッチングすることで、サファイア基板上に複数本の溝部を形成した。溝部は溝開口幅が3μm、溝の深さが1μm、及び隣接する溝部までの基板主面部分の幅が3μmとなるように形成すると共に、基板主面部分をSiOからなる結晶成長阻害層で被覆した下地基板を作製した。
ドライエッチングの後、レジストを洗浄除去することでサファイア下地基板を得た。このサファイア下地基板は、基板主面、複数本形成された溝部の側壁から構成される表面露出した結晶成長領域、及び溝部底面を有する。
作成したサファイア下地基板を、MOVPE装置内に、基板上面が上向きになるように石英トレイをセットした後、基板を1150℃に加熱するとともに反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内にキャリアガスとしてHを10L/minで流通させ、その状態を10分間保持することにより基板をサーマルクリーニングした。
次いで、基板の温度を460℃とすると共に反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスHを5L/minの流量で流しながら、そこにV族元素供給源(NH)、及びIII族元素供給源(TMG)を、それぞれの供給量が5L/min及び5.5μmol/minで基板上にアモルファス上のGaNを約25nm体積させた。続いて基板の温度を1000℃とすると共に反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスをHとして、それを5L/minの流量で流通させることで、基板上に堆積したGaNを再結晶化し、溝部側壁の結晶成長領域に選択的にGaN結晶核を形成した。
続いて、基板の温度を1000℃とすると共に反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスをHとして、それを5L/minの流量で流通させながら、そこにV族元素供給源(NH)、及びIII族元素供給源(TMG)を、それぞれの供給量が2L/min及び30μmol/minとなるように300分間流し、GaNを成長させることにより、基板の主面に複数本形成された溝部の各側壁から成長したGaN結晶同士を会合し、基板主面に対して平行に表面が形成されるように{20−21}面GaN結晶層を形成した。
〔マスキングとGaN厚膜の形成〕
次いで、このGaN結晶成長表面上へのマスキング及びGaN厚膜の形成を実施例1と同様に行った。「成長表面マスク被覆率」は50%であり、「会合部表面マスク被覆率」は50%であった。
{20−21}面を主面とする、下地基板と同等の面積で、厚みが2200μmで、RMSが280nmの自立GaN基板を得た。表側にはクラックは確認できなかった。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、割れることなく自発分離して、GaN結晶のみからなっていた。暗点密度は6.45×10個/cmであった。
実施例12
GaN結晶層は実施例11と同様にして形成した。続いて、実施例2と同様にしてドット状のマスクを形成した。次いで、GaN厚膜の形成を実施例1と同様にして行い、{20−21}面を主面とする、厚みが2200μm、RMSが237.8nmの自立GaN基板を得た。表側にはクラックは確認できなかった。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、自発分離してGaN結晶のみからなっていた。暗点密度は7.55×10個/cmであった。
実施例13
GaN結晶層は実施例11と同様にして形成した。続いて、サファイア基板上の溝部に対して平行及び垂直をなす角度でSiOからなる格子状マスクを形成した。ストライプ幅、開口幅、マスク高さは実施例3と同じであった。次いで、GaN厚膜の形成を実施例1と同様にして行い、{20−21}面を主面とする、厚みが2200μm、RMSが257.2nmの自立GaN基板を得た。表側にはクラックは確認できなかった。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、自発分離してGaN結晶のみからなっていた。暗点密度は7.09×10個/cmであった。
比較例1
GaN結晶層は実施例1と同様にして形成した。次いで、マスク形成無しにGaN厚膜の形成を実施例1と同様にして行い、{11−22}面を主面とする、厚み2500μmの自立GaN基板を得た。表面は1500μmを超える凹凸があった。表側には25本のクラックが入っていた。暗点密度は1.18×10個/cmであった。
実施例1および比較例1のクラック本数から、マスキングによってクラックが大きく低減する効果が認められる。また、実施例1〜13および比較例1の表面凹凸の有無から、マスクによって200μm以上の高低差を有する凹凸が大きく低減される効果が認められる。さらに、実施例1〜13のRMSから、マスキングによって表面平坦性が向上していることが分かる。
特に{10−11}面GaN結晶(実施例10)では、HVPE法による結晶形成後の結晶成長炉から取り出した時点における窒化ガリウム結晶表面平坦性が、MOVPE法によるものと同等以上の表面平坦性を有する高品質のGaN結晶自立基板が得られることが認識できる。
10 溝部形成サファイア下地基板
11 下地基板主面
20 下地基板溝部
21 溝部側壁
22 溝部底面
23 側壁結晶成長領域
30 GaN結晶層
31 GaN結晶層表面
40 溝部側壁マスク部
50 マスク

Claims (11)

  1. 下地基板の主面に対して傾斜した側壁を有する複数本の溝部を形成したサファイア下地基板上に半極性又は無極性の主面を持つ窒化ガリウム結晶層を成長させて、半極性又は無極性の主面を持つ窒化ガリウム結晶自立基板を製造する方法において、
    前記サファイア下地基板上に有機金属気相成長(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy:MOVPE)法により、0.05〜5μm厚の半極性又は無極性の主面を持つ窒化ガリウム結晶層を形成し、次いで当該結晶層の表面の一部をマスキングした後、当該結晶層表面上にハイドライド気相成長(Hydride Vapor Phase Epitaxy:HVPE)法により0.2〜5mm厚の半極性又は無極性の主面を持つ窒化ガリウム結晶層を形成し、その後サファイア下地基板を分離せしめることを特徴とする窒化ガリウム結晶自立基板の製造方法。
  2. 形成した窒化ガリウム結晶層が、サファイア下地基板の溝部からの結晶成長により形成される複数本の結晶会合部を有し、マスキングが、上記窒化ガリウム結晶層表面に存在する結晶会合部の一部をマスキングすることを特徴とする請求項1に記載の窒化ガリウム結晶自立基板の製造方法。
  3. マスキングにより、MOVPEによって形成した窒化ガリウム結晶層の成長表面の10〜90%が覆われ、且つ、窒化ガリウム結晶層表面に存在する結晶会合部の20%〜80%が覆われていることを特徴とする請求項2に記載の窒化ガリウム結晶自立基板の製造方法。
  4. マスキングに使用するマスクが、ストライプ状の形状を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の窒化ガリウム結晶自立基板の製造方法。
  5. マスキングに使用するマスクが、格子状の形状を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の窒化ガリウム結晶自立基板の製造方法。
  6. マスキングに使用するマスクが、ドット状の形状を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の窒化ガリウム結晶自立基板の製造方法。
  7. 下地基板の窒化ガリウム結晶層を形成する側の全表面積に対して、結晶成長の起点となる側壁の総面積の割合が、1〜20%であることを特徴とする請求項1〜6に記載の窒化ガリウム結晶自立基板の製造方法。
  8. 半極性又は無極性の主面を持つ窒化ガリウム結晶自立基板が、{0001}面が<10−10>軸方向に向かって1°〜90°傾いた面を主面とする窒化ガリウム結晶自立基板であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の窒化ガリウム結晶自立基板の製造方法。
  9. 半極性又は無極性の主面を持つ窒化ガリウム結晶自立基板が、{0001}面が<11−20>軸方向に向かって1°〜90°傾いた面を主面とする窒化ガリウム結晶自立基板であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の窒化ガリウム結晶自立基板の製造方法。
  10. 窒化ガリウム結晶自立基板の暗点密度が、2×10個/cm未満であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の窒化ガリウム結晶自立基板の製造方法。
  11. HVPE法による結晶形成後の結晶成長炉から取り出した時点における窒化ガリウム結晶表面のRMS(表面粗さ)が、300nm未満であることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の窒化ガリウム結晶自立基板の製造方法。
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