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JP2014175412A - 半導体基板及び半導体装置 - Google Patents

半導体基板及び半導体装置 Download PDF

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JP2014175412A JP2013045725A JP2013045725A JP2014175412A JP 2014175412 A JP2014175412 A JP 2014175412A JP 2013045725 A JP2013045725 A JP 2013045725A JP 2013045725 A JP2013045725 A JP 2013045725A JP 2014175412 A JP2014175412 A JP 2014175412A
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譲司 西尾
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Abstract

【課題】基底面転位に起因した特性の劣化を抑制することができる半導体基板及び半導体装置を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る半導体基板は、基板と、半導体層と、を備える。前記基板は、第1面を有し炭化珪素を含む。前記半導体層は、前記第1面の上に設けられ、前記第1面に対して垂直な方向にHセンチメートルの厚さを有し、前記基板の(0001)面にオフ角度θを設けて結晶成長した炭化珪素を含む。前記半導体層は、前記方向にみて1平方センチメートル当たりにn個の基底面転位を含む。S=(1/2)×H/(tanθ(sinθ×tan30°))平方センチメートル、とした場合、k×S<0.075平方センチメートルを満たす。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、半導体基板及び半導体装置に関する。
炭化珪素(SiC)は、シリコン(Si)と比較してバンドギャップが3倍、破壊電界強度が約10倍、熱伝導率が約3倍と優れた物性を有する。このようなSiCの特性を利用して低損失かつ高温動作に優れた半導体装置を実現することができる。SiCを用いた半導体装置を製造する際に利用される半導体基板には、通常、SiCの基板(バルク基板)と、基板上にSiCをエピタキシャル成長させた半導体層と、を備えたものが用いられる。
SiCの半導体層において、基板上にSiCをエピタキシャル成長させて所望の結晶多形を得るにあたり、基板の(0001)面を傾斜させてステップフロー成長させる技術が適用される。このステップフロー成長によって半導体層を形成した場合、基板から半導体層にステップフロー方向の基底面転位が引き継がれる。SiCの半導体基板を用いた半導体装置においては、基底面転位に起因した特性の劣化を抑制することが重要である。
特表2007−525402号公報
本発明の実施形態は、基底面転位に起因した特性の劣化を抑制することができる半導体基板及び半導体装置を提供する。
実施形態に係る半導体基板は、基板と、半導体層と、を備える。
前記基板は、第1面を有し炭化珪素を含む。
前記半導体層は、前記第1面の上に設けられ、前記第1面に垂直な方向にHセンチメートルの厚さを有し、前記基板の(0001)面にオフ角度θを設けて結晶成長した炭化珪素を含む。
前記半導体層は、前記方向にみて1平方センチメートル当たりにk個の基底面転位を含む。
S=(1/2)×H/(tanθ(sinθ×tan30°))平方センチメートル、とした場合、k×S<0.075平方センチメートルを満たす。
図1(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体基板を例示する模式図である。 図2は、欠陥の発生を例示する模式的断面図である。 図3(a)及び(b)は、積層欠陥の増加について例示する模式的平面図である。 図4は、積層欠陥の数による電流電圧特性の変化を例示する図である。 図5は、積層欠陥の数による特性変動の一例を示す図である。 図6(a)及び(b)は、積層欠陥の面積について説明する模式図である。 図7(a)〜(c)は、積層欠陥の面積について説明する模式図である。 図8は、順電圧の経時変化について例示する図である。 図9は、第2の実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。 図10は、第3の実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。また、以下の説明において、導電形を表すn、n、n及びp、p、pの表記は、各導電形における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわち、nはnよりもn形の不純物濃度が相対的に高く、nはnよりもn形の不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、pはpよりもp形の不純物濃度が相対的に高く、pはpよりもp形の不純物濃度が相対的に低いことを示す。
(第1の実施形態)
図1(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体基板を例示する模式図である。
図1(a)には、第1の実施形態に係る半導体基板100を例示する模式的斜視図が表されている。図1(b)には、単位面積での欠陥を例示する模式的平面図が表されている。
図1(a)に表したように、本実施形態に係る半導体基板100は、基板10と、半導体層20と、を備える。基板10は、第1面10aを有する。基板10は、SiCを含む。基板10は、例えば4Hの多形を有するSiC基板である。第1面10aは、SiC結晶の(0001)面に対して所定のオフ角度θを有する面である。第1面10aは、例えばSiC結晶の(0001)面に対して<11−20>方向にオフ角度θだけ傾斜している。オフ角度θとしては、例えば、2°、4°及び8°のいずれかが用いられる。
基板10は、例えば昇華再結晶法や液相成長法によって形成される。基板10内には、ランダムな方向に基底面転位BPD(Basal Plane Dislocation)が発生している。
半導体層20は、基板10の第1面10aの上に設けられる。半導体層20は、第1面10aに垂直な方向(Z方向と言う。)にHセンチメートル(cm)の厚さを有する。半導体層20は、基板10の(0001)面にオフ角度θを設けて結晶成長したSiCを含む。
半導体層20は、基板10の第1面10aの上に、エピタキシャル成長によって形成される。半導体層20は、基板10をオフ角度θだけ傾斜させた状態で、ステップフロー成長によって形成される。半導体層20には、ステップフロー成長の際に基板10内に存在するステップフロー方向の基底面転位BPDが引き継がれる。半導体層20に発生する基底面転位BPDは、基板10の基底面転位BPDを起点としてステップフロー成長の方向に線状に延びる。半導体層20内の基底面転位BPDは、(0001)面に沿った例えば<11−20>方向に延びる。
なお、基板10と半導体層20との間にバッファ層(図示せず)が設けられていてもよい。バッファ層は、半導体層20の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有するn形半導体層である。バッファ層を設けることで、多くの基底面転位BPDはバッファ層内で貫通刃状転位TED(Threading Edge Dislocation)に変換され、半導体層20内に基底面転位BPDがほとんど残らないことが知られている。しかしながら、全ての基底面転位BPDが貫通刃状転位TEDに変換されるわけではない。変換されずに残った基底面転位BPDは、デバイスの特性を劣化させる要因になる。
半導体層20は、n形半導体領域21と、n形半導体領域21に接するp形半導体領域22と、を含んでいてもよい。基板10の導電形がn形の場合、積層順は、基板10の上にn形半導体領域21、p形半導体領域22の順である。基板10の導電形がp形の場合には、積層順は、基板10の上にp形半導体領域22、n形半導体領域21の順である。
図1(b)に表したように、半導体層20は、Z方向にみて1平方センチメートル(cm)当たりにk個の基底面転位BPDを含む。基底面転位BPDは、積層欠陥SF(Stacking Fault)を発生させる起点となり得る。積層欠陥SFは、基底面転位BPDから拡張して三角形状に形成される。
本実施形態において、半導体層20のZ方向にみた1cm当たりに含まれる積層欠陥SFのZ方向にみた面積の合計の基準値をScmとする。また、1つの積層欠陥SFのZ方向にみた面積Scmを、S=(1/2)×H/(tanθ(sinθ×tan30°))とする。この場合、本実施形態に係る半導体基板100は、k×S<Sを満たす。本実施形態では、例えばSは0.075cmである。
k×S<Sを満たすことで、この半導体基板100を用いて形成した半導体装置の特性劣化が抑制される。例えば、半導体基板100を用いて形成したダイオードにおいては、順電圧Vfの劣化が抑制される。
ここで、欠陥の発生と欠陥による影響について説明する。
図2は、欠陥の発生を例示する模式的断面図である。
図2に表したように、基板10にオフ角度θを設けた状態で基板10の第1面10a上に半導体層20をエピタキシャル成長させると、基板10内に複数存在する基底面転位BPDの一部は、基板10と半導体層20との界面で貫通刃状転位TED(Threading Edge Dislocation)へ転換される。また、基板10内の基底面転位BPDの他の一部は、半導体層20内に引き継がれる。例えば、基板10内にn個(nは自然数)の基底面転位BPDが存在する場合、n個のうちm個(n>m:mは自然数)が貫通刃状転位TEDに転換され、(n−m)個が基底面転位BPDのまま引き継がれる。
図3(a)及び(b)は、積層欠陥の増加について例示する模式的平面図である。
図3(a)には積層欠陥SFの少ないデバイスD1が例示され、図3(b)には積層欠陥SFの多いデバイスD2が例示される。ここで、デバイスD1及びD2は、PiNダイオードである。
図4は、積層欠陥の数による電流電圧特性の変化を例示する図である。
図4の横軸は順方向印加電圧Vf、縦軸は電流である。図4には、図3(a)に表したデバイスD1及び図3(b)に表したデバイスD2の特性が示されている。
図3(a)及び(b)に表したように、積層欠陥SFは基底面転位BPDより拡張する。1つの積層欠陥SFは、1つの基底面転位BPDから拡張すると考えられる。図4に表したように、図3(a)に表した積層欠陥SFの少ないデバイスD1の電流電圧特性は、図3(b)に表した積層欠陥SFの多いデバイスD2の電流電圧特性とは相違する。すなわち、デバイスD1では、同じ順電圧VfにおいてデバイスD2よりも多くの電流が流れる。積層欠陥SFはデバイスD1及びD2において高抵抗領域として作用する。したがって、積層欠陥SFの少ないデバイスD1の方が、積層欠陥SFの多いデバイスD2よりもオン電圧が低くなる。
積層欠陥SFの面積は、半導体層20内における電子と正孔との再結合エネルギーなどによって増加する場合がある。すなわち、デバイスD1及びD2において、経時的に積層欠陥SFの面積が増加することで、特性の変動が発生する可能性がある。
図5は、積層欠陥の数による特性変動の一例を示す図である。
図5の横軸はPiNダイオードの活性領域内の積層欠陥SFの数、縦軸は順電圧Vfの変動ΔVfである。ここでは、正常な耐圧を有するPiNダイオードに一定時間の通電を行った場合の順電圧Vfの変動ΔVfを表している。なお、PiNダイオードの活性領域内の基底面転位BPDの数は、発光解析(EL:Electro Luminescence)やPL分析(PL:Photo Luminscence)によって表示される画像の積層結果SFの個数から測定される。図5では、複数個の測定点から想定される関係を直線で表している。
図5に表したように、積層欠陥SFの数とΔVfとの間には、ある程度の正の関係が読み取れる。ここで、複数の積層欠陥SFがZ方向に重なる場合と、重ならない場合とでは、順電圧Vfに相違が生じる。順電圧Vfに大きな影響を及ぼすのは、積層欠陥SFのZ方向にみた面積であると考えられる。
図6(a)及び(b)は、積層欠陥の面積について説明する模式図である。
図6(a)には、ELによって表示される積層欠陥SFの例が表され、図6(b)には、積層欠陥SFのZ方向にみた形状が表されている。図6(a)に表したように、ELによって表示されたデバイスの画像には、積層欠陥SFの一部の像が現れる。ELの画像には、積層欠陥SFの半導体層20の表面近傍の一部の像が現れる。この像から、積層欠陥SFの形状が想定される。
図6(b)には、図6(a)に表した積層欠陥SFの一部の像から想定された積層欠陥SFの形状の拡大図が表されている。積層欠陥SFは、(0001)面に沿って直角三角形状に形成される。(0001)面に直交する<0001>方向からみた積層欠陥SFの直角三角形状の一つの鋭角は約30°、他の一つの鋭角は約60°である。Z方向は、<0001>方向に対してオフ角度θが設けられているため、Z方向からみた積層欠陥SFの形状は、積層欠陥SFの直角三角形状をZ方向と直交する面に投影した形になる(図6(b)参照)。
本願発明者らは、積層欠陥SFの数と特性(Vf)の変動ΔVfとの関係に基づき、半導体基板100においてk×S<Sを満たすことでデバイスの特性変動(経時劣化)が抑制されることを見出した。
次に、半導体基板100におけるk×S<Sの条件について説明する。
半導体基板100では、半導体基板100を用いて形成したデバイスの特性の変動(例えば、順電圧Vfの変動ΔVf)が予め定めた一定の範囲内に収まる基底面転位BPDの個数kmaxを規定している。ここで、変動ΔVfの許容値をVtolとする。
許容値Vtolを設定すると、例えば図5に表したような積層欠陥SFの個数と変動ΔVfとの関係から、ΔVf=0(変動なし)を中心として±Vtolの範囲内に収まる積層欠陥SFの個数が求められる。
このような積層欠陥SFの個数と変動ΔVfとの関係について、本願発明者らが行った実験の一例に基づき、Vtolを例えば0.1Vにした場合、デバイス(PiNダイオード)の活性領域内の積層欠陥SFの個数は約5個になる。なお、図5に表したように、積層欠陥SFの個数と変動ΔVfとの関係を示すプロットが散在している場合には、各プロットによる最小二乗法等によって求めた関係を利用してもよい。
基底面転位BPDの個数は、積層欠陥SFの個数と一致すると考えられる。したがって、デバイスの活性領域内の基底面転位BPDの個数は、積層欠陥SFの数と同じ約5個になる。実験で用いたデバイスの活性領域の面積は、約0.16cmである。したがって、1cm当たりの基底面転位BPDの個数kmaxは約30個になる。
次に、Z方向にみた1cm当たりに含まれる積層欠陥SFのZ方向にみた面積の合計の基準値Sについて説明する。
基準値Sは、変動ΔVfの許容範囲に収まる基底面転位BPDの個数kmaxと、1つ当たりの積層欠陥SFのZ方向にみた面積Sとの積である。
図7(a)〜(c)は、積層欠陥の面積について説明する模式図である。
図7(a)には、Z方向に直交する方向にみた模式的断面図が表される。図7(b)には、Z方向にみた模式的平面図が表される。図7(c)には、積層欠陥SFの面(0001)面に垂直な<0001>方向からみた模式的平面図が表される。
ここで、1つ当たりの積層欠陥SFのZ方向にみた面積Sは、図7(b)のハッチングで表した部分の面積である。
図7(a)に表したように、基板10の第1面10a上に設けられた半導体層20はZ方向にHcmの厚さを有する。また、半導体層20には、長さXcmの基底面転位BPDであった部分が存在する。また、基板10のオフ角度はθである。
図7(c)に表したように、積層欠陥SFの<0001>方向からみた形状は、30°及び60°の鋭角と、直角と、を有する直角三角形状になる。
ここで、図7(b)に表したように、積層欠陥SFのZ方向にみた三角形状のうち、基底面転位BPDに相当する辺の長さをx、半導体層20に沿って延びる辺の長さをyとする。長さx,yは、次のように定義される。
x=X/tan30°=H/(sinθ・tan30°)
y=Xcosθ=Hcosθ/sinθ=H/tanθ
上記のように、基板10のオフ角度θ及び半導体層20の厚さHが与えられた際の1つの積層欠陥SFのZ方向にみた面積Sは、次のように定義される。
S=(1/2)×H/(tanθ(sinθ・tan30°))
上記の面積Sの定義から、面積Sは、半導体層20の厚さHと、基板10のオフ角度θとが定まると求められる。一例として、半導体層20の厚さHが38μm(0.0038cm)、基板10のオフ角度θが4°の場合、面積Sは約0.0025cmになる。したがって、1cm当たり30個の積層欠陥SFの合計の面積Sは0.075cmになる。
このように、本実施形態の半導体基板100においては、Z方向にみて1cm当たりの積層欠陥SFのZ方向にみた面積の合計が、0.075cmを超えなければ、この半導体基板100を用いて形成したデバイスの特性Vfの変動が0.1Vに収まることになる。つまり、半導体基板100のZ方向にみて1cm当たりの基底面転位BPDの個数kが、k×S<Sを満たすことで、デバイスの特性変動が効果的に抑制される。
図8は、順電圧の経時変化について例示する図である。
図8には、デバイスD10及びD20についての順電圧Vfの経時変化が表されている。図8の横軸は時間、縦軸は順電圧Vfである。デバイスD10は、本実施形態に係る半導体基板100を用いて作製されたデバイスである。デバイスD20は、k×S<Sを満たさない半導体基板を用いて作製されたデバイスである。ここで、Sは0.075cmである。
図8に表したように、本実施形態に係る半導体基板100を用いたデバイスD10では、デバイスD20に比べて順電圧Vfの経時変化が抑制されていることが分かる。
ここで、変動ΔVfの許容値Vtol及び基準値Sの例を示す。
tol=0.15Vの場合、基準値S=0.12cmである。
tol=0.2の場合、基準値S=0.13cmである。
tol=0.25Vの場合、基準値S=0.15cmである。
tol=0.3Vの場合、基準値S=0.16cmである。
tol=0.35Vの場合、基準値S=0.17cmである。
本実施形態の半導体基板100は、Z方向にみた直径が4インチよりも大きい場合に有効である。さらに、半導体基板100は、Z方向にみた直径が6インチ以上であり、オフ角度θが2°以下の場合、特に有効である。半導体基板100の直径が6インチ以上あると、この半導体基板100を用いてチップサイズの大きなデバイスが形成される。例えば、半導体基板100の直径が6インチの場合、1辺5mm以上6mm以下程度のチップサイズを有するデバイス(デバイスがダイオードである場合、ダイオードの順方向電流の許容値として50アンペア(A)以上のデバイス)が形成される。このようなチップサイズにおいて、基板10のオフ角度θが2°以下になると、半導体基板100の直径が6インチよりも小さい場合に比べて積層欠陥SFの面積が大きくなりやすい。そこで、半導体基板100の直径が6インチ以上、オフ角度θが2°以下の場合において、上記の関係(k×S<S)を満たす半導体基板100を用いることで、大きなチップサイズのデバイスであっても特性の変動が十分に抑制される。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る半導体装置を説明する。
図9は、第2の実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図9に表したように、第2の実施形態に係る半導体装置110は、第1の実施形態に係る半導体基板100を用いた装置である。半導体装置110は、SiCを用いた例えばPiNダイオードである。
半導体装置110に用いられる半導体基板100は、基板10と、半導体層20と、を備える。半導体基板100は、上記のように、k×S<Sを満たす。
半導体層20は、基板10の上に設けられたn形半導体領域21と、n形半導体領域21の上に設けられ、n形半導体領域21と接するp形半導体領域22と、を含む。
基板10は、n形の半導体領域である。基板10は、例えばn形のSiCを含む。本実施形態では、基板10には六方晶のSiC(例えば、4H−SiC)が含まれる。基板10は、例えば昇華法によって作製されたSiCのバルク基板である。
基板10は第1面10aを有する。基板10の第1面10aは、SiCを含むウェーハの表面である。第1面10aは、基板10と半導体層20との境界面でもある。本実施形態では、基板10の第1面10aは、六方晶のSiC面である(0001)面に対して0°よりも大きく8°以下で傾斜している。例えば、基板10は、2°オフ基板、4°オフ基板及び8°オフ基板などのオフ基板である。ここで、SiCの基板10の表面は、Si面でも、C面でもよい。オフ基板である基板10の内部には、その基底面内に存在する基底面転位が存在する。
基板10には、n形の不純物がドーピングされる。基板10の不純物濃度は、例えば1×1018cm−3以上1×1020cm−3以下である。本実施形態では、約5×1018cm−3である。
n形半導体領域21は、n形のSiCを含む半導体領域である。n形半導体領域21は、基板10の第1面10a上にエピタキシャル成長によって形成され、基板と同等の結晶構造を有する。
n形半導体領域21の厚さは、半導体装置110の耐圧特性およびその他の特性の設計により決定され、例えば200マイクロメートル(μm)程度以下である。n形半導体領域21にはn形の不純物がドーピングされる。n形半導体領域21の不純物濃度は、基板10の不純物濃度よりも低い。n形半導体領域21の不純物濃度は、例えば8×1014cm−3以上1×1017cm−3以下である。
p形半導体領域22は、p形のSiCによる半導体領域である。p形半導体領域22は、n形半導体領域21の上にエピタキシャル成長によって形成される。p形半導体領域22の厚さは、例えば数μm程度である。p形半導体領域22にはp形の不純物がドーピングされる。p形半導体領域22の不純物濃度は、例えば1×1016cm−3以上5×1019cm−3以下である。
p形半導体領域22は、例えばn形半導体領域21の上の一部に設けられる。すなわち、p形半導体領域22は、メサ形に形成されている。
メサ形に形成されたp形半導体領域22の周りのn形半導体領域21の上には、終端構造領域51が設けられる。終端構造領域51は、例えばp形半導体領域22の周りを連続して囲むように設けられる。また、終端構造領域51の周りのn形半導体領域21の上には、終端構造領域51とは離間してチャネルストッパ層53が設けられる。チャネルストッパ層53は、例えば終端構造領域51の周りを囲むように設けられる。
終端構造領域51は、例えばp-形の半導体領域である。終端構造領域51は、例えばJTE(Junction Termination Extension)である。終端構造領域51は、JTE以外でも、リサーフ層、FLR(Field Limiting Ring)及びFP(field plate)であってもよい。終端構造領域51は、逆バイアス時の終端における電界集中を緩和して耐圧の向上を図る。
基板10の第1面10aとは反対側の第2面10bには、第1電極であるカソード電極70が設けられる。カソード電極70は、基板10と導通する。カソード電極70は、基板10とオーミック接続している。また、p形半導体領域22の上には、第2電極であるアノード電極80が設けられる。アノード電極80は、p形半導体領域22と導通する。アノード電極80は、p形半導体領域22とオーミック接続している。
このような半導体装置110において、基板10は、PiNダイオードのN(n形半導体領域)である。n形半導体領域21は、PiNダイオードのi(真性半導体領域)である。p形半導体領域22は、PiNダイオードのP(p形半導体領域)である。
次に、半導体装置110の動作について説明する。
先ず、半導体装置110のカソード電極70に対してアノード電極80が正になるよう(順方向)電圧を印加した場合の動作を説明する。順方向電圧を印加した場合、p形のp形半導体領域22と、n形のn形半導体領域21と、の界面に存在するpn接合面を介してビルトインポテンシャルを超えた電子及びホールが流れる。これにより、半導体装置110に電流が流れる(順方向動作)。
次に、半導体装置110のカソード電極70に対してアノード電極80が負になるよう(逆方向)電圧を印加した場合の動作を説明する。逆方向電圧を印加した場合、pn接合面の主にi層側に空乏層が広がり、半導体装置110に電流はほとんど流れない(逆方向動作)。
半導体装置110は、第1の実施形態に係る半導体基板100を用いて形成されている。このため、半導体装置110では、積層欠陥SFに起因する特性の変動が抑制される。例えば、積層欠陥SFが発生した場合に起こるオン電圧の上昇及び耐圧の低下が抑制される。したがって、半導体装置110では、初期のオン電圧及び耐圧が長期間維持される。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る半導体装置を説明する。
図10は、第3の実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図10に表したように、第3の実施形態に係る半導体装置120は、第1の実施形態に係る半導体基板100を用いた装置である。半導体装置120は、SiCを用いた例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。
半導体装置120に用いられる半導体基板100は、基板10と、半導体層20と、を備える。半導体基板100は、上記のように、k×S<Sを満たす。
半導体装置120は、基板10と、n形半導体領域21と、p形半導体領域22と、エミッタ領域36と、ゲート絶縁膜60と、ゲート電極Gと、第1電極であるコレクタ電極72と、第2電極であるエミッタ電極82と、を備える。
半導体装置120では、基板10の導電形がp形である。半導体装置120では、基板10は、例えばp形のSiCのバルク基板である。半導体装置120において、n形半導体領域21は、n形のSiCを含む半導体領域である。n形半導体領域21は、IGBTのドリフト層になる。
半導体装置120において、p形半導体領域22は、p形のSiCを含む半導体領域である。p形半導体領域22は、n形半導体領域21の一部の上に形成され、所定の結晶構造を有する。p形半導体領域22は、IGBTのベース領域になる。半導体装置120では、複数のp形半導体領域22が設けられる。複数のp形半導体領域22は、n形半導体領域21の上で互いに離間して配置される。
エミッタ領域36は、n形のSiCを含む半導体領域である。半導体装置120では、複数のエミッタ領域36が設けられる。複数のエミッタ領域36のそれぞれは、複数のp形半導体領域22のそれぞれに設けられる。
ゲート絶縁膜60は、少なくともp形半導体領域22の表面22a上に設けられる。ゲート絶縁膜60の上にはゲート電極Gが設けられる。ゲート電極Gは、隣り合う2つのp形半導体領域22の上にゲート絶縁膜60を介して設けられる。ゲート電極Gとエミッタ電極82との間には絶縁膜61が設けられる。
エミッタ電極82は、エミッタ領域36と接する。エミッタ電極82は、エミッタ領域36とオーミック接続する。本実施形態では、エミッタ電極82は、p形半導体領域22にも接する。これにより、エミッタ電極82は、IGBTのエミッタ領域36及びp形半導体領域22の共通電極として機能する。
コレクタ電極72は、基板10の第2面10bに接する。コレクタ電極72は、基板10とオーミック接続している。
次に、半導体装置120の動作について説明する。
コレクタ電極72に、エミッタ電極82に対して正の電圧が印加された状態で、ゲート電極Gに閾値以上の電圧が印加されると、ベース領域であるp形半導体領域22におけるゲート絶縁膜60との界面付近に反転層(チャネル)が形成される。これにより、電子がエミッタ領域36からチャネルを介してp形半導体領域22(ベース領域)に注入され、オン状態になる。このときさらに、コレクタ電極72から正孔がn形半導体領域21(ドリフト領域)に注入される。ドリフト領域に注入された正孔は、ベース領域を通ってエミッタ電極82へ流れる。半導体装置120においては、オン状態のとき、正孔がコレクタ電極72からドリフト領域に注入され、伝導度変調が生じてドリフト領域の抵抗が低減する。
一方、ゲート電極Gに印加される電圧が閾値よりも小さいと、チャネルが消失する。これにより、半導体装置120はオフ状態になって、コレクタ電極72からエミッタ電極82へ流れる電流が遮断される。
半導体装置120は、第1の実施形態に係る半導体基板100を用いて形成されている。このため、半導体装置120では、積層欠陥SFに起因する特性の変動が抑制される。例えば、積層欠陥SFが発生した場合に起こるオン電圧の上昇及び耐圧の低下が抑制される。したがって、半導体装置120では、初期のオン電圧及び及び耐圧が長期間維持される。
以上説明したように、実施形態に係る半導体基板及び半導体装置によれば、基底面転位に起因した特性の劣化を抑制することができる。
以上、具体例を参照しつつ実施形態について説明した。しかし、実施形態はこれらの具体例に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では、半導体装置の例としてPiNダイオード及びIGBTを説明したが、PNダイオード、バイポーラ型接合トランジスタ、サイリスタ、ゲートターンオフサイリスタなど、pn接合領域を有する各種の半導体装置に適用可能である。
また、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、実施形態の特徴を備えている限り、実施形態の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて複合させることができ、これらを組み合わせたものも実施形態の特徴を含む限り実施形態の範囲に包含される。その他、実施形態の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても実施形態の範囲に属するものと了解される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…基板、10a…第1面、10b…第2面、20…半導体層、21…n形半導体領域、22…p形半導体領域、70…カソード電極、72…コレクタ電極、80…アノード電極、82…エミッタ電極、θ…オフ角度、100…半導体基板、110,120…半導体装置、BPD…基底面転位、SF…積層欠陥、Vtol…許容値

Claims (7)

  1. 第1面を有し炭化珪素を含む基板と、
    前記第1面の上に設けられ、前記第1面に対して垂直な方向にHセンチメートルの厚さを有し、前記基板の(0001)面に対してオフ角度θを設けて結晶成長された炭化珪素を含む半導体層と、
    を備え、
    前記半導体層は、前記垂直方向にみて1平方センチメートル当たりにk個の基底面転位を含み、
    S=(1/2)×H/(tanθ(sinθ×tan30°))平方センチメートル、とした場合、
    k×S<0.075平方センチメートルを満たす半導体基板。
  2. 前記半導体層は、n形半導体領域と、前記n形半導体領域と接するp形半導体領域とを含む請求項1記載の半導体装置。
  3. 前記基板の前記方向に見た直径は、4インチよりも大きい請求項1または2に記載の半導体基板。
  4. 前記オフ角度θは、2度以下である請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体基板。
  5. 第1面を有し炭化珪素を含む基板と、
    前記基板の前記第1面の上に設けられ、前記第1面に対して垂直な方向にHセンチメートルの厚さを有し、前記基板の(0001)面に対するオフ角度θを設けて結晶成長された炭化珪素を含む半導体層と、
    を備え、
    前記半導体層は、n形半導体領域と、前記n形半導体領域と接するp形半導体領域とを含み、
    前記半導体層は、前記方向にみた1平方センチメートル当たりk個の基底面転位を含み、
    S=(1/2)×H/(tanθ(sinθ×tan30°))平方センチメートル、とした場合、
    k×S<0.075平方センチメートルを満たす半導体装置。
  6. 前記半導体層は、ダイオードを含み、
    前記ダイオードの順電圧の経時変化量は、0.1ボルト以内である請求項5記載の半導体装置。
  7. 前記ダイオードの順方向電流の許容値は、50アンペア以上である請求項6記載の半導体装置。
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