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JP2014174028A - 油品質・健全性判定装置および油品質・健全性判定方法 - Google Patents

油品質・健全性判定装置および油品質・健全性判定方法 Download PDF

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JP2014174028A JP2013047692A JP2013047692A JP2014174028A JP 2014174028 A JP2014174028 A JP 2014174028A JP 2013047692 A JP2013047692 A JP 2013047692A JP 2013047692 A JP2013047692 A JP 2013047692A JP 2014174028 A JP2014174028 A JP 2014174028A
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Abstract

【課題】簡易な構成で、燃料油の品質や、潤滑油の健全性を簡便かつ低コストに判定する。
【解決手段】油品質・健全性判定装置100は、油の酸化反応における発熱量である酸化発熱量と、酸化反応によって油が酸化された結果生じる残渣炭素の灰化反応における発熱量である灰化発熱量とを測定する発熱量測定部110と、酸化発熱量および灰化発熱量に基づいて、油の品質、または、油の健全性を判定する判定部120とを備える。また、発熱量測定部110は、被測定物としての油と、基準となる物質である基準物質とを、予め定められた昇温速度で並行して加熱する加熱部と、加熱部によって加熱されている間における、油と基準物質との温度差の経時変化を測定する示差熱測定部とを含んで構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料油や潤滑油等の油の品質や、油の健全性を判定する油品質・健全性判定装置および油品質・健全性判定方法に関する。
船舶のエンジン用の燃料として、船舶用の重油(C重油)が広く利用されているが、近年、船舶用の重油の低品質化が問題となっている。重油の品質が低い場合、燃焼性が低下し(難燃化し)、火炎が広がる現象(ロングフレーム)が生じることがある。この場合、エンジンを構成するピストンとシリンダとの間に配される潤滑油が火炎で燃焼して、ピストンとシリンダとがスカッフィングを起こし、エンジンが停止してしまうおそれがある。
また、火炎によって潤滑油が燃焼せずとも、潤滑油が想定温度以上に加熱されると、潤滑油が劣化し、潤滑油の酸化物や炭化物(以下、単に「劣化物」と称する)が生じることがある。この場合、生成された劣化物がピストンとシリンダとの間に堆積し、かかる堆積物(コーキングデポジット)によってもスカッフィングが生じ、エンジンが停止してしまうおそれがある。
そこで、燃料油の品質を判定する装置として、燃料油着火燃焼分析装置(FCA:Fuel Combustion Analyzer)が広く利用されている。また、燃料油の密度を算出し、算出した密度が、予め定められた範囲に含まれているか否かで燃料油の品質を判定する技術も開示されている(例えば、特許文献1)。
特開2009−184475号公報
船舶によっては、様々な国と地域に寄港し、寄港地で燃料油を給油することがある。この際、寄港地によって燃料油の品質が異なる場合があるため、船上で燃料油の品質を判定したいという要望がある。しかし、上述した燃料油着火燃焼分析装置は、装置自体のコストが高いため、各船舶に搭載するのは現実的ではない。
そこで、本発明は、このような課題に鑑み、簡易な構成で、燃料油の品質や、潤滑油の健全性を簡便かつ低コストに判定することが可能な油品質・健全性判定装置および油品質・健全性判定方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の油品質・健全性判定装置は、油の酸化反応における発熱量である酸化発熱量と、酸化反応によって油が酸化された結果生じる残渣炭素の灰化反応における発熱量である灰化発熱量とを測定する発熱量測定部と、酸化発熱量および灰化発熱量に基づいて、油の品質、または、油の健全性を判定する判定部と、を備えたことを特徴とする。
また、発熱量測定部は、被測定物としての油と、基準となる物質である基準物質とを、予め定められた昇温速度で並行して加熱する加熱部と、加熱部によって加熱されている間における、油と基準物質との温度差の経時変化を測定する示差熱測定部と、を備え、示差熱測定部が測定した油と基準物質との温度差に基づいて、酸化発熱量および灰化発熱量を測定するとしてもよい。
また、油は、燃料油であり、判定部は、灰化発熱量を酸化発熱量で除した値が予め定められた閾値以上である場合、燃料油を粗悪燃料油と判定するとしてもよい。
また、油は、潤滑油であり、判定部は、灰化発熱量を酸化発熱量で除した値が予め定められた閾値以上である場合、潤滑油の健全性が低下していると判定するとしてもよい。
上記課題を解決するために、本発明の油品質・健全性判定方法は、油の品質を判定する油品質・健全性判定方法であって、油の酸化反応における発熱量である酸化発熱量と、酸化反応によって油が酸化された結果生じる残渣炭素の灰化反応における発熱量である灰化発熱量とを測定する工程と、酸化発熱量および灰化発熱量に基づいて、油の品質、または、油の健全性を判定する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明では、簡易な構成で、燃料油の品質や、潤滑油の健全性を簡便かつ低コストに判定することが可能となる。
第1の実施形態にかかる油品質・健全性判定装置を説明するための図である。 発熱量測定部の具体的な構成の一例を説明するための図である。 発熱量測定部によって得られるデータを説明するための図である。 発熱量測定部を用いた燃料油の測定結果を説明するための図である。 閾値の設定例を説明するための図である。 舶用ディーゼルエンジンのシリンダ油について検証した結果を説明するための図である。 第1の実施形態にかかる油品質・健全性判定方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 実施例1にかかる燃料油の測定結果を説明するための図である。 実施例2にかかる潤滑油の測定結果を説明するための図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第1の実施形態:油品質・健全性判定装置100)
近年、船舶のエンジン用の燃料として利用される、船舶用の重油の低品質化が問題となっている。重油の品質が低い場合、ロングフレームが生じて、ピストンとシリンダとの間に配される潤滑油が火炎で燃焼し、潤滑不良によるスカッフィングを起こすおそれがある。また、火炎によって潤滑油が燃焼せずとも、潤滑油による堆積物(劣化物)が生じ、ピストンとシリンダとの間の摺動部位に潤滑油が拡がり難くなり、潤滑不良によるスカッフィングを起こすおそれもある。
そこで、スカッフィングの要因となる燃料油の品質と、潤滑油の健全性とを双方とも判定可能な装置の開発が希求されている。本実施形態では、燃料油の品質および潤滑油の健全性のいずれか一方または双方を判定できる油品質・健全性判定装置100について説明する。
図1は、第1の実施形態にかかる油品質・健全性判定装置100を説明するための図である。図1に示すように、油品質・健全性判定装置100は、発熱量測定部110と、判定部120と、報知部130とを含んで構成される。図1中、信号の流れを実線の矢印で示す。
発熱量測定部110は、油の酸化反応における発熱量である酸化発熱量と、酸化反応によって油が酸化された結果生じる残渣炭素の灰化反応における発熱量である灰化発熱量とを測定する。ここで、酸化反応は、油が酸化したり、重合したり、炭素に変化したりする反応を指し、灰化反応は、酸化反応によって油が酸化された結果生じる炭素がさらに酸化されて二酸化炭素に変化する反応を指す。
図2は、発熱量測定部110の具体的な構成の一例を説明するための図である。図2に示すように、本実施形態において発熱量測定部110は、例えば、示差熱分析(DTA:Differential Thermal Analysis)装置で構成され、加熱部150と、示差熱測定部160とを含んで構成される。
加熱部150は、例えば、ヒータで構成され、内部に収容されたものを加熱可能な炉構造となっている。加熱部150の内部には、試料皿152と、基準物質Rとが配される。被測定物としての油Sを試料皿152に10mg程度収容するとともに、加熱部150によって、予め定められた昇温速度(例えば、20℃/分)で加熱を開始すると、油Sおよび基準物質Rが予め定められた昇温速度で並行して(同時に)加熱されることとなる。試料皿152は、測定温度(昇温)範囲において、化学変化や相転移を起こさず、熱伝導率の高い金属で構成される。また、基準物質Rは、測定温度(昇温)範囲において、化学変化や相転移を起こさない物質であり、例えば、α−アルミナ等を採用することができる。
示差熱測定部160は、例えば、2組の熱電対162a、162bと、電圧測定部164とで構成され、加熱部150によって加熱されている間における、油Sと、基準物質Rとの温度差の経時変化を測定する。具体的に説明すると、熱電対162aの測温接点を基準物質Rに、熱電対162bの測温接点を油Sが配される試料皿152に接触させるとともに、熱電対162a、162bそれぞれの−(マイナス)極同士を接合する。そして、電圧測定部164が、熱電対162aの+(プラス)極と、熱電対162bの+極との電圧を測定することで、基準物質Rと油Sとの温度差を測定することができる。
また、電圧測定部164は、熱電対162aの+極と−極との電圧を測定することで、基準物質Rの温度を測定することができ、熱電対162bの+極と−極との電圧を測定することで、油Sの温度を測定することができる。
図3は、発熱量測定部110によって得られるデータを説明するための図である。なお、図3(a)中、被測定物の温度を実線で、基準物質Rの温度を破線で、加熱部150の温度を一点鎖線で示し、図3(b)中、基準物質Rと被測定物との温度差を実線で示す。
図3(a)に示すように、加熱部150による昇温(加熱)が開始されると、基準物質Rおよび被測定物の温度は、それぞれの熱容量に依存した、加熱部150との温度差で、加熱部150の温度よりも遅れて上昇を開始する。上述したように、基準物質Rは、測定温度範囲において、化学変化や相転移を起こさない物質であるため、基準物質Rの温度上昇の傾きは、加熱部150の温度上昇の傾きと実質的に等しくなる。
一方、昇温過程における被測定物の温度は、熱的に安定である間は、基準物質Rとの温度差が等しく(またはゼロ)推移するが、何らかの反応が起こると、熱変化が生じるため、基準物質Rとの温度差に変化が生じることとなる。例えば、被測定物が融解した場合、融解過程において、被測定物の温度上昇はゼロとなり、基準物質Rとの温度差が大きくなる。そして、融解が終了すると、基準物質Rとの温度差は、融解前と実質的に等しい温度差に戻る。
このようにして、測定した基準物質Rと被測定物との温度差を、横軸を経過時間とし、縦軸を温度差(電圧値)とするグラフにプロットすると、図3(b)に示すように、被測定物の発熱反応と、吸熱反応との発生時間(加熱開始からの時間)を把握することができる。
また、上述したように、加熱部150は、予め定められた昇温速度で被測定物および基準物質Rを加熱しているため、経過時間を温度に読み替えることもできる。そうすると、被測定物の発熱反応が遂行される温度範囲、吸熱反応が遂行される温度範囲を把握することもできる。
さらに、基準物質Rと被測定物との温度差(電圧値)は、加熱部150による加熱分との差であるため、温度差を吸熱量や、発熱量に読み替えることも可能である。
このような示差熱分析装置で構成された発熱量測定部110を用いて、油S(燃料油)を測定すると、酸化発熱量と灰化発熱量とを測定することができる。図4は、発熱量測定部110を用いた燃料油の測定結果を説明するための図である。図4に示すように、燃料油を予め定められた昇温速度で昇温すると発熱反応が2回生じる(ピークが2つ出現する)。具体的に説明すると、300℃〜400℃の間と、500℃〜600℃の間において、発熱反応が生じる。ここで、1回目(300℃〜400℃の間)の発熱反応が酸化反応に該当し、2回目(500℃〜600℃の間)の発熱反応が灰化反応に該当する。したがって、発熱量測定部110は、1回目の発熱反応の最大値(電圧値)を酸化発熱量とし、2回目の発熱反応の最大値を灰化発熱量とすることで、酸化発熱量と灰化発熱量とを測定する。
また、示差熱分析装置で構成された発熱量測定部110は、10mg程度といった極少量で被測定物の酸化発熱量と灰化発熱量とを測定することができる。
図1に戻って説明すると、判定部120は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して油品質・健全性判定装置100全体を管理および制御する。本実施形態において、判定部120は、発熱量測定部110が測定した酸化発熱量および灰化発熱量に基づいて、油の品質、または、油の健全性を判定する。以下、判定部120による燃料油の品質の判定、および、潤滑油の健全性の判定について詳述する。
(判定部120による燃料油の品質の判定)
燃料油の品質を判定する際、判定部120は、発熱量測定部110が測定した酸化発熱量および灰化発熱量に基づいて、灰化発熱量を酸化発熱量で除した値(ΔDTA灰化/ΔDTA酸化)を導出する。そして、判定部120は、導出したΔDTA灰化/ΔDTA酸化が、予め定められた閾値TF以上であるか否かで、燃料油が粗悪燃料油であるか否かを判定する。つまり、判定部120は、ΔDTA灰化/ΔDTA酸化が閾値TF以上である場合、粗悪燃料油であると判定する。
本願発明者は、鋭意検討した結果、粗悪燃料油は、良質の燃料油と比較して、相対的にΔDTA灰化/ΔDTA酸化が大きいことを見出した。そこで、閾値TFを、既知の良質の燃料油と、既知の粗悪燃料油とに基づいて、予め設定しておくことで、船上で簡易に粗悪燃料油であるか否かを判定することができる。
図5は、閾値TFの設定例を説明するための図である。一般的に全燃焼期間(95%燃焼)が28msec未満の燃料油は良質な燃料油であり、全燃焼期間が28msec以上30msec未満の燃料油はグレーゾーン(スカッフィングを引き起こさない程度)の燃料油であり、全燃焼期間が30msec以上の燃料油は粗悪燃料油であるといわれている。そこで、発熱量測定部110を用いて、全燃焼期間が28msec未満の燃料油のΔDTA灰化/ΔDTA酸化(図5中、白丸で示す)、全燃焼期間が28msec以上30msec未満の燃料油のΔDTA灰化/ΔDTA酸化(図5中、白三角で示す)、全燃焼期間が30msec以上の燃料油のΔDTA灰化/ΔDTA酸化(図5中、×印で示す)を測定した。
その結果、図5に示すように、全燃焼期間が30msec以上の燃料油のΔDTA灰化/ΔDTA酸化はすべて10以上となった。したがって、閾値TFを10に設定しておけば、判定部120は、閾値TF以上であるか否かで、発熱量測定部110が測定した燃料油が粗悪燃料油であるか否かを判定することができる。
(判定部120による潤滑油の健全性の判定)
潤滑油の健全性を判定する際、判定部120は、発熱量測定部110が測定した酸化発熱量および灰化発熱量に基づいて、ΔDTA灰化/ΔDTA酸化を導出する。そして、判定部120は、導出したΔDTA灰化/ΔDTA酸化が、予め定められた閾値TD以上であるか否かで、潤滑油の健全性を判定する。つまり、判定部120は、ΔDTA灰化/ΔDTA酸化が閾値TD以上である場合、潤滑油の健全性が低下していると判定する。ここで、「潤滑油の健全性が低下している」とは、高温の部位に潤滑油が接触した際に形成されるデポジット(相対的に粘性の高い物質や、固体であって、摺動部材に堆積する物質)の発生リスクが高く、潤滑油が供給されている摺動部材に不具合を起こす可能性が高いことを示す。
本願発明者は、鋭意検討した結果、潤滑油の健全性が低下(高温で形成されるデポジットの発生リスクが増加)するにつれて、ΔDTA灰化/ΔDTA酸化が大きくなることを見出した。そこで、閾値TDを、今後予め定められた時間(例えば、1時間)経過した場合に摺動部材が不具合を起こすと推測される堆積物の量に設定することで、簡易に潤滑油の健全性(つまり、交換時期)を判定することができる。また、適用する潤滑油の油種を変更するべきか否かを判定することができる。
閾値TDの設定例について説明する。まず、舶用ディーゼルエンジンのシリンダ油について検証した。図6は、舶用ディーゼルエンジンのシリンダ油について検証した結果を説明するための図である。実機で使用した際に問題が発生したという報告がない複数種類の潤滑油を315℃の金属表面に断続的に6時間はねかけた後、金属表面の堆積物の量(mg)と、潤滑油自体(堆積物ではない)のΔDTA灰化/ΔDTA酸化とを測定した。なお、ΔDTA灰化/ΔDTA酸化は、発熱量測定部110で測定した。
その結果、図6に示すように、摺動部材が不具合を起こしたとの報告がない潤滑油(シリンダ油)のΔDTA灰化/ΔDTA酸化はすべて0.5未満となった。
続いて、ガスエンジンに供給される潤滑油について検証した。ガスエンジンに供給された潤滑油において、極度のデポジットの発生が認められた潤滑油と、極度のデポジットの発生が認められない潤滑油とのΔDTA灰化/ΔDTA酸化を発熱量測定部110で測定した。
その結果、極度のデポジットの発生が認められた潤滑油のΔDTA灰化/ΔDTA酸化はすべて0.5以上となり、極度のデポジットの発生が認められない潤滑油のΔDTA灰化/ΔDTA酸化はすべて0.5未満となった。
以上の結果から、摺動部材が不具合を起こすと推測される潤滑油のΔDTA灰化/ΔDTA酸化はすべて0.5以上と判断された。したがって、閾値TDを0.5に設定しておけば、判定部120は、発熱量測定部110が測定した潤滑油の健全性が低下(高温で形成されるデポジットの発生リスクが増加)しているか否かを判定することができる。
報知部130は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)等の表示装置やスピーカ等の音声出力装置で構成され、判定部120が判定した結果を作業者に報知する。報知部130を備える構成により、作業者に判定結果を容易に把握させることが可能となる。
(油品質・健全性判定方法)
続いて、上述した油品質・健全性判定装置100を用いた油品質・健全性判定方法について説明する。図7は、第1の実施形態にかかる油品質・健全性判定方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。図7に示すように、まず、燃料油または潤滑油を採取して、発熱量測定部110の試料皿152にセットする(準備工程S210)。そして、発熱量測定部110は、加熱部150による加熱を開始して、燃料油または潤滑油の酸化発熱量と、灰化発熱量とを測定する(測定工程S220)。
続いて、判定部120は、発熱量測定部110が測定した酸化発熱量および灰化発熱量に基づいて、油の品質、または、油の健全性を判定する(判定工程S230)。具体的に説明すると、判定工程S230において、燃料油の品質を判定する場合、判定部120は、ΔDTA灰化/ΔDTA酸化(導出値)を導出し、導出値が閾値TF以上であるか否かを判定する。また、判定工程S230において、潤滑油の健全性を判定する場合、判定部120は、ΔDTA灰化/ΔDTA酸化(導出値)を導出し、導出値が閾値TD以上であるか否かを判定する。
そして、判定部120が導出した導出値が、上記閾値(閾値TF、または、閾値TD)以上である場合(S230におけるYES)、報知部130は、燃料油が粗悪燃料油である、または、潤滑油の健全性が低下(高温で形成されるデポジットの発生リスクが増加)している旨を作業者に報知する(異常報知工程S240)。判定部120が導出した導出値が、上記閾値(閾値TF、または、閾値TD)未満である場合(S230におけるNO)、報知部130は、燃料油が粗悪燃料油でない、または、潤滑油の健全性が低下していない旨を作業者に報知する(正常報知工程S250)。
以上説明したように、本実施形態にかかる油品質・健全性判定装置100およびこれを用いた油品質・健全性判定方法によれば、発熱量測定部110が発熱量を測定するといった簡易な構成で、燃料油の品質、および、潤滑油の・健全性を簡便かつ低コストに判定することが可能となる。
(実施例1)
上記発熱量測定部110を用いて、全燃焼期間が20msec未満の燃料油Aと、全燃焼期間が30msec以上の燃料油Bとを測定した。図8は、実施例1にかかる燃料油Aと燃料油Bの測定結果を説明するための図である。なお、図8中、燃料油Aを破線で示し、燃料油Bを実線で示す。図8に示すように、全燃焼期間が30msec以上の燃料油BのΔDTA灰化/ΔDTA酸化は、全燃焼期間が20msec未満の燃料油AのΔDTA灰化/ΔDTA酸化よりも大きいことが確認できた。したがって、ΔDTA灰化/ΔDTA酸化に基づいて、燃料油が粗悪燃料油であるか否かを判定できることが確認された。
(実施例2)
上記発熱量測定部110を用いて、使用前の潤滑油Cと、摺動部材に不具合が生じたときに採取した潤滑油Dとを測定した。図9は、実施例2にかかる潤滑油Cと潤滑油Dの測定結果を説明するための図である。なお、図9中、潤滑油Cを破線で示し、潤滑油Dを実線で示す。図9に示すように、使用前の潤滑油CのΔDTA灰化/ΔDTA酸化は、摺動部材に不具合が生じたときに採取した潤滑油DのΔDTA灰化/ΔDTA酸化よりも大きいことが確認できた。したがって、DTA灰化/ΔDTA酸化に基づいて、潤滑油の健全性が低下しているか否かを判定できることが確認された。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上述した実施形態において、発熱量測定部110を、示差熱分析装置で構成する場合を例に挙げて説明したが、発熱量測定部110は酸化発熱量および灰化発熱量を測定できれば装置に限定はない。例えば、発熱量測定部110を、被測定物と基準物質との間の熱量の差を計測する示差走査熱量測定(DSC:Differential scanning Calorimetry)装置で構成してもよい。
なお、本明細書の油品質・健全性判定方法の各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的な処理を含んでもよい。
本発明は、燃料油や潤滑油等の油の品質や、油の健全性を判定する油品質・健全性判定装置および油品質・健全性判定方法に利用することができる。
100 …油品質・健全性判定装置
110 …発熱量測定部
120 …判定部
150 …加熱部
160 …示差熱測定部

Claims (5)

  1. 油の酸化反応における発熱量である酸化発熱量と、該酸化反応によって該油が酸化された結果生じる残渣炭素の灰化反応における発熱量である灰化発熱量とを測定する発熱量測定部と、
    前記酸化発熱量および前記灰化発熱量に基づいて、前記油の品質、または、該油の健全性を判定する判定部と、
    を備えたことを特徴とする油品質・健全性判定装置。
  2. 前記発熱量測定部は、
    被測定物としての前記油と、基準となる物質である基準物質とを、予め定められた昇温速度で並行して加熱する加熱部と、
    前記加熱部によって加熱されている間における、前記油と前記基準物質との温度差の経時変化を測定する示差熱測定部と、
    を備え、
    前記示差熱測定部が測定した前記油と前記基準物質との温度差に基づいて、前記酸化発熱量および前記灰化発熱量を測定することを特徴とする請求項1に記載の油品質・健全性判定装置。
  3. 前記油は、燃料油であり、
    前記判定部は、前記灰化発熱量を前記酸化発熱量で除した値が予め定められた閾値以上である場合、前記燃料油を粗悪燃料油と判定することを特徴とする請求項1または2に記載の油品質・健全性判定装置。
  4. 前記油は、潤滑油であり、
    前記判定部は、前記灰化発熱量を前記酸化発熱量で除した値が予め定められた閾値以上である場合、前記潤滑油の健全性が低下していると判定することを特徴とする請求項1または2に記載の油品質・健全性判定装置。
  5. 油の品質を判定する油品質・健全性判定方法であって、
    油の酸化反応における発熱量である酸化発熱量と、該酸化反応によって該油が酸化された結果生じる残渣炭素の灰化反応における発熱量である灰化発熱量とを測定する工程と、
    前記酸化発熱量および前記灰化発熱量に基づいて、前記油の品質、または、該油の健全性を判定する工程と、
    を含むことを特徴とする油品質・健全性判定方法。
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