以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットまたは数字を付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
[実施形態の説明]
図1に本実施形態に係る入出金機10を示す。入出金機10は、現金自動預払機や自動券売機等の自動取引装置に設置されて、紙幣の入金処理、出金処理等を行うものである。入出金機10は、紙幣の入金処理だけを行ってもよい。
ここで、入金処理とは、顧客により投入された紙幣を計数等して入出金機の収納部に収納する処理である。また、出金処理とは、収納部に収納されている紙幣を計数等し、顧客に払い出す処理である。
本実施形態の自動取引装置12は、図2に示すように、入出金機10の他に、これに接続された主制御部14、および操作表示部16を含む。主制御部14は、自動取引装置12全体を制御するものであり、中央処理装置(CPU)等の演算および制御手段を含む。また、主制御部14は、制御プログラムを格納するメモリ素子や磁気ディスク等を含み、制御プログラムに基づいて入出金機10を制御する。操作表示部16は、主制御部14に接続されて顧客の操作を誘導する画面等を表示して顧客の操作を受け付けるものである。
本実施形態の入出金機10は、図1および図3に示すように、制御部18と、搬送部20と、接客部22と、鑑別部24と、記憶部26と、一時収納部28と、カセット30と、第1の収納庫31と、第2の収納庫32と、シャッタ38とを含み、これらが図示のように相互接続されている。本実施形態の入出金機10では、基本的には、紙幣40は接客部22の入出金口に投入され、1枚ずつ鑑別部24へ送られて鑑別され、一時収納部28へ送られ、すべての紙幣の鑑別が終わるとカセット30に金種ごとに収納される。しかし、場合によっては、紙幣は、鑑別部24や一時収納部28から接客部22へ戻されたり、第1の収納庫31や第2の収納庫32や第3の収納庫34に収納されたりする。
以下、本実施形態の入出金機10の各部についてより詳細に説明する。
制御部18は、少なくとも入出金機10全体の動作を制御するものである。もちろん、入出金機10は制御部18を含まなくてもよく、主制御部14が入出金機10全体の動作を制御してもよい。
搬送部20は、入出金機の各部へ紙幣を搬送するものであり、図3に示すように、搬送路20a、20b、20c、20dおよび20eと切替ブレード20fとを含む。搬送路20a、20b、20cおよび20dは接客部22から鑑別部24を通って接客部22へ続き、また搬送路20eは鑑別部24からカセット30や第1の収納庫31へ続く。搬送路には分岐点があり、紙幣は分岐点で搬送路から第2の収納庫32や一時収納部28などへ向かうことができる。
ここで、搬送路20aは接客部22の入出金口と鑑別部24とを結び、搬送路20bは鑑別部24と第2の収納庫32への分岐点とを結び、搬送路20cは第2の収納庫32への分岐点と一時収納部28への分岐点とを結び、搬送路20dは一時収納部28への分岐点と入出金口とを結ぶ。
切替ブレード20fは搬送路の分岐点に設けられていて、切替ブレードを制御することにより紙幣の搬送先を切り替えることができる。
また、本実施形態の搬送路20aないし20eは、ベルト対またはローラ対で紙幣の両面から挟んで紙幣を搬送する。本実施形態の搬送路20aないし20eは、モータ等の駆動手段により駆動され、駆動手段を制御することにより紙幣の搬送方向や搬送速度を制御することができる。
接客部22は、顧客の操作により、入出金口から投入された紙幣40を受け入れ、また、顧客へ返却する紙幣、すなわち顧客へ出金する紙幣や顧客が投入した紙幣40のうち異常紙幣と鑑別された紙幣などを顧客に渡す部位である。さらに、接客部22は入出金口内の紙幣を1枚ずつ搬送路20aに供給し、搬送路20dによって接客部22に搬送されてきた紙幣を接客部22に取り込むものである。
鑑別部24は紙幣の鑑別および計数を行うものである。本実施形態の鑑別部は、光学式CCD(Charge Coupled Device)センサを含み、CCDセンサにより紙幣の両面の画像データ等を取得し、その画像データ等と紙幣鑑別用にデータベースに予め登録されている画像データ等とを照合して紙幣の真偽、正損、金種などを鑑別することができる。また、本実施形態の鑑別部24は、鑑別部を通過する紙幣の間隔や走行などの搬送異常を検知する。もちろん、鑑別部24はCCDセンサ以外のセンサ、たとえば磁気センサなどを用いて紙幣の画像データを取得してもよい。以下では、鑑別部24で偽券または搬送異常と判定された紙幣を異常紙幣と称する。
本実施形態の鑑別部24はさらに識別情報読取部を含み、識別情報読取部はCCDセンサなどにより取得された紙幣の画像データから各紙幣を識別するための識別情報を読み取る。本実施形態では、識別情報は紙幣毎に印刷された記番号である。読み取られた記番号44は紙幣識別情報として用いられる。
ここで、記番号は、たとえば紙幣毎に付与されてその紙幣に予め印刷されている英数字等で構成された文字列である。
鑑別部24は、鑑別結果42や計数結果および記番号44を制御部18に渡し、制御部18は、鑑別結果42および記番号44を記憶部26に渡す。
なお、鑑別部24では画像データのみを取得して制御部18でこの画像データを用いて紙幣を鑑別したり記番号を読み取ったりしてもよい。この場合、識別情報読取部は制御部18に含まれてもよい。
記憶部26は、メモリ素子や磁気ディスク等を含み、鑑別部24の鑑別結果42や計数結果などを記憶するものである。なお、この記憶部26は、自動取引装置12全体を制御するための各種制御プログラム(ソフトウェア)を格納してもよい。また、記憶部26は、鑑別部24で鑑別された紙幣の金種、損傷程度、枚数などの情報を、一時収納部28におけるその紙幣の収納順位と共に記憶する。
本実施形態の記憶部26は記番号記憶領域46を含み、記番号記憶領域46は、記番号42を記憶する。記番号42は鑑別部24で取得された順に格納される。
さらに本実施形態の記憶部26は、接客部22が搬送路20aに紙幣を供給する方法に関する設定情報48も記憶される。以下では、この情報48を「供給情報」と称する。供給方法には「連続供給」と「間欠供給」とがある。記憶部26の供給情報48が連続供給を示すものであれば、接客部22は紙幣を連続して搬送路20aに供給する。一方、記憶部26の供給情報48が間欠供給を示すものであれば、接客部22は間欠的に紙幣を搬送路20aに供給する。以下では、連続供給を示す供給情報を単に「連続供給」と称し、間欠供給を示す供給情報を単に「間欠供給」と称する。
ここで、「連続供給」および「間欠供給」についてさらに詳細に説明する。
供給情報48が「連続供給」の場合、接客部22は所定の最短間隔で紙幣を搬送路20aへ供給する。所定の最短間隔とは、本実施形態では鑑別部24で紙幣を鑑別するのにかかる時間や切替ブレード20fを切り替えるのにかかる時間等を考慮し、入金処理を最も短い時間で完了させることができる間隔のことであるが、これに限られない。「連続供給」の場合、接客部22から搬送路20aへ供給された紙幣が鑑別部24で鑑別される前に、その紙幣に後続する1又は複数枚の紙幣が接客部22から搬送路20aに供給される。
供給情報48が「間欠供給」の場合、接客部22から搬送路20aへ供給された紙幣が鑑別部24で鑑別された後、その紙幣に後続する1枚の紙幣が接客部22から搬送路20aに供給される。
したがって、接客部22から供給された紙幣が鑑別部24で鑑別されているとき、「連続供給」では搬送路20aには複数の後続紙幣が存在するが、「間欠供給」では搬送路20aには後続紙幣が存在しない。
一時収納部28は、顧客により接客部22に投入された紙幣を一時的に収納するものである。本実施形態の一時収納部28は、紙幣を巻込テープ等でドラムに巻き付けて収納する。一時収納部28は顧客の操作により入金取引が成立するまで、すなわち入金金額が確認されるまで、一時的に紙幣をドラムに巻き付けて収納する。一方、顧客の操作により入金取引が取り消された場合、一時収納部28に収納された紙幣は接客部22に戻される。
カセット30は、顧客との取引にリサイクル可能な紙幣を収納するものである。カセット30の内部には昇降機構によって上下に動くことができるステージが備えられ、カセット30の集積機構により収納される紙幣はこのステージ上に集積される。また、カセット30には供給機構が設けられ、供給機構によってカセット30内の紙幣を1枚ずつ搬送路20eに送り出すことができる。カセット30は、本実施形態では、それぞれ同一構造のカセット30A、カセット30B、およびカセット30Cを含む。
第1の収納庫31は、接客部22に投入された紙幣のうち、顧客との取引に使用しない金種の紙幣、たとえば二千円札や五千円札を収納する入金庫であり、搬送路で搬送されてきた紙幣を集積することができる。
第2の収納庫32は、出金処理時に鑑別部24において出金には適さないとした紙幣を収納する出金リジェクト庫である。第3の収納庫34は、特定の紙幣を収納する収納庫であり、例えば、入金処理時または出金処理時に鑑別により偽券であると判別した紙幣を収納する偽券庫である。
シャッタ38は、入出金口の上部に配置され、顧客が紙幣を投入する時や紙幣を取り出す時などに入出金口を解放し、紙幣を入出金機10に取り込む際などには入出金口を閉鎖するものである。本実施形態では、シャッタ38はスライド式のシャッタであり、後述する接客部22のピックアップローラが紙幣を搬送する方向に対して直交する方向に往復移動可能に構成されている。
ここで図4および図5を参照して、本実施形態の接客部22をより詳細に説明する。本実施形態の接客部22は、入出金口39と、供給部50と、支持板52と、プールガイド54と、ビルプレス56と、側板58と、集積部60とを含む。
供給部50は、入出金口に存在する複数の紙幣40の一方から順次に紙幣を分離して搬送路20aへ供給し、搬送路20aの入口にある紙幣を入出金口内に戻すものであり、ピックアップローラ62とフィードローラ64と分離ローラ66とを含む。
ピックアップローラ62は支持板52上に立位で支持された紙幣をフィードローラ64と分離ローラ66に向けて送り出し、フィードローラ64と分離ローラ66から送られてきた紙幣を支持板52上に送るものである。
ピックアップローラ62は、ピックアップローラ軸62aを含み、軸62aを中心に正逆回転可能に構成され、入出金口39の側方で支持板52の上方に配置されている。ピックアップローラ62の外周面の一部にはゴム等の摩擦係数の大きい高摩擦部材が取り付けられ、これによりピックアップローラ62は、容易に紙幣を引き出したり引き入れたりすることができる。
フィードローラ64は分離ローラ66と共に、ゲート部67を構成し、ピックアップローラ62から送られてきた紙幣をさらに矢印E方向に搬送路20aへ送り出し、また搬送路20aの入り口にある紙幣をピックアップローラ62へ送るものである。
フィードローラ64はフィードローラ軸64aを含み、軸64aを中心に正逆回転可能に構成されている。フィードローラ64は、支持板52の端部付近であって、供給部50が紙幣を矢印E方向に搬送する際にピックアップローラ62の下流となる位置に配置されている。
フィードローラ64の外周面の一部には、高摩擦材が取り付けられていて、これによりフィードローラ64は紙幣を容易に入出金口39に搬入し、入出金口39から搬出することができる。また、フィードローラ64には、円周方向の全周にわたりリング状の溝部が2本並設されている。
ここで、ピックアップローラ62とフィードローラ64は、ギア列等の動力伝達機構で接続されており、フィードローラ64の回転にともなってピックアップローラ62は同方向かつ同速度で回転する。
分離ローラ66は、フィードローラ64に対向して配置され、その外周面にはフィードローラ64の溝部の間の凸部に噛み合う1本の溝が、円周方向の全周にわたりリング状に設けられている。分離ローラ66は分離ローラ軸を含み、分離ローラ軸を中心に一方向に回転することができる。分離ローラ66は、紙幣を入出金口39へ搬入するときはフィードローラ64と共に回転するが、紙幣を入出金口39から搬出するときは回転しない。
プールガイド54は、入出金口39のピックアップローラ62側に配置され、ピックアップローラ62が紙幣を送り出す方向に直交する方向、すなわち図4および図5の矢印Aおよび矢印B方向に往復移動可能である。プールガイド54には開口が設けられ、このためプールガイド54の動きがピックアップローラ62によって妨げられることはない。
ビルプレス56は、入出金口39のピックアップローラ62側とは反対の側に配置された厚板部材であり、この厚板部材は図4に示すように側方から見ると台形である。ビルプレス56は、プールガイド54と対向して図4および図5の矢印Aおよび矢印B方向に往復移動可能に備えられている。さらにビルプレス56は、回転支点を中心に回動可能に構成されている。また、ビルプレス56のピックアップローラ62側の面には傾斜面56aが設けられ、傾斜面56aは、支持板52に近づくにつれプールガイド54から離れるよう傾斜している。
プールガイド54およびビルプレス56の側面には案内部68が設けられていて、案内部68は、側板58に設けられたガイド部に嵌合され、ガイド部を滑動することができる。本実施形態の案内部68はモータやベルト等を介してプールガイド54およびビルプレス56を移動させる。したがって、本実施形態のプールガイド54およびビルプレス56の移動量および位置は、ステッピングモータの回転制御やモータの回転軸に取り付けたエンコーダ等により管理することができる。
集積部60は、搬送路20dにより接客部22へ搬送されてきた紙幣を入出金口39内に取り込むものであり、集積ローラ70と、プレッシャローラ72と、羽根車74とを含む。集積部60は、入出金口39に紙幣が残されている場合、搬送されてきた紙幣を入出金口39に残されている紙幣の他方に重なるように集積する。
集積ローラ70は、プレッシャローラ72と共に搬送路20dにより搬送された紙幣をプールガイド54方向に搬送するものである。集積ローラ70は、集積ローラ軸を中心に回転可能であり、図4に示すように、支持板52のフィードローラ64とは反対側の端部付近に配置されている。
プレッシャローラ72は、集積ローラ70に対向して配置され、プレッシャローラ軸を中心に回転可能である。
羽根車74は、図4に示すように、集積ローラ70と並んで配置され、集積ローラ70とプレッシャローラ72が紙幣を入出金口内に取り込む際、紙幣の下端部を叩く。これにより、紙幣はプールガイド54に単独で、または他の紙幣と共に沿うことができる。
本実施形態の入出金機10はさらに、手挿入検知センサ76、紙幣セット検知センサ78、通過検知センサ80および受渡検知センサ82を含む。以下ではこれらのセンサについて説明する。
手挿入検知センサ76は、図4に示すように接客部22に設置され、顧客が入出金口39に紙幣を投入するとき、または、出金や返却された紙幣を取り出すときに挿入される顧客の手などを検知するものであり、複数個の光学式センサで構成される。
紙幣セット検知センサ78は、図4に示すように接客部22に設置され、入出金口39内に紙幣が存在するか否かを検知するものである。
通過検知センサ80は、図4に示すように接客部22に設置され、ピックアップローラ62やフィードローラ64が回転することにより搬送路20aに送り出された紙幣がゲート部67を通過するのを監視し、またゲート部67を通過した紙幣の枚数を計数するものである。なお、センサ80が紙幣を検知する場合には、紙幣がフィードローラ64と分離ローラ66との間で挟持されて、紙幣の一部が搬送路20a側に突出しているものと見なす。
受渡検知センサ82は、図3に示すように一時収納部28に設置され、搬送路20cから一時収納部28に取り込まれる紙幣の通過監視を行うものである。
以上の他に、本実施形態の入出金機10は、搬送用モータや搬送部の切替ブレード用のソレノイド等を有するが、本願発明に関係しないために説明を省略する。
また、必要に応じて、搬送路20dの途中あるいはその他の適当な場所に紙幣の向きを変える装置を設け、鑑別部24を通った紙幣が入出金口39に戻されたとき、この紙幣の上下および表裏が逆の状態で入出金口39に収納されるようにしてもよい。これにより、この紙幣が鑑別部24で再び鑑別される際、異なった向きで鑑別されるため、以前の鑑別では取得できなかった情報を取得することができる。
次に、本実施形態の入出金機10における入金処理を、図6Aないし図6Dを参照して説明する。
まず、顧客が操作表示部16を用いて「預入」取引を選択すると、接客部22では、図7に示すように、プールガイド54とビルプレス56とが入出金口39のほぼ中央に移動し、シャッタ38が開かれる。これにより、顧客は紙幣40を入出金口39に投入することができる。以下では、顧客が紙幣を入出金口に投入する際のプールガイド54とビルプレスの位置を「投入位置」と称する。入金処理を開始する際、顧客は通帳またはキャッシュカードを図示しない処理部に挿入してもよい。
また、「預入」取引が選択されると、制御部18は、記憶部26に供給情報48として「連続供給」を記憶させる(ステップS1)。このとき、記番号記憶領域46は初期化される。
入出金口39に投入された紙幣40は、センサ78によって検知される(ステップS1)。紙幣がセンサ78によって検知された後、顧客の手がセンサ76によって検知されなくなると、顧客による紙幣の投入が完了したものと判断されシャッタ38は閉められる(ステップS2)。
シャッタ38が閉められたことが図示しない検知器により検出されると、ビルプレス56は図8に示す矢印B方向に移動する。これにより、紙幣はビルプレス56とプールガイド54とに挟まれて、供給部50が紙幣40を搬送路20aに供給可能な位置まで移動する。以下では、この位置を「供給位置」と称する。ビルプレス56は供給位置の近傍で図示しない回転機構により回転し、ビルプレスの斜面56aは支持板52に対して起立する。これによって紙幣40は、図8に示すように、斜面56aによってピックアップローラ62に押し付けられる(ステップS3)。
紙幣40が供給位置でプールガイド54に押し付けられると、ピックアップローラ62およびフィードローラ64は、図8に示す矢印C方向に回転し、紙幣を1枚ずつ搬送路20aへ送り出し始める。同時に、搬送部20は、搬送路20aから20cを含む搬送部20の各部を起動させる。
ここで、記憶部26には供給情報として「連続供給」が記憶されているため、供給部50は紙幣40を連続供給で搬送路20aに供給する(ステップS4)。なお、入出金口39の1枚目の紙幣は、先行する紙幣が存在しないため、搬送路20aへの供給が可能な状態になると、直ぐに搬送路20aに供給される。
接客部22から搬送路20aに送り出された紙幣は、鑑別部24に達する。
鑑別部24では、紙幣の鑑別や記番号の読取りが行われる(ステップS5)。鑑別部24で得られた鑑別結果42および記番号44は、制御部18へ通知される。記番号44は、鑑別部24で鑑別された順に記憶部26の記憶領域46に記憶される(ステップS6)。
制御部18では、鑑別結果42に基づいて、鑑別部24にある紙幣に異常があるか否かの判定が行われる(ステップS7)。ステップS7において、鑑別結果42が異常紙幣を示すものでないときは(NO)、紙幣は一時収納部28へ送られる(ステップS8)。そして、センサ78を用いて入出金口39内に紙幣が存在するか否か、すなわち紙幣の供給が終了したか否かを判定し(ステップS9)、終了していなければ(NO)ステップS4へ戻り、終了していれば紙幣の計数結果を操作表示部16に表示する(ステップS10)。たとえば、顧客が一万円札を10枚入出金口に投入した場合には、操作表示部16に「10万円を口座入金」と表示して、顧客に計数結果の最終確認を求める。
顧客が計数結果の確認をし(ステップS11)、操作表示部16の確認ボタンを押して計数結果を承認すると(OK)、一時収納部28に格納されたすべての紙幣は搬送路20c、20bおよび20eを経て、該当する金種のカセット30A、30Bまたは30Cのいずれかへ送られ(ステップS12)、入金処理は終了する。
なお、鑑別部24による鑑定で正券や偽券ではなく、損券や還流対象外の金種、すなわち入出金取引での使用に適さない金種(たとえば、二千円札や五千円札)であると判定された紙幣については、第1の収納庫31に格納してもよい。
ステップS11において、顧客が操作表示部の取消ボタンを押して計数結果を承認しない場合(NG)、入金を取り消すための処理を開始する。
まず、プールガイド54とビルプレス56を集積ローラ側へ移動させ、出金紙幣を受け入れることができる状態にする(ステップS13)。
次に、一時収納部28に格納されている紙幣をすべて搬送路22dへ渡し、接客部22へ搬送して入出金口39に集積する(ステップS14)。このときには、センサ78が最初に取り込まれる紙幣を検出する。
すべての紙幣が入出金口内に集積されると、シャッタ38が開けられる。顧客が入出金口39から紙幣を取り出すと、センサ76がこれを検知してシャッタは閉じられる(ステップS15)。
なお、センサ78が紙幣を検知している状態では、一定期間シャッタ38を閉めずに操作表示部16に「紙幣をお取りください。」を表示し続ける。
また、ステップS11において、確認ボタンが押された場合には、入金成立として通帳記載や口座残高情報の更新などをし、媒体(通帳又はキャッシュカード)を返却してもよいが、説明は省略する。
次に、ステップS7において「鑑別異常」が発生した場合(YES)について図6C、図9および図10を参照して説明する。
図9および図10に示す例では、入出金口39に10枚の紙幣M1ないしM10が投入され、紙幣M4およびM8は異常紙幣である。図9において、AからEは入出金機10における紙幣の位置を表し、Aは入出金口39、Bは搬送路20a、Cは鑑別部24、Dは搬送路20bまたは20c、Eは一時収納部28である。図9に示す例では、入金処理はステップT0〜T15の順に進行する。したがって図9はステップT0ないしT15における各紙幣の位置を表している。さらに図9は各部における紙幣の並び順を表し、たとえば図9ステップT0では、入出金口39で紙幣M1ないしM10が供給部に近い側からM1ないしM10の順に並んでいることを表す。また、以下では紙幣M1ないしM10の記番号は、それぞれN1ないしN10であるとする。
図10は、入出金口39から紙幣がM1から順に連続供給で搬送路20aに供給されて、異常紙幣M4が鑑別部24に到達している様子を示す。このとき一時収納部28には正券M1およびM2が、搬送路20cには紙幣M3が、鑑別部24には紙幣M4が、搬送路20aには紙幣M5およびM6が、供給部には供給途中の紙幣M7が、そして入出金口39には紙幣M8ないしM10が存在する(図9のステップT1)。
ステップS7において、鑑別部24の紙幣M4が異常紙幣であることが検知されると(YES)、供給部50は紙幣の供給を停止する(ステップS16)。
制御部18は、センサ80の出力の有無によりゲート部67に供給中の紙幣があるかどうかを判断する(ステップS17)。
ステップS17においてゲート部67に紙幣が無い場合には(NO)、プールガイド54とビルプレス56を集積位置へ移動させる(ステップS18)。「集積位置」とは、図14に示すように、搬送路20dにより接客部22に搬送されてきた紙幣を集積部60が入出金口39内に取り込む際のプールガイド54とビルプレス56の位置である。本実施形態では、プールガイド54はプールガイドの投入位置または投入位置より集積ローラ70に近い位置まで移動する。一方、ビルプレス56は、プレッシャローラと並ぶ位置まで移動する。
一方、図10に示す例ではゲート部67に紙幣M7が存在するので(YES)、フィードローラ64と分離ローラ66を図8に示す矢印D方向に所定回数だけ回転させる。これにより、このゲート部67に存在する紙幣M7は入出金口39内に戻され、入出金口39の紙幣M8、M9およびM10に重ねられる(ステップS19)。さらに、センサ80の情報によって、これらのローラの矢印D方向への回転数を増加させることもできる。
センサ80の検出結果に基づいて、紙幣M7を入出金口39に戻す処理が正常に終了したがどうか判定される(ステップS20)。
ステップS20において紙幣M7が入出金口39に戻されたと判定されると(YES)、プールガイド54とビルプレス56を集積位置へ移動させる(ステップS18)。ステップS18では、プールガイド54とビルプレス56は、図11に示すように、紙幣M7、M8、M9およびM10の4枚の紙幣を挟んだまま集積ローラ70側へ移動し、それぞれの集積位置で停止する。図示しない検知手段がプールガイド54とビルプレス56の移動が完了したか否かを判断する。
ここでステップS18において、プールガイド54とビルプレス56を移動させる前に、供給部50のローラを矢印D方向に回転させてもよい。なぜなら、供給部50において紙幣の供給が連続して行われると、一般的に、入出金口39の供給対象の紙幣と共に、この紙幣に隣接する紙幣がフィードローラと分離ローラの直近まで引きずり込まれてしまうからである。この状態でプールガイド54とビルプレス56を移動させると、引きずり込まれている紙幣がプールガイド54とビルプレス56の移動を妨げる場合がある。
ステップS18において、プールガイド54とビルプレス56を移動させた後、またはプールガイド54とビルプレス56の移動と並行して、搬送路20cにある紙幣M3を一時収納部28に搬送し、鑑別部24にある紙幣M4と搬送路20aにある紙幣M5およびM6とを入出金口39に戻す(ステップS21)。これにより、一時収納部28には紙幣M1ないしM3が格納され、その格納順はM1、M2、M3である(図9のステップT2)。また、このときの入出金口39での紙幣の並び順は供給部50に近い側からM7、M8、M9、M10、M4、M5、M6である(図9のステップT2)。その後、所定の場合に供給部の供給方法を変更する(ステップS24)。
ここで、ステップS24における処理を、図12を参照してより詳細に説明する。
制御部18は、記憶領域46から最新の記番号を取り出し、記憶領域46の先頭から最後尾までを検索し、最新の記番号以外に、この記番号と一致する記番号が存在するか否かを判定する(ステップS31)。たとえば、図9のステップT2では、記憶領域46には、図13に示すように紙幣M1ないしM4の記番号N1ないしN4が鑑別部で取得された順に記憶され、最新の記番号は記憶領域46で4番目に記憶されている記番号N4である。この記番号と同じ記番号が最新の記番号より先に記憶領域46に記憶されているか否かを判定する。
図13に示す例では、最新の記番号N4と同じ記番号は、記憶領域46の1番目から3番目に記憶されている記番号の中に存在しない(NO)。この場合、制御部18は記憶部26に格納されている供給情報を変更させることなく、ステップS24の処理を終了する。
一方、最新の記番号N4と同じ記番号が最新の記番号より先に記憶されている場合には(YES)、制御部18は記憶部26の供給情報を「連続供給」から「間欠供給」に変更する(ステップS32)。
なお、既に記憶領域46の供給情報が「間欠供給」に変更されている場合には、ステップS24の処理は行わなくてよい。
紙幣M4、M5およびM6が入出金口39に戻されると、制御部18は記憶部26に格納されているリトライ回数に1を加算する。ここでリトライ回数とは、供給部50がステップS16のために紙幣の供給を停止した回数を示し、初期値は0である。したがって、図9のステップT3においてリトライ回数は1である。
制御部18はリトライ回数が設定回数を超えているか否かを判定する(ステップS26)。設定回数は任意の値でよいが、本実施形態では5である。
リトライ回数が設定回数を超えていない場合には(NO)、図15に示すようにプールガイド54とビルプレス56を供給位置に移動させ(ステップS3)、供給部50から搬送路20aへの紙幣の供給を再開する。そしてリトライ回数が設定回数を超えるまでステップS3以降の処理を繰り返す。
図9に示す例では、ステップT3の後、入出金口39にある紙幣は紙幣M7から順に連続供給で搬送路20aに供給され、紙幣M8が鑑別部24に到達すると(図9のステップT3)、ステップS7で紙幣M8が異常紙幣であることが検知され(YES)、搬送路20cにある紙幣M7を一時収納部28に搬送し、鑑別部24にある紙幣M8と搬送路20aにある紙幣M9およびM10を入出金口39に戻す(図9のステップT4)。このとき記憶領域46には、図16に示すように、最新の記番号以外に紙幣M8の記番号N8と同じ記番号は記憶されていないので、ステップS31で記憶部26の供給情報は「連続供給」から「間欠供給」変更されることはない(図9のステップT4)。このときリトライ回数は1加算されて2になる。
ステップS26でリトライ回数が設定回数を超えていないと判定され(OK)、ステップS3に戻り、供給部50から紙幣が連続供給で搬送路20aに供給される。これにより、紙幣M4が鑑別部24に達すると(図9のステップT5)、ステップS7で紙幣M4が異常紙幣であることが検知され、鑑別部24にある紙幣M4と搬送路20aにある紙幣M5およびM6を入出金口39に戻す(図9のステップT6)。そして、ステップS24の処理が行われる。このとき記憶領域46には図17に示すように記番号が記憶されている。したがって、ステップS31で最新の記番号以外に紙幣M4の記番号と同じ記番号が既に記憶領域46に記憶されていると判定され(YES)、ステップS32で記憶部26の供給情報は「間欠供給」に変更される。リトライ回数は1加算されて3になる。
その後、ステップS3に戻り、供給部50は紙幣の供給を開始する。このとき、記憶部26の供給情報48は「間欠供給」であるため、入出金口39の紙幣は間欠供給で搬送路20aに供給される。したがって、紙幣M8が鑑別部24で鑑別されているとき、紙幣M9、M10、M4、M5、M6は入出金口39にある(図9のステップT7)。
ステップS7で紙幣M8は異常紙幣であることが検知され、紙幣M8は入出金口39へ戻される(図9のステップT8)。ここで供給情報48が「間欠供給」に変更された後は、ステップS24の処理は行わなくてよい。また、リトライ回数が1加算されて4になる。ステップS4に戻り、紙幣M9が入出金口39から鑑別部24に供給される(図9のステップT9)。
ステップS7で紙幣M9は正券であることが検知されると、紙幣M9はステップS8で一時収納部28へ収納され、ステップS4で紙幣M10が入出金口から鑑別部24に供給される(図9のステップT10)。
ステップS7で紙幣M10は正券であることが検知されると、紙幣M10はステップS8で一時収納部28へ収納され、ステップS4で紙幣M4が入出金口39から鑑別部24に供給される(図9のステップT11)。
ステップS7で紙幣M4は偽券であることが検知されると、ステップS18で紙幣M4は入出金口39へ戻され(図9のステップT12)、リトライ回数は1加算されて5になる。ステップS4に戻り、紙幣M5が入出金口39から鑑別部24に供給される(図9のステップT13)。
ステップS7で紙幣M5は正券であることが検知されると、紙幣M5はステップS8で一時収納部28へ収納され、ステップS4で紙幣M6が入出金口から鑑別部24に供給される(図9のステップT14)。
ステップS7で紙幣M6は正券であることが検知されると、紙幣M6はステップS8で一時収納部28へ収納され、ステップS4で紙幣M8が入出金口39から鑑別部24に供給される(図9のステップT15)。
ステップS7で紙幣M8は偽券であることが検知されると、ステップS21で紙幣M8は入出金口39へ戻され、リトライ回数は1加算されて6になる。
ステップS26においてリトライ回数が設定回数を超えると、入出金機10は所定の処理を行った後、処理結果を操作表示部16に表示する(ステップS23)。
所定の処理とは、本実施形態ではステップS19でゲート部67の紙幣M7が入出金口39に戻らなかった場合の処理と同じ処理であり、この処理については後述する。所定の処理の他の例として、入出金口39の紙幣を鑑別部24へ搬送してより詳細に鑑別してもよい。この場合、鑑別部で詳細に鑑別した結果、正券と判断された紙幣を一時収納部28に収納してよく、その結果入出金口39に紙幣が無くなった場合には、ステップS10へ進んでもよい。
ステップS23において、操作表示部16には、たとえば図18に示すように「投入されました紙幣の中にお預かりできない紙幣があります。」と表示される。これは顧客により投入された紙幣40の中に受け入れ可能な紙幣も存在するからである。紙幣の確認ができた場合、すなわち顧客が確認ボタン90を押した場合、図19に示すようにその旨を表示する。
次に、ステップS20においてステップS19の処理が正常に終了していないと判断された場合(NO)、すなわち、フィードローラ64と分離ローラ66を図8に示す矢印D方向に所定数だけ回転させても、センサ80が紙幣を検知したままのときの処理について説明する。
ステップS20においてステップS19の処理が正常に終了されていないと判断される場合、紙幣M7がゲート部67にジャムしている可能性がある。しかし、紙幣M7がゲート部67でジャムしていないにも関わらず、ステップS20でセンサ80が紙幣を検知し続ける場合がある。たとえば、図20に示すように、紙幣M7が、センサ80により検出することができる位置にあるが、フィードローラ64と分離ローラ66に係合していない場合である。この場合、ステップS19においてフィードローラ64と分離ローラ66を回転させても、紙幣M7を入出金口39に戻すことはできず、センサ80によって検知され続けてしまう。
このような場合を考慮して、本実施形態では、ステップS20の判定(NO)の後、搬送路20c上にある紙幣M3と鑑別部24にある紙幣M4と搬送路20aにある紙幣M5、M6とを一時収納部28に搬送して収納し(ステップS27)、その後、再びセンサ80によりゲート部67に紙幣があるか否かの判定を行う(ステップS28)。これにより、係員が対応しなければならなくなる事態の発生を抑えることができる。
ステップS28においてセンサ80が紙幣を検知した場合には、操作表示部16に図21に示すように、入出金機10が紙幣を取り扱うことができなくなったことを表示する(ステップS23)。以後の操作は入出金機の係員が行う。
係員は、入出金口39内に存在する紙幣M8、M9、M10とゲート部67にある紙幣M7、そして一時収納部28に収納されている紙幣M1ないしM6を取り出し、たとえば顧客に返却する。
ステップS28においてセンサ80が紙幣を検知しなかった場合(YES)には、ゲート部67の紙幣を入出金口39に戻す処理が正常に終了した場合と判定してステップS18へ進んでよい。
本実施形態によれば、入出金口に投入されてから一度も搬送部へ送り出されていない紙幣と、鑑別部で異常紙幣と判定されて入出金口へ戻された紙幣とを区別することができる。また、入出金口に投入されたすべての紙幣が連続供給で鑑別部を通った後、供給部の紙幣供給方法を連続供給から間欠供給に切り替えることができる。これにより、鑑別されない紙幣が発生するのを防ぐことができ、さらに入金処理を短時間で行うことができる。
他の実施形態では、記番号以外に紙幣の特徴を示す情報が用いられてもよい。たとえば、鑑別部で取得した紙幣の画像データから、その紙幣の折れや皺、汚れ、破れ、切れ、または第三者により記入された文字や絵図(落書き)等の特徴、およびその特徴の紙幣上での位置を示す情報(紙幣上の座標および表裏面)を含む情報を、その紙幣の識別情報として抽出し、この情報を用いて図6CにおけるステップS24の処理を行って、供給部における供給方法を連続供給から間欠供給に切り替えてもよい。
この場合、ステップS6では各紙幣の識別情報を記憶領域46に記憶させ、図12のステップS31では、記憶領域46において最新の識別情報と同一の識別情報が最新の識別情報より先に記憶されているか否かを判定し、記憶されていれば間欠供給に切り替える。これにより、鑑別部24で記番号を読み取ることができない場合であっても、入出金口39に投入されてから搬送路20aに供給されていない紙幣と、鑑別部24で異常紙幣と判定されて入出金口39へ戻された紙幣とを区別することができる。
また、同一記番号の複数の偽造紙幣等が入出金口39に投入された場合であっても、入出金口に投入されてから搬送路20aに供給されていない紙幣と鑑別部24で異常指定と判定されて入出金口39へ戻された紙幣とを区別することができる。
なお、図1の実施形態において図6DのステップS24の処理は制御部18で行うこととして説明したが、記憶部を備えた鑑別部24で行ってもよい。
また、本発明の実施形態は入出金機だけでなく、紙幣以外の他の媒体の鑑別を行う装置に適用することができる。
上記した実施形態においては、異常紙幣を検出した場合、検出した異常紙幣の記番号と一致する記番号が鑑別済紙幣の記番号の中に存在する場合には、入出金口に投入された紙幣の搬送路への供給が一巡したと判断している。そのため、入出金口に投入された紙幣の中に同一記番号が付された複数の異常紙幣が含まれていた場合には、入出金口に投入された紙幣の搬送路への供給が一巡したか否かを区別することができない。
そこで、以下では、入出金口に投入された紙幣の中に同一記番号が付された複数の異常紙幣が含まれていた場合であっても、入出金口に投入された紙幣の搬送路への供給が一巡したか否かを区別するための技術(以下、「一巡判定技術」とも言う。)を提案する。なお、コピー偽券は異常紙幣の一例に相当する。まず、接客部にコピー偽券が投入されなかった場合と接客部にコピー偽券が投入された場合との違いを説明する。
図22は、接客部にコピー偽券が投入されなかった場合において、入金処理における紙幣の位置の時系列変化を示す説明図である。また、図23は、図22に示す例において鑑別済紙幣の記番号と動作との関係を示す図である。図22および図23においては、紙幣M3が異常紙幣であるとし、図23においては、鑑別した記番号とその紙幣を鑑別したときになされる動作とが示されている。
この例では、ステップS7において、紙幣M3が異常紙幣であると判断されるため、ステップS31において、制御部18により異常紙幣である紙幣M3の記番号N3と一致する記番号が鑑別済紙幣の記番号の中に存在するか否かが判定される(図22のステップT7)。ここで、制御部18は、図22のステップT1において紙幣M3が既に鑑別されているため、異常紙幣である紙幣M3の記番号N3が鑑別済紙幣の記番号の中に存在し(図23の順番「3」)、異常紙幣である紙幣M3が一巡したと判定する(図23の順番「9」)。
したがって、ステップS32において、間欠供給設定がなされ、以降の動作が間欠供給となる(図23の順番「9」以降)。
図24は、接客部にコピー偽券が投入された場合において、入金処理における紙幣の位置の時系列変化を示す説明図である。また、図25は、図24に示す例において鑑別済紙幣の記番号と動作との関係を示す図である。図24および図25においては、紙幣M3Cがコピー偽券であるとし、図25においては、鑑別した記番号とその紙幣を鑑別したときになされる動作とが示されている。
この例では、ステップS7において、紙幣M3Cが異常紙幣であると判断されるため、ステップS31において、制御部18により異常紙幣である紙幣M3Cの記番号N3Cと一致する記番号が鑑別済紙幣の記番号の中に存在するか否かが判定される(図24のステップT3)。ここで、制御部18は、図24のステップT1において紙幣M3Cが既に鑑別されているため、異常紙幣である紙幣M3Cの記番号N3Cが鑑別済紙幣の記番号の中に存在し(図25の順番「3」)、異常紙幣である紙幣M3Cが一巡したと判定する(図23の順番「5」)。
したがって、ステップS32において、間欠供給設定がなされ、以降の動作が間欠供給となる(図25の順番「5」以降)。
このように、接客部にコピー偽券が投入されなかった場合と接客部にコピー偽券が投入された場合との違いを参照して把握されるように、入出金口にコピー偽券が投入された場合には、入出金口に投入された紙幣の搬送路への供給が一巡していないにも関わらず、入出金口に存在する紙幣が間欠的に搬送路に供給されるように切り替えられてしまう。したがって、入出金口に投入された紙幣のすべてを1枚ずつ分離して搬送路に供給するために多くの時間を要してしまう。
上記の一巡判定技術を適用すれば、入出金口に投入された紙幣のすべてを1枚ずつ分離して搬送路に供給するために要する時間を低減することが可能となる。なお、以下では、一巡判定技術を、入出金口に存在する紙幣が間欠的に搬送路に供給されるように切り替えられる例に適用される場合について主に説明するが、他の例に上記の一巡判定技術が適用されてもよい。
上記の一巡判定技術として、制御部18が異常紙幣の記番号と鑑別部により異常紙幣より前に鑑別された鑑別済紙幣の記番号とが一致するか否かを判定し、異常紙幣の記番号と鑑別済紙幣の記番号とが一致する場合に、異常紙幣に関連する情報に基づいて、異常紙幣が一巡したか否かを判定する技術を適用した紙幣入出金機10を提案する。例えば、集積部60によって入出金口39に一度集積されてから鑑別部24によって再度鑑別された紙幣は一巡した紙幣に相当する。異常紙幣に関連する情報は、異常紙幣自体に関する情報であってもよいし、異常紙幣の後続紙幣に関する情報であってもよいし、異常紙幣を含み入金口に投入された複数の紙幣に関する情報であってもよい。以下、かかる紙幣入出金機10の実施形態として、本発明の第1〜第6の実施形態を順次に説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。上記したように、異常紙幣と判定されなかった紙幣は一時収納部28に集積される。そこで、本発明の第1の実施形態においては、制御部18は、異常紙幣の記番号と鑑別済紙幣の記番号とが一致する場合に、異常紙幣の記番号と一時収納部28に収納された紙幣の記番号とが不一致であるか否かを判定する。そして、制御部18は、異常紙幣の記番号と一時収納部28に収納された紙幣の記番号とが不一致である場合に、異常紙幣が一巡したと判定する。一方、制御部18は、異常紙幣の記番号と一時収納部28に収納された紙幣の記番号とが一致である場合には、異常紙幣がコピー偽券であると判定する。
図26は、本発明の第1の実施形態に係る入出金機10による入金処理における紙幣の位置の時系列変化を示す説明図である。図27は、図26に示す例において鑑別済紙幣の記番号と動作との関係を示す図である。図28は、図26に示す例において一時収納部28における集積紙幣の記番号を示す図である。一時収納部28における集積紙幣の記番号は、例えば、制御部18により記憶部26に随時記憶されていく。
図26〜図28においては、紙幣M3Cがコピー偽券であるとし、図27においては、鑑別した記番号とその紙幣を鑑別したときになされる動作とが示されており、図28においては、一時収納部28における収納させた紙幣とその紙幣の記番号とが示されている。図29は、本発明の第1の実施形態に係る入出金機による供給方法変更処理を示すフローチャートである。
この例では、ステップS7において、紙幣M3Cが異常紙幣であると判断されるため、ステップS41において、制御部18により異常紙幣である紙幣M3Cの記番号N3Cと一致する記番号が鑑別済紙幣の記番号の中に存在するか否かが判定される(図26のステップT3)。ここで、制御部18は、図26のステップT1において紙幣M3Cが既に鑑別されているため(YES)、異常紙幣である紙幣M3Cの記番号N3Cが鑑別済紙幣の記番号の中に存在すると判定する(図27の順番「3」)。
続いて、ステップS42において、制御部18により異常紙幣である紙幣M3Cの記番号N3Cと一致する記番号が一時収納部28における集積紙幣の記番号の中に存在するか否かが判定される(図26のステップT3)。ここで、制御部18は、図26のステップT1において紙幣M3Cが既に一時収納部28に集積されているため(YES)、異常紙幣である紙幣M3Cの記番号N3Cが一時収納部28における集積紙幣の記番号の中に存在すると判定する。そこで、制御部18は、異常紙幣である紙幣M3Cがコピー偽券であると判定する(図27の順番「5」)。さらに、制御部18は一時収納庫28に収納されている紙幣M3Cの集積位置とコピー偽券であることを管理情報として記憶部26に記憶する。図28の順番3が集積位置となる。
したがって、間欠供給設定(ステップS43)はなされず、以降の動作としては連続供給が継続する。
その後、ステップS7において、紙幣M10が異常紙幣であると判断された場合、ステップS41において、制御部18により異常紙幣である紙幣M10の記番号N10と一致する記番号が鑑別済紙幣の記番号の中に存在するか否かが判定される(図26のステップT7)。ここで、制御部18は、紙幣M10が未だ鑑別されていないため(NO)、間欠供給設定(ステップS43)はなされず、以降の動作としては連続供給が継続する。紙幣M10は、異常紙幣であるため、一時収納部28に集積されずに入出金口39に戻される。
続いて、ステップS42において、制御部18により異常紙幣である紙幣M10の記番号N10と一致する記番号が一時収納部28における集積紙幣の記番号の中に存在するか否かが判定される(図26のステップT10)。ここで、制御部18は、紙幣M10が未だ一時収納部28に集積されていないため(NO)、異常紙幣である紙幣M10の記番号N10が一時収納部28における集積紙幣の記番号の中に存在しないと判定する。そこで、制御部18は、異常紙幣である紙幣M10が一巡したと判定する(図26の順番「15」)。
したがって、ステップS43において、間欠供給設定がなされ、以降の動作が間欠供給となる(図27の順番「11」以降)。
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。上記したように、入出金口に投入された投入紙幣は、1枚ずつ分離されて順次に搬送路に供給される。そこで、本発明の第2の実施形態においては、制御部18は、異常紙幣の記番号と鑑別済紙幣の記番号とが一致する場合に、入出金口に投入された投入紙幣の枚数と入出金口に存在する紙幣から分離された分離紙幣の枚数とを比較する。そして、制御部18は、投入紙幣の枚数が分離紙幣の枚数より少ない場合に、異常紙幣が一巡したと判定する。一方、制御部18は、投入紙幣の枚数が分離紙幣の枚数以上の場合に、異常紙幣がコピー偽券であると判定する。
ここで、投入紙幣の枚数の検出手法としては、例えば、特開2005−215882号公報により開示されている手法を用いることが可能であるが、どのような手法が用いられてもよい。分離紙幣の枚数の検出手法としては、入出金口に存在する紙幣から分離紙幣が分離される度に1ずつ加算する手法を採用することができる。
図30は、本発明の第2の実施形態に係る入出金機10による入金処理における紙幣の位置の時系列変化を示す説明図である。図31には、鑑別した記番号とその紙幣を鑑別したときになされる動作との関係が示されている。記憶部26には図31における鑑別済紙幣の情報(金種等の情報)と鑑別済紙幣の記番号、鑑別済紙幣を鑑別した順番が記憶される。図30および図31においては、紙幣M3Cがコピー偽券であるとし、投入紙幣の枚数が「10」であったとする。図32は、本発明の第2の実施形態に係る入出金機による供給方法変更処理を示すフローチャートである。
この例では、ステップS7において、紙幣M3Cが異常紙幣であると判断されるため、ステップS51において、制御部18により異常紙幣である紙幣M3Cの記番号N3Cと一致する記番号が図31の鑑別済紙幣の記番号中に存在するか否かが判定される(図30のステップT3)。ここで、制御部18は、図31の順番3において紙幣M3Cが既に鑑別されているため(YES)、異常紙幣である紙幣M3Cの記番号N3Cが鑑別済紙幣の記番号の中に存在すると判定する。
続いて、ステップS52において、制御部18により投入紙幣の枚数が分離紙幣の枚数より少ないか否かが判定される(図30のステップT3)。ここで、制御部18は、図30のステップT3においては、紙幣M1、M2、M3C、M4、M5,M3C、M7、M8の計8枚が分離されているため、投入紙幣の枚数が分離紙幣の枚数以上であると判定する(NO)。そこで、制御部18は、異常紙幣である紙幣M3Cがコピー偽券であると判定する(図31の順番「4」)。
したがって、間欠供給設定(ステップS53)はなされず、以降の動作としては連続供給が継続する。
続いて、ステップS7において、紙幣M3Cが異常紙幣であると判断されるため、ステップS51において、制御部18により異常紙幣である紙幣M3Cの記番号N3Cと一致する記番号が図31の鑑別済紙幣の記番号中に存在するか否かが判定される(図30のステップT7)。ここで、制御部18は、図31の順番3と4において紙幣M3Cが既に鑑別されているため(YES)、異常紙幣である紙幣M3Cの記番号N3Cが鑑別済紙幣の記番号の中に存在すると判定する。
続いて、ステップS52において、制御部18により投入紙幣の枚数が分離紙幣の枚数より少ないか否かが判定される(図30のステップT9)。ここで、制御部18は、図30のステップT7においては、紙幣M1、M2、M3C、M4、M5、M3C、M7、M8、M9、M10、M3C、M4、M5の計13枚が分離されているため(YES)、投入紙幣の枚数が分離紙幣の枚数より少ないと判定する(YES)。そこで、制御部18は、異常紙幣である紙幣M3Cが一巡したと判定する(図31の順番「7」)。
したがって、ステップS53において、間欠供給設定がなされ、以降の動作が間欠供給となる(図31の順番「8」以降)。
(第3の実施形態)
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。上記したように、搬送路20dの途中あるいはその他の適当な場所に紙幣の向きを変える装置を設け、鑑別部24を通った紙幣が入出金口39に戻されたとき、この紙幣の上下および表裏が逆の状態で入出金口39に収納されるようにしてもよい。これにより、この紙幣が鑑別部24で再び鑑別される際、異なった向きで鑑別される。紙幣の反転は、上下および表裏の少なくともいずれか一方の反転であればよい。
そこで、本発明の第3の実施形態においては、このような性質を利用し、制御部18は、異常紙幣の記番号と鑑別済紙幣の記番号とが一致する場合に、鑑別部による前回鑑別時と比較して(異常紙幣と同一の記番号が付された紙幣のうち鑑別部により前回鑑別された紙幣と比較して)異常紙幣が反転しているか否かを判定し、異常紙幣が反転している場合に、異常紙幣が一巡したと判定する。一方、制御部18は、異常紙幣が反転していない場合に、異常紙幣がコピー偽券であると判定する。装置の機構によっては、異常紙幣が反転していない場合に異常紙幣が一巡したと判定し、異常紙幣が反転している場合に、異常紙幣がコピー偽券であると判定してもよい。
図33においては、図30に示す例において取得した管理情報とその管理情報を取得したときになされる動作との関係が示されている。図34は、本発明の第3の実施形態に係る入出金機による供給方法変更処理を示すフローチャートである。
管理情報は、図33に示すように、紙幣の向きを示す情報であり、紙幣の表裏および上下の双方であってもよいが、少なくとも紙幣の表裏および上下のうちのいずれか一方であってもよい。かかる管理情報は、例えば、制御部18により記憶部26に随時記憶されていく。
この例では、ステップS7において、紙幣M3Cが異常紙幣であると判断されるため、ステップS61において、制御部18により異常紙幣である紙幣M3Cの記番号N3Cと一致する記番号が図31の鑑別済紙幣の記番号中に存在するか否かが判定される(図30のステップT3)。ここで、制御部18は、図31の順番3において紙幣M3Cが既に鑑別されているため(YES)、異常紙幣である紙幣M3Cの記番号N3Cが鑑別済紙幣の記番号の中に存在すると判定する(図31の順番「3」)。
続いて、ステップS62において、制御部18により前回鑑別時と比較して紙幣が反転しているか否かが判定される(図30のステップT3)。ここで、制御部18は、図30のステップT3においては、紙幣M3Cの前回鑑別時の管理情報は、表裏方向が「表」、上下方向が「上」であり(図33の順番「3」)、今回鑑別時の管理情報は、表裏方向が「表」、上下方向が「上」であり(図33の順番「4」)、反転していないと判定する(NO)。そこで、制御部18は、異常紙幣である紙幣M3Cがコピー偽券であると判定する(図33の順番「5」)。
したがって、間欠供給設定(ステップS63)はなされず、以降の動作としては連続供給が継続する。
続いて、ステップS7において、紙幣M3Cが異常紙幣であると判断されるため、ステップS61において、制御部18により異常紙幣である紙幣M3Cの記番号N3Cと一致する記番号が図31の鑑別済紙幣の記番号中に存在するか否かが判定される(図30のステップT7)。ここで、制御部18は、図31の順番3と4において紙幣M3Cが既に鑑別されているため(YES)、異常紙幣である紙幣M3Cの記番号N3Cが鑑別済紙幣の記番号の中に存在すると判定する。
続いて、ステップS62において、制御部18により前回鑑別時と比較して紙幣が反転しているか否かが判定される(図30のステップT7)。ここで、制御部18は、図30のステップT7においては、紙幣M3Cの前回鑑別時の管理情報は、表裏方向が「表」、上下方向が「上」であり(図33の順番「4」)、今回鑑別時の管理情報は、表裏方向が「裏」、上下方向が「下」であり(図33の順番「7」)、反転していると判定する(YES)。そこで、制御部18は、異常紙幣である紙幣M3Cが一巡したと判定する(図33の順番「9」)。
したがって、ステップS63において、間欠供給設定がなされ、以降の動作が間欠供給となる(図33の順番「8」以降)。
(第4の実施形態)
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。ここでは、異常紙幣が一巡した場合には、その異常紙幣の後に続く紙幣に相当する後続紙幣同士も記番号が一致すると考えられる。そこで、本発明の第4の実施形態においては、このような性質を利用し、制御部18は、異常紙幣の記番号と鑑別済紙幣の記番号とが一致する場合に、鑑別部により過去に鑑別されたときと比較して(異常紙幣と同一の記番号が付された紙幣のうち鑑別部により過去に鑑別された紙幣の後続紙幣の記番号と比較して)異常紙幣の後続紙幣の記番号同士が一致するか否かを判定する。そして、制御部18は、後続紙幣の記番号同士が一致する場合に、異常紙幣が一巡したと判定する。一方、制御部18は、後続紙幣の記番号同士が一致していない場合に、異常紙幣がコピー偽券であると判定する。
図35には、図30に示す例において鑑別した記番号とその紙幣を鑑別したときになされる動作とその紙幣の後続紙幣の記番号との関係が示されている。図30および図35においては、紙幣M3Cがコピー偽券であるとする。図36は、本発明の第4の実施形態に係る入出金機による供給方法変更処理を示すフローチャートである。
後続紙幣の記番号は、どのように取得されてもよいが、例えば、鑑別部を通過する際に取得されてもよい。このように取得された後続紙幣の記番号は、図35に示すように、例えば、制御部18により記憶部26に随時記憶されていく。
この例では、ステップS7において、紙幣M3Cが異常紙幣であると判断されるため、ステップS71において、制御部18により異常紙幣である紙幣M3Cの記番号N3Cと一致する記番号が図31の鑑別済紙幣の記番号中に存在するか否かが判定される(図30のステップT3)。ここで、制御部18は、図38の順番3において紙幣M3Cが既に鑑別されているため(YES)、異常紙幣である紙幣M3Cの記番号N3Cが鑑別済紙幣の記番号の中に存在すると判定する(図35の順番「3」)。
続いて、ステップS72において、制御部18により過去に鑑別されたときと比較して後続紙幣の記番号が一致するか否かが判定される(図37のステップT3)。ここで、制御部18は、図30のステップT3においては、過去に紙幣M3Cが鑑別されたときの後続紙幣の記番号はN4であり(図35の順番「3」)、今回紙幣M3Cが鑑別されたときの後続紙幣の記番号はN7であり(図35の順番「4」)、後続紙幣の記番号同士は不一致であると判定する(NO)。そこで、制御部18は、異常紙幣である紙幣M3Cがコピー偽券であると判定する(図38の順番「4」)。
したがって、間欠供給設定(ステップS73)はなされず、以降の動作としては連続供給が継続する。
続いて、ステップS7において、紙幣M3Cが異常紙幣であると判断されるため、ステップS71において、制御部18により異常紙幣である紙幣M3Cの記番号N3Cと一致する記番号が図35の鑑別済紙幣の記番号中に存在するか否かが判定される(図30のステップT7)。ここで、制御部18は、図38の順番3と4において紙幣M3Cが既に鑑別されているため(YES)、異常紙幣である紙幣M3Cの記番号N3Cが鑑別済紙幣の記番号の中に存在すると判定する。
続いて、ステップS72において、制御部18により過去に鑑別されたときと比較して後続紙幣の記番号が一致するか否かが判定される(図30のステップT7)。ここで、制御部18は、図30のステップT7においては、過去に紙幣M3Cが鑑別されたときの後続紙幣の記番号はN4であり(図35の順番「3」)、今回紙幣M3Cが鑑別されたときの後続紙幣の記番号はN4であり(図35の順番「7」)、後続紙幣の記番号同士は一致であると判定する(YES)。そこで、制御部18は、異常紙幣である紙幣M3Cが一巡したと判定する(図35の順番「7」)。
したがって、ステップS73において、間欠供給設定がなされ、以降の動作が間欠供給となる(図35の順番「8」以降)。
(第5の実施形態)
続いて、本発明の第5の実施形態について説明する。上記のようにして異常紙幣の一巡判定を行うことが可能であるが、紙幣の状態によっては記番号を正確に読み取れない場合も想定される。かかる場合には、記番号の一致判定が正確に行われず、異常紙幣の一巡判定を誤る場合も想定される。一例として、数字の「2」とアルファベットの「Z」との一致判定においては、記番号の印刷の擦れ度合いなどによって判定を誤る可能性がある。
そこで、本発明の第5の実施形態においては、制御部18は、異常紙幣に関連する情報に基づいて異常紙幣が一巡したか否かを判定するに際して、複数の番号を比較する場合には、あらかじめ設定された一巡検知用の有効桁位置同士の記番号を比較して判定する。また、制御部18は、異常紙幣がコピー偽券であるかを判定するに際して、複数の記番号を比較する場合には、あらかじめ設定されたコピー偽券検知用の有効桁位置同士の記番号を比較して判定する。これにより、記番号一致判定の精度を向上させることができる。かかる判定は、例えば、上記した例では、ステップS42、ステップS72などに適用することができる。
中国券を例に説明すると、中国券においては、10桁の記番号のうち、上位2桁は英数字であり、下位8桁は数字である。そこで、記番号の一致条件を10桁の完全一致ではなく、有効桁位置を可変にすることによって読み取りミスによる記番号一致判定の誤りを防ぐことが可能であると考えられる。なお、ここでは、記番号が10桁の場合を例に挙げて説明するが、記番号の桁数は限定されない。
図37は、本発明の第5の実施形態に係る入出金機による一巡検知用の有効桁位置設定例を示す図である。図38は、本発明の第5の実施形態に係る入出金機によるコピー偽券検知用の有効桁位置設定例を示す図である。
図37に示すように、一巡検知用の有効桁位置を設定することが可能である。同様にして、図38に示すように、コピー偽券検知用の有効桁位置を設定することが可能である。図37および図38において、「有効」に設定された桁同士は比較されるが、「無効」に設定された桁同士は比較されない。このような有効桁位置は、画面上に表示させながら係員による操作に従って設定することも可能であるし、汚れやすい桁を自動的に入出金機において算出して、その桁を「無効」にするように設定することも可能である。
図39は、本発明の第5の実施形態に係る入出金機による記番号一致判定処理を示すフローチャートである。図39に示したように、制御部18は、ステップS81において、変数Nに「1」を設定し、ステップS82において、結果に「一致」を設定する。制御部18は、N桁目が「有効」に設定されているか否かを判定し、「無効」に設定されている場合には(NO)、ステップS86に進むが、「有効」に設定されている場合には(YES)、ステップS84において、N桁目の文字同士が一致するか否かを判定する。
制御部18は、N桁目の文字同士が一致する場合には(YES)、ステップS86に進むが、N桁目の文字同士が一致しない場合には(NO)、ステップS85において、結果に「不一致」を設定して、ステップS86に進む。制御部18は、ステップS86においては、変数Nを1加算し、ステップS87において、記番号の全桁について比較が終了したと判定された場合には(YES)、ステップS88において、結果を出力して終了するが、その他の場合には(NO)、ステップS83に戻って動作を継続する。
(第6の実施形態)
続いて、本発明の第6の実施形態について説明する。本発明の第6の実施形態においては、制御部18は、異常紙幣に関連する情報に基づいて異常紙幣が一巡したか否かを判定するに際して、記番号間において対応する桁同士を比較する場合には、当該対応する桁同士が一致しない場合であっても、あらかじめ設定された誤読文字対に一致すれば、当該対応する桁同士が一致すると判定する。これにより、記番号一致判定の精度を向上させることができる。かかる判定は、例えば、上記した例では、ステップS42、ステップS72などに適用することができる。
図40は、本発明の第6の実施形態に係る入出金機による記番号一致判定処理を示すフローチャートである。図40に誤読文字テーブルを示す。例えば、文字「2」と対になる文字は「Z」であり、文字「5」と対になる文字は「S」である。これ以外にも形状が類似する文字を誤読文字として誤読文字テーブルに追加することが可能である。図40に示したように、制御部18は、ステップS91において、変数Nに「1」を設定し、ステップS92において、結果に「一致」を設定する。制御部18は、N桁目の文字同士が一致する場合には(YES)、ステップS97に進むが、N桁目の文字同士が一致しない場合には(NO)、ステップS94において、一方の文字が誤読文字テーブル内に存在するか否かを判定する。
制御部18は、ステップS94において、当該一方の文字が誤読文字テーブル内に存在しない場合には(NO)、ステップS96に進むが、当該一方の文字が誤読文字テーブル内に存在する場合には(YES)、ステップS95において、誤読文字テーブル内に存在した文字の対となる文字と他方の文字とが一致するか否かを判定する。制御部18は、ステップS95において、誤読文字テーブル内に存在した文字の対となる文字と他方の文字とが一致する場合には(YES)、ステップS97に進むが、誤読文字テーブル内に存在した文字の対となる文字と他方の文字とが一致しない場合には(NO)、ステップS96において、結果に「不一致」を設定して、ステップS97に進む。
制御部18は、ステップS97においては、変数Nを1加算し、ステップS98において、記番号の全桁について比較が終了したと判定された場合には(YES)、ステップS99において、結果を出力して終了するが、その他の場合には(NO)、ステップS93に戻って動作を継続する。
(第7の実施形態)
続いて、本発明の第7の実施形態について説明する。上記したように、異常紙幣と判定されなかった紙幣は一時収納部28に集積される。そこで、本発明の第7の実施形態においては、制御部18は、鑑別した紙幣の記番号と一時収納部28に収納された紙幣の記番号とが一致しているか否かを判定する。そして、制御部18は、鑑別した紙幣の記番号と一時収納部28に収納された紙幣の記番号とが一致している場合に、鑑別した紙幣と一時保留部28に収納された紙幣を異常紙幣と判定する。
本発明の第7の実施形態に係る入出金機10による入金処理における紙幣の位置の時系列変化を、図26を用いて説明する。図27は、図26に示す例において鑑別済紙幣の記番号と動作との関係を示す図である。記憶部26には図27における鑑別済紙幣の情報(金種等の情報)鑑別済紙幣の記番号、鑑別済紙幣を鑑別した順番が随時記憶される。図28は、図26に示す例において一時収納部28における集積紙幣の記番号を示す図である。一時収納部28における集積紙幣の記番号は、例えば、制御部18により記憶部26に随時記憶されていく。
図26〜図28においては、紙幣M3Cがコピー偽券であるとし、図27においては、鑑別した記番号とその紙幣を鑑別したときになされる動作とが示されており、図28においては、一時収納部28における収納させた紙幣とその紙幣の記番号とが示されている。第7の実施形態においては、図6AのステップS6で記番号を記憶した後に、図41に示す、鑑別した記番号と一時収納部28に収納された紙幣の記番号との比較を実施する。図38は、本発明の第7の実施形態に係る入出金機による供給方法変更処理を示すフローチャートである。
まず、制御部18は、図6AのステップS6で記番号を記憶した後、図41のステップS101において、紙幣M3Cが図28の一時収納部28における集積紙幣と一致するか判断する。(図26のステップT3)。紙幣M3Cと一致する紙幣があるため(図28の順番3)ステップS103へ進む(ステップS102)。ステップS103では、制御部18は、図26のステップT3で鑑別した紙幣M3Cと一時保留部28に収納されている紙幣M3C(順番3)の両方を異常紙幣であると判断する。さらに、制御部18は、ステップT3で鑑別した紙幣M3Cがコピー偽券であると判定し、記憶部26に管理情報として紙幣M3Cがコピー偽券であることを記憶する(図27の順番「5」)。さらに、制御部18は、一時収納部28に収納されている紙幣M3Cの集積位置とコピー偽券であることを管理情報として記憶部26に記憶する。図28の順番「3」が集積位置となる。
その後、図6AのステップS7に進み、ステップT3で鑑別した紙幣M3Cが異常紙幣であると判断される。図6CのステップS16〜ステップS21を処理した後、図42のステップS201において、制御部18により異常紙幣である紙幣M3Cの記番号N3Cと一致する記番号が図27の鑑別済紙幣の記番号中に存在するか否かが判定される(図26のステップT3)。ここで、制御部18は、図27の順番3において紙幣M3Cが既に鑑別されているため(YES)、異常紙幣である紙幣M3Cの記番号N3Cが鑑別済紙幣の記番号の中に存在すると判定する。
続いて、ステップS202において、制御部18により異常紙幣である紙幣M3Cが図27にコピー偽券として登録されているかを確認する。ここで、異常紙幣M3Cはコピー偽券に登録されているため(図27の順番5)、間欠供給設定(ステップS203)はなされず、以降の動作としては連続供給が継続する。
その後、ステップS7において、紙幣M10が異常紙幣であると判断された場合、ステップS201において、制御部18により異常紙幣である紙幣M10の記番号N10と一致する記番号が鑑別済紙幣の記番号の中に存在するか否かが判定される(図26のステップT7)。ここで、制御部18は、紙幣M10が未だ鑑別されていないため(NO)、間欠供給設定(ステップS203)はなされず、以降の動作としては連続供給が継続する。紙幣M10は、異常紙幣であるため、一時収納部28に集積されずに入出金口39に戻される。
続いて、ステップS201において、制御部18により異常紙幣である紙幣M10の記番号N10と一致する記番号が鑑別済紙幣の記番号の中に存在するか否かが判定される(図26のステップT10)。ここで、制御部18は、図27の順番10において紙幣M10が既に鑑別されているため(YES)、異常紙幣である紙幣M10の記番号N10が鑑別済紙幣の記番号の中に存在すると判定する。続いて、ステップS202において、制御部18により異常紙幣である紙幣M10が図27においてコピー偽券として登録されているかを確認し、登録されていないと判定する。そこで、制御部18は、異常紙幣である紙幣M10が一巡したと判定する(図27の順番「10」)。
したがって、ステップS203において、間欠供給設定がなされ、以降の動作が間欠供給となる(図27の順番「11」以降)。
次に、第1の実施形態および第7の実施形態において、一時収納部28に収納されたコピー偽券を第3の収納庫へ搬送する処理について説明する。
図43は、一時収納部28から分離した紙幣をカセット30等に収納する際の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS301において一時収納部28から紙幣を分離する。次に、分離した紙幣の管理情報から収納先を決定する(ステップS302)。ステップS303で、分離紙幣がリサイクル可能な紙幣である場合はカセット30へ収納し、リサイクル不可な紙幣である場合は第1の収納庫31へ収納する(ステップS303〜ステップS306)。次に、ステップS307において、分離紙幣がコピー偽券である場合は、第3の収納庫34(偽券庫)に収納する(ステップS308)。この動作を一時収納部28の紙幣が無くなるまで繰り返す(ステップS309)。
例えば、ステップS302において図28における順番3の場合には、管理情報から分離紙幣がコピー偽券であることがわかり、収納先は偽券庫であると決定する。したがって、分離紙幣は、第3の収納庫34に収納される(ステップS307、ステップS308)。
(第8の実施形態)
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。上記したように、異常紙幣と判定されなかった紙幣は一時収納部28へ集積される。そこで、本発明の第8の実施形態においては、制御部18は鑑別された紙幣の記番号と一時収納部28に収納された紙幣の記番号とが一致しているかを判定する。そして、制御部18は、鑑別された紙幣の記番号と一時収納部28に収納された紙幣の記番号とが一致している場合は、鑑別された紙幣と一時収納部28に収納された記番号が一致する紙幣の両方を異常紙幣であると判定し、一時収納部28に収納された異常紙幣を入出金口へ搬送する。
第8の実施形態では、第7の実施形態と同様に、図6AのステップS6の後に、図41に示した、鑑別した記番号と一時収納部28に収納された紙幣の記番号との比較を実施する。ここでは、第7の実施形態と同様に、図41のステップS101において、紙幣M3Cが図28の一時収納部28における集積紙幣と一致するかを判断する(図26のステップT3)。ここでは、紙幣M3Cと一致する紙幣があるため(図28の順番3)、ステップS103へ進む(ステップS102)。ステップS103では、図26のステップT3で鑑別した紙幣M3Cと一時収納部28に収納されている紙幣M3C(順番3)の両方を異常紙幣であると判断する。さらに、制御部18はステップT3で鑑別した紙幣M3Cがコピー偽券であると判定し、記憶部26に紙幣M3Cがコピー偽券であることを記憶する(図27の順番5)。さらに、制御部18は、一時収納部28に収納されている紙幣M3Cの集積位置とコピー偽券であることを管理情報として記憶部26に記憶する(図28の順番3が集積位置となる)。
その後、図6AのステップS7に進み、ステップT3で鑑別した紙幣M3Cが異常紙幣であると判断される。図6CのステップS16〜ステップS21を処理した後、図44のステップS401へ進む。ステップS401において、制御部18は、コピー偽券が登録されているかを判断する。ここでは、図28の一時収納部28における管理情報からコピー偽券登録があるかを判断する。図28の順番3がコピー偽券として登録されているため、コピー偽券登録済みとなりステップS402へ進む。ステップS402では、一時収納部28に収納されたコピー偽券の集積位置を利用し、該集積位置の紙幣までの紙幣を入出金口へ返却する。ここでは、図28の順番3がコピー偽券のため、順番3までの紙幣(M4とM3C)を入出金口へ搬送する(図26のステップT4において、紙幣M4が一時収納部28へ集積されている)。入出金口にまだ分離していない紙幣が残っていた場合は、残っていた紙幣と重ねられてM4とM3Cは集積される。その後、制御部18は、シャッタを開け、顧客は紙幣を受け取る。ステップS401でコピー偽券の登録がなされていないと判断されると、図12の供給方法変更処理へ進む。図12における動作は上述した動作と同じである。
なお、図44では、一時収納部28に収納されたコピー偽券の集積位置を利用し、該集積位置までの紙幣を入出金口へ返却したが、図41のステップS101において、鑑別した紙幣の記番号と一時収納部28に収納された紙幣の記番号とが一致したと判断した場合、搬送路上に存在する紙幣と、その時点で一時収納部28に収納されている紙幣のすべてを入出金口へ搬送することもできる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
制御部18を構成する各ブロックは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などから構成され、記憶部26により記憶されているプログラムがCPUによりRAMに展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。あるいは、制御部18を構成する各ブロックは、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
第1の実施形態から第8の実施形態は適宜組合わせて実施することが可能である。