JP2014149330A - 感光性シロキサン組成物、硬化膜及び素子 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、感光性シロキサン組成物、硬化膜及び素子に関する。
近年、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等において、さらなる高精細や高解像度を実現する手段として、表示装置の開口率を上げる方法が知られている(特許文献1)。これは、透明な平坦化膜をTFT基板の上部に保護膜として設け、それによりデータバスラインと画素電極とのオーバーラップを可能とし、従来技術に比べて開口率を上げる方法である。
このようなTFT基板用平坦化膜の材料としては、高耐熱性及び高透明性といった特性を有し、かつ高解像度のパターン形成が可能な材料が必要とされるため、一般的に、ポジ型の感光性材料が用いられる。硬化膜形成から液晶パネル完成までの工程において、形成された硬化膜は酸性若しくはアルカリ性の各種エッチング液又はレジスト剥離液、あるいはN−メチルピロリドン(以下、NMP)に曝されることになる。酸性若しくはアルカリ性に対する硬化膜の耐薬品性が低いと、それら薬液を使用する工程において、硬化膜と基板との界面での剥がれや浮きが発生して、ITOの断線等の原因となることから、硬化膜には酸及びアルカリに対する高い耐薬品性と、基板との界面での高い密着性とが求められる。またNMPに対する耐薬品性が低いと、硬化膜がNMPに接触又は浸漬された際に膨潤してしまい、硬化膜中にNMPが取り込まれ、後の工程において、装置へのNMP汚染等の不具合を引き起こしてしまう。さらに環境調和の観点から、硬化膜を高温で過熱する際にベンゼンの発生量をなるべく低くしたいという要望がある。
代表的なTFT基板用平坦化膜材料としては、アクリル樹脂とキノンジアジド化合物とを組み合わせた材料(特許文献2〜4)若しくはポリシロキサンとキノンジアジド化合物とを組み合わせた材料(特許文献5及び6)、又は、これら材料の密着性を改善するため、シラン化合物を添加する方法(特許文献7及び8)等も知られている。
しかしながら、従来のアクリル樹脂とキノンジアジド化合物とを組み合わせた材料は、一般的に低感度であるばかりか、耐熱性や耐薬品性が満足できるものではなく、高温処理や薬液処理による硬化膜の着色が問題視されるものであった。また、従来のポリシロキサンとキノンジアジド化合物とを組み合わせた材料は、高温処理による硬化膜の着色については改善が見られるものの、やはり感度や耐薬品性の面からは満足できるものではなく、かつ高温処理時のベンゼン発生量の抑制が不十分なものであった。さらには、シラン化合物を添加する従来の方法についても、顕著な効果を示す具体的なシラン化合物が特定されている訳ではなく、さらなる密着性向上のための新規な手法が求められているのが現状であった
そこで本発明は、アルカリ現像液で現像可能であり、熱硬化後に高い透明性を有するばかりでなく、耐熱性や耐薬品性が顕著に優れ、かつ高温処理時のベンゼン発生量の少ない硬化膜を形成可能な感光性シロキサン組成物を提供することを目的とする。
そこで本発明は、アルカリ現像液で現像可能であり、熱硬化後に高い透明性を有するばかりでなく、耐熱性や耐薬品性が顕著に優れ、かつ高温処理時のベンゼン発生量の少ない硬化膜を形成可能な感光性シロキサン組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討をした結果、特定の構造を有する化合物を加水分解及び縮合させて得られるポリシロキサンをはじめとする成分からなる組成物が上記課題の解決に極めて有効であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、(a)下記一般式(1)で表される化合物を加水分解及び縮合させて得られるポリシロキサン、(b)キノンジアジド化合物、並びに、(c)溶剤を、含有する、感光性シロキサン組成物を提供する。
(少なくとも1つのR1は、ナフチル基(炭素数1〜3のアルキル基若しくは炭素数1〜3のオキシアルキル基で置換されていてもよい)又は炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルケニル基若しくは炭素数1〜3のオキシアルキル基で置換されたフェニル基であり、その他のR1は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、R2は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基又は炭素数6〜15のアリール基であり、xは、1〜3の整数である。)
本発明の感光性シロキサン組成物によれば、高温処理をしても透明性が維持され、耐熱性が高く、アルカリ薬液、酸性薬液又はNMP薬液に対して優れた耐薬品性を有し、さらには高温処理時のベンゼンの発生量の少ない、硬化膜を形成することができる。
本発明の感光性シロキサン組成物は、(a)下記一般式(1)で表される化合物を加水分解及び縮合させて得られるポリシロキサン、(b)キノンジアジド化合物、並びに、(c)溶剤、を含有することを特徴とする。
(少なくとも1つのR1は、ナフチル基(炭素数1〜3のアルキル基若しくは炭素数1〜3のオキシアルキル基で置換されていてもよい)又は炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルケニル基若しくは炭素数1〜3のオキシアルキル基で置換されたフェニル基であり、その他のR1は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、R2は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基又は炭素数6〜15のアリール基であり、xは、1〜3の整数である。)
本発明の感光性シロキサン組成物が含有する(a)ポリシロキサンは、上記一般式(1)で表される化合物を加水分解及び縮合させて得られる、共重合体である。
本発明の感光性シロキサン組成物が含有する(a)ポリシロキサンは、上記一般式(1)で表される化合物を加水分解及び縮合させて得られる、共重合体である。
一般式(1)で表される化合物が有する「少なくとも1つのR1」としては、例えば、ナフチル基、メチルナフチル基、メトキシナフチル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ビニルフェニル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基又はエトキシフェニル基が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物が有する「その他のR1」におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−アミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基又は3−イソシアネートプロピル基が挙げられる。また「その他のR1」におけるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、3−アクリロキシプロピル基又は3−メタクリロキシプロピル基が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物が有するR2は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基又は炭素数6〜15のアリール基であるがこれらR2は、いずれも他の置換基により置換されていても構わない。R2におけるアルキル基のとしては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基又はn−ブチル基が挙げられる。R2におけるアシル基としては、例えば、アセチル基が挙げられる。R2におけるアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、4−ヒドロキシ−5−(p−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチル基又はナフチル基が挙げられる。
一般式(1)におけるxは、1〜3の整数である。x=1の場合は3官能性シラン、x=2の場合は2官能性シラン、x=3の場合は1官能性シランである。
一般式(1)で表される化合物としては、例えば、ナフチルトリメトキシシラン、メチルナフチルトリメトキシシラン、メトキシナフチルトリメトキシシラン、メチルフェニルトリメトキシシラン、ジメチルフェニルトリメトキシシラン、エチルフェニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシシラン、メトキシフェニルトリメトキシシラン、ジメトキシフェニルトリメトキシシラン若しくはエトキシフェニルトリメトキシシラン等の3官能性シラン、ナフチルメチルジメトキシシラン、メチルフェニルメチルジメトキシシラン若しくはメトキシフェニルメチルジメトキシシラン等の2官能性シラン又はナフチルジメチルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメチルメトキシシラン若しくはメトキシフェニルジメチルシラン等の1官能性シランが挙げられる。
本発明の感光性シロキサン組成物が含有する(a)ポリシロキサンは、上記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(2)で表される化合物とを加水分解及び縮合させて得られる、共重合体であることも好ましい。また、上記一般式(1)で表される化合物を加水分解及び縮合したポリシロキサンと、下記一般式(2)で表される化合物を加水分解及び縮合したポリシロキサンとのを混合物であることも好ましい。
(R3は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、R4は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基又は炭素数6〜15のアリール基であり、yは、0〜3の整数である。)
一般式(2)で表される化合物が有するR3におけるアルキル基又はアルケニル基は、いずれも他の置換基により置換されていても構わない。R3におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−アミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基又は3−イソシアネートプロピル基が挙げられる。R3におけるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、3−アクリロキシプロピル基又は3−メタクリロキシプロピル基が挙げられる。
一般式(2)で表される化合物が有するR3におけるアルキル基又はアルケニル基は、いずれも他の置換基により置換されていても構わない。R3におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−アミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基又は3−イソシアネートプロピル基が挙げられる。R3におけるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、3−アクリロキシプロピル基又は3−メタクリロキシプロピル基が挙げられる。
一般式(2)で表される化合物が有するR4におけるアルキル基、アシル基又はアリール基は、いずれも他の置換基により置換されていても構わない。R4におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基又はn−ブチル基が挙げられる。R4におけるアシル基としては、例えば、アセチル基が挙げられる。
一般式(2)におけるyは、0〜3の整数である。y=0の場合は4官能性シラン、y=1の場合は3官能性シラン、y=2の場合は2官能性シラン、y=3の場合は1官能性シランである。
一般式(2)で表される化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン若しくはテトラアセトキシシラン等の4官能性シラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリn−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリn−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン若しくは3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の3官能性シラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン若しくはジn−ブチルジメトキシシラン等の2官能性シラン又はトリメチルメトキシシラン若しくはトリn−ブチルエトキシシラン等の1官能性シランが挙げられるが、硬化膜の耐クラック性と硬度の点から、3官能性シランが好ましい。
(a)ポリシロキサンの重量平均分子量(以下、Mw)は、GPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィー)で測定されるポリスチレン換算で1000〜100000が好ましく、2000〜50000がより好ましい。Mwが1000未満であると、塗膜性が悪くなる。一方で、Mwが100000を超えると、パターン形成時の現像液への溶解性が悪くなる。(a)ポリシロキサンがアルカリ可溶性である場合には、Mwは5000〜100000が好ましい。Mwが5000未満であると、熱によるパターンだれが発生する温度が低くなってしまう場合がある。
一般式(1)で表される化合物等を加水分解及び縮合させる方法としては、例えば、一般式(1)で表される化合物を含むオルガノシラン混合物に、溶媒、水及び必要に応じて触媒を添加し、加熱撹拌する方法が挙げられる。撹拌中、必要に応じて蒸留により加水分解副生物(メタノール等のアルコール)や縮合副生成物(水)を留去しても構わない。
加水分解及び縮合に用いる溶媒としては、本発明の感光性シロキサン組成物が含有する(c)溶剤と同様のものが好ましい。溶媒の添加量は、オルガノシラン又はオルガノシラン及びシリカ粒子の合計量に対して、10〜1000重量%が好ましい。また加水分解反応に用いる水の添加量は、加水分解性基1モルに対して、0.5〜2モルが好ましい。
必要に応じて添加される触媒としては、酸触媒又は塩基触媒が好ましい。酸触媒としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸若しくは多価カルボン酸又はそれらの無水物あるいはイオン交換樹脂が挙げられる。塩基触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミノ基を有するアルコキシシラン又はイオン交換樹脂が挙げられる。触媒の添加量は、オルガノシランに対して、0.01〜10重量%が好ましい。
塗膜性及び貯蔵安定性の点から、得られた(a)ポリシロキサン溶液には副生成物のアルコールや水又は触媒が含まれないことが好ましい。必要に応じて、これらの除去を行っても構わない。アルコールや水の除去方法としては、例えば、ポリシロキサン溶液を適当な疎水性溶剤で希釈した後、水で数回洗浄して、得られた有機層をエバポレーターで濃縮する方法が挙げられる。触媒の除去方法としては、例えば、イオン交換樹脂で処理する方法が挙げられる。
本発明の感光性シロキサン組成物が含有する(b)キノンジアジド化合物は、感光性シロキサン組成物を、露光部が現像液で除去されるポジ型にする。(b)キノンジアジド化合物の添加量は、(a)ポリシロキサンに対して、3〜15重量%が好ましく、4〜15重量%好ましい。添加量が3重量%未満であると、露光部と未露光部との溶解コントラストが低すぎて、現実的な感光性を有さない。一方で、添加量が15重量%を超えると、ポリシロキサンとキノンジアジド化合物との相溶性が悪くなることによる塗布膜の白化が発生したり、熱硬化時に起こるキノンジアジド化合物の分解による着色が顕著になるために、硬化膜の無色透明性が低下する。
(b)キノンジアジド化合物としては、フェノール性水酸基を有する化合物に、ナフトキノンジアジドスルホン酸がエステル結合した化合物が好ましく、それら化合物のフェノール性水酸基のオルト位及びパラ位が、それぞれ独立して、水素又は一般式(3)で表される置換基である化合物がより好ましい。
(R5〜R7は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、カルボキシル基又はフェニル基であり、R5とR6、R5とR7又はR6とR7で、環を形成していても構わない。)
一般式(3)で表される化合物が有するR5〜R7におけるアルキル基又はフェニル基は、いずれも他の置換基により置換されていても構わない。R5〜R7におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、トリフルオロメチル基又は2−カルボキシエチル基が挙げられる。R5〜R7におけるフェニル基の水素を置換する置換基としては、例えば、水酸基が挙げられる。また、R5とR6、R5とR7又はR6とR7で形成する環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、アダマンタン環又はフルオレン環が挙げられる。
フェノール性水酸基のオルト位及びパラ位が水素又は一般式(3)で表される置換基以外であると、熱硬化によって酸化分解が起こり、キノイド構造に代表される共役系化合物が形成され、硬化膜が着色して無色透明性が低下する。なお、フェノール性水酸基を有する化合物に、ナフトキノンジアジドスルホン酸がエステル結合した化合物は、フェノール性水酸基を有する化合物と、ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドとを公知方法によりエステル化反応させて得ることができる。
一般式(3)で表される化合物が有するR5〜R7におけるアルキル基又はフェニル基は、いずれも他の置換基により置換されていても構わない。R5〜R7におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、トリフルオロメチル基又は2−カルボキシエチル基が挙げられる。R5〜R7におけるフェニル基の水素を置換する置換基としては、例えば、水酸基が挙げられる。また、R5とR6、R5とR7又はR6とR7で形成する環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、アダマンタン環又はフルオレン環が挙げられる。
フェノール性水酸基のオルト位及びパラ位が水素又は一般式(3)で表される置換基以外であると、熱硬化によって酸化分解が起こり、キノイド構造に代表される共役系化合物が形成され、硬化膜が着色して無色透明性が低下する。なお、フェノール性水酸基を有する化合物に、ナフトキノンジアジドスルホン酸がエステル結合した化合物は、フェノール性水酸基を有する化合物と、ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドとを公知方法によりエステル化反応させて得ることができる。
フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる(本州化学工業(株)製)。
ナフトキノンジアジドスルホン酸としては、例えば、4−ナフトキノンジアジドスルホン酸又は5−ナフトキノンジアジドスルホン酸が挙げられる。4−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物はi線(波長365nm)領域に吸収を持つため、i線露光に適している。また、5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物は広範囲の波長領域に吸収が存在するため、広範囲の波長での露光に適している。露光する波長によって、4−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物又は5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物のいずれかを選択することが好ましい。なお、4−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物とを混合して用いても構わない。
(b)キノンジアジド化合物の分子量は、300〜1500が好ましく、350〜1200がより好ましい。ナ分子量が1500を超えると、4〜10重量%の添加量ではパターン形成ができなくなる可能性がある。一方で、分子量が300未満であると、無色透明性が低下する可能性がある。
本発明の感光性シロキサン組成物が含有する(c)溶剤としては、アルコール性水酸基を有する化合物又はカルボニル基を有する環状化合物が好ましい。感光性シロキサン組成物がこれらの溶剤を含有すると、(a)ポリシロキサンと(b)キノンジアジド化合物とが均一に溶解し、組成物を塗布製膜しても膜は白化することなく、高透明性が達成できる。
アルコール性水酸基を有する化合物としては、大気圧下の沸点が110〜250℃の化合物が好ましい。沸点が250℃を超えると、膜中の残存溶剤量が多くなって熱硬化時の膜収縮が大きくなり、良好な平坦性が得られなくなる。一方で、沸点が110℃未満であると、塗膜時の乾燥が速すぎて膜表面が荒れる等、塗膜性が悪くなる。
アルコール性水酸基を有する化合物としては、例えば、アセトール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、5−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(ジアセトンアルコール)、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール又は3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールが挙げられるが、さらにカルボニル基を有する化合物がより好ましく、ジアセトンアルコールがさらに好ましい。
カルボニル基を有する環状化合物としては、大気圧下の沸点が150〜250℃の化合物が好ましい。沸点が250℃を超えると、膜中の残存溶剤量が多くなって熱硬化時の膜収縮が大きくなり、良好な平坦性が得られなくなる。一方で、沸点が150℃より未満であると、塗膜時の乾燥が速すぎて膜表面が荒れる等、塗膜性が悪くなる。
カルボニル基を有する環状化合物としては、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、炭酸プロピレン、NMP、シクロヘキサノン又はシクロヘプタノンが挙げられるが、γ−ブチロラクトンが好ましい。
アルコール性水酸基を有する化合物とカルボニル基を有する環状化合物とは、混合して用いても構わない。混合して用いる場合の重量比率は、アルコール性水酸基を有する化合物/カルボニル基を有する環状化合物=(99〜50)/(1〜50)が好ましく、(97〜60)/(3〜40)がより好ましい。アルコール性水酸基を有する化合物が99重量%より多い(カルボニル基を有する環状化合物が1重量%より少ない)と、ポリシロキサンとキノンジアジド化合物との相溶性が悪く、硬化膜が白化して透明性が低下する。一方で、アルコール性水酸基を有する化合物が50重量%より少ない(カルボニル基を有する環状化合物が50重量%より多い)と、ポリシロキサン中の未反応シラノール基の縮合反応が起こり易くなり、貯蔵安定性が悪くなる。
また、本発明の感光性シロキサン組成物は、その効果を損なわない範囲で、その他の溶剤を含有しても構わない。その他の溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−1−ブチルアセテート若しくは3−メチル−3−メトキシ−1−ブチルアセテート等のエステル類、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン若しくはジイソブチルケトン等のケトン類又はジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル若しくはジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類が挙げられる。
溶剤の添加量は、(a)ポリシロキサンに対して、100〜1000重量%が好ましい。
本発明の感光性シロキサン組成物は、その効果を損なわない範囲で、光酸発生剤を含有しても構わない。光酸発生剤とは、ブリーチング露光時に結合開裂を起こして酸を発生する化合物をいい、より具体的には、露光波長365nm(i線)、405nm(h線)若しくは436nm(g線又はこれらの混合線の照射によって酸を発生する化合物をいう。従って、同様の光源を用いるパターン露光においても酸が発生する可能性はあるが、パターン露光はブリーチング露光と比べて露光量が小さいため、少量の酸しか発生せず、問題とはならない。酸はシラノールの脱水縮合を促進する触媒として機能するため、熱硬化時に酸が存在することで未反応のシラノール基の縮合が促進され、硬化膜の架橋度が高くなる。それにより、硬化膜の表面硬度や耐薬品性が向上する。また熱硬化時のパターンだれが抑制され、パターン解像度が向上する。発生させる酸としては、パーフルオロアルキルスルホン酸又はp−トルエンスルホン酸等の強酸が好ましい。なお、カルボン酸を発生する感光剤の(b)ナフトキノンジアジド化合物は、ここでいう光酸発生剤の機能は有していない。
光酸発生剤としては、SI−100、SI−101、SI−105、SI−106、SI−109、PI−105、PI−106、PI−109、NAI−100、NAI−1002、NAI−1003、NAI−1004、NAI−101、NAI−105、NAI−106、NAI−109、NDI−101、NDI−105、NDI−106、NDI−109、PAI−01、PAI−101、PAI−106若しくはPAI−1001(いずれもみどり化学(株)製)、SP−077若しくはSP−082(いずれも(株)ADEKA製)、TPS−PFBS(東洋合成工業(株)製)、CGI−MDT若しくはCGI−NIT(いずれもチバジャパン(株)製)又はWPAG−281、WPAG−336、WPAG−339、WPAG−342、WPAG−344、WPAG−350、WPAG−370、WPAG−372、WPAG−449、WPAG−469、WPAG−505若しくはWPAG−506(いずれも和光純薬工業(株)製)が挙げられる。
光酸発生剤の添加量は、(a)ポリシロキサン100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましい。添加量が0.01重量部未満であると、酸の発生量が少ないために効果が十分ではない場合がある。一方で、添加量が5重量部を超えると、パターン露光時にポリシロキサンの架橋が起こる場合があり、また光線透過率の低下の原因となる場合がある。
本発明の感光性シロキサン組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、増感剤を含有しても構わない。増感剤としては、熱処理により気化する、又は、膜に残存した場合においても、光照射によって退色する増感剤が好ましい。このような増感剤としては、例えば、3,3’−カルボニルビス(ジエチルアミノクマリン)等のクマリン、9,10−アントラキノン等のアントラキノン、ベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、アセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン若しくはベンズアルデヒド等の芳香族ケトン又はビフェニル、1,4−ジメチルナフタレン、9−フルオレノン、フルオレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、アントラセン、9−フェニルアントラセン、9−メトキシアントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ビス(4−メトキシフェニル)アントラセン、9,10−ビス(トリフェニルシリル)アントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン(DPA、川崎化成(株)製)、9,10−ジブトキシアントラセン(DBA、川崎化成(株)製)、9,10−ジペンタオキシアントラセン、2−t−ブチル−9,10−ジブトキシアントラセン若しくは9,10−ビス(トリメチルシリルエチニル)アントラセン等の縮合芳香族が挙げられる。
熱処理により気化する増感剤としては、熱処理により昇華若しくは蒸発する増感剤、又は、熱分解による熱分解物が昇華又は蒸発する増感剤が好ましい。増感剤の気化温度としては、130〜400℃が好ましく、150〜250℃がより好ましい。増感剤の気化温度が130℃未満であると、増感剤がプリベーク中に気化して露光プロセス中に存在しなくなり、高感度化が達成されない。一方で、増感剤の気化温度が400℃を超えると、増感剤が熱硬化時に気化せず硬化膜中に残存して、無色透明性が低下する。
光照射によって退色する増感剤としては、透明性の点から、可視光領域における吸収が光照射によって退色する増感剤が好ましく、光照射によって二量化する化合物がより好ましい。光照射によって二量化することによって、分子量が増大して不溶化するので、耐薬品性向上、耐熱性向上及び透明硬化膜からの抽出物の低減という効果が得られる。
また増感剤は、高感度を達成できるという点、及び、光照射によって二量化して退色するという点から、アントラセン系化合物が好ましい。また、9,10位が水素であるアントラセン系化合物は熱に不安定であるので、9,10−二置換アントラセン系化合物がより好ましく、増感剤の溶解性の向上及び光二量化反応の反応性の点から、一般式(4)で表される9,10−ジアルコキシアントラセン系化合物がさらに好ましい。
(R8〜R15は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のアリール基又は炭素数1〜20のアシル基であり、R16及びR17は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルコキシ基である。)
一般式(4)で表される化合物が有するR8〜R15におけるアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基又はアシル基は、いずれも他の置換基により置換されていても構わない。R8〜R15におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基又はn−プロピル基が挙げられる。R8〜R15におけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基又はペンチルオキシ基が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アクリロキシプロピル基又はメタクリロキシプロピル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基が挙げられる。R8〜R15におけるアシル基としては、例えば、アセチル基が挙げられる。化合物の気化性、光二量化の反応性の点から、R8〜R15は、水素又は炭素数は1〜6のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基又はアシル基が好ましく、R8、R11、R12及びR15は水素がより好ましい。
一般式(4)で表される化合物が有するR8〜R15におけるアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基又はアシル基は、いずれも他の置換基により置換されていても構わない。R8〜R15におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基又はn−プロピル基が挙げられる。R8〜R15におけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基又はペンチルオキシ基が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アクリロキシプロピル基又はメタクリロキシプロピル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基が挙げられる。R8〜R15におけるアシル基としては、例えば、アセチル基が挙げられる。化合物の気化性、光二量化の反応性の点から、R8〜R15は、水素又は炭素数は1〜6のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基又はアシル基が好ましく、R8、R11、R12及びR15は水素がより好ましい。
一般式(4)で表される化合物が有するR16及びR17におけるアルコキシ基は、他の置換基により置換されていても構わない。R16及びR17におけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基又はペンチルオキシ基が挙げられるが、化合物の溶解性と光二量化による退色反応の点から、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
増感剤の添加量は、(a)ポリシロキサンに対して、0.001〜5重量%が好ましく、0.005〜1重量%がより好ましい。この範囲を外れると、透明性が低下したり、感度が低下したりする。
本発明の感光性シロキサン組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、熱架橋性化合物を含有しても構わない。熱架橋性化合物とは、熱硬化時にポリシロキサンを架橋する化合物であり、架橋によりポリシロキサン骨格中に取り込まれる化合物をいう。感光性シロキサン組成物が熱架橋性化合物を含有することによって、硬化膜の架橋度が高くなり、硬化膜の耐溶剤性が向上する。
熱架橋性化合物としては、例えば、一般式(5)で表される基、エポキシ構造及びオキセタン構造からなる群から選択される化学構造を二以上有する化合物が挙げられるが、選択された構造はいずれも同一の化合物が好ましい。
(R18は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
R18におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基又はn−デシル基が挙げられる。
R18におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基又はn−デシル基が挙げられる。
一般式(5)で表される基を2個以上有する化合物の具体例としては、以下のようなメラミン誘導体や尿素誘導体(和ケミカル(株)製)及びフェノール性化合物(本州化学工業(株)製)が挙げられる。
エポキシ構造を二以上有する化合物としては、例えば、“エポライト”40E、“エポライト”100E、“エポライト”200E、“エポライト”400E、“エポライト”70P、“エポライト”200P、“エポライト”400P、“エポライト”1500NP、“エポライト”80MF、“エポライト”4000若しくは“エポライト”3002(いずれも共栄社化学工業(株)製)、“デナコール”EX−212L、“デナコール”EX−214L、“デナコール”EX−216L、“デナコール”EX−850L若しくは“デナコール”EX−321L(いずれもナガセケムテックス(株)製)、GAN、GOT、EPPN502H、NC3000若しくはNC6000(いずれも日本化薬(株)製)、“エピコート”828、“エピコート”1002、“エピコート”1750、“エピコート”1007、YX8100−BH30、E1256、E4250若しくはE4275(いずれもジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピクロン”EXA−9583、HP4032、“エピクロン”N695若しくはHP7200(いずれも大日本インキ化学工業(株)製)、“テピック”S、“テピック”G若しくは“テピック”P(いずれも日産化学工業(株)製)又は“エポトート”YH−434L(東都化成(株)製)が挙げられる。
オキセタン構造を2個以上有する化合物の具体例としては、OXT−121、OXT−221、OX−SQ−H、OXT−191、PNOX−1009若しくはRSOX(いずれも東亜合成(株)製)又は“エタナコール”OXBP若しくは“エタナコール”OXTP(いずれも宇部興産(株)製)が挙げられる。
本発明の感光性シロキサン組成物は、必要に応じて、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤又は消泡剤等の添加剤を含有しても構わない。
本発明のポジ型感光性組成物の製造方法について説明する。まず、(b)ナフトキノンジアジド化合物、及び、必要に応じて光酸発生剤、増感剤、熱酸発生剤又は架橋剤を秤量する。そこに、(c)溶剤、及び、必要に応じて界面活性剤を添加し、撹拌して溶解した後、(a)ポリシロキサンを添加し、さらに撹拌して均一な溶液とすることで、ポジ型感光性組成物が得られる。
本発明のポジ型感光性組成物を用いた、硬化膜の形成方法について説明する。ポジ型感光性組成物を、スピナー又はスリット等の公知の方法によって下地基板上に塗布し、ホットプレート又はオーブン等の加熱装置でプリベークする。プリベークは、50〜150℃の範囲で30秒〜30分間行い、プリベーク後の膜厚は、0.1〜15μmとするのが好ましい。
プリベーク後、ステッパー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)又はパラレルライトマスクアライナー(PLA)等の紫外可視露光機を用い、10〜4000J/m2程度(波長365nm露光量換算)の露光量で、所望のマスクを介してパターン露光する。
露光後、現像により露光部を溶解させることで、ポジパターンが得られる。ここで現像の方法としては、シャワー、ディップ又はパドル等の方法で、露光後の膜を現像液に5秒〜10分間浸漬することが好ましい。現像液としては、公知のアルカリ現像液を用いることができる。アルカリ現像液としては、例えば、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩若しくはホウ酸塩等の無機アルカリ、2−ジエチルアミノエタノール、モノエタノールアミン若しくはジエタノールアミン等のアミン類又は水酸化テトラメチルアンモニウム若しくはコリン等の4級アンモニウム塩を含む水溶液が挙げられる。また、現像後は水でリンスすることが好ましく、必要であればホットプレート又はオーブン等の加熱装置で、50〜150℃の範囲で脱水乾燥ベークを行っても構わない。
その後、ブリーチング露光を行うことが好ましい。ブリーチング露光を行うことによって、膜中に残存する未反応のナフトキノンジアジド化合物が光分解して、膜の光透明性がさらに向上する。ブリーチング露光の方法としては、例えば、PLA等の紫外可視露光機を用い、100〜20000J/m2程度(波長365nm露光量換算)の露光量で、全面を露光する方法が挙げられる。
ブリーチング露光をした膜は必要に応じて、ホットプレート又はオーブン等の加熱装置で、50〜150℃の範囲で30秒〜30分間ソフトベークを行った後、さらにホットプレート又はオーブン等の加熱装置で、150〜450℃の範囲で1時間程度キュアすることで、表示素子におけるTFT用平坦化膜、半導体素子における層間絶縁膜又は又光導波路におけるコアやクラッド材といった硬化膜を形成することができる。
本発明のポジ型感光性組成物から形成された硬化膜は、波長400nmにおける膜厚2μm当たりの光線透過率が90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。光線透過率が90%未満であると、液晶表示素子のTFT基板用平坦化膜として用いた場合、バックライトが通過する際に色変化が起こり、白色表示が黄色味を帯びる。
前記の波長400nmにおける膜厚2μm当たりの光線透過率は、以下の方法により求めることができる。まず、ポジ型感光性組成物を、スピンコーターを用いて任意の回転数でテンパックスガラス板にスピンコートし、ホットプレートを用いて100℃で3分間プリベークする。その後、ブリーチング露光として、PLAを用いて、膜全面に超高圧水銀灯を1000J/m2(波長365nm露光量換算)の露光量で露光し、オーブンを用いて空気中220℃で1時間熱硬化させて、膜厚2μmの硬化膜を形成する。形成された硬化膜の紫外可視吸収スペクトルを、(株)島津製作所製MultiSpec−1500を用いて測定し、波長400nmでの光線透過率を求める。
本発明のポジ型感光性組成物から形成された硬化膜は、表示素子におけるTFT用平坦化膜、半導体素子における層間絶縁膜、タッチパネル用の絶縁膜若しくは保護膜又は光導波路におけるコアやクラッド材等に、好適に使用される。
本発明のポジ型感光性組成物から形成された硬化膜を具備する素子とは、高透明性の硬化膜を具備する表示素子、半導体素子又は光導波路材をいう。
以下に本発明をその実施例及び比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明の様態はこれらに限定されるものではない。
(合成例1 ポリシロキサン溶液(PS−1)の合成)
500mLの三口フラスコに4−メチルフェニルトリメトキシシラン(アルキル基で置換されたフェニル基を有する化合物)212g(1mol)、ジアセトンアルコール(以下、DAA)を225g室温で撹拌しながら水54gにリン酸1.06gを溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを70℃のオイルバスに浸けて1時間撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから30分加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が43重量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−1)を得た。得られたポリマーのMwは3500であった。ポリマーのMwはGPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィー)(展開溶剤:テトラヒドロフラン、展開速度:0.4mL/分)を用いてポリスチレン換算で測定した。
500mLの三口フラスコに4−メチルフェニルトリメトキシシラン(アルキル基で置換されたフェニル基を有する化合物)212g(1mol)、ジアセトンアルコール(以下、DAA)を225g室温で撹拌しながら水54gにリン酸1.06gを溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを70℃のオイルバスに浸けて1時間撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから30分加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が43重量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−1)を得た。得られたポリマーのMwは3500であった。ポリマーのMwはGPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィー)(展開溶剤:テトラヒドロフラン、展開速度:0.4mL/分)を用いてポリスチレン換算で測定した。
(合成例2 ポリシロキサン溶液(PS−2)の合成)
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを54.8g(0.4mol)、ナフチルトリメトキシシラン(ナフチル基を有する化合物)124.2g(0.5mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン24.6g(0.1mol)、DAA213gを仕込み、室温で撹拌しながら水54gにリン酸1.02gを溶かしたリン酸水溶液を30分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから60分加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。得られたポリシロキサンのDAA溶液が、ポリマー濃度が43重量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−2)を得た。得られたポリマーのMwは7500であった。
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを54.8g(0.4mol)、ナフチルトリメトキシシラン(ナフチル基を有する化合物)124.2g(0.5mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン24.6g(0.1mol)、DAA213gを仕込み、室温で撹拌しながら水54gにリン酸1.02gを溶かしたリン酸水溶液を30分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから60分加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。得られたポリシロキサンのDAA溶液が、ポリマー濃度が43重量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−2)を得た。得られたポリマーのMwは7500であった。
(合成例3 ポリシロキサン溶液(PS−3)の合成)
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを54.8g(0.4mol)、p−メトキシフェニルトリメトキシシラン(オキシアルキル基で置換されたフェニル基を有する化合物)79.8g(0.35mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン61.6g(0.25mol)、DAAを203g仕込み、室温で撹拌しながら水54gにリン酸1.56gを溶かしたリン酸水溶液を30分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから60分加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。得られたポリシロキサンのDAA溶液が、ポリマー濃度が43重量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−3)を得た。得られたポリマーのMwは5500であった。
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを54.8g(0.4mol)、p−メトキシフェニルトリメトキシシラン(オキシアルキル基で置換されたフェニル基を有する化合物)79.8g(0.35mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン61.6g(0.25mol)、DAAを203g仕込み、室温で撹拌しながら水54gにリン酸1.56gを溶かしたリン酸水溶液を30分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから60分加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。得られたポリシロキサンのDAA溶液が、ポリマー濃度が43重量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−3)を得た。得られたポリマーのMwは5500であった。
(合成例4 ポリシロキサン溶液(PS−4)の合成)
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを54.5g(0.4mol)、1,3−ジメトキシフェニルトリメトキシシラン(オキシアルキル基で置換されたフェニル基を有する化合物)129.1g(0.5mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン24.6g(0.1mol)、DAAを220g仕込み、室温で撹拌しながら水54gにリン酸1.67gを溶かしたリン酸水溶液を30分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから60分加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。得られたポリシロキサンのDAA溶液が、ポリマー濃度が43重量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−4)を得た。得られたポリマーのMwは6500であった。
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを54.5g(0.4mol)、1,3−ジメトキシフェニルトリメトキシシラン(オキシアルキル基で置換されたフェニル基を有する化合物)129.1g(0.5mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン24.6g(0.1mol)、DAAを220g仕込み、室温で撹拌しながら水54gにリン酸1.67gを溶かしたリン酸水溶液を30分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから60分加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。得られたポリシロキサンのDAA溶液が、ポリマー濃度が43重量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−4)を得た。得られたポリマーのMwは6500であった。
(合成例5 ポリシロキサン溶液(PS−5)の合成)
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを74.9g(0.55mol)、2−メチル−1−ナフチルトリメトキシシラン(アルキル基で置換されたナフチル基を有する化合物)65.5g(0.25mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン24.6g(0.1mol)、テトラエトキシシラン15.2g(0.1mol)、DAAを181g仕込み、室温で撹拌しながら水55.8gにリン酸1.44gを溶かしたリン酸水溶液を30分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから60分加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。得られたポリシロキサンのDAA溶液が、ポリマー濃度が43重量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−5)を得た。得られたポリマーのMwは3000であった。
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを74.9g(0.55mol)、2−メチル−1−ナフチルトリメトキシシラン(アルキル基で置換されたナフチル基を有する化合物)65.5g(0.25mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン24.6g(0.1mol)、テトラエトキシシラン15.2g(0.1mol)、DAAを181g仕込み、室温で撹拌しながら水55.8gにリン酸1.44gを溶かしたリン酸水溶液を30分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから60分加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。得られたポリシロキサンのDAA溶液が、ポリマー濃度が43重量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−5)を得た。得られたポリマーのMwは3000であった。
(合成例6 ポリシロキサン溶液(PS−6)の合成)
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシラン74.23g(0.55モル)、フェニルトリメトキシシラン69.41g(0.35モル)、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン21.82g(0.1mol)、DAA132.4gを仕込み、室温で撹拌しながら水52.02gにリン酸0.319gを溶かしたリン酸水溶液を30分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから35分加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40重量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−6)を得た。得られたポリマーのMwは4300であった。
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシラン74.23g(0.55モル)、フェニルトリメトキシシラン69.41g(0.35モル)、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン21.82g(0.1mol)、DAA132.4gを仕込み、室温で撹拌しながら水52.02gにリン酸0.319gを溶かしたリン酸水溶液を30分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから35分加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40重量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−6)を得た。得られたポリマーのMwは4300であった。
(合成例7 ポリシロキサン溶液(PS−7)の合成)
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを54.48g(0.40mol)、フェニルトリメトキシシランを99.15g(0.50mol)、(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを24.64g(0.10mol)、DAAを180g仕込み、撹拌しながらオイルバスで40℃に加熱した。さらに撹拌しながら水55.80gにリン酸0.54g(仕込みモノマーに対して0.30wt%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。添加終了後、40℃で30分撹拌して加水分解を行った。その後、バス温を70℃にして1時間撹拌した後、続いてバス温を115℃まで昇温した。昇温開始後、約1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌し(内温は100〜110℃)、ポリシロキサン溶液(PS−7)を得た。
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを54.48g(0.40mol)、フェニルトリメトキシシランを99.15g(0.50mol)、(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを24.64g(0.10mol)、DAAを180g仕込み、撹拌しながらオイルバスで40℃に加熱した。さらに撹拌しながら水55.80gにリン酸0.54g(仕込みモノマーに対して0.30wt%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。添加終了後、40℃で30分撹拌して加水分解を行った。その後、バス温を70℃にして1時間撹拌した後、続いてバス温を115℃まで昇温した。昇温開始後、約1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌し(内温は100〜110℃)、ポリシロキサン溶液(PS−7)を得た。
ポリマー濃度が40重量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(PS−6)を得た。得られたポリマーのMwは2500であった。
(合成例8 キノンジアジド化合物(QD−1)の合成)
乾燥窒素気流下、TrisP−PA(本州化学工業(株)製)21.23g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド37.62g(0.14mol)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.58g(0.154mol)を系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入した。その後、析出した沈殿を濾過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、エステル化率93%の下記構造のキノンジアジド化合物(QD−1)を得た。
乾燥窒素気流下、TrisP−PA(本州化学工業(株)製)21.23g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド37.62g(0.14mol)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.58g(0.154mol)を系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入した。その後、析出した沈殿を濾過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、エステル化率93%の下記構造のキノンジアジド化合物(QD−1)を得た。
(合成例9 キノンジアジド化合物(QD−2)の合成)
乾燥窒素気流下、TrisP−HPA(本州化学工業(株)製)15.32g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド30.9g(0.115mol)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン13.03g(0.127mol)を系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入した。その後、析出した沈殿を濾過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、エステル化率93%の下記構造のキノンジアジド化合物(QD−2)を得た。
乾燥窒素気流下、TrisP−HPA(本州化学工業(株)製)15.32g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド30.9g(0.115mol)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン13.03g(0.127mol)を系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入した。その後、析出した沈殿を濾過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、エステル化率93%の下記構造のキノンジアジド化合物(QD−2)を得た。
(実施例1)
黄色灯下、表1記載の組成に従って、合成例8で得られたキノンジアジド化合物(QD−1)を、溶剤であるDAA及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEA)で溶解し、合成例1で得られたポリシロキサン溶液(PS−1)を混合、撹拌して均一溶液とした後、0.45μmのフィルターで濾過して組成物1を調製した。
黄色灯下、表1記載の組成に従って、合成例8で得られたキノンジアジド化合物(QD−1)を、溶剤であるDAA及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEA)で溶解し、合成例1で得られたポリシロキサン溶液(PS−1)を混合、撹拌して均一溶液とした後、0.45μmのフィルターで濾過して組成物1を調製した。
調製した組成物1を、単層Crをスパッタにより成膜したガラス基板((株)倉元製作所製)、OA−10ガラス板(日本電気硝子(株)製)、Mo/Al/Moをスパッタにより成膜したガラス基板、及びITO基板(三容真空工業(株)製)にスピンコーター(1H−360S;ミカサ(株)製)を用いて任意の回転数でスピンコートした後、ホットプレート(SCW−636;大日本スクリーン製造(株)製)を用いて100℃で2分間プリベークし、膜厚2μmの膜を作製した。作製した膜をマスクアライナー(PEM−6M;ユニオン光学(株)製)を用いて、超高圧水銀灯を感度測定用のグレースケールマスクを介してパターン露光した後、自動現像装置(AD−2000;滝沢産業(株)製)を用いて2.38重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液であるELM−D(三菱ガス化学(株)製)で90秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスした。その後、ブリーチング露光として、PLA(PLA−501F;キャノン(株)製)を用いて、膜全面に超高圧水銀灯を1000J/m2(波長365nm露光量換算)露光した。その後、オーブン(IHPS−222;タバイエスペック(株)製)を窒素中100℃に設定し、各基板をオーブンに投入する。その後3.5℃/分で220℃まで昇温し、220℃にて1時間キュアして硬化膜を作製した。
感光特性、及び硬化膜特性の評価結果を表1に示す。なお、表中の評価は以下の方法で行った。特記した以外の評価では、単層Crをスパッタ成膜したガラス基板を用いた。
(膜厚測定)
ラムダエースSTM−602(大日本スクリーン製)を用いて、屈折率1.55で測定を行った。
ラムダエースSTM−602(大日本スクリーン製)を用いて、屈折率1.55で測定を行った。
(残膜率の算出)
残膜率は、以下の計算式(A)に従って算出した。
残膜率(%)=
現像後の未露光部膜厚÷プリベーク後の膜厚×100 ・・・ (A)
(感度の算出)
露光、現像後、10μmのライン・アンド・スペースパターンを1対1の幅に形成する露光量(以下、これを最適露光量という)を感度とした。
残膜率は、以下の計算式(A)に従って算出した。
残膜率(%)=
現像後の未露光部膜厚÷プリベーク後の膜厚×100 ・・・ (A)
(感度の算出)
露光、現像後、10μmのライン・アンド・スペースパターンを1対1の幅に形成する露光量(以下、これを最適露光量という)を感度とした。
(解像度評価)
最適露光量におけるキュア後の最小パターン寸法が5μm以下であるものを○、5μm以上であるものを×とした。
最適露光量におけるキュア後の最小パターン寸法が5μm以下であるものを○、5μm以上であるものを×とした。
(光線透過率の測定)
MultiSpec−1500((株)島津製作所)を用いて、まずOA−10ガラス板のみを測定し、その紫外可視吸収スペクトルをリファレンスとした。次にOA−10ガラス板上に組成物の硬化膜を形成(パターン露光は行わない)し、このサンプルをシングルビームで測定し、2μmあたりの波長400nmでの光線透過率を求め、リファレンスとの差異を硬化膜の光線透過率とした。
MultiSpec−1500((株)島津製作所)を用いて、まずOA−10ガラス板のみを測定し、その紫外可視吸収スペクトルをリファレンスとした。次にOA−10ガラス板上に組成物の硬化膜を形成(パターン露光は行わない)し、このサンプルをシングルビームで測定し、2μmあたりの波長400nmでの光線透過率を求め、リファレンスとの差異を硬化膜の光線透過率とした。
(NMPに対する耐薬品性評価(NMP浸漬後のキュア膜膨潤率測定))
ガラス基板上に、組成物の硬化膜を形成し、未露光部の膜厚を測定する。この硬化膜を40℃に加熱したNMP(長瀬産業(株)製)に7分間浸漬した後、水で2分間リンスし、再度未露光部の膜厚を測定し、以下の計算式(B)に従って膨順率を算出した。
ガラス基板上に、組成物の硬化膜を形成し、未露光部の膜厚を測定する。この硬化膜を40℃に加熱したNMP(長瀬産業(株)製)に7分間浸漬した後、水で2分間リンスし、再度未露光部の膜厚を測定し、以下の計算式(B)に従って膨順率を算出した。
NMP浸漬後のキュア膜膨潤率(%)=
現像後の未露光部膜厚÷プリベーク後の膜厚×100 ・・・ (B)
(アルカリ薬液に対する耐薬品性評価(アルカリ薬液浸漬後の密着性評価))
Mo/Al/Moをスパッタ成膜したガラス基板上に、組成物の硬化膜を形成し、この硬化膜を30℃に加熱したアルカリ薬液N321(長瀬産業(株)製)に30秒間浸漬した後、水で2分間リンスした。次いで、JIS K5600−5−6規格(1999年制定)に基づき、クロスカット試験を行った。
現像後の未露光部膜厚÷プリベーク後の膜厚×100 ・・・ (B)
(アルカリ薬液に対する耐薬品性評価(アルカリ薬液浸漬後の密着性評価))
Mo/Al/Moをスパッタ成膜したガラス基板上に、組成物の硬化膜を形成し、この硬化膜を30℃に加熱したアルカリ薬液N321(長瀬産業(株)製)に30秒間浸漬した後、水で2分間リンスした。次いで、JIS K5600−5−6規格(1999年制定)に基づき、クロスカット試験を行った。
(酸薬液に対する耐薬品性評価(酸薬液浸漬後の密着性評価))
ITOをスパッタ成膜したガラス基板上に、組成物の硬化膜を形成し、この硬化膜を50℃に加熱した酸薬液(重量比:濃塩酸/濃硝酸/水=50/7.5/42.5)に80秒間浸漬した後、水で2分間リンスした。次いで、JIS K5600−5−6規格(1999年制定)に基づき、クロスカット試験を行った。
ITOをスパッタ成膜したガラス基板上に、組成物の硬化膜を形成し、この硬化膜を50℃に加熱した酸薬液(重量比:濃塩酸/濃硝酸/水=50/7.5/42.5)に80秒間浸漬した後、水で2分間リンスした。次いで、JIS K5600−5−6規格(1999年制定)に基づき、クロスカット試験を行った。
(高温処理時のベンゼン発生量測定)
シリコンウエハー上に組成物の硬化膜を形成し、ヘリウム雰囲気下にて室温から20℃/分で310℃まで昇温させ、さらに310℃で15分保持し、この間に発生したベンゼンをQP5050A(GC/MS装置;島津製作所製)にて定量測定を行った。
シリコンウエハー上に組成物の硬化膜を形成し、ヘリウム雰囲気下にて室温から20℃/分で310℃まで昇温させ、さらに310℃で15分保持し、この間に発生したベンゼンをQP5050A(GC/MS装置;島津製作所製)にて定量測定を行った。
(実施例2〜11、比較例1〜3)
組成物1と同様に、組成物2〜14を、表1に記載の組成にて調製した。なお溶剤としてはDAA及びPGMEAを用いた。また、光酸発生剤として用いたCGI−MDT(チバジャパン(株)製))はN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドトリフルオロメタンスルホネート、増感剤として用いたDBA(川崎化成工業(株)製)は9,10−ジブチルトキシアントラセン、熱架橋性化合物として用いたニカラックMX−270(三和ケミカル(株)製)は、下記の構造である。
組成物1と同様に、組成物2〜14を、表1に記載の組成にて調製した。なお溶剤としてはDAA及びPGMEAを用いた。また、光酸発生剤として用いたCGI−MDT(チバジャパン(株)製))はN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドトリフルオロメタンスルホネート、増感剤として用いたDBA(川崎化成工業(株)製)は9,10−ジブチルトキシアントラセン、熱架橋性化合物として用いたニカラックMX−270(三和ケミカル(株)製)は、下記の構造である。
得られた各組成物を用いて、実施例1と同様にして各組成物の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
本発明の感光性シロキサン組成物を硬化して形成される硬化膜は、耐熱性絶縁膜、TFT基板用平坦化膜、層間絶縁膜又はコア若しくはクラッド材等の素子材料として好適に用いられる。
Claims (4)
- (a)下記一般式(1)で表される化合物を加水分解及び縮合させて得られるポリシロキサン、
(b)キノンジアジド化合物、並びに、
(c)溶剤、を含有する、感光性シロキサン組成物。
- 請求項1又は2記載の感光性シロキサン組成物から形成された、硬化膜。
- 請求項3記載の硬化膜を具備する、素子。
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KR20210084595A (ko) | 2018-10-30 | 2021-07-07 | 샌트랄 글래스 컴퍼니 리미티드 | 수지 조성물, 감광성 수지 조성물, 경화막, 경화막의 제조 방법, 패턴 경화막 및 패턴 경화막의 제작 방법 |
CN114040948A (zh) * | 2019-06-26 | 2022-02-11 | 默克专利有限公司 | 栅极绝缘膜形成用组合物 |
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- 2013-01-31 JP JP2013016389A patent/JP2014149330A/ja active Pending
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