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JP2014144925A - イミド−ウレア化合物及びその製造方法、グリース用増ちょう剤並びにグリース組成物 - Google Patents

イミド−ウレア化合物及びその製造方法、グリース用増ちょう剤並びにグリース組成物 Download PDF

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JP2014144925A JP2013014180A JP2013014180A JP2014144925A JP 2014144925 A JP2014144925 A JP 2014144925A JP 2013014180 A JP2013014180 A JP 2013014180A JP 2013014180 A JP2013014180 A JP 2013014180A JP 2014144925 A JP2014144925 A JP 2014144925A
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Abstract

【課題】新規なイミド−ウレア化合物を提供すること。特にグリースの増ちょう剤として用いられたときに、高温下における耐久性に優れるイミド−ウレア化合物を提供すること。
【解決手段】本発明は、下記一般式(1)で表されるイミド−ウレア化合物を提供する。本発明のイミド−ウレア化合物は、特にグリースの増ちょう剤として用いられたときに、高温下における耐久性に優れる。
【化1】
Figure 2014144925

[式中、R及びXはそれぞれ1価の有機基を示す。]
【選択図】図1

Description

本発明は、イミド−ウレア化合物及びその製造方法、グリース用増ちょう剤並びにグリース組成物に関する。
機械システムの高性能化、高出力化、高効率化、小型化にともない、軸受、歯車などの機械要素の使用環境が厳しくなり、これらに使用されるグリースにはより耐熱性の高いものが求められるようになっている。たとえば自動車においては、小型軽量化を目的としたFF(前輪駆動)化や車内の居住空間の拡大要望により、エンジンルーム空間の減少が進んでいる。エンジンルーム空間の減少には、エンジンルーム内の各部品の小型軽量化が必要とされ、上記の電装部品・エンジン補機においても一層の小型軽量化が進められている。一方、電装部品・エンジン補機にも高性能・高出力化が求められている。しかし、小型化による出力の低下は避けられないため、例えばオルタネータやカーエアコン用電磁クラッチでは高速化することにより出力の低下分を補っているが、これに伴いアイドラプーリも同様に高速化することになり、潤滑箇所で発熱が助長される。また、エンジン稼働時の静粛化を図るべくエンジンルームの密閉化が進められているが、この場合もエンジンルーム内の高温化が促進されることとなる。
さらに、コンプレッサー用プーリ、カーエアコン電磁クラッチ用軸受では、主に、複列アンギュラ玉軸受が使用されていたが、近時、プーリや電磁クラッチの軽量化や低コスト化のため、単列軸受を使用する傾向にある。複列アンギュラ玉軸受と使用条件を同じにして使用される単列玉軸受では、軸受の負荷容量の限界を表すPV値(軸受面圧Pとすべり速度Vとの積)が大きくなること、軸受空間容積が小さいことなどから、グリース封入量が少なく、グリースの発熱量が多い条件で使用される傾向にある。
このように、電装部品やエンジン補機の使用条件は益々苛酷となっているため、これらの転がり軸受に適用されるグリースには、特に高温下での耐久性向上が必要となってきている。さらに近年では、より安価なコストパフォーマンスに優れるグリースが望まれている。
従来のグリースとして、特許文献1〜5にはウレア系増ちょう剤を用いたグリース組成物が開示されている。これらウレア系グリースの耐熱温度は180℃程度であり、これより高温域に耐えうるグリースとしては、フッ素系グリースが知られている。フッ素系グリースは、パーフルオロポリエーテルを基油とし、四フッ化エチレンを増ちょう剤として配合したグリース組成物であるが、特殊な化学合成基油を用いていることから非常に高価であり、より安価な耐熱グリースが求められている。
また、特許文献6〜7には、耐熱性の高いグリースの一例として、イミド系増ちょう剤を用いたグリース組成物が開示されている。
特開2004−359809号公報 特開2003−342593号公報 特開2010−077320号公報 特開2009−197162号公報 特開2008−231310号公報 特開昭54−113605号公報 特開昭57−109896号公報
本発明の目的は、新規なイミド−ウレア化合物及びその製造方法を提供すること、特にグリースの増ちょう剤として用いられたときに、高温下における耐久性に優れるイミド−ウレア化合物およびその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、そのイミド−ウレア化合物を用いたグリース用増ちょう剤及びグリース組成物を提供することにある。
本発明は、下記一般式(1)で表されるイミド−ウレア化合物を提供する。
Figure 2014144925

[式中、R及びXはそれぞれ1価の有機基を示す。]
本発明のイミド−ウレア化合物は、下記一般式(2)又は(3)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2014144925

Figure 2014144925

[式中、Xはモノイソシアネートからイソシアネート基を除いた残基を示し、Xは2価の有機基を示し、R及びRは1価の有機基を示し、R及びRは同一でも異なっていてもよい。]
また、本発明は、下記一般式(4)で表されるニトロフタル酸無水物と下記一般式(5)で表されるモノアミンとを反応させて下記一般式(6)で表されるニトロフタル酸無水物イミド誘導体を得、前記ニトロフタル酸無水物の水素化還元により下記一般式(7)で表されるアミノフタル酸無水物イミド誘導体を得る第1の工程と、
前記アミノフタル酸無水物イミド誘導体と下記一般式(8)で表されるイソシアネートとを反応させて上記一般式(1)で表されるイミド−ウレア化合物を得る第2の工程と、を備えるイミド−ウレア化合物の製造方法を提供する。
Figure 2014144925

Figure 2014144925

Figure 2014144925

Figure 2014144925

Figure 2014144925

[式中、R及びXはそれぞれ1価の有機基を示す。]
また、本発明は、上記本発明のイミド−ウレア化合物を含有するグリース用増ちょう剤を提供する。
また、本発明は、潤滑油基油と、上記本発明のイミド−ウレア化合物とを含有するグリース組成物を提供する。
なお、本発明者らの検討によれば、上記特許文献1〜7に開示されるようなウレア系増ちょう剤を用いたグリース組成物の場合、高温下で使用した場合など、使用環境によっては十分な耐久性が得られないことが判明した。これに対して、本発明のイミド−ウレア化合物、グリース用増ちょう剤及びグリース組成物は、高温下で使用した場合にも十分な耐久性を発揮できるものであることを本発明者らは確認している。
以上の通り、本発明によれば、新規なイミド−ウレア化合物、特にグリースの増ちょう剤として用いられたときに、高温下における耐久性に優れるイミド−ウレア化合物及びその製造方法を提供することが可能となる。
また、本発明によれば、高温下で使用した場合にも十分な耐久性を発揮できるグリース用増ちょう剤及びグリース組成物を提供することが可能となる。
実施例1で得られたイミド−ウレア化合物の赤外吸収スペクトルを示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態:イミド−ウレア化合物]
本発明の第1実施形態に係るイミド−ウレア化合物は、下記一般式(1)で表される構造を有する。
Figure 2014144925

[式中、R及びXはそれぞれ1価の有機基を示す。]
本実施形態に係るイミド−ウレア化合物の好ましい例としては、下記一般式(2)又は一般式(3)で表されるイミド−ウレア化合物が挙げられる。一般式(2)で表されるイミド−ウレア化合物はイミド基を1個有し、ウレア基を1個有する。また、一般式(3)で表されるイミド−ウレア化合物はイミド基を2個有し、ウレア基を2個有する。
Figure 2014144925

Figure 2014144925

[式中、Xは1価の有機基を示し、Xは2価の有機基を示し、R及びRは1価の有機基を示し、R及びRは同一でも異なっていてもよい。]
はモノイソシアネートから1つのイソシアネート基を除いた1価の残基である。モノイソシアネートは、脂肪族、芳香族炭化水素または複素環化合物、若しくはこれらの誘導体に1つのイソシアネート基が付加された化合物として定義される。Xなる構造の元となるモノイソシアネートモノマーの中には次のもの又はそれらの混合物があるが、これらに限定されるものではない。
脂肪族モノイソシアネートとしては、例えば、直鎖又は分岐の脂肪族モノイソシアネート、脂環式モノイソシアネート、又は芳香族モノイソシアネートが例示でき、炭素数6〜20、好ましくは8〜18の炭化水素残基を有し、直鎖状又は分枝状のアルキルモノイソシアネート、直鎖状又は分枝状のアルケニルモノイソシアネート、シクロアルキルモノイソシアネート、アルキルシクロアルキルモノイソシアネート、アリールモノイソシアネート、アルキルアリールモノイソシアネート、アリールアルキルモノイソシアネート等が挙げられる。具体例としてはヘキシルモノイソシアネート、ヘプチルモノイソシアネート、オクチルモノイソシアネート、ノニルモノイソシアネート、デシルモノイソシアネート、ウンデシルモノイソシアネート、ドデシルモノイソシアネート、トリデシルモノイソシアネート、テトラデシルモノイソシアネート、ペンタデシルモノイソシアネート、ヘキサデシルモノイソシアネート、ヘプタデシルモノイソシアネート、オクタデシルモノイソシアネート、ノナデシルモノイソシアネート、エイコシルモノイソシアネート等の直鎖状又は分枝状のアルキルモノイソシアネート;シクロヘキシルモノイソシアネート;メチルシクロヘキシルモノイソシアネート、ジメチルシクロヘキシルモノイソシアネート、エチルシクロヘキシルモノイソシアネート、ジエチルシクロヘキシルモノイソシアネート、プロピルシクロヘキシルモノイソシアネート、イソプロピルシクロヘキシルモノイソシアネート、1−メチル−3−プロピルシクロヘキシルモノイソシアネート、ブチルシクロヘキシルモノイソシアネート、アミルシクロヘキシルモノイソシアネート、アミルメチルシクロヘキシルモノイソシアネート、ヘキシルシクロヘキシルモノイソシアネート、ヘプチルシクロヘキシルモノイソシアネート、オクチルシクロヘキシルモノイソシアネート、ノニルシクロヘキシルモノイソシアネート、デシルシクロヘキシルモノイソシアネート、ウンデシルシクロヘキシルモノイソシアネート、ドデシルシクロヘキシルモノイソシアネート、トリデシルシクロヘキシルモノイソシアネート、テトラデシルシクロヘキシルモノイソシアネート等のアルキルシクロアルキルモノイソシアネート;フェニルモノイソシアネート、ナフチルモノイソシアネート等のアリールモノイソシアネート;トルイルモノイソシアネート、エチルフェニルモノイソシアネート、キシリルモノイソシアネート、プロピルフェニルモノイソシアネート、クメニルモノイソシアネート、メチルナフチルモノイソシアネート、エチルナフチルモノイソシアネート、ジメチルナフチルモノイソシアネート、プロピルナフチルモノイソシアネート等のアルキルアリールモノイソシアネート;ベンジルモノイソシアネート、メチルベンジルモノイソシアネート、エチルベンジルモノイソシアネート等のアリールアルキルモノイソシアネート等を挙げることができる。
なる構造の元となるモノイソシアネートモノマーとしては、潤滑性及びグリース性能の点からは、直鎖又は分岐の脂肪族モノイソシアネートが好ましい。直鎖又は分岐の脂肪族モノイソシアネートの炭素数は、好ましくは4〜20、より好ましくは8〜20である。また、脂肪族モノイソシアネートは直鎖又は分岐の飽和脂肪族モノイソシアネート又は不飽和脂肪族モノイソシアネートのいずれであってもよいが、酸化安定性に優れることから、直鎖又は分岐の飽和脂肪族モノイソシアネートが好ましい。
また、耐熱性の点からは、脂環式モノイソシアネートが好ましい。脂環式モノイソシアネートの炭素数は、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜10である。また、脂環族モノイソシアネートは飽和脂環式モノイソシアネート又は不飽和脂環式モノイソシアネートのいずれであってもよいが、酸化安定性に優れることから、飽和脂環式モノイソシアネートが好ましい。
さらに潤滑性及び耐熱性の点からは、芳香族モノイソシアネートが好ましい。芳香族モノイソシアネートの炭素数は、好ましくは6〜20、より好ましくは8〜20である。
は2価の有機基を示し、好ましくはジイソシアネートから2つのイソシアネート基を除いた2価の残基を示す。ジイソシアネートは、脂肪族、芳香族炭化水素または複素環化合物、若しくはこれらの誘導体に2つのイソシアネート基が付加された化合物として定義される。Xなる構造の元となるジイソシアネートモノマーの中には次のもの又はそれらの混合物があるが、これらに限定されるものではない。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば飽和および又は不飽和の直鎖状、分岐鎖、又は脂環式の炭化水素基を有するジイソシアネートが挙げられる。具体的にはメチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,5−ジメチルヘキサメチレンジイソシアネート、3−メトキシヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、2,5−ジメチルヘプタメチレンジイソシアネート、3−メチルヘプタメチレンジイソシアネート、4,4−ジメチルヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、5−メチルノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4,4'−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルイソシアネート)、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン、1,3−ジイソシアナトアダマンタン、イソホロンジイソシアネート、1,8−ジイソシアナトp−メンタンなどを挙げることができる。
芳香族ジイソシアネートとしては、o−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトナフタレン、1,5−ジイソシアナトナフタレン、1,8−ジイソシアナトナフタレン、2,6−ジイソシアナトナフタレン、2,7−ジイソシアナトナフタレン、1,8−ジイソシアナトアントラセン、2,6−ジイソシアナトアントラセン、2,7−ジイソシアナトアントラセン、2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、2,4−ジイソシアナト(m−キシレン)、2,5−ジイソシアナト(m−キシレン)、1,1−ビス(3−イソシアナトフェニル)エタン、1,1−ビス(4−イソシアナトフェニル)エタン、2,2−ビス(3−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−イソシアナト3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,5−ジイソシアナトピリジン、2,6−ジイソシアナトピリジン、3,5−ジイソシアナトピリジン、2,4−ジイソシアナトトルエンベンジジン、3,3’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジイソシアナトベンゾフェノン、4,4’−ジイソシアナトベンゾフェノン、3,3’−ジイソシアナトジフェニルエーテル、4,4’−ジイソシアナトジフェニルエーテル、3,3’−ジイソシアナトジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナト3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン、3,3’−ジイソシアナトジフェニルスルホン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルスルホン、3,3’−ジイソシアナトジフェニルスルフィド、4,4’−ジイソシアナトジフェニルスルフィド、4,4’−ジイソシアナトジフェニルチオエーテル、4,4’−ジイソシアナト3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルエーテル、4,4’−ジイソシアナト3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−イソシアナトフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−イソシアナトフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−イソシアナトフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−イソシアナトフェノキシ)ベンゼン、2,6−ビス(3−イソシアナトフェノキシ)ピリジン、1,4−ビス(3−イソシアナトフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−イソシアナトフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−イソシアナトフェニルチオエーテル)ベンゼン、1,4−ビス(4−イソシアナトフェニルチオエーテル)ベンゼン、4,4’−ビス(3−イソシアナトフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(4−イソシアナトフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(4−イソシアナトフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−イソシアナトフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−イソシアナトフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−イソシアナトフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−イソシアナトフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−メチル−4−(4−イソシアナトフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−クロロ−4−(4−イソシアナトフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(4−イソシアナトフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−イソシアナトフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−メチル−4−(4−イソシアナトフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−クロロ−4−(4−イソシアナトフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−イソシアナトフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(4−イソシアナトフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−イソシアナトフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−クロロ−4−(4−イソシアナトフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−イソシアナトフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−イソシアナトフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−イソシアナトフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−イソシアナトフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(4−イソシアナトフェノキシ)フェニル]ブタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−イソシアナトフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[3−メチル−4−(4−イソシアナトフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(3−イソシアナトフェニル)テトラメチルジシラン、ビス(4−イソシアナトフェニル)テトラメチルジシラン、ビス(3−メチル−4−イソシアナトフェニル)テトラメチルジシラン、ビス(3−イソシアナトフェノキシ)テトラメチルジシラン、ビス(4−イソシアナトフェノキシ)テトラメチルジシラン、ビス(3−イソシアナトフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビス(4−イソシアナトフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等が例示できる。
なる構造の元となるジイソシアネートモノマーとしては、芳香族炭化水素に2つのイソシアネート基が結合した化合物が、特には(a)ジイソシアナトトルエン又はその誘導体及び(b)ジイソシアナトジフェニルメタンまたはその誘導体が好ましい。
及びRは1価の有機基を示し、好ましくは脂肪族モノアミン、脂環式モノアミン又は芳香族モノアミンから1つのアミノ基を除いた1価の残基を示す。R及びRなる構造の元となるモノアミンとしては以下に示すモノアミン又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
モノアミンとしては、脂肪族アミン、脂環式アミン、又は芳香族アミンが例示でき、炭素数6〜20、好ましくは8〜18の炭化水素残基を有し、直鎖状又は分枝状のアルキルアミン、直鎖状又は分枝状のアルケニルアミン、シクロアルキルアミン、アルキルシクロアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、アリールアルキルアミン等が挙げられる。具体例としてはヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、エイコシルアミン等の直鎖状又は分枝状のアルキルアミン;シクロヘキシルアミン;メチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、エチルシクロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、プロピルシクロヘキシルアミン、イソプロピルシクロヘキシルアミン、1−メチル−3−プロピルシクロヘキシルアミン、ブチルシクロヘキシルアミン、アミルシクロヘキシルアミン、アミルメチルシクロヘキシルアミン、ヘキシルシクロヘキシルアミン、ヘプチルシクロヘキシルアミン、オクチルシクロヘキシルアミン、ノニルシクロヘキシルアミン、デシルシクロヘキシルアミン、ウンデシルシクロヘキシルアミン、ドデシルシクロヘキシルアミン、トリデシルシクロヘキシルアミン、テトラデシルシクロヘキシルアミン等のアルキルシクロアルキルアミン;フェニルアミン、ナフチルアミン等のアリールアミン;トルイルアミン、エチルフェニルアミン、キシリルアミン、プロピルフェニルアミン、クメニルアミン、メチルナフチルアミン、エチルナフチルアミン、ジメチルナフチルアミン、プロピルナフチルアミン等のアルキルアリールアミン;ベンジルアミン、メチルベンジルアミン、エチルベンジルアミン等のアリールアルキルアミン等を挙げることができる。
及びRなる構造の元となるモノアミンのうち、潤滑性及びグリース性能の点からは、直鎖又は分岐の脂肪族モノアミンが好ましい。直鎖又は分岐の脂肪族モノアミンの炭素数は、好ましくは4〜20、より好ましくは8〜20である。また、脂肪族モノアミンは飽和脂肪族モノアミン又は不飽和脂肪族モノアミンのいずれであってもよいが、酸化安定性に優れることから、飽和脂肪族アミンが好ましい。
また、耐熱性の点からは、脂環式モノアミンが好ましい。脂環式モノアミンの炭素数は、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜10である。また、脂環族モノアミンは飽和脂環式モノアミン又は不飽和脂環式モノアミンのいずれであってもよいが、酸化安定性に優れることから、飽和脂環式モノアミンが好ましい。
特に、耐熱性及びグリース性能の点からは、脂肪族鎖式モノアミンと脂環式モノアミン、及び芳香族モノアミンの混合が好ましい。
[第2実施形態:イミド−ウレア化合物の製造方法]
本発明の第2実施形態に係るイミド−ウレア化合物の製造方法は、下記一般式(4)で表されるニトロフタル酸無水物と下記一般式(5)で表されるモノアミンとを反応させて下記一般式(6)で表されるニトロフタル酸無水物イミド誘導体を得、前記ニトロフタル酸無水物の水素化還元により下記一般式(7)で表されるアミノフタル酸無水物イミド誘導体を得る第1の工程と、前記アミノフタル酸無水物イミド誘導体と下記一般式(8)で表されるイソシアネートとを反応させて上記一般式(1)で表されるイミド−ウレア化合物を得る第2の工程と、を備える。
Figure 2014144925

Figure 2014144925

Figure 2014144925

Figure 2014144925

Figure 2014144925

[式中、R及びXはそれぞれ1価の有機基を示す。]
また、本実施形態における第2の工程は、好ましくは、上記一般式(7)で表わされるアミノフタル酸無水物イミド誘導体と下記一般式(9)で表されるモノイソシアネート又は下記一般式(10)で表されるジイソシアネートとを反応させて上記一般式(2)又は上記一般式(3)で表されるイミド−ウレア化合物を得る工程である。
Figure 2014144925

Figure 2014144925

[式中、Xはモノイソシアネートから1つのイソシアネート基を除いた1価の残基を示し、Xは2価の有機基を示し、R及びRは1価の有機基を示し、R及びRは同一でも異なっていてもよい。]
一般式(10)で表されるジイソシアネートを用いた場合、主として一般式(3)で表されるイミド−ウレア化合物が生成する。なお、この場合、副生成物として一般式(7)で表されるアミノフタル酸無水物イミド誘導体と、ジイソシアネートの2個のイソシアネート基のうち一方のみが反応した化合物(すなわち一般式(2)で表されるイミド−ウレア化合物)が生成し得る。後述するグリース用増ちょう剤及びグリース組成物においては、一般式(2)で表されるイミド−ウレア化合物と一般式(3)で表されるイミド−ウレア化合物との混合物のまま用いてもよく、混合物から副生成物を単離して得られる一般式(3)で表されるイミド−ウレア化合物を用いてもよい。
一方、一般式(9)で表されるモノイソシアネートを用いた場合、一般式(2)で表されるイミド−ウレア化合物が生成する。
一般式(9)で表されるモノイソシアネートの具体例及び好ましい例は、第1実施形態におけるXなる構造の元となるモノイソシアネートの具体例及び好ましい例と同様である。また、一般式(10)で表されるジイソシアネートの具体例及び好ましい例は、第1実施形態におけるXなる構造の元となるジイソシアネートの具体例及び好ましい例と同様である。さらに、一般式(5)で表されるモノアミン(一般式(2)中のR並びに一般式(3)中のR及びRなる構造の元となるモノアミンを含む)の具体例及び好ましい例は、第1実施形態におけるXなる構造の元となるジイソシアネートの具体例及び好ましい例と同様である。
第1の工程において、一般式(4)で表されるニトロフタル酸無水物と一般式(5)で表されるモノアミンとの仕込み比は、一般式(4)で表されるニトロフタル酸無水物1モルに対して、一般式(5)で示されるモノアミンが0.8〜1.2モル、特には1.0〜1.1モルとすることが好ましい。また、反応温度は100〜250℃、特には130〜200℃とすることが好ましい。このような温度で反応させることで、脱水環化により一般式(6)で示される反応中間体を高い収率で得ることができる。反応は、当初0℃〜100℃で反応させた後、100〜250℃、特には130〜200℃とすることが好ましい。反応時間は、1〜24時間、特には2〜12時間とすることが好ましい。
第1の工程における一般式(4)で表されるニトロフタル酸無水物と一般式(5)で表されるモノアミンとの反応は、無溶媒、溶媒中又は後に述べる潤滑油基油中で行うことができる。溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン等の有機溶媒、あるいはこれらの2種以上の混合溶媒を用いることができる。
第1の工程における一般式(6)で表わされるニトロフタル酸無水物イミド誘導体のニトロ基の還元は、接触水素化、金属ヒドリドを用いた還元、酸性雰囲気下の亜鉛、鉄、スズを用いた還元等、一般的なニトロ基の手法であれば特に限定されるものではないが、接触水素化が好ましい。例えば、触媒にPd、Pt、Rh、Ru担持炭素を用いることで行い、特にPd、Ptが好ましい。反応溶媒は、無溶媒、エステル、エーテル、アルコールなど基質を溶解するものであれば特に限定されないが溶解性等から酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステルが好ましく、反応温度は10〜200℃、特には25〜100℃が好ましい。水素圧力は大気圧〜10MPaが好ましく、特に1〜5MPaが好ましい。
第2の工程における一般式(7)で表されるアミノフタル酸無水物イミド誘導体と一般式(9)で表されるモノイソシアネート又は一般式(10)で表されるジイソシアネートとの反応は、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン等の有機溶媒、あるいはこれらの2種以上の混合溶媒を用いることができる。なお、潤滑油基油中で行った場合、そのままグリース組成物として使用することもできる。
第2の工程における一般式(9)で表されるモノイソシアネートの使用量は特に制限されないが、一般式(7)で表されるアミノフタル酸無水物イミド誘導体1モルに対して一般式(9)で表されるモノイソシアネート0.8〜1.2モル、特には0.9〜1.1モル、さらには0.95〜1.05モルを用いることが好ましい。また、反応温度は80〜200℃、特には130〜180℃とすることが好ましい。反応時間は、0.5〜10時間、特には1〜4時間とすることが好ましい。
第2の工程における一般式(10)で表されるジイソシアネートの使用量は特に制限されないが、一般式(7)で表されるアミノフタル酸無水物イミド誘導体1モルに対して一般式(8)で表されるジイソシアネート0.3〜0.7モル、特には0.4〜0.6モル、さらには0.45〜0.55モルを用いることが好ましい。また、反応温度は80〜200℃、特には130〜180℃とすることが好ましい。反応時間は、0.5〜10時間、特には1〜4時間とすることが好ましい。
[第3実施形態:グリース用増ちょう剤]
本発明の第3実施形態に係るグリース用増ちょう剤は、上記一般式(1)で表されるイミド−ウレア化合物を含有する。なお、一般式(1)で表されるイミド−ウレア化合物の具体例及び好ましい例は第1実施形態に係るイミド−ウレア化合物の具体例及び好ましい例と同様である。
本実施形態に係るグリース用増ちょう剤は、イミド−ウレア化合物以外の増ちょう剤成分を含有してもよい。かかる増ちょう剤成分としては、金属石けん、複合金属石けん等の石けん系増ちょう剤成分;ベントン、シリカゲル、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物、イミド化合物等の非石けん系増ちょう剤成分等、あらゆる増ちょう剤成分が使用可能である。前記石けん系増ちょう剤成分としては、例えばナトリウム石けん、カルシウム石けん、アルミニウム石けん、リチウム石けん等が挙げられる。また前記ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物及びウレタン化合物としては、例えばジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、その他のポリウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物又はこれらの混合物等が挙げられる。
第1実施形態に係るイミド−ウレア化合物及び第3実施形態に係るグリース用増ちょう剤は、耐熱性に優れることから、高温下で使用される等速ギヤ用、変速ギヤ用、製鉄設備用、玉軸受、ころ軸受等のグリースの増ちょう剤として特に好ましく使用される。これらの用途における使用温度は、好ましくは−40℃〜300℃、より好ましくは−40℃〜250℃である。
[第4実施形態:グリース組成物]
本発明の第4実施形態に係るグリース組成物は、潤滑油基油と、上記一般式(1)で表されるイミド−ウレア化合物とを含有し、該イミド−ウレア化合物の含有量がグリース組成物全量基準で2〜50質量%のものである。
本実施形態に係るグリース組成物において、一般式(1)で表されるイミド−ウレア化合物の含有量は、グリース組成物全量を基準として2質量%以上、好ましくは5質量%以上であり、また、50質量%以下、好ましくは40質量%以下である。イミド−ウレア化合物の含有量が2質量%に満たない場合は増ちょう剤としての効果が少ないため十分なグリース状とはならず、また50質量%を越えるとグリースとして硬くなりすぎて十分な潤滑性能を発揮することができないため、それぞれ好ましくない。
本実施形態に係るグリース組成物の潤滑油基油としては、鉱油および/又は合成油を挙げられる。
鉱油としては、石油精製業の潤滑油製造プロセスで通常行われている方法により得られる、たとえば、原油を常圧蒸留および減圧蒸留して得られた潤滑油留分を溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理などの処理を1つ以上行って精製したものが挙げられる。
また、合成油の具体例としてはポリブテン、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリα−オレフィン又はこれらの水素化物;ジトリデシルグルタレート、ジ2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ3−エチルヘキシルセバケート等のジエステル;トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネートなどのポリオールエステル;アルキルナフタレン;アルキルベンゼン、ポリオキシアルキレングリコール;ポリフェニルエーテル;ジアルキルジフェニルエーテル;シリコーン油;又はこれらの混合物が挙げられる。
高温での耐久性の観点から、合成油が好ましく、ポリオールエステル、ポリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、アルキルナフタレンがより好ましい。
潤滑油基油の100℃での動粘度は、好ましくは2〜40mm/s、より好ましくは3〜20mm/sである。また、潤滑油基油の粘度指数は、好ましくは90以上、より好ましくは100以上である。
なお、本実施形態に係るグリ−ス組成物は、その性質を損ねることがない限り、さらに性能を向上させるために必要に応じて、上記一般式(1)で表されるイミド−ウレア化合物以外の増ちょう剤、固体潤滑剤、極圧剤、酸化防止剤、油性剤、さび止め剤、粘度指数向上剤、清浄分散剤などを含有することができる。
上記一般式(1)で表されるイミド−ウレア化合物以外の増ちょう剤としては、金属石けん、複合金属石けん等の石けん系増ちょう剤、;ベントン、シリカゲル、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物、イミド化合物等の非石けん系増ちょう剤等、あらゆる増ちょう剤が使用可能である。前記石けん系増ちょう剤としては、例えばナトリウム石けん、カルシウム石けん、アルミニウム石けん、リチウム石けん等が挙げられる。また前記ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物及びウレタン化合物としては、例えばジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、その他のポリウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物又はこれらの混合物等が挙げられる。さらに、上記一般式(1)で表されるイミド−ウレア化合物以外のイミド−ウレア化合物を含有してもよい。
固体潤滑剤としては具体的には例えば、黒鉛、カーボンブラック、フッ化黒鉛、ポリテトラフロロエチレン、二硫化モリブデン、硫化アンチモン、アルカリ(土類)金属ほう酸塩などが挙げられる。
極圧剤としては具体的には、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛等の有機亜鉛化合物;ジハイドロカルビルポリサルファイド、硫化エステル、チアゾール化合物、チアジアゾール化合物等の硫黄含有化合物;ホスフェート、ホスファイト類などが挙げられる。
酸化防止剤としては具体的には、2、6−ジ−t−ブチルフェノール、2、6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなどのフエノール系化合物;ジアルキルジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、p−アルキルフェニル−α−ナフチルアミンなどのアミン系化合物;硫黄系化合物;フェノチアジン系化合物などが挙げられる。
油性剤としては具体的には、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミンなどのアミン類;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの高級アルコール類;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸類;ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチルなどの脂肪酸エステル類;ラウリルアミド、ミリスチルアミド、パルミチルアミド、ステアリルアミド、オレイルアミドなどのアミド類;油脂などが挙げられる。
さび止め剤としては具体的には、金属石けん類;ソルビタン脂肪酸エステルなどの多価アルコール部分エステル類;アミン類;リン酸;リン酸塩などが挙げられる。
粘度指数向上剤としては具体的には、ポリメタクリレート、ポリイソブチレン、ポリスチレンなどが挙げられる。
清浄分散剤としては具体的には、スルフォネート、サリシレート、フェネート等が例示される。
本実施形態に係るグリース組成物を調製するには、例えば、潤滑油基油に、一般式(1)で表されるイミド−ウレア化合物又は当該イミド−ウレア化合物を含有する増ちょう剤、さらに必要に応じてその他の添加剤を混合し、その混合物を撹拌した後、ロールミル等を通すことにより得ることができる。
第4実施形態に係るグリース組成物は、耐熱性に優れることから、高温下で使用される等速ギヤ用、変速ギヤ用、自動車用、製鉄設備用、産業機械用、精密機械用、玉軸受、ころ軸受等のグリースとして特に好ましく使用される。これらの用途における使用温度は、好ましくは−40℃〜300℃、より好ましくは−40℃〜250℃である。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
下記式(11)で表される4−ニトロフタル酸無水物10.7gと下記式(12)で表されるドデシルアミン10.8gを混合後、室温から加熱し150℃に到達後2時間反応させた。続いて、150℃を維持したまま、0.7kPaまで徐々に減圧し、水分や未反応ドデシルアミンを除去した。2時間減圧を維持した後に冷却したところ、下記式(13)で表されるニトロ化イミド中間体を含むニトロ化イミド中間体−1を固形物として得た(収量:19.7g)。得られたニトロ化イミド中間体−1のうち10gを、酢酸エチル溶媒150mLに溶解し、パラジウム5重量%−カーボン担持触媒1gを加えて、オートクレーブを用いて水素化反応を行った。水素圧3MPaを維持し、室温から反応を行ったところ、反応熱で45℃まで液温が上昇した後、温度が徐々に低下した。3時間後には室温まで温度が低下し、水素圧の低下がなくなったので、反応を停止した。溶液から触媒をろ別し、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、8.8gの下記式(14)で表されるアミノ化イミド中間体を含むアミノ化イミド中間体−1を得た。得られたアミノ化イミド中間体7.9gと下記式(15)で表される2,4−ジイソシアナトトルエン1.7gと下記式(16)で表される2,6−ジイソシアナトトルエン0.4gの混合物とを100℃動粘度が13mm/sのジフェニルエーテル基油30gに混合し、160℃で2時間反応させた。室温まで冷却後、下記式(17)と(18)を重量比で8:2で含むイミド−ウレア化合物−1を含むグリース状物質40gを得た。このグリース状物質からヘキサンにてジフェニルエーテル基油を除去し、イミド−ウレア化合物−1を得た。
Figure 2014144925

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Figure 2014144925
イミド−アミド化合物−1の赤外吸収スペクトル(日本分光株式会社製、FT/IR−410)をKBr法にて測定した。その結果を図1に示す。図1に示したとおり、環状イミド基に由来する約1700cm−1および約1760cm−1の吸収、並びにウレア基に由来する約1650cm−1の吸収が確認され、反応原料のイソシアネート基に帰属される約2270cm−1の吸収等は確認されなかった。この結果から、得られた固形物がイミド−ウレア化合物であることが確認された。
また、イミド−ウレア化合物−1についてFD−MS測定(日本電子株式会社製JMS−T100GC、イオン化方法:FD+、溶媒:o−n−プロピルフェノール)を実施した。一般式(14)で表されるイミド−ウレア化合物に帰属されるピークは、全イオン強度に対して97%であった。
[実施例2]
実施例2においては一般式(10)で表されるジイソシアネートとして上記式(15)、(16)から下記式(19)で表されるジイソシアネート変更し、上記式(14)で表せられるアミノ化イミド中間体−1を7.3gと下記式(19)で表せられるジイソシアネートを2.7g用いたこと以外は実施例1と同様にして、下記一般式(20)で表されるイミド−ウレア化合物−2を含むグリース状物質40gを得た。
Figure 2014144925

Figure 2014144925
実施例2で得られたイミド−ウレア化合物−2を含むグリース状物質から、実施例1と同様にして、イミド−ウレア化合物−2を取り出し、赤外吸収スペクトルを測定したところ、いずれのイミド−ウレア化合物においても環状イミド基に由来する約1700cm−1および、約1760cm−1、およびウレア基に由来する約1650cm−1の吸収が確認され、反応原料のイソシアネート基に帰属される約2270cm−1の吸収等は確認されなかった。これらの結果から、実施例2で得られた固形物がイミド−ウレア化合物であることが確かめられた。
[比較例1]
4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン55.8gに対し、シクロヘキシルアミン44.2gを100℃動粘度が13mm/sのジフェニルエーテル基油300g中にて反応させグリース状物質を得た。グリース状物質からヘキサンにてジフェニルエーテル基油を除去し、式(21)で表されるウレア化合物−1を100g得た。
Figure 2014144925
[比較例2]
4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン31.7gに対し、オクタデシルアミン68.3gを100℃動粘度が13mm/sのジフェニルエーテル基油300g中にて反応させグリース状物質を得た。グリース状物質からヘキサンにてジフェニルエーテル基油を除去し、式(22)で表されるウレア化合物−2を100g得た。
Figure 2014144925
[耐熱性評価]
実施例1、2で得られたイミド−ウレア化合物−1、2及び比較例1、2で得られたウレア化合物−1、2を、熱分析装置(島津製作所製DTG60、昇温速度:5℃/分、雰囲気ガス:窒素)にて5%分解温度を測定した。得られた結果を表1〜2に示す。表中、分解温度が高いほど耐熱性に優れることを意味する。
[増ちょう能評価]
実施例1、2で得られたイミド−ウレア化合物−1、2及び比較例1、2で得られたヘキサンにてジフェニルエーテル基油を除去する前のグリース状物質を、ロールミルを通し基油中に均一に分散し得られた物質を、JIS2220のちょう度測定法により60混和(60W)後のちょう度の測定をした。得られた結果を表1〜2に示す。
Figure 2014144925
Figure 2014144925
表1、2に示した結果から、実施例1、2で得られたイミド−ウレア化合物−1、2は、比較例1、2で得られたウレア化合物−1、2と比較して、耐熱性に優れること、また、グリースの増ちょう剤として使用可能なことがわかる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表されるイミド−ウレア化合物。
    Figure 2014144925

    [式中、R及びXはそれぞれ1価の有機基を示す。]
  2. 下記一般式(2)又は(3)で表される、請求項1に記載のイミド−ウレア化合物。
    Figure 2014144925

    Figure 2014144925

    [式中、Xはモノイソシアネートからイソシアネート基を除いた残基を示し、Xは2価の有機基を示し、R及びRは1価の有機基を示し、R及びRは同一でも異なっていてもよい。]
  3. 下記一般式(4)で表されるニトロフタル酸無水物と下記一般式(5)で表されるモノアミンとを反応させて下記一般式(6)で表されるニトロフタル酸無水物イミド誘導体を得、前記ニトロフタル酸無水物の水素化還元により下記一般式(7)で表されるアミノフタル酸無水物イミド誘導体を得る第1の工程と、
    前記アミノフタル酸無水物イミド誘導体と下記一般式(8)で表されるイソシアネートとを反応させて下記一般式(1)で表されるイミド−ウレア化合物を得る第2の工程と、を備えるイミド−ウレア化合物の製造方法。
    Figure 2014144925

    Figure 2014144925

    Figure 2014144925

    Figure 2014144925

    Figure 2014144925

    Figure 2014144925

    [式中、R及びXはそれぞれ1価の有機基を示す。]
  4. 請求項1又は2に記載のイミド−ウレア化合物を含有するグリース用増ちょう剤。
  5. 潤滑油基油と、請求項1又は2に記載のイミド−ウレア化合物とを含有するグリース組成物。
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