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JP2014034634A - 樹脂及びその用途 - Google Patents

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JP2014034634A
JP2014034634A JP2012176564A JP2012176564A JP2014034634A JP 2014034634 A JP2014034634 A JP 2014034634A JP 2012176564 A JP2012176564 A JP 2012176564A JP 2012176564 A JP2012176564 A JP 2012176564A JP 2014034634 A JP2014034634 A JP 2014034634A
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Kaori Sato
香織 佐藤
Akiyoshi Kusaka
明芳 日下
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Sekisui Kasei Co Ltd
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Sekisui Plastics Co Ltd
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Abstract

【課題】優れた耐薬品性及びウレタン系樹脂やアクリル系樹脂等を用いた塗料に対する優れた相溶性を有し、かつ、コーティング剤や塗料に用いたときに、優れたリコート性及び基材に対する優れた付着性をコーティング剤や塗料に付与できる樹脂及びその用途を提供する。
【解決手段】樹脂は、(a)片末端にラジカル重合性基を有するシリコーンマクロモノマーと、(b)末端に水酸基を有し、かつアルキレンオキサイド構造を有するビニル系モノマーと、(c)ジオキソラン構造を有するビニル系モノマーと、(d)前記(a)〜(c)以外のラジカル重合性モノマーとを共重合してなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐薬品性が要求される分野に適応される樹脂、並びに、その用途、具体的には、前記樹脂を用いた分散体、前記樹脂を用いたコーティング剤、前記樹脂を用いた塗料改質剤、及び前記樹脂を用いた塗料組成物に関するものである。
アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)等の樹脂からなるプラスチック成型品は、硬度、耐溶剤性、耐汚染性、耐候性等の諸物性に欠けるため、コーティング剤や塗料を用いて表面を塗膜によりコーティングして用いられることが多い。
さらに具体的には、携帯電話、タッチパネル、コンパクトディスク、オーディオ機器、テレビ等の家電製品;自動車のダッシュボード等の内装製品;建材等については、高耐久化指向が強まっている。そのため、塗膜には、多少の外的刺激によっても傷の付かない耐擦傷性、油性インクを用いた落書き等の汚染に対する耐汚染性、及び油汚れ等に対する耐油性等の耐性が求められている。
従来、塗膜に対して、耐汚染性、耐油性等の耐薬品性を与える方法として、シリコーン成分又はフッ素系成分を構成成分とする重合体をコーティング剤や塗料に用いることが知られている。
シリコーン成分を有する重合体としては、アクリル酸アルキルを主鎖とし、シリコーンをグラフト鎖としたシリコーン系グラフト共重合体を用いることが知られている(特許文献1〜4)。さらに、シリコーン成分を有する重合体として、末端に水酸基を含むと共にポリ(オキシペンタメチレンカルボニル)鎖等の親水鎖を含む(メタ)アクリレート単量体とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート単量体とを含むラジカル重合性単量体を主鎖とし、(a)(メタ)アクリル酸アルキル単量体単位の含有割合が50重量%以上の片末端にラジカル重合性基を有するマクロモノマーと、(b)片末端にラジカル重合性基を有するシリコーン系マクロモノマーとをグラフト鎖としたシリコーン系グラフト共重合体を用いることが知られている(特許文献2)。
フッ素系成分を構成成分とする重合体としては、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体と(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを含有する硬化性樹脂組成物を硬化させたものが知られている(特許文献5)。
特開昭61−151272号公報 特開平10−330684号公報 特開平10−88066号公報 特開2001−11376号公報 特開2007−254706号公報
しかしながら、従来のシリコーン成分を構成成分とする共重合体又はフッ素系成分を構成成分とする共重合体を用いたコーティング剤や塗料は、耐薬品性の改善の効果は認められるものの、基材に対する付着性が良好でなく、また、塗膜で被覆された物品にコーティング剤や塗料を再度塗布する時に塗膜がコーティング剤や塗料を撥くこと(撥き)が十分に抑制されていないためにリコート性(重ね塗り適合性)が良好でないという課題を有していた。
また、これら従来の共重合体は、例えば塗料において通常用いられるウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂等の樹脂への相溶性が必ずしも良好とはいえず、したがって、塗料を改質するために塗料に添加される塗料改質剤として良好な特性を備えていなかった。
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、優れた耐薬品性(耐サンスクリーン性、耐汚染性、耐油性等)及びウレタン系樹脂やアクリル系樹脂等を用いた塗料に対する優れた相溶性を有し、かつ、コーティング剤や塗料に用いたときに、優れたリコート性及び基材に対する優れた付着性をコーティング剤や塗料に付与できる樹脂及び分散体、優れた耐薬品性及び塗料に対する優れた相溶性を有し、かつ、塗料に添加されたときに優れたリコート性及び基材に対する優れた付着性を塗料組成物に付与できる塗料改質剤、並びに、優れた耐薬品性及び塗料に対する相溶性を有し、かつ、優れたリコート性及び基材に対する優れた付着性を有するコーティング剤及び塗料組成物を提供することにある。
本発明の樹脂は、前記の課題を解決するために、(a)片末端にラジカル重合性基を有するシリコーンマクロモノマーと、(b)末端に水酸基を有し、かつアルキレンオキサイド構造を有するビニル系モノマーと、(c)ジオキソラン構造を有するビニル系モノマーと、(d)前記(a)〜(c)以外のラジカル重合性モノマーとを共重合してなることを特徴としている。
前記構成によれば、前記(d)のラジカル重合性モノマーに、前記(a)片末端にラジカル重合性基を有するシリコーンマクロモノマーを共重合させることで、樹脂の耐薬品性を向上させることができる。
さらに、前記構成によれば、前記(d)(a)のモノマーに、前記(b)末端に水酸基を有し、かつアルキレンオキサイド構造を有するビニル系モノマーを共重合させることで、樹脂に水酸基を導入することができる。これにより、樹脂を水酸基と反応可能な官能基を複数有する架橋剤(例えばイソシアネート基を2個以上有する多官能イソシアネート、アミノ樹脂等)と混合してコーティング剤等として使用したときに、樹脂と架橋剤との反応により架橋構造が形成されて、塗膜(コーティング剤等を塗布することによって形成される膜)の耐薬品性が向上する。さらに、前記構成によれば、前記(d)(a)のモノマーに、前記(b)末端に水酸基を有し、かつアルキレンオキサイド構造を有するビニル系モノマーを共重合させることで、ウレタン系樹脂やアクリル系樹脂等を用いた塗料に対する親和性が高いアルキレンオキサイド構造を樹脂に導入することができる。これにより、ウレタン系樹脂やアクリル系樹脂等を用いた塗料に対する樹脂の相溶性を向上させることができる。したがって、前記樹脂を塗料と混合して塗料組成物として使用したときに、塗料組成物の塗布むらが発生することを抑制できる。
さらに、前記構成によれば、前記(d)(a)(b)のモノマーに、前記(c)ジオキソラン構造を有するビニル系モノマーを共重合させることで、樹脂をコーティング剤や塗料に用いたときに、リコート性及び基材に対する付着性を向上させることができる。
以上のことから、前記構成によれば、優れた耐薬品性(耐サンスクリーン性、耐汚染性、耐油性等)及び塗料に対する優れた相溶性を有し、かつ、コーティング剤や塗料に用いたときに、優れたリコート性及び基材に対する優れた付着性をコーティング剤や塗料組成物に付与できる樹脂を提供できる。
本発明の分散体は、前記の課題を解決するために、本発明の樹脂と、有機溶剤とを含み、前記樹脂が前記有機溶剤中に溶解又は微分散していることを特徴としている。
前記構成によれば、本発明の樹脂を用いているため、優れた耐薬品性(耐サンスクリーン性、耐汚染性、耐油性等)及び塗料に対する優れた相溶性を有し、かつ、コーティング剤や塗料に用いたときに、優れたリコート性及び基材に対する優れた付着性をコーティング剤や塗料組成物に付与できる。さらに、前記構成によれば、樹脂を有機溶剤中に溶解又は微分散させているので、樹脂をコーティング剤や塗料として適した粘度の状態(分散体)にすることができ、樹脂を含むコーティング剤や塗料組成物を用いて塗膜を形成したときに、コーティングを均一に形成することができる。
本発明のコーティング剤は、前記の課題を解決するために、本発明の樹脂、又は本発明の分散体を含むことを特徴としている。
前記構成によれば、本発明の樹脂、又は本発明の分散体を用いているため、優れた耐薬品性(耐サンスクリーン性、耐汚染性、耐油性等)及び塗料に対する優れた相溶性を有し、かつ、優れたリコート性及び基材に対する優れた付着性を有している。
本発明の塗料改質剤は、前記の課題を解決するために、塗料を改質するために塗料に添加される塗料改質剤であって、本発明の樹脂、又は本発明の分散体を含むことを特徴としている。
前記構成によれば、本発明の樹脂、又は本発明の分散体を用いているため、優れた耐薬品性(耐サンスクリーン性、耐汚染性、耐油性等)及び塗料に対する優れた相溶性を有し、かつ、塗料に添加されたときに、塗料のリコート性及び基材に対する付着性を改善でき、優れたリコート性及び基材に対する優れた付着性を塗料組成物(塗料改質剤が添加された塗料)に付与できる。
本発明の塗料改質剤は、前記の課題を解決するために、塗料と、本発明の樹脂、本発明の分散体の樹脂、又は本発明の塗料改質剤とを含むことを特徴としている。
前記構成によれば、本発明の樹脂、本発明の分散体、又は本発明の塗料改質剤を用いているため、優れた耐薬品性(耐サンスクリーン性、耐汚染性、耐油性等)及び塗料に対する優れた相溶性を有し、かつ、優れたリコート性及び基材に対する優れた付着性を有している。
本発明によれば、優れた耐薬品性(耐サンスクリーン性、耐汚染性、耐油性等)及び塗料に対する優れた相溶性を有し、かつ、コーティング剤や塗料に用いたときに、優れたリコート性及び基材に対する優れた付着性をコーティング剤や塗料に付与できる樹脂及び分散体、優れた耐薬品性及び塗料に対する優れた相溶性を有し、かつ、塗料に添加されたときに優れたリコート性及び基材に対する優れた付着性を塗料組成物に付与できる塗料改質剤、並びに、優れた耐薬品性及び塗料に対する相溶性を有し、かつ、優れたリコート性及び基材に対する優れた付着性を有するコーティング剤及び塗料組成物を提供できる。
〔樹脂〕
本発明の樹脂について、以下に説明する。
本発明の樹脂は、(a)片末端にラジカル重合性基を有するシリコーンマクロモノマーと、(b)末端に水酸基を有し、かつアルキレンオキサイド構造を有するビニル系モノマーと、(c)ジオキソラン構造を有するビニル系モノマーと、(d)前記(a)〜(c)以外のラジカル重合性モノマーとを共重合してなるものである。本発明の樹脂は、前記(d)を主骨格とするシリコーン系グラフト共重合体となりうる。
前記の(a)の片末端にラジカル重合性基を有するシリコーンマクロモノマー(以下、「(a)シリコーンマクロモノマー」と称する)としては、片末端に重合性不飽和基(例えばエチレン性不飽和基)を有し、かつシリコーン単位(ジメチルポリシロキサン単位等のオルガノシロキサン単位)を有する種々の化合物を使用できる。
前記(a)シリコーンマクロモノマーとしては、例えば次式(1)
Figure 2014034634
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R3は互いに同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、nは正の整数を表す)で示される構造を有するシリコーンマクロモノマーが挙げられる。
前記式(1)におけるR2で表される炭素数2〜4のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基等が挙げられる。前記式(1)におけるR3で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
前記式(1)で示される構造を有するシリコーンマクロモノマーとしては、具体的には、例えば、α−ブチル−ω−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(例えばJNC株式会社製の「サイラプレーン(登録商標)FM−0721」(商品名))等が挙げられる。前記式(1)で示される構造を有するシリコーンマクロモノマーとしては、その他に、JNC株式会社製の「サイラプレーン(登録商標)FM−0711(商品名)」及び「サイラプレーン(登録商標)FM−0725(商品名)」、信越化学工業株式会社製の「X−22−174ASX(商品名)」、「X−22−174DX(商品名)」、「X−22−2426(商品名)」、及び「X−22−2475(商品名)」、東亞合成株式会社製の「AK−5(グレード)」及び「AK−32(グレード)」等が挙げられる。
前記(a)シリコーンマクロモノマーの数平均分子量は、500〜40000の範囲内であることが好ましく、1000〜20000の範囲内であることがより好ましい。前記(a)シリコーンマクロモノマーの数平均分子量が500未満である場合、樹脂を含むコーティング剤や塗料を用いて塗膜を形成したときに塗膜の耐薬品性に劣ることがある。前記(a)シリコーンマクロモノマーの数平均分子量が40000を超える場合、樹脂を含むコーティング剤や塗料を用いて塗膜を基材上に形成したときに、基材への塗膜の付着性が十分に得られ難いことがある。前記式(1)におけるnは、この数平均分子量を与えうる数であることが好ましい。前記各種の(a)シリコーンマクロモノマーはそれぞれ、単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
本発明の樹脂中における前記(a)シリコーンマクロモノマーに由来する構造単位の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂100重量%に対して2〜15重量%の範囲内であることが好ましい。前記(a)シリコーンマクロモノマーに由来する構造単位の含有量が2重量%未満である場合、樹脂の潤滑性および耐薬品性が不足し易く、したがって、樹脂を含むコーティング剤や塗料を用いて塗膜を形成したときに塗膜の潤滑性および耐薬品性が不足し易い。一方、前記(a)シリコーンマクロモノマーに由来する構造単位の含有量が15重量%を超える場合、基材への樹脂の付着性が十分に得られ難く、また、樹脂を含むコーティング剤や塗料を樹脂が撥き易くなる。したがって、この場合、樹脂を含むコーティング剤や塗料を用いて塗膜を基材上に形成したときに、基材への塗膜の付着性が十分に得られ難い。また、この場合、樹脂を含むコーティング剤や塗料を用いて複数の塗膜を重ねて形成したときに(例えば、樹脂を含む塗料で塗装された物品を、樹脂を含む塗料で再塗装したときに)、前記塗膜が前記コーティング剤や塗料を撥き易くなり、前記塗膜のリコート性が不足し易い。なお、本発明の樹脂中における(a)〜(d)の各モノマーに由来する構造単位の含有量は、樹脂の製造に用いた全モノマー量((a)〜(d)のモノマーの合計量)中における各モノマーの割合に相当する。
前記の(b)末端に水酸基を有し、かつアルキレンオキサイド構造を有するビニル系モノマー(以下、「(b)水酸基含有ビニル系モノマー」と称する)は、末端に水酸基を有し、1つのエチレン性不飽和基(広義のビニル基)を有し、かつ少なくとも1つのアルキレンオキサイド構造(オキシアルキレン基)を有する化合物であればよい。
そのような(b)水酸基含有ビニル系モノマーとしては、より具体的には、例えば、次式(2)のような構造式で表されるビニル系モノマーが挙げられる。
Figure 2014034634
(式中、R1はH又はCH3であり、R2及びR3は異なってC24、C36、C48、C510から選択される炭素数2〜5のアルキレン基であり、mは0〜50、nは2〜50である)
前記式(2)で表されるビニル系モノマーは、(メタ)アクリル酸と、少なくとも1種類の炭素数2〜5のアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等)との付加反応により合成できる。本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを指すものとする。
前記式(2)で表されるビニル系モノマーとしては、例えば、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノメタクリレート、ポリ(エチレングリコール・テトラメチレングリコール)モノメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)モノメタクリレート、ポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノメタクリレート等を使用できる。
前記式(2)で表されるビニル系モノマーとして、商品名「ブレンマー(登録商標)PP−1000」の商品(日油株式会社製、R1はCH3であり、R3はC36、mは0、nは平均して4〜6の混合物である)等の商品シリーズ名「ブレンマー(登録商標)PPシリーズ」の商品(日油株式会社製、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート)、商品名「ブレンマー(登録商標)50PEP−300」の商品(日油株式会社製、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノメタクリレート、R1はCH3であり、R2はC24、R3はC36、m及びnは平均してm=3.5及びn=2.5の混合物である)、商品名「ブレンマー(登録商標)70PEP−350B」の商品(日油株式会社製、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール−モノメタクリレート、R1はCH3であり、R2はC24、R3はC36、m及びnは平均してm=5及びn=2の混合物である)、ブレンマー(登録商標)55PET−800の商品(日油株式会社製、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノメタクリレート、R1はCH3であり、R2はC24、R3はC48、m及びnは平均してm=10及びn=5の混合物である)、商品シリーズ名「ブレンマー(登録商標)PPTシリーズ」の商品(日油株式会社製、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)モノメタクリレート)、商品名「ブレンマー(登録商標)10−PPB−500B」の商品(日油株式会社製、プロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノメタクリレート、R1はCH3であり、R2はC36、R3はC48、m及びnは平均してm=1及びn=6の混合物である)、商品名「EPM−109」のヒドロキシポリアルキレングリコールモノメタクリレート(東邦化学工業株式会社製)、商品名「PA−500」のヒドロキシポリプロピレングリコールモノアクリレート(東邦化学工業株式会社製)等の市販品を使用できる。これらの(b)水酸基含有ビニル系モノマーはそれぞれ、単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
前記式(2)で表されるビニル系モノマーにおいて、m+n(オキシアルキレン基の数)は、2〜100の範囲内であることが好ましい。m+nが2未満の場合、ウレタン系樹脂やアクリル系樹脂等を用いた塗料に対する樹脂の相溶性が劣ったり、本発明の樹脂を架橋剤と混合してコーティング剤や塗料として使用したときに、樹脂と架橋剤との反応点が少なくなることにより塗膜の耐薬品性が低下する恐れがある。m+nが100を超える場合、塗膜の硬度が低下し、塗膜の耐擦傷性が得られない場合がある。また、樹脂における前記(b)水酸基含有ビニル系モノマーに由来する構造単位の疎水性が高くなり過ぎ、ウレタン系樹脂やアクリル系樹脂等を用いた塗料に対する樹脂の相溶性が低くなる。したがって、前記樹脂を塗料と混合して塗料組成物として使用したときに、塗料組成物の塗布むらが発生し易くなる恐れがある。
前記(b)水酸基含有ビニル系モノマーは、炭素数3以上のアルキレンオキサイド構造を2つ以上必須として含むことが好ましい。これにより、ウレタン系樹脂やアクリル系樹脂等を用いた塗料に対するアルキレンオキサイド構造の親和性がより高くなるので、塗料に対する樹脂の相溶性がより高くなる。したがって、前記樹脂を塗料と混合して塗料組成物として使用したときに、塗料組成物の塗布むらが発生することをさらに抑制できる。
前記の(c)ジオキソラン構造を有するビニル系モノマー(以下、「(c)ジオキソラン含有ビニル系モノマー」と称する)は、少なくとも1つのジオキソラン構造を含有し、かつ1つのエチレン性不飽和基を有する化合物であればよい。前記(c)ジオキソラン含有ビニル系モノマーとしては、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2,2−ジアルキル−1,3−ジオキソラン又は4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−シクロアルキル−1,3−ジオキソランを挙げることができる。このような(c)ジオキソラン含有ビニル系モノマーとしては、より具体的には、例えば、4−メタクリロイルオキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン等を挙げることができる。本明細書において、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル又はメタクリロイルを指すものとする。これら化合物の市販品としては、例えば、商品名「MEDOL10」の商品(4−アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン)、商品名「MIBDOL10」の商品(4−アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン)、商品名「CHDOL10」の商品(4−アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン)、商品名「MMDOL30」の商品(4−メタクリロイルオキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン)、商品名「MEDOL30」の商品(4−メタクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン)、商品名「MIBDOL30」の商品(4−メタクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン)、商品名「CHDOL30」の商品(4−メタクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン)(以上、全て大阪有機化学工業株式会社製)等を挙げることができる。これらの(c)ジオキソラン含有ビニル系モノマーはそれぞれ、単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
本発明の樹脂中における前記(c)ジオキソラン含有ビニル系モノマーに由来する構造単位の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂100重量%に対して2〜20重量%の範囲内であることが好ましい。前記(c)ジオキソラン含有ビニル系モノマーに由来する構造単位の含有量が2重量%未満である場合、樹脂を含む塗料等のコーティング剤を樹脂が撥き易くなる。したがって、この場合、樹脂を含むコーティング剤を用いて複数のコーティングを重ねて形成したときに(例えば、樹脂を含む塗料で塗装された物品を、樹脂を含む塗料で再塗装したときに)、前記コーティングが前記コーティング剤を撥き易くなり、前記コーティングのリコート性が不足することがある。一方、前記(c)ジオキソラン含有ビニル系モノマーに由来する構造単位の含有量が20重量%を超える場合、樹脂が軟化し、樹脂の耐薬品性が低下することがある。したがって、この場合、樹脂を含む塗料等のコーティング剤を用いて塗膜等のコーティングを形成したときに、塗膜が軟化し、塗膜の耐薬品性が低下することがある。
前記の(d)前記(a)〜(c)以外のラジカル重合性モノマー(以下、「(d)他のラジカル重合性モノマー」と称する)は、前記(a)シリコーンマクロモノマー、前記(b)水酸基含有ビニル系モノマー、及び前記(c)ジオキソラン含有ビニル系モノマーの何れでもなく、かつ、重合性不飽和基(例えばエチレン性不飽和基)を有する化合物であればよい。前記(d)他のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸アルキル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルストレン等のスチレン類(スチレン又はスチレン誘導体);N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル;(メタ)アクリルアミド;イタコン酸;マレイン酸等を挙げることができる。これらの(d)他のラジカル重合性モノマーはそれぞれ、単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。なお、「(メタ)アクリロニトリル」とは、アクリロニトリル又はメタクリロニトリルを指すものとする。
前記(d)他のラジカル重合性モノマーは、アルコール残基が炭素数4以下のアルキル基である(メタ)アクリル酸アルキル及び/又はスチレン類であることが好ましい。これにより、塗膜内部への油性汚染物の浸み込みを防止することができ、成膜性や基材への密着性を塗膜に付与することができる。
本発明の樹脂中における前記(d)他のラジカル重合性モノマーに由来する構造単位の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂100重量%に対して30〜75重量%の範囲内であることが好ましい。前記(d)他のラジカル重合性モノマーに由来する構造単位の含有量が30重量%未満の場合、樹脂が軟化し、樹脂の耐薬品性が劣ることがあり、したがって、樹脂を含むコーティング剤や塗料を用いて塗膜を形成したときに、塗膜が軟化し、塗膜の耐薬品性が劣ることがある。一方、前記(d)他のラジカル重合性モノマーに由来する構造単位の含有量が75重量%を超える場合、樹脂が硬化し、樹脂の耐衝撃性が劣ることがあり、したがって、樹脂を含むコーティング剤や塗料を用いて塗膜を形成したときに、塗膜が硬化し、塗膜の耐衝撃性が不足しやすい。
本発明の樹脂の水酸基価は、20〜80mgKOH/gの範囲内であることが好ましい。樹脂の水酸基価が20mgKOH/g未満であると、本発明の樹脂を水酸基と反応可能な官能基を複数有する架橋剤(後述)と混合してコーティング剤や塗料として使用したときに、樹脂と架橋剤との反応による架橋の程度が不足して、塗膜の耐薬品性が向上し難い。一方、樹脂の水酸基価が80mgKOH/gを超えると、本発明の樹脂を水酸基と反応可能な官能基を複数有する架橋剤(後述)と混合してコーティング剤や塗料として使用したときに、樹脂と架橋剤との反応による架橋が多過となり、塗膜の耐衝撃性が不足することがある。
本発明の樹脂の重量平均分子量は、4000〜100000の範囲内であることが好ましい。前記樹脂の重量平均分子量が4000未満であると、前記樹脂を有機溶剤等に溶解又は微分散させてコーティング剤や塗料として使用したときに、コーティング剤や塗料の粘度が低くなるために、コーティング剤や塗料の塗工時に液ダレが発生して、均一に塗工することができなくなることがある。一方、前記樹脂の重量平均分子量が100000を超えると、前記樹脂を有機溶剤等に溶解又は微分散させてコーティング剤や塗料として使用したときに、コーティング剤や塗料の粘度が高くなるために、コーティング剤や塗料を塗工することが困難になるおそれがある。
本発明の樹脂は、単独でコーティング剤として使用してもよく、他の成分(例えば架橋剤)と混合してコーティング剤として使用してもよく、塗料改良剤として塗料に混ぜて使用してもよい。
〔樹脂の製造方法の一例〕
本発明の樹脂は、特に限定されないが、例えば、前記(a)シリコーンマクロモノマーと、前記(b)水酸基含有ビニル系モノマー、前記(c)ジオキソラン含有ビニル系モノマー、及び前記(d)他のラジカル重合性モノマーの混合物、以下に概要を説明する溶液重合法により重合させる製造方法により得ることができる。すなわち、前記溶液重合法では、ケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、または芳香族炭化水素系溶剤を重合溶剤として使用し、ラジカル発生化合物を重合開始剤として用い、前記混合物を前記重合開始剤と共に前記重合溶剤中で50℃〜150℃の反応温度で30分〜10時間加熱することにより、前記混合物を重合させる。
本発明の樹脂を製造する際に使用できる重合開始剤(ラジカル開始剤)としては、熱重合開始剤を使用できる。前記熱重合開始剤は、熱により活性種としてラジカルを発生する化合物である。前記熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、o−クロロ過酸化ベンゾイル、o−メトキシ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、tert−ブチルハイドロオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドなどの過酸化物系開始剤;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロへキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトロリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートなどのアゾ系化合物等が挙げられる。これらの熱重合開始剤はそれぞれ、単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
〔分散体〕
本発明の分散体は、本発明の樹脂と、有機溶剤とを含み、前記樹脂が前記有機溶剤中に溶解又は微分散しているものである。樹脂を有機溶剤中に溶解又は微分散させることにより、コーティング剤や塗料として適した粘度の状態(分散体)にすることができ、樹脂を含むコーティング剤や塗料を用いて塗膜を形成したときに、塗膜を均一に形成することができる。
好ましい有機溶剤の具体例としては、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アミルメチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、メタノール、エタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、2−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロへキサン等の脂環式炭化水素等が挙げられる。これらの有機溶剤はそれぞれ、単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。前記有機溶剤は、ケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、及び芳香族炭化水素系溶剤から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
本発明の分散体における前記有機溶剤の含有量は、特に制限されるものはないが、固形分100重量部に対し、100〜1000重量部の範囲内であることが好ましい。前記有機溶剤の含有量が固形分100重量部に対して100重量部未満となると、コーティング剤や塗料として適した粘度に分散体の粘度を調整することが困難となる場合がある。一方、前記有機溶剤の含有量が固形分100重量部に対して1000重量部を超えると、分散体の粘度が低下しすぎて、分散体をコーティング剤や塗料として用いて塗膜を形成するときに、分散体の取り扱いが困難となる場合がある。
なお、前述した溶液重合法を用いた樹脂の製造方法において前記有機溶剤を重合溶剤として使用した場合には、前記樹脂と前記有機溶剤とを含み、前記樹脂が前記有機溶剤中に溶解又は微分散している分散体が反応生成物として得られる。したがって、反応生成物をそのまま分散体として使用できる。ただし、前記反応生成物から樹脂を単離した後、単離した樹脂を有機溶剤中に溶解又は微分散させて分散体を得てもよいし、粘度調整のために前記反応生成物に有機溶剤を追加するか、又は前記反応生成物から有機溶剤を一部除去することによって分散体を得てもよい。
本発明の分散体は、単独でコーティング剤として使用してもよく、他の成分(例えば架橋剤)と混合してコーティング剤として使用してもよく、塗料改良剤として塗料に混ぜて使用してもよい。
〔コーティング剤及び塗膜形成方法〕
本発明のコーティング剤は、本発明の樹脂又は本発明の分散体を含むものである。
前記コーティング剤に対して、水酸基と反応可能な官能基を複数有する架橋剤を添加し、前記樹脂と前記架橋剤とを反応させて架橋させることにより、塗膜を形成することができる。したがって、前記コーティング剤は、前記架橋剤をさらに含んでいてもよい。
前記架橋剤としては、具体的には、例えば、イソシアネート基を2個以上有する多官能イソシアネート、アミノ樹脂等が挙げられる。前記イソシアネート基を2個以上有する多官能イソシアネートとしては、例えば、イソシアネート基を2つ有する2官能イソシアネート、前記2官能イソシアネートの3量体(ビウレット、アロファネート、あるいは、イソシアヌレート)等が挙げられる。
前記イソシアネート基を2つ有する2官能イソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルプロパンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、3,3'−ジメトキシビフェニルジイソシアネート、3,3'−ジメチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、水添m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、水添p−キシリレンジイソシアネート、水添4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4−クロロキシリレン−1,3−ジイソシアネート、2−メチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族2官能イソシアネート;1,3−トリメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族2官能イソシアネート;シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式2官能イソシアネート等が挙げられる。
前記イソシアネート基を2個以上有する多官能イソシアネートの使用量は、前記樹脂中の水酸基価1当量に対し、イシソアネート基0.5〜1.5当量の割合であることが好ましい。
前記アミノ樹脂としては、例えば、アルキルエーテル化メラミン、アルキルエーテル化尿素樹脂、アルキルエーテル化ベンゾグアナミン等が挙げられる。前記アミノ樹脂としては、アルキルエーテル化メラミンが好ましい。アルキルエーテル化メラミンとしては、例えば、ヘキサメトキシメチロールメラミン、ヘキサブトキシメチロールメラミン等の完全アルキルエーテル化メラミン;アルキルエーテル化度が5以下の部分アルキルエーテル化メラミン等が挙げられる。また、アルキルエーテル化メラミンの2量体、3量体等の多量体も前記アミノ樹脂として使用できる。前記アミノ樹脂の使用量は、前記樹脂100重量部当たり15〜50重量部の範囲内であることが好ましい。
前記樹脂と前記架橋剤とを反応させて塗膜を形成する方法としては、例えば、前記コーティング剤と前記架橋剤とを、必要に応じて金属酸化物、有機金属化合物(例えば、テトラブチルチタネート、ジブチル錫ジラウレート等)、アミン系触媒等の縮合触媒を加えた上で、攪拌装置の備えられた反応容器に入れて混合攪拌し、得られた混合液を基材にコーティングする方法を採用することができる。したがって、前記コーティング剤は、前記縮合触媒をさらに含んでいてもよい。
また、本発明のコーティング剤は、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、無機粒子、光増感剤、熱重合開始剤、重合禁止剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、顔料、染料、スリップ剤等の添加剤をさらに含有していてもよい。
〔塗料組成物〕
本発明の塗料組成物は、塗料と、本発明の樹脂又は本発明の分散体とを含むものである。本発明の塗料組成物中において、本発明の樹脂又は本発明の分散体は、塗料を改質するために塗料に添加される塗料改質剤として機能することができる。
前記塗料としては、例えば、ポリウレタン樹脂塗料(ウレタン系樹脂を用いた塗料)、アクリル樹脂塗料(アクリル系樹脂を用いた塗料)、アルキッド樹脂塗料、シリコーン樹脂塗料、フッ素樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、メラミン樹脂塗料、ビニルエステル樹脂塗料、塩化ビニル樹脂塗料等が挙げられる。
前記ポリウレタン樹脂塗料は、ポリオールと、多官能イソシアネートとを含むものである。
前記ポリオールは、2個以上の水酸基を有する化合物であればよいが、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びアクリルポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これにより、前記多官能イソシアネートと前記ポリオールとの反応によって得られるポリウレタンに熱応答性を付与できる。
前記ポリエステルポリオールとしては、ポリカプロラクトンポリオールが好ましい。該ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、株式会社ダイセルから市販されている「プラクセル(登録商標)L212AL」、「プラクセル(登録商標)L205AL」、「プラクセル(登録商標)L220AL」、「プラクセル(登録商標)320AL」等の商品名のものを採用することができる。
また、前記ポリエーテルポリオールとしては、日本ポリウレタン工業株式会社製の「コロネート(登録商標)」(商品名)シリーズを使用することができる。前記アクリルポリオールとしては、東栄化成株式会社製の「アクリナール(登録商標)」(商品名)シリーズを使用することができる。
前記多官能イソシアネートは、2個以上の官能基を有する化合物であればよく、2官能イソシアネート(2個の官能基を有する化合物)であってもよく、3官能以上の(3個以上の官能基を有する)多官能イソシアネートであってもよいが、3官能以上の多官能イソシアネートであることが好ましい。3官能以上の多官能イソシアネートを用いると、多官能イソシアネート中に官能基が3個以上存在することによって、前記多官能イソシアネートと前記ポリオールとの反応によって得られるポリウレタンに三次元構造を付与しやすく、ポリウレタンの架橋度をより向上させ易い。
前記3官能以上の多官能イソシアネートとしては、例えば、一般的なイソシアネート基を2つ有する2官能イソシアネートを主たる出発材料としたものが挙げられ、より具体的には、前記2官能イソシアネートの3量体(ビウレット、アロファネート、あるいは、イソシアヌレート)、前記2官能イソシアネートとトリメチロールプロパン等の3官能アルコールとの付加物、前記2官能イソシアネートとフロログリシン等の3官能フェノールとの付加物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物(ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート)、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等の重合性基を有するイソシアネート化合物の重合体、リジントリイソシアネート等が挙げられる。前記3官能以上の多官能イソシアネートとしては、前記2官能イソシアネートの3量体であるイソシアヌレート型多官能イソシアネートが特に好ましい。
前記イソシアネート基を2つ有する2官能イソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルプロパンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、3,3'−ジメトキシビフェニルジイソシアネート、3,3'−ジメチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、水添m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、水添p−キシリレンジイソシアネート、水添4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4−クロロキシリレン−1,3−ジイソシアネート、2−メチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族2官能イソシアネート;1,3−トリメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族2官能イソシアネート;シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式2官能イソシアネート等が挙げられる。
前記塗料組成物は、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、無機粒子、光増感剤、熱重合開始剤、重合禁止剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、顔料、染料、スリップ剤等の添加剤をさらに含有していてもよい。
〔塗料組成物の製造方法及び塗膜形成方法の一例〕
本発明の塗料組成物は、前記塗料に本発明の樹脂又は本発明の分散体を混合する方法によって製造できる。本発明の塗料組成物は、前記塗料が、ポリオール及び多官能イソシアネートを含むポリウレタン樹脂塗料等のような、複数の塗料成分を含む塗料である場合には、ポリオール等の第1塗料成分と、多官能イソシアネート等の第2塗料成分と、本発明の樹脂又は本発明の分散体とを混合する方法によって製造してもよい。
また、塗膜は、本発明の塗料組成物に対して、水酸基と反応可能な官能基を複数有する架橋剤を添加し、前記樹脂と前記架橋剤とを反応させて塗料組成物を硬化させる方法で形成することができる。したがって、前記塗料組成物は、前記架橋剤をさらに含んでいてもよい。前記架橋剤については、コーティング剤の項で説明した通りである。前記塗料が、前記架橋剤として機能する多官能イソシアネートとポリオールとを含むポリウレタン樹脂塗料等のような、前記架橋剤とポリオールとを含む塗料である場合には、本発明の塗料組成物をそのまま用いて前記架橋剤と前記ポリオール及び前記樹脂とを反応させて塗料組成物を硬化させる方法で形成してもよい。
なお、前記多官能イソシアネート等の架橋剤と前記ポリオール及び前記樹脂とを反応させて塗膜を形成する方法としては、一般的なポリウレタン樹脂からなる塗膜を作製する場合と同様の方法を採用することができる。前記多官能イソシアネート等の架橋剤と前記ポリオール及び前記樹脂とを反応させて塗膜を形成する方法としては、例えば、前記多官能イソシアネート等の架橋剤と前記ポリオールと前記樹脂又は前記分散体とを、必要に応じて金属酸化物、有機金属化合物、アミン系触媒等の縮合触媒(例えばテトラブチルチタネート、ジブチル錫ジラウレート等)を加えた上で、攪拌装置の備えられた反応容器に入れて混合攪拌し、得られた混合液を基材にコーティングする方法を採用することができる。
本発明の塗料組成物によって形成される塗膜の厚さは、1〜100μmの範囲内であることが好ましい。
本発明の樹脂は、携帯電話機、腕時計、コンパクトディスク、オーディオ機器、OA(Office Automation)機器等の電気電子機器;タッチパネル、ブラウン管の反射防止板等の電子材料部品;冷蔵庫、掃除機、電子レンジ等の家電製品;自動車のメーターパネル、ダッシュボード等の自動車内装;プレコートメタル鋼板;自動車のボディ、バンパー、スポイラー、ドアノブ、ハンドル、ヘッドランプ、(メッキ、蒸着、またはスパッタリングが施された)アルミホイール、(メッキ、蒸着、スパッタリングが施された)ドアミラー等の自動車部品;オートバイのガソリンタンク;カーポートの屋根、採光屋根等の屋根;ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ABS樹脂等のプラスチックからなるプラスチック成型品、フィルム、又はシート;階段、床、机、椅子、タンス、その他の家具等の木工製品;布、紙等のシート基材等のような、各種分野の物品の表面をコーティングするコーティング剤として好適に用いられる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
初めに、以下の実施例、比較例における樹脂の測定方法、及び以下の塗膜形成例における塗膜の評価方法について、以下に列記する。
〔樹脂の測定方法及び塗膜の評価方法〕
〔樹脂の重量平均分子量の測定方法〕
本明細書において、「重量平均分子量(Mw)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した、ポリスチレン(PS)換算重量平均分子量を意味する。
具体的には、以下の実施例及び比較例では、試料(樹脂)40mgをテトラヒドロフラン(THF)12mLに溶解させ(浸透時間:およそ24時間(完全溶解))、孔径0.45μmの非水系クロマトディスクで濾過して、GPC測定を行った。そのGPC測定により得られた溶出曲線と、予め標準ポリスチレンのGPC測定を行うことにより作成しておいた標準ポリスチレンの検量線とから、試料(樹脂)の重量平均分子量を求めた。前記GPC測定の使用装置及び測定条件は、以下の通りである。
使用したGPC装置:東ソー株式会社製「HLC−8320GPC EcoSEC(登録商標)」(RI検出器(示差屈折率検出器)及びUV検出器(紫外吸収検出器)内蔵)
ガードカラム:東ソー株式会社製「TSKgel(登録商標) guardcolumn SuperMP(HZ)−H」(内径4.6mm×2cm)×1本
リファレンス側のカラム:東ソー株式会社製「TSKgel(登録商標) SuperHZ 1000」(内径4.6mm×長さ15cm)×1本
試料側のカラム:東ソー株式会社製「TSKgel(登録商標) SuperMultiporeHZ−H」(内径4.6mm×長さ15cm)×2本
カラム温度:40℃
移動相:THF
試料側の移動相の流量(S.PUMP):0.2mL/min
リファレンス側の移動相の流量(R.PUMP):0.2mL/min
検出器:RI検出器
試料濃度:0.33重量%
試料の注入量:20μL
測定期間:0〜25min
ランタイム(測定継続時間):25min
サンプリングピッチ:200msec
検量線用標準ポリスチレン試料としては、昭和電工株式会社製の商品名「Shodex(登録商標)」の重量平均分子量が5,620,000、3,120,000、1,250,000、442,000、131,000、54,000、20,000、7,590、3,450、及び1,320であるものを用いた。
検量線の作成方法は、前記検量線用標準ポリスチレンをA(重量平均分子量が5,620,000、1,250,000、131,000、20,000、及び3,450のもの),B(重量平均分子量3,120,000、442,000、54,000、7,590、及び1,320のもの)にグループ分けし、A(重量平均分子量が5,620,000、1,250,000、131,000、20,000、及び3,450のもの)の各標準ポリスチレンをそれぞれ2mg、3mg、4mg、10mg、及び10mg秤量した後、THF30mlに溶解し、得られた溶液を20μL、試料側のカラムに注入した。B(重量平均分子量が3,120,000、442,000、54,000、7,590、及び1,320のもの)の各標準ポリスチレンをそれぞれ3mg、4mg、8mg、10mg、及び10mg秤量した後、THF30mlに溶解し、得られた溶液を20μL、試料側のカラムに注入した。これら標準ポリスチレンの保持時間から較正曲線(三次式)を検量線として作成し、重量平均分子量測定に用いた。
〔樹脂の水酸基価の測定方法〕
水酸基価とは、試料1gに含まれるOH基をアセチル化するために要する水酸化カリウムのmg数である。樹脂の水酸基価は、JIS K1557−1のA法(アセチル化法)に準拠した操作及び計算により算出した。
〔耐サンスクリーン性の評価方法〕
サンスクリーン(商品名「メンソレータム(登録商標)UVプロテクト」、SPF(紫外線防御指数)50+、ロート製薬株式会社製)を塗膜に塗布した後、1昼夜放置した。放置後に、塗膜上のサンスクリーンを紙製ワイピングクロス(商品名「キムワイプ(登録商標)」、日本製紙クレシア株式会社製)で除去して、塗膜の状態を観察した。そして、塗膜の膨れも塗膜の剥がれもない場合を耐サンスクリーン性が「○」(良好)と評価し、塗膜の膨れ又は剥がれがある場合を耐サンスクリーン性が「×」(不良)と評価した。
〔塗膜のリコート性の評価方法〕
塗膜作成後に、先の塗膜の作成と同様にして、塗膜の上にもう一層、塗膜をコーティングし、塗膜の乾燥後に、JIS K5600−5−6に記載のクロスカット法と同様にしてクロスカットテストを行った。ただし、カットの間隔はJIS K5600−5−6に記載の間隔でなく5mm間隔とした。そして、JIS K5600−5−6に記載のクロスカット法と同様にして、テープを塗膜に貼り付けて引き剥がし、塗膜の剥がれの状態を観察した。そして、テープを剥離する際に、塗膜の剥がれが全く観察されない場合をリコート性が「○」と評価し、テープを剥離する際に、塗膜の一部またはすべての剥がれが観察された場合をリコート性が「×」と評価した。
〔塗膜の付着性の評価方法〕
塗膜の付着性を、旧JIS K5400:1990の8.5項(現JIS D0202の4.15項)に準拠して碁盤目テープ法による碁盤目付着性試験により評価した。そして、碁盤目付着性試験の評価点数が6点以上である場合を付着性が「○」と評価し、碁盤目付着性試験の評価点数が6点未満である場合を付着性が「×」と評価した。
〔実施例1〕
内容量300mLの反応容器に、有機溶剤としての酢酸ブチル59.2重量部を投入し、反応容器の内容物を250rpmの攪拌回転速度にて撹拌しながら80℃まで昇温させた。その後、(a)成分としてのシリコーンマクロモノマー(商品名「サイラプレーン(登録商標)FM−0721」、JNC株式会社製)10重量部、(b)水酸基含有ビニル系モノマーとしてのポリプロピレングリコールモノメタクリレート(商品名「ブレンマー(登録商標)PP−1000」、日油株式会社製)40重量部、(c)ジオキソラン含有ビニル系モノマーとしての4−アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン(商品名「CHDOL10」、大阪有機化学工業株式会社製)10重量部、(d)他のラジカル重合性モノマーとしてのメタクリル酸メチル(MMA)38重量部、及び重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名「AVN−E」、株式会社日本ファインケム製)2重量部からなる混合溶液(100重量部)を、30分ごとに5重量部ずつ前記反応容器内に滴下して80℃で8時間重合した。これにより、樹脂と酢酸ブチルとからなり、樹脂が酢酸ブチル中に溶解している分散体を得た。
得られた樹脂の水酸基価は59mgKOH/gであり、得られた樹脂の重量平均分子量は24000であった。
〔実施例2〕
(c)ジオキソラン含有ビニル系モノマーとして4−アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン(「CHDOL10」)10重量部に代えて4−アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン(商品名「MEDOL10」、大阪有機化学工業株式会社製)を用いる以外は実施例1と同様にして、樹脂が酢酸ブチル中に溶解している分散体を得た。
得られた樹脂の水酸基価は60mgKOH/gであり、得られた樹脂の重量平均分子量は28000であった。
〔実施例3〕
(c)ジオキソラン含有ビニル系モノマーとして4−アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン(「CHDOL10」)10重量部に代えて4−アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン(商品名「MIBDOL10」、大阪有機化学工業株式会社製)を用いる以外は実施例1と同様にして、樹脂が酢酸ブチル中に溶解している分散体を得た。
得られた樹脂の水酸基価は60mgKOH/gであり、得られた樹脂の重量平均分子量は30000であった。
〔実施例4〕
シリコーンマクロモノマー(「サイラプレーン(登録商標)FM−0721」)の使用量を5重量部に変更し、メタクリル酸メチルの使用量を43重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、樹脂が酢酸ブチル中に溶解している分散体を得た。
得られた樹脂の水酸基価は60mgKOH/gであり、得られた樹脂の重量平均分子量は35000であった。
〔実施例5〕
4−アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン(「CHDOL10」)の使用量を2重量部に変更し、メタクリル酸メチルの使用量を46重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、樹脂が酢酸ブチル中に溶解している分散体を得た。
得られた樹脂の水酸基価は60mgKOH/gであり、得られた樹脂の重量平均分子量は26000であった。
〔実施例6〕
シリコーンマクロモノマー(「サイラプレーン(登録商標)FM−0721」)の使用量を5重量部に変更し、4−アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン(「CHDOL10」)の使用量を5重量部に変更し、メタクリル酸メチルの使用量を48重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、樹脂が酢酸ブチル中に溶解している分散体を得た。
得られた樹脂の水酸基価は60mgKOH/gであり、得られた樹脂の重量平均分子量は32000であった。
〔実施例7〕
シリコーンマクロモノマー(「サイラプレーン(登録商標)FM−0721」)の使用量を2重量部に変更し、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(「ブレンマー(登録商標)PP−1000」)の使用量を49重量部に変更し、メタクリル酸メチルの使用量を37重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、樹脂が酢酸ブチル中に溶解している分散体を得た。
得られた樹脂の水酸基価は60mgKOH/gであり、得られた樹脂の重量平均分子量は34000であった。
〔実施例8〕
シリコーンマクロモノマー(「サイラプレーン(登録商標)FM−0721」)の使用量を3重量部に変更し、メタクリル酸メチルの使用量を45重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、樹脂が酢酸ブチル中に溶解している分散体を得た。
得られた樹脂の水酸基価は60mgKOH/gであり、得られた樹脂の重量平均分子量は40000であった。
〔実施例9〕
(d)他のラジカル重合性モノマーとしてメタクリル酸メチル38重量部に代えてメタクリル酸メチル19重量部及びメタクリル酸ブチル(BMA)19重量部を用いる以外は実施例1と同様にして、樹脂が酢酸ブチル中に溶解している分散体を得た。
得られた樹脂の水酸基価は60mgKOH/gであり、得られた樹脂の重量平均分子量は36000であった。
〔実施例10〕
(b)水酸基含有ビニル系モノマーとしてポリプロピレングリコールモノメタクリレート(「ブレンマー(登録商標)PP−1000」)に代えてポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノメタクリレート(商品名「ブレンマー(登録商標)50PEP−300」、日油株式会社製)を用いる以外は実施例2と同様にして、樹脂が酢酸ブチル中に溶解している分散体を得た。
得られた樹脂の水酸基価は57mgKOH/gであり、得られた樹脂の重量平均分子量は37000であった。
〔実施例11〕
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(「ブレンマー(登録商標)PP−1000」)の使用量を35重量部に変更し、4−アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン(「CHDOL10」)の使用量を15重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、樹脂が酢酸ブチル中に溶解している分散体を得た。
得られた樹脂の水酸基価は60mgKOH/gであり、得られた樹脂の重量平均分子量は30000であった。
〔実施例12〕
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(「ブレンマー(登録商標)PP−1000」)の使用量を35重量部に変更し、4−アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン(「CHDOL10」)の使用量を20重量部に変更し、メタクリル酸メチルの使用量を33重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、樹脂が酢酸ブチル中に溶解している分散体を得た。
得られた樹脂の水酸基価は60mgKOH/gであり、得られた樹脂の重量平均分子量は36000であった。
〔実施例13〕
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(「ブレンマー(登録商標)PP−1000」)の使用量を20重量部に変更し、メタクリル酸メチルの使用量を58重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、樹脂が酢酸ブチル中に溶解している分散体を得た。
得られた樹脂の水酸基価は28mgKOH/gであり、得られた樹脂の重量平均分子量は32000であった。
〔比較例1〕
4−アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン(「CHDOL10」)を使用せず、メタクリル酸メチルの使用量を48重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、樹脂が酢酸ブチル中に溶解している分散体を得た。
得られた樹脂の水酸基価は60mgKOH/gであり、得られた樹脂の重量平均分子量は35000であった。
〔比較例2〕
4−アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン(「CHDOL10」)を使用せず、メタクリル酸メチルの使用量を24重量部に変更し、メタクリル酸ブチルの使用量を24重量部に変更する以外は実施例9と同様にして、樹脂が酢酸ブチル中に溶解している分散体を得た。
得られた樹脂の水酸基価は60mgKOH/gであり、得られた樹脂の重量平均分子量は47000であった。
〔比較例3〕
シリコーンマクロモノマー(「サイラプレーン(登録商標)FM−0721」)を使用せず、メタクリル酸メチルの使用量を48重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、樹脂が酢酸ブチル中に溶解している分散体を得た。
得られた樹脂の水酸基価は60mgKOH/gであり、得られた樹脂の重量平均分子量は42000であった。
〔比較例4〕
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(「ブレンマー(登録商標)PP−1000」)を使用せず、メタクリル酸メチルの使用量を78重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、樹脂が酢酸ブチル中に溶解している分散体を得た。
得られた樹脂の水酸基価は0mgKOH/gであり、得られた樹脂の重量平均分子量は38000であった。
実施例1〜13及び比較例1〜4において用いた原料の種類及び量、並びに、実施例1〜13及び比較例1〜4で得られた樹脂の重量平均分子量及び水酸基価を、表1及び表2にまとめて示す。なお、表1及び表2中において「FM−0721」は、「サイラプレーン(登録商標)FM−0721」を表し、「PP−1000」は「ブレンマー(登録商標)PP−1000」を表し、「50PEP−300」は「ブレンマー(登録商標)50PEP−300」を表す。
〔塗膜形成例1(樹脂自体をコーティング剤として使用)〕
前記実施例及び前記比較例の何れか1つで得られた分散体(固形分40重量%)5g、架橋剤としての多官能イソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体であるイソシアヌレート型多官能イソシアネート、商品名「デュラネート(登録商標)TPA−100」、旭化成ケミカルズ株式会社製、NCO含有量:23重量%)0.4g、及び縮合触媒としてのイソプロピルトリイソステアロイルチタネート(味の素株式会社製、商品名「プレンアクト(登録商標)KR TTS」)0.2gを混合して、コーティング剤を得た。その後、前記コーティング剤を40μmアプリケーターでABS樹脂板(TP技研株式会社製、規格:JIS K 6873、厚み2mm)にコーティングした後、乾燥させた。その後、乾燥させたコーティング剤を60℃に加熱したオーブンにて硬化させて、塗膜を得た。
前記実施例及び前記比較例の各々で得られた分散体を用いて得られた塗膜の耐サンスクリーン性(耐薬品性の一種)、リコート性、及び付着性を、前述した方法で評価した。得られた評価結果を、表1及び表2に「塗膜の評価(1)(樹脂自体をコーティング剤として使用)」として示す。
〔塗膜形成例2(樹脂を塗料改質剤として使用)〕
ポリウレタン樹脂塗料を構成するポリオールとしてのポリカプロラクトンポリオール(株式会社ダイセル製、商品名「プラクセル(登録商標)L220AL」、水酸基価:56mgKOH/g)90gを300mLの反応容器に入れ、該反応容器内を窒素置換して、60℃にて攪拌した。
次に、ポリウレタン樹脂塗料を構成する多官能イソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体であるイソシアヌレート型多官能イソシアネート、商品名「デュラネート(登録商標)TPA−100」、旭化成ケミカルズ株式会社製、NCO含有量:23重量%)18.7g、塗料改質剤としての前記実施例及び前記比較例の何れか1つで得られた分散体30g(固形分40重量%)、及び縮合触媒としてのテトラn−ブチルチタネート1.0g(味の素株式会社製、商品名「プレンアクト(登録商標)KR TTS」)を入れ、これらを十分に混合攪拌させて混合溶液を得た。その後、この混合溶液を減圧脱泡し、塗料組成物を得た。
得られた塗料組成物を40μmアプリケーターで、塗膜形成例1で使用したのと同じABS樹脂板にコーティングした後、乾燥させた。その後、乾燥させた塗料組成物を、60℃に加熱したオーブンにて硬化させて、塗膜を得た。
前記実施例及び前記比較例の各々で得られた分散体を用いて得られた塗膜の耐サンスクリーン性(耐薬品性の一種)、リコート性、及び付着性を、前述した方法で評価した。得られた評価結果を、表1及び表2に「塗膜の評価(2)(樹脂を塗料改質剤として使用)」として示す。
〔塗膜形成例3(樹脂を塗料改質剤として使用)〕
ABS樹脂板に代えてPETフィルム(東レ株式会社製、商品名「ルミラー(登録商標)」、タイプ:S10、品番:♯125、厚み:125μm)を用いる以外は塗膜形成例2と同様にして、塗膜を得た。
前記実施例及び前記比較例の各々で得られた分散体を用いて得られた塗膜の耐サンスクリーン性(耐薬品性の一種)、リコート性、及び付着性を、前述した方法で評価した。得られた評価結果を、表1及び表2に「塗膜の評価(3)(樹脂を塗料改質剤として使用)」として示す。
〔塗膜形成例4〕
アクリルポリオールを用いたポリウレタン樹脂塗料を構成するアクリルポリオールとして、東栄化成株式会社製の商品名「アクリナール(登録商標)XB♯6000」(水酸基価43mgKOH/g、純分41重量%)225gを300mLの反応容器に入れ、該反応容器内を窒素置換して、60℃にて加熱した。
次に、アクリルポリオールを用いたポリウレタン樹脂塗料を構成する多官能イソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体であるイソシアヌレート型多官能イソシアネート、商品名「デュラネート(登録商標)TPA−100」、旭化成ケミカルズ株式会社製、NCO含有量、23重量%)12.5g、塗料改質剤としての前記実施例及び前記比較例の何れか1つで得られた分散体30g(固形分40重量%)、及び縮合触媒としてのイソプロピルトリイソステアロイルチタネート1.0g(味の素株式会社製、商品名「プレンアクト(登録商標)KR TTS」)を入れ、これらを十分に混合攪拌させて混合溶液を得た。その後、この混合溶液を減圧脱泡し、塗料組成物を得た。
得られた塗料組成物を40μmアプリケーターで、塗膜形成例1で使用したのと同じABS樹脂板にコーティングした後、乾燥させた。その後、乾燥させた塗料組成物を、60℃に加熱したオーブンにて硬化させて、塗膜を得た。
前記実施例及び前記比較例の各々で得られた分散体を用いて得られた塗膜の耐サンスクリーン性(耐薬品性の一種)、リコート性、及び付着性を、前述した方法で評価した。得られた評価結果を、表1及び表2に「塗膜の評価(4)(樹脂を塗料改質剤として使用)」として示す。
Figure 2014034634
Figure 2014034634
実施例1〜13と比較例1・2との比較により、前記(a)シリコーンマクロモノマーと前記(b)水酸基含有ビニル系モノマーと前記(c)ジオキソラン含有ビニル系モノマーと前記(d)他のラジカル重合性モノマーとを共重合してなる本発明の樹脂は、前記(a)〜(d)の量や前記(b)〜(d)の種類に係わらず、前記(c)ジオキソラン含有ビニル系モノマーを使用せずに上記共重合を行ってなる樹脂と比較して、樹脂を含むコーティング剤又は塗料組成物を用いて形成される塗膜のリコート性及び付着性に優れていることが分かった。
また、実施例1〜13と比較例3との比較により、前記(a)シリコーンマクロモノマーと前記(b)水酸基含有ビニル系モノマーと前記(c)ジオキソラン含有ビニル系モノマーと前記(d)他のラジカル重合性モノマーとを共重合してなる本発明の樹脂は、前記(a)〜(d)の量や前記(b)〜(d)の種類に係わらず、前記(a)シリコーンマクロモノマーを使用せずに上記共重合を行ってなる樹脂と比較して、樹脂を含むコーティング剤又は塗料組成物を用いて形成される塗膜の耐サンスクリーン性及びリコート性に優れていることが分かった。
また、実施例1〜13と比較例4との比較により、前記(a)シリコーンマクロモノマーと前記(b)水酸基含有ビニル系モノマーと前記(c)ジオキソラン含有ビニル系モノマーと前記(d)他のラジカル重合性モノマーとを共重合してなる本発明の樹脂は、前記(a)〜(d)の量や前記(b)〜(d)の種類に係わらず、前記(b)水酸基含有ビニル系モノマーを使用せずに上記共重合を行ってなる樹脂と比較して、樹脂を含むコーティング剤又は塗料組成物を用いて形成される塗膜の耐サンスクリーン性及びリコート性に優れていることが分かった。
本発明の樹脂及び分散体は、優れた耐薬品性及びウレタン系樹脂やアクリル系樹脂等を用いた塗料に対する優れた相溶性を有し、かつ、コーティング剤や塗料に用いたときに、優れたリコート性及び基材に対する優れた付着性をコーティング剤や塗料に付与できるので、塗料改質剤、フィルムの傷つき防止膜の材料、コーティング剤又は塗料組成物を構成する成分等として有用である。

Claims (10)

  1. (a)片末端にラジカル重合性基を有するシリコーンマクロモノマーと、
    (b)末端に水酸基を有し、かつアルキレンオキサイド構造を有するビニル系モノマーと、
    (c)ジオキソラン構造を有するビニル系モノマーと、
    (d)前記(a)〜(c)以外のラジカル重合性モノマーとを共重合してなることを特徴とする樹脂。
  2. 請求項1に記載の樹脂であって、
    前記(a)に由来する構造単位を、樹脂100重量%に対して2〜15重量%の範囲内で含むことを特徴とする樹脂。
  3. 請求項1又は2に記載の樹脂であって、
    前記(c)に由来する構造単位を、樹脂100重量%に対して2〜20重量%の範囲内で含むことを特徴とする樹脂。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂であって、
    前記(d)が、アルコール残基が炭素数4以下のアルキル基である(メタ)アクリル酸アルキル及び/又はスチレン類であることを特徴とする樹脂。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂であって、
    前記(b)が、炭素数3以上のアルキレンオキサイド構造を2つ以上含むことを特徴とする樹脂。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂であって、
    水酸基価が20〜80mgKOH/gの範囲内であることを特徴とする樹脂。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂と、有機溶剤とを含み、
    前記樹脂が前記有機溶剤中に溶解又は微分散していることを特徴とする分散体。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂、又は請求項7に記載の分散体を含むことを特徴とするコーティング剤。
  9. 塗料を改質するために塗料に添加される塗料改質剤であって、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂、又は請求項7に記載の分散体を含むことを特徴とする塗料改質剤。
  10. 塗料と、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂、請求項7に記載の分散体、又は請求項9に記載の塗料改質剤とを含むことを特徴とする塗料組成物。
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