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JP2014026990A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池 Download PDF

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JP2014026990A JP2013228393A JP2013228393A JP2014026990A JP 2014026990 A JP2014026990 A JP 2014026990A JP 2013228393 A JP2013228393 A JP 2013228393A JP 2013228393 A JP2013228393 A JP 2013228393A JP 2014026990 A JP2014026990 A JP 2014026990A
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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池の低充電状態での高出力化
【解決手段】リチウムイオン二次電池100は、正極集電体221と、正極集電体221に保持された多孔質の正極活物質層223とを備えている。ここで、正極活物質層223は、例えば正極活物質粒子610と導電材620とバインダ630とを含んでいる。かかるリチウムイオン二次電池100では、正極活物質粒子610は、リチウム遷移金属酸化物で構成された殻部612と、殻部612の内部に形成された中空部614と、殻部612を貫通した貫通孔616とを有している。このリチウムイオン二次電池100では、正極活物質層223の平均において、正極活物質粒子610の見かけの断面積のうち、中空部614が占める割合が23%以上である。さらに、正極活物質層223の平均において殻部612の厚さが2.2μm以下である。
【選択図】図9

Description

本発明はリチウムイオン二次電池に関する。本明細書において「リチウムイオン二次電池」は、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池である。本明細書において「二次電池」には、繰り返し充電可能な蓄電デバイス一般が含まれる。
例えば、日本国特許第4096754号公報には、リチウムイオン二次電池の正極活物質が開示されている。
同文献で開示されている正極活物質は、層状構造のリチウムニッケル複合酸化物を有している。ここで、層状構造のリチウムニッケル複合酸化物は、所定の組成比のコバルトイオン、ニッケルイオン、またはアルミニウムイオンを含む水溶液に水酸化ナトリウムを滴下することによって得られる共沈物の熱処理物と、リチウム化合物との原料混合物を焼成することによって得られる。リチウムニッケル複合酸化物は、下記の一般式で表される。
一般式:LiNiCoAl(1−m−p)(但し、式中、k、m、p、rは、0.95≦k≦1.10、0.1≦m≦0.9、0.1≦p≦0.9、1.8≦r≦2.2を満たす)、かつ、Ni/Co(モル比)は、2.33、3.0、3.25、3.5の何れかである。当該文献で開示されたリチウムニッケル複合酸化物は、外側の外殻部と、該外殻部の内側の空間部とを有する中空粒子である。そして、当該中空粒子の断面出しを行ったときの、外殻部と空間部の合計に対する空間部の面積割合は、7%以上16%以下である。
日本国特許第4096754号公報
ところで、いわゆるハイブリッド車(プラグインハイブリッド車を含む)、電気自動車など、電気モータで車輪を駆動させる車両では、電池に蓄えられた電力のみでの走行が可能である。電池には、充電量が減るにつれて出力が低下する傾向がある。走行を安定させるためには、電池を所定の充電量の範囲内で使用することが望ましい。かかる車両に搭載される電池が、低充電量(充電量が少ない場合)でも所要の出力を発揮できれば、ハイブリッド車、電気自動車などの走行性能を向上させることができる。また、低充電量(充電量が少ない場合)でも所要の出力を発揮できれば、必要なエネルギー量を確保するための電池の数を減らすことができ、コストダウンを図ることができる。
ここで、本発明者が提案するリチウムイオン二次電池は、集電体と、集電体に保持され、正極活物質粒子と導電材とバインダとを含む多孔質の正極活物質層とを備えている。正極活物質粒子は、リチウム遷移金属酸化物で構成された殻部と、殻部の内部に形成された中空部と、殻部を貫通した貫通孔とを有している。また、正極活物質層の平均において、正極活物質粒子の見かけの断面積のうち、中空部が占める割合が23%以上であり、かつ、正極活物質層の平均において殻部の厚さが2.2μm以下である。ここで、正極活物質層の任意の断面において、殻部の内側面の任意の位置における殻部の厚さを、当該殻部の内側面の任意の位置から殻部の外側面への最短距離とする。
一般的に、低い充電量では正極活物質層内のリチウムイオン濃度が非常に高くなるので、放電時において正極活物質内部へのイオン拡散が律速となる。本発明に係るリチウムイオン二次電池によれば、正極活物質層の平均において、正極活物質粒子の見かけの断面積のうち、中空部が占める割合が23%以上であり、殻部を貫通した貫通孔を有し、さらに正極活物質粒子の殻部の厚さが非常に薄い(ここでは、2.2μm以下)。このため、正極活物質粒子の殻部内部(活物質内部)へのリチウムイオンの拡散が速い。このため、リチウムイオン二次電池は、低い充電量であっても高い出力を安定して発揮できる。
また、正極活物質層の平均において、殻部の厚さは0.05μm以上でもよい。これにより、正極活物質粒子に所要の耐久性が確保され、リチウムイオン二次電池の性能が安定する。
さらに、正極活物質粒子の殻部を構成するリチウム遷移金属酸化物は、ニッケルを構成元素として含む層状構造の化合物であるとよい。かかるリチウム遷移金属酸化物は、例えば、ニッケル、コバルトおよびマンガンを構成元素として含む層状構造の化合物でもよい。または、リチウム遷移金属酸化物は、Li1+xNiCoMn(1−y−z)γ2として含む層状構造の化合物であってもよい。ここで、0≦x≦0.2、0.1<y<0.9、0.1<z<0.4であり、Mは、添加物であり、0≦γ≦0.01である。さらに、添加物としてのMは、Zr、W、Mg、Ca、Na、Fe、Cr、Zn、Si、Sn、Al、BおよびFからなる群のうち少なくとも一種類の添加物であってもよい。
また、正極活物質粒子は、遷移金属化合物の水性溶液にアンモニウムイオンを供給して、遷移金属水酸化物の粒子を水性溶液から析出させる原料水酸化物生成工程と、遷移金属水酸化物とリチウム化合物とを混合して未焼成の混合物を調製する混合工程と、混合物を焼成して活物質粒子を得る焼成工程とを包含する製造方法によって製造された正極活物質粒子であるとよい。なお、ここで、水性溶液は、前記リチウム遷移金属酸化物を構成する遷移金属元素の少なくとも一つを含んでいるとよい。
また、原料水酸化物生成工程は、水性溶液から遷移金属水酸化物を析出させる核生成段階と、核生成段階よりも水性溶液のpHを減少させた状態で、遷移金属水酸化物を成長させる粒子成長段階とを含んでいるとよい。この場合、核生成段階での水性溶液のpHが12以上13以下、および、粒子成長段階での水性溶液のpHが11以上12未満であってもよい。また、核生成段階での水性溶液のアンモニウムイオン濃度が20g/L以下、および、粒子成長段階での水性溶液のアンモニウムイオン濃度が10g/L以下であってもよい。また、核生成段階および粒子成長段階での水性溶液のアンモニウムイオン濃度が3g/L以上であるとよい。これにより、殻部が薄く、中空部が広く、貫通孔を有する正極活物質粒子がより安定して得られる。
図1は、リチウムイオン二次電池の構造の一例を示す図である。 図2は、リチウムイオン二次電池の捲回電極体を示す図である。 図3は、図2中のIII−III断面を示す断面図である。 図4は、正極活物質層の構造を示す断面図である。 図5は、負極活物質層の構造を示す断面図である。 図6は、捲回電極体の未塗工部と電極端子との溶接箇所を示す側面図である。 図7は、リチウムイオン二次電池の充電時の状態を模式的に示す図である。 図8は、リチウムイオン二次電池の放電時の状態を模式的に示す図である。 図9は、正極活物質粒子を示す図である。 図10は、出力特性1を算出する際の近似曲線を例示したグラフである。 図11は、出力特性2を算出する際の近似曲線を例示したグラフである。 図12は、二次電池を搭載した車両を示す図である。
ここではまず、リチウムイオン二次電池の一構造例を説明する。その後、かかる構造例を適宜に参照しつつ、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を説明する。なお、同じ作用を奏する部材、部位には適宜に同じ符号を付している。また、各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。各図面は、一例を示すのみであり、特に言及されない限りにおいて本発明を限定しない。
図1は、リチウムイオン二次電池100を示している。このリチウムイオン二次電池100は、図1に示すように、捲回電極体200と電池ケース300とを備えている。図2は、捲回電極体200を示す図である。図3は、図2中のIII−III断面を示している。
捲回電極体200は、図2に示すように、正極シート220、負極シート240およびセパレータ262、264を有している。正極シート220、負極シート240およびセパレータ262、264は、それぞれ帯状のシート材である。
≪正極シート220≫
正極シート220は、帯状の正極集電体221と正極活物質層223とを備えている。正極集電体221には、正極に適する金属箔が好適に使用され得る。正極集電体221には、例えば、所定の幅を有し、厚さが凡そ15μmの帯状のアルミニウム箔を用いることができる。正極集電体221の幅方向片側の縁部に沿って未塗工部222が設定されている。図示例では、正極活物質層223は、図3に示すように、正極集電体221に設定された未塗工部222を除いて、正極集電体221の両面に保持されている。正極活物質層223には、正極活物質が含まれている。正極活物質層223は、正極活物質を含む正極合剤を正極集電体221に塗工することによって形成されている。
≪正極活物質層223および正極活物質粒子610≫
ここで、図4は、正極シート220の断面図である。なお、図4において、正極活物質層223の構造が明確になるように、正極活物質層223中の正極活物質粒子610と導電材620とバインダ630とを大きく模式的に表している。正極活物質層223には、図4に示すように、正極活物質粒子610と導電材620とバインダ630が含まれている。
正極活物質粒子610には、リチウムイオン二次電池の正極活物質として用いることができる物質を使用することができる。正極活物質粒子610の例を挙げると、LiNiCoMnO(リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物)、LiNiO(ニッケル酸リチウム)、LiCoO(コバルト酸リチウム)、LiMn(マンガン酸リチウム)、LiFePO(リン酸鉄リチウム)などのリチウム遷移金属酸化物が挙げられる。ここで、LiMnは、例えば、スピネル構造を有している。また、LiNiO或いはLiCoOは層状の岩塩構造を有している。また、LiFePOは、例えば、オリビン構造を有している。オリビン構造のLiFePOには、例えば、ナノメートルオーダーの粒子がある。また、オリビン構造のLiFePOは、さらにカーボン膜で被覆することができる。
≪導電材620≫
導電材620としては、例えば、カーボン粉末、カーボンファイバーなどのカーボン材料が例示される。このような導電材から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末などのカーボン粉末を用いることができる。
≪バインダ630≫
また、バインダ630は、正極活物質層223に含まれる正極活物質粒子610と導電材620の各粒子を結着させたり、これらの粒子と正極集電体221とを結着させたりする。かかるバインダ630としては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、水性溶媒を用いた正極合剤組成物においては、セルロース系ポリマー(カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)など)、フッ素系樹脂(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)など)、ゴム類(酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)など)などの水溶性または水分散性ポリマーを好ましく採用することができる。また、非水溶媒を用いた正極合剤組成物においては、ポリマー(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリルニトリル(PAN)など)を好ましく採用することができる。
≪増粘剤、溶媒≫
正極活物質層223は、例えば、上述した正極活物質粒子610と導電材620を溶媒にペースト状(スラリ状)に混ぜ合わせた正極合剤を作製し、正極集電体221に塗布し、乾燥させ、圧延することによって形成されている。この際、正極合剤の溶媒としては、水性溶媒および非水溶媒の何れも使用可能である。非水溶媒の好適な例としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が挙げられる。上記バインダ630として例示したポリマー材料は、バインダとしての機能の他に、正極合剤の増粘剤その他の添加剤としての機能を発揮する目的で使用されることもあり得る。
正極合剤全体に占める正極活物質の質量割合は、凡そ50wt%以上(典型的には50〜95wt%)であることが好ましく、通常は凡そ70〜95wt%(例えば75〜90wt%)であることがより好ましい。また、正極合剤全体に占める導電材の割合は、例えば凡そ2〜20wt%とすることができ、通常は凡そ2〜15wt%とすることが好ましい。バインダを使用する組成では、正極合剤全体に占めるバインダの割合を例えば凡そ1〜10wt%とすることができ、通常は凡そ2〜5wt%とすることが好ましい。
≪負極シート240≫
負極シート240は、図2に示すように、帯状の負極集電体241と、負極活物質層243とを備えている。負極集電体241には、負極に適する金属箔が好適に使用され得る。この負極集電体241には、所定の幅を有し、厚さが凡そ10μmの帯状の銅箔が用いられている。負極集電体241の幅方向片側には、縁部に沿って未塗工部242が設定されている。負極活物質層243は、負極集電体241に設定された未塗工部242を除いて、負極集電体241の両面に形成されている。負極活物質層243は、負極集電体241に保持され、少なくとも負極活物質が含まれている。負極活物質層243は、負極活物質を含む負極合剤が負極集電体241に塗工されている。
≪負極活物質層243≫
図5は、リチウムイオン二次電池100の負極シート240の断面図である。負極活物質層243には、図5に示すように、負極活物質710、増粘剤(図示省略)、バインダ730などが含まれている。図5では、負極活物質層243の構造が明確になるように、負極活物質層243中の負極活物質710とバインダ730とを大きく模式的に表している。
≪負極活物質≫
負極活物質710としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる材料の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が挙げられる。より具体的には、負極活物質は、例えば、天然黒鉛、非晶質の炭素材料でコートした天然黒鉛、黒鉛質(グラファイト)、難黒鉛化炭素質(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質(ソフトカーボン)、または、これらを組み合わせた炭素材料でもよい。なお、ここでは、負極活物質710は、いわゆる鱗片状黒鉛が用いられた場合を図示しているが、負極活物質710は、図示例に限定されない。
≪増粘剤、溶媒≫
負極活物質層243は、例えば、上述した負極活物質710とバインダ730を溶媒にペースト状(スラリ状)に混ぜ合わせた負極合剤を作製し、負極集電体241に塗布し、乾燥させ、圧延することによって形成されている。この際、負極合剤の溶媒としては、水性溶媒および非水溶媒の何れも使用可能である。非水溶媒の好適な例としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が挙げられる。バインダ730には、上記正極活物質層223(図4参照)のバインダ630として例示したポリマー材料を用いることができる。また、上記正極活物質層223のバインダ630として例示したポリマー材料は、バインダとしての機能の他に、正極合剤の増粘剤その他の添加剤としての機能を発揮する目的で使用されることもあり得る。
≪セパレータ262、264≫
セパレータ262、264は、図1または図2に示すように、正極シート220と負極シート240とを隔てる部材である。この例では、セパレータ262、264は、微小な孔を複数有する所定幅の帯状のシート材で構成されている。セパレータ262、264には、例えば、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成された単層構造のセパレータ或いは積層構造のセパレータを用いることができる。この例では、図2および図3に示すように、負極活物質層243の幅b1は、正極活物質層223の幅a1よりも少し広い。さらにセパレータ262、264の幅c1、c2は、負極活物質層243の幅b1よりも少し広い(c1、c2>b1>a1)。
なお、図1および図2に示す例では、セパレータ262、264は、シート状の部材で構成されている。セパレータ262、264は、正極活物質層223と負極活物質層243とを絶縁するとともに、電解質の移動を許容する部材であればよい。従って、シート状の部材に限定されない。セパレータ262、264は、シート状の部材に代えて、例えば、正極活物質層223または負極活物質層243の表面に形成された絶縁性を有する粒子の層で構成してもよい。ここで、絶縁性を有する粒子としては、絶縁性を有する無機フィラー(例えば、金属酸化物、金属水酸化物などのフィラー)、或いは、絶縁性を有する樹脂粒子(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの粒子)で構成してもよい。
≪電池ケース300≫
また、この例では、電池ケース300は、図1に示すように、いわゆる角型の電池ケースであり、容器本体320と、蓋体340とを備えている。容器本体320は、有底四角筒状を有しており、一側面(上面)が開口した扁平な箱型の容器である。蓋体340は、当該容器本体320の開口(上面の開口)に取り付けられて当該開口を塞ぐ部材である。
車載用の二次電池では、車両の燃費を向上させるため、重量エネルギー効率(単位重量当りの電池の容量)を向上させることが望まれる。このため、この実施形態では、電池ケース300を構成する容器本体320と蓋体340は、アルミニウム、アルミニウム合金などの軽量金属が採用されている。これにより重量エネルギー効率を向上させることができる。
電池ケース300は、捲回電極体200を収容する空間として、扁平な矩形の内部空間を有している。また、図1に示すように、電池ケース300の扁平な内部空間は、捲回電極体200よりも横幅が少し広い。この実施形態では、電池ケース300は、有底四角筒状の容器本体320と、容器本体320の開口を塞ぐ蓋体340とを備えている。また、電池ケース300の蓋体340には、電極端子420、440が取り付けられている。電極端子420、440は、電池ケース300(蓋体340)を貫通して電池ケース300の外部に出ている。また、蓋体340には注液孔350と安全弁360とが設けられている。
捲回電極体200は、図2に示すように、捲回軸WLに直交する一の方向において扁平に押し曲げられている。図2に示す例では、正極集電体221の未塗工部222と負極集電体241の未塗工部242は、それぞれセパレータ262、264の両側において、らせん状に露出している。図6に示すように、この実施形態では、未塗工部222、242の中間部分224、244を寄せ集め、電極端子420、440の先端部420a、440aに溶接している。この際、それぞれの材質の違いから、電極端子420と正極集電体221の溶接には、例えば、超音波溶接が用いられる。また、電極端子440と負極集電体241の溶接には、例えば、抵抗溶接が用いられる。ここで、図6は、捲回電極体200の未塗工部222(242)の中間部分224(244)と電極端子420(440)との溶接箇所を示す側面図であり、図1のVI−VI断面図である。
捲回電極体200は、扁平に押し曲げられた状態で、蓋体340に固定された電極端子420、440に取り付けられる。かかる捲回電極体200は、図1に示すように、容器本体320の扁平な内部空間に収容される。容器本体320は、捲回電極体200が収容された後、蓋体340によって塞がれる。蓋体340と容器本体320の合わせ目322(図1参照)は、例えば、レーザ溶接によって溶接されて封止されている。このように、この例では、捲回電極体200は、蓋体340(電池ケース300)に固定された電極端子420、440によって、電池ケース300内に位置決めされている。
≪電解液≫
その後、蓋体340に設けられた注液孔350から電池ケース300内に電解液が注入される。電解液は、水を溶媒としていない、いわゆる非水電解液が用いられている。この例では、電解液は、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(例えば、体積比1:1程度の混合溶媒)にLiPFを約1mol/リットルの濃度で含有させた電解液が用いられている。その後、注液孔350に金属製の封止キャップ352を取り付けて(例えば溶接して)電池ケース300を封止する。なお、電解液は、ここで例示された電解液に限定されない。例えば、従来からリチウムイオン二次電池に用いられている非水電解液は適宜に使用することができる。
≪空孔≫
ここで、正極活物質層223は、例えば、正極活物質粒子610と導電材620の粒子間などに、空洞とも称すべき微小な隙間225を有している(図4参照)。かかる正極活物質層223の微小な隙間には電解液(図示省略)が浸み込み得る。また、負極活物質層243は、例えば、負極活物質710の粒子間などに、空洞とも称すべき微小な隙間245を有している(図5参照)。ここでは、かかる隙間225、245(空洞)を適宜に「空孔」と称する。また、捲回電極体200は、図2に示すように、捲回軸WLに沿った両側において、未塗工部222、242が螺旋状に巻かれている。かかる捲回軸WLに沿った両側252、254において、未塗工部222、242の隙間から、電解液が浸み込みうる。このため、リチウムイオン二次電池100の内部では、正極活物質層223と負極活物質層243に電解液が浸み渡っている。
≪ガス抜け経路≫
また、この例では、当該電池ケース300の扁平な内部空間は、扁平に変形した捲回電極体200よりも少し広い。捲回電極体200の両側には、捲回電極体200と電池ケース300との間に隙間310、312が設けられている。当該隙間310、312は、ガス抜け経路になる。例えば、過充電が生じた場合などにおいて、リチウムイオン二次電池100の温度が異常に高くなると、電解液が分解されてガスが異常に発生する場合がある。この実施形態では、異常に発生したガスは、捲回電極体200の両側における捲回電極体200と電池ケース300との隙間310、312を通して安全弁360の方へ移動し、安全弁360から電池ケース300の外に排気される。
かかるリチウムイオン二次電池100では、正極集電体221と負極集電体241は、電池ケース300を貫通した電極端子420、440を通じて外部の装置に電気的に接続される。以下、充電時と放電時のリチウムイオン二次電池100の動作を説明する。
≪充電時の動作≫
図7は、かかるリチウムイオン二次電池100の充電時の状態を模式的に示している。充電時においては、図7に示すように、リチウムイオン二次電池100の電極端子420、440(図1参照)は、充電器290に接続される。充電器290の作用によって、充電時には、正極活物質層223中の正極活物質からリチウムイオン(Li)が電解液280に放出される。また、正極活物質層223からは電荷が放出される。放出された電荷は、導電材(図示省略)を通じて正極集電体221に送られ、さらに、充電器290を通じて負極240へ送られる。また、負極240では電荷が蓄えられるとともに、電解液280中のリチウムイオン(Li)が、負極活物質層243中の負極活物質に吸収され、かつ、貯蔵される。
≪放電時の動作≫
図8は、かかるリチウムイオン二次電池100の放電時の状態を模式的に示している。放電時には、図8に示すように、負極シート240から正極シート220に電荷が送られるとともに、負極活物質層243に貯蔵されたリチウムイオンが、電解液280に放出される。また、正極では、正極活物質層223中の正極活物質に電解液280中のリチウムイオンが取り込まれる。
このようにリチウムイオン二次電池100の充放電において、電解液280を介して、正極活物質層223と負極活物質層243との間でリチウムイオンが行き来する。また、充電時においては、正極活物質から導電材を通じて正極集電体221に電荷が送られる。これに対して、放電時においては、正極集電体221から導電材を通じて正極活物質に電荷が戻される。
充電時においては、リチウムイオンの移動および電子の移動がスムーズなほど、効率的で急速な充電が可能になると考えられる。放電時においては、リチウムイオンの移動および電子の移動がスムーズなほど、電池の抵抗が低下し、放電量が増加し、電池の出力が向上すると考えられる。
≪他の電池形態≫
なお、上記はリチウムイオン二次電池の一例を示すものである。リチウムイオン二次電池は上記形態に限定されない。また、同様に金属箔に電極合剤が塗工された電極シートは、他にも種々の電池形態に用いられる。例えば、他の電池形態として、円筒型電池或いはラミネート型電池などが知られている。円筒型電池は、円筒型の電池ケースに捲回電極体を収容した電池である。また、ラミネート型電池は、正極シートと負極シートとをセパレータを介在させて積層した電池である。
以下、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を説明する。なお、ここで説明するリチウムイオン二次電池は、基本的な構造が上述したリチウムイオン二次電池100と同じであるので、適宜に上述したリチウムイオン二次電池100の図を参照して説明する。
リチウムイオン二次電池100は、図1に示すように、正極集電体221と、多孔質の正極活物質層223を備えている。正極活物質層223は、図5に示すように、正極集電体221に保持され、正極活物質粒子610(正極活物質)、導電材620、バインダ630を含んでいる。
≪正極活物質粒子610≫
ここで、正極活物質粒子610は、図9に示すように、リチウム遷移金属酸化物で構成された殻部612と、殻部612の内部に形成された中空部614と、殻部612を貫通した貫通孔616とを含んでいる。なお、ここでは、殻部612の内側面612aのうち正極活物質粒子610の貫通孔616に相当する部分は、殻部612の内側面612aに含めない。また、貫通孔616は、正極活物質粒子610の中空部614に含めない。
このリチウムイオン二次電池100では、正極活物質層223の平均において、正極活物質粒子610の見かけの断面積のうち、中空部614が占める割合が23%以上である。さらに、殻部612の内側面の任意の位置kにおける殻部612の厚さT(k)は、正極活物質層223の任意の断面において、任意の位置kから殻部612の外側面への最短距離T(k)とする。この場合において、このリチウムイオン二次電池100は、正極活物質層223の任意の断面における平均において殻部612の厚さTが2.2μm以下である。ここで、「正極活物質粒子610の見かけの断面積」は、中空部を含めた正極活物質粒子610の断面積である。
≪中空部614が占める割合:粒子空孔率≫
ここで、正極活物質粒子610の見かけの断面積のうち、中空部614が占める割合は、正極活物質層223の断面SEM画像を基に把握することができる。正極活物質層223の断面SEM画像は、図9に示すように、色調或いは濃淡の違いによって、当該正極活物質層223の断面SEM画像のうち、正極活物質粒子610の殻部612と、中空部614と、貫通孔616とを区別することができる。
そして、正極活物質層223の任意の断面SEM画像に基づいて、当該断面SEM画像のうち正極活物質粒子610の中空部614が占める面積Aと、正極活物質粒子610が見かけの上で占める断面積Bとの比(A/B)を得る。ここで、正極活物質粒子610が見かけの上で占める断面積Bは、正極活物質粒子610の殻部612、中空部614および貫通孔616が占める断面積である。
さらに、正極活物質層223の任意の複数の断面SEM画像で上記比(A/B)の平均値を得る。かかる断面SEM画像に占める面積の比(A/B)を求める断面SEM画像の数を増やせば増やすほど、当該正極活物質層223における上記比(A/B)の平均値は収束する。かかる比(A/B)の平均値によって、正極活物質層223の平均における正極活物質粒子610の見かけの断面積のうち中空部614が占める割合が概ね求められる。正極活物質層223の平均における正極活物質粒子610の見かけの断面積のうち中空部614が占める割合は、適宜に「粒子空孔率」と称される。
≪殻部612の厚さT≫
この場合、殻部612の内側面612aの複数の位置で、上記最短距離T(k)を求める。そして、殻部612の内側面612aの複数の位置で求められた上記最短距離T(k)の平均を算出するとよい。この場合、殻部612の内側面612aで上記最短距離T(k)を求める位置を多くすればするほど、殻部612の厚さTが平均値に収束し、殻部612の厚さを反映させることができる。殻部612の断面形状が歪であれば、厚さを一義的に規定するのが難しい。この方法であれば、殻部612の内側面612aの任意の位置kにおいて殻部612の厚さが一義的に決まるので、正極活物質粒子610全体での殻部612の厚さTを凡そ一義的に規定することができる。
かかる正極活物質粒子610は、図9に示すように、殻部612と、中空部614と、貫通孔616とを有しており、貫通孔616を通じて殻部612の内部(中空部614)と、殻部612の外部とが連通している。かかる正極活物質粒子610を適宜に孔開き中空構造と称する。かかる正極活物質粒子610は、例えば、正極活物質粒子610の見かけの断面積のうちに占める中空部614の割合が23%以上であり、広い中空部614を有している。また、かかる正極活物質粒子610は、殻部612を貫通する貫通孔616を有している。このため、電解液280(図7、図8参照)は、貫通孔616を通じて殻部612の内部(中空部614)にも入る。この正極活物質粒子610では、中空部614が広い。このため、殻部612の外部だけでなく、殻部612の内部(中空部614)にもリチウムイオンを含む電解液280が十分に存在している。さらに、このリチウムイオン二次電池100は、正極活物質層223の任意の断面における平均において、正極活物質粒子610の殻部612の厚さTが2.2μm以下と薄い。
本発明者の知見によれば、正極活物質粒子610の殻部612の厚さTが薄ければ薄いほど、充電時には正極活物質粒子610の殻部612の内部からもリチウムイオンが放出され易く、放電時にはリチウムイオンが正極活物質粒子610の殻部612の内部まで吸収され易い。
このリチウムイオン二次電池100は、正極活物質層223の平均において、正極活物質粒子610の見かけの断面積のうち、中空部614が占める割合が23%以上であり、殻部612を貫通した貫通孔616を有し、さらに正極活物質粒子610の殻部612の厚さTが非常に薄い(ここでは、2.2μm以下)。このため、正極活物質粒子610の殻部612内部(活物質内部)へのリチウムイオンの拡散が速い。すなわち、充電時には正極活物質粒子610の殻部612の内部からもリチウムイオンが放出され易く、放電時にはリチウムイオンが正極活物質粒子610の殻部612の内部まで吸収され易い。
このように、この正極活物質粒子610は、リチウムイオン二次電池100の充放電時に、殻部612の内部までリチウムイオンのスムーズな放出と吸収に寄与する。このため、正極活物質粒子610の単位重量当たりでの、リチウムイオンの放出と吸収の量を多くできるとともに、正極活物質粒子610がリチウムイオンを放出したり吸収したりする際の抵抗を軽減できる。このため、充電量が低い場合でも、このリチウムイオン二次電池100の出力は低下し難い。このように、このリチウムイオン二次電池100によれば、リチウムイオンは、正極活物質粒子610の殻部612の内部から放出され易く、また、正極活物質粒子610の殻部612の内部へ吸収され易い。このため、このリチウムイオン二次電池100は、低い充電量でも所要の出力を発揮することができる。
正極活物質粒子610は、上述したように、殻部612と、中空部614と、貫通孔616とを有している。さらに中空部614が広く、殻部612が薄い。このような正極活物質粒子610は従前において一般的に知られていない。例えば、正極活物質粒子610の見かけの断面積のうちに占める中空部614の割合は23%以上であり、単なる焼結体とは明確に区別される。
≪正極活物質粒子610の製造方法≫
以下、かかる正極活物質粒子610を安定して得ることができる正極活物質粒子610の好適な製造方法を説明する。
正極活物質粒子610の製造方法は、例えば、原料水酸化物生成工程と、混合工程と、焼成工程とを含んでいる。原料水酸化物生成工程は、遷移金属化合物の水性溶液にアンモニウムイオンを供給して、遷移金属水酸化物の粒子を水性溶液から析出させる工程である。ここで、水性溶液は、リチウム遷移金属酸化物を構成する遷移金属元素の少なくとも一つを含んでいる。
混合工程は、遷移金属水酸化物とリチウム化合物とを混合して未焼成の混合物を調製する工程である。焼成工程は、混合物を焼成して正極活物質粒子610を得る工程である。さらに、好適には、焼成後に焼成物を解砕し、篩分けを行なうとよい。
ここで、原料水酸化物生成工程は、水性溶液から遷移金属水酸化物を析出させる核生成段階と、核生成段階よりも水性溶液のpHを減少させた状態で、遷移金属水酸化物を成長させる粒子成長段階とを含んでいるとよい。
以下、正極活物質粒子610の製造方法をより具体的に例示する。
ここに開示される孔開き中空活物質粒子は、例えば、該活物質粒子を構成するリチウム遷移金属酸化物に含まれる遷移金属元素の少なくとも一つ(好ましくは、該酸化物に含まれるリチウム以外の金属元素の全部)を含む水性溶液から、該遷移金属の水酸化物を適切な条件で析出させ、その遷移金属水酸化物とリチウム化合物とを混合して焼成する方法により製造され得る。以下、かかる活物質粒子製造方法の一実施態様につき、層状構造のLiNiCoMn酸化物からなる孔開き中空活物質粒子を製造する場合を例として詳しく説明するが、この製造方法の適用対象をかかる組成の孔開き中空活物質粒子に限定する意図ではない。
ここに開示される活物質粒子製造方法は、遷移金属化合物の水性溶液にアンモニウムイオン(NH )を供給して、該水性溶液から遷移金属水酸化物の粒子を析出させる工程(原料水酸化物生成工程)を含む。上記水性溶液を構成する溶媒(水性溶媒)は、典型的には水であり、水を主成分とする混合溶媒であってもよい。この混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る-有機溶媒(低級アルコール等)が好適である。上記遷移金属化合物の水性溶液(以下、「遷移金属溶液」ともいう。)は、製造目的たる活物質粒子を構成するリチウム遷移金属酸化物の組成に応じて、該リチウム遷移金属酸化物を構成する遷移金属元素(ここではNi,CoおよびMn)の少なくとも一つ(好ましくは全部)を含む。例えば、水性溶媒中にNiイオン,CoイオンおよびMnイオンを供給し得る一種または二種以上の化合物を含む遷移金属溶液を使用する。これらの金属イオン源となる化合物としては、該金属の硫酸塩、硝酸塩、塩化物等を適宜採用することができる。例えば、水性溶媒(好ましくは水)に硫酸ニッケル、硫酸コバルトおよび硫酸マンガンが溶解した組成の遷移金属溶液を好ましく使用し得る。
上記NH は、例えば、NH を含む水性溶液(典型的には水溶液)の形態で上記遷移金属溶液に供給されてもよく、該遷移金属溶液にアンモニアガスを直接吹き込むことにより供給されてもよく、これらの供給方法を併用してもよい。NH を含む水性溶液は、例えば、NH 源となり得る化合物(水酸化アンモニウム、硝酸アンモニウム、アンモニアガス等)を水性溶媒に溶解させることにより調製することができる。本実施態様では、水酸化アンモニウム水溶液(すなわちアンモニア水)の形態でNH を供給する。
上記原料水酸化物生成工程は、pH12以上(典型的にはpH12以上14以下、例えばpH12.2以上13以下)かつNH 濃度25g/L以下(典型的には3〜25g/L)の条件下で上記遷移金属溶液から遷移金属水酸化物を析出させる段階(核生成段階)を含み得る。上記pHおよびNH 濃度は、上記アンモニア水とアルカリ剤(液性をアルカリ性に傾ける作用のある化合物)との使用量を適切にバランスさせることにより調整することができる。アルカリ剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を、典型的には水溶液の形態で用いることができる。本実施態様では水酸化ナトリウム水溶液を使用する。なお、本明細書中において、pHの値は、液温25℃を基準とするpH値をいうものとする。
上記原料水酸化物生成工程は、さらに、上記核生成段階で析出した遷移金属水酸化物の核(典型的には粒子状)を、pH12未満(典型的にはpH10以上12未満、好ましくはpH10以上11.8以下、例えばpH11以上11.8以下)かつNH 濃度1g/L以上、好ましくは3g/L以上(典型的には3〜25g/L)で成長させる段階(粒子成長段階)を含み得る。通常は、核生成段階のpHに対して、粒子成長段階のpHを0.1以上(典型的には0.3以上、好ましくは0.5以上、例えば0.5〜1.5程度)低くすることが適当である。
上記pHおよびNH 濃度は、核生成段階と同様にして調整することができる。この粒子成長段階は、上記pHおよびNH 濃度を満たすように行われることにより、好ましくは上記pHにおいてNH 濃度を15g/L以下(例えば1〜15g/L、典型的には3〜15g/L)、より好ましくは10g/L以下(例えば1〜10g/L、典型的には3〜10g/L)の範囲とすることにより、遷移金属水酸化物(ここでは、Ni,CoおよびMnを含む複合水酸化物)の析出速度が速くなり、ここに開示される孔開き中空活物質粒子の形成に適した原料水酸化物粒子(換言すれば、孔開き中空構造の焼成物を形成しやすい原料水酸化物粒子)が生成し得る。
上記NH 濃度を7g/L以下(例えば1〜7g/L、より好ましくは3〜7g/L)としてもよい。粒子成長段階におけるNH 濃度は、例えば、核生成段階におけるNH 濃度と概ね同程度としてもよく、核生成段階におけるNH 濃度より低くしてもよい。なお、遷移金属水酸化物の析出速度は、例えば、反応液に供給される遷移金属溶液に含まれる遷移金属イオンの合計モル数に対して、反応液の液相中に含まれる遷移金属イオンの合計モル数(合計イオン濃度)の推移を調べることにより把握され得る。
核生成段階および粒子成長段階のそれぞれにおいて、反応液の温度は、凡そ30℃〜60℃の範囲のほぼ一定温度(例えば、所定の温度±1℃)となるように制御することが好ましい。核生成段階と粒子成長段階とで反応液の温度を同程度としてもよい。また、反応液および反応槽内の雰囲気は、核生成段階および粒子成長段階を通じて非酸化性雰囲気に維持することが好ましい。また、反応液に含まれるNiイオン,CoイオンおよびMnイオンの合計モル数(合計イオン濃度)は、核生成段階および粒子成長段階を通じて、例えば凡そ0.5〜2.5モル/Lとすることができ、凡そ1.0〜2.2モル/Lとすることが好ましい。かかる合計イオン濃度が維持されるように、遷移金属水酸化物の析出速度に合わせて遷移金属溶液を補充(典型的には連続供給)するとよい。反応液に含まれるNiイオン,CoイオンおよびMnイオンの量は、目的物たる活物質粒子の組成(すなわち、該活物質粒子を構成するLiNiCoMn酸化物におけるNi,Co,Mnのモル比)に対応する量比とすることが好ましい。
本実施態様では、このようにして生成した遷移金属水酸化物粒子(ここでは、Ni,CoおよびMnを含む複合水酸化物粒子)を反応液から分離し、洗浄して乾燥させる。そして、この遷移金属水酸化物粒子とリチウム化合物とを所望の量比で混合して未焼成の混合物を調製する(混合工程)。この混合工程では、典型的には、目的物たる活物質粒子の組成(すなわち、該活物質粒子を構成するLiNiCoMn酸化物におけるLi,Ni,Co,Mnのモル比)に対応する量比で、Li化合物と遷移金属水酸化物粒子とを混合する。上記リチウム化合物としては、加熱により溶解し、酸化物となり得るLi化合物、例えば炭酸リチウム,水酸化リチウム等を好ましく用いることができる。
そして、上記混合物を焼成して活物質粒子を得る(焼成工程)。この焼成工程は、典型的には酸化性雰囲気中(例えば大気中)で行われる。この焼成工程における焼成温度は、例えば700℃〜1100℃とすることができる。最高焼成温度が800℃以上(好ましくは800℃〜1100℃、例えば800℃〜1050℃)となるように行われることが好ましい。この範囲の最高焼成温度によると、リチウム遷移金属酸化物(好ましくはNi含有Li酸化物、ここではLiNiCoMn酸化物)の一次粒子の焼結反応を適切に進行させることができる。
好ましい一態様では、上記混合物を700℃以上900℃以下の温度T1(すなわち700℃≦T1≦900℃、例えば700℃≦T1≦800℃、典型的には700℃≦T1<800℃)で焼成する第一焼成段階と、その第一焼成段階を経た結果物を800℃以上1100℃以下の温度T2(すなわち800℃≦T2≦1100℃、例えば800℃≦T2≦1050℃)で焼成する第二焼成段階とを含む態様で行う。このことによって、孔開き中空構造の活物質粒子をより効率よく形成することができる。T1およびT2は、T1<T2となるように設定することが好ましい。
第一焼成段階と第二焼成段階とは、連続させ(例えば、上記混合物を第一焼成温度T1に保持した後、引き続き第二焼成温度T2まで昇温して該温度T2に保持し)てもよく、或いは、第一焼成温度T1に保持した後、いったん冷却(例えば、常温まで冷却)し、必要に応じて解砕と篩い分けを行ってから第二焼成段階に供してもよい。
なお、ここに開示される技術において、上記第一焼成段階は、目的とするリチウム遷移金属酸化物の焼結反応が進行し且つ融点以下の温度域であって第二焼成段階よりも低い温度T1で焼成する段階として把握することができる。また、上記第二焼成段階は、目的とするリチウム遷移金属酸化物の焼結反応が進行し且つ融点以下の温度域であって第一焼成段階よりも高い温度T2で焼成する段階として把握することができる。T1とT2との間には50℃以上(典型的には100℃以上、例えば150℃以上)の温度差を設けることが好ましい。
このように正極活物質粒子610の製造方法は、原料水酸化物生成工程と、混合工程と、焼成工程とを含んでいる。ここでは、正極活物質粒子610の見かけの断面積のうちに占める中空部614の割合が23%以上であり、正極活物質粒子610の殻部612の厚さTが2.2μm以下と薄い正極活物質粒子610が安定して得られるとよい。以下に、かかる正極活物質粒子610がより安定して得られる、正極活物質粒子610の製造方法を説明する。
≪原料水酸化物生成工程≫
正極活物質粒子610をより安定して得るには、例えば、遷移金属溶液から遷移金属水酸化物を析出させる段階(核生成段階)のpH或いはNH 濃度、および、核生成段階で析出した遷移金属水酸化物の核を成長させる段階(粒子成長段階)粒子成長段階のpH或いはNH 濃度を適切に調整するとよい。
かかる遷移金属溶液では、例えば、以下のような、平衡反応が生じている。
(M1)2+ + (NH) ⇔ [M1(NH2+ ・・・・式1
(M1)2+ + 2OH ⇔ M1(OH) ・・・・式2
ここで、M1は、遷移金属溶液に含まれる遷移金属であり、この実施形態では、Niを含んでいる。
すなわち、式1の平衡反応では、遷移金属溶液中の遷移金属(M1)と、遷移金属溶液に供給されたアンモニア(NH)と、遷移金属(M1)とアンモニア(NH)の化合物([M1(NH2+)とが平衡している。式2の平衡反応では、遷移金属溶液中の遷移金属(M1)と、遷移金属溶液に供給された水酸化物イオン(OH)と、遷移金属水酸化物(M1(OH))とが平衡している。
この場合、遷移金属溶液中のpHが減少すると、式2の平衡反応によって、遷移金属水酸化物(M1(OH))が析出し易くなる。この際、遷移金属溶液中のアンモニアを少なく抑え、式1の平衡式が左辺側に進み、遷移金属溶液中の遷移金属のイオン(M1)2+を増加させることによって、遷移金属水酸化物(M1(OH))が析出し易くなる。このように、遷移金属溶液中のアンモニアを少なく抑えつつ、遷移金属溶液中のpHを減少させることによって、遷移金属水酸化物(M1(OH))が析出し易くなる。
例えば、核生成段階では、遷移金属溶液のアンモニア(NH)の溶解度を低く抑えつつ、pHをある程度維持する。これにより遷移金属水酸化物(M1(OH))の析出速度を適切に抑えることができる。これにより、前駆体になる遷移金属水酸化物の粒子の内部の密度が小さくできる。また、粒子成長段階で、遷移金属溶液のアンモニア(NH)の溶解度を低く抑えつつ、pHを減少させる。これにより、遷移金属水酸化物(M1(OH))の析出速度が核生成段階で速くなる。これにより、前駆体になる遷移金属水酸化物の粒子の外表面近傍部の密度が、遷移金属水酸化物の粒子の内部の密度よりも高くなる。
このように、核生成段階と粒子成長段階で遷移金属溶液のpHおよびアンモニア濃度(アンモニウムイオン濃度)を適宜調整することによって、粒子の内部において遷移金属水酸化物の密度を低くし、外表面近傍部において遷移金属水酸化物の密度を高くすることができる。
ここで、核生成段階では、例えば、遷移金属溶液のpHが12以上13以下、および、粒子成長段階での水性溶液のpHが11以上12未満であるとよい。この際、好ましくは、核生成段階での遷移金属溶液のpHは、粒子成長段階よりも0.1以上、より好ましくは、0.2以上減少しているとよい。また、粒子成長段階でのアンモニア濃度(アンモニウムイオン濃度)を3g/L〜10g/Lと低く抑えるとよい。これにより、遷移金属水酸化物(M1(OH))の析出速度が、粒子成長段階で、核生成段階よりも確実に速くなる。そして、遷移金属水酸化物の粒子の外表面近傍部の密度が、遷移金属水酸化物の粒子の内部の密度よりもより確実に高くなる。
なお、核生成段階で所要の時間をとることによって、正極活物質粒子610の中空部614を大きくできる。また、粒子成長段階での遷移金属水酸化物の析出速度を速めるとともに粒子成長段階の時間を短くすることによって、正極活物質粒子610の殻部612を薄くできる。
さらに、この場合、遷移金属溶液中のアンモニアを少なく抑えておくとよい。例えば、核生成段階での遷移金属溶液のアンモニウムイオン濃度が20g/L以下、および、粒子成長段階での遷移金属溶液のアンモニウムイオン濃度が10g/L以下であるとよい。このように、核生成段階および粒子成長段階での遷移金属溶液のアンモニウムイオン濃度を低く抑えることにより、遷移金属溶液に含まれる遷移金属のイオンの濃度を、必要量維持できる。この場合、遷移金属溶液中のアンモニアは少なすぎるのも良くない。核生成段階および粒子成長段階での、遷移金属溶液のアンモニウムイオン濃度は、例えば、3g/L以上であるとよい。
≪混合工程、焼成工程≫
混合工程では、遷移金属水酸化物とリチウム化合物とを混合して未焼成の混合物を調製する。焼成工程では、混合物を焼成して正極活物質粒子610を得る。ここで、正極活物質粒子610の前駆体である遷移金属水酸化物の粒子は、内部の密度が小さく、外表面近傍部の密度が大きい。このため、焼成工程において、前駆体である遷移金属水酸化物の粒子のうち密度が小さい内部が、密度が高く機械強度が強い外表面近傍部に取り込まれるように焼結する。このため、正極活物質粒子610の殻部612が形成されるとともに、大きな中空部614が形成される。さらに、焼結時に結晶が成長する際に、殻部612の一部に殻部612を貫通した貫通孔616が形成される。これにより、図9に示すように、殻部612と、中空部614と、貫通孔616とを有する正極活物質粒子610が形成される。なお、好適には、焼成工程後に焼成物を解砕し、篩分けを行ない、正極活物質粒子610の粒径を調整するとよい。
このように製造された正極活物質粒子610は、薄い殻部612と、広い中空部614と、殻部612を貫通し、正極活物質粒子610の中空部614と殻部612の外部とを空間的に連続させる貫通孔616を有している。かかる正極活物質粒子610は、好適な一形態として、上述した正極活物質粒子610のBET比表面積を、凡そ0.3m/g〜2.2m/g程度にすることが可能である。正極活物質粒子610のBET比表面積は、より好ましくは、凡そ0.5m/g以上、さらに好ましくは、凡そ0.8m/g以上にしてもよい。また、正極活物質粒子610のBET比表面積は、例えば、凡そ1.9m/g以下、さらに好ましくは1.5m/g以下にしてもよい。
また、かかる正極活物質粒子610は、上述したように原料水酸化物生成工程が、核生成段階と、粒子成長段階とに分かれており、殻部612の密度が大きい。このため、他の製法(例えば、噴霧焼成製法(スプレードライ製法とも称される))と比べても硬く、形態安定性が高い正極活物質粒子610が得られる。
かかる正極活物質粒子610は、例えば、直径50μmの平面ダイヤモンド圧子を使用して負荷速度0.5mN/秒〜3mN/秒の条件で行われるダイナミック硬度測定において、平均硬度が0.5MPa以上である。
また、ここに開示される活物質粒子の他の好ましい一態様では、正極活物質粒子610の平均硬度は、概ね0.5MPa以上である。ここで、平均硬度とは、直径50μmの平面ダイヤモンド圧子を使用して負荷速度0.5mN/秒〜3mN/秒の条件で行われるダイナミック微小硬度測定により得られる値をいう。かかるダイナミック微小硬度測定には、例えば、株式会社島津製作所製の微小硬度計、MCT−W500を用いることができる。
このように、正極活物質粒子610は、図9に示すように、中空構造であって且つ平均硬度の高い(換言すれば、形状維持性の高い)。かかる正極活物質粒子610は、より高い性能を安定して発揮する電池を与えるものであり得る。このため、例えば、内部抵抗が低く(換言すれば、出力特性が良く)、且つ充放電サイクル(特に、ハイレートでの放電を含む充放電サイクル)によっても抵抗の上昇の少ないリチウム二次電池を構築するのに極めて好適である。
≪正極活物質粒子610を構成するリチウム遷移金属酸化物≫
かかる正極活物質粒子610の製造では、特に、遷移金属溶液がニッケルを含んでいるとよい。遷移金属溶液がニッケルを含んでいる場合、核生成段階、粒子成長段階で遷移金属水酸化物が析出する際に、米粒のような形状の微小な一次粒子が複数集合した二次粒子の形態で、遷移金属水酸化物の粒子が生成される。また、焼成時の温度範囲において、かかる遷移金属水酸化物の一次粒子の形状を概ね維持しつつ結晶が成長する。
なお、遷移金属溶液がニッケルを全く含んでおらず、コバルトを含んでおり、焼成によりコバルト酸リチウム(LiCoO)の粒子が生成される場合には、一次粒子の形状を維持することができずに、粒子全体が焼結されてしまう。このため、上述したような大きな中空部614を有する正極活物質粒子610(図9参照)を得られ難い。
このように、正極活物質粒子610を安定して製造するためには、リチウム遷移金属酸化物は、好適にはニッケルを構成元素として含む層状構造の化合物であるとよい。このようにニッケルを含んでいることによって、内部の密度が小さく、外表面近傍部の密度が大きい遷移金属水酸化物の粒子(前駆体粒子)を形成することができる。そして、かかる内部の密度が小さく、外表面近傍部の密度が大きい前駆体粒子を基に、焼成工程において、一次粒子の形状を概ね維持しつつ結晶を成長させることができる。これにより、殻部612と、中空部614と、貫通孔616とを有する正極活物質粒子610(図9参照)を作製することができる。
この場合、正極活物質粒子610に含まれる遷移金属中、ニッケルの割合(組成比)は、凡そ0.1%以上、より好ましくは、0.25%以上であるとよい。
また、リチウム遷移金属酸化物は、ニッケル、コバルトおよびマンガンを構成元素として含む層状構造の化合物であってもよい。例えば、リチウム遷移金属酸化物は、Li1+xNiCoMn(1−y−z)γ2として含む層状構造の化合物であるとよい。ここで、0≦x≦0.2、0.1<y<0.9、0.1<z<0.4であり、Mは、添加物であり、0≦γ≦0.01である。例えば、Mは、Zr、W、Mg、Ca、Na、Fe、Cr、Zn、Si、Sn、Al、BおよびFからなる群より選ばれた少なくとも一種類の添加物であるとよい。かかるリチウム遷移金属酸化物は、層状構造の化合物を構成しており、層間にリチウムイオンを保持できる。また、上述した殻部612と中空部614と貫通孔616を有する正極活物質粒子610を製造するのに特に好適である。
これによって、正極活物質粒子610の見かけの断面積のうちに占める中空部614の割合が23%以上であり、正極活物質粒子610の殻部612の厚さTが2.2μm以下と薄い正極活物質粒子610を安定して得ることができる。
上述したようにリチウムイオン二次電池100は、図1から図3に示すように、正極集電体221(集電体)と、正極集電体221に保持された多孔質の正極活物質層223とを備えている。かかる正極活物質層223は、図4に示すように、正極活物質粒子610、導電材620、バインダ630を含んでいる。この実施形態では、正極活物質粒子610は、図9に示すように、リチウム遷移金属酸化物で構成された殻部612と、殻部612の内部に形成された中空部614と、殻部612を貫通した貫通孔616とを有している。
このリチウムイオン二次電池100は、図1に示すように、正極活物質層223の平均において、正極活物質粒子610(図9参照)の見かけの断面積のうち、中空部614が占める割合が23%以上である。また、殻部612の内側面612aの任意の位置における殻部612の厚さは、正極活物質層223の任意の断面において、任意の位置kから殻部612の外側面への最短距離T(k)とする。この場合において、正極活物質層223の任意の断面における平均において殻部612の厚さが2.2μm以下である。
このリチウムイオン二次電池100によれば、図9に示すように、正極活物質層223の平均において、正極活物質粒子610(図9参照)の見かけの断面積のうち、中空部614が占める割合が23%以上であり、中空部614が大きい。このリチウムイオン二次電池100では、正極活物質層223中の正極活物質粒子610の中空部614まで、電解液280(図7、図8参照)が十分に浸み渡る。さらに、このリチウムイオン二次電池100では、正極活物質層223の任意の断面における平均において殻部612の厚さが2.2μm以下であり、正極活物質粒子610の殻部612が薄い。このため、正極活物質粒子610は、当該殻部612の内部(活物質内部)へのリチウムイオンの拡散が速い。このため、リチウムイオン二次電池100は、低い充電量であっても高い出力を安定して発揮できる。
この場合、正極活物質層223の平均において、殻部612の厚さが、例えば、0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上であるとよい。殻部612の厚さが0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上であると、正極活物質粒子610に所要の機械強度が得られる。正極活物質粒子610は、リチウムイオンの放出と吸収が繰り返されると、膨張と収縮が生じる。かかる膨張収縮に対しても十分な強度を確保できる。このため、正極活物質粒子610の耐久性が向上し、リチウムイオン二次電池100の性能が経時的に安定し得る。
また、正極活物質層223の平均において、貫通孔616の開口幅が平均0.01μm以上であるとよい。ここで、貫通孔616の開口幅は、該貫通孔616が正極活物質粒子610の外部から中空部614に至る経路で最も狭い部分における差渡し長さである。貫通孔616の開口幅が平均0.01μm以上であると、貫通孔616を通して外部から中空部614に電解液280(図7又は図8参照)が十分に入り得る。これにより、リチウムイオン二次電池100の電池性能を向上させる効果をより適切に発揮することができる。
この正極活物質粒子610のような薄い殻部612、広い中空部614、および、開口幅が広い貫通孔616は、例えば、通常、他の製法(例えば、噴霧焼成製法(スプレードライ製法とも称される))では実現されない。
なお、上記開口サイズの平均値(平均開口サイズ)は、例えば、少なくとも10個の正極活物質粒子610について、該正極活物質粒子610の有する貫通孔616の一部個数または全個数の開口サイズを把握し、それらの算術平均値を求めることにより得ることができる。また、貫通孔616は、電解液280が中空部614に浸み込むのに適していればよく、正極活物質層223の平均において、貫通孔616の開口幅は凡そ2.0μm以下であるとよい。
≪正極活物質粒子610の評価≫
以下、本発明者は、見かけの断面積のうちに占める中空部614の割合と、殻部612の厚さと、貫通孔616の有無とが異なる正極活物質粒子610を用い、それぞれ評価用電池を作製して電池性能を比較した。
≪評価用電池≫
以下、評価用電池の構造を説明する。なお、評価用電池は、図1に示すようないわゆる扁平な角型の電池であり、基本構造が、上述したリチウムイオン二次電池100と概ね同じであるので、リチウムイオン二次電池100を適宜に参照しつつ説明する。また、同じ機能を奏する部材または部位には、同じ符号を付している。
≪評価用電池100の負極≫
評価用電池100の負極は、図1及び図5に示すように、負極集電体241と、負極集電体241に保持された負極活物質層243とを備えている。負極活物質層243には、負極活物質710と、バインダ730とを備えている。
この評価用電池100では、負極集電体241として、厚さが凡そ10μmの銅箔が用いられている。かかる負極集電体241は、幅が凡そ120mm、長さが凡そ3200mmの帯状のシート材であり、幅方向の片側縁部に長さ方向に沿って、負極活物質層243が形成されない未塗工部242が設定されている。負極活物質層243は、当該未塗工部242を除いた部分(幅が凡そ105mmの部分)において、負極集電体241の両面に保持されている。
負極活物質層243に含まれる負極活物質710(図5参照)には、天然黒鉛粉末96質量%に対してピッチを4質量%の割合で混合および含浸させる。そして、不活性雰囲気下において、1000℃〜1300℃にて10時間焼成した。そして、得られた負極活物質710を、篩いにかけ、平均粒径(メジアン径D50)が凡そ8〜11μmとし、比表面積が凡そ3.5〜5.5m/gの範囲で調整した。
負極活物質層243には、さらに増粘剤が含まれている。増粘剤は、負極活物質層243を形成する際に用意される合剤の粘度を調整する材料である。ここでは、かかる増粘剤として、カルボキシメチルセルロース(CMC:carboxymethylcellulose)が用いられている。また、バインダ730としては、スチレン・ブタジエンゴム(SBR:styrene-butadiene rubber)が用いられている。
ここでは、負極活物質710と、増粘剤と、バインダ730とを、凡そ98.6:0.7:0.7の重量割合で、水とともに混錬してペースト状の負極合剤(負極ペースト)を作製する。そして、当該負極合剤を、未塗工部242を除いて負極集電体241の両面に、乾燥後の目付がそれぞれ凡そ7.5mg/cmになるように塗布し、乾燥して負極活物質層243を形成する。かかる負極活物質層243は、さらに圧延プレス機によって、密度が凡そ1.0〜1.4g/ccになるように圧延した。これにより、負極シート240(図2参照)が得られる。
≪評価用電池100の正極≫
評価用電池100の正極は、図1および図6に示すように、正極集電体221と、正極集電体221に保持された正極活物質層223とを備えている。正極活物質層223には、正極活物質粒子610と、導電材620と、バインダ630とを備えている(図6参照)。
この評価用電池100では、正極集電体221として、厚さが凡そ15μmのアルミニウム箔が用いられている。かかる正極集電体221は、幅が凡そ115mm、長さが凡そ3000mmの帯状のシート材であり、幅方向の片側縁部に長さ方向に沿って、正極活物質層223が形成されない未塗工部222が設定されている。正極活物質層223は、当該未塗工部222を除いた部分(幅が凡そ95mmの部分)において、正極集電体221の両面に保持されている。
≪評価用電池100の正極活物質粒子610≫
正極活物質層223に含まれる正極活物質粒子610(図4参照)は、硫酸ニッケル(NiSO)と硫酸コバルト(CoSO)と硫酸マンガン(MnSO)の混合溶液を水酸化ナトリウム(NaOH)によって中和する。そして、かかる遷移金属化合物の水性溶液にアンモニウムイオン(NH )を供給し、該水性溶液から遷移金属水酸化物の粒子を析出させる工程において、前駆体となる遷移金属水酸化物を得る(原料水酸化物生成工程)。このため、この評価用電池では、前駆体となる遷移金属水酸化物には、Ni,Co,Mnが概ね所定の割合で含まれている。
この評価用電池100では、上述した混合工程において、かかる前駆体となる遷移金属水酸化物に炭酸リチウム(LiCO)を混合する。そして、かかる混合物を、焼成工程において950℃で10時間焼成する。これにより、Li1.15Ni0.33Co0.33Mn0.33を基本組成とした正極活物質粒子610を作製した。かかる、正極活物質粒子610は、図9に示すように、殻部612と、中空部614と、貫通孔616とを有する正極活物質粒子610が形成される。なお、好適には、焼成工程後に焼成物を解砕し、篩分けを行ない、正極活物質粒子610の粒径を調整するとよい。
ここでは、原料水酸化物生成工程を調整し、見かけの断面積のうちに占める中空部614の割合と、殻部612の厚さと、貫通孔616の有無とが異なる正極活物質粒子610を用意した。なお、見かけの断面積のうちに占める中空部614の割合と、殻部612の厚さと、貫通孔616の有無とが異なる場合に、評価用電池100の性能がどの程度変わるかを比較検討するため、各サンプルにおいて正極活物質粒子610の組成は凡そ同じにした。なお、正極活物質粒子610の平均粒径(D50)には、多少のばらつきがある。
正極活物質層223は、かかる正極活物質粒子610と、導電材620と、バインダ630とが含まれている。この評価用電池100では、正極活物質層223の導電材620としてアセチレンブラック(AB)が用いられ、バインダ630としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)が用いられている。正極活物質粒子610と、導電材620と、バインダ630とは、90:8:2の重量割合で、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)とともに混錬してペースト状の正極合剤(正極ペースト)を作製する。
そして、当該正極合剤を、未塗工部222を除いて正極集電体221の両面に、乾燥後の目付がそれぞれ凡そ11.8mg/cmになるように塗布し、乾燥して正極活物質層223を形成する。かかる正極活物質層223は、さらに圧延プレス機によって、密度が凡そ2.3g/cmになるように圧延した。これにより正極シート220(図2参照)が得られる。
≪評価用電池の電解液≫
次に、評価用電池100の電解液を説明する。この評価用電池では、電解液は、エチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、ジメチルカーボネートとを(DMC)を3:3:4の割合(モル比)で混合し、1.1mol/LのLiPF6を溶解させるとよい。また任意にジフルオロリン酸塩(LiPO)とリチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)を、それぞれ単体または混合体を凡そ0.05mol/Lの割合にて溶解させた電解液を使用することもできる。
≪評価用電池の作製≫
次に、評価用電池100は、概ね図1及び図2に示すように、上述のように作製した正極シート220と負極シート240を、セパレータ262、264を介在させて重ねつつ、捲回する。そして、捲回軸WL(図2参照)に直交する一の方向に押し曲げて扁平形状にして捲回電極体200を作製する。当該捲回電極体200は、セパレータ262、264の両側に正極シート220の未塗工部222と、負極シート240の未塗工部242とが露出している。
この評価用電池100では、正極の充電容量と、負極の充電容量とから算出される対向容量比が1.5〜1.9に調整されている。
評価用電池の電池ケース300は、概ね図1に示すように、いわゆる角型の電池ケースであり、容器本体320と、蓋体340とを備えている。電池ケース300は、捲回電極体200を収容する空間として、扁平な矩形の内部空間を有する有底四角筒状の容器本体320と、当該容器本体320の開口を塞ぐ蓋体340とを備えている。電池ケース300の蓋体340には、電極端子420、440が取り付けられている。電極端子420には、捲回電極体200の正極シート220の未塗工部222が接続されている。電極端子440には、捲回電極体200の負極シート240の未塗工部242が接続されている。
この評価用電池では、このように蓋体340の電極端子420、440に取り付けられた捲回電極体200を容器本体320に収容する。その後、電池ケース300の蓋体340と容器本体320との合わせ目322をレーザ溶接によって溶接し、蓋体340に設けられた注液孔350から電解液を注入し、当該注液孔350を塞ぐ。
≪コンディショニング≫
次に、上記のように構築した評価用電池100の電池について、コンディショニング工程、定格容量の測定、SOC調整を順に説明する。コンディショニング工程は、次の手順1、2によって行なわれる。手順1:1Cの定電流充電にて4.1Vに到達した後、5分間休止する。手順2:手順1の後、定電圧充電にて1.5時間充電し、5分間休止する。
≪定格容量の測定≫
次に、定格容量は、上記コンディショニング工程の後、評価試験用の電池について、温度25℃、3.0Vから4.1Vの電圧範囲で、次の手順1〜3によって測定される。
手順1:1Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間休止する。
手順2:1Cの定電流充電によって4.1Vに到達後、定電圧充電にて2.5時間充電し、その後、10秒間休止する。
手順3:0.5Cの定電流放電によって、3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間停止する。
定格容量:手順3における定電流放電から定電圧放電に至る放電における放電容量(CCCV放電容量)を定格容量とする。この評価用電池100では、定格容量が凡そ4Ahになる。
≪SOC調整≫
SOC調整は、次の1、2の手順によって調整される。ここで、SOC調整は、上記コンディショニング工程および定格容量の測定の後で行なうとよい。また、ここでは、温度による影響を一定にするため、25℃の温度環境下でSOC調整を行なっている。
手順1:3Vから1Cの定電流で充電し、定格容量の凡そ60%の充電状態(SOC60%)にする。ここで、「SOC」は、State
of Chargeを意味する。
手順2:手順1の後、2.5時間、定電圧充電する。
これにより、評価用電池100は、所定の充電状態に調整することができる。
実質的に正極活物質粒子610のみが異なる複数サンプルの評価用電池100を用意して、評価用電池100の性能を比較検討した。また、低温かつ低い充電状態での出力特性を評価するために、評価用電池100の性能として「−30℃、かつ、SOC25%の充電状態での出力特性」と、「0℃、かつ、SOC25%の充電状態での出力特性」とを評価した。
≪−30℃、かつ、SOC25%の充電状態での出力特性≫
−30℃、かつ、SOC25%の充電状態での出力特性(以下、適宜に「出力特性1」という。)は、以下の手順によって求められる。
手順1[SOC調整]:SOC調整として、常温(ここでは、25℃)の温度環境において、1C定電流充電によってSOC25%に調整する。次に、定電圧充電で1時間充電する。
手順2[−30℃にて6時間放置]:上記手順1の後、SOC25%に調整した電池を−30℃の恒温槽にて6時間放置する。
手順3[定ワット放電]:上記手順2の後、−30℃の温度環境において、SOC25%から定ワット(W)にて放電する。この際、放電開始から電圧が2.0Vになるまでの秒数を測定する。
手順4[繰り返し]:手順3の定ワット放電電圧を80W〜200Wの条件で変えながら、上記手順1〜3を繰り返す。ここでは、手順3の定ワット放電電圧を、1回目80W、2回目90W、3回目100W・・・と、定ワット放電電圧を10Wずつ上げていきながら、手順3の定ワット放電電圧が200Wになるまで、上記手順1〜3を繰り返す。ここでは、手順3の定ワット放電電圧を10Wずつ上げている。これに限らず、手順3の定ワット放電電圧を、一定のワット数ずつ(例えば、5Wずつ、或いは、15Wずつ)上げてもよいし、例えば、500Wから一定のワット数ずつ(例えば、5Wずつ、10Wずつ、或いは、15Wずつ)下げてもよい。
手順5[出力特性1の算出]:例えば、図10に示すように、上記手順4での定ワットの条件にて測定された2.0Vまでの秒数を横軸にとり、その時のWを縦軸にとったプロットの近似曲線から2秒時のWを出力特性1として算出する。
かかる出力特性1は、SOC25%程度の低い充電量で、−30℃という極めて低い低温の環境に所定時間放置された場合でも、評価用電池100が発揮し得る出力を示している。このため、出力特性1は、Wの値が高ければ高いほど、評価用電池100が高い出力を発揮し得ることを示している。また、出力特性1は、Wの値が高ければ高いほど、SOC25%程度の低い充電量でも安定した出力が得られることを示している。
≪0℃、かつ、SOC25%の充電状態での出力特性≫
0℃、かつ、SOC25%の充電状態での出力特性(以下、適宜に「出力特性2」という。)は、以下の手順によって求められる。
手順1[SOC調整]:SOC調整として、常温(ここでは、25℃)の温度環境において、1C定電流充電によってSOC25%に調整する。次に、定電圧充電で1時間充電する。
手順2[0℃にて6時間放置]:上記手順1の後、SOC25%に調整した電池を0℃の恒温槽にて6時間放置する。
手順3[定ワット放電]:上記手順2の後、0℃の温度環境において、SOC25%から定ワット(W)にて放電する。この際、放電開始から電圧が2.0Vになるまでの秒数を測定する。
手順4[繰り返し]:手順3の定ワット放電電圧を350W〜500Wの条件で変えながら、上記手順1〜3を繰り返す。ここでは、手順3の定ワット放電電圧を、1回目350W、2回目360W、3回目370W・・・と、定ワット放電電圧を10Wずつ上げていきながら、手順3の定ワット放電電圧が500Wになるまで、上記手順1〜3を繰り返す。ここでは、手順3の定ワット放電電圧を10Wずつ上げている。これに限らず、手順3の定ワット放電電圧を、一定のワット数ずつ(例えば、5Wずつ、或いは、15Wずつ)上げてもよいし、例えば、500Wから一定のワット数ずつ(例えば、5Wずつ、10Wずつ、或いは、15Wずつ)下げてもよい。
手順5[出力特性2の算出]:例えば、図11に示すように、上記手順4で、定ワットの条件にて測定された2.0Vまでの秒数を横軸にとり、その時のWを縦軸にとったプロットの近似曲線から10秒時のWを出力特性2として算出する。
かかる出力特性2は、SOC25%程度の低い充電量で、0℃という低温の環境に所定時間放置された場合に評価用電池100が発揮し得る出力を示している。出力特性2は、Wの値が高ければ高いほど、評価用電池100が高い出力を発揮し得ることを示している。また、出力特性2は、Wの値が高ければ高いほど、SOC25%程度の低い充電量でも安定した出力が得られることを示している。
表1は、実質的に正極活物質粒子610のみが異なる評価用電池100の複数のサンプルについて、正極活物質粒子610の粒子空孔率、殻部612の厚さ、正極活物質粒子610の平均粒径(D50)、評価用電池100の出力特性1、および、評価用電池100の出力特性2を例示している。
表1に示すように、正極活物質粒子610の粒子空孔率が高ければ高いほど、出力特性1および出力特性2は高い値を示す傾向がある。また、正極活物質粒子610の殻部612の厚さが薄ければ薄いほど、出力特性1および出力特性2は高い値を示す傾向がある。さらに、正極活物質粒子610に貫通孔616が有る場合と無い場合とでは、出力特性1および出力特性2は、貫通孔616が有る場合の方が高い値を示す傾向がある。なお、貫通孔616の有無は、正極活物質粒子610の断面SEM画像あるいは正極活物質層223の断面SEM画像にて確認するとよい。
以上のように、リチウムイオン二次電池100は、例えば図1に示すように、正極集電体221と、正極集電体221に保持された多孔質の正極活物質層223とを備えている。ここで、正極活物質層223は、例えば図4に示すように、正極活物質粒子610と導電材620とバインダ630とを含んでいる。
かかるリチウムイオン二次電池100では、正極活物質粒子610は、例えば図9に示すように、リチウム遷移金属酸化物で構成された殻部612と、殻部612の内部に形成された中空部614と、殻部612を貫通した貫通孔616とを有しているとよい。
このリチウムイオン二次電池100では、正極活物質層223の平均において、正極活物質粒子610の見かけの断面積のうち、中空部614が占める割合が23%以上である。さらに、正極活物質層223の平均において殻部612の厚さが2.2μm以下である。
ここでは、正極活物質層223の任意の断面において、殻部612の内側面の任意の位置kにおける殻部612の厚さT(k)は、当該殻部612の内側面の任意の位置から殻部612の外側面への最短距離と定義されている。正極活物質層223の平均において正極活物質粒子610の殻部612の厚さは、例えば、正極活物質層223の複数の任意の断面において、正極活物質粒子610の殻部612の厚さを求めて、正極活物質粒子610の殻部612の厚さの算術平均値で求めるとよい。
この場合、当該算術平均値は、正極活物質粒子610の殻部612の厚さを求める正極活物質層223の断面を増やすことによって、または、殻部612の厚さT(k)を求める殻部612の内側面の任意の位置kの数を増やすことによって収束する。正極活物質層223の平均において殻部612の厚さが2.2μm以下であるとは、当該算術平均値が2.2μm以下であることを意味する。
このリチウムイオン二次電池100では、正極活物質層223の平均において、正極活物質粒子610の見かけの断面積のうち、中空部614が占める割合が23%以上である。さらに、正極活物質層223の平均において殻部612の厚さが2.2μm以下である。このリチウムイオン二次電池によれば、正極活物質層223の平均において、正極活物質粒子610の見かけの断面積のうち、中空部614が占める割合が23%以上であり、殻部612を貫通した貫通孔616を有し、さらに正極活物質粒子610の殻部612の厚さが非常に薄い(ここでは、2.2μm以下)。このため、当該殻部内部(活物質内部)へのリチウムイオンの拡散が速い。このため、リチウムイオン二次電池は、低い充電量であっても高い出力を安定して発揮できる。
このリチウムイオン二次電池100では、正極活物質粒子610の粒子空孔率は大きければ大きいほど、出力特性が向上する傾向がある。正極活物質粒子610の粒子空孔率は、より好ましくは30以上、さらに好ましくは45以上、さらに好ましくは60以上であるとよい。さらに、このリチウムイオン二次電池100では、正極活物質粒子610の殻部612が薄ければ薄いほど、出力特性が向上する傾向がある。正極活物質粒子610の殻部612の厚さは、より好ましくは1.5μm以下、さらに好ましくは1.00μm以下、さらに好ましくは0.8μm以下、さらに好ましくは、0.4μm以下であるとよい。なお、使用に伴う正極活物質粒子610の耐久性を確保するべく、殻部612の厚さは、例えば、0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上であるとよい。
さらに、正極活物質粒子610の殻部612を構成するリチウム遷移金属酸化物は、ニッケルを構成元素として含む層状構造の化合物であるとよい。
かかるリチウム遷移金属酸化物は、例えば、ニッケル、コバルトおよびマンガンを構成元素として含む層状構造の化合物でもよい。または、リチウム遷移金属酸化物は、Li1+xNiCoMn(1−y−z)γ2として含む層状構造の化合物であってもよい。ここで、0≦x≦0.2または.1<y<0.9、0.1<z<0.4であり、Mは、添加物であり、0≦γ≦0.01である。さらに、添加物としてのMは、Zr、W、Mg、Ca、Na、Fe、Cr、Zn、Si、Sn、Al、BおよびFからなる群のうち少なくとも一種類の添加物であってもよい。
かかるリチウムイオン二次電池100は、上述したように、低温時の出力特性が向上する。さらに、低い充電量でも安定した出力が得られる。このため、例えば、定格容量が3Ah以上と容量が大きい、例えば、車両駆動用電池としてのリチウムイオン二次電池に好適である。かかるリチウムイオン二次電池100は、より低い充電量でも安定した出力が得られるので、使用時のSOCの幅が広くなる。このため、リチウムイオン二次電池100から取り出せる電力量が増える。かかるリチウムイオン二次電池100は、車両駆動用電池として、一度の充電での車両の走行距離を延ばすことができる。
ここで、正極活物質粒子610は、特に好ましくは、遷移金属溶液(遷移金属化合物の水性溶液)にアンモニウムイオンを供給して、遷移金属水酸化物の粒子を遷移金属溶液から析出させる原料水酸化物生成工程と、遷移金属水酸化物とリチウム化合物とを混合して未焼成の混合物を調製する混合工程と、混合物を焼成して活物質粒子を得る焼成工程とを包含する製造方法によって製造された正極活物質粒子であるとよい。ここで、水性溶液は、リチウム遷移金属酸化物を構成する遷移金属元素の少なくとも一つを含んでいるとよい。
かかる原料水酸化物生成工程は、遷移金属溶液から遷移金属水酸化物を析出させる核生成段階と、核生成段階よりも遷移金属溶液のpHを減少させた状態で、遷移金属水酸化物を成長させる粒子成長段階とを含んでいるとよい。
また、原料水酸化物生成工程は、核生成段階での遷移金属溶液のpHが12以上13以下、および、粒子成長段階での遷移金属溶液のpHが11以上12未満であるとよい。これにより、正極活物質粒子610の前駆体となる遷移金属水酸化物において、内部よりも外表面近傍部の密度が大きい遷移金属水酸化物の粒子を得ることができ、薄い殻部612と、広い中空部614と、貫通孔616とを備えた正極活物質粒子610をより安定して得ることができる。
この際、さらに核生成段階での遷移金属溶液のアンモニウムイオン濃度が20g/L以下、および、粒子成長段階での遷移金属溶液のアンモニウムイオン濃度が10g/L以下であるとよい。また、核生成段階および粒子成長段階での遷移金属溶液のアンモニウムイオン濃度が3g/L以上であるとよい。
また、かかるリチウムイオン二次電池100では、正極活物質粒子610に特徴を有する。正極活物質粒子610には活物質粒子の粉粒体が用いられる。ここで、活物質粒子の粉粒体は、図9に示すように、リチウム遷移金属酸化物で構成された殻部612と、殻部612で囲まれた中空部614と、殻部612を貫通した貫通孔616とを有しているとよい。かかる活物質粒子の粉粒体は、当該粉粒体に含まれる活物質粒子610の平均において、活物質粒子610の見かけの断面積のうち中空部614が占める割合が23%以上であり、かつ、殻部612の厚さが2.2μm以下である。ここで、活物質粒子610の任意の断面において、殻部612の内側面の任意の位置における殻部612の厚さは、当該殻部612の内側面の任意の位置から殻部612の外側面への最短距離で定義される。
また、当該粉粒体に含まれる活物質粒子610の平均において、殻部の厚さが0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上であってもよい。これにより、活物質粒子610の耐久性が向上するので、リチウムイオン二次電池100の性能を安定させることができる。
上述したように、リチウム遷移金属酸化物は、ニッケルを構成元素として含む層状構造の化合物であるとよい。さらに、リチウム遷移金属酸化物は、ニッケル、コバルトおよびマンガンを構成元素として含む層状構造の化合物でもよい。また、リチウム遷移金属酸化物は、Li1+xNiCoMn(1−y−z)γ2として含む層状構造の化合物でもよい。ここで、0≦x≦0.2、0.1<y<0.9、0.1<z<0.4であり、Mは、添加物である。さらに、Mは、Zr、W、Mg、Ca、Na、Fe、Cr、Zn、Si、Sn、Al、BおよびFからなる群より選ばれた少なくとも一種類の添加物でもよい。
また、活物質粒子610の製造方法は、遷移金属化合物の水性溶液にアンモニウムイオンを供給して、遷移金属水酸化物の粒子を水性溶液から析出させる原料水酸化物生成工程と、遷移金属水酸化物とリチウム化合物とを混合して未焼成の混合物を調製する混合工程と、混合物を焼成して活物質粒子610を得る焼成工程とを含んでいる。ここで、水性溶液は、リチウム遷移金属酸化物を構成する遷移金属元素の少なくとも一つを含んでいる。
また、原料水酸化物生成工程は、水性溶液から前記遷移金属水酸化物を析出させる核生成段階と、核生成段階よりも水性溶液のpHを減少させた状態で、遷移金属水酸化物を成長させる粒子成長段階とを含んでいるとよい。これにより、殻部612が薄く、中空部614が広く、さらに貫通孔616を有する活物質粒子610を効率よく安定して得ることができる。
以上、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池、活物質粒子の粉粒体、および、活物質粒子の製造方法を説明した。なお、本発明は、上述した何れの実施形態にも限定されない。
上述したように、本発明は、リチウムイオン二次電池の出力特性向上に寄与する。このため、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、特に、ハイレートでの出力特性若しくはサイクル特性について要求されるレベルが高いハイブリッド車、さらには、特に容量について要求されるレベルが高い、プラグインハイブリッド車若しくは電気自動車の駆動用電池など車両駆動電源用の二次電池に好適である。この場合、例えば、図12に示すように、二次電池の複数個を接続して組み合わせた組電池の形態で、自動車などの車両1のモータ(電動機)を駆動させる車両駆動用電池1000として好適に利用され得る。特に、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、低い充電量でも安定して高い出力を発揮することができ、より低い充電量での使用に耐えうる。このため、電池を効率よく使用することができるとともに、容量について要求されるレベルが高い場合でも、使用する電池の数を少なくでき、コストダウンを図ることができる。このように、本発明に係るリチウムイオン二次電池100は、車両駆動用電池1000として特に好適である。
1 車両
100 リチウムイオン二次電池(評価用電池)
200 捲回電極体
220 正極シート
221 正極集電体
222 未塗工部
223 正極活物質層
224 中間部分
225 隙間(空洞)
240 負極
240 負極シート
241 負極集電体
242 未塗工部
243 負極活物質層
245 隙間(空洞)
262、264 セパレータ
280 電解液
290 充電器
300 電池ケース
310、312 隙間
320 容器本体
322 蓋体と容器本体の合わせ目
340 蓋体
350 注液孔
352 封止キャップ
360 安全弁
420 電極端子
420a 先端部
440 電極端子
440a 先端部
610 活物質粒子
610 正極活物質粒子
612 殻部
612a 殻部の内側面
614 中空部
616 貫通孔
620 導電材
630 バインダ
710 負極活物質
730 バインダ
1000 車両駆動用電池
WL 捲回軸

Claims (16)

  1. 集電体と、
    集電体に保持され、正極活物質粒子と導電材とバインダとを含む多孔質の正極活物質層と
    を備え、
    前記正極活物質粒子は、
    リチウム遷移金属酸化物で構成された殻部と、
    前記殻部の内部に形成された中空部と、
    前記殻部を貫通した貫通孔と
    を有し、
    前記正極活物質層の平均において、前記正極活物質粒子の見かけの断面積のうち、前記中空部が占める割合が23%以上であり、かつ、前記正極活物質層の任意の断面において、前記殻部の内側面の任意の位置における前記殻部の厚さを、当該殻部の内側面の任意の位置から前記殻部の外側面への最短距離とした場合において、前記正極活物質層の平均において前記殻部の厚さが2.2μm以下である、リチウムイオン二次電池。
  2. 前記正極活物質層の平均において、前記殻部の厚さが0.05μm以上である、請求項1に記載されたリチウムイオン二次電池。
  3. 前記リチウム遷移金属酸化物は、ニッケルを構成元素として含む層状構造の化合物である、請求項1または2に記載されたリチウムイオン二次電池。
  4. 前記リチウム遷移金属酸化物は、ニッケル、コバルトおよびマンガンを構成元素として含む層状構造の化合物である、請求項1から3までの何れか一項に記載されたリチウムイオン二次電池。
  5. 前記リチウム遷移金属酸化物は、Li1+xNiCoMn(1−y−z)γ2として含む層状構造の化合物である、請求項1から4までの何れか一項に記載されたリチウムイオン二次電池。
    ここで、0≦x≦0.2、0.1<y<0.9、0.1<z<0.4であり、Mは、添加物であり、0≦γ≦0.01である。
  6. 前記Mは、Zr、W、Mg、Ca、Na、Fe、Cr、Zn、Si、Sn、Al、BおよびFからなる群のうち少なくとも一種類の添加物である、請求項5に記載されたリチウムイオン二次電池。
  7. 定格容量が3Ah以上である、請求項1から6までの何れか一項に記載されたリチウムイオン二次電池。
  8. 前記正極活物質粒子は、遷移金属化合物の水性溶液にアンモニウムイオンを供給して、前記遷移金属水酸化物の粒子を前記水性溶液から析出させる原料水酸化物生成工程、ここで、前記水性溶液は、前記リチウム遷移金属酸化物を構成する遷移金属元素の少なくとも一つを含む;
    前記遷移金属水酸化物とリチウム化合物とを混合して未焼成の混合物を調製する混合工程;および、
    前記混合物を焼成して前記活物質粒子を得る焼成工程;
    を包含する製造方法によって製造された正極活物質粒子である、請求項1から7までの何れか一項に記載されたリチウムイオン二次電池。
  9. 前記原料水酸化物生成工程は、
    前記水性溶液から前記遷移金属水酸化物を析出させる核生成段階と、
    前記核生成段階よりも前記水性溶液のpHを減少させた状態で、前記遷移金属水酸化物を成長させる粒子成長段階と
    を含む、請求項8に記載されたリチウムイオン二次電池。
  10. 前記核生成段階での、前記水性溶液のpHが12以上13以下、および、前記粒子成長段階での、前記水性溶液のpHが11以上12未満である、請求項9に記載されたリチウムイオン二次電池。
  11. 前記核生成段階での、前記水性溶液のアンモニウムイオン濃度が20g/L以下、および、前記粒子成長段階での、前記水性溶液のアンモニウムイオン濃度が10g/L以下である、請求項10に記載されたリチウムイオン二次電池。
  12. 前記核生成段階および粒子成長段階での、前記水性溶液のアンモニウムイオン濃度が3g/L以上である、請求項11に記載されたリチウムイオン二次電池。
  13. 請求項1から12までの何れか一項に記載されたリチウムイオン二次電池に用いられる正極活物質粒子の粉粒体。
  14. 遷移金属化合物の水性溶液にアンモニウムイオンを供給して、前記遷移金属水酸化物の粒子を前記水性溶液から析出させる原料水酸化物生成工程、ここで、前記水性溶液は、前記リチウム遷移金属酸化物を構成する遷移金属元素の少なくとも一つを含む;
    前記遷移金属水酸化物とリチウム化合物とを混合して未焼成の混合物を調製する混合工程;および、
    前記混合物を焼成して前記活物質粒子を得る焼成工程;
    を包含し、
    前記原料水酸化物生成工程は、
    前記水性溶液から前記遷移金属水酸化物を析出させる核生成段階と、
    前記核生成段階よりも前記水性溶液のpHを減少させた状態で、前記遷移金属水酸化物を成長させる粒子成長段階と
    を含み、
    前記核生成段階での、前記水性溶液のpHが12以上13以下、および、前記粒子成長段階での、前記水性溶液のpHが11以上12未満である、活物質粒子の製造方法。
  15. 前記核生成段階での、前記水性溶液のアンモニウムイオン濃度が20g/L以下、および、前記粒子成長段階での、前記水性溶液のアンモニウムイオン濃度が10g/L以下である、請求項14に記載された活物質粒子の製造方法。
  16. 前記核生成段階および粒子成長段階での、前記水性溶液のアンモニウムイオン濃度が3g/L以上である、請求項15に記載された活物質粒子の製造方法。
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