JP2014026990A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リチウムイオン二次電池100は、正極集電体221と、正極集電体221に保持された多孔質の正極活物質層223とを備えている。ここで、正極活物質層223は、例えば正極活物質粒子610と導電材620とバインダ630とを含んでいる。かかるリチウムイオン二次電池100では、正極活物質粒子610は、リチウム遷移金属酸化物で構成された殻部612と、殻部612の内部に形成された中空部614と、殻部612を貫通した貫通孔616とを有している。このリチウムイオン二次電池100では、正極活物質層223の平均において、正極活物質粒子610の見かけの断面積のうち、中空部614が占める割合が23%以上である。さらに、正極活物質層223の平均において殻部612の厚さが2.2μm以下である。
【選択図】図9
Description
一般式:LikNimCopAl(1−m−p)Or(但し、式中、k、m、p、rは、0.95≦k≦1.10、0.1≦m≦0.9、0.1≦p≦0.9、1.8≦r≦2.2を満たす)、かつ、Ni/Co(モル比)は、2.33、3.0、3.25、3.5の何れかである。当該文献で開示されたリチウムニッケル複合酸化物は、外側の外殻部と、該外殻部の内側の空間部とを有する中空粒子である。そして、当該中空粒子の断面出しを行ったときの、外殻部と空間部の合計に対する空間部の面積割合は、7%以上16%以下である。
正極シート220は、帯状の正極集電体221と正極活物質層223とを備えている。正極集電体221には、正極に適する金属箔が好適に使用され得る。正極集電体221には、例えば、所定の幅を有し、厚さが凡そ15μmの帯状のアルミニウム箔を用いることができる。正極集電体221の幅方向片側の縁部に沿って未塗工部222が設定されている。図示例では、正極活物質層223は、図3に示すように、正極集電体221に設定された未塗工部222を除いて、正極集電体221の両面に保持されている。正極活物質層223には、正極活物質が含まれている。正極活物質層223は、正極活物質を含む正極合剤を正極集電体221に塗工することによって形成されている。
ここで、図4は、正極シート220の断面図である。なお、図4において、正極活物質層223の構造が明確になるように、正極活物質層223中の正極活物質粒子610と導電材620とバインダ630とを大きく模式的に表している。正極活物質層223には、図4に示すように、正極活物質粒子610と導電材620とバインダ630が含まれている。
導電材620としては、例えば、カーボン粉末、カーボンファイバーなどのカーボン材料が例示される。このような導電材から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末などのカーボン粉末を用いることができる。
また、バインダ630は、正極活物質層223に含まれる正極活物質粒子610と導電材620の各粒子を結着させたり、これらの粒子と正極集電体221とを結着させたりする。かかるバインダ630としては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、水性溶媒を用いた正極合剤組成物においては、セルロース系ポリマー(カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)など)、フッ素系樹脂(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)など)、ゴム類(酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)など)などの水溶性または水分散性ポリマーを好ましく採用することができる。また、非水溶媒を用いた正極合剤組成物においては、ポリマー(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリルニトリル(PAN)など)を好ましく採用することができる。
正極活物質層223は、例えば、上述した正極活物質粒子610と導電材620を溶媒にペースト状(スラリ状)に混ぜ合わせた正極合剤を作製し、正極集電体221に塗布し、乾燥させ、圧延することによって形成されている。この際、正極合剤の溶媒としては、水性溶媒および非水溶媒の何れも使用可能である。非水溶媒の好適な例としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が挙げられる。上記バインダ630として例示したポリマー材料は、バインダとしての機能の他に、正極合剤の増粘剤その他の添加剤としての機能を発揮する目的で使用されることもあり得る。
負極シート240は、図2に示すように、帯状の負極集電体241と、負極活物質層243とを備えている。負極集電体241には、負極に適する金属箔が好適に使用され得る。この負極集電体241には、所定の幅を有し、厚さが凡そ10μmの帯状の銅箔が用いられている。負極集電体241の幅方向片側には、縁部に沿って未塗工部242が設定されている。負極活物質層243は、負極集電体241に設定された未塗工部242を除いて、負極集電体241の両面に形成されている。負極活物質層243は、負極集電体241に保持され、少なくとも負極活物質が含まれている。負極活物質層243は、負極活物質を含む負極合剤が負極集電体241に塗工されている。
図5は、リチウムイオン二次電池100の負極シート240の断面図である。負極活物質層243には、図5に示すように、負極活物質710、増粘剤(図示省略)、バインダ730などが含まれている。図5では、負極活物質層243の構造が明確になるように、負極活物質層243中の負極活物質710とバインダ730とを大きく模式的に表している。
負極活物質710としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる材料の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が挙げられる。より具体的には、負極活物質は、例えば、天然黒鉛、非晶質の炭素材料でコートした天然黒鉛、黒鉛質(グラファイト)、難黒鉛化炭素質(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質(ソフトカーボン)、または、これらを組み合わせた炭素材料でもよい。なお、ここでは、負極活物質710は、いわゆる鱗片状黒鉛が用いられた場合を図示しているが、負極活物質710は、図示例に限定されない。
負極活物質層243は、例えば、上述した負極活物質710とバインダ730を溶媒にペースト状(スラリ状)に混ぜ合わせた負極合剤を作製し、負極集電体241に塗布し、乾燥させ、圧延することによって形成されている。この際、負極合剤の溶媒としては、水性溶媒および非水溶媒の何れも使用可能である。非水溶媒の好適な例としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が挙げられる。バインダ730には、上記正極活物質層223(図4参照)のバインダ630として例示したポリマー材料を用いることができる。また、上記正極活物質層223のバインダ630として例示したポリマー材料は、バインダとしての機能の他に、正極合剤の増粘剤その他の添加剤としての機能を発揮する目的で使用されることもあり得る。
セパレータ262、264は、図1または図2に示すように、正極シート220と負極シート240とを隔てる部材である。この例では、セパレータ262、264は、微小な孔を複数有する所定幅の帯状のシート材で構成されている。セパレータ262、264には、例えば、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成された単層構造のセパレータ或いは積層構造のセパレータを用いることができる。この例では、図2および図3に示すように、負極活物質層243の幅b1は、正極活物質層223の幅a1よりも少し広い。さらにセパレータ262、264の幅c1、c2は、負極活物質層243の幅b1よりも少し広い(c1、c2>b1>a1)。
また、この例では、電池ケース300は、図1に示すように、いわゆる角型の電池ケースであり、容器本体320と、蓋体340とを備えている。容器本体320は、有底四角筒状を有しており、一側面(上面)が開口した扁平な箱型の容器である。蓋体340は、当該容器本体320の開口(上面の開口)に取り付けられて当該開口を塞ぐ部材である。
その後、蓋体340に設けられた注液孔350から電池ケース300内に電解液が注入される。電解液は、水を溶媒としていない、いわゆる非水電解液が用いられている。この例では、電解液は、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(例えば、体積比1:1程度の混合溶媒)にLiPF6を約1mol/リットルの濃度で含有させた電解液が用いられている。その後、注液孔350に金属製の封止キャップ352を取り付けて(例えば溶接して)電池ケース300を封止する。なお、電解液は、ここで例示された電解液に限定されない。例えば、従来からリチウムイオン二次電池に用いられている非水電解液は適宜に使用することができる。
ここで、正極活物質層223は、例えば、正極活物質粒子610と導電材620の粒子間などに、空洞とも称すべき微小な隙間225を有している(図4参照)。かかる正極活物質層223の微小な隙間には電解液(図示省略)が浸み込み得る。また、負極活物質層243は、例えば、負極活物質710の粒子間などに、空洞とも称すべき微小な隙間245を有している(図5参照)。ここでは、かかる隙間225、245(空洞)を適宜に「空孔」と称する。また、捲回電極体200は、図2に示すように、捲回軸WLに沿った両側において、未塗工部222、242が螺旋状に巻かれている。かかる捲回軸WLに沿った両側252、254において、未塗工部222、242の隙間から、電解液が浸み込みうる。このため、リチウムイオン二次電池100の内部では、正極活物質層223と負極活物質層243に電解液が浸み渡っている。
また、この例では、当該電池ケース300の扁平な内部空間は、扁平に変形した捲回電極体200よりも少し広い。捲回電極体200の両側には、捲回電極体200と電池ケース300との間に隙間310、312が設けられている。当該隙間310、312は、ガス抜け経路になる。例えば、過充電が生じた場合などにおいて、リチウムイオン二次電池100の温度が異常に高くなると、電解液が分解されてガスが異常に発生する場合がある。この実施形態では、異常に発生したガスは、捲回電極体200の両側における捲回電極体200と電池ケース300との隙間310、312を通して安全弁360の方へ移動し、安全弁360から電池ケース300の外に排気される。
図7は、かかるリチウムイオン二次電池100の充電時の状態を模式的に示している。充電時においては、図7に示すように、リチウムイオン二次電池100の電極端子420、440(図1参照)は、充電器290に接続される。充電器290の作用によって、充電時には、正極活物質層223中の正極活物質からリチウムイオン(Li)が電解液280に放出される。また、正極活物質層223からは電荷が放出される。放出された電荷は、導電材(図示省略)を通じて正極集電体221に送られ、さらに、充電器290を通じて負極240へ送られる。また、負極240では電荷が蓄えられるとともに、電解液280中のリチウムイオン(Li)が、負極活物質層243中の負極活物質に吸収され、かつ、貯蔵される。
図8は、かかるリチウムイオン二次電池100の放電時の状態を模式的に示している。放電時には、図8に示すように、負極シート240から正極シート220に電荷が送られるとともに、負極活物質層243に貯蔵されたリチウムイオンが、電解液280に放出される。また、正極では、正極活物質層223中の正極活物質に電解液280中のリチウムイオンが取り込まれる。
なお、上記はリチウムイオン二次電池の一例を示すものである。リチウムイオン二次電池は上記形態に限定されない。また、同様に金属箔に電極合剤が塗工された電極シートは、他にも種々の電池形態に用いられる。例えば、他の電池形態として、円筒型電池或いはラミネート型電池などが知られている。円筒型電池は、円筒型の電池ケースに捲回電極体を収容した電池である。また、ラミネート型電池は、正極シートと負極シートとをセパレータを介在させて積層した電池である。
ここで、正極活物質粒子610は、図9に示すように、リチウム遷移金属酸化物で構成された殻部612と、殻部612の内部に形成された中空部614と、殻部612を貫通した貫通孔616とを含んでいる。なお、ここでは、殻部612の内側面612aのうち正極活物質粒子610の貫通孔616に相当する部分は、殻部612の内側面612aに含めない。また、貫通孔616は、正極活物質粒子610の中空部614に含めない。
ここで、正極活物質粒子610の見かけの断面積のうち、中空部614が占める割合は、正極活物質層223の断面SEM画像を基に把握することができる。正極活物質層223の断面SEM画像は、図9に示すように、色調或いは濃淡の違いによって、当該正極活物質層223の断面SEM画像のうち、正極活物質粒子610の殻部612と、中空部614と、貫通孔616とを区別することができる。
この場合、殻部612の内側面612aの複数の位置で、上記最短距離T(k)を求める。そして、殻部612の内側面612aの複数の位置で求められた上記最短距離T(k)の平均を算出するとよい。この場合、殻部612の内側面612aで上記最短距離T(k)を求める位置を多くすればするほど、殻部612の厚さTが平均値に収束し、殻部612の厚さを反映させることができる。殻部612の断面形状が歪であれば、厚さを一義的に規定するのが難しい。この方法であれば、殻部612の内側面612aの任意の位置kにおいて殻部612の厚さが一義的に決まるので、正極活物質粒子610全体での殻部612の厚さTを凡そ一義的に規定することができる。
以下、かかる正極活物質粒子610を安定して得ることができる正極活物質粒子610の好適な製造方法を説明する。
正極活物質粒子610をより安定して得るには、例えば、遷移金属溶液から遷移金属水酸化物を析出させる段階(核生成段階)のpH或いはNH4 +濃度、および、核生成段階で析出した遷移金属水酸化物の核を成長させる段階(粒子成長段階)粒子成長段階のpH或いはNH4 +濃度を適切に調整するとよい。
(M1)2+ + (NH3) ⇔ [M1(NH3)6]2+ ・・・・式1
(M1)2+ + 2OH− ⇔ M1(OH)2 ・・・・式2
ここで、M1は、遷移金属溶液に含まれる遷移金属であり、この実施形態では、Niを含んでいる。
混合工程では、遷移金属水酸化物とリチウム化合物とを混合して未焼成の混合物を調製する。焼成工程では、混合物を焼成して正極活物質粒子610を得る。ここで、正極活物質粒子610の前駆体である遷移金属水酸化物の粒子は、内部の密度が小さく、外表面近傍部の密度が大きい。このため、焼成工程において、前駆体である遷移金属水酸化物の粒子のうち密度が小さい内部が、密度が高く機械強度が強い外表面近傍部に取り込まれるように焼結する。このため、正極活物質粒子610の殻部612が形成されるとともに、大きな中空部614が形成される。さらに、焼結時に結晶が成長する際に、殻部612の一部に殻部612を貫通した貫通孔616が形成される。これにより、図9に示すように、殻部612と、中空部614と、貫通孔616とを有する正極活物質粒子610が形成される。なお、好適には、焼成工程後に焼成物を解砕し、篩分けを行ない、正極活物質粒子610の粒径を調整するとよい。
かかる正極活物質粒子610の製造では、特に、遷移金属溶液がニッケルを含んでいるとよい。遷移金属溶液がニッケルを含んでいる場合、核生成段階、粒子成長段階で遷移金属水酸化物が析出する際に、米粒のような形状の微小な一次粒子が複数集合した二次粒子の形態で、遷移金属水酸化物の粒子が生成される。また、焼成時の温度範囲において、かかる遷移金属水酸化物の一次粒子の形状を概ね維持しつつ結晶が成長する。
以下、本発明者は、見かけの断面積のうちに占める中空部614の割合と、殻部612の厚さと、貫通孔616の有無とが異なる正極活物質粒子610を用い、それぞれ評価用電池を作製して電池性能を比較した。
以下、評価用電池の構造を説明する。なお、評価用電池は、図1に示すようないわゆる扁平な角型の電池であり、基本構造が、上述したリチウムイオン二次電池100と概ね同じであるので、リチウムイオン二次電池100を適宜に参照しつつ説明する。また、同じ機能を奏する部材または部位には、同じ符号を付している。
評価用電池100の負極は、図1及び図5に示すように、負極集電体241と、負極集電体241に保持された負極活物質層243とを備えている。負極活物質層243には、負極活物質710と、バインダ730とを備えている。
評価用電池100の正極は、図1および図6に示すように、正極集電体221と、正極集電体221に保持された正極活物質層223とを備えている。正極活物質層223には、正極活物質粒子610と、導電材620と、バインダ630とを備えている(図6参照)。
正極活物質層223に含まれる正極活物質粒子610(図4参照)は、硫酸ニッケル(NiSO4)と硫酸コバルト(CoSO4)と硫酸マンガン(MnSO4)の混合溶液を水酸化ナトリウム(NaOH)によって中和する。そして、かかる遷移金属化合物の水性溶液にアンモニウムイオン(NH4 +)を供給し、該水性溶液から遷移金属水酸化物の粒子を析出させる工程において、前駆体となる遷移金属水酸化物を得る(原料水酸化物生成工程)。このため、この評価用電池では、前駆体となる遷移金属水酸化物には、Ni,Co,Mnが概ね所定の割合で含まれている。
次に、評価用電池100の電解液を説明する。この評価用電池では、電解液は、エチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、ジメチルカーボネートとを(DMC)を3:3:4の割合(モル比)で混合し、1.1mol/LのLiPF6を溶解させるとよい。また任意にジフルオロリン酸塩(LiPO2F2)とリチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)を、それぞれ単体または混合体を凡そ0.05mol/Lの割合にて溶解させた電解液を使用することもできる。
次に、評価用電池100は、概ね図1及び図2に示すように、上述のように作製した正極シート220と負極シート240を、セパレータ262、264を介在させて重ねつつ、捲回する。そして、捲回軸WL(図2参照)に直交する一の方向に押し曲げて扁平形状にして捲回電極体200を作製する。当該捲回電極体200は、セパレータ262、264の両側に正極シート220の未塗工部222と、負極シート240の未塗工部242とが露出している。
次に、上記のように構築した評価用電池100の電池について、コンディショニング工程、定格容量の測定、SOC調整を順に説明する。コンディショニング工程は、次の手順1、2によって行なわれる。手順1:1Cの定電流充電にて4.1Vに到達した後、5分間休止する。手順2:手順1の後、定電圧充電にて1.5時間充電し、5分間休止する。
次に、定格容量は、上記コンディショニング工程の後、評価試験用の電池について、温度25℃、3.0Vから4.1Vの電圧範囲で、次の手順1〜3によって測定される。
手順1:1Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間休止する。
手順2:1Cの定電流充電によって4.1Vに到達後、定電圧充電にて2.5時間充電し、その後、10秒間休止する。
手順3:0.5Cの定電流放電によって、3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間停止する。
定格容量:手順3における定電流放電から定電圧放電に至る放電における放電容量(CCCV放電容量)を定格容量とする。この評価用電池100では、定格容量が凡そ4Ahになる。
SOC調整は、次の1、2の手順によって調整される。ここで、SOC調整は、上記コンディショニング工程および定格容量の測定の後で行なうとよい。また、ここでは、温度による影響を一定にするため、25℃の温度環境下でSOC調整を行なっている。
手順1:3Vから1Cの定電流で充電し、定格容量の凡そ60%の充電状態(SOC60%)にする。ここで、「SOC」は、State
of Chargeを意味する。
手順2:手順1の後、2.5時間、定電圧充電する。
これにより、評価用電池100は、所定の充電状態に調整することができる。
−30℃、かつ、SOC25%の充電状態での出力特性(以下、適宜に「出力特性1」という。)は、以下の手順によって求められる。
手順1[SOC調整]:SOC調整として、常温(ここでは、25℃)の温度環境において、1C定電流充電によってSOC25%に調整する。次に、定電圧充電で1時間充電する。
手順2[−30℃にて6時間放置]:上記手順1の後、SOC25%に調整した電池を−30℃の恒温槽にて6時間放置する。
手順3[定ワット放電]:上記手順2の後、−30℃の温度環境において、SOC25%から定ワット(W)にて放電する。この際、放電開始から電圧が2.0Vになるまでの秒数を測定する。
手順4[繰り返し]:手順3の定ワット放電電圧を80W〜200Wの条件で変えながら、上記手順1〜3を繰り返す。ここでは、手順3の定ワット放電電圧を、1回目80W、2回目90W、3回目100W・・・と、定ワット放電電圧を10Wずつ上げていきながら、手順3の定ワット放電電圧が200Wになるまで、上記手順1〜3を繰り返す。ここでは、手順3の定ワット放電電圧を10Wずつ上げている。これに限らず、手順3の定ワット放電電圧を、一定のワット数ずつ(例えば、5Wずつ、或いは、15Wずつ)上げてもよいし、例えば、500Wから一定のワット数ずつ(例えば、5Wずつ、10Wずつ、或いは、15Wずつ)下げてもよい。
手順5[出力特性1の算出]:例えば、図10に示すように、上記手順4での定ワットの条件にて測定された2.0Vまでの秒数を横軸にとり、その時のWを縦軸にとったプロットの近似曲線から2秒時のWを出力特性1として算出する。
0℃、かつ、SOC25%の充電状態での出力特性(以下、適宜に「出力特性2」という。)は、以下の手順によって求められる。
手順1[SOC調整]:SOC調整として、常温(ここでは、25℃)の温度環境において、1C定電流充電によってSOC25%に調整する。次に、定電圧充電で1時間充電する。
手順2[0℃にて6時間放置]:上記手順1の後、SOC25%に調整した電池を0℃の恒温槽にて6時間放置する。
手順3[定ワット放電]:上記手順2の後、0℃の温度環境において、SOC25%から定ワット(W)にて放電する。この際、放電開始から電圧が2.0Vになるまでの秒数を測定する。
手順4[繰り返し]:手順3の定ワット放電電圧を350W〜500Wの条件で変えながら、上記手順1〜3を繰り返す。ここでは、手順3の定ワット放電電圧を、1回目350W、2回目360W、3回目370W・・・と、定ワット放電電圧を10Wずつ上げていきながら、手順3の定ワット放電電圧が500Wになるまで、上記手順1〜3を繰り返す。ここでは、手順3の定ワット放電電圧を10Wずつ上げている。これに限らず、手順3の定ワット放電電圧を、一定のワット数ずつ(例えば、5Wずつ、或いは、15Wずつ)上げてもよいし、例えば、500Wから一定のワット数ずつ(例えば、5Wずつ、10Wずつ、或いは、15Wずつ)下げてもよい。
手順5[出力特性2の算出]:例えば、図11に示すように、上記手順4で、定ワットの条件にて測定された2.0Vまでの秒数を横軸にとり、その時のWを縦軸にとったプロットの近似曲線から10秒時のWを出力特性2として算出する。
かかるリチウム遷移金属酸化物は、例えば、ニッケル、コバルトおよびマンガンを構成元素として含む層状構造の化合物でもよい。または、リチウム遷移金属酸化物は、Li1+xNiyCozMn(1−y−z)MγO2として含む層状構造の化合物であってもよい。ここで、0≦x≦0.2または.1<y<0.9、0.1<z<0.4であり、Mは、添加物であり、0≦γ≦0.01である。さらに、添加物としてのMは、Zr、W、Mg、Ca、Na、Fe、Cr、Zn、Si、Sn、Al、BおよびFからなる群のうち少なくとも一種類の添加物であってもよい。
100 リチウムイオン二次電池(評価用電池)
200 捲回電極体
220 正極シート
221 正極集電体
222 未塗工部
223 正極活物質層
224 中間部分
225 隙間(空洞)
240 負極
240 負極シート
241 負極集電体
242 未塗工部
243 負極活物質層
245 隙間(空洞)
262、264 セパレータ
280 電解液
290 充電器
300 電池ケース
310、312 隙間
320 容器本体
322 蓋体と容器本体の合わせ目
340 蓋体
350 注液孔
352 封止キャップ
360 安全弁
420 電極端子
420a 先端部
440 電極端子
440a 先端部
610 活物質粒子
610 正極活物質粒子
612 殻部
612a 殻部の内側面
614 中空部
616 貫通孔
620 導電材
630 バインダ
710 負極活物質
730 バインダ
1000 車両駆動用電池
WL 捲回軸
Claims (16)
- 集電体と、
集電体に保持され、正極活物質粒子と導電材とバインダとを含む多孔質の正極活物質層と
を備え、
前記正極活物質粒子は、
リチウム遷移金属酸化物で構成された殻部と、
前記殻部の内部に形成された中空部と、
前記殻部を貫通した貫通孔と
を有し、
前記正極活物質層の平均において、前記正極活物質粒子の見かけの断面積のうち、前記中空部が占める割合が23%以上であり、かつ、前記正極活物質層の任意の断面において、前記殻部の内側面の任意の位置における前記殻部の厚さを、当該殻部の内側面の任意の位置から前記殻部の外側面への最短距離とした場合において、前記正極活物質層の平均において前記殻部の厚さが2.2μm以下である、リチウムイオン二次電池。 - 前記正極活物質層の平均において、前記殻部の厚さが0.05μm以上である、請求項1に記載されたリチウムイオン二次電池。
- 前記リチウム遷移金属酸化物は、ニッケルを構成元素として含む層状構造の化合物である、請求項1または2に記載されたリチウムイオン二次電池。
- 前記リチウム遷移金属酸化物は、ニッケル、コバルトおよびマンガンを構成元素として含む層状構造の化合物である、請求項1から3までの何れか一項に記載されたリチウムイオン二次電池。
- 前記リチウム遷移金属酸化物は、Li1+xNiyCozMn(1−y−z)MγO2として含む層状構造の化合物である、請求項1から4までの何れか一項に記載されたリチウムイオン二次電池。
ここで、0≦x≦0.2、0.1<y<0.9、0.1<z<0.4であり、Mは、添加物であり、0≦γ≦0.01である。 - 前記Mは、Zr、W、Mg、Ca、Na、Fe、Cr、Zn、Si、Sn、Al、BおよびFからなる群のうち少なくとも一種類の添加物である、請求項5に記載されたリチウムイオン二次電池。
- 定格容量が3Ah以上である、請求項1から6までの何れか一項に記載されたリチウムイオン二次電池。
- 前記正極活物質粒子は、遷移金属化合物の水性溶液にアンモニウムイオンを供給して、前記遷移金属水酸化物の粒子を前記水性溶液から析出させる原料水酸化物生成工程、ここで、前記水性溶液は、前記リチウム遷移金属酸化物を構成する遷移金属元素の少なくとも一つを含む;
前記遷移金属水酸化物とリチウム化合物とを混合して未焼成の混合物を調製する混合工程;および、
前記混合物を焼成して前記活物質粒子を得る焼成工程;
を包含する製造方法によって製造された正極活物質粒子である、請求項1から7までの何れか一項に記載されたリチウムイオン二次電池。 - 前記原料水酸化物生成工程は、
前記水性溶液から前記遷移金属水酸化物を析出させる核生成段階と、
前記核生成段階よりも前記水性溶液のpHを減少させた状態で、前記遷移金属水酸化物を成長させる粒子成長段階と
を含む、請求項8に記載されたリチウムイオン二次電池。 - 前記核生成段階での、前記水性溶液のpHが12以上13以下、および、前記粒子成長段階での、前記水性溶液のpHが11以上12未満である、請求項9に記載されたリチウムイオン二次電池。
- 前記核生成段階での、前記水性溶液のアンモニウムイオン濃度が20g/L以下、および、前記粒子成長段階での、前記水性溶液のアンモニウムイオン濃度が10g/L以下である、請求項10に記載されたリチウムイオン二次電池。
- 前記核生成段階および粒子成長段階での、前記水性溶液のアンモニウムイオン濃度が3g/L以上である、請求項11に記載されたリチウムイオン二次電池。
- 請求項1から12までの何れか一項に記載されたリチウムイオン二次電池に用いられる正極活物質粒子の粉粒体。
- 遷移金属化合物の水性溶液にアンモニウムイオンを供給して、前記遷移金属水酸化物の粒子を前記水性溶液から析出させる原料水酸化物生成工程、ここで、前記水性溶液は、前記リチウム遷移金属酸化物を構成する遷移金属元素の少なくとも一つを含む;
前記遷移金属水酸化物とリチウム化合物とを混合して未焼成の混合物を調製する混合工程;および、
前記混合物を焼成して前記活物質粒子を得る焼成工程;
を包含し、
前記原料水酸化物生成工程は、
前記水性溶液から前記遷移金属水酸化物を析出させる核生成段階と、
前記核生成段階よりも前記水性溶液のpHを減少させた状態で、前記遷移金属水酸化物を成長させる粒子成長段階と
を含み、
前記核生成段階での、前記水性溶液のpHが12以上13以下、および、前記粒子成長段階での、前記水性溶液のpHが11以上12未満である、活物質粒子の製造方法。 - 前記核生成段階での、前記水性溶液のアンモニウムイオン濃度が20g/L以下、および、前記粒子成長段階での、前記水性溶液のアンモニウムイオン濃度が10g/L以下である、請求項14に記載された活物質粒子の製造方法。
- 前記核生成段階および粒子成長段階での、前記水性溶液のアンモニウムイオン濃度が3g/L以上である、請求項15に記載された活物質粒子の製造方法。
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- 2013-11-01 JP JP2013228393A patent/JP2014026990A/ja active Pending
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