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JP2014025440A - 内燃機関の潤滑装置 - Google Patents

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一平 福富
Genichi Murakami
元一 村上
Akihiro Honda
暁拡 本田
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Abstract

【課題】遠心式オイルフィルターを用いて内燃機関のオイルからスラッジ等の不溶解分をより好適に除去する。
【課題手段】本発明の一態様の内燃機関の潤滑装置10は、噴射ノズル72から噴射されるオイルの噴射力により回転する遠心ロータ68を有する遠心式オイルフィルター44と、遠心式オイルフィルター44にオイルを供給するように設けられ、オイルの吐出圧および吐出流量のうち少なくともいずれか一方を変更可能に構成されたオイルポンプ16と、遠心式オイルフィルター44の遠心ロータ68の回転を制御するように、オイルポンプ16を制御するポンプ制御ユニットとを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、遠心式オイルフィルターを備えた内燃機関の潤滑装置に関する。
自動車用等の内燃機関において、潤滑油であるオイルの劣化に起因してスラッジが発生し、これがエンジン各部に様々な悪影響を与えることが知られている。スラッジは、オイル中に含まれるオレフィンと、ブローバイガスに含まれるNOxやSOxと、水とを主成分とし、これら主成分が熱や酸の力で反応し、スラッジプリカーサやスラッジバインダといった前駆物質を経て生成される。スラッジは視覚的には泥あるいはヘドロ状の物質であり、例えば、これが内燃機関内部の通路に堆積すると通路を閉塞するといった問題を引き起こす。そして、このように生じたスラッジおよびスラッジプリカーサは、オイル中で、さらなるスラッジの生成を促進し、オイルの劣化を加速すると共に、オイルの各機能を低下させる。
そこで、オイル劣化を抑制するようにオイル中からスラッジなどの不溶解分(または異物)を除去するために、遠心式オイルフィルターを用いることが提案されている。例えば、特許文献1は、遠心式オイルフィルター(遠心分離式オイルフィルター)にオイルを供給し、遠心ロータの回転により遠心ロータ内のオイル中に含まれるスラッジ等の不溶解分を遠心分離して捕捉することを開示する。
特開2009−167812号公報
ところで、遠心式オイルフィルターの遠心ロータを十分に回転させてある程度以上の遠心分離効果を得るためには、ある程度以上のオイルの圧力が必要とされる。これに対して、一般に、オイルの温度に応じて、オイルの粘度は変化し、遠心式オイルフィルターにおけるオイルの圧力が変化するので、オイルの温度が高くその粘性が低くなることで、遠心式オイルフィルターで十分な遠心分離効果を得られないことが懸念される。
そこで、本発明は、遠心式オイルフィルターを用いて内燃機関のオイルからスラッジ等の不溶解分をより好適に除去することが可能な、内燃機関の潤滑装置を提供することを目的とする。
本発明の一の態様によれば、噴射ノズルから噴射されるオイルの噴射力により回転する遠心ロータを有する遠心式オイルフィルターと、遠心式オイルフィルターにオイルを供給するように設けられ、オイルの吐出圧および吐出流量のうち少なくともいずれか一方を変更可能に構成されたオイルポンプと、遠心式オイルフィルターの遠心ロータの回転を制御するように、オイルポンプを制御するポンプ制御ユニットとを備えた、内燃機関の潤滑装置が提供される。
かかる構成によれば、遠心式オイルフィルターの遠心ロータの回転を制御するように、オイルの吐出圧および吐出流量のうち少なくともいずれか一方を変更可能に構成されたオイルポンプが制御される。したがって、遠心ロータを好適に回転させて、遠心式オイルフィルターでの遠心分離効果を十分に発揮させて、オイルからスラッジ等の不溶解分を好適に除去することが可能になる。
好ましくは、内燃機関のオイル通路から分岐して合流するバイパスオイル通路であって、遠心式オイルフィルターが設けられたバイパスオイル通路と、バイパスオイル通路へのオイルの流れを制御するように設けられた少なくとも1つのバルブと、バイパスオイル通路を通しての遠心式オイルフィルターへのオイルの供給を制御するように、少なくとも1つのバルブの開度を制御するバルブ制御ユニットとがさらに備えられるとよい。かかる構成によれば、バイパス通路に遠心式オイルフィルターが設けられて、少なくとも1つのバルブの開度が制御されることで、そこへのオイルの供給が制御される。したがって、所定の時期に、所定の期間、遠心式オイルフィルターへオイルを好適に供給することができる。
バルブ制御ユニットは、オイルの温度および圧力の少なくともいずれか一方に基づいて、少なくとも1つのバルブの開度を制御するとよい。このようにすることで、より好適な状態のオイルを遠心式オイルフィルターに供給し、遠心式オイルフィルターにおける遠心分離効果をより効果的に発揮させることができる。
本発明の第1実施形態に係る内燃機関の潤滑装置の概略図である。 図1における遠心式オイルフィルターの断面模式図である。 第1実施形態における、遠心式オイルフィルターへのオイル供給制御用のフローチャートである。 第2実施形態における、遠心式オイルフィルターへのオイル供給制御の実行時期決定用のフローチャートである。 換算走行距離とオイル中の不溶解分量との関係を表したグラフである。 実験装置の概略図である。 実施例1における実験結果を表したグラフである。 実施例2における実験結果を表したグラフである。 実施例3における実験結果を表したグラフである。
以下、本発明に係る実施形態が添付図面に基づいて説明される。まず、第1実施形態が説明される。
本発明の第1実施形態に係る内燃機関の潤滑装置10は図1に概念的に表されている。図1では、内燃機関の潤滑装置10における潤滑油(オイル)の主な流れが概念的に示されている。なお、この内燃機関は、ここでは、車両に搭載されている。
例えば内燃機関の種々の部材間の摺動箇所での摩擦や磨耗を減らすため、内燃機関はその潤滑装置10を備えている。潤滑装置10は、それら摺動箇所にオイルを給油するように構成されている。内燃機関の潤滑装置10は、オイルストレーナ14、オイルポンプ16、およびオイルフィルター18を有する。オイルパン20に貯留されるオイル中にはオイルストレーナ14が配置され、オイルストレーナ14にはオイルポンプ16が接続されている。そして、オイルパン20に貯留されたオイルからオイルストレーナ14で比較的大きな異物が除去され、それが除去されたオイルがオイルポンプ16で吸い上げられて、オイルポンプ16からオイルフィルター18に圧送される。そしてオイルフィルター18で比較的小さな異物が除去された後に、メインオイルホール22を介して、内燃機関12の内部の各軸受部や摺動部である摺動箇所にオイルが分配されて、それらの潤滑や冷却が図られる。なお、ここではオイルポンプ16は可変容量式オイルポンプであり、そのオイルの吐出流量を可変とするものであり、よって実質的に吐出圧を可変とするものである。なお、オイルポンプ16として、オイルの吐出圧および吐出流量のうち少なくともいずれか一方を変更可能に構成された任意のオイルポンプを用いることができる。
例えば、シリンダヘッド24に導かれたオイルは、チェーンテンショナプランジャ25やカムシャフトジャーナル26に供給される。また、オイルジェット28を介して、チェーン30に、オイルは供給される。また、クランクシャフトジャーナル32にオイルが供給され、さらにクランクピン34や、オイルジェット36を介してピストン38にオイルは供給される。そして、内燃機関の各軸受部や摺動部に供給されたオイルは、自然落下等により、オイルパン20に戻る。例えば、シリンダヘッド24に圧送されたオイルは、シリンダヘッド24に設定したオイル戻し孔やチェーンカバー内を通り、オイルパン20に戻される。なお、このようなオイルの流れは、一例に過ぎない。本発明に係る潤滑装置では、種々のオイルの流れが許容され、そのために、種々の構成が有され得る。
このように内燃機関にはオイルが流通可能なオイル通路40が形成されている。なお、本明細書では、オイルパン20から汲み上げられたオイルが流通可能な通路がオイル通路40と称されていて、オイル通路40にはオイルパン20内も含まれる。
第1実施形態では、オイル通路40から分岐して合流するバイパスオイル通路(以下、バイパス通路)42が形成されている。本実施形態では、バイパス通路42は、その上流側がオイルポンプ16とオイルフィルター18との間につながり、その下流側がメインオイルホール22につながるように、構成されている。しかし、これは、バイパス通路42の分岐箇所および合流箇所を限定するものではない。バイパス通路は、オイルフィルター18の下流、例えばオイルフィルター18とメインオイルホール22との間から分岐するように構成されてもよい。なお、バイパス通路42は、オイルポンプ16から吐出されたオイルがその吐出圧を実質的に有しつつ、または、ある程度以上の圧力を有しつつ、バイパス通路42に流入可能なオイル通路40の位置から分岐するとよい。
バイパス通路42には、遠心式オイルフィルター(遠心式オイルクリーナー)44が設けられている。遠心式オイルフィルター44に関しては後述される。なお、本実施形態ではバイパス通路42に遠心式オイルフィルター44が設けられるが、オイル通路40に直接的に遠心式オイルフィルター44が配置されることを本発明は排除しない。
そして、バイパス通路42の遠心式オイルフィルター44へのオイルの流通または供給を制御するように、2つのバルブ46、48が設けられている。2つのバルブ46、48はそれぞれ制御弁であり、後述される制御装置としてのECUによりその開度が制御される。そして、バルブ46、48のうちの一方のバルブ46は遠心式オイルフィルター44の上流側に設けられ、上流側バルブと称される。また、バルブ46、48のうちの他方のバルブ48は遠心式オイルフィルター44の下流側に設けられ、下流側バルブと称される。ただし、バルブ46、48は、それぞれ、バイパス通路42に設けられることに限定されず、オイル通路40とバイパス通路42との分岐部に設けられて、例えば三方弁とされてもよい。なお、本発明は、バルブ46、48に代えて、少なくとも1つのバルブが設けられることを許容する。
上記内燃機関は、各種制御装置または制御ユニットとしての機能を実質的に有する電子制御ユニット(ECU)50を有する。ECU50は、何れも図示されない演算処理装置(例えばCPU)、ROMおよびRAMを含む記憶装置、および入出力ポート等を含むものである。ECU50にはエンジン負荷センサ52およびエンジン回転速度センサ54などの各種センサが接続され、それらからの出力に基づいてECU50は内燃機関を制御するように構成されている。そして、さらに、ECU50には、オイルの温度を検出するための温度センサ56、および、オイルの圧力を検出するための圧力センサ58が電気的につながれている。そして、ECU50は、これらセンサの出力に基づいて可変容量式オイルポンプ16のオイル吐出流量およびバルブ46、48の各々の開度を制御する。つまり、ECU50は、可変容量式オイルポンプ16を制御するポンプ制御ユニットとしての機能、および、バルブ46、48の開度を制御するバルブ制御ユニットとしての機能を有して構成されていて、これらは関連付けられている。
ただし、温度センサ56および圧力センサ58は、それぞれ、バイパス通路42に設けられている。しかし、これらの両方または一方は、他の箇所に設けられることができ、例えばオイル通路40に設けられてもよい。あるいは、これらセンサ56、58の両方または一方は、バイパス通路42のバルブ46の下流側に配置されてもよい。なお、温度センサ56および圧力センサ58の両方または一方は省略されてもよい。
ここで、上記遠心式オイルフィルター44に関して、図2に基づいて説明する。本第1実施形態における遠心式オイルフィルター44は、遠心分離式オイルフィルターとも称され得る。図2に示すように、遠心式オイルフィルター44は、オイル流入口62およびオイル流出口64が形成されたハウジング66と、このハウジング66内で回転自在に支持される容器状の遠心ロータ68と、オイル流入口62からハウジング66内に流入されるオイルを遠心ロータ68内に導入するオイル導入部70と、遠心ロータ68の下部に設けられかつ遠心ロータ68内に導入されたオイルを外部に噴射する噴射ノズル72とを備えている。そして、この遠心式オイルフィルター44では、噴射ノズル72から噴射されるオイルの噴射力(噴射反力)に基づいて遠心ロータ68が回転される。なお、遠心ロータ68は回転体である。
このような構成を有する遠心式オイルフィルター44では、以下に述べるように作用する。図2中に実線矢印で示すように、オイル流入口62からハウジング66内に流入されるオイルは、オイル導入部70内を通って連通口74および導入口76を介して遠心ロータ68内に導入される。そのオイルの導入により遠心ロータ68内のオイル圧力が高まり、噴射ノズル72から遠心ロータ68の接線方向に向かってオイルが噴射される。すると、その噴射オイルの噴射力により遠心ロータ68が所定方向(図2中の破線矢印参照)に回転され、その回転により遠心ロータ68内のオイル中に含まれるスラッジ等の不溶解分Sが遠心分離され遠心ロータ68の内面で捕捉される。なお、遠心ロータ68の内面で捕捉された不溶解分Sは、ハウジング66および遠心ロータ68を分解してロータ本体68aおよび蓋体68bの内面を清掃することにより除去されることができる。遠心ロータ68内に、不織布部材などで構成されたフィルタ要素が配置されてもよい。
さて、このような遠心式オイルフィルター44で効果的にオイル中からの不溶解分Sの除去を行うべく、本第1実施形態では、可変容量式オイルポンプ16およびバルブ46、48の開度が制御される。この制御が図3のフローチャートにしたがって説明される。ただし、図3のフローチャートにしたがう制御は、ここでは、エンジン始動後、エンジン停止までの間に、たった1回のみ行われる。しかし、適宜の時期にその制御は行われることができる。なお、初期状態または通常は、バルブ46、48は閉じられている。したがって、通常は、バイパス通路42にオイルは流れず、遠心式オイルフィルター44は機能しない。
まず、ステップS301では、オイルの温度が所定温度以上か否かが判定される。オイルの温度は温度センサ56の出力に基づいて検出される。なお、オイルの温度はエンジン冷却水温などから推定されてもよい。ステップS301の判定は、ここで肯定判定されるまで、繰り返される。なお、ステップS301での判定基準値である所定温度は、遠心式オイルフィルター44を効果的に作動させる温度として、予め実験に基づいて定められている。所定温度は例えば40℃である。オイルの温度が所定温度よりも低いとき、特に該所定温度よりも明らかに低いとき、オイルの粘性が高いため、遠心式オイルフィルター44でのオイルと不溶解分との分離が生じ難く、処理時間が長期化してしまい、燃費悪化に繋がる。そこで、オイルの温度が所定温度以上のとき、次のステップへ進み、オイルフィルター44へオイルを流すようにしている。なお、ここでは、遠心式オイルフィルター44へ供給されるオイルの温度範囲の下限値として、この所定温度は設定されている。したがって、さらにオイルの温度が所定温度範囲の上限値以下か否かが判定され(つまりオイルの温度が所定温度範囲内か否かが判定され)、オイルの温度がその上限値以下であると判定されたとき、次のステップへ進み、遠心式オイルフィルター44へのオイルの供給が行われてもよい。
ステップS301でオイルの温度が所定温度以上であるので肯定判定されると、ステップS303で、それまで閉じられていたバルブ46、48が開かれる。これにより、遠心式オイルフィルター44にオイルが供給されるようになる。ここでは、これらバルブの開弁制御は実質的に同時に行われる。まず上流側バルブ46が開かれて、所定時間後に下流側バルブ48が開かれてもよく、またはこの逆であってもよい。なお、ここでは、ステップS303でバルブが開かれるとき、後述されるように、時間の計測が開始される。
次ぐステップS305では、オイルの圧力が所定圧力以下であるか否かが判定される。オイルの圧力は圧力センサ58の出力に基づいて検出される。なお、オイルの圧力はエンジン冷却水温などから推定されてもよく、または上記したように検出または推定されるオイルの温度に基づいて、またはさらにエンジン回転速度およびエンジン負荷の少なくともいずれか一方にも基づいて推定されてもよい。ステップS305での判定基準値である所定圧力は、遠心式オイルフィルター44を効果的に作動させる圧力として、予め実験に基づいて定められている。
ステップS305でオイルの圧力が所定圧力以下であるので肯定判定されると、次ぐステップS307で、オイルの供給圧を上げるべく、可変容量式オイルポンプ16のオイルの吐出圧を上昇させるように、ポンプ16が制御される。つまり、可変容量式オイルポンプ16の吐出流量(ポンプ容量)を上げるように、オイルポンプ16は変更制御される。ここでは、オイルポンプ16の吐出圧力が、所定エンジン回転速度のとき、通常時の所定圧(第1所定圧)よりも高い第2所定圧になるように、ポンプ16は制御される。なお、ここで高められるオイルポンプ16の吐出圧力は、遠心式オイルフィルター44の遠心ロータ68が予め実験により求められて定められた所定回転速度または所定回転速度範囲内の回転速度で回転するように、制御される。
ただし、このとき、さらにオイルの温度にも基づいて、オイルポンプ16が制御されるとよい。これは、オイルの温度に応じてオイルの粘性が変化し、それにより遠心式オイルフィルター44での遠心分離効果が影響を受けるからである。
ステップS307を経ると、または、ステップS305で否定判定されると、ステップS309に至り、ステップS309で、所定時間が経過したか否かが判定される。判定対象となる時間は、ここでは、ステップS303でバルブ46、48、特に上流側バルブ46が開かれたときからの時間であり、時間計測ユニット(不図示)の機能を担うECU50によって計測される。また、所定時間は、遠心式オイルフィルター44でのスラッジ等の除去効果を実験等により調べることで、より好適な時間に設定されている。ステップS309は、肯定判定するまで繰り返される。
ステップS309で所定時間が経過したので肯定判定されると、ステップS311でバルブ46、48が閉じられる。これにより該ルーチンは終了する。なお、上記ステップS307でオイルの供給圧を上げるべくポンプ16が制御された場合には、ステップS311でバルブが閉じられるとき、その供給圧を元に戻すようにポンプ16がさらに制御され得る。
このように、本第1実施形態では、オイルの温度が所定温度以上のとき、遠心式オイルフィルター44に所定時間、オイルが供給され、また、遠心式オイルフィルター44へのオイルの供給圧つまりオイルポンプ16の吐出流量または吐出圧が調整制御される。よって、遠心式オイルフィルター44で好適にオイルからスラッジ等の不溶解分を除去できる。したがって、オイルの劣化をより好適に抑制することができる。
なお、本発明は、上記複数のステップの順番を変えることを許容する。例えば、ステップS303の前に、ステップS305およびステップS307が位置づけられてもよい。また、ステップS309で判定対象となる時間の始期は、上記した時期に限定されず、例えば、ステップS309に始めて至ったときであってもよい。
また、上記ステップS305での所定圧力は、ここでは、遠心式オイルフィルター44へ供給されるオイルの圧力範囲の下限値として設定されている。したがって、ステップS305の判定で否定判定されたとき、オイルの圧力が所定圧力範囲の上限値以上か否かの判定がさらに行われることができ、これら判定はオイルの圧力が所定圧力範囲内か否かの判定に相当する。そして、オイルの圧力がその上限値以上であると肯定判定されたとき、遠心式オイルフィルター44へのオイルの供給圧がその上限値を下回るように、つまり、その所定圧力範囲内にまで下がるように、オイルポンプ16が制御されてもよい(ステップS307参照)。この場合、この供給圧を下げる制御ステップ後に、上記ステップS309が行われ得る。
なお、上記第1実施形態では、オイルの温度が所定温度以上のとき、必要に応じて一度のみ、オイルの供給圧を上げるためのポンプ16の制御が実行された。しかし、オイルの温度が所定温度以上で、バルブ46、48が開かれた後、所定時間が経過するまでの間、オイルの圧力が所定圧力範囲内にあるように、つまり、遠心式オイルフィルター44の遠心ロータ68が所定回転速度または所定回転速度範囲内の回転速度で回転するように、
ポンプ16の制御が2回以上行われてもよい。例えば、圧力センサ58の出力に基づいて、オイルの圧力が所定圧力範囲内にあるように、ポンプ16がフィードバック制御されることを、本発明は排除しない。
次に、本発明に係る第2実施形態が説明される。なお、第2実施形態が適用された内燃機関の構成は、概ね、第1実施形態が適用された内燃機関の構成と同じであるので、その重複説明は省略される。以下では、第2実施形態における第1実施形態との相違点が説明される。ただし、第2実施形態にも、上記第1実施形態に関して説明された変更および修正が同様に適用され得、また、第2実施形態でも第1実施形態と同様の効果が奏される。
第2実施形態では、所定の時期に、図3に基づいて説明された制御(以下、遠心式オイルフィルターへのオイル供給制御)が行われる。図4のフローチャートに基づいてさらに説明される。
ステップS401で、換算走行距離Lが算出される。ここで、換算走行距離Lとは、内燃機関が作動して車両が走行した距離(所謂走行距離)と、放置時間に基づいて算出された走行対応距離との和である。ただし、放置時間とは、内燃機関が停止していた時間である。なお、走行距離に代えて内燃機関の作動時間に基づく値が用いられてもよく、また、この値が走行距離および走行対応距離に加えて用いられてもよい。
内燃機関が停止しているとき、特にその停止期間が長いとき(例えば何週間)、オイルが空気に触れることで、スラッジ等の不溶解分が生じる可能性がある。そこで、ここでは、放置時間も、エンジンオイルの劣化をより効果的に防ぐべく、考慮される。放置時間は、ECU50の時間計測ユニットによって計測される。ECU50の記憶装置には、実験に基づいて定められたデータおよび演算式が記録され、計測算出された放置時間に基づいて所定の演算を行うことにより、走行対応距離が算出される。より好ましくは、走行対応距離の算出には、気温、油温など周囲および走行環境が用いられることができる。なお、換算走行距離Lが走行距離であることを本発明は排除しない。また、本発明は、換算走行距離に代えて、同様に求められるまたは算出される時間が用いられることを排除しない。なお、走行距離は既知の方法または手段により求められることができる。
ステップS401で換算走行距離が算出されると、次ぐステップS403でこの換算走行距離が規定距離以上か否かが判定される。規定距離は、予め実験に基づいて定められていて、図5に基づいて説明される。図5は、換算走行距離とオイル中の不溶解分の量との関係を概念的に表したグラフである。ただし、図5では、所定時期に所定時間、遠心式オイルフィルター44へのオイル供給制御が行われた場合のグラフである。
概して、換算走行距離の増加にしたがい、オイル中の不溶解分量は増加する。そして、このような不溶解分は、換算走行距離がある程度になると顕著に増加する傾向を有する。そこで、そのような時期つまり距離をここでは規定距離とし、換算走行距離が規定距離に達したら、遠心式オイルフィルター44へのオイル供給制御を実行するようにしている。
初期状態では、規定距離は、第1規定距離A(図5参照)に設定されている。図5から理解されるように、第1規定距離Aは、オイル交換後、不溶解分量が最初に顕著に増加し始める時期に対応する距離である。
ステップS403で、換算走行距離がそのとき設定されている規定距離以上であるので肯定判定されると、ステップS405に進み、図3に基づいて上で説明された遠心式オイルフィルター44へのオイル供給制御が実行される。
そして、ステップS407で、ステップS403での規定距離が更新される。例えば、それまでの規定距離が第1規定距離Aであった場合には、規定距離は第2規定距離Bに更新される。ただし、第2規定距離Bは、ここでは、換算走行距離が第1規定距離A以上になって遠心式オイルフィルター44へのオイル供給制御が実行された後、オイル中の不溶解分量が次に顕著に増加し始める時期に対応する距離として設定されている。なお、第3規定距離、第4規定距離、・・・は、同様に定められていて、規定距離の更新に同様に用いられる。
このように、図4のルーチンが繰り返されて、所定の時期に所定時間、遠心式オイルフィルターへのオイル供給制御(図3参照)が実行される。これにより遠心式オイルフィルター44でのスラッジ等の不溶解分の分離除去が好適に行われ、オイルの劣化を好適に抑制することができる。
以上、本発明を実施形態に基づいて説明した。しかし、本発明はそれら実施形態に限定されず、種々の変更を許容する。
上記第1および第2実施形態を含む本発明は、動力源として内燃機関および電動機を備える車両(ハイブリッド電気自動車)における内燃機関の潤滑装置にも同様に適用できる。例えば、ハイブリッド電気自動車では、内燃機関のみを動力源として有する車両に比べて、内燃機関の作動時間が短く、特に第2実施形態で換算走行距離が規定距離に達したときに内燃機関が停止状態にある場合があり得る。そのような場合、内燃機関を強制的に作動させて、遠心式オイルフィルター44へのオイル供給制御が行われてもよい。
ここで、実施例(実験例)を説明する。以下の実施例の説明から理解できるように、遠心式オイルフィルターの遠心ロータの回転を制御するようにオイルポンプを制御することで、より効果的にオイルから不溶解分を分離除去できる。そして、その制御には、オイルの温度および圧力の少なくともいずれか一方、好ましくは両方が考慮されるとよい。なお、上記実施形態の各種値および制御値は、以下に示すような実験結果に基づいて定められ得る。
(実施例1)
まず、実験装置が図6の概略図に基づいて説明される。実験装置は、オイルバス80と、遠心式オイルフィルター82と、供給ポンプ84と、吸引ポンプ86とを備えて構成した。遠心式オイルフィルター82としては、Auto win社製のSCC050を用いた。また、実験では、JX日鉱日石エネルギー株式会社製のSN0W−20オイルを用い、その3Lのオイルをこの実験装置で循環させた。なお、同実験装置でのオイルの温度は約40℃であった。
そして、遠心式オイルフィルター82の遠心ロータの回転を概ね一定とするように(つまりその遠心加速度を所定の値に一定とするように)、供給ポンプ84の吐出圧を調整し、各実験条件での運転時間に対するオイル中のスラッジプリカーサ量の変化を測定した。この実験では、遠心ロータにおける遠心加速度を900G、2000G、3600G、3000Gとした場合のそれぞれに関して、運転時間に対するオイル中のスラッジプリカーサ量の変化を測定した。この実験結果が図7に表されている。比較のために、遠心式オイルフィルターの代わりに、一般的なオイルフィルターを設けた場合の、運転時間に対するオイル中のスラッジプリカーサ量の変化が図7中に「ベース」として表されている。なお、スラッジプリカーサ量は、吸収光度法を用いて測定した。
遠心式オイルフィルターを用いた場合、これを用いなかった場合に比べて、スラッジプリカーサ量は少なかった。そして、基本的に、遠心加速度の増加つまり遠心式オイルフィルターへのオイルの供給圧の増加(供給ポンプの吐出圧の増加)につれて、スラッジプリカーサ量は少なくなった。しかし、この実験では、遠心加速度が3000Gのとき、最もスラッジプリカーサ量が少なかった。
したがって、遠心式オイルフィルターの遠心ロータの回転速度を増すことでスラッジプリカーサなどの不溶解分のオイルからの除去効率を上げることができ、上記実施形態のようにオイルポンプからのオイル吐出圧または吐出流量を高めることは有効である。また、その高められるオイル吐出圧または吐出流量は、好適な値または範囲に制御されることが有効である。
(実施例2)
実施例1と同じ実験装置で、常温で、遠心式オイルフィルターの回転を所定の回転とするように、オイルポンプの供給圧を調整し、各実験条件でのオイル透過率の変化を測定した。この実験では、遠心ロータにおける遠心加速度を2400G、2750G、3200Gとした場合のそれぞれに関して、オイル透過率の変化を測定した。なお、オイルは上記実施例1と同種のオイルを用い、3Lのオイルに2重量%の水を混ぜたオイルを実験に供した。
ただし、オイル透過率の測定には、紫外可視分光光度計を用い、66nmの波長(Abs660)と900nmの波長(Abs900)での吸光度から下記(1)式に基づいてオイル透過率を測定した。ただし、(1)式中、「T」は透過率である。なお、初期オイルでの透過率を100%とした。この結果が図8に示される。
Abs900−Abs66=−log10(T) (1)
図8に示されるように、遠心加速度の増加に伴い、より短い時間で高いオイル透過率が得られた。この結果より、遠心式オイルフィルターを用いることで、オイル中の水分も好適に分離除去できることが分かった。
(実施例3)
実施例2と同じように、実施例1と同じ実験装置で、各温度で、遠心式オイルフィルターの回転を所定の回転とするように、オイルポンプの供給圧を調整し、各実験条件でのオイル透過率の変化を測定した。この実験では、20℃、40℃、60℃、80℃の各オイル温度で、遠心ロータにおける遠心加速度を2400G、2750G、3200Gとした場合のそれぞれに関して、遠心分離完了時間を測定した。なお、オイルは上記実施例1と同種のオイルを用い、3Lのオイルに2重量%の水を混ぜたオイルを実験に供した。ただし、本実験では、オイル透過率が90%になるまでの時間を、遠心分離完了時間とした。なお、オイル透過率は上記方法で求めた。
図9に示すように、オイルの温度の上昇にしたがい、遠心分離完了時間が短くなった。特に、オイルの温度が40℃以上になることで、その温度がそれ未満であるときに比べて、顕著に遠心分離完了時間が短くなった。そして、同じ温度の場合、遠心加速度が高くなるにしたがい、遠心分離完了時間は短くなった。
よって、遠心オイルフィルターに常時オイルを供給することとしてもよいが、オイルの処理効率を考慮すると、上記実施形態で示したように、遠心オイルフィルターに供給されるオイルの温度が所定温度以上とされることは非常に有効である。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。したがって本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
10 潤滑装置
16 オイルポンプ
18 オイルフィルター
20 オイルパン
44 遠心式オイルフィルター
68 遠心ロータ

Claims (3)

  1. 噴射ノズルから噴射されるオイルの噴射力により回転する遠心ロータを有する遠心式オイルフィルターと、
    該遠心式オイルフィルターにオイルを供給するように設けられ、オイルの吐出圧および吐出流量のうち少なくともいずれか一方を変更可能に構成されたオイルポンプと、
    前記遠心式オイルフィルターの前記遠心ロータの回転を制御するように、該オイルポンプを制御するポンプ制御ユニットと
    を備えた、内燃機関の潤滑装置。
  2. 前記内燃機関のオイル通路から分岐して合流するバイパスオイル通路であって、前記遠心式オイルフィルターが設けられたバイパスオイル通路と、
    該バイパスオイル通路へのオイルの流れを制御するように設けられた少なくとも1つのバルブと、
    該バイパスオイル通路を通しての前記遠心式オイルフィルターへのオイルの供給を制御するように、該少なくとも1つのバルブの開度を制御するバルブ制御ユニットと
    をさらに備えた、請求項1に記載の内燃機関の潤滑装置。
  3. 前記バルブ制御ユニットは、オイルの温度および圧力の少なくともいずれか一方に基づいて、前記少なくとも1つのバルブの開度を制御する、請求項2に記載の内燃機関の潤滑装置。
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