JP2014015352A - 基板加工方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板に照射されるレーザビームの加工時における形状を規定値内に収め、加工幅及び加工深さを安定化させる。
【解決手段】基板加工装置は、短パルスレーザ光を脆性基板表面上の加工予定ラインに従って所定速度で移動させながら照射し、レーザ光移動後の加熱位置に冷却媒体を吹き付ける。このレーザ加工中のパルス間隔、繰り返し周波数を制御することによって加工時のレーザ照射による発熱制御すると共に、拡散する熱による脆性基板の変形を防止する。ヘッド位置調整手段によって移動時における加工ヘッドの基板に対する間隔をほぼ同一高さに制御する。
【選択図】図6
【解決手段】基板加工装置は、短パルスレーザ光を脆性基板表面上の加工予定ラインに従って所定速度で移動させながら照射し、レーザ光移動後の加熱位置に冷却媒体を吹き付ける。このレーザ加工中のパルス間隔、繰り返し周波数を制御することによって加工時のレーザ照射による発熱制御すると共に、拡散する熱による脆性基板の変形を防止する。ヘッド位置調整手段によって移動時における加工ヘッドの基板に対する間隔をほぼ同一高さに制御する。
【選択図】図6
Description
本発明は、FPD(Flat Panel Display)用パネルのガラス基板や半導体基板などの基板をレーザ光で加工する基板加工装置に係り、特に厚み約100[μm]以下の基板を高精度に加工することのできる基板加工装置及び装置に関する。
表示用パネルとして用いられる液晶ディスプレイ装置およびタッチパネル用カバーガラスなどのガラス基板やカラーフィルタ基板、プラズマディスプレイパネル用基板、有機EL(ELECTRO LUMINESCENCE)表示パネル等の製造は、ベースとなるガラス基板を規定サイズに切断することによって行われる。ガラス基板の切断面の微細クラックやカレットにより基板に傷や異物等の欠陥が存在すると、次工程でクロム膜等の形成やパターンの転写が良好に行われず、不良の原因となる。このため、欠陥のないガラス切断方法が要求されている。このような脆性基板であるガラス基板や半導体基板の切断又は割断加工、スクライブ加工をレーザ光の照射によって行うものとして、特許文献1に記載のものが知られている。
ガラス基板の切断時のカレットや残渣の再付着や熱応力による基板変形が存在すると、次工程でクロム膜等の形成やパターンの転写が良好に行われず、不良の原因となる。このため、このような欠陥の発生を極力抑え、脆性基板であるガラス基板の切断/割断(本明細書中ではハーフカット及びフルカットの両方を意味する)を高精度に行なうことのできる加工方法が要求されている。特許文献1に記載の基板加工装置を用いて、厚み100[μm]以下の薄いガラス基板を切断/割断(ハーフカット及びフルカット)する場合、単に炭酸ガスなどのレーザ照射による加熱では、熱吸収性が高いため周辺への熱拡散によって、ガラス基板の熱変形と脆性化が周辺部へも進むため、良好な加工状態を得ることが困難であった。
また、従来のレーザ光を用いた基板加工装置は、加工テーブル上にガラス基板を吸着などにより固定し、ステージをX方向及びY方向に移動させて所定の位置を切断している。しかしながら、加工時にガラス基板がテーブル上に固定してあっても、厚み100[μm]以下のガラス基板は、搬送時に微小な変形を受け、それが加工時にまで残っている場合がある。その結果、ガラス基板の表面が完全なフラットでない状態で加工を行なうことがある。さらに、加工に使用されるレーザ光のビーム形状は、長方形や細いスリット状(長楕円形状を含む)であるため、ガラス基板のどの位置にフォーカスを合わせるかによってガラス基板の加工面の温度が著しく変動し、切断面が安定しないこともある。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、基板に照射されるレーザビームの加工時における形状を規定値内に収め、加工幅及び加工深さを安定化させることのできる基板加工方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明に係る基板加工方法の第1の特徴は、基板に対してレーザ光を相対的に移動させながら照射すると共に前記レーザ光の移動後の加工付近に冷却媒体を吹き付け、前記基板の加工表面部を冷却し、割断に有効な応力を発生させることによって基板表面に所定の加工を施す基板加工方法であって、前記基板の加工予定ラインに従って前記レーザ光を所定速度で移動させながら前記基板に照射し、前記レーザ光の照射によって発生する熱を前記レーザ光の波長とパルス間隔によって制御すると共に前記レーザ光を照射する加工ヘッドの高さを前記基板の表面に倣いながら移動させることにある。
これは、レーザ光に対する基板の相対的な移動速度と、レーザ光の波長と、パルス間隔とを基板の材料に合わせ、加工ヘッドで基板表面付近に倣いながら集光させることによって生じる非線形効果により、吸収特性のあまりよくない基板材料についても熱影響の少ない加工を行なえるようにしたものである。加工時のレーザ照射による発熱は、短パルス化したレーザ光源を用いることによって低減することができるので、加工時の発熱によるガラス基板の変形を有効に防止することができる。これは、短パルス化したレーザ光を集光することにより非線形光学効果で、レーザ波長に対する吸収特性の低い材料においても、加熱され、さらに加熱が進むと吸収性が増加し、加工温度まで達するという現象によるものである。尖頭値の高い短いパルスを使用することで、温度上昇を一定にし、加工予定ラインに沿って加工し、加工先端に発生する熱量を抑え、熱拡散する熱を加工予定ライン付近で吸収する冷却気流とその流れ方向により、レーザの熱拡散熱を防止・吸収し、拡散する熱による基板変形を防止することができる。また、加工ヘッドの高さを基板の表面に倣いながら移動させることによって、切断加工状態を成長させるための加熱温度から周囲の加工しない冷却温度までの距離すなわち加工深さ及び加工幅を安定させることができる。
これは、レーザ光に対する基板の相対的な移動速度と、レーザ光の波長と、パルス間隔とを基板の材料に合わせ、加工ヘッドで基板表面付近に倣いながら集光させることによって生じる非線形効果により、吸収特性のあまりよくない基板材料についても熱影響の少ない加工を行なえるようにしたものである。加工時のレーザ照射による発熱は、短パルス化したレーザ光源を用いることによって低減することができるので、加工時の発熱によるガラス基板の変形を有効に防止することができる。これは、短パルス化したレーザ光を集光することにより非線形光学効果で、レーザ波長に対する吸収特性の低い材料においても、加熱され、さらに加熱が進むと吸収性が増加し、加工温度まで達するという現象によるものである。尖頭値の高い短いパルスを使用することで、温度上昇を一定にし、加工予定ラインに沿って加工し、加工先端に発生する熱量を抑え、熱拡散する熱を加工予定ライン付近で吸収する冷却気流とその流れ方向により、レーザの熱拡散熱を防止・吸収し、拡散する熱による基板変形を防止することができる。また、加工ヘッドの高さを基板の表面に倣いながら移動させることによって、切断加工状態を成長させるための加熱温度から周囲の加工しない冷却温度までの距離すなわち加工深さ及び加工幅を安定させることができる。
本発明に係る基板加工方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の基板加工方法において、前記基板表面の反射光に基づいて前記基板表面と前記加工ヘッドとの間の相対距離を一定となるように保持制御することにある。これは、レーザ式等の距離センサ(三角測量式)で、基板表面の反射光に基づいて加工ヘッドと基板表面との距離を測定し、この測定された距離に従ってその距離を一定となるように制御し、焦点位置をガラス面から所定の深さに移動させ、ガラス基板の表面形状に倣うように追従させている。ビームの形状をもとに全体の高さを調整する焦点粗調整機構と、加工部分(温度上昇中心までの距離)を調整する光学系を微動させる焦点微調整機構を設けることによって、加工ヘッドの高さを基板の表面に倣いながら移動させることができる。
本発明に係る基板加工方法の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の基板加工方法において、前記レーザ光の経路上に設けられた平凸レンズ手段及びビームエクスパンダ手段によって、前記レーザ光を規定のサイズの円形ビームに変形すると共に前記加工予定ラインに前記レーザ光の光軸が合致するように前記基板表面に照射することにある。これは、レーザ光の光軸すなわちガウス分布の中心を加工予定ラインに合致させながら加工することによって、加工先端部の溶融温度及びスクライブラインの幅と加工深さを安定化させると共に高温部分による温度拡散を最小化し安定化させるようにしたものである。
本発明に係る基板加工方法の第4の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載の基板加工方法において、液体である冷却媒体とキャリアガスを混合したものを前記基板表面に適量吹き付けることによって、前記基板の加工表面部を冷却し、割断に有効な応力を発生させることにある。これは、冷却手段が圧縮空気などのキャリアガスと冷却媒体との混合したものをノズルなどから吹き付けることによって、レーザ照射と冷却による基板変形を低減した割断加工をスムースに行わせるようにしたものである。
本発明に係る基板加工装置の第1の特徴は、基板表面にレーザ光を照射することによって前記基板に所定の加工を施す基板加工装置において、前記基板の加工予定ラインに従って所定速度で移動させながら前記レーザ光を前記基板に照射し、前記レーザ光の照射によって発生する熱を前記レーザ光の波長とパルス間隔によって制御すると共に前記レーザ光を照射する加工ヘッドの高さを前記基板の表面に倣いながら移動させるレーザ照射手段と、前記レーザ光の移動後の加工付近に冷却媒体を吹き付け、前記基板の加工表面部を冷却し、割断に有効な応力を発生させる冷却手段とを備えたことにある。これは、前記基板加工方法の第1の特徴に記載のものを実現した基板加工装置の発明である。
本発明に係る基板加工装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の基板加工装置において、前記レーザ照射手段は、前記基板表面の反射光に基づいて前記基板表面と前記加工ヘッドとの間の相対距離を一定となるように保持制御するヘッド位置調整手段を備えたことにある。これは、前記基板加工方法の第2の特徴に記載のものを実現した基板加工装置の発明である。
本発明に係る基板加工装置の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の基板加工装置において、前記レーザ照射手段は、前記レーザ光の経路上に設けられた平凸レンズ手段及びビームエクスパンダ手段によって、前記レーザ光を規定のサイズの円形ビームに変形すると共に前記加工予定ラインに前記レーザ光の光軸が合致するように前記基板表面に照射することにある。これは、前記基板加工方法の第3の特徴に記載のものを実現した基板加工装置の発明である。
本発明に係る基板加工装置の第4の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載の基板加工装置において、前記冷却手段は、液体である冷却媒体とキャリアガスを混合したものを前記基板表面に適量吹き付けることによって、前記基板の加工表面部を冷却し、割断に有効な応力を発生させることにある。これは、前記基板加工方法の第4の特徴に記載のものを実現した基板加工装置の発明である。
本発明に係るパネル製造方法の特徴は、前記第1、第2と、第3若しくは第4の特徴に記載の基板加工方法、又は前記第1、第2と、第3若しくは第4の特徴に記載の基板加工装置を用いて、表示用パネルを製造することにある。これは、前記基板加工方法又は基板加工装置のいずれか1を用いて、表示用パネルを製造するようにしたものである。
本発明によれば、基板に照射されるレーザビームの加工時における形状を規定値内に収め、加工幅及び加工深さを安定化させることができるという効果がある。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る基板加工装置の概略構成を示す図である。この基板加工装置は、液晶ディスプレイ製造装置のレーザ光加工処理(ガラス基板割断加工)を行なうものである。
レーザ加工ステーション101は、搬入されたガラス基板1を切断又は割断(ハーフカット又はフルカット)加工、スクライブ加工を行うものである。レーザ加工ステーション101は、グリッパ部106、グリッパ支持駆動部110、加工エリア部112を備えて構成されている。グリッパ部106は、アライメント処理されたガラス基板1の搬送方向に沿った辺の一方側(図1におけるガラス基板1の下辺側)をエア吸着保持する。グリッパ支持駆動部110は、グリッパ部106に保持されたガラス基板1を加工エリア部112のレーザ光に同期させて、レーザ加工時にガラス基板1を移動させる。ガラス基板1は、マザーガラスサイズに切断された状態で上流工程から搬送され、ガラス端面による位置決めの後、指定サイズに切断又は割断される。なお、グリッパ支持駆動部110は、ボールネジやリニアモータ等が用いられるが、これらの図示は省略してある。図1では、グリッパ部106及びグリッパ支持駆動部110をガラス基板1の一辺側だけに存在する場合を示しているが、ガラス基板1の両辺側に設けて、ガラス基板1の両辺を吸着するようにしてもよい。
ガラス基板1の移動に同期させて加工エリア部112は、グリッパ部106に保持されエア浮上搬送されるガラス基板1にレーザ光を照射して所定の切断又は割断の加工処理を行う。図では、グリッパ部106に保持されたガラス基板1を、点線で示されたガラス基板1の位置までエア浮上した状態で移動させながら、所定の加工を行う状態が示してある。
ここでの処理は次のように行われる。前段の処理ステージとなる装置から搬送されて来たガラス基板1は、レーザ加工ステーション101で、図示していないが、機械的あるいは画像処理によってアライメント処理される。所定の一辺を基準としてアライメント処理されたガラス基板1は、グリッパ部106に保持され、ガラス基板1として加工エリア部112においてエア浮上ステージ9〜13によってエア浮上移動されて、所定の切断又は割断の加工処理が施される。グリッパ部106に保持されているガラス基板1に対するレーザ加工処理が終了すると、グリッパ部106に保持されているガラス基板1は、次段の処理装置へ搬送される。
従来は、ガラス基板1の裏面の全面を吸着したステージで支持した状態で、加工を行っている。そのため、基板の厚さが薄くなるほど、フォーカス面と支持ステージ表面とが近くなり、加工ビームによってレーザ加工時にステージまでをも加工してしまう。その結果、ステージ表面に盛り上がりやライン状のダメージを与えてしまい、経時的に吸着不良などを発生させる恐れがあった。この実施の形態では、これを防止するため、加工エリア部に設置された分割されたエア浮上ステージ9〜13を用い、ガラス基板1の裏面側に間隙すなわちレーザ加工エリアの下側に空間を設けるようにしている。また、エア浮上ステージ9〜13の噴出穴からのエアの吹き出しと、吸引穴へのエアの吸い込みにより浮上状態を安定させ、エアの流れを制御し、浮上時におけるガラス基板1の平坦化及び姿勢の安定化を図っている。すなわち、エア浮上ステージ9〜13上面に設けられたエア噴出穴とエア吸引穴の適度な分布によって、ガラス基板1の浮上と拘束を行なっている。また、エア浮上ステージ9〜13間に形成される間隙部分においても空気の流れが発生するため、ガラス基板1の姿勢を安定に保つことができる。さらに、加工エリアにおいて、中央部の間隙は加工時の余分なレーザ光をトラップすると共に加工残渣を吸引除去可能としている。
エア浮上ステージ9〜13は、エアの吹き出しと吸い込みによりガラス基板1の浮上状態を安定させることができる。また、エア浮上ステージ9〜13間における加工エリア部112は間隙部を形成しているため、エアの流れを制御し、ガラス基板1の姿勢を安定させることができる。特に薄く透明なガラス基板1が、ステージ支持面に搭載されている場合、吸着ステージからの反射信号により、ガラス基板1の上面の信号判定に影響を与え、安定なフォーカスがかからない場合がある。エア浮上ステージ9〜13による支持方法の場合、左右あるいはどちらか片側のみを吸着し、移動させ、裏面は気流に支えられて空間となるため、フォーカス信号に影響する外乱がなくなるという効果がある。
加工エリア部112の上部には、レーザヘッド20、レーザシャッター21、アッテネータ22、トラッキングミラー23,24及び局所冷却ノズル付光学系30が設けられている。これらの各構成要素は、図示していないベース部材上に設けられており、局所冷却ノズル付光学系30は図示していない移動部材によって、Z方向(上下方向)へ移動制御されるようになっている。レーザヘッド20で発生したレーザ光は、レーザシャッター21、アッテネータ22及びトラッキングミラー23,24によって局所冷却ノズル付光学系30に導入される。アッテネータ22は、レーザ光パワーを可変減衰するパワー調整光学系である。レーザシャッター21は、レーザ光がガラス基板1から外れた場合にレーザ光の出射を遮蔽する。トラッキングミラー23,24は、レーザヘッド20から出射したレーザ光を所定の位置に誘導する。
図2は、レーザ加工処理を行う図1の加工エリア部を斜め上方から見た鳥瞰図である。局所冷却ノズル付光学系30は、導入されたレーザ光をガラス基板1上の加工予定ライン上に導くものである。基板板厚測定部50は、ガラス基板1の厚さを測定することにより切断時の初期高さを調整するものである。レーザヘッド20からのレーザ光は、ガラス基板1の端部を始点として加工予定ラインに沿ってスキャンされ、フルカット又はハーフカットの切断又は割断加工を実行する。局所冷却ノズル付光学系30は、図2に示すように、エア浮上ステージ9〜13の対向部の間隙上側を覆うように設けられている。局所冷却ノズル付光学系30は、レーザ光のX方向の移動に従って移動する移動光学系を備えている。
図3は、図1及び図2の局所冷却ノズル付光学系の概略構成を示す図であり、この局所冷却ノズル付光学系を図1及び図2のX方向から見た図である。図4は、図3の局所冷却ノズル付光学系をY方向から見た側面図である。図5は、レーザ加工時に移動する局所冷却ノズル付光学系の移動状態を示す図であり、同じく図3の局所冷却ノズル付光学系をY方向から見た側面図である。図3、図4及び図5において、局所冷却ノズル付光学系30の筐体部は点線で示してある。ガラス基板1は上流側にある基板板厚測定部50で厚さ変化を読み取り、読み取った値で概略のAF変動値を光学系高さにフィードバックする。左右のいずれか一辺に設けられた基板吸着用のグリッパ部106により基板は吸着されるが、上面の吸着パターンに溝を加えることにより、吸着面がレーザ加工されないようにすることができる。ガラス基板1に対しては、エア浮上ステージ9〜13で浮上した状態で加工をおこなう。基板吸着用のグリッパ部106は、ガラス基板1の左右両辺に設けてもよい。
局所冷却ノズル付光学系30は、ビームエクスパンダ31、加工ヘッド32、平凸レンズ(集光レンズ)33及び局所冷却ノズル36から構成される。ビームエクスパンダ31、加工ヘッド32及び平凸レンズ(集光レンズ)33は、トラッキングミラー24の移動に従って局所冷却ノズル付光学系30の上部をX方向に移動する。ビームエクスパンダ31は、レーザヘッド20から出射され、トラッキングミラー24から落射して来るレーザ光をその移動方向に沿った長円状のビームスポット形状に拡大し、加工ヘッド32内の平凸レンズ(集光レンズ)33に導入する。加工ヘッド32内の平凸レンズ(集光レンズ)33は、拡大加工されたレーザ光をガラス基板1に結像する。
加工ヘッド32には、レーザ式距離センサ37が取り付けられており、平凸レンズ(集光レンズ)33の初期フォーカスをガラス基板1の表面にフォーカスが合うように加工ヘッド32を上下移動制御している。レーザ式距離センサ37は、検出光照射用レーザとオートフォーカス用フォトダイオードとから構成され、検出光照射用レーザから照射された光の中でガラス基板1の表面から反射した反射光を受光し、その反射光量に応じて加工ヘッド32の下端部とガラス基板1の表面との間の距離すなわち加工ヘッド32の高さを測定する。すなわち、基板加工装置は、レーザ切断用の加工ヘッド32の横に設置したレーザ式距離センサ37を用いてガラス基板1と加工ヘッド32との間の距離、すなわち高さの変化を測定し、この高さのデータによって、ガラス基板1とレーザ切断用の加工ヘッド32との距離を最適な高さに調整し、ガラス基板1などの脆性基板やプラスチック樹脂などをハーフカット又はフルカットの基板切断加工を行なうように構成されている。
加工エリア部112では、加工ヘッド32の横に設置されたレーザ式距離センサ37でガラス基板1の高さ変化を測定し、測定された高さデータに基づいて、ガラス基板1と加工ヘッド32との距離を最適な高さに調整しつつ、ガラス基板1の切断加工を行っている。すなわち、この実施の形態では、加工開始部のガラス基板1の高さ変動を加工ヘッド32の横に設置したレーザ式距離センサ37で測定し、この測定結果をもとに加工ビームによる加工幅とフォーカス位置を最適化している。
この実施の形態に係る基板加工装置は、ガラス基板1の表面が完全なフラットでない場合、すなわちガラス基板1の上面にうねりなどの変動が存在する場合、局所冷却ノズル付光学系30の焦点深度に応じて加工ヘッド32の高さ範囲を適宜決定し、ガラス基板1の表面と検出光学系との距離を最適となるように設定している。レーザ加工時は加工ビームのモニタ結果に従って、フォーカス位置を調整すると共に冷却ノズルまでの位置調整を行うこともできる。加工開始時と同様に、ガラス基板1の上面変形に倣いながら、その変形データを利用し、加工可能高さに移動させてもよい。予めガラス基板1の上面変形を倣うことによって、加工ビーム移動に伴って高さ距離の測定を行なわなくてもよくなる。しかしながら、加工によってガラス基板1の表面のフラット性が変化した場合などには、常に加工ビーム移動に伴って高さ距離の測定を行なうことが好ましい。また、レーザスポット径を測定することによって、高さ距離の測定を行なうこともでき、加工時の冷却位置までの時間変動の低減と加工ヘッドの接触防止を図ることも可能となる。
なお、この場合のフォーカスの調整は加工ヘッド32全体で上下制御してもよいし、平凸レンズ(集光レンズ)33のみを上下制御してもよい。平凸レンズ(集光レンズ)33を独立に動作可能にすることによって、ガラス基板1の部分的な変形に対しても良好に追従させることが可能となる。なお、ガラス基板1の部分的な変形が少ない場合は、加工ヘッド32全体を動作させる構造のみでもよい。局所冷却ノズル36は、加工ヘッド32の側面に取り付けられ、レーザ光による加工箇所に空気や窒素などの冷却ガス(冷媒)を拡散して吹き付ける。局所冷却ノズル36は、液体である冷却媒体とキャリアガスを混合し、適量を吹き付けることによって、ガラス基板1の加工表面部を冷却し、切断又は割断に有効な応力を発生させることができるようになっている。なお、低温にしたガスを噴出し、適量に吹き付けるようにしてもよい。このようなガスの吹き付けによって、加工残渣を効率的に除去できるようになっている。
レーザヘッド20から出射されるパルスレーザは、波長による物質の吸収特性が悪い状態にあっても、集光することによる非線形効果による加工部ができ、この加工部ができると屈折率や吸収特性が変化し、レーザ光によるハーフカットライン加工が可能となる。この加工レーザのパルス間隔と繰り返し周波数を最適化することにより、加工時の発熱をハーフカットライン付近のみとするものである。これにより、レーザ光による加工時の発熱による拡散熱を制御し、拡散する熱によるガラス基板1の変形を防止している。100[μm]以下の薄いガラス基板1をレーザ光加工によってフルカットする場合、単にレーザ光の照射による加熱と冷却のみでは、周辺への熱拡散により、ガラス基板1の熱変形と脆性化がその周辺部へも進むため、良好な加工が得られなかった。そこで、この実施の形態では、吸収特性の悪い波長においても、短パルスレーザ、のパルス間隔と繰り返し周波数を合わせ、基板加工時の発熱を制御し、拡散する熱をハーフカットライン付近のみに制御することによって、加工時の熱拡散によるガラス基板1の変形を防止している。
図6は、局所冷却ノズル付光学系の変形例を示す図である。この変形例に係る光学系は、図3、図4及び図5の光学系に新たにレーザダイオード40、コリメータレンズ41、投影マスクパターン42、投影用4分の1波長板(λ/4波長板)43、加工レーザ用4分の1波長板44、偏光ビームスプリッタ45,46、迷光板47,48、CCDカメラ49から構成される位置調整手段を備えたものである。図6において、図3と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。
レーザダイオード40からの出射光であるレーザビームは、コリメータレンズ41、投影マスクパターン42、投影用4分の1波長板43、加工レーザ用4分の1波長板44、偏光ビームスプリッタ45,46、加工ヘッド32の平凸レンズ(集光レンズ)33を介してガラス基板1の表面に照射される。ガラス基板1の表面で反射したレーザビームは、再び加工ヘッド32内の平凸レンズ(集光レンズ)33を通り、また平行光に戻されて、偏光ビームスプリッタ46、偏光ビームスプリッタ45を通過してCCDカメラ49に入射する。反射光は、加工レーザ用4分の1波長板44を2回通過するので、位相がλ/2ずれるため、加工光源側(トラッキングミラー24の方向)に戻らないようになる。透明ガラスにおいても波長によって4〜10%は反射するため、パワー密度の大きいレーザ光であれば、十分な強度で反射光を利用することができる。
CCDカメラ49の前面には、ガラス基板1の投影像を結像するために結像レンズが配置されている。なお、投影用4分の1波長板(λ/4波長板)43と、加工レーザ用4分の1波長板44と、偏光ビームスプリッタ45,46との組み合わせは、レーザビームの強度に応じてハーフミラーなどで構成することも可能である。ガラス基板1の表面で反射した反射光は、投影用4分の1波長板43と加工レーザ用4分の1波長板44を2回通過するため、前述のように、位相がλ/2ずれ、加工光源側には戻らない。迷光板47,48は、偏光ビームスプリッタ45,46を透過した光が他に影響を与えないようにするものである。
図6の位置調整手段は、加工ヘッド32をモータ等の駆動系によって上下方向(Z方向)に駆動できる構造をしている。加工ヘッド32が駆動系で上下移動することによって、ガラス基板1の表面でレーザビームの直径が変化するので、この直径が最小となった位置を結像位置として設定する。従来のレーザ光によるガラス基板1の切断は、テーブル上にガラス基板1を吸着などにより固定し、ステージをX,Y方向に移動させ所定の位置を切断していた。ガラス基板1は固定しても、搬送による微小な変形が残っている場合があるため、レーザ式距離センサ37(三角測量式)でガラス基板1の表面までの距離を測定している。ガラス基板1の微小に変形した形状に従って、焦点位置をガラス基板1の表面から所定の深さに移動させ、表面形状に正確に追従させている。
一方、レーザ加工を行うビーム形状は円形であるのため、投影されたビーム形状のどこにフォーカスを合わせるか、またガラス表面のうねりもあるので加熱部のガラス加工面温度が異なり、安定しないことがある。このため、図6の位置調整手段を用いて、照射され、反射したビームの形状をCCDカメラ49で計測し、全体の高さを調整する焦点粗調整機構と、加工部分を調整する光学系を微動させる焦点微調整機構により、加工深さと位置を安定化させると共に高温部分の深さ安定化させるようにしたものである。すなわち、レーザ光源のパワーとレーザ光のスポット面積(直径)の関係とガラス基板の板厚、ガラス材料により加工最適条件を先に求めておき、レーザ光軸上に反射像をモニタするCCDカメラ49を設け、ガラス基板1の上に投影したビームサイズから最適距離を計算し、粗動させることにより加工可能な高さに合わせ(フォーカス位置を合わせ)、最高表面温度位置と冷却位置とまでの距離を安定させたガラス基板1の切断を実現している。加工中のビーム形状をモニタし、ビーム全体を規定サイズにするよう光学系全体の高さを調整し、全体画面サイズに対するビーム径の割合から、特定の高さの平均位置を冷却部位に対し、距離を安定させるよう光学部品の高さを調整することで良好な加工を行なうことができる。
レーザ加工に使用する光源は、ガラスに対する熱吸収率の低いYAGレーザやNd:YVO4 レーザ(第2高調波、第3高調波)やチタンサファイヤレーザが利用される。すなわち、加工ヘッド32を上下させる移動機構の原点をガラス基板1から離れる方向(上側に)設置し、上から下方向に移動することにより、CCDカメラ49からの画像を常時監視し、ビームの特定比率の場所にウィンドウを設け、その幅を計測することにより特定の場所のフォーカス位置に制御することができる。また、フォーカスを見失った場合、必ず原点方向に移動させることにより、ガラス基板1との接触を防止することができる。この機能を利用して、自動的にガラス基板の特定の深さを一定にしたフォーカス位置に移動させることもできる。
図6の変形例では、切断光学ヘッドとなる加工ヘッド32全体をモータ等の駆動手段を用いて上下方向に駆動できる構造であり、上下方向の移動に従って、ガラス基板1の表面におけるビームサイズが変化し、ビーム径が最小となった位置が合焦点位置である。ガラス基板1は、エア浮上ステージ9〜13のエア浮上によってその裏面を支えられており、ガラス基板1の表面に投影したビーム径の基準からのずれを、高さ計算にしたがって、加工ヘッド32を移動させることによってガラス基板1との間隔をほぼ同一高さにすることができる。また、CCDカメラ49の画面に画像処理のウィンドウを設けることにより、冷却位置までの距離をビームの特定の割合位置から一定にし、安定した切断条件を提供する光学系と冷却システムを構築することができる。
ガラス基板1の端部付近を吸着するグリッパ部106の吸着パッドを細かくすることにより、多数の基板サイズの切断時に吸着面が予想される加工予定ラインにかからないようにして、基板加工を行うことができ、グリッパ部106の吸着パッドへのダメージを低減させることができる。また、合焦点状態のビーム幅を全体に対する大きさとして予め登録しておけば、結像状態かどうかの判別を切断光学ヘッドの上下移動ステージの位置と関連付けることによって、切断光学ヘッドまたはステージの異常を判定する場合に使用することができる。ガラス切断方法として、加工ヘッド32(切断光学ヘッド)の向きを合わせる回転機構を設けることにより、加工予定ラインに対するずれを、検出し、補正することができる。また、平凸レンズ(集光レンズ)33をいずれかの方向に回転可能な機構を設け、レーザ光(ビーム)の向きをCCDカメラ49の画面に基づいて、所定の向きとなるように補正を行えるようにしてもよい。グリッパ部106は、規定高さでガラス基板1と接触することによって、加工時の変形を防止することができ、その高さを調整することができるので、ガラス基板1の多数の材質や板厚に容易に対応することができる。
図6の構成は一例であり、同軸光路上に平行にレーザ光を入れ、ガラス基板1上にレーザ加工用ビーム形状を作成するようにしてもよい。ビーム成形には平凸レンズ(集光レンズ)を使用し、各平凸レンズ(集光レンズ)の焦点距離と脆性基板との間隔を変えて、その加工幅と加工深さを任意に変更可能としてもよい。加工中のビーム形状をモニタし、ビーム全体を規定サイズとなるよう光学系30全体の高さを調整する。ビーム全体の割合から特定の位置の平均位置を冷却部位に対し、噴射距離を安定させるよう光学部品の高さを調整することで良好な切断又は割断加工を行うことができる。
図7は、基板加工装置の加工安定方法の概念を示す図である。図7(A)は、図6のCCDカメラ49の観察画面の一例を示し、図7(B)は、ガラス基板とレーザビームの深さ方向のビーム形状の概念を示す図である。図7(A)において、上側の小円49aが加工時点におけるレーザビームのスポットであり、その下側の点線円49bが前回の加工時点にレーザビームの照射されたスポット領域である。レーザビームは、パルス上の断続的な照射が可能であり、加工ヘッド32の移動速度とレーザ発信周波数を調整して、小円49aと点線円49bとが互いにオーバーラップするように、一定条件で加工している。これによって、ガラス基板1の内部の加工温度を安定化させることができる。さらに、レーザビームをオーバーラップさせることによって、熱影響を低減し、かつ、切断又は割断部を安定化させるという効果がある。なお、図には記載していないが長楕円やスリット状のビームにはシリンドリカルレンズを使用し構成することにより、X,Yの一方向を最適幅とすることができ、この場合ビームの幅を最適にすることにより、同様の効果を得ることができる。
また、平凸レンズ(集光レンズ)33を通過したレーザビームは焦点を結ぶため、高さ方向に応じてスポットのサイズが変化することが知られている。すなわち、平凸レンズ(集光レンズ)33を通過したレーザ光は、図7(B)に示すように、その高さに比例して直径が徐々に変化する。そして、ガラス基板1内の合焦点位置で焦点を結ぶようになる。すなわち、この合焦点位置(フォーカス面)における直径が最小となるように、加工ヘッド32の高さを調整する。なお、合焦点位置から下側に行くに従って、レーザビームの直径は徐々に拡大するようになる。そこで、ガラス基板1の表面におけるレーザビームのスポット径を検出し、登録したレンズ倍率でのフォーカス時のスポット径を基準とすることによって、平凸レンズ(集光レンズ)33の合焦点位置(フォーカス面)がガラス基板1内の所定位置となるように制御する。
図7(A)に示すように、CCDカメラ49の観察画面におけるレーザビームのスポット径に基づいて、加工ヘッド32のガラス基板1に対する高さを間接的に検出し、加工ヘッド32がガラス基板1に接触するのを防止することができる。また、加工時はレーザビームの直径をモニタすることによって、そのフォーカス位置を調整すると共に冷却ノズルの噴流位置調整を行うこともできる。加工開始時と同様に、基板上面変形に従って、変形データを利用し、加工可能高さに移動させることもできる。これによって、移動に伴う高さ距離測定が不要となり、レーザスポット径を測定することにより、加工時の冷却位置までの時間変動の低減と加工ヘッドの接触防止をはかることも可能となる。
図8は、本発明に一実施の形態に係る基板加工装置の変形例の概略構成を示す図である。図8において、図1と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。図8の基板加工装置が図1のものと異なる点は、アッテネータ22から局所冷却ノズル付光学系30までに、レーザ光を導入するためにライドガイドファイバ27を用いた点である。ライドガイドファイバ27は、入射用コリメートレンズと出射用コリメートレンズを付属している。ライドガイドファイバ27を用いることによって、移動する局所冷却ノズル付光学系30へのレーザ光の導入を容易にすることができる。
図9は、図3の局所冷却ノズル付光学系の変形例を示す図である。図9において、図3と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。図9の局所冷却ノズル付光学系が図3のものと異なる点は、加工時の加工部周辺の冷却と加工時に発生する残漬による加工阻害を防止するガスフロー方式を採用した点である。ブローノズル81,82は、加工ヘッド32の両側下側に設けられ、集光レンズ33の上側となる加工ヘッド32の上部から加工ヘッド32内を通過し、加工ヘッド32の下側開口部からガラス基板1に向かうように流れる気流の流れを作るものである。この気流の流れによって、加工残渣の除去と加工周辺の温度冷却と集光レンズ33への加工時の昇華ガスの付着による汚れを防止すると共に集光レンズ33方向に上昇する残渣の除去を行なっている。また、集光レンズ33のレーザによる温度変動についても、ガス温度を恒温調整することにより集光距離の安定化を図る。
ブローノズル83は、ガラス基板1の加工付近の表面にガスを流すものであり、これにより加工部周辺のガラス基板1の表面を冷却すると共に加工先端に発生する加工ガス、残渣も取り除いている。吸引ダクト84は、ブローノズル83によってガラス基板1の表面から取り除かれた加工ガス及び残渣を吸い取り、外部に排出処理する。吸引ダクト85,86は、ガラス基板1の両サイドであって、エア浮上ステージ11と、エア浮上ステージ10,12との間の間隙部に設置されている。この吸引ダクト85,86は、ガラス基板1の上面を移動する全体の残渣を吸引することで、基板加工装置の加工部付近の残渣の降り積もりを防止するものである。ブローノズル81,82と、ブローノズル83を別々に設けているが、加工ヘッド32及び集光レンズ33とガラス基板1との距離が小さい場合には、ブローノズル81,82でブローノズル83の機能を共用することもできる。吸引ダクト85,86は、エア浮上ステージ11と、エア浮上ステージ10,12との間の間隙部全体に渡って設けてもよいし、基板加工装置がガラス基板1をハーフカットする場合には、エア浮上ステージ9〜13の両側に設けるようにしてもよい。このように、エア浮上ステージ9〜13のそれぞれの間に所定の間隔をあけた構成とし、加工エリア部112の下側を空間化し、そこに吸引ダクト85,86を配置することによって、加工残渣を効率よく吸引除去することができる。このような吸引ダクト85,86を用いた構成は、タクト短縮化のため、加工ヘッド数に従って複数構成してもよい。また、ブローノズル81,82を用いた構成によって、集光レンズ33内に気流の流れを作ることができ、加工残渣の除去と加工周辺温度冷却と集光レンズ33への加工時の昇華ガスの付着による汚れを効率的に防止することができる。
図10は、ハーフカットされた基板をフルカットする機能の概略を示す図であり、図1又は図8の加工エリア部の一部をX方向から見た側面図である。図1又は図8の基板加工装置のレーザヘッド20からのレーザ光は、加工予定ラインに沿ってスキャンされ、ハーフカットのスクライブライン1aを形成する。図10(A)では、このハーフカットのスクライブライン1aが、加工エリア部のエア浮上ステージ12,13間に位置した状態が示してある。ガラス基板1は、エア浮上ステージ12,13によって浮上した状態で、かつエア浮上ステージ12,13に挟まれているため、バネ定数の高い状態で拘束された状態にある。エア噴出部60は、エア浮上ステージ12,13間の間隙下側から上方のガラス基板1に対してエア噴流を吹き付けるノズルを備えている。この基板加工装置では、エア噴出部60は、ハーフカット加工されたスクライブライン1aの存在する箇所に対して、ガラス基板1の裏面からエア噴流を吹き付ける。エア噴出部60がエア噴流を吹き付けることによって、ガラス基板1の該当個所の一部が上方に膨らみ、この部分に内部応力が加わり、切断予定部のスクライブライン1aに沿ってガラス基板1の内部にクラックが形成し、それが成長することによって、ガラス基板1は、スクライブライン1aに沿って切断する。なお、エア噴出部60は、エア浮上ステージ12,13間の間隙下側に設置され、それがX方向に移動するようになっている。また、エア噴出部60をエア浮上ステージ12,13間の間隙下側のX方向に複数個配置してもよいし、また複数のエア噴出部60がX方向に移動するように構成してもよい。
図11は、図10のハーフカットされた基板をフルカットする機能を搭載した基板加工装置の変形例を示す図である。図11は、図3に対応して、変形個所の概略を示している。図11において、図3と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。図11の基板加工装置が図3のものと異なる点は、エア浮上ステージ12,13間の間隙下側から上方のガラス基板1に対してエア噴流を吹き付けるエア噴出部60と、分断されたガラス基板1cをガラス収納パレット75内に搬出する搬送ロボット70とを備えている点である。エア噴出部60は、ハーフカット加工されたスクライブライン1aの存在する箇所に対して、ガラス基板1の裏面からエア噴流を吹き付け、ガラス基板1をガラス基板1cとして分断する。分断されたガラス基板1cは、破損しないようにグリッパ部106によってエア浮上ステージ12,13上をY方向に移動し、搬送ロボット70の真下に搬送される。搬送ロボット70は、吸引吸着手段によってガラス基板1cを保持し、ガラス収納パレット75内に搬出する。図11の基板加工装置は、このような動作を連続的に実行し、所定サイズのガラス基板1cをガラス収納パレット75に順次収納する。なお、エア浮上ステージ12,13の間隙間に図9に示すような吸引ダクトを配置して、ガラス基板分断時に発生するゴミ等を効率的に排出するようにしてもよい。なお、エア噴出部60の上部に、図9に示すようなブローノズル83及び吸引ダクト84を設け、分断時に発生する残渣を吸い取り、外部に排出処理するようにしてもよい。また、図9に示すような吸引ダクトをガラス基板1の上面側にエア噴出部60に対応付けてそれぞれ設け、分断時に発生する残渣を吸い取り、外部に排出処理するようにしてもよい。
図12は、本発明に一実施の形態に係る基板加工装置の別の変形例の概略構成を示す図である。図12において、図1と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。図12の基板加工装置が図1のものと異なる点は、図1のエア浮上ステージ11が省略され、エア浮上ステージ10,12間の分かれ目をレーザビームが通過し、その分かれ目で加工を行なうように構成している点である。また、エア浮上ステージ10,12の前後のエア浮上ステージが、3分割された分割エアステージで構成されている点も異なる。エア浮上ステージ10,12の上面のエアの噴出と吸引穴の分布によって、ガラス基板1の浮上と拘束を行なっているが、この分かれ目となる中央の間隙部分においても空気の流れが発生するので、ガラス基板1の姿勢を安定に保つことができる。また、エア浮上ステージ10,12の外側のエア浮上ステージも分割されているので、それぞれの分割空間からも空気の流れを有効に発生させることができ、加工残渣等を効率的に排出できるという効果がある。図8の基板加工装置においても同様に、エア浮上ステージの分かれ目で加工を行なうようにしてもよい。
この実施の形態に係る基板加工装置の動作の一例を説明する。まず、ガラス基板1の先頭をグリッパ部106によって少なくとも1辺を吸着した状態で、エア浮上ステージ9〜10上に搬送する。ガラス基板1が加工位置に搬送される直前で、基板板厚測定部50によって測定されたガラス基板1の厚さに基づいて加工ヘッド32の初期高さを修正する。加工ヘッド32の高さをガラス基板1の厚さに従って変更した後に、ガラス基板1をY方向に移動させる。Y方向に移動するガラス基板に対してレーザ式距離センサ37を直角方向(X方向)に移動させ、加工予定ライン上のガラス基板1の変移を測定する。ガラス基板1の全体の変移を測定することによって、オートフォーカス不能な部位を最小化することができる。変移の測定が終了した後に、ガラス基板1をエア浮上ステージ10,12間の所定の加工位置に移動させる。また、上述の位置調整手段によって加工時におけるガラス基板1の変移を測定し、加工ヘッド32の高さを最適条件に設定し、ガラス基板1の表面に対して所定の高さにフォーカスを合わせるようにする。また、位置調整手段は、レーザ光のビーム状態が所定のサイズとなるように加工ヘッド32の高さを調整することによって、短い間隔のレーザ光を与え、ガラス基板1をハーフカットする。さらに、位置調整手段によって、照射レーザ光のビーム投影パターンを監視することにより、ガラス基板1の加工状態の安定化を図ることができる。極薄いガラス基板1の場合、切断又は割断加工が完了した場合、図10及び図11に示すようにエア噴出部60からのエア噴流によって、ガラス基板1を分割し、その後にガラス基板1が破損しないようにグリッパ部106によってY方向に移動し、図11に示すように分断されたガラス基板1を搬送ロボット70などを用いてガラス収納パレット75内に搬出する。グリッパ部106は、ガラス基板1をエア浮上ステージ12によって浮上した状態で端部を吸着しているので、分割後のガラス基板1に余計な応力を与えることなく搬出することができる。また、工程により、次工程でロール状から分断した場合は、ガラス基板1の先頭部の移送と、分断したガラス基板1の搬送を行うことも同様の構成で行うことが可能である。
1,1c…ガラス基板、
9〜13…エア浮上ステージ、
101…レーザ加工ステーション、
106…グリッパ部、
110…グリッパ支持駆動部、
112…加工エリア部、
1a…スクライブライン、
20…レーザヘッド、
21…レーザシャッター、
22…アッテネータ、
23,24…トラッキングミラー、
27…ライドガイドファイバ、
30…局所冷却ノズル付光学系、
31…ビームエクスパンダ、
32…加工ヘッド、
33…平凸レンズ(集光レンズ)、
36…局所冷却ノズル、
37…レーザ式距離センサ、
40…レーザダイオード、
41…コリメータレンズ、
42…投影マスクパターン、
43…投影用4分の1波長板、
44…加工レーザ用4分の1波長板、
45,46…偏光ビームスプリッタ、
47,48…迷光板、
49…CCDカメラ、
50…基板板厚測定部、
60…エア噴出部、
70…搬送ロボット、
75…ガラス収納パレット、
81,82,83…ブローノズル、
84,85,86…吸引ダクト
9〜13…エア浮上ステージ、
101…レーザ加工ステーション、
106…グリッパ部、
110…グリッパ支持駆動部、
112…加工エリア部、
1a…スクライブライン、
20…レーザヘッド、
21…レーザシャッター、
22…アッテネータ、
23,24…トラッキングミラー、
27…ライドガイドファイバ、
30…局所冷却ノズル付光学系、
31…ビームエクスパンダ、
32…加工ヘッド、
33…平凸レンズ(集光レンズ)、
36…局所冷却ノズル、
37…レーザ式距離センサ、
40…レーザダイオード、
41…コリメータレンズ、
42…投影マスクパターン、
43…投影用4分の1波長板、
44…加工レーザ用4分の1波長板、
45,46…偏光ビームスプリッタ、
47,48…迷光板、
49…CCDカメラ、
50…基板板厚測定部、
60…エア噴出部、
70…搬送ロボット、
75…ガラス収納パレット、
81,82,83…ブローノズル、
84,85,86…吸引ダクト
Claims (9)
- 基板に対してレーザ光を相対的に移動させながら照射すると共に前記レーザ光の移動後の加工付近に冷却媒体を吹き付け、前記基板の加工表面部を冷却し、割断に有効な応力を発生させることによって基板表面に所定の加工を施す基板加工方法であって、
前記基板の加工予定ラインに従って前記レーザ光を所定速度で移動させながら前記基板に照射し、前記レーザ光の照射によって発生する熱を前記レーザ光の波長とパルス間隔によって制御すると共に前記レーザ光を照射する加工ヘッドの高さを前記基板の表面に倣いながら移動させることを特徴とする基板加工方法。 - 請求項1に記載の基板加工方法において、前記基板表面の反射光に基づいて前記基板表面と前記加工ヘッドとの間の相対距離を一定となるように保持制御することを特徴とする基板加工方法。
- 請求項1又は2に記載の基板加工方法において、前記レーザ光の経路上に設けられた平凸レンズ手段及びビームエクスパンダ手段によって、前記レーザ光を規定のサイズの円形ビームに変形すると共に前記加工予定ラインに前記レーザ光の光軸が合致するように前記基板表面に照射することを特徴とする基板加工方法。
- 請求項1、2又は3に記載の基板加工方法において、液体である冷却媒体とキャリアガスを混合したものを前記基板表面に適量吹き付けることによって、前記基板の加工表面部を冷却し、割断に有効な応力を発生させることを特徴とする基板加工方法。
- 基板表面にレーザ光を照射することによって前記基板に所定の加工を施す基板加工装置において、
前記基板の加工予定ラインに従って所定速度で移動させながら前記レーザ光を前記基板に照射し、前記レーザ光の照射によって発生する熱を前記レーザ光の波長とパルス間隔によって制御すると共に前記レーザ光を照射する加工ヘッドの高さを前記基板の表面に倣いながら移動させるレーザ照射手段と、
前記レーザ光の移動後の加工付近に冷却媒体を吹き付け、前記基板の加工表面部を冷却し、割断に有効な応力を発生させる冷却手段と
を備えたことを特徴とする基板加工装置。 - 請求項5に記載の基板加工装置において、前記レーザ照射手段は、前記基板表面の反射光に基づいて前記基板表面と前記加工ヘッドとの間の相対距離を一定となるように保持制御するヘッド位置調整手段を備えたことを特徴とする基板加工装置。
- 請求項5又は6に記載の基板加工装置において、前記レーザ照射手段は、前記レーザ光の経路上に設けられた平凸レンズ手段及びビームエクスパンダ手段によって、前記レーザ光を規定のサイズの円形ビームに変形すると共に前記加工予定ラインに前記レーザ光の光軸が合致するように前記基板表面に照射することを特徴とする基板加工装置。
- 請求項5、6又は7に記載の基板加工装置において、前記冷却手段は、液体である冷却媒体とキャリアガスを混合したものを前記基板表面に適量吹き付けることによって、前記基板の加工表面部を冷却し、割断に有効な応力を発生させることを特徴とする基板加工装置。
- 請求項1、2、3若しくは4に記載の基板加工方法、又は請求項5、6、7若しくは8に記載の基板加工装置を用いて、表示用パネルを製造することを特徴とするパネル製造方法。
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