JP2014007966A - 豆乳乳酸発酵物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 豆乳乳酸発酵物の独特の不快臭(青臭み、発酵臭)及び不快味(エグ味)を低減する方法、及び該方法により味質と風味に優れた豆乳乳酸発酵物を提供すること。
【解決手段】 豆乳乳酸発酵の原料中に希少糖含有シロップを固形分で3.5〜14質量%含有させることにより、豆乳乳酸発酵物にみられる独特の不快臭(青臭み)や不快味(エグ味)が低減されだけでなく、コク味や自然な甘味が付与された、風味と味質のトータルバランスに優れた豆乳乳酸発酵物を提供することができる。
【選択図】なし
【解決手段】 豆乳乳酸発酵の原料中に希少糖含有シロップを固形分で3.5〜14質量%含有させることにより、豆乳乳酸発酵物にみられる独特の不快臭(青臭み)や不快味(エグ味)が低減されだけでなく、コク味や自然な甘味が付与された、風味と味質のトータルバランスに優れた豆乳乳酸発酵物を提供することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、豆乳乳酸発酵物及びその製造方法に関するものであって、より具体的には、希少糖含有シロップを添加することにより、豆乳乳酸発酵物が有する特有の豆臭、すなわち、青臭みやエグ味(収斂味)といった不快な臭いや味が緩和された豆乳乳酸発酵物及びその製造方法に関する。
昨今、消費者の健康に対する関心の高まりに伴い、植物性蛋白食品が注目されている。そのなかでも特に、大豆を原料とする豆乳は、良質な蛋白質を含み、ノンコレステロールであること、また、乳アレルギーを持つ人々でも安心して飲食できることから、幅広い消費者にとって、注目度が非常に高い健康食品素材のひとつとなっている。
しかし、豆乳は、n−ヘキサナールをはじめとするアルデヒド類等の成分に起因する青臭みやエグ味(収斂味)などの不快な臭いや味を有することが問題となっており、この豆乳の風味を改善することは豆乳を利用した飲食品物の商品設計において、非常に大きな課題となっている。
一方、同じく消費者の健康志向の高まりから、乳酸菌による乳酸発酵を利用した飲食品の開発も盛んに行われており、上記の植物性蛋白質を含む豆乳を乳酸菌により乳酸発酵させた豆乳乳酸発酵物の商品化についても、種々検討されてきている。
しかしながら、この豆乳乳酸発酵物は、豆乳以上に青臭さや豆臭さが強くなるだけでなく、独特の不快な発酵臭もあるために、多くの消費者の嗜好に馴染まない状況にあった。
これらの問題を改善する方法は、これまでに種々提案されてきている。例えば、豆乳自体の風味を改善する方法として、300MPa〜500MPaの圧力を加えることを特徴とする豆乳の処理方法(特許文献1、特開平5−244866号公報)、乳清蛋白質を添加する方法(特許文献2、特開平8−173050号公報)、ホイップ化又はゲル化させる方法(特許文献3、特開平9−201165号公報)、エリスリトールを添加する方法(特許文献4、特開平9−224588号公報)、スクラロースを添加する方法(特許文献5、特開2000−157193号公報)、分岐構造を有する3〜4糖類を含有する糖組成物を添加する方法(特許文献6、特開2006−280310号公報)、酵母エキスを含有させる方法(特許文献7、特開2001−253163号公報)などが開示されている。
また、豆乳乳酸菌発酵物の風味を改善する方法としては、豆乳を乳酸菌により発酵させる際に分岐鎖アミノ酸を添加する方法(特許文献8、特開2012−50392号公報)、豆乳を乳酸菌により発酵させた後にゴマ加工物を添加する方法、甘蔗由来の抽出物を含有させる方法(特許文献9、特開2001−057858号公報)、特定の乳酸産生菌株の混合種菌を用いて豆乳を発酵させる方法(特許文献10、特開平4−184543号公報)などが開示されている。
しかしながら、圧力を加える、あるいはホイップするなどの物理的処理を施す方法の場合には、新たな装置を導入する必要があるために不経済であり、また、既知の各種呈味改善剤や消臭剤を添加する方法も、豆乳又は豆乳乳酸発酵物の不快臭や不快味の低減効果はある程度得られるものの、添加した物質固有の味が飲食物に移行し、かえって異質な臭いや味を呈する結果になることがしばしば見受けられた。
本発明の課題は、豆乳の不快な臭いや味(青臭みやエグ味)を改善されただけでなく、豆乳を乳酸発酵させることにより生じる不快な発酵臭もが抑制された豆乳乳酸発酵物及びその製造方法を提供することにある。
以上の現状を鑑み、本発明者が鋭意検討した結果、これまでの種々の方法を用いても抑制することのできなかった豆乳やその乳酸発酵物の不快臭味(青臭みやエグ味)が、意外にも特定量の希少糖含有シロップを含有させることにより改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち具体的には、本発明は以下からなる。
1.希少糖含有シロップを発酵原料中に固形分で3.5〜14質量%含有させることを特徴とする、豆乳乳酸発酵物の製造方法。
2.希少糖含有シロップが、D−プシコースを0.5〜17質量%及びD−アロースを0.2〜10質量%含むシロップである、上記1に記載の豆乳乳酸発酵物の製造方法。
3.希少糖含有シロップが、D−グルコース及び/若しくはD−フラクトースを原料とし、D−グルコース及び/若しくはD−フラクトース含量が99〜55質量%になるまでアルカリ異性化したシロップである、上記1又は2に記載の豆乳乳酸発酵物の製造方法。
4.上記1又は2のいずれかひとつに記載の方法により製造された豆乳乳酸発酵物。
1.希少糖含有シロップを発酵原料中に固形分で3.5〜14質量%含有させることを特徴とする、豆乳乳酸発酵物の製造方法。
2.希少糖含有シロップが、D−プシコースを0.5〜17質量%及びD−アロースを0.2〜10質量%含むシロップである、上記1に記載の豆乳乳酸発酵物の製造方法。
3.希少糖含有シロップが、D−グルコース及び/若しくはD−フラクトースを原料とし、D−グルコース及び/若しくはD−フラクトース含量が99〜55質量%になるまでアルカリ異性化したシロップである、上記1又は2に記載の豆乳乳酸発酵物の製造方法。
4.上記1又は2のいずれかひとつに記載の方法により製造された豆乳乳酸発酵物。
本発明によれば、豆乳に由来する青臭みやエグ味、及びその乳酸発酵物の独特の発酵臭が低減された、嗜好性の高い豆乳乳酸発酵物を提供することができる。また、本発明によれば、不快臭等が改善されるだけでなく、好ましいコク味や自然な甘味が付与され、風味及び味質のトータルバランスに優れた豆乳乳酸発酵物を提供することができる。
本発明の豆乳とは、水に浸漬して膨潤させた豆類を蒸煮・摩砕して得られる液体、あるいは、その液体からおからを分離して得られる液体をいうが、豆乳乳酸発酵物の味や食感の観点から、おからを分離して得られる液体のほうが好ましい。また、豆乳製造に用いる原料の豆類は、アスペルギルス属に属する麹菌(例えば、Aspergillus oryzae、 Aspergillus sojae、 Aspergillus awamori、 Aspergillus nigar等)やサッカロマイセス属に属する酵母(Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces bayanus等)による予備発酵を行い、あらかじめ低分子化しておいたものでもよく、その原料豆類の品種は特に限定されないが、なかでも大豆が好ましい。
大豆固形分量に関連していえば、JAS規格では、豆乳は大豆固形分8.0%以上のものと定義され、調整豆乳は大豆固形分6%以上のものと定義され、豆乳飲料は大豆固形分4%以上のものと定義されているが、これらのいずれも本発明の豆乳として用いることができる。
大豆固形分量に関連していえば、JAS規格では、豆乳は大豆固形分8.0%以上のものと定義され、調整豆乳は大豆固形分6%以上のものと定義され、豆乳飲料は大豆固形分4%以上のものと定義されているが、これらのいずれも本発明の豆乳として用いることができる。
本発明において、乳酸発酵に用いられる乳酸菌は、豆乳を乳酸発酵することができれば特に限定されず、例えば、ストレプトコッカス属、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、ビフィドバクテリウム属、ロイコノストック属などに属する菌株が挙げられる。
本発明における希少糖とは、糖の基本単位である単糖のうち、自然界に大量に存在するD−グルコース(ブドウ糖)に代表される「天然型単糖」に対して、自然界に微量にしか存在しない単糖を「希少糖」と定義付けられている。単糖は全部で59種類あり、そのうち天然型単糖は7種類、希少糖は52種類確認されている。希少糖の存在量は非常に少なく、例えばD−アロースは、D−グルコース(ブドウ糖)に比べて圧倒的に存在量が少ない。
そのなかでも、現在、大量生産が可能な希少糖は、D−プシコースとD−アロースである。D−プシコースは、ケトヘキソースに分類されるプシコースのD体であり、六炭糖である。また、D−アロースは、アルドースに分類されるアロースのD体であり、同じく六炭糖である。D−プシコースは、自然界から抽出されたもの、化学的又は生物学的な方法により合成されたもの等を含め、どのような手段により入手してもよい。D−アロースは、D−プシコースを含有する溶液にD−キシロースイソメラーゼを作用させて、D−プシコースからD−アロースを生成させる(特許文献11、特開2002−17392号公報)などして入手できるが、この方法に限定せず、どのような手段により入手してもよい。
そのなかでも、現在、大量生産が可能な希少糖は、D−プシコースとD−アロースである。D−プシコースは、ケトヘキソースに分類されるプシコースのD体であり、六炭糖である。また、D−アロースは、アルドースに分類されるアロースのD体であり、同じく六炭糖である。D−プシコースは、自然界から抽出されたもの、化学的又は生物学的な方法により合成されたもの等を含め、どのような手段により入手してもよい。D−アロースは、D−プシコースを含有する溶液にD−キシロースイソメラーゼを作用させて、D−プシコースからD−アロースを生成させる(特許文献11、特開2002−17392号公報)などして入手できるが、この方法に限定せず、どのような手段により入手してもよい。
本発明における希少糖含有シロップは、上述の希少糖(例えば、D−ソルボース、D−タガトース、L−ソルボース、D−プシコース、D−アロース、D−アルトロース)を適宜選択し、一般的なシロップ(液糖)に適宜混合することでも得られるが、市販品「レアシュガースウィート」(発売元:(株)レアスウィート、販売者:松谷化学工業(株))として、容易に入手することができる。
「レアシュガースウィート」は、異性化糖を原料とし、特許文献12(WO2010/113785)に開示される手法により得られる希少糖を含有するシロップであり、希少糖として主にD−プシコース及びD−アロースが含まれるように製造されたものである。該手法により得られる希少糖含有シロップに含まれる希少糖は、D−プシコース0.5〜17質量%、D−アロース0.2〜10質量%であるが、未同定の希少糖も含まれる。
この希少糖含有シロップを得る方法は、上記手法に限られるものではなく、単糖(D−グルコースやD−フラクトース)にアルカリを作用させ、19世紀後半に発見された反応、ロブリー・ドブリュイン−ファン エッケンシュタイン転位反応やレトロアルドール反応とそれに続くアルドール反応を起こさせ(以上の反応をアルカリ異性化反応と呼ぶ)、生じた各種単糖(希少糖含む)を含むシロップを広く「希少糖含有シロップ」と呼ぶことができる。
希少糖の測定方法は種々存在するが、高速液体クロマトグラフィーにより分離測定する方法が一般的であり、測定条件の一例として、特許文献12に記載の測定条件が挙げられる(検出器;RI、カラム;三菱化成(株)MCI GEL CK 08EC、カラム温度;80℃、移動相;精製水、移動相流量;0.4mL/min、試料注入量;10μL)。
「レアシュガースウィート」は、異性化糖を原料とし、特許文献12(WO2010/113785)に開示される手法により得られる希少糖を含有するシロップであり、希少糖として主にD−プシコース及びD−アロースが含まれるように製造されたものである。該手法により得られる希少糖含有シロップに含まれる希少糖は、D−プシコース0.5〜17質量%、D−アロース0.2〜10質量%であるが、未同定の希少糖も含まれる。
この希少糖含有シロップを得る方法は、上記手法に限られるものではなく、単糖(D−グルコースやD−フラクトース)にアルカリを作用させ、19世紀後半に発見された反応、ロブリー・ドブリュイン−ファン エッケンシュタイン転位反応やレトロアルドール反応とそれに続くアルドール反応を起こさせ(以上の反応をアルカリ異性化反応と呼ぶ)、生じた各種単糖(希少糖含む)を含むシロップを広く「希少糖含有シロップ」と呼ぶことができる。
希少糖の測定方法は種々存在するが、高速液体クロマトグラフィーにより分離測定する方法が一般的であり、測定条件の一例として、特許文献12に記載の測定条件が挙げられる(検出器;RI、カラム;三菱化成(株)MCI GEL CK 08EC、カラム温度;80℃、移動相;精製水、移動相流量;0.4mL/min、試料注入量;10μL)。
前記希少糖含有シロップの製造に使用される原料としては、でん粉、砂糖、異性化糖などが挙げられる。異性化糖とは、特定組成比のD−グルコースとD−フラクトースを主組成分とする混合糖として広く捉えられ、一般的には、でん粉をアミラーゼ等の酵素又は酸により加水分解して得られた、主にブドウ糖からなる糖液を、グルコースイソメラーゼまたはアルカリにより異性化したブドウ糖及び果糖を主成分とする液状の糖のことを指す。JAS規格においては、果糖含有率(糖のうちの果糖の割合)が50%未満のものを「ブドウ糖果糖液糖」、50%以上90%未満のものを「果糖ブドウ糖液糖」、90%以上のものを「高果糖液糖」、及びブドウ糖果糖液糖にブドウ糖果糖液糖を超えない量の砂糖加えたものを「砂糖混合果糖ブドウ糖液糖」とよぶが、本発明の希少糖含有シロップの原料としては、何れの異性化糖を用いても構わない。
本発明における豆乳乳酸発酵物の発酵源は、前述の豆乳に希少糖含有シロップが添加されている限り特に限定されるものではないが、その他、各種調味料、果汁、野菜汁等が添加されたものでもよい。
本発明における豆乳乳酸発酵物の発酵源は、前述の豆乳に希少糖含有シロップが添加されている限り特に限定されるものではないが、その他、各種調味料、果汁、野菜汁等が添加されたものでもよい。
本発明における豆乳乳酸発酵物は、上記発酵源に希少糖含有シロップを含有させ、前述の乳酸菌を添加して発酵させるものであるが、その発酵温度、発酵時間、初発pH、嫌気などの発酵条件は特に限定されるものでなく、乳酸発酵が進行する条件(例えば、発酵温度;37〜45℃、発酵時間;6〜24時間、初発pH;6.5〜6.8、半嫌気・静置培養)であれば、何れの条件であっても構わない。
本発明によれば、大豆に由来する青臭みやエグ味、発酵に由来する不快な発酵臭が抑制されるだけでなく、好ましいコク味や自然な甘味が付与されるために、風味や味質のトータルバランスに優れた豆乳乳酸発酵飲物を提供することができる。
このようにして得られた風味及び味質に優れた豆乳乳酸発酵物は、そのまま、又はその後に調味、ゲル化、乾燥などの種々の処理を加えることによって、飲料、ヨーグルト様食品、調味料、サプリメント等の飲食物として利用することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
無菌状態で、有機豆乳((株)東京めいらく製、大豆固形分10%、無調整)、希少糖含有シロップ(商品名「レアシュガースウィート」、発売元;(株)レアスウィート、販売者;松谷化学工業(株)、固形分70%)又はブドウ糖果糖液糖(商品名「フジフラクトF−100」、日本食品化工(株)製、固形分70%)を表1−1又は表1−2の配合に従って混合、均質化した。この発酵原料の均質化液に対して乳酸菌(Lactobacillus helveticus)が湿重量で0.2質量部(菌数1×10^8)となるように添加し、初発pH6.6、37℃で24時間、半嫌気・静置状態で培養した。
得られた豆乳乳酸発酵物の評価は、パネラー10名により、比較例1(ブドウ糖果糖液糖)と比較したときの異臭(青臭み)、異味(エグ味)、及び全体的な味質バランス(甘味やコク味、飲み易さも含む)について行った。評価点は、各評価項目について、コントロールと比較したときに、非常に改善されている(2点)、改善されている(1点)、ほぼ改善されていない(0点)、やや悪化している(−1点)の4段階とし、パネラー10名による評価点の合計点を表2に示す。また、その各々の合計点をさらに合計し、60〜41点は非常に良い(◎)、40〜21点は良い(○)、20〜1点は大差なし(△)、0〜−30点は悪い(×)とし、その総合的な評価結果を表2に示す(ただし、比較例1〜4は、実施例1〜4の各々を評価するために、発酵原料中の糖質含量を同等とした対照区なので、評価点はない)。
得られた豆乳乳酸発酵物の評価は、パネラー10名により、比較例1(ブドウ糖果糖液糖)と比較したときの異臭(青臭み)、異味(エグ味)、及び全体的な味質バランス(甘味やコク味、飲み易さも含む)について行った。評価点は、各評価項目について、コントロールと比較したときに、非常に改善されている(2点)、改善されている(1点)、ほぼ改善されていない(0点)、やや悪化している(−1点)の4段階とし、パネラー10名による評価点の合計点を表2に示す。また、その各々の合計点をさらに合計し、60〜41点は非常に良い(◎)、40〜21点は良い(○)、20〜1点は大差なし(△)、0〜−30点は悪い(×)とし、その総合的な評価結果を表2に示す(ただし、比較例1〜4は、実施例1〜4の各々を評価するために、発酵原料中の糖質含量を同等とした対照区なので、評価点はない)。
希少糖含有シロップを含有させた豆乳乳酸発酵物を評価したところ、希少糖含有シロップが発酵原料に対して固形分換算で5〜15重量%含まれるとき、最も異臭と異味が低減され、全体的な風味や味質のバランスの良い豆乳乳酸発酵物を得られることが分かった。
この効果は、ブドウ糖は乳酸菌に資化されやすい一方、D−プシコースをはじめとする希少糖は資化されず、豆乳乳酸発酵物中に残存したこと、また、希少糖や、希少糖が蛋白質やアミノ酸と反応することにより生成されたメイラード物質が、乳酸発酵の何らかの代謝調整に寄与、若しくは、代謝生成物との反応に寄与したこと、及び、これらの相乗効果により得られたものと推察される。
一方、実施例4は、実施例1〜3に比べて、異臭及び異味の改善は見られたものの、風味及び味質の全体的なバランスが悪いとの結果であった。これは、希少糖含有シロップの添加量が過多で、甘味だけが際立ち、風味及び味質の全体的なバランスを崩したためであると考えられた。
この効果は、ブドウ糖は乳酸菌に資化されやすい一方、D−プシコースをはじめとする希少糖は資化されず、豆乳乳酸発酵物中に残存したこと、また、希少糖や、希少糖が蛋白質やアミノ酸と反応することにより生成されたメイラード物質が、乳酸発酵の何らかの代謝調整に寄与、若しくは、代謝生成物との反応に寄与したこと、及び、これらの相乗効果により得られたものと推察される。
一方、実施例4は、実施例1〜3に比べて、異臭及び異味の改善は見られたものの、風味及び味質の全体的なバランスが悪いとの結果であった。これは、希少糖含有シロップの添加量が過多で、甘味だけが際立ち、風味及び味質の全体的なバランスを崩したためであると考えられた。
発酵時間についても検討したところ、発酵時間を長くするにつれて(最大144時間)、青臭みやエグ味が減る傾向、及び、ブドウ糖が資化されることが確認されたことから(数値未記載)、乳酸発酵の時間を延長することにより、本発明の効果がより期待できるといえる。
さらに、上記実施例に示した市販の希少糖含有シロップに限らず、希少糖含有シロップの製造条件(アルカリ異性化の反応条件)を変え、D−グルコース及びD−フラクトースの総含量が55質量%程度になるまで反応を進めて得た希少糖含有シロップを用いて乳酸発酵を行ったところ、上記実施例と同様に、青臭みやエグ味が減る傾向が認められた。
さらに、上記実施例に示した市販の希少糖含有シロップに限らず、希少糖含有シロップの製造条件(アルカリ異性化の反応条件)を変え、D−グルコース及びD−フラクトースの総含量が55質量%程度になるまで反応を進めて得た希少糖含有シロップを用いて乳酸発酵を行ったところ、上記実施例と同様に、青臭みやエグ味が減る傾向が認められた。
本発明によれば、大豆に由来する青臭みやエグ味、発酵に由来する不快な発酵臭が抑制されるだけでなく、好ましいコク味や自然な甘味が付与されるために、風味や味質のトータルバランスに優れた豆乳乳酸発酵飲物を提供することができる。また、該豆乳乳酸発酵物は、飲料、ヨーグルト様食品、調味料、サプリメント等の飲食物として利用することができ、消費者の健康に資する飲食物を提供できるだけでなく、味質に優れた嗜好性の高い飲食物として提供することができる。
希少糖含有シロップを含有させた豆乳乳酸発酵物を評価したところ、希少糖含有シロップが発酵原料に対して固形分換算で3.5〜14質量%含まれるとき、最も異臭と異味が低減され、全体的な風味や味質のバランスの良い豆乳乳酸発酵物を得られることが分かった。
この効果は、ブドウ糖は乳酸菌に資化されやすい一方、D−プシコースをはじめとする希少糖は資化されず、豆乳乳酸発酵物中に残存したこと、また、希少糖や、希少糖が蛋白質やアミノ酸と反応することにより生成されたメイラード物質が、乳酸発酵の何らかの代謝調整に寄与、若しくは、代謝生成物との反応に寄与したこと、及び、これらの相乗効果により得られたものと推察される。
一方、実施例4は、実施例1〜3に比べて、異臭及び異味の改善は見られたものの、風味及び味質の全体的なバランスが悪いとの結果であった。これは、希少糖含有シロップの添加量が過多で、甘味だけが際立ち、風味及び味質の全体的なバランスを崩したためであると考えられた。
この効果は、ブドウ糖は乳酸菌に資化されやすい一方、D−プシコースをはじめとする希少糖は資化されず、豆乳乳酸発酵物中に残存したこと、また、希少糖や、希少糖が蛋白質やアミノ酸と反応することにより生成されたメイラード物質が、乳酸発酵の何らかの代謝調整に寄与、若しくは、代謝生成物との反応に寄与したこと、及び、これらの相乗効果により得られたものと推察される。
一方、実施例4は、実施例1〜3に比べて、異臭及び異味の改善は見られたものの、風味及び味質の全体的なバランスが悪いとの結果であった。これは、希少糖含有シロップの添加量が過多で、甘味だけが際立ち、風味及び味質の全体的なバランスを崩したためであると考えられた。
Claims (4)
- 希少糖含有シロップを発酵原料中に固形分で3.5〜14質量%含有させることを特徴とする、豆乳乳酸発酵物の製造方法。
- 希少糖含有シロップが、D−プシコースを0.5〜17質量%及びD−アロースを0.2〜10質量%含むシロップである、請求項1に記載の豆乳乳酸発酵物の製造方法。
- 希少糖含有シロップが、D−グルコース及び/若しくはD−フラクトースを原料とし、D−グルコース及び/若しくはD−フラクトース含量が99〜55質量%になるまでアルカリ異性化したシロップである、請求項1又は2に記載の豆乳乳酸発酵物の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法により製造された豆乳乳酸発酵物。
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