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JP2014094620A - 電動車両の冷却システム - Google Patents

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JP2014094620A
JP2014094620A JP2012246073A JP2012246073A JP2014094620A JP 2014094620 A JP2014094620 A JP 2014094620A JP 2012246073 A JP2012246073 A JP 2012246073A JP 2012246073 A JP2012246073 A JP 2012246073A JP 2014094620 A JP2014094620 A JP 2014094620A
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英聖 坂本
Makoto Hirai
誠 平井
Ryoji Oki
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Abstract

【課題】冷却装置の駆動が適切に制御され、エネルギー効率が改善された電動車両の冷却システムを提供する。
【解決手段】電動車両の冷却システムは、電動車両に複数搭載された電気機器のうち、少なくとも一つの電気機器に対する冷却を行なう冷却装置(EOP,WP2)と、電動車両の走行モードと電動車両の負荷回路に電力を供給する高圧バッテリ10の充電状態SOCとを検出し、走行モードと充電状態SOCとに基づいて複数の冷却制御マップのうちから使用する冷却制御マップを選択し、選択された冷却制御マップと電気機器の動作情報とに基づいて冷却装置を制御する制御装置50とを備える。
【選択図】図1

Description

この発明は、電動車両の冷却システムに関し、特に電動車両に搭載された電気機器に対する冷却を行なう冷却装置を含む冷却システムに関する。
電動車両(電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料自動車など)には、モータやモータを駆動するインバータなどの電気機器が搭載されている。
特開2006−67640号公報(特許文献1)は、このような電気機器の冷却について開示している。この文献に開示されるマネージメントECUは、モータの損失量(仕事)Jと冷却流路内に供給されるオイルの油温Tとに基づきモータ冷却流量マップをマップ検索してオイルの流量QMを算出する。また、車速Vおよび油温Tに基づき動力伝達系潤滑流量マップをマップ検索して潤滑流路内に供給されるオイルの流量QTを算出する。そして、流量QMと流量QTとを加算した総流量QAllを算出している。
特開2006−67640号公報 特開2012−116456号公報 特開2007−200780号公報
たとえば、モータとエンジンとを走行に併用することが可能なハイブリッド車両では、モータのみで走行するEV走行を行なう場合と、モータとエンジンとを同時に使用して走行するHV走行とを行なう場合がある。
また、ユーザの選択により、モータを主として使用して走行する動作モード(以下、EVモード)と、EVモードよりもモータにエンジンを併用して走行する割合(HV走行割合)が増加された動作モード(以下、HVモード)とを指定できるように構成されている場合もある。
EV走行は、電気エネルギーのみで駆動力を賄うため、HV走行に比べて熱的に厳しくなるユニット(駆動用モータ、パワーコントロールユニット、高圧バッテリ等)がある。
特開2006−67640号公報に開示された技術では、推定された電動機の損失量や冷却媒体の温度等に基づいて冷却媒体を駆動する電動ポンプを駆動しているが、冷却媒体の供給量を適切に制御してポンプの消費電力を低減させるためには、まだ改善の余地がある。
この発明の目的は、冷却装置の駆動が適切に制御され、エネルギー効率が改善された電動車両の冷却システムを提供することである。
この発明は、要約すると、電動車両の冷却システムであって、電動車両に複数搭載された電気機器のうち、少なくとも一つの電気機器に対する冷却を行なう冷却装置と、電動車両の走行モードと電動車両の負荷回路に電力を供給する蓄電装置の充電状態とを検出し、走行モードと充電状態とに基づいて複数の冷却制御マップのうちから使用する冷却制御マップを選択し、選択された冷却制御マップと電気機器の動作情報とに基づいて冷却装置を制御する制御装置とを備える。
好ましくは、電動車両は、モータとエンジンとを駆動源として搭載するハイブリッド車両である。走行モードは、モータを主として使用して走行するEVモードと、EVモードよりもモータにエンジンを併用して走行する割合が増加されたHVモードとを含む。EVモードにおいては所定条件下でエンジンの始動が禁止される。複数の冷却制御マップは、EVモードかつエンジンの始動許可状態に適合された第1のマップと、EVモードかつエンジンの始動禁止状態に適合された第2のマップとを含む。制御装置は、EVモードにおいてエンジンの始動が禁止されている場合には、複数の冷却制御マップのうちから第2のマップを選択して使用する。
本発明によれば、走行モードと充電状態とに基づいて最適な冷却制御マップが選択されるので、冷却装置の駆動が適切に制御され、エネルギー効率が改善される。
本実施の形態の電動車両5の構成を示した図である。 実施の形態1の制御装置50によって実行される冷却制御マップの選択および冷却装置の制御について説明するためのフローチャートである。 図2のフローチャートで選択されるマップの一例を示した図である。 実施の形態2の制御装置50によって実行される冷却制御マップの選択および冷却装置の制御について説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、本実施の形態の電動車両5の構成を示した図である。図1を参照して、電動車両5は、駆動輪16と、エンジン90と、動力分割機構15とを含む。
電動車両5は、さらに、高圧バッテリ10と、高圧バッテリ10の出力する直流電力を昇圧する昇圧コンバータ12と、昇圧コンバータ12との間で直流電力を授受するインバータ14とを含む。
電動車両5は、さらに、動力分割機構15を介してエンジン90の動力を受けて発電を行なうモータジェネレータMG1と、回転軸が動力分割機構15に接続されるモータジェネレータMG2とを含む。インバータ14はモータジェネレータMG1,MG2に接続され交流電力と昇圧コンバータ12からの直流電力との変換を行なう。
動力分割機構15は、遊星歯車機構と減速ギヤ機構とを含む。遊星歯車機構は、サンギヤと、リングギヤと、サンギヤおよびリングギヤの両方に噛み合うピニオンギヤと、ピニオンギヤをサンギヤの周りに回転可能に支持するプラネタリキャリヤとを含む。遊星歯車機構は、第1〜第3の回転軸を有する。第1の回転軸はエンジン90に接続されるプラネタリキャリヤの回転軸である。第2の回転軸はモータジェネレータMG1に接続されるサンギヤの回転軸である。第3の回転軸は駆動輪16を回転させるギヤ機構に接続されるリングギヤの回転軸である。
減速ギヤ機構は、第1、第2の回転軸を有する。減速ギヤ機構は、遊星歯車機構と同様な構成を有するが、プラネタリキャリヤがケースに固定されている。減速ギヤ機構の第1の回転軸(サンギヤ)は、モータジェネレータMG2の回転軸に接続される。減速ギヤ機構の第2の回転軸(リングギヤ)は、遊星歯車機構のリングギヤと一体的に回転する。
この減速ギヤ機構の第2の回転軸にはギヤ機構が取付けられ、このギヤ機構によって、動力分割機構15の回転力が駆動輪16に伝達される。
動力分割機構15はエンジン90,モータジェネレータMG1,MG2の間で動力を分割する役割を果たす。すなわち動力分割機構15の3つの回転軸のうちの2つの回転軸の回転が定まれば残る1つの回転軸の回転は自ずと定められる。したがって、エンジン90を最も効率のよい領域で動作させつつ、モータジェネレータMG1の発電量を制御してモータジェネレータMG2を駆動させることにより車速の制御を行ない、全体としてエネルギー効率のよい自動車を実現している。
直流電源である高圧バッテリ10は、たとえば、ニッケル水素またはリチウムイオンなどの二次電池からなり、直流電力を昇圧コンバータ12に供給するとともに、昇圧コンバータ12からの直流電力によって充電される。
昇圧コンバータ12は高圧バッテリ10から受ける直流電圧を昇圧し、その昇圧された直流電圧をインバータ14に供給する。インバータ14は供給された直流電圧を交流電圧に変換してエンジン始動時にはモータジェネレータMG1を駆動制御する。また、エンジン始動後にはモータジェネレータMG1が発電した交流電力はインバータ14によって直流に変換されて昇圧コンバータ12によって高圧バッテリ10の充電に適切な電圧に変換され高圧バッテリ10が充電される。
また、インバータ14はモータジェネレータMG2を駆動する。モータジェネレータMG2はエンジン90を補助して駆動輪16を駆動する。制動時には、モータジェネレータMG2は回生運転を行ない、車輪の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する。得られた電気エネルギーは、インバータ14および昇圧コンバータ12を経由して高圧バッテリ10に戻される。
高圧バッテリ10は、組電池であり、直列に接続された複数の電池ユニットを含む。昇圧コンバータ12と高圧バッテリ10との間には図示しないがシステムメインリレーが設けられ車両非運転時には高電圧が遮断される。
電動車両5は、さらに、図示しない補機類に電源電圧を供給する補機バッテリ20と、高圧バッテリ10の電圧を変換し補機バッテリ20に充電を行なうDC/DCコンバータ30と、高圧バッテリ10の電圧VB1を検出する電圧センサ51と、高圧バッテリ10の電流I1を検出する電流センサ53と、補機バッテリ20の電圧VB2を検出する電圧センサ52とを含む。
電動車両5は、さらに、エンジン冷却システムを含む。エンジン冷却システムは、エンジン90の冷却水を冷却するラジエーター64と、エンジン90およびラジエーター64に対して冷却水を循環させる電動式のウォータポンプWP1とを含む。
電動車両5は、さらに、ハイブリッドシステム用の電気機器冷却システムを含む。電気機器冷却システムは、ハイブリッドシステムの冷却水を冷却するラジエーター66と、トランスアクスルおよびパワーコントロールユニットPCUとラジエーター64とに対して冷却水を循環させる電動式のウォータポンプWP2とを含む。なお、トランスアクスルは、モータジェネレータMG1を含み、パワーコントロールユニットPCUは、インバータ14および昇圧コンバータ12を含む。
電動車両5は、さらに、モータジェネレータMG1およびMG2、動力分割機構15を含むトランスアクスル内にATF(自動変速機用油)を循環させるためのメカニカルオイルポンプMOPおよび電動オイルポンプEOPを含む。ATFは、トランスアクスルの冷却および潤滑に使用される。
エンジン90と、動力分割機構15と、モータジェネレータMG1,MG2と、ラジエーター64,66とはエンジンルームECに収容される。図1では記載を分かりやすくするために昇圧コンバータ12およびインバータ14を含むPCUをエンジンルームとは離して配置したが、実際にはPCUもエンジンルームECに収容される。したがって、エンジンルームECの内部温度を検出するセンサを設け、制御パラメータの一つとしてエンジンルーム温度を検出しても良い。
電動車両5は、さらに、ハイブリッドシステムを起動するイグニッションキースイッチ60と、EVモード/HVモードをユーザが指定するEV優先スイッチ62と、制御装置50とを含む。制御装置50は、ハイブリッドシステム全体を管理するHV−ECU、パワーコントロールユニットPCUのインバータ14を制御するMG−ECU、エンジン90を制御するEN−ECU、電圧VBおよび電流I1に基づいて高圧バッテリ10の充電状態SOCを検出するバッテリECUなど複数のECU(Electronic Control Unit)を含んで構成されるが、これに限定されず制御装置50は1つまたは複数のコンピュータを含んで構成される。
制御装置50は、車速センサ68から車速信号Vを受け、トランスアクスルに設けられた温度センサからMG1温度Tg、MG2温度Tm、HV水温Tfを受け、エンジン90に設けられた温度センサからエンジン室温Teを受け、トランスアクスルに設けられた回転センサからMG1回転速度Ng、MG2回転速度Nmを受け、エンジン90に設けられた回転センサからエンジン回転速度Neを受け、これらと選択された冷却制御マップとに基づいて冷却装置の制御を行なう。
冷却制御マップは予め複数用意されており、使用する冷却制御マップは、後に説明するフローチャートの処理により、電動車両の走行モードと高圧バッテリ10の充電状態SOCとに基づいて制御装置50によって選択される。
[実施の形態1]
図2は、実施の形態1の制御装置50によって実行される冷却制御マップの選択および冷却装置の制御について説明するためのフローチャートである。図1、図2を参照して、処理が開始されるとまずステップS11において走行モードの判定が実行される。
走行モードは、たとえばユーザのスイッチ選択により、モータを主として使用して走行する動作モード(EVモード)と、EVモードよりもモータにエンジンを併用して走行する割合(HV走行割合)が増加された動作モード(HVモード)とを指定できるように車両が構成されている。なお、EVモードへの設定は、SOC残量がC1%以上である場合に許可され、SOC残量がC1%より低い場合にはEVモードへの設定を要求しても動作モードはHVモードに設定される。
ステップS11において、走行モードがEVモードであった場合には、ステップS12に処理が進み、走行モードがEVモードでなかった場合にはステップS17に処理が進む。
続いて、各モードにおけるSOC残量の判定が実行される。
ステップS12およびステップS14では、走行モードがEVモードであった場合のSOC残量が判定される。ステップS12ではSOCがA1%以上であるか否かが判断される。ステップS12でSOC≧A1%であればステップS13に処理が進み、SOC≧A1%でなければステップS14に処理が進む。
ステップS14ではSOCがB1%以上であるか否かが判断される。ステップS14でSOC≧B1%であればステップS15に処理が進み、SOC≧B1%でなければステップS16に処理が進む。
ステップS17、ステップS19およびステップS21では、走行モードがHVモードであった場合のSOC残量が判定される。ステップS17ではSOCがA1%以上であるか否かが判断される。ステップS17でSOC≧A1であればステップS18に処理が進み、SOC≧A1でなければステップS19に処理が進む。
ステップS19ではSOCがB1%以上であるか否かが判断される。ステップS19でSOC≧B1であればステップS20に処理が進み、SOC≧B1でなければステップS21に処理が進む。
ステップS21ではSOCがC1%以上であるか否かが判断される。ステップS21でSOC≧C1であればステップS20に処理が進み、SOC≧B1でなければステップS21に処理が進む。
次に、使用する冷却制御マップの決定が行なわれる。EVモードにおいては、ステップS13,S15,S16において使用する冷却制御マップの決定が行なわれる。
ステップS13においては、EVモードかつSOC≧A1の条件に適合された冷却制御マップが選択される。ステップS15においては、EVモードかつA1>SOC≧B1の条件に適合された冷却制御マップが選択される。ステップS16においては、EVモードかつB1>SOC≧C1の条件に適合された冷却制御マップが選択される。なお、A1>B1>C1であり、またC1%は、EVモード設定可能な下限のSOCである。
次に、HVモードにおいては、ステップS18,S20,S22,S23において使用する冷却制御マップの決定が行なわれる。
ステップS18においては、EVモードかつSOC≧A1の条件に適合された冷却制御マップが選択される。ステップS20においては、EVモードかつA1>SOC≧B1の条件に適合された冷却制御マップが選択される。ステップS22においては、EVモードかつB1>SOC≧C1の条件に適合された冷却制御マップが選択される。ステップS23においては、EVモードかつC1>SOCの条件に適合された冷却制御マップが選択される。
なお、図2においては先に走行モードの判定を行ない、その後SOC残量の判定を行なったが、先にSOC残量の判定を行ない、その後走行モードの判定を行って、使用する冷却制御マップの選択をするようにしても良い。
以上のいずれかのマップ選択ステップにおいて、使用する冷却制御マップが選択された後には、ステップS24において、冷却パラメータの入力処理が実行される。冷却パラメータは、たとえばMG1トルク、MG2トルク、MG1回転速度Ng、MG2回転速度Nm、MG1温度Tg、MG2温度Tm、車速V、HV水温Tf、エンジン回転速度Ne、エンジントルク、エンジンルーム温度等が各種センサ出力や制御指令値などに基づいて取得される。
続いて、ステップS25において出力決定処理が実行される。出力決定処理では、選択したマップおよびステップS24で取得したパラメータに基づいて、冷却装置が制御される。冷却装置の制御の具体例としては、トランスアクスルの冷却用のATFを循環させる電動オイルポンプEOPの吐出油量の決定、ラジエーター64,66のファン出力の決定、電動式のウォータポンプWP2の出力決定などが実行される。
ステップS25に続き、ステップS26では、スイッチ60の操作等の重力情報に基づいてハイブリッドシステムをオフ状態(Ready off状態)にするか否かが判断される。ステップS26においてReady off状態にすると判断された場合にはステップS27においてこのフローチャートの処理は終了し、Ready off状態にしないと判断された場合には、再びステップS11以降の処理が繰り返し実行される。
図3は、図2のフローチャートで選択されるマップの一例を示した図である。図3を参照して、縦軸には、電動オイルポンプEOPの吐出油量が示され、横軸には、駆動用モータ(MG2)のトルク2乗値が示される。すなわち、このマップは、モータジェネレータMG2のトルク指令値の2乗を入力パラメータとして、電動オイルポンプEOPの吐出油量を決定するための冷却制御マップの一例である。
マップMH,MM,MLのうちから、高圧バッテリ10のSOCに基づいて使用するマップが選択される。SOCが高い場合には、マップMHが選択され、SOCが中程度の場合にはマップMMが選択され、SOCが低い場合にはマップMLが選択される。
たとえば、図2においてステップS13でマップMHが選択され、ステップS15でマップMMが選択され、ステップS16でマップMLが選択される。
EVモードで使用する冷却制御マップ作成の留意点を以下に述べる。EV走行する場合、エンジン90を停止してモータジェネレータMG2のみで駆動力を賄うため、同じトルクを出力する場合、HV走行に比べてモータジェネレータMG2が熱的に厳しい状態になるときがある。
高圧バッテリ10のSOCが高いほど、その後にEV走行可能な時間は長く、モータジェネレータMG2は高負荷走行が続く可能性がある。したがって、EV走行の可能性が高いEVモードにおいて高圧バッテリ10のSOCが高い場合には、HVモードよりも高い冷却能力が必要とされる。
したがって、図3のようなマップによって、SOCが高いほどモータジェネレータMG2の冷却を行なう電動オイルポンプEOPの吐出油量を増やしてモータジェネレータMG2の温度を低く保つ制御を行なっている。
このような制御を行なうことによって、EVモード設定時のモータジェネレータMG2の冷却能力不足と過剰冷却による電費(バッテリの電力使用効率)の悪化とを防ぐことができる。
なお、図3で示したマップでSOCおよびトルク2乗値によって決定した吐出油量を、さらにモータジェネレータMG2の損失履歴(トルク、回転速度に基づいて算出)、モータジェネレータMG2の温度履歴(サーミスタで検出した温度に基づいて算出)を考慮して補正などを行なって最終的な吐出油量を決定するようにしても良い。
また、HVモードで使用する冷却制御マップ作成の留意点を以下に述べる。EVモードからHVモードへ切替可能なハイブリッド車両では、ユーザの指定により高圧バッテリ10が高SOC時でもHV走行をすることが可能である。HV走行後にEV走行した場合には、エンジンルームECの雰囲気温度がエンジン動作していたため上昇していて、同じエンジンルームECに収容されているモータジェネレータMG2の冷却能力が低下するときがある。また高圧バッテリ10のSOCが高ければ、その後に長時間EV走行することも考えられるため冷却能力を確保しておく必要がある。
したがって、HVモードであっても高圧バッテリ10のSOCが高い場合には、SOCが低い場合に比べてラジエーターファンの回転速度を大きくし、エンジンルームの温度を低くすることが望ましい。そこで、HVモードにおいても高圧バッテリ10のSOC、車速、エンジン負荷履歴(エンジントルクおよびエンジン回転速度Neに基づいて算出)、エンジンルーム温度履歴などに基づいてラジエーターファンの回転速度(低、中、高)を決定すると良い。
なお、図3に示したマップは、SOCに基づいて選択される冷却制御マップの一例でありこのようなマップを走行モード別に用意しても良い。また電動オイルポンプEOPの吐出油量以外の冷却制御出力として、ラジエーターファン出力や、電動ウォータポンプ出力についても同様にSOCおよび走行モードに基づいて選択される複数のマップを用意しておけばよい。
以上、実施の形態1では、電動車両において、制御装置からのパラメータによって冷却能力が制御可能な冷却システムを、実際の冷却対象の温度が上昇する前に、走行モードとSOCを用いて過不足が無い最適な冷却能力に制御することを特徴とする。この冷却対象は、たとえばモータジェネレータMG1,MG2を含むトランスアクスルや、PCUや、高圧バッテリ10や、エンジン90とすることができる。これらの冷却対象はすべてを同様に冷却しなくても良く、一部の冷却対象を冷却する冷却装置を走行モードとSOCを用いて最適に制御するのでも良い。
[実施の形態2]
実施の形態1では、EVモード、HVモードの各々において、高圧バッテリ10のSOCに基づいて冷却制御マップを選択することを説明した。ところで、EVモードであってもエンジン始動禁止制御が働く場合がある。エンジン始動禁止制御は、たとえばエンジンの触媒暖機が十分でない場合などに未燃の炭化水素の排出を避ける等のため自動的に働く場合や、ユーザによる設定によって働く場合などが考えられる。
エンジン始動禁止機能が作動していない場合には、高圧バッテリ10の出力上限パワーを超えたパワーが要求された場合、エンジン90を始動させて駆動出力を確保する。その場合、エンジン90から動力分割機構15を経由して駆動輪16に伝達される直達トルクとモータジェネレータMG2のトルクにより、駆動力を賄うため、モータジェネレータMG2の負荷は低減される。
一方で、エンジン始動禁止機能が作動している場合には、高圧バッテリ10の出力上限パワーを超えたパワーが要求された場合、エンジン90を始動させず高圧バッテリ10の出力上限パワーを出力可能制限値まで拡張した範囲内でモータジェネレータMG2で駆動力を発生させる。そのため、モータジェネレータMG2が最大トルクを出し続ける頻度が高くなり、モータジェネレータMG2が熱的に厳しくなる可能性が高い。
図4は、実施の形態2の制御装置50によって実行される冷却制御マップの選択および冷却装置の制御について説明するためのフローチャートである。図2と比較すると、図4のフローチャートは、ステップS102〜S107の処理が追加されている。他の部分については、図2のフローチャートと同じであるのでここでは説明は繰返さない。
図1、図4を参照して、処理が開始されるとまずステップS11において走行モードの判定が実行される。ステップS11において、走行モードがEVモードであった場合には、ステップS102に処理が進み、走行モードがEVモードでなかった場合にはステップS17に処理が進む。
ステップS102では、制御装置50は、エンジン始動禁止制御機能が働いている(オン)か否かを判断する。
ステップS103およびステップS105では、走行モードがEVモードかつエンジン始動禁止機能オンであった場合のSOC残量が判定される。ステップS103ではSOCがA1%以上であるか否かが判断される。ステップS103でSOC≧A1%であればステップS104に処理が進み、SOC≧A1%でなければステップS105に処理が進む。
ステップS105ではSOCがB1%以上であるか否かが判断される。ステップS105でSOC≧B1%であればステップS106に処理が進み、SOC≧B1%でなければステップS107に処理が進む。
次に、使用する冷却制御マップの決定が行なわれる。EVモードかつエンジン始動禁止機能オン状態においては、ステップS104,S106,S107において使用する冷却制御マップが決定される。
ステップS104においては、EVモードかつエンジン始動禁止機能オンかつSOC≧A1の条件に適合された冷却制御マップが選択される。ステップS106においては、EVモードかつエンジン始動禁止機能オンかつA1>SOC≧B1の条件に適合された冷却制御マップが選択される。ステップS107においては、EVモードかつエンジン始動禁止機能オンかつB1>SOC≧C1の条件に適合された冷却制御マップが選択される。なお、A1>B1>C1であり、またC1%は、EVモード設定可能な下限のSOCである。
ステップS104,S106,S107において使用する冷却制御マップが決定されると、その後ステップS24の処理が実行される。
なお、ステップS12〜S27の処理については、実施の形態1と同様であるので説明は繰返さない。
以上、実施の形態2では、実施の形態1の制御に加えて、さらにエンジン始動禁止制御機能のオン/オフを考慮して冷却制御マップを選択する例を示した。エンジン始動禁止制御機能のオン時は、オフ時と比べて冷却能力を増加させるように冷却制御マップの選択を行なう。たとえば、エンジン始動禁止機能オン時の電動オイルポンプEOPの吐出油量をオフ時と比べて多くする。
したがって、実施の形態2は、実施の形態1が奏する効果に加えて、EVモード中のエンジン始動禁止機能オン時の冷却能力不足と、オフ時の過剰冷却を防ぎ、電動オイルポンプEOP等の冷却装置の消費電力を必要かつ最小限に抑えることができる。
なお、電動オイルポンプEOPの吐出油量等を、EV/HVモード、エンジン始動禁止機能オンフラグ、高圧バッテリ10のSOCに加えて、さらにモータジェネレータMG2の損失履歴(トルク、回転速度に基づいて算出)、モータジェネレータMG2の温度履歴(サーミスタで検出した温度に基づいて算出)を考慮して補正などを行なって最終的な吐出油量を決定するようにしても良い。
最後に再び図面を参照して本実施の形態1,2について総括する。電動車両の冷却システムは、電動車両に複数搭載された電気機器のうち、少なくとも一つの電気機器に対する冷却を行なう冷却装置(EOP,WP2)と、電動車両の走行モードと電動車両の負荷回路に電力を供給する高圧バッテリ10の充電状態SOCとを検出し、走行モードと充電状態SOCとに基づいて複数の冷却制御マップ(たとえば図3のMH,MM,ML)のうちから使用する冷却制御マップを選択し、選択された冷却制御マップと電気機器の動作情報とに基づいて冷却装置を制御する制御装置50とを備える。
好ましくは、電動車両は、モータジェネレータMG2とエンジン90とを駆動源として搭載するハイブリッド車両である。走行モードは、モータジェネレータMG2を主として使用して走行するEVモードと、EVモードよりもモータジェネレータMG2にエンジン90を併用して走行する割合が増加されたHVモードとを含む。実施の形態2に示す電動車両は、EVモードにおいては所定条件下でエンジン90の始動が禁止される。複数の冷却制御マップは、EVモードかつエンジン90の始動許可状態に適合された第1のマップと、EVモードかつエンジン90の始動禁止状態に適合された第2のマップとを含む。制御装置は、EVモードにおいてエンジン90の始動が禁止されている場合には、複数の冷却制御マップのうちから第2のマップを選択して使用する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
5 電動車両、10 高圧バッテリ、12 昇圧コンバータ、14 インバータ、15 動力分割機構、16 駆動輪、20 補機バッテリ、30 DC/DCコンバータ、50 制御装置、51,52 電圧センサ、53 電流センサ、60 イグニッションキースイッチ、62 EV優先スイッチ、64,66 ラジエーター、68 車速センサ、90 エンジン、EC エンジンルーム、EOP 電動オイルポンプ、MG1,MG2 モータジェネレータ、MOP メカニカルオイルポンプ、PCU パワーコントロールユニット、WP1,WP2 ウォータポンプ。

Claims (2)

  1. 電動車両の冷却システムであって、
    前記電動車両に複数搭載された電気機器のうち、少なくとも一つの電気機器に対する冷却を行なう冷却装置と、
    前記電動車両の走行モードと前記電動車両の負荷回路に電力を供給する蓄電装置の充電状態とを検出し、前記走行モードと前記充電状態とに基づいて複数の冷却制御マップのうちから使用する冷却制御マップを選択し、選択された冷却制御マップと前記電気機器の動作情報とに基づいて前記冷却装置を制御する制御装置とを備える、電動車両の冷却システム。
  2. 前記電動車両は、モータとエンジンとを駆動源として搭載するハイブリッド車両であり、
    前記走行モードは、
    前記モータを主として使用して走行するEVモードと、
    前記EVモードよりも前記モータに前記エンジンを併用して走行する割合が増加されたHVモードとを含み、
    前記EVモードにおいては所定条件下で前記エンジンの始動が禁止され、
    前記複数の冷却制御マップは、前記EVモードかつ前記エンジンの始動許可状態に適合された第1のマップと、前記EVモードかつ前記エンジンの始動禁止状態に適合された第2のマップとを含み、
    前記制御装置は、前記EVモードにおいて前記エンジンの始動が禁止されている場合には、前記複数の冷却制御マップのうちから前記第2のマップを選択して使用する、請求項1に記載の電動車両の冷却システム。
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