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JP2014061483A - 中圧外照式紫外線照射装置及びバラスト水の微生物不活化装置 - Google Patents

中圧外照式紫外線照射装置及びバラスト水の微生物不活化装置 Download PDF

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Abstract

【課題】中圧水銀ランプを用い、かつフッ素樹脂製の通水管の内圧耐力及び耐熱温度の条件を満たすバラスト水の微生物不活化装置を提供する。
【解決手段】円筒状の胴部2と、胴部の両端に設けられた円筒状の一対のヘッダー部3,4と、胴部の円筒軸に配置され各ヘッダー部3,4から外部に突き出して設けられたランプ保護スリーブ16と、ランプ保護スリーブ16内に収容された中圧水銀ランプ15と、ランプ保護スリーブ16の軸周りに配置され各ヘッダー部にそれぞれ開口され、バラスト水が流通される複数のフッ素樹脂製の通水管18と、一方のヘッダー部からバラスト水を流入し、他方のヘッダー部からバラスト水を排出し、胴部2の一端側の純水入口ノズル22から他端側の純水出口ノズル22に向けて純水を流通する冷却液循環装置30を設け、バラスト水の圧力よりも純水の圧力を設定圧低く制御して、通水管の内圧耐力及び耐熱温度の条件を満たす。
【選択図】 図3

Description

本発明は、中圧外照式紫外線照射装置に係り、特にバラスト水中の微生物を不活化するのに好適な中圧外照式紫外線照射装置に関する。
通常、船舶では積荷が少ないときでも喫水を深くして船を安定させるために、バラストタンクなどに海水などのバラスト水を積むことが行われている。このようなバラスト水は、寄港地で貨物を降ろして出港するときにはバラスト水を積み込み、貨物を積み込んで出港するときは、通常、バラストタンク内のバラスト水を寄港地の港湾内に廃棄するようにしている。バラスト水を港湾等に廃棄する場合、バラスト水を浄化処理して廃棄するようにしているが、最近はバラスト水中の微生物やウイルスを不活化又は死滅させて廃棄することが要請されている。
バラスト水中の微生物やウイルスを不活化等する処理法にはいくつか存在するが、廃棄するバラスト水に紫外線を照射して微生物を不活化等することが考えられる。しかし、バラスト水の処理は、停泊時間を短縮するために比較的短時間で、大量のバラスト水を処理すること(例えば、500〜1000トン/h以上)が要求される。このことから、紫外線照射により処理する場合、紫外線ランプとして従来一般に用いられている低圧水銀ランプを用いると、処理能力が低いために紫外線照射装置が大型になることなど、実用上の問題がある。
そこで、紫外線ランプとして、非特許文献1に記載の中圧水銀ランプを用いることが考えられる。同文献によれば、表1に示すように、中圧水銀ランプは発光長あたりの電気入力(紫外線出力に対応する。)が50〜250W/cmの範囲であり、低圧水銀ランプの電気入力0.5〜10W/cmに比べてはるかに大きい。したがって、処理能力の高い中圧水銀ランプを用いることにより、紫外線ランプの本数を大幅に減らして装置の小型化を図ることが可能になる。
Figure 2014061483
UV Disinfection Guidance Manual For the Final LT2ESWTR, US EPA,November 2006, P(2-17), Table2.1
しかしながら、中圧水銀ランプは発熱量が大きいことから、種々の問題が考えられるので、適切な対応が必要になる。例えば、中圧水銀ランプを石英ガラス製の保護スリーブ内に収容し、処理対象液であるバラスト水の流路中に配置してバラスト水に紫外線を照射するいわゆる内照式にすると、ランプ温度によって高温になる保護スリーブの外表面にバラスト水中の微生物や不純物が固着して、紫外線の透過率が短時間で低下するという問題がある。そこで、バラスト水用の紫外線照射装置は、保護スリーブ内に収容した中圧水銀ランプの軸を中心にして、バラスト水を流通する複数の通水管を等距離に配置し、通水管の外周から紫外線を照射するいわゆる外照式が好ましい。
また、バラスト水は一般に圧力が高い(例えば、3kg/cm程度)ので、引張強度が低い石英ガラス管は内圧によって破損しやすいから、バラスト水を流通する通水管には適さない。そこで、内圧耐力が比較的高く、汚れが付き難いフッ素樹脂製の通水管を用いることが好ましい。
しかし、フッ素樹脂製の通水管の場合は、高い紫外線透過率を確保するために管の肉厚を薄くすると内圧耐力が低下するので、処理対象液を通流したときに生じるウォーターハンマー等の衝撃によって通水管が振動し、その振動によって通水管が破損するおそれがある。また、中圧水銀ランプは発熱量が大きく、動作温度が600〜900℃に達することがあるから、耐熱性の低いフッ素樹脂製の通水管を用いる場合は、バラスト水を流通しても紫外線が照射される通水管の表面温度がフッ素樹脂の耐熱温度(例えば、200℃)を越えるおそれがある。
本発明が解決しようとする課題は、処理能力が高い中圧水銀ランプを用い、かつフッ素樹脂製の通水管の内圧耐力及び耐熱温度の条件を満たすことができる中圧外照式紫外線照射装置及びバラスト水の微生物不活化装置を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明の中圧外照式紫外線照射装置は、円筒状の胴部と、該胴部の両端にそれぞれフランジを介して連結された円筒状の一対のヘッダー部と、前記胴部の円筒軸に配置され前記フランジを貫通して前記各ヘッダー部から外部に突き出して設けられた紫外線透過性のランプ保護スリーブと、該ランプ保護スリーブ内に収容された中圧水銀ランプと、前記ランプ保護スリーブの軸周りに配置され前記フランジを貫通して前記各ヘッダー部にそれぞれ開口された処理対象液が流通される複数のフッ素樹脂製の通水管と、前記一対のヘッダー部に設けられた前記処理対象液の入口ノズル及び出口ノズルと、前記胴部の両端部に設けられた冷却液の入口ノズル及び出口ノズルとを備えてなることを特徴とする。
このように、中圧水銀ランプが収容されたランプ保護スリーブの軸回りに間隔を明けてフッ素樹脂製の通水管を配置し、胴部のランプ保護スリーブと通水管の間に冷却液を流通したことから、冷却液の流量及び温度を調節することで、通水管の温度をフッ素樹脂の耐熱温度以下に容易に抑えることができる。これにより、電力入力(ひいては、紫外線出力)が大きい中圧水銀ランプを適用できるので、紫外線による処理能力を高くすることができる。
しかも、通水管の外面に冷却液を流通しているから、通水管の管壁に加わる力は、冷却液の圧力と通水管に流通される処理対象液との差圧になる。そこで、通水管の内圧耐力に応じて処理対象液の圧力よりも冷却液の圧力を低く保持することにより、フッ素樹脂製の通水管に加わる内圧を緩和することができる。その結果、フッ素樹脂製の通水管の肉厚を、例えば1〜3mm程度に薄く形成できるから、管壁における紫外線の吸収量を少なく、つまり紫外線透過率を高くして、処理対象液に照射される紫外線照射量を増大することができる。これにより、紫外線の照射効率が向上して装置を小型化できる。
また、胴部の内面には、紫外線の反射部材を設けることが好ましい。これによれば、複数の通水管に挟まれる間を通って、あるいは通水管の内部を通って胴部の内面に至る紫外線を反射させて、通水管内部の処理対象液に照射させることができるから、処理対象液への紫外線の照射効率を向上することができる。
また、冷却液は、紫外線の透過率が高い純水を用いることが好ましい。この場合、冷却液の入口ノズルから純水をランプ保護スリーブと通水管の周囲の胴部内に流通させて冷却液の出口ノズルから純水を抜き出して循環させる冷却液循環装置を備えることができる。この冷却液循環装置は、純水タンクと、純水タンク内の純水を冷却液の入口ノズルに供給し、冷却液の出口ノズルから流出される純水を純水タンクに戻す冷却液循環ポンプと、循環する純水を冷媒(例えば、海水)により冷却する熱交換器と、冷却液入口ノズルに供給する純水の圧力を制御する圧力制御弁と、冷却液出口ノズルから流出される純水の温度を検出する温度センサと、冷却液入口ノズルに供給する純水の流量を制御して、温度センサにより検出される冷却液出口ノズルから流出される純水の温度を設定範囲に調整する流量制御弁を備えて構成することができる。これによれば、フッ素樹脂製の通水管の温度をフッ素樹脂の耐熱温度以下に確実に保持することができる。
また、冷却液循環装置は、処理対象液の入口ノズルに供給される処理対象液の圧力を検出する圧力センサを備え、圧力制御弁は、処理対象液の圧力と純水の圧力との差圧を設定圧(例えば、1kg/cm)に保持するように、純水の供給圧力を低い圧力に制御することが好ましい。これによれば、通水管の管壁に作用する内圧を許容圧(内圧耐力)以下に確実に抑えることができる。なお、冷却液循環装置には、冷却液出口ノズルから流出される純水の温度が予め設定された上限値を越える場合は、警報を発するようにすることが好ましい。また、処理対象液の圧力と冷却液入口ノズルに供給する純水の圧力との差圧が、予め設定された上限値を越える場合も、警報を発するようにすることが好ましい。
本発明の中圧外照式紫外線照射装置を用いて、処理対象液をバラスト水とすることにより、バラスト水の微生物不活化装置を提供することができる。この場合、ランプ保護スリーブの外表面は、純水などの冷却液に接しているから、汚れが付着し難いので、表面の汚れを掻き取るスクレーパなどの機械的な清浄装置が不要である。また、通水管の外表面も同様である。一方、通水管の内面は海水のバラスト水が流通するので、微生物の死骸やバラスト水中の不純物が付着するおそれがあるが、バラスト水の微生物不活化処理が行われない通常の航行時等に、必要に応じてクエン酸などの洗浄液を通水管に流通して除去することができる。このように、本発明の中圧外照式紫外線照射装置は、船舶の揺れや振動により損傷する機械的な清浄装置を備える必要がないから、船舶のバラスト水を廃棄する配管系に組み込んで設置することができる。
本発明によれば、処理能力が高い中圧水銀ランプを用い、かつフッ素樹脂製の通水管の内圧耐力及び耐熱温度の条件を満たすことができる中圧外照式紫外線照射装置及びバラスト水の微生物不活化装置を提供することができる。
本発明の一実施例の中圧外照式紫外線照射装置の断面図である。 図1の矢印II−IIから見た矢視図である。 図1の中圧外照式紫外線照射装置を適用した本発明のバラスト水の微生物不活化装置の一実施例のシステム構成図である。
以下、本発明の中圧外照式紫外線照射装置を適用してなるバラスト水の微生物不活化装置の実施例に基づいて、本発明を説明する。なお、本発明は、バラスト水の微生物不活化装置に限られるものではなく、処理能力が高い中圧水銀ランプを用い、かつフッ素樹脂製の通水管の内圧耐力及び耐熱温度の条件を満たして、処理対象液の微生物等を不活化あるいは死滅化する中圧外照式紫外線照射装置に適用できることは言うまでもない。
図1、図2に示すように、本実施例のバラスト水の微生物不活化装置1は、紫外線照射部を構成する円筒状の胴部2と、胴部2の両端に連結された円筒状の一対のヘッダー部3、4を備えて形成されている。胴部2の両端に固定されたフランジ5,6には、それぞれフランジ7、9を介してヘッダー部3、4の一端が図示していないボルトにより互いに連結されている。ヘッダー部3、4の他端のフランジ8,10には、フランジ11,12が図示していないボルトにより固定されている。本実施例では、胴部2とヘッダー部3、4、及びフランジ類は、海水のバラスト水を扱うことから、海水に対する耐食性を有する塩化ビニール材で形成されている。しかし、これに限られるものではなく、塩化ビニール材よりも海水に対して若干腐食性が劣るが、ステンレス(SUS)材を用いることができる。
胴部2の円筒中心軸に中圧水銀ランプ15が配置され、中圧水銀ランプ15は紫外線透過材で形成されたランプ保護スリーブ16の中に収容されている。ランプ保護スリーブ16は、フランジ5、6及びフランジ7,9にそれぞれ形成された貫通孔に、図示していないシール部材を介して水密に挿通されている。ランプ保護スリーブ16の両端は、一対のヘッダー部3、4のフランジ8,10及びフランジ11,12に形成された貫通孔に、図示していないシール部材を介して水密に保持されている。また、ランプ保護スリーブ16の両端は、外部に突き出して開口され、それぞれリング部材17によりフランジ11,12に固定されている。中圧水銀ランプ15は、一方の端部に設けられた口金15aを介して電源ケーブル13から電力が供給されるようになっている。
ランプ保護スリーブ16の軸周りにバラスト水が流通される複数(図示例では、4本)の通水管18が配置されている。通水管18は、中圧水銀ランプ15に対して等距離の位置に配置され、各通水管18の両端はフランジ5,6及びフランジ7,9にそれぞれ形成された貫通孔を通ってヘッダー部3,4の内部に開口して設けられている。また、各通水管18の両端は、各フランジ5,6、7,9に形成された貫通孔に図示していないシール部材を介して水密に支持され、かつリング部材19により固定されている。通水管18は、フッ素樹脂、例えば、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂)、PFA(四フッ化エチレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などを用いて形成することができる。
ヘッダー部3の筒壁にはバラスト水が供給されるバラスト水の入口ノズル20が、ヘッダー部4の筒壁にはバラスト水が排出されるバラスト水の出口ノズル21が設けられている。また、胴部2の両端部の筒壁には冷却液である純水が流通される純水の入口ノズル22と出口ノズル23が設けられている。
胴部2の内周面には、紫外線の反射部材24が設けられている。反射部材24は、アルミ材の表面にフッ素樹脂コーティングして反射面を形成し、裏面に無機材コーティングして胴部2の内周面に張り付けて形成されている。なお、胴部2のフランジ5,6の内側面及びヘッダー部3,4の内周面及びフランジ7、8、9,10の内側面に紫外線が照射されると、塩化ビニール材が劣化するおそれがある。そこで、必要に応じて紫外線を反射する反射部材をコーティングすることが好ましい。さらに、胴部2の中ほどに、石英ガラス管で保護された紫外線強度センサ25が胴部2の内部に臨ませて設けられ、中圧水銀ランプ15の代表的あるいは平均的な紫外線強度を計測可能に形成されている。また、胴部2の中ほどの底部にドレン弁26が連通して設けられている。
図3に、図1の実施例を用いたバラスト水の微生物不活化装置のシステム構成図を示す。冷却液循環装置30は、冷却液としての純水が貯留される純水タンク31と、純水タンク31内の純水を吸い込んで純水入口ノズル22に供給する冷却液循環ポンプ32と、純水入口ノズル22から流入されてランプ保護スリーブ16と通水管18の周囲の胴部2内に流通して純水出口ノズル23から流出される純水を純水タンク31に戻す冷却液循環管路33を備えて構成される。純水タンク31は、タンク内の純水を冷媒である海水により冷却する熱交換器34が設けられている。
冷却液循環管路33には、純水の入口ノズル22に供給する純水の圧力を制御する圧力制御弁35と、純水の入口ノズル22に供給する純水の流量を制御する流量制御弁36と、純水の出口ノズル23から流出される純水の出口温度Toを検出する温度センサ37と、バラスト水の入口ノズル20に供給されるバラスト水圧力Pを検出する圧力センサ38と、冷却制御装置39が設けられている。冷却制御装置39は、温度センサ37により検出される純水の出口温度Toを予め設定された温度範囲に調整すべく、流量制御弁36の開度を制御するようになっている。また、冷却制御装置39は、圧力センサ38により検出されるバラスト水圧力Pに基づいて圧力制御弁35を制御して、純水の入口ノズル22に供給する純水圧力Pとバラスト水圧力Pの差圧ΔP=(P−Pc)を設定差圧(例えば、ΔP=1kg/cm)に制御するようになっている。熱交換器34には、図示していない海水ポンプにより一定量の海水を循環させるようになっている。なお、本実施例では、純水タンク31内に伝熱管を配置した熱交換器34を示したが、これに限られるものではなく、冷却液循環ポンプ32の吐出側の冷却液循環管路33に熱交換器を設けてもよい。
このように構成される本実施例のバラスト水の微生物不活化装置の動作を説明する。まず、通水管18にバラスト水を流通する前に、冷却液循環ポンプ32を起動して純水を胴部2に循環しておく。このとき、通水管18は空であるから、潰れないように起動準備中は、純水圧力Pを十分低い圧力に保持して流通しておく。次いで、紫外線ランプ電源40を起動して中圧水銀ランプ15を点灯して、バラスト水の不活化処理が可能な状態にする。一方、図示していないバラストタンクからバラスト水ポンプにより汲み上げられたバラスト水は、図示していない化学的及び/又は物理的な浄水処理を施される。浄水処理されたバラスト水は、バラスト水の元バルブ41を開くことによりバラスト水の入口ノズル20に流入される。入口ノズル20に流入されたバラスト水は、ヘッダー部3において複数本の通水管18に分流し、通水管18を流通する過程で中圧水銀ランプ15から紫外線が照射される。この紫外線の照射により、バラスト水中の微生物、菌類あるいはウイルスが不活化又は死滅し、処理済みのバラスト水はヘッダー部4を介してバラスト水出口ノズル21から管路を通って放流される。その後、バラスト水の流量を所定量に増大し、これに合わせて冷却制御装置39により純水の圧力及び温度を調整して定常状態に移行させる。
定常運転状態においては、元バルブ41を介して流入されるバラスト水の流量は、図示していないバラスト水ポンプ及び流量調節弁によりほぼ一定に保持される。また、バラスト水の入口ノズル20に流入されるバラスト水圧力Pは、概ね一定(例えば、3kg/cm)に保持される。これを基準にして、通水管18内のバラスト水の流速は、ほぼ一定流速(例えば、2〜4m/sec、好ましくは2〜3m/sec)になるように、通水管18の管径及び圧損が設定される。一方、冷却制御装置39は、圧力制御弁35を制御して純水圧力Pcをバラスト水圧力Pよりも設定差圧ΔPだけ低い値に制御する。これにより、通水管18の管壁の内外の差圧ΔPは、フッ素樹脂製の通水管15の内圧耐力以下に保持されるから、通水管18をバラスト水の圧力による損傷から保護できる。
他方、中圧水銀ランプ15は紫外線を放射して高温になるとともに、ランプ保護スリーブ16及び通水管18は紫外線の照射を受けて温度が上昇する。この点、本実施例によれば、冷却液循環ポンプ32から冷却液としての純水が、入口ノズル22から胴部2内を流通して出口ノズル23に向かって循環されるから、ランプ保護スリーブ16、特に通水管18の温度上昇を抑えることができる。出口ノズル23から排出される純水は純水タンク31に戻され、ここにおいて熱交換器34を介して海水により冷却される。このとき、冷却制御装置39は、温度センサ37により検出された純水の出口温度Toを取り込み、出口温度Toが設定温度範囲に収まるように流量制御弁36の開度を制御する。これにより、フッ素樹脂製の通水管18の温度上昇による劣化を抑制することができる。
以上説明したように、本実施例によれば、中圧水銀ランプ15が収容されたランプ保護スリーブ16の軸回りに間隔を明けてフッ素樹脂製の通水管18を配置し、胴部2のランプ保護スリーブ16と通水管18の間に冷却液としての純水を流通したことから、純水の流量及び温度を調節することで、通水管18の温度をフッ素樹脂の耐熱温度以下に容易に押えることができる。これにより、電力入力(ひいては、紫外線出力)が大きい中圧水銀ランプ15を適用できるので、紫外線による処理能力を高くすることができる。
しかも、通水管18の外面に純水を流通しているから、通水管18の管壁に加わる力は、純水の圧力と通水管18に流通されるバラスト水の圧力との差になるので、通水管18の内圧耐力に応じてバラスト水の圧力よりも、純水の圧力を一定圧(例えば、1kg/cm)低く保持することにより、フッ素樹脂製の通水管18に加わる内圧を緩和することができる。その結果、フッ素樹脂製の通水管18の肉厚を、例えば1〜3mm程度に薄く形成できるから、管壁における紫外線の吸収量を少なく、つまり紫外線透過率を高くして、バラスト水に照射される紫外線照射量を増大することができる。これにより、紫外線の照射効率が向上して装置を小型化できる。
また、胴部2の内面に、紫外線の反射部材を設けていることから、複数の通水管18に挟まれる間を通って、あるいは通水管18の内部を通って胴部2の内面に至る紫外線を反射させて、通水管18の内部のバラスト水に照射することができ、バラスト水への紫外線の照射効率を向上することができる。
また、冷却液として純水を用いているから、冷却液による紫外線の吸収を低減して透過率を高く保持できる。冷却液循環装置は、処理対象液の入口ノズルに供給される処理対象液の圧力を検出する圧力センサを備え、圧力制御弁は、処理対象液の圧力と純水の圧力との差圧を設定圧(例えば、1kg/cm)に保持するように、純水の供給圧力を低い圧力に制御することが好ましい。これによれば、通水管の管壁に作用する内圧を許容圧以下に確実に抑えることができる。
なお、冷却液循環装置30には、純水出口ノズル23から流出される純水温度が予め設定された上限値を越える場合は、警報を発するようにすることが好ましい。また、バラスト水の圧力と純水入口ノズルに供給する純水の圧力との差圧が、予め設定された上限値を越える場合も、警報を発するようにすることが好ましい。
また、本実施例のバラスト水の微生物不活化装置によれば、ランプ保護スリーブ16の外表面は、純水に接しているから、汚れが付着し難いので、表面の汚れを掻き取るスクレーパなどの機械的な清浄装置が不要である。また、通水管18の外表面も同様である。したがって、本実施例によれば、船舶の揺れや振動により損傷する機械的な清浄装置を備える必要がないから、船舶のバラスト水を廃棄する配管系に組み込んで設置することができる。
一方、通水管18の内面は海水のバラスト水が流通するので、微生物の死骸やバラスト水中の不純物が付着するおそれがあるが、バラスト水の浄化処理が行われない通常の航行時等に、必要に応じてクエン酸などの洗浄液を通水管に流通して除去することができる。
以上、本発明をバラスト水の微生物不活化装置の実施例に基づいて説明したが、本発明はバラスト水の微生物不活化に限られるものではなく、処理能力が高い中圧水銀ランプを用い、かつフッ素樹脂製の通水管の内圧耐力及び耐熱温度の条件を満たすことができるので、様々な処理対象液に紫外線を照射する中圧外照式紫外線照射装置に適用できる。
1 中圧外照式紫外線照射装置
2 胴部
3,4 ヘッダー部
15 中圧水銀ランプ
16 ランプ保護スリーブ
18 通水管
20 (バラスト水の)入口ノズル
21 (バラスト水の)出口ノズル
22 (純水の)入口ノズル
23 (純水の)出口ノズル
30 冷却液循環装置
31 純水タンク
32 冷却液循環ポンプ
33 冷却液循環管路
34 熱交換器
35 圧力制御弁
36 流量制御弁
37 温度センサ
38 圧力センサ

Claims (5)

  1. 円筒状の胴部と、該胴部の両端にそれぞれフランジを介して連結された円筒状の一対のヘッダー部と、前記胴部の円筒軸に配置され前記フランジを貫通して前記各ヘッダー部から外部に突き出して設けられた紫外線透過性のランプ保護スリーブと、該ランプ保護スリーブ内に収容された中圧水銀ランプと、前記ランプ保護スリーブの軸周りに配置され前記フランジを貫通して前記各ヘッダー部にそれぞれ開口された処理対象液が流通される複数のフッ素樹脂製の通水管と、前記一対のヘッダー部に設けられた前記処理対象液の入口ノズル及び出口ノズルと、前記胴部の両端部に設けられた冷却液の入口ノズルと出口ノズルとを備えてなる中圧外照式紫外線照射装置。
  2. 請求項1に記載の中圧外照式紫外線照射装置において、
    前記胴部は、内面に紫外線の反射部材が設けられていることを特徴とする中圧外照式紫外線照射装置。
  3. 請求項1に記載の中圧外照式紫外線照射装置において、
    前記通水管は、管壁の肉厚が1乃至3mmであることを特徴とする中圧外照式紫外線照射装置。
  4. 円筒状の胴部と、該胴部の両端にそれぞれフランジを介して連結された円筒状の一対のヘッダー部と、前記胴部の円筒軸に配置され前記フランジを貫通して前記各ヘッダー部から外部に突き出して設けられた紫外線透過性のランプ保護スリーブと、該ランプ保護スリーブ内に収容された中圧水銀ランプと、前記ランプ保護スリーブの軸周りに配置され前記フランジを貫通して前記各ヘッダー部にそれぞれ開口され海水のバラスト水が流通される複数のフッ素樹脂製の通水管と、前記一対のヘッダー部に設けられた前記バラスト水の入口ノズル及び出口ノズルと、前記胴部の両端部に設けられた純水の入口ノズル及び出口ノズルと、
    前記純水の入口ノズルから純水を前記ランプ保護スリーブと前記バラスト水通水管の周囲の前記胴部内に流通させて前記純水の出口ノズルから抜き出して循環させる冷却液循環装置とを備え、
    該冷却液循環装置は、純水タンクと、該純水タンク内の純水を前記純水の入口ノズルに供給し、前記純水の出口ノズルから流出される純水を前記純水タンクに戻す冷却液循環ポンプと、前記純水を冷媒により冷却する熱交換器と、前記純水の入口ノズルに供給する純水の圧力を制御する圧力制御弁と、前記純水の出口ノズルから流出される純水の温度を検出する温度センサと、前記純水の入口ノズルに供給する純水の流量を制御して前記温度センサにより検出される純水の温度を設定範囲に調整する流量制御弁を備えていることを特徴とするバラスト水の微生物不活化装置。
  5. 請求項4に記載のバラスト水の微生物不活化装置において、
    前記冷却液循環装置は、前記バラスト水の入口ノズルに供給される前記バラスト水の圧力を検出する圧力センサを備え、前記圧力制御弁は、前記バラスト水の圧力よりも前記純水の入口ノズルに供給する純水の圧力を設定圧低い圧力に制御することを特徴とするバラスト水の微生物不活化装置。
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