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JP2014049412A - 金属空気電池 - Google Patents

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JP2014049412A JP2012194187A JP2012194187A JP2014049412A JP 2014049412 A JP2014049412 A JP 2014049412A JP 2012194187 A JP2012194187 A JP 2012194187A JP 2012194187 A JP2012194187 A JP 2012194187A JP 2014049412 A JP2014049412 A JP 2014049412A
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Abstract

【課題】正極内における析出物の堆積を抑制することができ、且つ体積的なロスが小さい金属空気電池を提供する。
【解決手段】正極層と、負極層と、非水電解質と、正極層及び負極層の間に配置されたセパレータとを含む金属空気電池であって、セパレータが、2層以上の多孔体から構成され、2層以上の多孔体が、異なる平均孔径を有する空孔を含み、正極層側に配置された多孔体の空孔の平均孔径が、負極層側に配置された多孔体の空孔の平均孔径よりも大きい、金属空気電池。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸素を正極活物質として利用する金属空気電池に関する。
近年の携帯電話等の機器の普及、進歩に伴い、その電源である電池の高容量化が望まれている。このような中で、金属空気電池は、空気極において、大気中の酸素を正極活物質として利用して、当該酸素の酸化還元反応が行われ、一方、負極において、負極を構成する金属の酸化還元反応が行われることで、充電又は放電が可能であるため、エネルギー密度が高く、現在汎用されているリチウムイオン電池に優る高容量電池として注目されている(非特許文献1)。
しかしながら、非水系電解質を用いた金属空気電池では、負極に含有される金属成分の反応生成物、例えば過酸化リチウム(Li22)及び酸化リチウム(Li2O)等の反応生成物が正極(空気極)内に析出して蓄積し、そのため正極が目詰まりを起こして電解液と空気との接触が遮断され、充放電に支障をきたすという問題がある。
このような金属空気電池の失活の解消を図るための技術として、非特許文献1には、リチウムイオン伝導性固体電解質と負極との間に有機電解液を、当該電解質と正極(空気極)との間に水性電解液を配置することにより、正極での固体反応生成物である酸化リチウム(Li2O)の析出防止を図る技術が開示されている。
同様に、正極における固体の析出を回避してリチウム空気電池の失活を未然に防止するための技術として、空気極、負極、及び空気極と負極との間に介在して空気極に一部浸漬した水性電解液とを有するリチウム空気電池であって、前記水性電解液のうち空気極に浸漬していない部分の温度を、空気極に浸漬している部分の温度よりも低くする温度調節手段を備える空気電池が提案されている(特許文献1)。
特開2011−96456号公報
独立行政法人 産業技術総合研究所(産総研)、「新しい構造の高性能リチウム空気電池を開発」、[online]、2009年2月24日報道発表、[平成23年8月19日検索]、インターネット<http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2009/pr20090224/pr20090224.html>
非特許文献1に開示されたリチウム空気電池は、リチウムイオン伝導性固体電解質と空気極との間に配置された水性電解液に、電極反応によって生じる塩である水酸化リチウムLiOHを溶解させることによって、塩の析出防止を図っている。しかし、非特許文献1においては、水性電解液中の塩の飽和溶解度については一切考察されていないため、水酸化リチウム濃度が当該飽和溶解度を超えた場合においては、水酸化リチウムの析出が始まることが予想される。また、二次電池として使用するためには、正極の水性電解液を入れ替え、負極側の金属リチウムを入れ替える必要がある。したがって、非特許文献1に開示されたリチウム空気電池は、解決すべき課題が十分に達成できる発明であるとは考えられない。
また、特許文献2に記載の温度調整手段により、正極中に固体が析出することを回避し得るが、外部からエネルギーを印加する必要があるため、電熱素子等の様々な部材を電池に付ける必要があり、体積的なロスが大きい。
したがって、正極内における析出物の堆積を抑制することができ、且つ体積的なロスが小さい金属空気電池が望まれている。
本発明は、正極層と、負極層と、非水電解質と、正極層及び負極層の間の電解質層とを含む金属空気電池であって、
電解質層がセパレータを含み、
セパレータが、正極層側に配置された多孔体及び負極層側に配置された多孔体を含む2層以上の多孔体から構成され、
正極層側に配置された多孔体の空孔の平均孔径が、負極層側に配置された多孔体の空孔の平均孔径よりも大きい、
金属空気電池である。
本発明によれば、正極内における析出物の堆積を抑制することができ、且つ体積的なロスが小さい金属空気電池を得ることができる。
図1は、本発明に係る金属空気電池に含まれる電極部の一実施形態を表す断面模式図である。 図2は、本発明に係る金属空気電池に含まれる電極部の一実施形態を表す断面模式図である。 図3は、本発明に係る金属空気電池を含む電気化学セルの一例の断面模式図である。
本発明に係る金属空気電池は、正極層と、負極層と、非水電解質と、正極層及び負極層の間の電解質層とを含み、電解質層がセパレータを含み、セパレータが、正極層側に配置された多孔体及び負極層側に配置された多孔体を含む2層以上の多孔体から構成され、正極層側に配置された多孔体の空孔の平均孔径が、負極層側に配置された多孔体の空孔の平均孔径よりも大きい構成を有する。
本発明に係る金属空気電池は、放電時に金属イオンの酸化反応が起こるため、この反応熱により、電池内部において、正極層側がより高温となり、負極層側がより低温となる温度勾配を有する。
そして、この温度勾配を利用して、金属イオンの酸化反応等により生成した反応物を、正極層側に配置された多孔体の空孔内で析出させ、前記空孔内に反応物の析出物を格納することができる。
すなわち、温度勾配を有する電池内部において、反応物が析出する温度となる箇所に、析出物を格納できる比較的大きな空孔を含む多孔体が配置される。そして、それよりも温度が低い負極層側に、前記析出物が拡散し得ない比較的小さな空孔を含む多孔体が配置される。負極層側の多孔体は空孔径が小さいため、好ましくは、負極層側の多孔体は空孔内に析出物はほとんど拡散せず、電解液のみが拡散し得る。
正極層側に配置した多孔体内に析出した反応物が、負極層に拡散しないように、正極層側に配置した多孔体に含まれる空孔の孔径と負極層側に配置した多孔体に含まれる空孔の孔径とが不連続な変化を示すことが好ましい。
このような多孔体の配置により、正極層側に配置された多孔体の空孔内部に析出物を格納することができ、正極層内において析出物が堆積して正極層が目詰まりを起こすことを抑制することができる。これにより、正極層内にて金属イオン及び酸素の拡散を確保することができ電池の高容量化が可能となる。
また、負極層に析出物が到達することを抑制することもでき、好ましくは負極層側の多孔体の空孔内部にも析出物が拡散することを抑制することができ、負極界面抵抗の上昇を防ぎ、電池の充放電サイクル特性の向上や出力特性の向上が可能となる。
本発明に係る空気電池において、正極層側に配置された多孔体とは、正極層に最も近い位置に配置された多孔体である。負極層側に配置された多孔体とは、負極層に最も近い位置に配置された多孔体である。
本発明に係る空気電池において、2層以上の多孔体とは、少なくとも正極層側に配置された多孔体の平均孔径と負極層側に配置された多孔体の平均孔径とが異なる多層構造の多孔体をいい、各層の多孔体の平均孔径が互いに不連続に異なり実質的に2層以上の構造を有する多孔体が含まれる。したがって、前記2層以上の多孔体には、2層以上の多孔体をあらかじめ接合したものや、多層構造を有するように一体成形した多孔体も含まれる。
前記2層以上の多孔体は、3層以上の多孔体を含んでもよい。この場合でも、正極層側に配置された多孔体内に格納された析出物が負極層に到達しないように、好ましくは負極層側に配置された多孔体に析出物が拡散しないように、構成すればよい。中間層となる多孔体に含まれる空孔の平均孔径は、正極層側に配置された多孔体の平均孔径と負極層側に配置された多孔体の平均孔径との間であることが好ましい。より好ましくは、正極層側に配置された多孔体内に格納された析出物が、負極層側に配置された多孔体の空孔にも拡散しないように、中間層に含まれる空孔の平均孔径は、析出物が拡散し得ない大きさであることができ、さらに好ましくは負極層側に配置された多孔体の空孔の平均孔径と実質的に同じであることができる。
本発明に係る金属空気電池に含まれるセパレータを構成する多孔体として、従来よりセパレータとして使用されているものを用いてもよく、例えば、ポリプロピレン製不織布、ポリフェニレンスルフィド製不織布等の高分子不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等の微多孔フィルム、またはこれらの組み合わせを用いることができる。
本発明に係る金属空気電池に含まれるセパレータを構成する多孔体は、好ましくは多孔質固体電解質であり、より好ましくはリチウムイオン伝導性を示す多孔質固体電解質であって、例えば、LiSICON系、ペロブスカイト系、NASICON系、ガーネット系、硫化物ガラス系、酸化物ガラス系、または硫化物ガラス系若しくは酸化物ガラス系を焼結させたガラスセラミック系の固体電解質等であることができ、10-4S/cm以上のリチウムイオン伝導度を示す固体電解質が特に好ましい。セパレータを構成する多孔体を多孔質固体電解質とすることによって、析出物の堆積によって多孔体内の空孔の閉塞が進んだ場合でも、イオン伝導性を確保することができる。
正極層側に配置される多孔体及び負極層側に配置される多孔体は、異なる材料であってもよく、例えば正極層側に配置される多孔体がリチウムイオン伝導性を示す多孔質固体電解質であり、負極層側に配置される多孔体がポリプロピレン製不織布であってもよい。
好ましくは、正極層側に配置される多孔体は多孔質固体電解質である。正極層側に配置される多孔体の空孔には、析出物が堆積するため、仮に多孔体内の空孔の閉塞が進んだ場合でも、イオン伝導性を確保することができる。より好ましくは、正極層側に配置される多孔体及び負極層側に配置される多孔体は両方とも多孔質固体電解質であり、さらに好ましくは両方ともリチウムイオン伝導性を示す多孔質固体電解質である。
正極層側に配置された多孔体に含まれる空孔の平均孔径は、好ましくは100nm〜100μm、より好ましくは500nm〜50μm、さらに好ましくは1μm〜10μmである。正極層側に配置された多孔体に含まれる空孔の平均孔径が上記範囲内であることで、空孔内に析出物を保持しつつ、3次元的なイオンパスを確保することができ、リチウムイオン伝導性への影響を小さく抑えることができる。
負極層側に配置された多孔体に含まれる空孔の平均孔径は、好ましくは1nm〜100nm、より好ましくは1nm〜50nmである、さらに好ましくは10nm〜50nmである。負極層側に配置された多孔体に含まれる空孔の平均孔径が上記範囲内であることで、電解液を浸透しやすくしつつ、正極層側に配置された多孔体に保持された析出物が拡散することを抑制することができる。
正極層側に配置された多孔体の空隙率は、好ましくは50〜90%、より好ましくは60〜80%、さらに好ましくは65〜75%である。正極層側に配置された多孔体の空隙率が上記範囲内であることで、空孔内に析出物を保持しつつ、析出物が多孔体の空孔を閉塞しにくく、三次元的な空孔のつながりを確保することができる。
負極層側に配置された多孔体の空隙率は、好ましくは5〜30%、より好ましくは10〜20%である。負極層側に配置された多孔体の空隙率が上記範囲内であることで、電解液を浸透しやすくしつつ、正極層側に配置された多孔体に保持された析出物が拡散することを抑制することができる。
正極層側に配置された多孔体に多孔質固体電解質を用いる場合、多孔質固体電解質の細孔容積は0.1mL/g以上であることが好ましく、また比表面積が100m2/g以上であるものが好ましい。
多孔体内の空孔は、空孔の大部分が3次元的網目構造を有する開気孔であることが好ましい。
セパレータを構成する多孔体には、液体電解液、ゲル電解液等を含浸させて電解質層を形成することができる。
以下、図面を参照して本発明に係る金属空気電池を説明する。
図1に、本発明の第1の実施形態に係る金属空気電池における、正極層1、電解質層2、及び負極層3を含む電極部の断面模式図を示す。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る金属空気電池に含まれる電極部は、正極層1、負極層3、正極層1及び負極層3の間に配置された電解質層2を含む。電解質層2は、正極層側に配置された多孔体21及び負極層側に配置された多孔体22から構成されたセパレータを備えており、多孔体21に含まれる空孔の平均孔径は、多孔体22に含まれる空孔の平均孔径よりも大きい。多孔体21に含まれる空孔は、略球状の空孔4を含むことができる。多孔体21及び多孔体22は好ましくは固体電解質である。好ましくは、多孔体22に含まれる空孔の少なくとも一部は3次元的に連結している開気孔であり、多孔体21についても同様である。
複数の略球状空孔4が、液体電解質、ゲル電解質等を含むことができ、また、複数の略球状空孔4内に反応析出物を保持することができる。
多孔体21内に複数の略球状空孔4が実質的に均一に分布していることが好ましい。この場合、複数の略球状空孔4が反応析出物を均一に保持しやすくなり、空孔の閉塞がより発生しにくくなる。
複数の略球状空孔4は、球状、楕円体状等の略球状であることが好ましいが、半球状、多角形状等であってもよい。また、複数の略球状空孔4は、それぞれが異なる形状の空孔であってもよい。
図2に、本発明の第2の実施形態に係る金属空気電池における、正極層1、電解質層2、及び負極層3を含む電極部の断面模式図を示す。
図2に示すように、本発明の第2の実施形態に係る金属空気電池に含まれる電極部は、正極層1、負極層3、正極層1及び負極層3の間に配置された電解質層2を含む。電解質層2は、正極層側に配置された多孔体21及び負極層側に配置された多孔体22から構成されるセパレータを備えている。多孔体21に含まれる空孔の平均孔径は、多孔体22に含まれる空孔の平均孔径よりも大きい。多孔体21に含まれる空孔は、複数の柱状空孔5が、正極層と負極層側に配置された多孔体とをつなぐように並んだ形態を有することができる。
全ての柱状空孔5が正極層と負極層側に配置された多孔体とをつなぐように配置されていることが好ましいが、一部の柱状空孔5が、正極層及び/または負極層側に配置された多孔体につながっていなくてもよい。柱状空孔5は、正極層と負極層側に配置された多孔体とに対して垂直に配置されていてもよく、傾斜して配置されていてもよい。柱状空孔5はまた、直線状であってもよく、あるいは曲線状であってもよい。多孔体21及び多孔体22は好ましくは固体電解質である。好ましくは、多孔体22に含まれる空孔の少なくとも一部は3次元的に連結している開気孔である。
複数の柱状空孔5が、液体電解質、ゲル電解質等を含むことができ、また、柱状空孔5内に反応析出物を保持することができる。
多孔体21内に複数の柱状空孔5が均一に分布していることが好ましい。この場合、複数の柱状空孔5が反応析出物を均一に保持しやすくなり、空孔の閉塞がより発生しにくくなる。
また、複数の柱状空孔5の全てが互いに分離されていることが好ましいが、複数の柱状空孔5のいくつかが互いに接していてもよい。
複数の柱状空孔5は、正円柱、半円柱、若しくは1/4円柱、または楕円柱形状等の円柱形状であることが好ましいが、円柱形状に限られず、角柱形状、またはこれらの複合形状等、任意の形状の柱状空孔であることができる。また、複数の柱状空孔5は、それぞれが異なる形状の柱状空孔であってもよい。
本発明に係る金属空気電池の電極部は、第1及び第2の実施形態に限定されるものではなく、例えば、第1及び第2の実施形態を組み合わせてもよい。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
正極層は導電材を含むことができる。導電材としては、好ましくは多孔質材料が挙げられるが、それらに限られない。また、多孔質材料としては、例えばカーボン等の炭素材料が挙げられ、カーボンとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、メソポーラスカーボン等のカーボンブラック、活性炭、カーボン炭素繊維等が挙げられ、比表面積の大きいカーボン材料が好ましく用いられる。また、多孔質材料としては、1mL/g程度のナノメートルオーダーの細孔容積を有するものが望ましい。好ましくは、導電材は、正極層中において10〜99質量%を占める。
正極層はバインダーを含むことができる。バインダーとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素ゴム等のフッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル等の熱可塑性樹脂、またはスチレンブタジエンゴム(SBR)等を用いることができる。好ましくは、バインダーは、正極層中において1〜40質量%を占める。
正極層は酸化還元触媒を含んでもよく、酸化還元触媒としては、二酸化マンガン、酸化コバルト、酸化セリウム等の金属酸化物、Pt、Pd、Au、Ag等の貴金属、Co等の遷移金属、コバルトフタロシアニン等の金属フタロシアニン、Feポルフィリン等の有機材料等が挙げられる。好ましくは、酸化還元触媒は、正極層中において1〜90質量%を占める。
本発明に係る空気電池において、電解質層は、正極層及び負極層の間で金属イオンの伝導を行うものであり、多孔体から構成された上記セパレータを含み、さらに液体電解質、ゲル状電解質、またはそれらの組み合わせを含むことができる。電解質は上述の正極層内の細孔にも浸入し得、正極層内の細孔の少なくとも一部を満たす。
液体電解質としては、正極層および負極層との間で金属イオンを交換することができる液体を用いることができ、非プロトン性の有機溶媒、またはイオン液体等であることができる。
有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、グライム類等が挙げられる。
イオン液体としては、副反応を抑制することができる酸素ラジカル耐性の高いものが好ましく、例えばN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(DEMETFSA)、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(PP13TFSA)等が挙げられる。また、電解液として、上述のイオン液体と有機溶媒を組み合わせて用いることもできる。
電解液には支持塩を溶解させてもよい。支持塩としては、リチウムイオンと、次に挙げるアニオン:
Cl-、Br-、I-などのハロゲン化物アニオン;BF4 -、B(CN)4 -、B(C242 -等のホウ素化物アニオン;(CN)2-、[N(CF32-、[N(SO2CF32-等のアミドアニオン又はイミドアニオン;RSO3 -(以下、Rは脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を指す)、RSO4 -、RfSO3 -(以下、Rfは含フッ素ハロゲン化炭化水素基を指す)、RfSO4 -等のスルフェートアニオン又はスルフォネートアニオン;Rf 2P(O)O-、PF6 -、Rf 3PF3 -等の含リンアニオン;SbF6等の含アンチモンアニオン;またはラクテート、硝酸イオン、トリフルオロアセテート、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド等のアニオン、
とからなる塩を用いることができ、
例えばLiPF6、LiBF4、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(LiN(CF3SO22、以下、LiTFSAという)、LiCF3SO3、LiC49SO3、LiC(CF3SO23及びLiClO4等が挙げられ、LiTFSAが好ましく用いられる。このような支持塩を2種以上組み合わせて用いてもよい。また、電解液に対する支持塩の添加量は特に限定されないが、0.1〜1mol/kg程度とすることが好ましい。
また、電解質としてゲル電解質を用いてもよい。電解質に用いることのできるゲル電解質は、例えばイオン液体と共に用いることができ、リチウム塩とポリマーと非水溶媒とを含有するものであることが好ましい。リチウム塩としては、上述したリチウム塩を用いることができる。非水溶媒としては、上記リチウム塩を溶解できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば上述した有機溶媒を用いることができる。これらの非水溶媒は、一種のみを用いてもよく、二種以上を混合して用いても良い。ポリマーとしては、ゲル化が可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロプレンオキシド、ポリアクリルニトリル、ポリビニリデンフロライド(PVDF)、ポリウレタン、ポリアクリレート、セルロース等が挙げられる。
本発明に係る金属空気電池に含まれる負極層は、負極活物質を含有する層である。負極活物質としては、例えば、金属、合金材料、または炭素材料等を用いることができ、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム等の第13族元素、亜鉛、鉄、銀等の遷移金属、これらの金属を含有する合金材料、若しくはこれらの金属を含有する材料、またはグラファイト等の炭素材料、さらにはリチウムイオン電池等に用いられ得る負極材料等が挙げられる。
また、負極活物質としてリチウムを含有する材料を用いる場合、リチウムを含有する材料としては、リチウムの炭素質物、リチウム元素を含む合金、またはリチウム酸化物、窒化物、若しくは硫化物を用いることができる。リチウム元素を有する合金としては、例えばリチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金等を挙げることができる。リチウム元素を有する金属酸化物としては、例えばリチウムチタン酸化物等を挙げることができる。また、リチウム元素を含有する金属窒化物としては、例えばリチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物等を挙げることができる。
負極層は、導電性材料及び/またはバインダーをさらに含有してもよい。例えば、負極活物質が箔状である場合は、負極活物質のみを含有する負極層とすることができ、負極活物質が粉末状である場合は、負極活物質及びバインダーを有する負極層とすることができる。なお、導電性材料及びバインダーについては、上述の正極層に用いられ得る材料と同様のものを用いることができる。
本発明に係る金属空気電池に用いられ得る外装材としては、金属缶、樹脂、ラミネートパック等、空気電池の外装材として通常用いられる材料を使用することができる。
外装材には、酸素を供給するための孔を、任意の位置に設けることができ、例えば、正極層の空気との接触面に向かって設けることができる。酸素源としては、乾燥空気または純酸素が好ましい。
本発明に係る金属空気電池は酸素透過膜を含むことができる。酸素透過膜は、例えば正極層上であって電解質層と反対側の空気との接触部側に配置され得る。酸素透過膜としては、空気中の酸素を透過させ、かつ水分の進入を防止できる撥水性の多孔質膜等を用いることができ、例えば、ポリエステルやポリフェニレンサルファイド等からなる多孔質膜を用いることができる。撥水膜を別途配置してもよい。
正極層に隣接して正極集電体を配置することができる。正極集電体は、通常、正極層上であって、電解質層と反対側の空気との接触部側に配置され得るが、正極層と電解質層との間にも配置してもよい。正極集電体としては、カーボンペーパー、金属メッシュ等の多孔質構造、網目状構造、繊維、不織布等、従来から集電体として用いられる材料であれば特に限定されず用いることができ、例えば、SUS、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン等から形成した金属メッシュを用いることができる。正極集電体として、酸素供給孔を有する金属箔を用いることもできる。
負極層に隣接して負極集電体を配置することができる。負極集電体としては、多孔質構造の導電性基板、無孔の金属箔等、従来から負極集電体として用いられる材料であれば特に限定されず用いることができ、例えば、銅、SUS、ニッケル等から形成した金属箔を用いることができる。
本発明に係る金属空気電池の形状は、酸素取り込み孔を有する形状であれば特に限定されず、円筒型、角型、ボタン型、コイン型、または扁平型等、所望の形状をとることができる。
本発明に係る金属空気電池は、二次電池として使用することができるものであるが、一次電池として使用してもよい。
(正極層及び負極層の作製例)
本発明に係る金属空気電池に含まれる正極層及び負極層は、従来行われている任意の方法で形成され得る。例えば、カーボン粒子及びバインダーを含む正極層を形成する場合、所定量のカーボン粒子及びバインダーに適量のエタノール等の溶媒を加えて混合し、得られた混合物をロールプレスで所定の厚みに圧延して、乾燥及び切断して正極層を形成することができる。次いで、正極集電体を圧着し、加熱真空乾燥して、集電体を組み合わせた正極層を得ることができる。別法として、所定量のカーボン粒子及びバインダーに適量の溶媒を加えて混合してスラリーを得て、スラリーを基材上に塗工及び乾燥を行って正極層を得ることができる。所望により得られた正極層をプレス成形してもよい。スラリーを得るための溶媒としては、沸点が200℃以下のアセトン、NMP等を用いることができる。スラリーの正極層の基材上への塗工プロセスとしては、ドクターブレード法、グラビヤ転写法、インクジェット法等が挙げられる。用いられる基材は、特に制限されるものではなく、集電体として用いる集電板、フィルム状の柔軟性を有する基材、硬質基材等を用いることができ、例えばSUS箔、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、テフロン(登録商標)等の基材を用いることができる。負極層の形成方法についても同様である。
(セルの作製例)
本発明に係る金属空気電池は、従来行われている任意の方法で作製され得る。本発明に係る金属空気電池の作成例を以下に示すが、これに限定されるものではない。
90質量%のケッチェンブラック、10質量%のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)バインダー、及び溶媒として適量のエタノールを混合して、混合物を得ることができる。得られた混合物をロールプレスにて圧延し、乾燥及び切断し、正極層を得ることができる。
例えばSUS304製100メッシュを集電体として用いて、正極層と集電体とを圧着し、次いで加熱真空乾燥を行い、正極層に集電体を組み合わせることができる。
電解液として例えばイオン液体を用いることができ、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(DEMETFSA)を溶媒として、リチウム塩であるリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(LiTFSA)を例えば0.35mol/kgの濃度になるように、25℃にて12時間、Ar雰囲気下で混合して溶解させて、電解液を調製することができる。
負極層として、例えば、金属リチウム箔を用意し、SUS304板の負極集電体に貼り付けることができる。
密閉容器として、図3に示す電気化学セル10を用いる。Ar等の不活性雰囲気下で、電気化学セル10に、負極集電体が下側になるようにして負極集電体7及び負極層3を組み付け、負極層3の上にセパレータ2の多孔体22として、例えば50nmの平均空孔径及び15%の空隙率を有するリチウムイオン伝導性を示す多孔質固体電解質を配置し、さらにセパレータ2の多孔体21として例えば30μmの平均空孔径及び70%の空隙率を有するリチウムイオン伝導性を示す多孔質固体電解質を配置し、調製した電解液を多孔体21及び多孔体22に注入して電解質層2を形成し、次いで正極層1中の空隙にも電解液が浸透するように正極層1及び正極集電体6を組み付けて、ガス溜め部8を備えた金属空気電池10を作製することができる。
1 正極層
2 電解質層
21 正極層側に配置された多孔体
22 負極層側に配置された多孔体
3 負極層
4 略球状空孔
5 柱状空孔
6 正極集電体
7 負極集電体
8 ガス溜め部
9 密閉容器
10 電気化学セル

Claims (7)

  1. 正極層と、負極層と、非水電解質と、前記正極層及び負極層の間の電解質層とを含む金属空気電池であって、
    前記電解質層がセパレータを含み、
    前記セパレータが、正極層側に配置された多孔体及び負極層側に配置された多孔体を含む2層以上の多孔体から構成され、
    前記正極層側に配置された多孔体の空孔の平均孔径が、前記負極層側に配置された多孔体の空孔の平均孔径よりも大きい、
    金属空気電池。
  2. 前記正極層側に配置された多孔体が、イオン伝導性固体電解質である、請求項1に記載の金属空気電池。
  3. 前記正極層側に配置された多孔体の前記空孔の平均孔径が100nm〜100μmである、請求項1または2に記載の金属空気電池。
  4. 前記負極層側に配置された多孔体の前記空孔の平均孔径が1nm〜100nmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属空気電池。
  5. 前記正極層側に配置された多孔体の空隙率が50〜90%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属空気電池。
  6. 前記負極層側に配置された多孔体の空隙率が5〜30%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の金属空気電池。
  7. 前記負極層がリチウムを含有する材料を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の金属空気電池。
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