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JP2014046518A - 積層体、偏光板、光学材料、表示装置及びタッチパネル - Google Patents

積層体、偏光板、光学材料、表示装置及びタッチパネル Download PDF

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JP2014046518A JP2012190217A JP2012190217A JP2014046518A JP 2014046518 A JP2014046518 A JP 2014046518A JP 2012190217 A JP2012190217 A JP 2012190217A JP 2012190217 A JP2012190217 A JP 2012190217A JP 2014046518 A JP2014046518 A JP 2014046518A
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Abstract

【課題】透過性に優れた安価な積層体と、それを使用した、高品位の表示装置等を提供すること。
【解決手段】
無機化合物粒子と、前記無機化合物粒子に結合しているポリマーとを含む有機無機複合体を含有する有機無機複合膜と、
粘着剤又は接着剤を含有する接続層と、を有し、
前記有機無機複合膜中の空隙の割合が、前記有機無機複合膜の体積を基準として3〜90体積%である、積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機無機複合膜及び接続層を有する積層体、並びに、それを備える偏光板、光学材料、表示装置及びタッチパネルに関する。
昨今、表示装置の主流はフラットパネルディスプレイ(FPD)であり、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイ(PDP)等の種類がある。これらFPDに対する市場ニーズとしては、高品位化、省電力化、薄型化、低価格化等が挙げられる。
FPDの表示機能を発現させるためには、ディスプレイ内部に、複数の光学フィルム等の光学部材を組み込み、複数の層を積層する必要がある。粘着剤又は接着剤からなる接続層を設けることで、各層の光軸のズレや、各層同士が擦れて傷つくことを防止することができる。
また、接続層を介さずに、光学部材を積層すると、光学部材間に空気層ができる。その結果、各光学部材界面と空気層(屈折率1.0)との間に大きな屈折率差ができる。この屈折率差により界面反射が起こると、透過光が減少する。透過光が減少すると品位が低下し、品位を維持しようとすると消費電力の増加を招くため、市場ニーズを満たすためには、この界面反射を抑制する必要がある。
従来から、光学フィルム等の光学部材間を接続層を介し、複数の光学部材を積層し一体化することで、界面反射を抑制する手法が提案されているが、市場からは更なる高品位化、省電力化、薄型化が求められており、まだニーズを満足するものではない。
そこで、各光学部材界面と空気層との屈折率差を小さくする手段として、ナノインプリント等による微細加工、プリズムシートやマイクロレンズを使用した手法等が提案されている。これらの手法は、優れた光学特性が得られる半面、安定的に大量生産することが困難であり、製造コストが高くなる。また光学フィルム表面に凹凸が形成されるため、積層する際に、凹部に粘着剤や接着剤が入り込み易く、光学特性を損ない易いという問題がある。
逆に、光学部材と空気層との界面の屈折率差を利用すれば、FPDを高機能化することも可能である。例えば、光の方向を有用な方向に曲げることや、界面に入射する不要な方向の光を反射させて光源側に戻して再反射させ、有用な方向の光に変化させることができるため、この機構を利用して、高品位化、省電力化が可能となる。しかしながら、空気層を維持するためにスペーサー(枠)等を介して光学部材を組み合せると、膜厚が厚くなり、薄型化という市場ニーズに合致しなくなる。スペーサー(枠)等を介さずに、積層体が成形できれば、薄型化が可能となる。
また、昨今のテレビの大型化に伴い、LCDでは輝度向上のために光源本数が増加する傾向があり、筐体内部が過熱しやすくなっている。このような過熱環境下で、光学フィルム等の薄い光学部材が独立して存在すると、光学部材が熱による変質や歪みが発生し易くなり、FPDの品位低下の原因となる。過熱環境下での光学部材の変質や歪み防止の観点からも、接続層を介した積層体として一体化させることは有用である。
つまり、更にFPDの機能を向上させるためには、接続層を介して複数の光学部材を積層して一体化させるとともに、界面反射を制御するための新たな技術を、更に付加することが必要である。
特許文献1では、エアロゲルを用いて低屈折率層を形成した、光学積層フィルムが報告されている。
特許文献2では、プリズムシートを用いた、光学積層体が報告されている。
国際公開第2006/068200号公報 特開2008−176206号公報
光学フィルム等の光学部材と空気層の界面反射を抑制するためには、光学部材と空気層の間に、nm〜μmオーダーの厚みで、屈折率1.05〜1.38程度の低屈折率層を設けることで、屈折率を段階的に変化させることが効果的である。
低屈折率層を形成できる材料として、フッ素系樹脂や中空シリカを含むコーティング材等が市販されているが、これらは殆ど屈折率1.35以上である。
低屈折率層の屈折率を更に低減させ、より大きな界面反射抑制効果を得るためには、有機無機複合体の粒子間に空隙を形成するなどして、低屈折率層内に空隙を導入する方法が有効であると考えることができる。空気の屈折率は1.00であり、空隙中に空気を含む低屈折率層は非常に低い屈折率を有することとなるからである。
また超低屈折率の材料として、エアロゲルが知られているが、単独で工業的に成膜することは難しく、生産性の高いUV硬化処理で製造することが困難であることから、工業的実用性に乏しい。
しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献1の方法の場合、エアロゲルに、バインダーと中空シリカゾルを加えて、UV硬化(UV架橋)することで低屈折率層を形成したとされている。しかしながら、そのコーティング液の組成では、UV架橋のための官能基が十分に含まれないために硬化不良となり、ディスプレイの必須要件である長期信頼性が担保できない。
また、成膜のためにバインダー成分等を加えるため、得られる低屈折率層の屈折率の実態は1.33〜1.37である。また低屈折率層との屈折率差を維持するため、その下地として屈折率1.57〜1.62の、特殊な高屈折率ハードコート層を使用している。一般的なハードコート材を使用した場合の屈折率は1.50前後であるため、特殊な条件下での使用が開示されているのみである。通常、高屈折率ハードコート材は一般的なハードコート材よりも高価であり、上記低屈折率層の成分である中空シリカゾルは、数十万円/kg(固形分換算)と非常に高価であることも、低価格化を妨げる要因となる。
また、特許文献2の方法の場合、プリズムシートの上に、直接、接着層を重ねている。この方法の場合、少しの部分応力でプリズムシートの凹部に接着層が入り込むため、製造が難しく、製造コストが高くなる。
一方で、上述のような問題が生じない低屈折率層を作製する方法として、有機ポリマーの片末端が無機物粒子に結合している有機無機複合体を利用して、効果的に空隙を形成させた有機無機複合膜、つまり、光を散乱せず、透明性が高く、十分な低屈折率化を図れる低屈折率層を形成する方法がある。そしてこのような低屈折率層と接続層とを有する積層体についての具体的な技術事項は、これまで明らかでなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、透過性に優れた安価な積層体と、それを使用した、高品位の表示装置等を提供することを目的とする。
本発明は、以下のものに関する。
[1]無機化合物粒子と、前記無機化合物粒子に結合しているポリマーとを含む有機無機複合体を含有する有機無機複合膜と、
粘着剤又は接着剤を含有する接続層と、を有し、
前記有機無機複合膜中の空隙の割合が、前記有機無機複合膜の体積を基準として3〜90体積%である、積層体。
[2]前記無機化合物粒子が、数珠状に連結した複数の一次粒子を含む鎖状の構造を形成している、[1]に記載の積層体。
[3]前記無機化合物粒子と前記ポリマーとが、下記式1で表される構造を有するカップリング剤を介して結合している、[1]又は[2]に記載の積層体。
X−Si(R1)(R2)(R3) ・・・(式1)
[式中、Xは、重合開始基であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜10のアルキル基であり、R3は、炭素原子数が1〜10のアルコキシ基、水素原子、水酸基又はハロゲン原子である。]
[4]前記ポリマーの分子量分布が2.3以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5]前記ポリマーが、メタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルをモノマー単位として含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
[6]前記ポリマーが、少なくとも1つの架橋性官能基を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[7]前記ポリマーの数平均分子量Mnが、10000〜100000g/molである、[1]〜[6]のいずれかに記載の積層体。
[8]前記無機化合物粒子の含有量が、前記有機無機複合体の全体積を基準として55〜94体積%である、[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体。
[9]前記有機無機複合膜が、理論屈折率より0.020以上低い屈折率を有する、[1]〜[8]のいずれかに記載の積層体。
[10]前記有機無機複合膜の屈折率が1.35以下である、[1]〜[9]のいずれか1項に記載の積層体。
[11]前記有機無機複合膜の最小反射率が1%以下である、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の積層体。
[12]前記有機無機複合膜が、光硬化又は熱硬化されている、[1]〜[11]のいずれか1項に記載の積層体。
[13]前記有機無機複合膜の厚みが、80nm〜2μmである、[1]〜[12]のいずれか1項に記載の積層体。
[14]前記粘着剤のガラス転移温度が0℃以下である、[1]〜[13]のいずれかに記載の積層体。
[15]前記粘着剤が、アクリル酸エステルとアクリル酸との共重合体を含む、[1]〜[14]のいずれかに記載の積層体。
[16]前記接着剤が、硬化型接着剤を含む、[1]〜[15]のいずれかに記載の積層体。
[17]導電フィルムを更に有する、[1]〜[16]のいずれかに記載の積層体。
[18]偏光子を更に有する、[1]〜[17]のいずれかに記載の積層体。
[19]プリズムシート又は拡散板を更に有する、[1]〜[18]のいずれかに記載の積層体。
[20]位相差フィルムを更に有する、[1]〜[19]のいずれかに記載の積層体。
[21]輝度向上フィルムを更に有する、[1]〜[20]のいずれかに記載の積層体。
[22]支持体を更に有し、
前記支持体、前記有機無機複合膜及び前記接続層がこの順で積層した構成を有する、[1]〜[21]のいずれかに記載の積層体。
[23]支持体を更に有し、
前記有機無機複合膜及び前記接続層をそれぞれ2以上有し、
前記支持体、第一の前記有機無機複合膜、第一の前記接続層、第二の前記有機無機複合膜及び第二の前記接続層がこの順で積層した構成を有する、[1]〜[22]のいずれか一項に記載の積層体。
[24]前記支持体が、トリアセチルセルロースフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム、アクリルフィルム及び環状ポリオレフィンフィルムからなる群より選択される、[1]〜[23]のいずれかに記載の積層体。
[25][1]〜[24]のいずれかに記載の積層体を備える、偏光板。
[26][1]〜[24]のいずれかに記載の積層体を備える、光学材料。
[27][1]〜[24]のいずれかに記載の積層体を備える、表示装置。
[28][1]〜[24]のいずれかに記載の積層体を備える、タッチパネル。
本発明によれば、透過性に優れた安価な積層体と、それを使用した、高品位の表示装置等を提供することができる。
無機化合物粒子の最大長及び最小幅の算出方法を示す模式図である。 原材料の数珠状無機化合物粒子のTEM写真である。 液晶ディスプレイ(LCD)の構成の一例を示す模式断面図である。 偏光板の基本構成の一例を示す模式断面図である。 粘着層付偏光板の基本構成の一例を示す模式断面図である。 反射防止機能付偏光板の基本構成の一例を示す模式断面図である。 位相差フィルム付偏光板の基本構成の一例を示す模式断面図である。 視覚補償フィルム付偏光板の基本構成の一例を示す模式断面図である。 液晶セルの一例を示す模式断面図である。 液晶表示素子の一例を示す模式断面図である。 プリズムシート内蔵積層フィルムの一例を示す模式断面図である。 プリズムシート代替低屈折率層付PETフィルム内蔵積層フィルムの一例を示す模式断面図である。 プリズムシート内蔵積層フィルムの入射光を示す図である。 液晶バックライトユニット積層体を模した構成図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[(A)無機化合物粒子]
無機化合物とは、有機化合物以外の化合物であり、具体的には、一部の炭素化合物除き、炭素以外の元素で構成される化合物を指す。
無機化合物を構成する元素としては、例えば、周期律表1〜16族の元素が挙げられる。この元素は、特に限定されるものではないが、周期律表2〜14族に属する元素が好ましい。その具体例としては、2族元素(Mg、Ca、Ba等)、3族元素(La、Ce、Eu、Ac、Th等)、4族元素(Ti、Zr、Hf等)、5族元素(V、Nb、Ta等)、6族元素(Cr、Mo、W等)、7族元素(Mn、Re等)、8族元素(Fe、Ru、Os等)、9族元素(Co、Rh、Ir等)、10族元素(Ni、Pd、Pt等)、11族元素(Cu、Ag、Au等)、12族元素(Zn、Cd等)、13族元素(Al、Ga、In等)、及び14族元素(Si、Ge、Sn、Pb等)が挙げられる。
これら元素を含む無機化合物としては、例えば、酸化物(複合酸化物を含む)、ハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、オキソ酸塩(硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、過塩素酸塩、炭酸塩等)、一酸化炭素、二酸化炭素及び二硫化炭素等の陰性の元素と上記元素とから形成される化合物、並びに、青酸、青酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩及び炭化物などの塩が挙げられる。
炭素化合物のうち、例外的に無機化合物に分類されるものには、例えば、ダイヤモンド、ロンズデーライト、グラファイト、グラフェン、フラーレン類(バックミンスターフラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等)、ガラス状炭素、カルビン、アモルファス炭素、カーボンナノフォームなど炭素の同素体等が挙げられる。
1つの無機化合物粒子は、上記元素のうち1種又は2種以上の含んでいてもよい。複数種の元素は、粒子中に均一に存在していても、偏在していてもよく、ある元素の化合物の粒子の表面が、別の元素の化合物によって被覆されていてもよい。これら無機化合物は、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。
無機化合物粒子(特に球状粒子)の大きさは、特に限定されるものではないが、平均粒径(粒子の外径の平均値)は好ましくは1〜200nmである。平均粒径が200nmより大きいと、有機無機複合体を光学材料として使用したときに、光の散乱などの問題が発生し易くなる傾向があり、平均粒径が1nm未満であると、無機化合物粒子を構成する物質固有の特性が変化する可能性がある。また、無機化合物粒子間の空隙を効果的に形成することが困難になる。同様の観点から、無機化合物粒子の平均粒径はより好ましくは1〜150nm、更に好ましくは10〜100nmである。特に、成膜性の有機無機複合体、及び、それを利用したコーティング膜、成形体、光学材料等に透明性が要求される場合には、粒子の大きさが、レイリー散乱領域に入る必要があるため、無機化合物粒子の平均粒径が10〜70nmであることが好ましく、10〜60nmであることが更に好ましい。無機化合物粒子の平均粒径の測定方法は後述の実施例において詳細に説明される。
無機化合物粒子の形状や結晶形は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、結晶状、鱗片状、柱状、管状、繊維状、中空状、多孔質状、数珠状等、様々な形状であってよい。中でも、空隙を効果的に形成できる構造という観点から、中空、数珠状、又は球状が好ましい。
無機酸化物粒子とは、炭素以外の元素、例えば、Si、Zr、Ti、Ar、Sn、Ca、Ba等の酸化物から形成された粒子であれば、特に限定されるものではないが、入手のし易さの観点から、SiO、ZrO、TiO、Al、BaTiO、及びCaCOが好ましく、特に好ましくは、SiOである。無機化合物は、ZrO粒子又はTiO粒子と、これら粒子の表面を被覆するSiO、及びAl等とを有していてもよい。これらは、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。
[(A1):数珠状に連結した複数の一次粒子を含む鎖状の構造を形成する無機化合物粒子]
複数の一次粒子が数珠状に連結した鎖状の構造を有する無機化合物粒子(以下、「数珠状無機化合物粒子」という。)とは、限定されるものではないが、粒子が数珠状に連結及び/又は分岐した形状を持つ。具体的には例えば、図2に示すように、球状のコロイダルシリカが数珠状に連結した鎖状の構造を有するもの、及び連結したコロイダルシリカが分岐したもの(以下、「数珠状シリカ」という。)などを挙げることができる。上記数珠状シリカは球状シリカの一次粒子を2価以上の金属イオンを介在させ粒子−粒子間を結合させたものである。少なくとも3個以上、更に好ましくは5個以上、より好ましくは7個以上の一次粒子が連結されている。数珠状無機化合物粒子は、数珠状に連結した一次粒子が分岐したものも包含する。数珠状無機化合物粒子をSEM、及びTEM等の電子顕微鏡を用いて倍率50,000〜100,000倍で観察したとき、視野に存在する粒子のうち、単独の球状粒子ではなく上記鎖状の構造を有する、及び分岐した構造を有する形態で存在している粒子の数が、少なくとも50%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは90〜100%の範囲にある。数珠状無機化合物粒子は、その立体的な障害により、他の数珠状無機化合物粒子が空間を密に占めることができず、その結果、より空隙率の高い膜を容易に形成できるため、特に好ましい。更には、上述の数珠状無機化合物粒子のようなL/Dが大きな無機化合物粒子を使用した場合、無機含有量によっては膜表面に凹凸構造が形成されるため、蓮の葉の表面を水滴が転がるのと同様の優れた撥水性を発現するため、特に好ましい。
[(A2):円形度0.5〜1の無機化合物粒子]
無機化合物粒子間の空隙を効果的に形成できれば、円形度0.5〜1の無機化合物粒子を使用しても良い。均一性維持の観点から、この円形度は、より好ましくは0.7〜1、更に好ましくは0.85〜1である。円形度の測定方法については後述の実施例において詳細に説明される。
[(A3):空洞率5〜80%の無機化合物粒子]
無機化合物粒子の空洞率は、特に限定されるものではないが、透明性と屈折率制御の容易性の観点から、粒子内の空洞率が5〜80%である無機化合物粒子を使用しても良い。
空洞率が5体積%未満であると、屈折率制御効果が小さく、80体積%を超えると強度が低くなり、光学材料等に加工した際に破損の可能性がある。一方、空洞率が5〜80体積%であることにより、屈折率制御能に優れ、見栄えのよいコーティング膜を得ることができる。同様の観点から、この空洞率は、より好ましくは10〜60体積%、更に好ましくは15〜40体積%である。空洞率は「空洞率(体積%)=(空洞部分の体積)/(粒子全体の体積)×100」で表され、空洞率の測定方法については後述の実施例において詳細に説明される。
これらの無機化合物粒子の場合、無機化合物粒子間の空隙に加えて、無機化合物粒子内にも空洞が存在する。そのため、より屈折率の低い有機無機複合膜が得られる点で好ましい。その形態は、特に限定されるものではないが、屈折率制御の観点から、管状粒子、中空粒子、多孔質粒子が好ましく、特に好ましくは中空粒子と多孔質粒子である。中でも、入手のし易さの観点から、球状中空シリカ粒子と多孔質シリカが好ましい。
上記中空粒子の外殻厚みは特に限定されるものではないが、屈折率と成膜性のバランスの観点から、好ましくは1〜30nm、更に好ましくは5〜20nm、特に好ましくは7〜12nmである。
中空粒子の屈折率は、特に限定されるものではないが、屈折率制御効果が得られやすいことから、1.05〜1.4程度であることが好ましい。屈折率設計と成膜性のバランスの観点からは、無機化合物粒子の屈折率は、より好ましくは1.1〜1.35、更に好ましくは1.15〜1.3である。
[(B)ポリマー]
有機無機複合体を構成するポリマーは、その少なくとも一部は、無機化合物粒子の表面に、後述のカップリング剤(重合開始基を有するカップリング剤)を介して結合している。無機化合物粒子とポリマーとの結合は、結合の強さの観点から、共有結合であることが好ましい。このポリマーは、1種又は2種以上のラジカル重合性モノマーをモノマー単位として含んでいる。また、有機無機複合体は、異なるモノマー単位から構成される複数種のポリマーを含有していてよい。
<カップリング剤>
本実施形態におけるカップリング剤は、無機化合物粒子表面と、上述の有機ポリマーとを連結するために用いられる化合物である。このカップリング剤は、重合開始基と、無機化合物粒子表面と反応して結合を生成する官能基とを有する化合物であれば、特に限定されるものではない。このときの無機化合物粒子表面は、無機化合物そのものから形成されていてもよいし、表面処理されていてもよい。ここでいう表面処理とは、化学反応、熱処理、光照射、プラズマ照射、放射線照射等により、無機化合物粒子表面を官能基により修飾することである。
カップリング剤を、無機化合物粒子表面と結合させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、無機化合物粒子表面の水酸基とカップリング剤とを反応させる方法や、無機化合物粒子表面の表面処理により導入された官能基とカップリング剤とを反応させる方法がある。無機化合物粒子に結合したカップリング剤に、更にカップリング剤を反応させて、複数のカップリング剤を連結することも可能である。また、カップリング剤の種類によっては、水や触媒を併用してもよい。
カップリング剤が有する官能基は、特に制限はないが、例えば無機化合物粒子表面の水酸基との反応により結合を生成する場合には、リン酸基、カルボキシ基、酸ハライド基、酸無水物基、イソシアネート基、グリシジル基、クロロシリル基、アルコキシシリル基、シラノール基、アミノ基、ホスホニウム基及びスルホニウム基等が挙げられる。中でも、反応性と、酸残存量や着色とのバランスの観点から、好ましいのは、イソシアネート基、クロロシリル基、アルコキシシリル基及びシラノール基であり、更に好ましくは、クロロシリル基及びアルコキシシリル基である。
カップリング剤の官能基数は、特に限定されるものではないが、1官能又は2官能であることが好ましく、特に好ましくは1官能である。官能基が2個以上存在すると、カップリング剤の縮合物(副生物)が生成し、その除去が困難になる。また、有機無機複合膜中に未反応の官能基が残存するため、加熱乾燥、加熱加工する工程などによってはアルコールや水などを生成し、膜が発泡する要因となる。また、無機化合物粒子が凝集する要因にもなりうるためである。
カップリング剤が有する重合開始基は、重合開始能を有する官能基であれば、特に限定されるものではない。例えば、後述のニトロキシド媒介ラジカル重合(以下、「NMP」という。)、原子移動ラジカル重合(以下、「ATRP」という。)、可逆的付加・脱離連鎖移動重合(以下、「RAFT」という。)に用いられる重合開始基が挙げられる。
NMPにおける重合開始基は、ニトロキシド基が結合している基であれば、特に限定されるものではない。
ATRPにおける重合開始基は、典型的には、ハロゲン原子を含む基である。ハロゲン原子の結合解離エネルギーが低いことが好ましい。例えば、3級炭素原子に結合したハロゲン原子、ビニル基、ビニリデン基及びフェニル基等の不飽和炭素−炭素結合に隣接する炭素原子に結合したハロゲン原子、カルボニル基、シアノ基及びスルホニル基等のヘテロ原子含有共役性基に直接結合するか又はこれらに隣接する原子に結合したハロゲン原子が導入された基が、好ましい構造として挙げられる。より具体的には、下記一般式(1)で表される有機ハロゲン化物基、及び、一般式(2)で表されるハロゲン化スルホニル基が好適である。
式(1)及び(2)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよいアリル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基、又は、置換基を有していてもよいアルキルアリール基を示し、Zはハロゲン原子を示す。
式(1)の重合開始基は、下記一般式(3)に示されるように、カルボニル基を有するものであってもよい。式(3)中、R、R及びZは、式(1)中のR、R及びZと同義である。
式(3)の重合開始基の具体例を下記化学式に示す。
RAFTにおける重合開始基は、一般的なラジカル重合開始基であれば、特に限定されるものではない。また、RAFT剤として機能するイオウ原子を含有する基を重合開始基として使用することもできる。重合開始基の例としては、トリチオカーボネート、ジチオエステル、チオアミド、チオカルバメート、ジチオカルバメート、チオウラン、チオ尿素、ジチオオキサミド、チオケトン及びトリスルフィドが挙げられる。
カップリング剤は、下記式1で表される構造を有することが好ましい。
X−Si(R1)(R2)(R3) ・・・(式1)
式1中、Xは、上述の重合開始基であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜10のアルキル基であり、R3は、炭素原子数が1〜10のアルコキシ基、水素原子、水酸基又はハロゲン原子である。
好適なカップリング剤の具体例としては、以下のようなシラン化合物がある。
・3−(2−ブロモイソブチロキシ)プロピルジメチルクロロシラン(Cas番号:370870−81−8)
・プロピオン酸,2−ブロモ−2−メチル−,3−(ジクロロメチルシリル)プロピル エステル(Cas番号:1057260−39−5)
・プロピオン酸,2−ブロモ−2−メチル−,3−(トリクロロシリル)プロピル エステル(Cas番号:688359−84−4)
・3−(メトキシジメチルシリルプロピル)−2−ブロモ−2−メチルプロピオネート(Cas番号:531505−27−8)
・3−(ジメトキシメチルシリルプロピル)−2−ブロモ−2−メチルプロピオネート(Cas番号:1186667−60−6)
・3−(トリメトキシシリルプロピル)−2−ブロモ−2−メチルプロピオネート(Cas番号:314021−97−1)
・(3−(2−ブロモイソブチリル)プロピル)ジメチルエトキシシラン(Cas番号:265119−86−6)
・(3−(2−ブロモイソブチリル)プロピル)メチルジエトキシシラン(Cas番号:1186667−65−1)
・プロピオン酸,2−ブロモ−2−メチル−,3−(トリエトキシシリル)プロピル エステル(Cas番号:880339−31−1)
・プロピオン酸,2−ブロモ−,3−(クロロジメチルシリル)プロピル エステル(Cas番号:438001−36−6)
・プロピオン酸,2−ブロモ−,3−(トリクロロシリル)プロピル エステル(Cas番号:663174−64−9)
・プロピオン酸,2−ブロモ−,3−(メトキシジメチルシリル)プロピル エステル(Cas番号:861807−46−7)
・(3−(2−ブロモプロピオニル)プロピル)ジメチルエトキシシラン(Cas番号:265119−85−5)
・(3−(2−ブロモプロピオニル)プロピル)トリエトキシシラン(Cas番号:1233513−06−8)
上記ポリマーの重合形態は、特に限定されるものではないが、例えば、ホモポリマー、周期共重合ポリマー、ブロック共重合ポリマー、ランダム共重合ポリマー、グラジエント共重合ポリマー、テーパード共重合ポリマー又はグラフト共重合ポリマーが挙げられる。中でも、Tgや屈折率等の物性制御の観点から、共重合ポリマーが好ましい。
上記ポリマーは、汎用有機溶媒に対する溶解性や熱分解抑制の観点から、アクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類のホモポリマー又は共重合ポリマーであることが好ましい。
ラジカル重合性のモノマーは、原子移動ラジカル重合(以下、「ATRP」という。)、又は可逆的付加・脱離連鎖移動重合(以下、「RAFT」という)で重合可能であることが好ましい。
上記モノマーとしては、例えば、エチレン、「ブタ−1,3−ジエン、2−メチルブタ−1,3−ジエン、2−クロロブタ−1,3−ジエンのようなジエン類」、「スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、アセトキシスチレン、4−クロロメチルスチレン2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、4−アミノスチレンなどのスチレン類」、「アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸トリメチルシリル、アクリル酸アミド、アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、アクリル酸2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル、アクリル酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル、アクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル、アクリル酸1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル、アクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル、アクリル酸1H,1H−ヘプタフルオロブチル、アクリル酸2−イソシアナトエチル、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートなどのアクリル酸エステル類」、「メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸トリメチルシリル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、メタクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル、メタクリル酸1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル、メタクリル酸2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル、メタクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル、メタクリル酸1H,1H,7H−ドデカフルオロペンチル、メタクリル酸2−イソシアナトエチル、メタクリル酸 2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル類」、「アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸3−ヒドロキシブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシヘキシル、アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、アクリル酸3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸3−ヒドロキシブチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの(メタ)アクリル酸誘導体」、「酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニルのようなビニルエステル類」、「ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル類」、「ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルケトン類、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾル、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物」、「アリルアルコール、塩化アリル、酢酸アリル、塩化ビニル、塩化ビニリデンのようなアリル化合物」、「フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのフッ素アルキル基を有する化合物」、「アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、4−グリシジルスチレン等の官能性モノマー類」、「アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ジアクリル酸無水物、ジアクリル酸1,2−エタンジイル、トリアクリル酸ペンタエリスリトール、テトラアクリル酸ペンタエリスリトール、ジビニルベンゼンなどの反応性二重結合を二つ以上有する化合物」などが挙げられる。中でも、コーティング膜や成形体の透明性を特に重視する場合は、スチレン類、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを選択することが好ましい。
上記モノマーの中でも、屈折率制御や撥水性/撥油性の付与を目的とする場合、フッ素を含有するモノマーを少なくとも1種以上選択することが好ましく、入手が容易であることから、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、アクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、アクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、アクリル酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、メタクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、メタクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、及びメタクリル酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルが更に好ましい。
フッ素を含有しないモノマーとしては、入手が容易であることから、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーの使用が好ましく、中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル及びメタクリル酸ブチルから選ばれるモノマーが好ましい。
以下に、好ましいモノマーの具体例を化学式で示す。
上記ポリマーは、有機無機複合体を架橋させる目的で、架橋性官能基を有していても良い。架橋性官能基の種類は、特に限定されるものではないが、反応性の観点から、(メタ)アクリロイル基や、環状エーテル基(エポキシ基、オキセタン基等)などが好ましい。
本実施形態に用い得る反応性二重結合は、後述する紫外線光等の活性光線の照射によりラジカルを発生する化合物(光ラジカル開始剤)から重合反応を開始して、硬化することができる不飽和結合のことをいう。反応性二重結合としては、(メタ)アクリロイル基(アクリロイル基又はメタクリロイル基)中の炭素−炭素二重結合が好ましい。
反応性二重結合をポリマー中に導入する方法としては、反応性二重結合を二つ以上有する化合物をモノマーとして使用してポリマーを合成する方法、官能基を有するモノマーからポリマーを合成した後に、反応性二重結合を有する化合物をその官能基に付加させる方法等が挙げられる。
反応性二重結合を二つ以上有する化合物としては、限定されるものではないが、有機ポリマーを合成する際にゲル化等の問題を抑制できる、反応性の異なる二つ以上の二重結合を有する化合物が好ましい。中でも入手が容易な点からアクリル酸アリルがより好ましい。
反応性二重結合を有する化合物をポリマーに付加させる手法としては、ポリマー中の官能基と反応性二重結合を有する化合物中の官能基を反応させることが好ましい。ポリマー中又は反応性二重結合を有する化合物中の官能基としては、水酸基、アルコキシシリル基、エポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基、アミド基等の官能基が好ましい。これらの官能基の組み合わせとしては、例えば、水酸基−カルボキシル基、アミノ基−カルボキシル基、アミド基−カルボキシル基、アルコキシシリル基−カルボニル基、イソシアネート基−水酸基、エポキシ基−水酸基、アルコキシシリル基−水酸基、アミド基−水酸基、エポキシ基−アミノ基等が挙げられる。
反応性二重結合を有し、かつ水酸基を有する化合物としては、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル等のエチレングリコールモノビニルエーテル類;ヒドロキシエチルアリルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル類;ヒドロキシエチルカルボン酸ビニルエステル、ヒドロキシブチルカルボン酸ビニルエステル、((ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メトキシ)酢酸ビニルエステル等のヒドロキシアルキルビニルエステル類;ヒドロキシエチルカルボン酸アリルエステル、ヒドロキシブチルカルボン酸アリルエステル、((ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メトキシ)酢酸アリルエステル等のヒドロキシアルキルカルボン酸アリルエステル類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類などが好ましい。
反応性二重結合を有し、かつアルコキシシリル基を有する化合物としては、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテルなどが好ましい。
反応性二重結合を有し、かつカルボキシル基(開環してカルボキシル基となるものを含む)を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、ウンデシレン酸などが好ましい。アミノ基を有する化合物としては、アミノプロピルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル等が好ましい。
反応性二重結合を有し、かつイソシアネート基を有する化合物としては、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、1,1−ビス(アクリロイルメチル)エチルイソシアネート、メタクリル酸 2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート等が好ましい。
反応性二重結合を有し、かつエポキシ基含を有する化合物としては、グリシジルビニルエーテル、グリシジルカルボン酸ビニルエステル、グリシジルアリルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等が好ましい。
特に限定されるものではないが、架橋性官能基としてイソシアネート基を導入する場合、重合反応の容易さと官能基の反応性の観点から、(メタ)アクリル酸2−イソシアナトエチル、メタクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、及び2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート等をモノマー単位の一つとして使用することでポリマーを合成する手法が好ましい。更に、(メタ)アクリル酸2−イソシアナトエチル等を、モノマー単位の一つとして使用してポリマーを合成し、得られたポリマー中のイソシアネート基と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を反応させることで、架橋性官能基として、(メタ)アクリロイル基を導入することも可能である。
架橋性官能基として、(メタ)アクリロイル基を導入する場合、重合反応の容易さと官能基の反応性の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等をモノマー単位の一つとして使用することでポリマーを合成した後に、ポリマー中の水酸基と2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等のイソシアネート基を反応させる手法がより好ましい。
また架橋性官能基として、環状エーテル基(エポキシ基等)を導入する場合、重合反応の容易さの観点から、グリリジル(メタ)アクリレートを、モノマー単位の一つとして使用することでポリマーを合成する手法が好ましい。
上記ポリマーの形状は、特に限定されるものではないが、例えば、鎖状、分岐鎖状、ラダー型、スター型が挙げられる。その他、任意の置換基等を導入し、分散性や相溶性を向上させることも可能である。
上記ポリマーの分子量は、特に限定されるものではないが、その数平均分子量(以下、「Mn」という。)は、好ましくは4000〜500000g/mol、より好ましくは8000〜200000g/mol、更に好ましくは10000〜100000g/molである。Mnが4000g/mol未満であると、無機化合物粒子の凝集が起こり易くなる傾向があり、更に、無機化合物粒子の周りに形成されるポリマー層の厚みが薄くなることで膜の形状を保つことが困難になる。500000g/molを超えると、無機化合物粒子としての特性が発現されにくくなったり、有機無機複合体間の空隙率が低下したりする傾向がある。
上記ポリマーの分子量分布は、質量平均分子量(以下、「Mw」という。)とMnより、Mw/Mnにより求められる。ここでいうMn及びMwは、後述の実施例において詳細に説明されるように、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、ポリメタクリル酸メチル換算の値である。
本実施形態において、有機無機複合体に含まれるポリマーの分子量分布は2.3以下である。無機化合物粒子の分散性、空隙制御、あるいは成膜性の観点から、ポリマーの分子量(鎖長)が揃っていること、つまり、分子量分布が1に近い値であることが好ましい。係る観点から、分子量分布は、好ましくは1.0〜2.2、より好ましくは1.0〜2.1、さらに好ましくは1.0〜1.9、特に好ましくは1.0〜1.8である。
重合反応において、連鎖移動反応や二分子停止反応などが起こった場合には、分子量分布が2.3より大きくなる。その場合、フリーポリマーが生成する、あるいは、無機化合物粒子が凝集するなどの不具合が生じる。また、本実施形態の有機無機複合体の塗膜においては、無機化合物粒子に結合したポリマーが主にバインダーとして機能するため、ポリマーの分子量が揃った、より均一なシェル層を形成することが、自己成膜性の観点からも極めて重要である。
[有機無機複合体]
有機無機複合体のガラス転移温度(以下、Tgという。)は、特に限定されるものではないが、べたつきを抑制しつつ、良好な成膜性を付与できるという理由から、−10〜180℃であることが好ましく、より好ましくは0〜160℃、更に好ましくは20〜150℃、特に好ましくは40〜120℃である。
有機無機複合体のハロゲン含有量とは、臭素及び塩素の合計量を指す。このハロゲン含有量は特に限定されるものではないが、成膜性が良好であるという理由から、当該有機無機複合体の全質量を基準として、0.001〜2.5質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.01〜1.5質量%、更に好ましくは0.1〜1質量%である。
有機無機複合体の銅含有量は、特に限定されるものではないが、コーティング膜や成形体の着色を抑制するため、0.2質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以下、更に好ましくは0.02質量%以下、特に好ましくは0.005質量%以下である。
有機無機複合体におけるフッ素含有量は、特に限定されるものではないが、汎用有機溶媒への分散性と、屈折率制御効果、撥水/撥油性、透明性とのバランスを考慮すると、当該有機−無機複合体の全質量を基準として0〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜50質量%、更に好ましくは、5〜40質量%である。
有機無機複合体における無機化合物粒子の含有量は、特に限定されるものではないが、屈折率制御の観点から、好ましくは50〜96質量%、より好ましくは60〜93質量%、更に好ましくは70〜90質量%、特に好ましくは75〜87質量%である。また、屈折率制御と成膜性や成形性の観点から、無機化合物粒子の含有量は、有機無機複合体の全体積を基準として好ましくは35〜94体積%、より好ましくは45〜88体積%、更に好ましくは55〜83体積%、特に好ましくは、62〜78体積%である。
[有機無機複合体の製造方法]
本実施形態に係る有機無機複合体は、例えば、無機化合物粒子の表面に、重合開始基を有するカップリング剤を結合させる工程と、重合開始基により開始されるラジカル重合により上記ポリマーを形成させる工程と、必要に応じて上記ポリマーに反応性二重結合を有する化合物を付加させる工程と、を備える方法により得ることができる。
無機化合物粒子とカップリング剤との反応により、無機化合物粒子の表面にカップリング剤が導入された表面改質無機化合物粒子が得られる。無機化合物粒子とカップリング剤との反応は、これらが分散又は溶解する反応液中で行うことができる。この時、反応液を加熱してもよい。カップリング剤との反応後、又は、カップリング剤と同時に疎水化剤を加え、反応しても良い。無機粒子表面の残留水酸基と反応するものであれば、疎水化剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、クロロトリメチルシラン(TMS)、ジメチルエチルクロロシラン、クロロジメチルプロピルシラン、ブチルクロロジメチルシラン、クロロトリエチルシラン、クロロジメチルフェニルシラン、ベンジルクロロジメチルシラン、クロロジメチル(3−フェニルプロピル)シラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等が挙げられる。
ラジカル重合としては、生成するポリマーの分子量の分散度(分子量分布)を小さくすることができる点で、リビングラジカル重合(以下、「LRP」という。)を選択することが好ましい。LRPとしては、NMP、ATRP及びRAFTがある。一般的に、この中でも、重合開始剤の汎用度、適用可能なモノマーの種類の多さ、重合温度等の点から、ATRPが特に好ましい。また、本発明の有機無機複合体においては、無機化合物粒子に結合していないフリーのポリマーの生成を抑制する必要があり、この観点からも、重合制御が容易なATRPが特に好ましい。
ラジカル重合の方式は特に限定されず、例えば、塊状重合法又は溶液重合法を選択できる。更に、生産性や安全性の観点から、懸濁重合、乳化重合、分散重合、シード重合等の方式を採用してもよい。
重合温度は、特に限定されるものではなく、重合方法及びモノマー種に応じ、適宜、選択することができる。例えばATRPやRAFTの場合、重合温度は好ましくは−50℃〜200℃、更に好ましくは0℃〜150℃、特に好ましくは20℃〜130℃である。モノマーがアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを含む場合、50〜130℃で重合を行うと、比較的短時間で精密重合することができる。
重合時間は、特に制限されるものではなく、重合方法やモノマー種に応じ、適宜、選択することができるが、例えば、0.5〜48時間とすることができる。重合時間がこの範囲内にあると、有機無機複合体における無機化合物粒子の含有量が好ましいものとなり、有機無機複合体間に空隙を十分に形成することができ、均一な膜の形成が容易となり、その膜強度が十分なものになり易い傾向にある。同様の観点から、重合時間は、1〜24時間とすることがより好ましい。
重合反応は、無溶媒で行っても、溶媒存在下で行ってもよい。溶媒を使用する場合、表面改質無機化合物粒子の分散性と、重合触媒の溶解性とが良好な溶媒が好ましい。溶媒は単独で用いても、複数種を組み合わせて使用してもよい。
溶媒の種類は、特に限定されるものではないが、例えば、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジアセトンアルコール、アニソール、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1−プロパノール、2−プロパノール、メタノール、エタノール、1−ブタノール、t−ブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、n−メチルピロリドン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル、酢酸セロソルブ、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸3−メトキシ−3−メチルブチル、オクタン、シクロヘキサン、ジエチルエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブ、n−ブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルメトキシブタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサン1,6−ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、ミネラルスピリット、水等が挙げられる。
溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、例えば、モノマー100質量部に対し、0〜2000質量部が好ましく、より好ましくは0〜1000質量部である。溶媒量が少ないと、反応速度が大きい傾向にあり有利であるが、モノマー種や重合条件によっては、重合溶液粘度が高くなる傾向にある。また、溶媒量が多いと、重合溶液粘度が低くなるが、反応速度が低下するため、適宜、配合比率を調整するのが好ましい。
重合反応は、無触媒で行っても、触媒を使用して行ってもよいが、生産性の観点から、触媒を使用することが好ましい。触媒の種類は、特に限定されるものではないが、重合方法やモノマー種等により、任意の触媒を適宜、使用すればよい。例えば、ATRPの場合、触媒の種類は、一般的に知られている各種のものの中から、重合方式等に応じて適宜選択すればよい。具体的には、例えば、Cu(0)、Cu、Cu2+、Fe、Fe2+、Fe3+、Ru2+又はRu3+を含む金属触媒を使用できる。中でも、分子量や分子量分布の高度な制御を達成するためには、特にCuを含む1価の銅化合物及び0価の銅が好ましい。その具体例としては、Cu(0)、CuCl、CuBr等が挙げられる。これらは、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。触媒の使用量は、重合開始基1モルに対して、通常0.01〜100モル、好ましくは0.01〜50モル、更に好ましくは0.01〜10モルである。
金属触媒は、通常、有機配位子と併用される。金属への配位原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子等が挙げられる。中でも、窒素原子、リン原子が好ましい。有機配位子の具体例としては、2,2’−ビピリジン及びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(以下、「PMDETA」という。)、トリス(ジメチルアミノエチル)アミン(以下、「Me6TREN」という。)、トリス(2−ピリジルメチル)アミン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等が挙げられる。アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類の重合を行う場合は、PMDETA、Me6TREN、2,2’−ビピリジン及びその誘導体の1つである4,4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ジピリジン(以下、「dNbpy」という。)が好ましい。有機配位子の具体例を下記化学式に示す。
金属触媒と有機配位子とは、別々に添加して重合系中で混合してもよいし、予め混合してからそれらを重合系中へ添加してもよい。特に、銅化合物を使用する場合は、前者の方法が好ましい。
重合反応において、上記に加え、添加剤を必要に応じて使用することができる。添加剤の種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、分散剤・安定剤、乳化剤(界面活性剤)等が挙げられる。
分散剤・安定剤は、その機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレンスルホン酸、ビニルフェノール−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルフェノール−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリスチレン誘導体;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポチエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸誘導体;ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリブチルビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエーテル等のポリビニルアルキルエーテル誘導体;セルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル等のポリ酢酸ビニル誘導体;ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリ−2−メチル−2−オキサゾリン等の含窒素ポリマー誘導体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル誘導体;ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン誘導体等の各種疎水性又は親水性の分散剤、安定剤が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
乳化剤(界面活性剤)は、その機能を有するものであれば、特に限定されるものではないが、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン系乳化剤;アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイド等のカチオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のノニオン系乳化剤等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
ポリマーに反応性二重結合を有する化合物を付加させる工程としては、ラジカル重合により得られた有機無機複合体を含有する重合溶液に、反応性二重結合を有する化合物を導入して、そのまま反応を行ってもよいし、洗浄精製した有機無機複合体を再度、有機溶媒中に分散させてから反応を行ってもよい。
ポリマー中の官能基と、反応性二重結合を有する化合物の官能基との反応は、無触媒で行っても、触媒を使用して行ってもよいが、生産性の観点から、触媒を使用することが好ましい。
官能基同士の反応中に、反応性二重結合がラジカル反応してゲル化することを抑制するために、反応液に重合禁止剤を導入してもよい。
上述の製造方法であれば、特に限定されるものではないが、以下に代表的な製造方法を示す。
[有機無機複合体の製造方法1:不連続工程による製造方法]
(1)無機化合物粒子の分散液に、重合開始基を有するカップリング剤を加え、所定の温度で反応させ、更に疎水化剤を加えて反応し、表面改質無機化合物粒子の分散液を得る。
(2)室温まで冷却後、上記分散液を所定の溶媒で洗浄し、遠心分離等で固形分を分離・乾燥し、表面改質無機化合物粒子を得る。
(3)上記表面改質無機化合物粒子を、重合溶媒に分散させた後、ラジカル重合性モノマーと触媒を加え、所定の条件で反応し、前記重合開始基により開始されるリビングラジカル重合により、前記無機化合物粒子に結合しているポリマーを形成させ、有機無機複合体1を得る。必要に応じ、(4)以降の反応を行う。
(4)室温まで冷却後、前記有機無機複合体1の反応液に、重合禁止剤を加え、更に反応性二重結合を含む官能基を有する化合物と触媒を加え、所定の条件で反応させた後、溶媒で洗浄し、有機無機複合体2を得る。
[有機無機複合体の製造方法2:連続工程による製造方法]
(1)無機化合物粒子の分散液に、重合開始基を有するカップリング剤を加え、所定の温度で反応させ、更に疎水化剤を加えて反応し、表面改質無機化合物粒子の分散液を得る。
(2)室温まで冷却後、ラジカル重合性モノマーと触媒を加え、所定の条件で反応し、前記重合開始基により開始されるリビングラジカル重合により、前記無機化合物粒子に結合しているポリマーを形成させ、有機無機複合体1を得る。必要に応じ、(3)以降の反応を行う。
(3)室温まで冷却後、前記有機無機複合体1の反応液に、重合禁止剤を加え、更に反応性二重結合を含む官能基を有する化合物と触媒を加え、所定の条件で反応させた後、溶媒で洗浄し、有機無機複合体2を得る。
[コーティング材]
本実施形態のコーティング材は、前記有機無機複合体を含むものであれば、特に限定されるものではなく、その形態は液体でも固体でも良いが、好ましくは液体である。中でも、有機無機複合体を有機溶媒に分散させたものが好ましい。
コーティング材に使用する有機溶媒は、特に限定されるものではないが、上述の有機無機複合体の分散性が良好で、比較的安全性が高く、汎用的な有機溶媒が好ましい。これらの溶媒は、単独で用いても、複数を混合して使用しても構わない。成膜性と安全性の観点から、有機溶媒の蒸発速度は、酢酸ブチルを100とした場合に、好ましくは10〜600、更に好ましくは20〜200である。同様の観点から、有機溶媒の沸点は好ましくは75〜200℃、更に好ましくは90〜180℃である。これらは単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
有機溶媒の例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、イソホロン、テトラヒドロフラン(THF)、2−メトキシエタノール(メチルセロソルブ)、2−エトキシエタノール(エチルセロソルブ)、2−n−ブトキシエタノール(n−ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノ―tert−ブチルエーテル(t−ブチルセロソルブ)、1−メトキシ−2−プロパノール(プロピレングリコールモノエチルエーテル)、3−メトキシ−3−メチルブタノール(メチルメトキシブタノール)、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール(メトキシベンゼン)、ベンゾトリフルオリド、シクロヘキサン、ヘキサン、ミネラルスピリッド、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート)、酢酸2−エトキシエチル(酢酸セロソルブ)、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸 3−メトキシ−3−メチルブチル、ジエチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、n−メチルピロリドン(NMP)、ピリジン、1,4−ジオキサン、クロロホルム等が挙げられる。
更に必要に応じ、光重合開始剤、架橋剤、フリーポリマー、添加剤、可塑剤、油脂、乳化剤(界面活性剤)、カップリング剤、酸、アルカリ、モノマー、オリゴマー、ポリマー、顔料、染料、香料、色素等を加えても良い。
本実施の形態の光重合開始剤とは、活性光線の照射により、組成物を重合させるものであれば、特に限定されるものではないが、光ラジカル開始剤、光酸発生剤、光塩基発生剤の3つに大別できる。
光ラジカル開始剤としては、活性光線又は放射線の照射によりラジカルを発生する化合物を用いることが好ましい。このような光ラジカル開始剤を用いることにより、活性光線又は放射線の照射により発生したラジカルにより、前記有機ポリマー中の反応性二重結合の重合反応が生起され、有機無機複合体を硬化することができる。
このような光ラジカル開始剤としては、アセトフエノン類、ベンゾイン類、ベンゾフエノン類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、チウラム化合物類、フルオロアミン化合物類、オキシムエステル類などが用いられる。光ラジカル開始剤の具体例としては、2,2’−ジエトキシアセトフエノン、p−ジメチルアセトフエノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフエニルケトン、1−ヒドロキシジメチルフエニルケトン、2−メチル−4’−メチルチオ−2−モリホリノプロピオフエノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリホリノフエニル)−ブタノン1、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、α−ヒドロキシアセトフエノン、α−アミノアセトフエノンなどのアセトフエノン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ペンゾインイソプロビルエーテル、ベンジルジメチルレタールなどのベンゾイン類、ペンゾフエノン、2,4’−ジクロロベンゾフエノン、4,4’−ジクロロベンゾフエノン、p−クロロベンゾフエノンなどのペンゾフエノン類、1,2−オクタンジオンー1−[4−(フェニルチオ)−2−(0−ペンゾイルオキシム)]、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(0一アセチルオキシム)等のオキシムエステル類などがある。これらの光ラジカル開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
光酸発生剤とは、活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する化合物であり、例えば、スルホン酸誘導体、オニウム塩類、カルボン酸エステル類が挙げられる。
スルホン酸誘導体としては、例えば、ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、トリフルオロメチルスルホネート誘導体などのイミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類、1−オキシ−2−ヒドロキシ−3−プロピルアルコールのスルホネート類、ピロガロールトリスルホネート類、ベンジルスルホネート類を挙げることができる。具体的には、ジフェニルジスルホン、ジトシルジスルホン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(クロルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシリルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)メタン、ベンゾイントシラート、1、2−ジフェニル−2−ヒドロキシプロピルトシラート、1、2−ジ(4−メチルメルカプトフェニル)−2−ヒドロキシプロピルトシラート、ピロガロールメチルスルホネート、ピロガロールエチルスルホネート、2,6−ジニトロフェニルメチルトシラート、オルト−ニトロフェニルメチルトシラート、パラ−ニトロフェニルトシラートなどを挙げることができる。
カルボン酸エステルとしては、1、8−ナフタレンジカルボン酸イミドメチルスルホネート、1、8−ナフタレンジカルボン酸イミドトシルスルホネート、1、8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、1、8−ナフタレンジカルボン酸イミドカンファースルホネート、コハク酸イミドフェニルスルホネート、コハク酸イミドトシルスルホネート、コハク酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、コハク酸イミドカンファースルホネート、フタル酸イミドトリフルオロスルホネート、シス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルホネートなどを挙げることができる。
オニウム塩としては、テトラフルオロボレート(BF4−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6−)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6−)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6−)、ヘキサクロルアンチモネート(SbCl6−)、テトラフェニルボレート、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロメチルフェニル)ボレート、過塩素酸イオン(ClO4−)、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CFSO3−)、フルオロスルフォン酸イオン(FSO3−)、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸アニオン、トリニトロトルエンスルフォン酸アニオン等のアニオンを有するスルホニウム塩またはヨードニウム塩を使用することができる。
スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアシルネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオベンジル)ボレート、メチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、メチルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルナフチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリトイルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、アニシルジフェニルスルホニウムヘキサヘキサフルオルアンチモネート、4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、4−クロロフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4−フェノキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−エトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−アセチルフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−アセチルフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、トリス(4−チオメトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(メトキシスルホニルフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジ(カルボメトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、(4−オクチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(ドデシルフェニル)スルホニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、4−アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジメチルナフチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、フェニルメチルベンジルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、10−メチルフェノキサチイニウムヘキサフルオロホスフェート、5−メチルチアントレニウムヘキサフルオロホスフェート、10−フェニル−9,9−ジメチルチオキサンテニウムヘキサフルオロホスフェート、10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウムキサンテニウムテトラフルオロボレート、10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、5−メチル−10−オキソチアトレニウムテトラフルオロボレート、5−メチル−10−オキソチアトレニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、および5−メチル−10,10−ジオキソチアトレニウムヘキサフルオロホスフェートなどが挙げられる。
ヨードニウム塩としては、(4−n−デシロキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムトリフルオロスルホネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメチルスルフォネート、ジ(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフラート、ジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジクロロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジブロモジフェニルヨードニウムビスルフェート、3,3’−ジニトロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジメチルジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ビススクシンイミドジフェニルヨードニウムビスルフェート、3−ニトロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジメトキシジフェニルヨードニウムビスルフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート等が挙げられる。
その他のオニウム塩としては、芳香族ジアゾニウム塩を使用することができ、例えばp−メトキシベンゼンジアゾニウム・ヘキサフルオロアンチモネートなどを使用することができる。
商業的に入手できるオニウム塩としては、サンエイドSI−60、SI−80、SI−100、SI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−L145、SI−L150、SI−L160、SI−L110、SI−L147(以上、三新化学工業(株)製)、UVI−6950、UVI−6970、UVI−6974、UVI−6990(以上、ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマーSP−150、SP−151、SP−170、SP−171、SP−172(以上、旭電化工業(株)製)、Irgacure 261、Irgacure250(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)製)、CD−1010、CD−1011、CD−1012(以上、サートマー社製)、DS−100、DS−101、DAM−101、DAM−102、DAM−105、DAM−201、DSM−301、NAI−100、NAI−101、NAI−105、NAI−106、SI−100、SI−101、SI−105、SI−106、PI−105、NDI−105、BENZOIN TOSYLATE、MBZ−101、MBZ−301、PYR−100、PYR−200、DNB−101、NB−101、NB−201、BBI−101、BBI−102、BBI−103、BBI−109(以上、みどり化学(株)製)、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T(以上、日本化薬(株)製)、IBPF、IBCF(三和ケミカル(株)製)CD1012(サートマー社製)、IBPF、IBCF(以上、三和ケミカル(株)製)、BBI−101、BBI−102、BBI−103、BBI−109(以上、みどり化学(株)製)、UVE1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)、RHODORSIL−PI2074(ローディア社製)、WPI−113、WPI−116(和光純薬(株)製)等を挙げることができる。また、J. Polymer Science:Part A:polymer Chemistry,Vol.31, 1473−1482(1993), J. Polymer Science:Part A:polymer Chemistry,Vol.31, 1483−1491(1993)において記述されている方法により製造できるジアリールヨードニウム塩を使用することもできる。これらは、単独でも2種以上を組み合わせて使用することも良い。
光塩基発生剤とは、例えば、非環状のアシルオキシイミノ化合物、非環状のカルバモイルオキシム化合物、カルバモイルヒドロキシルアミン化合物、カルバミン酸化合物、ホルムアミド化合物、アセトアミド化合物、カルバメート化合物、ベンジルカルバメート化合物、ニトロベンジルカルバメート化合物、スルホンアミド化合物、イミダゾール誘導体化合物、アミンイミド化合物、ピリジン誘導体化合物、α−アミノアセトフェノン誘導体化合物、4級アンモニウム塩誘導体化合物、α−ラクトン環誘導体化合物、アミンイミド化合物、フタルイミド誘導体化合物などを用いることができる。なかでも比較的アミンの発生効率が高いアシルオキシイミノ化合物が好ましい。これらは、単独でも2種以上を組み合わせて使用することも良い。
本実施の形態における硬化剤とは、樹脂組成物を硬化させるために用いられる物質であり、環状エーテル基と反応可能であれば、特に限定されるものではなく、後述の硬化促進剤との併用が好ましい。
硬化剤としては、例えば、酸無水物系化合物、アミン系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物等が挙げられ、中でも、酸無水物系化合物が好ましく、カルボン酸無水物がより好ましい。
また、ここで言う酸無水物系化合物には脂環式酸無水物が含まれ、カルボン酸無水物の中でも脂環式カルボン酸無水物が好ましい。これらの物質は、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。
硬化剤の具体例としては、例えば、無水フタル酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、テトラエチレンペンタミン、ジメチルベンジルアミン、ケチミン化合物、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、ビスフェノール類、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒドとの重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物との重合物、フェノール類と芳香族ジメチロールとの重縮合物、又はビスメトキシメチルビフェニルとナフトール類若しくはフェノール類との縮合物等、ビフェノール類及びこれらの変性物、イミダゾール、3フッ化硼素−アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられる。
脂環式カルボン酸無水物の具体例としては、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、「4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30」、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、「メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物/ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物」等が挙げられる。
また、脂肪族酸無水物の具体例としては、例えば、テトラプロペニル無水コハク酸、オクテニルコハク酸無水物、2,5−ジケトテトラヒドロフラン等が挙げられる。
本実施の形態における硬化促進剤とは、硬化反応の促進を目的に使用される硬化触媒を意味し、単独で用いても、複数を組み合わせて使用してもよい。硬化促進剤は、特に限定されるものではないが、3級アミン類及びその塩を選択することが好ましい。
硬化促進剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
(1)3級アミン類:ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、シクロヘキシルジメチルアミン、トリエタノールアミン等、
(2)イミダゾール類:2−メチルイミダゾール、2−n−ヘプチルイミダゾール、2−n−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニル−4,5−ジ〔(2’−シアノエトキシ)メチル〕イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−n−ウンデシルイミダゾリル)エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1')〕エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物等、
(3)有機リン系化合物:ジフェニルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン、亜リン酸トリフェニル等、
(4)4級フォスフォニウム塩類:ベンジルトリフェニルフォスフォニウムクロライド、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムブロマイド、メチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、n−ブチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、テトラフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムヨーダイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムアセテート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムo,o−ジエチルフォスフォロジチオネート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムベンゾトリアゾレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルフォスフォニウムテトラッフェニルボレート等、
(5)ジアザビシクロアルケン類:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7及びその有機酸塩等、
(6)有機金属化合物:オクチル酸亜鉛、アクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトン錯体等、
(7)4級アンモニウム塩類:テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等、
(8)金属ハロゲン化合物:三フッ化ホウ素、ホウ酸トリフェニル等のホウ素化合物;塩化亜鉛、塩化第二錫等。
架橋剤としては、特に限定されるものでは無いが、例えば、(メタ)アクリロイル基を複数個有する化合物が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を分子内に2個有する(メタ)アクリレート架橋剤としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが例示される。
(メタ)アクリロイル基を分子内に3個有する(メタ)アクリレート架橋剤としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの分岐状アルキル基を有するトリ(メタ)アクリレート;グリセロールプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレートなどの分岐状アルキレンエーテル基を有するトリ(メタ)アクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレートなど複素環を含有するトリ(メタ)アクリレートなどが例示される。
(メタ)アクリロイル基を分子内に4個以上有する(メタ)アクリレート架橋剤としては、ジ(トリメチロールプロパン)テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの複数の分岐状アルキル基を有するポリ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの複数の分岐状アルキル基と水酸基とを有するポリ(メタ)アクリレートなどが例示される。これらの(メタ)アクリル酸エステル系架橋剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
後述の通りコーティングの手法は、特に限定されるものではないが、大面積にコーティング可能であることや設備コストの抑制が可能であるため、ウエットコート法を採用することが望ましい。そのためには、コーティング材は、上述の有機無機複合体を溶媒に分散させた液体であることが好ましい。
コーティング材における固形分濃度(フリーポリマーを含む有機無機複合体の濃度)は、特に限定されるものではないが、分散性と成膜性のバランスから、コーティング材全体質量を基準として、好ましくは1〜50質量%、更に好ましくは1〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%である。固形分濃度は、有機無機複合体をそのまま直接希釈して調整してもよいし、希薄溶液をエバポレーター等で濃縮して調製してもよい。
[有機無機複合膜]
本実施形態の有機無機複合膜は、有機無機複合体を含み、上記要件を満たす膜であれば、特に限定されるものではない。本発明において「膜」とは、厚みが限定されるものではなく、支持基盤上に形成されたものでもよく、単体で構造を形成しているものであってもよい。
本発明において「空隙」の用語は、膜を形成している隣り合う2個以上の有機無機複合体無機化合物粒子同士の間に形成されたミクロボイドのことを意味する。「空洞」の用語は、無機化合物粒子自体の内部に形成された空孔を意味し、「空隙」とは区別される。
空隙の大きさは、特に限定されるものではないが、光を散乱しない大きさであることが好ましい。つまり、空隙を有する膜であっても、光学的あるいは巨視的には均一な膜とみなすことができる。このため、膜のみかけ体積を基準とする空隙の割合、すなわち空隙率は、膜を形成している有機無機複合体の屈折率(>1)と、空隙の屈折率(空気の屈折率:1.00)との体積平均に基づいて算出することができる。
有機無機複合体間に形成された空隙の割合(空隙率)は、当該有機無機複合硬化膜の体積を基準として3〜90体積%であり、より好ましくは10〜85%、さらに好ましくは20〜80%である。空隙率が3体積%未満であると、膜の低屈折率化の効果が小さくなる傾向がある。また、空隙率が90体積%を超えると、膜強度が低下して脆くなるという傾向がある。
有機無機複合膜の屈折率は、特に限定されるものではないが、後述の方法で測定され、表示装置の品位向上の観点から1.38以下であることが好ましく、より好ましくは1.35以下、更に好ましくは1.30以下、特に好ましくは1.25以下、そして最も好ましくは1.20以下である。屈折率が1.38より大きいと、積層体を表示装置へ組み込んでも、目視では品位の向上が視認できない可能性がある。
有機無機複合膜の最小反射率は、特に限定されるものではないが、後述の方法で測定され、反射率抑制の観点から1.5%以下であることが好ましく、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.2%以下である。最小反射率が1.5%より大きいと、反射防止の効果が得られにくくなる。
本実施形態の有機無機複合膜は、有機無機複合体を含む膜であれば、特に限定されるものではないが、上述のコーティング材を、後述の手法でコーティングして形成した膜であることが好ましい。一般的には、基材上(例えば、PETフィルム、TACフィルム、ガラス、アクリル・ポリカーボネート等の樹脂素材、金属、シリコンウエハ、LED、半導体、CD、DVD等、若しくは種々のハードコート層)に、数nm〜数cmの厚みで形成する。
コーティングの手法としては、「蒸着、スパッタリング、イオンプレーディング等のドライコーティング法」や、「印刷、スリットコート、バーコート、アプリケーター塗工、スピンコート、ブレードコート、エアナイフコート、グラビアコート、ロールコート、スプレーコート、ディップコート等のウエットコーティング法」等が、一般的に知られている。また上述の方法以外に、「フィルム成形、ラミネート成形、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、回転成形、押出成形、延伸成形等の成形加工法」を応用し、基材の上に、有機無機複合膜を形成する手法もある。これらの手法は、単独でも、複数を組み合わせて使用することも可能である。
「フリーポリマー」とは、無機化合物粒子に結合していないポリマーを意味する。硬化物においては、硬化物を形成する組成物であって、硬化反応前に無機化合物粒子に結合していないポリマー、あるいは低分子量の有機化合物も含まれる。つまり、フリーポリマーは、有機無機複合体無機化合物粒子同士の間に形成される空隙を埋める化合物を意味する。フリーポリマーの測定方法については、後述の実施例において詳細に説明される。
本実施形態における、無機化合物粒子に結合していないフリーポリマーの割合は、後述の方法で求められ、無機化合物量に対して効果的に空隙を形成させるという観点から、その割合は好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。上述したように、フリーポリマーの割合が30質量%以上になると、フリーポリマーが構造体中で均一に分散しないために安定的に製造することが困難になるばかりでなく、有機無機複合体の無機物化合物粒子間に形成される空隙を、フリーポリマーが埋めるため、空隙率が低下してしまう。空隙の屈折率は、1.00で、膜を形成する材料と比較すると、極めて小さな値である。そのため、わずかな空隙率の差で、屈折率が大きく変化するため、フリーポリマー量を制御し、効果的に均一な空隙を形成させることが好ましい。
本実施の形態における有機無機複合膜の硬化としては、特に限定されるものではないが、エネルギー線硬化又は熱硬化が好ましく、特に好ましくは光硬化である。光硬化の手法は、特に限定されるものではなく、通常、活性光線の刺激により重合開始剤が分解することで重合開始種が発生し、対象物質の重合性官能基を重合するという経過を辿る。
光硬化とは、活性光線(紫外線、近紫外線、可視光線、近赤外線、赤外線等)を照射することで硬化物を得る方法であり、活性光線の種類としては、特に限定されるものではないが、好ましくは紫外線又は可視光線、より好ましくは紫外線である。
光硬化の中でも、光ラジカル重合タイプは、反応性二重結合の反応性が高く、短い時間で架橋させられる等の利点から、より好ましい。
上述の光ラジカル重合による架橋に加え、カチオン重合、加熱による架橋反応、有機ポリマーと反応し得る官能基を有する化合物との混合による架橋反応などを組み合わせて用いてもよい。有機無機複合体の架橋は、例えば、有機無機複合体のポリマー中に少なくとも1つの反応性二重結合を有する場合、光ラジカル開始剤から発生したラジカルにより反応性二重結合から重合反応を開始し、ポリマー間、又はポリマーと無機化合物粒子との間に結合を形成させることにより行うことができる。また、架橋剤を含む場合、架橋剤によりポリマー間、又はポリマーと無機化合物粒子との間に結合を形成させることにより行うことができる。なお、ポリマー間、又はポリマーと無機化合物粒子との間の結合は、異なる有機無機複合体のポリマー間、又はポリマーと無機化合物粒子との間での結合が好ましいが、同一の有機無機複合体のポリマー間、又はポリマーと無機化合物粒子との間での結合もあり得る。
活性光線の発生源は、特に限定されるものではなく、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、UVランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、アルゴンイオンレーザ、ヘリウムカドミウムレーザ、ヘリウムネオンレーザ、クリプトンイオンレーザ、各種半導体レーザ、YAGレーザ、エキシマーレーザー、発光ダイオード、CRT光源、プラズマ光源、電子線照射器等の各種光源等が挙げられる。
照射光強度は、使用する光源の波長などに応じて異なるが、通常、数mW/cm〜10W/cmの範囲である。照射光強度は、好ましくは、数10mW/cm〜5W/cm程度の範囲内である。照射量は、反応性二重結合の感度、コーティング膜の厚みや温度などに応じて適宜設定される。
ここで、熱硬化とは、熱による化学反応により分子間に3次元の架橋結合を生じさせることで硬化させる方法である。熱硬化の方法としては、特に限定されるものではないが、硬化剤や硬化促進剤を使用して熱硬化させる方法、又は、熱カチオン重合開始剤を用いて熱硬化させる方法を選択するのが好ましく、中でも、硬化剤や硬化促進剤を使用して熱硬化させる方法がより好ましい。
本実施形態に係る有機無機複合膜は、優れた透明性と光学特性を有しており、その指標である、厚み方向の全光線透過率は、特に限定されるものではないが、好ましくは85〜100%、より好ましくは88〜100%、更に好ましくは90〜100%である。同様に、ヘーズの値は、特に限定されるものではないが、好ましくは0〜5%、より好ましくは0〜3%、更に好ましくは0〜2%である。
本実施形態に係る有機無機複合膜は、所望の屈折率を達成し易いことから、光学材料や光学部材として有用である。その代表例としては、反射防止膜やハードコート膜等を挙げることができる。
[有機無機複合膜の製造方法]
本実施形態に係る有機無機複合膜の製造方法は、特に限定されるものではないが、以下に代表的な製造方法を示す。
[有機無機複合膜の製造方法1:硬化処理無し]
(1)有機無機複合体に、有機溶媒を加えて分散し、コーティング材を得る。
(2)コーティング材を基板上に塗布し、塗布されたコーティング材から有機溶媒を除去することにより有機無機複合膜を形成させる。
[有機無機複合膜の製造方法2:光硬化(光ラジカル硬化)]
(1)有機無機複合体に、有機溶媒、光ラジカル開始剤を加えて分散し、コーティング材を得る。
(2)コーティング材を基板上に塗布し、塗布されたコーティング材から有機溶媒を除去することにより有機無機複合膜を形成させる。
(3)更に、有機無機複合膜に活性光線を照射し、有機無機複合体を架橋させ(光硬化)、有機無機複合膜を得る。
[有機無機複合膜の製造方法3:光硬化(光カチオン硬化)]
(1)有機無機複合体に、有機溶媒、光酸発生剤を加えて分散し、コーティング材を得る。
(2)コーティング材を基板上に塗布し、塗布されたコーティング材から有機溶媒を除去することにより有機無機複合膜を形成させる。
(3)更に、有機無機複合膜に活性光線を照射し、有機無機複合体を架橋させ(光硬化)、有機無機複合膜を得る。
[有機無機複合膜の製造方法4:熱硬化(硬化剤及び硬化促進剤による架橋)]
(1)有機無機複合体に、有機溶媒、硬化剤、硬化促進剤を加えて分散し、コーティング材を得る。
(2)コーティング材を基板上に塗布し、塗布されたコーティング材から有機溶媒を除去することにより有機無機複合膜を形成させる。
(3)更に、有機無機複合膜を所定時間加熱し、有機無機複合体を架橋させ(熱硬化)、有機無機複合膜を得る。
[接続層]
本実施形態に係る積層体は、粘着剤又は接着剤を含有する層である接続層を有する。接続層としては、粘着剤を含有し、粘着性を付与する層である粘着層が挙げられる。また、接続層としては、接着剤を含有し、接着性を付与する層である接着層も例示できる。
[粘着層]
本実施形態に係る粘着層は、粘着性を付与する層であれば、特に限定されるものではないが、表示装置への使用を前提とする場合は、透過光を妨げないことが好ましい。具体的に要求される好ましい特性としては、例えば、Hazeが低い、入射光の散乱が少ない、光学等方性、長期信頼性等が挙げられる。
粘着層のガラス転移温度(以下、Tgと言う。)は、熱変動による積層体の歪み緩和の観点から、好ましくは40℃以下、より好ましくは20℃以下、更に好ましくは0℃以下、特に好ましくは−20℃以下である。
また粘着層は、積層する光学部材界面での化学結合が無い、あるいは弱いため、後述の接着層と比較して、積層体や表示装置製造時のリワーク性に優れている。
粘着層を形成する粘着剤の種類は、特に限定されず、例えば、溶剤型粘着剤、非水系エマルジョン型粘着剤、水系粘着剤、ホットメルト粘着剤等が挙げられる。これらは単独で使用しても、複数を組み合せて使用しても良い。
粘着剤としては、粘着性を示す物質であれば、特に限定されず、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルアルコール、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系等のポリマーをベースポリマーとする、任意のものを選択できる。
また偏光板等に使用する場合は、偏光子や偏光板保護フィルム等に対し、適切な粘着特性を示し、且つ、透明性に優れることから、アクリル酸エステル(共)重合体を含む、溶剤型粘着剤が好ましく用いられる。
上記アクリル酸エステルの中でも、粘着性とTgのバランスの観点から、アクリル酸ブチル(nBA)、アクリル酸エチル(EA)、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)、アクリル酸イソノニルが好ましく、より好ましくは、nBA、HEAであり、特に好ましくは、nBAである。
上記アクリル酸エステルに共重合するコモノマーは、特に限定されるものではないが、凝集力向上の観点から、酢酸ビニル(VA)、アクリロニトリル(AN)、アクリルアミド、スチレン(St)、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸メチル(MA)等が好適である。
また粘着性・接着性向上の観点から、上記アクリル酸エステルに、官能性モノマーを共重合させても良い。官能性モノマーは、官能基を持つモノマーであれば、特に限定されるものではないが、共重合性と粘着性・接着性の観点から、アクリル酸(AA)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)、アクリルアミド、メタクリル酸グリシジル(GMA)、アクリル酸2−イソシアナトエチル、メタクリル酸2−イソシアナトエチル等が好ましく、より好ましくは、アクリル酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチルである。
上記アクリル酸エステル共重合体の中でも、入手のし易さや取扱いの観点から、nBA/AAの共重合体や、nBA/AA/HEAの共重合体が好ましい。
粘着層の形態は、特に限定されず、液体、フィルム状、シート状等任意のものを選択できる。
粘着層の付設方法は、特に限定されず、例えば、有機溶媒や水等の適宜な分散媒媒に、ベースポリマー又はその組成物を溶解又は分散させた、粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で、付設面に直接付設する方法や、保護フィルム上に粘着層を形成してそれを付設面に移着する方式などがあげられる。また市販の粘着フィルムや粘着シートを使用しても良い。
[接着層]
本実施形態に係る接着層は、接着性を付与する層であれば、特に限定されるものではないが、表示装置への使用を前提とする場合は、透過光を妨げないことが好ましい。具体的に要求される好ましい特性としては、例えば、Hazeが低い、入射光の散乱が少ない、光学等方性、長期信頼性等が挙げられる。
接着層を形成する接着剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、硬化型接着剤が挙げられる。硬化型接着剤の代表例としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、湿気硬化型接着剤、熱硬化型接着剤等が挙げられ、これらは単独で使用しても、複数を組み合せて使用しても良い。
熱硬化型接着剤の具体例としては、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂およびポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂系接着剤が挙げられる。
湿気硬化型接着剤の具体例としては、イソシアネート樹脂系の湿気硬化型接着剤が挙げられる。湿気硬化型接着剤(特に、イソシアネート樹脂系の湿気硬化型接着剤)が好ましい。湿気硬化型接着剤は、空気中の水分や被着体表面の吸着水、水酸基やカルボキシル基等の活性水素基等と反応して硬化するので、接着剤を塗工後、放置することによって自然に硬化させることが可能であり、操作性に優れる。更に硬化のための加熱が不要であり、加熱収縮の心配が無く、積層する光学フィルム等が極めて薄い場合であっても、積層時の割れ等が防止できる。尚、上記イソシアネート樹脂系接着剤とは、ポリイソシアネート系接着剤、ポリウレタン樹脂接着剤の総称である。
上記硬化型接着剤は、例えば、市販の接着剤を使用してもよく、上記の各種硬化型樹脂を溶媒に溶解または分散し、硬化型樹脂接着剤溶液(または分散液)として調製してもよい。用いられる溶媒としては、硬化型樹脂の種類に応じて任意の適切な溶媒が採用され得る。具体例としては、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは単独で使用しても、複数を組み合せて使用しても良い。
接続層には、例えば、天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着剤層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有させ、光拡散性を付与しても良い。
また接続層は、異なる組成又は種類を使用して、重畳層として付設することができる。また積層体を構成する各層、つまり、支持体、有機無機複合膜、光学部材等の片面に設けても良く、両面に設けても良い。
接続層の厚みは、使用目的や接着力などに応じて、適宜設定できる。具体的には、粘着剤層の厚みは、好ましくは20nm〜50μm、さらに好ましくは100nm〜10μm、更に好ましくは500nm〜5μmである。
[支持体]
本実施形態に係る支持体は、その上に有機無機複合膜及び接続層を形成できる、フィルム状、シート状、板状の平板であれば、特に限定されるものではないが、光学材料用途で使用する場合は、透明性が高いものが好ましい。
支持体は、上記の要件を満たすものであれば、特に限定されるものではないが、透明性と光学特性の観点から、例えば、TACフィルム(トリアセチルセルロースフィルム)をはじめとするセルロースフィルム、PETフィルム(ポリエチレンテレフタラートフィルム)、(メタ)アクリルフィルム、環状ポリオレフィンフィルム(COPフィルム)、PPフィルム(ポリプロピレンフィルム)、ポリカーボネート(PC)フィルム、ガラス基板等が好適である。中でも、TACフィルム、PETフィルム、(メタ)アクリルフィルム、COPフィルムが好ましく、より好ましくは、TACフィルムと(メタ)アクリルフィルムである。
上記セルロースフィルムの原料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネート等があげられる。これらの中でも、光学特性と入手のし易さの観点から、TACが特に好ましい。TACフィルムの市販品の例としては、富士フイルム株式会社製の「UV−50」、「UV−80」、「SH−80」、「TD−80U」、「TD−TAC」、「UZ−TAC」や、コニカミノルタ株式会社製の「KCシリーズ」等が挙げられる。
上記(メタ)アクリルフィルムの原料としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用できる。例えば、ポリメタクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)が挙げられる。具体例としては、例えば、三菱レイヨン株式会社製の「アクリペットVH」や「アクリペットVRL20A」、特開2004−70296号公報に記載の分子内に環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂等が挙げられる。
また(メタ)アクリル系樹脂として、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を用いることもできる。ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報などに記載のものが挙げられる。
上記COPフィルムの原料としては、例えば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載の、環状ポリオレフィン樹脂が挙げられる。具体例としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとその共重合体、及び、これらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びに、それらの水素化物などが挙げられる。環状ポリオレフィン樹脂の市販品としては、例えば、日本ゼオン株式会社製の「ゼオネックス」、「ゼオノア」、JSR株式会社製の「アートン」、TOPAS Advanced Polymers GmbH社製の「TOPAS」、三井化学株式会社製の商品名「APEL」が挙げられ、これらをフィルム化して使用しても良い。
支持体の厚みは、特に限定されるものではないが、積層体の厚みと強度のバランスの観点から、光学材料用途で使用する場合は、好ましくは20μm〜2mm、より好ましくは30〜300μm、更に好ましくは40〜200μmである。
支持体の厚みは 、その用途に応じ、適宜選択することができる。例えば、比較的画面が大きく、生産性と強度が要求される薄型テレビに使用する場合は、60〜120μmが好ましく、より好ましくは80〜100μmである。また、軽量化が要求される、タッチパネルや携帯電話に使用する場合は、20μm〜60μmが好ましく、より好ましくは30〜40μmである。
上記支持体は、積層体の製造時に剥がして廃棄しても良いし、偏光板保護フィルムやタッチパネル用ガラス基板として、そのまま表示装置に組み込んでも良い。
[積層体]
本実施の形態に係る積層体は、有機無機複合膜と接続層とを有する積層体であれば、特に限定されない。
積層体は、有機無機複合膜と接続層に加え、更に、支持体;セパレーター;偏光子、偏光板、偏光板保護フィルム、視覚補償フィルム(WVフィルム)、液晶フィルム、液晶層、カラーフィルター、位相差フィルム、輝度向上フィルム、拡散板、プリズムシート、導光板、反射板、導電フィルム、透明電極等の光学部材;等から選択される、一種又は複数の部材と積層することができる。
積層体の構成や、積層の順序は、特に限定されないが、例えば、以下の構成を含むものが例示される。
<構成1>
下記(a)〜(c)が連続して積層した構成を含む、積層体。
(a)支持体
(b)有機無機複合膜
(c)接続層
<構成2>
上記構成1に、更に、下記(d)及び(e)を積層し、(a)〜(e)が連続した構成を含む、積層体。
(d)有機無機複合膜
(e)接続層
[偏光板]
本実施形態の偏光板は、特定方向に偏光、又は偏波した光だけに限って通過させる板であれば、特に限定されず、例えば、直線偏光板、円偏光板、楕円偏光板等の種類が挙げられる。
偏光板の基本構成としては、例えば、偏光子の両面に偏光板保護フィルムを設けたものが良く知られており、2枚の偏光板保護フィルムのうち1枚の裏側に、粘着層を設けた状態で販売される場合もある。
図4は、偏光板の基本構成の一例を示す模式断面図である。偏光板30は、偏光子32と、該偏光子32の両面に設けられた偏光板保護フィルム31及び33を備えている。
図5は、粘着層付偏光板の基本構成の一例を示す模式断面図である。粘着層付偏光板40は、偏光子44と、該偏光子44の両面に設けられた偏光板保護フィルム43及び45とを備えている。また、粘着層付偏光板40においては、偏光板保護フィルム43の偏光子44と反対側の面上に粘着層42が設けられている。なお、粘着層付偏光板40は、場合により、粘着層42を介してセパレータ41が接着されていてもよい。
偏光子は、特に限定されるものではないが、具体例としては、ヨウ素系偏光子、二色系染料を用いる染料偏光子、ポリエン系偏光子等が挙げられる。ヨウ素系偏光子や染料偏光子は、一般的に、一般に、延伸前又は後にポリビニルアルコール(以下、PVAと言う。)フィルムを染色することによって製造される。一般には、ポリ酢酸ビニルを鹸化することによって得られたPVAを使用するが、改質PVAを使用することも可能である。PVAフィルムの染色は、任意の手段、例えば、ヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液中に浸漬させるか、ヨウ素溶液又は染色溶液を、スプレッドコート又は噴霧することによって実施できる。PVAフィルムの延伸時には、PVAを架橋結合するための添加剤(例:ホウ酸化合物)を、使用することが好ましい。
偏光板保護フィルムは、特に限定されるものではないが、透明性と光学特性の観点から、TACフィルム、(メタ)アクリルフィルム、COPフィルム等が用いられる場合が多い。偏光子を挟んで存在する、2枚の偏光板保護フィルムは、同じものを用いても良いし、1枚ずつ違う種類のものを使用しても良い。
TACフィルムを用いる場合は、ACフィルムを鹸化処理することにより、偏光子と接着するのが一般的であるが、(メタ)アクリルフィルムやCOPフィルムを使用する場合には、偏光子と偏光板保護フィルムは、上述の粘着剤を介して積層される場合が多い。
上記基本構成に加え、更に他の光学部材等を積層することで、以下に例示する、他の機能が付加された偏光板も作製可能である。
(A)反射防止機能付偏光板
上記基本構成に加え、偏光板保護フィルムの少なくとも1枚に、有機無機複合膜を形成し、反射防止効果を付与することができる。偏光板保護フィルムが反射防止フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減することが可能であり、前記反射防止フィルムを偏光板の最表層に設置すると、外光の映り込みが抑制された偏光板を、製造することができる。
図6は、反射防止機能付偏光板の基本構成の一例を示す模式断面図である。反射防止機能付偏光板50Aは、偏光板30の一方面上にハードコート層53及び有機無機複合膜54がこの順で設けられ、偏光板30の他方面上に粘着層52及びセパレータ51がこの順で設けられた構成を有する。また、反射防止機能付偏光板50Bは、偏光板30と、偏光板30の一方面上に設けられたハードコート層53及び有機無機複合膜54とを備える。なお、図6に示す偏光板30としては、図4に示す偏光板30と同様のものが例示できる。
偏光板保護フィルムとしてTACフィルムを使用し、その片側に反射防止処理を施す場合は、支持体の裏側(反射防止膜が設置されない側)の面を、アルカリで、鹸化処理する必要がある。鹸化処理の手法は、特に限定されるものではないが、具体的には、以下の2つの方法が例示できる。
(1)支持体に、有機無機複合膜(反射防止膜)を形成後、アルカリ液中に1回以上浸漬し、全体を鹸化処理する。
(2)支持体に、有機無機複合膜(反射防止膜)を形成する前、又は、形成した後に、支持体の裏側(反射防止膜が設置されない側)の面に、アルカリ液を塗布し、加熱、水洗、中和等の処理を施すことで、支持体の裏面のみを鹸化処理する。
上記(1)の方法は、支持体と同じ工程で処理できるという点では優れているが、有機無機複合膜等が鹸化処理により劣化する可能性があるため、品質的には、上記(2)の方法を選択する方が好ましい。
(B)位相差フィルム付偏光板
上記偏光板の基本構成に、位相差フィルムを積層することで得られる。積層の方式は特に限定されるものではないが、例えば、偏光板と位相差フィルムを接続層を介して積層し、位相差フィルムの反対側(偏光板と積層されていない側)にも接続層を積層することができる。
図7は、位相差フィルム付偏光板の基本構成の一例を示す模式断面図である。位相差フィルム付偏光板60は、反射防止機能付偏光板50の一面上に、粘着層64、位相差フィルム63、粘着層62及びセパレータ61がこの順で積層された構成を有する。なお、図7における反射防止機能付偏光板50としては、図6における反射防止機能付偏光板50Bと同様のものが例示できる。また、図7では、反射防止機能付偏光板の一方面上に位相差フィルム付偏光板を設けた構成を示したが、位相差フィルム付偏光板は、図4に示す偏光板30と同様の偏光板の一方面上に粘着層を介して位相差フィルムを設けたものであっても良い。
(C)視覚補償機能付偏光板
上記偏光板の基本構成に、視覚補償フィルム(WVフィルム)を積層することで得られる。積層の方式は特に限定されるものではないが、例えば、偏光子とWVフィルムを積層し、偏光子の片側には偏光板保護フィルムを積層し、WVフィルムの反対側(偏光子と積層されていない側)にも接続層を積層することができる。
図8は、視覚補償機能付偏光板の基本構成の一例を示す模式断面図である。視覚補償機能付偏光板70は、偏光子74の一面上に偏光板保護フィルム75、ハードコート層76及び有機無機複合膜77がこの順で積層され、偏光子74の他面上にWVフィルム73、粘着層72及びセパレータ71がこの順で積層された構成を有する。
[光学材料]
本実施形態に係る光学材料は、上述の積層体を備えており、表示装置等を形成するために用いられる。
光学材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザーなどの光をその材料中を通過させる用途に使用する材料一般をさす。光学材料は、様々な用途に用いることが可能である。
本実施の形態に係る光学材料の用途は、特に限定されるものではないが、表示装置、タッチパネル、コンピュータ、テレビ、携帯電話、テレビ電話、電子書籍、ゲーム機等の玩具、カーナビゲーションシステム、電子看板、電子表示板、太陽電池、メガネレンズ、カメラレンズ等に、好適に利用できる。
また、その他用途に使用される光学材料としては、光記録分野では、例えば、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、又は光カード用のディスク基板材料及び周辺材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止フィルム等が挙げられる。
光半導体分野では、例えば、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー、フォトダイオード、フォトトランジスタ、CCD/CMOSセンサ、フォトカプラ、フォトリレー、フォトインタラプタ、及び光通信用デバイス等の周辺材料が挙げられる。
光学機器分野では、例えば、カメラの撮影レンズ、レンズ用材料、ファインダー、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサーの周辺材料が挙げられる。プロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルムなども例示される。
光部品分野では、例えば、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の周辺材料が例示される。光コネクタ周辺の光ファイバー材料も例示される。光受動部品及び光回路部品については、レンズ、導波路、LED素子等の周辺材料が例示される。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の周辺材料も例示される。
光ファイバー分野では、例えば、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイドなど、工業用途のセンサー類、表示・標識類など、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバー等が例示される。
半導体集積回路周辺材料では、例えば、LSI又は超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料が挙げられる。
次世代の光・電子機能有機材料としては、例えば、次世代DVD、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料等が例示される。
[表示装置]
一般的な表示装置とは、コンピュータ、テレビ、携帯電話、タッチパネル、ワードプロセッサー等の機器から出力される、静止画、動画、文字等の画像信号を表示する装置であり、一般的には、ディスプレイ、モニター等と呼ばれている。
本実施の形態の表示装置は、上記実施形態に係る積層体を備える表示装置であれば、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELディスプレイ(ELD)、無機ELディスプレイや陰極管表示装置(CRT)、表面電界ディスプレイ(SED)等の表示装置が好ましく、中でも、LCDとELDが特に好ましい。
LCDの種類は、特に限定されるものではないが、透過型、反射型又は半透過型が好ましく用いられる。
[液晶表示装置(LCD)]
本実施形態の液晶表示装置(LCD)の形態は、特に限定されるものではないが、液晶セル及びその両側に配置された2枚の偏光板を有し、液晶セルは、2枚の電極基板の間に液晶を担持しているものが好ましい。更に光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に1枚配置されるか、又は液晶セルと双方の偏光板との間に2枚配置されていても良い。
本実施形態において、偏光板が反射防止機能付偏光板の場合は、液晶セルが、ツイステットネマチックモード(TNモード)、スーパーツイステットネマチックモード(STNモード)、バーティカルアライメントモード(VAモード)、インプレインスイッチングモード(IPSモード)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセルモード(OCBモード)であることが好ましい。
(TNモード)
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されている。
(STNモード)
STNモードの液晶セルでは、電圧無印加時において液晶分子の並びのねじれ角が、180〜270°にねじれ配向し、これにより印加電圧の僅かな差によって大きな配向変化を実現できる。
(VAモード)
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、次の(1)〜(4)が含まれる。
(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル
(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル
(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル
(4)SURVAIVALモードの液晶セル
(IPSモード)
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式である。
(OCBモード)
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。
図9は、液晶セルの一例を示す模式断面図である。液晶セル80は、第一の透明電極82を一方面上に有する第一の電極基板81と、第二の透明電極86を一方面上に有し、第一の電極基板81と対向して配置された第二の電極基板87と、第一の透明電極82と第二の透明電極86との間に担持された液晶83と、液晶83を担持するためのシール材84と、を備えている。
図10は、液晶表示素子の一例を示す模式断面図である。液晶表示素子90は、液晶セル92と、液晶セル92の一方面上に設けられた上側偏光板98と、液晶セル92の他方面上に位相差フィルム91を介して設けられた下側偏光板30と、を備えている。ここで下側偏光板30は、図4に示す偏光板30と同様のものであってよい。また、上側偏光板40は、液晶セル92に接する側から、偏光子93、粘着層94、偏光板保護フィルム95、ハードコート層96及び有機無機複合膜97を備える。
図3は、液晶ディスプレイ(LCD)の構成の一例を示す模式断面図である。液晶ディスプレイ10は、プリズムシート14の一方面上に拡散シート13、導光板12及び反射フィルム11が順に設けられ、他方面上に偏光板15、粘着層16、位相差フィルム17、粘着層18、ガラス基板19、液晶層20、カラーフィルター21、ガラス基板22、粘着層23、位相差フィルム24、粘着層25及び偏光板26がこの順で積層された構成を有する。
[プラズマディスプレイパネル(PDP)]
本実施の形態のプラズマディスプレイパネル(PDP)は、一般に、ガス、ガラス基板、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料、蛍光体により構成される。ガラス基板は、前面ガラス基板と後面ガラス基板の2枚である。2枚のガラス基板には電極と絶縁層を形成する。後面ガラス基板には、さらに蛍光体層を形成する。2枚のガラス基板を組み立てて、その間にガスを封入する。
またPDPの前面に、前面板を配置することがある。前面板はプラズマディスプレイパネルを保護するために充分な強度を備えていることが好ましい。前面板は、プラズマディスプレイパネルと隙間を置いて使用することもできるし、プラズマディスプレイ本体に直貼りして使用することもできる。
PDPのような表示装置では、光学フィルターとして、本発明の積層体を反射防止フィルムとして、ディスプレイ表面に直接貼り付けることができる。また、ディスプレイの前に前面板が設けられている場合は、前面板の表側(外側)又は裏側(ディスプレイ側)に光学フィルターとしての反射防止フィルムを貼り付けることもできる。
[タッチパネル]
本発明の積層体は、タッチパネルに組み込むことも可能である。タッチパネルとは、LCDや有機ELディスプレイ等の表示装置と、タッチパッドのような位置入力装置を組み合わせた電子部品であり、画面上の表示を押すことで機器を操作する入力装置である。
タッチパネルは、銀行など金融機関ATM、自動販売機、携帯電話、携帯情報端末 (PDA)、デジタルオーディオプレーヤー、携帯ゲーム機、コピー機、ファックス、カーナビなど、デジタル情報機器等に組み込まれ、使用することが可能である。
タッチパネルを、構造で分類すると、外付型と内蔵型に大別され、内蔵型は更に、インセル型とオンセル型に分類される。また方式で分類すると、抵抗膜式、静電容量式、光学式、超音波式等に分類される。
上記構造と方式の組み合わせから、アウトセル型静電容量式、カバーガラス一体型静電容量式、インセル型静電容量式、オンセル型静電容量式、シングルタッチ抵抗膜式、シングルタッチ抵抗膜式等が市場に流通している。
[有機ELディスプレイ(ELD)]
本発明の積層体を反射防止フィルムとして使用する場合は、有機EL素子等の保護フィルムとして用いることができる。
ELDは、各画素ごとに、発光素子が構成されている。その発光素子は、例えば、金属等の陰電極/電子注入層/電子輸送層/発光層/正孔輸送層/正孔注入層/ITO等の陽電極、そしてガラス基板や透明な光学フィルムからなる。
上記のようなサンドイッチ構造はヘテロ構造と呼ばれ、電子と正孔をそれぞれ別の層に閉じ込めることによって効率的な反応を起こすことができる。各層の材料にはジアミン、アントラセン、金属錯体などの有機物が使用されている。
電極間の各層の厚さは数nmから数百nmであり、一般的には、全体で1μm以下の厚さである。また基板もフレキシブルなプラスチック等を利用することにより、フレキシブルディスプレイの製造も可能である。
ELDは、駆動方式によりアクティブマトリクス型(AM−OLED、アモレッド)とパッシブマトリクス型(PM−OLED)に 大別され、カラー化方式では、3色方式、色変換方式、カラーフィルター方式の3種に分類される。
[光学素子]
本実施形態に係る光学素子とは、光の回折現象を利用した機能素子を指す。本実施形態の光学素子は、この要件を満たすものであれば特に限定されるものではないが、例えば、光学レンズ、光学プリズム、光学フィルター等に適している。
上記光学レンズ及び光学プリズムとしては、例えば、顕微鏡、内視鏡、望遠鏡等のレンズ、レーザービームプリンターのfθレンズ、センサー用レンズ等のレーザー走査系レンズ、カメラ及び携帯電話等の撮像系レンズ、ファインダー系のプリズムレンズ、眼鏡レンズ等の全光線透過型レンズ、及び、光ディスクのピックアップレンズが挙げられる。
図11は、プリズムシート内蔵積層フィルムの一例を示す模式断面図である。プリズムシート内蔵積層フィルム100は、PETフィルム101の一方面上に設けられたプリズム102上に、粘着層103、有機無機複合膜104、粘着層105及び反射型偏光板106がこの順に積層された構成を有する。
図12は、プリズムシート代替低屈折率層付PETフィルム内蔵積層フィルムの一例を示す模式断面図である。積層フィルム110は、プリズムシートの代替品として使用し得るものであり、低屈折率層として有機無機複合膜112を備えている。より具体的には、積層フィルム110は、PETフィルム111、有機無機複合膜112、粘着層113及び反射型偏光板114がこの順で積層した構成を有する。
図13は、プリズムシート内蔵積層フィルムの入射光を示す図である。光学装置120には、PETフィルム101の一方面上に設けられたプリズム102上に、粘着層103、有機無機複合膜104、粘着層105及び反射型偏光板106がこの順に積層された構成を有するプリズムシート内蔵積層フィルムと、PETフィルム101の他方面側に設置された冷陰極ランプ121を備える光源(CCFL)122と、を備える。光源122から照射された光は、PETフィルム101の他方面側から(プリズム102が設けられた面と反対側の面に)入射する。
[照明器具]
本実施の形態に係る照明器具とは、各種光源を利用して、何らかの目的をもって特定の場所を明るくする器具であれば、特に限定されるものではない。照明器具は、例えば、白熱電球、蛍光灯、ランプ、LED、又は有機ELを有する。
本実施形態に係る積層体は、有機無機複合膜及び接続層において、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各種有機樹脂、着色剤、レベリング剤、滑剤、界面活性剤、シリコーン系化合物、反応性希釈剤、非反応性希釈剤、酸化防止剤、光安定剤等を含有していてもよい。また、一般に樹脂用の添加剤(可塑剤、難燃剤、安定剤、帯電防止剤、耐衝撃強化剤、発泡剤、抗菌・防カビ剤、フィラー、防曇剤、架橋剤等)として供される物質を、配合しても差し支えない。また、さらに他の物質が含まれていてもよい。他の物質としては、溶剤、油脂、油脂加工品、天然樹脂、合成樹脂、顔料、染料、色素、剥離剤、防腐剤、接着剤、脱臭剤、凝集剤、洗浄剤、脱臭剤、pH調整剤、感光材料、インク、電極、めっき液、触媒、樹脂改質剤、可塑剤、柔軟剤、農薬、殺虫剤、殺菌剤、医薬品原料、乳化剤・界面活性剤、防錆剤、金属化合物、フィラー、化粧品・医薬品原料、脱水剤、乾燥剤、不凍液、吸着剤、着色剤、ゴム、発泡剤、着色剤、研磨剤、離型剤、凝集剤、消泡剤、硬化剤、還元剤、フラックス剤、皮膜処理剤、鋳物原料、鉱物、酸・アルカリ、ショット剤、酸化防止剤、表面被覆剤、添加剤、酸化剤、燃料、漂白剤、発光素子、香料、コンクリート、繊維(カーボンファイバー、アラミド繊維、ガラス繊維等)、ガラス、金属、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、ゲル化剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、懸濁化剤、粘稠剤等が挙げられる。
有機樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフタルアミド樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニルサルフォン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、塩化ビニル樹脂、合成ゴム、ポリエチレンテレフタレート樹脂、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、ポリビニリデンフルオライド樹脂、及びビニルエーテル共重合体が挙げられる。
着色剤は、着色を目的に使用される物質であれば特に限定されず、例えば、フタロシアニン、アゾ、ジスアゾ、キナクリドン、アントラキノン、フラバントロン、ペリノン、ペリレン、ジオキサジン、縮合アゾ、アゾメチン系の各種有機系色素、酸化チタン、硫酸鉛、クロムエロー、ジンクエロー、クロムバーミリオン、弁殻、コバルト紫、紺青、群青、カーボンブラック、クロムグリーン、酸化クロム、コバルトグリーン等の無機顔料等が挙げられる。これらの着色剤は単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
レベリング剤は、特に限定されず、例えば、シリコーン系レベリング剤(ジメチルポリシロキサン、有機変性ポリシロキサン等)、アクリレート系レベリング剤(エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、フッ素変性アクリレート、シリコーン変性アクリレート等)、エポキシ化大豆脂肪酸、エポキシ化アビエチルアルコール、水添ひまし油、チタン系カップリング剤等が挙げられる。これらのレベリング剤は単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
滑剤は、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス等の炭化水素系滑剤、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸系滑剤、ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレイルアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の高級脂肪酸アミド系滑剤、硬化ひまし油、ブチルステアレート、エチレングリコールモノステアレート、ペンタエリスリトール(モノ−,ジ−,トリ−,又はテトラ−)ステアレート等の高級脂肪酸エステル系滑剤、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール等のアルコール系滑剤、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リシノール酸、ナフテン酸等のマグネシウム、カルシウム、カドミウム、バリウム、亜鉛、鉛等の金属塩である金属石鹸類、カルナウバロウ、カンデリラロウ、ミツロウ、モンタンロウ等の天然ワックス類等が挙げられる。これらの滑剤は単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
界面活性剤は、その分子中に溶媒に対して親和性を持たない疎水基と、溶媒に対して親和性を持つ親媒基(通常は親水基)を持つ、両親媒性物質を指す。また、その種類は特に限定されるものではなく、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
シリコーン系化合物は、特に限定されず、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン縮合物、シリコーン部分縮合物、シリコーンオイル、シランカップリング剤、シリコーンオイル、ポリシロキサン等が挙げられ、その両末端、片末端、あるいは側鎖に有機基を導入して変性したものも含まれる。その変性の方法も特に限定されず、例えば、アミノ変性、エポキシ変性、脂環式エポキシ変性、カルビノール変性、メタクリル変性、ポリエーテル変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、フェノール変性、シラノール変性、ポリエーテル変性、ポリエーテル・メトキシ変性、ジオール変性等が挙げられる。
反応性希釈剤は、特に限定されず、例えば、アルキルグリシジルエーテル、アルキルフェノールのモノグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1、6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アルカン酸グリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられ、非反応性希釈剤としては、特に限定されず、例えば、ベンジルアルコール、ブチルジグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の高沸点溶剤等が挙げられる。
酸化防止剤は、特に限定されず、例えば、トリフェニルホスフェート、フェニルイソデシルホスファイトなどの有機リン系酸化防止剤、ジステアリル−3,3’−チオジプロピネート等の有機イオウ系酸化防止剤、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等のフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
光安定剤は、特に限定されず、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリルレート系、ニッケル系、トリアジン系等の紫外線吸収剤や、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
本実施形態に係る積層体の用途は、光学用途に限定されるものではない。例えば、電子材料(碍子類、交流変圧器、開閉機器等の注型及び回路ユニット、各種部品のパッケージ、IC・LED・半導体等の封止材、発電器、モーター等の回転機コイル、巻線含浸、プリント配線基板、絶縁ボード、中型碍子類、コイル類、コネクター、ターミナル、各種ケース類、電気部品類等)等として用いられ得る。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下に本実施形態をより具体的に説明した実施例を例示する。ただし、本発明はその要旨を超えない限りにおいて以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例における物性の評価は以下の手順で行った。
<無機化合物粒子のHR−STEM撮影>
(1)0.1gの有機無機複合体と、9.9gのクロロホルム(和光純薬工業株式会社製)をサンプル瓶にはかりとり、そこに回転子を入れた。内容物をスターラーで30分間攪拌した後、30分間超音波処理を施して、サンプル溶液を得た。有機無機複合体がクロロホルムに分散しにくい場合は、適宜、良分散性の溶媒を選択し、クロロホルムの代わりに用いた。
(2)上記サンプル溶液を、グリッド(応研商事株式会社製、「STEM100Cuグリッド」)に滴下し、風乾させて、有機無機複合体の膜(有機無機複合膜)を形成させた。
(3)グリッド上の有機無機複合体を、HR−STEMの透過モードで観察し、撮影を行った。粒子の大きさや形状に応じ、任意の測定倍率を選択した。
<無機化合物粒子の円形度>
(4)上記(1)〜(3)と同様の方法で撮影されたHR−STEM像を、上記画像解析ソフトによって処理し、無機化合物粒子(粒子の外径)の「円相当径」と「周囲長」を算出した。算出された円相当径及び周囲長に基づき、下記式に従って、粒子200個各々の円形度を求めた。円形度が0.5以上である場合を「A」、円形度が0.5未満の場合を「B」と判定した。
円形度=(円相当径から求めた円周長)/(周囲長) ・・・(10)
ここで、(円相当径から求めた円周長)=(円相当径)×πである。
(5)200個の粒子の円形度のうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を無機化合物粒子の円形度とした。
<無機化合物粒子のL/D>
(6)上記(1)〜(3)と同様の方法で撮影されたHR−STEM像を、上記画像解析ソフトによって処理し、粒子200個各々の外径の、「最大長」及び「最小幅」を算出した。図1は、各粒子の最大長及び最小幅の算出方法を示す模式図である。図1に示されるように、「最大長」とは、HR−STEM像における粒子の周上の任意の2点間の距離の最大値を指し、「最小幅」とは、粒子が最大長を示す方向に対して垂直な方向における粒子の幅を指す。
(7)求められた最大長L及び最小幅Dを下記式に代入して、粒子200個各々のL/Dを求めた。
L/D=(最大長)/(最小幅) ・・・(11)
(8)200個の粒子のL/Dのうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を無機化合物粒子のL/Dとした。
<無機化合物粒子の平均粒径>
(9)撮影されたHR−STEM像を、画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング株式会社製、「A像くん」)によって処理し、粒子200個について、各々の粒子の外径の円相当径を求めた。本明細書において、「円相当径」とは、粒子の面積と等しい面積を有する円の直径を指す。
(10)200個の粒子の円相当径のうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を「無機化合物粒子の平均粒径」とした。
<中空粒子の外殻厚み>
(10)上記(1)〜(3)と同様の方法で撮影されたHR−STEM像を、上記画像解析ソフトによって処理し、中空粒子200個について、各々の中空粒子の内径の円相当径を求めた。本明細書において、「円相当径」とは、粒子の面積と等しい面積を有する円の直径を指す。
(11)200個の粒子の円相当径のうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を「中空粒子の平均内径」とした。
(12)上記で求めた、無機化合物粒子の平均粒径と、中空粒子の平均内径より、中空粒子の外殻厚みを以下の式に従って、算出した。
中空粒子の外殻厚み=(無機化合物粒子の平均粒径−中空粒子の平均内径)/2 ・・・(6)
<中空粒子の空洞率>
(13)次いで、上記中空粒子の平均内径から、以下の式に従って、中空粒子の内腔半径aを求めた。
中空粒子の内腔半径a=中空粒子の平均内径/2 ・・・(7)
(14)上記無機化合物粒子の平均粒径から、以下の式に従って、無機化合物粒子の半径bを求めた。
無機化合物粒子の半径b=無機化合物粒子の平均粒径/2 ・・・(8)
(15)上記(13)〜(14)で求めた、中空粒子の内腔半径a、及び、無機化合物粒子の半径bを、以下の式に代入し、無機化合物粒子の空洞率を求めた。
空洞率(%)=(4πa/3)/(4πb/3)×100 ・・・(9)
<無機化合物粒子の屈折率>
無機化合物粒子の屈折率は、標準屈折液(Cargill社製)を使用して、以下の方法により求めた。但し、所望の屈折率の標準屈折液が入手出来ない場合は、屈折率既知の試薬で代用した。
(1)無機化合物粒子の分散液をエバポレーターに採り、分散媒を蒸発させた。
(2)これを120℃の真空乾燥機で乾燥し、粉末にした。
(3)屈折率既知の標準屈折液を、2〜3滴ガラス板上に滴下し、これに上記粉末を混合した。
(4)上記(3)の操作を種々の標準屈折液で行い、混合液が透明になったときの標準屈折液の屈折率を無機化合物粒子の屈折率とした。
<表面改質無機化合物粒子のハロゲン含有量の測定>
表面改質無機化合物粒子のハロゲン含有量を、燃焼処理及びそれに続くイオンクロマトグラフ法により、以下の手順で求めた。
(1)サンプルを酸素気流中で、石英燃焼管を使用して燃焼させ、発生したガスを、吸収液(3%過酸化水素水)に吸収させた。
(2)吸収液を適宜希釈し、吸収液中の臭素イオンと塩素イオンの量を、イオンクロマトグラフ(Daionex社製、「ICS−2000」)で、測定した。
(3)測定された臭素イオン及び塩素イオンの合計量から、表面改質無機化合物の質量に対する、臭素イオン及び塩素イオンの合計量を、ハロゲン含有量として求めた。
<ポリマーの比重>
ASTM D792に準じて測定した。
<ポリマーの分子量及び分子量の分散度>
ポリマーの分子量及び分子量の分散度を、「分解法」又は「添加法」により求めた。成膜性有機無機複合体が、トルエンに対して易分散の場合は「分解法」で測定を行い、難溶性の場合は「添加法」で測定した。
[分解法]
(前処理)
無機化合物粒子に結合したポリマーの分子量測定のための前処理として、以下の手順に従って、有機無機複合体に対してふっ化水素酸処理(以下、「HF処理」という。)を施した。
(1)テフロン(登録商標)製回転子を入れたテフロン(登録商標)製、又は、任意の樹脂製容器に、2mLのトルエン(和光純薬工業株式会社製)と、15mgの相間移動触媒(Aldrich社製、「Alquat336」)を加え、攪拌して、相間移動触媒がトルエンに溶解した溶液を得る。
(2)溶液に有機無機複合体のサンプル200mgを加え、攪拌により溶解させる。
(3)得られた溶液に、更に、2mLのふっ化水素酸(和光純薬工業株式会社製、濃度:46〜48%)を加え、室温で24時間攪拌して、無機化合物粒子からポリマーを分離する。
(4)上記溶液を、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)の水溶液によって中和する。この時、相分離が困難な場合は、さらにトルエン2mLを加えて遠心分離した溶液を使用してもよい。
(分子量測定)
上記前処理で得られたサンプル溶液について、下記の条件によりゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定を行った。測定結果から、ポリメタクリル酸メチルスタンダード(創和科学株式会社製)を用いて作成した検量線に基づいて、メインピークのポリメタクリル酸メチル換算の数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)を求めた。
・装置:東ソー株式会社製、「HLC−8220GPC」
・検出器:RI検出器
・移動相:テトラヒドロフラン
・流量:0.35mL/分
・カラム:東ソー株式会社製の「TSKgel GMHXL」を2本連結したものを用いた。
・カラム温度:40℃
(分子量分布)
ポリメタクリル酸メチル換算の数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)を以下の式に代入して、ポリマーの分子量分布を求めた。分子量分布が2.31以下である場合を「A」、分子量分布の分散度が2.31を超える場合を「B」と判定した。
分子量分布=Mw/Mn ・・・(12)
[添加法]
以下の方法で前処理を行い、「分子量測定」と「分子量分布」は、上述の「分解法」と同様の方法で求めた。
(前処理)
以下の手順に従って、無機化合物粒子に結合したポリマーの「分子量」と「分子量分布」を求めた。分子量測定用サンプルとして、実施例とは別に、重合開始剤を添加した状態で有機無機複合体を合成し、重合開始剤の添加により副生するポリマーを測定し、これを無機化合物粒子に結合したポリマーの「分子量」と「分子量分布」とみなした。
(1)分子量測定用サンプルの合成
(1−1)実施例と同様の方法で、有機無機複合体の原料を含む溶液を準備した。
(1−2)上記溶液に、モノマー:重合開始剤=100:(0.01〜0.25)(mol比)となるように、重合開始剤を加えた。重合開始剤は、実施例の重合液中の臭素含有量に対し、約10〜20%の臭素含有量となるように配合した。
・重合開始剤:2−ブロモイソ酪酸エチル(EBIB):Aldrich社製
(1−3)上記溶液に触媒溶液を加え、実施例と同様の方法で、測定用サンプル(有機無機複合体と副生ポリマーの混合物)を重合した。
(1−4)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、ヘキサンに投入して攪拌し、静置した。その後、上澄み液を廃棄した。
(1−5)残った沈殿物に、ヘキサンを再び加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に8回繰り返し、残った沈殿物を、実施例と同様の方法で乾燥した。
(2)上記(1)で得られた、分子量測定用サンプル1gに、10mLの溶媒(例えば、MIBK)を加え、24時間攪拌した。
(3)上記溶液に適量のTHFを加え、更に1時間攪拌した溶液を、遠心分離した。
(4)上述の「分解法」と同様の方法で、遠心分離後の上澄み液を測定し、「分子量」と「分子量の分散度」を求めた。
<有機無機複合体の「無機化合物粒子に結合しているポリマー」の量>
(1)サンプル瓶に10gの有機無機複合体をはかりとり、MIBKを加えて100mLとした後、回転子を入れて、内容物をスターラーで24時間攪拌した。
(2)別のサンプル瓶に、10mLの上記溶液をはかりとり、THFを加えて100mLに希釈後、回転子を入れて、内容物をスターラーで、更に24時間攪拌した。
(3)上記溶液を遠沈管に移し、遠心分離機で、6600rpmで30分間処理した。
(4)遠心分離後の上澄み液について、下記の条件によりゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定を行い、有機無機複合体におけるフリーポリマーを測定した。測定結果から、ポリメタクリル酸メチルスタンダード(創和科学株式会社製)を用いて作成した検量線に基づいて、メインピークのポリメタクリル酸メチル換算の、ピークトップ分子量(Mp)を求めた。
・装置:東ソー株式会社製、「HLC−8220GPC」
・検出器:RI検出器
・移動相:テトラヒドロフラン
・流量:0.35mL/分
・カラム:東ソー株式会社製の「TSKgel GMHXL」を2本連結したものを用いた。
・カラム温度:40℃
(5)上記で得られた、Mp>800のピークを、フリーポリマーとして定量した。定量の際には、Mpが最も近い「定量標準物質」を下記から選択して検量線を作成し、定量標準物質換算で、有機無機複合体中のフリーポリマーの量(質量%)を算出した。またピークが複数ある場合は、それらの合計量を求め、フリーポリマーの量(質量%)とした。
(5−1)定量標準物質:ポリメタクリル酸メチル(創和科学株式会社製)
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA850(Mp=860)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA2K(Mp=2,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA7K(Mp=7,500)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA11K(Mp=11,800)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA21K(Mp=20,850)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA30K(Mp=33,500)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA45K(Mp=46,300)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA85K(Mp=87,800)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA110K(Mp=107,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA135K(Mp=130,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA135K(Mp=130,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA190K(Mp=185,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA225K(Mp=240,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA320K(Mp=322,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA680K(Mp=670,000)」
(6)有機無機複合体中のポリマー量(無機化合物に結合しているポリマー及びフリーポリマーの量)の測定
熱重量測定装置により、以下の条件で有機無機複合体を加熱したときの質量減量(質量%)をn=3で測定し、その平均値を「有機無機複合体中のポリマー量(無機化合物に結合しているポリマー及びフリーポリマー)」とした。
・装置:株式会社島津製作所、「TGA−50」
・雰囲気:1%酸素含有窒素気流
・試料容器:アルミパン
・温度プログラム:25℃スタート→20℃/分で昇温→500℃に到達→500℃で1時間保持
(7)上記で得られた「フリーポリマーの量(質量%)」と、「有機無機複合体中のポリマー量(無機化合物に結合しているポリマー及びフリーポリマーの量)(質量%)」から、下記式に従って「無機化合物粒子に結合しているポリマーの量(質量%)」を算出した。
無機化合物粒子に結合しているポリマーの量(質量%)=(A−B)/A×100 ・・・(13)
ここで、A:有機無機複合体中のポリマー量(無機化合物に結合しているポリマー及びフリーポリマーの量)(質量%)、B:フリーポリマーの量(質量%)である。
<ポリマー中の反応性二重結合量>
ポリマー中の反応性二重結合量は、以下の手順に従って測定した。
(1)ポリマー中の官能基として水酸基を含むモノマー(例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)のモル量を、各々のモノマー転化率から求めた。モノマー転化率は、下記の条件でガスクロマトグラフィー(GC)により求めた。
・装置:株式会社島津製作所製、「GC−14B」
・検出器:FID
・カラム温度:50℃→200℃(昇温速度20℃/分)、250℃で保持
・GC注入口温度:230℃
・検出器温度:280℃
・キャリアガス:ヘリウム
(2)官能基として水酸基を含むモノマーと、官能基としてイソシアネート基を含むモノマー(例えば、メタクリル酸2−イソシアネートエチル)の付加反応を行ない、その生成物中に残存する官能基として水酸基を含むモノマーの水酸基量から求めた。水酸基量の測定は、下記の条件で核磁気共鳴装置(NMR)により求めた。
・装置:ブルカー社製、「DPX−400」
・溶媒:N,N−ジメチルホルムアミドの重水素化体
<有機無機複合体のTgの測定>
示差走査熱量測定装置(DSC)により、以下の条件で有機無機複合体のTgを求めた。
・装置:PerkinElmer社製、「Diamond DSC」
・温度プログラム:−40℃スタート→20分間保持→20℃/分で昇温→200℃
<有機無機複合体のハロゲン含有量の測定>
有機無機複合体のハロゲン含有量は、前述の「表面改質無機化合物粒子のハロゲン含有量の測定」と同様の方法で求めた。
<有機無機複合体の銅含有量の測定>
酸分解及びそれに続くICP発光分析法により、以下の手順で、銅含有量を求めた。
(1)サンプルを、硫酸(和光純薬工業株式会社製)、硝酸(和光純薬工業株式会社製)、フッ化水素酸(和光純薬工業株式会社製)で分解した。
(2)更に、硝酸(1+2)で加温溶解を行った。
(3)上記溶液を希釈し、ICP発光分析装置(株式会社島津製作所製、「ICPS−8100」)で測定した。
<有機無機複合体のフッ素含有量の測定>
燃焼処理及びそれに続くイオンクロマトグラフ法により、以下の手順で、フッ素含有量を求めた。
(1)サンプルを酸素気流下で、石英燃焼管を使用して燃焼させた。このとき、サンプルは必要に応じ、溶解及び/又は希釈してから使用してもよい。
(2)燃焼により発生したガスを、氷冷した吸収液(0.2%NaOH水溶液)に吸収させた。
(3)吸収液を適宜希釈し、吸収液中のフッ素イオンの量を、イオンクロマトグラフ(Daionex社製、「ICS−2000」)で、測定した。測定されたフッ素イオンの量から、有機無機複合体の質量に対するフッ素イオンの量をフッ素含有量として求めた。
<有機無機複合体の無機酸化物含有量の測定>
熱重量測定装置により、以下の条件で有機無機複合体を加熱したときの質量減量を求めた。
・装置:株式会社島津製作所、「TGA−50」
・雰囲気:1%酸素含有窒素気流
・試料容器:アルミパン
・温度プログラム:25℃スタート→20℃/分で昇温→500℃に到達→500℃で1時間保持
測定をn=3で行い、それらの平均値を有機−無機複合体の無機酸化物含有量とした。質量%及び体積%の値を下記のように算出した。
(1)質量%
測定された質量減量(質量%)を以下の式に代入し、無機酸化物の含有量(質量%)を算出した。
無機酸化物含有量(質量%)=100−質量減量(質量%)
(2)体積%
(2−1)ポリマーの質量と体積の算出
測定された質量減量(mg)を、ポリマーの質量(mg)と見なし、その値を下記式に代入して、ポリマーの体積(μL)を算出した。
ポリマーの体積(μL)={ポリマーの質量(mg)}/{ポリマーの比重}
(2−2)無機酸化物の質量と体積の算出
測定された質量減量(mg)を下記式に代入して、無機酸化物の質量(mg)を算出した。
無機酸化物の質量(mg)=試料量(mg)−質量減量(mg)
無機酸化物の質量を下記式に代入して、無機酸化物の体積(μL)を算出した。
無機酸化物の体積(μL)={無機酸化物の質量(mg)}/{無機酸化物の密度(g/cm3)}
(2−3)無機化合物含有量(体積%)の算出
上記のようにして得られた値を下記式に代入して、無機化合物含有量(体積%)を算出した。
<コーティング材の作製>
有機無機複合体に、任意の有機溶媒を加え、室温で24時間攪拌処理を行い、有機無機複合体の溶媒分散液を調製した。更に、必要に応じて、光重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤、架橋剤、フリーポリマー等を加えて混合し、コーティング材とした。尚、必要に応じ、超音波処理やエバポレーターによる濃縮処理を加えた。
<コーティング材の固形分濃度>
以下の手順で、コーティング材の固形分濃度を求めた。
(1)秤量瓶に、コーティング材をはかりとり、内容物の質量(質量A)を記録した。
(2)内容物の流動性が無くなるまで、窒素気流下で、上記秤量瓶を風乾した。
(3)上記秤量瓶を、105℃、真空下で、24時間乾燥させた後、デシケータ内で室温まで冷却した。
(4)秤量瓶の質量をはかり、内容物の質量(質量B)を記録した。
(5)以下の式により、固形分を求めた。
固形分(質量%)=(質量B)/(質量A)×100
<有機無機複合膜(コーティング膜)の作製>
以下の手順で、有機無機複合膜(コーティング膜)を作製した。
(1)上述のコーティング材を、適量、はかりとった。
(2)PETフィルム又はTACフィルムの上に、(1)のコーティング材を載せ、速やかにバーコーターで塗工した。但しバーコーターは、乾燥後のコーティング膜厚が1.5〜2μm程度になるように、適宜選択した。
・PETフィルム:東洋紡績株式会社製、「コスモシャイン4100」(厚み100μm、全光線透過率90%、ヘーズ0.9%)
・TACフィルム:富士フィルム株式会社製(厚み80μm、全光線透過率93%、ヘーズ0.7%)
(3)10分間風乾後、80℃の防爆型送風乾燥機で、10分間乾燥した後、必要に応じて、光硬化又は熱硬化を行い、「有機無機複合膜(コーティング膜)」を得た。
・光硬化:窒素下で、乾燥後のコーティング膜に有機無機複合膜側から高圧水銀灯により600mJ/cmの光量でUV光を照射した。
・熱硬化:100℃の防爆型送風乾燥機で、5時間加熱した。
<有機無機複合膜(コーティング膜)の外観>
上記有機無機複合膜(コーティング膜)を目視により観察し、粒子の凝集が実質的に見られない場合を合格(「A」)と判定し、粒子の凝集が見られた場合を「B」と判定した。
<有機無機複合膜(コーティング膜)の屈折率測定>
屈折率測定装置を使用し、屈折率を下記条件で測定した。
・装置:Metricon社製、「MODEL 2010 PRISM COUPLER」
・モード:シングルフィルムモード
・測定波長:633nm
・屈折率が低く、Metricon社製の装置で測定できない場合は、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製)で測定を行った。
<有機無機複合膜(コーティング膜)の全光線透過率及びヘーズの測定>
ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、「NDH 5000W」)を使用し、「JIS K7105:プラスチックの光学的特性試験方法」に準じて、コーティング膜の、全光線透過率とヘーズを測定した。
<有機無機複合膜の計算屈折率>
得られた有機無機複合膜の計算屈折率を求めるためにMaxwell−Garnettの式を用いた。ポリマーの屈折率は、有機無機複合体中のポリマーと同組成のポリマーを合成し、その屈折率を測定することにより求めた。
無機化合物粒子の屈折率として、上述の<無機化合物粒子の屈折率>の方法により測定した屈折率の値を使用し、無機化合物粒子の体積分率として、上述の<有機無機複合体の無機物含有量の測定>により測定した無機化合物粒子含有量(体積%)を100で割った値を使用した。
<Maxwell−Garnettの式>
(n −n )/(n +2n )=q(n −n )/(n +2n ) ・・・(8)
但し、式(8)中、nは有機無機複合膜の計算屈折率、nはポリマーの屈折率、nは無機化合物粒子の屈折率、qは無機化合物粒子の体積分率をそれぞれ表す。
硬化性組成物の無機化合物粒子、有機ポリマーの代表的な計算値を以下に示す。光重合開始剤は、極微量であるため、計算から除外した。
・MMAポリマー;屈折率1.490、比重1.19
・MMAと反応性二重結合からなる共重合ポリマー;モル比が異なる共重合ポリマーの屈折率と比重は、下記値とMMAポリマーから得られる線形近似式から求めた。
MMAと反応性二重結合のモル比が77/23の共重合ポリマー;屈折率1.508、比重1.21
MMAと反応性二重結合のモル比が45/55の共重合ポリマー;屈折率1.529、比重1.23
メタクリル酸エチルと反応性二重結合のモル比が67/33の共重合ポリマー;屈折率1.514、比重1.16
アクリル酸ブチルと反応性二重結合のモル比が60/40の共重合ポリマー;屈折率1.519、比重1.20
アクリル酸ブチルと反応性二重結合のモル比が73/27の共重合ポリマー;屈折率1.510、比重1.19
アクリル酸エチルと反応性二重結合のモル比が48/52の共重合ポリマー;屈折率1.526、比重1.24
メタクリル酸2、2、2−トリフルオロエチルと反応性二重結合の55/45モル%比の共重合ポリマー;屈折率1.522、比重1.32
・20nm球状シリカ、50nm球状シリカ、100nm球状シリカ、数珠状シリカ;屈折率1.450、比重2.20
・48nm中空シリカ;屈折率1.300、比重1.73
・64nm中空シリカ;屈折率1.250、比重1.55
<有機無機複合膜の空隙率>
空隙を有する有機無機複合膜の実測屈折率は、有機無機複合体の屈折率と体積分率との積に、空隙(空気の屈折率1.00)の屈折率と体積分率との積を加算した値と一致する。そのため、空隙率は、下記の式で計算した。
空隙率(%)=(n−n)/(n−1)×100 ・・・(9)
式(9)中、nは有機無機複合体の計算屈折率、nは有機無機複合膜の実測屈折率をそれぞれ表す。
<有機無機複合膜の鉛筆硬度の測定>
電動鉛筆引っかき硬度試験機(株式会社安田精機製作所製)を使用し、荷重500gで、「JIS K5600−5−4:塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に準じて、コーティング膜の、鉛筆硬度を測定した。
<有機無機複合膜の接触角の測定>
接触角計(協和界面科学株式会社製)を使用し、液滴法で、コーティング膜の水接触角(水に対する接触角)と、油接触角(n−ヘキサデカンに対する接触角)を測定した。
<有機無機複合膜の最小反射率の測定>
(1)支持体(TACフィルム)の上に、有機無機複合体を含むコーティング材を載せ、速やかにバーコーターで塗工し、風乾した。ただしコーターは、所望の膜厚になるように、適宜選択した。
・TACフィルム:富士フィルム株式会社製(厚み80μm、全光線透過率93%、ヘーズ0.7%)
(2)更に90℃の防爆型送風乾燥機で2分間乾燥後、必要に応じて、UV硬化、又は、熱硬化を行い、支持体の上に低屈折率層が形成された、サンプルを得た。
分光光度計を使用し、最小反射率を、下記手順で測定した。
(3)サンプルの支持体の裏面を、紙やすりで軽く擦った後、つや消しの黒色スプレーで塗装した。
(4)下記分光光度計で、波長380〜700nmの範囲で、反射率を測定した。
・装置:日立製作所株式会社製、「U−3410」:大型試料室積分球付き
・基準:アルミ蒸着膜における反射率を100%とした。
(6)波長450〜650nmの中で、最も低い反射率を、最小反射率とした。
<反射防止機能付偏光板の視認性>
以下の手順で、視認性の評価を行った。
(1)偏光板を約10cm角で切り出し、有機無機複合膜側を上にして、図11の液晶表示素子の偏光板(図11の98上側偏光板)として組み込み、液晶表示素子を作製した。
(2)ライトボックス(ハクバ写真産業株式会社製)の上に、上記液晶表示素子を載せて簡易LCDを作製した。
(3)液晶表示素子の表示を黒色として、正面からパネルを目視観察し、評価した。判定基準は以下の通り。
・A:ギラつきや映り込み無し。
・B:ギラつきや映り込み有り。
<反射防止機能付偏光板のコントラスト>
以下の手順で、偏光版のコントラストを評価した。
(1)上記、反射防止機能付偏光板の視認性に使用したサンプルを、暗室に設置した。
(2)暗表示及び明表示の輝度を各々、色彩輝度計(コニカミノルタ株式会社製)で、5度の角度で測定した。
(3)コントラストを、以下の式から算出した。
ここで、コントラスト=(明表示の輝度/暗表示の輝度)である。
(4)上記で得られたコントラストから、比較例1のコントラストを100%とした場合の、基準に対するコントラスト向上率を以下の式から算出した。
ここで、コントラスト向上率(%)=(各実施例及び比較例のコントラスト)/(比較例1のコントラスト)×100
<プリズムシート内蔵積層フィルムの輝度評価>
以下の手順で、プリズムシート内蔵積層フィルム、及びプリズムシート代替低屈折率層付PETフィルム内蔵積層フィルム(サンプル)を、液晶バックライトユニット積層体を模した構成で配置して、輝度測定した。液晶バックライトユニット積層体の模式図を図14に示す。
(1)反射型偏光板がプリズムシートより、出射光側に位置するように、サンプルを配置した。
(2)配置順序としては、光源ボックス(CCFL)側から、厚さ2mmの光拡散板(住友化学株式会社製「スミペックスRM402」、図14の132)、サンプル(図14の133)、液晶セル後面偏光板(日東電工株式会社製、「NPFSEG1224」、図14の134)を順次に重ねて積層体とした。
(3)箱型の測定枠を作製し、枠上部に積層体を積載し、下面より冷陰極管(CCFL)光源(外径1.8mm、長さ91mm、電源5V、図14の131)2本を点灯させ、積層体を透過する光を、HI−LAND’s RISA system社製の輝度計(図14の135)を用いて正面輝度を測定した。
(4)比較例5の正面輝度を100%とした場合の、基準(比較例5)に対する輝度向上率を、以下の式から求め、輝度向上率(%)として算出し、90%以上であれば「A」、90%未満であれば「B」と評価した。
輝度向上率(%)=(各実施例及び比較例の正面輝度)/(比較例5の正面輝度)×100
<プリズムシート内蔵積層フィルムの弛み評価>
アルミニウム製の枠体の各辺2箇所、合計8箇所に、500mm×800mmの光学機能層一体化品(サンプル)をピンで固定し、85℃の乾燥機で30分加熱し、取り出した時のサンプルを肉眼で観察した。この際、サンプルに弛みが認められなかったものは「A」、認められたものは「B」と評価した。
<原材料>
実施例及び比較例で使用した原材料の内容を以下の(1)〜(13)に示す。
(1)無機化合物粒子溶液
(1−1)数珠状シリカ溶液A
・商品名:日産化学工業株式会社製、「MEK−ST−UP」
・20質量%数珠状シリカ粒子/MEK溶液
・空洞率:0%
・屈折率:1.45
・球状のシリカが数珠状に連結して形成された長鎖の構造。図2に数珠状無機化合物粒子のTEM写真を示す。
(1−2)数珠状シリカ溶液B
・商品名:日産化学工業株式会社製、「MIBK−ST−UP」
・20質量%数珠状シリカ粒子/MIBK溶液
・空洞率:0%
・屈折率:1.45
(1−3)中空シリカ溶液C
・商品名:日揮触媒化成株式会社製、「スルーリア2320」
・20質量%中空シリカ粒子/MIBK溶液
・平均粒径48nm、外殻厚み8.5nm
・空洞率:27%
・屈折率:1.30
・L/D:1.1
(2)シラン化合物
(2−1)3−(2−ブロモイソブチロキシ)プロピルジメチルクロロシラン(以下、「BPS」という。)
公知の方法(特開2006−063042号公報等)を参考に、下記化学式(10)で表されるBPSを合成した。

(2−2)(3−(2−ブロモイソブチリル)プロピル)ジメチルエトキシシラン(以下、「BIDS」という。)
公知の方法(特開2006−257308号公報)に従って、下記化学式(11)で表されるBIDSを合成した。

(2−3)1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(以下、「HMDS」という。):東京化成工業株式会社製
(3)重合触媒
(3−1)臭化銅(I)(CuBr):和光純薬工業株式会社製
(3−2)臭化銅(II)(CuBr):和光純薬工業株式会社製
(4)配位子
(4−1)N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(以下、「PMDETA」という。):Aldrich社製
(5)モノマー
以下の(5−7)〜(5−10)以外のモノマーは、アルミナカラムを通じて重合禁止剤を除去した後、1時間以上窒素バブリングして、脱酸素処理を行ってから使用した。アルミナカラムが使用できない場合は、蒸留等の公知の方法で、重合禁止剤を除去してもよい。
(5−1)メタクリル酸メチル(以下、「MMA」ともいう。):東京化成工業株式会社製
(5−2)メタクリル酸エチル(以下、「EMA」ともいう。):東京化成工業株式会社製
(5−3)メタクリル酸2、2、2−トリフルオロエチル(以下、「TFEMA」ともいう。):東京化成工業株式会社製
(5−4)メタクリル酸グリシジル(以下、「GMA」ともいう。):東京化成工業株式会社製
(5−5)メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、「HEMA」ともいう。):東京化成工業株式会社製
(5−6)2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、「AOI」ともいう。):昭和電工株式会社
(5−7)2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、「MOI」ともいう。):昭和電工株式会社
(5−8)アクリル酸n−ブチル(以下、「nBA」ともいう。):東京化成工業株式会社製
(5−9)アクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、「HEA」ともいう。):東京化成工業株式会社製
(5−10)アクリル酸(以下、「AA」ともいう。):東京化成工業株式会社製
(6)溶剤等
(6−1)メタノール:和光純薬工業株式会社製
(6−2)メチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」という。):和光純薬工業株式会社製
(6−3)メチルエチルケトン(以下、「MEK」という。):和光純薬工業株式会社製
(6−4)テトラヒドロフラン(以下、「THF」という。):和光純薬工業株式会社製
(6−5)ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」という。):和光純薬工業株式会社製
(6−6)n−メチルピロリドン(以下、「NMP」という。):和光純薬工業株式会社製
(6−7)ヘキサン:和光純薬工業株式会社製
(6−8)シクロヘキサノン:和光純薬工業株式会社製
(6−9)メチルセロソルブ:和光純薬工業株式会社製
(6−10)イソプロピルアルコール(以下、「IPA」という。):和光純薬工業株式会社製
(7)メタノール−水混合溶液
(7−1)メタノール−水混合溶液−1:77容量%のメタノールと、23容量%のイオン交換水とを含む混合溶液
(7−2)メタノール−水混合溶液−2:80容量%のメタノールと、20容量%のイオン交換水とを含む混合溶液
(8)重合開始剤
(8−1)2−ブロモイソ酪酸エチル(以下、「EBIB」ともいう。):Aldrich社製
(8−2)アゾビスイソブチロニトリル(以下、「AIBN」ともいう。):和光純薬工業株式会社製
(9)付加反応触媒
・ジブチル錫ジラウレート(以下、DBTDLと言う。):和光純薬工業株式会社製
(10)重合禁止剤
・2,6−ジ−tert−ブチルフェノール:東京化成工業株式会社製
(11)光ラジカル開始剤
(11−1)1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184):BASF社製
(11−2)2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907):BASF社製
(12)光酸発生剤
・CPI−100P(商標名):サンアプロ株式会社製
(13)フッ素系添加剤
・KY−1203(商標名):信越化学工業株式会社製
<表面改質無機化合物粒子−1の合成(BPS改質数珠状シリカ粒子A1の合成)>
以下の手順に従って、BPS改質数珠状シリカ粒子A1(BPSが表面に結合した、数珠状シリカ粒子A1)を合成した。
(1)冷却管を接続し、回転子を入れた二口フラスコの内部を、窒素置換した。
(2)窒素下で、フラスコ内に86容量%の数珠状シリカ溶液Aを導入し、更に、7容量%のBPSを導入し、攪拌を開始した。
(3)上記フラスコを85℃のオイルバスに浸し、攪拌しながら36時間反応を行った。
(4)反応液を室温まで冷却した後、窒素下で7容量%のHMDSを導入した。
(5)室温で2時間攪拌後、80℃で8時間攪拌して反応を行い、反応液を室温まで冷却した。
(6)反応液を遠沈管に移し、遠心分離機(株式会社久保田製作所製、型式:7700)を用いて、10000rpm、10℃で、30分間、遠心分離を行った。
(7)遠沈管内の上澄み液をメタノール−水混合溶液−2に投入、混合し、静置後、上澄み液を廃棄した。
(8)沈殿物に窒素を吹き込み、残留する液体を揮発させた後、少量のTHFを加え、攪拌により沈殿物をTHFに溶解させた。
(9)上記溶液をメタノールに投入して攪拌し、静置した後、上澄み液を廃棄した。
(10)残った沈殿物にメタノールを加えて攪拌し、静置した後、上澄み液を廃棄した。更にこの操作を10回繰り返した。
(11)上記沈殿物に窒素を吹きこみながら、一晩風乾することにより、液体を揮発させ、固形物を得た。
(12)上記固形物を、80℃、真空下で、24時間乾燥させて、BPS改質20nm球状シリカ粒子を得た。
(13)ハロゲン含有量は、2.2質量%であった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
<表面改質無機化合物粒子−2の合成(BPS改質数珠状シリカ粒子A2の合成)>
配合量を以下のように変更した以外は、上述の<表面改質無機化合物粒子−1の合成>と同様の方法で、BPS改質数珠状シリカ粒子A2を合成した。
配合量:数珠状シリカ溶液(92.7容量%)、BPS(0.2容量%)、HMDS(7.1容量%)
ハロゲン含有量は、0.18質量%であった。
<表面改質無機化合物粒子−3の合成(BPS改質50nm中空シリカ粒子の合成)>
中空シリカ溶液C(平均粒径48nm)(86容量%)、BPS(7容量%)、HMDS(7容量%)に、配合量を変更し、上記表面改質無機化合物粒子−1の合成と同様の方法で、BPS改質50nm中空シリカ粒子(BPSが表面に結合した、50nm中空シリカ粒子)を合成した。BPS改質50nm中空シリカ粒子のハロゲン含有量は、1.0質量%であった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
[製造例1:数珠状SiO−g−p(TFEMA−co−HEMA)、熱可塑]
有機無機複合体Aを、表1の配合に従って、以下の手順で製造した。各成分の濃度は、全成分の合計量を基準とした数値である。得られた有機無機複合体Aの評価結果を表6に示す。
(1)回転子を入れたシュレンクフラスコに、CuBr及びCuBrを加え、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した後、少量のMIBKを窒素下で導入し、攪拌した。
(2)上記溶液に、PMDETAを加え、60℃で攪拌したものを、触媒溶液とした。
(3)冷却管を接続し、回転子を入れた別のシュレンクフラスコに、BPS改質50nm中空シリカ粒子を投入した。
(4)シュレンクフラスコに冷却管を接続し、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した。
(5)フラスコに、窒素下で残りの溶媒(MIBK)を導入して攪拌後、超音波洗浄機で10分間処理した後、更にモノマー(TFEMA及びHEMA)を導入し、60℃のオイルバスに浸し、攪拌した。
(6)更に、上記で調製した触媒溶液を、窒素下で導入後、反応液を20分間攪拌し、重合反応を行った。
(7)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、メタノール(メタノールのみで固形分が析出しにくい場合は、ヘキサンを使用しても良い。)に投入して攪拌し、沈殿物が沈みにくい場合は、遠心分離で分離して、静置した。
(8)静置後、上澄み液を廃棄した後、残った沈殿物に、メタノールを再び加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に8回繰り返した。
(9)残った沈殿物に窒素を吹きこみながら、一晩風乾することにより、液体を揮発させ、固形物を得た。
(10)上記固形物を、真空下、80℃で24時間乾燥させて、有機無機複合体Aを得た。
(11)有機無機複合体AのTgを上述の方法で測定したところ、82℃であった。
(12)有機無機複合体Aのハロゲン含有量を、上述の方法で測定したところ、0.5質量%であった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
(13)有機無機複合体Aのフッ素含有量を、上述の方法で測定したところ、20質量%であった。
(14)有機無機複合体Aを構成するポリマーの数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)を上述の方法で測定したところ、Mn=12,900、Mw=21,900、Mw/Mn=1.70(≦2.3)であり、鎖長が揃ったポリマー鎖が無機化合物粒子に結合していることがわかった。
(15)有機無機複合体Aのフリーポリマー量を測定したところ、フリーポリマーは3質量%であった。
(16)有機無機複合体Aの無機化合物粒子含有量を上述の方法で測定したところ、無機化合物粒子含有量は、52質量%及び46体積%であった。
(17)固形分が約10質量%となるように、有機無機複合体Aに、MEKとMIBKを5:5(容積比)で混合した溶媒を添加し、上述の方法でコーティング材を得た。
(18)上記コーティング材を使用し、上述の方法で、PETフィルムに、塗工、乾燥し、有機無機複合膜(コーティング膜)を得た。得られた膜の外観を目視で確認したところ、無機化合物粒子の凝集は見られず、透明性を維持していた。
(19)膜の全光線透過率とヘーズを、上述の方法で測定したところ、全光線透過率は91%、ヘーズは2.0%であった。
(20)上述の方法で有機無機複合膜(コーティング膜)の屈折率を測定したところ1.33であり、理論屈折率(1.37)と比較して、顕著に低い値を示した。
(21)上述の方法で、有機無機複合膜の空隙率を求めたところ、更に屈折率の値から求めた空隙率は9%であった。このことから、屈折率の制御ができることが判明した。
(22)上述のコーティング材を使用して、PETフィルムの代わりに、TACフィルムを使用して、上述と同様の方法で、コーティング膜を作製し、評価した結果、PETフィルムと同様、良好な結果が得られた。
[製造例2:数珠状SiO−g−pGMA、光カチオン硬化]
有機無機複合体Bを、表1の配合に従って、以下の方法で製造し、評価した。得られた有機無機複合体Bの評価結果を表4に示す。
(1)回転子を入れたシュレンクフラスコに、CuBr及びCuBrを加え、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した後、少量のMEKを窒素下で導入し、溶液を攪拌した。
(2)上記溶液に、PMDETAを加え、50℃で攪拌したものを、触媒溶液とした。
(3)冷却管を接続し、回転子を入れた別のシュレンクフラスコに、BPS改質数珠状シリカ粒子A1を投入した。
(4)シュレンクフラスコに冷却管を接続し、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した。
(5)フラスコに、窒素下で残りのMEK溶媒を導入し、超音波洗浄機で10分間処理した後、GMAモノマーを導入し、50℃のオイスバスに浸し、攪拌した。
(6)更に、上記で調製した触媒溶液を、窒素下で導入後、反応液を7時間攪拌し、重合反応を行った。
(7)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、ヘキサンに投入して攪拌し、沈殿物が沈みにくい場合は、遠心分離で分離して、静置した。
(8)静置後、上澄み液を廃棄した後、残った沈殿物に、ヘキサンを再び加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に2回繰り返した。
(9)残った沈殿物に窒素を吹きこみながら、一晩風乾することにより、液体を揮発させ、有機無機複合体を得た。
(10)有機無機複合体を構成するポリマーの数平均分子量(Mn)を上述の方法で測定したところ、Mn=38,300であった。更に、分子量分布(Mw/Mn)を算出したところ、Mw/Mn=1.91(≦2.3)であり、鎖長が揃ったポリマー鎖が、無機化合物粒子に結合していることがわかった。
(11)有機無機複合体のフリーポリマー量を測定したところ、フリーポリマーは0質量%であった。
(12)更に、有機無機複合体、光酸発生剤(「CPI−100P」)、MEKを混合し、上述の方法でコーティング材を得た。光酸発生剤を、有機無機複合体中の有機ポリマー量に対して5質量%となるように導入した。また、有機無機複合組成物(有機無機複合体と光酸発生剤)の固形分濃度が10質量%となるように、溶媒(容積比で、MEK:メチルセロソルブ=5:5で混合したもの)を加えた。
(13)上記コーティング材を使用し、上述の方法で、PETフィルムに、塗工、乾燥し、空気下で、UV照射することで有機無機複合膜を得た。評価結果を表5に示す。得られた有機無機複合膜の外観を目視で確認したところ、無機物化合粒子の凝集やクラックは見られず、透明性を維持していた。
(14)有機無機複合膜の全光線透過率とヘーズを、上述の方法で測定したところ、屈折率は1.16、全光線透過率は91%、ヘーズは0.3%であった。
(15)上述の方法で有機無機複合膜の空隙率を計算したところ、65%であり、高い空隙率を示した。
[製造例3:数珠状SiO−g−p(EMA/HEMA/AOI)、光ラジカル硬化]
有機無機複合体Cを、表1及び表3の配合に従って、以下の手順で製造した。得られた有機無機複合体及び有機無機複合膜の評価結果を、表4及び5に示す。
(1)回転子を入れたシュレンクフラスコに、CuBr及びCuBr加え、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した後、少量のMIBKを窒素下で導入し、溶液を攪拌した。
(2)上記溶液に、PMDETAを加え、40℃で攪拌したものを、触媒溶液とした。
(3)冷却管を接続し、回転子を入れた別のシュレンクフラスコに、BPS改質数珠状シリカA2粒子を投入した。
(4)シュレンクフラスコに冷却管を接続し、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した。
(5)フラスコに、窒素下で残りのMIBK溶媒を導入し、5時間攪拌した後、EMAとHEMAのモル比が50/50で、全モノマー重量が、表面改質無機化合物粒子に対して約78質量%(EMAモノマーとHEMAモノマー)になるようにモノマーを導入し、80℃のオイスバスに浸し、攪拌した。
(6)更に、上記で調製した触媒溶液を、窒素下で導入後、反応液を22時間攪拌し、重合反応を行った。
(7)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、ヘキサンに投入して攪拌し、沈殿物が沈みにくい場合は、遠心分離で分離して、静置した。
(8)静置後、上澄み液を廃棄した後、残った沈殿物に、MIBKを加えて再分散させた後、ヘキサンを加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に2回繰り返し、最後にヘキサンで洗浄し、上澄み液を廃棄することで未反応のモノマーを除去した。
(9)表4の配合に従って、残った沈殿物に重合禁止剤とMEK溶媒を加えて、溶液が透明になるまで攪拌を行なった。
(10)次いで、溶液を60℃に加熱した後、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、AOIと言う。)とDBTDLを加えて、6時間攪拌し、HEMAとAOIの付加反応を行なった。
(11)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、ヘキサンに投入して攪拌し、静置した。沈殿物が沈みにくい場合は、遠心分離で分離を行なった。
(12)上澄み液を廃棄した後、残った沈殿物に、MEK/メタノール混合溶媒(容量比で、MEK:メタノール=1:1で混合)を加えて再分散させた後、ヘキサンを加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に2回繰り返し、最後にヘキサンで洗浄し、上澄み液を廃棄することで未反応のモノマーを除去した。
(13)残った沈殿物に窒素を吹きこみながら、風乾することにより、液体を揮発させ、有機無機複合体Cを得た。
(14)有機無機複合体Cを構成するポリマーの数平均分子量(Mn)を上述の方法で測定したところ、Mn=63,200であった。更に、分子量分布(Mw/Mn)を算出したところ、Mw/Mn=2.00(≦2.3)であり、鎖長が揃ったポリマー鎖が、無機物化合物粒子に結合していることがわかった。
(15)有機無機複合体Cのフリーポリマー量を測定したところ、0質量%であった。
(16)有機無機複合体C、光ラジカル開始剤(質量比で、「イルガキュア184」:「イルガキュア907」=4:1で混合したもの)、溶媒(容量比で、MEK:シクロヘキサノン=8:2で混合したもの)を混合し、上述の方法でコーティング材を得た。光ラジカル開始剤は、有機無機複合体中の有機ポリマー量に対して5質量%となるように導入した。また、有機無機複合組成物(有機無機複合体と光ラジカル開始剤)の固形分濃度が10質量%となるように、溶媒を加えた。
(17)上記コーティング材の凝集物を上述の方法で確認したところ、分散不良の固形物等は見られなかった。
(18)上記コーティング材を使用し、上述の方法で、PETフィルムに、塗工、乾燥し、窒素下で、UV照射することで有機無機複合硬化膜を得た。得られた有機無機複合膜の外観を目視で確認したところ、無機化合物粒子の凝集やクラックは見られず、透明性を維持していた。
(19)有機無機複合膜の全光線透過率とヘーズを、上述の方法で測定したところ、全光線透過率は92%、ヘーズは0.5%であった。
(20)有機無機複合膜の屈折率を上述の方法で測定したところ、1.26であり、上述の方法で計算される屈折率の値(1.48)と比較して、低い値を示した。このことから、空隙を有する有機無機複合膜が形成されていることが判明した。
(21)有機無機複合膜の空隙率を上述の方法で計算したところ、46%であり、高い空隙率を示した。
[製造例4:数珠状SiO2−g−p(MMA/HEMA/AOI)、全工程一環合成、光ラジカル硬化]
以下の手順に従って、BIDS改質数珠状シリカ粒子/MIBK溶液(BIDSが表面に結合した、数珠状シリカ粒子/MIBK溶液)を合成し、連続して、表1の配合に従って、有機無機複合体Dを製造し、評価した。
(1)冷却管を接続し、回転子を入れた二口フラスコの内部を、窒素置換した。
(2)窒素下で、フラスコ内に98.9容量%の数珠状シリカ溶液B(「MIBK−ST−UP」)を導入し、更に、0.1容量%のBIDSを導入し、攪拌を開始した。
(3)上記フラスコを110℃のオイルバスに浸し、攪拌しながら24時間反応を行った。
(4)反応液を室温まで冷却した後、窒素下で1.0容量%のHMDSを導入した。
(5)室温で2時間攪拌後、80℃で8時間攪拌して反応を行い、反応液を室温まで冷却したものを、BIDS改質数珠状シリカ溶液とした。一部を洗浄乾燥し、ハロゲン含有量を測定したところ、0.1質量%であった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
(6)引き続き、表1の配合に従って、更に、モノマー、触媒溶液等を加え、80℃で3時間重合した後、室温まで冷却し、重合液とした。
(7)更に引き続き、表3の配合に従って、60℃で6時間、付加反応を行い、室温まで冷却した。
(8)上記反応液を、製造例3と同様の方法で洗浄・乾燥し、有機無機複合体Dを得た。評価結果を表4に示す。
(9)更に、有機無機複合体Dを使用して、製造例3と同様の方法で、コーティング材と有機無機複合膜を製造し、評価した結果を表5に示す。基材は、TACフィルム上に、ハードコート層を形成したものを用いた。
[比較製造例1]
表2及び3の配合に従って、以下の手順で、フリーラジカル重合による有機無機複合体αを合成した。得られた有機無機複合体αを、製造例1と同様の方法で評価した。評価結果を表6に示す。
(1)回転子を入れたシュレンクフラスコに、AIBNを加え、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した後、少量のMEKを窒素下で導入し、攪拌したものを、触媒溶液とした。
(2)冷却管を接続し、回転子を入れた別のシュレンクフラスコに、CPS改質20nm球状シリカ粒子を投入した。
(3)シュレンクフラスコに冷却管を接続し、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した。
(4)フラスコに、窒素下で残りのMIBK溶媒を導入し、5時間攪拌した後、MMAとHEMAのモル比が90/10で、全モノマー重量が、表面改質無機化合物粒子に対して78質量%(MMAモノマーとHEMAモノマー)
になるようにモノマーを導入し、80℃のオイスバスに浸し、攪拌した。
(5)更に、上記で調製した触媒溶液を、窒素下で導入後、反応液を6時間攪拌し、重合反応を行った。
(6)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、ヘキサンに投入して攪拌し、沈殿物が沈みにくい場合は、遠心分離で分離して、静置した。
(7)静置後、上澄み液を廃棄した後、残った沈殿物に、MIBKを加えて再分散させた後、ヘキサンを加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に2回繰り返し、最後にヘキサンで洗浄し、上澄み液を廃棄することで未反応のモノマーを除去した。
(8)残った沈殿物に2、6−ジ−tert−ブチルメチルフェノールとMEK溶媒を加えて、溶液が透明になるまで攪拌を行なった。
(9)次いで、溶液を60℃に加熱した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、MOIと言う。)とDBTDLを加えて、6時間攪拌し、HEMAとMOIの付加反応を行なった。
(10)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、ヘキサンに投入して攪拌し、静置した。沈殿物が沈みにくい場合は、遠心分離で分離を行なった。
(11)上澄み液を廃棄した後、残った沈殿物に、MEKを加えて再分散させた後、ヘキサンを加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に2回繰り返し、最後にヘキサンで洗浄し、上澄み液を廃棄することで未反応のモノマーを除去した。
(12)残った沈殿物に窒素を吹きこみながら、風乾することにより、液体を揮発させ、有機無機複合体αを得た。
(13)ポリマーの分子量は、有機無機複合体αがゲル化したため完全に溶解しなかったが、溶解成分のみを測定したところ分子量分布は2.3より大きかった。その有機無機複合体αを使用し、上述の方法で、コーティング液を調整した結果、明らかに溶解していない凝集物が沈殿していた。このコーティング液から得られたコーティング膜の外観を目視で確認したところ、粒子の凝集が見られ、微白濁を呈していた。得られた有機無機複合膜の評価結果を表6に示す。
[比較製造例2]
無機化合物粒子を配合せずに、表2の配合に従って、重合反応を行い、p(MMA−co−HEMA)共重合ポリマーを合成し、表3の配合に従って、製造例3と同様に、反応性二重結合を有する化合物を付加させた。得られた有機ポリマーとBPS改質数珠状シリカ粒子A1の混合コーティング膜を作成し、製造例3と同様の方法で評価した。
(1)回転子を入れたシュレンクフラスコに、CuBrを加え、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した後、少量のMEKを窒素下で導入し、攪拌した。
(2)上記溶液に、PMDETAを加え、40℃で攪拌したものを、触媒溶液とした。
(3)回転子を入れたシュレンクフラスコを、内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した後、少量のMIBKとEBIBを窒素下で導入し、攪拌したものを、重合開始剤溶液とした。
(4)回転子を入れた、別のシュレンクフラスコに、冷却管を接続し、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した。
(5)フラスコに、窒素下で残りのMIBK溶媒、モノマー(MMAとHEMA)を導入し、80℃のオイスバスに浸し、攪拌した。
(6)更に、上記で調製した触媒溶液と重合開始剤溶液を、窒素下で導入後、反応液を10時間攪拌し、重合反応を行った。
(7)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、ヘキサンに投入して攪拌し、静置した。その後、上澄み液を廃棄した。
(8)残った沈殿物に、ヘキサンを再び加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に2回繰り返した。
(9)残った沈殿物に窒素を吹きこみながら、一晩風乾することにより、液体を揮発させ、沈殿物「p(MMA−co−HEMA)」を得た。
(10)残った沈殿物に2、6−ジ−tert−ブチルメチルフェノールとMEK溶媒を加えて、溶液が透明になるまで攪拌を行なった。
(11)次いで、溶液を60℃に加熱した後、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(AOI)とDBTDLを加えて、6時間攪拌し、HEMAとAOIの付加反応を行なった。
(12)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、ヘキサンに投入して攪拌し、静置した。沈殿物が沈みにくい場合は、遠心分離で分離を行なった。
(13)上澄み液を廃棄した後、残った沈殿物に、MEKを加えて再分散させた後、ヘキサンを加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に2回繰り返し、最後にヘキサンで洗浄し、上澄み液を廃棄することで未反応のモノマーを除去した。
(14)残った沈殿物に窒素を吹きこみながら、風乾することにより、液体を揮発させ、フリーポリマー「p(MMA/HEMA/AOI)」を得た。
(15)ポリマーの数平均分子量(Mn)を上述の方法で測定したところ、Mn=61,200であった。更に、分子量分布(Mw/Mn)を算出したところ、Mw/Mn=1.85(≦2.3)であった。評価結果を表4に示す。
(16)上記フリーポリマーに、無機含量が90質量%になるようにBPS改質数珠状シリカ粒子A1を加えて、実施例3と同様の方法で、有機ポリマーとBPS改質数珠状シリカ粒子A1の混合物で、有機無機複合膜を作成し、評価した。
(17)得られた有機無機複合膜の外観を目視で確認したところ、微白濁を呈していた。有機無機複合硬化膜の全光線透過率とヘーズを、上述の方法で測定したところ、全光線透過率は82%、ヘーズは10.1%であった。また、密着性も低下した。得られた有機無機複合硬化膜の評価結果を表6に示す。
[比較製造例3]
表2及び3に従い、重合停止時間を14時間とした以外は、製造例3と同様の方法で有機無機複合体βを、製造し、評価した。得られた有機無機複合体βの無機含量は、47質量%であり、屈折率を低下させる効果は見られなかった。得られた有機無機複合膜の評価結果を、表6に示す。
[比較製造例4]
表2及び3に従い、重合停止時間を15分とした以外は、実施例3と同様の方法で、有機無機複合体γを製造し、評価した。得られた有機無機複合体γの無機含量は96質量%であり、外観を目視で確認したところ、微白濁を呈していた。また、得られた有機無機複合膜が脆く、破損してしまい、屈折率等の評価ができなかった。評価結果を表6に示す。
[比較製造例5]
製造例3の有機無機複合体C(65質量%)に、比較製造例2のフリーポリマー「p(MMA/HEMA/AOI)」(35質量%)を加え、製造例3と同様の方法で、コーティング材と有機無機複合膜を作製し、評価した。得られた有機無機複合膜には、屈折率を低下させる効果は見られなかった。評価結果を、表6に示す。
[製造例5](偏光子の作製)
以下の手順で、偏光子を作製した。
(1)PVAフィルム(完全鹸化タイプ、鹸化度99.9%以上、重合度2400、厚み45μm)を、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/純水の質量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬した。
(2)次いで、ヨウ化カリウム/ホウ酸/純水の質量比が12/5/100の水溶液に 57℃で浸漬した。
(3)更に、8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥し、厚さ約20μmの偏光子を得た。延伸は、主に、ヨウ素染色及びホウ酸処理の工程で行い、トータル延伸倍率は5.5倍であった。
[製造例6](低屈折率コーティング材Cの作製)
4質量%の製造例3の有機無機複合体C、0.16質量%のフッ素系添加剤(KY−1203)、0.04質量%の光ラジカル開始剤(イルガキュア184とイルガキュア907を、4:1の質量比で混合したもの)にMEKを加えて100質量%とし、混合攪拌した。
上記溶液に、MEK:シクロヘキサノンが8:2(容積比)となるように、シクロヘキサノンを加えて混合した。
[製造例7](反射防止機能付TACフィルムの作製)
以下の手順で、基材を作製し、評価した。
(1)48質量%の日本合成化学株式会社製、「紫光UV−7640B」と、2質量%の光重合開始剤(イルガキュア184)と、50質量%のMEKを混合し、ハードコート材溶液を作製した。
(2)TACフィルム(富士フィルム株式会社製、厚み40μm)に、上記ハードコート材溶液をバーコーターでコーティングし、風乾後、80℃×1分間熱風乾燥し、更に窒素下で、積算光量500mJ/cmとなるようにUV照射した。
(3)上記ハードコート層の厚みは約5μm、屈折率は1.50であった。
(4)有機無機複合膜が約100〜110nmの厚みとなるように、製造例6の低屈折率コーティング材Cを、バーコーターでコーティングし、(2)と同様の条件で乾燥、UV硬化を行った。
(5)有機無機複合膜の屈折率は1.26、最小反射率は0.05%であった。
[実施例1]
以下の手順に従って、積層体(反射防止機能付偏光板)を作製し、評価した。
(1)製造例7の反射防止機能付TACフィルムの裏側(有機無機複合膜が積層されていない面)に、1.5mol/LのNaOH/IPA溶液で処理し、乾燥させた後、流水で洗浄し、再乾燥させた。
(2)上記フィルムの鹸化した面に、PVA系接着剤を介して、製造例5の偏光子を貼り付けた。
(3)更に(2)の偏光子のもう片方の面に、片側だけ鹸化処理したTACフィルムを使用し、鹸化処理面を、上記PVA接着剤を介して積層し、図6の50Bの構成の積層体(反射防止機能付偏光板)を得た。
(4)評価結果を、表7に示す。本積層体は比較例1の基準に対し、視認性とコントラストが顕著に向上することがわかった。
[比較例1]
実施例1で使用した、製造例3の有機無機複合体Cの代わりに、比較製造例2のp(MMA/HEMA/AOI)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、積層体(反射防止機能付偏光板)を作製し、評価した結果を、表7に示す。
本積層体は、実施例1と比較して、明らかに視認性とコントラストが劣っていた。
[比較例2]
実施例1で使用した、製造例3の有機無機複合体Cの代わりに、比較製造例4の有機無機複合体γを使用した以外は、実施例1と同様の方法で、積層体(反射防止機能付偏光板)を作製し、評価した結果を表7に示す。
本積層体は、実施例1と比較して、膜が脆く透明性に劣るため、視認性やコントラストが劣るだけでなく、測定箇所によるバラつきが大きいことがわかった。
[比較例3]
実施例1で使用した、製造例3の有機無機複合体Cの代わりに、比較製造例5の組成物を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、積層体(反射防止機能付偏光板)を作製し、評価した結果を、表7に示す。
本積層体は、実施例1と比較して、視認性やコントラストが劣っていた。
[製造例8(アクリル系粘着剤シート)]
以下の手順で、アクリル系粘着剤シートを作製した。
(1)ベースポリマーとして、nBA/AA/HEA=100/5/0.2(質量比)のの共重合体からなる、Mw=約180万のアクリル酸エステル共重合体を合成した。アクリル酸エステル共重合体のTgは、−40℃であった。
(2)上記アクリル酸エステル共重合体溶液(30質量%)に、イソシアネート系多官能性化合物(日本ポリウレタン社製、「コロネートL」を、ポリマー固形分100部に対して4部、シランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製、「KBM−403」)を0.5部、粘度調整のための溶剤(酢酸エチル)を加え、粘着剤溶液(固形分12%)を調製した。当該粘着剤溶液を、離型フィルム(三菱化学株式会社製、「ダイヤホイルMRF38」)上に塗布した後、熱風循環式オーブンで乾燥して、粘着剤シートを形成した。
[実施例2]
実施例1のPVA系接着剤の代わりに、製造例8のアクリル系粘着剤シートを使用して、実施例1と同様の方法で、積層体(反射防止機能付偏光板)を作製し、評価した結果を、表7に示す。本積層体は比較例1の基準に対し、視認性とコントラストが顕著に向上することがわかった。
[製造例9](低屈折率コーティング材A)
6質量%の製造例1の有機無機複合体A、にMEKを加えて100質量%とし、混合攪拌した。
上記溶液に、MEK:シクロヘキサノンが8:2(容積比)となるように、シクロヘキサノンを加えて混合した。
[製造例10]
以下の手順で、有機無機複合膜と粘着層を有する積層体を作製した。
(1)離型フィルムとして、表面が平滑なテフロン(登録商標)シートの上に、製造例9の低屈折率コーティング材Aをコーティングし、風乾後、80℃×1分間熱風乾燥した。
(2)得られた有機無機複合膜の厚みは約380nm、屈折率は1.33であった。
(3)上記有機無機複合膜の片面に、製造例8の粘着剤シート(厚み2〜5μm)を積層し、積層体を得た。
[実施例3](プリズムシート内蔵積層フィルム)
以下の手順で、図11のプリズムシート内蔵積層フィルムを作製し、評価した。
(1)反射型偏光板(住友スリーエム株式会社製、「DBEF−D2」)の裏面に、上記製造例10の積層体を重ね、接着層を形成した。
(2)プリズムシート(住友スリーエム株式会社製、「BEF3−T」)の凸部が、接着層内に納まるように、(1)の積層体を貼り付け、プリズムシート内蔵積層フィルムを作製し、評価した結果を表8に示す。
[実施例4](プリズムシート内蔵積層フィルム)
実施例3の反射型偏光板の裏面(光源側)に、EVA系熱可塑性接着剤を、厚さが約10μmとなるように溶融塗布し、実施例3のプリズムシートの凸部が、接着層内に納まるように、(1)の積層体を貼り付け、プリズムシート内蔵積層フィルムを作製し、評価した結果を表8に示す。
[比較例4]
実施例4の反射型偏光板とプリズムシートを、接着剤を介さずに積層し、プリズムシート内蔵積層フィルムを作製した。実施例4と同様の方法で、評価した結果を表8に示す。輝度は良好なものの、粘着層や接着層を介さないために、弛みが生じる問題が発生した。
[比較例5]
EVA系接着剤の厚みが200μmとなるように塗布し、加熱由着した以外は、実施例4と同様の方法で、プリズムシート内蔵積層フィルムを作製し、評価した結果を表8に示す。実施例4と比較して、明らかに輝度が劣ることが判明した。
[製造例11](ウレタン系接着剤溶液)
ウレタン系接着剤(東洋モートン株式会社製、「TM−K51」)と、硬化剤(東洋モートン株式会社製、「CAT−RT85」)を、88:12(質量比)で混合し、溶媒で希釈したものを、接着剤溶液とした。
[製造例12](低屈折率コーティング材Bの作製)
15質量%の製造例2の有機無機複合体B、0.15質量%の光酸発生剤に、MEKを加えて100質量%とし、混合攪拌した。
上記溶液に、MEK:メチルセロソルブが5:5(容積比)となるように、メチルセロソルブを加えて混合した。
[製造例13](低屈折率層付PETフィルム)
下記の手順で、低屈折率層付PETフィルムを作製した。
(1)製造例12の低屈折率コーティング材Bを、PETフィルム(東洋紡績株式会社製、「コスモシャインA4100」)上にコーティングし、風乾後、80℃×1分間熱風乾燥し、積算光量500mJ/cmとなるように、UV照射した。
(2)上記有機無機複合膜の厚みは約1μmであり、屈折率は1.16であった。
[実施例5]
プリズムシートの代わりに、製造例13の低屈折率層付PETフィルムを使用して、図12の、プリズムシート代替低屈折率層付PETフィルム内蔵積層フィルムを作製し、実施例3と同様の方法で評価した。
(1)反射型偏光板(住友スリーエム株式会社製、「DBEF−D2」)の裏面に、製造例12の接着剤をコーティングし、乾燥させて、接着層を形成した。
(2)プリズムシートの代わりに、製造例13の低屈折率層付PETフィルムを使用して、図12の、プリズムシート代替低屈折率層付PETフィルム内蔵積層フィルムを作製し、評価した結果を表8に示す。基準となる比較例5と比較して、輝度が向上した。
[製造例14](低屈折率コーティング材Dの作製)
15質量%の製造例4の有機無機複合体D、0.15質量%の光ラジカル開始剤(イルガキュア184とイルガキュア907を、4:1の質量比で混合したもの)にMEKを加えて100質量%とし、混合攪拌した。
上記溶液に、MEK:メチルセロソルブが5:5(容積比)となるように、メチルセロソルブを加えて混合した。
[製造例15](低屈折率層付PETフィルム)
下記の手順で、低屈折率層付PETフィルムを作製した。
(1)製造例14の低屈折率コーティング材Dを、PETフィルム(東洋紡績株式会社製、「コスモシャインA4100」)上にコーティングし、風乾後、80℃×1分間熱風乾燥し、積算光量500mJ/cmとなるように、UV照射した。
(2)上記有機無機複合膜の厚みは約1μmであり、屈折率は1.23であった。
[実施例6]
実施例5と同様の方法で、製造例13の低屈折率層付PETフィルムの代わりに、製造例15の低屈折率PETフィルムを使用して、プリズムシート代替低屈折率層付PETフィルム内蔵積層フィルムを作製し、評価した結果を表8に示す。基準となる比較例5と比較して、輝度が向上した。
[比較製造例6](低屈折率コーティング材γの作製)
製造例14の有機無機複合体Dの代わりに、比較製造例3の有機無機複合体γを使用した以外は、製造例14と同様の方法で、低屈折率コーティング材γを作製した。
[比較製造例7](低屈折率層付PETフィルム)
製造例15の低屈折率コーティング材Dの代わりに、比較製造例6の低屈折率コーティング材γを使用した以外は、製造例15と同様の方法で、低屈折率層付PETフィルムを作製し、評価した。屈折率は1.49であった。
[比較例6]
製造例15の低屈折率層付PETフィルムの代わりに、比較製造例7の低屈折率層付PETフィルムを使用した以外は、実施例6と同様の方法で、プリズムシート代替低屈折率層付PETフィルム内蔵積層フィルムを作製し、評価した結果を表8に示す。基準となる比較例5と輝度は同等であり、輝度向上の効果は得られなかった。
表3〜8に示される実験結果から、低屈折率の有機無機複合膜と、粘着層又は接着層を有する積層体を使用することで、透明性に優れる安価な積層体と、高品位の表示装置が提供できることがわかった。
本実施形態に係る、透過性に優れた安価な積層体は、例えば、表示装置及び光学材料として有用なものである。
10…液晶ディスプレイ、11…反射フィルム、12…導光板、13…拡散シート、14…プリズムシート、15…偏光板、16…粘着層、17…位相差フィルム、18…粘着層、19…ガラス基板、20…液晶層、21…カラーフィルター、22…ガラス基板、23…粘着層、24…位相差フィルム、25…粘着層、26…偏光板、30…偏光板、31…偏光板保護フィルム、32…偏光子、33…偏光板保護フィルム、40…粘着層付偏光板、41…セパレータ、42…粘着層、43…偏光板保護フィルム、44…偏光子、45…偏光板保護フィルム、50A,50B…反射防止機能付偏光板、51…セパレータ、52…粘着層、53…ハードコート層、54…有機無機複合膜、60…位相差フィルム付偏光板、61…セパレータ、62…粘着層、63…位相差フィルム、64…粘着層、70…視覚補償フィルム付偏光板、71…セパレータ、72…粘着層、73…WVフィルム、74…偏光子、75…偏光板保護フィルム、76…ハードコート層、77…有機無機複合膜、80…液晶セル、81…第一の電極基板、82…第一の透明電極、83…液晶、84…シール材、86…第一の透明電極、87…第一の電極基板、90…液晶表示素子、91…位相差フィルム、92…液晶、93…偏光子、94…粘着層、95…偏光板保護フィルム、96…ハードコート層、97…有機無機複合膜、98…上側偏光板、100…プリズムシート内蔵積層フィルム、101…PETフィルム、102…プリズム、103…粘着層、104…有機無機複合膜、105…粘着層、106…反射型偏光板、110…プリズムシート代替低屈折率層付PETフィルム内蔵積層フィルム、111…PETフィルム、112…有機無機複合膜、113…粘着層、114…反射型偏光板、120…光学装置、121…冷陰極ランプ、122…光源、123…PETフィルム、124…プリズム、125…粘着層、126…有機無機複合膜、127…粘着層、128…反射型偏光板、131…冷陰極管光源、132…光拡散板、133…サンプル、134…液晶セル後面偏光板、135…輝度計。

Claims (28)

  1. 無機化合物粒子と、前記無機化合物粒子に結合しているポリマーとを含む有機無機複合体を含有する有機無機複合膜と、
    粘着剤又は接着剤を含有する接続層と、を有し、
    前記有機無機複合膜中の空隙の割合が、前記有機無機複合膜の体積を基準として3〜90体積%である、積層体。
  2. 前記無機化合物粒子が、数珠状に連結した複数の一次粒子を含む鎖状の構造を形成している、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記無機化合物粒子と前記ポリマーとが、下記式1で表される構造を有するカップリング剤を介して結合している、請求項1又は2に記載の積層体。
    X−Si(R1)(R2)(R3) ・・・(式1)
    [式中、Xは、重合開始基であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜10のアルキル基であり、R3は、炭素原子数が1〜10のアルコキシ基、水素原子、水酸基又はハロゲン原子である。]
  4. 前記ポリマーの分子量分布が2.3以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記ポリマーが、メタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルをモノマー単位として含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記ポリマーが、少なくとも1つの架橋性官能基を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記ポリマーの数平均分子量Mnが、10000〜100000g/molである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記無機化合物粒子の含有量が、前記有機無機複合体の全体積を基準として55〜94体積%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 前記有機無機複合膜が、理論屈折率より0.020以上低い屈折率を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 前記有機無機複合膜の屈折率が1.35以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層体。
  11. 前記有機無機複合膜の最小反射率が1%以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層体。
  12. 前記有機無機複合膜が、光硬化又は熱硬化されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の積層体。
  13. 前記有機無機複合膜の厚みが、80nm〜2μmである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の積層体。
  14. 前記接続層が前記粘着剤を含有し、前記接続層のガラス転移温度が0℃以下である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の積層体。
  15. 前記粘着剤が、アクリル酸エステルとアクリル酸との共重合体を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の積層体。
  16. 前記接着剤が、硬化型接着剤を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の積層体。
  17. 導電フィルムを更に有する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の積層体。
  18. 偏光子を更に有する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の積層体。
  19. プリズムシート又は拡散板を更に有する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の積層体。
  20. 位相差フィルムを更に有する、請求項1〜19のいずれか1項に記載の積層体。
  21. 輝度向上フィルムを更に有する、請求項1〜20のいずれか1項に記載の積層体。
  22. 支持体を更に有し、
    前記支持体、前記有機無機複合膜及び前記接続層がこの順で積層した構成を有する、請求項1〜21のいずれか1項に記載の積層体。
  23. 支持体を更に有し、
    前記有機無機複合膜及び前記接続層をそれぞれ2以上有し、
    前記支持体、第一の前記有機無機複合膜、第一の前記接続層、第二の前記有機無機複合膜及び第二の前記接続層がこの順で積層した構成を有する、請求項1〜22のいずれか一項に記載の積層体。
  24. 前記支持体が、トリアセチルセルロースフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム、アクリルフィルム及び環状ポリオレフィンフィルムからなる群より選択される、請求項1〜23のいずれか1項に記載の積層体。
  25. 請求項1〜24のいずれか1項に記載の積層体を備える、偏光板。
  26. 請求項1〜24のいずれか1項に記載の積層体を備える、光学材料。
  27. 請求項1〜24のいずれか1項に記載の積層体を備える、表示装置。
  28. 請求項1〜24のいずれか1項に記載の積層体を備える、タッチパネル。
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