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JP2013528228A - キナゾリノン化合物による選択した患者における血液系障害を処置する方法 - Google Patents

キナゾリノン化合物による選択した患者における血液系障害を処置する方法 Download PDF

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JP2013528228A JP2013514397A JP2013514397A JP2013528228A JP 2013528228 A JP2013528228 A JP 2013528228A JP 2013514397 A JP2013514397 A JP 2013514397A JP 2013514397 A JP2013514397 A JP 2013514397A JP 2013528228 A JP2013528228 A JP 2013528228A
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Abstract

本開示は、血液系障害を有する被験体のサブセットを選択する方法および選択された群をPI3K−デルタ阻害剤で処置する方法に関する。詳細には、特徴的なケモカインバイオマーカー、例えばCCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22またはTNF−アルファ、のレベルを評価して、PI3K−デルタ阻害剤での処置の恩恵を受ける見込みがより大きい被験体を選択する方法を開示する。本願にて開示するPI3K−デルタ阻害剤は、キナゾリノン−プリニルファミリーのタイプの化合物である。

Description

関連出願の引用
本願は、2010年6月11日に出願した米国仮特許出願第61/354,152号および2010年11月18日に出願した米国仮特許出願第61/415,300号の米国特許法第119条e項の下での利益を主張する。これらの文書の内容は、本明細書中に参考として援用される。
(技術分野)
本開示の分野は、化合物での処置のために被験体のサブセット集団を選択する方法であって、具体的には、バイオマーカーを使用して、PI3K−デルタ阻害剤での処置の恩恵を受ける被験体を選択する、または特定の被験体に適する抗がん薬を選択する方法に関する。
ケモカインおよびサイトカインは、一部の疾患にとって重要なマーカーである。例えば、一定のケモカインについての上昇したレベルは、血液系障害、例えば慢性リンパ性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)およびマントル細胞リンパ腫(MCL)、の重症度または進行の重要な指標である。
CLLが、不均一な疾患であること、つまり、一部の患者はゆっくりと進行する臨床経過を経験するが、大部分は反復処置を必要とする進行した期に最終的に入ることとなること、は十分に確立されている。有意な数のCLL患者は、処置に対する不応状態、感染性および自己免疫性合併症ならびに比較的急速な致死的転帰を特徴とする該疾患の活性型を早期から示す。
特定の薬物に、たとえその薬物が特定のタイプのがんに一般に有用であったとしても、すべてのがん患者が応答するとは限らないことも公知である。一部の個体は、特定の薬物または処置のタイプに他の個体よりよく応答する。特定の処置、例えばPI3K−デルタ阻害剤、の恩恵を受け得るがん患者のサブセット集団を特定できることは、有用である。
血液系疾患を有する被験体の集団の中でPI3K−デルタ阻害剤での処置の恩恵を受ける被験体を特定する方法の提供が求められている。本開示は、その要求に取り組む。
本開示は、PI3K−デルタ阻害剤での処置のために血液系障害を有する被験体の亜集団を選択または特定する方法を提供する。
本明細書に開示する方法は、被験体から採取した試料中のバイオマーカーのケモカイン(単数または複数)の存在を検出することを概して含む。血液系障害を有するすべての被験体が、必ずしも上昇したケモカインレベルを有するとは限らない。血液系障害を有する被験体のケモカインレベルは様々であり得る。一部の症例では、上昇したケモカインレベルは、より急速に進行し得る、より悪性度の高い疾患形態であることを示し;これに対して、より低いケモカインレベルは、より安定した疾患形態を示す。一部の実施形態では、ケモカインの上昇したレベルが高い被験体のほうが、低い被験体より、PI3K−デルタ阻害剤での処置に好ましく選択される。
一定の実施形態では、バイオマーカーのケモカインのレベルを、血液系障害のない健常被験体から得た対照値と比較する。他の実施形態では、バイオマーカーのケモカインのレベルを、血液系障害を有する被験体から得た対照値と比較する。
1つの実施形態において、本開示は、被験体における血液系障害を処置する方法であって、a)CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファから成る群より選択される少なくとも1つのバイオマーカーについての上昇した濃度を有する被験体を選択するステップ;およびb)有効量のPI3K−デルタ阻害剤を該被験体に投与するステップを含む方法を提供する。
もう1つの実施形態において、本開示は、処置のために被験体を選択する方法を提供し、この場合の被験体は血液系障害を有し、この方法は、a)該被験体における少なくとも1つのケモカインのレベルを検出するステップ;およびb)そのケモカインレベルと健常被験体におけるレベルとを比較するステップであって、ここで、該被験体におけるケモカインの上昇したレベルが、PI3K−デルタ阻害剤での処置のために選択すべき患者であることを示すステップを含む。
もう1つの実施形態において、本開示は、処置のために被験体を選択する方法を提供し、この場合の被験体は血液系障害を有し、この方法は、a)該被験体における少なくとも1つのケモカインのレベルを検出するステップ;およびb)そのケモカインレベルと処置するがんのタイプについての中央値とを比較するステップであって、ここで、その処置するがんのタイプについての中央値より上の該被験体におけるケモカインレベルが、PI3K−デルタ阻害剤での処置に選択すべき患者であることを示すステップを含む。
さらにまたもう1つの実施形態において、本開示は、血液系障害の処置を必要とする患者のために化学療法薬を選択する方法であって、その被験体の血液または血漿中のCCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファから選択される少なくとも1つのケモカインのレベルを決定するステップ;該被験体の血液または血漿中の少なくとも1つのケモカインのレベルを、血液系障害のない被験体についての正常レベルと比較するステップ;および該被験体の血液または血漿中のCCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファから選択される少なくとも1つのケモカインのレベルが、血液系障害のない被験体についての正常レベルより上に上昇している場合には、その患者を処置するためにPI3K−デルタ阻害剤を選択するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態において、CCL3もしくはCCL4についての上昇したレベルは、正常レベルより少なくとも約5倍高い、および/またはCXCL13についての上昇したレベルは、正常レベルより少なくとも約10倍高い。
さらにまたもう1つの実施形態において、本開示は、血液系障害を有する被験体が、PI3K−デルタ阻害剤での処置に有効に応答するかどうかを予測する方法であって、該患者からの試料中のバイオマーカーとして、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファから成る群より選択される少なくとも1つのバイオマーカーの量を評価するステップ、および該阻害剤での処置に有効に応答する被験体を予測するステップを含む方法を提供する。
上記の実施形態の一部において、上記PI3K−デルタ阻害剤は、式1の化合物:
(式中、
各Rは、ハロ、CFおよびC1〜C6アルキルから成る群より独立して選択され;
各Rは、ハロ、CFおよびC1〜C6アルキルから成る群より独立して選択され;
は、水素またはC1〜C6アルキルであり;
nは、0から2の整数であり;および
mは、0から2の整数である)
または薬学的に許容され得るその塩である。一部の実施形態において、上記化合物は、S−エナンチオマーである。
上記の実施形態の一部において、被験体は、再発しているまたは他の処置から難治性になっている。
図1は、化合物Aでの1サイクルの処置後のCLL患者における上昇したCCL3、CCL4およびCXCL13ケモカインレベルのインビボでの低減を要約する一連のグラフを示す。 図2は、化合物Aの存在下でのCLL細胞によるCCL3およびCCL4ケモカインのBCR誘導分泌のインビトロでの低減を要約するグラフを示す。 図3aは、不活性(indolent)非ホジキンリンパ腫(iNHL)およびマントル細胞リンパ腫(MCL)を有する103例の患者にかかわる研究における患者の特性を要約する表を示す。図3bは、同研究における患者の処置傾向を要約する表を示す。 図3aは、不活性非ホジキンリンパ腫(iNHL)およびマントル細胞リンパ腫(MCL)を有する103例の患者にかかわる研究における患者の特性を要約する表を示す。図3bは、同研究における患者の処置傾向を要約する表を示す。 図4aは、MCL患者における腫瘍サイズの変化を描写するグラフを示す。図4bは、iNHL患者における腫瘍サイズの変化を描写するグラフを示す。 図4aは、MCL患者における腫瘍サイズの変化を描写するグラフを示す。図4bは、iNHL患者における腫瘍サイズの変化を描写するグラフを示す。 図5は、化合物Aでの28日間の処置後のMCLおよびiNHL患者における上昇したCCL17、CCL22およびCXCL13ケモカインレベルならびにTNF−アルファレベルのインビボでの低減を要約する一連のグラフを示す。 図6は、血液系悪性疾患を有する患者におけるTNF−アルファ、CXCL13およびCCL22のレベルを描写するグラフによる要約を示す。 図7は、血液系悪性疾患を有する患者におけるCCL3、CCL4およびCCL2のレベルを描写するグラフによる要約を示す。 図8は、血液系悪性疾患を有する患者におけるCCL17のレベルを描写するグラフによる要約を示す。 図9は、血液系悪性疾患を有する患者におけるCXCL12のレベルを描写するグラフによる要約を示す。 図10は、PI3K−デルタ阻害剤での処置に応答したCLL患者におけるCCL3、CCL17およびTNF−アルファのレベルを、該処置に応答しなかった患者と比較して描写する(平均値および95%CIに基づく)グラフによる要約を示す。
発明の実施様式
「バイオマーカー」は、罹病細胞によって、例えばがん細胞によって、生成される分子であって、その発現が、PI3K−デルタなどの薬物での治療の恩恵を受けることができる患者を特定するのに有用である分子である。バイオマーカーの陽性発現、ならびに同じタイプのがんのがん細胞に比べてまたは非罹病細胞に比べて増加した(または減少した)レベルは、治療のための患者を特定するために用いることができる。本明細書に記載するバイオマーカーとしては、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファが挙げられる。本願は、1つ以上の上昇したバイオマーカーを組み合わせて、PI3K−デルタ阻害剤での治療に応答する可能性が最も高い患者を特定することを企図する。本願は、上昇したバイオマーカー濃度の指標となる一定のレベルも開示する。
血液系障害を有するすべての被験体が、必ずしも上昇したケモカインレベルを有するとは限らない。血液系障害を有する被験体のケモカインレベルは変動し得る。上昇したケモカインレベルがより高い被験体のほうが、より低い被験体より、PI3K−デルタ阻害剤での処置に好ましく選択される。加えて、ケモカインレベルの上昇度は、疾患の重症度または進行度と相関し得る。本開示は、血液系障害を有する被験体の亜集団を、血漿中の上昇したバイオマーカーレベルに基づいて、PI3K−デルタ阻害剤での処置のために選択する方法を提供する。
本開示方法は、被験体から採取した試料中の上昇したバイオマーカーの存在を検出することを概して含む。一部の実施形態では、上記バイオマーカーのレベルを、血液系障害のない健常被験体から得た対照値と比較する。一部の実施形態において、ケモカインのレベルは、それが正常レベルの少なくとも2倍であるとき、またはそれが正常レベルの少なくとも3倍であるとき、上昇していると見なされる。一部の実施形態において、少なくとも1つの上昇したバイオマーカーは、血液系障害のない被験体より少なくとも5倍多い。一部の実施形態において、少なくとも1つの上昇したバイオマーカーは、上記血液系障害のない被験体より少なくとも10倍多い。
他の実施形態において、少なくとも1つの上昇したバイオマーカーは、処置するがんのタイプについての中央値より上のレベルで存在する。この実施形態において、上記上昇したバイオマーカーは、「中央値より上のレベルにある」と定義され、このバイオマーカーの発現レベルは、そのタイプのがんについて当業者に「高発現」と見なされる。1つの実施形態において、上記上昇したレベルは、上記中央値の25%上よりも高い。1つの実施形態において、上記上昇したレベルは、上記中央値の50%上よりも高い。1つの実施形態において、上記上昇したレベルは、上記中央値の100%上よりも高い。1つの実施形態において、上記上昇したレベルは、上記中央値の200%上よりも高い。1つの実施形態において、上記上昇したレベルは、同じタイプのがんの試料、細胞、腫瘍またはがんの集団におけるバイオマーカーレベルに比べて50%よりも高く約100%まで、例えば、約75%から約100%の範囲である。1つの実施形態において、例えば本明細書に記載するバイオマーカーについて、そのような高発現は、上記中央値より少なくとも1標準偏差上である。そのような「高発現」試料は、バイオマーカーを2+または3+レベルで発現し得る。
一定のケモカインの高い血漿レベルは、悪性度の高い疾患に関係づけることができる特性を定義し得る。詳細には、慢性リンパ性白血病(CLL)を有する患者は、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファまたはこれらの組み合わせについて上昇したレベルを示し得る。一部の実施形態において、慢性リンパ性白血病(CLL)を有する患者は、CCL3、CCL4、CXCL13またはこれらの組み合わせについて上昇したレベルを示し得る。他の実施形態において、慢性リンパ性白血病(CLL)を有する患者は、CCL2、CCL3、CCL4またはこれらの組み合わせについて上昇したレベルを示し得る。さらにまた他の実施形態において、慢性リンパ性白血病(CLL)を有する患者は、CCL2、CCL3、CCL4、CXCL13またはこれらの組み合わせについて上昇したレベルを示し得る。
一部の実施形態において、ホジキンリンパ腫を有する患者は、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17およびCCL22またはこれらの組み合わせについて上昇したレベルを示し得る。一部の実施形態において、ホジキンリンパ腫を有する患者は、CCL5、CCL17、CCL22またはこれらの組み合わせについて上昇したレベルを示し得る。一部の実施形態において、非ホジキンリンパ腫(NHL)またはマントル細胞リンパ腫(MCL)を有する患者は、CCL17、CCL22、CXCL13およびTNF−アルファまたはこれらの組み合わせについて上昇したレベルを示し得る。一部の実施形態において、非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する患者は、CCL17について上昇したレベルを示し得る。
1つの実施形態において、本開示は、被験体における血液系障害を処置する方法であって、a)CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17およびCCL22から成る群より選択される少なくとも1つのケモカインについて上昇したケモカイン濃度を有する被験体を選択するステップ;およびb)有効量のPI3K−デルタ阻害剤を該被験体に投与するステップを含む方法を提供する。
もう1つの実施形態において、本開示は、被験体における血液系障害を処置する方法であって、a)CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファから成る群より選択される少なくとも1つのバイオマーカーについて上昇した濃度を有する被験体を選択するステップ;およびb)有効量のPI3K−デルタ阻害剤を該被験体に投与するステップを含む方法を提供する。
もう1つの実施形態において、本開示は、処置のために被験体を選択する方法を提供し、この場合の被験体は血液系障害を有し、この方法は、a)該被験体における少なくとも1つのケモカインのレベルを検出するステップ;およびb)そのケモカインレベルと健常被験体におけるレベルとを比較するステップであって、該被験体におけるケモカインの上昇したレベルが、PI3K−デルタ阻害剤での処置に選択すべき患者であることを示すステップを含む。
さらにまたもう1つの実施形態において、本願は、血液系障害のための処置を必要とする患者のために化学療法薬を選択する方法であって、該被験体の血液または血漿中のCCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17およびCCL22から選択される少なくとも1つのケモカインのレベルを決定するステップ;該被験体の血液または血漿中の少なくとも1つのケモカインのレベルを、血液系障害のない被験体についての正常レベルと比較するステップ;および該被験体の血液または血漿中のCCL3、CCL4およびCXCL13から選択される少なくとも1つのケモカインのレベルが、血液系障害のない被験体についての正常レベルより上に上昇している場合には、その患者を処置するためにPI3K−デルタ阻害剤を選択するステップを含む方法を開示する。
さらにまたもう1つの実施形態において、本願は、血液系障害を有する被験体が、PI3K−デルタ阻害剤での処置に有効に応答するかどうかを予測する方法であって、該患者からの試料中のバイオマーカーとして、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファから成る群より選択される少なくとも1つのバイオマーカーの量を評価するステップ、および該被験体が該阻害剤での処置に有効に応答することを予測するステップを含む方法を開示する。
一部の実施形態において、少なくとも1つのケモカインの濃度は、PI3K−デルタ阻害剤の投与後、少なくとも2倍減少する。他の実施形態において、少なくとも1つのケモカインの濃度は、PI3K−デルタ阻害剤の投与後、少なくとも3倍減少する。
CCL3またはCCL4についての上昇したレベルは、正常レベルより少なくとも約5倍高いことがあり、およびCXCL13についての上昇したレベルは、正常レベルより少なくとも約10倍高いことがある。
1つの実施形態において、上記被験体は、ケモカインCCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファのうちの少なくとも2つについて上昇したケモカインレベルを有する。もう1つの実施形態において、上記被験体は、ケモカインCCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17およびCCL22のうちの少なくとも2つについて上昇したケモカインレベルを有する。もう1つの実施形態において、上記被験体は、ケモカインCCL3、CCL4およびCXCL13について上昇したケモカインレベルを有する。もう1つの実施形態において、上記被験体は、ケモカインCCL2、CCL3およびCCL4について上昇したケモカインレベルを有する。もう1つの実施形態において、上記被験体は、ケモカインCCL17について上昇したケモカインレベルを有する。
上記の実施形態の一部において、上記被験体は、CLL2、CCL3、CCL4またはこれらの組み合わせについて上昇したレベルを有し、該上昇したレベルは、血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約5倍高い。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、CCL3もしくはCCL4、またはCCL3とCCL4の両方について上昇したレベルを有し、該上昇したレベルは、血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約5倍高い。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、CLL2、CCL3、CCL4、CXCL13またはこれらの組み合わせについて上昇したレベルを有し、該上昇したレベルは、血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約5倍高い。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約5倍高いCCL2についての上昇したレベルを有する。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約5倍高いCCL3についての上昇したレベルを有する。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約5倍高いCCL4についての上昇したレベルを有する。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約5倍高いCXCL13についての上昇したレベルを有する。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約5倍高いCCL3およびCCL4についての上昇したレベルを有する。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約5倍高いCCL2、CCL3およびCCL4についての上昇したレベルを有する。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約5倍高いCCL2、CCL3、CCL4およびCXCL13についての上昇したレベルを有する。
上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCXCL13について上昇したレベルを有し、CXCL13についての上昇したレベルは、血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約10倍高い。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約5倍高いCCL17についての上昇したレベル、および血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約10倍高いCCL17についての上昇したレベルを有する。
上記の実施形態の一部において、上記被験体は、CCL17、CCL22、CXCL13、TNF−アルファまたはこれらの組み合わせについて上昇したレベルを有し、該上昇したレベルは、血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約5倍高い。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約5倍高いCCL17についての上昇したレベルを有する。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約5倍高いCCL22についての上昇したレベルを有する。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約5倍高いCXCL13についての上昇したレベルを有する。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約5倍高いTNF−アルファについての上昇したレベルを有する。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約5倍高いCCL17、CCL22、CXCL13およびTNF−アルファについての上昇したレベルを有する。
一部の実施形態において、上記被験体は、該被験体のケモカインレベルの少なくとも1つが、特定のカットオフレベルより上に上昇しているとき、本明細書に記載のとおりのPI3K−デルタ阻害剤での処置に適する。そのような方法での使用に適するカットオフレベルとしては、CCL2については700、750、800pg/mL;CCL3については100、150または200pg/mL;CCL4については150、200、250または300pg/mL;CXCL13については150、200または250pg/mL;TNF−アルファについては25、50、75pg/mL;CCL17については700、750、800pg/mL;およびCCL22については、1750、2000、2250pg/mLが挙げられる。
上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCCL2について上昇したレベルを有し、CCL2の平均血漿濃度は、少なくとも約750pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCCL2について上昇したレベルを有し、CCL2の平均血漿濃度は、少なくとも約700pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCCL2について上昇したレベルを有し、CCL2の平均血漿濃度は、少なくとも約650pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCCL2について上昇したレベルを有し、CCL2の平均血漿濃度は、少なくとも約800pg/mLである。
上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCCL3について上昇したレベルを有し、CCL3の平均血漿濃度は、少なくとも約150pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCCL3について上昇したレベルを有し、CCL3の平均血漿濃度は、少なくとも約100pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCCL3について上昇したレベルを有し、CCL3の平均血漿濃度は、少なくとも約75pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCCL3について上昇したレベルを有し、CCL3の平均血漿濃度は、少なくとも約200pg/mLである。
上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCCL4について上昇したレベルを有し、CCL4の平均血漿濃度は、少なくとも約250pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCCL4について上昇したレベルを有し、CCL4の平均血漿濃度は、少なくとも約200pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCCL4について上昇したレベルを有し、CCL4の平均血漿濃度は、少なくとも約150pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCCL4について上昇したレベルを有し、CCL4の平均血漿濃度は、少なくとも約300pg/mLである。
上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCXCL13について上昇したレベルを有し、CXCL13の平均血漿濃度は、少なくとも約200pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCXCL13について上昇したレベルを有し、CXCL13の平均血漿濃度は、少なくとも約175pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCXCL13について上昇したレベルを有し、CXCL13の平均血漿濃度は、少なくとも約150pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCXCL13について上昇したレベルを有し、CXCL13の平均血漿濃度は、少なくとも約250pg/mLである。
上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCCL17について上昇したレベルを有し、CCL17の平均血漿濃度は、少なくとも約750pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCCL17について上昇したレベルを有し、CCL17の平均血漿濃度は、少なくとも約700pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCCL17について上昇したレベルを有し、CCL17の平均血漿濃度は、少なくとも約650pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCCL17について上昇したレベルを有し、CCL17の平均血漿濃度は、少なくとも約800pg/mLである。
上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCCL22について上昇したレベルを有し、CCL22の平均血漿濃度は、少なくとも約2000pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCCL22について上昇したレベルを有し、CCL22の平均血漿濃度は、少なくとも約1750pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCCL22について上昇したレベルを有し、CCL22の平均血漿濃度は、少なくとも約1500pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともCCL22について上昇したレベルを有し、CCL22の平均血漿濃度は、少なくとも約2250pg/mLである。
上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともTNF−アルファについて上昇したレベルを有し、TNF−アルファの平均血漿濃度は、少なくとも約50pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともTNF−アルファについて上昇したレベルを有し、TNF−アルファの平均血漿濃度は、少なくとも約40pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともTNF−アルファについて上昇したレベルを有し、TNF−アルファの平均血漿濃度は、少なくとも約25pg/mLである。上記の実施形態の一部において、上記被験体は、少なくともTNF−アルファについて上昇したレベルを有し、TNF−アルファの平均血漿濃度は、少なくとも約55pg/mLである。
上記の実施形態の一部において、上記被験体は、CCL3、CCL4およびCXCL13について上昇したレベルを有し;この場合、CCL3の平均血漿濃度は、少なくとも約150pg/mLであり;CCL4の平均血漿濃度は、少なくとも約250pg/mLでありそしてCXCL13の平均血漿濃度は、少なくとも約200pg/mLである。
上記の実施形態において、上記被験体は、CCL2、CCL3およびCCL4について上昇したレベルを有し;この場合、CLL2の平均血漿濃度は、少なくとも約750pg/mLであり;CCL3の平均血漿濃度は、少なくとも約150pg/mLであり;そしてCCL4の平均血漿濃度は、少なくとも約250pg/mLである。
上記の実施形態の一部において、上記方法は、上記被験体の体液または組織中の上記ケモカイン(単数または複数)のレベルを検出することを含む。上記の実施形態の一部において、上記方法は、上記被験体の血漿中の上記ケモカイン(単数または複数)のレベルを検出することを含む。上記の実施形態の一部において、上記方法は、上記被験体の血液中の上記ケモカイン(単数または複数)のレベルを検出することを含む。
上記の実施形態の一部において、少なくとも1つのケモカインの濃度は、約1週間の期間にわたる、PI3K−デルタ阻害剤のBID投与後、約2から5倍減少する。
本明細書において用いる場合の「ケモカインバイオマーカー」または「ケモカインマーカー」という句は、次のケモカインを指す:CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファ。一部の事例では、「ケモカインバイオマーカー」または「ケモカインマーカー」という句は、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファのポリペプチドフラグメントを指す。本明細書において用いる場合のケモカインバイオマーカーの「診断レベル」は、健常被験体に比べて統計的に有意に上昇しているまたは処置するがんのタイプについての中央値より上のレベルに比べて統計的に有意に上昇している、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファについてのレベルの存在を指す。
用語「イムノアッセイ」は、抗原に特異的に結合する抗体(単数または複数)を使用するアッセイを指す。イムノアッセイは、抗原を単離、ターゲティングおよび/または定量するための、特定の抗体(単数または複数)の特異的結合特性の利用を特徴とする。
結合剤、例えばタンパク質、例えばバイオマーカーのケモカインの間の「特異的結合」は、混合物、例えば血漿の中に存在する特定のケモカインに優先的に結合する捕捉剤または検出剤の能力を指す。一部の実施形態において、特異的結合は、約10−6M未満である解離定数(KD)を意味する。一部の実施形態において、特異的結合は、約10−8M未満である解離定数(KD)を意味する。一部の実施形態において、特異的結合は、約10−9M未満である解離定数(KD)を意味する。
タンパク質またはペプチドに言及するときの、抗体に「特異的に(もしくは選択的に)結合する」または抗体「と特異的(もしくは選択的)免疫反応性の」という句は、タンパク質および他の生物製剤の不均一集団におけるタンパク質の存在の決定要因である結合反応を指す。それ故、所定のイムノアッセイ条件下で、指定抗体は、特定のタンパク質にバックグラウンドの少なくとも2倍結合し、その試料中に存在する他のタンパク質に有意な量で実質的に結合しない。
本明細書において用いる場合の生物学的試料中の「ケモカインバイオマーカーのレベル」という句は、典型的に、生物学的試料中に存在するケモカインバイオマーカー(例えば、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファ)のタンパク質、タンパク質フラグメントまたはペプチドレベルの量を指す。一部の実施形態において、「ケモカインバイオマーカーのレベル」は、定量する必要はないが、対照試料からのレベルまたは対照試料の予測されるレベルと比較してまたはせずに簡単に検出すること、例えば人間による主観的目視検出、ができる。
本開示に従って被験体に投与されるPI3K−デルタ阻害剤は、式1の化合物:
(式中、各Rは、ハロ、CFおよびC1〜C6アルキルから成る群より独立して選択され;各Rは、ハロ、CFおよびC1〜C6アルキルから成る群より独立して選択され;Rは、水素またはC1〜C6アルキルであり;nは、0から2の整数であり;およびmは、0から2の整数である)
または薬学的に許容され得るその塩である。
上記の実施形態の一部において、各Rは、F、Cl、Br、メチル、エチルおよびプロピルから成る群より独立して選択される。上記の実施形態の一部において、各Rは、F、Clまたはメチルである。上記の実施形態の一部において、各Rは、F、Cl、Br、メチル、エチルおよびプロピルから成る群より独立して選択される。上記の実施形態の一部において、各Rは、独立して、Fまたはメチルである。上記の実施形態の一部において、Rは、水素、メチル、エチルまたはプロピルである。
上記の実施形態の一部において、nは、1であり;Rは、F、Clまたはメチルであり;Rは、メチルまたはエチルであり;mは、0、1または2であり;およびRは、Fである。上記の実施形態の一部において、nは、1であり;Rは、Fであり;Rは、エチルであり;およびmは、0である。上記の実施形態の一部において、nは、1であり;Rは、Fであり;Rは、メチルであり;およびmは、0である。上記の実施形態の一部において、nは、1であり;Rは、Clであり;Rは、メチルであり;およびmは、0である。上記の実施形態の一部において、nは、0であり;Rは、メチルであり;mは、2であり;およびRは、Fである。上記の実施形態の一部において、nは、0であり;mは、0であり;およびRは、メチルまたはエチルである。上記の実施形態の一部において、nは、1であり;Rは、Fであり;Rは、メチルであり;mは、2であり;およびRは、Fである。上記の実施形態の一部において、nは、1であり;Rは、Clであり;Rは、エチルであり;mは、2であり;およびRは、Fである。
上記の実施形態の一部において、Rは、C1〜C6アルキルであり、この場合、結果として生ずる立体中心は、S−エナンチオマー:
を形成する。
一部の実施形態において、上記化合物は、2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン;2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−6−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン;および2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−(2,6−ジフルオロフェニル)キナゾリン−4(3H)−オン;または薬学的に許容され得るその塩から成る群より選択される。より具体的な実施形態において、上記化合物は、S−エナンチオマー、または薬学的に許容され得るその塩である。例えば、化合物、2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オンのS−エナンチオマーを化合物Aとして下に示す:
一部の実施形態では、上昇したケモカインレベルを、血液系障害のない被験体の正常レベルのレベルにまたはその正常レベルに近いレベルに低減させるためにPI3K−デルタ阻害剤の投薬量が、選択される。典型的に、PI3K−デルタ阻害剤の投薬量は、上昇したケモカインレベルを、被験体をPI3K−デルタ阻害剤での処置に適していると特定するための本明細書に記載する閾値レベルより下に低減させるために十分なものである。化合物の量を導く他の要因としては、投与する一定の投薬量の結果としての望ましくない副作用が挙げられる。この場合、その投薬量は、その望ましくない副作用を生じさせない量に低減されることとなる。
上記の実施形態の一部において、本明細書に開示する方法によって選択される、被験体に投与されるPI3K−デルタ阻害剤の用量は、約50から350mg BIDである。上記の実施形態の一部において、少なくとも1つのケモカインの濃度は、約50から350mg BIDの用量でのPI3K−デルタ阻害剤の投与後、少なくとも2倍減少する。上記の実施形態の一部において、本明細書に開示する方法によって選択される、被験体に投与される化合物Aの用量は、約50から350mg BIDである。上記の実施形態の一部において、本明細書に開示する方法によって選択される、被験体に投与される化合物Aの用量は、少なくとも約50mg BIDである。上記の実施形態の一部において、本明細書に開示する方法によって選択される、被験体に投与される化合物Aの用量は、少なくとも約100mg BIDである。上記の実施形態の一部において、本明細書に開示する方法によって選択される、被験体に投与される化合物Aの用量は、少なくとも約200mg BIDである。上記の実施形態の一部において、本明細書に開示する方法によって選択される、被験体に投与される化合物Aの用量は、少なくとも約250mg BIDである。上記の実施形態の一部において、本明細書に開示する方法によって選択される、被験体に投与される化合物Aの用量は、少なくとも約300mg BIDである。
一部の実施形態において、上記PI3K−デルタ阻害剤は、PI3K−デルタに対して選択的である。用語「選択的PI3Kδ阻害剤」などは、本明細書において用いる場合、PI3KδアイソザイムをそのPI3Kファミリーの少なくとも1つの他のアイソザイムより有効に阻害する化合物を指す。上記選択的阻害剤は、PI3Kの他のアイソザイムに対しても活性であり得るが、それらの他のアイソザイムと同じ程度の阻害を達成するためにより高い濃度を必要とする。「選択的」を、特定のPI3−キナーゼを、比較対象となる化合物が阻害するより大きく阻害する化合物を記述するために用いることもある。「選択的PI3Kδ阻害剤」の化合物は、PI3K阻害剤と従来および一般に呼ばれている化合物、例えばウォルトマンニンまたはLY294002、よりPI3Kδに対して選択的であると解される。付随して、ウォルトマンニンおよびLY294002は、「非選択的PI3K阻害剤」だとみなされる。典型的に、上記選択的阻害剤は、PI3K−デルタに対して、アルファ、ベータおよび/またはデルタアイソフォームに対してより少なくとも約10倍強力(より低いIC−50)である。化合物Aは、選択的PI3K−デルタ阻害剤の一例である。
一定の実施形態では、PI3Kδ発現または活性を選択的に負に調節する任意のタイプの化合物を、本開示の方法において選択的PI3Kδ阻害剤として使用することができる。さらに、PI3Kδ発現または活性を選択的に負に調節する、および許容され得る薬理学的特性を保有する、任意のタイプの化合物を、本開示の治療方法において選択的PI3Kδ阻害剤として使用することができる。理論に拘束されるものではないが、本開示の化合物でのp110デルタをターゲットにする阻害は、血液系悪性疾患の処置のための有効なアプローチを提供する。なぜならこの方法は、腫瘍細胞の直接破壊を生じさせる結果となる構成的シグナル伝達を阻害するからである。加えて、理論に拘束されるものではないが、p110デルタ阻害は、腫瘍細胞ホーミング、生存および増殖に極めて重要である微小環境シグナルを抑制する。
特定の実施形態において、本願は、被験体におけるCLLを処置する方法を開示し、この方法は、a)CCL3、CCL4およびCXCL13から成る群より選択される少なくとも1つのケモカインについて上昇したケモカイン濃度を有する被験体を選択するステップ;およびb)有効量のPI3K−デルタ選択的阻害剤を該被験体に投与するステップを含み、この場合、上記PI3K−デルタ選択的阻害剤は、化合部Aであり得、CCL3もしくはCCL4についての上昇したレベルは、上記血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約5倍高い、および/またはCXCL13についての上昇したレベルは、上記血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約10倍高い。
特定の実施形態において、本開示は、PI3K−デルタ阻害剤、好ましくは選択的PI3K−デルタ阻害剤での処置のために被験体を選択する方法を提供し、この場合の被験体はCLLを有し、この方法は、a)該被験体における、CCL3、CLL4およびCXCL13から成る群より選択される少なくとも1つのケモカインのレベルを検出するステップ;およびb)そのケモカインレベルと健常被験体におけるレベルとを比較するステップを含み、該被験体における上昇したケモカインレベルが、PI3K−デルタ選択的阻害剤での処置について選択すべき患者であることを示し、この場合、CCL3もしくはCCL4についての上昇したレベルは、上記血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約5倍高い、およびCXCL13についての上昇したレベルは、上記血液系障害のない被験体と比較して少なくとも約10倍高い。あるいは、上記被験体は、これらのケモカインレベルの1つまたは2つまたは3つすべてが、本明細書に開示するような特定のカットオフレベルより上である場合、処置に適し得る。一部のそのような実施形態において、上記被験体は、上記3つのうちの2つのケモカインレベルがそのように上昇している場合、そのような処置のために選択される。一部の実施形態において、上記被験体は、上記3つすべてのケモカインレベルが上昇している場合、そのような処置のために選択される。
特定の実施形態において、本開示は、CLLについての処置を必要とする患者のために化学療法薬を選択する方法であって、該被験体の血液または血漿中のCCL3、CCL4およびCXCL13から選択される少なくとも1つのケモカインのレベルを決定するステップと;該被験体の血液または血漿中の少なくとも1つのケモカインのレベルを、上記血液系障害のない被験体についての正常レベルと、または特定のカットオフ値と比較するステップとを含み、ここで、CCL3、CCL4およびCXCL13から選択される少なくとも1つのケモカインのレベルが、血液系障害のない被験体についての正常レベルより上に、または特定のカットオフ値より上に上昇しているならば、その患者を処置するためにPI3K−デルタ選択的阻害剤が選択され、この場合、CCL3またはCCL4についての上昇したレベルは、正常レベルより少なくとも約5倍高く、およびCXCL13についての上昇したレベルは、正常レベルより少なくとも約10倍高い方法を提供する。ここでもまた、上記選択的PI3K−デルタ阻害剤は、化合物Aであり得る。
患者集団
本願の目的のために、被験体は、血液系障害を有する個体である。上記の実施形態の一部において、上記血液系障害は、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、多発性骨髄腫(MM)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、B細胞リンパ腫およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)から成る群より選択される。NHLは、不活性非ホジキンリンパ腫(iNHL)または高悪性度非ホジキンリンパ腫(aNHL)を含み得る。一部の実施形態において、被験体は、再発しているまたは他の処置から難治性になっている。
一部の実施形態において、血液系障害を有する被験体が、PI3K−デルタ阻害剤での処置に有効に応答するかどうかを予測する方法において、該血液系障害は、慢性リンパ性白血病(CLL)である。一部の事例において、上記血液系障害がCLLである場合、少なくとも1つの上昇したバイオマーカーは、CCL2、CCL3およびCCL4から成る群より選択される。特定の実施形態において、バイオマーカー濃度は、CCL2については750pg/mLより高く、CCL3については、150pg/mLより高く、そしてCCL4については、250pg/mLより高く、またはこれらの量の組み合わせである。特定の実施形態において、バイオマーカー濃度は、CCL2については800pg/mLより高く、CCL3については、200pg/mLより高く、そしてCCL4については、300pg/mLより高く、またはこれらの量の組み合わせである。特定の実施形態において、バイオマーカー濃度は、CCL2については700pg/mLより高く、CCL3については、100pg/mLより高く、そしてCCL4については、200pg/mLより高く、またはこれらの量の組み合わせである。
上記血液系障害がCLLである一部の事例において、少なくとも1つの上昇したバイオマーカーは、CCL2、CCL3、CCL4、CXCL13、およびTNF−アルファから成る群より選択される。特定の実施形態において、バイオマーカー濃度は、CCL2については750pg/mLより高く、CCL3については、150pg/mLより高く、CCL4については、250pg/mLより高く、CXCL13については、200pg/mLより高く、もしくはTNF−アルファについては、50pg/mLより高く、またはこれらの量の組み合わせである。特定の実施形態において、バイオマーカー濃度は、CCL2については800pg/mLより高く、CCL3については、200pg/mLより高く、CCL4については、300pg/mLより高く、CXCL13については、250pg/mLより高く、もしくはTNF−アルファについては、75pg/mLより高く、またはこれらの量の組み合わせである。特定の実施形態において、バイオマーカー濃度は、CCL2については700pg/mLより高く、CCL3については、100pg/mLより高く、CCL4については、200pg/mLより高く、CXCL13については、150pg/mLより高く、もしくはTNF−アルファについては、25pg/mLより高く、またはこれらの量の組み合わせである。
上記血液系障害がCLLである一定の実施形態において、CCL2についての上昇したバイオマーカー濃度は、800pg/mLより高い、850pg/mLより高い、900pg/mLより高い、700pg/mLより高い、650pg/mLより高いまたは600pg/mLより高い。上記の実施形態のうちの任意のものと組み合わせることができる一定の実施形態において、CCL3についての上昇したバイオマーカー濃度は、200pg/mLより高い、250pg/mLより高い、300pg/mLより高い、100pg/mLより高い、75pg/mLより高いまたは50pg/mLより高い。上記の実施形態のうちの任意のものと組み合わせることができる一定の実施形態において、CCL4についての上昇したバイオマーカー濃度は、200pg/mLより高い、150pg/mLより高い、100pg/mLより高い、300pg/mLより高い、350pg/mLより高いまたは400pg/mLより高い。上記の実施形態のうちの任意のものと組み合わせることができる一定の実施形態において、CXCL13についての上昇したバイオマーカー濃度は、150pg/mLより高い、100pg/mLより高い、75pg/mLより高い、250pg/mLより高い、300pg/mLより高いまたは350pg/mLより高い。上記の実施形態のうちの任意のものと組み合わせることができる一定の実施形態において、TNF−アルファについての上昇したバイオマーカー濃度は、45pg/mLより高い、40pg/mLより高い、25pg/mLより高い、55pg/mLより高い、60pg/mLより高いまたは75pg/mLより高い。
一部の実施形態において、上記血液系障害は、マントル細胞リンパ腫(MCL)または非ホジキンリンパ腫(NHL)である。上記血液系障害が、MCLまたはNHLである一部の事例において、少なくとも1つの上昇したバイオマーカーは、CCL17、CCL22、CXCL13およびTNF−アルファから成る群より選択される。特定の実施形態において、バイオマーカー濃度は、CCL17については150pg/mLより高く、CCL22については、2000pg/mLより高く、CXCL13については、400pg/mLより高く、もしくはTNF−アルファについては、30pg/mLより高く、またはこれらの量の組み合わせである。特定の実施形態において、バイオマーカー濃度は、CCL17については200pg/mLより高く、CCL22については、2250pg/mLより高く、CXCL13については、450pg/mLより高く、もしくはTNF−アルファについては、40pg/mLより高く、またはこれらの量の組み合わせである。特定の実施形態において、バイオマーカー濃度は、CCL17については100pg/mLより高く、CCL22については、1750pg/mLより高く、CXCL13については、350pg/mLより高く、もしくはTNF−アルファについては、25pg/mLより高く、またはこれらの量の組み合わせである。
上記血液系障害が、MCLまたはNHLである一定の実施形態において、CCL17についての上昇したバイオマーカー濃度は、200pg/mLより高い、250pg/mLより高い、300pg/mLより高い、125pg/mLより高い、100pg/mLより高いまたは75pg/mLより高い。上記の実施形態のうちの任意のものと組み合わせることができる一定の実施形態において、CCL22についての上昇したバイオマーカー濃度は、2250pg/mLより高い、2500pg/mLより高い、3000pg/mLより高い、1750pg/mLより高い、1500pg/mLより高い、1250pg/mLより高いまたは1000pg/mLより高い。上記の実施形態のうちの任意のものと組み合わせることができる一定の実施形態において、CXCL13についての上昇したバイオマーカー濃度は、450pg/mLより高い、500pg/mLより高い、550pg/mLより高い、350pg/mLより高い、300pg/mLより高いまたは250pg/mLより高い。上記の実施形態のうちの任意のものと組み合わせることができる一定の実施形態において、TNF−アルファについての上昇したバイオマーカー濃度は、25pg/mLより高い、20pg/mLより高い、15pg/mLより高い、35pg/mLより高い、40pg/mLより高いまたは45pg/mLより高い。
一部の実施形態において、上記血液系障害は、NHLであり、上記上昇したバイオマーカーは、CCL17である。特定の実施形態において、CCL17についてのバイオマーカー濃度は、750pg/mLより高い。他の実施形態において、CCL17についてのバイオマーカー濃度は、700pg/mLより高い、650pg/mLより高い、600pg/mLより高い、800pg/mLより高い、850pg/mLより高いまたは900pg/mLより高い。
上記の実施形態の一部において、被験体は、再発しているまたは他の処置から難治性になっている。上記の実施形態の一部において、被験体は、再発しているまたは少なくとも2つ以上の他の処置から難治性になっている。上記の実施形態の一部において、被験体は、再発しているまたは少なくとも3つ以上の他の処置から難治性になっている。上記の実施形態の一部において、被験体は、再発しているまたは少なくとも5つ以上の他の処置から難治性になっている。
ケモカインバイオマーカーの検出
特定のケモカインバイオマーカー(例えば、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファ)のいずれか1つ以上を使用して、本開示の方法を実施することができる。一部の事例では、CCL3のみを診断マーカーとして使用する。一部の事例では、CCL4のみを診断バイオマーカーとして使用する。一部の他の事例では、CXCL13のみを診断マーカーとして使用する。他の実施形態では、他のケモカインバイオマーカー(CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファ)のいずれか1つ以上のレベルを診断バイオマーカーとして使用する。他の実施形態では、バイオマーカーの特定の組み合わせを使用する。
ケモカインバイオマーカーCCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファのいずれか1つまたは任意の組み合わせの存在またはレベルを用いて、血液系障害を有する被験体を処置のために選択することができる。一部の事例では、上記ケモカインバイオマーカーの特定の組み合わせ、例えばCCL3、CCL4およびCXCL13、を使用して、血液系障害の重症度を診断することができる。一部の実施形態では、これらのケモカインバイオマーカーの存在またはレベルを用いて、患者を、処置のための候補として選択することができる。一部の他の実施形態では、上記ケモカインマーカーの存在またはレベルを用いて、血液系障害を有する被験体の処置の過程でまたは処置後にその成功を決定することができる。
被験体からの体液試料中のケモカインのレベルを検出するためのイムノアッセイの使用に加えて、ケモカインの発現およびレベルの評価を特定のケモカインの遺伝子発現レベルに基づいて行うことができる。mRNA発現の存在および/またはレベルを決定するためのRNAハイブリダイゼーション技術は、当業者に周知であり、それを用いて、対象となるケモカインバイオマーカーの遺伝子発現の存在またはレベルを評価することができる。
抗体およびイムノアッセイ
一部の実施形態において、本開示の方法およびキットは、ケモカインバイオマーカーの選択的結合パートナーを利用して、生物学的試料中の該ケモカインバイオマーカーの存在を特定することまたはそのレベルを決定する。本開示の方法およびキットで使用される選択的結合パートナーは、例えば抗体であり得る。一部の実施形態では、特定のケモカインバイオマーカーに対するモノクローナル抗体を使用することができる。一部の他の実施形態では、特定のケモカインバイオマーカーに対するポリクローナル抗体を利用して、本開示の方法をおよびキットで実施することができる。
イムノアッセイを用いて、生物学的試料中のサイトカインバイオマーカーレベルを定性または定量分析することができる。利用可能な技術の総合的概観は、多数の容易に入手できるマニュアル、例えば、HarlowおよびLane、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Using Antibodies:A Laboratory Manual(1999)において見出すことができる。
本開示のケモカインバイオマーカーに対する市販抗体を利用することができ、本開示の方法およびキットで使用することができる。
一部の実施形態では、本開示のアッセイのために使用する抗体を、当該技術分野において周知であるモノクローナルまたはポリクローナル抗体を生成するための技術を用いて生成することができる(例えば、Coligan、Current Protocols in Immunology(1991);HarlowおよびLane、上記文献;Goding、Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(第2版、1986);ならびにKohlerおよびMilstein、Nature 256:495−497(1975)参照)。そのような技術としては、ファージまたは同様のベクター中の組換え抗体のライブラリからの抗体の選択による抗体調製、ならびにウサギまたはマウスを免疫することによるポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の生成が挙げられる(例えば、Huseら、Science 246:1275−1281(1989);Wardら、Nature 341:544−546(1989)参照)。そのような抗体を、治療および診断用途に、例えば、本明細書に記載する特定のケモカインに関連した疾患または状態のいずれかについての処置および/または検出において使用することができる。
免疫原を含む多数の特定のケモカインを使用して、その特定のサイトカインバイオマーカーと特異的に反応する抗体を生成することができる。例えば、組換えCCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22もしくはTNF−アルファ、またはこれらの抗原性フラグメントを、当業者に周知の方法を用いて単離することができる。組換えタンパク質を真核細胞または原核細胞において発現させることができる。組換えタンパク質は、典型的に、モノクローナルまたはポリクローナル抗体の生成のための免疫原として使用される。あるいは、サイトカインバイオマーカーの既知配列から誘導されたおよびキャリアタンパク質にコンジュゲートされた合成ペプチドを、免疫原として使用することができる。純粋形態または不純形態いずれかの天然に存在するタンパク質も、使用することができる。その後、その生成物を、抗体を生成できる動物に注射する。タンパク質を測定するためのイムノアッセイにおけるその後の使用のために、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のいずれを産生させてもよい。
特異的抗体が利用可能になったら、それぞれの特異的サイトカインバイオマーカーを様々なイムノアッセイ法によって検出することができる。免疫学的およびイムノアッセイ手順の総説については、Basic and Clinical Immunology(StitesおよびTerr編、第7版、1991)を参照のこと。さらに、本開示のイムノアッセイを、Enzyme Immunoassay(Maggio編、1980);ならびにHarlowおよびLane、上記文献に広範に総説されているいくつかの構成のいずれで行ってもよい。
免疫学的結合アッセイ(またはイムノアッセイ)は、典型的に、選ばれたタンパク質または抗原に特異的に結合する抗体を使用する。上に記載したように、当業者に周知のおよび上に記載したような多数の手段のうちのいずれによって抗体を生成することができる。
抗体へのサイトカインの特異的結合は、典型的に、特定のタンパク質に対するその特異性のために選択される抗体を必要とする。例えば、特定のサイトカインに対して産生されたポリクローナル抗体を選択して、特定のサイトカインとは特異的に免疫反応性であるが、該特定のサイトカインの多型変異体、オルソログおよび対立遺伝子を除く、他のタンパク質とは特異的に反応しないポリクローナル抗体のみを得ることができる。この選択は、対象となるサイトカインと反応する抗体を差し引くことによって果たすことができる。様々なイムノアッセイ形式を用いて、特定のタンパク質と特異的に免疫反応性である抗体を選択することができる。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応性である抗体を選択するために慣用的に用いられている(例えば、特異的免疫反応性を決定するために用いることができるイムノアッセイ形式および条件の説明については、HarlowおよびLane、Antibodies、A Laboratory Manual(1988)を参照のこと)。典型的に、特異的または選択的反応のシグナルは、バックグラウンドシグナルまたはノイズの少なくとも2倍であり、さらに典型的にはバックグラウンドの10から100倍より大きい。特定のサイトカインオルソログ、例えばラット、マウスまたはヒトなどの特定の種からのもの、としか反応しない抗体もまた、別の種からの同じサイトカインに結合する抗体を差し引くことによって、上に記載したように検出することができる。
イムノアッセイはまた、抗体と抗原によって形成される複合体に特異的に結合し、該複合体の検出を可能にする標識剤を、多くの場合、使用する。上記標識剤自体が、抗体/抗原複合体を含む部分のものであってもよい。したがって、上記標識剤は、標識された、例えば抗CCL2、抗CCL3、抗CCL4、抗CXCL13、抗CCL5、抗CCL17、抗CCL22抗体または抗TNF−アルファであってもよい。あるいは、上記標識剤は、抗体/サイトカイン複合体に特異的に結合する第三の部分、例えば二次抗体であってもよい(二次抗体は、典型的に、第一の抗体が由来する種の抗体に対して特異的である)。上記標識剤を、ストレプトアビジンなどの別の分子が特異的に結合できる検出可能部分、例えばビオチン、で修飾することができる。様々な検出可能部分が当業者に周知である。
上記アッセイ全体にわたって、試薬をそれぞれ併せたあとにインキュベーションおよび/または洗浄ステップが必要とされ得る。インキュベーションステップは、約5秒から数時間まで、必要に応じて約5分から約24時間まで様々であり得る。しかし、インキュベーション時間は、アッセイ形式、抗原、溶液の体積、濃度などに依存する。通常、上記アッセイは、周囲温度で行われるが、例えば10℃から40℃などの温度範囲にわたって行われる場合もある。一部の実施形態において、上記免疫学的アッセイは瞬間的であり、被験体から試料を抽出するおよびイムノアッセイを行うとほぼ直ちに、サイトカインバイオマーカーの存在またはレベルの読み出し情報を入手できる。
試料中のサイトカインバイオマーカーを検出するためのイムノアッセイは、競合であることもあり、または非競合であることもある。
非競合イムノアッセイは、抗原の量を直接測定するアッセイである。1つの好ましい「サンドイッチ」アッセイでは、例えば、抗CCL2、抗CCL3、抗CCL4、抗CCL5、抗CXCL13、抗CCL17、抗CCL22または抗TNF−アルファ抗体を固体基材に直接結合させることができ、その基材にそれらの抗体が固定化される。その後、これらの固定化された抗体は、試験試料中に存在する対応するサイトカインを捕捉する。サイトカインは、このようにして固定化され、次に、標識を担持する二次抗体などの標識剤がそれに結合する。あるいは、二次抗体には標識がないが、今度はその二次抗体に、その二次抗体が由来する種の抗体に特異的な標識された三次抗体が結合し得る。典型的には、上記二次または三次抗体を、別の分子、例えばストレプトアビジン、が特異的に結合する検出可能部分、例えばビオチン、で修飾して、検出可能部分を生じさせる。
競合アッセイの場合、試料中に存在するサイトカインバイオマーカーの量は、試料中に存在する未知ケモカインによって抗ケモカイン抗体から置き換えられた(競合排除された)既知の添加(外因性)サイトカインの量を測定することによって間接的に測定される。ハプテン阻害アッセイは、別の競合アッセイである。
他のアッセイ形式としては、リポソームイムノアッセイ(LIA)が挙げられ、これは、特定の分子(例えば、抗体)を結合し、封入された試薬またはマーカーを放出するように設計されたリポソームを使用する。その後、それらの放出された化学物質を標準的な技術に従って検出する(Monroeら、Amer.Clin.Prod.Rev.5:34−41(1986)参照)。
イムノアッセイでは非特異的結合を低減させることが、多くの場合、望ましいことは、当業者には理解される。特に、上記アッセイが、固体基材に固定化された抗原または抗体を伴う場合、その基材への非特異的結合の量を低減させることが望ましい。そのような非特異的結合を低減させる手段は、当業者に周知である。典型的に、この技術には、タンパク質性組成物での上記基材のコーティングが含まれる。詳細には、タンパク質組成物、例えばウシ血清アルブミン(BSA)、脱脂粉乳およびゼラチンが広範に使用されており、粉乳が最も好ましい。タンパク質性材料に加えて、またはその代わりに、様々な洗剤をイムノアッセイに組み込んで、非特異的相互作用を低減させることができる。
上記アッセイにおいて使用される特定の標識または検出可能群は、それがそのアッセイにおいて使用される抗体の特異的結合に顕著に干渉しない限り、本開示方法の重要な態様ではない。上記検出可能群は、検出可能な物理的または化学的特性を有する任意の材料であり得る。そのような検出可能な標識は、イムノアッセイの分野において十分に開発されており、一般に、そのような方法に有用なほぼいずれの標識も、本方法に適用することができる。したがって、標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、放射線撮影的、電気的、光学的または化学的手段によって検出可能な任意の組成物である。本開示方法において有用な標識としては、磁気ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標))、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアナート、テキサスレッド、ローダミンなど)、放射標識(例えば、H、125I、35S、14Cまたは32P)、酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびELISAにおいて一般に使用されている他のもの)、および比色標識、例えば、金コロイドまたは着色ガラスもしくはプラスチックビーズ(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)が挙げられる。
当該技術分野において周知の方法に従って、上記アッセイの所望の成分に上記標識を直接または間接的にカップリングさせることができる。上に示したように、多種多様な標識を使用することができ、標識の選択は、必要とされる感度、化合物とのコンジュゲーションの容易さ、安定性要件、利用可能な器械類、および廃棄設備(provision)に依存する。
非放射性標識は、多くの場合、間接的手段によって結合される。一般に、その分子にリガンド分子(例えば、ビオチン)を共有結合させる。次に、そのリガンドが、本質的に検出可能であるまたはシグナル系、例えば検出可能酵素、蛍光化合物または化学発光化合物、に共有結合している別の分子(例えば、ストレプトアビジン)分子に結合する。上記リガンドおよびそれらのターゲットは、サイトカインバイオマーカーを認識する抗体、またはサイトカインバイオマーカーに対する抗体を認識する二次抗体との任意の適する組み合わせで、使用することができる。
上記分子を、例えば酵素または蛍光体とのコンジュゲーションによって、シグナル生成化合物に直接コンジュゲートすることもできる。標識としての対象となる酵素は、主として、ヒドロラーゼ、特にホスファターゼ、エステラーゼおよびグリコシダーゼ、またはオキシドターゼ、特にペルオキシダーゼ、である。蛍光化合物としては、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロンなどが挙げられる。化学発光化合物としては、ルシフェリン、および2,3−ジヒドロフタラジンジオン、例えばルミノール、が挙げられる。使用することができる様々な標識またはシグナル生成系の総説については、米国特許第4,391,904号を参照のこと。
標識を検出する手段は、当業者に周知である。したがって、例えば、標識が放射性標識である場合、検出のための手段としては、シンチレーションカウンター、またはオートラジオグラフィーにおけるような写真フィルムが挙げられる。標識が蛍光標識である場合、適切な波長の光で蛍光色素を励起させ、結果として生ずる蛍光を検出することによって、それを検出することができる。蛍光は、視覚的に、写真フィルムの手段によって、電子検出器、例えば、電荷結合素子(CCD)または光電子増倍管などの使用によって、検出することができる。同様に、酵素標識は、酵素に適切な基質を供給し、結果として生ずる反応生成物を検出することによって、検出することができる。最後に、単純な比色標識は、その標識に関連する色を観察することによって簡単に検出することができる。例えば、様々なディップスティックアッセイにおいて、コンジュゲートした金は、多くの場合、ピンク色を生じるが、様々なコンジュゲートしたビーズは、そのビーズの色を生じる。
一部のアッセイ形式は、標識成分の使用を必要としない。例えば、凝集アッセイを用いて、ターゲット抗体の存在を検出することができる。この場合、抗原被覆粒子を、ターゲット抗体を含む試料によって凝集させる。この形式では、いずれの成分も標識する必要がなく、ターゲット抗体の存在は、簡単な目視検査によって検出される。
イムノアッセイを利用する検出方法は、患者ケアポイントでの実施に特に適する。このような方法は、患者の即時診断および/または予後評価を可能にする。ポイント・オブ・ケア診断システムは、例えば、参照により本明細書に援用されている米国特許第6,267,722号に記載されている。生物学的試料の評価を、該試料を評価のために研究所に送る必要がなく実施することができるような、他のイムノアッセイ形式も利用できる。典型的に、これらのアッセイは、試薬、例えば抗体、を使用してサイトカインを検出するソリッドアッセイという形式をとる。本方法のアッセイなどのイムノアッセイでの使用に適する例示的試験デバイスは、例えば、米国特許第7,189,522号、同第6,818,455号および同第6,656,745号に記載されている。
ポリヌクレオチドの検出
一部の実施形態において、本開示は、例えば血液系悪性疾患の診断のための、生物学的試料中のサイトカインバイオマーカー(例えば、CCL3、CCL4またはCXCL13)をコードするポリヌクレオチド配列の検出のための方法を提供する。上に記載したように、「生物学的試料」は、患者からの細胞もしくは細胞集団またはある量の組織もしくは流体を指す。ほとんどの場合、試料を患者から除去したが、用語「生物学的試料」は、インビボで、すなわち患者から除去することなく、分析される細胞または組織も指すことがある。典型的に、「生物学的試料」は、患者からの細胞を含有するが、この用語は、非細胞の生物学的材料、例えば、被験体からの上記流体の非細胞画分を指すこともある。
増幅ベースのアッセイ
1つの実施形態では、増幅ベースのアッセイを用いて、ケモカインのレベルを測定する。そのようなアッセイの場合、ケモカインの核酸配列は、増幅反応(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応、すなわちPCR)においてテンプレートとしての役割を果たす。定量的増幅の場合、増幅産物の量は、原試料中のテンプレートの量に比例する。適切な対照との比較により、サイトカインバイオマーカー関連遺伝子のコピー数の尺度が得られる。定量的増幅方法は、当業者に周知である。定量的PCRについての詳細なプロトコルは、例えば、Innisら(1990)PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications、Academic Press,Inc.N.Y.に提供されている。RT−PCR法は、当業者に周知である(例えば、Ausubelら、上記文献を参照のこと)。一部の実施形態では、定量的RT−PCR、例えばTaqMan(登録商標)アッセイ、を用い、それによって試料中のmRNAのレベルと対照試料または値とを比較することができる。ケモカインについての核酸配列が判ってさえいれば、技術者は、該遺伝子の任意の部分を増幅するためのプライマーを慣用的に選択することができる。特定の配列の増幅に適するプライマーは、当該技術分野において周知の原理を用いて設計することができる(例えば、DieffenfachおよびDveksler、PCR Primer:A Laboratory Manual(1995)を参照のこと)。
一部の実施形態では、TaqMan(登録商標)ベースのアッセイを用いて、サイトカインバイオマーカー関連ポリヌクレオチドを定量する。TaqMan(登録商標)ベースのアッセイは、5’蛍光色素と3’消光因子とを含有する蛍光発生オリゴヌクレオチドプローブを使用する。上記プローブは、PCR産物にハイブリダイズするが、それ自体は、3’末端のブロッキング因子のため、伸長され得ない。PCR産物が後続のサイクルで増幅されると、ポリメラーゼ、例えばAmpliTaq(登録商標)、の5’ヌクレアーゼ活性により、TaqMan(登録商標)プローブは切断される結果となる。この切断は、5’蛍光色素と3’消光因子とを分離させ、それによって蛍光の増加が増幅の関数として生ずる結果となる(例えば、Perkin−Elmer、例えばwww2.perkin−elmer.com、によって提供されている文献を参照のこと。)。
一部の実施形態では、ハイブリダイゼーションベースのアッセイを用いて、生物学的試料の細胞中のCCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファの量を検出することができる。そのようなアッセイとしては、細胞を含む試料において行われる、RNAのドットブロット分析ならびに他のアッセイ、例えば蛍光インサイチューハイブリダイゼーション、が挙げられる。他のハイブリダイゼーションアッセイを当該技術分野において容易に利用できる。
製剤
動物被験体への投与のために、当該技術分野において周知の一般に理解されている製剤化技術を用いて本開示の化合物を製剤化することができる。特定の投与方式に適するおよび化合物Aの化合物に適する製剤化については、Remington’s Pharmaceutical Sciences、最新版、Mack Publishing Company、Easton、PAにおいて見出すことができる。
本開示の化合物をプロドラッグの形態、すなわち、被験体への投与後に本明細書に開示する化合物を放出する保護された形態、で調製することができる。典型的に、それらの保護基は、体液中で、例えば血流中で加水分解され、そのようにして活性化合物を放出するか、インビボで酸化または還元されて活性化合物を放出する。プロドラッグについての論述は、Smith and Williams Introduction to the Principles of Drug Design、Smith,H.J.;Wright、第二版、London(1988)において見出される。
本開示の化合物を純化学物質として投与することができるが、典型的には、本化合物を薬学的組成物または製剤の形態で投与することが好ましい。したがって、本開示は、化合物Aの化合物と生体適合性の薬学的キャリア、アジュバントまたはビヒクルとを含む薬学的組成物も提供する。上記組成物は、化合物Aの化合物を、唯一の活性部分として含む場合もあり、あるいは賦形剤(単数もしくは複数)または他の薬学的に許容され得るキャリアと混合された他の作用物質、例えばオリゴ−もしくはポリヌクレオチド、オリゴ−もしくはポリペプチド、薬物またはホルモンとの組み合わせで含む場合もある。キャリアおよび他の成分は、それらがその製剤中の他の成分と適合性である限り、およびそのレシピエントに対して有害でない限り、薬学的に許容され得るとみなすことができる。
上記薬学的組成物は、適する薬学的に許容され得るキャリアを含有するように製剤化され、ならびに必要に応じて、薬学的に使用することができる調製物への活性化合物の加工を容易にする賦形剤および補助剤を含むことができる。一般に、投与様式によってキャリアの性質が決まる。例えば、非経口投与のための製剤は、水溶性形態の活性化合物の水性溶液を含むことができる。非経口投与に適するキャリアは、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水および他の生理学的に適合する溶液の中から選択することができる。非経口投与に好ましいキャリアは、生理学的に適合する緩衝液、例えばハンクス溶液、リンガー溶液または生理緩衝食塩水である。組織または細胞投与については、透過させるべき特定のバリアに適している浸透剤を製剤に使用する。そのような浸透剤は、当該技術分野において一般に公知である。タンパク質を含む調製物については、製剤が、安定化材料、例えば、ポリオール(例えば、スクロース)および/または界面活性剤(例えば、非イオン性界面活性剤)などを含むことができる。
あるいは、非経口使用のための製剤は、適切な油性注射用懸濁液として調製された活性化合物の分散液または懸濁液を含むことができる。適する親油性溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油、例えばゴマ油、および合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルもしくはトリグリセリド、またはリポソームが挙げられる。水性注射用懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させる物質、例えばカルボキシ−メチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストラン、を含有することができる。必要に応じて、上記懸濁液は、適する安定剤、または高濃度溶液の調製を可能にするために上記化合物の溶解度を増加させる剤も含有することができる。活性薬剤のpH感受性可溶化および/または徐放を生じさせる水性ポリマー、例えば、メタクリルポリマー、例えばRohm America Inc.(ニュージャージー州ピスカタウェイ)から入手できるEudragit(登録商標)シリーズを、コーティングまたはマトリックス構造物として使用することができる。エマルジョン、例えば水中油型および油中水型分散液、も使用することができ、必要に応じて、乳化剤または分散剤(界面活性材料;界面活性剤)によって安定化することができる。懸濁液は、懸濁化剤、例えばエトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、トラガカントゴムおよびこれらの混合物、を含有することができる。
化合物Aの活性化合物を含有するリポソームを非経口投与に利用することもできる。リポソームは、一般に、リン脂質または他の脂質物質から誘導される。リポソーム形態の組成物は、他の成分、例えば安定剤、保存剤、賦形剤など、も含有することがある。好ましい脂質としては、天然および合成両方の、リン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)が挙げられる。リポソームの形成方法は、当該技術分野において公知である。例えば、Prescott(編)、Methods in Cell Biology、第XIV巻、33頁、Academic Press、New York(1976)参照。
化合物Aの化合物を経口投与用に適する投薬量で含む薬学的組成物は、当該技術分野において周知の薬学的に許容され得るキャリアを使用して製剤化することができる。経口投与用に製剤化される調製物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、糖剤、ロゼンジ、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー、エリキシル、懸濁剤または散剤の形態であり得る。説明すると、経口使用のための薬学的調製物は、活性化合物と固体賦形剤を組み合わせること、必要に応じてその得られた混合物を粉砕すること、およびその顆粒の混合物を加工して、所望する場合、適する補助剤を添加した後、錠剤または糖剤コアを得ることによって、得ることができる。経口製剤は、非経口使用について記載したものにタイプの点で類似した液体キャリア、例えば緩衝化水性溶液、懸濁液など、を利用することもできる。
好ましい経口製剤としては、錠剤、糖剤およびゼラチンカプセル剤が挙げられる。これらの調製物は、1つ以上の賦形剤を含有することができ、それらとしては、限定ではないが、次のものが挙げられる:
a)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールをはじめとする糖;
b)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トウモロコシ、小麦、米およびジャガイモなどからのデンプン;
c)セルロース材料、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ゴム、例えば、アラビアゴムおよびトラガカントゴム、ならびにタンパク質、例えば、ゼラチンおよびコラーゲン;
d)崩壊または可溶化剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、デンプン、寒天、アルギン酸またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウム、または発泡性組成物;
e)滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸またはそのマグネシウムもしくはカルシウム塩、およびポリエチレングリコール;
f)着香剤および甘味剤;
g)着色剤または色素、例えば、生成物を特定するためのもの、または活性化合物の量(投薬量)を特徴づけるためのもの;および
h)他の成分、例えば、保存剤、安定剤、膨潤剤、乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調整するための塩、および緩衝剤。
一部の好ましい経口製剤において、その薬学的組成物は、上の群(a)からの少なくとも1つの材料、または上の群(b)からの少なくとも1つの材料、または、上の群(c)からの少なくとも1つの材料、または、上の群(d)から少なくとも1つの材料、または、上の群(e)からの少なくとも1つの材料を含む。好ましくは、上記組成物は、上の(a)〜(e)から選択される2つの群のそれぞれからの少なくとも1つの材料を含む。
ゼラチンカプセル剤としては、ゼラチン製のプッシュ・フィット・カプセル剤、ならびにゼラチンとコーティング、例えばグリセロールまたはソルビトール、とで作られたソフト・シールカプセル剤が挙げられる。プッシュ・フィット・カプセル剤は、充填剤、結合剤、滑沢剤および/または安定剤などと混合された、活性成分(単数または複数)を含有することができる。ソフトカプセル剤の場合、活性化合物を、適する流体、例えば脂肪油、流動パラフィンまたは液体ポリエチレングリコール、に安定剤とともにまたは安定剤なしで、溶解または懸濁することができる。
糖剤コアに、濃縮糖溶液などの適するコーティングを施すことができ、該コーティングもまた、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適する有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る。
上記薬学的組成物を活性化合物の塩として提供することができる。塩は、対応する遊離の酸または塩基形態より、水性または他のプロトン性溶媒に溶解性が高い傾向がある。薬学的に許容され得る塩は、当該技術分野において周知である。酸性部分を含有する化合物は、適するカチオンとともに薬学的に許容され得る塩を形成することができる。適する薬学的に許容され得るカチオンとしては、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウムまたはカリウム)およびアルカリ土類(例えば、カルシウムまたはマグネシウム)カチオンが挙げられる。
塩基性部分を含有する構造式(A)の化合物は、適する酸とともに薬学的に許容され得る酸付加塩を形成することができる。例えば、Bergeらは、J Pharm Sci、66:1(1977)において薬学的に許容され得る塩を詳細に記載している。上記塩を化合物の最終単離および精製中にインサイチューで調製することができ、または別途、遊離塩基官能基と適する酸とを反応させることによって調製することができる。
代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩(camphorolsulfonate)、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イソチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩または硫酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩またはリン酸水素塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容され得る酸付加塩を形成するために利用することができる酸の例としては、限定ではないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸のような無機酸、およびシュウ酸、マレイン酸、コハク酸およびクエン酸のような有機酸が挙げられる。
塩基性窒素含有基を、ハロゲン化低級アルキル、例えば塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピルおよびヨウ化ブチル;硫酸ジアルキル、例えば硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチルおよび硫酸ジアミル;ハロゲン化長鎖アルキル、例えば塩化デシル、塩化ラウリル、塩化ミリスチル、塩化ステアリル、臭化デシル、臭化ラウリル、臭化ミリスチル、臭化ステアリル、ヨウ化デシル、ヨウ化ラウリル、ヨウ化ミリスチルおよびヨウ化ステアリル;ハロゲン化アリールアルキル、例えば臭化ベンジルおよび臭化フェネチル;などのような剤で四級化する(quaternized)ことができる。それによって、溶解性または分散性が改変された生成物が得られる。
薬学的に許容され得るキャリア中で製剤化される本開示の化合物を含む組成物を調製し、適切な容器に入れ、適応の状態の処置についてのラベルを貼ることができる。したがって、一定の剤形の本開示の化合物を含有する容器ならびに該化合物の使用についての指示を含むラベルなどの、製造の物品も意図される。キットも本開示のもとで意図される。例えば、上記キットは、一定の剤形の薬学的組成物と、病状の処置の際の該組成物の使用についての指示を含有する添付文書とを含むことができる。いずれにせよ、ラベルに示される条件は、炎症障害、がんなどの処置を含み得る。
投与方法
化合物Aを含む薬学的組成物を、非経口および経腸手法をはじめとする任意の従来の方法によって、被験体に投与することができる。非経口投与方式は、組成物が注射によって送達される方式、例えば、筋肉内送達される方式、静脈内送達される方式などを含む。好ましくは、化合物Aを錠剤または丸剤として約50〜350mg BIDの日用量で経口投与する。
化合物Aの化合物の治療指数は、がん細胞をがん細胞と特定するマーカーを発現する、そのがん細胞へのターゲティング送達のために該化合物を改変または誘導体化することによって強化することができる。例えば、以前に記載されているように、がん細胞に選択的または特異的であるマーカーを認識する抗体に上記化合物を連結させることができるので、該化合物は、該細胞に近接することになり局所的にその効果を発揮する(例えば、Pieterszら、Immunol Rev、129:57(1992);Trailら、Science、261:212(1993);およびRowlinson−Buszaら、Curr Opin Oncol、4:1142(1992)参照)。これらの化合物の腫瘍指向性送達は、とりわけ、放射線処置または化学療法の結果として生じ得る潜在的非特異的毒性を低減させることにより、治療的恩恵を強化することができる。もう1つの実施形態において、化合物Aの化合物および放射性同位体または化学療法薬を同じ抗腫瘍抗体にコンジュゲートさせることができる。
以下の実施例は、本発明を例証するために提供するものであり、限定するために提供するものではない。下の実施例において、化合物Aは、(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オンを指す。
追加の実施形態
実施形態1.被験体における血液系障害を処置する方法であって、a)CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファから成る群より選択される少なくとも1つのバイオマーカーについて上昇した濃度を有する被験体を選択するステップ;およびb)有効量のPI3K−デルタ阻害剤を該被験体に投与するステップを含む方法。
実施形態2.上記被験体が、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファから成る群より選択される少なくとも2つの上昇したバイオマーカー濃度を有する、実施形態1に記載の方法。
実施形態3.上記血液系障害が、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、多発性骨髄腫(MM)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、B細胞リンパ腫およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)から成る群より選択される、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態4.少なくとも1つの上昇したバイオマーカーが、上記血液系障害のない被験体より少なくとも2倍高い、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態5.少なくとも1つの上昇したバイオマーカーが、処置するがんのタイプについての中央値より上のレベルで存在する、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態6.上記血液系障害が、CLLである、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態7.少なくとも1つのバイオマーカーが、CCL2、CCL3、CCL4、CXCL13およびTNF−アルファから成る群より選択される、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態8.バイオマーカー濃度が、CCL2について750pg/mLより高い、CCL3について150pg/mLより高い、CLL4について250pg/mLより高い、CXCL13について200pg/mLより高い、もしくはTNF−アルファについて50pg/mLより高い、またはこれらの量の組み合わせである、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態9.上記血液系障害が、MCLまたはNHLである、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態10.少なくとも1つのバイオマーカーが、CCL17、CCL22、CXCL13およびTNF−アルファから成る群より選択される、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態11.バイオマーカー濃度が、CCL17について150pg/mLより高い、CCL22について2000pg/mLより高い、CXCL13について400pg/mLより高い、もしくはTNF−アルファについて30pg/mLより高い、またはこれらの量の組み合わせである、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態12.上記血液系障害が、NHLであり、上記上昇したバイオマーカーが、CCL17である、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態13.CCL17のバイオマーカー濃度が、750pg/mLより高い、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態14.上記PI3K−デルタ阻害剤が、式1の化合物:
(式中、各Rは、ハロ、CFおよびC1〜C6アルキルから成る群より独立して選択され;各Rは、ハロ、CFおよびC1〜C6アルキルから成る群より独立して選択され;Rは、水素またはC1〜C6アルキルであり;nは、0から2の整数であり;およびmは、0から2の整数である)
または薬学的に許容され得るその塩である、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態15.上記PI3K−デルタ阻害剤が、2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン;2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−6−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン;および2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−(2,6−ジフルオロフェニル)キナゾリン−4(3H)−オン;または薬学的に許容され得るその塩から成る群より選択される、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態16.少なくとも1つのケモカインの濃度が、PI3K−デルタ阻害剤の投与後、少なくとも2倍減少する、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態17.上記阻害剤が、約50から350mg BIDの量で投与される、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態18.血液系障害を有する被験体が、PI3K−デルタ阻害剤での処置に有効に応答するかどうかを予測する方法であって、該患者からの試料中のバイオマーカーとして、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファから成る群より選択される少なくとも1つのバイオマーカーの量を評価するステップ、および該被験体が該阻害剤での処置に有効に応答することを予測するステップを含む方法。
実施形態19.上記疾患が、CLLであって、かつCCL2の量が750pg/mLより多いこと、CCL3の量が150pg/mLより多いこと、もしくは250pg/mLより多いこと、またはこれらの量の組み合わせは、上記被験体が上記阻害剤での処置に有効に応答する可能性があることを示す、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態20.上記障害が、MCLまたはNHLであって、かつCCL17の量が150pg/mLより多いこと、CCL22の量が2000pg/mLより多いこと、もしくはCXCL13の量が400pg/mLより多いこと、またはこれらの量の組み合わせは、上記被験体が上記阻害剤での処置に有効に応答する可能性があることを示す、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態21.上記PI3K−デルタ阻害剤が、式1の化合物:
(式中、各Rは、ハロ、CFおよびC1〜C6アルキルから成る群より独立して選択され;各Rは、ハロ、CFおよびC1〜C6アルキルから成る群より独立して選択され;Rは、水素またはC1〜C6アルキルであり;nは、0から2の整数であり;およびmは、0から2の整数である)
または薬学的に許容され得るその塩である、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
実施形態22.上記阻害剤が、2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン;2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−6−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン;および2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−(2,6−ジフルオロフェニル)キナゾリン−4(3H)−オン;または薬学的に許容され得るその塩から成る群より選択される、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
(実施例1)
処置後に低減されたCLL患者におけるCCL3、CCL4およびCXCL13レベル
この実施例は、CLL患者における上昇したケモカインレベルを低減させる化合物Aの支援を提供するものである。
ベースライン(投薬前)および化合物Aの投薬後のサイクル1の最終日(第28日)にEDTAを含んで血漿試料を採取した。血漿層と単核細胞層を分離するために1,100×g(相対遠心力)で10分間、4℃で試料を遠心分離した。血漿を−70℃で保管した。分析前、試料を一晩、4℃で解凍し、1,500×gで遠心分離して細片を除去した。市販の多重ビーズ懸濁アレイ(multiplexed bead suspension array)(MBA、Millipore)でケモカインを分析した。Luminex 200計器を使用してMBAを分析し、3.1xPONENTソフトウェアを使用してデータを編成し、分析した。
CLLを有する14例の患者の血漿濃度を、投薬前ベースライン濃度で評価した。投薬前ベースラインでのCCL3の平均血漿濃度(186pg/mL)およびCCL4の平均血漿濃度(303pg/mL)は、健常被験体と比較してこれらの被験体でのほうがおおよそ5倍高い。投薬前ベースラインでのCXCL13の平均血漿濃度(316pg/mL)は、健常被験体よりおおよそ10倍高かった。
化合物Aを28日の投薬期間にわたって50から350mg BIDの範囲の用量レベルで投与した。投薬第1週では、評価したすべての用量レベルにわたって、CCL3、CCL4およびCXCL13の濃度が2から5倍減少した。このサイクルの最終日に、ケモカインの血漿濃度を再評価した、図1参照。下の表1は、ベースラインでのおよび上記サイクルの第28日での、ケモカイン濃度を要約したものである。CCL3、CCL4およびCXCL13の平均レベルの有意な低減が、化合物Aでの28日間の処置後に観察された。ケモカインの低減は、リンパ節腫脹の減少によって測定したときの臨床活動の証拠と一致した。
(実施例2)
化合物AはCLL細胞によるケモカインCCL3およびCCL4のBCR誘導分泌を遮断する
この実施例は、2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オンが、BCR刺激CLL細胞におけるケモカインCCL3およびCCL4の量の低減に有効であることを実証するものである。
方法:CLL細胞を、培地(対照)、抗IgMを補充した培地、または抗IgMと化合物Aとを補充した培地で培養した。24時間後、上清を回収し、酵素結合免疫吸着アッセイによってアッセイし、ケモカインレベルを比較した。
図2の棒グラフは、3つの異なる条件で培養したCLL細胞からのケモカインレベルの濃度を表示するものである。CCL3およびCCL4の濃度は、対照と比較して抗IgMの存在下で大体5から6倍増加した。しかし、化合物Aの存在は、対照値に近いレベルまでのケモカイン分泌の有効な抑制を生じさせる結果となった。
(実施例3)
p110δに対する化合物Iの選択性
この実施例は、アイソフォーム特異的細胞ベースのアッセイで測定した場合の化合物Aがp110δに対して選択的であることを実証するものである。
Swiss−3T3繊維芽細胞およびRAW−264を96ウェル組織培養プレートに播種し、集密度が少なくとも90%に達するように放置した。細胞を飢餓させ、ビヒクルまたは化合物Aの系列希釈物のいずれかで2時間処理し、PDGFまたはC5aでそれぞれ刺激した。Aktリン酸化および全AKTをELISAによって検出した。精製B細胞をビヒクルまたは化合物Iの系列希釈物のいずれかで30分間、室温で処理した後、精製ヤギ抗ヒトIgMを添加した。結果を、IgM架橋によって誘導された相対[H]チミジン取り込みとして表示する。
(実施例4)
処置後に低減されたMCLおよびiNHL患者におけるCCL17、CCL22、CXCL13およびTNF−アルファレベル
この実施例は、マントル細胞リンパ腫(MCL)およびiNHL患者における上昇したケモカインレベルを低減する化合物Aの支援を提供するものである。
MCLを有する40例およびiNHLを有する63例を含む103例の患者がこの研究に登録した。患者の特性を図3aに要約する。iNHLを有する患者の中の4つすべてのサブタイプを表した。患者は、化学免疫療法での重度の処置を受けた。患者は、以前に4という中央値のレジメン(a median of 4 prior regimens)を受けており、一部の患者は、以前に14もの数のレジメンを受けていた。ほとんどの患者は、NHLのためのいくつかのタイプの化学療法を受けていた。疾患は、一般に、利用できる療法に対して難治性であった。
化合物Aの投薬を図3bに要約する。1日1回(QD)および1日2回(BID)連続および間歇スケジュールを用いて広範な用量の化合物Aで患者を処置した。患者は、長期間にわたって治療を続行した:iNHLを有する多くの患者は、12サイクル(48週間)を超えて処置し続けた。
処置に先立ち、CCL17、CCL22、CXCL13およびTNF−アルファの濃度を評価した。サイクルの最終日に上記ケモカインおよびTNF−アルファの血漿濃度を再び評価した。図5参照。下の表3(MCLについて)および表4(iNHLについて)は、ベースラインでのおよびこのサイクルの第28日での上記ケモカインおよびTNF−アルファ濃度を要約したものである。CCL17、CCL22、CXCL13およびTNF−アルファの平均レベルの顕著な低減が、化合物Aでの28日間の処置後に観察された。
ケモカインの低減は、化合物Aによって誘導された腫瘍サイズの低減によって測定したときの臨床活動の証拠と一致した。図4a(MCL)および図4b(iNHL)参照。
(実施例5)
血液系悪性疾患を有する患者における血漿サイトカインおよびケモカインのプロフィール
この実施例は、一定の血液系悪性疾患を有する患者が特定の血漿サイトカインおよびケモカインについて上昇したレベルを示すことを実証するものである。再発したおよび難治性の急性骨髄性白血病(AML、n=10)、慢性リンパ性白血病(CLL、n=50)、多発性骨髄腫(MM、n=11)、高悪性非ホジキンリンパ腫(aNHL、n=31)および不活性非ホジキンリンパ腫(iNHL、n=29)を有する患者から得た血漿試料のビーズELISAアッセイ(LUMINEX(登録商標))を用いて、CCL2、CCL3、CCL4、CCL17、CCL22、CXCL12、CXCL13、およびTNF−アルファの濃度を評価した。血漿サイトカインレベルの比較は、ノンパラメトリックのクラスカル−ウォリス統計的検定、続いての群間比較のためのダン事後検定を用いて行った。データを図6、7および9に要約する。
CLL患者では、他の疾患を有する患者と比較して、CCL3、CCL4(p<0.0001)およびCCL2(p<0.05)のレベルが、それぞれ、>4倍、>3倍および2倍高いことが観察された。図7参照。加えて、iNHLを有する患者では、他の患者よりCCL17のレベルが2.5倍高かった(p=0.0007)。図8参照。
このように、血漿サイトカインおよびケモカインは、疾患特異的炎症因子および微小環境因子として役立つことができ、これらは、ターゲティングされた治療的介入の機会を提供する。
(実施例6)
CLLを有する患者におけるリンパ節サイズの低減
この実施例は、CCL3、CCL17およびTNF−アルファについて上昇した血漿レベルを有する、CLLを有する患者が、有効量のPI3K−デルタ阻害剤を投与したとき、リンパ節サイズの低減を経験することを実証するものである。
化合物A、2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン、の臨床評価において、CLL患者から全血および血漿試料を、PI3K−デルタ阻害剤の投与に先立ち、および28日間のPI3K−デルタ阻害剤での治療後に採取した。それらの血漿試料中のCCL3、CCL17およびTNF−アルファの濃度をビーズベースのELISA技術によって決定した。これらの因子について得られた血漿濃度をリンパ節サイズの減少と比較した。50%以上のリンパ節減少を有した患者を、上記薬物に対する「応答者」と呼んだ。
図10に示すように、3つのケモカイン(CCL3、CCL17およびTNF−アルファ)についての投薬前から第28日までの変化は、上記薬物に応答した個体のほうが応答しなかった個体より有意に大きかった。したがって、これらの因子の濃度変化は、リンパ節収縮および疾患応答の改善と関連づけられる。
これは、PI3K−デルタ選択的阻害剤での処置について上昇したCCL3、CCL17およびTNF−アルファ濃度を有するCLL患者の亜集団の特定が、該疾患の、標的化した、より効能のある処置を提供する上で有用な方法であることを示している。

Claims (22)

  1. 被験体における血液系障害を処置する方法であって、
    a)CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファから成る群より選択される少なくとも1つのバイオマーカーについて上昇した濃度を有する被験体を選択するステップ;および
    b)有効量のPI3K−デルタ阻害剤を該被験体に投与するステップ
    を含む方法。
  2. 前記被験体が、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファから成る群より選択される少なくとも2つの上昇したバイオマーカー濃度を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記血液系障害が、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、多発性骨髄腫(MM)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、B細胞リンパ腫およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
  4. 少なくとも1つの上昇したバイオマーカーが、前記血液系障害のない被験体より少なくとも2倍高い、請求項3に記載の方法。
  5. 少なくとも1つの上昇したバイオマーカーが、処置するがんのタイプについての中央値より上のレベルで存在する、請求項3に記載の方法。
  6. 前記血液系障害が、CLLである、請求項3に記載の方法。
  7. 少なくとも1つのバイオマーカーが、CCL2、CCL3、CCL4、CXCL13およびTNF−アルファから成る群より選択される、請求項6に記載の方法。
  8. CCL2のバイオマーカー濃度が、750pg/mLより高いか、CCL3が150pg/mLより高いか、CCL4が250pg/mLより高いか、CXCL13が200pg/mLより高いか、もしくはTNF−アルファが50pg/mLより高い、またはこれらの量の組み合わせである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記血液系障害が、MCLまたはNHLである、請求項3に記載の方法。
  10. 少なくとも1つのバイオマーカーが、CCL17、CCL22、CXCL13およびTNF−アルファから成る群より選択される、請求項9に記載の方法。
  11. CCL17のバイオマーカー濃度が、150pg/mLより高いか、CCL22が2000pg/mLより高いか、CXCL13が400pg/mLより高いか、もしくはTNF−アルファが30pg/mLより高いか、またはこれらの量の組み合わせである、請求項10に記載の方法。
  12. 前記血液系障害が、NHLであり、上昇した前記バイオマーカーが、CCL17である、請求項9に記載の方法。
  13. CCL17のバイオマーカー濃度が、750pg/mLより高い、請求項12に記載の方法。
  14. 前記PI3K−デルタ阻害剤が、式1の化合物:

    (式中、
    各Rは、ハロ、CFおよびC1〜C6アルキルから成る群より独立して選択され;
    各Rは、ハロ、CFおよびC1〜C6アルキルから成る群より独立して選択され;
    は、水素またはC1〜C6アルキルであり;
    nは、0から2の整数であり;および
    mは、0から2の整数である)
    または薬学的に許容され得るその塩である、請求項1に記載の方法。
  15. 前記PI3K−デルタ阻害剤が、
    2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン;
    2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−6−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン;および
    2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−(2,6−ジフルオロフェニル)キナゾリン−4(3H)−オン;または
    薬学的に許容され得るその塩
    から成る群より選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 少なくとも1つのケモカインの濃度が、PI3K−デルタ阻害剤の投与後、少なくとも2倍減少する、請求項1に記載の方法。
  17. 前記阻害剤が、約50から350mg BIDの量で投与される、請求項16に記載の方法。
  18. 血液系障害を有する被験体が、PI3K−デルタ阻害剤での処置に有効に応答するかどうかを予測する方法であって、該患者からの試料中のバイオマーカーとして、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL13、CCL17、CCL22およびTNF−アルファから成る群より選択される少なくとも1つのバイオマーカーの量を評価するステップ、および該阻害剤での処置に有効に応答する被験体を予測するステップを含む方法。
  19. 前記障害が、CLLであって、かつCCL2の量が750pg/mLより多いこと、CCL3の量が150pg/mLより多いこと、もしくはCCL4の量が250pg/mLより多いこと、またはこれらの量の組み合わせは、前記被験体が前記阻害剤での処置に有効に応答する可能性があることを示す、請求項18に記載の方法。
  20. 前記障害が、MCLまたはNHLであって、かつCCL17の量が150pg/mLより多いこと、CCL22の量が2000pg/mLより多いこと、もしくはCXCL13の量が400pg/mLより多いこと、またはこれらの量の組み合わせは、前記被験体が前記阻害剤での処置に有効に応答する可能性があることを示す、請求項18に記載の方法。
  21. 前記PI3K−デルタ阻害剤が、式1の化合物:

    (式中、
    各Rは、ハロ、CFおよびC1〜C6アルキルから成る群より独立して選択され;
    各Rは、ハロ、CFおよびC1〜C6アルキルから成る群より独立して選択され;
    は、水素またはC1〜C6アルキルであり;
    nは、0から2の整数であり;および
    mは、0から2の整数である)
    または薬学的に許容され得るその塩である、請求項18に記載の方法。
  22. 前記阻害剤が、
    2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン;
    2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−6−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン;および
    2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−(2,6−ジフルオロフェニル)キナゾリン−4(3H)−オン;または
    薬学的に許容され得るその塩
    から成る群より選択される、請求項21に記載の方法。
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