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JP2013541726A - エレクトロウェッティング光学装置 - Google Patents

エレクトロウェッティング光学装置 Download PDF

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JP2013541726A JP2013527646A JP2013527646A JP2013541726A JP 2013541726 A JP2013541726 A JP 2013541726A JP 2013527646 A JP2013527646 A JP 2013527646A JP 2013527646 A JP2013527646 A JP 2013527646A JP 2013541726 A JP2013541726 A JP 2013541726A
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Abstract

非混和性であって、異なる屈折率を有し、界面を形成する導電性液と非導電性液であって、前記導電性液は、その全重量に対して5重量%以上のフッ素化塩を含むことを特徴とする2つの液を含むエレクトロウェッティング光学装置が提供される。前記エレクトロウェッティング光学装置を含む装置も説明される。
【選択図】図1

Description

本開示は、多相液組成物を含むエレクトロウェッティング(electrowetting)光学装置に関し、特に、異なる屈折率を有し界面を形成する非混和性の導電性液と非導電性液とを含むエレクトロウェッティング光学装置に関する。前記液の屈折率の差は、好適には広い温度範囲において、好適には−30℃〜85℃において、0.24より大きいことが好ましい。特に明記されない限り、「大きな屈折率差」および「広い温度範囲」は、本明細書および本特許請求の範囲において、これらの意味の範囲内にあるものと意図される。
本明細書および本特許請求の範囲において、導電率は電気伝導度を指す。
エレクトロウェッティング駆動式の可変焦点距離光学レンズについては、欧州特許(EP−B1−1)第166,157号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に援用される。セルは、2つの透明絶縁プレートとサイドウォールとで画定される。下方のプレートは非平面であり、非導電性液滴すなわち絶縁性液滴を含む円錐状または円柱状のくぼみまたは凹部を有する。該セルの残りには、前記絶縁性液とは非混和性であり、異なる屈折率と実質的に同じ密度とを有する電気伝導性液が充填される。前記凹部に対向して開口した環状電極が前記下方プレートの裏面に配置される。別の電極は前記導電性液に接している。前記2つの液間の界面の曲率は、電極間に印加される電圧Vに応じたエレクトロウェッティング現象によって変更できる。従って、前記液滴の領域において、プレートに垂直にセルを通過する光線は、該印加電圧に応じて多かれ少なかれ収束させられる。前記導電性液は一般に塩を含む水溶液であり、前記非導電性液は典型的に、恐らくはハロゲン化されたオイル、アルカンまたはアルカン類の混合物である。
非常に機能的な光学レンズ、すなわち、信頼性が高く、広い温度範囲に亘って、低波面エラー、早い応答時間かつ同様な性能として測定される良好な光学品質を備えた光学レンズを実現するためには、前記導電性液および非導電性液は、例えば、非混和性であること、実質的に同じ密度を有すること、広い温度範囲において液体を維持すること、互いに接触しても化学的に安定であること、エレクトロウェッティング装置を収納する絶縁プレートとサイドプレートと可能な限り適合すること、所定の屈折率差を有することなどの多くの特定の要件を満たさなければならない。
前記液に使用でき、上記の要件をすべて満たす化合物または化合物の混合物の数は非常に限定されている。
エレクトロウェッティング光学装置の導電性液の凍結防止剤として塩が使用でき、それによって、装置が0℃以下で作動および保管できることは当分野では既知である。こうした装置、特に液体レンズは伝統的に、−10℃までの温度で作動可能でなければならず、また、−20℃より低い温度で保管可能である。US特許第7,242,528号には、凝固点を−20℃より下げるために、例えば、エレクトロウェッティングモジュールの導電性液に使用されるLiCIなどの塩が開示されている。本出願人によるUS特許出願第20070179201号には、導電性液に臭素アニオンおよび他の凝固点降下剤が使用されることが記載されている。US特許出願第20070091455号には、導電性液の一部の物性変化を最小限に抑えながら凝固点を下げるために、塩類の混合物を前記導電性液に含有させたエレクトロウェッティングシステムが記載されている。
既知の先行技術での欠点は、凍結防止剤として塩を含有させると、導電性液の屈折率が過度に上昇することである。導電性液の屈折率は非導電性液のそれより低いことが望ましいため、先行技術による凝固点降下剤としての塩の使用によって、導電性液と非導電性液間の屈折率差が小さくなる傾向があり、例えばズーム用途などの多くの用途において望ましくないものとなる。
これらの用途では、広い温度範囲に亘って光学界面を形成する2つの液間で大きな屈折率差を示し、一方、前述の要件をすべて満たして良好な性能を保証するエレクトロウェッティング光学装置が提供されることが望ましい。
光学レンズやズームなどのエレクトロウェッティング光学装置に対する既知の先行技術での別の欠点は、不鮮明な画像に繋がり得る色収差に起因する装置の光学性能劣化である。特に、塩量の増加は色収差の増大に繋がり得る。色収差は、レンズの分散としても既知の、光の波長に応じた光学部品を形成する材料の屈折率のばらつきに起因する。レンズの場合には、色収差は、すべての色を同一の点に収束させるべきレンズの不具合による。特に、例えば、電圧の印加に応じて光パワーが変化し、それによって色収差のばらつきが生じるエレクトロウェッティング光学装置を使用する場合、色収差は、光学設計では克服が困難な問題になり得る。大きな光パワー変動が要求されるズーム用途では、例えば、大きな屈折率差を有することによって光学界面を形成する2つの液を備えた装置などの、大きな光パワー変動を有するエレクトロウェッティング光学装置によってその機能が得られるズームでは、この問題はさらに大きなものになり得る。従って、色収差が小さいエレクトロウェッティング光学装置が提供されることも望ましい。
本開示の目的は、先行技術における1つまたは複数の欠点を少なくとも部分的に克服することである。
本開示のさらなる目的は、良好な光学品質を備えた、特に色収差が制限されたエレクトロウェッティング光学装置を提供することである。
本開示のさらなる目的は、上記の要件をすべて満たす非常に機能的なエレクトロウェッティング光学装置であって、前記導電性液は凝固点が低いながらも屈折率が小さいために、広い温度範囲に亘って大きな屈折率差を示す装置を提供することである。
さらに別の目的は、可変光学ズームとして、可変焦点液体レンズとして、光学画像安定化装置として、光ビーム偏向器として、可変照明装置として、および内部環境または外部環境においてエレクトロウェッティングを用いた他の任意の光学装置として使用可能な装置を提供することである。
驚くべきことに、本出願人は、こうしたエレクトロウェッティング光学装置の導電性液の濃度5重量%以上のフッ素化塩によって、色収差が制限されることを見出した。
さらに驚くべきことに、本出願人は、前記2つの液の内、非導電性液が大きな屈折率を有する場合、この濃度範囲内のフッ素化塩の使用によって、導電性液の屈折率の上昇を制限しながら溶液の凝固点を降下させることを見出した。前記2つの液の内、非導電性液が大きな屈折率を有する場合、これによって、導電性液と非導電性液間の大きな屈折率差が維持される。
1つの態様では、本開示は、非混和性であって界面を形成する導電性液と非導電性液であって、前記導電性液は、その全重量に対して5重量%以上のフッ素化塩を含むことを特徴とする2つの液を含むエレクトロウェッティング光学装置に関する。
ここで、「含む」は「含有する」と同意語であり、端点を含むかまたは含まず、付加的な引用されない要素を除外するものではない。例えば、「以上」などの範囲の限界値は該範囲に包含されるものとする。
「非混和性である」とは、ある溶液が他の溶液に非混和性であるか、または実質的に非混和性である2つの溶液を指す。本明細書および本特許請求の範囲において、所定の温度範囲内、例えば20℃で測定した2液の部分的な混和度が0.2%未満、好適には0.1%未満、より好適には0.05%未満、さらにより好適には0.02%未満の場合、これらの液は非混和性とされる。
前記両液の相互混和度は、広い温度範囲に亘って小さいことが好ましい。該広い温度領域は、好適には−30℃〜85℃であり、より好適には−20℃〜65℃である。
好適な実施形態では、導電性液は、水と、導電性液の全重量に対して少なくとも5重量%の、好適には5重量%超のイオンフッ素化塩と、を含み、該イオンフッ素化塩は恐らく、他の有機塩または無機塩の1つまたは複数と混合され、好適には少なくとも1つの有機または無機イオン塩またはイオン性塩と混合されて、好適には水を含む液に導電性を付与し、また、該液の凝固点を降下させる。好適なイオン塩は、硫酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、臭化亜鉛、臭化ナトリウム、臭化リチウムなどである。
導電性液に使用される水は、可能な限り純水であること、すなわち、エレクトロウェッティング光学装置の光学特性を変化させ得る他のいかなる溶解成分も含まないことが好ましい。超純水が最も好適に使用される。
フッ素化塩は、それらの和化学式中にフッ素を含むイオン塩であり、好適には有機イオン塩である。以下の明細書および特許請求の範囲において、「イオン塩」は、水中で完全にまたは実質的に解離する(酢酸アニオンおよびカチオンなど)塩を指し、「イオン性塩」は、化学的、物理的または物理化学的処理後に、水に完全にまたは実質的に解離する塩を指す。アニオンとしては、これに限定されないが、例えば塩化物、臭化物、ヨウ化物などのハロゲン化物、硫酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸、2−フルオロアセタート、2,2−ジフルオロアセタート、2,2,2−トリフルオロアセタート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロアセタート、トリフルオロメタンスルホネート(以後、トリフラートと呼ぶ)、ヘキサフルオロホスフェート、フッ化物およびこれらの混合物などが挙げられる。カチオンとしては、これに限定されないが、アルカリ、例えばナトリウム、マグネシウム、カリウム、リチウム、カルシウム、亜鉛などのアルカリ土類カチオンおよびアルカリ土類金属カチオンおよび、例えばN−(フルオロメチル)−2−ヒドロキシ−N,N−ジメチル−エタンアミニウムなどのフッ素化アンモニウムなどが挙げられる。
このように、有機および無機イオン塩およびイオン性塩は当分野において周知であり、これらには、これに限定されないが、酢酸カリウム、塩化マグネシウム、臭化亜鉛、臭化リチウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、トリフラートナトリウム、酢酸ナトリウム、トリフルオロ酢酸ナトリウムなど、およびこれらの混合物が含まれる。
好都合なことに、フッ素化塩は、導電性液の屈折率を低く維持しながら、該液の凝固点を降下させるなどの他の特性を変化させられる。
塩化物塩のような他の塩と違って、フッ素化塩には、例えば鋼、ステンレス鋼または黄銅などのエレクトロウェッティング光学装置のセル構成材料を腐食しないという利点もある。
好都合なことに、フッ素化塩は、色収差特性の測定として使用されるアッベ数への影響が限定的である。アッベ数は、V=(nD−1)/(nF−nC)として定義され、ここで、nD、nFおよびnCは、フラウンホーファーD線、F線およびC線(それぞれ、589.2nm、486.1nmおよび656.3nm)である。従って、低分散溶液は高アッベ数によって特徴付けられる。エレクトロウェッティング光学装置の導電性液に濃度5重量%以上のフッ素化塩を使用することによって、該導電性液のアッベ数を例えば50〜62と高く維持でき、これによって、色収差が小さく、従って装置全体の色収差を低減できる導電性液を有するエレクトロウェッティング光学装置を提供できる。このようなエレクトロウェッティング光学装置は、ズーム用途などのように、色収差が特に望ましくない用途に特に適している。
フッ素化塩を使用することによるさらなる1利点は、この塩によって、エレクトロウェッティング光学装置の導電性液の適切な密度を維持できることである。
別の好適な実施形態では、導電性液中の塩は、トリフルオロ酢酸ナトリウムまたはトリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム(トリフラートナトリウムとしても既知)である。
好適な一実施形態では、非導電性液は、導電性液の全重量に対して、少なくとも6重量%の、好適には少なくとも8重量%の、より好適には少なくとも10重量%の、さらにより好適には少なくとも15重量%の、さらにより好適には少なくとも20重量%のフッ素化塩を含む。
好適な一実施形態では、フッ素化塩の濃度は、導電性液の全重量に対して、5重量%〜60重量%の範囲であり、好適には15重量%〜40重量%の範囲であり、より好適には20重量%〜40重量%の範囲であり、さらにより好適には20重量%〜30重量%である。
導電性液にこうした好適な濃度の塩を使用することによって、2液間の混和度を低く維持できる。好都合なことに、これによって、特に熱衝撃後のエレクトロウェッティング光学装置の低濁度復帰、低ヘイズ復帰、およびまたは良好な透明性復帰ができる。
本発明者らは、導電性液に過剰な濃度の、例えば60重量%超のフッ素化塩を使用すると、導電性液と非導電性液間の密度差が過剰になり得ることを見出した。
別の好適な実施形態では、導電性液の屈折率は非導電性液のそれより小さい。
好適な実施形態では、フッ素化塩を含む導電性液の屈折率は1.39未満、好適には1.37未満であり、凝固点は−20℃より低い。
代替となる実施形態では、導電性液の屈折率は非導電性液のそれより大きい。この実施形態において、導電性液にフッ素化塩を使用することの1つの利点は、特に、非導電性液が、例えばフッ素化オイルなどの、高密度の、典型的には1.2g/cm超の化合物を含む場合、2液間の密度差を最小化できることである。フッ素化オイルは低屈折率化合物であり、2液間の屈折率差を大きくできる。
導電性液の屈折率と非導電性液の屈折率の差は、好適には広い温度範囲において、好適には−30℃〜85℃において、0.24より大きいことが好ましい。
別の好適な実施形態では、導電性液は少なくとも1つの凝固点降下剤を含む。好適な凝固点降下剤としては、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、ポリオール、ポリエーテルポリオールなど、あるいはこれらの混合物が挙げられる。その例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールあるいは1,2−プロパンジオールが挙げられる。
好適な実施形態では、導電性液は、その全重量に対して、好適には30重量%未満の、より好適には20重量%未満の、さらにより好適には5重量%未満の凝固点降下剤を含む。凝固点降下剤が存在する場合、導電性液は、その全重量に対して、好適には1重量%超の、より好適には5重量%超の、さらにより好適には10重量%超の降下剤を含む。導電性液は、グリコールを、より好適にはエチレングリコールまたは1,3−プロパンジオール(トリメチレングリコールすなわちTMGとしても既知)を含むことが好ましい。
塩と共に、凝固点降下剤としてグリコールを使用することの利点の1つは、導電性液密度の過度の上昇を防ぐことである。導電性液の密度は、20℃で1.2g/cm未満であることが好ましい。所与の凝固点に対しては、塩と水との溶液の密度は、グリコールと水との溶液のそれより高い。R−(OH)(Rはアルキル基、好適にはC2−C4アルキル)などの化合物を有するグリコールが好適に使用される。こうしたグルコールは非導電性液の成分との混和度が低いために、エレクトロウェッティング装置の信頼性を損なうことがない。
導電性液にグリコールを使用することの別の利点は、それらが粘度調整剤として作用することである。粘度はエレクトロウェッティング光学装置の応答時間に関係しており、粘度調整によって、特に粘度を低下させることによって、応答時間の早い迅速なエレクトロウェッティング光学装置が提供される。
塩およびまたはグリコールなどの、好適には前述のグリコールなどの凍結防止剤を使用することによって、前記導電性液は、−30℃〜+85℃までの、好適には−20℃〜+65℃までの、より好適には−10℃〜+65℃までの温度範囲内で液体を維持する。
別の好適な実施形態では、導電性液は、平均重量(Mw)が好適には200g/mol〜2000g/molの、より好適には200g/mol〜1000g/molの、さらにより好適には350g/mol〜600g/molの、さらにより好適には350g/mol〜500g/molの、さらにより好適には375g/mol〜500g/molの、例えば425g/molの、例えばペンタノールまたはポリプロピレングリコールまたはこれらの混合物などの添加剤を5%未満含む。こうした添加剤を使用することの1つの利点は、それらが界面活性剤として作用し、広い温度範囲に亘って、2液間に安定した界面張力をもたらすことである。
別の好適な実施形態では、非導電性液は、屈折率が1.55超の、好適には1.60超の、より好適には1.63超の、さらにより好適には1.66超の化合物を少なくとも1つ含む。
好適な実施形態では、非導電性液は、ジフェニルジメチルシラン、2−(エチルチオ)ベンゾチアゾール、1−クロロナフタレン、SantoVac Fluids社(現在はSantoLubes LLC社(Missouri,US))から市販されているSantolight(登録商標)SL−5267または化学的に同様な液、チアナフテン、4−ブロモジフェニルエーテル、1−フェニルナフタレン、2,5−ジブロモトルエン、フェニルスルフィドなど、あるいはこれらの混合物を含んでいてもよい。
非導電性液の組成は、その粘度、屈折率、密度および導電性液との混和度が、広い温度範囲内で機能的なエレクトロウェッティング装置の提供に適したものであるように選択されることが好ましい。例えば、屈折率が好適には1.55超の化合物などの多くの非導電性成分は、屈折率に関しては要件を満たし得る。しかしながら、非導電性液に使用される化合物は、機能的なエレクトロウェッティング光学装置の提供を可能にする他のパラメータにも従って選択されることが好ましい。こうしたパラメータは例えば以下のものである。
水との混和度:非導電性液は好適には、所定の温度範囲において、水との混和度が小さくなければならない。
化学安定性:非導電性液に使用される化合物は好適には化学的に安定であること、すなわち、作動温度範囲内で、導電性液および非導電性液の他の化合物の存在下で化学的反応性を示してはならない。
密度:2つの液間の密度差が好適には制限されるべきであり、20℃で測定した密度差が好適には0.1g/cm未満、より好適には0.01g/cm未満、さらにより好適には3.10−3g/cm未満でなければならないという意味で、導電性液の密度と一致できる高密度。
粘度:応答時間の早いエレクトロウェッティング装置を得るために、可能な限り低い粘度、つまり、−20℃〜+70℃内の温度範囲で、好適には40cs未満、より好適には20cs未満、さらにより好適には10cs未満の粘度。
前述のパラメータと屈折率パラメータは制限的でなく、非導電性液の化合物選択のために、他のパラメータも考慮に入れることができる。
好適な実施形態では、非導電性液は、その全重量に対して30重量%以上の、好適には30重量%〜80重量%の式1aまたは式1bの化合物またはこれらの混合物を含んでいてもよい。
Figure 2013541726

ここで、R1およびR4はそれぞれ未置換の芳香環であり、R2およびR3はそれぞれ、アルキル、シクロアルキル、(ヘテロ)アリール、(ヘテロ)アリールアルキルから選択され、nとmはそれぞれ独立に1〜5、好適には1〜2であり、X、X2およびX3はそれぞれ独立に、酸素(O)原子または硫黄(S)原子から選択される。上記の式中、アルキルは、炭素原子数が約1〜約10個の、好適には約1個〜約6個の直鎖または分枝鎖アルキル基であり、好適なアルキルとしては、メチル、エチル、nプロピル、イソプロピルが挙げられ;(ヘテロ)アリールは、約5個〜約12個の原子を含み、1つまたは複数のハロゲンによって、好適には1つ、2つまたは3つのハロゲン原子(主にフッ素、塩素およびまたは臭素)によって選択的に置換された芳香環およびまたはヘテロ芳香環の少なくとも1つ、好適には1つを形成する芳香族基またはヘテロ芳香族基を指し;(ヘテロ)アリールアルキルは、アルキル基および(ヘテロ)アリール基のそれぞれに対して上記に定義した通りであり、好適な(ヘテロ)アリールアルキルとしては、1つ、2つまたは3つのハロゲン原子で選択的に置換されたベンジルおよびフェネチルが挙げられる。
好適な実施形態では、式1aまたは1bの化合物は、フェニルエーテルオリゴマおよびフェニルチオエーテルオリゴマなどであり、例えば、チオビス[フェノキシベンゼン]、ビス(フェニルメルカプト)ベンゼンまたは同様の3,4環フェニルエーテル/チオエーテルオリゴマである。好適な上限値は好適には粘度と関係し、それによって、非導電性液の粘度の過度な上昇を防ぎ、応答時間の早いエレクトロウェッティング装置が提供される。
好適な実施形態では、非導電性液は、その全重量に対して、30重量%超の、好適には35重量%超の、より好適には50重量%超の式1aまたは式1bの化合物またはこれらの混合物を含む。別の好適な実施形態では、前記フェニルエーテルオリゴマおよびまたはフェニルチオエーテルオリゴマ系の化合物は、SantoVac Fluids社(現在はSantoLubes LLC社(St.Charles,Missouri,US))のSantolight(登録商標)SL−5267または化学的に同一の液である。
こうした実施形態のさらなる利点は、非導電性液が導電性液に対してより化学的に安定であることである。非導電性液に使用されるこうした化合物は、例えば50℃を超える高温での反応性を含めて、水との反応性が低い。
好適な一実施形態では、非導電性液と導電性液は、実質的に同じ密度を有する。これは、密度差が狭い範囲内で変化し得ることを意味する。広い温度範囲に亘って、好適には−30℃〜85℃において、より好適には−20℃〜65℃において、これらの液の密度差が限定的であることが好ましい。これらの液の密度差は、好適には0.1g/cm未満であり、より好適には0.01g/cm未満であり、さらにより好適には3.10−3g/cm未満である。
好適な実施形態では、例えば20℃で1.2g/cm以上などの高密度を有する化合物は非導電性液に好適に使用される。特に、一般的に溶液の密度を上昇させる塩が導電性液に多量に溶解している場合、これによって導電性液の密度と合わせられる。
好適な一実施形態では、非導電性液の屈折率は1.60超であり、より好適には1.64超であり、さらにより好適には1.66超である。
好適な一実施形態では、導電性液と非導電性液との屈折率差は0.24より大きく、より好適には0.27より大きく、さらにより好適には0.29より大きい。
こうした2つの液間の屈折率差は、ズーム、可変焦点装置、照度が2液間の屈折率差に依存する可変照明装置、あるいは、光軸が傾斜できて、例えば光ビーム偏向用途や画像安定用途などに使用される光学装置などの光学用途に適している。光軸の傾斜が可能なこうしたエレクトロウェッティング光学装置は、例えば、本出願人による特許出願EP−A1−2009468号に記載されている。こうしたエレクトロウェッティング光学装置では、異なる電圧を液−液界面に印加して該界面を幾何学的に傾斜させられ、これによって、光学装置の光軸を幾何学的に傾斜させる。光学的傾斜は、2液間の幾何学的な傾斜と屈折率差の関数である。屈折率差が大きいほど、光学的傾斜は大きくなる。
好適な実施形態では、粘度調整剤、特に粘度低下剤を非導電性液に用いて、エレクトロウェッティング光学装置の応答時間を早める。特に、非導電性液に含まれるフェニルチオエーテルオリゴマなどの他の化合物が該液の粘度を上昇させる傾向がある場合、該液の粘度を低下させるためにこうした化合物が好適に使用される。例えば、ジフェニルスルフィド、ジブロモトルエン、ジフェニルジメチルシランまたはチアナフテンなどのこうした粘度調整剤は好適に大きな屈折率を有しており、非導電性液は、その粘度を低下させながら大きな屈折率を好適に維持する。
好適な実施形態では、非導電性液は、−10℃〜+65℃の温度範囲内で、好適には−20℃〜+65℃の温度範囲内で、より好適には−30℃〜+85℃の温度範囲内で液体を維持する。
別の好適な実施形態では、非導電性液は、例えばBHT−タイプ(ブチルヒドロキシトルエン)の酸化防止剤、好適には2,6−ジ−ターシャリ−ブチル−4−メチルフェノールなどの酸化防止化合物を含む。
前記エレクトロウェッティング光学装置は、可変焦点距離液体レンズ、光学ズーム、眼科用装置、光軸傾斜可変装置、画像安定化装置、光ビーム偏向器、可変照明装置、およびエレクトロウェッティングを用いた他の任意の光学装置として、またはその一部として使用されてもよい。
さらなる態様では、本開示は、エレクトロウェッティング光学装置を含む装置に関する。好適な実施形態では、該装置は、エレクトロウェッティング光学装置への交流電圧印加手段を含む。該装置はさらに、レンズ制御用ドライバまたは同様の電子手段を含むことが好ましい。好適な実施形態では、該レンズおよびドライバまたは同様の電子手段は、該装置内で一体化されている。別の好適な実施形態では、該装置は、複数の(2つ以上の)レンズと、好適には少なくとも1つのドライバまたは同様な電子手段を含む。
好適には、前記装置は、カメラ、携帯電話、内視鏡、テレメータ、デンタルビデオ、バーコードリーダ、ビーム偏向器、顕微鏡である。
別の好適な実施形態は、以下の特徴の1つまたは複数をさらに含み得るエレクトロウェッティング光学装置に関する:非導電性液の液滴が、例えばプレート状の絶縁基板上に配置され、かつ、導電性液の液滴が、非導電性液の液滴と基板とを被覆するように上方に配置され;導電性液および非導電性液は、実質的に同じ密度と異なる光学指数を有し;前記装置は、導電性液への交互張力印加手段または印加可能手段を含み;絶縁基板は、非導電性液を集中させるための、好適には円形断面を有する凹部を有し;絶縁基板は透明材料を含むかまたはそれで構成されており;絶縁基板は、疎水性の材料から構成されるかそれでコーティングされており;絶縁基板は、非導電性液で均一にぬれる材料で構成されるかまたはコーティングされており;絶縁基板は、非導電性液で均一にぬれないように表面処理された材料で構成されるかまたはコーティングされており;前記装置は、導電性液に前記張力を印加するための、典型的には1つの電極と1つの対極である複数の電極を含む。
非限定的な実施例と添付図とにより、本開示をさらに詳細に説明する。
好適な実施形態によるエレクトロウェッティング光学装置による可変焦点距離液体レンズの概略断面図である。 先行技術および好適な実施形態によるエレクトロウェッティング光学装置で使用される異なる塩に対する、水溶液の屈折率(R1)に及ぼす塩濃度(モル/L)の影響を示すグラフである。 屈折率と水中の種々の塩の質量分率との関係を示すグラフである。 凝固点と先行技術による導電性液の屈折率との関係、および凝固点と好適な一実施形態による導電性液の屈折率との関係を比較するグラフである。 導電性液の種々の密度に対して、該液の屈折率をトリフルオロ酢酸ナトリウム重量分率の関数として示すグラフである。 異なる温度と保管条件における、好適な実施形態によるレンズの光パワーと電圧特性との関係を示すグラフである。
図1は、好適な実施形態による可変焦点距離液体レンズの実施例の概略断面図である。セルは、絶縁プレート1、サイドウォール(図示せず)および誘電性の透明な筐体2によって画定される。該セルには導電性液5が充填されている。誘電性の筐体2の導電性液5に対する湿潤性は低い。図示の実施形態では、誘電性の筐体2の下部ウォールまたはプレートは、該プレートに垂直な軸Δを中心にした空洞3を含む。図1では、空洞3は円錐台である。非導電性液の液滴4が空洞3内に入れられている。液滴4は当然、軸Δを中心とする位置Aを占める。非導電性液4と導電性液5は共に透明・非混和性であり、異なる光学指数と実質的に同じ密度とを有する。液4と5の間に形成されたジオプターは、液体レンズの表面を形成し、この液体レンズの光軸が軸Δであり、もう一方の面が該液滴と前記空洞の底部間の接触部に相当する。電極7は、誘電性の筐体2の外表面上に設置される。参照数字9は、ガラスウォールまたはプラスチックウォール壁を示す。電極8は導電性液5に接している。電圧源(図示せず)によって、電極7と8間に交流電圧Vが印加される。
電圧Vは0V〜最大電圧まで上げられるが、それは使用材料に依存する。電圧を上げると、非導電性液滴4は変形して限界位置(Bで示す)に達する。液滴4が、位置A(張力のない静止位置、導電性液5との間は凹界面)から位置B(導電性液5との間は凸界面)まで変形する間、前記液体レンズの焦点は変動する。
水溶液の屈折率は以下の関係で与えられる。
n=1.334の+XCn(1)
ここで、Xは重量分率で表した塩濃度であり、Cnは該塩の屈折率係数である。
同様に、水溶液の密度は以下の関係で与えられる。
d=1+XCd(2)
ここで、Xは重量分率で表した塩濃度であり、Cdは密度係数である。イオン塩の例とその屈折率係数(Cn)および密度係数(Cd)をそれぞれ以下の表1に示す。
表1の値は実験値である。
Figure 2013541726

図2および図3は、それぞれが異なるイオン塩を含有する水溶液を含む導電性液の屈折率を濃度または質量分率の関数として示すグラフである。図2は、臭化ナトリウム、酢酸カリウム、トリフルオロ酢酸ナトリウムおよびトリフラートナトリウムの4つの導電性液に対して、それぞれの量(モル)を変えて行った測定に基づいており、図3は、式(1)による計算および表1の実験データに基づいて、種々の濃度(重量分率)の塩を含む数種の導電性液の屈折率の変化を示す。好適な実施形態では、式CFCOONaのトリフルオロ酢酸ナトリウム(図2のNaTFA)のようなフッ素化塩、および式CFS0Naのトリフルオロメタンスルホン酸ナトリウムとも呼ばれるトリフラートナトリウム(図2のNaTfl)は、凝固点降下剤として導電性液に使用されることが好ましい。図2および図3に示すように、こうしたフッ素化塩を含む導電性液の屈折率は、同様な濃度の他の塩、例えば、先行技術による導電性液に使用される臭化ナトリウムや酢酸カリウムなどで得られる導電性液のそれよりははるかに小さい。
図4は、臭化ナトリウムのような先行技術で使用される塩の代わりに、トリフルオロ酢酸ナトリウムなどのフッ素化塩を使用した時の、水と塩の水溶液を含む導電性液の凝固点と屈折率に及ぼす効果を示す。図4は、濃度5重量%〜約65重量%を含む種々の量(図示せず)のトリフルオロ酢酸ナトリウムおよび臭化ナトリウム塩をそれぞれ含む導電性液での測定に基づく。図4は、塩濃度の上昇と共に、また凝固点の低下と共に、該導電性液の屈折率が上昇することを示している。所与の凝固点、例えば−20℃では、トリフルオロ酢酸ナトリウムを含む水溶液から成る導電性液の屈折率は、臭化ナトリウムのような非フッ素化塩を含む水溶液から成る導電性液のそれよりはるかに小さい。例えば、一般に、光学装置が作動可能であることを要求される温度に相当する−20℃では、図4における2つの導電性液間の屈折率差は約0.15であるが、これは、ズームや可変焦点装置などの光学用途の文脈においては依然として大きな差であることを示している。図4の2つの導電性液間の屈折率差は凝固点の低下と共に大きくなり、このことは、他のイオン塩の代わりにフッ素化塩を使用した時の屈折率の適度な上昇の効果によって、先行技術と比較して好都合なことに、広範囲の保管および作動温度において、導電性液と非導電性液間の所望の屈折率差が維持されることを示している。
前記エレクトロウェッティング光学装置では、導電性液と非導電性液間の大きな屈折率差が得られるだけでなく、広い温度範囲に亘って、これらの液の相互混和度を低くできる。
図5は、種々の導電性液密度に対して、該液の屈折率をトリフルオロ酢酸ナトリウム重量分率の関数として示したものである。使用するグリコールの重量分率によって、凝固点が−20℃より低い導電性液が得られる。図5に示されるように、密度、屈折率および凝固点を考慮すると、限定された範囲のトリフルオロ酢酸ナトリウム重量分率が好適なものとなる。
導電性液の全重量に対して、5重量%以上のトリフルオロ酢酸ナトリウムを含む導電性液を調製した。好都合なことに、5重量%〜60重量%のトリフルオロ酢酸ナトリウムを含む導電性液の密度はd=1.1〜d=1.4g/cmの範囲にあり、凝固点は−20℃より低く、屈折率は589nmでn=1.39であった。フッ素化塩濃度が5%より未満では、導電性液の屈折率は1.39を超える。8重量%以上のトリフルオロ酢酸ナトリウムを含む導電性液の密度はd=1.1g/cm以上であり、凝固点は−20℃より低く、屈折率は589nmでn=1.37であった。
前記エレクトロウェッティング光学装置では、塩の添加に関連する導電性液のアッベ数変動を制限できる。驚くべきことに、本発明者らは、他の塩と比較して、導電性液のフッ素化塩によってアッベ数変動が制限されることを見出した。アッベ数は、V=(nD−1)/(nF−nC)として定義され、ここで、nD、nFおよびnCは、フラウンホーファーD線、F線およびC線(それぞれ、589.2nm、486.1nmおよび656.3nm)である。従って、低分散溶液は高アッベ数によって特徴付けられる。
表2に示すように、60重量%のLiBrまたはZnBr2の溶液では、屈折率は上昇し(水と60重量%のLiBrまたはZnBr2とを含む溶液のnDと水のnDとの差は、それぞれ+0.14および+0.17に等しい)、アッベ数は減少しており、このために、大きな色収差が生じている。反対に、水と、トリフルオロ酢酸ナトリウム(NaTFA)のようなフッ素化塩を60重量%含む液組成物では、純水と比較して、好都合なことにアッベ数が上昇している。こうした溶液の密度は約d=1.4g/cmであると考えられる。
従って、フッ素化塩を使用することにより、屈折率を上昇させることなく、また色収差を誘発することなく、導電性液の密度を適切にできる。
Figure 2013541726
本出願における屈折率とアッベ数は、SCHMIDT+HAENSCH社の多波長屈折計DSRを用いて実験的に求めたものである。その測定は、全反射の臨界角のCCDセンサ検出に基づいている。この検出をすべての波長(色)に対して連続的に行い、波長に応じた屈折率として表示している。該液の温度は内蔵のペルチェモジュールで調節し、温度精度は±0.1℃、屈折率精度は±0.00005を達成している。
前記エレクトロウェッティング光学装置の好適な実施形態に適切な導電性液および非導電性液の別の好適な実施例を以下に挙げる。
好適な導電性液および非導電性液
好適な導電性液に使用される好適な塩の屈折率係数Cnは0.1未満であり、好適には0.08未満であり、より好適には0.04未満である。
非導電性液の屈折率は、導電性液のそれより大きいことが好ましく、好適には、屈折率が1.55超の化合物を少なくとも1つ含む。こうした化合物の例を表3に示す。
Figure 2013541726

非導電性液に使用される化合物の混合物の屈折率は、下記のの関係式で与えられる。ここで、Xおよびnは、それぞれの化合物の重量分率と屈折率である。
Figure 2013541726
非導電性液に使用される各化合物に対する濃度範囲を有する組成物の例を表4に示す。クラスタ1〜5は、液の粘度は実質的に一定に維持され、屈折率は上昇し、導電性液との混和度は低く維持され、密度が導電性液のそれと一致する非導電性液の例である。
Figure 2013541726

本出願での2液間の部分的な混和度は屈折計を使用して測定される。両液からの屈折率は、両液の数日間の接触の前後で測定される。両液が混合すると、一方の液の他方への移動相対濃度に応じて、液には屈折率変動が起こる。
N’1=N1X1+N2(1−X1)
N’2=N2X2+N1(1−X2)
ここで、X1とX2はそれぞれ、第1の液と第2の液の比率であり、N1とN2は、液1および液2の初期(接触前)屈折率であり、N’1とN’2は、液1と液2の保管後の屈折率である。従って、この測定で両液の部分的な混和度が評価できる。以下に説明する組成DおよびEで行った測定結果の例を表5に示すが、これによって、部分混和度は0.009重量%と0.012重量%であることが示されている。保管条件は室温で24時間保管である。
Figure 2013541726
本明細書および本特許請求の範囲において、密度と動粘度は、以下のASTM D7042−04に準拠して測定される。所定の温度、例えば−10℃、−20℃、+60℃または+70℃およびまたは、−10℃、−20℃と+60℃または+70℃間に含まれる温度範囲内の中間の温度で、ロータとステータ間の液抵抗を求める。Anton Paar SVM3000タイプの粘度計を使用してもよく、これに関しては、EP−B1−0,926,481号が参照される。これらの文献の内容は、参照により本明細書に援用される。
本明細書および本特許請求の範囲において、前記導電性液および非導電性液のいずれかまたはその両方および前記エレクトロウェッティング光学装置に関して、透明性とは、約400nm〜約700nmの波長領域に亘り透過率が約96%超として、およびまたは、同じ波長範囲において、直接入射を中心とした約60°円錐での散乱エネルギーが約2%未満として解釈されるものである。以下のB〜G組成およびI〜J組成は、好適な実施形態によるエレクトロウェッティング光学装置で使用される非導電性液および導電性液の組成である。組成AおよびHは比較例である。%はすべて重量%であり、特性はすべて20℃で測定されたものである。
Figure 2013541726
Figure 2013541726
Figure 2013541726
多相液Hは、フッ素化塩の重量分率が5%未満の比較組成物である。
多相Hは、2%のトリフルオロ酢酸ナトリウム、すなわち、低重量分率のフッ素化塩を含む組成物の例である。グリコール量によって−20℃より低い凝固点が得られ、屈折率はn=1.4に相当する。導電性液の密度は約d=1.1g/cmと低く、また、非導電性液は、導電性液のそれと一致する適切な密度が得られるように、また最大粘度が21cSとなるように処方した。前記非導電性液の最大屈折率は1.61であり、この多相液組成物での屈折率差0.21に相当した。この実施例では、低重量分率の塩の使用では、2液間の適切な屈折率差は保証できない。
24%のトリフルオロ酢酸ナトリウムを有する多相組成物Cの屈折率差は0.29であり、凝固点は−20℃より低かった。この組成物は、導電性液および非導電性液間に大きな屈折率差を有するエレクトロウェッティング装置には、特に好適である。
下表6は、上記の多相組成物それぞれの例の測定パラメータを示す。そのパラメータは、該多相組成物の密度、導電性液および非導電性液それぞれの屈折率、該2液間の屈折率差、該2液それぞれの動粘度および−20℃での両液の状態である。
%はすべて重量%であり、特性はすべて20℃で測定されたものである。
表6に示され両液の状態は、該液を−20℃で少なくとも1日保管し、溶液が液か固体かを目視で観察する凝固点試験を行いながら得たデータに相当する。
Figure 2013541726

実験的研究
組成Jに記載した導電性液および非導電性液を用いて、好適な実施形態によるエレクトロウェッティング系の液体レンズを作製した。
第1液と第2液間に印加する周波数1kHzの正弦波形交流電圧(0V〜70Vの順電圧・逆電圧)に応じて焦点距離を測定した。該レンズを温度85℃、相対湿度10%中に360時間保管し、120時間ごとに焦点距離を測定した。図6は、上記の高温での保管前、保管120時間後、240時間後および360時間後の焦点距離と印加電圧との関係を示す。
図6に見られるように、順電圧および逆電圧を印加すると、液体レンズは、無限〜8mmまでの収束範囲を可能とする120cm−1の収束範囲を示し、焦点距離の顕著な差は見られず、このことは、好適な実施形態による該装置の可逆的作動を示している。こうした非常に大きな収束範囲は、多くの光学用途において望ましいものであり得る。その用途とは、例えば、接近距離での小物体の撮像が求められるズーム用途あるいはバーコード用途である。
これらの性能は、高温での保管前後で同様に維持され、本明細書に記載の液の高い化学的安定性と低部分混和度とを示している。

Claims (13)

  1. 非混和性であって、異なる屈折率を有し、界面を形成する導電性液と非導電性液であって、前記導電性液は、その全重量に対して5重量%以上のフッ素化塩を含む2つの液を含むことを特徴とするエレクトロウェッティング光学装置。
  2. 前記導電性液は、その全重量に対して、8重量%以上のフッ素化塩を含むことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティング光学装置。
  3. 前記フッ素化塩は、トリフルオロ酢酸ナトリウムまたはトリフラートナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティング光学装置。
  4. 前記非導電性液の屈折率は、前記導電性液のそれより大きいことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティング光学装置。
  5. 前記導電性液の屈折率は1.39未満であることを特徴とする請求項4に記載のエレクトロウェッティング光学装置。
  6. 前記伝導性と非導電性液間の可視スペクトルの屈折率差は0.24より大きいことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティング光学装置。
  7. 前記導電性液と非導電性液との部分混和度は、20℃で0.2%未満であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティング光学装置。
  8. 前記導電性液は、凝固点降下剤として、アルコール、グリコール、エチレングリコール、グリコールエーテル、ポリオール、ポリエーテルポリオールあるいはこれらの混合物の1つをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティング光学装置。
  9. 前記非導電性液は、その全重量に対して、30重量%以上の式1aまたは式1bの化合物またはこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティング光学装置。
    Figure 2013541726
    ここで、R1およびR4はそれぞれ未置換の芳香環であり、R2およびR3はそれぞれ、アルキル、シクロアルキル、(ヘテロ)アリール、(ヘテロ)アリールアルキルから選択され、nとmはそれぞれ独立に1〜5であり、X、X2およびX3はそれぞれ独立に、酸素(O)原子または硫黄(S)原子から選択される。
  10. 前記非導電性液は、ジフェニルジメチルシラン、2−(エチルチオ)ベンゾチアゾール、1−クロロナフタレン、Santolight(登録商標)SL−5267、チアナフテン、4−ブロモジフェニルエーテル、1−フェニルナフタレン、2,5−ジブロモトルエン、フェニルスルフィドまたはこれらの混合物の1つを含むことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティング光学装置。
  11. 可変焦点距離レンズ、光学ズーム、眼科用レンズ、光軸傾斜可変装置、光学画像安定化装置、光ビーム偏向器、可変照明装置である、またはこれらに含まれる請求項1に記載のエレクトロウェッティング光学装置。
  12. 請求項1に記載のエレクトロウェッティング光学装置を含む装置。
  13. カメラ、携帯電話、内視鏡、テレメータ、デンタルビデオ、バーコードリーダ、顕微鏡である請求項12に記載の装置。
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