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JP2013237823A - インクジェット記録用水系インク - Google Patents

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JP2013237823A JP2012113488A JP2012113488A JP2013237823A JP 2013237823 A JP2013237823 A JP 2013237823A JP 2012113488 A JP2012113488 A JP 2012113488A JP 2012113488 A JP2012113488 A JP 2012113488A JP 2013237823 A JP2013237823 A JP 2013237823A
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Abstract

【課題】本発明は、記録媒体への定着性及び印字濃度に優れるインクジェット記録用水系インクを提供する。
【解決手段】酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子、樹脂粒子、及び炭素数3〜5のジオールを含有する水系インクであって、水不溶性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーが、カルボキシ基含有モノマー(a)由来の構成単位及びフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)(メタ)アクリレート(b)由来の構成単位を含有し、該(b)成分を構成するエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数は1〜12、プロピレンオキシド(PO)の平均付加モル数は1〜12であり、それらの合計付加モル数は2〜13であるインクジェット記録用水系インクである。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用水系インクに関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて、文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易で、かつ安価であり、記録部材として普通紙が使用可能、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。特に印字物の耐候性や耐水性の観点から、着色剤に顔料を用いる顔料系インクを用いるものが主流となってきている。
特許文献1には、印字濃度の向上を目的として、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子とフッ素含有微粒子とを含有するインクジェット記録用水系インクが開示されている。
特許文献2には、黒色印字物のくすみの改善を目的として、DBP吸油量が90cm3/100g以下であるカーボンブラックを含有するポリマー粒子を含むインクであって、インク1ml中に存在する粒径0.79〜5.00μmの粒子数及びポリマーの重量平均分子量が特定範囲にある、インクジェット記録用水系インクが開示されている。
特許文献3には、画像の白抜けの抑制を目的として、ベンジル(メタ)アクリレート又はフェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及びイオン性基を有する構造単位を含む水不溶性樹脂によって被覆された顔料、含窒素有機溶剤、及び樹脂粒子を含有し、質量比〔含窒素有機溶剤/樹脂粒子〕が2.0〜6.0であるインクジェット記録用インクが開示されている。
特許文献4には、印字濃度と印字品位の向上を目的として、顔料、分散剤、及び水溶性有機溶剤を含む水性顔料インクにおいて、分散剤が親水部と疎水部を有するポリマーであって、親水部を構成するモノマーとして、特定の長鎖ノニオン基含有モノマー及びα、β−エチレン性不飽和カルボン酸を含有する水性顔料インクが開示されている。
特開2008−037920号公報 特開2009−144007号公報 特開2011−68730号公報 特開平6−306317号公報
顔料系インクは、耐候性や耐水性に優れるため、特に保存を必要とする文書の印刷等に用いられ、文字を鮮明に印刷するために、顔料としてカーボンブラックが用いられている。
しかし、カーボンブラックを含むインクを用いて印刷した印刷物は、カーボンブラックに由来する色移りが生じるという問題がある。一方、色移りを防ぐために樹脂バインダー等を添加することが知られているが、これは、紙面上に残留する固形分のうち、相対的にカーボンブラックの量が減少するためか、印字濃度の低下の原因となっている。このため、インクジェット記録用水系インクについては、定着性と印字濃度を両立できることが要望されている。
本発明は、記録媒体への定着性及び印字濃度に優れるインクジェット記録用水系インクを提供することを課題とする。
本発明者らは、カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子、樹脂粒子、及び特定のジオールを含有する水系インクを用いるにあたり、カーボンブラックとして酸性カーボンブラックを用い、水不溶性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーとして、特定のフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)(メタ)アクリレートを構成単位とするものを用いることにより前記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子、樹脂粒子、及び炭素数3〜5のジオールを含有する水系インクであって、水不溶性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーが、カルボキシ基含有モノマー(a)由来の構成単位及びフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)(メタ)アクリレート(b)由来の構成単位を含有し、該(b)成分を構成するエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数は1〜12、プロピレンオキシド(PO)の平均付加モル数は1〜12であり、それらの合計付加モル数は2〜13である、インクジェット記録用水系インクを提供する。
本発明のインクジェット記録用水系インクは、記録媒体への定着性及び印字濃度に優れている。
本発明のインクジェット記録用水系インクは、酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子、樹脂粒子、及び炭素数3〜5のジオールを含有する水系インクであって、水不溶性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーが、カルボキシ基含有モノマー(a)由来の構成単位及びフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)(メタ)アクリレート(b)由来の構成単位を含有し、該(b)成分を構成するエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数は1〜12、プロピレンオキシド(PO)の平均付加モル数は1〜12であり、それらの合計付加モル数は2〜13であることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録用水系インクが、記録媒体への定着性及び印字濃度に優れる理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明の水系インクに含まれる酸性カーボンブラックは、顔料の中でも形状が複雑であり、それゆえ、印刷後の紙面上に残留しやすく、鮮明な画像が得られる反面、定着性に劣るという性質があるが、樹脂粒子を添加したり、酸性カーボンブラックを水不溶性ポリマーで被覆することで、ある程度定着性を向上させることができる。一方、炭素数3〜5のジオールは、不揮発性でありながら、分子量の小さい有機溶媒であるため、紙等の記録媒体上に印刷された際にも、記録媒体に浸透しやすく、定着性も向上するものと考えられる。しかし、疎水的であるが故に、水不溶性ポリマーを膨潤、溶解し、紙などの記録媒体に浸透してしまうために、印字濃度を低下させるものと考えられる。
一方、フェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)(メタ)アクリレートを含有する水不溶性ポリマーを構成成分とする水不溶性ポリマー粒子は、末端にフェノキシ基を有するグラフト構造を有しているため、前記ジオールとの相互作用が小さく、印字濃度を向上させることができるものと考えられる。更にそのエチレンオキシド(EO)部分とプロピレンオキシド(PO)部分が酸性カーボンブラックの水系インク中での分散性も向上させるため、高い定着性と印字濃度を発現しつつ、インクジェット印刷に適する安定な分散状態を保つものと考えられる。
以下、本発明に用いられる各成分等について説明する。
[酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子]
本発明に用いられる、酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子は、酸性カーボンブラックを含有し、水不溶性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーが、カルボキシ基含有モノマー(a)由来の構成単位及びフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)(メタ)アクリレート(b)由来の構成単位を含有するものである。
<酸性カーボンブラック>
水不溶性ポリマー粒子に含有される酸性カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ガスブラック等が挙げられ、なかでも印字濃度を向上させる観点から、ガスブラックが好ましい。ガスブラックとは、主に天然ガスを原料として、不完全燃焼させて析出させた酸性カーボンブラックである。
酸性カーボンブラックとは、カーボンブラックの表面にカルボキシル基等の酸性を示す官能基を有するために酸性を示すカーボンブラックを意味する。
本発明に用いられる酸性カーボンブラックは、特開平11−349849に記載される方法で製造されることが好ましい。すなわち、カーボンブラック原料をまず、水素含有キャリア流に気化させ、かつ次いで冷却したローラーの下において数多くの小さなフレーム中で燃焼させたのち、生じたカーボンブラックの一部を、ローラー上で分離し、その他はプロセスガスと共に排出され、かつフィルター中で分離する方法で得ることが好ましい。
酸性カーボンブラックのpH値は、好ましくはpH1〜6、より好ましくはpH2〜5.5、更に好ましくはpH2.5〜5、より更に好ましくはpH3〜4.5である。
なお、pH値はISO787/9により測定した値である。
酸性カーボンブラックのDBP(ジブチルフタレート)吸油量は、印字濃度を向上させる観点から、好ましくは20〜200ml/100gであり、より好ましくは30〜180ml/100gであり、更に好ましくは50〜160ml/100gである。
なお、DBP吸油量はISO 1126(JIS K6217−4)により測定した値である。
(酸性カーボンブラックの具体例)
酸性カーボンブラックとして、商業的に入手できる好適例としては、オリオンエンジニアドカーボンズ株式会社製の商品名、NIPex160IQ(pH3.8、DBP吸油量150ml/100g)、NIPex170IQ(pH3.9、DBP吸油量160ml/100g)等が挙げられる。
<水不溶性ポリマー>
本発明に用いられる水不溶性ポリマーは、カルボキシ基含有モノマー(a)(以下「(a)成分」ともいう)由来の構成単位及びフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)(メタ)アクリレート(b)(以下「(b)成分」ともいう)由来の構成単位を含有する。
水不溶性ポリマーは、前記(a)成分と前記(b)成分を含むモノマー混合物(以下、単に「モノマー混合物」ともいう)を共重合させてなるビニル系ポリマーが好ましい。
ここで、「水不溶性ポリマー」とは、105℃で2時間乾燥させ、恒量に達したポリマーを、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下であるポリマーをいい、その溶解量は好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下である。溶解量は、ポリマーのカルボキシ基を水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
また、水不溶性ポリマーは、保存安定性の観点から、架橋された水不溶性ポリマーであることが好ましい。水不溶性ポリマーを架橋する方法に制限はないが、後述の方法によることが好ましい。
(カルボキシ基含有モノマー(a))
カルボキシ基含有モノマー(a)は、酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子をインク中で安定に分散させる観点から、水不溶性ポリマーを構成するモノマー成分として用いられる。カルボキシ基含有モノマー(a)としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
(a)成分の中では、ポリマー粒子のインク中での分散安定性の観点から、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。
(フェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)(メタ)アクリレート(b))
フェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)(メタ)アクリレート(b)は、低いインク粘度を維持しつつ、定着性及び印字濃度を向上させる観点から、水不溶性ポリマーを構成するモノマー成分として用いられる。
(b)成分におけるエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数は1〜12、プロピレンオキシド(PO)の平均付加モル数は1〜12であり、それらの合計付加モル数は2〜13である。
このうち、エチレンオキシド(EO)の平均付加モル数は、インク粘度低減の観点から、2〜10が好ましく、3〜7がより好ましく、3〜5が更に好ましい。また、プロピレンオキシド(PO)の平均付加モル数は、印字濃度、定着性及び保存安定性の観点から、1〜10が好ましく、1〜7がより好ましく、1〜3が更に好ましい。エチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)の合計の平均付加モル数は、インク粘度低減の観点から、3〜13が好ましく、4〜12がより好ましく、4〜8が更に好ましい。
フェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)(メタ)アクリレート(b)を構成するプロピレンオキシド(PO)に対するエチレンオキシド(EO)のモル比〔(EO)/(PO)〕は、インク粘度低減の観点から、1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましく、2〜5であることが更に好ましい。
(b)成分として、商業的に入手できる好適例としては、ブレンマー43PAPE−600B、ブレンマー79PAPE−300B(日油株式会社製)等が挙げられる。これらの中でもブレンマー79PAPE−300Bが好ましい。
(疎水性モノマー(c))
本発明の水不溶性ポリマーを構成するモノマー成分として、(a)成分及び(b)成分以外のモノマーを本発明の効果を損なわない範囲で用いることができ、疎水性モノマー(c)及び(b)成分以外のノニオン性モノマー(d)を好適に用いることができる。
疎水性モノマー(c)としては、スチレン系モノマー(c−1)、アルキル(メタ)アクリレート(c−2)、芳香族基含有(メタ)アクリレート(c−3)、及びマクロマー(c−4)から選ばれる1種以上を用いることが好ましく、スチレン系モノマー(c−1)及びマクロマー(c−4)がより好ましく、これらを併用することが更に好ましい。
スチレン系モノマー(c−1)は、印字濃度及び保存安定性を向上させる観点から、水不溶性ポリマーのモノマー成分として用いることが好ましい。スチレン系モノマー(c−1)としては、スチレン、2−メチルスチレン、及びジビニルベンゼンが好ましく、スチレンがより好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート(c−2)は、炭素数1〜22のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、芳香族基含有(メタ)アクリレート(c−3)としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましく、ベンジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
なお、本明細書において、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを示す。
マクロマー(c−4)は、片末端に重合性官能基を有する数平均分子量500〜100,000の化合物であり、水不溶性ポリマー粒子のインク中での保存安定性の観点から、水不溶性ポリマーのモノマー成分として用いられる。片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、メタクリロイルオキシ基がより好ましい。
マクロマーの数平均分子量は1,000〜10,000が好ましい。なお、数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
マクロマーとしては、水不溶性ポリマー粒子のインク中での分散安定性の観点から、芳香族基含有モノマー系マクロマー及びシリコーン系マクロマーが好ましく、芳香族基含有モノマー系マクロマーがより好ましい。
芳香族基含有モノマー系マクロマーを構成する芳香族基含有モノマーとしては、前記芳香族基含有モノマーが挙げられ、スチレン及びベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、スチレンがより好ましい。
スチレン系マクロマーの具体例としては、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)(東亞合成株式会社の商品名)等が挙げられる。
シリコーン系マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
(ノニオン性モノマー(d))
モノマー混合物には、更に、(b)成分以外のノニオン性モノマー(d)(以下「(d)成分」ともいう)が含有されていてもよい。
(d)成分としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(a)〜(d)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
水不溶性ポリマーの製造時における、上記(a)〜(d)成分を含むモノマー混合物中における含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)又は該ポリマー中における(a)〜(d)成分に由来する構成単位の含有量は、次のとおりである。
(a)成分の含有量は、得られる水系インクの保存安定性の観点から、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%、更に好ましくは10〜20重量%である。
(b)成分の含有量は、定着性及び印字濃度向上の観点から、好ましくは3〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%、更に好ましくは15〜30重量%である。
(c)成分の含有量は、定着性及び印字濃度向上の観点から、好ましくは15〜85重量%、より好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは55〜70重量%である。
(c)成分のうち、モノマー混合物中における含有量又は該ポリマー中における構成単位の含有量としてのスチレン系モノマー(c−1)は、印字濃度の観点から、20〜60重量%であることが好ましく、30〜55重量%であることがより好ましく、35〜50重量%であることが更に好ましい。
また、水不溶性ポリマーにおける(b)成分由来の構成単位に対するスチレン系モノマー(c−1)由来の構成単位の重量比〔(c−1)/(b)〕は、印字濃度の観点から、1.0〜3.0であることが好ましく、1.5〜2.5であることがより好ましく、1.5〜2.0であることが更に好ましい。
(d)成分の含有量は、本発明の効果を高める観点から、20重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましく、含まれないことが更に好ましい。
モノマー混合物中又は水不溶性ポリマー中における〔(a)成分+(b)成分+(d)成分〕の合計含有量は、得られる水系インクの定着性、印字濃度及び保存安定性向上の観点から、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは30〜45重量%である。
また、〔(a)成分/(c)成分〕の重量比は、得られる水系インクの定着性、印字濃度及び保存安定性向上の観点から、好ましくは0.02〜1、より好ましくは0.08〜0.67、更に好ましくは0.1〜0.3である。
<水不溶性ポリマーの製造>
前記水不溶性ポリマーは、モノマー混合物を公知の重合法により共重合させることによって製造される。重合法としては溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒に制限はないが、炭素数1〜3の脂肪族アルコール、ケトン類、エーテル類、エステル類等の極性有機溶媒が好ましく、具体的にはメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。
重合の際には、重合開始剤や重合連鎖移動剤を用いることができるが、重合開始剤としては、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が好ましく、重合連鎖移動剤としては、2−メルカプトエタノールが好ましい。
好ましい重合条件は、重合開始剤の種類等によって異なるが、重合温度は50〜80℃が好ましく、重合時間は1〜20時間であることが好ましい。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去することができる。
本発明で用いられる水不溶性ポリマーの重量平均分子量は、酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子のインク中での分散安定性と、インクの印字濃度の観点から、5,000〜50万が好ましく、1万〜30万がより好ましく、2万〜10万がより好ましく、3万〜5万が更に好ましい。なお、前記重量平均分子量はポリスチレン換算重量平均分子量であり、その測定は実施例に記載の方法により行うことができる。
<酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子の製造>
酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子は、水分散体として下記の工程(1)及び(2)を有する方法により、また任意の工程であるが、更に工程(3)を有する方法により、効率的に製造することができる。
工程(1):水不溶性ポリマー、有機溶媒、酸性カーボンブラック、中和剤及び水を含有する混合物を分散処理して、水不溶性ポリマーのカルボキシ基の45〜110%が中和された、酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子の分散体を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた分散体から前記有機溶媒を除去して、酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた水分散体と架橋剤を混合し、架橋処理して水分散体を得る工程
(工程(1))
工程(1)は、水不溶性ポリマー、有機溶媒、酸性カーボンブラック、中和剤及び水を含有する混合物を分散処理して、水不溶性ポリマーのカルボキシ基の45〜110%が中和された、酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子の分散体を得る工程である。
工程(1)では、まず、水不溶性ポリマーを有機溶媒に溶解させ、次に酸性カーボンブラック、中和剤、水、及び必要に応じて界面活性剤等を、得られた有機溶媒溶液に加えて混合し、水中油型の分散体を得る方法が好ましい。水不溶性ポリマーの有機溶媒溶液に加える順序に制限はないが、水、中和剤、酸性カーボンブラックの順に加えることが好ましい。
水不溶性ポリマーを溶解させる有機溶媒に制限はないが、炭素数1〜3の脂肪族アルコール、ケトン類、エーテル類、エステル類等が好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。水不溶性ポリマーを溶液重合法で合成した場合には、重合で用いた溶媒をそのまま用いてもよい。
工程(1)において、中和は、分散体のpHが7〜11となるように行うことが好ましい。中和剤としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、各種アミン等の塩基が挙げられる。また、アニオン性ポリマーを予め中和しておいてもよい。
水不溶性ポリマーのカルボキシ基の中和度は、得られる水分散体及び水系インク中での水不溶性ポリマー粒子の分散性を調整し、印字濃度、定着性、吐出信頼性、及び保存安定性を向上させる観点から、55〜90%であることが好ましく、60〜80%がより好ましく、60〜70%が更に好ましい。ここで中和度とは、中和剤のモル当量を水不溶性ポリマーのカルボキシ基のモル量で除した値である。
前記混合物中、酸性カーボンブラックは、5〜50重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましく、水不溶性ポリマーは、2〜40重量%が好ましく、3〜20重量%がより好ましく、水は、10〜70重量%が好ましく、20〜70重量%がより好ましい。
前記水不溶性ポリマーと酸性カーボンブラックの合計量に対する酸性カーボンブラックの量の重量比〔酸性カーボンブラック/(酸性カーボンブラック+水不溶性ポリマー)〕は、得られる水分散体及び水系インク中での水不溶性ポリマー粒子の分散性を調整し、定着性及び保存安定性を向上させる観点から、0.6〜0.85であることが好ましく、0.65〜0.82であることがより好ましく、0.7〜0.8であることが更に好ましい。
工程(1)における混合物の分散方法に特に制限はない。本分散だけで酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、好ましくは予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行い、酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子の平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。工程(1)の分散における温度は、0〜40℃が好ましく、5〜30℃がより好ましく、分散時間は1〜30時間が好ましく、2〜25時間がより好ましい。
混合物を予備分散させる際には、アンカー翼、ディスパー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置、中でも高速撹拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー等の混練機、マイクロフルイダイザー(Microfluidics 社、商品名)等の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。市販のメディア式分散機としては、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業株式会社製、商品名)、ピコミル(浅田鉄工株式会社製、商品名)等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。これらの中では、酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子を小粒子径化する観点から、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。
(工程(2))
工程(2)は、工程(1)で得られた分散体から前記有機溶媒を除去して、酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体を得る工程である。
公知の方法で有機溶媒を除去することで、酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体を得ることができる。得られた酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子を含む水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存していてもよい。残留有機溶媒の量は0.1重量%以下が好ましく、0.01重量%以下であることがより好ましい。
また必要に応じて、有機溶媒を留去する前に分散体を加熱撹拌処理することもできる。
得られた酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体は、酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマーの固体分が水を主媒体とする中に分散しているものである。ここで、ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも酸性カーボンブラックと水不溶性ポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、該ポリマーに酸性カーボンブラックが内包された粒子形態、該ポリマー中に酸性カーボンブラックが均一に分散された粒子形態、該ポリマー粒子表面に酸性カーボンブラックが露出された粒子形態等が含まれ、これらの混合物も含まれる。
酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子中における酸性カーボンブラックに対する水不溶性ポリマーの重量比(水不溶性ポリマー/酸性カーボンブラック)は、得られる水系インク中での水不溶性ポリマー粒子の分散性を高め、定着性及び保存安定性を向上させる観点から、0.1〜0.7であることが好ましく、0.15〜0.6であることがより好ましく、0.2〜0.5であることがより好ましく、0.25〜0.4であることが更に好ましい。
(工程(3))
工程(3)は、任意の工程であるが、工程(2)で得られた水分散体と架橋剤を混合し、架橋処理して水分散体を得る工程である。工程(3)を行うことが、水分散体及び水系インクの保存安定性の観点から好ましい。
ここで、架橋剤としては、水不溶性ポリマーのアニオン性基と反応する官能基を有する化合物が好ましく、該官能基を分子中に2以上、好ましくは2〜6有する化合物がより好ましい。
架橋剤の好適例としては、分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物、分子中に2以上のオキサゾリン基を有する化合物、分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物が挙げられ、これらの中では、分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく、分子中に2〜3のエポキシ基を有する化合物がより好ましい。
分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物としては、多価アルコールのグリシジルエーテルが好ましく、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルがより好ましい。
架橋剤の使用量は、水系インクの保存安定性の観点から、水不溶性ポリマーに対する重量比〔架橋剤/水不溶性ポリマー〕で0.1/100〜30/100が好ましく、0.5/100〜20/100がより好ましく、0.5/100〜10/100が更に好ましい。
また、架橋剤の使用量は、該水不溶性ポリマー1g当たりのアニオン性基量換算で、該ポリマーのアニオン性基0.1〜20mmolと反応する量であることが好ましく、0.5〜15mmolと反応する量であることがより好ましく、1〜10mmolと反応する量であることが更に好ましい。
架橋ポリマーの架橋率は、好ましくは1〜80モル%、より好ましくは3〜20モル%、更に好ましくは5〜15モル%である。架橋率は、架橋剤の反応性基のモル数を、ポリマーが有する架橋剤と反応できる反応性基のモル数で除したものである。
上記のようにして得られる酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子の平均粒径は、印字濃度の観点から、40〜200nmが好ましく、50〜150nmがより好ましく、60〜130nmが更に好ましい。該平均粒径は、実施例に記載した方法を用いて測定することができる。
[樹脂粒子]
本発明において、樹脂粒子は定着性と印字濃度を向上させるために用いられる。
本発明に用いられる樹脂粒子を構成する樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、クロロプレン重合体、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン、ポリオレフィン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、塩化ビニリデン樹脂、セルロース樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン等が挙げられる。
これらの中でも水系インクの定着性と印字濃度を向上させる観点から、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリル共重合体、ポリスチレン、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、塩化ビニル樹脂、及びポリウレタンから選ばれる1種以上が好ましく、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、及び塩化ビニル樹脂から選ばれる1種以上がより好ましく、スチレン−アクリル共重合体が更に好ましい。
特に樹脂粒子を構成する樹脂が、酸性カーボンブラックとの相互作用に優れるスチレンに由来する部分を有すれば、印刷された後に酸性カーボンブラックと、樹脂粒子の相互作用が高まり、定着性と印字濃度が向上すると考えられる。
樹脂粒子は、水性媒体に分散したエマルジョンの状態で用いることが好ましい。エマルジョン状態の樹脂粒子は、樹脂と水性媒体、又は樹脂と界面活性剤と水性媒体を混合することによって調製することができる。
樹脂粒子として、市販の樹脂エマルジョンを利用することも可能であり、市販の樹脂エマルジョンの例としては、BASF社製のスチレン−アクリル系ポリマーエマルジョン、商品名:ジョンクリル734等が挙げられる。
樹脂エマルジョン中の樹脂粒子の平均粒径は、定着性と印字濃度の観点から、10〜200nmが好ましく、20〜120nmがより好ましく、30〜100nmが更に好ましい。該平均粒径は、大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)を用いて測定することができる。
[炭素数3〜5のジオール]
本発明のインクにおいて、炭素数3〜5のジオールは、定着性と印字濃度を向上させるために用いられる。その観点から、前記ジオールの炭素数は、3及び4が好ましく、3がより好ましい。
前記アルカンジオールの具体例としては、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオールが挙げられ、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオールが好ましく、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオールがより好ましく、プロピレングリコールが更に好ましい。前記ジオールは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
[水系インク]
本発明のインクジェット記録用水系インクは、酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子、樹脂粒子、及び炭素数3〜5のジオールを含有する水系インクであって、水不溶性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーが、カルボキシ基含有モノマー(a)由来の構成単位及びフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)(メタ)アクリレート(b)由来の構成単位を含有し、該(b)成分を構成するエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数は1〜12、プロピレンオキシド(PO)の平均付加モル数は1〜12であり、それらの合計付加モル数は2〜13である。
炭素数3〜5のジオールの含有量は、水系インクの定着性と印字濃度を向上させる観点から、前記水系インク中で、好ましくは2〜30重量%であり、より好ましくは3〜20重量%、更に好ましくは3〜15重量%である。
樹脂粒子の含有量は、水系インクの定着性と印字濃度を向上させる観点から、水系インク中で、好ましくは0.1〜8重量%、より好ましくは0.2〜4重量%、更に好ましくは0.3〜2重量である。
水の含有量は、定着性と印字濃度を向上させる観点から、前記水系インク中で、好ましくは50〜76重量%、より好ましくは55〜73重量%、更に好ましくは60〜70重量である。
また、酸性カーボンブラックの含有量は、水系インクの印字濃度を高める観点から、前記水系インク中で、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは3〜15重量%、更に好ましくは4〜12重量%である。
水系インクの20℃における粘度は、水系インクの吐出信頼性を良好にする観点から、好ましくは1.5〜8.0mPa・s、より好ましくは2.0〜6.0mPa・s、更に好ましくは3.0〜4.0mPa・sである。
前記水系インクの20℃における静的表面張力は、水系インクの吐出信頼性を良好にし、定着性を向上させる観点から、好ましくは20〜50mN/m、より好ましくは20〜45mN/m、更に好ましくは23〜40mN/mである。
前記水系インクは、水系インクに通常用いられる溶媒、浸透剤、分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤等を添加することができる。
炭素数3〜5のジオール以外の水系インクに通常用いられる溶媒としては、グリセリン等の3価以上のポリオール、ジエチレングリコール等の炭素数3〜5のジオール以外のジオール、2−ピロリドン等のピロリドンが好ましく、ピロリドンがより好ましい。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。なお、ポリマーの重量平均分子量、及び水系インクの粘度の測定は、以下のとおり行った。
(1)ポリマーの重量平均分子量の測定
溶媒として、60mmol/Lのリン酸と50mmol/Lのリチウムブロマイドを含有するN,N−ジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK-GEL、α-M×2本)、流速:1mL/min〕により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。
(2)水系インクの粘度の測定
E型粘度計(東機産業株式会社製、RE80L)を用いて20℃で粘度を測定した。
(3)酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子の平均粒径の測定
レーザー粒子解析システム(大塚電子株式会社、型番:ELS−8000、キュムラント解析)を用いて測定した。測定する粒子の濃度を、約5×10-3重量%になるよう水で希釈した分散液を用いた。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力した。
(4)水系インクの表面張力の測定
表面張力の測定は、20℃において協和界面科学株式会社製、CBVP-Z型表面張力計(ウィルヘルミ法)を用いて測定した。
製造例1〜5(水不溶性ポリマー溶液の調製)
反応容器内に、メチルエチルケトン20部、及び表1に示す初期仕込みモノマー(重量部表示)、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、初期仕込みモノマー混合溶液を得た。
一方、滴下ロート中に、表1に示す滴下モノマー(重量部表示)を仕込み、次いで表1に示す重合連鎖移動剤、メチルエチルケトン180部及び重合開始剤〔2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〕2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、滴下モノマー混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の初期仕込みモノマー混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温後、滴下ロート中の滴下モノマー混合溶液を3時間かけて徐々に反応容器内に滴下した。滴下終了後、その反応液の液温を75℃で2時間維持した後、前記の重合開始剤0.6部をメチルエチルケトン10部に溶解した溶液を3点調製し、1時間おきに反応容器内の反応液に加え、75℃で更に1時間維持した後、85℃で2時間熟成させ、水不溶性ポリマー溶液を得た。
得られた水不溶性ポリマー溶液の一部を、減圧下、105℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによって水不溶性ポリマーを単離した。結果を表1に示す。なお、表1中の各モノマーの数値は、有効分の重量部を示す。
Figure 2013237823
実施例1(水系インクの製造)
(1)酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体の製造
製造例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られた水不溶性ポリマー(A)47.81部を、メチルエチルケトン177.23部に溶かし、その中にイオン交換水480.51部と中和剤(5N−水酸化ナトリウム水溶液)をカルボキシ基のモル量に対して70%加えた混合物で塩生成基を中和し、更に酸性カーボンブラック(オリオンエンジニアドカーボンズ株式会社製、NIPex160IQ、pH3.8、DBP吸油量150ml/100g。表2において「160IQ」と略記する。)を150部加え、ディスパーを用いて分散した。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、商品名)を用いて180MPaの圧力で15パス分散処理した。得られた分散体から、エバポレーターを用いて減圧下、60℃でメチルエチルケトンを除去し、酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体(固形分量25%)を得た。
次にこの水分散体100部(うち水不溶性ポリマー5.3部)に対して架橋剤としてデナコールEX−321(トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ナガセケムテックス株式会社製、エポキシ当量140(1分子中にエポキシ基を2及び3有する。))0.24部を加え、イオン交換水を26.0部添加し、90℃で3時間攪拌して、酸性カーボンブラックを含有する架橋水不溶性ポリマー粒子の水分散体(固形分量20%)を得た。
(2)水系インクの製造
前記(1)で得られた酸性カーボンブラックを含有する架橋水不溶性ポリマー粒子の水分散体と、表2に示すように、プロピレングリコール(炭素数3のジオール)3.6部、2−ピロリドン1.5部、1,2−ヘキサンジオール1.5部、樹脂粒子エマルジョン(ジョンクリル734、BASF社製、(平均粒径85nm)0.75部(固形分量40%)、ポリエーテル変性シロキサン(ビックケミー・ジャパン株式会社製、BYK-348)0.15部を混合し、全体が30部になるようにイオン交換水を加えて混合し、得られた混合液を1.2μmのメンブランフィルター〔Sartorius社製、商品名:Minisart〕で濾過し、水系インクを得た。
実施例2〜4及び比較例1、2(水系インクの製造)
実施例1(1)で用いた水不溶性ポリマーを、表2に示す水不溶性ポリマーに変更した以外は、実施例1と同様にして水系インクを製造した。
実施例5(水系インクの製造)
実施例1(1)で用いた水不溶性ポリマーを38.13部に、メチルエチルケトンを 141.31部に、イオン交換水を427.79部に、中和剤(5N−水酸化ナトリウム水溶液)をカルボキシ基のモル量に対して70%に変更した以外は、実施例1と同様にして水系インクを製造した。
比較例3及び4(水系インクの製造)
実施例1(2)において、インク配合を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして水系インクを製造した。
比較例5(水系インクの製造)
実施例1(1)で用いた酸性カーボンブラックを、表2に示すカーボンブラック(キャボット社製、MONARCH880、pH8.5、DBP吸油量105ml/100g。表2において「M880」と略記する。)に変更した以外は、実施例1と同様にして水系インクを製造した。
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られた水系インクの物性を下記方法に基づいて評価した。その結果を表2に示す。
(1)印字濃度
市販のセイコーエプソン株式会社のインクジェットプリンター(品番:EM−930C、ピエゾ方式)を用いて、上質紙「55PW8R(N)」(リンテック株式会社製)に、30mm×30mmの大きさのベタ画像を印字し、1日放置後、光学濃度計SpectroEye(グレタグマクベス社製)を用いて任意の10箇所を測定し、平均値を求めた。
(2)定着性
前記(1)と同じプリンターと上質紙を用いて、30mm×30mmの大きさのベタ画像を印字し、60秒後の印字画像の上から別の上質紙「55PW8R(N)」(リンテック株式会社製)を重ね、さらに上から490g(荷重面積43mm×30mm)の荷重をかけた状態で、ベタ画像印字表面を10往復移動させた。この重ねた紙のベタ画像印字表面と接触していた部分及び往復移動前の当該部分の反射率(Black%)をクオリティ・エンジニアリング・アソシエイツ(QEA)社製のハンディ型画像評価システム「PIAS(登録商標)−II」を使用して測定した。10往復移動させた前後のBlack%値(反射率)から下記式によって、紙の汚れ(ΔBlack%。反射率の差)を算出した。ΔBlack%の値が小さいほど、紙の汚れが少なく、定着性がよい。
ΔBlack%=(往復移動前の重ねた紙のBlack%)−(往復移動後の重ねた紙のベタ画像印字表面と接触していた部分のBlack%)
Figure 2013237823
表2から明らかなとおり、実施例1〜5の水系インクは、比較例1〜5の水系インクに比べて、定着性が格段に優れ、印字濃度にも優れていることが分かる。

Claims (8)

  1. 酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子、樹脂粒子、及び炭素数3〜5のジオールを含有する水系インクであって、水不溶性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーが、カルボキシ基含有モノマー(a)由来の構成単位及びフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)(メタ)アクリレート(b)由来の構成単位を含有し、該(b)成分を構成するエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数は1〜12、プロピレンオキシド(PO)の平均付加モル数は1〜12であり、それらの合計付加モル数は2〜13である、インクジェット記録用水系インク。
  2. フェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)(メタ)アクリレート(b)を構成するプロピレンオキシド(PO)に対するエチレンオキシド(EO)のモル比〔(EO)/(PO)〕が1〜10である、請求項1に記載のインクジェット記録用水系インク。
  3. 水不溶性ポリマーが、フェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)(メタ)アクリレート(b)由来の構成単位を3〜50重量%含有する、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用水系インク。
  4. 炭素数3〜5のジオールがプロピレングリコールである、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インク。
  5. 酸性カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子中における酸性カーボンブラックに対する水不溶性ポリマーの重量比(水不溶性ポリマー/酸性カーボンブラック)が0.1〜0.7である、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インク。
  6. 樹脂粒子を構成する樹脂がスチレン−アクリル共重合体である、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インク。
  7. 水不溶性ポリマーにおけるフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)(メタ)アクリレート(b)由来の構成単位に対するスチレン系モノマー(c−1)由来の構成単位の重量比〔(c−1)/(b)〕が、1.0〜3.0である、請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インク。
  8. 水不溶性ポリマーが、架橋された水不溶性ポリマーである、請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インク。
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