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JP2013234301A - 光及び熱硬化性樹脂組成物、成形品及び物品 - Google Patents

光及び熱硬化性樹脂組成物、成形品及び物品 Download PDF

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JP2013234301A
JP2013234301A JP2012109111A JP2012109111A JP2013234301A JP 2013234301 A JP2013234301 A JP 2013234301A JP 2012109111 A JP2012109111 A JP 2012109111A JP 2012109111 A JP2012109111 A JP 2012109111A JP 2013234301 A JP2013234301 A JP 2013234301A
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JP2012109111A
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Kazuhiro Tsuchida
和弘 土田
Munenao Hirokami
宗直 廣神
Tomoyuki Mizunashi
友之 水梨
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
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Abstract

【課題】機能性フィルム材料、防汚耐擦傷性コート材料として好適な光及び熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】樹脂組成物として、光重合性基である(メタ)アクリロキシ基とケイ素の連結基にウレタン結合を有し、且つ同一ケイ素原子にシロキサン結合を除く化学結合により1〜5個の(メタ)アクリロキシ基が連結された構造のケイ素化合物をシロキサン単位の主成分に用いることにより、十分な硬度を確保しつつ、従来よりも硬化樹脂の架橋点間距離を長くして硬化収縮を緩和し、ウレタン結合部位の構造基間水素結合による二次的相互作用によって硬化物の硬度と靭性を高次元で両立させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、光及び熱硬化性樹脂組成物、その光及び熱硬化性樹脂組成物からなる成形品及びその光及び熱硬化性樹脂組成物の硬化皮膜を有する物品に関するもので、詳しくは単独成形品とした場合には透明でタッチパネル等の用途に好適な線膨張係数及び複屈折を有すると共に、耐磨耗性、形状安定性、耐クラック性に優れたものとなり、硬化皮膜とした場合には透明、高硬度で耐擦傷性、耐汚染性、耐クラック性に優れ、硬化収縮の少ない保護皮膜となる光及び熱硬化性樹脂組成物に関するものである。
ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、トリアセチルセルロース樹脂等の合成樹脂は、軽量・透明性・易加工性等の利点を有する。そこで、そのような合成樹脂は、近年、CD、DVD等の光ディスク、液晶、ELパネル等の表示窓、タッチパネル用透明導電性フィルムに代表される各種機能性フィルム等、種々の分野で利用されている。
しかしながら、上記に代表される樹脂材料ではタッチパネル用フィルム基材として使用した際、耐熱性の不足、線膨張係数、複屈折の大きさなどに問題があり、該基材フィルムを使用した透明導電フィルムも同様の問題が不可避であった。一方、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、液晶ポリマーなどの高耐熱性ポリマーは一般に耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性に優れるものの、着色が生じ易く光学分野での用途は限定されている。
こういった中で、特許第4256756号公報(特許文献1)、特許第4409397号公報(特許文献2)では、アクリル基に代表される重合性基を有したシロキサン単位を主構成単位とするポリオルガノシルセスキオキサン並びにこれを樹脂と混合して使用した樹脂組成物に関する技術が開示されている。また、特許文献2においては更に脂環式構造を有する多官能アクリルを第二の必須成分とすることで硬化成形物とした際に、線膨張係数及び複屈折などのパラメータについてタッチパネル用部材に有効な物性へ改質可能である技術を開示している。
ところで上記成形物としての応用技術の他に、上記に代表される非シリコーン成形物表面の耐擦傷性を向上させるために、透明で且つ耐擦傷性を有するシリコーン(シロキサン)ハードコートを媒体の記録及び/又は再生ビーム入射側表面に形成することが一般的に行われている。該ハードコートの形成は、分子中にビニル基、(メタ)アクリル基等の光反応性基を2個以上有する化合物、ビニル基、(メタ)アクリル基等の光反応性基を有するアルコキシシランを塩基性触媒存在下で加水分解縮合した籠型構造のシロキサン化合物(特開2002−363414号公報(特許文献3)、特許第4400751号公報(特許文献4))、光反応性基を有するアルコキシシランとコロイダルシリカの反応物等を含有する組成物を媒体表面に塗布し、これを紫外線等の活性エネルギー線の照射により硬化させることにより行われる。しかしながら、このようなハードコートは光反応性基として(メタ)アクリロキシプロピル基並びに(メタ)アクリロキシメチル基を採用しており、その官能基量のバランスにより一定の硬度が得られるものの、その代わりに硬化収縮による歪が大きく、膜厚を大きくした場合の耐クラック性が不十分であり、媒体がフィルムの場合には物品としての反りが大きくなった。また、同様の硬化収縮による成形物の反り等は上記特許文献1,2においても改善されていない。
また、光ディスク、表示窓、タッチパネル等のフィルム等の表面には、その使用に際して各種汚染物質による汚染や指紋の付着が起こる。これら汚染や指紋の付着は好ましいことではなく、光ディスク(光情報媒体)の表面に、防汚性の改善、指紋付着性の減少、又は指紋除去性の向上のために適切な表面処理が施されることもある。例えば、光情報媒体表面に種々の撥水・撥油処理を施すことが検討されている。
また、防汚性の改善としては、重合性官能基を有するアルコキシシランとパーフルオロアルキル基を有するアルコキシシランを塩基性触媒存在下で加水分解縮合した籠型構造のシロキサン化合物が提案されている(特許第3603133号公報(特許文献5))。この化合物を含有する組成物を硬化させた皮膜は、オレイン酸の接触角等が高くなり、防汚性の向上は期待されるが、マジックインキの拭き取り性は不十分であるうえに、耐磨耗性等が著しく低下してしまう。
なお、光反応性基として(メタ)アクリル基を含有するシロキサン化合物をシリカ系の膜として応用する例はこれまでに報告されている。しかしながら、この技術は、ハードコート剤としての応用ではなく、加熱、UV/EB照射、プラズマ処理により硬化後、有機基を分解・消去し、空孔を形成することを目的とした平坦性・低誘電率の層間絶縁膜として利用されている(特開2005−179587号公報(特許文献6))。
多官能(メタ)アクリル基を有するケイ素化合物としては対応する多官能(メタ)アクリル基含有アリル化合物とヒドロクロロシランのヒドロシリル化反応並びにそれに続くアルコールによるアルコキシシリル化を施した反応生成物(特開平10−101613号公報(特許文献7)、特開2010−229054号公報(特許文献8))、又は水酸基含有多官能(メタ)アクリレートとイソシアネートシランによるウレタン化反応生成物(特許第3164431号公報(特許文献9)が開示されているが、いずれの応用技術についてもアルコキシシリル基部分を意図的に加水分解縮合させたものではない所謂シランカップリング剤成分としての応用に留まるのみである。また、応用分野についても歯科材料など限定的なものであり、本発明のような技術分野とは一線を画すものである。
特許第4256756号公報 特許第4409397号公報 特開2002−363414号公報 特許第4400751号公報 特許第3603133号公報 特開2005−179587号公報 特開平10−101613号公報 特開2010−229054号公報 特許第3164431号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、成形品として透明でタッチパネル等の用途に好適な線膨張係数及び複屈折を有すると共に、耐磨耗性、形状安定性、耐クラック性に優れたものとなり、硬化皮膜として透明、高硬度で耐擦傷性、指紋汚れ等の汚染物質に対する耐汚染性、耐クラック性に優れ、硬化収縮の少ない保護皮膜となる光及び熱硬化性樹脂組成物、該光及び熱硬化性樹脂組成物を用いた成形品及び該光及び熱硬化性樹脂組成物の硬化皮膜を有する物品を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するため、下記の光及び熱硬化性樹脂組成物、成形品及び物品を提供する。
〔1〕 下記シロキサン単位式(1)
[式中、Xは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R1〜R6は置換又は非置換の炭素数1〜10の一価炭化水素基であり、上記置換基はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、(メタ)アクリロキシ基、エポキシ構造含有基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ官能性基、パーフルオロアルキル基、ポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキサイド)構造含有基、シリル基から選択される1種又は2種以上の一価有機基である。但し、R1〜R6のいずれかに下記式(2)
(式中、R7は下記式(3)
で示される構造基であり、Aは分岐又は非分岐である炭素数2〜10、且つ、間に酸素原子を挟んでもよく、それ以外のヘテロ原子は含まない(n+1)価の炭化水素基(有機連結基)であり、R8は独立に水素原子又はメチル基であり、mは1〜10の整数であり、nは1〜5の整数である。なお、CH2=CR8−COO−基は、Aの炭素原子のいずれか1つ又は2つ以上に結合してもよい。)
で表される有機基を1個以上含み、総シロキサン単位に対し、式(2)で表される有機基が置換しているシロキサン単位が20〜100mol%であり、aは平均0≦a<0.4であり、bは平均0≦b<0.5であり、cは平均0<c≦1であり、dは平均0≦d<0.4であり、eは平均0≦e<0.2であり、a+b+c+d=1である。]
で表されるシリコーン樹脂を含む光及び熱硬化性樹脂組成物。
〔2〕 式(2)のmが3である〔1〕記載の光及び熱硬化性樹脂組成物。
〔3〕 式(2)で表される有機基が下記式(4)〜(8)
(式中、R8は上記と同義である。)
で示されるいずれかの構造基、又はその2種以上の組み合わせである〔2〕記載の光及び熱硬化性樹脂組成物。
〔4〕 シリコーン樹脂の重量平均分子量が2,000〜50,000である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の光及び熱硬化性樹脂組成物。
〔5〕 シリコーン樹脂が、総シロキサン単位に対し、パーフルオロアルキル基又はポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキサイド)構造含有基が置換しているシロキサン単位が0.1〜20mol%である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の光及び熱硬化性樹脂組成物。
〔6〕 更に、多官能(メタ)アクリル化合物を含む〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の光及び熱硬化性樹脂組成物。
〔7〕 更に、金属酸化物微粒子を1種以上含む〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の光及び熱硬化性樹脂組成物。
〔8〕 更に、ラジカル系光重合触媒、熱縮合触媒のいずれかの1種以上を含む〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の光及び熱硬化性樹脂組成物。
〔9〕 〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の光及び熱硬化性樹脂組成物を硬化して得られる成形品。
〔10〕 〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の光及び熱硬化性樹脂組成物の硬化皮膜を形成してなる物品。
本発明の光及び熱硬化性樹脂組成物によれば、光重合性基である(メタ)アクリロキシ基とケイ素の連結基にウレタン結合を有し、且つ同一ケイ素原子にシロキサン結合を除く化学結合により1〜5個の(メタ)アクリロキシ基が連結された構造のケイ素化合物をシロキサン単位の主成分に用いることで、従来公知の(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤をシロキサン単位として使用した場合(図1(a))に比べて硬化樹脂の架橋点間距離が長くなるため、架橋密度が低下して硬化収縮が緩和され(図1(b))、成形品として形状安定性が得られ、硬化皮膜としてフィルム物品の反りの発生を抑制することができる。また、硬化物として透明でタッチパネル等の用途に好適な線膨張係数及び複屈折を有し、指紋汚れ等の汚染物質に対する防汚性に優れたものとすることができる。また、多官能(メタ)アクリル基の性質により十分な硬度が発現され、更にはウレタン結合部位の構造基間水素結合による二次的相互作用により硬化物の硬度と靭性を高次元で両立させることが可能となり(図1(c))、耐クラック性、耐磨耗性、耐擦傷性に優れた保護皮膜とすることができる。
本発明の樹脂組成物による効果発現メカニズムの説明図である。
以下、本発明について、具体的に説明する。
本発明の光及び熱硬化性樹脂組成物の主成分として用いられるシリコーン樹脂は、下記シロキサン単位式(1)
[式中、Xは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R1〜R6は置換又は非置換の炭素数1〜10の一価炭化水素基であり、上記置換基はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、(メタ)アクリロキシ基、エポキシ構造含有基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ官能性基、パーフルオロアルキル基、ポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキサイド)構造含有基、シリル基から選択される1種又は2種以上の一価有機基である。但し、R1〜R6のいずれかに下記式(2)
(式中、R7は下記式(3)
で示される構造基であり、Aは分岐又は非分岐である炭素数2〜10、且つ、間に酸素原子を挟んでもよく、それ以外のヘテロ原子は含まない(n+1)価の炭化水素基(有機連結基)であり、R8は独立に水素原子又はメチル基であり、mは1〜10の整数であり、nは1〜5の整数である。なお、CH2=CR8−COO−基は、Aの炭素原子のいずれか1つ又は2つ以上に結合してもよい。)
で表される有機基を1個以上含み、総シロキサン単位に対し、式(2)で表される有機基が置換しているシロキサン単位が20〜100mol%であり、aは平均0≦a<0.4であり、bは平均0≦b<0.5であり、cは平均0<c≦1であり、dは平均0≦d<0.4であり、eは平均0≦e<0.2であり、a+b+c+d=1である。]
で表される。
この樹脂組成物を構成するシリコーン樹脂は、シロキサン単位式(1)においてa,b,dは0であり得るので、シロキサン単位式として、(R6SiO3/2c(OX)e、(R6SiO3/2c(SiO4/2d(OX)e、(R123SiO1/2a(R6SiO3/2c(OX)e、(R45SiO2/2b(R6SiO3/2c(OX)e、(R45SiO2/2b(R6SiO3/2c(SiO4/2d(OX)e、(R123SiO1/2a(R6SiO3/2c(SiO4/2d(OX)e、(R123SiO1/2a(R45SiO2/2b(R6SiO3/2c(OX)eがある。このシリコーン樹脂は、これらのシロキサン単位からなる分岐状、網状、3次元状などのオルガノポリシロキサン樹脂であり、(メタ)アクリロキシ基を有するので、光及び熱重合開始剤共存下で紫外線などの高エネルギー線照射あるいは熱により迅速に硬化する。
上記シロキサン単位式(1)におけるa,b,c,dは各シロキサン単位の合計モル数を1とした場合の各シロキサン単位の平均モル数を意味しており、各シロキサン単位が一分子中に平均何mol%含まれているかを示している。従って、a+b+c+d=1である。また、eは各シロキサン単位中、ケイ素上に加水分解性基が結合したシロキサン単位が平均何mol%含まれているかを示している。従って0≦e<(b+c+d)である。
オルガノポリシロキサン樹脂中にM単位(R123SiO1/2)が導入されると一般に分子量が低下するため、その範囲は平均0≦a<0.4、好ましくは0≦a<0.2である。D単位(R45SiO2/2)が導入されると樹脂の分岐度が減少し、硬化物のモジュラスが低下し、耐クラック性や防汚性が向上するため、その範囲は0≦b<0.5であり、好ましくは平均0≦b<0.02である。T単位(R6SiO3/2)が導入されると、一般に分岐度が向上して硬化物のモジュラスが大きくなり、耐磨耗性が向上するため、平均0<c≦1であり、好ましくは0.8≦c≦1である。Q単位(SiO4/2)が導入されると、一般に樹脂の分岐度が顕著に向上し、硬化物のモジュラスが顕著に大きくなり、耐クラック性が低下するため、dは平均0≦d<0.4であり、好ましくはd=0である。加水分解性基を含むシロキサン単位が導入されると、熱縮合による硬度向上が増大するが、その一方で樹脂中に反応活性基が残存することとなり、保存安定性が低下するため、eは平均0≦e<0.2であり、好ましくは平均0≦e<0.1である。
上記シロキサン単位式(1)中、ケイ素原子に結合した置換基であるR1〜R6のうち、置換又は非置換の炭素数1〜10の一価脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基が挙げられる。また、炭素数6〜10の一価芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基、フェニルエチル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基やアラルキル基が挙げられる。置換基にはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、(メタ)アクリロキシ基、エポキシ構造含有基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ官能性基、パーフルオロアルキル基、ポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキサイド)構造含有基、シリル基が挙げられる。
これらの中でも、下記式(2)
(式中、R7は下記式(3)
で示される構造基であり、Aは分岐又は非分岐である炭素数2〜10、且つ、間に酸素原子を挟んでもよく、それ以外のヘテロ原子は含まない(n+1)価の炭化水素基(有機連結基)であり、R8は独立に水素原子又はメチル基であり、mは1〜10の整数であり、nは1〜5の整数である。なお、CH2=CR8−COO−基は、Aの炭素原子のいずれか1つ又は2つ以上に結合してもよい。)
で表される有機基がR1〜R6のうちに少なくとも一つは含まれる(即ち、シリコーン樹脂のケイ素原子に結合する有機基の少なくとも一つは上記式(2)の基である。)。
また、R8については紫外線等の高エネルギー線照射時の硬化性を考慮すると水素原子であることが好ましい。総シロキサン単位に対して、式(2)で表される有機基が置換しているシロキサン単位は40〜99.9mol%であることが好ましく、より好ましくは70〜99.7mol%である。
上記式(2)におけるアルキレン基Cm2mは、硬化樹脂の架橋点間の距離を調整するものであり、そのmは1〜10の整数であり、好ましくは1〜8であり、更に好ましくはm=3である。mが10を超えると、本発明で目的とする硬化物の硬度と靭性のバランスを損なう。
また、上記式(3)において、(メタ)アクリロキシ基の個数(n)は、1〜5の整数であり、これにより硬化物として十分な硬度を確保している。nが5を超えると、本発明で目的とする硬化物の硬度と靭性のバランスを損なう。
従って、上記式(2)で表される有機基は、下記式(4)〜(8)
(式中、R8は上記と同義である。)
で表す有機基であることが好ましい。
上記シロキサン単位式(1)中、ケイ素原子に結合した(O1/2X)について、Xは水素原子、又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくは水素原子、メチル基であり、より好ましくは水素原子である。
上記シロキサン単位式(1)中、ケイ素原子に結合した置換基であるR1〜R6のいずれかに、紫外線等の高エネルギー線照射時の硬化性を考慮すると、式(2)で表される有機基のほかに光反応性基として、下記式(9)
CH2=C(R9)COO(CH2l− (9)
(式中、R9は水素原子又はメチル基であり、lは1〜8の整数である。)
で表される有機基を有するとよい。なお、R9については紫外線等の高エネルギー線照射時の硬化性を考慮すると水素原子であることが好ましい。
ここで、式(2)の有機基含有のシロキサン単位の含有率をAmol%、式(9)の有機基含有のシロキサン単位の含有率をBmol%とすると、0.1<A/(A+B)≦1であることが好ましく、より好ましくは0.2<A/(A+B)≦1である。上記の範囲外の含有率であると、本発明の効果である架橋密度低下による成形物の可とう性付与と重合性基の高活性による成形物の硬度向上のバランスを損なう場合が生じる。
なお、上記式(9)で表される有機基が置換しているシロキサン単位は0〜80mol%が好ましく、より好ましくは0〜30mol%である。
また、上記シロキサン単位式(1)中、防汚効果を向上させる目的には、総シロキサン単位に対し、パーフルオロアルキル基やポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキサイド)構造含有基が置換しているシロキサン単位が0.1〜20mol%であることが好ましく、より好ましくは1〜5mol%である。パーフルオロアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換したもの、例えば、
4924−、C61324−、C81724
等が挙げられる。ポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキサイド)構造としては、
37OC(CF3)FCF2OC(CF3)FCH2OC36−、
F(C(CF3)FCF2O)6C(CF3)FC(=O)NHC36
等が挙げられる。
上記シロキサン単位式(1)中、耐マジックインキ性を向上させる目的には、総シロキサン単位に対し、ジメチルシロキサン単位の含有率が0.1〜10mol%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜3mol%である。上記の含有率より少ないと十分な耐マジックインキ性は得られず、また、多いと十分な耐磨耗性が得られない場合がある。
なお、シリコーン樹脂が、このように式(2)で表される有機基が置換しているシロキサン単位S−1に加えて、式(9)の有機基が置換しているシロキサン単位S−2、パーフルオロアルキル基及び/又はポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキサイド)構造含有基が置換しているシロキサン単位S−3、ジメチルシロキサン単位S−4のいずれか1個又は複数個を含む場合、式(2)で表される有機基が置換しているシロキサン単位S−1は20〜99.9mol%、特に30〜98.9mol%である。
(シリコーン樹脂の製造法)
上記シロキサン単位式(1)についてその前駆原料となる加水分解性シランモノマーは分子中に加水分解性シリル基を1つ以上有するものであれば特に限定されないが、上記式(4)〜(8)よりなる群から選択される構造基とするためには、下記式(10)〜(13)に例示されるような加水分解性シランモノマーを使用するとよい。
(式中、Meはメチル基を示す。)
ここで、例示化合物は加水分解性シリル基がトリメトキシシリル基であるが、それに限定されず、該シリル基は例えばメチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、ジメチルエトキシシリル基などであってもよい。加水分解性シリル基を2つ以上有するものである場合には、R1〜R6のうち置換基にシリル基を有するものがそれに該当する。また、置換基としてのシリル基もまた加水分解性シリル基である場合には、同時に単位式(1)の中に相応するシロキサン単位が含まれる。加水分解性シリル基を2つ以上有する加水分解性シランモノマーとしては1,2−ビストリメトキシシリルエタン、1,2−ビストリエトキシシリルエタン、1,2−ビス(メチルジメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(メチルジエトキシシリル)エタン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,6−ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリメトキシシリル)オクタン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,19−ビス(トリメトキシシリルエチル)−ペルメチルデカシロキサン、N,N−ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。これらは、マジックインキ拭き取り性の向上に寄与する。
シリコーン樹脂の製造法の概略としては、上述したような加水分解性シリル基(アルコキシ基)を含有するシラン化合物を、塩基性触媒存在下で、アルコキシ基を全て加水分解縮合する量より多くの水で加水分解縮合することで(メタ)アクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン樹脂を得ることができる。
ここで、塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、テトラアルキルアンモニウムヒドロキサイド等が挙げられる。これらの中でも、テトラアルキルアンモニウムヒドロキサイドが好ましい。
塩基性触媒の添加量は、配合したシラン化合物、シロキサン化合物の0.1〜20質量%、特に1〜10質量%であることが好ましい。
加水分解縮合に使用する水の量は、配合したシラン化合物、シロキサン化合物のアルコキシ基を全て加水分解縮合するために必要な量より多くするものであり、配合組成中のアルコキシ基1molに対して、水0.55〜10mol、好ましくは0.6〜5molである。0.55molより少ないと、アルコキシ基の加水分解が進まず、10molより多いと縮合が進まず、いずれの場合も未反応のシランモノマーが残ってしまい、皮膜表面にハジキ等が発生する。
加水分解縮合反応時は、アルコール中で行う必要があり、使用するアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール等が挙げられる。
上述したシラン化合物、アルコール、塩基性触媒を配合し、水を添加して加水分解縮合を進める。この時の反応温度は0〜200℃であり、好ましくは0〜50℃である。
加水分解縮合後、酸で中和もしくは水洗することで中性とした後、アルコール等を留去することで実質的に溶剤等を含まなくても安定性に優れた(メタ)アクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン樹脂を得ることができる。
上記シロキサン単位式(1)で表されるシリコーン樹脂の展開溶媒にテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲルパーミエーションクロマトフラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は、2,000〜50,000であることが好ましくより好ましくは2,500〜30,000、特に好ましくは3,000〜25,000である。分子量が小さすぎると、縮合が不足しており、保存安定性が悪く、未反応のシロキサン単位が残ってしまい、皮膜表面にハジキ等が発生する場合がある。大きすぎると、粘度が高くなり、ハンドリングが困難になるおそれがある。
本発明の上記シロキサン単位式(1)で表されるオルガノポリシロキサン樹脂(シリコーン樹脂)を含む樹脂組成物は必要に応じて、反応性がある希釈剤として多官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。多官能(メタ)アクリレートを含まない場合、該オルガノポリシロキサン樹脂が固体(結晶)化したり、高粘度化したりするため、安定した製造が困難になる他、基板への塗工が非常に困難になるおそれがある。
多官能(メタ)アクリレートは、硬化後に得られる皮膜のマトリックスを形成するものである。多官能(メタ)アクリレートは、分子内に2つ以上の(メタ)アクリル基を有する化合物であり、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニルジアクリレート、3−(メタ)アクリロイルオキシグリセリンモノ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、エステルアクリレート等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記多官能(メタ)アクリレートの配合量は、上記シリコーン樹脂100質量部に対し0〜100質量部、特に0〜70質量部であることが好ましい。多官能(メタ)アクリレートの配合量が多すぎると、十分な耐磨耗性が得られない場合がある。なお、多官能(メタ)アクリレートを配合する場合、その効果を有効に発揮させる点から10質量部以上であることが好ましい。
上記シロキサン単位式(1)で表されるオルガノポリシロキサン樹脂(シリコーン樹脂)及び必要に応じて多官能(メタ)アクリレートを含んだコーティング剤組成物、硬化触媒を混合することにより、光及び熱硬化性コーティング剤組成物を得ることができ、これは紫外線等の高エネルギー線及び熱により硬化するものである。
ここで、硬化触媒としては、ラジカル開始剤及び/又は熱縮合触媒を用いることができる。ラジカル開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の通常の光重合開始剤(ラジカル系光重合触媒)から選択することができる。例えば、ダロキュアー1173、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア907(いずれもチバスペシャルティケミカルズ社製)等が挙げられる。
また、熱縮合触媒としては、公知のものの中から適宜選択して使用することが可能である。本発明で使用する熱縮合触媒の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、蟻酸ナトリウム、n−ヘキシルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等の塩基性化合物類、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、過塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウム、コバルトオクチレート、コバルトアセチルアセトナート、亜鉛オクチレート、亜鉛アセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナート、スズアセチルアセトナート、ジブチルスズオクチレート、ジブチルスズラウレート等の含金属化合物類、p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸のような酸性化合物類等が挙げられる。
硬化触媒の配合量は、上記シリコーン樹脂と多官能(メタ)アクリレートの合計量100質量部に対して0.1〜15質量部配合することができる。好ましい配合量は0.5〜10質量部であり、0.1質量部より少ないと硬化性が悪化する場合があり、15質量部より多いと表面の硬度が低下するおそれがある。
本発明の上記シロキサン単位式(1)で表されるオルガノポリシロキサン樹脂(シリコーン樹脂)を含むコーティング剤組成物は、更に必要に応じて、金属酸化物微粒子、シランカップリング剤、非重合性の希釈溶剤、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤などを含んでいても差し支えない。
金属酸化物微粒子としては、例えば、Si、Ti、Al、Zn、Zr、In、Sn、Sb等の酸化物微粒子、あるいはこれらの複合酸化物微粒子等が挙げられる。また表面をシリカ、アルミナ等で被覆したものを使用してもよい。金属酸化物微粒子として具体的には、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の微粒子が挙げられ、シリカ微粒子が好ましい。このような金属酸化物微粒子を添加することにより、耐磨耗性等の特性をより高めることができる。
また、シリカ微粒子は、低屈折率等の効果が期待される中空、多孔質のものを使用してもよい。
前記シリカ微粒子の中でも、活性エネルギー線反応性基を有する加水分解性シラン化合物によって表面修飾されたものが好ましく用いられる。このような反応性シリカ微粒子は、ハードコートを硬化させる際の活性エネルギー線照射によって、架橋反応を起こし、ポリマーマトリックス中に固定される。
なお、シリカ微粒子等の金属酸化物微粒子の配合量は、シリコーン樹脂と多官能(メタ)アクリレートの合計量100質量部に対し、5〜100質量部が好ましい。
非重合性の希釈剤としては脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒などが挙げられる。その中でも、シリコーン樹脂との相溶性からエステル系、ケトン系溶媒が好ましい。
本発明の光及び熱硬化性樹脂組成物は、タッチパネル用透明導電性フィルムに代表される各種機能性フィルム等に好適な成形材料、より詳しくはタッチパネル等の用途に好適な線膨張係数及び複屈折を有すると共に、高透明性、高い寸法安定性(形状安定性)、耐クラック性と耐磨耗性のバランスに優れたフィルムを提供する成形材料である。また、本発明の光及び熱硬化性樹脂組成物は、表面に防汚層の付与が必要とされる物品、特に再生専用光ディスク、光記録ディスク、光磁気記録ディスク等の光情報媒体の表面、より詳しくは、記録あるいは再生ビーム入射側表面や、光学レンズ、光学フィルター、反射防止膜、及び液晶ディスプレー、CRTディスプレー、プラズマディスプレー、ELディスプレー等の各種表示素子等の表面に塗布し、硬化皮膜とすることにより、これらの表面の耐擦傷性、耐クラック性、指紋汚れ等の汚染物質に対する防汚効果やマジックインキの拭き取り性を付与することが可能である。この硬化皮膜を有する物品は、防汚性及び潤滑性に優れると共に耐擦傷性及び耐磨耗性にも優れるものとなり、皮膜の硬化収縮も小さいことから物品がフィルム形状の場合の反りの発生を抑制することができる。
本発明の樹脂組成物による成形体(成形品)を得る方法としては、例えば任意のキャビティ形状を有し、石英ガラス等の透明素材で構成された金型内に注入し、後述する光(活性線)照射により硬化を行い金型から脱型させることで所望の形状の成形体を製造する方法や、金型を用いない場合には、移動するスチールベルト上にドクターブレードやロール状のコーターを用いて本発明の樹脂組成物を塗布し、活性線照射により硬化させることでシート状の成形体を製造する方法等を例示することができる。
本発明の樹脂組成物による皮膜を形成する方法としては、本発明の樹脂組成物をコーティング剤としてスピンコート法等により塗布し、硬化させることで皮膜を作製することができる。
形成された皮膜の膜厚は、0.1〜50μm、特に0.5〜30μmの範囲にあることが好ましい。膜厚が薄すぎると耐磨耗性が低下する場合があり、また厚すぎると耐磨耗性等が飽和し、所望特性を付与するに当たるコストが不要に高くなってしまう場合がある。
本発明の樹脂組成物を光硬化させるための光源としては、通常、200〜450nmの範囲の波長の光を含む光源、例えば高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン灯、カーボンアーク灯等を使用することができる。照射量は特に制限されないが、10〜5,000mJ/cm2、特に20〜2,000mJ/cm2であることが好ましい。硬化時間は通常0.5秒〜2分、好ましくは1秒〜1分である。
本発明の樹脂組成物の加熱硬化には、30〜250℃の温度範囲で1〜120分間処理することが好ましく、特に硬化時間の短縮並びに基材の劣化防止を両立させる観点から、60〜150℃の温度で加熱処理することが好ましい。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記においてMeはメチル基を示す。また、シリコーン樹脂の重量平均分子量は、展開溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲルパーミエーションクロマトフラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の測定値である。
[調製例1]
出発原料として、下記式(10)
で示されるメタクリロキシ基含有トリメトキシシラン335.4質量部(1.00mol)、イソプロピルアルコール926.3質量部を反応器中に配合し、均一になったところで20質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド水溶液15.2質量部、水95.6質量部(水 合計6.0mol)を添加し、30℃で12時間撹拌した。その後、メチルイソブチルケトン900質量部を投入し、水洗にて発生したメタノール並びにイソプロピルアルコールの除去、反応液を中性とした後、減圧下にてメチルイソブチルケトンを一部留去した。得られた反応物は揮発分60.0質量%のメチルイソブチルケトン溶液であり、重量平均分子量3,700であった。この反応物は赤外吸収光分析、核磁気共鳴分析の結果から加水分解縮合が理想どおり進行し、シロキサン単位式[MA1SiO3/21.0[OH]0.09[MA1:式(10)由来のメタクリロキシ基含有構造基(下記式(10’)に示すもの)]を有する光反応性基含有オルガノポリシロキサン樹脂であることを確認した。これを樹脂Aとする。
[調製例2]
出発原料として、下記式(11)
で示されるメタクリロキシ基含有トリメトキシシラン433.5質量部(1.00mol)、イソプロピルアルコール1270.7質量部を反応器中に配合し、均一になったところで20質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド水溶液15.2質量部、水95.6質量部(水 合計6.0mol)を添加し、30℃で12時間撹拌した。その後、メチルイソブチルケトン900質量部を投入し、水洗にて発生したメタノール並びにイソプロピルアルコールの除去、反応液を中性とした後、減圧下にてメチルイソブチルケトンを一部留去した。得られた反応物は揮発分60.0質量%のメチルイソブチルケトン溶液であり、重量平均分子量3,900であった。この反応物は赤外吸収光分析、核磁気共鳴分析の結果から加水分解縮合が理想どおり進行し、シロキサン単位式[MA2SiO3/21.0[OH]0.11[MA2:式(11)由来のメタクリロキシ基含有構造基(下記式(11’)に示すもの)]を有する光反応性基含有オルガノポリシロキサン樹脂であることを確認した。これを樹脂Bとする。
[調製例3]
出発原料として、下記式(12)
で示されるアクリロキシ基含有トリメトキシシラン503.2質量部(1.00mol)、イソプロピルアルコール1193.0質量部を反応器中に配合し、均一になったところで20質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド水溶液15.3質量部、水95.5質量部(水 合計6.0mol)を添加し、30℃で12時間撹拌した。その後、メチルイソブチルケトン900質量部を投入し、水洗にて発生したメタノール並びにイソプロピルアルコールの除去、反応液を中性とした後、減圧下にてメチルイソブチルケトンを一部留去した。得られた反応物は揮発分60.0質量%のメチルイソブチルケトン溶液であり、重量平均分子量13,000であった。この反応物は赤外吸収光分析、核磁気共鳴分析の結果から加水分解縮合が理想どおり進行し、シロキサン単位式[MA3SiO3/21.0[OH]0.15[MA3:式(12)由来のアクリロキシ基含有構造基(下記式(12’)に示すもの)]を有する光反応性基含有オルガノポリシロキサン樹脂であることを確認した。これを樹脂Cとする。
[調製例4]
出発原料として、下記式(13)
で示されるアクリロキシ基含有トリメトキシシラン729.1質量部(1.00mol)、イソプロピルアルコール1259.8質量部を反応器中に配合し、均一になったところで20質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド水溶液15.3質量部、水95.5質量部(水 合計6.0mol)を添加し、30℃で12時間撹拌した。その後、メチルイソブチルケトン900質量部を投入し、水洗にて発生したメタノール並びにイソプロピルアルコールの除去、反応液を中性とした後、減圧下にてメチルイソブチルケトンを一部留去した。得られた反応物は揮発分60.0質量%のメチルイソブチルケトン溶液であり、重量平均分子量22,000であった。この反応物は赤外吸収光分析、核磁気共鳴分析の結果から加水分解縮合が理想どおり進行し、シロキサン単位式[MA4SiO3/21.0[OH]0.12[MA4:式(13)由来のアクリロキシ基含有構造基(下記式(13’)に示すもの)]を有する光反応性基含有オルガノポリシロキサン樹脂であることを確認した。これを樹脂Dとする。
[調製例5]
出発原料として、式(13)で示されるアクリロキシ基含有トリメトキシシラン707.3質量部(0.97mol)、HFPO3Si(OMe)319.3質量部(0.03mol)[HFPO3:C37OC(CF3)FCF2OC(CF3)FCH2OC36−]、イソプロピルアルコール1259.8質量部を反応器中に配合し、均一になったところで20質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド水溶液15.3質量部、水95.5質量部(水 合計6.0mol)を添加し、30℃で12時間撹拌した。その後、メチルイソブチルケトン900質量部を投入し、水洗にて発生したメタノール並びにイソプロピルアルコールの除去、反応液を中性とした後、減圧下にてメチルイソブチルケトンを一部留去した。得られた反応物は揮発分60.0質量%のメチルイソブチルケトン溶液であり、重量平均分子量21,000であった。この反応物は、赤外吸収光分析、核磁気共鳴分析の結果から加水分解縮合が理想どおり進行し、シロキサン単位式[MA4SiO3/20.97[HFPO3SiO3/20.03[OH]0.12[MA4:式(13)由来のアクリロキシ基含有構造基、HFPO3:C37OC(CF3)FCF2OC(CF3)FCH2OC36−]を有する光反応性基含有オルガノポリシロキサン樹脂であることを確認した。これを樹脂Eとする。
[調製例6]
出発原料として、式(13)で示されるアクリロキシ基含有トリメトキシシラン699.9質量部(0.96mol)、HFPO3Si(OMe)319.3質量部(0.03mol)[HFPO3:C37OC(CF3)FCF2OC(CF3)FCH2OC36−]、1,19−ビス(トリメトキシシリルエチル)−ペルメチルデカシロキサン0.9質量部(0.0009mol)、イソプロピルアルコール1259.8質量部を反応器中に配合し、均一になったところで20質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド水溶液15.3質量部、水95.5質量部(水 合計6.0mol)を添加し、30℃で12時間撹拌した。その後、メチルイソブチルケトン900質量部を投入し、水洗にて発生したメタノール並びにイソプロピルアルコールの除去、反応液を中性とした後、減圧下にてメチルイソブチルケトンを一部留去した。得られた反応物は揮発分60.0質量%のメチルイソブチルケトン溶液であり、重量平均分子量21,000であった。この反応物は、赤外吸収光分析、核磁気共鳴分析の結果から加水分解縮合が理想どおり進行し、シロキサン単位式[RSEMe2SiO1/20.0018[Me2SiO2/20.0072[RSESiO3/20.0018[MA4SiO3/20.9592[HFPO3SiO3/20.03[OH]0.06[RSE:2−シリルエチル、MA4:式(13)由来のアクリロキシ基含有構造基、HFPO3:C37OC(CF3)FCF2OC(CF3)FCH2OC36−]を有する光反応性基含有オルガノポリシロキサン樹脂であることを確認した。これを樹脂Fとする。
[比較調製例1]
出発原料として、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン234.0質量部(1.00mol)、イソプロピルアルコール539.7質量部を反応器中に配合し、均一になったところで20質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド水溶液15.3質量部、水95.5質量部(水 合計6.0mol)を添加し、25℃で12時間撹拌した。トルエンを投入して水洗し、中性化した後、アルコール、トルエン等を留去した後、メチルイソブチルケトンを投入し溶液とした。
得られた反応物は揮発分60.0質量%、重量平均分子量3,000であった。この反応物は、赤外吸収光分析、核磁気共鳴分析の結果から加水分解縮合が理想どおり進行し、シロキサン単位式[Ac3SiO3/21.0[OH]0.03[Ac3:3−アクリロキシプロピル]を有する光反応性基含有オルガノポリシロキサン樹脂であることを確認した。これを樹脂Gとする。
[比較調製例2]
出発原料として、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン226.8質量部(0.97mol)、HFPO3Si(OMe)319.3質量部(0.03mol)[HFPO3:C37OC(CF3)FCF2OC(CF3)FCH2OC36−]、イソプロピルアルコール608.5質量部を反応器中に配合し、均一になったところで20質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド水溶液15.3質量部、水95.5質量部(水 合計6.0mol)を添加し、25℃で12時間撹拌した。トルエンを投入して水洗し、中性化した後、アルコール、トルエン等を留去した後、メチルイソブチルケトンを投入し溶液とした。
得られた反応物は揮発分60.0質量%、重量平均分子量2,200であった。この反応物は、赤外吸収光分析、核磁気共鳴分析の結果から加水分解縮合が理想どおり進行し、シロキサン単位式[Ac3SiO3/20.97[HFPO3SiO3/20.03[OH]0.04[Ac3:3−アクリロキシプロピル、HFPO3:C37OC(CF3)FCF2OC(CF3)FCH2OC36−]を有する光反応性基含有オルガノポリシロキサン樹脂であることを確認した。これを樹脂Hとする。
[比較調製例3]
出発原料として、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン224.6質量部(0.96mol)、HFPO3Si(OMe)319.3質量部(0.03mol)[HFPO3:C37OC(CF3)FCF2OC(CF3)FCH2OC36−]、1,19−ビス(トリメトキシシリルエチル)−ペルメチルデカシロキサン0.9質量部(0.0009mol)、イソプロピルアルコール612.7質量部を反応器中に配合し、均一になったところで20質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド水溶液15.3質量部、水95.5質量部(水 合計6.0mol)を添加し、25℃で12時間撹拌した。トルエンを投入して水洗し、中性化した後、アルコール、トルエン等を留去した後、メチルイソブチルケトンを投入し溶液とした。
得られた反応物は揮発分60.0質量%、重量平均分子量3,000であった。この反応物は、赤外吸収光分析、核磁気共鳴分析の結果から加水分解縮合が理想どおり進行し、シロキサン単位式[RSEMe2SiO1/20.0018[Me2SiO2/20.0072[RSESiO3/20.0018[Ac3SiO3/20.9592[HFPO3SiO3/20.03[OH]0.043[RSE:2−シリルエチル、Ac3:アクリロキシプロピル、HFPO3:C37OC(CF3)FCF2OC(CF3)FCH2OC36−]を有する光反応性基含有オルガノポリシロキサン樹脂であることを確認した。これを樹脂Iとする。
[実施例1]
調製例1で得たオルガノポリシロキサン樹脂(樹脂A):25質量部(主成分換算)、トリメチロールプロパントリアクリレート:10質量部、ジシクロペンタジエニルジアクリレート(共栄社化学(株)製ライトアクリレートDCP−A):60質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(共栄社化学(株)製UF−8001):5質量部を混合し、減圧下にてメチルイソブチルケトンを留去した。その後、光重合開始剤としてダロキュアー1173(チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名):2.5質量部を混合し、透明な樹脂組成物を得た。
次に、ロールコーターを用いて厚さ0.2mmとなるようにキャストし、80W高圧水銀灯で光を2秒間照射し(積算照射量200mJ/cm2)硬化させ、所定の厚みとしたシート状の成形体を得た。
[実施例2〜4及び比較例1]
実施例1において、樹脂Aに代えて樹脂B、C、D、Gとし、それ以外は実施例1と同様にして樹脂成形体を得た。これらの配合明細を表1に示す。
得られた成形体について、以下の方法で各種特性を測定した。
[成形物特性]
(1)ガラス転移温度
動的熱機械分析法、昇温速度5℃/分、チャック間距離10mm
(2)線膨張係数(JIS K 7197)
熱機械分析法、昇温速度5℃/分、圧縮荷重0.1N
(3)全光線透過率(JIS K 7361−1)
分光エリプソメトリー、試料厚み0.2mm
(4)複屈折
分光エリプソメトリー、試料厚み0.2mm
得られた成形体の物性値を表2に示す。
[実施例5]
調製例1で得たオルガノポリシロキサン樹脂(樹脂A):60質量部(主成分換算)、ヘキサンジオールジアクリレート:40質量部、光重合開始剤としてダロキュアー1173(チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名):5質量部を混合し、透明な樹脂組成物を得た。
次に、バーコーター(No.5)を用いてポリカーボネート板に厚さ5μmとなるように塗布し、50℃の乾燥機で10分乾燥させた後に、80W高圧水銀灯で光を2秒間照射し(積算照射量200mJ/cm2)硬化させて皮膜を形成した。
[実施例6〜10及び比較例2〜4]
実施例5において、樹脂Aに代えて樹脂B〜Iとし、それ以外は実施例5と同様にして硬化皮膜を得た。これらの配合明細を表3に示す。
得られたポリカーボネート板上の硬化皮膜及び別途硬化皮膜を形成したPETフィルムについて、以下のように各種特性を測定した。
[硬化皮膜特性]
(1)耐マジックインキ性
硬化皮膜に市販の油性マジックインキで線を描き、ウエスで拭き取ったときの拭き取り性を目視で観察し、次の評価基準で評価した。○:ウエスで拭き取った後でマジックインキの残存認められず(拭き取り性あり)、×:ウエスで拭き取った後でマジックインキの残存認められる(拭き取り性なし)。
(2)防汚性
水接触角とトリオレイン酸接触角を接触角計(CA−X150型、協和界面科学製)を用いて測定した(接触角が大きいものほど防汚性に優れる)。
(3)耐擦傷性、耐磨耗性
ASTMD 1044に準拠し、テーバー磨耗試験機(磨耗輪CS−10F使用)を用いて硬化皮膜の磨耗試験(500g荷重100回転)を行い、磨耗試験前後の硬化皮膜の濁度を濁度計(NHD2000、日本電色工業製)を用いて測定し、〔磨耗試験後の濁度−磨耗試験前の濁度〕の値をΔHaze(ヘイズ)とした(ΔHazeは15以下の場合に耐擦傷性、耐磨耗性は良好である。)。これらの試料厚みは5μmである。
(4)硬化収縮性
収縮によるフィルム全体の反り(カール)の度合いについて、10cm×10cmの平坦なPETフィルム上に硬化皮膜を厚さ5μmで形成し、水平面にフィルム中心点で固定した際のフィルム端部(フィルム中心点から最短距離の端部)の水平面からの距離で評価した。この場合、数値が大きいほど収縮が大きいことを意味する。
得られた硬化皮膜の物性値を表4に示す。
以上のように、本発明の樹脂組成物は、(メタ)アクリロキシ基を有するシロキサン単位を主構成単位とする所定成分のシリコーン樹脂を含有し、その硬化物の硬度と靭性のバランスを高次元で両立させているので、機能性フィルム材料、防汚耐擦傷性コート材料として好適な結果となっている。

Claims (10)

  1. 下記シロキサン単位式(1)
    [式中、Xは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R1〜R6は置換又は非置換の炭素数1〜10の一価炭化水素基であり、上記置換基はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、(メタ)アクリロキシ基、エポキシ構造含有基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ官能性基、パーフルオロアルキル基、ポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキサイド)構造含有基、シリル基から選択される1種又は2種以上の一価有機基である。但し、R1〜R6のいずれかに下記式(2)
    (式中、R7は下記式(3)
    で示される構造基であり、Aは分岐又は非分岐である炭素数2〜10、且つ、間に酸素原子を挟んでもよく、それ以外のヘテロ原子は含まない(n+1)価の炭化水素基であり、R8は独立に水素原子又はメチル基であり、mは1〜10の整数であり、nは1〜5の整数である。なお、CH2=CR8−COO−基は、Aの炭素原子のいずれか1つ又は2つ以上に結合してもよい。)
    で表される有機基を1個以上含み、総シロキサン単位に対し、式(2)で表される有機基が置換しているシロキサン単位が20〜100mol%であり、aは平均0≦a<0.4であり、bは平均0≦b<0.5であり、cは平均0<c≦1であり、dは平均0≦d<0.4であり、eは平均0≦e<0.2であり、a+b+c+d=1である。]
    で表されるシリコーン樹脂を含む光及び熱硬化性樹脂組成物。
  2. 式(2)のmが3である請求項1記載の光及び熱硬化性樹脂組成物。
  3. 式(2)で表される有機基が下記式(4)〜(8)
    (式中、R8は上記と同義である。)
    で示されるいずれかの構造基、又はその2種以上の組み合わせである請求項2記載の光及び熱硬化性樹脂組成物。
  4. シリコーン樹脂の重量平均分子量が2,000〜50,000である請求項1〜3のいずれか1項記載の光及び熱硬化性樹脂組成物。
  5. シリコーン樹脂が、総シロキサン単位に対し、パーフルオロアルキル基又はポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキサイド)構造含有基が置換しているシロキサン単位が0.1〜20mol%である請求項1〜4のいずれか1項記載の光及び熱硬化性樹脂組成物。
  6. 更に、多官能(メタ)アクリル化合物を含む請求項1〜5のいずれか1項記載の光及び熱硬化性樹脂組成物。
  7. 更に、金属酸化物微粒子を1種以上含む請求項1〜6のいずれか1項記載の光及び熱硬化性樹脂組成物。
  8. 更に、ラジカル系光重合触媒、熱縮合触媒のいずれかの1種以上を含む請求項1〜7のいずれか1項記載の光及び熱硬化性樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項記載の光及び熱硬化性樹脂組成物を硬化して得られる成形品。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項記載の光及び熱硬化性樹脂組成物の硬化皮膜を形成してなる物品。
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