JP2013227269A - アクリル酸エステル系誘導体 - Google Patents
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Abstract
Description
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性などのリソグラフィー特性が求められる。
このような要求を満たすレジスト材料として、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤とを含有する化学増幅型レジストが用いられている。化学増幅型レジストの基材成分としては、主に、樹脂(ベース樹脂)が用いられている。
たとえばポジ型の化学増幅型レジストは、ベース樹脂として、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂を含有しており、レジストパターン形成時に、露光により酸発生剤から酸が発生すると、該酸の作用により該ベース樹脂のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する(たとえば特許文献1参照)。
また、ネガ型の化学増幅型レジストとしては、ベース樹脂として、アルカリ現像液に可能性の樹脂(アルカリ可溶性樹脂)を含有し、さらに架橋剤が配合されたものが一般的に用いられている。かかるレジスト組成物は、レジストパターン形成時に、露光により酸発生剤から酸が発生すると、該酸の作用によりベース樹脂と架橋剤とが反応し、該ベース樹脂のアルカリ現像液に対する溶解性が低下する(たとえば非特許文献1および2参照)。
現在、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用されるレジストのベース樹脂としては、波長193nm付近における透明性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)が主に用いられている。
また、フォトレジスト組成物用の高分子化合物としては、アクリロイルオキシ基から連結基を介してノルボルナンラクトン骨格やノルボルナンスルトン骨格を有する構成単位から形成される高分子化合物なども提案されている(特許文献2および3参照)。
従って、本発明の課題は、フォトレジスト組成物に含有させる高分子化合物の構成単位の1つとしたときに、LWRなどのリソグラフィー特性に優れ、高解像度となり得る新規なアクリル酸エステル系誘導体を提供することにある。
[1]下記一般式(1)
[2]一般式(1)中、R1が水素原子である、上記[1]のアクリル酸エステル系誘導体。
[3]一般式(1)中、Xがメチレン基、エチレン基または酸素原子である、上記[1]または[2]のアクリル酸エステル系誘導体。
本発明のアクリル酸エステル系誘導体(1)は、下記一般式(1)で示されるものである。
R2が表す炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基としては、上記炭素数1〜5のアルキル基の一部または全部が、フッ素原子などのハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましく、ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基が好ましい。
R1としては、LWRの改善効果および高解像度のフォトレジストパターンを得る観点から、水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。また、R2としては、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
中でも、Xとしては、LWRの改善効果および高解像度のフォトレジストパターンを得る観点から、メチレン基、エチレン基、酸素原子が好ましく、メチレン基がより好ましい。
高分子化合物中のアクリル酸エステル系誘導体(1)に由来する構成単位が下記アセタール構造
さらに、該高分子化合物がノルボルナンスルトン骨格を含むことにより、従来のアセタール型酸解離性溶解抑制基に比べて嵩高い構造を有するため、パターン倒れや膜減りなどが抑制され、良好な形状のフォトレジストパターンが形成されやすいと考えられる。良好なフォトレジストパターン形状が得られる要因の一つとして、極性基である−SO2−を含む環状基を有することにより、露光や酸処理後において残存する酸の拡散を抑制することが可能となり、現像工程において現像液との親和性が向上するため、LWR等のリソグラフィー特性が向上すると推測される。
以上の理由により、LWR等のリソグラフィー特性の向上と高解像度の両立が成し遂げられたものと推測する。なお、−SO2−を含む環状基が直接アクリロイルオキシ基に結合している化合物や、−SO2−を含む環状基が長い連結基を介してアクリロイルオキシ基に結合している化合物が知られているが、本発明のアクリル酸エステル系誘導体(1)は、それらよりもLWR等のリソグラフィー特性および解像度においてより優れた結果が得られており、このことは、上記アセタール構造と−SO2−を含む環状基との組み合わせが重要であることを示している。
本発明のアクリル酸エステル系誘導体(1)は、以下に示すように、例えば、アルコール誘導体(3)とアルデヒド化合物(4)を酸の存在下で反応させてアルキルエーテル化合物(2)を製造し(第一工程)、次いで該アルキルエーテル化合物(2)をエステル化する(第二工程)ことにより製造できる。
第一工程で原料として使用できるアルコール誘導体(3)の具体例を以下に示すが、特にこれらに限定されない。
アルデヒド化合物(4)の使用量は、アルコール誘導体(3)1モルに対して、0.7〜10モルが好ましく、1〜10モルがより好ましく、1.2〜5モルがさらに好ましく、1.4〜2モルが特に好ましい。
酸の使用量は、アルコール誘導体(3)1モルに対して、1〜30モルが好ましく、3〜15モルがより好ましく、アルコール誘導体(3)の消失が確認されるまで追加するのがさらに好ましい。なお、アルコール誘導体(3)の消失は、ガスクロマトグラフィーにて容易に確認できる。
溶媒の使用量は、アルコール誘導体(3)1質量部に対して、2質量部以上であるのが好ましく、4〜30質量部であるのがより好ましく、9〜20質量部であるのがさらに好ましい。
第一工程の反応時間には特に制限はない。通常、アルコール誘導体(3)の消失が確認されるまで反応させるのが好ましい。
また、第一工程は、水の不存在下に実施することが好ましいが、特に原料や溶媒に脱水処理を施したり、反応系内を窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下にしなくとも、十分に反応を進行させることができる。
第二工程のエステル化の方法に特に制限はないが、例えば、第一工程で得たアルキルエーテル化合物(2)と下記一般式(5)
塩基を使用する場合、その使用量は、経済性および後処理の容易さの観点から、アルキルエーテル化合物(2)1モルに対して、0.7〜5モルであることが好ましく、0.7〜3モルであることがより好ましく、1〜3モルであることがさらに好ましい。
重合禁止剤を使用する場合、その使用量は、溶媒を含む反応混合物全体の質量に対して5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。
溶媒の使用量は、経済性および後処理の容易さの観点から、アルキルエーテル化合物(2)1質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましい。
逆に、第二工程は、水の添加により、反応を停止することができる。水の使用量は、過剰の塩基1モルに対して1モル以上であればよい。使用量が少ないと過剰の塩基を完全に分解できず、副生物を生じる場合がある。
アクリル酸エステル系誘導体(1)は、単一のエナンチオマー、エナンチオマー混合物のいずれであっても、フォトレジスト組成物用高分子化合物の原料に好適に使用することができる。
本発明のアクリル酸エステル系誘導体(1)を単独で重合してなる重合体またはアクリル酸エステル系誘導体(1)と他の重合性化合物とを共重合してなる共重合体は、フォトレジスト組成物用の高分子化合物として有用である。
該高分子化合物は、下記一般式(a0)で表される構成単位(a0)を有する。
アクリル酸エステル系誘導体(1)と共重合させることができる他の重合性化合物(以下、共重合単量体と称する。)の具体例としては、例えば下記の化学式で示される化合物などが挙げられるが、特にこれらに限定されない。
共重合単量体において、R3およびR6が表す炭素数1〜3のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。R3が表す炭素数3〜10の環状炭化水素基としては、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられる。また、R4が表す重合性基含有基中の重合性基としては、例えばアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、ビニルスルホニル基などが挙げられる。
高分子化合物は、常法に従って、ラジカル重合により製造することができる。特に、分子量分布が小さい高分子化合物を合成する方法としては、リビングラジカル重合などを挙げることができる。
一般的なラジカル重合方法は、必要に応じて1種以上のアクリル酸エステル系誘導体(1)および必要に応じて1種以上の上記共重合単量体を、ラジカル重合開始剤および溶媒、並びに必要に応じて連鎖移動剤の存在下に重合させる。
ラジカル重合の実施方法には特に制限はなく、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法など、例えばアクリル系樹脂を製造する際に用いる慣用の方法を使用できる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、重合反応に用いるアクリル酸エステル系誘導体(1)、共重合単量体、連鎖移動剤、溶媒の種類および使用量、重合温度などの重合条件に応じて適宜選択できるが、全重合性化合物[アクリル酸エステル系誘導体(1)と共重合単量体の合計量であり、以下同様である。]1モルに対して、通常、好ましくは0.005〜0.2モル、より好ましくは0.01〜0.15モルである。
溶媒の使用量は、全重合性化合物1質量部に対して、通常、好ましくは0.5〜20質量部、経済性の観点からは、より好ましくは1〜10質量部である。
重合反応の時間は、アクリル酸エステル系誘導体(1)、共重合単量体、重合開始剤、溶媒の種類および使用量、重合反応の温度などの重合条件により異なるが、通常、好ましくは30分〜48時間、より好ましくは1時間〜24時間である。
重合反応は、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下に実施することが好ましい。
再沈澱の操作で用いる溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロメタンなどのニトロ化炭化水素;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;酢酸などのカルボン酸;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネートなどのカーボネート;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール;水が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を混合して使用してもよい。
再沈澱の操作で用いる溶媒の使用量は、高分子化合物の種類、溶媒の種類により異なるが、通常、高分子化合物1質量部に対して0.5〜100質量部であるのが好ましく、経済性の観点からは、1〜50質量部であるのがより好ましい。
また、高分子化合物の分子量分布(Mw/Mn)に特に制限は無いが、好ましくは1.0〜3.0、より好ましくは1.0〜2.0であると、後述するフォトレジスト組成物の成分としての有用性が高い。かかるMwおよびMnは、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)測定により求めた標準ポリスチレン換算の値である。
前記した高分子化合物、光酸発生剤および溶剤、並びに必要に応じて塩基性化合物、界面活性剤およびその他の添加物を配合することにより、フォトレジスト組成物を調製する。以下、各成分について説明する。
光酸発生剤としては、従来、化学増幅型レジストに通常用いられる公知の光酸発生剤を特に制限無く用いることができる。該光酸発生剤としては、例えばヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系光酸発生剤;オキシムスルホネート系光酸発生剤;ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン系光酸発生剤;ニトロベンジルスルホネート系光酸発生剤;イミノスルホネート系光酸発生剤;ジスルホン系光酸発生剤などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、オニウム塩系光酸発生剤が好ましく、さらに、発生する酸の強度が強いという観点から、フッ素含有アルキルスルホン酸イオンをアニオンとして含む下記の含フッ素オニウム塩が好ましい。
また、これらのオニウム塩のアニオン部を、d−カンファー−10−スルホネート、または下記式(b1)で表されるアニオンに置き換えたものを用いることができる。
フォトレジスト組成物に配合する溶剤としては、例えばプロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル;乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなどのエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテルなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶剤の配合量は、高分子化合物1質量部に対して、通常、1〜50質量部であるのが好ましく、2〜25質量部であるのが好ましい。
フォトレジスト組成物には、フォトレジスト膜中における酸の拡散速度を抑制して解像度を向上するために、必要に応じて塩基性化合物をフォトレジスト組成物の特性が阻害されない範囲の量で配合することができる。かかる塩基性化合物としては、例えばホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−(1−アダマンチル)アセトアミド、ベンズアミド、N−アセチルエタノールアミン、1−アセチル−3−メチルピペリジン、ピロリドン、N−メチルピロリドン、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、2−ピロリジノン、アクリルアミド、メタクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどのアミド;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、ニコチン、キノリン、アクリジン、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、ベンズイミダゾール、ピラジン、ピラゾール、ピロリジン、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、ピペリジン、テトラゾール、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミンを挙げることができる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
塩基性化合物を配合する場合、その配合量は使用する塩基性化合物の種類により異なるが、光酸発生剤1モルに対して、通常、好ましくは0.01〜10モル、より好ましくは0.05〜1モルである。
フォトレジスト組成物には、塗布性を向上させるため、所望により、さらに界面活性剤をフォトレジスト組成物の特性が阻害されない範囲の量で配合することができる。
かかる界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテルなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、高分子化合物100質量部に対して、通常、好ましくは2質量部以下である。
さらに、フォトレジスト組成物には、その他の添加剤として、サリチル酸等の有機酸、増感剤、ハレーション防止剤、形状改良剤、保存安定剤、消泡剤などを、フォトレジスト組成物の特性が阻害されない範囲の量で配合することができる。
フォトレジスト組成物を基板に塗布し、通常、好ましくは70〜160℃で1〜10分間プリベークし、所定のマスクを介して放射線を照射(露光)後、好ましくは70〜160℃で1〜5分間ポストエクスポージャーベークして潜像パターンを形成し、次いで現像液を用いて現像することにより、所定のレジストパターンを形成することができる。
露光量は、0.1〜1000mJ/cm2であるのが好ましく、1〜500mJ/cm2であるのがより好ましい。
現像液の濃度は、通常、0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.1〜10質量%であるのがより好ましい。
なお、NMRによる分析において、1H−NMRの内部標準および13C−NMRの内部標準は、テトラメチルシラン(TMS)である。また、19F−NMRの内部標準は、ヘキサフルオロベンゼンである(但し、ヘキサフルオロベンゼンのピークを−160ppmとした)。
5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンスルトン(アルコール誘導体)の合成:
攪拌装置、温度計を取り付けた内容積2Lの四つ口フラスコに、フェノチアジン0.80g、テトラヒドロフラン(THF)2308.1g、シクロペンタジエン174.0g(2.64mol)を仕込み、攪拌しながら5℃以下に冷却した。次いで、別々の滴下ロートに、2−クロロエタンスルホニルクロリド391.4g(2.40mol)、トリエチルアミン293.45g(2.9mol)をそれぞれ入れ、内温5〜10℃で4時間かけて同時に滴下を行った。
滴下終了後、反応混合物を5〜10℃で5時間攪拌した後、析出している塩を減圧ろ過し、続いてろ別した塩にTHF1200.0gを注いで、ろ液3261.2gを得た(該ろ液を「ろ液(A)」と称する)。該ろ液(A)をガスクロマトグラフィーで分析したところ、5−ノルボルネン−2−スルホニルクロリドを356.4g(1.85mol)含んでいた(2−クロロエタンスルホニルクロリドに対して収率77.1%)。
攪拌装置、温度計を取り付けた内容積5Lの三つ口フラスコに水1800gを入れ、20℃以下に冷却した。攪拌しながら、水酸化ナトリウム160.6g(4.02mol)を内温が20℃以下になるように入れた。ろ液(A)2600g(5−ノルボルネン−2−スルホニルクロリド:283.8g(1.474mol))を、内温20〜25℃で、5時間かけて滴下した。
滴下終了から1時間後に反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、5−ノルボルネン−2−スルホニルクロリドは完全に消失していた。反応混合液を減圧下に濃縮し、THFを除去した後、5Lの分液ロートに移してトルエン600gで3回洗浄し、5−ノルボルネン−2−スルホン酸ナトリウム塩を含む水溶液2144.6gを得た(該水溶液を「水溶液(A)」と称する)。
攪拌装置、温度計を取り付けた内容積5Lの三つ口フラスコに、水溶液(A)を全て入れ、10℃に冷却した。99%ギ酸186.54g(4.02mol)を内温10〜15℃で滴下した後、加熱して内温を50〜52℃としたところに、30%過酸化水素水325.0g(2.86mol)を3時間かけて滴下した。滴下終了後も内温を50℃前後に維持し、滴下終了から21時間後に反応混合液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析したところ、5−ノルボルネン−2−スルホン酸の変換率は99.2%であった。
反応混合液を15℃まで冷却後、亜硫酸ナトリウム73.1g(0.58mol)を内温10〜16℃でゆっくり加え、デンプン紙により過酸化水素が検出されないことを確認し、炭酸水素ナトリウム281.9g(3.36mol)を内温12〜15℃でゆっくり加え、反応混合液のpHを7.2とした。酢酸エチル1800gで2回抽出を行い、得られた有機層を合わせて減圧下に濃縮し、黄白色の固体141.9gを得た。この固体を酢酸エチル280gに50℃で溶解させた後、10℃までゆっくり冷却し、析出した結晶をろ過した。ろ別した結晶を5℃の酢酸エチル70gで洗浄し、40℃で2時間減圧下に乾燥することで、下記構造の5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンスルトン113.2g(純度99.3%、0.6mol)を得た(5−ノルボルネン−2−スルホニルクロリドに対して収率40.4%)。
攪拌装置、温度計を取り付けた内容積300mLの三つ口フラスコに、前記(アルコール誘導体)の合成で得た5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンスルトン25.1g(0.132mol)、パラホルムアルデヒド6.6g(0.22mol)、ジクロロメタン230gを仕込み、攪拌しながら5℃以下に冷却した。次いで、塩化水素ガスを吹き込み、ガスクロマトグラフィーでアルコール体(5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンスルトン)の消失を確認した。
反応終了後、分液操作を行って水層を除き、下記構造の5−クロロメトキシ−2,6−ノルボルナンスルトン24.1g(0.1mol)を含むジクロロメタン溶液234.5g(5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンスルトンに対して収率76.5%)を得た。
攪拌装置および温度計を取り付けた内容積300mLの三つ口フラスコに、前記第一工程で得た5−クロロメトキシ−2,6−ノルボルナンスルトン24.1g(0.1mol)を含むジクロロメタン溶液234.5g、4−メトキシフェノール0.035g(0.28mmol)、メタクリル酸10.7g(0.124mol)を仕込んだ。続いて、攪拌しながら内温2〜8℃で、トリエチルアミン11.9g(0.118mol)を30分かけて滴下した。
滴下終了後、25℃で2時間攪拌し、水150gを加えた。続いて分液を行って得た水層を酢酸エチル100gで2回抽出を行い、得られた有機層を合わせて水100gで洗浄し、その後減圧下で濃縮することで茶色固体28.7gを得た。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=3/7)で精製することにより、下記構造のメタクリル酸−4−オキサ−5−チオ−5,5−ジオキシド−トリシクロ[4,2,1,03,7]ノニル−2−オキシメチル10.49g(0.036mol、5−クロロメトキシ−2,6−ノルボルナンスルトンに対して収率31.6%)を得た。
2−ヒドロキシ−4,8−ジオキサ−5−チアトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン=5,5−ジオキシド(アルコール誘導体)の合成:
原料となるビニルスルホン酸メチルを、Angew.Chem.,77(7),291−302(1965)に記載された合成例に準じて合成した。具体的には、まず、攪拌機、温度計、滴下漏斗、三方コックを取り付けた内容積2Lの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下、2−クロロエタンスルホニルクロリド326.0g(2.00mol)を入れ、氷浴にて冷却し、次いで25質量%ナトリウムメトキシド(メタノール溶液)を滴下漏斗から内温が2〜5℃の範囲になるように滴下した。滴下終了後、氷浴を外して室温にて1時間攪拌した。反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮して、濃縮物を単蒸発操作することにより、ビニルスルホン酸メチル197.2g(純度97.3%、1.571mol)を得た(2−クロロエタンスルホニルクロリドに対して収率78.5%)。
攪拌装置、滴下漏斗および温度計を取り付けた内容積300mLの四つ口フラスコに、フラン150g(2.20mol)、ヨウ化亜鉛15.0gを入れ、25〜27℃にて滴下漏斗からビニルスルホン酸メチル41.5g(0.34mol)を加えた。そのままの温度で2日間攪拌を継続した後、反応液を1Lの分液漏斗に移した。水300mLで2回洗浄した後、減圧下に未反応のフランを留去して7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エン−5−スルホン酸メチル22.0gを得た。
攪拌装置、滴下漏斗および温度計を取り付けた内容積1000mLの四つ口フラスコに、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エン−5−スルホン酸メチル22.0gと塩化メチレン450gを順次入れ、4℃まで冷却し、撹拌下にm−クロロ過安息香酸22.9g(0.17mol)を10℃以下になるようにゆっくりと投入した。5〜7℃にて4時間攪拌した後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液100gを添加し、30分間攪拌した。静置して分液した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100gで3回洗浄した。得られた有機層を減圧下に濃縮して2,3−エポキシ−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エン−5−スルホン酸メチル20.2gを得た。
攪拌装置、滴下漏斗および温度計を取り付けた内容積300mLの四つ口フラスコに、5.0(mol/L)の水酸化ナトリウム水溶液を仕込み、滴下漏斗から2,3−エポキシ−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エン−5−スルホン酸メチル29.5gを内温が20〜23℃の範囲で滴下した。滴下終了から4時間撹拌した後、氷水で冷却しながら濃塩酸を滴下してpHを7.3とした後に、酢酸エチル300mLで4回抽出した後、得られた有機層を合わせて濃縮後、その濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製することにより、2−ヒドロキシ−4,8−ジオキサ−5−チアトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン=5,5−ジオキシド4.75g(純度98.8%、0.024mol)を得た。
攪拌装置、温度計を取り付けた内容積100mLの四つ口フラスコに、2−ヒドロキシ−4,8−ジオキサ−5−チアトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン=5,5−ジオキシド4.0g(20.8mmоl)、パラホルムアルデヒド1.04g(ホルムアルデヒド換算で34.7mmоl)、塩化メチレン32.4gを仕込み、攪拌しながら5℃以下に冷却した。次いで、塩化水素ガスを吹き込み、ガスクロマトグラフィーで2−ヒドロキシ−4,8−ジオキサ−5−チアトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン=5,5−ジオキシドの消失を確認した。
反応後、分液操作を行って水層を除き、2−クロロメトキシ−4,8−ジオキサ−5−チアトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン=5,5−ジオキシド3.78g(15.7mmоl)を含む塩化メチレン溶液32.6gを得た(収率75%)。
攪拌装置、温度計を取り付けた内容積100mlの四つ口フラスコに、2−クロロメトキシ−4,8−ジオキサ−5−チアトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン=5,5−ジオキシド1.16g(4.82mmоl)を含む塩化メチレン溶液10.0g、4−メトキシフェノール1mg、メタクリル酸0.52g(6.0mmоl)を仕込んだ。続いて、攪拌しながら内温2〜9℃で、トリエチルアミン0.57g(5.64mmоl)を30分かけて滴下した。
滴下終了後、10℃で30分攪拌し、水10gを加えた。続いて分液を行い、得られた有機層を減圧下に濃縮して残渣2.54gを得た。この残渣を、酢酸エチルを溶媒として再結晶し、2−メタクリルオキシメトキシ−4,8−ジオキサ−5−チアトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン=5,5−ジオキシド1.17g(4.03mmоl)を得た(収率84%)。
高分子化合物(a)の合成:
温度計、還流管、窒素導入管を繋いだセパラブルフラスコに、下記化学式(II−2)で表される化合物(II−2)11.95g(50.55mmol)、メチルエチルケトン17.75gおよびシクロヘキサノン17.75gを入れて溶解させ、80℃に加熱した。この溶液に、下記化学式(VII−10)で表される化合物(VII−10)19.34g(84.75mmol)、化合物(II−2)2.99g(12.64mmol)、実施例1で得たメタクリル酸−4−オキサ−5−チオ−5,5−ジオキシド−トリシクロ[4,2,1,03,7]ノニル−2−オキシメチル11.41g(39.56mmol)および重合開始剤として2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル4.31g(18.75mmol)をメチルエチルケトン42.44gおよびシクロヘキサノン42.44gの混合溶液に溶解させた溶液を、窒素雰囲気下、4時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応液を1時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。得られた反応重合液を大量のn−ヘプタンに滴下して、重合体を析出させ、沈殿した白色粉体をろ別、メタノールにて洗浄、乾燥して、下記高分子化合物(a)28.78gを得た。
この高分子化合物(a)について、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は9,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.68であった。また、13C−NMR(600MHz)により求めた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=45.2/33.7/21.1であった。
高分子化合物(b)の合成:
温度計、還流管、窒素導入管を繋いだセパラブルフラスコに、化合物(II−2)11.95g(50.55mmol)、メチルエチルケトン17.75gおよびシクロヘキサノン17.75gを入れて溶解させ、80℃に加熱した。この溶液に、化合物(VII−10)19.34g(84.75mmol)、化合物(II−2)2.99g(12.64mmol)、下記化学式(IV−2)で表される化合物(IV−2)8.79g(39.56mmol)および重合開始剤として2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル4.31g(18.75mmol)をメチルエチルケトン42.44gおよびシクロヘキサノン42.44gの混合溶液に溶解させた溶液を、窒素雰囲気下、4時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応液を1時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。得られた反応重合液を大量のn−ヘプタンに滴下して、重合体を析出させ、沈殿した白色粉体をろ別、メタノールにて洗浄、乾燥して、目的物である高分子化合物(b)26.32gを得た。
この高分子化合物(b)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は7,800、分子量分布(Mw/Mn)は1.91であった。また、13C−NMR(600MHz)により求めた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=45.1/33.8/21.1であった。
高分子化合物(c)の合成:
温度計、還流管、窒素導入管を繋いだセパラブルフラスコに、化合物(II−2)11.95g(50.55mmol)、メチルエチルケトン17.75gおよびシクロヘキサノン17.75gを入れて溶解させ、80℃に加熱した。この溶液に、化合物(VII−10)19.34g(84.75mmol)、化合物(II−2)2.99g(12.64mmol)、下記化学式(VI−2)で表される化合物(VI−2)7.84g(39.56mmol)および重合開始剤として2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル4.31g(18.75mmol)をメチルエチルケトン42.44gおよびシクロヘキサノン42.44gの混合溶液に溶解させた溶液を、窒素雰囲気下、4時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応液を1時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。得られた反応重合液を大量のn−ヘプタンに滴下して、重合体を析出させ、沈殿した白色粉体をろ別、メタノールにて洗浄、乾燥して、目的物である高分子化合物(c)26.58gを得た。
この高分子化合物(c)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は10,300、分子量分布(Mw/Mn)は1.86であった。また、13C−NMR(600MHz)により求めた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=45.2/33.7/21.1であった。
高分子化合物(d)の合成:
温度計、還流管、窒素導入管を繋いだセパラブルフラスコに、化合物(II−2)11.95g(50.55mmol)、メチルエチルケトン17.75gおよびシクロヘキサノン17.75gを入れて溶解させ、80℃に加熱した。この溶液に、化合物(VII−10)19.34g(84.75mmol)、化合物(II−2)2.99g(12.64mmol)、下記化学式(IX−2)で表される化合物(IX−2)10.22g(39.56mmol)および重合開始剤として2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル4.31g(18.75mmol)をメチルエチルケトン42.44gおよびシクロヘキサノン42.44gの混合溶液に溶解させた溶液を、窒素雰囲気下、4時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応液を1時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。得られた反応重合液を大量のn−ヘプタンに滴下して、重合体を析出させ、沈殿した白色粉体をろ別、メタノールにて洗浄、乾燥して、目的物である高分子化合物(d)27.12gを得た。
この高分子化合物(d)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は8,800、分子量分布(Mw/Mn)は1.75であった。また、13C−NMR(600MHz)により求めた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=45.2/33.7/21.1であった。
高分子化合物(e)の合成:
温度計、還流管、窒素導入管を繋いだセパラブルフラスコに、化合物(II−2)11.95g(50.55mmol)、メチルエチルケトン17.75gおよびシクロヘキサノン17.75gを入れて溶解させ、80℃に加熱した。この溶液に、化合物(VII−10)19.34g(84.75mmol)、化合物(II−2)2.99g(12.64mmol)、下記化学式(IX−5)で表される化合物(IX−5)12.51g(39.56mmol)および重合開始剤として2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル4.31g(18.75mmol)をメチルエチルケトン42.44gおよびシクロヘキサノン42.44gの混合溶液に溶解させた溶液を、窒素雰囲気下、4時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応液を1時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。得られた反応重合液を大量のn−ヘプタンに滴下して、重合体を析出させ、沈殿した白色粉体をろ別、メタノールにて洗浄、乾燥して、目的物である高分子化合物(e)28.54gを得た。
この高分子化合物(e)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は9,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.72であった。また、13C−NMR(600MHz)により求めた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=45.2/33.7/21.1であった。
高分子化合物(f)の合成:
温度計、還流管、窒素導入管を繋いだセパラブルフラスコに、化合物(II−2)11.95g(50.55mmol)、メチルエチルケトン17.75gおよびシクロヘキサノン17.75gを入れて溶解させ、80℃に加熱した。この溶液に、化合物(VII−10)19.34g(84.75mmol)、化合物(II−2)2.99g(12.64mmol)、2−メタクリルオキシメトキシ−4,8−ジオキサ−5−チアトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン=5,5−ジオキシド11.48g(39.56mmol)および重合開始剤として2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル4.31g(18.75mmol)をメチルエチルケトン42.44gおよびシクロヘキサノン42.44gの混合溶液に溶解させた溶液を、窒素雰囲気下、4時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応液を1時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。得られた反応重合液を大量のn−ヘプタンに滴下して、重合体を析出させ、沈殿した白色粉体をろ別、メタノールにて洗浄、乾燥して、下記高分子化合物(f)28.02gを得た。
この高分子化合物(f)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は9,400、分子量分布(Mw/Mn)は1.70であった。また、13C−NMR(600MHz)により求めた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=45.0/33.8/21.2であった。
(参考例1、19;比較例1〜4)
前記の高分子化合物の合成例1〜6でそれぞれ得た高分子化合物(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)を100質量部、光酸発生剤として「TPS−109」(製品名、成分;ノナフルオロ−n−ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、みどり化学株式会社製)4.5質量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/シクロヘキサノン混合溶剤(質量比=1:1)1896質量部を混合し、各例のフォトレジスト組成物を調製した。
各例のフォトレジスト組成物を、孔径0.2μmのメンブランフィルターを用いてそれぞれろ過した。
次いで、クレゾールノボラック樹脂(群栄化学工業株式会社製「PS−6937」)6質量%濃度のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコーティング法により塗布して、ホットプレート上で200℃、90秒間加熱することにより膜厚100nmの反射防止膜(下地膜)を形成させた直径10cmのシリコンウェハー上に、各例のフォトレジスト組成物をそれぞれスピンコーティング法により塗布し、ホットプレート上で130℃、90秒間プリベークして膜厚300nmのレジスト膜を形成させた。このレジスト膜に波長193nmのArFエキシマレーザーを用いて二光束干渉法露光した。引き続き、130℃、90秒間ポストエクスポージャーベークした後、2.38質量%−テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて60秒間現像処理することにより、1:1のラインアンドスペースパターンを形成させた。
現像済みウェハーを割断したものを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、線幅100nmのラインアンドスペースを1:1で解像した露光量におけるパターンの形状観察と線幅の変動(LWR)の測定を行った。
LWRは、測定モニタ内において、線幅を複数の位置で検出し、その検出位置のバラツキの分散(3σ)を指標とした。また、パターンの断面形状は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、パターンの矩形性が高いものを「良好」とし、短形性が低いものを「不良」として評価した。結果を表1に示す。
〈高分子化合物1の合成〉
温度計、還流管、窒素導入管を繋いだセパラブルフラスコに、10.0g(34.71mmol)の化合物(1)と6.24g(26.63mmol)の化合物(2) とを、21.6gのメチルエチルケトン(MEK)に溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイン酪酸ジメチル(V−601)を0.77mmol添加し、溶解させた。これを窒素雰囲気下、3時間かけて、80℃に加熱したMEK16.24gに滴下した。滴下終了後、反応液を4時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。
得られた反応重合液を大量のノルマルヘプタン/2−プロパノール混合溶液に滴下して重合体を析出させる操作を行い、沈殿した白色粉体をろ別、ノルマルヘプタン/2−プロパノール混合溶液、メタノールにて洗浄、乾燥して、目的物である高分子化合物1を11.3g得た。
この高分子化合物1について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は7,300であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.82であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m=60/40であった。
〈高分子化合物2〜20の合成〉
以下に示す化合物(1)〜(12)の所定量をそれぞれ用い、前記<高分子化合物の合成例7>と同様にして合成を行い、目的物である高分子化合物2〜20を得た。
得られた高分子化合物1〜20について、質量平均分子量(Mw)及び分子量分散度(Mw/Mn)を表2、3に併記した。
(参考例2〜18、比較例5〜7)
表4、5に示す各成分を混合して溶解することにより各例のフォトレジスト組成物を調製した。
(A)−1〜(A)−20:それぞれ前記高分子化合物1〜20。
(B)−1:下記構造式(B)−1で表される化合物。
(B)−2:下記構造式(B)−2で表される化合物。
(D)−1:トリ−n−ペンチルアミン。
(E)−1:サリチル酸。
(S)−1:PGMEA。
(S)−2:PGME。
12インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚89nmの有機系反射防止膜を形成した。
そして、該有機系反射防止膜上に、各例のフォトレジスト組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート温度110℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。
次に、前記レジスト膜上に、保護膜形成用塗布液「TILC−057」(商品名、東京応化工業株式会社製)を、スピンナーを用いて塗布し、90℃で60秒間加熱することにより、膜厚35nmのトップコートを形成した。
次に、ArF露光装置NSR−609B(ニコン社製;NA(開口数)=1.07,Cross pole(in/out=0.78/0.97)with Polano)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクを介してトップコートが形成された前記レジスト膜に対して選択的に照射した。
そして、表6に示す温度で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)で10秒間アルカリ現像し、純水を用いて15秒間水リンスし、振り切り乾燥を行った。
続いて、ホットプレート上で100℃、45秒間のポストベークを行った。
その結果、ライン幅49nm,ピッチ98nmの1:1のラインアンドスペース(LS)パターンがそれぞれ形成された。
前記Eopで形成されたLSパターンにおいて、測長SEM(走査型電子顕微鏡、加速電圧300V、商品名:S−9380、日立ハイテクノロジーズ社製)により、ライン幅を、ラインの長手方向に400箇所測定し、その結果から標準偏差(s)の3倍値(3s)を求め、400箇所の3sについて平均化した値を、LWRを示す尺度として算出した。その結果を表6に示す。
この3sの値が小さいほど、その線幅のラフネスが小さく、より均一幅のLSパターンが得られたことを意味する。
前記Eopで形成されたLSパターンにおいて、形成されたLSパターンの断面形状を、走査型電子顕微鏡(商品名:SU−8000、日立ハイテクノロジー社製)を用いて観察し、その形状を下記の評価基準により評価した。その結果を表6に示す。
(評価基準)
○:矩形性が高く、良好な形状であった。
×:テーパー形状(裾引き形状)であった。
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