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JP2013206625A - 燃料電池システム - Google Patents

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JP2013206625A
JP2013206625A JP2012072437A JP2012072437A JP2013206625A JP 2013206625 A JP2013206625 A JP 2013206625A JP 2012072437 A JP2012072437 A JP 2012072437A JP 2012072437 A JP2012072437 A JP 2012072437A JP 2013206625 A JP2013206625 A JP 2013206625A
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千大 和氣
Tomohisa Kamiyama
知久 神山
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

【課題】燃料電池を良好に暖機可能な燃料電池システムを提供する。
【解決手段】カソードを有し、前記カソードに酸化剤ガスが供給されることで発電する燃料電池スタック10と、カソードに向かう空気(酸素)の供給量を制御することでストイキ比を制御するストイキ比制御手段と、燃料電池スタック10の暖機が促進しているか否か判定する暖機促進判定手段と、を備え、システム起動時に所定条件が成立した場合に燃料電池スタック10の暖機を促進させる暖機促進起動モードで起動する燃料電池システム1であって、暖機促進起動モード中、暖機促進判定手段が燃料電池スタック10の暖機は促進していないと判定した場合、ストイキ比制御手段はストイキ比を小さくする。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
近年、燃料電池車等の電源として、水素(燃料ガス)及び酸素を含む空気(酸化剤ガス)が供給されることで発電する燃料電池が注目されている。このような燃料電池は、水素又は空気を電極反応させる触媒(Pt等)の種類に対応して、好適に発電する好適発電温度(例えば、PEFCでは80〜90℃)を有している。
ところで、燃料電池の使用環境は大きく変化するので、起動時における燃料電池の温度は大きく変化し、例えば、氷点下(0℃以下)になることもある。そこで、燃料電池を早期に暖機する方法として、燃料電池に供給される空気(酸素)のストイキ比を小さくする方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
ストイキ比とは、酸素の余剰率を意味し、アノードに供給されている水素と過不足なく反応するのに必要な酸素(必要酸素)に対して、実際の酸素(実際酸素)がどの程度余剰であるかを示す比である。
そして、ストイキ比を小さくすると、水素と酸素との反応によって取り出せるエネルギのうちの熱損失(発電損失)が増大、つまり、燃料電池の発電に伴う自己発熱量が増加する。よって、ストイキ比を小さくし、酸素不足状態に近づけると、濃度過電圧及び自己発熱量が増加し、燃料電池の暖機が促進されることになる。なお、このようにストイキ比を小さくする運転は低効率運転と称される。
特開2008−226591号公報
ところが、ストイキ比を小さくしても、燃料電池の暖機が予想通りに進まない場合がある。例えば、燃料電池の総使用時間(総発電時間)が短く、電極(カソード、アノード)を構成する触媒の活性が予想よりも高い場合である。このような場合、ストイキ比を小さくし、酸素量を減らしたとしても、カソードにおける電極反応が良好に進行するので、濃度過電圧及び自己発熱量が増加し難くなり、燃料電池の暖機が遅れてしまう。
また、燃料電池内に氷が存在する場合、燃料電池の暖機が予想通りに進まない虞がある。すなわち、ストイキ比を小さくすることで燃料電池の発熱量が増加したものの、この発熱量の一部が氷の融解に消費されてしまい、燃料電池の暖機が遅れてしまう。
そこで、本発明は、燃料電池を良好に暖機可能な燃料電池システムを提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段として、本発明は、カソードを有し、前記カソードに酸化剤ガスが供給されることで発電する燃料電池と、前記カソードに向かう酸化剤ガスの供給量を制御することでストイキ比を制御するストイキ比制御手段と、前記燃料電池の暖機が促進しているか否か判定する暖機促進判定手段と、を備え、システム起動時に所定条件が成立した場合に前記燃料電池の暖機を促進させる暖機促進起動モードで起動する燃料電池システムであって、前記暖機促進起動モード中、前記暖機促進判定手段が前記燃料電池の暖機は促進していないと判定した場合、前記ストイキ比制御手段はストイキ比を小さくすることを特徴とする燃料電池システムである。
このような構成によれば、暖機促進起動モードで運転中、暖機促進判定手段が燃料電池の暖機は促進していないと判定した場合、ストイキ比制御手段がストイキ比を小さくする。このようにストイキ比が小さくなると、燃料電池における発熱量が増加するので、燃料電池の暖機を促進できる。
また、前記燃料電池システムにおいて、前記燃料電池の温度を検出する温度検出手段と、前記燃料電池を暖機するため、前記燃料電池の温度に基づいて前記燃料電池において発生させるべき目標発熱量を算出する目標発熱量算出手段と、前記目標発熱量算出手段の算出した目標発熱量に基づいて、前記燃料電池の目標IV曲線を算出する目標IV曲線算出手段と、前記燃料電池の実際IV曲線を算出する実際IV曲線算出手段と、を備え、前記暖機促進判定手段は、実際IV曲線が目標IV曲線よりも高い場合、前記燃料電池の暖機は促進していないと判定することが好ましい。
このような構成によれば、暖機促進判定手段は、実際IV曲線が目標IV曲線よりも高い場合、燃料電池の暖機は促進していないと判定できる。
すなわち、燃料電池の総使用時間(総発電時間)が短く、実際IV曲線が目標IV曲線よりも高く、発熱量が不足していたとしても、暖機促進判定手段が燃料電池の暖機は促進していないと判定した後、ストイキ比制御手段がストイキ比を小さくするので、燃料電池の暖機を促進できる。
また、前記燃料電池システムにおいて、実際IV曲線が目標IV曲線よりも高く、前記暖機促進判定手段が前記燃料電池の暖機は促進していないと判定した場合、前記ストイキ比制御手段は、実際IV曲線と目標IV曲線との差が大きくなるにつれて、ストイキ比を小さくすることが好ましい。
このような構成によれば、ストイキ比制御手段が、実際IV曲線と目標IV曲線との差が大きくなるにつれて、ストイキ比を小さくするので、発熱量が大きくなる。これにより、燃料電池の不足発熱量(実際IV曲線と目標IV曲線との差)に対応して、発熱量を大きくできる。
また、前記燃料電池システムにおいて、前記ストイキ比制御手段は、実際IV曲線が目標IV曲線以下である場合、ストイキ比を維持することが好ましい。
このような構成によれば、ストイキ比制御手段が、実際IV曲線が目標IV曲線以下である場合、ストイキ比を維持する。これにより、カソードに供給される酸化剤ガスの流量は維持され、減少しない。したがって、カソードに滞留・付着する水分が増加することはなく、水分量に起因する燃料電池の安定性は維持される。
また、前記燃料電池システムにおいて、前記燃料電池を暖機するため、前記燃料電池の温度に基づいて前記燃料電池において発生させるべき目標発熱量を算出する目標発熱量算出手段と、前記燃料電池の実際発熱量を算出する実際発熱量算出手段と、を備え、前記暖機促進判定手段は、実際発熱量が目標発熱量よりも小さい場合、前記燃料電池の暖機は促進していないと判定することが好ましい。
このような構成によれば、暖機促進判定手段は、実際発熱量が目標発熱量よりも小さい場合、燃料電池の暖機は促進していないと判定できる。
すなわち、実際IV曲線が目標IV曲線と一致していた場合において、氷等の存在により、熱の一部が消失し、実際発熱量が目標発熱量よりも小さいとき、暖機促進判定手段が燃料電池の暖機は促進していないと判定した後、ストイキ比制御手段がストイキ比を小さくするので、燃料電池の暖機を促進できる。
また、前記燃料電池システムにおいて、実際発熱量が目標発熱量よりも小さく、前記暖機促進判定手段が前記燃料電池の暖機は促進していないと判定した場合、前記ストイキ比制御手段は、実際発熱量と目標発熱量との差が大きくなるにつれて、ストイキ比を小さくすることが好ましい。
このような構成によれば、ストイキ比制御手段が、実際発熱量と目標発熱量との差が大きくなるにつれて、ストイキ比を小さくするので、発熱量が大きくなる。これにより、燃料電池の不足発熱量(実際発熱量と目標発熱量との差)に対応して、発熱量を大きくできる。
また、前記燃料電池システムにおいて、前記燃料電池の暖機を完了すべき目標暖機完了時刻までの残り時間を算出する残り時間算出手段を備え、前記目標発熱量算出手段は、残り時間が短くなるにつれて、目標発熱量を大きくすることが好ましい。
このような構成によれば、目標発熱量算出手段が、残り時間が短くなるにつれて、目標発熱量を大きくするので、目標暖機完了時刻までに燃料電池の暖機を完了できる。
本発明によれば、燃料電池を良好に暖機可能な燃料電池システムを提供できる。
本実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。 本実施形態に係る燃料電池システムの動作を示すフローチャートである。 図2の目標ストイキ比の補正処理のサブフローチャートである。 燃料電池スタックの温度と、目標暖機完了時刻までの残り時間と、目標発熱量と、の関係を示すマップである。 目標発熱量と、目標スタック電流(目標セル電流)との関係を示すマップである。 目標スタック発熱量と、目標スタック電圧との関係を示すマップである。 目標ストイキ比と、濃度過電圧(目標スタック電圧)との関係を示すマップである。 スタック電流(セル電流)と、スタック電圧との関係を示すマップ(IV曲線マップ)である。 「実測IV曲線>目標IV曲線」の場合において、ストイキ比を小さくしたときを示すグラフである。 「実測IV曲線=目標IV曲線」で発熱量が不足する場合において、ストイキ比を小さくしたときを示すグラフである。
本発明の一実施形態について、図1〜図10を参照して説明する。
≪燃料電池システムの構成≫
燃料電池システム1は、図示しない燃料電池車に搭載されており、燃料電池スタック10(燃料電池)と、セル電圧モニタ15と、燃料電池スタック10のアノードに対して水素(燃料ガス、アノードガス)を給排するアノード系と、燃料電池スタック10のカソードに対して空気(酸化剤ガス、カソードガス)を給排するカソード系と、燃料電池スタック10を経由するように冷媒を循環させる冷媒系と、燃料電池スタック10の出力する電力(スタック電流、スタック電圧)を制御する電力制御系と、これらを電子制御するECU70(Electronic Control Unit、制御手段)と、を備えている。
<燃料電池スタック>
燃料電池スタック10は、複数(例えば200〜400枚)の固体高分子型の単セル11(燃料電池)が積層して構成されたスタックであり、複数の単セル11は電気的に直列で接続されている。単セル11は、MEA(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体)と、これを挟む2枚の導電性を有するセパレータと、を備えている。MEAは、1価の陽イオン交換膜等からなる電解質膜(固体高分子膜)と、これを挟むアノード及びカソード(電極)と、を備えている。
アノード及びカソードは、カーボンペーパ等の導電性を有する多孔質体と、これに担持され、アノード及びカソードにおける電極反応を生じさせるための触媒(Pt、Ru等)と、を含んでいる。
各セパレータには、各MEAの全面に水素又は空気を供給するための溝や、全ての単セル11に水素又は空気を給排するための貫通孔が形成されており、これら溝及び貫通孔がアノード流路12(燃料ガス流路)、カソード流路13(酸化剤ガス流路)として機能している。
そして、アノード流路12を介して各アノードに水素が供給されると、式(1)の電極反応が起こり、カソード流路13を介して各カソードに空気が供給されると、式(2)の電極反応が起こり、各単セルで電位差(OCV(Open Circuit Voltage)、開回路電圧)が発生するようになっている。次いで、燃料電池スタック10とモータ51等の外部回路とが電気的に接続され、電流が取り出されると、燃料電池スタック10が発電するようになっている。
2H→4H+4e …(1)
+4H+4e→2HO …(2)
また、各セパレータには、各単セル11を冷却する冷媒が通流する溝や、全ての単セル11に冷媒を給排するための貫通孔が形成されており、これら溝及び貫通孔が冷媒流路14として機能している。
<セル電圧モニタ>
セル電圧モニタ15は、複数の単セル11毎のセル電圧を検出する機器であり、モニタ本体と、モニタ本体と各単セルとを接続するワイヤハーネスとを備えている。
モニタ本体は、所定周期で全ての単セル11をスキャニングし、各単セル11のセル電圧を検出し、平均セル電圧、最低セル電圧を算出するようになっている。そして、モニタ本体(セル電圧モニタ15)は、平均セル電圧、最低セル電圧をECU70に出力するようになっている。
<アノード系>
アノード系は、水素タンク21(燃料ガス供給手段)と、常閉型の遮断弁22と、減圧弁23(レギュレータ)と、エゼクタ24と、常閉型のパージ弁25と、を備えている。
水素タンク21は、配管21a、遮断弁22、配管22a、減圧弁23、配管23a、エゼクタ24、配管24aを介して、アノード流路12の入口に接続されている。そして、遮断弁22がECU70によって開かれると、水素タンク21の水素が配管21a等を通ってアノード流路12に供給されるようになっている。
よって、アノード流路12に供給される燃料ガスが通流する燃料ガス供給流路は、配管21a、配管22a、配管23a及び配管24aを備えて構成されている。
減圧弁23は、カソード流路13を通流する空気の圧力と等しくなるように、水素の圧力を減圧(調整)するものである。
エゼクタ24は、配管23aからの水素をノズル(図示しない)で噴射することで負圧を発生させ、この負圧によって後記する水素を含むアノードオフガスを吸引し、水素を循環させる装置(真空ポンプ)である。
アノード流路12の出口は、配管24b(水素循環ライン)を介してエゼクタ24の吸気口に接続されている。そして、アノード流路12から排出された未反応の水素を含むアノードオフガス(燃料オフガス)は、配管24bを通ってエゼクタ24に供給され、水素が循環するようになっている。
配管24bは、配管25a、パージ弁25、配管25bを介して、後記する希釈器33に接続されている。そして、パージ弁25が、ECU70によって所定の開弁時間にて開かれると、未反応の水素、不純物(水分(水蒸気)、窒素等)を含むアノードオフガスが希釈器33に排出され、燃料電池スタック10の発電性能が回復するようになっている。
なお、ECU70は、複数の単セル11の電圧のうちの最低の電圧(最低セル電圧)が、所定セル電圧以下である場合、パージ弁25を開く必要があると判断するように設定されている。
<カソード系>
カソード系は、コンプレッサ31(酸化剤ガス供給手段、供給量(流量)制御手段)と、常開型の背圧弁32(供給量(流量)制御手段)と、希釈器33と、流量センサ34と、を備えている。
コンプレッサ31の吐出口は、配管31a(酸化剤ガス供給流路)を介して、カソード流路13の入口に接続されている。そして、コンプレッサ31は、ECU70の指令に従って作動すると、酸素を含む空気(外気)を吸気して吐出し、この空気が配管31aを通ってカソード流路13に供給されるようになっている。
また、コンプレッサ31(ストイキ比制御手段)の回転速度が制御されると、カソード流路13に供給(通流)する空気(酸素)の流量(供給量)が制御され、酸素のストイキ比が可変するようになっている。なお、コンプレッサ31、後記する冷媒ポンプ41は、燃料電池スタック10及び/又はバッテリを電源としている。
カソード流路13の出口には、配管32a、背圧弁32、配管32b、希釈器33、配管33aが順に接続されている。そして、カソード流路13から排出されたカソードオフガス(酸化剤オフガス)は、配管32a等を通って車外に排出されるようになっている。
よって、カソード流路13からの酸化剤オフガスを排出する酸化剤オフガス排出流路は、配管32a、配管32b及び配管33aを備えて構成されている。
背圧弁32は、カソード流路13における空気の圧力を制御するための弁であり、例えばバタフライ弁で構成され、その開度はECU70によって制御される。
希釈器33は、アノードオフガスとカソードオフガスとを混合し、アノードオフガスに含まれる水素を希釈する箱状容器であり、その内部に混合用(希釈用)の希釈空間を有している。そして、希釈後のガスは、配管33aを通って車外に排出されるようになっている。
流量センサ34は、配管31aに取り付けられており、カソード流路13に供給される空気(酸素)の流量を検出し、ECU70に出力するようになっている。
<冷媒系>
冷媒系は、冷媒流路14を経由するように冷媒を循環させる系であり、冷媒を圧送する冷媒ポンプ41と、冷媒の通流方向を切り替えるサーモスタット42と、冷媒の熱を車外(外部)に放出するラジエータ43(放熱器)と、温度センサ44(温度検出手段)と、温度センサ45(温度検出手段)と、を備えている。
冷媒ポンプ41の吐出口から順に、配管41a、冷媒流路14、配管42a、サーモスタット42、配管42b、ラジエータ43、配管43aが接続されており、配管43aの下流端は冷媒ポンプ41の吸入口に接続されている。そして、ECU70の指令に従って冷媒ポンプ41が作動すると、冷媒が冷媒流路14及びラジエータ43を経由して循環するようになっている。よって、冷媒流路14を通流する冷媒の流量は、冷媒ポンプ41の回転速度と比例関係である。
また、サーモスタット42は、配管42c(ラジエータバイパス流路)を介して、配管43aに接続されている。サーモスタット42は、システムの低温起動時等、冷媒の温度が低い場合に冷媒の通流方向を配管42c側に切り替える方向切替弁である。そして、このように切り替えられると、冷媒が配管42cを通流し、ラジエータ43をバイパスするようになっている。
温度センサ44は、配管41aに取り付けられており、冷媒流路14に流入する冷媒の温度T1を検出し、ECU70に出力するようになっている。
温度センサ45は、配管42aに取り付けられており、冷媒流路14から流出した直後の冷媒の温度T2を検出し、ECU70に出力するようになっている。なお、冷媒の温度T2は、燃料電池スタック10の温度と略等しい。
<電力制御系>
電力制御系は、モータ51と、電力制御器52と、コンタクタ53と、出力検出器54と、を備えている。モータ51は、電力制御器52、コンタクタ53、出力検出器54を介して、燃料電池スタック10の出力端子に接続されている。
モータ51は、燃料電池車を走行させるための駆動力を発生する電動機である。
なお、モータ51と電力制御器52との間には、ECU70の指令に従って、三相交流を発生させるPDU(Power Drive Unit、図示しない)が設けられている。
電力制御器52は、ECU70の指令に従って、燃料電池スタック10の出力(発電電力、スタック電流、スタック電圧)を制御する機能を備えている。このような電力制御器52は、DC−DCチョッパ回路等の各種電子回路を備えて構成されている。また、電力制御器52にはバッテリ(図示しない)が接続されており、電力制御器52はバッテリの充電/放電を制御する機能も備えている。
コンタクタ53は、ECU70からの指令に従って、燃料電池スタック10とモータ51等の外部回路とを電気的にON(接続)/OFF(遮断)するスイッチである。
出力検出器54は、燃料電池スタック10の出力するスタック電流値及びスタック電圧値を検出する機器であり、電流センサ及び電圧センサを備えている。出力検出器54は、検出したスタック電流値及びスタック電圧値をECU70に出力するようになっている。
<その他機器>
IG61は、燃料電池システム1(燃料電池車)の起動スイッチであり、運転席周りに設けられている。また、IG61はECU70と接続されており、ECU70はIG61のON信号(システム起動信号)、OFF信号(システム停止信号)を検知するようになっている。
<ECU>
ECU70は、燃料電池システム1を電子制御する制御装置であり、CPU、ROM、RAM、各種インタフェイス、電子回路などを含んで構成されており、その内部に記憶されたプログラムに従って、各種機器を制御し、各種処理を実行するようになっている。
<ECU−ストイキ比制御機能>
ECU70は、コンプレッサ31の回転速度を制御(可変)し、カソード流路13に向かう空気(酸素)の流量(供給量)を制御(可変)することで、カソードに供給される酸素のストイキ比を制御する機能を備えている。
<ECU−暖機促進判定機能>
ECU70は、低温起動モードでの運転中、(1)燃料電池スタック10の実測IV曲線(実際IV曲線)と目標IV曲線とを比較して、又は、(2)燃料電池スタック10の実際発熱量(実測発熱量)と目標発熱量とを比較して、燃料電池スタック10の暖機が促進しているか否か判定する機能を備えている。
なお、ここでは、燃料電池スタック10の実測電流(実際電流)と目標電流とを一致させた場合における実測(実際)スタック電圧と目標スタック電圧との比較が、燃料電池スタック10の実測IV曲線と目標IV曲線との比較に対応している。
<ECU−温度検出機能>
ECU70は、温度センサ45を介して検出される冷媒の温度T2と、冷媒ポンプ41の回転速度(冷媒の流量)とに基づいて、燃料電池スタック10の温度を検出する機能を備えている。
<ECU−実際発熱量算出機能>
ECU70は、温度センサ44を介して検出される冷媒の温度T1と、温度センサ45を介して検出される冷媒の温度T2と、冷媒ポンプ41の回転速度(冷媒の流量)とに基づいて、燃料電池スタック10の実測発熱量(実際発熱量)を算出(検出)する機能を備えている。
<ECU−残り時間算出機能>
ECU70は、燃料電池の暖機を完了すべき目標暖機完了時刻までの残り時間を算出する機能を備えている。
<ECU−目標発熱量算出機能>
ECU70は、温度センサ45を介して検出される冷媒の温度T2と、目標暖機完了時刻までの残り時間とに基づいて、燃料電池スタック10の目標発熱量を算出する機能を備えている。
<ECU−目標IV曲線算出機能>
ECU70は、目標発熱量に基づいて、目標スタック電流及び目標スタック電圧を算出し、目標IV曲線を算出する機能を備えている。
<ECU−実測(実際)IV曲線算出機能>
ECU70は、実測スタック電流及び実測スタック電圧に基づいて、実測IV曲線を算出する機能を備えている。
≪燃料電池システムの動作≫
次に、図2を参照して、燃料電池システム1の動作を説明する。
なお、初期状態(システム停止状態)において、燃料電池スタック10は発電停止状態である。そして、ECU70がIG61のON信号を検知すると、図2の処理がスタートする。
ステップS101において、ECU70は、冷媒ポンプ41をONし、冷媒を循環させる。この場合において、通常、冷媒は低温であるので配管42cを通流し、ラジエータ43をバイパス(迂回)する。
ステップS102において、ECU70は、アノード流路12を水素に、カソード流路13を空気(酸素)に置換する。
具体的には、ECU70は、遮断弁22を開いた後、パージ弁25を所定の開弁時間にて繰り返し開く。そうすると、アノード流路12における水素への置換が進み、水素濃度が上昇する。これに並行して、ECU70は、コンプレッサ31をONし、カソード流路13に空気を供給する。そうすると、カソード流路13における空気への置換が進み、酸素濃度が上昇する。これにより、各単セル11において、電極反応が進み、単セル11のOCVが上昇する。
ステップS103において、ECU70は、単セル11のOCV(平均セル電圧又は最低セル電圧)が、所定OCV以上であるか否か判定する。所定OCVは、燃料電池スタック10が発電開始可能と判断されるOCVであり、事前試験等により求められ、ECU70に予め記憶されている。
OCVは所定OCV以上であると判定した場合(S103・Yes)、ECU70の処理はステップS104に進む。OCVは所定OCV以上でないと判定した場合(S103・No)、ECU70はステップS103の判定を繰り返す。したがって、IG61のONから「ステップS103・Yes」となるまでの時間が、システム起動時の状況(アノード流路12における水素濃度等)に対応して、ばらつくことになる。
ステップS104において、ECU70は、コンタクタ53をONする。
ステップS105において、ECU70は、燃料電池システム1を低温起動モード(氷点下起動モード)で運転(起動)する必要があるか否か判定する。低温起動モードとは、システム起動時における燃料電池スタック10が低温であるため、通常起動モード(S121)に対して、発電に伴う燃料電池スタック10の自己発熱量を増加させ、燃料電池スタック10の暖機を促進するモードである。ここでは、温度センサ45を介して検出される冷媒の温度T2(燃料電池スタック10の温度)が、所定温度以下である場合、低温起動モードで運転する必要があると判定される。所定温度は燃料電池スタック10の暖機促進が必要と判断される温度(例えば0〜5℃)であり、事前試験等により求められ、ECU70に予め記憶されている。
低温起動モードで運転する必要があると判定した場合(S105・Yes)、ECU70の処理はステップS106に進む。なお、この場合が、システム起動時に所定条件が成立した場合である。低温起動モードで運転する必要がないと判定した場合(S105・No)、ECU70の処理はステップS121に進む。
<通常起動モード>
ステップS121において、ECU70は、燃料電池システム1を通常起動モードで運転する。通常起動モードとは、燃料電池スタック10に予め設定された通常流量・通常圧力で水素及び空気を供給しながら、燃料電池スタック10を例えばアイドリング状態(無負荷状態)よりもやや高めの出力で発電させ、発電に伴う自己発熱によって、燃料電池スタック10を通常に暖機するモードである。このような通常起動モードにおいて、カソード流路13に供給される空気のストイキ比は、酸素が過剰となるようにやや高めに設定される。
ステップS122において、ECU70は、燃料電池スタック10の暖機が完了したか否か判定する。ここでは、温度センサ45を介して検出される冷媒の温度T2(燃料電池スタック10の温度)が、所定暖機完了温度以上である場合、燃料電池スタック10の暖機は完了したと判定される。所定暖機完了温度は、暖機用の通常起動モードを終了し、定常モードに移行したとしても、その後の自己発熱により燃料電池スタック10の温度が定常運転温度(例えば、80〜90℃)に到達すると判断される温度(例えば、40〜60℃)に設定される。
燃料電池スタック10の暖機は完了したと判定した場合(S122・Yes)、ECU70の処理はステップS123に進む。燃料電池スタック10の暖機は完了していないと判定した場合(S122・No)、ECU70はステップS122の判定を繰り返す。
<定常モード>
ステップS123において、ECU70は、燃料電池システム1を定常モードで運転する。具体的には、ECU70は、アクセル開度等に基づいて算出される発電要求量(負荷要求量)に対応して、水素及び空気を供給しながら、燃料電池スタック10を発電させる。
その後、ECU70の処理はENDに進み、一連の処理を終了する。
<低温起動モード>
次に、「ステップS105・Yes」となって実行する低温起動モードにおける処理を説明する。
ステップS106において、ECU70は、目標発熱量を算出する。具体的には、ECU70は、温度センサ45を介して検出される冷媒(燃料電池スタック10)の温度T2と、暖機完了時刻までの残り時間と、図4のマップとに基づいて、目標発熱量を算出する(矢印A1参照)。図4のマップは、事前試験等により求められ、ECU70に予め記憶されている。
目標発熱量は、今回制御周期の間(今回S106と次回S106との間)に発生させるべき発熱量であり、燃料電池スタック10の温度T2が高くなるにつれて、目標発熱量が小さくなる関係となっている。その他に例えば、目標発熱量は、現在から燃料電池スタック10の暖機が完了したと判断される時までに燃料電池スタック10で発生させるべき発熱量、つまり、燃料電池スタック10の温度が前記暖機完了温度に到達するまでに発生させるべき発熱量ともできる。
残り時間は、現在時刻から目標暖機完了時刻までの時間である。目標暖機完了時刻は、システムの起動毎に、IG61のON時刻に、車両の商品性を考慮して設定された所定時間を加算することで設定される。そして、残り時間が短くなるにつれて、燃料電池スタック10の暖機を急ぐ必要があるため、目標発熱量が大きくなる関係となっている。
ステップS107において、ECU70は、目標スタック電流、目標スタック電圧及び目標ストイキ比を算出する。目標スタック電流は、燃料電池スタック10の出力する電流の目標値である。また、燃料電池スタック10は、複数の単セル11が電気的に直列で接続された構成であるので、目標スタック電流は目標セル電流(単セル11を通流する電流の目標値)と等しくなる。一方、目標スタック電圧は目標セル電圧の総和である総電圧となる。
具体的には、ECU70は、ステップS106で算出した目標発熱量と、図5のマップとに基づいて、目標スタック電流を算出する(矢印A2参照)。図5のマップは、事前試験等により求められ、ECU70に予め記憶されている。図5に示すように、目標発熱量が大きくなるにつれて、目標スタック電流が大きくなる関係となっている。
また、ECU70は、ステップS106で算出した目標発熱量と、図6のマップとに基づいて、目標スタック電圧を算出する(矢印A3参照)。図6のマップは、事前試験等により求められ、ECU70に予め記憶されている。図6に示すように、目標発熱量が大きくなるにつれて、目標スタック電圧は、急激に低下した後、所定値に近づく関係となっている。
また、ECU70は、算出した目標スタック電圧と、図7のマップとに基づいて、目標ストイキ比を算出する(矢印A4参照)。図7のマップは、事前試験等により求められ、ECU70に予め記憶されている。図7に示すように、目標スタック電圧が低くなるにつれて、濃度過電圧が大きくなるように、目標ストイキ比が小さくなる関係となっている。
このようにして算出された目標スタック電流及び目標スタック電圧に基づいて、ECU70に予め記憶されている複数のIV曲線(IV特性)から、今回目標とすべき目標IV曲線が算出(選択)されることになる(図8、矢印A5、矢印A6参照)。
ステップS108において、ECU70は、ステップS107で算出した目標スタック電流、目標スタック電圧及び目標ストイキ比に従って、燃料電池システム1を制御する。
具体的には、ECU70は、目標スタック電流を指令値として電力制御器52に出力し、電力制御器52はこれに従って燃料電池スタック10が実際に出力する電流を制御する。この場合において、ECU70は、出力検出器54を介して検出される実測スタック電流が、目標スタック電流となるように、フィードバックさせる。
また、ECU70は、目標ストイキ比となるように空気(酸素)の流量、つまり、コンプレッサ31の回転速度を制御する。これに加えて又は代えて、背圧弁32の開度を制御する構成としてもよい。
なお、ECU70がステップS108の処理を初めて実行する場合、ステップS108において、低温起動モードでの運転開始、つまり、低温起動モードにおいて燃料電池スタックが発電開始する。
ステップS200において、ECU70は、目標ストイキ比を補正する。具体的な内容は後で説明する。
ステップS109において、ECU70は、補正後の目標ストイキ比に従って、コンプレッサ31の回転速度を制御する。なお、後記するステップS205を経由していない場合、つまり、目標ストイキ比を補正していない場合、現状の目標ストイキ比を維持する。
ステップS110において、ECU70は、現在時刻から目標暖機完了時刻までの時間である残り時間が0であるか否か判定する。
残り時間は0であると判定した場合(S110・Yes)、ECU70の処理はステップS121に進む。残り時間は0でないと判定した場合(S110・No)、ECU70の処理はステップS111に進む。
ステップS111において、ECU70は、ステップS122と同様に、燃料電池スタック10の暖機が完了したか否か判定する。
燃料電池スタック10の暖機は完了したと判定した場合(S111・Yes)、ECU70の処理はステップS123に進む。燃料電池スタック10の暖機は完了していないと判定した場合(S111・No)、ECU70の処理はステップS106に進む。
<目標ストイキ比補正処理S200>
次に、図3を参照して、目標ストイキ比補正処理(S200)の内容を説明する。
ステップS201において、ECU70は、セル電圧モニタ15を介して検出され最低セル電圧が所定値よりも高いか否か判定する。所定値は、事前試験等により求められECU70に予め記憶されており、例えば、セル電圧が所定値以下になると、単セル11が劣化・破損する虞のある値(フェールセーフ値)に設定される。
最低セル電圧は所定値よりも高いと判定した場合(S201・Yes)、ECU70の処理はステップS202に進む。最低セル電圧は所定値よりも高くないと判定した場合(S201・No)、ECU70の処理はステップS203に進む。
ステップS202において、ECU70は、目標ストイキ比の補正値として、減算側(発熱量増加側、マイナス側)の値を設定する。なお、この減算側の補正値で仮に補正された場合、目標ストイキ比が小さくなって酸素が少なくなり、濃度過電圧が大きくなり、そして、スタック電圧が低下すると共に発熱量が増加することになる。
ステップS203において、ECU70は、目標ストイキ比の補正値として、加算側(発熱量増加側、プラス側)の値を設定する。なお、この加算側の補正値で仮に補正された場合、目標ストイキ比が大きくなって酸素が多くなり、濃度過電圧が小さくなり、そして、スタック電圧が上昇すると共に発熱量が低下することになる。
ステップS204において、ECU70は、出力検出器54を介して検出される燃料電池スタック10の実際に出力する電圧である実測スタック電圧が、図2のステップS107で算出した目標スタック電圧よりも高いか否か判定する。なお、実測スタック電流と目標スタック電流とは一致している。
実測スタック電圧は目標スタック電圧よりも高いと判定した場合(S204・Yes)、ECU70の処理はステップS205に進む。この場合は、例えば、燃料電池スタック10の総使用時間(総発電時間)が短く、触媒の活性が高いため、ストイキ比が小さくてもカソードにおける電極反応が良好に進行し、燃料電池スタック10の実際のIV曲線(実測IV曲線)が目標IV曲線よりも高い場合である(図9参照)。なお、このように実測IV曲線が目標IV曲線よりも高いと、濃度過電圧が小さくなり、燃料電池スタック10の発熱量が小さくなるので、燃料電池スタック10の暖機が遅れる傾向となる。
実測スタック電圧は目標スタック電圧よりも高くないと判定した場合(S204・No)、ECU70の処理はステップS206に進む。
ステップS206において、ECU70は、実測発熱量が目標発熱量よりも小さいか否か判定する。実測発熱量は、今回制御周期(前回S200〜今回S200)において、燃料電池スタック10で実際に発生し暖機に寄与した発熱量である。目標発熱量は、今回制御周期(前回S200〜今回S200)において、燃料電池スタック10で生成しておくべき発熱量であり、図2のステップS106で算出された発熱量である。
ただし、発熱量を算出する期間は、今回制御周期に限定されず、その他に例えば、今回発電開始から現在としてもよい。
<実測発熱量の算出方法1>
燃料電池スタック10の温度は、(1)冷媒流路14から流出し温度センサ45を介して検出される冷媒の温度T2の上昇速度と、冷媒の流量とに基づいて算出される。これは、燃料電池スタック10の温度の上昇速度が高くなるにつれて、また、冷媒の流量が小さくなるにつれて、冷媒の温度T2の上昇速度が大きくなるという関係を有しており、発電(暖機)開始前において、燃料電池スタック10の温度は冷媒の温度と略等しいからである。冷媒の流量は、冷媒ポンプ41の回転速度に基づいて算出される。
そして、冷媒の温度T2の上昇速度と、冷媒の流量とに基づいて、燃料電池スタック10の温度の上昇速度が算出される。そして、燃料電池スタック10の温度の上昇速度と、今回制御周期の時間とに基づいて、今回制御周期における実測発熱量が算出される。
<実測発熱量の算出方法2>
また、燃料電池スタックの温度は、(2)冷媒流路14に流入し温度センサ44を介して検出される冷媒の温度T1と、冷媒流路14から流出し温度センサ45を介して検出される冷媒の温度T2との温度差(ΔT=T2−T1)と、冷媒の流量とに基づいて算出される。これは、燃料電池スタック10の温度の上昇速度が高くなるにつれて、また、冷媒の流量が小さくなるにつれて、冷媒流路14前後における冷媒の温度差ΔTが大きくなるという関係を有しているからである。
これにより、冷媒の温度差ΔTと、冷媒の流量とに基づいて、燃料電池スタック10の温度の上昇速度が算出される。そして、燃料電池スタック10の温度の上昇速度と、今回制御周期の時間とに基づいて、今回制御周期における実測発熱量が算出される。
<実測発熱量の算出方法3>
燃料電池スタック10の温度は、冷媒流路14から流出し温度センサ45を介して検出される冷媒の温度T2と略等しいと考えることもできる。このように考える場合、発電(暖機)開始前及び現在における冷媒の温度T2(燃料電池スタック10の温度)に基づいて、今回制御周期における実測発熱量が算出される。
実測発熱量は目標発熱量よりも小さいと判定した場合(S206・Yes)、ECU70の処理はステップS205に進む。この場合は、例えば、実測IV曲線が目標IV曲線と一致し、実測スタック電流が目標スタック電流と一致し、実測スタック電圧が目標スタック電流と一致しているにも関わらず(図10参照)、燃料電池スタック10内に多量の氷が存在するため、生成した熱が前記氷の融解で消失し、燃料電池スタック10の暖機が遅れている場合である。
実測発熱量は目標発熱量よりも小さくないと判定した場合(S206・No)、ECU70の処理はENDを経由して図2のステップS109に進む。
なお、ステップS203を経由している場合のみ、ステップS203で算出した補正値に従って目標ストイキ比を補正する構成としてもよい。このような構成にすれば、空気の流量が増加し、例えば、燃料電池スタック10内の水が押し出され、燃料電池スタック10の劣化を防止できる。
ステップS205において、ECU70は、図1のステップS107で算出した現在の目標ストイキ比を、ステップS202又はステップS203で算出した補正値で補正する。
すなわち、ステップS202を経由している場合、ECU70は、目標ストイキ比を減算側(熱増加側)の補正値で補正する。これにより、目標ストイキ比は小さくなり、図2のステップS109において、この補正後の目標ストイキ比に従ってコンプレッサ31の回転速度が制御され、つまり、コンプレッサ31の回転速度が低下すると、濃度過電圧が大きくなって、スタック電圧が低下し(図9、図10参照)、燃料電池スタック10の発熱量が増加し、燃料電池スタック10の暖機がさらに進むことになる。
また、ステップS203を経由している場合、ECU70は、目標ストイキ比を加算側(熱減少側)の補正値で補正する。これにより、目標ストイキ比は大きくなり、図2のステップS109において、この補正後の目標ストイキ比に従ってコンプレッサ31の回転速度が制御され、つまり、コンプレッサ31の回転速度が増加すると、空気の流量が増加し、例えば、燃料電池スタック10内の水が押し出され、最低セル電圧が上昇し、燃料電池スタック10の劣化を防止できる。
その後、ECU70の処理は、ENDを経由して図2のステップS109に進む。
≪燃料電池システムの効果≫
このような燃料電池システム1によれば次の効果を得る。
最低セル電圧が所定値よりも高く(S201・Yes)、実測スタック電流が目標スタック電流と一致している場合において、実測スタック電圧が目標スタック電圧よりも高いとき(S204・Yes)、つまり、実測IV曲線が目標IV曲線よりも高いとき、目標ストイキ比を小さくするので(S205)、燃料電池スタック10における発熱量が増加し、燃料電池スタック10を良好に暖機できる(図9、矢印A7参照)。
この場合において、実測スタック電圧と目標スタック電圧との差(実際IV曲線と目標IV曲線との差)が大きくなるにつれて、目標ストイキ比を小さくすることが好ましい。このようにすれば、燃料電池スタック10の不足発熱量(実際IV曲線と目標IV曲線との差)に対応して、発熱量を大きくできる。
実測スタック電流が目標スタック電流と一致している場合において、実測スタック電圧が目標スタック電圧以下(実測IV曲線が目標IV曲線以下)であり(S204・No)、実測発熱量が目標発熱量以上であるとき(S206・No)、目標ストイキ比を維持する。これにより、カソードに供給される空気(酸素)の流量は維持され、減少しない。したがって、カソード流路13に滞留・付着する水分が増加することはなく、水分量に起因する燃料電池スタック10の安定性が悪化することはない。
最低セル電圧が所定値よりも高い場合において(S201・Yes)、実測スタック電流が目標スタック電流に一致し、実測スタック電圧が目標スタック電圧に一致していたとしても(S204・No)、実測発熱量が目標発熱量よりも小さいとき(S206・Yes)、目標ストイキ比を小さくするので(S205)、燃料電池スタック10における発熱量が増加し、燃料電池スタック10を良好に暖機できる(図10、矢印A8参照)。
この場合において、実測発熱量と目標発熱量との差が大きくなるにつれて、目標ストイキ比を小さくすることが好ましい。このようにすれば、燃料電池スタック10の不足発熱量に対応して、発熱量を大きくできる。
目標暖機完了時刻までの残り時間が短くなるにつれて、目標発熱量を大きくするので(図4参照)、目標暖機完了時刻までに燃料電池スタック10の暖機を完了できる。
≪変形例≫
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、次のように変更してもよい。
前記した実施形態では、図3のステップS201において、最低セル電圧に基づいて判定する構成を例示したが、その他に例えば、平均セル電圧や、平均セル電圧と最低セル電圧との電圧差(平均セル電圧−最低セル電圧)に基づいて判定する構成としてもよい。
前記した実施形態では、ステップS204・Noの後、ステップS206の判定処理を実行する構成を例示したが、その他に例えば、ステップS206を省略する構成としてもよい。また、ステップS204を省略し、ステップS202、S203の後、ステップS206を実行する構成としてよい。また、ステップS202、S203の後、ステップS206を実行し、ステップS206・Noの後、ステップS204を実行する構成としてもよい。
前記した実施形態では、本発明を、複数の単セル11が直列に接続されてなる燃料電池スタック10に適用した構成を例示したが、1つの単セル11に適用してもよい。
前記した実施形態では、燃料電池車に搭載された燃料電池システム1を例示したが、適用箇所はこれに限定されず、例えば、定置型の燃料電池システムでもよい。
1 燃料電池システム
10 燃料電池スタック(燃料電池)
11 単セル(燃料電池)
12 アノード流路
13 カソード流路
31 コンプレッサ(酸化剤ガス供給手段、ストイキ比制御手段)
32 背圧弁(ストイキ比制御手段)
44、45 温度センサ(温度検出手段)
70 ECU(ストイキ比制御手段、暖機促進判定手段、目標発熱量算出手段、目標IV曲線算出手段、実際IV曲線算出手段、実際発熱量算出手段)

Claims (7)

  1. カソードを有し、前記カソードに酸化剤ガスが供給されることで発電する燃料電池と、
    前記カソードに向かう酸化剤ガスの供給量を制御することでストイキ比を制御するストイキ比制御手段と、
    前記燃料電池の暖機が促進しているか否か判定する暖機促進判定手段と、
    を備え、
    システム起動時に所定条件が成立した場合に前記燃料電池の暖機を促進させる暖機促進起動モードで起動する燃料電池システムであって、
    前記暖機促進起動モード中、
    前記暖機促進判定手段が前記燃料電池の暖機は促進していないと判定した場合、前記ストイキ比制御手段はストイキ比を小さくする
    ことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃料電池の温度を検出する温度検出手段と、
    前記燃料電池を暖機するため、前記燃料電池の温度に基づいて前記燃料電池において発生させるべき目標発熱量を算出する目標発熱量算出手段と、
    前記目標発熱量算出手段の算出した目標発熱量に基づいて、前記燃料電池の目標IV曲線を算出する目標IV曲線算出手段と、
    前記燃料電池の実際IV曲線を算出する実際IV曲線算出手段と、
    を備え、
    前記暖機促進判定手段は、実際IV曲線が目標IV曲線よりも高い場合、前記燃料電池の暖機は促進していないと判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 実際IV曲線が目標IV曲線よりも高く、前記暖機促進判定手段が前記燃料電池の暖機は促進していないと判定した場合、
    前記ストイキ比制御手段は、実際IV曲線と目標IV曲線との差が大きくなるにつれて、ストイキ比を小さくする
    ことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記ストイキ比制御手段は、実際IV曲線が目標IV曲線以下である場合、ストイキ比を維持する
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の燃料電池システム。
  5. 前記燃料電池を暖機するため、前記燃料電池の温度に基づいて前記燃料電池において発生させるべき目標発熱量を算出する目標発熱量算出手段と、
    前記燃料電池の実際発熱量を算出する実際発熱量算出手段と、
    を備え、
    前記暖機促進判定手段は、実際発熱量が目標発熱量よりも小さい場合、前記燃料電池の暖機は促進していないと判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  6. 実際発熱量が目標発熱量よりも小さく、前記暖機促進判定手段が前記燃料電池の暖機は促進していないと判定した場合、
    前記ストイキ比制御手段は、実際発熱量と目標発熱量との差が大きくなるにつれて、ストイキ比を小さくする
    ことを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
  7. 前記燃料電池の暖機を完了すべき目標暖機完了時刻までの残り時間を算出する残り時間算出手段を備え、
    前記目標発熱量算出手段は、残り時間が短くなるにつれて、目標発熱量を大きくする
    ことを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
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