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JP2013203640A - 複合酸化物粉末の製造方法 - Google Patents

複合酸化物粉末の製造方法 Download PDF

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Miyuki Yamada
美幸 山田
Takeshi Yanagihara
武 楊原
Masakuni Ozawa
正邦 小澤
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Abstract

【課題】比表面積や酸素吸蔵能に優れた複合酸化物粉末の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の複合酸化物粉末は、第一金属酸化物からなり一次粒径が15nm以下である第一基粒子が凝集して二次粒径が20nm以上となった二次粒子からなるコア部と、第一金属酸化物と異なる第二金属酸化物からなり一次粒径が40nm以下である第二基粒子が該コア部の外表面に結合してなるシェル部と、で構成された複合酸化物合成粒子からなることを特徴とする。この複合酸化物粉末は、例えば、第一金属酸化物ゾルと第二金属酸化物ゾルとを混合する混合工程と、その混合ゾルをミリング等して第一金属酸化物粒子を凝集させる凝集工程と、その凝集物を乾燥させる乾燥工程と、その乾燥物を焼成させる焼成工程と、その焼成物を解砕する解砕工程とを経て得られる。
【選択図】図1A

Description

本発明は、少なくとも比表面積が大きい複合酸化物合成粒子からなる複合酸化物粉末およびその製造方法に関する。
自動車エンジン等の内燃機関から排出された排ガスは窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を含むが、それら物質は大気排出前に排ガス浄化用触媒で酸化または還元されて浄化される。この排ガス浄化用触媒として、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)等の貴金属を金属酸化物担体に担持させた三元触媒が代表的である。
金属酸化物担体は、比表面積が大きいことに加えて、排ガス中の酸素濃度の変動を吸収できる酸素吸蔵能(OSC:Oxygen Storage Capacity)に優れることが求められる。このような観点から、金属酸化物担体には、表面積が大きなアルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)等の他、OSCに優れるセリア(CeO)が用いられることが多い。セリアは、OSCに優れるのみならず、担持した貴金属(特に白金)の粒成長(シンタリング)を抑制するともいわれている。このようなセリアを金属酸化物担体に用いた例が下記の特許文献1にある。
特開2005−314133号公報
特許文献1は、ジルコニア水性ゾルとセリア水性ゾルを1:1で混合した混合ゾルのpHをそれぞれの粒子の等電点付近に調整することで凝集を生じさせ、ジルコニアを中心部としセリアを外皮部とした構造をもつ金属酸化物粒子を提案している。しかし、その合成後の金属酸化物粒子は、粒径が50nm未満と小さく([0014]参照)、その表面におけるCeO濃度は高々56%(XPS定量分析値)に過ぎず、ジルコニアの外周囲をセリアが十分に覆っているとは言い難い。また特許文献1に記載された具体的な測定データは、表面に存在するCeOの濃度のみであり、比表面積やOSC等は何ら評価されていない。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、従来の金属酸化物粒子よりも、少なくとも比表面積が大きい複合酸化物合成粒子からなる複合酸化物粉末およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し試行錯誤を重ねた結果、酸化ジルコニウムゾルと酸化セリウムゾルの混合ゾルを十分にミリングした後、乾燥、焼成することにより、微細な酸化ジルコニウム粒子が凝集した二次粒子の表面に、微細な酸化セリウム粒子が結合した複合酸化物合成粒子を得ることに成功した。そしてこの複合酸化物合成粒子は、比表面積が大きく、優れた酸素吸蔵能を発揮することもわかった。この成果を発展させることにより、以降に述べる一連の本発明を完成するに至った。
《複合酸化物粉末》
(1)本発明の複合酸化物粉末は、第一金属酸化物からなり一次粒径が15nm以下である第一基粒子が凝集して二次粒径が20nm以上となった二次粒子からなるコア部と、該第一金属酸化物と異なる第二金属酸化物からなり一次粒径が40nm以下である第二基粒子が該コア部の外表面に結合してなるシェル部と、で構成された複合酸化物合成粒子からなることを特徴とする。
(2)本発明の複合酸化物粉末を構成する複合酸化物合成粒子は、第一金属酸化物からなる微細な第一基粒子が凝集して大きくなった二次粒子の表面に、第二金属酸化物からなる微細な第二基粒子が緻密に結合したコアシェル構造体からなる。第一基粒子および第二基粒子の一次粒径が小さいため、この複合酸化物合成粒子は、従来の金属酸化物粒子よりも大きな比表面積を有する。
また複合酸化物合成粒子は、第二基粒子が微粒子であるため少量でも、第一基粒子の二次粒子の表面が第二基粒子により十分に被覆された状態となっている。このため本発明によれば、第二基粒子の使用量を抑制しつつ、第二基粒子に特有な機能を十分に発現させ得る。
《複合酸化物粉末の製造方法》
本発明の複合酸化物粉末は、その製造方法を問わないが、例えば、次のような本発明の製造方法により得られる。すなわち本発明の複合酸化物粉末は、第一金属酸化物からなる第一コロイド粒子が分散媒中に分散した第一金属酸化物ゾルと、該第一金属酸化物と異なる第二金属酸化物からなる第二コロイド粒子が分散媒中に分散した第二金属酸化物ゾルとを混合した混合ゾルを得る混合工程と、該混合ゾル中の該第一コロイド粒子と該第二コロイド粒子が凝集した凝集粒子を含む凝集物を得る凝集工程と、該凝集物を乾燥させた乾燥物を得る乾燥工程と、該乾燥物を焼成された焼成物を得る焼成工程と、該焼成物を解砕する解砕工程とを備え、前記第一金属酸化物からなるコア部と該コア部の外表面に前記第二金属酸化物が結合してなるシェル部とで構成された複合酸化物合成粒子からなる複合酸化物粉末が得られることを特徴とする複合酸化物粉末の製造方法によって得られる。
なお、コロイド粒子は、液体(特に水)に分散している微粒子である。ゾルは、コロイド粒子を液体である分散媒に分散させた分散系であり、コロイド溶液ともいう。分散媒は、水の他、アルコール、アセチルアセトン等の有機分散媒でもよい。
《その他》
特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した具体的な数値または数値範囲に含まれる任意の数値を、新たな下限値または上限値として「a〜b」のような数値範囲を任意に新設し得る。
試料1に係る複合酸化物合成粒子のTEM写真である。 試料3に係る複合酸化物合成粒子のTEM写真である。 各試料に係るX線回折パターンである。
発明の実施形態を挙げて本発明をより詳しく説明する。上述した本発明の構成に、本明細書中から選択した一つまたは二つ以上の構成を任意に付加し得る。本明細書で説明する内容は、本発明に係る複合酸化物粉末のみならず、その製造方法にも適宜適用される。製造方法に関する構成は、プロダクトバイプロセスクレームとして理解すれば物に関する構成ともなり得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《複合酸化物粉末》
(1)基粒子および二次粒子
本発明の複合酸化物粉末は、少なくとも2種以上の金属酸化物からなる基粒子で構成される。少なくともその一種である第一金属酸化物からなる第一基粒子がコア部を構成し、他種の第二金属酸化物からなる第二基粒子がコア部の表面に結合してシェル部を構成する。
金属酸化物の具体的な組成は問わない。金属酸化物は、例えば、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン(チタニア)、酸化セリウム(セリア)等である。このうち、第二金属酸化物は、触媒用金属酸化物担体やガラス研磨材等に適した希土類元素の酸化物、特に酸化セリウムが好ましい。また第一金属酸化物は、耐熱性、高強度、酸素イオン導電性等に優れる酸化ジルコニウムが好ましい。特に第一金属酸化物が酸化ジルコニウムであり、第二金属酸化物が酸化セリウムであると、熱安定性が高くOSC向上に非常に優れた効果を発揮するため好ましい。
一次粒径は、いずれの基粒子の場合も、15nm以下、12nm以下さらには10nm以下であると好ましい。一次粒径が過大では、十分な比表面積や酸素吸蔵能等の確保が困難となる。一次粒径の下限値は問わないが、敢えていうと、1nm以上さらには3nm以上であると好ましい。なお、本発明に係る一次粒径の特定方法については後述する。
第一基粒子が凝集した二次粒子の粒径(二次粒径)は、20nm以上、50nm以上さらには60nm以上であると好ましい。二次粒径の上限値は、敢えていうと、170nm以下さらには150nm以下であると好ましい。二次粒径が過小では第二金属酸化物とコアシェル構造を取りにくく、第二金属酸化物の使用量をあまり抑制できず、二次粒径が過大では第二金属酸化物に特有な効果の発現が低下し得る。なお、本発明に係る二次粒径の特定方法についても後述する。
第二金属酸化物の使用量を低減しつつ、コアシェル構造からなる好特性の複合酸化物合成粒子を得るには、第二金属酸化物(例えばセリア)に対する一金属酸化物(例えばジルコニア)のモル比が1.5〜9、2〜7さらには3〜5であると好ましい。このモル比が過小では第二金属酸化物の使用量の低減を図れず、過大では機能材である第二金属酸化物が過少となり好特性な複合酸化物合成粒子が得られない。
(2)特性および構造
複合酸化物合成粒子の比表面積は、周知のBET法で測定される。本発明の複合酸化物合成粒子は比表面積が大きく、比表面積は20m/g以上さらには22m/g以上となり得る。
複合酸化物合成粒子の構造は、X線回折(XRD)により特定される。例えば、第一金属酸化物が酸化ジルコニウムであり、第二金属酸化物が酸化セリウムである場合、両者を分散、焼成させると、酸化ジルコニウムが原料段階の単斜晶酸化ジルコニウム(m−ZrO)から正方晶酸化ジルコニウム(t−ZrO)へ相転移することが知られている。この相転移の進行具合つまり正方晶酸化ジルコニウムの生成具合をXRDで観察することにより、酸化ジルコニウムと酸化セリウムの分散状況を把握できる。
具体的にいうと、複合酸化物合成粒子に特性X線(CuKα線/波長λ=1.5418Å)を照射して得られたX線回折パターンに基づき、単斜晶ジルコニアの最大ピークの強度Im(2θ=28.189°/θ:入射角、2θ:回折角)と正方晶ジルコニアの最大ピークの強度It(2θ=29.953°)を特定する。これらからピーク強度比(It/Im)を求めることにより、酸化ジルコニウムと酸化セリウムの分散状況の把握が可能となる。このピーク強度比は1.7以上、1.8以上さらには1.9以上であると好ましい。ピーク強度比が過小では酸化ジルコニウムと酸化セリウムの分散が不十分となり、複合酸化物合成粒子の比表面積や酸素吸蔵能等の大幅な向上を図ることは難しい。
(3)用途
本発明の複合酸化物粉末は、その用途を問わないが、例えば、排ガス浄化用触媒、特にその金属酸化物担体として用いられると好ましい。この他、本発明の複合酸化物粉末はガラス研磨材等としても利用され得る。なお、複合酸化物粉末の用途や仕様に応じて、第一金属酸化物や第二金属酸化物、粒径等は適宜選択されると好ましい。
《複合酸化物粉末の製造方法》
本発明の複合酸化物粉末の製造方法は、少なくとも混合工程、凝集工程、乾燥工程、焼成工程および解砕工程を備える。これら各工程について以下に説明する。
(1)混合工程
混合工程は、原料となる少なくとも2種以上の金属酸化物ゾルを混合した混合ゾルを得る工程である。すなわち混合工程では、少なくともその一種である第一金属酸化物ゾルと他種の第二金属酸化物ゾルが混合される。各金属酸化物の種類(組成)については、上述した複合酸化物粉末の場合と同様である。
金属酸化物ゾルは、前述したように、コロイド粒子が分散媒中に分散したものであり、このコロイド粒子が複合酸化物合成粒子を構成する基粒子となる。従って基粒子について説明した内容(一次粒径等)はコロイド粒子についても該当する。すなわち、第一コロイド粒子と第二コロイド粒子の一次粒径は共に40nm以下であると好ましい。また、混合される各金属酸化物ゾルの割合についても、前述した第一金属酸化物と第二金属酸化物のモル比に関する内容が該当する。
(2)凝集工程
凝集工程は、混合ゾル中の第一コロイド粒子と第二コロイド粒子を凝集させた凝集粒子を得る工程である。この凝集工程は、具体的にいうと例えば、混合ゾルをメディアを用いてミリングするミリング工程である。メディアはジルコニアボール、シリカボール、アルミナボール等、公知のものを利用できるが、第一金属酸化物と同組成のものを利用すると好ましい。ミリング条件は適宜選択されるが、例えば、50〜500rpmで10〜100時間行えばよい。
第一コロイド粒子を酸化ジルコニウム粒子、第二コロイド粒子を酸化セリウム粒子とした場合、凝集工程中に酸化ジルコニウム粒子表面に酸化セリウム粒子が凝集した状態となっている。このような状態物を本発明では凝集物という。
ちなみに本発明に係る凝集工程により、そのような特有の凝集現象が生じる理由は次のように考えられる。酸化ジルコニウム粒子および酸化セリウム粒子は、それぞれ分散剤によって安定したコロイド状態となっている。ミリングによる凝集工程を行うことで、メディアからのエネルギーによりその安定状態が崩れ、酸化ジルコニウム粒子と酸化セリウム粒子の凝集が進行する。
(3)乾燥工程
乾燥工程は、凝集物を乾燥させて乾燥物を得る工程であり、具体的には、凝集物中に含まれる水等の分散媒を蒸発等させて除去する工程である。乾燥工程は、大気中で自然乾燥させることも考えられるが、例えば、凝集物を80〜150℃さらには100〜130℃に加熱して乾燥させる加熱乾燥工程を行えば効率的である。この乾燥温度が過小では乾燥時間が長くなる。乾燥温度が過大では金属酸化物ゾル中に含まれていた有機物等が硬化、炭化等して、複合酸化物合成粒子の形態に影響し得る。従って加熱乾燥工程を行う場合、乾燥温度は上記の範囲内とするのが好ましい。
(4)焼成工程
焼成工程は、乾燥物を焼成させて焼成物を得る工程である。乾燥物を急激に焼成させると、金属酸化物粒子が緻密に結合した焼成物が得られ、比表面積や酸素吸蔵能等の低下を招く。そこで焼成工程は、低温焼成工程と、該低温焼成工程後の高温焼成工程とからなると好適である。具体的には、低温焼成工程は、乾燥物を450〜700℃さらには550〜650℃で焼成させた低温焼成物を得る工程とすると好ましい。また高温焼成工程は、低温焼成物を750〜1150℃さらには800〜1050℃で焼成させた高温焼成物を得る工程とすると好ましい。なお、低温焼成工程と高温焼成工程は連続的に行えばよい。
(5)解砕工程
解砕工程は、焼成物を解砕して粉末状とする工程である。この解砕工程は各種のミルやミキサー等を用いて行うことができる。こうして得られた複合酸化物粉末は、第一金属酸化物のコロイド粒子(第一基粒子)からなるコア部とコア部の外周囲に第二金属酸化物のコロイド粒子(第二基粒子)が結合してなるシェル部とで構成された複合酸化物合成粒子となっている。ちなみに本発明の複合酸化物粉末は粒径が5〜20μmであると好ましい。この粒径はレーザー回折/散乱式粒度分布計で測定して特定される。
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
《試料の製造》
〈試料1〜7〉
(1)原料
酸化ジルコニウムゾル(第一金属酸化物ゾル)と酸化セリウムゾル(第二金属酸化物ゾル)を用意した。各ゾルともに分散媒は水(イオン交換水)と有機アミンからなる溶液である。試料3および試料4に係る酸化セリウムゾルはpH8であったが、それ以外のゾルは全てpH9.5であった。
酸化ジルコニウムゾル中に分散している酸化ジルコニウム粒子(第一コロイド粒子、第一基粒子)と、酸化セリウムゾル中に分散している酸化セリウム粒子(第二コロイド粒子、第二基粒子)の一次粒径は表1に示した。この一次粒径はBET法で求めた比表面積から次式に基づいて計算により算出した。一次粒径(nm)=6/(D×S)×1000
ここで、Dは粒子の真比重(g/cm)、Sは比表面積(m/g)である。
また酸化ジルコニウム粒子からなる二次粒径の粒径(二次粒径)は、動的光散乱式粒度分布計により測定し、その値を表1に併せて示した。
(2)製造
上記の両ゾルを表1に示す混合比(モル比)で混合して混合ゾルを得た(混合工程)。この混合ゾルをセラミックス製のポット(容積:2L)に入れ、そこへメディア(ジルコニアボール:直径10mm):1kgを加えた。このポットをボールミルにセットして、回転数175rpmで回転させた(凝集工程、ミリング工程)。この操作を行った時間(ミリング時間)は表1に併せて示した。
こうして得られた混合ゾル(凝集物)とメディアを分離し、回収した混合ゾルを110℃×24時間加熱して乾燥させた(加熱乾燥工程)。得られた乾燥物を大気中で軽く解砕して粉末状の乾燥物とした。
この粉末状の乾燥物を、電気炉で600℃×3時間加熱して焼成させた(低温焼成工程)。これに引き続いて、得られた低温焼成物を電気炉で1000℃×3時間加熱して焼成させ、高温焼成物を得た(高温焼成工程)。こうして焼成工程を2段階に分け、焼成を緩やかに進行させた。
得られた高温焼成物をプロペラ式ミキサーで解砕して平均粒径14μmの複合酸化物粉末を得た(解砕工程)。
〈試料C1〉
酸化ジルコニウムゾルを酸化ジルコニウム粉末に替えて、試料3と同様な方法で複合酸化物粉末を製造した。
〈試料C2〉
酸化ジルコニウムゾルを水酸化ジルコニウム粉末に替えて、試料3と同様な方法で複合酸化物粉末を製造した。
〈試料C3〉
ミリング工程を省略して、他は試料1と同様な方法で複合酸化物粉末を製造した。
《測定》
(1)外観
得られた各複合酸化物粉末を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。試料1および試料3に係るTEM写真を、それぞれ図1Aおよび図1B(両図を併せて図1という。)に示した。
(2)X線回折(XRD)
各試料から任意に抽出した複合酸化物合成粒子について、その構造解析を粉末X線回折装置(株式会社リガク製Multi Flex)を用いて行った。用いた特性X線はCuKα線(波長λ=1.5418Å)である。各試料について得られたX線回折パターンから、単斜晶酸化ジルコニウム(m−ZrO)の最大ピーク値Im(2θ=28.189°)と正方晶酸化ジルコニウム(t−ZrO)の最大ピーク値It(2θ=29.953°)との比(ピーク強度比:It/Im)を求めた。その結果を表1に併せて示した。なお、試料1、試料2および試料C3に係るX線回折パターンを図2に例示した。
(3)比表面積
各試料に係る複合酸化物合成粒子の比表面積をBET法により測定した。この測定は、各試料から任意に抽出した約1gの粉末について、BET比表面積測定装置(株式会社島津製作所製トライスター)を用いて行った。その結果を表1に併せて示した。
(4)酸素吸蔵能
各試料に係る複合酸化物合成粒子の酸素貯蔵能(OSC)を次のようにして求めた。先ず、各試料に係る複合酸化物粉末を圧縮成形したペレットを作製し、これを供試材(約0.1g)とした。この供試材を耐久試験装置に充填し、水素ガスとアルゴンガスの混合ガスからなる雰囲気中で、800℃まで昇温した。これにより供試材の還元処理を行った。引き続き、600℃まで冷却したアルゴンガス雰囲気へ酸素を導入して、供試材へ酸素を吸収させた。このときの酸素の吸収量に基づいて各試料のOSCを算出した。その結果を表1に併せて示した。
《評価》
(1)粒形態
図1からわかるように、本実施例に係る複合酸化物合成粒子は、酸化ジルコニウム粒子からなる二次粒子(コア部)の外周囲に、酸化セリウム粒子(シェル部)がほぼ均一的に薄く結合した状態となっている。
この酸化ジルコニウム粒子に係る二次粒径は80〜130nm程度であり、その外周囲にある酸化セリウム粒子は3〜10nm程度であることもわかる。
また表1からわかるように、試料1〜5のピーク強度比は、いずれも1.7以上さらには1.8以上である。このピーク強度比は、試料6、試料7、試料C1および試料C3のピーク強度比より十分に大きい。このことからも、試料1〜5に係る複合酸化物合成粒子は、酸化ジルコニウム粒子と酸化セリウム粒子が単に均一に混在した状態ではなく、酸化セリウム粒子が酸化ジルコニウムからなる二次粒子の外周囲に適度に分散している状態にあることがわかる。なお、試料C2に係る酸化ジルコニウム粒子の一次粒子は非常に微粒子であるため、酸化ジルコニウム粒子と酸化セリウム粒子が均一に分散し、ピーク強度比が大きくなったと考えられる。
(2)比表面積と酸素吸蔵能
上述した複合酸化物合成粒子の粒形態が、比表面積または酸素吸蔵能に反映されていることが表1からわかる。すなわち、試料1〜5はいずれも、比表面積が20m/g以上であり、OSCも5ml/g以上であり、共に非常に高い値となっている。
(3)混合比(モル比)
表1に示した試料1〜5と試料6〜7の比較から次のことがわかる。ZrO/CeOの混合比が試料6のように過大になると、複合酸化物合成粒子の比表面積は十分に大きくなるものの、その酸素吸蔵能は小さくなる。これは複合酸化物合成粒子を構成する機能材であるCeO(第二金属酸化物)が相対的に過少になったためと考えられる。逆に、その混合比が試料7のように過小になっても、酸素吸蔵能は十分に大きくなるが、希少なCeOの使用量が相対的に増え、その使用量を十分に低減できなくなる。また、焼結性の高いCeOの存在量が増加するため、比表面積が低下する。
(4)試料C1〜C3
これに対して試料C1のように、酸化ジルコニウムゾルを用いずに、一次粒径が比較的大きな酸化ジルコニウム粉末を用いた場合、ピーク強度比、比表面積およびOSCのいずれも非常に小さくなっている。試料C1に係る合成粒子は、酸化ジルコニウム粒子と酸化セリウム粒子の分散が進行しておらず、試料1〜5のような好適なコアシェル構造体にはなっていないと考えられる。
また試料C2のように、酸化ジルコニウムゾルを用いずに、一次粒径が十分に小さい水酸化ジルコニウム粉末を用いた場合、ピーク強度比は非常に高いが、比表面積およびOSCは共に非常に小さい。試料C2に係る合成粒子は、水酸化ジルコニウム粒子と酸化セリウム粒子の分散は十分に進行しているが、水酸化ジルコニウムから酸化ジルコニウムへの変化の過程で焼結が進行し、比表面積が低下したと考えられる。
さらに試料C3のように、試料1と同様に酸化ジルコニウムゾルと酸化セリウムゾルを用いた場合でも、凝集工程(ミリング工程)を行わない場合、比表面積は大きいものの、ピーク強度比およびOSCは共に非常に小さい。試料C3に係る合成粒子は、酸化ジルコニウムゾルと酸化セリウムゾルの安定状態がそれぞれ保たれたままとなっており、コアとなる酸化ジルコニウム粒子表面に酸化セリウム粒子が結合できず、やはり、試料1〜5のような好適なコアシェル構造体にはなっていないと考えられる。

Claims (8)

  1. 第一金属酸化物からなる第一コロイド粒子が分散媒中に分散した第一金属酸化物ゾルと、該第一金属酸化物と異なる第二金属酸化物からなる第二コロイド粒子が分散媒中に分散した第二金属酸化物ゾルとを混合した混合ゾルを得る混合工程と、
    該混合ゾル中の該第一コロイド粒子と該第二コロイド粒子が凝集した凝集粒子を含む凝集物を得る凝集工程と、
    該凝集物を乾燥させた乾燥物を得る乾燥工程と、
    該乾燥物を焼成された焼成物を得る焼成工程と、
    該焼成物を解砕する解砕工程とを備え、
    前記第一金属酸化物からなるコア部と該コア部の外表面に前記第二金属酸化物が結合してなるシェル部とで構成された複合酸化物合成粒子からなる複合酸化物粉末が得られることを特徴とする複合酸化物粉末の製造方法。
  2. 前記凝集工程は、前記混合ゾルをメディアを用いてミリングするミリング工程である請求項1に記載の複合酸化物粉末の製造方法。
  3. 前記乾燥工程は、前記凝集物を80〜150℃に加熱して乾燥させる加熱乾燥工程である請求項1または2に記載の複合酸化物粉末の製造方法。
  4. 前記焼成工程は、低温焼成工程と、該低温焼成工程後の高温焼成工程とからなる請求項1または3に記載の複合酸化物粉末の製造方法。
  5. 前記低温焼成工程は、前記乾燥物を450〜700℃で焼成させた低温焼成物を得る工程であり、
    前記高温焼成工程は、該低温焼成物を750〜1150℃で焼成させた高温焼成物を得る工程である請求項4に記載の複合酸化物粉末の製造方法。
  6. 前記混合工程は、前記第二金属酸化物に対する前記第一金属酸化物のモル比が1.5〜9となる前記混合ゾルを得る工程である請求項1に記載の複合酸化物粉末の製造方法。
  7. 前記第一金属酸化物は酸化ジルコニウムであり、
    前記第二金属酸化物は酸化セリウムである請求項1〜6のいずれかに記載の複合酸化物粉末の製造方法。
  8. 前記第一コロイド粒子の一次粒径は15nm以下であり、
    前記第一コロイド粒子の二次粒径は20nm以上であり、
    前記第二コロイド粒子の一次粒径は40nm以下である請求項1または7に記載の複合酸化物粉末の製造方法。
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