本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
まず、図1を用いて、実施形態の概要について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るカジノシステムの全体像を模式的に示す概略図である。
カジノシステム1802は、管理サーバブロック2820と、顧客端末ブロック1821と、スタッフ端末ブロック1822とを備えている。
管理サーバブロック2820は、カジノホールサーバ1861と、為替サーバ2862と、カジノ・ホテルスタッフ管理サーバ1860と、会員管理サーバ1864と、ICカード・金銭管理サーバ1865と、メガバックスサーバ1866と、画像サーバ1867とを備えている。
カジノホールサーバ1861は、カジノ内の金銭の流れを集計し、賃借表等を作成するとともに、管理サーバブロック2820内の各サーバを管理するためのサーバである。為替サーバ2862は、為替情報を通信回線1823を介して外部(インターネット1815)から取得するためのサーバである。カジノ・ホテルスタッフ管理サーバ1860は、カジノ・ホテルで働くスタッフの勤怠管理やカジノ内におけるスタッフの現在位置の把握等を行うためのサーバである。会員管理サーバ1864は、会員の個人情報や過去の遊技結果等の会員情報の管理を行うためのサーバである。ICカード・金銭管理サーバ1865は、キャッシュレスのICカードによる売り上げを集計するためのサーバである。メガバックスサーバ1866は、プログレッシブ付与のための蓄積値の管理やプログレッシブ付与の決定を行うためのサーバである。画像サーバ1867は、カジノ内に設けられたカメラにより撮影されたスタッフやプレーヤの顔の画像を保存し、管理するためのサーバである。
図2に示すように、顧客端末ブロック1821は、PTS(プレーヤトラッキングシステム)端末1700を搭載したスロットマシン等のスロットマシン1010と、精算機1868とを備えている。スロットマシン1010は、PTS端末1700を介して管理サーバブロック2820とネットワークにより接続されている。本実施形態では、1つのスロットマシン1010に対して、その筐体の一部に1つのPTS端末1700が設けられている。
スタッフ端末ブロック1822(図1)は、スタッフ管理端末1869と、会員カード発券端末1870とを備えている。スタッフ管理端末1869は、カジノ・ホテルスタッフ管理サーバ1860により制御される。スタッフ管理端末1869は、カジノ・ホテルスタッフ管理サーバ1860から受信した信号に基づき、スタッフが携帯するPersonal Digital Assistant(PDA)(図示せず)等に情報を送信したり、スタッフが携帯する携帯電話機との通信を開始させたりする。
会員カード発券端末1870は、カメラを備えており、会員カード(ICカード)の発券時に、ICカードの発券を受けるプレーヤの顔の撮影を行う。撮影した画像は、顧客IDと対応付けて画像サーバ1867に保存される。また、会員カードの発券時や会員登録時に入力された会員の個人情報は、会員管理サーバ1864に顧客IDと対応付けて保存される。
本実施形態では、PTS端末1700は、通信回線(又はスロットマシン1010)を介して、紙幣識別器1022と接続されている(後述)。
図2は、PTS端末1700に両替機能を一体化した構成を示す概念図である。この場合、PTS端末1700において、プレーヤ識別部(人体検出カメラ1712(1713)、マイク1704(1705)、人体検知センサ1115(図12))を設け、プレーヤを認証する。PTS端末1700では、従来のシステム通信を持つことにより、既存システムとの互換性を保ちつつ、追加機能としての通信ラインにより、認証に関する情報や両替に関する情報を専用ラインにより追加することができる。さらに、図2に示すPTS端末1700を一体化したスロットマシン1010においては、管理サーバブロック2820(図1)から種々の情報をダウンロードすることができると共に、管理サーバブロック2820との通信により、メガバックス、画像記録、ゲームにおけるプレーヤ個人のための個人レスキュー等のサービスを提供することができる。
紙幣識別器1022は、複数の国(通貨)の紙幣を受け入れることが可能であり、投入された紙幣の金種(通貨の種類)、金額を判別し、これらを表す金種データ及び金額データを出力する。また、投入された紙幣を識別し得なかった場合には、エラーデータを出力する(後述)。PTS端末1700は、当該PTS端末1700(スロットマシン1010)が設置されている国の通貨を予め記憶しており、紙幣識別器1022から出力される金種データ、金額データに基づいて、これらのデータを、PTS端末1700が設置されている国の通貨の価値に変換する(後述)。なお、この紙幣識別器1022としては、図101について後述する紙幣処理装置3001を用いることができる。
例えば、PTS端末1700(スロットマシン1010)が設置されている国が米国である場合、日本の紙幣を紙幣識別器1022に投入すると、PTS端末1700により、為替レートに基づいて、米国の通貨への変換(両替)が行われる。そして、変換(両替)後の通貨量を示す変換後通貨量データがPTS端末1700からゲーミングマシンに対して送信される。そのため、プレーヤは、米国の通貨以外の通貨を使用して、ゲーミングマシンで遊技を行うことができる。なお、変換(両替)後の通貨量は、変換(両替)前の通貨量から、所定の手数料(以下、両替手数料ともいう)に相当する通貨量を引いた通貨量と等価である。
また、両替手数料に相当する通貨量を示す両替手数料データがPTS端末1700からメガバックスサーバ1866に対して送信される。メガバックスサーバ1866は、受信した両替手数料データが示す通貨量に基づいて、ボーナス用蓄積値を更新する。そして、ボーナス用蓄積値が特定値に達した場合には、いずれかのゲーミングマシンにジャックポットとしてコインの払い出しが行われる。このように、本実施形態では、両替手数料を原資としたボーナスが付与される。
図3は、カジノシステムにおける処理手順を示すタイミングチャートである。図3に示すように、本実施形態のカジノシステム1802において、為替サーバは、インターネット1815から為替データをダウンロードして、為替サーバ2862内のメモリに記憶されている為替データを更新する(ステップS1011)。これにより、為替サーバ2862においては、常に最新の為替データが記憶される。
一方、紙幣識別器1022に紙幣が投入されて金種及び金額が識別されると、金種データ及び金額データが識別結果としてPTS端末1700へ送信される(ステップS1013)。識別結果は、PTS端末1700のメモリに格納される。
PTS端末1700は、定期的に為替サーバ2862に対して為替データを要求し、(ステップS1014)、これに応じて、為替サーバ2862は、更新された為替データをPTS端末1700へ送信する(ステップS1015)。
PTS端末1700は、最新の為替データに基づいて、紙幣識別器1022から送信された識別結果を現地通貨の金額データに変換するためのレート計算を行う(ステップS1016)。PTS端末1700は、レート計算の結果得られた現地通貨に換算した金額データを、さらにゲーム用のクレジットデータに変換し、これを計算結果としてゲーミングマシンコントローラへ送信する(ステップS1017)。また、PTS端末1700は、レート計算の結果得られた現地通貨に換算した金額データを、ICカード/金銭管理サーバ1865へ送信する(ステップS1018)。
ゲーミングマシンコントローラは、計算結果を表示部(後述)に表示し(ステップS1019)、また、投入され現地通貨の価値へ変換された金額に基づいてゲームを実行する。ゲーム結果は、ゲーミングマシンコントローラからPTS端末1700へ送信され(ステップS1021)、PTS端末1700において、ゲーム結果に基づく払出し計算が行われて(ステップS1022)、プレーヤに払い出される金額が決定される。PTS端末1700では、この決定された金額を、現地通貨に換算した金額データのままICカードに書き込んで、このICカードを排出する(ステップS1023)。なお、プレーヤによって金額データが記憶されているICカードがPTS端末1700に挿入されている場合には、この挿入されているICカードの金額データに対して、ゲームの結果獲られた金額データを加算することによりこれを更新することになる。
また、ICカード/金銭管理サーバ1865は、PTS端末1700から送信された計算結果(ステップS1018)を、このときPTS端末1700が設けられたスロットマシン1010でプレーするプレーヤを特定する情報と共にこの金額データを記憶することにより、プレーヤとPTS端末1700に投入された金額との対応を常に管理する。
図4は、ゲーミングマシン(スロットマシン)1010の概要を示す説明図である。なお、以下の説明では、ゲーミングマシンとしてスロットマシンを用いる場合について説明するが、本発明は、スロットマシンに限らず、種々のゲームを行うゲーミングマシンに適用することができる。
図4に示すように、本発明のスロットマシン1010は、シンボル表示装置1016に備えられた下側画像表示パネル1141において、5列の擬似リール1151〜1155を構成する表示窓1150を表示する。擬似リール1151〜1155には、それぞれ複数のシンボル1501が配列され、プレーヤの操作に応じて回転するようになっている。また、スロットマシン1010は、回転した擬似リール1151〜1155が停止することによるシンボル1501の配置状態によって、所定の役に応じた配当を付与する所謂スロットゲームを実行する。なお、複数のシンボル1501については、後述する。
また、表示窓1150の上方には、クレジット数表示部1400が表示されており、現在のクレジット数が表示されている。ここで、『クレジット』とは、プレーヤがBETする際に使用するゲーム上での仮想の遊技媒体である。なお、クレジット数表示部1400には、プレーヤが現在所有するクレジットの合計数が表示されるようになっている。
また、クレジット数表示部1400の下方には、端数現金表示部1403が表示されている。端数現金表示部1403には、端数現金が表示されている。『端数現金』とは、投入された金額が足らないために、クレジットに換算されなかった現金の事である。
ここで、本実施形態の場合、後述するPTS端末1700から投入された現金は、PTS端末1700が為替レートデータおよびデノミデータを用いて、クレジット換算される。例えば、為替レートデータ内の為替情報により、1ドル95円であるとし、デノミデータ内のクレジット変換率により、1クレジットが2ドルであるとする。この時、PTS端末1700から投入された現金が、日本通貨で10000円の場合、PTS端末1700は、先ず、10000円を105ドルと25円に変換する。その後、105ドルは52クレジットと1ドルに変換される。従って、PTS端末1700から投入された10000円は、52クレジットと120円に換算される。ここで、120円は、ドル換算およびクレジット換算による端数金の合計であり、この端数金の情報を含む端数現金データが、管理サーバブロック2820のICカード/金銭管理サーバ1865に記憶されるようになっている。なお、管理サーバブロック2820のICカード/金銭管理サーバ1865は、後述するICカード1500がそれぞれ所有する識別コードごとに端数現金データを累積して記憶している。
ここで、『ICカード1500』とは、クレジットデータなどの各種データの記録や演算をするためのIC(Integrated Circuit)を組み込んだカードのことである。プレーヤは、ICカード1500を用いることによりクレジット関連データを所有でき、さらに、異なるスロットマシン間において自由に持ち運びすることができる。クレジット関連データとは、現地通貨単位での現金データと、識別コードと、を少なくとも含んだデータである。そして、プレーヤは、スロットマシン1010のPTS端末1700にICカード1500を挿入することにより、ICカード1500内に記憶された金額データを使用して、スロットマシン1010において使用することができる。
なお、プレーヤは、遊技店などに設置される機械から、コインや紙幣などの現金を現金データとして、ICカード1500に貯めることができてもよい。
また、本実施形態のICカード1500には、表示部1510が設けられており、プレーヤは、スロットマシン1010にICカード1500を挿入することにより、精算時にはICカード1500内に蓄積された金額データを確認することができる。さらに、スロットマシン1010に備えられた下側画像表示パネル1141上のクレジット数表示部1400には、プレーヤが所有するICカード1500に蓄積された金額データがクレジット換算されて表示されるようになっている。即ち、プレーヤは、自身が所有する金額を、スロットマシン1010のクレジット数表示部1400で確認することができるとともに、ICカード1500の表示部1510においても確認することができるようになっている。
例えば、図4に示すように、プレーヤがクレジットの精算を行った時、スロットマシン1010の内部に入っていたICカード1500は、プレーヤが引き出し易い程度の位置まで排出される。この時、表示部1510は、プレーヤが視認できる程度に露出した状態である。また、露出した表示部1510には、今回の精算によってプレーヤが所有する全金額である『10000円』が表示されている。また、下側画像表示パネル1141には、『10000円』をクレジット換算した結果である、クレジット数(クレジット数表示部1400における『52』)と、端数現金(端数現金表示部1403における『120』)と、が表示されている。その後、プレーヤがICカード1500を完全に引き抜くと、表示部1510、クレジット数表示部1400クレジット、および端数現金表示部1403の表示が消えるようになっている。なお、端数現金表示部1403に表示される端数現金は、現地通貨単位でも良いし、特定の共通単位であっても良い。
また、ICカード1500は、スロットマシン1010へ完全に入り込まずに、表示部1510が露出した状態で挿入され、プレーヤが、ICカード1500内のクレジットを使用する過程を確認しながら、遊技できるようになっていてもよい。さらに、クレジットが更新された直後に表示部1510に表示される現金データ表示更新されていてもよい。
ここで、ICカード1500内に備えられた後述する表示書き込みIC1505には、現金データなどの情報を含むクレジット関連データが記憶されている。前述したように、『クレジット関連データ』とは、クレジットに関するデータであり、本実施形態の場合、少なくとも、現金データと識別コードを含む。なお、このクレジット関連データは、クレジット数を表示部1510に表示するための表示データとしても使用される。
このように、本実施形態のICカード1500は、表示書き込みIC1505のクレジットデータが表示部1510に表示されることによって、表示書き込みIC1505に記憶されたクレジット関連データを外部から視認することができる。従って、スロットマシン1010により表示書き込みIC1505のクレジット関連データが書き替えられたときに、書き替えられたクレジット関連データを表示部1510の表示により確認することができる。また、スロットマシン1010により書き替えられる表示書き込みIC1505のクレジット関連データが表示部1510の表示に用いられることによって、同一の記憶部に記憶されたクレジット関連データがスロットマシン1010による更新用と表示用とに共用された状態となる。これにより、記憶部のクレジット関連データを表示用のデータとして他の記憶部に転送したり、記憶部のクレジット関連データを更新すると同時に他の記憶部に表示用のデータとして記憶する処理を実行してから表示したりする場合と比較して、データ転送時のノイズなどによるデータの不一致の発生が防止されるため、高い信頼性でクレジットデータを表示部1510に表示することができる。
また、外部装置によりデータが更新された直後に、表示部1510の表示により更新されたデータを確認することができるため、ゲーム中において常にICカード1500のデータを確認できるという安心感を得ることができる。
なお、図4に示すシンボル1501は、特定シンボル1503と通常シンボル1502とで複数のシンボル1501を構成している。即ち、シンボル1501は、特定シンボル1503および通常シンボル1502の上位概念である。特定シンボル1503は、ワイルドシンボル1503aとトリガーシンボル1503bとを含む。ワイルドシンボル1503aは、任意の種類のシンボル1501として代用することが可能なシンボルである。トリガーシンボル1503bは、少なくともボーナスゲームの実行を開始させるトリガーとなるシンボルである。即ち、トリガーシンボル1503bは、通常ゲームからボーナスゲームに移行させるトリガーとなり、ボーナスゲームの実行を開始してから特定シンボル1503を、時間を置いて段階的に増加させるトリガーとなる。さらに、トリガーシンボル1503bは、ボーナスゲームにおいて特定シンボル1503を増加、即ち、トリガーシンボル1503bおよびワイルドシンボル1503aの少なくとも一方の特定シンボル1503を増加させるトリガーとなる。なお、トリガーシンボル1503bは、ボーナスゲームにおいてボーナスゲームのゲーム数を増加させるトリガーとされてもよい。
また、『ボーナスゲーム』とは、フィーチャーゲームと同義である。本実施形態におけるボーナスゲームは、フリーゲームを繰り返すゲームとして説明しているが、ボーナスゲームは、通常ゲームよりも有利な遊技状態であれば、どのような種類のゲームであってもよい。また、プレーヤにとって有利な遊技状態、即ち、通常ゲームより有利な遊技状態であれば、他のボーナスゲームを合わせて採用してもよい。例えば、ボーナスゲームは、通常ゲームより多くの遊技価値を獲得し得る状態、通常ゲームより高い確率で遊技価値を獲得し得る状態、通常ゲームより遊技価値の消費数が少なくなる状態等の各種の状態を単独や組み合わせて実現されてもよい。
また、『フリーゲーム』とは、通常ゲームよりも遊技価値のBETを少なく実行可能であるゲームのことである。『遊技価値のBETを少なく実行可能』は、BETが“0”の場合を含む。従って、『フリーゲーム』は、遊技価値のBETを条件とすることなく実行され、再配置されたシンボル1501に応じた量の遊技価値を支払うゲームのことであってもよい。換言すれば、『フリーゲーム』とは、遊技価値の消費を前提とせずに開始されるゲームであってもよい。これに対し、『通常ゲーム』は、遊技価値のBETを条件として実行され、再配置されたシンボル1501に応じた量の遊技価値を支払うゲームのことである。換言すれば、『通常ゲーム』とは、遊技価値の消費を前提として開始されるゲームのことである。
『再配置』とは、シンボル1501の配置が解除された後、再びシンボル1501が配置される状態を意味する。『配置』とは、シンボル1501が外部のプレーヤに対して目視により確認可能な状態であることを意味する。
(ゲーミングマシンの機能フロー)
図5を参照して、本実施形態に係るスロットマシン1010の基本的な機能について説明する。
図5に示すように、スロットマシン1010は、スロットマシン1010にデータ通信可能に接続された外部制御装置1621(センターコントローラ1200)を有している。外部制御装置1621は、ホール内に設置された複数のスロットマシン1010にデータ通信可能に接続されている。
スロットマシン1010は、BETボタン1601(図9に示すBETボタン(1−BETボタン1034〜10−BETボタン1039)とスピンボタン1602とディスプレイ1614とを有しているとともに、これらの各部を制御するゲームコントローラ1100を有している。なお、BETボタン1601とスピンボタン1602は、インプットデバイスの一種である。さらに、スロットマシン1010は、外部制御装置1621とのデータ通信を可能にする送受信部1652を有している。
上記のBETボタン1601は、プレーヤの操作によりBET額を受け付ける機能を有している。スピンボタン1602は、プレーヤの操作、即ち、スタート操作により通常ゲームなどのゲームの開始を受け付ける機能を有している。ディスプレイ1614は、各種のシンボル1501や数値、記号などの静止画情報および演出映像などの動画情報を表示する機能を有している。さらに、ディスプレイ1614は、インプットデバイスとしてタッチパネル1069を有し、プレーヤの押圧動作による各種の指令を受付可能な機能を有している。ディスプレイ1614は、シンボル表示領域1614aと映像表示領域1614bと共通ゲーム表示領域1614cとを有している。シンボル表示領域1614aは、図1のシンボル1501を表示する。映像表示領域1614bは、ゲーム進行中に実行される各種の演出映像情報を動画や静止画により表示する。共通ゲーム表示領域1614cは、例えばジャックポットゲームなどの共通ゲームを表示する領域である。なお、共通ゲーム表示領域1614cは、シンボル表示領域1614aや映像表示領域1614bと一緒に形成されてもよいし、共通ゲームを実行するときにだけ置き換えて出現されてもよい。
ゲームコントローラ1100は、コイン投入・スタートチェック部1603と、通常ゲーム実行部1605と、ボーナスゲーム開始判定部1606と、ボーナスゲーム実行部1607と、乱数値抽出部1615と、シンボル決定部1612と、演出用乱数値抽出部1616と、演出内容決定部1613と、スピーカ部1617と、ランプ部1618と、入賞判定部1619と、払い出し部1620と、を有している。
通常ゲーム実行部1605は、BETボタン1601の操作を条件として通常ゲームを実行する機能を有している。ボーナスゲーム開始判定部1606は、通常ゲームにおいて再配置されたシンボル1501の組み合わせに基づいてボーナスゲームを実行するか否かを判定する。即ち、ボーナスゲーム開始判定部1606は、後述するトリガーシンボル1503bが所定条件で再配置されたときに、ボーナスゲームに当籤したと判定し、次回の単位ゲームからボーナスゲームを実行するようにボーナスゲーム実行部1607に処理を移行する機能を有している。
ここで、『単位ゲーム』とは、BETの受付開始から賞成立となり得る状態までの一連の動作である。例えば、通常ゲームの単位ゲームは、BETを受け付けるBETタイムと、停止されたシンボル1501を再配置するゲームタイムと、配当を付与する払出処理の払出タイムと、をそれぞれ1回含む状態である。なお、通常ゲームにおける単位ゲームは、単位通常ゲームと言う。
ボーナスゲーム実行部1607は、スピンボタン1602の操作だけでフリーゲームを複数のゲーム数で繰り返すボーナスゲームを実行する機能を有している。
シンボル決定部1612は、乱数値抽出部1615からの乱数値を用いて、再配置の対象となるシンボル1501を決定する機能と、決定したシンボル1501をディスプレイ1614のシンボル表示領域1614aに再配置する機能と、シンボル1501の再配置情報を入賞判定部1619に出力する機能と、増加した特定シンボル1503をシンボル決定に用いる複数のシンボル1501の一部として加える機能と、増加した特定シンボル1503の一部や全部をシンボル決定に用いる複数のシンボル1501の一部や全部と置き換える機能と、シンボル1501の再配置の状態に基づいて演出指定信号を演出用乱数値抽出部1616に出力する機能と、を有している。
演出用乱数値抽出部1616は、シンボル決定部1612から演出指令信号を受けた場合に、演出用乱数値を抽出する機能と、演出用乱数値を演出内容決定部1613に出力する機能と、を有している。演出内容決定部1613は、演出用乱数値を用いて演出内容を決定する機能と、決定した演出内容の映像情報をディスプレイ1614の映像表示領域1614bに出力する機能と、決定した演出内容の音声・発光情報をスピーカ部1617およびランプ部1618に出力する機能と、を有している。
入賞判定部1619は、ディスプレイ1614において再配置された表示状態であるシンボル1501の再配置情報が得られた場合に、入賞の有無を判定する機能と、入賞したと判定したときに入賞役に基づいて払い出し量を算出する機能と、払い出し量に基づいた払い出し信号を払い出し部1620に出力する機能と、を有している。払い出し部1620は、コインやメダル、クレジットなどの形態で遊技価値をプレーヤに払い出す機能を有している。特に、払い出し部1620は、後述するPTS端末1700に挿入されたICカード1500に記憶されたクレジットデータに、払い出されるクレジットに応じたクレジットデータを加算する機能を有している。
さらに、ゲームコントローラ1100は、各種のBET額データを記憶する記憶部1661と、タイムアウト部1663と、を有している。記憶部1661は、ハードディスク装置やメモリなどのデータを書き替え可能に記憶する装置である。タイムアウト部1663は、スピンボタン1602のスタート操作の入力が行われない未入力時間をタイムアウト時間と共にディスプレイ1614に表示する機能を有している。
さらに、ゲームコントローラ1100は、共通ゲーム実行部1653と追加BET部1651とを有している。追加BET部1651は、共通ゲームの開始時や共通ゲームの勝敗が付かなかった場合、ディスプレイ1614のタッチパネル1069による賭け増しを可能にする機能を有している。
共通ゲーム実行部1653は、記憶部1661に記憶され、通常ゲームに対してBET可能なBET額データに対応するBET額についてBETボタン1601によるBET入力を受け付ける機能と、BET入力が完了した後に通常ゲームを実行し、通常ゲームでBETされたBET額に基づいたBET額情報を単位ベースゲーム毎に外部制御装置1621に出力する機能と、外部制御装置1621からのゲーム開始指令により共通ゲームを実行する機能と、記憶部1661に記憶され、共通ゲームに対してBET可能な共通ゲーム用のBET額データに対応するBET額についてBETボタン1601によるBET入力を受け付ける機能と、を有している。
さらに、ゲームコントローラ1100は、後述するPTS端末1700と接続されている。PTS端末1700は、LCD1719やマイク1704・1705、人体検出カメラ1712・1713などが一体となったユニットであり、ゲームコントローラ1100と相互通信することによって、例えばゲームの演出をする機能を有する。特に、PTS端末1700には、カード挿入口1706が設けられており、ICカード1500を挿入できるようになっている。これにより、プレーヤは、カード挿入口1706にICカード1500を挿入して、ICカード1500に記憶されたクレジットをスロットマシン1010で使用することができる。なお、PTS端末1700の機械構成については、後述する。
また、ゲームコントローラ1100は、PTS端末1700からクレジットデータを受信した際、ディスプレイ1614のクレジット表示を更新する。
さらに、ゲームコントローラ1100は、ゲームの精算があった場合に、PTS端末1700に精算クレジットデータを出力する。
また、複数のスロットマシン1010がそれぞれ有するPTS端末1700は、管理サーバブロック2820と通信可能に接続されており、画像のダウンロードやICカード1500やクレジットの管理を一括している。
(スロットマシン1010の動作)
上述したような機能を有するスロットマシン1010の基本的な動作について説明する。
(コイン投入・スタートチェック)
まず、スロットマシン1010は、BETボタン1601がプレーヤにより押されたか否かをチェックし、続いて、スピンボタン1602がプレーヤにより押されたか否かをチェックする。
(シンボル決定)
次に、スロットマシン1010は、スピンボタン1602がプレーヤにより押されると、シンボル決定用乱数値を抽出し、ディスプレイ1614上に表示する複数のビデオリールのそれぞれに応じて、シンボル列のスクロールを停止させたときにプレーヤに表示するシンボル1501を決定する。
(シンボル表示)
次に、スロットマシン1010は、各ビデオリールのシンボル列のスクロールを開始させ、決定されたシンボル1501がプレーヤに表示されるようにスクロールを停止させる。
(入賞判定)
次に、スロットマシン1010は、各ビデオリールのシンボル列のスクロールが停止されると、プレーヤに表示されたシンボル1501の組合せが入賞に係るものであるか否かを判定する。
(払い出し)
次に、スロットマシン1010は、プレーヤに表示されたシンボル1501の組合せが入賞に係るものであるとき、そのシンボル1501の組合せの種類に応じた特典をプレーヤに与える。
例えば、スロットマシン1010は、コインの払い出しに係るシンボル1501の組合せが表示されたとき、そのシンボル1501の組合せに応じた配当をプレーヤに払い出す。
また、スロットマシン1010は、ボーナスゲームトリガーに係るトリガーシンボル1503bの組合せが表示されたとき、ボーナスゲームを開始する。なお、本実施形態では、ボーナスゲームとして、コインを消費することなく、前述の停止予定シンボルの決定に係る抽籤が所定回数にわたって行われるゲーム(フリーゲーム)が行われる。
また、スロットマシン1010は、ジャックポットトリガーに係るシンボル1501の組合せが表示されたとき、ジャックポット額をプレーヤに払い出す。ジャックポットは、各スロットマシン1010においてプレーヤが消費したコインの一部をジャックポット額として累積していき、ジャックポットトリガーが成立したスロットマシン1010があったとき、そのスロットマシン1010に対して、累積したジャックポット額を払い出す機能をいう。
スロットマシン1010は、1回のゲームごとに、ジャックポット額に蓄積する額(累積額)を算出し、外部制御装置1621へ送信する。外部制御装置1621は、各スロットマシン1010から送信されてきた累積額をジャックポット額に累積していく。
また、スロットマシン1010には、上記特典のほか、ミステリーボーナスや、インシュランスといった特典が設けられている。
ミステリーボーナスは、専用の抽籤に当籤することによって、予め定められた額の払い出しが行われるものである。スロットマシン1010は、スピンボタンが押されると、ミステリーボーナス用乱数値を抽出し、ミステリーボーナスを成立させるか否かを抽籤により決定する。
インシュランスは、ボーナスゲームが長期間行われていない状況からプレーヤを救済することを目的として設けられる機能である。本実施形態では、インシュランスを有効とするか否かは、プレーヤが任意に選択可能となっている。インシュランスを有効にする場合、所定のインシュランス加入額と引き換えになる。
スロットマシン1010は、インシュランスが有効とされた場合、遊技回数のカウントを開始する。そして、スロットマシン1010は、ボーナスゲームなどによる多額の払い出しが行われることなく、カウントした遊技回数が予め定められた回数に達したとき、インシュランス用に設定された額の払い出しを行う。
なお、スロットマシン1010は、各種ゲームにおいて配当を払い出す場合、PTS端末1700に挿入されたICカード1500内に記憶されたクレジットデータを書き換え更新することによって、クレジット換算した配当を払い出す。
(演出の決定)
スロットマシン1010は、ディスプレイ1614による画像の表示、ランプ1111による光の出力、およびスピーカ1112による音の出力によって演出を行う。スロットマシン1010は、演出用乱数値を抽出し、抽籤により決定されたシンボル1501などに基づいて、演出の内容を決定する。
(ゲームシステムの全体)
スロットマシン1010の基本的な機能についての説明は以上である。次に、図6を参照して、スロットマシン1010を含むゲームシステム1350について説明する。なお、ゲームシステム1350は、カジノシステム1802の一部を構成するものである。
ゲームシステム1350は、複数のスロットマシン1010と、各スロットマシン1010と、通信回線1301を介して接続された外部制御装置1621と、を備えている。
外部制御装置1621は、複数のスロットマシン1010を制御するものである。本実施形態において、外部制御装置1621は、複数のスロットマシン1010を有する遊技施設に設置されているいわゆるカジノホールサーバ1861(図1)である。各スロットマシン1010にはそれぞれ固有の識別番号が付されており、外部制御装置1621は、識別番号により、各スロットマシン1010から送られてくるデータの出所を判別している。また、外部制御装置1621からスロットマシン1010にデータを送信する場合にも、識別番号を用いて送信先を指定している。
なお、ゲームシステム1350は、カジノなどの様々な遊技を行うことが可能な1つの遊技施設内に構築されてもよいし、複数の遊技施設間に構築されてもよい。また、1つの遊技施設内に構築される場合には、遊技施設のフロアやセクションごとにゲームシステム1350が構築されてもよい。通信回線1301は、有線であっても無線であってもよく、専用回線又は交換回線等を採用することが可能である。
次に、図7は、本発明の実施形態に係るスロットマシン1010におけるPTSシステムのブロックイメージを示す図である。
図7に示すように、スロットマシン1010に取り付けられたPTS端末1700は、スロットマシン1010のゲームコントローラ1100およびビルバリコントローラ1890と通信可能に接続されている。
PTS端末1700は、ゲームコントローラ1100との通信において、音や画像などによるゲームの演出やクレジットデータの更新などを行っている。また、PTS端末1700は、ビルバリコントローラ1890との通信において、精算時に必要なクレジットデータを送信している。
また、PTS端末1700は、管理サーバブロック2820と通信可能に接続されている。PTS端末1700は、管理サーバブロック2820との間において、一般通信ラインと追加機能通信ラインの2つのライン間で通信している。
PTS端末1700は、一般通信ラインにおいて、例えば現金データや識別コードデータ、プレーヤの会員情報などデータを通信している。一方、PTS端末1700は、追加機能通信ラインにおいて、新たに追加される機能に関する通信をしている。本実施形態の場合、PTS端末1700は、追加機能通信ラインにおいて、エクスチェンジ機能と、ICカード機能と、生体認証機能と、カメラ機能と、電波を使用した固体識別をする機能であるRFID(Radio Frequency IDentification)機能と、に関する通信をしている。
(スロットマシンの機械構成)
次に、図7を参照して、スロットマシン1010の全体構造について説明する。
スロットマシン1010では、遊技媒体として、コイン、紙幣又はこれらに相当する電子的な有価情報が用いられる。特に、本実施形態では、ICカード1500に記憶された現金データなどのクレジット関連データが用いられている。
スロットマシン1010は、キャビネット1011と、キャビネット1011の上側に設置されたトップボックス1012と、キャビネット1011の前面に設けられたメインドア1013と、を備えている。
メインドア1013には、下側画像表示パネル1141と称されるシンボル表示装置1016が設けられている。シンボル表示装置1016は、透明液晶パネルにより形成されている。シンボル表示装置1016が表示する画面では、中央部に表示窓1150を有している。表示窓1150は、5列、4行の20個の表示ブロック1028により構成されている。各列の4個の表示ブロック1028は、擬似リール1151〜1155を形成している。各擬似リール1151〜1155は、4個の表示ブロック1028が全体的に速度を変更しながら下方向に移動表示されることによって、各表示ブロック1028に表示されたシンボル1501を縦方向に回転させた後に停止する再配置を行うことを可能にしている。
ここで、図42に示すように、表示窓1150の左側および右側には、ペイライン発生列が左右対称に配置されている。プレーヤ側から見て左側のペイライン発生列は、25個のペイライン発生部1065L(1065La、1065Lb、1065Lc、1065Ld、1065Le、1065Lf、1065Lg、1065Lh、1065Li、1065Lj、1065Lk、1065Ll、1065Lm、1065Ln、1065Lo、1065Lp、1065Lq、1065Lr、1065LS、1065Lt、1065Lu、1065Lv、1065Lw、1065Lx、1065Ly)を有している。
一方、右側のペイライン発生列は、25個のペイライン発生部1065R(1065Ra、1065Rb、1065Rc、1065Rd、1065Re、1065Rf、1065Rg、1065Rh、1065Ri、1065Rj、1065Rk、1065Rl、1065Rm、1065Rn、1065Ro、1065Rp、1065Rq、1065Rr、1065RS、1065Rt、1065Ru、1065Rv、1065Rw、1065Rx、1065Ry)を有している。
ペイライン発生部1065Lは、何れかのペイライン発生部1065Rとペアを形成している。各ペイライン発生部1065Lから、当該ペイライン発生部1065Lとペアの関係にあるペイライン発生部1065Rへと向かう線であるペイラインLが予め規定されている。なお、図42では、説明を行いやすくするために、ペイラインLを1個しか描いていないが、本実施形態では、ペイラインLは25個規定されている。
上記のペイラインLは、ペイライン発生部1065L・1065R間を結ぶことにより有効化される。それ以外の場合は、無効化されている。ペイラインLの有効数は、BET額に基づいて決定される。最大のBET額であるMAXBETの場合においては、最大数である25個のペイラインLが有効化される。有効化されたペイラインLは、各シンボル1501についての各種のウィニングコンビネーションを成立させる。ウィニングコンビネーションの詳細については後述する。
なお、本実施形態では、スロットマシン1010が所謂ビデオスロットマシンである場合について説明しているが、本発明のスロットマシン1010は、所謂機械式リールを一部の擬似リール1151〜1155に代用してもよい。
さらに、シンボル表示装置1016の前面には、タッチパネル1069が設けられていて、プレーヤはタッチパネル1069を操作して各種の指示を入力することができる。タッチパネル1069から入力信号がメインCPU1071に対して送信される。
トップボックス1012の前面には、上側画像表示パネル1131が設けられている。上側画像表示パネル1131は、液晶パネルからなり、ディスプレイを構成する。上側画像表示パネル1131は、演出にかかる画像や、遊技の内容の紹介やルールの説明を示す画像が表示される。また、トップボックス1012には、スピーカ1112およびランプ1111が設けられている。スロットマシン1010では、画像の表示、音の出力および光の出力によって演出が実行される。
上側画像表示パネル1131の下方には、データ表示器1174と、キーパッド1173と、が設けられている。データ表示器1174は、蛍光ディスプレイやLEDなどからなり、例えば、PTS端末1700から挿入されたICカード1500から読み取った会員データや、プレーヤによってキーパッド1173を介して入力されたデータを表示するものである。キーパッド1173は、データを入力するためのものである。
また、下側画像表示パネル1141の下方には、PTS端末1700が取り付けられている。
(PTS端末の機械構成)
ここで、図8は、PTS端末1700の拡大図である。図8に示すように、PTS端末1700の中央部には、LCD1719が設けられている。LCD1719は、例えば、ゲームを演出する演出画像を表示する。
また、PTS端末1700の上方には、人体検出カメラ1712・1713と、マイク1704・1705と、バスレフ型(バス・レフレックス型)のスピーカ1707・1708と、が設けられている。
人体検出カメラ1712・1713は、カメラ機能によって、プレーヤの有無を検出し、後述するユニットコントローラ1730に信号を出力する。マイク1704・1705は、プレーヤが音声によってゲームに参加したり、音声認識によるプレーヤの認証をしたりするのに使用される。スピーカ1707・1708は、PTS端末1700専用のスピーカであり、スロットマシン1010に設けられたスロットマシンゲーム用のスピーカとは別に設けられている。このスピーカ1707・1708は、音声によるゲームの演出をし、また、ICカード1500の抜き忘れによる報知音を出力する。さらに、スピーカ1707・1708は、挿入されたICカード1500の認証が失敗した場合においても、報知音を出力する。なお、スピーカ1707・1708は、LCD1719の裏側からダクトで音を前方(プレーヤ側)にステレオで聞こえるように設置されているため、省スペースで設置することができる。
また、PTS端末1700には、LED1709とカード挿入口1706とが設けられている。LED1709は、複数色に点灯することによって、後述するカードスタッカー1714に溜まったICカード1500の残数を報知する。具体的には、LED1709は、ICカード1500の残数が5枚以下の場合、黄色に点灯し、6〜24枚の場合、青色に点灯し、25枚以上の場合、緑色に点灯する。なお、ICカード1500の残数が0枚、若しくは30枚の場合、LED1709は、灰色に点灯するとともに、実行中のゲームが停止されるようになっている。これにより、例えば、LED1709が黄色に点灯していた場合、カジノホールのスタッフがICカード1500の残数が少ないことを即座に判断して、ICカード1500を補充することができる。一方、例えば、LED1709が緑色に点灯していた場合、カジノホールのスタッフがICカード1500の残数がいっぱいであることを即座に判断して、ICカード1500を抜き取ることができる。なお、ICカード1500を補充する場合は、それぞれのスタッフのみが所有するICカード1500をカード挿入口1706から挿入することで補充できる。一方、ICカード1500を抜き取る場合は、カード挿入口1706から補充カードと呼ばれるカードを1枚挿入することにより、補充カードとともに、10枚のICカード1500が排出されるようになっている。このように、スタッフが管理サーバ上で各スロットマシン1010のICカード1500の残数を確認したり、実際にスロットマシン1010のメインドア1013を開けて確認したりする必要がないため、セキュリティの向上に繋がる。
カード挿入口1706は、ICカード1500を挿入若しくは取り出せる機構を有する。図8に示すように、ICカード1500は、表示部1510が上方で、且つ、カード挿入口1706とは反対に向くように挿入される。また、ICカード1500は、プレーヤがゲーム中においては、完全に内部に入っているが、精算時には表示部1510が露出するように、排出される。これにより、プレーヤは、更新された現金データなどのクレジット関連データを確認することができる。さらに、ICカード1500は、プレーヤがゲーム中においても完全に内部に入らずに、表示部1510が露出するように保持されていてもよい。これにより、プレーヤは、ゲーム中においてクレジットが更新される様を常に確認することができる。なお、クレジットの精算時において、人体検出カメラ1712・1713を用いてプレーヤがいないことが検出された場合、ICカード1500は内部に引き込まれて、カードスタッカー1714に保管されるようになっている。これにより、例えば、残りクレジットが少ないことを表示部1514で確認したプレーヤが、わざとICカード1500を残して席を立った場合でも、ICカード1500が長時間挿入されたままになることがない。なお、本実施形態の場合、カードスタッカー1714は、30枚まで保管することができるようになっている。
上述したように、本実施形態のPTS端末1700は、マイク機能、カメラ機能、スピーカ機能、表示機能、などを有する各種装置が、一体となって一つのユニットを形成しているため、省スペース化を実現している。これにより、例えば、それぞれの機能が単品で設置されることによって、LCDをプレーヤの方に向けると、スピーカがプレーヤの方に向けて設置できないなどの不都合を生じることがない。
(スロットマシンの電気構成)
図9に示すように、コントロールパネル1030には、スタートボタン1046と、GAMABLE ボタン1045と、BETボタン(1−BETボタン1034〜10−BETボタン1039)と、ライン選択ボタン(2ライン選択ボタン1040〜50ライン選択ボタン1044)と、RESERVEボタン1031と、TAKE WIN/COLLECTボタン1032と、GAME RULESボタン1033とが設けられている。
スタートボタン1046は、シンボルのスクロールを開始させる指示を入力するためのものである。TAKE WIN/COLLECTボタン1032は、クレジットされているコインをコイントレイ1018に払い出す指示又はクレジットされているコインに相当するクレジット情報をICカードに書き込む指示を入力するためのものである。
1−BETボタン1034は、クレジットされているコインのうち、1枚のコインを遊技に賭ける指示を入力するためのものであり、2−BETボタン1035は、クレジットされているコインのうち、2枚のコインを遊技に賭ける指示を入力するためのものであり、3−BETボタン1036は、クレジットされているコインのうち、3枚のコインを遊技に賭ける指示を入力するためのものであり、5−BETボタン1038は、クレジットされているコインのうち、5枚のコインを遊技に賭ける指示を入力するためのものであり、10−BETボタン1039は、クレジットされているコインのうち、10枚のコインを遊技に賭ける指示を入力するためのものである。
ライン選択ボタン1040〜1044は、下側画像表示パネル1141に表示された複数の表示ブロック1028のシンボル列をBET対象として指定するものである。2ライン選択ボタン1040は、2列のシンボル列を選択するためのボタンであり、10ライン選択ボタン1041は、10列のシンボル列を選択するためのボタンであり、20ライン選択ボタン1042は、20列のシンボル列を選択するためのボタンであり、40ライン選択ボタン1043は、40列のシンボル列を選択するためのボタンであり、50ライン選択ボタン1044は、50列のシンボル列を選択するためのボタンである。
紙幣識別器1022は、紙幣(基本通貨)の適否を識別するとともに正規の紙幣をキャビネット1011内に受け入れるものである。なお、この紙幣識別器1022には、上述したように、スロットマシン1010が設置されている国の基本通貨以外の複数の国の紙幣を受け入れることもでき、受け入れた紙幣の適否、種類、枚数を読み取り可能となっている。
図7において、フロントドア1013の下部前面、すなわち、コントロールパネル1030の下方には、スロットマシン1010のキャラクタ等が描かれたベリーガラス1132が設けられている。
下側画像表示パネル1141とコントロールパネル1030との間には、PTS端末用の領域(PTS端末配置領域)が設けられており、このPTS端末配置領域には、PTS端末1700が配設されている。
PTS端末1700は、管理サーバブロック2820(図1)から種々の情報を受信し、これを特定のプレーヤに提供する装置である。PTS端末1700の前面部には、管理サーバブロック2820から受信した種々の情報を表示するためのLCD1719と、ICカードを挿入及び排出するためのカード挿入口1706と、プレーヤを識別するためのプレーヤ識別部(人体検出カメラ1712・1713、マイク1704・1705、人体検知センサ1115)と、内部にストックされているICカードの残枚数に応じた色で発光するLED1709と、効果音等を出力するためのダクト1707A、1708Aとが設けられている。LCD1719には、タッチパネルが設けられている。なお、図12に示すように、人体検知カメラ1713及びマイク1705は、正規の人体検知カメラ1712及びマイク1704を設けるスペースがない場合に、代わりに取り付けるものである。
カード挿入口1706は、LCD1719の側方(本実施形態の場合、右側)に設けられている。これにより、プレーヤがLCD1719を見ながら、姿勢を変えることなく、片手(本実施の形態の場合、右手)でICカードをカード挿入口1706へ挿入し、又はカード挿入口1706から排出されたICカードを受け取ることができる。
また、PTS端末1700の内部には、ICカードからのデータの読み取り及びICカードへのデータの書き込みを行うICカードR/W(読取/書込装置)(図16において後述するアンテナ1701、変復調部1721等)と、複数のICカードをストックするためのカードスタッカー(図8、図9)と、カード挿入口1706、ICカードR/W及びカードスタッカー1714との間でICカードの受け渡しを行うためのICカード搬送モジュール1253(図14)と、ダクト1707A、1708Aを介してPTS端末1700の前面部へ音声や効果音を出力するためのスピーカ1707、1708と、PTS端末1700に設けられた上記各ユニットを制御するためのコントローラ(図16に示すCPU1731等)とが設けられている。
ICカード搬送モジュール1253(図14)は、モータによって回転駆動されるロータを有し、カード挿入口1706に挿入されたICカードを、このローラの引込方向への回転によって内部の所定位置へ引き込み、また、カード挿入口1706から外部に排出するICカードをこのローラの排出方向への回転によって外部へ排出するようになされている。
ICカードR/Wは、RFID(Radio Frequency Identification)によって、ICカードからのデータの読み取り及びICカードへのデータの書き込みを行うものである。ICカードR/Wは、カード挿入口1706から挿入されたICカードに記憶されているクレジット情報を非接触で読み取り、又は、ゲームの結果に応じてプレーヤに付与されるクレジットを、非接触でICカードに書き込む。
プレーヤ識別部において、人体検出カメラ1712(1713)は、LCD1719の上方に設けられており、LCD1719を見るプレーヤの顔を正面から撮像する。なお、プレーヤの顔を撮像可能に設置されたカメラとしては、特に限定されるものではなく、例えば、CCDカメラや、CMOSセンサカメラ等を挙げることができる。マイク1704(1705)は、LCD1719の上方に設けられており、プレーヤの声を正面から集音する。人体検知センサ1115は、カード挿入口1706の上方に設けられており、プレーヤがICカードをカード挿入口1706に挿入する動作を検知する。人体検知センサ1115としては、赤外線測距センサ等を用いることができるが、特に限定されるものではない。プレーヤ識別部では、人体検出カメラ1712(1713)、マイク1704(1705)及び人体検知センサ1115によってプレーヤの存在を検知する。
なお、人体検出カメラ1712(1713)及びマイク1704(1705)の取付け位置としては、図12において一点鎖線で示すように、LCD1719の上方に代えて、カード挿入口1706の上方に取り付けるようにしてもよい。すなわち、人体検出カメラ1712及びマイク1704に代えて、カメラ1713及びマイク1705を設けるようにしてもよい。このようにすれば、LCD1719を設けずに、当該LCD1719の位置に他のユニットを取り付ける場合に対応することができる。カード挿入口1706の上方に設けられる人体検出カメラ1713は、人体検出カメラ1712と同様の構成を有しており、プレーヤを斜めから撮像する。また、カード挿入口1706の上方に設けられるマイク1705は、マイク1704と同様の構成を有しており、プレーヤの声を斜め方向において集音する。
LCD1719、カード挿入口1706、プレーヤ識別部、スピーカ及びダクト1707A、1708Aは、PTSパネル1105に一体に設けられている。このPTSパネル1105は、キャビネット1011に対してブラケットを介して固定されている。すなわち、スロットマシン1010では、下側画像表示パネル1141とコントロールパネル1030との間のPTS端末配置領域において、LCD1719、カード挿入口1706、プレーヤ識別部、スピーカ1704(1705)及びダクト1707A、1708A等のPTS端末1700を構成する各ユニットが一体に設けられたPTSパネル1105がブラケットによって固定されている。
また、LCD1719、人体検出カメラ1712(1713)、マイク1704(1705)、ダクト1707A、1708Aは、ベゼルに一体に設けられている。
図12に示すように、PTS端末1700は、LCD1719、カード挿入口1706、人体検出カメラ1712(1713)、マイク1704(1705)、がPTSパネル1105(図11)に一体に設けられている。図11に示すように、PTS端末1700を構成するこれらのユニットの取付け位置は、PTSパネル1105に形成された取付け孔によって決められている。
図11は、PTSパネル1105を示す斜視図である。図11に示すように、PTSパネル1105には、LCD1719を取り付けるための取付け孔1105Aと、カード挿入口1706を取り付けるための取付け孔1105Bと、人体検出カメラ1712及びマイク1704を取り付けるための取付け孔1105Cと、人体検知センサ1115を取り付けるための取付け孔1105Dと、スピーカ用のダクト1707A、1708Aを取り付けるための取付け孔1105Eとが形成されている。これらの取付け孔1105A〜1105Eに対して、対応するユニット(LCD1719、カード挿入口1706、人体検出カメラ1712、マイク1704、人体検知センサ1115及びスピーカ用のダクト1707A、1708A)を取り付けることにより、これらのユニットは、予め決められた位置に位置決めされて取り付けられる。
なお、図11において、取付け孔1105Dは、人体検出カメラ1713及びマイク1705をLCD1719の上方(すなわち、取付け孔1105C)に取り付ける場合には、人体検知センサ1115のみを取り付けるだけの開口が形成されていればよく、一点鎖線で示す領域(人体検出カメラ1713及びマイク1705を取り付ける領域)は、開口している必要はない。但し、カード挿入口1706の上方に人体検出カメラ1713及びマイク1705を取り付ける場合を考慮して、この一定鎖線で示す領域を予め開口させておき、化粧板をはめ込んでおくようにしてもよい。
図12に示すように、PTSパネル1105は、板状のブラケット1107に取り付けられ、このブラケット1107は、スロットマシン1010のキャビネット1011に固定されている。なお、図12においても、人体検出カメラ1712及びマイク1704に代えて取り付け可能となっている人体検出カメラ1713及びマイク1705は、一点鎖線で示している。
図13は、PTS端末1700の裏面側を示す斜視図である。図13に示すように、PTSパネル1105の裏面側には、ICカード搬送モジュール1253、カードストッカー1121、スピーカ1707、1708、LCD1719等のユニットが取り付けられている。これらのユニットは、PTSパネル1105によって一体化されて、ブラケット1107を介して、スロットマシン1010のキャビネット1011に固定されている。
図14に示すように、カードスタッカー1121は、底面部が開口したケース内に複数のICカード1500が積層収納されるように構成されている。ケース内のICカードは、コイルばね1121Aによって下方へ付勢されており、カード挿入口1706を介して挿入されたICカード1500は、モータやロータによって構成されるICカード搬送モジュール1253によってケース下部の所定位置まで搬送され、情報の書込みや読み出しが行われると共に、不用となった場合には、ケース内へ留め置かれる。
次に、図15を参照して、スロットマシン1010が備える回路の構成について説明する。
ゲーミングボード1050は、内部バスによって互いに接続されたCPU1051、ROM1052およびブートROM1053と、メモリカード1054に対応したカードスロット1055と、GAL(Generic Array Logic)1056に対応したICソケット1057と、を備えている。
メモリカード1054は、不揮発性メモリからなり、ゲームプログラムおよびゲームシステムプログラムを記憶している。ゲームプログラムには、遊技進行に係るプログラム、画像や音による演出を実行するためのプログラムが含まれている。また、上記ゲームプログラムには、シンボル決定プログラムが含まれている。シンボル決定プログラムは、表示ブロック1028に再配置されるシンボルを決定するためのプログラムである。
また、ゲームプログラムには、表示ブロックの各シンボル列の各シンボルと、コードNo.と、乱数値との対応関係を示す通常ゲーム用シンボルテーブル(図35参照)を示す通常ゲーム用シンボルテーブルデータ、表示ブロックの各シンボル列の各シンボルと、コードNo.と、乱数値との対応関係を示すボーナスゲーム用シンボルテーブル(図36参照)を示すボーナスゲーム用シンボルテーブルデータ、シンボル列決定テーブル(図37参照)を示すシンボルNo.決定テーブルデータ、コードNo.決定テーブル(図38参照)を示すコードNo.決定テーブルデータ、ワイルドシンボル増加数決定テーブル(図39参照)を示すワイルドシンボル増加数決定テーブルデータ、トリガーシンボル増加数決定テーブル(図40参照)を示すトリガーシンボル増加数決定テーブルデータ、ペイラインL上に再配置されたシンボルの種類および個数と、配当量との対応関係(図41参照)を示すオッズデータ、などが含まれている。
また、カードスロット1055は、メモリカード1054を挿抜可能に構成されており、IDEバスによってマザーボード1070に接続されている。従って、カードスロット1053Sからメモリカード1054を抜き取り、メモリカード1054に別のゲームプログラムを書き込み、そのメモリカード1054をカードスロット1053Sに差し込むことにより、スロットマシン1010で行われるゲームの種類や内容を変更することができる。
GAL1056は、OR固定型アレイ構造を有するPLD(Programmable Logic Device)の一種である。GAL1056は、複数の入力ポートと出力ポートとを備えており、入力ポートに所定の入力があると、対応するデータを出力ポートから出力する。
また、ICソケット1057は、GAL1056を着脱可能なように構成されており、PCIバスによってマザーボード1070に接続されている。メモリカード1054を別のプログラムが書き込まれたものに差し替えるか、または、メモリカード1054に書き込まれたプログラムを別のものに書き換えることによって、スロットマシン1010で行われる遊技の内容を変更することができる。
内部バスによって互いに接続されたCPU1051、ROM1052およびブートROM1053は、PCIバスによってマザーボード1070に接続されている。PCIバスは、マザーボード1070とゲーミングボード1050との間の信号伝達を行うとともに、マザーボード1070からゲーミングボード1050への電力供給を行う。
ROM1052には、認証プログラムが記憶される。ブートROM1053には、予備認証プログラムおよびCPU1051が予備認証プログラムを起動するためのプログラム(ブートコード)等が記憶されている。
認証プログラムは、ゲームプログラムおよびゲームシステムプログラムを認証するためのプログラム(改竄チェックプログラム)である。予備認証プログラムは、上記認証プログラムを認証するためのプログラムである。認証プログラムおよび予備認証プログラムは、対象となるプログラムが改竄されていないことの認証を行う手順(認証手順)に沿って記述されている。
マザーボード1070は、市販の汎用マザーボード(パーソナルコンピュータの基本部品を実装したプリント配線板)を用いて構成され、メインCPU1071と、ROM(Read Only Memory)1072と、RAM(Random Access Memory)1073と、通信インターフェイス1082と、を備えている。なお、マザーボード1070は、本実施形態におけるゲームコントローラ1100に相当する。
ROM1072は、フラッシュメモリ等のメモリデバイスからなり、メインCPU1071により実行されるBIOS(Basic Input/Output System)などのプログラムと恒久的なデータとが記憶されている。メインCPU1071によってBIOSが実行されると、所定の周辺装置の初期化処理が行われる。また、ゲーミングボード1050を介して、メモリカード1054に記憶されているゲームプログラムおよびゲームシステムプログラムの取込処理が開始される。なお、本発明に置いて、ROM1072は、内容の書き換えが可能なものであってもよく、不可能なものであってもよい。
RAM1073には、メインCPU1071が動作する際に用いられるデータやシンボル決定プログラムなどのプログラムが記憶される。例えば、前述のゲームプログラムおよびゲームシステムプログラムや認証プログラムの取込処理を行った際、これらを記憶することができる。また、RAM1073には、上記プログラムを実行する際の作業用の領域が設けられている。例えば、遊技回数、BET数、払出数、クレジット数などを管理するカウンタを記憶する領域や、抽籤により決定したシンボル(コードナンバー)を記憶する領域などが設けられている。
通信インターフェイス1082は、通信回線1301を介して、サーバ等の外部制御装置1621との通信を行うためのものである。また、マザーボード1070には、後述するドアPCB(Printed Circuit Board)1090および本体PCB1110が、それぞれUSBによって接続されている。また、マザーボード1070には、電源ユニット1081が接続されている。さらに、マザーボード1070には、PTS端末1700がUSBによって接続されている。
電源ユニット1081からマザーボード1070に電力が供給されると、マザーボード1070のメインCPU1071が起動するとともに、PCIバスを介してゲーミングボード1050に電力が供給されてCPU1051が起動される。
ドアPCB1090および本体PCB1110には、スイッチやセンサなどの入力装置や、メインCPU1071により動作が制御される周辺装置が接続されている。
ドアPCB1090には、コントロールパネル1030、リバータ1091、コインカウンタ1092Cおよび冷陰極管1093が接続されている。
コントロールパネル1030には、前述の各ボタンに対応して、リザーブスイッチ1031Sと、コレクトスイッチ1032Sと、ゲームルールスイッチ1033Sと、1−BETスイッチ1034Sと、2−BETスイッチ1035Sと、3−BETスイッチ1037Sと、5−BETスイッチ1038Sと、10−BETスイッチ1039Sと、プレイ2LINESスイッチ1040Sと、プレイ10LINESスイッチ1041Sと、プレイ20LINESスイッチ1042Sと、プレイ40LINESスイッチ1043Sと、MAX LINESスイッチ1044Sと、ギャンブルスイッチ1045Sと、スタートスイッチ1046Sと、が設けられている。各スイッチは、対応するボタンがプレーヤによって押されたことを検出し、メインCPU1071に対して信号を出力する。
コインエントリー1036の内部には、リバータ1091およびコインカウンタ1092Cが設けられている。そして、リバータ1091によってコインエントリー1036に投入されたコインの適否を識別し、正規のコイン以外のものは、コイン払出口から排出する。また、コインカウンタ1092Cによって、受け入れられた正規のコインを検出し、その枚数をカウントする。
リバータ1091は、メインCPU1071から出力される制御信号に基づいて動作するものであり、コインカウンタ1092Cによって選別された適正なコインを、ホッパー1113またはキャッシュボックス(図示せず)に振り分ける。ホッパー1113がコインで満たされていない場合はホッパー1113に、ホッパー1113がコインで満たされている場合はキャッシュボックスに振り分けられる。
冷陰極管1093は、上側画像表示パネル1131および下側画像表示パネル1141の背面側に設置されるバックライトとして機能するものであり、メインCPU1071から出力される制御信号に基づいて点灯する。
本体PCB1110には、ランプ1111、スピーカ1112、ホッパー1113、コイン検出部1113S、タッチパネル1069、ビルエントリー(紙幣識別器)1022、グラフィックボード1130、キースイッチ1173Sおよびデータ表示器1174が接続されている。なお、ビルエントリー(紙幣識別器)1022は、図15に示すように、スロットマシン1010に直接設けられている構成の他に、PTS端末1700に設けられている構成としてもよい。
ランプ1111は、メインCPU1071から出力される制御信号に基づいて点灯する。スピーカ1112は、メインCPU1071から出力される制御信号に基づいてBGM等の音を出力する。
ホッパー1113は、メインCPU1071から出力される制御信号に基づいて動作し、指定された払出数のコインをコイン払出口から図示しないコイントレイに払い出す。コイン検出部1113Sは、ホッパー1113により払い出されるコンを検出し、メインCPU1071に対して信号を出力する。
タッチパネル1069は、下側画像表示パネル1141上でプレーヤの指などが触れた位置を検出し、その検出した位置に対応した信号をメインCPU1071に対して出力する。
ビルエントリー(紙幣識別器)1022は、紙幣の適否を識別するとともに正規の紙幣をキャビネット1011内に受け入れるものである。そして、キャビネット1011内に投入された紙幣はコイン枚数に換算され、換算されたコイン枚数に相当するクレジットがプレーヤの所有クレジットとして加算される。
グラフィックボード1130は、メインCPU1071から出力される制御信号に基づいて、上側画像表示パネル1131および下側画像表示パネル1141のそれぞれにより行う画像の表示を制御する。グラフィックボード1130は、画像データを生成するVDP(Video Display Processor)や、VDPによって生成される画像データを記憶するビデオRAMなどを備えている。なお、VDPによって画像データを生成する際に用いられる画像データは、メモリカード1054から読み出されてRAM1073に記憶されたゲームプログラム内に含まれている。
また、グラフィックボード1130は、メインCPU1071から出力される制御信号に基づいて、画像データを生成するVDP(Video Display Processor)や、VDPによって生成される画像データを一時的に記憶するビデオRAMなどを備えている。なお、VDPによって画像データを生成する際に用いられる画像データは、メモリカード1054から読み出されてRAM1073に記憶されたゲームプログラム内に含まれている。
キースイッチ1173Sは、キーパッド1173に設けられており、キーパッド1173がプレーヤによって操作されたとき、所定の信号をメインCPU1071へ出力する。
データ表示器1174は、メインCPU1071から出力される制御信号に基づいて、カードリーダ1172が読み取ったデータや、プレーヤによってキーパッド1173を介して入力されたデータを表示する。
(PTS端末の電気構成)
次に、図16を参照して、PTS端末1700が備える回路の構成について説明する。
PTS端末1700を制御するPTSコントローラ1720は、ユニットコントローラ1730を中心として各種機能部が接続されており、CPU1731と、通信部1734と、ROM1733と、RAM1732と、を有する。
CPU1731は、後述するROM1733に格納された各種プログラムを実行したり、演算したりする。特に、CPU1731は、クレジット更新プログラムを実行して、ゲームコントローラ1100から取得したクレジットデータを現金データに換算し、管理サーバブロック2820内の端数現金データと合算して、ICカード1500に送信する。
また、CPU1731は、人体検出作動プログラムを実行して、ゲームコントローラ1100から取得したクレジットデータに基づくクレジット数が”0”でなかった場合、人体検出カメラ1712・1713を用いてカードスタッカー1714へICカード1500を取り込むか否かを判定する。
また、CPU1731は、認証プログラムを実行して、ICカード1500内の識別コードと管理サーバブロック2820内の識別コードとを照合する。
また、CPU1731は、音声制御プログラムを実行して、認証結果に基づき、後述する音声制御回路部1724を制御する。ここでの音声制御とは、認証失敗の場合、CPU1731が、後述する音声制御回路部1724を制御して、スピーカ1707・1708から認証失敗の報知をする制御のことである。通信部1734は、ゲームコントローラ1100との通信を可能にしている。
また、CPU1731は、デバイスプログラムを実行して、LCD1719、マイク1704・1705、スピーカ1707・1708を作動制御する。さらに、CPU1731は、LED制御プログラムを実行して、ICカード1500の残り枚数によって、LED1709を点灯制御する。
ROM1733は、フラッシュメモリなどのメモリデバイスからなり、CPU1731により実行される恒久的なデータが記憶されている。例えば、ROM1733には、ゲームコントローラ1100からの指令によって、ICカード1500に記憶されたクレジットデータを書き換えるクレジット更新プログラムと、人体検出作動プログラムと、認証プログラムと、音声制御プログラムと、デバイスプログラムと、LED制御プログラムと、を有する。
RAM1732には、ROM1733に記憶された各種プログラムを実行する際に必要なデータを一時的に記憶する。例えば、RAM1732は、ゲームコントローラ1100からの信号に基づいて、更新するクレジットデータを記憶する。また、RAM1732は、人体検出カメラ1712・1713によってプレーヤを検出した時刻とその時点からカウントする時間とを記憶する。
また、ユニットコントローラ1730には、人体検出カメラ制御部1722と、LCD駆動部1723と、音声制御回路部724と、残カード認識入力部1727と、カード吸入排出駆動部1726と、カード検出入力部1725と、LED駆動部1728と、変復調部1721と、に接続されている。
人体検出カメラ制御部1722は、ユニットコントローラ1730からの指令に基づき、人体検出カメラ1712・1713を作動制御する。
LCD駆動部1723は、ユニットコントローラ1730からの指令に基づき、LCD1719を作動制御する。
音声制御回路部1724は、ユニットコントローラ1730からの指令に基づき、マイク1704・1705およびスピーカ1707・1708を作動制御する。
残カード認識入力部1727は、残カード認識センサ1717によるカードスタッカー1714に溜まったICカード1500の残数を判定する信号をユニットコントローラ1730に入力する。ここで、残カード認識センサ1717は、例えば、図示しない赤外線検出機構などを用いて、カードスタッカー1714に溜まったICカード1500の残数を判定する機能を有する。
カード吸入排出駆動部1726は、ユニットコントローラ1730からの指令に基づき、カード吸入排出機構1716を駆動制御する。ここで、カード吸入排出機構1716は、ICカード1500を内部に取り込む機構、および外部に排出する機構、を有する。
カード検出入力部1725は、カード検出センサ1715からの信号をユニットコントローラ1730に入力する。ここで、カード検出センサ1715は、挿入されたICカード1500から現金データや識別コードなどの各種データを取得する。
LED駆動部1728は、ユニットコントローラ1730からの指令に基づき、LED1709を点灯させるために駆動制御する。
変復調部1721は、アンテナ1701からの高周波信号をユニットコントローラ1730が制御できる信号に変換する一方、アンテナ1701を介してユニットコントローラ1730からの信号をICカード1500に送信できる信号に変換する。
なお、前述のユニットコントローラ1730と、カード吸入排出駆動部1726と、カード検出入力部1725と、変復調部1721と、を併せて、カードユニット制御コントローラとも呼称する。
(ICカードの電気構成)
なお、PTS端末1700においては、図16に示す構成に加えて、図17に示す構成をも備えている。なお、図17においては、図16に示す構成と同一部分を重複して示しているものもあり、この場合には、図16に付した符号と同一符号を付している。
図17に示すように、PTS端末1700は、図16に示した構成に加えて、接続部1750と、ハードディスクドライブ1751とを備えている。通信部1734は、通信回線を介して、当該PTS端末1700が搭載されたスロットマシン1010の通信インターフェイスと接続されるとともに、通信回線を介して、管理サーバブロック2820と接続されている。ROM1733は、PTS端末1700の動作を制御するためのシステムプログラムや両替手数料算出値データや恒久的なデータ等が記憶されている。両替手数料算出値データは、両替手数料算出値P/1−P(Pは、両替手数料率)を示すデータである。また、RAM1732は、基本通貨(米国通貨)の量と基本通貨以外の種類の通貨の量との対応関係が、基本通貨以外の種類ごとに定められた為替レートを示す為替レートデータ等を一時的に記憶する。
ハードディスクドライブ1751は、プレーヤ識別部(人体検出カメラ1712(1713)、マイク1704(1705)、人体検知センサ1115(図4))によって制御される人体検出カメラ1712(1713)により撮像された画像の画像データを記憶するためのものである。ハードディスクドライブ1751は、本発明におけるメモリに相当する。CPU1731は、電源が投入され、所定の起動処理が行われた後は、人体検出カメラ1712(1713)において撮像されることにより得られる画像データをハードディスクドライブ1751に記憶する。画像データの記憶は、所定の時間間隔(例えば、0.5秒間隔)で行われる。なお、各画像データには、ハードディスクドライブ1751に記憶される時刻(タイムスタンプ)が付与される。PTS端末1700は、時計機能を備えており、所定の期間が経過するごとに、時刻合わせを行っている。時刻合わせは、管理サーバブロック2820の備える時計から、又は、インターネットを介して外部から、時刻のデータを取得することにより行われている。CPU1731は、ハードディスクドライブ1751の記憶可能領域が所定量(例えば、100MB)より少なくなると、古いタイムスタンプが付与されている画像データから順に消去する。ただし、消去可能な状態に設定されていない画像データについては消去しない。
接続部1750には、図16に示した構成に加えて、ICカード搬送モジュール1253等が接続されている。なお、図15に示したように、スロットマシン1010にビルエントリー(紙幣識別器)1022が直接設けられている構成に代えて、PTS端末1700に紙幣識別器1022が設けられている構成としてもよく、この場合には図17に示すように、接続部1750に紙幣識別器1022が接続される。
紙幣識別器1022は、紙幣(基本通貨)の適否を識別するとともに正規の紙幣を受け入れる。紙幣識別器1022は、正規の紙幣を受け入れたとき、その紙幣の額に基づいてCPU1731に対して入力信号を出力する。すなわち、入力信号には、受け入れた紙幣の金種データ、金額データ、エラーデータ等についての情報が含まれる。
ICカード搬送モジュール1253は、カード挿入口1706から挿入されたICカード1500を検知するセンサ(光センサ等)と、ICカードを所定位置に搬送するモータとを有し、カード挿入口1706からICカードが挿入されると、挿入状態をセンサによって検知し、モータを駆動して、挿入されたICカードを所定位置まで引き込む。また、ICカード搬送モジュール1253は、プレーヤによってTAKE WIN/COLLECTボタン1032(図9)が所定操作されてICカードにクレジット情報が書き込まれた場合に、モータを逆回転させることで、クレジット情報が書き込まれたICカードをカードスロットから外部に排出する。
また、イジェクト位置センサ1752は、ICカード挿入口1706からイジェクトされたICカードを検知するものであり、光センサ等が用いられる。ロード位置センサ1753は、ICカード挿入口1706からICカードが所定位置まで挿入されるとこれを検知するものであり、光センサ等が用いられる。
次に、図16および図18を参照して、ICカード1500が備える回路の構成について説明する。
図16に示すように、ICカード1500は、アンテナ1507と、電源制御回路1504と、変復調回路1508と、表示書き込みIC1505と、表示ドライバ1506と、表示部1510と、を有する。
アンテナ1507は、PTS端末1700が有するアンテナ1701を介して各種信号を送受信する。
電源制御回路1504は、図18に示すように、第2昇圧回路1531と第3昇圧回路1532を有している。第2昇圧回路1531は、アンテナ1507からの信号を、後述する変復調回路1508が処理できる電圧まで昇圧する。第3昇圧回路1532は、電源からの電圧を、後述する表示ドライバ1506を駆動する電圧まで昇圧する。
変復調回路1508は、図18に示すように、発信器1521と検波回路1522とを有している。発信器1521は、ある特定周波数の信号を出力し、アンテナ1507から受信した信号とミキシングすることによって、後述する表示書き込みIC1505が処理できる信号に変換する。検波回路1522は、アンテナ1507から受信した信号を検波する。
表示書き込みIC1505は、図18に示すように、CPU1553と、クレジットデータメモリ1552と、表示コントローラ1551と、を有する。
CPU1553は、現金データ書き換え更新プログラムを実行して、PTS端末1700から取得した現金データに基づき、クレジットデータメモリ1552に記憶された現金データを書き換え更新する。
また、CPU1553は、表示コントローラ1551を制御して、クレジットデータメモリ1552に記憶された現金データを表示用のデータとして使用させ、後述する表示ドライバ1506を介して表示部1510に表示させる。
クレジットデータメモリ1552は、前述の現金データ書き換え更新プログラム、現金データ、識別コード、表示用の現金データ、などのクレジット関連データと、を記憶する。なお、クレジットデータメモリ1552が記憶するクレジット関連データは、演算用にも表示用にも使用される。
表示コントローラ1551は、CPU1553制御信号に基づき、クレジットデータメモリ1552に記憶された表示用のクレジットデータを取得して、表示ドライバ1506を介して表示部1510に表示させる。
図16に示すように、ICカード1500は、通信IC1509を有する。
通信IC1509は、図18に示すように、第1昇圧回路1543と、発信器1546と、検波回路1545と、送信制御部1544と、CPU1542と、認証用メモリ1541と、を有する。
第1昇圧回路1543は、PTS端末1700から取得した端末側の認証データを後述するCPU1542が処理できる電圧まで昇圧する。
発信器1546は、ある特定周波数の信号を出力し、アンテナ1507から受信した信号とミキシングすることによって、CPU1542が処理できる信号に変換する。検波回路1522は、アンテナ1507から受信した信号を検波する。
CPU1542は、認証ルーチンプログラムを実行して、PTS端末1700からの認証要求があった際、後述する認証用メモリ1541に記憶された識別コードをPTS端末1700に送信する。
認証用メモリ1541は、CPU1542が使用する認証ルーチンプログラムと、識別コードと、を記憶する。
このように、ICカード1500は、各種のデータを書き替え可能に記憶するクレジットデータメモリ1552と、PTS端末1700に対してデータ通信を行うアンテナ1507と、PTS端末1700に対するデータ通信により認証を行うCPU1542と、認証が適切である場合、クレジットデータメモリ1552に記憶されたクレジット関連データを、PTS端末1700によりアクセス可能にするCPU1542と、クレジットデータメモリ1552に記憶された少なくとも一部のクレジット関連データを表示する表示部1510と、を有する。
上記の構成によれば、クレジットデータメモリ1552の少なくとも一部のクレジット関連データが表示部1510に表示されることによって、クレジットデータメモリ1552に記憶された少なくとも一部のクレジット関連データを外部から視認することができる。従って、PTS端末1700によりクレジットデータメモリ1552のクレジット関連データが書き替えられたときに、書き替えられたクレジット関連データが表示部1510に表示されるクレジット関連データであれば、書き替えられた結果を表示部1510の表示により確認することができる。また、PTS端末1700により書き替えられるクレジットデータメモリ1552のクレジット関連データが表示部1510の表示に用いられることによって、同一のクレジットデータメモリ1552に記憶されたクレジット関連データがPTS端末1700による更新用と表示用とに共用された状態となる。これにより、クレジットデータメモリ1552のクレジット関連データを表示用のデータとして他の記憶部に転送したり、クレジットデータメモリ1552のクレジット関連データを更新すると同時に他の記憶部に表示用のデータとして記憶する処理を実行してから表示したりする場合と比較して、データ転送時のノイズなどによるデータの不一致の発生が防止されるため、高い信頼性でクレジットデータメモリ1552のクレジット関連データを表示部1510に表示することができる。
また、ICカード1500において、クレジットデータメモリ1552および認証用メモリ1541は、各種のデータとしてカード側の認証データおよびクレジット関連データを記憶し、CPU1542は、カード側の認証データにより認証を行い、CPU1542は、クレジットデータをPTS端末1700によりアクセス可能にし、表示部1510は、クレジット関連データを表示している。
上記の構成によれば、クレジットデータメモリ1552のクレジット関連データが表示部1510に表示されることによって、クレジットデータメモリ1552に記憶されたクレジット関連データを外部から視認することができる。従って、PTS端末1700によりクレジットデータメモリ1552のクレジット関連データが書き替えられたときに、書き替えられたクレジット関連データが表示部1510に表示されるクレジット関連データであれば、書き替えられた結果を表示部1510の表示により確認することができる。また、PTS端末1700により書き替えられるクレジットデータメモリ1552のクレジット関連データが表示部1510の表示に用いられることによって、同一のクレジットデータメモリ1552に記憶されたクレジット関連データがPTS端末1700による更新用と表示用とに共用された状態となる。これにより、クレジットデータメモリ1552のクレジット関連データを表示用のデータとして他の記憶部に転送したり、クレジットデータメモリ1552のクレジット関連データを更新すると同時に他の記憶部に表示用のデータとして記憶する処理を実行してから表示したりする場合と比較して、データ転送時のノイズなどによるデータの不一致の発生が防止されるため、高い信頼性でクレジットデータメモリ1552のクレジット関連データを表示部1510に表示することができる。
また、ICカード1500において、表示部1510は、PTS端末1700に対してデータ通信が行われるときであっても、外部から視認可能にされていてもよい。
上記の構成によれば、PTS端末1700によりデータが更新された直後に、表示部1510の表示により更新されたデータを確認することができるため、ゲーム中において常にICカード1500のデータを確認できるという安心感を得ることができる。
(シンボル、コンビネーションなど)
上記スロットマシン1010の擬似リール1151〜1155に表示されるシンボル1501は、複数のシンボル1501によりシンボル列を形成している。各シンボル列を構成するシンボル1501には、図35に示すように、0〜19以上の何れかのコード番号が付与される。各シンボル列は、『WILD』、『FEATURE』、『A』、『Q』、『J』、『K』、『BAT』、『HAMMER』、『SWORD』、『RHINOCEROS』、『BUFFALO』、および『DEER』のシンボル1501が組み合わされて構成されている。
シンボル列の内の3個の連続したシンボル1501は、図7に示すように、各擬似リール1151〜1155の表示領域の最上段、上段、下段、最下段のそれぞれに表示(配置)されることによって、表示窓1150において5列4行のシンボルマトリクスを構成している。シンボルマトリクスを構成するシンボル1501は、少なくともスタートボタン1046が押圧されてゲームが開始されると、スクロールを開始する。スクロールが開始されてから所定時間が経過すると、各シンボル1501のスクロールが停止する(再配置)。
また、各シンボル1501について、各種のウィニングコンビネーションが予め定められている。なお、ウィニングコンビネーションは、賞を成立させることを意味する。ウィニングコンビネーションは、ペイラインL上で停止したシンボル1501のコンビネーションがプレーヤにとって有利な状態になるコンビネーションのことである。有利な状態とは、ウィニングコンビネーションに応じたコインが払い出される状態、コインの払出数がクレジットに加算される状態、ボーナスゲームが開始される状態などのことである。
本実施形態におけるウィニングコンビネーションは、『WILD』、『FEATURE』、『A』、『Q』、『J』、『K』、『BAT』、『HAMMER』、『SWORD』、『RHINOCEROS』、『BUFFALO』、及び『DEER』のうち少なくとも1種類のシンボル1501が、有効化されたペイラインL上に、所定数以上で再配置された場合をいう。また、所定種類のシンボル1501がスキャッタシンボルとして設定されている場合には、ペイラインLの有効及び無効に拘らずに、所定数以上で再配置された場合にウィニングコンビネーションとなる。
具体的には、ペイラインL上に『FEATURE』のトリガーシンボル1503bがウィニングコンビネーションの態様で停止したときにボーナストリガーとなり、遊技状態が通常ゲームからボーナスゲームに移行すると共に、BET額に応じた払い出しが行われる。また、通常ゲームにおいて、ペイラインL上に『BAT』のシンボル1501がウィニングコンビネーションの態様で停止した場合には、『BAT』の基本払い出し数にBET額を乗算した払い出し数のコイン(有価価値)の払い出しが行われる。(通常ゲーム用シンボルテーブル)
図19は、本実施の形態に係るカジノシステムを構成する為替サーバの内部構成を示すブロック図である。
為替サーバ2862は、CPU1901と、ROM1902と、RAM1903と、通信インターフェイス1904と、通信インターフェイス1905とを備えている。通信インターフェイス1904は、通信回線を介して、PTS端末1700の通信部1734と接続される。通信インターフェイス1905は、通信回線1823を介して、インターネット1015と接続されている。ROM1902は、為替サーバ2862の動作を制御するためのシステムプログラムやインターネット1015を介して最新の為替情報を取得するための為替情報取得プログラムや恒久的なデータや両替手数料率Pを示す手数料データ等が記憶されている。また、RAM1903は、為替情報や手数料減算後為替情報等を一時的に記憶する。
図20は、本実施の形態に係るゲーミングシステムを構成するメガバックスサーバの内部構成を示すブロック図である。
メガバックスサーバ1866は、CPU1911と、ROM1912と、RAM1913と、通信インターフェイス1914と、LED駆動回路1917と、乱数発生器1916と、メモリとしてのハードディスクドライブ1915とを備えている。乱数発生器1916は、所定のタイミングで乱数を発生させる。通信インターフェイス1914は、通信回線を介して、PTS端末1700の通信部1734と接続されるとともに、通信回線を介して、カジノ店等に設置された大型共通ディスプレイ1921A、大型共通ディスプレイ1921B、小型共通ディスプレイ1922A、小型共通ディスプレイ1922Bと接続されている。ROM1912は、プログレッシブサーバ1866の動作を制御するためのシステムプログラムや恒久的なデータ等が記憶されている。また、RAM1913は、EVENT TIME用蓄積値を示すEVENT TIME用蓄積値データ、ボーナス用蓄積値を示すボーナス用蓄積値データ、各スロットマシン1010に対して設けられた連結発光帯が備えるLED1920のうち、点灯済みのLED1920の個数を示す点灯数データ、各スロットマシン1010から受信したデータ等を一時的に記憶する。
ハードディスクドライブ1915には、複数種類の発光数決定テーブル(屈曲部分用発光数決定テーブル及び直線部分用発光数決定テーブル)を示す発光数決定テーブルデータが記憶されている。
また、ハードディスクドライブ1915には、共通ゲームにおいてポイント数を決定する際に参照されるポイント数決定テーブルデータが記憶されている。
また、ハードディスクドライブ1915には、所定値を示すデータ、特定値を示すデータ、が記憶されている。
LED駆動回路1917には、複数のLED1920が接続されている。各LED1920には、識別番号が付されており、LED駆動回路1917は、CPU1911から受信した信号に基づいて、LED1920の点灯及び消灯を行う。
図21は、スロットマシン1010にPTS端末1700及び両替用のユニット(ICカードR/W1931、LCD表示部1932、コントローラ1933)を別々に付加する場合の構成例を示す概念図である。図21に示す構成では、プレーヤを識別するための識別情報が書き込まれたプレーヤ固有のICカードをICカードR/W1931に挿入することにより、プレーヤを認証し、その後、両替機能を利用可能とするものである。この場合、スロットマシン1010のビルバリラインをバイパスし、両替に関しては、ビルバリや管理サーバブロック2820(図1)との通信をコントローラ1933が行う。コントローラ1933は、両替結果をスロットマシン1010のマザーボード1070(図15)に転送する。
なお、本実施の形態の構成として説明した図2は、PTS端末1700に両替機能を一体化した構成を示す概念図である。この場合、PTS端末1700において、プレーヤ識別部(人体検出カメラ1712(1713)、マイク1704(1705)、人体検知センサ1115(図12))を設け、プレーヤを認証する。PTS端末1700では、従来のシステム通信を持つことにより、既存システムとの互換性を保ちつつ、追加機能としての通信ラインにより、認証に関する情報や両替に関する情報を専用ラインにより追加することができる。さらに、図2に示すPTS端末1700を一体化したスロットマシン1010においては、管理サーバブロック2820(図1)から種々の情報をダウンロードすることができると共に、管理サーバブロック2820との通信により、メガバックス、画像記録、ゲームにおけるプレーヤ個人のための個人レスキュー等のサービスを提供することができる。
例えば、図22に示すように、PTS端末1700において、プレーヤ識別部(人体検出カメラ1712(1713)、マイク1704(1705)、人体検知センサ1115(図12))において画像、音声等のプレーヤ識別情報を取得し(ステップS1111)、この情報を管理サーバブロック2820の会員管理サーバ1864へ送信する(ステップS1112)。会員管理サーバ1864では、受信したプレーヤ識別情報に基づいてプレーヤを識別し、この識別結果に基づいて認証を行う(ステップS1113)。認証結果が、予め登録されている会員であるとされると、会員管理サーバ1864から例えばダウンロードサーバ1863へダウンロード要求がPTS端末1700を特定する情報とともに送信される(ステップS1114)。これにより、ダウンロードサーバ1863から、当該プレーヤがプレーするスロットマシン1010のPTS端末1700に対して固有のサービス情報がダウンロードされる(ステップS1115)。例えば、このプレーヤが予め管理サーバブロック2820の会員管理サーバ1864(図2)に登録されているプレーヤである場合には、会員管理サーバ1864からダウンロードサーバへ当該プレーヤに関する情報を発信したPTS端末1700に対して有益な情報(商品販売に関する情報、劇場で演劇が行われる情報等)がダウンロードされる。この情報は、PTS端末1700のLCD1719に表示される(ステップS1116)。
このように、スロットマシン1010では、PTS端末1700が一体に設けられており、このPTS端末1700には、プレーヤがスロットマシン1010においてプレーする姿勢において当該プレーヤが見易い正面にLCD1719が設けられている。そして、このプレーヤの姿勢を保った状態において、プレーヤの正面及び斜めの顔の画像を撮像する人体検出カメラ1712(1713)がPTS端末1700に設けられ、また、このプレーヤの姿勢において当該プレーヤの声を集音するマイク1704(1705)がPTS端末1700に設けられ、さらに、このプレーヤの姿勢においてプレーヤを検知する人体検知センサ1115が、プレーヤ識別部として設けられている。
このプレーヤ識別部、LCD1719及びカード挿入口1706は、PTS端末1700においてPTSパネル1105(図11)によって特定の位置に位置決めされる。この位置は、上述したように、プレーヤがスロットマシン1010においてプレーする際の自然な姿勢に対応させたものである。このような位置関係が固定されたPTS端末1700をスロットマシン1010に一体化することにより、プレーヤを確実に認識することができる。
また、スロットマシン1010のPTS端末配置領域という限られた位置にPTS端末1700を設置する必要があることから、PTS端末1700のスピーカ1707、1708(図13)はLCD1719の裏面側に設けられ、このスピーカ1707、1708からの効果音等を、LCD1719の正面側に開口したダクト1707A、1708Aから正面側へ出力させる。これにより、スピーカ1707、1708を裏面側に設けることができる分、PTS端末1700を一段と小型化することができ、限られたPTS端末配置領域にPTS端末1700を配置することができる。
次に、PTS端末1700のコントローラ(CPU1731、ROM1733、RAM1732)による処理手順を説明する。
図23は、PTS端末1700のコントローラによる処理手順を示すフローチャートである。図23に示すように、PTS端末1700(スロットマシンマシン1010)の電源が投入されると、ステップS1121において、スロットマシン1010のゲーム処理が実行される。そして、このゲーム中において、PTS端末1700のコントローラは、ステップS1122において、情報要求処理を実行する。この要求処理は、PTS端末1700に設けられたプレーヤ識別部(人体検出カメラ1712(1713)、マイク1704(1705)、人体検知センサ1115)によって、プレーヤの識別情報を取得し、この識別情報に基づいて、管理サーバブロック2820からプレーヤに対する特定のサービス情報を提供する処理である。
この処理において、コントローラは、プレーヤ識別部のうちの、人体検出カメラ1712(1713)によってプレーヤの顔を、正面(斜め)から撮像することにより、プレーヤを識別するための顔画像を取得する。この顔画像のデータは、PTS端末1700のハードディスクドライブ1751に格納される。また、コントローラは、プレーヤ識別部のうちの、マイク1704(1705)によって、プレーヤの音声を正面(斜め)から集音する。この場合、コントローラは、LCD1719に音声の発生を促す表示を行うことにより、確実にプレーヤの音声を取得することができる。この音声データは、PTS端末1700のハードディスクドライブ1751に格納される。
上述のステップS1122における処理は、図22に示したプレーヤ識別情報取得処理(ステップS1111)に相当する処理である。図22について上述したように、コントローラは、この取得した情報を管理サーバブロック2820(図1)へ送信することにより、管理サーバブロック2820の会員管理サーバ1864において認証され、正規に登録されたプレーヤであると判断されると、ダウンロードサーバ1863等から、当該プレーヤにとって有意な情報がPTS端末1700にダウンロードされる。この情報は、LCD1719に表示される。
情報要求処理の後、コントローラは、ステップS1123に処理を移して、PTS端末1700のカード挿入口1706(図12)にICカードが挿入されたか否かを判断する。ICカードの挿入は、カード挿入口1706に設けられたセンサによって検知する。このセンサとしては、例えば、シャッタがICカードによって動かされたことを検知したり、又は光センサ等を用いたりすることができる。
ステップS1123において肯定結果が得られると、このことは、ICカードが挿入されたことを意味しており、コントローラは、ステップS1123からステップS1124へ処理を移して、カード内に書き込まれているクレジット情報をゲームに利用する。すなわち、このクレジット情報をスロットマシン1010のRAM1073に記憶させてこれをゲームに利用し得る状態とすると共に、その旨をスロットマシン1010の下側画像表示パネル1141のクレジット数表示部1400に表示する。
コントローラは、ステップS1124の処理の後、又はステップS1123において否定結果が得られると、ステップS1125に処理を移して、ストッカー1121(図14)にストックされているICカードの数をチェックする。ストックされているICカードの数は、PTS端末1700に接続されたICカードR/W(図16に示したアンテナ1701、変復調部1721等)によって、ストックされている各ICカードの固有の識別情報を読み取ることにより実現することができる。なお、ストック数の検出方法はこれに限られるものではなく、例えば光センサ等を用いて検出することもできる。
コントローラは、ステップS1125におけるチェックが完了すると、ステップS1126へ処理を移して、ステップS1125において検出されたストック枚数が0枚であるか否かを判断する。残0枚である場合、コントローラは、ステップS1126からステップS1133へ処理を移して、ゲームを停止する。これにより、ICカードが無い状態で当該ICカードに書き込まれるべきゲーム結果が得られる事態を回避することができる。
一方、ステップS1126において否定結果が得られると、このことは、ストック枚数が1枚以上であることを意味しており、コントローラは、ステップS1126からステップS1127へ処理を移して、ストック枚数が残1〜5枚であるか否かを判断する。ここで肯定結果が得られると、このことは、ストック枚数が残1〜5枚であることを意味しており、コントローラは、ステップS1127からステップS1128へ処理を移して、LEDを黄色に発光させる。これにより、ICカードのストック枚数が残り少なくなっていることを、カジノ店のスタッフにアピールすることができる。なお、ICカードの残り枚数に応じて発光させる際の態様は、図24に示すようなテーブルとして、RAM1732(図16、図17)に記憶されている。
これに対して、ステップS1127において否定結果が得られると、このことは、ストック枚数が残5枚以下ではないことを意味しており、コントローラは、ステップS1127からステップS1129へ処理を移して、ストック枚数が残6〜24枚であるか否かを判断する。ここで肯定結果が得られると、このことは、残枚数が残6〜24枚であることを意味しており、コントローラは、ステップS1129からステップS1130へ処理を移して、LEDを青色に発光させる。これにより、ICカードのストック枚数が充分な範囲で残っていることを、カジノ店のスタッフにアピールすることができる。
これに対して、ステップS1129において否定結果が得られると、このことは、ストック枚数が残6〜24枚ではないこと(すなわち、24枚以下ではないこと)を意味しており、コントローラは、ステップS1129からステップS1131へ処理を移して、ストック枚数が残25〜29枚であるか否かを判断する。ここで肯定結果が得られると、このことは、残枚数が残25〜29枚であることを意味しており、コントローラは、ステップS1131からステップS1132へ処理を移して、LEDを緑色に発光させる。これにより、ICカードのストック枚数が満杯状態に近づいていることを、カジノ店のスタッフにアピールすることができる。
これに対してステップS1131において否定結果が得られると、このことは、ストック枚数が30枚(満杯状態)となっていることを意味しており、コントローラは、ステップS1131からステップS1133へ処理を移して、ゲームを停止する。これにより、ICカードが満杯の状態でさらに新たなプレーヤによりICカードがカード挿入口1706に挿入される事態を回避することができる。
ステップS1128、ステップS1130、ステップS1132又はステップS1133の処理の後、コントローラは、ステップS1134に処理を移して、スロットマシン1010のゲームが終了したか否かを判断し、ゲームが終了していない場合には、上述のステップS21へ処理を戻して同様の処理を繰り返す。
これに対して、ゲームが終了している場合には、コントローラは、ステップS1134からステップS1135へ処理を移して、このときプレーヤによってカード挿入口1706から挿入されているICカード、又はICカードが挿入されていない場合には、カードストッカー1121にストックされているICカードに対して、ゲームの結果発生した配当をクレジット情報として書き込む。
そして、コントローラは、続くステップS1136において、ICカード搬送モジュール1253(図17)を制御することにより、クレジット情報が書き込まれたICカードをカード挿入口1706から排出する。なお、この排出処理において、プレーヤ識別部の識別結果に基づいて、プレーヤが離席しようとした場合には、排出されたICカードの取り忘れの虞があるため、LED1709(図16)を特定の発光態様(点滅等)によって発光させることにより、プレーヤに対して注意を促すことができる。因みに、プレーヤ識別部の識別結果によらず、ICカードが排出される場合には、常にLEDを特定の態様で発光させるようにしてもよい。また、人体検知センサ1115等の検出結果に基づいて、一定時間プレーヤが検知されなかった場合に、ICカードの排出を中止(引き戻す)ことにより、プレーヤ以外の者がICカードを持ち去ることを防止することができる。
説明した処理手順により、PTS端末1700において、管理サーバブロック2820(図1)から、このときスロットマシン1010においてプレーするプレーヤにとって有意な情報を提供することができ、また、ICカードのカードストッカ1121(図8)にストックされているICカードの残り枚数に応じて、カード挿入口1706(図12)の近傍に設けられたLED1709を発光させることにより、PTS端末1700(スロットマシン1010)の外部から、ストックされているICカードの残り枚数を分かり易く表示することができる。かくして、カジノ店のスタッフは、スロットマシン1010の内部を開けて確認することなく、カードストッカー1121に残るICカードの枚数を容易かつ確実に把握することができる。
以上説明したように、本実施の形態のPTS端末1700を搭載したスロットマシン1010においては、プレーヤを識別するための情報を取得する人体検出カメラ1712(1713)、マイク1704(1705)、人体検知センサ1115と、LCD1719と、カード挿入口1706等のユニットを予め決められた位置に一体に設けていることにより、この一体化されたユニットの位置関係によって、プレーヤを充分な精度で識別することができる。
すなわち、プレーヤがスロットマシン1010の正面に座ると、スロットマシン1010の下側画像表示パネル1141の下方に設けられたPTS端末1700に対して、プレーヤが略正対することになる。この状態において、PTS端末1700の前面中央部に設けられたLCD1719は、プレーヤの正面に位置する。これにより、プレーヤは、スロットマシン1010をプレーする姿勢を変化させることなく、LCD1719を見ることができる。
LCD1719の上方には、人体検出カメラ1712(1713)及びマイク1704(1705)が設けられており、スロットマシン1010でプレーするプレーヤの顔を正面から撮像するとともに、当該プレーヤの音声を正面から集音することができる。
また、LCD1719の右方には、カード挿入口1706が設けられている。これにより、プレーヤは、スロットマシン1010をプレーする姿勢を変えることなく、右手でICカードをカード挿入口1706に対して挿脱することができる。なお、カード挿入口1706の上方に、人体検出カメラ1712(1713)及びマイク1704(1705)が設けられる場合には、スロットマシン1010でプレーするプレーヤの顔を斜めから撮像するとともに、当該プレーヤの音声を斜めから集音することができる。
これらの情報は、管理サーバブロック2820の会員管理サーバ1864に予め登録されているプレーヤのデータと比較される。
PTS端末1700では、このように、決められた角度に設置されたPTS端末1700の各ユニットが、PTSパネル1105(図11)によって予め決められた位置に確実に取り付けられていることにより、カメラやマイクロホンといったプレーヤを識別するためのユニットの取付け位置の誤差からくる認証エラーを未然に防止することができる。
また、PTS端末1700では、スピーカ1707、1708をLCD1719の裏面側に配置し、当該スピーカ1707、1708からの出力音を、LCD1719の両側に設けられたダクト1707A、1708Aから出力する構成としたことにより、比較的面積を必要とするスピーカ1707、1708の取付け面積をPTS端末1700の正面部に確保する必要がなくなり、この分、PTS端末1700の正面部の面積を小さくすることができる。また、PTS端末1700の正面部にスピーカ1707、1708の取付け面積が不要な分、当該面積を他のユニットの取付けに利用することもできる。
また、本実施の形態のPTS端末1700を搭載したスロットマシン1010においては、PTS端末1700の正面に設けられたLED1709の発光態様によって、外部から、カードストッカー1121に残るICカードの枚数を把握することができる。これにより、ゲーム中にカードストッカー1121のICカードがなくなるといった不都合を未然に防止することができる。
<<ICカード処理>>
図25は、ICカードに関する処理を実行するサブルーチンである。
ICカードは、プレーヤの操作によってカード挿入口1706から挿入される。カード挿入口1706に挿入されたICカードは、ICカード搬送モジュール1253(図14)のICカード搬送用モータが駆動されることによって、ICカードの読み書きができる位置(以下、ロード位置と称する。)にまでロードされる。また、このモータの駆動によって、ICカードをスタッカー1121の位置に搬送することもできる。スタッカーは、2種類あり、通常スタッカー(図示せず)とアラートスタッカー(図示せず)とがある。いずれのスタッカーもICカードを所定の枚数だけ収容することができる。
通常スタッカーは、初期化されたICカードを収容するためのものである。PTS端末1700は、スロットマシン1010と電気的に接続されており、プレーヤがスロットマシン1010のTAKE WIN/COLLECTボタン1032を操作したときには、操作されたことを示す信号がPTS端末1700に供給される。PTS端末1700が、この信号を受信したときには、1枚のICカードを、通常スタッカーからロード位置まで引き込み用モータによって搬送する。ロード位置までICカードが搬送されたときには、そのプレーヤが、それまでにゲームをした結果として残ったクレジット数に対応した金額を示す金額情報を記憶させ、イジェクト位置まで搬送する。イジェクト位置は、ICカードの一部が、カード挿入口1706から露出したり突出したりした状態の位置である。このようにすることで、プレーヤは、カード挿入口1706から露出したり突出したりした箇所をつまんで、ICカードを取り出すことできる。
アラートスタッカーは、所定のアラート条件を満たした場合には、アラートの対象となったICカードを収容するためのものである。このアラート条件は、ICカードをイジェクト位置に搬送して位置づけてから所定時間経過しても、プレーヤがそのICカードをカード挿入口1706から取り出さなかったことである。このアラート条件を満たした場合には、モータを駆動することによって、イジェクト位置からアラートスタッカーまでICカードを搬送して、アラートスタッカーに収容する。
最初に、CPU1731は、ICカードがロード位置に存在するか否かを判断する(ステップS1511)。この判断処理は、ICカードのロード位置に設けられたセンサから検出信号が発せられたか否かで判断する。センサは、光学式のものや機械式のものなど、ICカードの存在を検出して、検出信号を出力することができるものであればよい。検出信号の有無により、ICカードが読み書き可能にロード位置にセットされているか否かを判断することができる。
上述したロード位置には、ICカードと読み書きするためのICカードR/W(リーダ/ライタ)(図16において後述するアンテナ1701、変復調部1721等)が配置されている。ロード位置にICカードを配置することによって、リーダ/ライタを介して、ICカードに情報を書き込んだり、ICカードから情報を読み出したりできる。ICカードがロード位置に存在しないと判別したとき(NO)には、直ちに本サブルーチンを終了する。
CPU1731は、ICカードがロード位置に存在すると判別したとき(YES)には、認証できたか否かを判断する(ステップS1513)。認証は、ICカードの固有の情報を読み出して、PTS端末1700によって処理できるカードであるかを判断するための処理である。このようにすることで、PTS端末1700とは、関係のないカードがセットされていないことを確認することができる。また、ユーザIDをICカードに記憶させた場合には、そのユーザIDの内容を判断することによって、その店で発行した正規なICカードであるか否かを判断することもできる。認証できなかったと判別したとき(NO)には、直ちに本サブルーチンを終了する。
CPU1731は、認証できたと判別したときには、ICカードに記憶されているカードIDを読み出す(ステップS1515)。カードIDは、ICカードを識別するための情報であり、シリアル番号などを用いることができる。次に、CPU1731は、後述する図31に示すクレジット変換処理のサブルーチンを呼び出して実行する(ステップS1517)。
次に、CPU1731は、プレーヤが、スロットマシン1010のTAKE WIN/COLLECTボタン1032を操作したか否かを判断する(ステップS1525)。プレーヤが、スロットマシン1010のTAKE WIN/COLLECTボタン1032を操作していないと判別したとき(NO)には、ステップS1525に処理を戻す。このように、ステップS1525の判断処理が繰り返し行われているときに、スロットマシン1010では、プレーヤの操作に応じてゲームが進められる。この間に、スロットマシン1010では、ゲームの進行に応じてクレジット数が変更される。
CPU1731は、ステップS1525の判断処理で、スロットマシン1010のTAKE WIN/COLLECTボタン1032を操作したと判別したとき(YES)には、PTS端末1700のタイマ(図示せず)を起動する(ステップS1527)。このタイマは、ハードウエアによって構成されたものでも、ソフトウエアによって構成されたものでもよい。
次いで、CPU1731は、PTS端末1700に設けられている人体検出カメラ1712(1713)によって、プレーヤの人物画像を撮像して、そのデータ画像データをPTS端末1700のハードディスクドライブ1751に記憶させる(ステップS1529)。このようにすることで、プレーヤの人物画像を録画することができる。
次に、CPU1731は、スロットマシン1010から送信されたクレジット数を受信し(ステップS1533)、受信したクレジット数を金額情報に変換し(ステップS1535)、変換した金額情報を、ICカードのカードIDとともに外部制御装置1621に送信する(ステップS1537)。外部制御装置1621では、送信された金額情報を、カードIDに対応づけて、外部制御装置1621の記憶装置に記憶させる。
上述したステップS1519〜S1535の処理を実行することによって、スロットマシン1010のTAKE WIN/COLLECTボタン1032が、プレーヤによって操作されたときには、その時点においてスロットマシン1010のRAM1073に記憶されているクレジット数が、PTS端末1700に送信されて、クレジット数に対応する金額情報を外部制御装置1621の記憶装置に記憶させることができる。このようにすることで、外部制御装置1621で管理する金額情報を、最新のものに更新することができる。なお、スロットマシン1010のゲームが進行するたびに、スロットマシン1010からPTS端末1700にクレジット数が送信されるようにしてもよい。
次に、CPU1731は、ステップS1535の処理で、変換された金額情報をICカードに記憶させ(ステップS1539)、ICカードの表面に金額情報を印字する(ステップS1541)。ICカードの表面は、E−INK、メモリ性液晶又は電子ペーパーを利用することで、文字情報が変更可能に印字できるようにされている。上述したICカードのロード位置には、ICカードの内部の記憶領域とのリーダ/ライタのみならず、このICカードの表面に印字するための印字機構も設けられている。
次に、CPU1731は、後述する図27に示すミニゲーム1を実行するためのサブルーチン、又は図33に示すミニゲーム2を実行するためのサブルーチンを読み出して実行し(ステップS1543)、後述する図26に示すICカードを排出するためのサブルーチンを読み出して実行し(ステップS1545)、本サブルーチンを終了する。
この図25に示したサブルーチンを実行することによって、スロットマシン1010でゲームがされたときの結果の金額情報を、ICカードの内部の記憶領域に記憶させることができるとともに、ICカードの表面に金額情報を印字することができる。このようにすることで、プレーヤは、ICカードのリーダを用いることなく、ICカードの表面に印字された金額情報によって、その時点で自己が所有する金額情報を認識することができる。
なお、上述したステップS1543の処理で、ミニゲーム1とミニゲーム2とのうちのいずれか一方のみを常に実行するように定めても、選択的に一方を実行できるようにしてもよい。選択的に実行させる場合には、抽籤処理によって一方のゲームを呼び出すように定めればよい。
<<ICカード排出処理>>
図26は、ICカードをロード位置からイジェクト位置にまで搬送して排出するときの処理を実行するためのサブルーチンである。
最初に、CPU1731は、ICカードを搬送するためのモータを駆動する(ステップS1561)。次に、CPU1731は、カード挿入口1706にICカードが存在するか、すなわち、イジェクト位置にICカードが存在するか否かを判断する(ステップS1563)。カード挿入口1706には、ICカードを検出するためのセンサが設けられている。ステップS1563の判断処理は、このセンサから検出信号が発せられたか否かで判断する。センサは、光学式のものや機械式のものなど、ICカードの存在を検出して、検出信号を出力することができるものであればよい。検出信号の有無により、ICカードがカード挿入口1706(イジェクト位置)にセットされているか否かを判断することができる。
次に、CPU1731は、カード挿入口1706にICカードが存在すると判別したとき(YES)には、上述したステップS1527の処理で起動したタイマ値が、所定時間以上、例えば、5秒以上になったか否かを判断する(ステップS1565)。所定時間は、カード挿入口1706にICカードが搬送されてから、プレーヤが、そのICカードを取り出すまでに要する時間に基づいて定めればよい。タイマ値が、所定時間未満であると判別したとき(YES)には、ステップS1563に処理を戻す。
一方、CPU1731は、ステップS1565の判断処理で、タイマ値が所定時間以上であると判別したときには、タイマを停止し(ステップS1567)、アラート信号を外部制御装置1621(いわゆるホールサーバ)に送信する(ステップS1569)。このようにすることで、スロットマシン1010でICカードの取り忘れが生じた可能性があることを、外部制御装置1621に報知することができる。なお、ステップS1569の処理で、スロットマシン1010に割り当てられている固有の識別番号とともにアラート信号を外部制御装置1621に送信するのが好ましい。このようにすることで、外部制御装置1621は、ICカードがカード挿入口1706から取り出されていないことと、ICカードが取り出されていないスロットマシン1010を特定することができる。
次に、CPU1731は、人体検出センサから出力信号が発せられているか否かを判断する(ステップS1571)。人体検出センサは、スロットマシン1010の前にプレーヤが存在しているか否かを判断するためのものである。人体検出センサは、上述した人体検出カメラ1712(1713)のほか、上述した人体検知センサ1115や、光センサによる反射型のフォトインタラプタ等、一般的にスロットマシン1010の前方に人が存在するか否かを検出できるものであればよい。人体検出センサは、人体が存在すると検出したときには、検出信号を発する。
CPU1731は、ステップS1571の判断処理で、人体検出センサから出力信号が発せられていると判別したとき(YES)、すなわち、スロットマシン1010の前にプレーヤが存在していると判別したときには、PTS端末1700のLCD1719にアラートを表示し(ステップS1573)、PTS端末1700のスピーカ1707、1708からアラート音を出力する(ステップS1575)。このアラートの表示やアラート音の出力は、スロットマシン1010でゲームを行っていたプレーヤに対して行うものであり、ICカードを取り忘れている可能性があることをプレーヤに認識させて、ICカードを取り出すべきことをプレーヤに促すためのものである。
次に、CPU1731は、カード挿入口1706にICカードが存在するか、すなわち、イジェクト位置にICカードが存在するか否かを判断する(ステップS1577)。この判断は、上述したステップS1563の判断処理と同様のものである。カード挿入口1706に設けられているセンサから検出信号が発せられたか否かで判断する。
CPU1731は、カード挿入口1706にICカードが存在すると判別したとき(YES)には、人体検出センサから検出信号が発せられているか否かを判断する(ステップS1579)。このステップS1579の判断処理は、上述したステップS1571と同様の処理である。人体検出センサから検出信号が発せられていると判別したとき(YES)には、ステップS1577に処理を戻す。すなわち、スロットマシン1010の前方には、プレーヤが存在しているので、そのプレーヤに対して、アラートを表示したりアラート音を出力したりすることで、ICカードを取り忘れている可能性があることをプレーヤに認識させて、ICカードを取り出すべきことをプレーヤに促すことができる。
CPU1731は、上述したステップS1577の判断処理で、カード挿入口1706にICカードが存在しない、すなわち、イジェクト位置にICカードが存在しないと判別したとき(NO)には、アラートが解消されたことを示すアラート解消信号を外部制御装置1621に送信する(ステップS1585)。上述したステップS1573のアラートの表示や、ステップS1575のアラート音の出力によって、ICカードを取り忘れていたことをプレーヤが認識し、プレーヤがICカードをカード挿入口1706から取り出したことによって、アラート条件が解消されたことを、アラート解消信号を外部制御装置1621に送信することで、外部制御装置1621に報知することができる。
CPU1731は、ステップS1585の処理を実行した後、ステップS1585の処理で表示したアラート表示を消去する(ステップS1587)とともに、ステップS1575の処理で発したアラート音を停止する(ステップS1589)。次に、CPU1731は、図25のステップS1529の処理で開始したプレーヤの人物画像の録画を終了し(ステップS1591)、本サブルーチンを終了する。
また、CPU1731は、上述したステップS1563の判断処理で、カード挿入口1706にICカードが存在しないと判別したとき(NO)、すなわち、アラート表示やアラート音が出力されることなく、プレーヤがICカードをカード挿入口1706から取り出した場合には、ステップS1527の処理で起動したタイマを停止し(ステップS1593)、上述したステップS1591に処理を移す。
このように、アラート表示やアラート音が出力されることなく、プレーヤがICカードをカードスロットから取り出した場合や、アラート表示やアラート音が出力されたことによって、ICカードを取り忘れていることを認識して、プレーヤがICカードをカード挿入口1706から取り出した場合などは、上述したような手順で処理が実行される。
一方、CPU1731は、ステップS1579の判断処理で、人体検出センサから検出信号が発せられていないと判別したとき(NO)には、ステップS1573の処理で表示したアラート表示を消去する(ステップS1581)とともに、ステップS1575の処理で発したアラート音を停止する(ステップS1583)。すなわち、スロットマシン1010の前方には、プレーヤが既に、存在していないので、そのプレーヤに対して、アラートを表示したりアラート音を出力したりする必要がなく、アラート表示を停止して、アラート音の出力を停止する。
CPU1731は、上述したステップS1571の判断処理で、人体検出センサから出力信号が発せられていないと判別したとき(NO)、すなわち、スロットマシン1010の前にプレーヤが存在していないと判別したとき、又は、上述したステップS1583の処理を実行したときには、PTS端末1700のLCD1719にアラートを表示し(ステップS1595)、PTS端末1700のスピーカ1707、1708からアラート音を出力し(ステップS1597)、アラート信号を外部制御装置1621(いわゆるホールサーバ)に送信する(ステップS1599)。
これらのステップS1595、S1597及びS1599の処理は、ステップS1571やS1579の判断処理で、スロットマシン1010の前にプレーヤが存在していないと判別したときに実行される処理である。すなわち、ステップS1595、S1597及びS1599の処理は、プレーヤに対して、ICカードを取り忘れていることを認識させるためのものではなく、スロットマシン1010が設置されている店のための処理である。したがって、アラート表示やアラート音などは、ステップS1573やS1575の処理のものは異なるものが好ましい。このようにすることで、ICカードが取り忘れられたスロットマシン1010が存在することを店員に的確に報知することができる。これらのアラート表示やアラート音によって、そのスロットマシン1010に店員が直ちに急行することができる。迅速に対応することができる。
また、ステップS1599の処理のアラート信号が発せられた日時やスロットマシン1010の識別情報などを外部制御装置1621に記憶させておくことによって、ICカードが取り忘れられた事実を管理することができる。後日、プレーヤから店に連絡があったときに、的確に応答することができる。
次に、CPU1731は、ICカードの引き込み用のモータを駆動することによって、ICカードをイジェクト位置からPTS端末1700の内部に収納する(ステップS1601)。特に、ICカードをアラートスタッカーに収容するのが好ましい。アラートスタッカーは、所定のアラート条件を満たした場合には、アラートの対象となったICカードを収容するためのものである。このアラート条件は、ICカードをイジェクト位置に搬送して位置づけて(ステップS1561)から所定時間経過しても(ステップS1565)、プレーヤがそのICカードをカード挿入口1706から取り出さなかった(ステップS1571又はS1575)ことである。このアラート条件を満たした場合には、ステップS1601の処理によって、モータを駆動することにより、イジェクト位置からアラートスタッカーまでICカードを搬送して、アラートスタッカーに収容する。なお、後述するように、アラート発生情報をICカードに書き込んだり、ICカードのカードIDを読み取ったりする処理を実行するために、アラートスタッカーに収容する前に、一旦、ICカードをロード位置に搬送し、これらの処理を実行した後に、アラートスタッカーにICカードを収容するのが好ましい。
ICカードが取り忘れられたときには、上述したように店員が急行して適切な処置をすることが好ましい。しかしながら、他のサービスなどで店員が忙しい場合には、直ちに急行することができないことも十分に想定される。このような場合に、他のプレーヤが、取り忘れられたICカードを入手することで、不正にクレジットを獲得する可能性もある。このように、取り忘れられたICカードをアラートスタッカーに収容することによって、店員が急行できないような場合であっても、不正行為を未然に防止することができる。
CPU1731は、ステップS1601の処理を実行した後、図25のステップS1529の処理で開始したプレーヤの人物画像の録画を終了し(ステップS1603)、一旦、ICカードをロード位置に搬送して、アラート条件を満たしたことを示すアラート発生情報をICカードに書き込む(ステップS1605)。このようにすることで、そのICカードが、取り忘れられたものであることを識別することができる。
次に、CPU1731は、ICカードのカードIDを読み出し(ステップS1607)、読み出したカードIDと、録画した人物画像の録画データとを対応付けて、PTS端末1700のハードディスクドライブ1751に記憶させ(ステップS1609)、本サブルーチンを終了する。
ステップS1609の処理によって、PTS端末1700のハードディスクドライブ1751に記憶されたカードIDと人物画像の録画データとのテーブルを図28に示す。図28に示したテーブルは、PTS端末1700のハードディスクドライブ1751に記憶されたデータを概念的に示すものである。図28に示した例では、カードIDは、「001245」であり、カードIDを識別できる情報であればよい。例えば、カードIDのシリアル番号や、その店で割り当てた識別番号などを用いればよい。また、録画データは、例えば、動画データなどであり、ハードディスクドライブ1751に記憶させることができる動画データのための各種のフォーマットを用いることができる。図28に示した例では、録画データは、「090715-131213-0012.avi」であり、ハードディスクドライブ1751に記憶させるためのファイル名である。
この読み出したカードIDと録画した人物画像の録画データとをハードディスクドライブ1751に保管しておくことによって、後日、プレーヤから店に、ICカードの取り忘れについて問い合わせがあった場合に、カードIDと人物画像の録画データと参照することにより、迅速かつ的確に、本来のプレーヤにICカード返却することができる。
図26のステップS1571の判断処理で、人体検出センサによってプレーヤが存在する場合には、まず、第1段階のアラートとして、プレーヤに対するアラート表示をしたりアラート音を発したりする。そのようなアラート表示やアラート音によっても、プレーヤがICカードの取り忘れについて認識せず、ICカードを取り出すことなくスロットマシン1010から立ち去った場合には、第2段階のアラートとして、店用のアラート表示をしたりアラート音を発したりする。
このようにすることで、ICカードの取り忘れについて、プレーヤに対して積極的に認識させるようにするとともに、プレーヤが認識しなかったときには、店に対するアラートに切り替えることで、他のプレーヤがそのクレジットを入手するような不正行為を未然に防止することができる。
なお、プレーヤに対するアラート表示やアラート音を、予め複数種類定めておき、金額情報が示す金額に応じてアラート表示やアラート音の種類を変更するのが望ましい。例えば、金額情報が示す金額に応じてアラートの種類を予め定めたアラート決定テーブルをPTS端末1700のROM1733に記憶させておく。アラートの種類は、LCD1719に表示するアラートの種類として、メッセージの内容や文字の大きさや色や点滅の態様などがある。また、スピーカ1707、1708から出力する音声のアラートの種類として、音楽や警告音や、音の大きさや高さなどがある。
ICカードに記憶されている金額情報が示す金額を使ってアラート決定テーブルを検索して、金額情報が示す金額に応じてアラートの種類を決定する。金額情報が示す金額が大きいにもかかわらず、カード挿入口1706にICカードを残した場合には、ICカードを単に置き忘れた可能性があるので、プレーヤが認識させやすい目立つアラートにするのが望ましい。なお、この処理は、金額情報が示す金額ではなく、クレジット数を用いて処理をしてもよい。
ステップS1571やS1579の判断処理において、人体検出センサによってプレーヤが存在するか否かの判断は、1回だけでなく、複数回行ったり、所定の時間に亘って行ったりしてもよい。プレーヤが帰り支度や、スロットマシン1010の移動の準備をしているため、かがんだり、姿勢を変えたりしている可能性があり、プレーヤが存在するか否かの判断を複数回行ったり、所定の時間に亘って行ったりすることで、プレーヤが存在するか否かを的確に判断することができる。
<<ミニゲーム1実行処理>>
図27は、上述した図25のステップS1543の処理で呼び出されて実行されるミニゲーム1を実行するためのサブルーチンである。したがって、本実施の形態では、ミニゲーム1は、PTS端末1700において実行される。
本実施の形態のPTS端末1700では、金種の異なる紙幣をゲーム用クレジットに交換できる。すなわち、スロットマシン1010の紙幣識別器1022に紙幣を投入することで、PTS端末1700で、その紙幣が示す額をクレジット数に交換することができる。
具体的には、以下のような処理によって、クレジット数に交換される。
まず、スロットマシン1010(又はPTS端末1700)の紙幣識別器1022に紙幣が投入されたときには、紙幣の金種を判断する。例えば、投入された紙幣が、香港ドルであるか否かを判断する。上述したように、スロットマシン1010(又はPTS端末1700)の紙幣識別器1022は、金種の異なる紙幣を投入できるように構成されている。投入された紙幣の金種が特定のものであったときには、直ちに、所定の換算基準によって(換算式などを用いて)、投入された紙幣の金額に応じたクレジット数に交換される。例えば、投入された紙幣が、香港ドルである場合には、そのまま、その紙幣に定められた金額に応じたクレジット数に交換される。
一方、投入された紙幣の金種が特定のものでなかったときには、その時点におけるレートに応じて、投入された紙幣の金額は、一旦、特定の金種の金額に変換される。例えば、USドルや円から香港ドルに変換される。その時点におけるレートを、金種ごとに、PTS端末1700のRAM1732に記憶させておくことで、特定の金種の金額に変換することができる。
次に、特定の金種に変換された金額を、上述した所定の換算基準によって(換算式などを用いて)、クレジット数に交換する。例えば、投入された紙幣の金種がUSドルや円であった場合には、まず、その紙幣に定められた金額は、香港ドルに変換される。次いで、変換した金額をクレジット数に交換する。
上述したように、異なる金種に金額を変換したときには、レートによって、変換後の金額に端数が生ずる場合がある。このように、変換後の金額に端数が生じても、変換によってプレーヤに不利益を与えないようにするために、変換後の金額は、ICカードに記憶される。
<<クレジット変換処理>>
図31は、PTS端末1700で実行される処理であり、スロットマシン1010の紙幣識別器1022に投入された紙幣の金種に応じて、異なる金種の金額やクレジット数に変換するためのサブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンは、紙幣識別器1022に紙幣が投入されたことを検出したときに呼び出されて実行される。
最初に、CPU1731は、スロットマシン1010の紙幣識別器1022に投入された紙幣の金種を決定する(ステップS1671)。この決定処理は、紙幣識別器1022から出力される、金種を表す金種データに基づいて行われる。次に、CPU1731は、投入された紙幣が特定の金種であるか否かを判断する(ステップS1673)。CPU1731は、投入された紙幣が特定の金種でないと判別したとき(NO)には、PTS端末1700のRAM1732に記憶されているレートを金種に応じて読み出す(ステップS1675)。次に、CPU1731は、投入された紙幣の金額を、読み出したレートを用いて、特定の金種の金額に変換する(ステップS1677)。
CPU1731は、上述したステップS1673の判断処理で、投入された紙幣が特定の金種でないと判別したとき(NO)、又はステップS1677の処理を実行したときには、LCD1719に、金種に応じた言語で表示を行うと共に、スピーカ1707、1708から金種に応じた言語で音声出力を行う。金種に応じた表示データ及び音声データは、PTS端末1700のROM1733(図16)に予め記憶されている。これにより、紙幣識別器1022に投入された紙幣の金種に応じた言語で表示及び音声出力がなされる。例えば、紙幣識別器1022にドル紙幣を投入した場合、LCD1719には、英語で表示が行われると共に、スピーカ1707、1708からは英語で案内の音声が出力される。
CPU1731は、投入された紙幣が示す金額又はステップS1677の処理で変換された金額と、金種に応じたレートとからクレジット数を決定する(ステップS1679)。最後に、CPU1731は、金額をICカードに書き込み(ステップS1681)、本サブルーチンを終了する。
なお、レートは、漸次変化するので、例えば、一定の時間ごとや一定の期間ごとに最新のものに更新できるように、PTS端末1700のRAM1732に記憶させるものが好ましい。最新のレートの値は、外部制御装置1621からPTS端末1700に送信するようにするのが好ましい。
図32は、スロットマシン1010の紙幣識別器1022に紙幣を投入したときに、PTS端末1700のLCD1719に表示される画面の例を示す。図32(a)は、紙幣を投入する前に表示される画面であり、画面の上側には中国語のメッセージが表示されている。また、画面の下側には、香港ドルに交換した場合の、金種の各々のレートが表示されている。このように、金種の変換でプレーヤに不利益にならないように、レートの各々は、少数点以下4桁まで定められている。また、図32(b)は、米国紙幣を投入したときに表示される画面である。米国紙幣が紙幣識別器1022に投入されたことを判別し、画面の上側には英語のメッセージが表示されている。
上述したように、金種に対応したレートの各々は、少数点以下4桁まで定められている。このため、PTS端末1700のCPU1731の演算処理によって変換すると、正確に交換できるのでプレーヤに不利益や与えないが、金種の変換で金額に端数が生ずる場合がある。なお、生じた端数も含めて、LCD1719に表示するものが好ましい。特に、後述するステップS1625の処理によってミニゲームが実行されるときに、LCD1719に表示するのが好ましい。このようにすることで、端数が生じたことによって、ミニゲームを実行することをプレーヤに認識させることができる。
このように、ICカードに残っている金額が、金種の変換によって生じた端数のように、極めて小さい場合には、精算が面倒であるため、ICカードをスロットマシン1010に故意に残していくプレーヤが現れる可能性がある。しかし、このような場合に、ICカードの取り忘れによるアラートを発生させる構成にすると、頻繁にアラートが発生してしまう可能性がある。このため、後述するように、ミニゲームを実行することによって、ICカードに記憶されている金額を意図的に変更するものが好ましい。
図27に示したミニゲームのサブルーチンにおいて、最初に、CPU1731は、ロード位置にセットされているICカードから金額情報を読み出す(ステップS1621)。次に、CPU1731は、読み出した金額情報が示す金額が所定数以下、例えば、最低精算単位1ドルに相当する数以下であるか否かを判断する(ステップS1623)。読み出した金額情報が示す金額が所定数より大きいと判別したとき(NO)には、直ちに、本サブルーチンを終了する。
一方、CPU1731は、読み出した金額情報が示す金額が所定数以下である場合(YES)には、PTS端末1700においてミニゲームを実行する(ステップS1625)。ミニゲームは、PTS端末1700のLCD1719を用いたものが好ましい。例えば、2枚のカードから1枚のカードを選択させるミニゲームを行う。プレーヤが、2枚のカードのうち、大きい数字のカードを選択した場合には、勝ったとして、後述するように、読み出した金額情報が示す金額×120%の金額を新たな金額情報とし、プレーヤが、小さい数字のカードを選択した場合には、負けたとする。後述するように、ミニゲームで負けた場合には、ICカードは、カード挿入口1706から排出されずに、PTS端末1700の内部に収容される。なお、カードの選択は、プレーヤがタッチパネル1719Aを押動することによって、タッチパネル1719Aから発せられる信号を用いて処理することができる。
次に、CPU1731は、ステップS1625で実行したミニゲームに勝ったか否かを判断する(ステップS1627)。CPU1731は、ミニゲームに負けたと判別したとき(NO)には、上述したように、ICカードをPTS端末1700の内部に収容し(ステップS1639)、本サブルーチンを終了する。このようにすることで、金額情報が示す金額が所定数以下である場合には、カード挿入口1706から排出されない。
一方、CPU1731は、ステップS1627の判断処理で、ミニゲームに勝ったと判別したとき(YES)には、(読み出した金額情報が示す金額)×120%という演算処理をして、金額を増やす(ステップS1629)。
次に、CPU1731は、増やした金額に対応した金額情報をICカードに書き込み(ステップS1631)、増やした金額に対応した金額情報を、ICカードのカードIDとともに外部制御装置1621に送信する(ステップS1633)。外部制御装置1621では、送信された金額情報を、カードIDに対応づけて、外部制御装置1621の記憶装置に記憶させる。
次に、CPU1731は、金額情報をクレジット数に変換し(ステップS1635)、変換したクレジット数をスロットマシン1010に送信し(ステップS1637)、本サブルーチンを終了する。このようにすることで、ミニゲームをしてクレジット数を増やすことができたプレーヤは、継続してゲームをすることができる。また、ミニゲームをしてクレジット数を増やしてもゲームを続けない場合には、スロットマシン1010のTAKE WIN/COLLECTボタン1032を操作することで、終了することができる。
このように、ICカードにある程度大きい金額に対応した金額情報が残っている場合には、よっぽどのことが無い限り、プレーヤがICカードを取り忘れることは少ないとは想像できる。しかしながら、ICカードに残っている金額が極めて小さいような場合には、精算するのが面倒であるなどの理由により、ICカードをスロットマシン1010に故意に残していくプレーヤが現れることも想定される。このため、ICカードの取り忘れによるアラートを発生させる構成とした場合には、頻繁にアラートが発生してしまう可能性がある。
しかしながら、上述した図27に示したミニゲームを実行して、負けた場合には、PTS端末1700の内部にICカードが収容されることを認めさせる。このようにすることで、ICカードがカード挿入口1706に残されないようにして、店員の手間や労力を軽くすることができる。また、ICカードがPTS端末1700の内部に収容されるので、次のプレーヤは、待つことなく、直ちに、そのスロットマシン1010で遊技を開始することができ、スロットマシン1010の稼働率を高めることができる。
さらに、小さい金額しかICカードに残っていないにも拘わらず、ICカードをPTS端末1700から排出して、プレーヤがそのICカードを取り出した場合には、小さい金額しか残されていないので、プレーヤは、そのICカードに価値を感じられず、廃棄する可能性もある。このように、プレーヤによってICカードが廃棄されたときには、店で使用できるICカードの数が減ってしまう。このため、店では、ICカードを補充するために、ICカードを新たに購入する必要があった。しかしながら、ミニゲームを実行して、負けた場合には、PTS端末1700の内部にICカードを収容することによって、使用できるICカードを店が的確に回収することができる。このように、回収したICカードを再び店で使用することで、ICカードに要する費用を低減させることもできる。
一方、ミニゲームによって、ICカードの金額を多くした場合には、ICカードの価値を高めて、ICカードの存在をプレーヤに積極的に認識させて、取り忘れを防止することができる。
<<ICカード初期化・補充処理>>
図29は、アラートの対象になったICカードを初期化して、新たに通常スタッカーに補充するためのサブルーチンである。この処理は、スロットマシン1010において、所定の時間以上、例えば、10分以上ゲームがされていないときに、呼び出されて実行される。このようにすることで、スロットマシン1010において行われるゲームを妨げることなく、ICカードの初期化や補充の処理を実行することができる。
最初に、CPU1731は、アラートスタッカーに収容されているICカードをロード位置に搬送し、ICカードからアラートの種類及びアラートの対象となった日時を読み出す(ステップS1651)。上述したように、アラートスタッカーに収容されているICカードは、アラートの対象になったものである。
CPU1731は、ICカードがアラートの対象となったアラートの種類が、ICカードの取り忘れによるものであるか否かを判断する(ステップS1653)。アラートの種類が、ICカードの取り忘れによるものでないとき(NO)には、直ちに本サブルーチンを終了する。ICカードに関するアラートは、他の理由によるものもあるが、このICカード初期化・補充処理では、プレーヤがICカードをカード挿入口1706に残したもののみを対象にする。他のアラートでは、ICカードを初期化して再利用するには不適切な場合もあり得るからである。例えば、ICカードがハードウエア的に故障している可能性がある場合などを排除するためである。
一方、CPU1731は、アラートの種類が、ICカードの取り忘れによるものであるとき(YES)には、アラートの対象となった日時から、所定の期間、例えば、1ヶ月経過したか否かを判断する(ステップS1655)。アラートの対象となった日時から、所定の期間、経過していないと判別したとき(NO)には、直ちに本サブルーチンを終了する。所定の期間、経過していない場合には、プレーヤが、取り忘れたICカードについて問い合わせをする可能性もあるので、所定の期間、経過してから、ICカードの初期化の対象とするのが好ましい。
一方、CPU1731は、アラートの対象となった日時から、所定の期間、経過したと判別したとき(YES)には、ロード位置にあるICカードを初期化する(ステップS1657)。ICカードの所定の記憶領域には、図30は、ICカードの所定の記憶領域に記憶されている情報の例を示すテーブルである。図30に示した例では、ICカードは、カードID(上述した識別情報)、金額情報、アラートの種類、アラートの日時、ゲーミングマシンの識別番号などが記憶されている。これらのうちの、カードID以外の情報を消去することによって、ICカードの初期化をすることができる。このようにして、ICカードを初期化することによって、その店でICカードを再利用することができる。
次いで、CPU1731は、ICカードをロード位置から通常スタッカーに搬送して、新たなICカードとして通常スタッカーに補充する(ステップS1659)。このようにすることで、店は、ICカードを新規に購入することなく、ICカードを補充することができるので、ICカードに要する費用を低減させることもできる。また、スロットマシン1010を開放することなく、ICカードを補充することができるので、安全性を高めることができるとともに、ICカードの補充作業が煩雑になることを防止することができる。
<<ミニゲーム2実行処理>>
図33は、上述した図25のステップS1543の処理で呼び出されて実行されるミニゲーム2を実行するためのサブルーチンである。このミニゲーム2、ミニゲーム1と同様に、PTS端末1700において実行される。なお、図27に示したミニゲーム1と同様の処理をするステップには、同一の符号を付した。
最初に、CPU1731は、プレーヤが、スロットマシン1010のTAKE WIN/COLLECTボタン1032を操作したか否かを判断する(ステップS1691)。プレーヤが、スロットマシン1010のTAKE WIN/COLLECTボタン1032を操作していないと判別したとき(NO)には、直ちに本サブルーチンを終了する。
CPU1731は、ステップS1525の判断処理で、スロットマシン1010のTAKE WIN/COLLECTボタン1032を操作したと判別したとき(YES)には、スロットマシン1010から送信されたクレジット数を受信する(ステップS1693)。次に、CPU1731は、受信したクレジット数が所定値未満であるか否かを判断する(ステップS1695)。CPU1731は、受信したクレジット数が所定値以上であると判別したとき(NO)には、直ちに本サブルーチンを終了する。
一方、CPU1731は、受信したクレジット数が所定値未満であると判別したとき(YES)には、ミニゲームを実行するか否かのメッセージをLCD1719に表示する(ステップS1697)。次に、CPU1731は、プレーヤがミニゲームを選択したか否かを判断する(ステップS1699)。CPU1731は、プレーヤがミニゲームを選択したと判別したとき(YES)には、ステップS1625に処理を移す。図33に示したステップS1625〜ステップS1709の処理は、図27に示したミニゲーム1と同様の処理である。なお、このステップS1699の判断処理は、プレーヤがタッチパネル1719Aを押動することによって、タッチパネル1719Aから発せられる信号を用いて処理することができる。
CPU1731は、プレーヤがミニゲームを選択しなかったと判別したとき(NO)には、ステップS1693の処理で、スロットマシン1010から送信されたクレジット数を金額に変換して金額情報を生成する(ステップS1701)。次に、CPU1731は、ICカードにICカードに金額情報を書き込み(ステップS1703)、金額情報をカードIDとともに外部制御装置1621に送信し(ステップS1705)、ICカードの搬送用モータを駆動してICカードをイジェクト位置に搬送し(ステップS1707)、本サブルーチンを終了する。
このようにすることで、ミニゲームをしなかったプレーヤに対しては、クレジット数が所定値未満であった場合でも、ICカードに金額情報を記憶させて、プレーヤに返却する。このようにすることで、小額であってもプレーヤに現金を返すので、プレーヤに不利益を与えることがない。
なお、上述したステップS1695の判断処理で用いた所定値は、スロットマシン1010ごとに設定できるようにするのが好ましい。例えば、PTS端末1700の接続部1750に、所定値設定変更スイッチを接続した構成にするのが好ましい。このようにすることで、所定値設定変更スイッチを操作することで、所定値を変更して決定することができる。
スロットマシン1010ごとに所定値を設定できるようにすることで、スロットマシン1010のプレーヤの好みに対応させることができる。例えば、ハイローラ向けのゲーミングマシンの場合には、この所定値を高く設定する。このようにすることで、ICカードの残額をある程度大きくできるので、ハイローラ向けのゲーミングマシンのプレーヤであっても、ICカードを棄てる可能性を低くすることができる。
<<クレジット変換処理>>
図34は、上述した図25のステップS1517の処理で呼び出されて実行されるクレジット変換処理のサブルーチンである。
最初に、CPU1731は、ICカードから読み出したカードIDを外部制御装置1621に送信する(ステップS1721)。外部制御装置1621は、カードIDを受信し、カードIDに対応する金額情報を読み出して、カードIDを送信したPTS端末1700に送信する。
外部制御装置1621は、カードIDが送信されたときには、カードIDを用いてカードIDに対応づけられた金額情報を検索して、カードIDに対応づけられた金額情報が外部制御装置1621の記憶装置に記憶されているか否かを判断する。カードIDに対応づけられた金額情報が記憶されているときには、金額情報をPTS端末1700に送信する。一方、金額情報が記憶されていないときには、記憶されていないことを示す情報をPTS端末1700に送信する。
店内には、複数のスロットマシン1010が設置されている。プレーヤは、スロットマシン1010を変えつつゲームをして、複数のスロットマシン1010のうち、気に入りそうなものを探すことが多い。このため、一のスロットマシン1010でゲームをした後、他のスロットマシン1010でゲームをするような場合には、一のスロットマシン1010でゲームをしたときに、そのときの金額情報は、外部制御装置1621の記憶装置に既に記憶されている。このため、他のスロットマシン1010でゲームをする場合には、外部制御装置1621の記憶装置に記憶されている金額情報を、他のスロットマシン1010で呼び出すことで、外部制御装置1621で金額情報を的確に管理することができ、不正行為を未然に防止することができる。
次に、CPU1731は、外部制御装置1621に金額情報が存在するか否かを判断する(ステップS1723)。CPU1731は、外部制御装置1621に金額情報が存在すると判別したとき(YES)には、外部制御装置1621から送信された金額情報を受信し(ステップS1725)。一方、CPU1731は、外部制御装置1621に金額情報が存在しないと判別したとき(NO)には、ICカードに記憶された金額情報を読み出す(ステップS2917)。
次に、CPU1731は、スロットマシン1010のRAM1073に記憶されているデノミネーションを読み出す(ステップS1729)。デノミネーションは、1回のゲームに対するベットの最小単位を意味する。なお、本実施の形態におけるデノミネーションは、通貨価値のデノミネーションが好ましい。通貨価値のデノミネーションとしては、例えば、そのゲーミングマシンでの1クレジットを、0.001香港ドル、0.01香港ドル、0.1香港ドル等とすることができる。ゲーミングマシンごとにデノミネーションを定めることによって、ゲーミングマシンごとに異なる最低賭金やゲーム単価を設定できる。これにより、プレーヤは、少ない賭金で長時間にわたってゲームを楽しんだり、多くの賭金で一攫千金を狙ったりするように、プレーヤの所持金額等に応じて、ゲーミングマシンを選択してゲームを楽しむことができる。
なお、デノミネーションは、外部制御装置1621によって決定され、決定されたデノミネーションが、外部制御装置1621からスロットマシン1010に送信され、スロットマシン1010のRAM1073に記憶させるのが好ましい。
次に、CPU1731は、ステップS1725の処理で受信した金額情報が示す金額の全て、又は、ステップS1727の処理でカードIDから読み出した金額情報が示す金額の全てを、クレジットに変換できるか否かを判断する(ステップS1731)。クレジットに変換できない金額が含まれている場合(NO)には、すなわち、クレジット単位で端数が生じてしまう場合には、クレジットに変換できる最大の金額を決定する(ステップS1733)。
次に、CPU1731は、クレジットに変換できない金額が含まれていない場合(YES)、又はステップS1733の処理を実行したときには、ステップS1729の処理で読み出したデノミネーションに応じて、クレジットに変換できる金額をクレジットに変換し(ステップS1735)、変換したクレジット数をスロットマシン1010に送信する(ステップS1737)。さらに、CPU1731は、クレジットに変換できなかった金額、すなわち、クレジットに変換した金額の残りの金額をICカードに書き込み(ステップS1739)、本サブルーチンを終了する。
図35は、通常ゲームにおいて用いられる再配置の対象となるシンボル1501を決定する際に用いられるテーブルである。通常ゲーム用シンボルテーブルは、各シンボル列における表示ブロック1028の各シンボル1501と、コードNo.とが対応付けられていると共に、0〜65535の範囲を20区分した数値値範囲が各コードNo.に対応付けられている。
なお、区分の態様は、均等であってもよいし、不均等であってもよい。不均等の場合には、乱数値の範囲により当籤する確率をシンボル1501の種類により調整することが可能になる。また、特定シンボル1503のトリガーシンボル1503bに対応する『FEATURE』やワイルドシンボル1503aに対応する『WILD』に対応した範囲が、他種類のシンボル1501よりも狭い範囲に設定されていてもよい。この場合には、ゲームの状況に応じて、価値のある種類のシンボル1501を当籤し難くして、勝敗を容易に調整することができる。
例えば、1列目において、無作為に選ばれた乱数値が“10000”であれば、この乱数値を含む乱数範囲に対応付けられたコードNo.3の『J』が、1列目の擬似リール1151において再配置の対象とされる。また、例えば、4列目において、無作為に選ばれた乱数値が“40000”であれば、この乱数値を含む乱数範囲に対応付けられたコードNo.12の『FEATURE』が、4列目の擬似リール1154において再配置の対象とされる。
(ボーナスゲーム用シンボルテーブル)
図36は、ボーナスゲームにおいて用いられる再配置の対象となるシンボル1501を決定する際に用いられるテーブルである。本ボーナスゲーム用シンボルテーブルは、通常ゲーム用シンボルテーブルと同様に、各シンボル列における表示ブロック1028の各シンボル1501と、コードNo.とが対応付けられていると共に、0〜65535の範囲を区分した数値範囲が各コードNo.に対応付けられている。なお、区分の態様は、通常ゲーム用シンボルテーブルと同一である。
さらに、ボーナスゲーム用シンボルテーブルは、特定シンボル1503が追加や置換されている。ここで、『置換』とは、新規のシンボルデータが既存のシンボルデータに上書きされることを意味する。追加や置換する個数やシンボル列は、無作為に選ばれてもよいし、予め決められていてもよい。本実施形態においては、図39のワイルドシンボル増加数決定テーブル及び図40のトリガーシンボル増加数決定テーブルにより増加数が無作為に選ばれている。なお、シンボルデータが置換された場合、停止表示されたシンボル1501に置き換わって、上書き(置換)されたシンボルデータの画像が表示されてもよい。
例えば、図36のボーナスゲーム用シンボルテーブルにおいては、各シンボル列(L1)〜(L5)に対して、均等に10個のワイルドシンボル1503aが追加された状態を示している。この場合には、全てのシンボル列(L1)〜(L5)においてワイルドシンボル1503aが無作為に選ばれ易い状態となる。
(シンボル列決定テーブル)
図37は、特定シンボル1503が追加や置換される対象となるシンボル列(L1)〜(L5)を決定する際に用いられるシンボル列決定テーブルを示す図である。シンボル列決定テーブルは、シンボル列No.と乱数値との対応関係を示している。シンボル列No.1は、表示ブロック1028の1列目を、シンボル列No.2は、表示ブロック1028の2列目を、シンボル列No.3は、表示ブロック1028の3列目を、シンボル列No.4は、表示ブロック1028の4列目を、シンボル列No.5は、表示ブロック1028の5列目を示す。
本実施形態では、取得した乱数値とシンボル列決定テーブルとに基づいて、シンボル列毎の特定シンボル1503の増加数や置換数を決定する場合について説明するが、これに限定されるものではなく、シンボル列毎に特定シンボル1503の増加数や置換数を予め定めておいてもよい。また、特定シンボル1503の種類に応じて、増加数や置換数を定めておいてもよい。
(コードNo.決定テーブル)
図38は、コードNo.決定テーブルを示す図である。コードNo.決定テーブルは、コードNo.と乱数値との対応関係を示している。例えば、第1のシンボル列No.(1列目)用の乱数値が40567、63535、65323である場合には、コードNo.として、12と、末尾と、末尾とが決定される。
本実施形態では、取得した乱数値とコードNo.決定テーブルとに基づいて、各シンボル列に増加される特定シンボルのコードNo.をシンボル列毎に決定する場合について説明したが、本発明では、増加される特定シンボル1503のコードNo.をシンボル列毎に予め定めておいてもよい。
(ワイルドシンボル増加数決定テーブル)
図39は、ワイルドシンボル増加数決定テーブルを示す図である。ワイルドシンボル増加数決定テーブルは、ワイルドシンボル増加数と乱数値との対応関係を示している。ワイルドシンボル増加数は、“10”、“30”、“50”、“70”、“90”の5種類の数値を有している。例えば、乱数値が17235である場合には、ワイルドシンボル増加数として、“30”が選択される。なお、ワイルドシンボル増加数は、1以上の増加数の数値を複数種類で有していればよい。また、増加数は、単位ゲーム毎などの所定のタイミングで変更可能にされていてもよい。
(トリガーシンボル増加数決定テーブル)
図40は、トリガーシンボル増加数決定テーブルを示す図である。トリガーシンボル増加数決定テーブルは、トリガーシンボル増加数と乱数値との対応関係を示している。トリガーシンボル増加数は、“2”、“4”、“6”、“8”、“10”の5種類の数値に設定されている。例えば、乱数値が17235である場合には、トリガーシンボル増加数として、“4”が選択される。なお、トリガーシンボル増加数は、1以上の増加数の数値を複数種類で有していればよい。また、テーブル内の増加数は、単位ゲーム毎などの所定のタイミングで変更可能にされていてもよい。
(配当テーブル)
図41は、ウィニングコンビネーションに基づいて付与される配当を管理する配当テーブルである。この配当テーブルは、マザーボード1070のROM1072に記憶されており、配当の情報(配当倍率)が、ウィニングコンビネーションの種類に対応付けられている。例えば、3個の『A』が再配置されたウィニングコンビネーションに対応する配当倍率は、4倍である。従って、この場合には、BET額に4が積算された配当がプレーヤに付与される。5個の『BUFFALO』が再配置されたウィニングコンビネーションに対応する配当倍率は100倍である。なお、本実施の形態では、通常ゲーム及びフリーゲームにおける配当倍率は同率に設定されるが、これに限定されるものではない。即ち、通常ゲーム及びフリーゲームにおける配当倍率が異なっていてもよい。
以上の各テーブルのデータは、スロットマシン1010のマザーボード1070(ゲームコントローラ1100)におけるROM1072やRAM1073に記憶されている。これにより、スロットマシン1010は、外部制御装置1621(センターコントローラ1200)から分離されることにより単体とされた場合でも、ベースゲームを実行可能になっている。
(表示状態)
上記のスロットマシン1010の動作過程におけるシンボル表示装置1016の表示状態の一例を具体的に説明する。
(スロットゲーム:通常ゲーム画面)
図42は、シンボル表示装置1016における通常ゲームの表示画面である通常ゲーム画面の一例を示している。
具体的に説明すると、通常ゲーム画面は、中央部に配置され、5列の擬似リール1151〜1155を有した表示窓1150と、表示窓1150を中心として左右対称に配置されたペイライン発生部1065L・1065Rとを有している。なお、図42の通常ゲーム画面においては、1列目〜3列目の擬似リール1151・1152・1153が停止された状態である一方、4列目及び5列目の擬似リール1154・1155が回転中である。
表示窓1150の上方には、クレジット数表示部1400と、端数現金表示部1403と、BET数表示部1401と、ワイルドシンボル数表示部1415と、トリガーシンボル数表示部1416と、ペイアウト表示部1402と、が配置されている。これらの各部1400・1401・1415・1416・1402は、プレーヤから見て左端から右端にかけて順に配置されている。
クレジット数表示部1400は、クレジット数を表示する。端数現金表示部1403は、端数現金を表示する。BET数表示部1401は、今回の単位ゲームにおけるBET額を表示する。ワイルドシンボル数表示部1415は、今回の単位ゲームにおけるワイルドシンボル1503aの個数を表示する。これにより、通常ゲームにおいては、5個のワイルドシンボル1503aが存在することを、予めプレーヤに報知することができる。トリガーシンボル数表示部1416は、今回の単位ゲームにおけるトリガーシンボル1503bの個数を表示する。これにより、通常ゲームにおいては、5個のトリガーシンボル1503bが存在することを、予めプレーヤに報知することができる。ペイアウト表示部1402は、ウィニングコンビネーションとなったときのコインの払出数を表示する。
一方、表示窓1150の下方には、ヘルプボタン1410と、ペイテーブルボタン1411と、BET単位表示部1412と、ストック表示部1413と、フリーゲーム数表示部1414と、が配置されている。これらの各部1410・1411・1412・1413・1414は、プレーヤから見て左端から右端にかけて順に配置されている。
ヘルプボタン1410は、プレーヤの押圧操作によりヘルプモードを実行可能にしている。ヘルプモードは、プレーヤに対してゲームに関係する疑問を解消するための情報を提供するモードである。ペイテーブルボタン1411は、プレーヤの押圧操作により配当内容を表示する配当表示モードを実行可能にしている。配当表示モードは、プレーヤに対してウィニングコンビネーションと配当倍率との関係を示す説明画面を表示するモードである。
BET単位表示部1412は、現時点におけるBET単位(支払い単位)を表示する。これにより、BET単位表示部1412は、プレーヤに対して例えば1セント単位でゲームに参加できることを認識可能にしている。
ストック表示部1413は、ボーナスゲームの繰り越し数を表示する。ここで、『繰り越し数』とは、ボーナスゲームが終了したときに、引き続いてボーナスゲームを実行可能な残りの回数を意味する。即ち、ストック表示部1413に『3』と表示されていれば、現在のボーナスゲームが終了した後に、3回連続してボーナスゲームを繰り返すことが可能になる。なお、通常ゲームにおいては、“0”が表示される。
フリーゲーム数表示部1414は、ボーナスゲームの繰返し数と総数とを表示する。即ち、フリーゲーム数表示部1414に『0 of 0』と表示されていれば、フリーゲームの総数が0回、即ち、ボーナスゲームでないことを示す。また、『5 of 8』と表示されていれば、フリーゲームの総数が8回のボーナスゲームにおいて、5回目のフリーゲームであることを示す。
(通常ゲームにおけるボーナス当籤画面)
図43は、ボーナス当籤してから一定期間内の状態を示している。具体的には、3個のトリガーシンボル1503bが再配置されることによって、ボーナス当籤した後の状態を示している。なお、トリガーシンボル1503bは、ボーナス当籤に関係するシンボルであることを明確にプレーヤに認識させることができるように、『FEATURE』と判読可能な文字を有することが好ましい。
本画面において、ボーナス当籤した旨をシンボル画像と『FEATURE IN』の文字画像とで報知するボーナス当籤画面420がポップアップ表示される。そして、ボーナス当籤画面1420の表示と同時や直後に、フリーゲーム数表示部1414の総数が“0”から“7”に切り替えられる。これにより、プレーヤは、ボーナス当籤し、7回のフリーゲームからなるボーナスゲームに移行されることを認識することが可能になる。
(スロットゲーム:ボーナスゲーム画面)
図44は、シンボル表示装置1016におけるボーナスゲームの表示画面であるボーナスゲーム画面の一例を示している。
具体的に説明すると、フリーゲーム数表示部1414においてフリーゲームの総数が表示されると共に、現在のゲーム数が表示される。例えば、7回のフリーゲームの内の1回目のフリーゲームが実行されていることが表示される。その他の動作は、通常ゲームと同じである。
(スロットマシンの処理動作:通常ゲーム実行処理)
上記の構成において、スロットマシン1010の動作について、図45〜図49に基づいて説明する。図45における通常ゲーム実行処理は、スロットマシン1010のメインCPU1071により実行される。なお、スロットマシン1010は予め起動されている。
図45に示すように、まず、メインCPU1071は、クレジット要求処理を実行する(S1210)。この処理では、ICカード1500に記憶されたクレジットから幾つかのクレジットを使用するか否かの判断がプレーヤによりなされる。クレジット要求処理については、後で詳述する。
コインがBETされたか否かを判定する(S1211)。この処理において、メインCPU1071は、1−BETボタン1034が操作された際に1−BETスイッチ1034Sから出力される入力信号、または、10−BETボタン1039が操作された際に10−BETスイッチ1039Sから出力される入力信号を受信したか否かを判定する。コインがBETされていないと判定した場合、S1210に処理を戻す。
一方、S1211において、コインがBETされたと判定した場合、メインCPU1071は、BETされたコインの枚数に応じて、RAM1073に記憶されたクレジット数を減算する処理を行う(S1212)。なお、BETされるコインの枚数がRAM1073に記憶されたクレジット数より多い場合には、RAM1073に記憶されたクレジット数を減算する処理を行わずに、S1211に処理を戻す。また、BETされるコインの枚数が、1回の遊技にBETすることが可能な上限値(本実施形態では500枚)を超える場合には、RAM1073に記憶されたクレジット数を減算する処理を行わずに、S13に処理を進める。
次に、メインCPU1071は、スタートボタン1046がONされたか否かを判定する(S13)。この処理に置いて、メインCPU1071は、スタートボタン1046が押圧された際にスタートスイッチ1046Sから出力される入力信号を受信したか否かを判定する。スタートボタン1046がONされていないと判定した場合、S1211に処理を戻す。なお、スタートボタン1046がONされなかった場合(例えば、スタートボタン1045がONされずに遊技を終了する旨の指示が入力された場合)には、メインCPU1071は、S1212における減算結果をキャンセルする。
一方、S1213において、スタートボタン1046がONされたと判定した場合、メインCPU1071は、通常ゲーム用シンボル決定処理を実行する(S1214)。通常ゲーム用シンボル決定処理については、後で図面を用いて詳述する。
ここで、図35に示すように、通常ゲーム用シンボルテーブルには、14個のワイルドシンボル(特定シンボル1503ともいう)1503aが存在する。ワイルドシンボル1503aは、他のシンボルに代用することが可能なシンボルである。
次に、S1215において、メインCPU1071は、スクロール表示制御処理を行う。この処理は、シンボル1501のスクロールを開始した後、S1214において決定されたシンボル1501で再配置されるように、表示制御する処理である。
次に、メインCPU1071は、賞が成立したか否かを判定する(S1216)。S1216の処理において、メインCPU1071は、S1215により再配置されたシンボル1501について、ペイラインL毎に、ペイラインL上に再配置された個数をシンボル1501の種類毎にカウントする。そして、カウントされた個数が2以上であるか否かを判定する。
賞が成立したと判定した場合、メインCPU1071は、コインの払出に係る処理を行う(S1217)。この処理において、メインCPU1071は、RAM1073に記憶されているオッズデータを参照し、ペイラインL上に再配置されたシンボル1501の個数に基づいて、配当倍率を決定する。オッズデータは、ペイラインL上に再配置されたシンボル1501の個数と、配当倍率との対応関係を示すデータである(図18参照)。なお、入賞が成立したペイラインL上に「WILD」が1個表示される毎に、配当は2倍となる。即ち、入賞が成立したペイラインL上に「WILD」が3個表示されている場合には、配当は、8倍となる。
本実施形態では、少なくとも1種類のシンボル1501が、ペイラインL上に、2個以上再配置された場合に、賞が成立したと判定する場合について説明するが、本発明では、ペイラインLを設けずに、表示ブロック1028において再配置されるシンボル1501のうち少なくとも1種類のシンボル1501が、2個以上再配置された場合に、賞が成立したと判定することとしてもよい。
S1216において賞が成立していないと判定した場合、または、S1217の処理を実行した後、メインCPU1071は、トリガーシンボル1503bが3個以上再配置されたか否かを判定する(S1218)。この処理では、ペイラインLを考慮せず、表示ブロック1028内にトリガーシンボル1503bが3個以上再配置されたか否かを判定する。S1218において、図20に示すように、トリガーシンボル1503bが3個以上再配置されたと判定した場合、メインCPU1071は、ボーナスゲーム実行処理を実行する(S1219)。ボーナスゲーム実行処理では、ワイルドシンボル1503aの数が増加したフリーゲームが実行される。ボーナスゲーム実行処理については、後で詳述する。
S1218において、トリガーシンボル1503bが3個以上再配置されていないと判定した場合、または、S1219の処理を実行した後、メインCPU1071は、本サブルーチンを終了する。
(スロットマシンの処理動作:通常ゲームゲーム用シンボル決定処理)
図46は、通常ゲーム用シンボル決定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。この処理は、RAM1073に記憶されたシンボル決定プログラムをメインCPU1071が実行することによって行われる処理である。
先ず、メインCPU1071は、乱数発生器2063から乱数値を取得する(ステップS1220)。この処理においては、メインCPU1071は、表示ブロック1028の各シンボル列に対応する5個の乱数値を取得する。
次に、メインCPU1071は、取得した5個の乱数値と、通常ゲーム用シンボルテーブル(図35参照)と、に基づいて、表示ブロック1028の各シンボル列のシンボル停止時におけるコードNo.を決定する(ステップS1221)。例えば、1列目用の乱数値が23035である場合には、1列目のコードNo.として07が決定される。なお、シンボル列のコードNo.は、4行に並んだ表示ブロック1028のうち、1行目の表示ブロック1028に再配置されるシンボルのコードNo.に対応している。ステップS21の処理を実行したあと、メインCPU1071は本サブルーチンを終了する。
(スロットマシンの処理動作:ボーナスゲーム実行処理)
続いて、図47を用いて、ボーナスゲーム実行処理について説明する。
ボーナスゲームでは、プレーヤは、コインをBETすることなく遊技を行うことができる。先ず、メインCPU1071は、RAM1073のフリーゲーム回数記憶領域において、フリーゲームの残り回数Tを、T=F1(=特定回数=7)にセットする(S30)。
また、メインCPU1071は、シンボル表示装置1016に、図43に示すように、ボーナス当籤画面1420をポップアップ表示させる。
次に、メインCPU1071は、ワイルドシンボル増加数決定処理を実行する(S1231)。具体的には、トリガーシンボル1503bが3個以上再配置されると、先ず、乱数値が取得される。そして、この乱数値とワイルドシンボル増加数決定テーブルとに基づいて、ワイルドシンボル増加総数が決定される。この後、ワイルドシンボル数が段階的に増加、若しくは一括して増加される。
また、メインCPU1071は、ボーナスゲーム用シンボルテーブル更新処理を実行する(S1232)。ボーナスゲーム用シンボルテーブル更新処理では、メインCPU1071は、ワイルドシンボル増加数決定処理により決定されたワイルドシンボル1503aの増加数に基づいて、ボーナスゲーム用シンボルテーブルを更新する。
次に、ステップS1233において、メインCPU1071は、シンボル追加演出処理を実行する。
次に、メインCPU1071は、ボーナスゲーム用シンボル決定処理を実行する(S1234)。ボーナスゲーム用シンボル決定処理では、メインCPU1071は、RAM1073に記憶されたシンボル決定プログラムを実行することにより、シンボル1501の停止時におけるコードNo.を決定する。具体的には、乱数値を取得し、取得した欄数値と、ボーナスゲーム用シンボルテーブルとに基づいて、表示ブロック1028の各シンボル列のシンボルの停止時におけるコードNo.を決定する。
次に、S1235において、メインCPU1071は、スクロール表示制御処理を行う。この処理は、シンボルのスクロールを開始した後、S1234において決定されたシンボル1501で再配置されるように、表示制御する処理である。
次に、メインCPU1071は、賞が成立したか否かを判定する(S1236)。本実施形態における賞の成立とは、上述したように、少なくとも1種類のシンボル1501が、ペイラインL上に、2個以上再配置された場合をいう。ワイルドシンボル1503aである「WILD」は、他のシンボル1501に代用することが可能なシンボル1501である。ボーナスゲームでは、ワイルドシンボル1503aの数が通常ゲームに比べて増加しているため、通常ゲームよりも賞が成立しやすくなっている。
S1236の処理において、メインCPU1071は、S1235により再配置されたシンボル1501について、ペイラインL毎に、ペイラインL上に再配置された個数をシンボル1501の種類毎にカウントする。そして、カウントされた個数が2以上であるか否かを判定する。
賞が成立したと判定した場合、メインCPU1071は、コインの払出に係る処理を行う(S1237)。
S1236の処理において賞が成立していないと判定した場合、または、S37の処理を実行した後、メインCPU1071は、トリガーシンボル1503bが3個以上再配置されたか否かを判定する(S1238)。この処理では、ペイラインLを考慮せず、表示ブロック1028内にトリガーシンボル1503bが3個以上再配置されたか否かを判定する。
ステップS1238において、トリガーシンボル1503bが3個以上再配置されたと判断した場合、メインCPU1071は、RAM1073のフリーゲーム回数記憶領域において、フリーゲームの残り回数Tを、T=T+F1(F1=第1特定回数=7)にセットする(ステップS1239)。
ステップS1238において、トリガーシンボル1503bが3個以上再配置されていないと判断した場合、または、ステップS39の処理を実行した後、メインCPU1071は、RAM1073のフリーゲーム回数記憶領域において、フリーゲームの残り回数Tを、T=T−1にセットする(ステップS1240)。
次に、メインCPU1071は、RAM1073のフリーゲーム回数記憶領域に記憶されている残り回数データに基づいて、T=0であるか否かを判定する(ステップS1241)。
T=0ではないと判断した場合、メインCPU1071は、処理をステップS1234に戻す。一方、T=0であると判断した場合、メインCPU1071は、本サブルーチンを終了する。
(スロットマシンの処理動作:表示更新処理)
続いて、図48を用いて、表示更新処理について説明する。
先ず、メインCPU1071は、PTS端末1700からクレジットデータを取得したか否かを判定する(ステップS1250)。メインCPU1071は、クレジットデータを取得していないと判定した場合は、待機する。
一方、メインCPU1071は、クレジットデータを取得したと判定した場合は、下側画像表示パネル1141上のクレジット数表示部1400および端数現金表示部1403の表示を更新する(ステップS1251)。その後、本サブルーチンを終了する。
(スロットマシンの処理動作:精算処理)
続いて、図49を用いて、精算処理について説明する。
先ず、メインCPU1071は、プレーヤからの精算があったか否かを判定する(ステップS1260)。メインCPU1071は、精算がないと判定した場合は、待機する。
一方、メインCPU1071は、ステップS1260において、プレーヤからの精算があった判定した場合は、クレジット数表示部1400および端数現金表示部1403の表示を更新する(ステップS1261)。その後、精算クレジットデータをPTS端末1700へ出力し(ステップS1262)、本サブルーチンを終了する。
(PTS端末の処理動作:クレジット変換処理)
次に、PTS端末1700の動作について、図50〜図54に基づいて説明する。
図50は、PTS端末1700におけるクレジット変換処理のフローチャートである。先ず、CPU1731は、現金が投入されたか否かを判定する(ステップS1301)。CPU1731は、現金が投入されていないと判定した場合は、待機する。
一方、CPU1731は、現金が投入されたと判定した場合は、管理サーバブロック2820から、為替レートデータとデノミデータを取得する(ステップS1302)。
次に、CPU1731は、取得した為替レートデータとデノミデータに基づいて、投入された現金をクレジット換算する(ステップS1303)。
その後、CPU1731は、換算したクレジットに基づくクレジットデータをゲームコントローラ1100へ出力する(ステップS1304)。
次に、CPU1731は、クレジット換算した際にでた端数現金に基づく端数現金データを管理サーバブロック2820へ出力する(ステップS1305)。
次に、CPU1731は、投入された現金に基づく現金データをICカード1500へ出力する。これにより、現金が挿入されるごとに、ICカード1500は、現金データを更新することになる(ステップS1306)。その後、本サブルーチンを終了する。
(PTS端末の処理動作:精算処理)
図51は、PTS端末1700における精算処理のフローチャートである。先ず、CPU1731は、スロットマシン1010のゲームコントローラ1100から、精算クレジットデータを取得したか否かを判定する(ステップS1310)。CPU1731は、精算クレジットデータを取得していないと判定した場合は、待機する。
一方、CPU1731は、管理サーバブロック2820から、為替レートデータと、デノミデータと、識別コードデータと、を取得する(ステップS1311)。
次に、CPU1731は、精算クレジットデータを、デノミデータに基づき、現金データに換算する(ステップS1312)。
次に、CPU1731は、管理サーバブロック2820から、記憶していた端数現金データを取得する(ステップS1313)。
次に、CPU1731は、換算した現金データと取得した端数現金データとを合算する(ステップS1314)。
次に、CPU1731は、合算した現金データを、為替レートデータに基づき、現地通貨の現金データに換算する(ステップS1315)。
次に、CPU1731は、現地通貨の現金データと識別コードとをICカード1500に出力する(ステップS1316)。
その後、CPU1731は、人体検出処理を実行し(ステップS1317)、本サブルーチンを終了する。
(PTS端末の処理動作:認証処理)
図52は、PTS端末1700における認証処理のフローチャートである。先ず、CPU1731は、ICカード1500挿入されたか否かを判定する(ステップS1340)。
次に、CPU1731は、管理サーバブロック2820から、挿入されたICカード1500の識別コードデータを取得する(ステップS1341)。
次に、CPU1731は、ICカード1500から、識別コードデータと現金データを取得する(ステップS1342)。
次に、CPU1731は、取得した管理サーバブロック2820内の識別コードとICカード1500内の識別コードとを照合する(ステップS1343)。
次に、CPU1731は、照合結果が正しいか否かを判定する(ステップS1344)。CPU1731は、照合結果が正しくないと判定した場合は、スピーカ1707・1708から認証失敗の報知音を出力させる(ステップS1345)。その後、本サブルーチンを終了する。
一方、ステップS1344において、CPU1731は照合結果が正しいと判定した場合は、管理サーバブロック2820から、為替レートデータと、デノミデータと、端数現金データと、を取得する(ステップS1346)。
次に、CPU1731は、取得したICカード1500内の現金データと管理サーバブロック2820内の端数現金データとを合算する(ステップS1347)。
次に、CPU1731は、合算した現金データをクレジット換算する(ステップS1348)。
次に、CPU1731は、換算したクレジットに基づくクレジットデータをゲームコントローラ1100へ出力する(ステップS1349)。
次に、CPU1731は、クレジット換算した際にでた端数現金に基づく端数現金データを管理サーバブロック2820へ出力する(ステップS1350)。その後、本サブルーチンを終了する。(PTS端末の処理動作:人体検出処理)
図54は、PTS端末1700における人体検出処理のフローチャートである。先ず、CPU1731は、人体検出カメラ1712(1713)を駆動する(ステップS1370)。
次に、CPU1731は、人体検出があったか否かを判定する(ステップS1371)。CPU1731は、人体検出があったと判定した場合は、ICカード1500を排出するとともに、スピーカ1707・1708から報知音を出力して、取り忘れ報知をする(ステップS1372)。その後、本サブルーチンを終了する。
一方、CPU1731は、ステップS1371において、人体検出がなかったと判定した場合は、検出時点での時刻をRAM1732に記憶させ、その時点から所定時間経過したか否かを判定する(ステップS1373)。
CPU1731は、ステップS1373において、所定時間経過していないと判定した場合は、ステップS1371に処理を戻す。一方、CPU1731は、ステップS1373において、所定時間経過したと判定した場合は、ICカード1500をカードスタッカー1121に取り込む(ステップS1374)。その後、本サブルーチンを終了する。
(PTS端末の処理動作:残カード判定処理)
図54は、PTS端末1700における残カード判定処理のフローチャートである。先ず、CPU1731は、ICカード1500の挿入、若しくは抜き取りがあったか否かを判定する(ステップS1400)。
CPU1731は、ICカード1500の挿入、若しくは抜き取りがないと判定した場合は、本サブルーチンを終了する。
一方、ステップS1400において、ICカード1500の挿入、若しくは抜き取りがあると判定した場合は、CPU1731は、カードスタッカー1121に溜まったICカード1500の残カード数が0枚、若しくは30枚であるか否かを判定する(ステップS1400)。カードスタッカー1121に溜まったICカード1500の残カード数が0枚、若しくは30枚であると判定した場合は、CPU1731は、実行中のゲームを停止する(ステップS1402)。なお、この時、CPU1731は、LED1709を灰色に点灯させる。その後、本サブルーチンを終了する。
一方、ステップS1401において、残カード数が0枚、若しくは30枚でないと判定した場合は、CPU1731は、残カード枚数判定処理を実行する(ステップS1403)。
その後、CPU1731は、LED駆動制御処理を実行する(ステップS1404)。この処理において、CPU1731は、ステップS1403において判定した残カード枚数に応じた点灯色でLED1709を点灯させる。その後、本サブルーチンを終了する。(ICカードの処理動作:表示更新処理)
次に、ICカード1500の動作について、図55に基づいて説明する。
図55は、ICカード1500における表示更新処理のフローチャートである。先ず、CPU1542は、PTS端末1700から現金データと識別コードデータを受信したか否かを判定する(ステップS1420)。
CPU1542は、現金データと識別コードデータを受信していないと判定した場合は、待機する。一方、CPU1542は、現金データと識別コードデータを受信したと判定した場合は、取得した現金データと識別コードデータをクレジットデータメモリ1552に記憶する(ステップS1421)。
次に、CPU1542は、記憶した現金データを表示コントローラ1551に出力する(ステップS1422)。その後、表示ドライバ1506を駆動して、表示部1510の画面表示を変更、更新する(ステップS1423)。その後、本サブルーチンを終了する。(管理サーバの処理動作:記憶処理)
次に、管理サーバブロック2820の動作について、図56に基づいて説明する。
先ず、管理サーバブロック2820は、PTS端末1700から、端数現金データを取得したか否かを判定する(ステップS1450)。
管理サーバブロック2820は、端数現金データを取得していないと判定した場合は、待機する。一方、管理サーバブロック2820は、端数現金データを取得したと判定した場合は、識別コードを作成する(ステップS1451)。
次に、管理サーバブロック2820は、作成した識別コードと端数現金データを対応づけて、記憶する(ステップS1452)。その後、本サブルーチンを終了する。
以上の処理によると、ICカード1500は、クレジットデータメモリ1552のクレジット関連データが表示部1510に表示されることによって、クレジットデータメモリ1552に記憶されたクレジット関連データを外部から視認することができる。従って、スロットマシン1010により表示書き込みIC1505のクレジット関連データが書き替えられたときに、書き替えられたクレジット関連データを表示部1510の表示により確認することができる。また、スロットマシン1010により書き替えられるクレジットデータメモリ1552のクレジット関連データが表示部1510の表示に用いられることによって、同一の記憶部に記憶されたクレジット関連データがスロットマシン1010による更新用と表示用とに共用された状態となる。これにより、記憶部のクレジット関連データを表示用のデータとして他の記憶部に転送したり、記憶部のクレジット関連データを更新すると同時に他の記憶部に表示用のデータとして記憶する処理を実行してから表示したりする場合と比較して、データ転送時のノイズなどによるデータの不一致の発生が防止されるため、高い信頼性でクレジットデータを表示部1510に表示することができる。
また、PTS端末1700によりデータが更新された直後に、表示部1510の表示により更新されたデータを確認することができるため、ゲーム中において常にICカード1500のデータを確認できるという安心感を得ることができる。
以上、本実施形態について説明したが、本発明において、以下に説明する実施形態を有していてもよい。
例えば、図57に示すように、プレーヤが、ICカード1500内のクレジットを使用する過程を確認しながら、遊技できるようになっていてもよい。図57に示す例は、ゲームにおいて、2000円を使用した直後に、表示部1510が更新される様を示している。このように、ICカード1500の表示部1510には、2000クレジットが減算される前後の現金データが表示されるようになっていてもよい。
即ち、本実施形態のICカード1500において、表示部1510は、PTS端末1700により書き替えられる直前の現金データと直後の現金データとを表示してもよい。
上記の構成によれば、PTS端末1700により現金データが更新される前後のデータを確認することができるため、更新内容の把握を容易化することができる。
なお、本実施形態では、ペイラインLの数が25個である場合について説明したが、本発明では、ペイラインLの数は、特に限定されず、例えば、30個であってもよい。
本実施形態では、ボーナス当籤は、トリガーシンボル1503bが3個以上再配置されることである場合について説明したが、特に限定されない。例えば、ボーナス当籤は、前回のボーナスゲームが終了してから所定時間が経過したことであってもよい。
また、本実施形態では、スロットマシン1010において説明しているが、所謂パチンコ遊技機など、その他の遊技機においても適用される。
また、本実施形態では、ICカードの認証をPTS端末1700が実行しているが、管理サーバブロック2820、若しくはICカード1500が実行していてもよい。
また、本実施形態では、現金データのクレジット換算をPTS端末1700が実行しているが、管理サーバブロック2820、若しくはICカード1500が実行していてもよい。
また、本実施形態では、フリーゲームのゲーム内容を、表示ブロック1028において複数のシンボル1501の変動表示を行った後に停止表示を行い、停止表示されたシンボル1501またはそれらの組合せに応じて配当量が決定されるゲーム(スロットマシン1010において通常行われるゲーム)としている。しかし、本発明におけるフリーゲームは、この例に限定されず、スロットマシン1010とは異なるゲームが行われることとしてもよい。例えば、ポーカーなどのカードゲームやシューティングゲーム、格闘技ゲームなどのゲームが行われることとしてもよい。フリーゲームは、遊技媒体が支払われるゲームであってもよいし、遊技媒体が支払われないゲームであってもよい。
本発明におけるフリーゲームは、遊技媒体がベットされなくても行われるゲームである限り、特に限定されるものではなく、適宜設計することが可能である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、各手段などの具体的構成は、適宜設計変更可能である。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
また、上述した詳細な説明では、本発明をより容易に理解できるように、特徴的部分を中心に説明した。本発明は、上述した詳細な説明に記載する実施形態に限定されず、その他の実施形態にも適用することができ、その適用範囲は多様である。また、本明細書において用いた用語及び語法は、本発明を的確に説明するために用いたものであり、本発明の解釈を制限するために用いたものではない。また、当業者であれば、本明細書に記載された発明の概念から、本発明の概念に含まれる他の構成、システム、方法などを推考することは容易であると思われる。従って、請求の範囲の記載は、本発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で均等な構成を含むものであるとみなされなければならない。また、要約書の目的は、特許庁及び一般的公共機関や、特許、法律用語又は専門用語に精通していない本技術分野に属する技術者などが本出願の技術的な内容及びその本質を簡易な調査で速やかに判定し得るようにするものである。従って、要約書は、請求の範囲の記載により評価されるべき発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、本発明の目的及び本発明の特有の効果を十分に理解するために、すでに開示されている文献などを充分に参酌して解釈されることが望まれる。
上述した詳細な説明は、コンピュータで実行される処理を含むものである。以上での説明及び表現は、当業者が最も効率的に理解することを目的として記載している。本明細書では、1の結果を導き出すために用いられる各ステップは、自己矛盾がない処理として理解されるべきである。また、各ステップでは、電気的又は磁気的な信号の送受信、記録などが行われる。各ステップにおける処理では、このような信号を、ビット、値、シンボル、文字、用語、数字などで表現しているが、これらは単に説明上便利であるために用いたものであることに留意する必要がある。また、各ステップにおける処理は、人間の行動と共通する表現で記載される場合があるが、本明細書で説明する処理は、原則的に各種の装置により実行されるものである。また、各ステップを行うために要求されるその他の構成は、以上の説明から自明になるものである。
図58は、図3に示したタイミングチャートの他の実施形態を示すタイミングチャートである。図3に示した実施形態では、紙幣識別器から識別結果が送信された場合に、PTS端末1700において為替サーバ2862に対してデータ要求を送信し、為替サーバ2862から更新された最新のデータをPTS端末1700が受信する場合について述べたが、図58に示す例では、為替サーバ2862からPTS端末1700に対して、定期的に為替に関する更新データをダウンロードする。PTS端末1700では、為替サーバ2862からダウンロードされたデータに基づいて、RAM1732に記憶している為替データを更新する(ステップS1025)。これにより、PTS端末1700では、紙幣識別器から識別結果を受信すると(ステップS1013)、直ちに最新の為替データを用いてレート計算を行うことができる(ステップS1016)。
図59は、本発明の他の実施形態に係るスロットマシン1010を含むゲームシステムのブロックイメージを示す図である。図58に示すように、ゲームシステムは、管理サーバブロック、顧客端末ブロック、スタッフ端末ブロックの3つに大別される。
管理サーバブロックは、カジノホールサーバ1861と、為替サーバ2862と、カジノ・ホテルスタッフ管理サーバ1860と、ダウンロードサーバ1863と、を有している。
カジノホールサーバ1861は、スロットマシン1010が設置されたカジノホール全体を管理するサーバである。為替サーバ2862は、為替情報などを基に、為替レートデータを作成するサーバである。カジノ・ホテルスタッフ管理サーバ1860は、カジノホール、若しくはカジノホールと関係するホテルのスタッフを管理するサーバである。ダウンロードサーバ1863は、例えば、ゲームに関する情報やニュースなどの最新情報をダウンロードして、各種スロットマシン1010のPTS端末1700を通してプレーヤに報知するサーバである。
また、管理サーバブロック2820は、会員管理サーバ1864と、ICカード&金銭管理サーバ1865と、メガバックスサーバ1866と、画像サーバ1867と、を有している。
会員管理サーバ1864は、スロットマシン1010を遊技するプレーヤの会員情報などを管理するサーバである。ICカード&金銭管理サーバ1865は、スロットマシン1010で使用されるICカード1500を管理するサーバである。具体的には、ICカード&金銭管理サーバ1865は、端数現金データを識別コードに対応させて記憶したり、PTS端末1700に端数現金データを出力したり、するサーバである。なお、ICカード&金銭管理サーバ1865は、デノミレートデータなども作成、管理している。メガバックスサーバ1866は、例えば、複数のカジノホールなどに設置された複数のスロットマシン1010の掛け金の総合計が配当となるゲームであるメガバックスを管理するサーバである。画像サーバ1867は、例えば、ゲームに関する画像やニュースなどの最新画像をダウンロードして、各種スロットマシン1010のPTS端末1700を通してプレーヤに報知するサーバである。
次に、顧客端末ブロックは、スロットマシン1010と、PTS端末1700と、精算機1868と、を有している。
ここで、前述したように、PTS端末1700は、スロットマシン1010に取り付け可能となっており、管理サーバブロック2820と相互通信可能になっている。精算機1868は、プレーヤが所有するICカード1500に記憶された現金データを換金して精算したり、コインや紙幣などを現金データとしてICカード1500に記憶させたりする機械である。
次に、スタッフ端末ブロックは、スタッフ管理端末1869と、会員カード発券端末1870と、を有している。
スタッフ管理端末1869は、カジノホールのスタッフが各種スロットマシン1010の管理をする端末である。特に、本実施形態の場合、カジノホールのスタッフは、PTS端末1700にストックされたICカード1500の数が溜まり過ぎたり、不足したりしていないかを管理する。会員カード発券端末1870は、カジノホールでゲームするプレーヤが、会員カードを発券する際に使用する端末である。
図60は、図50に示したPTS端末1700におけるクレジット変換処理の他の実施形態を示すフローチャートである。図60においては、図50に示したICカードへの現金データ(金額データ)の送信を行わない。これにより、投入された現金に基づくデータは、ゲームコントローラへ送信され、ゲームが実行された後に、ゲーム結果に応じてプレーヤに付与される金額データがICカードに書き込まれることになる。
図61は、他の実施形態に係るゲーミングマシンの基本的な機能について説明する機能フローを示す図である。
〈コイン投入・スタートチェック〉
まず、ゲーミングマシンは、BETボタンが遊技者により押されたか否かをチェックし、続いて、スタートボタン1046(図5)が遊技者により押されたか否かをチェックする。
〈シンボル決定〉
次に、ゲーミングマシンは、スピンボタンが遊技者により押されると、シンボル決定用乱数値を抽出し、ディスプレイ上に表示する複数のビデオリールのそれぞれに応じて、シンボル列のスクロールを停止させたときに遊技者に表示するシンボルを決定する。
〈シンボル表示〉
次に、ゲーミングマシンは、各ビデオリールのシンボル列のスクロールを開始させ、決定されたシンボルが遊技者に表示されるようにスクロールを停止させる。
〈入賞判定〉
次に、ゲーミングマシンは、各ビデオリールのシンボル列のスクロールが停止されると、遊技者に表示されたシンボルの組合せが入賞に係るものであるか否かを判定する。
〈払い出し〉
次に、ゲーミングマシンは、遊技者に表示されたシンボルの組合せが入賞に係るものであるとき、そのシンボルの組合せの種類に応じた特典(配当)を遊技者に与える。例えば、ゲーミングマシンは、コインの払い出しに係るシンボルの組合せが表示されたとき、そのシンボルの組合せに応じた数のコインを遊技者に払い出す。この払出は、実際のコインを払い出すことに代えて、払い出されるコイン数に相当するクレジット情報をICカードに書き込むこともできる。
また、ゲーミングマシンは、フリーゲームトリガーに係るシンボル(トリガーシンボル)の組合せが表示されたとき、フリーゲームを開始する。
また、ゲーミングマシンは、ジャックポットトリガーに係るシンボルの組合せが表示されたとき、ジャックポット額を遊技者に払い出す。ジャックポットは、各ゲーミングマシンにおいて遊技者が消費したコインの一部をジャックポット額として累積していき、ジャックポットトリガーが成立したゲーミングマシンがあったとき、そのゲーミングマシンに対して、累積したジャックポット額を払い出す機能をいう。ゲーミングマシンは、1回の遊技ごとに、ジャックポット額に蓄積する額(累積額)を算出し、外部制御装置へ送信する。外部制御装置は、各ゲーミングマシンから送信されてきた累積額をジャックポット額に累積していく。
また、ゲーミングマシンには、上記特典のほか、ミステリーボーナスや、インシュランスといった特典が設けられている。ミステリーボーナスは、専用の抽籤に当籤することによって、予め定められた額の払い出しが行われるものである。ゲーミングマシンは、スピンボタンが押されると、ミステリーボーナス用乱数値を抽出し、ミステリーボーナスを成立させるか否かを抽籤により決定する。
インシュランスは、フリーゲームが長期間行われていない状況から遊技者を救済することを目的として設けられる機能である。本実施形態では、インシュランスを有効とするか否かは、遊技者が任意に選択可能となっている。インシュランスを有効にする場合、所定のインシュランス加入額と引き換えになる。ゲーミングマシンは、インシュランスが有効とされた場合、遊技回数のカウントを開始する。そして、ゲーミングマシンは、フリーゲームなどによる多額の払い出しが行われることなく、カウントした遊技回数が予め定められた回数に達したとき、インシュランス用に設定された額の払い出しを行う。
〈演出の決定〉
ゲーミングマシンは、ディスプレイによる画像の表示、ランプによる光の出力、及びスピーカによる音の出力によって演出を行う。ゲーミングマシンは、演出用乱数値を抽出し、抽籤により決定されたシンボルなどに基づいて、演出の内容を決定する。
図62は、本発明の他の実施形態に係るPTS端末(情報データ記憶媒体の読書装置)を示すブロック図である。PTS端末は、プレーヤ検出装置と、搬送装置と記録媒体検出装置と、コントローラとを有する。なお、後述するPTS端末1700が、「情報データ記憶媒体の読書装置」や「プレーヤトラッキングシステム」に相当し、人体検出カメラ1712(1713)や人体検知センサ1115が、「プレーヤ検出装置」に相当し、ICカード搬送用のモータが、「搬送装置」に相当し、ICカードのイジェクト位置センサが、「記録媒体検出装置」に相当し、CPU1731とROM1733とRAM1732とが、「コントローラ」に相当する。
プレーヤ検出装置は、ゲーミングマシンでプレイするプレーヤの存在を検出するための装置である。プレーヤの像を光学的に検出するものでも、プレーヤを熱的又は機械的に検出するものでもよい。プレーヤの存在を検出したときには、検出信号を発するものが好ましい。したがって、プレーヤ検出装置は、ゲーミングマシンの前方に、人物が存在するか否かを検出できるものであればよい。
搬送装置は、情報データ記録媒体を搬送する。搬送装置は、給電されて駆動されるものが好ましい。搬送装置によって、情報データ記録媒体が収納位置又はイジェクト位置に搬送されて位置づけられる。
イジェクト位置は、搬送装置によって情報データ記録媒体が搬送されて、情報データ記録媒体の一部が露出したり突出したりして、情報データ記録媒体をプレーヤが把持して、プレーヤトラッキングシステムから取り出すことができる位置である。
収納位置は、プレーヤトラッキングシステムの内部の所定の位置である。収納位置は、一つの位置には、限られず、複数の位置にすることができる。例えば、収納位置の一つとして、ロード位置がある。ロード位置は、後述するリーダ/ライタによって、プレーヤトラッキングシステムとの間で通信を行い、所定の情報やデータを、情報データ記録媒体に書き込んだり、情報データ記録媒体から読み出したりできる位置である。
さらに、収納位置には、情報データ記録媒体を収容するためのスタッカーに搬送するスタッカー位置もある。スタッカー位置は、2つあるものが好ましい。一方は、通常スタッカーであり、他方は、アラートスタッカーである。いずれのスタッカーもICカードを所定の枚数だけ収容することができる。通常スタッカーは、初期化されたICカードを収容するためのものである。また、所定のアラート条件を満たして、アラートの対象となったICカードを収容するためのものである。
このように、本発明の実施形態に係るプレーヤトラッキングシステムでは、収納位置として、ロード位置と、通常スタッカーの収容位置と、アラートスタッカーの収容位置とがあるものが好ましい。
また、情報データ記録媒体は、プレーヤトラッキングシステムから着脱可能なものである。上述したように、情報データ記録媒体をイジェクト位置に位置づけたときには、プレーヤがプレーヤトラッキングシステムから情報データ記録媒体を取り出すことができる。さらに、プレーヤが、プレーヤトラッキングシステムの外側からプレーヤトラッキングシステムの内部に情報データ記録媒体を挿入することによって、情報データ記録媒体をイジェクト位置に位置づけることもできる。情報データ記録媒体がイジェクト位置に位置づけられたときには、搬送装置によって、収納位置のうちのいずれか1つの位置に情報データ記録媒体が搬送される。
さらにまた、情報データ記録媒体は、接触型でも非接触型でもよい。情報データ記録媒体がロード位置に位置づけられたときに、プレーヤトラッキングシステムとの間で通信を行って、所定の情報やデータを、情報データ記録媒体に書き込んだり、情報データ記録媒体から読み出したりできればよい。例えば、情報データ記録媒体には、ICカードなどがある。
上述したイジェクト位置には、記録媒体検出装置が設けられている。記録媒体検出装置は、情報データ記録媒体がイジェクト位置に位置づけられたときに、情報データ記録媒体がイジェクト位置に存在することを検出する。記録媒体検出装置は、情報データ記録媒体がイジェクト位置に存在することを検出したときには、検出信号を発するものが好ましい。情報データ記録媒体がイジェクト位置に位置づけられる場合は、搬送装置によって、イジェクト位置に搬送されて位置づけられる場合だけでなく、プレーヤが、プレーヤトラッキングシステムの外側からプレーヤトラッキングシステムの内部に情報データ記録媒体を挿入することによって、イジェクト位置に位置づけられる場合もある。
コントローラは、中央処理装置(CPU)、リードオンリーメモリ(ROM)及びランダムアクセスメモリ(RAM)からなるものが好ましい。このコントローラは、以下の(A)〜(C)の処理を実行することができる。
(A)の処理は、記録媒体検出装置によって、情報データ記録媒体がイジェクト位置に存在するか否かを判断する処理である。この(A)の判断処理は、記録媒体検出装置から発せられる検出信号に基づいて行うのが好ましい。後述する図26のステップS1563の処理が、(A)の処理に相当する。
(B)の処理は、プレーヤ検出装置によって、プレーヤが存在するか否かを判断する処理である。この(B)判断処理は、プレーヤ検出装置から発せられる検出信号に基づいて行うのが好ましい。図26のステップS1571の処理が、(B)の処理に相当する。
(C)の処理は、情報データ記録媒体がイジェクト位置に存在すると判別し、かつ、プレーヤが存在しないと判別したときに、搬送装置によって情報データ記録媒体をイジェクト位置から収納位置に搬送する処理である。この(C)の処理では、情報データ記録媒体がイジェクト位置に存在すると判別し、かつ、プレーヤが存在しないと判別したときに、搬送装置に対して駆動制御信号を発することによって、搬送装置を駆動し、情報データ記録媒体をイジェクト位置から収納位置に搬送するのが好ましい。後述する図26のステップS1601の処理が、(C)の処理に相当する。
このような構成にしたことにより、情報データ記録媒体がイジェクト位置に存在し、かつ、ゲーミングマシンにプレーヤが存在しない場合には、情報データ記録媒体を収納位置に搬送する。すなわち、情報データ記録媒体がイジェクト位置に存在し、かつ、プレーヤが存在しない場合には、情報データ記録媒体をイジェクト位置から除去することができる。さらに、イジェクト位置から除去された情報データ記録媒体は、プレーヤトラッキングシステムの内部に収容される。
このため、情報データ記録媒体がゲーミングマシンに残された場合であっても、店員がゲーミングマシンに出向いて情報データ記録媒体を除去するという煩雑な作業を不要にでき、店の作業の負担を軽くしたり、作業が煩雑になったりすることを防止することができる。さらに、取り忘れられた情報データ記録媒体を他の遊技者が入手して不正にクレジットを取得するなどの不正行為も防止することができる。
また、本発明の実施形態に係るプレーヤトラッキングシステム(PTS)は、アラート情報を出力するアラート出力装置を有するものが好ましい。この場合には、上述したコントローラは、以下の(D)の処理を実行するのが好ましい。
(D)の処理は、情報データ記録媒体がイジェクト位置に存在すると判別され、かつ、プレーヤが存在しないと判別されたときに、アラート出力装置からホールアラート情報を出力する処理を実行する処理である。この(D)の処理では、情報データ記録媒体がイジェクト位置に存在すると判別され、かつ、プレーヤが存在しないと判別されたときには、アラートを示すためのホールアラート情報をアラート出力装置に供給することによって、アラート出力装置からホールアラート情報を出力するのが好ましい。後述する図26のステップS1595、S1597又はS1599の処理が、(D)の処理に相当する。
このホールアラート情報の出力は、プレーヤや店員に認識できるものが好ましい。また、プレーヤや店員のみならず、ホールコンピュータなどの制御装置が識別できる情報やデータをホールアラート情報に含めるのが好ましい。ホールコンピュータなどの制御装置で記録することができ、店で生じたことを的確に管理することができる。
このような構成にしたことにより、情報データ記録媒体がイジェクト位置に存在し、かつ、プレーヤが存在しない場合には、ホールアラート情報が出力される。このため、ICカードがゲーミングマシンに残されたことを報知することができる。したがって、プレーヤが、未だゲーミングマシンから遠くに行っていない場合には、ICカードの取り忘れをプレーヤに認識させることができる。さらに、店員やホールに対しても、ICカードの取り忘れが発生したことを直ちに報知することができ、適切な作業を迅速にすることができる。
さらに、本発明の実施形態に係るプレーヤトラッキングシステム(PTS)は、リーダ/ライタを有するものが好ましい。このリーダ/ライタは、所定の情報を、情報データ記録媒体に書き込んだり、情報データ記録媒体から読み出したりするものである。この所定の情報には、ゲーミングマシンでゲームがプレイされるための現金に関する金額情報が含まれる。金額情報は、プレーヤがゲーミングマシンでゲームをプレイするたに、プレーヤが所有したり管理したりしていた現金をゲーミングマシンに投入して、投入した現金の金額を示す情報に変換したものである。この金額情報は、プレーヤが、ゲーミングマシンでゲームをプレイすることによって、金額情報の内容(例えば、数値)が変化する。なお、後述するように、プレーヤがゲーミングマシンでゲームをプレイするときには、金額情報が変換されたクレジット数が用いられる。したがって、プレーヤがゲーミングマシンでゲームをプレイするたびに、クレジット数を変更するが、金額情報を変更する必要なない。プレイを終了したときなどの、所定のタイミングで、クレジット数を金額情報に変換して、金額情報を変更すればよい。
金額情報が示す金額に応じたクレジット数に変換することができる。クレジットは、ゲーミングマシンに投入することによって、ゲームの賭け金として使用できる仮想的な遊技媒体や、ゲーミングマシンに記憶されて現金化されるまで、引き続き賭け金として使用することができる仮想的な遊技媒体である。
また、コントローラは、以下の(E)〜(G)の処理を実行することができる。
(E)の処理は、ゲーミングマシンでゲームがプレイされるための現金に関する金額情報を情報データ記録媒体に書き込む処理である。上述したように、金額情報はクレジット数に変換される。クレジットは、ゲームの賭け金として使用されるものであり、ゲームが進行するに従ってクレジット数は変化する。なお、金額情報を情報データ記録媒体に書き込むタイミングは、ゲーミングマシンでのプレイが終了したときでも、ゲーミングマシンでゲームがプレイされる毎でもよい。いずれにしても、ゲーミングマシンからプレーヤトラッキングシステムにクレジット数が送信され、そのクレジット数が金額情報に変換されて、変換された金額情報が情報データ記録媒体に書き込まれる。後述する図25のステップS1539の処理が、(E)の処理に相当する。
(F)の処理は、情報データ記録媒体に書き込まれた金額情報が所定数未満であるときにミニゲームを実行し、ミニゲームの結果に応じて金額情報が示す金額を変更する処理である。ミニゲームは、ゲーミングマシンでプレイされるゲームよりも短時間で終了するものが好ましい。ミニゲームは、ゲーミングマシンでのゲームが終了した後に、情報データ記録媒体の金額情報が示す金額を調整するために実行されるものである。短時間で終了できるゲームにすることで、直ちに次のプレーヤがゲーミングマシンでプレイすることができ、ゲーミングマシンの稼動率を維持することができる。後述する図27のステップS1623〜S1631の処理が、(F)の処理に相当する。
(G)の処理は、情報データ記録媒体に書き込まれた金額情報が示す金額が所定数以上であるときに、搬送装置によって情報データ記録媒体をイジェクト位置に搬送する処理である。金額情報が示す金額が所定数以上であるときには、情報データ記録媒体の価値が未だ高いため、プレーヤが取り忘れる可能性が低いので、プレーヤが情報データ記録媒体を取り出すことができるように、イジェクト位置に情報データ記録媒体を搬送するのが好ましい。後述する図27のステップS1629及び図26のステップS1561の処理が、(G)の処理に相当する。
このような構成にしたことにより、ミニゲームによって、金額情報が示す金額を多くした場合には、情報データ記録媒体の価値を高めて、情報データ記録媒体の存在をプレーヤに積極的に認識させて、取り忘れを防止することができる。
さらにコントローラは、以下の(H)の処理を実行することができる。
(H)の処理は、ゲーミングマシンに投入された現金を、金種に対応したレートに応じて金額情報が示す金額に変換する処理である。図31のサブルーチンの処理が、(G)の処理に相当する。
このような構成にしたことにより、プレーヤが所有する現金を、所定の金種に応じたレートで金額情報に変換するので、金額情報が示す金額に端数が生ずる場合でも、その端数を含めて現金の額を的確に変換でき、プレーヤに不利益を与えることがなく、金額情報を変換することができる。
さらにコントローラは、以下の(I)の処理を実行することができる。
(I)の処理は、情報データ記録媒体に書き込まれた金額情報が示す金額が所定数未満であるときに、搬送装置によって情報データ記録媒体を収納位置に搬送する処理である。すなわち、ミニゲームを実行したことによって、ミニゲームに負けた場合には、情報データ記録媒体を没収するということにして、情報データ記録媒体を収納位置に搬送する。このようにしても、情報データ記録媒体に書き込まれた金額情報が示す金額が所定数未満であるので、情報データ記録媒体の価値は高くなく、プレーヤに不満を与えることはない。後述する図27のステップS1627及びS1639の処理が、(I)の処理に相当する。
このように情報データ記録媒体をプレーヤトラッキングシステムの内部に収納するようにしたことで、情報データ記録媒体がプレーヤトラッキングシステムに残されないようにして、店員の手間や労力を軽くすることができる。また、情報データ記録媒体がプレーヤトラッキングシステムの内部に収容されるので、次のプレーヤは、待つことなく、直ちに、そのゲーミングマシンでゲームを開始することができ、ゲーミングマシンの稼働率を高めることができる。さらに、情報データ記録媒体がプレーヤトラッキングシステムの内部に収容することで、情報データ記録媒体を店が的確に回収することができ、回収した情報データ記録媒体を再び店内で使用することができるので、情報データ記録媒体に要する費用を低減させることもできる。
さらにコントローラは、以下の(J)の処理を実行することができる。
(J)の処理は、前記情報データ記録媒体がイジェクト位置に存在すると判別され、かつ、プレーヤが存在すると判別されたときには、前記アラート出力装置からプレーヤアラート情報を出力する処理である。後述する図26のステップS1573又はS1575の処理が、(J)の処理に相当する。
上述した(D)の処理では、情報データ記録媒体がイジェクト位置に存在すると判別され、かつ、プレーヤが存在しないと判別されたときに、アラート出力装置からホールアラート情報を出力する。このホールアラート情報は、プレーヤが存在しないと判別されたときに、出力されるものである。したがって、ホールアラート情報を出力しても、ゲーミングマシンから足早に立ち去るプレーヤは、ホールアラート情報を認識できない場合も想定される。このため、まず、(J)の処理を実行することによって、プレーヤが存在するときに、プレーヤに対するプレーヤアラート情報を出力するものが好ましい。このようにすることで、情報データ記録媒体を取り忘れている可能性があることをプレーヤに対して、報知することができる。
さらにコントローラは、以下の(K)の処理を実行することができる。
(K)の処理は、アラート出力装置からプレーヤアラート情報を出力した後に、プレーヤが存在しないと判別されたときに、アラート出力装置からホールアラート情報を出力する処理である。後述する図26のステップS1573又はS1575及びステップS1595、S1597又はS1599の処理が、(K)の処理に相当する。
すなわち、プレーヤが存在するときに、プレーヤアラート情報を出力したにも拘わらず、そのプレーヤアラート情報に気がつかずに、プレーヤがゲーミングマシンから離れた場合には、ホールアラート情報に切り替えてホールアラート情報を出力する。このように、アラート情報の出力を2段階にすることで、報知の対象を、プレーヤから店(店員やホールコンピュータ)に変更することにより、情報データ記録媒体が取り忘れられたときの作業を的確かつ迅速に行うことができる。
さらにコントローラは、以下の(L)の処理を実行することができる。
(L)の処理は、上述した(C)や(I)の処理によって、収納位置に搬送した情報データ記録媒体を、所定の期間の経過後に、情報データ記録媒体を初期化し、通常スタッカーに搬送して情報データ記録媒体を補充する処理である。後述する図29のステップS1655、S1657及びS1659の処理が、(L)の処理に相当する。
このようにすることで、店は、情報データ記録媒体を新規に購入することなく、情報データ記録媒体を補充することができるので、情報データ記録媒体に要する費用を低減させることもできる。また、ゲーミングマシンを開放することなく、情報データ記録媒体を補充することができるので、ゲームの公平性や安全性を維持することができるとともに、情報データ記録媒体の補充作業が煩雑になることを防止することができる。
上では、本発明の実施形態に係るプレーヤトラッキングシステムのみを記載したが、本発明の実施形態に係るプレーヤトラッキングシステムを有するゲーミングマシンや、本発明の実施形態に係るプレーヤトラッキングシステムにおいて、上述した処理(A)〜(L)を実行する方法でもよい。
本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
[第2実施形態]
図63を用いて、第2実施形態の概要について説明する。
図63は、本発明の第2実施形態に係るカジノシステムの全体像を模式的に示す概略図である。
カジノシステム2002は、管理サーバブロック2820と、顧客端末ブロック2221と、スタッフ端末ブロック2222とを備えている。
管理サーバブロック2820は、カジノホールサーバ2261と、為替サーバ2262と、スタッフ管理サーバ2263と、会員管理サーバ2264と、ICカード・金銭管理サーバ2265と、プログレッシブサーバ2266と、画像サーバ2267とを備えている。
カジノホールサーバ2261は、カジノ内の金銭の流れを集計し、賃借表等を作成するとともに、管理サーバブロック2820内の各サーバを管理するためのサーバである。為替サーバ2262は、為替情報を通信回線2223を介して外部(インターネット2015)から取得するためのサーバである。スタッフ管理サーバ2263は、カジノで働くスタッフの勤怠管理やカジノ内におけるスタッフの現在位置の把握等を行うためのサーバである。会員管理サーバ2264は、会員の個人情報や過去の遊技結果等の会員情報の管理を行うためのサーバである。ICカード・金銭管理サーバ2265は、キャッシュレスのICカードによる売り上げを集計するためのサーバである。プログレッシブサーバ2266は、プログレッシブ付与のための蓄積値の管理やプログレッシブ付与の決定を行うためのサーバである。画像サーバ2267は、カジノ内に設けられたカメラにより撮影されたスタッフやプレーヤの顔の画像を保存し、管理するためのサーバである。スタッフ管理サーバ2263は本発明のサーバに相当する。
顧客端末ブロック2221は、プレーヤトラッキングシステム(PTS)端末2064と、ゲーミングマシンと、精算機2268とを備えている。ゲーミングマシンは、PTS端末2064を介して管理サーバブロック2820とネットワークにより接続されている。本実施形態では、1のゲーミングマシンに対して、1のPTS端末2064が設けられている。
PTS端末2064は、本発明の個人追跡装置に相当する。
スタッフ端末ブロック2222は、スタッフ管理端末2269と、会員カード発券端末2270とを備えている。スタッフ管理端末2269は、スタッフ管理サーバ2263により制御される。スタッフ管理端末2269は、スタッフ管理サーバ2263から受信した信号に基づき、スタッフが携帯するPersonal Digital Assistant(PDA)(図示せず)等に情報を送信したり、スタッフが携帯する携帯電話機との通信を開始させたりする。
会員カード発券端末2270は、カメラを備えており、会員カード(ICカード)の発券時に、ICカードの発券を受けるプレーヤの顔の撮影を行う。撮影した画像は、顧客IDと対応付けて画像サーバ2267に保存される。また、ICカードの発券時に入力された会員の個人情報は、会員管理サーバ2264に顧客IDと対応付けて保存される。
本実施形態では、PTS端末2064は、通信回線を介して、両替紙幣識別器2065と接続されている。(図72参照)。
両替紙幣識別器2065は、複数の国の紙幣を受け入れることが可能である。例えば、日本の紙幣を両替紙幣識別器2065に投入すると、PTS端末2064により、為替レートに基づいて、米国の通貨への変換(両替)が行われる。そして、変換(両替)後の通貨量を示す変換後通貨量データがPTS端末2064からゲーミングマシンに対して送信される。そのため、プレーヤは、米国の通貨以外の通貨を使用して、ゲーミングマシンで遊技を行うことができる。なお、変換(両替)後の通貨量は、変換(両替)前の通貨量から、所定の手数料(以下、両替手数料ともいう)に相当する通貨量を引いた通貨量と等価である。
また、両替手数料に相当する通貨量を示す両替手数料データがPTS端末2064からプログレッシブサーバ2266に対して送信される。プログレッシブサーバ2266は、受信した両替手数料データが示す通貨量に基づいて、ボーナス用蓄積値を更新する。そして、ボーナス用蓄積値が特定値に達した場合には、いずれかのゲーミングマシンにジャックポットとしてコインの払い出しが行われる。このように、本実施形態では、両替手数料を原資としたボーナスが付与される。
以下においては、本発明のゲーミングマシンがスロットマシン2010である場合について説明する。
図64は、本発明の第1実施形態に係るゲーミングシステムを模式的に示す正面図である。
図65A〜図65Bは、本発明の第2実施形態に係るゲーミングシステムを構成するスロットマシンが備える上側画像表示パネルに表示される画像の一例を示す図である。
図64に示すように、ゲーミングシステム2001は、複数(本実施例では、10台)のスロットマシン2010(スロットマシン2010A、スロットマシン2010B、スロットマシン2010C、スロットマシン2010D、スロットマシン2010E、スロットマシン2010F、スロットマシン2010G、スロットマシン2010H、スロットマシン2010I、スロットマシン2010J)と、PTS端末2064と、為替サーバ2262と、プログレッシブサーバ2266と、複数の大型共通ディスプレイ2300(大型共通ディスプレイ2300A、大型共通ディスプレイ2300B)と、複数の小型共通ディスプレイ2301(小型共通ディスプレイ2301A、小型共通ディスプレイ2301B)とを備え、ネットワークで接続されている。さらに、大型共通ディスプレイ2300からスロットマシン2010へと配列された複数のLED2351を備える連結発光帯2310(連結発光帯2310A、連結発光帯2310B、連結発光帯2310C、連結発光帯2310D、連結発光帯2310E、連結発光帯2310F、連結発光帯2310G、連結発光帯2310H、連結発光帯2310I、連結発光帯2310J)が、スロットマシンごとに設けられている。連結発光帯2310は、大型共通ディスプレイ2300から境界板2302(境界板2302A、境界板2302B)までにおける直線部分と、境界板2302からスロットマシン2010までにおける屈曲部分とから構成される。
スロットマシン2010は、本発明におけるゲーミングマシンに相当する。
本実施形態に係るゲーミングシステム2001では、各スロットマシン2010でベットされたコインの一部がEVENT TIME用蓄積値として累積的に計数される。そして、計数されたEVENT TIME用蓄積値を示す画像が大型共通ディスプレイ2300Bに表示される。図64では、大型共通ディスプレイ2300Bに123456が表示されており、EVENT TIME用蓄積値が123456であることを示している。EVENT TIME用蓄積値が所定値に達すると、EVENT TIME(共通ゲーム)が行われる。
また、本実施形態に係るゲーミングシステム2001では、両替紙幣識別器2065に基本通貨以外の紙幣が投入された場合、当該紙幣の両替に係る両替手数料が、ボーナス用蓄積値として累積的に計数される。そして、計数されたボーナス用蓄積値を示す画像が大型共通ディスプレイ2300Aに表示される。図64では、大型共通ディスプレイ2300Aに850が表示されており、ボーナス用蓄積値が850であることを示している。ボーナス用蓄積値が特定値に達すると、いずれかのスロットマシン2010に対して、ジャックポットとしてコインの払い出しが行われる。
図65A〜図65Bを用いて、ジャックポットに係るコイン獲得について説明する。
図65Aに示すように、上側画像表示パネル2033には、ジャックポットの獲得についての注意事項を示す文字画像が表示されている。
文字画像2601は、EVENT TIME用蓄積値が所定値に達したことを契機として、EVENT TIME(共通ゲーム)が発生することを示している。
文字画像2602は、ボーナス用蓄積値が特定値に達したことを契機として、いずれかのスロットマシン2010に対して、ボーナスが発生することを示している。
図65Bには、更に、EVENT TIME(共通ゲーム)について示されている。
本実施形態では、上側画像表示パネルに設けられたタッチパネル(図示せず)における所定の位置に触れられたことを契機として、図65Aに示す文字画像から図65Bに示す文字画像へと、表示される文字画像が切り替わるように構成されている。
文字画像2604は、EVENT TIME(共通ゲーム)中、各スロットマシン2010において取得されたポイント数に応じてLED2351の点灯が行われることを示している。
EVENT TIME(共通ゲーム)では、再配置されたシンボルの種類及び個数に基づいて、ポイント数が決定される。
文字画像2605は、すべてのLED2351が点灯済みとなった連結発光帯2310が設けられているスロットマシン2010に対して、EVENT TIME用蓄積値に相当する数のコインが、ジャックポットとして払い出される旨示している。
本実施形態では、取得したポイント数に応じて、スロットマシン2010に近いLED2351から順に点灯される。これにより、点灯しているLED2351の列が、大型共通ディスプレイ2300に向かって伸びていくように見えることとなる。
文字画像2606は、連結発光帯2310が備えるLED2351の個数が連結発光帯2310によって異なり得るということを示している。
本実施形態では、下記(I)〜(V)の夫々に挙げる2つの連結発光帯2310が備えるLED2351の個数は同一である。
(I)連結発光帯2310Aと連結発光帯2310J
(II)連結発光帯2310Bと連結発光帯2310I
(III)連結発光帯2310Cと連結発光帯2310H
(IV)連結発光帯2310Dと連結発光帯2310G
(V)連結発光帯2310Eと連結発光帯2310F
しかし、(I)〜(V)の夫々は、互いに、LED2351の個数が異なっている。
当該差異は、屈曲部分におけるLED2351の個数が異なることに起因するものである。直線部分におけるLED2351の個数は、すべての連結発光帯2310で同一である。
なお、図64は、本実施形態に係るゲーミングシステム2001を模式的に示した図であり、図64に描いたLED2351の個数は、本実施形態におけるLED2351の個数と無関係である。
文字画像2607は、取得したポイント数と点灯するLED2351の個数との対応関係も、連結発光帯2310によって異なり得るということを示している。具体的に、(I)〜(V)の夫々は、互いに、取得したポイント数と点灯するLED2351の個数との対応関係が異なっている(図@24A参照)。
次に、上述したカジノシステム2002を採用したカジノ店のスタッフを管理する個人追跡システムについて説明する。なお、以下においては、本発明のゲーミングマシンがスロットマシン2010である場合について説明する。
図66は、図63に示すカジノシステムが備える個人追跡システムを模式的に示す俯瞰図である。
個人追跡システム2800は、カジノ店2801内にいるスタッフ2802(図66では、スタッフ2802A、スタッフ2802B、スタッフ2802C)を管理するためのシステムである。図66では、カジノ店2801内に、スタッフ2802のみが存在する。
なお、カジノ店2801は、本発明の施設に相当する。
個人追跡システム2800は、複数のPTS端末2064と、スタッフ管理サーバ2263と、複数のRFID(Radio Frequency Identification)リーダ2255(以下、RFID−R2255ともいう)(図@10参照)とを備える。PTS端末2064は、カジノ店2801内に設置された各スロットマシン2010のキャビネット2011内に夫々1台ずつ設けられている。RFID−R2255は、カジノ店2801内に設置された各スロットマシン2010のキャビネット2011内に夫々1台ずつ設けられている。
各スロットマシン2010に備えられているRFID−R2255は、スタッフ2802が所持するスタッフ用IDカード2803から無線によりスタッフIDを読み出す。なお、スタッフIDの読み出しは、各RFID−R2255の無線電波の到達範囲内にスタッフ用IDカード2803が入っている場合に行われる。本実施形態では、スタッフ用IDカード2803に備えられるRFIDタグとして、10m程度の距離での通信が可能であるアクティブタイプのものを使用する。
各RFID−R2255から読み取られたスタッフIDは、RFID−R2255を特定するための情報と、受信強度とが付加され、スタッフ管理サーバ2263に送信される。スタッフ管理サーバ2263では、送信されたスタッフIDを元に各RFIDタグ(スタッフ)の位置を検知する。なお、RFIDタグの位置の検知は、スタッフ用IDカード2803に備えられたRFIDタグが発信する電波のRFID−R2255での受信強度を用いて行う。RFIDタグが発信する電波のリーダでの受信強度を用いてRFIDタグの位置を検知する方法については、三辺測量の手法等の従来公知のものを採用することができるので、ここでの説明は省略することとする。
一方、スロットマシン2010において異常が検知されると、管理サーバ2200に対して異常信号が送信される。管理サーバ2200は、異常信号が出力されたスロットマシン2010に一番近いスタッフを特定し、そのスタッフとの携帯端末機による通信を開始する。これにより、異常を検出したスロットマシン2010に一番近い位置にいるスタッフ2802に対して、そのスロットマシン2010にいち早く向かわせる指示を行うこと可能になる。
また、図66に示すように、カジノ店2801の入場ゲート2806には、入場用カードリーダ2807が設置されており、スタッフ2802がカジノ店2801内に入場する際には、入場用カードリーダ2807によりスタッフ用IDカード2803からスタッフIDが読み取られる。なお、スタッフIDは、入場時に読み取られた際には、スタッフ管理サーバ2263のRAMに記憶され、退場時に読み取られた際には、スタッフ管理サーバ2263のRAMから削除される。これにより、カジノ店2801内にいるスタッフ2802の数や、どのスタッフ2802がカジノ店2801内にいるか等を管理することができる。
また、図66に示すように、カジノ店2801内には、監視用カメラ2808が設けられており、カジノ店2801内の様子が撮像されている。監視用カメラ2808で撮像された画像の画像データは、スタッフ管理サーバ2263に送信される。スタッフ管理サーバ2263には、予めすべてのスタッフのスタッフIDが記憶されている。また、スタッフ管理サーバ2263には、スタッフIDを付与されたスタッフの顔を示す顔画像データが各スタッフIDに対応付けて記憶されている。スタッフ管理サーバ2263は、常時、監視用カメラ2808から送信されてくる画像データと、スタッフ管理サーバ2263に予め記憶されている顔画像データの夫々とを比較し、顔画像データが示す人物と、画像データが示す人物とが一致すると判断される基準を満たすか判断する。そして、基準を満たしていると判断した場合に、スタッフ数として1を計数する。これにより、カジノ店2801内にいるスタッフの数をカウントすることができる。そして、入場用カードリーダ2807により読み取ったスタッフIDの数と、画像データに基づいてカウントしたスタッフ数とを対比することにより、スタッフ用IDカード2802の所持を忘れているスタッフ2802の数を把握することができる。また、スタッフ管理サーバ2263に予め記憶されている顔画像データが示すスタッフと同一のスタッフと判断される画像データを監視用カメラ2808しているにも関わらず、そのスタッフに対応するスタッフIDが入場用カードリーダ2807により読み取られていない場合には、その顔画像データのスタッフがスタッフ用IDカード2802の所持を忘れていると特定することができる。監視用カメラ2808は、本発明の施設内を撮像可能に設置されたカメラに相当する。
また、カジノ店2801内には、ゲーミングシステム2001とは異なる他の種類のゲームを提供するゲーミングマシン2805も設置されている。
図67は、個人追跡システムが備えるスタッフ管理サーバの内部構成を示すブロック図である。
スタッフ管理サーバ2263は、プロセッサとしてのCPU2501と、ROM2502と、RAM2503と、通信インターフェイス2504と、メモリとしてのハードディスクドライブ2505と、出力装置としてのディスプレイ2506と、ディスプレイ2506の前面に設けられたタッチパネル2507とを備えている。通信インターフェイス2504は、通信回線を介して、PTS端末2064の通信インターフェイス2245と接続されている。ROM2502は、スタッフ管理サーバ2263の動作を制御するためのシステムプログラムや恒久的なデータ等が記憶されている。また、RAM2503には、CPU2501が作動する際に用いられるデータやプログラムが記憶される。
図68は、図67に示したスタッフ管理サーバに記憶されているスタッフ管理テーブルを示す図である。
図68に示すように、ハードディスクドライブ2505には、スタッフIDと顔画像データと携帯端末機への電話番号とが対応付けられたスタッフ管理テーブルが記憶されている。
スタッフは、予めスタッフIDが付与されるとともに、顔をカメラにより撮像される。撮像された顔を示す顔画像データは、スタッフIDに対応付けてハードディスクドライブ2505に記憶される。なお、スタッフは、スタッフIDと対応付けられた携帯端末機が経営者より貸し与えられる。例えば、スタッフ2802A(図66参照)には、スタッフID“001”が付与されるとともに、スタッフID“001”が顔画像データAに対応付けて記憶されている。また、スタッフID“001”には、電話番号Aが対応付けて記憶されている。また、スタッフ2802B(図66参照)には、スタッフID“002”が付与されるとともに、スタッフID“002”が顔画像データBに対応付けて記憶されている。また、スタッフID“002”には、電話番号Bが対応付けて記憶されている。
図69は、本発明の一実施形態に係るスタッフ管理サーバにおいて実行されるスタッフ管理処理を示すフローチャートである。
まず、スタッフ管理サーバ2263が備えるCPU2501は、入場用カードリーダ2807によりスタッフ用IDカード2803から読み取ったスタッフIDデータをRAM2503に記憶する(ステップS2651)。
次に、CPU2501は、監視用カメラ2808から送信されてくる画像データと、ステップS2651においてRAM2503に記憶したスタッフIDデータに対応する顔画像データとを比較し、顔画像データが示す人物と、画像データが示す人物とが一致すると判断される基準を満たすか判断する(ステップS2652)。
顔画像データが示す人物と、画像データが示す人物とが一致すると判断される基準を満たすと判断した場合(ステップS2653:YES)、CPU2501は、スタッフ数として1をカウントする。なお、スタッフ数のカウントの対象となった顔画像データについては、ステップS2652における比較の対象から除外する。これにより、同一の顔画像データに基づいて、スタッフ数が2回カウントされることを防止することができる。
一方、顔画像データが示す人物と、画像データが示す人物とが一致すると判断される基準を満たさないと判断した場合(ステップS2653:NO)、CPU2501は、一致しないと判断された顔画像データに基づく画像と、該顔画像データに対応づけられているスタッフIDとを、ディスプレイ2506に表示する(ステップS2654)。ステップS2654、又は、ステップS2655の処理の後、本サブルーチンを終了する。
次に、スロットマシン2010の構成について説明する。
図70は、第1実施形態のゲーミングシステムを構成するスロットマシンの外観を示す斜視図である。
スロットマシン2010では、遊技媒体として、コイン、紙幣(基本通貨及び基本通貨以外の通貨)又はこれらに相当する電子的な有価情報が用いられる。ただし、本発明において、遊技媒体としては、特に限定されるものではなく、例えば、メダル、トークン、電子マネー、チケットを挙げることができる。なお、上記チケットとしては、特に限定されるものではなく、例えば、後述するようなバーコード付きチケット等を挙げることができる。
スロットマシン2010は、キャビネット2011と、キャビネット2011の上側に設置されたトップボックス2012と、キャビネット2011の前面に設けられたメインドア2013とを備えている。
メインドア2013には、下側画像表示パネル2016が設けられている。下側画像表示パネル2016は、透明液晶パネルを備えていて、3列、3行の9個の表示ブロック2028が表示される。各表示ブロック2028には、夫々1つのシンボルが表示される。
また、図示しないが、下側画像表示パネル2016には、上述した画像以外にも、演出に係る様々な画像が表示される。
また、下側画像表示パネル2016には、クレジット数表示部2031及びペイアウト数表示部32が設定されている。クレジット数表示部2031には、クレジットされたコインの枚数が画像によって表示される。ペイアウト表示部2032には、払い出されるコインの数が画像によって表示される。
さらに、下側画像表示パネル2016の前面には、図示しないが、タッチパネル2069が設けられていて、プレーヤはタッチパネル2069を操作して各種の指示を入力することができる。
下側画像表示パネル2016の下方には、プレーヤによって遊技進行に係る指示が入力される複数のボタン2023〜2027からなるコントロールパネル2020と、コインをキャビネット2011内に受け入れるコイン受入口21と、紙幣識別器2022と、両替紙幣識別器2065と、カメラ2254Cとが設けられている。
コントロールパネル2020には、スタートボタン2023と、チェンジボタン2024と、キャッシュアウトボタン2025と、1−BETボタン2026と、最大BETボタン2027とが設けられている。スタートボタン2023は、シンボルのスクロールを開始させる指示を入力するためのものである。チェンジボタン2024は、遊技施設の係員に両替を要求する際に用いられるものである。キャッシュアウトボタン2025は、クレジットされているコインをコイントレイ2018に払い出す指示を入力するためのものである。
1−BETボタン2026は、クレジットされているコインのうち、1枚のコインを遊技に賭ける指示を入力するためのものである。最大BETボタン2027は、クレジットされているコインのうち、1回の遊技に賭けることが可能な最大枚数(本実施形態では3枚)のコインを遊技に賭ける指示を入力するためのものである。
紙幣識別器2022は、紙幣(基本通貨)の適否を識別するとともに正規の紙幣をキャビネット2011内に受け入れるものである。なお、紙幣識別器2022は、後述するバーコード付チケット2039を読み取ることができるように構成されていてもよい。メインドア2013の下部前面、すなわち、コントロールパネル2020の下方には、スロットマシン2010のキャラクタ等が描かれたベリーガラス2034が設けられている。
両替紙幣識別器2065は、基本通貨以外の複数の国の紙幣を受け入れるものであり、受け入れた紙幣の適否、種類、枚数を読み取り可能となっている。
カメラ2254Cは、プレーヤの顔を撮像するためのものである。カメラ2254Cは、本発明における、プレーヤの顔を撮像可能に設置されたカメラに相当する。なお、プレーヤの顔を撮像可能に設置されたカメラとしては、特に限定されるものではなく、例えば、CCDカメラや、CMOSセンサカメラ等を挙げることができる。
トップボックス2012の前面には、上側画像表示パネル2033が設けられている。上側画像表示パネル2033は、液晶パネルを備えていて、例えば、図67Aに示したような遊技内容の紹介や遊技のルールの説明を表す画像が表示される。
また、トップボックス2012には、スピーカ2029が設けられている。上側画像表示パネル2033の下側には、チケットプリンタ2035と、ICカードリーダ/ライタ2253(以下、ICカードR/W2253ともいう)と、データ表示器2037と、キーパッド2038とが設けられている。チケットプリンタ2035は、クレジット数や日時やスロットマシン2010の識別番号等のデータがコード化されたバーコードをチケットに印刷し、バーコード付チケット2039として出力するものである。プレーヤは、バーコード付チケット2039を他のスロットマシンに読み取らせて該スロットマシンで遊技を行ったり、バーコード付チケット2039を遊技施設の所定箇所(例えばカジノ内のキャッシャ)で紙幣等に交換したりすることができる。
ICカードR/W2253は、ICカードからのデータの読み取り及びICカードへのデータの書き込みを行うものである。ICカードは、プレーヤが所持するカードであり、例えば、プレーヤを識別するためのデータ、プレーヤが行った遊技の履歴に関するデータが記憶される。ICカードには、コイン、紙幣又はクレジットに相当するデータが記憶されることとしてもよい。データ表示器2037は、蛍光ディスプレイ等からなり、例えば、ICカードR/W2253が読み取ったデータや、プレーヤによってキーパッド2038を介して入力されたデータを表示するものである。キーパッド2038は、チケット発行等に関する指示やデータを入力するためのものである。
図69は、図68に示したスロットマシンの内部構成を示すブロック図である。
ゲーミングボード2050は、内部バスによって互い接続されたCPU(Central Processing Unit)2051、ROM2055及びブートROM2052と、メモリカード2053に対応したカードスロット2053Sと、GAL(Generic Array Logic)2054に対応したICソケット2054Sとを備えている。
メモリカード2053は、コンパクトフラッシュ(登録商標)等の不揮発性メモリからなり、ゲームプログラムを記憶している。ゲームプログラムには、シンボル決定プログラムが含まれている。上記シンボル決定プログラムは、表示ブロック2028に再配置されるシンボルを決定するためのプログラムである。
シンボル決定プログラムによって決定されるシンボルには、「3bar」、「2bar」、「1bar」、「blue7」、「red7」、「white7」、「RIBBON」、「HEART」、「STAR」、「MOON」、「SUN」、「JEWEL」、「CROWN」、及び、「SMILE」の14種類が存在する。
また、カードスロット2053Sは、メモリカード2053を挿抜可能なように構成されていて、IDEバスによってマザーボード2040に接続されている。従って、カードスロット2053Sからメモリカード2053を抜き取り、メモリカード2053に別のゲームプログラムを書き込み、そのメモリカード2053をカードスロット2053Sに差し込むことにより、スロットマシン2010で行われる遊技の種類や内容を変更することができる。ゲームプログラムには、遊技進行に係るプログラムが含まれる。また、ゲームプログラムには、遊技中に出力される画像データや音データが含まれる。
内部バスによって互いに接続されたCPU2051、ROM2055及びブートROM2052は、PCIバスによってマザーボード2040に接続されている。PCIバスは、マザーボード2040とゲーミングボード2050との間の信号伝達を行うとともに、マザーボード2040からゲーミングボード2050への電力供給を行う。
マザーボード2040は、市販の汎用マザーボード(パーソナルコンピュータの基本部品を実装したプリント配線板)を用いて構成され、メインCPU2041と、ROM(Read Only Memory)2042と、RAM(Random Access Memory)2043と、通信用インターフェイス2044とを備えている。マザーボードは、本発明におけるコントローラに相当する。
ROM2042には、フラッシュメモリ等のメモリデバイスからなり、メインCPU2041により実行されるBIOS(Basic Input/Output System)等のプログラムと、恒久的なデータが記憶されている。メインCPU2041によってBIOSが実行されると、所定の周辺装置の初期化処理が行われるとともに、メモリカード2053に記憶されているゲームプログラムのゲーミングボード2050を介した取込処理が開始される。なお、本発明において、ROM2042は、内容の書き換えが可能なものであってもよく、不可能なものであってもよい。
ROM2042には、所定時間Tを示すデータ、ウィニングライン上に再配置されたシンボルの組合せと、払出枚数との対応関係(図82A〜図82C参照)を示すオッズデータ、第一一定数を示すデータ、第二一定数を示すデータ等が含まれている。
RAM2043には、メインCPU2041が作動する際に用いられるデータやプログラムが記憶される。また、RAM2043は、ゲームプログラムを記憶することができる。
また、RAM2043には、クレジット数や、1回の遊技における投入数や払出数等のデータが記憶される。
また、マザーボード2040には、後述する本体PCB(Printed Circuit Board)2060及びドアPCB2080とが、夫々USBによって接続されている。さらに、マザーボード2040には、電源ユニット2045及び通信インターフェイス22044が接続されている。通信インターフェイス22044は、通信回線を介して、PTS端末2064の通信インターフェイス2245と接続される。
本体PCB2060及びドアPCB2080には、メインCPU2041に入力される入力信号を発生させる機器や装置と、メインCPU2041から出力される制御信号により動作が制御される機器や装置とが接続されている。メインCPU2041は、メインCPU2041に入力された入力信号に基づいて、RAM2043に記憶されたゲームプログラムを実行することにより、所定の演算処理を行ってその結果をRAM2043に記憶したり、各機器や装置に対する制御処理として各機器や装置に制御信号を送信したりする。
本体PCB2060には、ランプ2030、ホッパー2066、コイン検出部2067、グラフィックボード2068、スピーカ2029、タッチパネル2069、チケットプリンタ2035、キースイッチ1038S、データ表示器2037及びタイマ2061が接続されている。
ホッパー2066は、キャビネット2011内に設置されていて、メインCPU2041から出力される制御信号に基づいて、所定数のコインをコイン払出口2019からコイントレイ2018に払い出す。コイン検出部2067は、コイン払出口2019の内部に設けられていて、コイン払出口2019から所定枚数のコインが払い出されたことを検出した場合には、メインCPU2041に対して入力信号を出力する。
タイマ2037は、時間の計時に用いるものである。
グラフィックボード2068は、メインCPU2041から出力される制御信号に基づいて、上側画像表示パネル2033及び下側画像表示パネル2016における画像表示を制御する。下側画像表示パネル2016の各表示ブロック2028には、スクロール又は停止するシンボルが表示される。下側画像表示パネル2016のクレジット数表示部2031には、RAM2043に記憶されているクレジット数が表示される。また、下側画像表示パネル2016のペイアウト数表示部32には、コインの払出数が表示される。
グラフィックボード2068は、メインCPU2041から出力される制御信号に基づいて画像データを生成するVDP(Video Display Processor)や、VDPによって生成される画像データを一時的に記憶するビデオRAM等を備えている。なお、VDPによって画像データを生成する際に用いられる画像データは、メモリカード2053から読み出されてRAM2043に記憶されたゲームプログラム内に含まれている。
チケットプリンタ2035は、メインCPU2041から出力される制御信号に基づいて、RAM2043に記憶されたクレジット数、日時やスロットマシン2010の識別番号等のデータがコード化されたバーコードをチケットに印刷し、バーコード付チケット2039として出力する。
キースイッチ2038Sは、キーパッド2038に設けられていて、キーパッド2038がプレーヤによって操作されたとき、所定の入力信号をメインCPU2041へ出力する。データ表示器2037は、プレーヤによってキーパッド2038を介して入力されたデータ等を表示する。
ドアPCB2080には、コントロールパネル2020、リバータ1021S及び冷陰極管2081が接続されている。コントロールパネル2020には、スタートボタン2023に対応したスタートスイッチ2023S、チェンジボタン2024に対応したチェンジスイッチ2024S、CASHOUTボタン2025に対応したCASHOUTスイッチ2025S、1−BETボタン2026に対応した1−BETスイッチ2026S、及び、最大BETボタン2027に対応した最大BETスイッチ2027Sが設けられている。各スイッチ2023S〜2027Sは、対応するボタン2023〜2027がプレーヤによって操作されたとき、メインCPU2041に対して入力信号を出力する。
リバータ2021Sは、メインCPU2041から出力される制御信号に基づいて動作するものであり、コインを、スロットマシン2010内に設置されたキャッシュボックス(図示せず)又はホッパー2066に振り分ける。すなわち、ホッパー2066がコインで満たされている場合、正規のコインはリバータ1021Sによってキャッシュボックスに振り分けられる。一方、ホッパー2066がコインで満たされていない場合には、正規のコインはホッパー2066に振り分けられる。冷陰極管2081は、下側画像表示パネル2016と、上側画像表示パネル2033との背面側に設置されるバックライトとして機能するものであり、メインCPU2041から出力される制御信号に基づいて点灯する。
図72は、本発明の第2実施形態に係るゲーミングシステムを構成するPTS端末の内部構成を示すブロック図である。
PTS端末2064は、CPU2241と、CPU2241と、RAM2243と、接続部2244と、通信インターフェイス2245と、ハードディスクドライブ2246とを備えている。CPU2241、CPU2241、及び、RAM2243から構成されるコントローラは、本発明におけるコントローラに相当する。通信インターフェイス2245は、通信回線を介して、当該PTS端末2064と対応関係にある1のスロットマシン2010の通信インターフェイス22044と接続されるとともに、通信回線を介して、管理サーバブロック2820と接続されている。CPU2241は、PTS端末2064の動作を制御するためのシステムプログラムや両替手数料算出値データや恒久的なデータ等が記憶されている。両替手数料算出値データは、両替手数料算出値P/1−P(Pは、両替手数料率)を示すデータである。また、RAM2243は、基本通貨(米国通貨)の量と基本通貨以外の種類の通貨の量との対応関係が、基本通貨以外の種類ごとに定められた為替レートを示す為替レートデータ等を一時的に記憶する。
ハードディスクドライブ2246は、カメラ2254Cにより撮像された画像の画像データを記憶するためのものである。ハードディスクドライブ2246は、本発明におけるメモリに相当する。CPU2241は、電源が投入され、所定の起動処理が行われた後は、カメラ2254Cにおいて撮像されることにより得られる画像データをハードディスクドライブ2246に記憶する。画像データの記憶は、所定の時間間隔(例えば、0.5秒間隔)で行われる。なお、各画像データには、ハードディスクドライブ2246に記憶される時刻(タイムスタンプ)が付与される。PTS端末2064は、時計機能を備えており、所定の期間が経過するごとに、時刻合わせを行っている。時刻合わせは、管理サーバ2200の備える時計から、又は、インターネットを介して外部から、時刻のデータを取得することにより行われている。
CPU2241は、ハードディスクドライブ2246の記憶可能領域が所定量(例えば、100MB)より少なくなると、古いタイムスタンプが付与されている画像データから順に消去する。ただし、消去可能な状態に設定されていない画像データについては消去しない。
接続部2244には、通信回線を介して、紙幣識別器2022と、両替紙幣識別器2065と、コインカウンタ2021Cと、カメラモジュール2254と、RFID(Radio Frequency Identification)リーダ2255(以下、RFID−R2255ともいう)と、ICカードR/W2253とが接続されている。
紙幣識別器2022は、紙幣(基本通貨)の適否を識別するとともに正規の紙幣を受け入れる。紙幣識別器2022は、正規の紙幣を受け入れたとき、その紙幣の額に基づいてCPU2241に対して入力信号を出力する。すなわち、入力信号には、受け入れた紙幣の額についての情報が含まれる。なお、両替紙幣識別器2065として、図101において後述する紙幣処理装置3001を用いることもができる。
両替紙幣識別器2065は、基本通貨以外の複数の国の紙幣の種別及び適否を識別するとともに正規の紙幣を受け入れる。両替紙幣識別器2065は、正規の紙幣を受け入れたとき、その紙幣の種別及び額に基づいてCPU2241に対して入力信号を出力する。入力信号には、識別された通貨の種類を示す通貨種類データと、該通貨の量を示す通貨量データとが含まれる。すなわち、入力信号には、受け入れた紙幣の種別及び額についての情報が含まれる。なお、両替紙幣識別器2065として、図101において後述する紙幣処理装置3001を用いることができる。また、紙幣識別器2022及び両替紙幣識別器2065として、一つの紙幣識別装置3001を用いることもできる。
コインカウンタ2021Cは、コイン受入口21の内部に設けられていて、プレーヤによってコイン受入口21に投入されたコインの適否を識別する。正規のコイン以外のものは、コイン払出口2019から排出される。また、コインカウンタ2021Cは、正規のコインを検出したときにCPU2241に対して入力信号を出力する。
カメラモジュール2254は、カメラモジュール2254に接続されたカメラ2254Cの動作を制御する。なお、撮像して得られた画像データは、PTS端末2064のハードディスクドライブ2246に記憶される。
RFID−R2255は、カジノのスタッフが携帯するRFIDタグから発せられる電波を受信する。RFID−R2255は、受信した電波に基づき、CPU2241に対して受信信号を出力する。受信信号には、受信した電波の発信元のRFIDタグを特定する情報(スタッフID)が含まれている。そして、CPU2241は、当該受信信号をスタッフ管理サーバ2263に送信する。CPU2241により送信された受信信号を受信したスタッフ管理サーバ2263は、受信信号に基づいて、カジノ内での各スタッフの現在位置の把握を行う。
ICカードR/W2253は、ICカードからのデータを読み取ってCPU2241へ送信したり、CPU2241からの制御信号に基づいてICカードへのデータの書き込みを行ったりする。
図73は、本発明の第2実施形態に係るゲーミングシステムを構成する為替サーバの内部構成を示すブロック図である。
為替サーバ2262は、CPU2341と、ROM2342と、RAM2343と、通信インターフェイス2344と、通信インターフェイス2345とを備えている。通信インターフェイス2344は、通信回線を介して、PTS端末2064の通信インターフェイス2245と接続される。通信インターフェイス2345は、通信回線2223を介して、インターネット2015と接続されている。ROM2342は、為替サーバ2262の動作を制御するためのシステムプログラムやインターネット2015を介して最新の為替情報を取得するための為替情報取得プログラムや恒久的なデータや両替手数料率Pを示す手数料データ等が記憶されている。また、RAM2343は、為替情報や手数料減算後為替情報等を一時的に記憶する。
図74は、本発明の第2実施形態に係るゲーミングシステムを構成するプログレッシブサーバの内部構成を示すブロック図である。
プログレッシブサーバ2266は、CPU2201と、ROM2202と、RAM2203と、通信インターフェイス2204と、LED駆動回路2350と、乱数発生器2063と、メモリとしてのハードディスクドライブ2205とを備えている。乱数発生器2063は、所定のタイミングで乱数を発生させる。通信インターフェイス2204は、通信回線を介して、PTS端末2064の通信インターフェイス2245と接続されるとともに、通信回線を介して、大型共通ディスプレイ2300A、大型共通ディスプレイ2300B、小型共通ディスプレイ2301A、小型共通ディスプレイ2301Bと接続されている。ROM2202は、プログレッシブサーバ2266の動作を制御するためのシステムプログラムや恒久的なデータ等が記憶されている。また、RAM2203は、EVENT TIME用蓄積値を示すEVENT TIME用蓄積値データ、ボーナス用蓄積値を示すボーナス用蓄積値データ、各スロットマシン2010に対して設けられた連結発光帯2310が備えるLED2351のうち、点灯済みのLED2351の個数を示す点灯数データ、各スロットマシン2010から受信したデータ等を一時的に記憶する。
ハードディスクドライブ2205には、複数種類の発光数決定テーブル(屈曲部分用発光数決定テーブル及び直線部分用発光数決定テーブル)を示す発光数決定テーブルデータが記憶されている。
また、ハードディスクドライブ2205には、共通ゲームにおいてポイント数を決定する際に参照されるポイント数決定テーブルデータが記憶されている。
また、ハードディスクドライブ2205には、所定値を示すデータ、特定値を示すデータ、が記憶されている。
LED駆動回路2350には、複数のLED2351が接続されている。各LED2351には、識別番号が付されており、LED駆動回路2350は、CPU2201から受信した信号に基づいて、LED2351の点灯及び消灯を行う。
図75は、為替サーバにおいて行われる為替情報取得処理を示すフローチャートである。
為替情報取得処理は、所定のタイミングで実行される処理である。
まず、CPU2341は、ROM2342に記憶された為替情報取得プログラムを実行することにより、インターネット2015を介して最新の為替情報を取得する(ステップS2021)。この処理において、CPU2341は、或るタイミングで、例えば、米国の通貨量と日本の通貨量との対応関係(例えば、1ドル=100円)を示す情報を取得する。また、CPU2341は、別のタイミングで、例えば、米国の通貨量と中国の通貨量との対応関係(例えば、1ドル=6.85元)を示す情報を取得する。なお、本明細書では、米国の通貨量Mと他国の通貨量Nとが対応付けられていることを、M=Nのように記載することとする。
ステップS2021において取得した為替情報と、ROM2342に記憶された手数料データに基づいて、手数料減算後為替情報を決定する(ステップS2022)。この処理では、為替情報が示す対応関係において、米国以外の国の通貨量に、1から手数料データが示す両替手数料率(本実施例では、0.02)を引いた値を乗じることにより、手数料減算後為替情報を決定する。例えば、取得した為替情報が1ドルと100円とが等価であることを示す場合には、1ドルに(1−0.02)を乗じた0.98ドルと100円とが等価であることを示す情報を、手数料減算後為替情報として決定する。
ステップS2022において決定した手数料減算後為替情報を各PTS端末2064に送信する(ステップS2023)。ステップS2023の処理を実行した後、CPU2341は、為替情報取得処理を終了する。
図76は、図72に示したPTS端末において行われる入金受付処理を示すフローチャートである。
まず、CPU2241は、所定のタイミングで、紙幣識別器2022又はコインカウンタ2021Cから入力信号を受信したか否かを判断する(ステップS2051)。
ステップS2051において入力信号を受信したと判断した場合、CPU2241は、受信した入力信号に基づいて、入金金額を特定する(ステップS2052)。そして、CPU2241は、特定した入金金額を示す入金通貨量データを対応関係にあるスロットマシン2010に対して送信する(ステップS2053)。
一方、ステップS2051において入力信号を受信していないと判断した場合、CPU2241は、両替紙幣識別器2065から入力信号を受信したか否かを判断する(ステップS2054)。
ステップS2054において入力信号を受信したと判断した場合、CPU2241は、受信した入力信号に含まれる通貨種類データと、通貨量データとに基づいて、入金金額と、両替紙幣識別器2065が受け入れた紙幣の種別とを特定する(ステップS2055)。
CPU2241は、ステップS2055において特定した入金金額(例えば、10000円)と、紙幣の種別と、RAM2243に記憶された為替レートデータが示す為替レート(例えば、0.98ドル=100円)に基づき、基本通貨である米国通貨へ両替した後の通貨量(例えば、98ドル)を算出する(ステップS2056)。そして、CPU2241は、両替後の通貨量(以下、変換後通貨量ともいう)を示す変換後通貨量データを対応関係にあるスロットマシン2010に対して送信する(ステップS2057)。なお、以下においては、入金通貨量データと、変換後通貨量データとを併せて通貨量データと記載することとする。
CPU2241は、ステップS2056で算出した変換後通貨量を示す変換後通貨量データと、CPU2241に記憶された両替手数料算出値を示す両替手数料算出値データとに基づいて、両替手数料を算出する(ステップS2058)。両替手数料は、ステップS2056で算出した変換後通貨量(例えば、98ドル)に、両替手数料算出値P/1−P(Pは、両替手数料率(本実施例では、0.02))(本実施例において、両替手数料算出値は2/98)を乗じた金額(例えば、2ドル)に相当する。そして、CPU2241は、両替手数料を示す両替手数料データをプログレッシブサーバ2266に送信する(ステップS2059)。
ステップS2053、若しくは、ステップS2059の処理を実行した場合、又は、ステップS2054において入力信号を受信していないと判断した場合、CPU2241は、手数料減算後為替情報を為替サーバ2262から受信したか否かを判断する(ステップS2060)。
ステップS2060において手数料減算後為替情報を受信したと判断した場合、CPU2241は、受信した手数料減算後為替情報に基づいて、RAM2243に記憶されている為替レートデータを更新する(ステップS2061)。例えば、RAM2243に記憶されている為替レートデータが示す為替レートにおける各種通貨量の対応関係が、1ドル=100円=0.68ユーロ=6.85元である場合において、1ドル=110円という対応関係を示す手数料減算後為替情報を受信したとき、CPU2241は、1ドル=110円=0.68ユーロ=6.85元という新たな為替レートを示す為替レートデータを、RAM2243に記憶させる。
本実施形態において、為替情報を受信した為替サーバ2262は、受信した為替情報に基づいて手数料減算後為替情報を決定し、決定された手数料減算後為替情報がPTS端末2064に送信されることとして説明している。すなわち、両替手数料の徴収に係る処理を、為替サーバ2262が行うこととしている。しかし、本発明においては、両替手数料の徴収に係る処理は、PTS端末が行うこととしてもよい。
この場合、例えば、以下のような構成を採用することができる。
すなわち、PTS端末のROMには、両替手数料率Pを示す手数料データが記憶されている。PTS端末のCPUは、為替サーバから為替情報を受信する。そして、PTS端末のCPUは、ROMに記憶されている手数料データに基づいて、手数料減算後為替情報を決定する。そして、PTS端末のCPUは、決定した手数料減算後為替情報に基づいて、為替レートデータを更新する。
また、本発明においては、為替サーバのRAMに為替レートデータが記憶されるとともに、為替サーバのCPUが手数料減算後為替情報に基づいて為替レートデータを更新することとし、更新された為替レートデータがPTS端末に送信されることとしてもよい。
また、為替サーバが、外部から為替レートデータを受信することとしてもよい。
ステップS2061の処理を実行した場合、又は、ステップS2060において手数料減算後為替情報を受信していないと判断した場合、CPU2241は、入金受付処理を終了する。
図77は、図72に示したPTS端末において行われる画像記憶処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
PTS端末2064では、図72を用いて既に説明したように、カメラ2254Cで撮像されて得られた画像データが0.5秒間隔でハードディスクドライブ2246に記憶され続けている。
まず、ステップS2101において、PTS端末2064が備えるCPU2241は、ID読取信号をICカードR/W2253から受信したか否かを判断する。ID読取信号を受信したと判断した場合、CPU2241は、受信時刻T1をRAM2243の所定の領域に記憶する(ステップS2102)。
ステップS2101においてID読取信号を受信していないと判断した場合、又は、ステップS2102の処理の後、CPU2241は、カード正常取出信号をICカードR/W2253から受信したか否かを判断する(ステップS2103)。カード正常取出信号をICカードR/W2253から受信したと判断した場合、CPU2241は、受信時刻T2をRAM2243の所定の領域に記憶する(ステップS2104)。
次に、ステップS2105において、CPU2241は、受信時刻T1から受信時刻T2までに画像データを記憶したハードディスクドライブ2246の領域を消去可能領域に設定する。この処理において、CPU2241は、受信時刻T1から受信時刻T2までのタイムスタンプが付与されている画像データを消去可能な状態に設定する。ステップS2103において、カード正常取出信号をICカードR/W2253から受信していないと判断した場合、又は、ステップS2105の処理の後、本サブルーチンを終了する。
なお、ハードディスクドライブ2246の消去可能領域に設定された領域に記憶されている画像データは、記憶可能領域が100MBより少なったことを契機として消去されることとなる。
図78は、ICカードリーダ/ライタにおいて実行されるカード入出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
まず、ICカードR/W2253は、ICカードが挿入されているか否かを判断する(ステップS2111)。ICカードが挿入されていると判断した場合、ICカードR/W2253は、ICカードから顧客IDを読み取る。次に、ステップS2113において、ICカードR/W2253は、顧客IDを読み取った旨のID読取信号をPTS端末2064に送信する。なお、ステップS2111においてICカードが挿入されていると判断された場合において、すでに顧客IDを読み取っている場合には、ステップS2112、及び、ステップS2113の処理を行わずに、処理をステップS2114移す。
顧客IDは、本発明の識別データに相当する。また、ID読取信号は、本発明の検出信号に相当する。
ステップS2114において、ICカードR/W2253は、ICカードが正常に取り出されたか否かを判断する。ICカードが正常に取り出されたと判断した場合、ICカードR/W2253は、カード正常取出信号をPTS端末2064に送信する(ステップS2115)。ステップS2111においてICカードが挿入されていないと判断した場合、ステップS2114においてICカードが正常に取り出されていないと判断した場合、又は、ステップS2115の処理の後、本サブルーチンを終了する。
カード正常取出信号は、本発明の非検出信号に相当する。
図79は、スロットマシンにおいて行われるスロットマシンゲーム実行処理を示すフローチャートである。
なお、スロットマシン2010とプログレッシブサーバ2266とのデータ等の送受信は、PTS端末2064を介して行われるが、以下においては、記載を簡潔にするため、スロットマシン2010とプログレッシブサーバ2266とが直接データ等の送受信を行っているように記載することとする。
まず、メインCPU2041は、共通ゲームフラグがセットされているか否かを判断する(ステップS2200)。
図80を用いて、共通ゲームフラグについて説明する。
図80は、フラグセット処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
まず、メインCPU2041は、所定のタイミングで、共通ゲーム実行信号(図84参照)を、PTS端末2064を介して、プログレッシブサーバ2266から受信したか否かを判断する(ステップS2250)。
共通ゲーム実行信号を受信していないと判断した場合、メインCPU2041は、本サブルーチンを終了する。
一方、共通ゲーム実行信号を受信したと判断した場合、メインCPU2041は、共通ゲームフラグをセットし(ステップS2251)、本サブルーチンを終了する。
このように、共通ゲームフラグは、共通ゲームを実行する条件が成立したことを示すフラグである。
図79のステップS2200において共通ゲームフラグがセットされていないと判断した場合、メインCPU2041は、通常ゲーム実行処理を行う(ステップS2201)。通常ゲーム実行処理については、後に、図面を用いて詳述することとする。
一方、共通ゲームフラグがセットされていると判断した場合、メインCPU2041は、共通ゲーム実行処理を行う(ステップS2202)。共通ゲーム実行処理については、後に、図面を用いて詳述することとする。
次に、メインCPU2041は、PTS端末2064を介して、プログレッシブサーバ2266からボーナス配当信号(図86参照)を受信したか否かを判断する(ステップS2203)。
ボーナス配当信号を受信したと判断した場合、メインCPU2041は、コインの払い出しを行う(ステップS2204)。第一当籤スロットマシン2010であることを示す情報が含まれるボーナス配当信号を受信した場合には、第一一定数のコインの払い出しを行う。一方、第二当籤スロットマシン2010であることを示す情報が含まれるボーナス配当信号を受信した場合には、第二一定数のコインの払い出しを行う。第一一定数は、第二一定数よりも大きな数値である。すなわち、第二当籤スロットマシン2010に対して払い出されるコインの枚数よりも、第一当籤スロットマシン2010に対して払い出されるコインの枚数の方が多い。
ステップS2204の処理を行った後、又は、ステップS2203においてボーナス配当信号を受信していないと判断した場合、メインCPU2041は、通貨量データ(入金通貨量データ、変換後通貨量データ)をPTS端末2064から受信したか否かを判断する(ステップS2205)。すなわち、ステップS2053により送信された入金通貨量データ又はステップS2057により送信された変換後通貨量データのいずれかを受信したか否かを判断する。
ステップS2205において通貨量データを受信したと判断した場合、メインCPU2041は、受信した通貨量データに基づいて、クレジット数を更新する(ステップS2206)。すなわち、受信した通貨量データが示す通貨量と等価なクレジット数をRAM2043に記憶されたクレジット数に加算する処理を行う。
受信した通貨量データが示す通貨量と等価なクレジット数は、本発明におけるBET値に相当する。
ステップS2206の処理を行った後、又は、ステップS2205において通貨量データを受信していないと判断した場合、メインCPU2041は、本サブルーチンを終了する。
図81は、通常ゲーム実行処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
図82A〜図82Cは、ウィニングライン上に再配置されたシンボルの組合せと、払出枚数との対応関係を示す図である。
図83は、表示ブロックに再配置されたシンボルの一例を示す図である。
まず、メインCPU2041は、タイマ2037により計時された時間が所定時間T以上であるか否かを判断する(ステップS2300)。
ステップS2300において、所定時間T以上でないと判断した場合、メインCPU2041は、処理をステップS2302に移す。一方、ステップS2300において、所定時間T以上であると判断した場合、メインCPU2041は、ゲーム休止中信号を、PTS端末2064を介してプログレッシブサーバ2266に送信する(ステップS2301)。ゲーム休止中信号には、スロットマシン2010の識別番号が含まれる。
メインCPU2041は、コインがBETされたか否かを判断する(ステップS2302)。この処理において、メインCPU2041は、1−BETボタン2026が操作された際に1−BETスイッチ2026Sから出力される入力信号、又は、最大BETボタン2027が操作された際に最大BETスイッチ2027Sから出力される入力信号を受信したか否かを判断する。コインがBETされていないと判断した場合、ステップS2300に処理を戻す。
一方、ステップS2302において、コインがBETされたと判断した場合、メインCPU2041は、BETされたコインの枚数に応じて、RAM2043に記憶されたクレジット数を減算する処理を行う(ステップS2303)。なお、BETされるコインの枚数がRAM2043に記憶されたクレジット数より多い場合には、RAM2043に記憶されたクレジット数を減算する処理を行わずに、ステップS2300に処理を戻す。また、BETされるコインの枚数が、1回の遊技にBETすることが可能な上限値(本実施形態では3枚)を超える場合には、RAM2043に記憶されたクレジット数を減算する処理を行わずに、ステップS2304に処理を進める。
次に、メインCPU2041は、スタートボタン2023がONされたか否かを判断する(ステップS2304)。この処理において、メインCPU2041は、スタートボタン2023が押下された際にスタートスイッチ2023Sから出力される入力信号を受信したか否かを判断する。
スタートボタン2023がONされていないと判断した場合、ステップS2300に処理を戻す。なお、スタートボタン2023がONされなかった場合(例えば、スタートボタン2023がONされずに遊技を終了する旨の指示が入力された場合)には、メインCPU2041は、ステップS2303における減算結果をキャンセルする。
一方、ステップS2304において、スタートボタン2023がONされたと判断した場合、タイマ2037により計時された時間をクリアし(ステップS2305)、タイマ2037による計時を開始する(ステップS2306)。
メインCPU2041は、BETされたコインの枚数を示す遊技媒体数情報を、PTS端末2064を介してプログレッシブサーバ2266に対して送信する(ステップS2307)。遊技媒体数情報には、スロットマシン2010の識別番号が含まれる。
次に、メインCPU2041は、シンボル再配置処理を行う(ステップS2308)。
この処理において、先ず、メインCPU2041は、表示ブロック2028において、シンボルのスクロール表示を開始する。そして、メインCPU2041は、上述したシンボル決定プログラムを実行し、再配置されるシンボルを決定し、表示ブロック2028において、シンボルを再配置する。
次に、メインCPU2041は、賞が成立したか否かを判断する(ステップS2309)。
図83に示すように、本実施形態に係る表示ブロック2328には、3行3列の計9個のシンボルを再配置することが可能である。真ん中の行には、ウィニングラインWLが設定されている。ウィニングラインWL上に再配置されたシンボルが所定の組合せである場合、賞が成立したと判断され、コインの払出が行われることとなる。
図82A〜図82Cに示すように、本実施形態では、ベットされたコインの枚数が1の場合と、該枚数が2の場合と、該枚数が3の場合とで、シンボルの組合せとコインの払出枚数との関係が異なるように構成されている。図中、「3bar」は、図83に示すシンボル2701である。「1bar」は、図83に示すシンボル2702である。「anybar」は、「3bar」と「2bar」と「1bar」とのうち、何れかのシンボルである。
ここで、ベット枚数が2枚以下の場合には、賞の成立とは、「3bar×3」、「2bar×3」、「1bar×3」、「anybar×3」のうち、少なくとも1つのシンボルの組合せが、ウィニングラインWL上に成立した場合である(図82A、82B参照)。ベット枚数が3枚の場合には、賞の成立とは、「blue7×3」、「red7×3」、「white7×3」のうち、少なくとも1つのシンボルの組合せが、ウィニングラインWL上に成立した場合である(図82C参照)。
賞が成立したと判断した場合、メインCPU2041は、コインの払出に係る処理を行う(ステップS2310)。この処理において、メインCPU2041は、シンボルの組合せとコインの払出枚数との関係を示すデータ(図82A〜82C参照)に基づいて決定される枚数のコインを払い出す。
例えば、1枚のコインがベットされたゲームにおいて、図83に示すように、「3bar−1bar−1bar」というシンボルの組合せがウィニングラインWL上に再配置された場合、係る組合せは、「anybar−anybar−anybar」に相当することから、10枚のコインが払い出されることとなる。
コインの貯留を行う場合、メインCPU2041は、RAM2043において、決定された配当量に相当するクレジット数を加算する処理を行う。一方、コインの払出を行う場合には、メインCPU2041は、ホッパー2066に制御信号を送信して、決定された配当量に相当する量のコインの払出を行う。
ステップS2309において賞が成立していないと判断した場合、又は、ステップS2310の処理を実行した後、メインCPU2041は、本サブルーチンを終了する。
続いて、図84を用いて、共通ゲーム実行処理について説明する。
図84は、共通ゲーム実行処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
まず、メインCPU2041は、ステップS2350〜ステップS2353の処理を実行するが、これらの処理は、図81のステップS2304、ステップS2308〜ステップS2310の処理と略同様の処理である。ここでは、図81のステップS2304、ステップS2308〜ステップS2310と異なる部分についてのみ説明する。
ステップS2352において賞が成立していないと判断した場合、又は、ステップS2353の処理を実行した後、メインCPU2041は、PTS端末2064を介して、プログレッシブサーバ2266に対して、シンボル情報を送信する(ステップS2354)。シンボル情報は、ステップS2351において再配置されたシンボルを示す情報である。
次に、メインCPU2041は、PTS端末2064を介して、プログレッシブサーバ2266からジャックポット払出信号を受信したか否かを判断する(ステップS2355)。ジャックポット払出信号は、いずれかのスロットマシン2010に対して設けられた連結発光帯2310が備えるすべてのLED2351が点灯したことを契機として、プログレッシブサーバ2266からPTS端末2064を介して該スロットマシン2010に対して送信される信号である(図88参照)。ジャックポット払出信号には、EVENT TIME用蓄積値を示す情報が含まれる。
ジャックポット払出信号を受信したと判断した場合、メインCPU2041は、ジャックポット払出処理を行う(ステップS2356)。この処理において、メインCPU2041は、ジャックポット払出信号に含まれるEVENT TIME用蓄積値を示す情報に基づいて、EVENT TIME用蓄積値に相当する枚数のコインを払い出す。ステップS2356においてメインCPU2041が行う処理としては、例えば、スピーカ2029からの報知音の出力、ランプ2030の点灯、払出数を示すバーコードが印刷されたバーコード付チケット2039の印刷等を挙げることができる。
ステップS2355においてジャックポット払出信号を受信していないと判断した場合、又は、ステップS2356の処理を実行した後、メインCPU2041は、本サブルーチンを終了する。
次に、プログレッシブサーバ2266において行われる処理について説明する。
図85は、ゲーム休止中信号受信処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
まず、CPU2201は、所定のタイミングで、スロットマシン2010から、PTS端末2064を介して、ゲーム休止中信号(図15参照)を受信したか否かを判断する(ステップS2450)。
ゲーム休止中信号を受信していないと判断した場合、CPU2201は、本サブルーチンを終了する。一方、ゲーム休止中信号を受信したと判断した場合、CPU2201は、ゲーム休止中フラグを、受信したゲーム休止中信号に含まれるスロットマシン2010の識別番号に対応付けてセットする(ステップS2451)。
図86は、遊技媒体数情報受信処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
まず、CPU2201は、所定のタイミングで、スロットマシン2010から、PTS端末2064を介して、遊技媒体数情報を受信したか否かを判断する(ステップS2500)。
遊技媒体数情報を受信したと判断した場合、CPU2201は、RAM2203に記憶されているEVENT TIME用蓄積値データが示すEVENT TIME用蓄積値に、受信した遊技媒体数情報が示すコインの枚数の一部(本実施形態では、遊技媒体数情報が示すコインの枚数から1を引いた枚数)に対応する値を加算し、加算して得られた数値を新たなEVENT TIME用蓄積値として、EVENT TIME用蓄積値データをRAM2203に記憶する(ステップS2501)。なお、遊技媒体数情報が示すコインの枚数から1を引いた枚数が0以下となる場合には、ステップS2501の処理を中止する。
次に、CPU2201は、RAM2203に記憶されたEVENT TIME用蓄積値データに基づいて、EVENT TIME用蓄積値が所定値に達したか否かを判断する(ステップS2502)。
EVENT TIME用蓄積値が所定値に達したと判断した場合、CPU2201は、共通ゲーム実行信号を、PTS端末2064を介してスロットマシン2010に対して送信する(ステップS2503)。
一方、遊技媒体数情報を受信していないと判断した場合、CPU2201は、両替手数料データを受信したか否かを判断する(ステップS2504)。両替手数料データを受信したと判断した場合、CPU2201は、受信した両替手数料データが示す通貨量に相当するコインの枚数を、RAM2203に記憶されているボーナス用蓄積値データが示すボーナス用蓄積値に加算し、加算して得られた数値を新たなボーナス用蓄積値として、ボーナス用蓄積値データをRAM2203に記憶する(ステップS2505)。
受信した両替手数料データが示す通貨量は、本発明における所定の手数料に相当する基本通貨の量に相当する。
次に、CPU2201は、RAM2203に記憶されたボーナス用蓄積値データに基づいて、ボーナス用蓄積値が特定値に達したか否かを判断する(ステップS2506)。
ボーナス用蓄積値が特定値に達したことは、本発明における所定のプログレッシブ払出条件に相当する。
ボーナス用蓄積値が特定値に達したと判断した場合、CPU2201は、当籤スロットマシン決定処理を実行する(ステップS2507)。当籤スロットマシン決定処理では、ボーナスが付与される第一当籤スロットマシン2010と第二当籤スロットマシン2010とを決定する。当籤スロットマシン決定処理については、後で図面を用いて詳述する。
CPU2201は、ステップS2507において決定された第一当籤スロットマシン2010と第二当籤スロットマシン2010に対して、PTS端末2064を介してボーナス配当信号を送信する(ステップS2508)。第一当籤スロットマシン2010に対して送信されるボーナス配当信号には、第一当籤スロットマシン2010であることを示す情報が含まれる。第二当籤スロットマシン2010に対して送信されるボーナス配当信号には、第二当籤スロットマシン2010であることを示す情報が含まれる。
ステップS2503においてEVENT TIME用蓄積値が所定値に達していないと判断した場合、又は、ステップS2503の処理を実行した場合、又は、ステップS2504において両替手数料データを受信していないと判断した場合、又は、ステップS2506においてボーナス用蓄積値が特定値に達していないと判断した場合、又は、ステップS2508の処理を実行した場合、CPU2201は、本サブルーチンを終了する。
図87は、当籤スロットマシン決定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
まず、CPU2201は、乱数発生器2063が発生させた乱数を抽出する(ステップS2550)。
CPU2201は、ステップS2550において抽出した乱数に基づいて、10台のスロットマシン2010のなかから1のスロットマシン2010を決定する。そして、決定したスロットマシン2010を当籤スロットマシン2010として決定する(ステップS2551)。
CPU2201は、ステップS2551において決定した当籤スロットマシン2010の識別番号に対応付けて、ゲーム休止中フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS2552)。ゲーム休止中フラグがセットされていると判断した場合、CPU2201は、処理をステップS2550に戻す。
ステップS2552において、ゲーム休止中フラグがセットされていないと判断した場合、CPU2201は、ステップS2551において決定した当籤スロットマシン2010を第一当籤スロットマシン2010として決定する(ステップS2553)。
CPU2201は、乱数発生器2063が発生させた乱数を抽出する(ステップS2554)。
CPU2201は、ステップS2554において抽出した乱数に基づいて、10台のスロットマシン2010のなかから1のスロットマシン2010を決定する。そして、決定したスロットマシン2010を当籤スロットマシン2010として決定する(ステップS2555)。
CPU2201は、ステップS2555において決定した当籤スロットマシン2010の識別番号に対応付けて、ゲーム休止中フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS2556)。ゲーム休止中フラグがセットされていると判断した場合、CPU2201は、処理をステップS2554に戻す。
ステップS2556において、ゲーム休止中フラグがセットされていないと判断した場合、CPU2201は、ステップS2555において決定した当籤スロットマシン2010と、ステップS2553において決定した第一当籤スロットマシン2010とが同じスロットマシン2010であるか否かを判断する(ステップS2557)。同じスロットマシン2010であると判断した場合、CPU2201は、処理をステップS2554に戻す。
ステップS2557において、同じスロットマシン2010でないと判断した場合、CPU2201は、ステップS2555において決定した当籤スロットマシン2010を第二当籤スロットマシン2010として決定する(ステップS2558)。
図88は、光源発光処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
まず、CPU2201は、所定のタイミングで、スロットマシン2010から、PTS端末2064を介して、シンボル情報(図84参照)を受信したか否かを判断する(ステップS2570)。
シンボル情報を受信していないと判断した場合、CPU2201は、本サブルーチンを終了する。
一方、シンボル情報を受信したと判断した場合、CPU2201は、該シンボル情報と、ハードディスクドライブ2205に記憶されているポイント数決定テーブルデータとに基づいて、ポイント数を決定する(ステップS2571)。
図89は、ポイント数決定テーブルを示す図である。
図89に示すように、ポイント数決定テーブルにおいては、ウィニングラインWL上に再配置されたシンボル又はシンボルの組合せと、ポイント数とが対応付けて設定されている。例えば、ウィニングラインWL上に、「1bar」が1つ再配置された場合、CPU2201は、ポイント数を10に決定する。
次に、CPU2201は、決定されたポイント数と、発光数決定テーブルデータとに基づいて、点灯(発光)させるLED(光源)2351の個数を決定する(ステップS2572)。
図90A〜図90Bは、発光数決定テーブルを示す図である。
発光数決定テーブルは、ポイント数が属し得る範囲と、点灯させるLED2351の個数とが対応付けられたものである。また、ポイント数と、点灯させるLED2351の個数との対応関係が、各スロットマシン2010に対応付けられている。
発光数決定テーブルは、屈曲部分用発光数決定テーブル(図90A)と、直線部分用発光数決定テーブル(図90B)とからなる。
屈曲部分用発光数決定テーブルにおいて、ポイント数と、点灯させるLED2351の個数との対応関係は、スロットマシン2010によって異なり得る。
直線部分用発光数決定テーブルにおいて、ポイント数と、点灯させるLED2351の個数との対応関係は、すべてのスロットマシン2010において同一である。
ステップS2572の処理において、CPU2201は、まず、ステップS2570で受信したシンボル情報の送信元のスロットマシン2010の識別番号と対応付けてRAM2203に記憶されている点灯数データが示す点灯数が、所定数(連結発光帯2310の屈曲部分が備えるLED2351の個数)以上であるか否かを判断する。
該点灯数が所定数以上であると判断した場合、CPU2201は、直線部分用発光数決定テーブルに基づいて、点灯させるLED2351の個数を決定する。
一方、該点灯数が所定数未満であると判断した場合、CPU2201は、屈曲部分用発光数決定テーブルに基づいて、点灯させるLED2351の個数を決定する。
次に、CPU2201は、ステップS2570で受信したシンボル情報の送信元のスロットマシン2010に対して設けられた連結発光帯2310において、決定された個数のLED(光源)を点灯(発光)させる(ステップS2573)。
この処理において、CPU2201は、ステップS2572で決定された個数と、該スロットマシン2010の識別番号と対応付けてRAM2203に記憶されている点灯数データが示す点灯数とに基づいて、点灯させるLED2351の識別番号を特定する。そして、CPU2201は、特定された識別番号を示す情報を含む信号を、LED駆動回路2350に対して送信する。該信号を受信すると、LED駆動回路2350は、該信号に含まれる識別番号の付されたLED2351を点灯させる。
また、該信号を送信した後、CPU2201は、該スロットマシン2010の識別番号と対応付けて記憶されている点灯数データが示す点灯数に、ステップS2572で決定された個数を加算し、RAM2203に記憶する。
次に、CPU2201は、ステップS2570で受信したシンボル情報の送信元のスロットマシン2010に対して設けられた連結発光帯2310が備えるすべてのLED2351(光源)が点灯(発光)しているか否かを判断する(ステップS2574)。この処理において、CPU2201は、RAM2203に記憶されている点灯数データに基づいて、ステップS2572で決定された個数が加算された後の点灯数が、該連結発光帯2310が備えるLED2351の個数に達したか否かを判断する。
ステップS2570で受信したシンボル情報の送信元のスロットマシン2010に対して設けられた連結発光帯2310が備えるすべてのLED2351が点灯していると判断した場合、CPU2201は、該スロットマシン2010に対して、PTS端末2064を介して、ジャックポット払出信号を送信する(ステップS2575)。
ステップS2574においてすべてのLED2351が点灯しているわけではないと判断した場合、又は、ステップS2575の処理を実行した後、CPU2201は、本サブルーチンを終了する。
以上、第2実施形態に係るPTS端末2064、及び、PTS端末2064の制御方法によれば、ハードディスクドライブ2246の記憶可能領域が所定量(100MB)よりも少なくなった場合には、ハードディスクドライブ2246に記憶されている画像データのうち、消去可能な状態に設定されている画像データを消去する。その結果、ハードディスクドライブ2246に記憶されている画像データの量を比較的少なくすることができる。
また、ICカードR/W2253からID読取信号(検出信号)を受信した後、カード正常取出信号(非検出信号)を受信した場合、ICカードは置き去られていない。従って、この間に記憶した画像データを消去しても問題は少ない。一方、ICカードR/W2253からID読取信号を受信した後、カード正常取出信号を受信しない場合には、ICカードが置き忘れとなっていることとなる。しかし、この場合、画像データは消去されない。従って、この画像データが示す顔の画像を用いて該顔のプレーヤを特定することができる。このように、ハードディスクドライブ2246に記憶される画像データの量をなるべく少なくしてメンテナンスを必要最小限で済むようにし、且つ、個人を追跡するための画像データについては、確実に取得できるようにした。その結果、顔の画像を用いて個人の追跡を行う技術を、利便性を維持しつつ、ゲーム分野に適用することが可能になる。
[他の実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る個人追跡システムの他の実施形態について説明する。
なお、第2実施形態に係るゲーミングシステムと共通する部分についてはその説明を省略することとする。また、第2実施形態に係るゲーミングシステムと対応する構成要素には同一の符号を付して説明することとする。
図91は、本発明の他の実施形態に係る個人追跡システムを模式的に示す俯瞰図である。
個人追跡システム2800は、カジノ店2801内にいるスタッフ2802(図91では、スタッフ2802A、スタッフ2802B、スタッフ2802C)を管理するためのシステムである。図91に示すカジノ店2801内には、スタッフ2802と顧客2804とが存在する。
なお、カジノ店2801は、本発明の施設に相当する。
この個人追跡システム2800は、複数のPTS端末2064と、管理サーバ2200と、複数のRFID−R2255とを備える。PTS端末2064は、カジノ店2801内に設置された各スロットマシン2010のキャビネット2011内に夫々1台ずつ設けられている。RFID−R2255は、カジノ店2801内に設置された各スロットマシン2010のキャビネット2011内に夫々1台ずつ設けられている。RFID−R2255は、本発明のカードリーダに相当する。
各スロットマシン2010に備えられているRFID−R2255は、スタッフ2802が所持するスタッフ用IDカード2803から無線によりスタッフIDを読み出す。なお、スタッフIDの読み出しは、各RFID−R2255の無線電波の到達範囲内にスタッフ用IDカード2803が入っている場合に行われる。本実施形態では、スタッフ用IDカード2803に備えられるRFIDタグとして、10m程度の距離での通信が可能であるアクティブタイプのものを使用する。
各RFID−R2255から読み取られたスタッフIDは、RFID−R2255を特定するための情報と、受信強度とが付加され、管理サーバ2200に送信される。管理サーバ2200では、送信されたスタッフIDを元に各RFIDタグ(スタッフ)の位置を検知する。なお、RFIDタグの位置の検知は、スタッフ用IDカード2803に備えられたRFIDタグが発信する電波のRFID−R2255での受信強度を用いて行う。RFIDタグが発信する電波のリーダでの受信強度を用いてRFIDタグの位置を検知する方法については、三辺測量の手法等の従来公知のものを採用することができるので、ここでの説明は省略することとする。
一方、スロットマシン2010において異常が検知されると、管理サーバ2200に対して異常信号が送信される。管理サーバ2200は、異常信号が出力されたスロットマシン2010に一番近いスタッフを特定し、そのスタッフとの携帯端末機による通信を開始する。これにより、異常を検出したスロットマシン2010に一番近い位置にいるスタッフ2802に対して、そのスロットマシン2010にいち早く向かわせる指示を行うこと可能になる。
また、図91に示すように、カジノ店2801の入場ゲート2806には、入場用カードリーダ2807が設置されており、スタッフ2802がカジノ店2801内に入場する際には、入場用カードリーダ2807によりスタッフ用IDカード2803からスタッフIDが読み取られる。なお、スタッフIDは、入場時に読み取られた際には、スタッフ管理サーバ2263のRAMに記憶され、退場時に読み取られた際には、スタッフ管理サーバ2263のRAMから削除される。これにより、カジノ店2801内にいるスタッフ2802の数や、どのスタッフ2802がカジノ店2801内にいるか等を管理することができる。スタッフ管理サーバ2263は本発明のサーバに相当する。
また、図91に示すように、カジノ店2801内には、監視用カメラ2808が設けられており、カジノ店2801内の様子が撮像されている。また、カジノ店2801内には、ゲーミングシステム2001とは異なる他の種類のゲームを提供するゲーミングマシン2805も設置されている。
図92は、本発明の他の実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示すブロック図である。
本体PCB2060には、復旧完了ボタン2062が接続されている。復旧完了ボタン2062は、キャビネット2011の内部に設けられており、キャビネット2011を開いた状態で操作することが可能である。スロットマシン2010は、異常を検出すると異常検出信号を出力するとともに、ゲームの機能を停止する。その後、復旧完了ボタン2062がスタッフに操作されると、ゲームの機能の停止が解除されるとともに、復旧完了信号がPTS端末2064に対して送信されることとなる。
なお、他の構成については、第2実施形態に係るスロットマシンと同様であるからここでの説明は省略する。
なお、スタッフ管理サーバ2263については、図67及び図68において上述した構成と同様であるのでここでは、説明を省略する。
図93は、本発明の他の実施形態に係るスロットマシンにおいて実行されるスロットマシン側異常時処理を示すフローチャートである。
まず、スロットマシン2010が備えるメインCPU2041は、ステップS2600において、異常を検出したか否かを判断する。この処理において、メインCPU2041は、所定量以上の衝撃を検知した場合や、所定量以上の電圧が加えられた場合に、異常を検出したと判断する。なお、図示しないが、スロットマシン2010には、衝撃や電圧を検出するためのセンサが設けられている。
異常を検出したと判断した場合、メインCPU2041は、異常検出信号をPTS端末2064に送信する(ステップS2601)。次に、メインCPU2041は、ゲーム機能を停止する(ステップS2602)。具体的には、メインCPU2041は、スタートスイッチ2023Sからの入力信号を検出しても、検出していないとみなす判断をする状態に制御する。
ステップS2600において異常を検出していないと判断した場合、又は、ステップS2602の処理の後、メインCPU2041は、復旧完了ボタン2062が操作されたことを検出したか否かを判断する(ステップS2603)。復旧完了ボタン2062が操作されたと判断した場合、メインCPU2041は、復旧完了信号をPTS端末2064に送信する(ステップS2604)。次に、メインCPU2041は、ゲーム機能の停止を解除する(ステップS2605)。ステップS2603において復旧完了ボタン2062が操作されていないと判断した場合、又は、ステップS2605の処理の後、本サブルーチンを終了する。
図94は、本発明の他の実施形態に係るPTS端末において実行されるPTS端末側異常時処理を示すフローチャートである。
まず、PTS端末2064が備えるCPU2241は、異常検出信号をスロットマシン2010から受信したか否かを判断する(ステップS2631)。異常検出信号をスロットマシン2010から受信したと判断した場合、CPU2241は、異常信号をスタッフ管理サーバ2263に送信する(ステップS2632)。
ステップS2632の処理の後、CPU2241は、異常検出信号を受信する10分前から受信するまでにハードディスクドライブ2246に記憶した画像データを異常時画像データとして画像サーバ2267に送信する(ステップS2634)。これより、異常が発生した際にスロットマシン2010でプレイしていたプレーヤを特定することが可能となる。
ステップS2634の処理の後、CPU2241は、経過時間Sの計測を開始する。経過時間Sは、異常検出信号を受信してから復旧完了信号を受信するまでの期間を計測するためのものである。
ステップS2631において異常検出信号をスロットマシン2010から受信していないと判断した場合、CPU2241は、現在から10分以上前に記憶された画像データが記憶されているハードディスクドライブ2246の領域を消去可能領域に設定する(ステップS2633)。
ステップS2633、又は、S2635の処理の後、CPU2241は、復旧完了信号をスロットマシン2010から受信したか否かを判断する(ステップS2636)。復旧完了信号をスロットマシン2010から受信したと判断した場合、CPU2241は、異常検出信号を受信してから復旧完了信号を受信するまでにハードディスクドライブ2246に記憶した画像データと、経過時間Sが示す経過時間データとをスタッフ管理サーバ2263に送信する(ステップS2637)。ステップS636において復旧完了信号をスロットマシン2010から受信していないと判断した場合、又は、ステップS2637の処理の後、本サブルーチンを終了する。
図95は、本発明の他の実施形態に係るスタッフ管理サーバにおいて実行されるスタッフ管理サーバ側異常時処理を示すフローチャートである。
まず、スタッフ管理サーバ2263が備えるCPU2501は、各PTS端末2064に接続されたRFID−R2255により読み取られたスタッフIDデータを取得する(ステップS2641)。なお、取得されたスタッフIDには、スタッフIDが読み取られたRFID−R2255を特定するための情報と、受信強度とが付加されている。
次に、CPU2501は、取得したスタッフIDデータに基づいて、各スタッフ用IDカード2803(各スタッフ2802)のカジノ店2801内における位置を特定する(ステップS2642)。この処理において、CPU2501は、各RFID−R2255により検出された各スタッフIDとその受信強度とに基づいて、三辺測量の手法を用いて各スタッフ用IDカード2803の位置を特定する。
次に、CPU2501は、ディスプレイ2506の画像を更新する(ステップS2643)。
図96は、スタッフ管理サーバが備えるディスプレイに表示される画像の一例を示す図である。
図96に示すように、ディスプレイ2506には、カジノ店2801を上から見た様子を模式的に示した画像が表示されている。ディスプレイ2506の上側には、スロットマシン2010A〜2010Jに対応する画像2810A〜2810Jが表示されている。また、ディスプレイ2506の左側には、スロットマシン2010AA〜2010JJに対応する画像2810AA〜2810JJが表示されている。また、ディスプレイ2506の中央右寄りには、ゲーミングマシン2805の夫々に対応する画像2815が表示されている。
カジノ店2801内におけるスタッフ用IDカード2803の所在位置に対応する位置には、黒丸からなる画像2813が表示されている。具体的には、図91に示したスタッフ2802Aが所有するスタッフ用IDカード2803Aの所在位置に対応する位置には、画像2813Aが表示されている。また、スタッフ2802Bが所有するスタッフ用IDカード2803Bの所在位置に対応する位置には、画像2813Bが表示されている。また、スタッフ2802Cが所有するスタッフ用IDカード2803Cの所在位置に対応する位置には、画像2813Cが表示されている。
ステップS2643の処理において、CPU2501は、ステップS2642の処理において特定されたスタッフ用IDカード2803の位置に基づいて、画像2813を所定の時間間隔で更新しながら表示する。
ステップS2643の処理の後、CPU2501は、異常信号をPTS端末2064から受信したか否かを判断する(ステップS2644)。異常信号をPTS端末2064から受信したと判断した場合、CPU2501は、異常信号の送信元を、異常信号に含められて送信されたPTS端末2064を識別するためのPTS端末識別データに基づいて特定する(ステップS2645)。
次に、ステップS2646において、CPU2501は、特定したPTS端末2064に一番近いスタッフ用IDカード2803(スタッフ2802)を特定する。例えば、スロットマシン2010Cに接続されているPTS端末2064から異常信号が送信された場合には、スタッフ用IDカード2803B(スタッフ2802B)をスロットマシン2010Cに一番近いスタッフ用IDカード2803(スタッフ2802)として特定する。
次に、ステップS2647において、CPU2501は、特定したスタッフ用IDカード2803のスタッフIDに対応する携帯端末機との通信を開始させる。例えば、スタッフ用IDカード2803B(スタッフ2802B)が特定されている場合には、スタッフ用IDカード2803Bに記憶されているスタッフID“002”に対応する携帯端末機との通信を開始させる(図28参照)。ステップS644において異常信号を受信していないと判断した場合、又は、ステップS2647の処理の後、本サブルーチンを終了する。
なお、図32に示したディスプレイ2506の前面には、タッチパネル2507が設けられており、スタッフの所在位置を示す黒丸からなる画像2813にタッチすることにより、該画像2813に対応する携帯端末機との通信を開始することもできる。
以上、第2実施形態に係るPTS端末2064、及び、PTS端末2064の制御方法によれば、ハードディスクドライブ2246の記憶可能領域が所定量(100MB)よりも少なくなった場合には、ハードディスクドライブ2246に記憶されている画像データのうち、消去可能な状態に設定されている画像データを消去する。その結果、ハードディスクドライブ2246に記憶されている画像データの量を比較的少なくすることができる。
また、ハードディスクドライブ2246に記憶されてからの期間が、10分(所定期間)以上となった画像データであっても、その期間中に異常検出信号を受信している場合、当該画像データは消去されない。すなわち、異常が検出される所定期間前から異常が検出されまでに撮像された画像の画像データは消去されない。この期間においては、異常が検出されるような行動等を行っているプレーヤの画像が撮像されている可能性が高い。従って、このような画像データについては、消去しないこととしたため、この画像データが示す顔の画像を用いて該顔のプレーヤを特定することができ、異常な行動をしていたプレーヤを特定することができる。
このように、ハードディスクドライブ2246に記憶される画像データの量をなるべく少なくしてメンテナンスを必要最小限で済むようにし、且つ、個人を追跡するための画像データについては、確実に取得できるようにした。その結果、顔の画像を用いて個人の追跡を行う技術を、利便性を維持しつつ、ゲーム分野に適用することが可能になる。
また、他の実施形態に係る個人追跡システム2800、及び、他の実施形態に係る個人追跡システム2800の制御方法によれば、スタッフ管理サーバ2263は、異常検出信号を出力したスロットマシン2010に一番近い位置にいるスタッフが所有する携帯端末機との通信を開始する。従って、異常検出信号を出力したスロットマシン2010に一番近い位置にいるスタッフに対して、そのゲーミングマシンにいち早く向かわせる指示を行うこと可能になる。
また、スタッフ管理サーバ2263には、スロットマシン2010の異常を検出してから復旧するまでの期間(異常検出信号を受信してから復旧完了信号を受信するまでの期間)と、その期間において作業を行ったスタッフの顔の画像を示す画像データとが送信される。その結果、スタッフになりすました者が作業をしているといったことがないかを確認できる。また、どのスタッフスロットマシン2010を復旧させるまでの期間が短いかを評価することができる。
上述した第2実施形態では、本発明における所定の条件が、ID読取信号してからカード正常取出信号を受信するまでの期間に撮像された画像の画像データではないこと、である場合について説明した。
また上述した他の実施形態では、本発明における所定の条件が、ハードディスクドライブ2246に記憶されてからの期間が、異常検出信号を受信することなく所定期間(他の実施形態では、10分)以上となった画像データではないこと、である場合について説明した。
しかしながら、本発明における所定の条件は、上述した例に限定されない。
本発明における所定の条件は、画像データを消去しない方がよいと判断され得る条件であればよく、例えば、所定額以上の金銭の支払いが発生する賞が成立したタイミングを含む所定期間内に撮像された画像の画像データではないこと、であってもよい。
他の実施形態では、カードリーダとしてのRFID−R2255が、各スロットマシン2010に1つずつ設けられている場合について説明したが、本発明においては、この例に限定されず、例えば、施設の壁や床に設けられていることとしてもよい。
上述した実施形態では、PTS端末2064(個人追跡装置)がスロットマシン2010(ゲーミングマシン)に1台ずつ接続されている場合について説明した。しかしながら、本発明においてはこの例に限定されず、複数のゲーミングマシンごとに1つの個人追跡装置が接続されていることとしてもよい。
上述した実施形態では、本発明における施設がカジノ店2801である場合について説明した。しかしながら、本発明における施設は、この例に限定されず、例えば、野球場やサッカー場等のスポーツ施設、車や家の展示等を行うイベント施設等、スタッフ(従業員)を配置する必要のある各種の施設を挙げることができる。
上述した実施形態では、本発明のゲーミングマシンがスロットマシン2010である場合について説明したが、本発明のゲーミングマシンはこれ限定されず、例えば、ポーカー等のカードゲームやシューティングゲーム、格闘技ゲーム等のゲームが行われるゲーミングマシンであってもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、各手段等の具体的構成は、適宜設計変更可能である。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
また、上述した詳細な説明では、本発明をより容易に理解できるように、特徴的部分を中心に説明した。本発明は、上述した詳細な説明に記載する実施形態に限定されず、その他の実施形態にも適用することができ、その適用範囲は多様である。また、本明細書において用いた用語及び語法は、本発明を的確に説明するために用いたものであり、本発明の解釈を制限するために用いたものではない。また、当業者であれば、本明細書に記載された発明の概念から、本発明の概念に含まれる他の構成、システム、方法等を推考することは容易であると思われる。従って、請求の範囲の記載は、本発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で均等な構成を含むものであるとみなされなければならない。また、要約書の目的は、特許庁及び一般的公共機関や、特許、法律用語又は専門用語に精通していない本技術分野に属する技術者等が本出願の技術的な内容及びその本質を簡易な調査で速やかに判断し得るようにするものである。従って、要約書は、請求の範囲の記載により評価されるべき発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、本発明の目的及び本発明の特有の効果を充分に理解するために、すでに開示されている文献等を充分に参酌して解釈されることが望まれる。
上述した詳細な説明は、コンピュータで実行される処理を含むものである。以上での説明及び表現は、当業者が最も効率的に理解することを目的として記載している。本明細書では、1の結果を導き出すために用いられる各ステップは、自己矛盾がない処理として理解されるべきである。また、各ステップでは、電気的又は磁気的な信号の送受信、記録等が行われる。各ステップにおける処理では、このような信号を、ビット、値、シンボル、文字、用語、数字等で表現しているが、これらは単に説明上便利であるために用いたものであることに留意する必要がある。また、各ステップにおける処理は、人間の行動と共通する表現で記載される場合があるが、本明細書で説明する処理は、原則的に各種の装置により実行されるものである。また、各ステップを行うために要求されるその他の構成は、以上の説明から自明になるものである。
以上、本実施形態に係る個人追跡システム2800、及び、個人追跡システム2800の制御方法によれば、ディスプレイ2506には、スタッフIDデータの読み取りを行っていない人物、すなわち、スタッフIDデータの記憶されたスタッフ用IDカード2803を所持していない人物の顔画像データ、及び、その人物のスタッフIDデータが表示される。その結果、スタッフIDデータの読み取りを行っていない人物(スタッフ用IDカード2803を所持していない人物)を特定することができる。
上述した実施形態では、カジノ店内にスタッフのみが存在する場合について説明した。
次に、カジノ店内にスタッフと顧客とが存在する場合について説明する。
なお、スタッフ管理処理が異なる以外は、上述した実施形態に係る個人追跡システムと略同様の構成を有するので、以下では、上述した実施形態に係る個人追跡システムと共通する部分についてはその説明を省略することとする。また、上述した実施形態に係る個人追跡システムと対応する構成要素には同一の符号を付して説明することとする。
図97は、本発明のさらに他の実施形態に係るスタッフ管理サーバにおいて実行されるスタッフ管理処理を示すフローチャートである。
まず、スタッフ管理サーバ2263が備えるCPU2501は、入場用カードリーダ2807によりスタッフ用IDカード2803から読み取ったスタッフIDデータをRAM2503に記憶する(ステップS2671)。
次に、CPU2501は、監視用カメラ2808から送信されてくる画像データと、ステップS671においてRAM2503に記憶したスタッフIDデータに対応する顔画像データとを比較し、顔画像データが示す人物と、画像データが示す人物とが一致すると判断される基準を満たすか判断する(ステップS2672)。
顔画像データが示す人物と、画像データが示す人物とが一致すると判断される基準を満たすと判断した場合(ステップS2673:YES)、CPU2501は、スタッフ数として1をカウントする。なお、スタッフ数のカウントの対象となった顔画像データについては、ステップS2672における比較の対象から除外する。これにより、同一の顔画像データに基づいて、スタッフ数が2回カウントされることを防止することができる。
一方、顔画像データが示す人物と、画像データが示す人物とが一致すると判断される基準を満たさないと判断した場合(ステップS2673:NO)、CPU2501は、監視用カメラ2808から送信されてきた画像データと、ハードディスクドライブ2505に記憶されているすべての顔画像データとを比較し、顔画像データが示す人物と、画像データが示す人物とが一致すると判断される基準を満たすか判断する(ステップS2674)。
顔画像データが示す人物と、画像データが示す人物とが一致すると判断される基準を満たすと判断した場合(ステップS2676:YES)、CPU2501は、一致すると判断された顔画像データに基づく画像と、該顔画像データに対応づけられているスタッフIDとを、ディスプレイ2506に表示する(ステップS2677)。
一方、顔画像データが示す人物と、画像データが示す人物とが一致すると判断される基準を満たさないと判断した場合(ステップS2676:NO)、CPU2501は、画像データ(監視用カメラ2808から送信されてきた画像データ)を客画像データとしてハードディスクドライブ2505に記憶する。このとき、CPU2501は、さらに、客画像データを画像サーバ2267に送信する。その結果、客画像データは、画像サーバ2267においても管理されることとなる。ステップS2675、ステップS2677、又は、ステップS2678の処理の後、本サブルーチンを終了する。
上述した個人追跡システム2800、及び、個人追跡システム2800の制御方法によれば、客画像データがハードディスクドライブ2246に記憶されるため、どのような客がカジノ店2801内にいたかを確認することが可能になる。また、ディスプレイ2506には、スタッフIDデータの読み取りを行っていない人物、すなわち、スタッフIDデータの記憶されたスタッフ用IDカード2803を所持していない人物の顔画像データ、及び、その人物のスタッフIDデータが表示される。その結果、スタッフIDデータの読み取りを行っていない人物(スタッフ用IDカード2803を所持していない人物)を特定することができる。
本実施形態では、ディスプレイ2506にスタッフIDデータの記憶されたスタッフ用IDカード2803を所持していない人物の顔画像データ、及び、その人物のスタッフIDデータを表示する場合について説明した。しかしながら、本発明においてはこの例に限定されず、顔画像データだけであってもよく、スタッフIDデータだけであってもよい。
本実施形態では、本発明の出力装置が、ディスプレイ2506である場合について説明した。
しかしながら、本発明における出力装置は、この例に限定されず、印刷装置であってもよい。この場合、顔画像、及び/又は、スタッフIDとを印刷したものを出力(プリントアウト)することとすればよい。また、出力装置は、スピーカ等の音出力装置であってもよい。この場合、スタッフIDを出力することによればよい。
本実施形態では、客画像データをハードディスクドライブ2246に記憶する場合について説明した。しかしながら、本発明においてはこの例に限定されず、客画像データを消去することとしてもよい。これにより、ハードディスクドライブ2246の空き容量を確保することが可能になるからである。
上述した実施形態では、本発明における施設がカジノ店2801である場合について説明した。しかしながら、本発明における施設は、この例に限定されず、例えば、野球場やサッカー場等のスポーツ施設、車や家の展示等を行うイベント施設等、スタッフ(従業員)を配置する必要のある各種の施設を挙げることができる。
上述した実施形態では、本発明のゲーミングマシンがスロットマシン2010である場合について説明したが、本発明のゲーミングマシンはこれ限定されず、例えば、ポーカー等のカードゲームやシューティングゲーム、格闘技ゲーム等のゲームが行われるゲーミングマシンであってもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、各手段等の具体的構成は、適宜設計変更可能である。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
また、上述した詳細な説明では、本発明をより容易に理解できるように、特徴的部分を中心に説明した。本発明は、上述した詳細な説明に記載する実施形態に限定されず、その他の実施形態にも適用することができ、その適用範囲は多様である。また、本明細書において用いた用語及び語法は、本発明を的確に説明するために用いたものであり、本発明の解釈を制限するために用いたものではない。また、当業者であれば、本明細書に記載された発明の概念から、本発明の概念に含まれる他の構成、システム、方法等を推考することは容易であると思われる。従って、請求の範囲の記載は、本発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で均等な構成を含むものであるとみなされなければならない。また、要約書の目的は、特許庁及び一般的公共機関や、特許、法律用語又は専門用語に精通していない本技術分野に属する技術者等が本出願の技術的な内容及びその本質を簡易な調査で速やかに判断し得るようにするものである。従って、要約書は、請求の範囲の記載により評価されるべき発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、本発明の目的及び本発明の特有の効果を充分に理解するために、すでに開示されている文献等を充分に参酌して解釈されることが望まれる。
上述した詳細な説明は、コンピュータで実行される処理を含むものである。以上での説明及び表現は、当業者が最も効率的に理解することを目的として記載している。本明細書では、1の結果を導き出すために用いられる各ステップは、自己矛盾がない処理として理解されるべきである。また、各ステップでは、電気的又は磁気的な信号の送受信、記録等が行われる。各ステップにおける処理では、このような信号を、ビット、値、シンボル、文字、用語、数字等で表現しているが、これらは単に説明上便利であるために用いたものであることに留意する必要がある。また、各ステップにおける処理は、人間の行動と共通する表現で記載される場合があるが、本明細書で説明する処理は、原則的に各種の装置により実行されるものである。また、各ステップを行うために要求されるその他の構成は、以上の説明から自明になるものである。
以上、本実施形態に係るゲーミングシステム2001及びその制御方法によれば、PTS端末2064は、両替紙幣識別器2065に紙幣が受け入れられると、当該通貨(例えば、日本の通貨)の種類と、通貨の量(例えば、100円)と、為替レートとに基づいて特定される基本通貨の量(例えば、1ドル)を示す変換後通貨量データが、スロットマシン2010の備えるマザーボード2040に送信される。そして、送信された変換後通貨
量データに基づいて、スロットマシン2010では、ゲームが行われる。
従って、プレーヤは、米国の通貨や日本の通貨といった、互いに異なる複数種類の通貨を用いてゲームを行うことができる。そのため、手持ちの基本通貨(米国の通貨)がなくなってしまった場合でも、プレーヤは、わざわざ両替をすることなく、別途所持している通貨(例えば、日本の通貨)を用いてゲームを継続することができる。これにより、プレーヤを不便に感じさせにくくすることができる。また、手持ちの基本通貨がなくなってしまったときに、プレーヤがゲームをやめてしまう可能性を低減させることができ、プレーヤにゲームを長時間に亘って行ってもらいやすい環境を整備することができる。
本実施形態に係るゲーミングシステム2001及びその制御方法によれば、PTS端末2064により、両替紙幣識別器2065に紙幣が受け入れられると、当該通貨(例えば、日本の通貨)の種類と、通貨の量と、為替レートとに基づいて、当該通貨の量(例えば、100円)が、基本通貨の量(例えば、1ドル)に変換される。
従って、プログレッシブジャックポットに係る払い出しを行うことが可能なゲーミングシステム2001を構築しようとする場合であっても、そのようにして変換された基本通貨の量に基づいて、金額のプールを行うようにすればよく、特に大きな弊害が生じることもない。
さらに、本実施形態に係るゲーミングシステム2001及びその制御方法によれば、両替紙幣識別器2065に紙幣が受け入れられると、変換後通貨量データが示す基本通貨の量から所定の手数料に相当する基本通貨の量を減じて得られる通貨の量をBET値としてゲームを実行する。さらに、プログレッシブサーバ2266が備えるCPU2201は、所定の手数料に相当する基本通貨の量を、ボーナス用蓄積値として累積的に計数する。そして、所定のプログレッシブ払出条件が成立したとき、ボーナス用蓄積値に基づいて、複数のスロットマシン2010のうち何れかのスロットマシン2010に対して、遊技媒体を払い出す。
すなわち、上記ゲーミングシステム2001によれば、基本通貨以外の種類の通貨が使用されることにより、所定の手数料に相当する基本通貨の量がボーナス用蓄積値としてプールされることになる。そして、所定のプログレッシブ払出条件が成立したとき、複数のスロットマシン2010のうち何れかのスロットマシン2010に対して、基本通貨以外の種類の通貨を使用した際の所定の手数料を原資としたボーナスを付与する。従来とは原資が異なるボーナスが存在することにより、遊技の興趣の向上を図ることができる。
本実施形態では、基本通貨が米国の通貨である場合について説明したが、本発明における基本通貨は、特に限定されず、例えば、本発明に係るゲーミングシステムを設置している国の通貨を基本通貨として採用してもよい。
本実施形態では、プログレッシブサーバ2266がボーナス用蓄積値を累積的に計数する場合について説明したが、本発明では、スロットマシンがボーナス用蓄積値を累積的に計数することとしてもよい。
具体的には、PTS端末2064が備えるCPU2241は、入金受付処理において、両替手数料データを対応関係にあるスロットマシン2010に対して送信する。両替手数料データを受信した場合、スロットマシン2010が備えるメインCPU2041は、受信した両替手数料データが示す通貨量に相当するコインの枚数を、RAM2043に記憶されているボーナス用蓄積値データが示すボーナス用蓄積値に加算し、加算して得られた数値を新たなボーナス用蓄積値として、ボーナス用蓄積値データをRAM2043に記憶する。そして、メインCPU2041は、RAM2043に記憶されているボーナス用蓄積値データが示すボーナス用蓄積値が特定値に達したと判断した場合、コインの払い出しを行う。
このように構成した場合には、自分が貯留したボーナス用蓄積値に基づくボーナスを自分が受けることができるため、プレーヤ間に不公平感が生じることを防止することができる。また、米国の通貨以外の通貨を多く使用すればするほど、ボーナス用蓄積値が大きくなるため、プレーヤに米国の通貨以外の通貨を積極的に使用させやすくなる。
本実施形態では、どのプレーヤに対しても為替レートが同一である場合について説明したが、本発明では、プレーヤにより為替レートが異なることとしてもよい。例えば、ICカードR/W2253に挿入されたICカードに記憶されているプレーヤを識別するためのデータが、会員管理サーバ2264に記憶されている上客データと一致する場合には、為替レートを優遇することとしてもよい。
また、例えば、ICカードR/W2253に挿入されたICカードに記憶されているプレーヤが行った遊技の履歴に関するデータにより、当該プレーヤの失った金額が一定の金額以上であると判断された場合に、為替レートを優遇することとしてもよい。
本実施形態では、両替手数料の全額をボーナス用蓄積値として計数する場合について説明したが、本発明では、両替手数料の一部をボーナス用蓄積値として計数することとしてもよい。この場合には、例えば、両替手数料が予め定められた基本通貨単位量の自然数倍とならないことを条件として、該両替手数料を基本通貨単位量で除して得られる端数量を、ボーナス用蓄積値として累積的に計数するように構成する。
このように構成した場合、例えば、両替手数料が2.75ドルの場合には、2.75ドルを基本通貨単位量である1ドルで除して得られる端数量である0.75ドルをボーナス用蓄積値として計数する。また、両替手数料が2.0ドルの場合には、ボーナス用蓄積値の計数を行わない。
本実施形態では、所定のプログレッシブ払出条件が、ボーナス用蓄積値が特定値に達したことである場合について説明したが、本発明では、所定のプログレッシブ払出条件は、特に限定されない。例えば、前回のプログレッシブ払出条件の成立から所定の時間が経過したことを所定のプログレッシブ払出条件としてもよい。
本実施形態では、表示ブロック2028において再配置されるシンボルは、ウィニングラインWL上に再配置されることによって入賞が決まるシンボルである場合について説明したが、本発明におけるシンボルは、スキャッタシンボルであってもよい。また、例えば、ウィニングラインWL上に再配置されることによって入賞が決まるシンボルと、スキャッタシンボルとを組み合わせてもよい。
また、本実施形態では、プログレッシブサーバ2266においてポイント数が決定されることとして説明した。しかし、本発明においては、スロットマシン2010においてポイント数が決定されることとし、決定されたポイント数を示す情報がプログレッシブサーバ2266に対して送信されることとしてもよい。
また、本実施形態では、10台のスロットマシン2010のなかから1のスロットマシン2010を決定する場合について説明したが、本発明における当籤ゲーミングマシンの決定方法は、乱数に基づいて決定する方法であれば特に限定されず、例えば、遊技が行われているゲーミングマシンのなかから1のゲーミングマシンを決定することとしてもよい。
また、本実施形態では、第一当籤スロットマシン2010と第二当籤スロットマシン2010とが異なる場合について説明したが、本発明では、第一当籤スロットマシン2010と第二当籤スロットマシン2010とが同じであってもよい。
また、本実施形態では、当籤スロットマシン2010が2台である場合について説明したが、本発明では、当籤スロットマシン2010の数は限定されず、例えば1台であってもよい。
また、本実施形態において、現在のLED2351の点灯数が所定数(連結発光帯2310の屈曲部分が備えるLED2351の個数)未満である場合には、屈曲部分用発光数決定テーブルデータに基づいて、点灯させるLED2351の個数が決定され、現在のLED2351の点灯数が所定数(連結発光帯2310の屈曲部分が備えるLED2351の個数)以上である場合には、直線部分用発光数決定テーブルデータに基づいて、点灯させるLED2351の個数が決定されることとして説明した。この場合、ポイント数「1」当たりのLEDの点灯数は、直線部分よりも屈曲部分の方が大きくなるように構成されていることが望ましい。なぜなら、そのような構成を採用することにより、プレーヤに対して、LEDの点灯数が所定数に達する直前に大きなポイント数を取得することへの期待感を抱かせることができるからである。
また、本実施形態では、共通ゲームのゲーム内容を、再配置されたシンボルに基づいてゲーム結果が決定されるゲーム(通常のスロットマシンゲーム)であることとして説明した。しかし、本発明において、共通ゲームのゲーム内容は、この例に限定されず、スロットマシンとは異なるゲームが行われることとしてもよい。例えば、ポーカー等のカードゲームやシューティングゲーム、格闘技ゲーム等のゲームが行われることとしてもよい。この場合には、プレーヤ同士が対戦することができるように構成されていることが望ましい。なぜなら、これにより、プレーヤの競争心を高めることが可能となり、プレーヤを一層共通ゲームに夢中にさせることができるからである。
例えば、以下のような構成を採用することができる。
すなわち、ゲーミングマシンは、そのような共通ゲームを実行するためのプログラムを記憶することが可能である。共通ゲーム実行信号を受信したことを契機として、各ゲーミングマシンは、該プログラムを読み出して実行する。そして、共通ゲームの結果を示す情報をプログレッシブサーバ2266に対して送信する。プログレッシブサーバ2266は、該情報に基づいて、各ゲーミングマシンにおける共通ゲームの結果を比較することにより、各ゲーミングマシンに対して設けられた連結発光帯において点灯させるLEDの個数を決定する。
また、本実施形態では、スロットマシン2010の数が10台である場合について説明したが、ゲーミングマシンの数は特に限定されず、例えば、50台であってもよい。
また、本実施形態では、小型共通ディスプレイ2301の数が2つである場合について説明したが、小型共通ディスプレイの数は特に限定されず、例えば、3つであってもよい。
また、本実施形態では、ゲーミングマシンがスロットマシン2010である場合について説明したが、本発明においては、ゲーミングマシンの種類は特に限定されず、例えば、カードゲーム機であってもよい。
上述の実施形態では、基本通貨である米国通貨以外の通貨を使用していないプレーヤに対しても、両替手数料を原資としたボーナスが付与され得る場合について説明したが、基本通貨である米国通貨以外の通貨を使用したプレーヤに対してのみ両替手数料を原資としたボーナスが付与され得るようにしてもよい。
なお、以下においては、上述した実施形態に係るゲーミングシステム2001の構成要素と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明することとする。
また、上述した実施形態における説明が以下の実施形態においても当てはまる部分については、説明を省略することとする。
まず、図98を用いて、他の実施形態に係る遊技媒体数情報受信処理について説明する。
図98は、第二実施形態に係る遊技媒体数情報受信処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
まず、CPU2201は、ステップS2701〜ステップS2706の処理を実行するが、これらの処理は、図86のステップS2500〜ステップS2505の処理と略同様の処理である。ここでは、図86のステップS2500〜ステップS2505と異なる部分についてのみ説明する。
CPU2201は、両替済フラグを、ステップS2705において受信したと判断した両替手数料データの送信元のPTS端末2064と対応関係にあるスロットマシン2010の識別番号に対応付けてセットする(ステップS2707)。
次に、CPU2201は、RAM2203に記憶されたボーナス用蓄積値データに基づいて、ボーナス用蓄積値が特定値に達したか否かを判断する(ステップS2708)。
ボーナス用蓄積値が特定値に達したと判断した場合、CPU2201は、当籤スロットマシン決定処理を実行する(ステップS2709)。当籤スロットマシン決定処理では、ボーナスが付与される当籤スロットマシン2010を、基本通貨である米国通貨以外の通貨が使用されたスロットマシンの中から決定する。当籤スロットマシン決定処理については、後で図面を用いて詳述する。
CPU2201は、ステップS2709において決定された当籤スロットマシン2010に対して、PTS端末2064を介して、ボーナス配当信号を送信する(ステップS2710)。ボーナス配当信号を受信したスロットマシン2010は、第一一定数と第二一定数の合計枚数のコインの払い出しを行う。
次に、図99を用いて、他の実施形態に係る当籤スロットマシン決定処理について説明する。
図99は、他の実施形態に係る当籤スロットマシン決定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
まず、CPU2201は、ステップS2730〜ステップS2732の処理を実行するが、これらの処理は、図87のステップS2550〜ステップS2552の処理と略同様の処理である。ここでは、図87のステップS2550〜ステップS2552と異なる部分についてのみ説明する。
ステップS2732において、ゲーム休止中フラグがセットされていないと判断した場合、CPU2201は、ステップS2731において決定した当籤スロットマシン2010の識別番号に対応付けて、両替済フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS2733)。両替済フラグがセットされていないと判断した場合、CPU2201は、処理をステップS2730に戻す。
ステップS62733において、両替済フラグがセットされていると判断した場合、CPU2201は、ステップS2731において決定した当籤スロットマシン2010を当籤スロットマシン2010として決定する(ステップS2734)。ステップS3734の処理を実行した後、CPU2201は、本サブルーチンを終了する。
以上、他の実施形態に係るゲーミングシステム2001及びその制御方法によれば、基本通貨である米国通貨以外の通貨を使用したプレーヤに対してのみ両替手数料を原資としたボーナスが付与され得る。すなわち、ボーナスの積み立てに全く貢献していない、米国通貨のみを使用しているプレーヤに対して、両替手数料を原資としたボーナスが付与されることがない。そのため、プレーヤ間に不公平感が生じることを防止することができる。
また、上述の実施形態では、紙幣識別器2022と、両替紙幣識別器2065とがPTS端末2064に接続されている場合について説明したが、両替紙幣識別器2065AのみがPTS端末2064に接続されているように構成してもよい。
この場合、両替紙幣識別器2065Aは、上述の実施形態に係る両替紙幣識別器2065と異なり、米国の通貨以外の紙幣だけではなく、米国の紙幣も受け入れることができる。すなわち、両替紙幣識別器2065Aは、基本通貨である米国の紙幣を含む複数の国の紙幣を受け入れるものであり、受け入れた紙幣の適否、種類、枚数を読み取り可能となっている。
なお、以下においては、上述した実施形態に係るゲーミングシステム2001の構成要素と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明することとする。
また、上述した実施形態における説明が以下の実施形態においても当てはまる部分については、説明を省略することとする。
まず、図100を用いて、他の実施形態に係るPTS端末において行われる入金受付処理について説明する。
図100は、他の実施形態に係るPTS端末において行われる入金受付処理を示すフローチャートである。
まず、CPU2241は、所定のタイミングで、両替紙幣識別器2065Aから入力信号を受信したか否かを判断する(ステップS2800)。
ステップS2800において入力信号を受信していないと判断した場合、CPU2241は、コインカウンタ2021Cから入力信号を受信したか否かを判断する(ステップS2801)。ステップS2801において入力信号を受信していないと判断した場合、CPU2241は、処理をステップS2811に移す。
一方、ステップS2801において入力信号を受信したと判断した場合、CPU2241は、受信した入力信号に基づいて、入金金額を特定する(ステップS2802)。そして、CPU2241は、特定した入金金額を示す入金通貨量データを対応関係にあるスロットマシン2010に対して送信する(ステップS2803)。
ステップS2800において入力信号を受信したと判断した場合、CPU2241は、受信した入力信号に含まれる通貨種類データと、通貨量データとに基づいて、入金金額と、両替紙幣識別器2065Aが受け入れた紙幣の種別とを特定する(ステップS2804)。
CPU2241は、ステップS2804において特定した紙幣の種別が、基本通貨であるか否かを判断する(ステップS2805)。特定した紙幣の種別が、基本通貨であると判断した場合、CPU2241は、ステップS2804において特定した入金金額を示す入金通貨量データを対応関係にあるスロットマシン2010に対して送信する(ステップS2806)。
CPU2241は、ステップS2804において特定した入金金額(例えば、10000円)と、紙幣の種別と、RAM2243に記憶された為替レートデータが示す為替レート(例えば、0.98ドル=100円)に基づき、基本通貨である米国通貨へ両替した後の通貨量(例えば、98ドル)を算出する(ステップS2807)。そして、CPU2241は、両替後の通貨量を示す変換後通貨量データを対応関係にあるスロットマシン2010に対して送信する(ステップS2808)。
CPU2241は、ステップS2807で算出した変換後通貨量を示す変換後通貨量データと、CPU2241に記憶された両替手数料算出値を示す両替手数料算出値データとに基づいて、両替手数料を算出する(ステップS2809)。両替手数料は、ステップS2807で算出した変換後通貨量(例えば、98ドル)に、両替手数料算出値P/1−P(Pは、両替手数料率(本実施例では、0.02))(本実施例において、両替手数料算出値は2/98)を乗じた金額(例えば、2ドル)に相当する。そして、CPU2241は、両替手数料を示す両替手数料データをプログレッシブサーバ2266に送信する(ステップS2810)。
ステップS2803、ステップS2806、若しくは、ステップS2810の処理を実行した場合、又は、ステップS2801において入力信号を受信していないと判断した場合、CPU2241は、手数料減算後為替情報を為替サーバ2262から受信したか否かを判断する(ステップS2811)。
ステップS2811において手数料減算後為替情報を受信したと判断した場合、CPU2241は、受信した手数料減算後為替情報に基づいて、RAM2243に記憶されている為替レートデータを更新する(ステップS2812)。例えば、RAM2243に記憶されている為替レートデータが示す為替レートにおける各種通貨量の対応関係が、1ドル=100円=0.68ユーロ=6.85元である場合において、1ドル=110円という対応関係を示す手数料減算後為替情報を受信したとき、CPU2241は、1ドル=110円=0.68ユーロ=6.85元という新たな為替レートを示す為替レートデータを、RAM2243に記憶させる。
ステップS2812の処理を実行した場合、又は、ステップS2811において手数料減算後為替情報を受信していないと判断した場合、CPU2241は、入金受付処理を終了する。
以上の他の実施形態に係るゲーミングシステム2001によれば、紙幣識別器2022と、両替紙幣識別器2065とをPTS端末2064に接続させる必要がなく、両替紙幣識別器2065AのみをPTS端末2064に接続させればよい。そのため、設備投資費を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、各手段等の具体的構成は、適宜設計変更可能である。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
また、上述した詳細な説明では、本発明をより容易に理解できるように、特徴的部分を中心に説明した。本発明は、上述した詳細な説明に記載する実施形態に限定されず、その他の実施形態にも適用することができ、その適用範囲は多様である。また、本明細書において用いた用語及び語法は、本発明を的確に説明するために用いたものであり、本発明の解釈を制限するために用いたものではない。また、当業者であれば、本明細書に記載された発明の概念から、本発明の概念に含まれる他の構成、システム、方法等を推考することは容易であると思われる。従って、請求の範囲の記載は、本発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で均等な構成を含むものであるとみなされなければならない。また、要約書の目的は、特許庁及び一般的公共機関や、特許、法律用語又は専門用語に精通していない本技術分野に属する技術者等が本出願の技術的な内容及びその本質を簡易な調査で速やかに判断し得るようにするものである。従って、要約書は、請求の範囲の記載により評価されるべき発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、本発明の目的及び本発明の特有の効果を充分に理解するために、すでに開示されている文献等を充分に参酌して解釈されることが望まれる。
上述した詳細な説明は、コンピュータで実行される処理を含むものである。以上での説明及び表現は、当業者が最も効率的に理解することを目的として記載している。本明細書では、1の結果を導き出すために用いられる各ステップは、自己矛盾がない処理として理解されるべきである。また、各ステップでは、電気的又は磁気的な信号の送受信、記録等が行われる。各ステップにおける処理では、このような信号を、ビット、値、シンボル、文字、用語、数字等で表現しているが、これらは単に説明上便利であるために用いたものであることに留意する必要がある。また、各ステップにおける処理は、人間の行動と共通する表現で記載される場合があるが、本明細書で説明する処理は、原則的に各種の装置により実行されるものである。また、各ステップを行うために要求されるその他の構成は、以上の説明から自明になるものである。
<<<<第3の実施の形態>>>>
以下、図面を参照しながら、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態において、後述するように、制御手段3200は、第1の態様〜第3の態様の3つの態様がある。
図101から図105は、第3の実施の形態に係る紙幣処理装置の構成を示す図であり、図101は、全体構成を示す斜視図、図102は、開閉部材を装置本体の本体フレームに対して開いた状態を示す斜視図、図103は、挿入口から挿入される紙幣の搬送経路を概略的に示した右側面図、図104は、紙幣収容部に配設される押圧板を駆動するための動力伝達機構の概略構成を示す右側面図、そして、図105は、紙幣搬送機構を駆動するための駆動源及び駆動力伝達機構の概略構成を示す左側面図である。
第3の実施の形態の紙幣処理装置3001は、例えば、スロットマシン等の各種の遊技機に組み込み可能に構成されており、装置本体3002と、この装置本体3002に設けられ、多数の紙幣などを積層、収容することが可能な収容部(収容スタッカ;金庫)3100とを備えている。この収容部3100は、装置本体3002に対して着脱可能であっても良く、例えば、図示されていないロック機構が解除された状態で、前面に設けられた取っ手3101を引くことで、装置本体3002から取り外すことが可能となっている。
前記装置本体3002は、図102に示すように、本体フレーム3002Aと、本体フレーム3002Aに対して一端部を回動中心として開閉されるように構成された開閉部材3002Bとを有している。そして、これら本体フレーム3002A及び開閉部材3002Bは、図103に示すように、開閉部材3002Bを本体フレーム3002Aに対して閉じた際、両者の対向部分に紙幣が搬送される隙間(紙幣搬送路3003)が形成されると共に、両者の前面露出側に、前記紙幣搬送路3003に一致するようにして、紙幣挿入口3005が形成されるよう構成されている。なお、前記紙幣挿入口3005は、紙幣の短い辺側から装置本体3002の内部に挿入できるようにスリット状の開口となっている。
また、前記装置本体3002内には、前記紙幣搬送路3003に沿って、紙幣を搬送する紙幣搬送機構3006と、紙幣挿入口3005に挿入された紙幣を検知する挿入検知センサ3007と、挿入検知センサ3007の下流側に設置され、搬送状態にある紙幣の情報を読取る紙幣読取手段3008と、この紙幣読取手段3008に対して、紙幣を正確に位置決めして搬送するスキュー補正機構3010と、紙幣がスキュー補正機構を構成する一対の可動片を通過したことを検知する可動片通過検知センサ3012と、紙幣が紙幣収容部3100に排出されたことを検知する排出検知センサ3018とが設けられている。
以下、上記した各構成部材について、詳細に説明する。
前記紙幣搬送路3003は、紙幣挿入口3005から奥側に向けて延出しており、第1搬送路3003Aと、前記第1搬送路3003Aから下流側に向けて延出し、第1搬送路3003Aに対して所定角度、下方側に向けて傾斜した第2搬送路3003Bとを備えている。この第2搬送路3003Bの下流側は、鉛直方向に向けて屈曲しており、その下流側端部には、紙幣収容部3100に紙幣を排出する排出口3003aが形成されて、ここから排出される紙幣は、鉛直方向に向けて、紙幣収容部3100の導入口(受入口)3103に送り込まれる。
前記紙幣搬送機構3006は、紙幣挿入口3005から挿入された紙幣を挿入方向に沿って搬送可能にすると共に、挿入状態にある紙幣を紙幣挿入口3005に向けて差し戻し搬送可能とする機構である。この紙幣搬送機構3006は、装置本体3002内に設置された駆動源であるモータ3013(図105参照)と、このモータ3013によって回転駆動され、紙幣搬送路3003に紙幣搬送方向に沿って所定間隔おいて配設される搬送ローラ対(3014A,3014B)、(3015A,3015B)、(3016A,3016B)、及び(3017A,3017B)を備えている。
前記搬送ローラ対は、紙幣搬送路3003に一部が露出するように設置されて、いずれも紙幣搬送路3003の下側に設置される搬送ローラ3014B,3015B,3016B及び3017Bがモータ3013によって駆動されるローラとなっており、上側に設置される搬送ローラ3014A,3015A,3016A及び3017Aが、これらのローラに対して従動するピンチローラとなっている。なお、紙幣挿入口3005から挿入された紙幣を最初に挟持して奥側に搬送する搬送ローラ対(3014A,3014B)は、図102に示すように、紙幣搬送路3003の中心位置に1箇所設置されており、その下流側に順次配置される搬送ローラ対(3015A,3015B)、(3016A,3016B)、及び(3017A,3017B)については、紙幣搬送路3003の幅方向に沿って、所定間隔をおいて2箇所設置されている。
また、上記した紙幣挿入口3005の近傍に配置される搬送ローラ対(3014A,3014B)については、通常は、上側の搬送ローラ3014Aが下側の搬送ローラ3014Bから離間した状態となっており、紙幣の挿入が挿入検知センサ3007によって検知されると、上側の搬送ローラ3014Aが下側の搬送ローラ3014Bに向けて駆動され、挿入された紙幣を挟持するようになっている。
すなわち、上側の搬送ローラ3014Aについては、駆動源であるローラ昇降用モータ3070(図106参照)によって、下側の搬送ローラ3014Bに対して、当接/離間するように駆動制御される。この場合、スキュー補正機構3010によって、挿入された紙幣の傾きを無くし紙幣読取手段3008に対して位置合わせする処理(スキュー補正処理)が行われる際には、上側の搬送ローラ3014Aは、下側の搬送ローラ3014Bから離間して紙幣に対する負荷を解除し、スキュー補正処理が終了すると、再び、上側の搬送ローラ3014Aが下側の搬送ローラ3014Bに向けて駆動され、紙幣を挟持する。なお、駆動源については、モータ以外にもソレノイド等によって構成されていても良い。
また、前記スキュー補正機構3010は、スキューの補正を果たす左右一対の可動片3010A(片側のみ図示)を備えており、スキュー補正機構用のモータ3040を駆動することで、左右一対の可動片3010Aを接近するように移動させ、これにより、紙幣に対するスキューの補正処理が成される。
紙幣処理装置3001には、各種の金種の紙幣が投入される。これらの紙幣は、その大きさ(長さや幅)が異なる。このため、紙幣挿入口3005から紙幣が傾いて挿入されることも想定される。特に、紙幣の幅が広い紙幣と狭い紙幣とが、紙幣挿入口3005から挿入される場合には、紙幣挿入口3005は、幅が広い紙幣が挿入できるようにされている。したがって、幅の狭い紙幣が紙幣挿入口3005から挿入された場合には、紙幣の搬送方向に対して傾きやすい。このような場合でも、スキュー補正機構3010によって、紙幣の搬送方向に平行になるように、紙幣の姿勢を調整することができる。このようにすることで、大きさが異なる各種の金種の紙幣を投入することができる紙幣処理装置3001を提供することができる。
上記した紙幣搬送路3003の下側に設置される搬送ローラ3014B,3015B,3016B及び3017Bは、図105に示すように、モータ3013、及び各搬送ローラの駆動軸の端部に設置されるプーリ3014C,3015C,3016C及び3017Cを介して回転駆動される。すなわち、モータ3013の出力軸には、駆動プーリ3013Aが設置されており、上記した各搬送ローラの駆動軸の端部に設置されるプーリ3014C,3015C,3016C及び3017Cには、駆動プーリ3013Aとの間で駆動ベルト3013Bが巻回されている。なお、駆動ベルト3013Bには、適所にテンションプーリが係合しており、弛みを防止している。
上記した構成により、モータ3013が正転駆動されると、前記搬送ローラ3014B,3015B,3016B及び3017Bは同期して正転駆動され、紙幣を挿入方向に向けて搬送し、モータ3013が逆転駆動されると、前記搬送ローラ3014B,3015B,3016B及び3017Bは同期して逆転駆動され、紙幣を紙幣挿入口3005側に向けて搬送する。
前記挿入検知センサ3007は、紙幣挿入口3005に挿入された紙幣を検知した際に検知信号を発生するものであり、この検知信号が発せられると、モータ3013が正転駆動され、紙幣を挿入方向に向けて搬送する。第3の実施の形態の挿入検知センサ3007は、搬送ローラ対(3014A,3014B)と、スキュー補正機構3010との間に設置されており、光学式のセンサ、例えば、回帰反射型フォトセンサによって構成されているが、それ以外にも、機械式のセンサによって構成されていても良い。
また、前記可動片通過検知センサ3012は、紙幣の先端が、スキュー補正機構3010を構成する左右一対の可動片3010Aを通過したことを検知した際に検知信号を発生するものであり、この検知信号が発せられると、モータ3013の駆動が停止され、スキュー補正処理が成される。第3の実施の形態の可動片通過検知センサ3012は、前記紙幣読取手段3008の上流側に設置されており、前記挿入検知センサと同様、光学式のセンサや機械式のセンサによって構成される。
また、前記排出検知センサ3018は、通過する紙幣の後端を検知して、紙幣が紙幣収容部3100に排出されたことを検知するものであり、第2搬送路3003Bの下流側において、紙幣収容部3100の受入口3103の直前に配設されている。排出検知センサ3018から検知信号が発せられると、モータ3013の駆動が停止され、紙幣の搬送処理が終了する。この排出検知センサ3018についても、前記挿入検知センサと同様、光学式のセンサや機械式のセンサによって構成される。
前記紙幣読取手段3008は、スキュー補正機構3010によってスキューが補正された状態で搬送される紙幣について、その紙幣情報を読取り、その有効性(真贋)を識別する。第3の実施の形態では、紙幣読取手段3008は、搬送される紙幣の両面側から光を照射し、その透過光と反射光を受光部で検知することで読取を行うラインセンサを備えた構成になっており、前記第1搬送路3003Aに設置されている。
また、紙幣読取手段3008は、搬送される紙幣の読取りを実行するに際し、最初に、紙幣に損傷が生じているか、否かを判別する機能を備えている。すなわち、紙幣読取手段3008を利用して、搬送されてくる紙幣の所定の先端領域を読取り、その読取った情報を基に、後述する損傷判別手段で、先端領域に損傷が生じているか否かを判別する。この紙幣の損傷判別処理は、紙幣の真贋判定処理が実行される前に実行され、少なくとも、真贋判定処理を実行すべく、紙幣情報の読取りが終了する前までに、損傷が生じているか否かの判別が成される(具体的な判別処理の手法、タイミング等については後述する)。
そして、上記した損傷判別処理が実行されて損傷がないと判別された紙幣に対し、真贋判定処理が実行される。この真贋判定処理は、搬送される紙幣の表面の印刷領域に、発光手段から所定波長の光を照射し、当該紙幣を透過した光の透過光データ、並びに反射した光の反射光データを取得し、これを予め記憶されている真正紙幣の基準データと比較することで成される。
この場合、真正の紙幣には、照射する光の波長(例えば、可視光や赤外光)によって、取得される画像データが異なる領域があることから、前記真贋判定処理では、この点に着目し、複数の光源によって異なる波長(例えば、赤色光及び赤外光を照射する)の光を紙幣に照射し、その透過光と反射光を検出することで、真贋の識別精度をより高めるようにしている。すなわち、赤色光と赤外光では、波長が異なることから、波長の異なる複数の光による透過光データや反射光データを紙幣の真贋判定に用いると、真券と偽札との特定領域を通過する透過光や特定領域から反射する反射光では、透過率、反射率がそれぞれ異なるという性質がある。このため、複数の波長の光源を用いることで、紙幣の真贋の識別精度をより高めるようにしている。
なお、具体的な紙幣の真贋識別方法については、紙幣に照射する光の波長や照射領域により、様々な受光データ(透過光データ、反射光データ)を取得できるため、詳細に説明しないが、例えば、紙幣の透かし領域では、異なる波長の光でその領域の画像を見た場合、画像が大きく異なって見えることから、この部分を特定領域とし、当該特定領域における透過光データや反射光データを取得して、予め記憶手段(ROM)に記憶してある真券の同じ特定領域における正規データと比較して、識別対象となる紙幣が真券であるか偽札であるかを識別することが考えられる。このとき、金種に応じて特定領域を定めておき、この特定領域における透過光データや反射光データに所定の重み付けを設定しておき、真贋識別精度のさらなる向上を図ることも可能である。
上記した紙幣読取手段3008は、後述するように、発光部を所定の間隔で点灯制御し、紙幣が通過する際の透過光及び反射光をラインセンサによって検知するものであることから、ラインセンサによって、所定の大きさを1単位とした複数の画素情報に基づいた画像データを取得することが可能となる。
この場合、ラインセンサによって取得される画像データは、後述する変換部によって、画素毎に、明るさを有する色情報を含んだデータに変換される。なお、変換部において変換される明るさを有する画素毎の色情報とは、濃淡値すなわち濃度値(輝度値)に対応するものであって、例えば、1バイト情報として、その濃度値に応じて、0から255の数値(0:黒〜255:白)が各画素に割り当てられている。
このため、真贋判定処理では、紙幣の所定の領域を抽出し、その領域に含まれる画素情報(濃度値)と、真券の同じ領域の画素情報とを用い、これらを適宜の相関式に代入して演算した相関係数により、真贋を識別することが可能である。或いは、上記した以外にも、透過光データや反射光データから、例えばアナログ波形を生成し、この波形の形状同士の比較で、真贋を識別することも可能である。更には、紙幣の印刷領域の長さを検出し、この長さ情報を利用して真贋を識別する処理を備えていても良い。
また、真贋判定処理に先立って実行される損傷判別処理は、上記したラインセンサが紙幣の幅全体を読取り可能であり、紙幣の搬送に伴って二次元の画像を取得できることに着目し、ラインセンサによって得られる紙幣の先端領域の画像情報を、基準となる紙幣の形状(基準形状画像)と対比して、基準形状画像と一致しないものは、損傷が生じていると判別するようにしている。
また、真贋判定処理に先立って実行される損傷判別処理は、上記したラインセンサが紙幣の幅全体を読取り可能であり、紙幣の搬送に伴って二次元の画像を取得できることに着目し、ラインセンサによって読取られた紙幣の先端部分における画素毎の濃度値を、読取られた部分に対応する基準となる画素毎の濃度値と対比して、紙幣に損傷が生じているか否かを判別するようにしている。このような判別は、後述するように、紙幣の先端部分が折れている場合等に効果的であり、折れが生じている紙幣を装置内部に搬送させないようにすることが可能となる。
また、第3の実施の形態では、上記した判別手法に加え、さらに、紙幣の先端領域の画像情報(形状情報)を、基準となる紙幣の形状(基準形状画像)と対比して、基準形状画像と一致しないものは、損傷が生じていると判別するようにしている。このような判別は、後述するように、紙幣の先端部分が欠けている場合等に効果的であり、そのような欠けが生じている紙幣を装置内部に搬送させないようにすることが可能となる。
第3の実施の形態では、真贋の識別精度を高めるように、上記した紙幣読手段を利用して、搬送される紙幣の印刷部分に光を照射し、その透過光及び反射光を受光して、印刷部分における特徴点(特徴点の領域、抽出の仕方は任意である)が真正のものと一致するか否かを識別する第1の真贋判定処理と、前記透過光及び反射光のいずれか一方、又は両方を利用して、紙幣の両側の印刷長さ(印刷された領域全体の印刷長であっても良いし、特徴部分を抽出しておき、その特徴点間の印刷長であっても良い)を実測し、両面の印刷長に基づいて、その紙幣が真正なものか否かを識別する第2の真贋判定処理が成される。
この場合、本発明は、上記した第2の真贋判定処理に特徴があり、この第2の真贋判定処理については、第1の真贋判定処理が実行された後に行われるようにしても良いし、第1の真贋判定処理の前に実行するようにしても良い。また、第3の実施の形態では、後述するように、第1の真贋判定処理を実行した後、第2の真贋判定処理を行うよう構成されている。
上記した第1及び第2の真贋判定処理は、いずれも搬送される紙幣の表面の印刷領域に、発光手段から所定波長の光を照射し、当該紙幣を透過した光の透過光データ、並びに反射した光の反射光データを取得し、これを予め記憶されている真正紙幣の基準データと比較することで成される。
この場合、真正の紙幣には、照射する光の波長(例えば、可視光や赤外光)によって、取得される画像データが異なる領域があることから、前記第1の真贋判定処理では、この点に着目し、複数の光源によって異なる波長(例えば、赤色光及び赤外光を照射する)の光を紙幣に照射し、その透過光と反射光を検出することで、真贋の識別精度をより高めるようにしている。すなわち、赤色光と赤外光では、波長が異なることから、波長の異なる複数の光による透過光データや反射光データを紙幣の真贋判定に用いると、真券と偽札との特定領域を通過する透過光や特定領域から反射する反射光では、透過率、反射率がそれぞれ異なるという性質がある。このため、複数の波長の光源を用いることで、紙幣の真贋の識別精度をより高めるようにしている。
なお、具体的な紙幣の真贋識別方法については、紙幣に照射する光の波長や照射領域により、様々な受光データ(透過光データ、反射光データ)を取得できるため、詳細に説明しないが、例えば、紙幣の透かし領域では、異なる波長の光でその領域の画像を見た場合、画像が大きく異なって見えることから、この部分を特定領域とし、当該特定領域における透過光データや反射光データを取得して、予め記憶手段(ROM)に記憶してある真券の同じ特定領域における正規データと比較して、識別対象となる紙幣が真券であるか偽札であるかを識別することが考えられる。このとき、金種に応じて特定領域を定めておき、この特定領域における透過光データや反射光データに所定の重み付けを設定しておき、真贋識別精度のさらなる向上を図ることも可能である。
また、前記第2の真贋判定処理では、上記した紙幣読取手段3008によって、例えば、紙幣搬送方向に沿った画素情報として紙幣両面の画像情報を取得し、その搬送方向に沿った画素情報から、各面における印刷長を導き出して、この印刷長によって真贋の判定処理を行う。この第2の真贋判定処理は、印刷長が真正の紙幣とは異なっているものについては、偽物として排除するものであり、このような真贋判定処理を行うことで、紙幣の識別精度を、より高めることが可能となる。
ところで、紙幣は様々な環境下で用いられることから、紙幣全体として伸縮することがある(専ら、紙幣は、繊維質な材料によって形成されていることから、水分等を含んだ後、乾燥して収縮するケースが多いと考えられる)。上記のように、両面の印刷長を取得して真贋判定処理を行うことは、真贋判定の精度を向上する上では望ましいが、紙幣の収縮について考慮しておかないと、真正な紙幣であっても、偽物と判定(誤った判定処理)をしてしまう可能性がある。このため、第2の真贋判定処理を実行する上では、後述するような手法を用いることで、そのような誤った判定処理が成されないようにしている。
そして、上記した紙幣読取手段3008は、後述するように、発光部を所定の間隔で点灯制御し、紙幣が通過する際の透過光及び反射光をラインセンサによって検知するものであることから、ラインセンサによって、所定の大きさを1単位とした複数の画素情報に基づいた画像データを取得することが可能となる。
この場合、ラインセンサによって取得される画像データは、後述する変換部によって、画素毎に、明るさを有する色情報を含んだデータに変換される。なお、変換部において変換される明るさを有する画素毎の色情報とは、濃淡値すなわち濃度値(輝度値)に対応するものであって、例えば、1バイト情報として、その濃度値に応じて、0から255の数値(0:黒〜255:白)が各画素に割り当てられている。
このため、第1の真贋判定処理では、紙幣の所定の領域を抽出し、その領域に含まれる画素情報(濃度値)と、真券の同じ領域の画素情報とを用い、これらを適宜の相関式に代入して演算した相関係数により、真贋を識別することが可能である。或いは、上記した以外にも、透過光データや反射光データから、例えばアナログ波形を生成し、この波形の形状同士の比較で、真贋を識別することも可能である。
また、第2の真贋判定処理では、紙幣の両面から得られた画像情報から、印刷領域に関して長さデータ(実測データ)を取得することが可能である。この場合、画素情報として取得される画像データは、ラインセンサの解像度にも依存するが、例えば、1画素が、紙幣の長さ方向において、0.508mm程度の解像度であれば、紙幣の搬送方向の全体の画素数から、その長さを取得する際、少なくとも印刷長が1〜2mm程度、異なるものについては偽物として排除することが可能となる。なお、さらに印刷長に基づく識別精度を高めるのであれば、ラインセンサの解像度を高めれば良いが、あまり識別精度を高めると、本物の紙幣であっても、単なる印刷時における僅かな作成誤差のものまで排除してしまう可能性があるため、ラインセンサとしては上記の解像度で十分と考えられる。
ここで、上記した紙幣読取手段3008の構成について、図102及び図103を参照して詳細に説明する。
上記した紙幣読取手段3008は、開閉部材3002B側に配設され、搬送される紙幣の上側に赤外光及び赤色光を照射可能とした第1発光部3080aを具備した発光ユニット3080と、本体フレーム3002A側に配設された受発光ユニット3081とを有している。
この受発光ユニット3081は、紙幣(紙幣搬送路)を挟むようにして第1発光部3080aと対向する受光センサを具備した受光部3081aと、受光部3081aの紙幣搬送方向両側に隣接して配設され、赤外光及び赤色光を照射可能とした第2発光部3081bとを有している。
前記受光部3081aと対向配置された第1発光部3080aは透過用の光源として機能する。この第1発光部3080aは、図102に示すように、一端に取り付けたLED素子3080bからの光を、内部に設けた導光体3080cを通して発光する合成樹脂製の矩形棒状体によって構成されている。このような構成の第1発光部は、受光部3081a(受光センサ)と平行にライン状に配設されており、簡単な構成で、搬送される紙幣の搬送路幅方向全体の範囲に対して全体的に均一に照射することが可能となる。
前記受発光ユニット3081の受光部3081aは、紙幣搬送路3003に対して交差方向に伸延し、かつ受光部3081aに設けた図示しない受光センサの感度に影響を与えない程度の幅を有する帯状に形成された薄肉の板状に形成されている。なお、前記受光センサは、受光部3081aの厚み方向の中央に、複数のCCD(Charge Coupled Device)をライン状に設けるとともに、このCCDの上方位置に、透過光及び反射光を集光させるように、ライン状にグリンレンズアレイ3081cを配置した所謂ラインセンサとして構成されている。
このため、真贋判定対象となる紙幣に向けて照射された第1発光部3080aや第2発光部3081bからの赤外光や赤色光の透過光あるいは反射光を受光し、受光データとして、その輝度に応じた濃淡データ(明るさの情報を含んだ画素データ)や、この濃淡データから二次元画像を生成することが可能となっている。
また、受発光ユニット3081の第2発光部3081bは反射用の光源として機能する。この第2発光部3081bは、第1発光部3080aと同様、一端に取り付けたLED素子3081dからの光を、内部に設けた導光体3081eを通して全体的に均一に照射可能とした合成樹脂製の矩形棒状体によって構成されている。この第2発光部3081bについても、受光部3081a(ラインセンサ)と平行にライン状に配設して構成されている。
前記第2発光部3081bは、例えば45度の仰角で光を紙幣に向けて照射可能としており、紙幣からの反射光を受光部3081aで受光するように配設されている。この場合、第2発光部3081bから照射された光が受光部3081aへ45度で入射するようにしているが、入射角は45度に限定されるものではなく、紙幣の表面に対して均一に光が照射できれば、その設置状態については適宜設定することができる。このため、第2発光部3081b及び受光部3081aの配置については、紙幣処理装置の構造に応じて、適宜設計変更が可能である。
また、前記第2発光部3081bについては、受光部3081aを挟んで両サイドに設置して、両側からそれぞれ入射角45度で光を照射するようにしている。これは、紙幣表面に傷や折皺などがある場合、これら傷や折皺部分に生じた凹凸に光が片側からのみ照射された場合、どうしても凹凸の部分においては光が遮られて陰になってしまう箇所が生じることがある。このため、両側から光を照射することにより、凹凸の部分において陰ができることを防止して、片側からの照射よりも精度の高い画像データを得ることを可能としている。もちろん、第2発光部3081bについては、片方のみに設置した構成であっても良く、上記した発光ユニット3080、受発光ユニット3081の構成や配置などは、第3の実施の形態に限定されるものではなく、適宜変形することが可能である。
また、上記した発光ユニット3080、及び受発光ユニット3081における各第1発光部3080a、及び第2発光部3081bでは、紙幣の読取り時、図115のタイミングチャートに示すように赤外光と赤色光が、所定の間隔で点灯制御される。すなわち、第1発光部3080a及び第2発光部3081bにおける赤色光と赤外光の透過用の光源と、赤色光と赤外光の反射用の光源からなる4つの光源は、一定の間隔(所定の点灯間隔)で点灯、消灯を繰り返し、各光源の位相を重ねることなく、2つ以上の光源が同時に点灯することがないように点灯制御される。換言すれば、ある光源が点灯しているときには、他の3つの光源は消灯するように点灯制御される。これにより、第3の実施の形態のように、1つの受光部3081aであっても、各光源の光を一定間隔で検出し、赤色光の透過光及び反射光、赤外光の透過光及び反射光による紙幣の印刷領域の濃淡データからなる画像を読取ることが可能となる。また、両面の印刷長を測定することも可能となる。この場合、点灯間隔が短くなるように制御することで、その解像度を高めることも可能である。
上記した受光部3081aで取得される紙幣からの透過光(第1発光部3080aの照射光)及び反射光(第2発光部3081bの照射光)によって得られる画像データは、真券に関する画像データと比較することで真贋判定処理が成される。この場合、真正の紙幣には、照射する光の波長(例えば、可視光や赤外光)によって、取得される画像データが異なる領域があることから、第3の実施の形態における真贋判定処理では、この点に着目し、複数の光源によって異なる波長(第3の実施の形態では、赤色光及び赤外光を照射する)の光を紙幣に照射し、その透過光と反射光を検出することで、真贋の識別精度をより高めるようにしている。すなわち、赤色光と赤外光では、波長が異なることから、波長の異なる複数の光による透過光データや反射光データを紙幣の真贋判定に用いると、真券と偽札との特定領域を通過する透過光や特定領域から反射する反射光では、透過率、反射率がそれぞれ異なるという性質がある。このため、上記した発光部(第1発光部3080a及び第2発光部3081b)では、複数の波長の光源を用いることで紙幣の真贋の識別精度をより高めるようにしている。
具体的な紙幣の真贋識別方法については、紙幣に照射する光の波長や照射領域により、様々な受光データ(透過光データ、反射光データ)を取得できるため、詳細に説明しないが、例えば、紙幣の透かし領域では、異なる波長の光でその領域の画像を見た場合、画像が大きく異なって見えることから、この部分を特徴領域とし、当該特徴領域における透過光データや反射光データを取得して、予めROM等の記憶手段に記憶してある真券の同じ特定領域における正規データと比較して、識別対象となる紙幣が真券であるか偽札であるかを識別することが考えられる。このとき、金種に応じて特徴領域を定めておき、この特徴領域における透過光データや反射光データに所定の重み付けを設定しておき、真贋識別精度のさらなる向上を図ることも可能である。
また、上記した発光部(第1発光部3080a及び第2発光部3081b)は、所定の間隔で点灯制御され、紙幣が通過する際の透過光及び反射光が受光部(ラインセンサ)3081aで検知される。この受光部(ラインセンサ)3081aでは、その明度に応じた画素データ(明度を含み所定の大きさを1単位とした複数の画素データ)を取得することが可能であり、この画素データから二次元画像を生成することが可能となっている。
すなわち、ラインセンサによって取得される画素データは、後述する変換部によって、画素毎に、明度を有する色情報を含んだデータに変換される。ここで、変換部において変換される明度を有する画素毎の色情報とは、例えば、1バイト情報として、その明度に応じて、0から255の数値(例えば、0:黒〜255:白)が各画素に割り当てられたものである。
このため、上記した真贋判定処理では、紙幣の所定の領域を抽出し、その領域に含まれる明度を有する画素毎の色情報と、真券の同じ領域の明度を有する画素毎の色情報とを用い、これらを適宜の相関式に代入して演算した相関係数により、真贋を識別することが可能である。或いは、上記した以外にも、透過光データや反射光データから、例えばアナログ波形を生成し、この波形の形状同士の比較で、真贋を識別することも可能である。更には、紙幣の印刷領域の長さを検出し、この長さ情報を利用して真贋を識別する処理を備えていても良い。
また、上記した真贋判定処理を実行する前に、挿入される紙幣について予め所定領域を設定しておき、その設定領域に関し、前記受光部3081aで受光した透過光から変換部で変換された複数の画素によって構成される透過画像と、受光部3081aで受光した反射光から変換部で変換された複数の画素によって構成される反射画像とを対比し、その対比結果に基づいて、当該所定領域を真贋判定の対象から除外する処理(真贋判定の除外処理)が実行される。
ここで、真贋判定の除外処理について説明する。
上述したように、紙幣の真贋判定処理は、搬送される紙幣に対して、発光部から光を照射し、その透過光と反射光を受光部で受光し、これを光電変換して、変換部において、画素毎に明るさを有する色情報を含んだ画像データ(透過画像データ、反射画像データ)に変換される。前記変換部において変換される画素毎の情報は、明度(輝度値)に対応するものであって、明度に応じて、0から255の数値(例えば、0:黒〜255:白)が各画素に割り当てられており、これが、予め格納された真券に関する画素データと比較されて真贋判定処理が実行される。
ところで、利用者によって挿入される紙幣に状態の変化(専ら、水分が付着していたり、孔が開いているような状態変化)が生じていると、その状態が変化している部分では、透過画像データが反射画像データよりも明るくなってしまう(画素の明度が高くなる)。この場合、上記したような状態変化の無い紙幣であれば、透過画像データが反射画像データよりも明るくなることは無く、従って、このような状態変化が生じている紙幣については、通常行われる真贋判定処理において、真券に関する画素データと比較処理した際、偽券と識別されてしまう。
換言すれば、水分の付着、或いは孔等の状態変化が生じていると、たとえそれが真正の紙幣であったとしても、状態変化部分での比較処理をした結果、偽券と識別されてしまう可能性があり、利用者に対しては不便になることがある。
このため、本発明では、挿入される紙幣に関し、予め所定領域を定めておき、その部分について、上記したような状態変化が生じていても、直ちに偽券と識別せずに、それ以外の部分で比較処理を行い、真贋判定処理を行うようにしている。すなわち、所定領域における画素データを取得し、この所定領域において、透過画像データが反射画像データよりも明るくなっていても、それは、単に紙幣に状態変化が生じているものとして、それ以外の領域で真贋判定処理ができるようにしている。
この場合、所定領域における透過画像データと反射画像データとを比較して、単に状態変化が生じていると識別するのは、例えば、透過画像データと反射画像データにおける各画素の明度に応じて、0から255の数値(0:黒〜255:白)が割り当てられているのであれば、以下の数式を満たしているとき、とすることができる。
ここで、aは、透過画像における1つの画素に割り当てられている数値、(i,j)は、紙幣の座標であり、座標で所定領域を予め特定しておき、その所定領域の透過画像における画素の総和を導き出す。また、bは、反射画像における1つの画素に割り当てられている数値であり、同様に、所定領域の反射画像における画素の総和を導き出す。
上記した数式のように、所定領域において、透過画像における明度の総和(平均値でも良い)が、反射画像のそれ以上となっていれば、その所定領域では透過画像が明るいこととなり、状態変化(水分の付着や孔が開いている)が生じているものとして、その所定領域を除外して、実際の真贋判定処理を実施する。
なお、第3の実施の形態では、上記した所定領域は、発光部から異なる波長の光を照射した際に、異なる画素情報が取得される領域(このような領域を特徴領域と称する)以外に設定している。すなわち、発光部(第1発光部3080a及び第2発光部3081b)から異なる波長の光を照射した際に、異なる画素情報が取得される領域については、実際に紙幣の真贋判定を実施するに際しては、重要な部分と考えられることから、これ以外の領域を、上記した所定領域として実際の真贋判定の対象から除外するようにしている。このため、特徴領域において、透過画像における明度の総和(平均値でも良い)が、反射画像のそれ以上となっていても、その特徴部分は、真贋判定処理をするに際して除外されることはない。
これは、特徴領域でない領域(所定領域)において、上記したような状態変化が生じていても、真贋判定する上で特に影響を与える可能性は低いためであり、このよう特徴領域でない領域を、上述した所定領域に設定することで、真贋判定精度が低下することが防止される。
なお、上記した紙幣の特徴領域は、例えば、透かしのような画像が形成されている領域が考えられる。また、紙幣の特徴領域において、水分等が付着していたような場合、すなわち、特徴領域において、透過画像における明度の総和(平均値でも良い)が、反射画像のそれ以上となっていた場合、その紙幣については、直ちに排出処理するようにしても良い。
そして、実際の真贋判定処理では、ROM等により、予め記憶されている真正紙幣に関する基準画素データと、搬送される紙幣の表面の印刷領域に発光部(第1発光部3080a及び第2発光部3081b)から所定波長の光を照射し、当該紙幣を透過した光の透過光データ、並びに反射した光の反射光データによる画素データとを比較することで成される。上記したように、その真贋判定処理の前段階で、所定領域において上記した式が満足されていたとしても、それは真正な紙幣に生じている状態変化と判別し、実際の真贋判定処理を実行する際には、その所定領域を除外して、基準データ(予め所定領域を除外した基準データ)との比較処理が実行される。
次に、上記した紙幣読取手段3008で真性と識別された紙幣を順次、積層、収容する紙幣収容部3100について説明する。
図103から図105に示すように、紙幣収容部3100を構成する本体フレーム3100Aは、略直方体形状に構成されており、その前壁3102aの内側には、付勢手段(付勢バネ)3106の一端が取り付けられ、その他端には、上記した受入口3103を介して送り込まれる紙幣を順次、積層する載置プレート3105が設けられている。このため、載置プレート3105は、前記付勢手段3106を介して、後述する押圧板3115側に向けて付勢された状態になっている。
本体フレーム3100A内には、受入口3103に連続するように、落下する紙幣をそのまま待機、保持させる押圧待機部3108が設けられている。押圧待機部3108の載置プレート側の両サイドには、鉛直方向に延出して一対の規制部材3110が配置されている。この一対の規制部材3110の間には、載置プレート3105上に紙幣が順次、積層されるに際して、押圧板3115が通過するように、開口部が形成されている。
また、本体フレーム3100A内の両サイド壁には、載置プレート3105が付勢手段3106によって押圧された際、載置プレートが当て付くように、突出壁が形成されている。この突出壁は、載置プレート3105上に紙幣が順次、積層されて、前記付勢手段3106によって載置プレートが付勢された際、最上の紙幣の両サイドを当て付け、積層される紙幣を安定して保持する役目を果たす。
さらに、本体フレーム3100A内には、受入口3103から押圧待機部3108に落下した紙幣を載置プレート3105に向けて押圧する押圧板3115が配設されている。この押圧板3115は、前記一対の規制部材3110の間に形成された開口部を往復移動できる程度の大きさに構成されており、この開口部内に入り込んで、紙幣を載置プレート3105に押し付ける位置(押圧位置)と、前記押圧待機部3108を開放する位置(初期位置)との間で往復駆動される。この場合、押圧板3115の押し込み動作によって、紙幣は撓みながら開口部を通過して、載置プレート3105上に載置される。
前記押圧板3115は、本体フレーム3100A内に配設される押圧板駆動機構3120を介して、上記したように往復駆動される。押圧板駆動機構3120は、押圧板3115を図103及び図104の矢印A方向に往復移動可能となるように、両端が押圧板3115に軸支された一対のリンク部材3115a,3115bを備えており、これらのリンク部材3115a,3115bはX字状に連結され、それぞれの反対側の端部は、垂直方向(矢印B方向)に移動可能に設置された可動部材3122に軸支されている。この可動部材3122には、ラックが形成されており、このラックには、押圧板駆動機構3120を構成するピニオンが噛合している。
このピニオンには、図104に示すように、押圧板駆動機構3120を構成する収容部側ギヤトレイン3124が連結されている。この場合、第3の実施の形態においては、図104に示すように、上述した装置本体3002内に、駆動源(モータ3020)と、このモータ3020に順次噛合する本体側ギヤトレイン3021が配設されており、紙幣収容部3100を装置本体3002に装着すると、本体側ギヤトレイン3021が収容部側ギヤトレイン3124に連結するようになっている。すなわち、収容部側ギヤトレイン3124は、ピニオンと同軸上に配設されるギヤ3124B、及びこれに順次噛合するギヤ3124C,3124Dを備えており、紙幣収容部3100を装置本体3002のフレーム3002Aに対して着脱する際、ギヤ3124Dが、本体側ギヤトレイン3021の最終ギヤ3021Aと噛合、離間するよう構成されている。
この結果、上記した押圧板3115は、装置本体3002に設けられたモータ3020が回転駆動されることで、本体側ギヤトレイン3021、及び押圧板駆動機構3120(収容部側ギヤトレイン3124、可動部材3122に形成されるラック、及びリンク部材3115a,3115b等)を介して、矢印A方向に往復駆動される。
また、本体フレーム3100Aには、前記受入口3103から搬入される紙幣に対して接触可能な搬送部材3150が設置されている。この搬送部材3150は、搬入される紙幣に接触して、安定して紙幣を押圧待機部3108の適正位置(押圧板3115で紙幣を押圧した際、紙幣が左右に片寄ることなく、安定して押圧できる位置)に案内する役目を果たす。第3の実施の形態では、この搬送部材は、押圧待機部3108に臨むように設置されたベルト状の部材(以下、ベルト3150とする)によって構成されている。
この場合、ベルト3150は、紙幣に対して搬入方向に沿って延在するように設置されており、搬入方向の両端部に回転可能に支持された一対のプーリ3150A,3150Bに巻回されている。また、ベルト3150は、受入口3103の領域に回転可能に支持された軸方向に延出する搬送ローラ3150Cと当接しており、受入口3103に搬入された紙幣を挟持して、紙幣をそのまま押圧待機部3108に案内するようにしている。さらに、第3の実施の形態では、前記ベルト3150は、紙幣の両サイドの表面に接触可能となるように、上記した押圧板3115を挟むようにして左右一対設けられている。なお、ベルト3150は、両端におけるプーリ3150A,3150Bの巻回以外に、中間位置でテンションプーリを当て付け、弛みを防止するようにしても良い。
前記一対のベルト3150は、装置本体3002内に設置される上述した複数の搬送ローラを駆動するモータ3013によって駆動されるようになっている。具体的には、図105に示すように、モータ3013によって駆動される上述した駆動ベルト3013Bは、駆動力伝達用のプーリ3013Dに巻回されており、このプーリ3013Dに順次設置される動力伝達用のギヤトレイン3013Eには、受入口3103側に回転可能に支持されているプーリ3150Aの支軸の端部に設置されたギヤトレイン3153が噛合するようになっている。すなわち、紙幣収容部3100が装置本体3002に装着された際、ギヤトレイン3013Eの最終ギヤには、ギヤトレイン3153の入力ギヤが噛合するようになっており、一対のベルト3150は、モータ3013の回転駆動により、上述した紙幣搬送用の搬送ローラ3014B,3015B,3016B,3017Bと一体的に回転駆動されるようになっている。
上述したように、紙幣が紙幣挿入口3005を介して内部に挿入されると、紙幣は、上記した紙幣搬送機構3006によって、紙幣搬送路3003内で移動して行く。紙幣搬送路3003は、図103に示すように、紙幣挿入口3005から奥側に向けて延出した第1搬送路3003Aと、前記第1搬送路3003Aから下流側に向けて延出し、第1搬送路3003Aに対して所定角度傾斜した第2搬送路3003Bとを備えている。
そして、この第2搬送路3003Bには、不正行為等により、紙幣を紙幣挿入口3005側に向けて移動するのを防止する引抜防止部材(シャッタ部材)3170が設置されている。この引抜防止部材3170は、支軸3170aを介して、図103の矢印方向(第2搬送路3003Bを閉塞する方向)に回動付勢されており、紙幣が紙幣収容部3100側に向けて移動する際、付勢力に抗して第2搬送路を開放するように回動し、一旦紙幣が通過すると、その付勢力によって、矢印方向に回動され、第2搬送路3003Bを閉塞する。すなわち、紙幣の後端が引抜防止部材3170を通過すると、引抜防止部材3170によって第2搬送路3003Bは閉塞され、紙幣の引抜ができないようになっている。
なお、このような引抜防止部材は、紙幣読取手段3008の下流側の搬送経路に沿って、複数箇所設置されていても良い。また、その設置位置に関しては、後述するように、紙幣の真贋判定処理を行っている際に紙幣が停止する位置(エスクロ位置;第3の実施の形態では、紙幣読取手段3008の下流側、約13mmの位置とされる)よりも下流側にあれば良い。
<<<第1の態様の制御手段3200>>>
次に、上述した紙幣搬送機構3006、紙幣読取手段3008等の駆動部材の駆動を制御する第1の態様の制御手段3200について、図106のブロック図を参照して説明する。
図106のブロック図に示す制御手段3200は、上記した各駆動装置の動作を制御する制御基板3210を備えており、この制御基板3210上には、各駆動装置の駆動を制御すると共に、紙幣識別手段を構成するCPU(Central Processing Unit)3220と、ROM(Read Only Memory)3222と、RAM(Random Access Memory)3224と、真贋判定処理部3230とが実装されている。
前記ROM3222には、紙幣搬送機構用のモータ3013、押圧板駆動用のモータ3020、スキュー補正機構用のモータ3040、ローラ昇降用のモータ3070等、各種駆動装置の作動プログラムや、真贋判定処理部3230における真贋判定プログラム、及び紙幣の先端部分における折れや重送を判定する重送判定プログラムのような各種プログラム等、恒久的なデータが記憶されている。
前記CPU3220は、ROM3222に記憶されている前記プログラムに従って作動して、I/Oポート3240を介して上述した各種駆動装置との信号の入出力を行い、紙幣処理装置の全体的な動作制御を行う。すなわち、CPU3220には、I/Oポート3240を介して、紙幣搬送機構用のモータ3013、押圧板駆動用のモータ3020、スキュー補正機構用のモータ3040、ローラ昇降用のモータ3070が接続されており、これらの駆動装置は、ROM3222に格納された作動プログラムに従って、CPU3220からの制御信号により動作が制御される。また、CPU3220には、I/Oポート3240を介して、挿入検知センサ3007、可動片通過検知センサ3012、排出検知センサ3018からの検知信号が入力されるようになっており、これら検知信号に基づいて、上記した各種駆動装置の駆動制御が行われる。
また、CPU3220には、I/Oポート3240を介して、上述した紙幣読取手段3008における受光部3081aから、識別対象物である紙幣に向けて照射された光の透過光や反射光に基づく検知信号が入力されるようになっている。これら紙幣読取手段3008における第1発光部3080a及び第2発光部3081bは、上記したROM3222に格納された動作プログラムに従い、CPU3220からの制御信号によって、発光制御回路3260を介して、点灯間隔、及び消灯が制御される。
さらに、I/Oポート3240には、上述したPTS端末1700に電気的に接続されている。後述するように、紙幣処理装置3001に投入された紙幣の金種を示す金種データと、その紙幣の金額を示す金額データは、I/Oポート3240を介して、PTS端末1700に送信される。
前記RAM3224には、CPU3220が作動する際に用いるデータやプログラムが一時的に記憶されると共に、識別対象物である紙幣の受光データを取得して一時的に記憶する機能を備えている。また、RAM3224は、受光部3081aで受光した透過光から、後述する変換部3231で変換された複数の画素によって構成される透過画像データ、及び受光部3081aで受光した反射光から変換部3231で変換された複数の画素によって構成される反射画像データを記憶する。
前記真贋判定処理部3230は、搬送される紙幣が真正なものであるか否かを判定する機能を有する。この真贋判定処理部3230は、前記RAM3224に格納された識別対象物の受光データに関し、画素毎に、明度を有する色情報(濃度値)を含んだ画素情報に変換する変換部3231と、この変換部3231で変換された画素情報を基にした画像データを取得する画像データ処理部3232と、上述した所定領域における透過画像の画素の明度と、透過画像の所定領域に対応する反射画像の画素の明度とを対比し、その比較結果に基づいて、所定領域を真贋判定の対象から除外する判別部3233とを備えている。このため、前記画像データ処理部3232には、判別部3233において、上述した数式に基づいて、所定領域における透過画像の明度が、同じ所定領域における反射画像の明度よりも高いと判別された場合、その所定領域で得られる透過光による画像データ及び反射光による画像データが除外された状態の画像データが入力される。
また、真贋判定処理部3230は、真正な紙幣に関する基準データ(真正な紙幣に関する画素データ)を格納した基準データ記憶部3234と、前記画像データ処理部3232において取得される紙幣の画像データ(画素データ)と、前記基準データ記憶部3234に格納されている基準データ(基準画素データ)とを比較し、搬送される紙幣が真正であるか否かの判別処理を行う比較判定部3235と、を備えている。
この場合、基準データ記憶部3234には、上記した真贋判定処理を実施するに際して用いられる真正紙幣に関する画像データ、及び上記した所定領域を除外した真正紙幣に関する画像データが記憶されている。すなわち、通常の真贋判定処理では、所定領域の画像データを含んだものが基準データとされるが、判別部3233において、所定領域が除外された場合、その所定領域を除いた画像データが、基準データとして用いられる。また、基準データ記憶部3234には、それ以外にも、例えば、真正紙幣に関する印刷長の基準値等、真贋判定に際して用いられる各種の基準データが金種毎に記憶されている。
なお、このような基準となるデータについては、専用の基準データ記憶部3233に記憶させているが、これを上記したROM3222に記憶させておいても良い。
上記した真贋判定処理部3230における実際の真贋判定処理では、搬送される紙幣の表面の印刷領域に発光部(第1発光部3080a及び第2発光部3081b)から所定波長の光を照射し、当該紙幣を透過した光の透過光データ並びに反射した光の反射光データを、変換部3231において明度を有する色情報を含み所定の大きさを1単位とする複数の画素データに変換し、これを基準データ記憶部3234に予め記憶されている真正紙幣に関する基準画素データと比較することで成される。また、上記したように、紙幣の所定領域で、判別部3233において状態変化があると判別された場合、その所定領域を除いた部分の画像データを取得して真贋判定処理がなされる。
次に、上述した制御手段3200によって実行される紙幣処理装置3001における紙幣の処理動作について、図107〜図113のフローチャートに従って説明する。
操作者が紙幣を紙幣挿入口3005に挿入する際、紙幣挿入口の近傍に設置される搬送ローラ対(3014A,3014B)は、初期状態において離間した状態にある(後述するST3016,ST3056参照)。また、押圧板3115は、押圧板3115を駆動する一対のリンク部材3115a,3115bが押圧待機部3108に位置しており、紙幣が一対のリンク部材3115a,3115bによって受入口3103から押圧待機部3108に搬入できない待機位置に設定されている。すなわち、この状態では、一対の規制部材3110の間に形成された開口部に押圧板3115が入り込んでいるため、開口部を介して紙幣収容部内に収容されている紙幣を抜き取ることができない状態となっている。
さらに、搬送ローラ対(3014A,3014B)の下流側に位置するスキュー補正機構3010を構成する一対の可動片3010Aは、初期状態において、あらゆる紙幣の引き抜きができないように最小幅(例えば一対の可動片3010Aの間隔が52mm;後述するST3015,ST3057参照)に移動した状態にある。
上記した搬送ローラ対(3014A,3014B)の初期状態では、皺のある紙幣であっても、操作者は容易に挿入することができる。そして、挿入検知センサ3007によって紙幣の挿入が検知されると(ST3001)、上述した押圧板3115の駆動用のモータ3020を所定量逆転駆動し(ST3002)、押圧板3115を初期位置に移動させる。すなわち、挿入検知センサ3007によって紙幣の挿入が検知されるまでは、前記押圧板3115は、一対の規制部材3110の間に形成された開口部に移動された状態となっており、開口部を介して紙幣が通過できないように設定されている。
押圧板3115が待機位置から初期位置に移動されると、押圧待機部3108は開放状態となり(図104参照)、紙幣は、紙幣収容部3100内に搬入可能な状態となる。すなわち、モータ3020を所定量逆転駆動することで、押圧板3115は、本体側ギヤトレイン3021、及び押圧板駆動機構3120(収容部側ギヤトレイン3124、可動部材3122に形成されるラック、及びリンク部材3115a,3115b)を介して、前記待機位置から初期位置に移動される。
また、上述したローラ昇降用モータ3070を駆動し、上側の搬送ローラ3014Aを下側の搬送ローラ3014Bに当接するように移動させる。これにより、挿入された紙幣は搬送ローラ対(3014A,3014B)によって挟持される(ST3003)。
次いで、紙幣搬送路の開放処理が成される(ST3004)。この開放処理は、図110に示すフローチャートに示すように、述したスキュー補正機構用のモータ3040を逆転駆動することで、一対の可動片3010Aを互いに離間する方向に駆動することで成される(ST3100)。このとき、一対の可動片3010Aの位置を検知する可動片検知センサによって、一対の可動片3010Aが所定位置(最大幅位置)に移動したことが検知されると(ST3101)、モータ3040の逆転駆動が停止される(ST3102)。この搬送路開放処理により、一対の可動片3010A内に紙幣が進入できる状態になっている。なお、このST3004の前段階では、紙幣搬送路3003は、後述する搬送路閉鎖処理(ST3015,ST3057)によって閉鎖された状態にあるが、このように、紙幣挿入前に紙幣搬送路3003を閉じておくことで、例えば、不正目的などで紙幣挿入口から板状の部材を挿入して、ラインセンサなどの素子を破損させることを防止することができる。
次いで、紙幣搬送用のモータ3013が正転駆動される(ST3005)。紙幣は、搬送ローラ対(3014A,3014B)によって装置内部に搬送され、スキュー補正機構3010よりも下流側に配設されている可動片通過検知センサ3012が紙幣の先端を検知すると、紙幣搬送用のモータ3013は停止される(ST3006,ST3007)。このとき、紙幣は、スキュー補正機構3010を構成する一対の可動片3010A間に位置している。
引き続き、上述したローラ昇降用モータ3070を駆動し、紙幣を挟持した状態となっている搬送ローラ対(3014A,3014B)を離間させる(ST3008)。このとき、紙幣には、何等、負荷が作用していない状態となる。
そして、この状態でスキュー補正作動処理を行う(ST3009)。このスキュー補正作動処理は、上述したスキュー補正機構用のモータ3040を正転駆動することで、一対の可動片3010Aを互いに接近する方向に駆動することで成される。すなわち、このスキュー補正作動処理は、図111のフローチャートに示すように、上述したモータ3040を正転駆動することで、一対の可動片3010Aを、互いに接近する方向に移動する(ST3110)。この可動片の移動は、制御手段における基準データ記憶部に登録されている紙幣の最小幅(例;幅62mm)となるまで実行され、これにより、紙幣は、両側に当て付く可動片3010Aによって、スキューが補正され、正確な中心位置となるように位置決めされる。
上述したようなスキュー補正作動処理が終了すると、引き続き、搬送路開放処理が実行される(ST3010)。これは、上述したスキュー補正機構用のモータ3040を逆転駆動することで、一対の可動片3010Aを離間する方向に移動することで成される(図110のST3100〜ST3102参照)。
続いて、上述したローラ昇降用モータ3070を駆動し、上側の搬送ローラ3014Aを下側の搬送ローラ3014Bに当接するように移動させ、紙幣を搬送ローラ対(3014A,3014B)に挟持させる(ST3011)。その後、紙幣搬送用のモータ3013を正転駆動して紙幣を装置内部に向けて搬送し、紙幣が紙幣読取手段3008を通過する際に、紙幣の読取処理を開始する(ST3012,ST3013)。
そして、搬送される紙幣が紙幣読取手段3008を通過して、紙幣の後端が、可動片通過検知センサ3012によって検知されると(ST3014)、紙幣搬送路3003の閉鎖処理が実行される(ST3015)。この処理においては、まず、図112のフローチャートに示すように、紙幣の後端が、可動片通過検知センサ3012によって検知された後、上述したモータ3040を正転駆動することで、一対の可動片3010Aを、互いに接近する方向に移動する(ST3130)。次に、可動片検知センサによって、可動片3010Aが所定位置(最小幅位置、例えば52mm)に移動したことが検知されると(ST3131)、モータ3040の正転駆動が停止される(ST3132)。
この搬送路閉鎖処理により、一対の可動片3010Aは、挿入可能なあらゆる紙幣の幅よりも狭い最小幅位置(幅52mm)に移動されており、これにより、紙幣の引き抜きを効果的に防止するようにしている。すなわち、このような紙幣搬送路の閉鎖処理を実行することで、挿入された紙幣の幅よりも、可動片3010A間の距離が狭くなり、操作者が不正目的で紙幣を挿入口方向に向けて引き抜く等の行為を効果的に防止することが可能となる。
上記した搬送路閉鎖処理(ST3015)に引き続いて、上述したローラ昇降用モータ3070を駆動し、紙幣を挟持可能な状態となっている搬送ローラ対(3014A,3014B)を離間させる搬送ローラ対離間処理が行われる(ST3016)。この搬送ローラ対離間処理を行うことで、操作者が誤って紙幣を追加投入(二重投入)しても、紙幣は、搬送ローラ対(3014A,3014B)による送り動作を受けることはなく、また、ST3015において接近した状態にある一対の可動片3010Aの前面に突き当たることから、紙幣の二重投入動作を確実に防止することができる。
上記した紙幣搬送路の閉鎖処理と共に、紙幣読取手段3008が紙幣の後端までデータを読取ると、紙幣搬送用のモータ3013を所定量駆動し、紙幣を所定位置(エスクロ位置;紙幣読取手段3008の中心位置から13mm紙幣が下流側に搬送された位置)で停止させ、このときに、制御手段3200の真贋判定処理部3230において、基準データ記憶部3234に記憶されている基準データを参照し、比較判定部3235で紙幣の真贋判定処理を実行する(ST3017〜ST3020)。
この真贋判定処理においては、まず、図113のフローチャートに示すように、判別部3233において、紙幣の所定領域における透過画像の画素の明度と、透過画像の所定領域に対応する反射画像の画素の明度とを対比し、所定領域に状態変化があるかないかを判別する(ST3150)。この判別は、上述した数式に基づいて、所定領域における透過画像の明度の総和と、同じ所定領域における反射画像の明度の総和とを比較することで行われる。そして、状態変化がないと判別された場合、画像データ処理部3232は、その所定領域を含んだ画像データを取得し、比較判定部3235において、基準データ記憶部3234に記憶された基準データと比較処理を行う(ST3152)。一方、判別部3233において、所定領域に状態変化があると判別された場合、画像データ処理部3232は、その所定領域を除いた画像データを取得し(ST3151)、比較判定部3235において、基準データ記憶部3234に記憶された基準データ(所定領域を除いた基準データ)と比較処理を行う(ST3152)。
上述したST3152における比較処理において、投入された紙幣が真券であると判別したときにときには、投入された紙幣の金種を示す金種データと金額を示す金額データとを、紙幣読取手段3008で読み取った画像データを用いて、文字認識などの処理を施すことによって取得し、取得した金種データと金額データとをRAM3224に記憶させる。これらの情報は、後述するように、PTS端末1700に送信される。
そして、上記したST3020の真贋判定処理において、紙幣が真券であると判定されると(ST3021;Yes)、紙幣搬送用のモータ3013を正転駆動する(ST3022)。この紙幣の搬送に際しては、紙幣の後端が排出検知センサ3018によって検知されるまで紙幣搬送用のモータ3013は正転駆動され(ST3023)、紙幣の後端が排出検知センサ3018によって検知されてから、紙幣搬送用のモータ3013は所定量だけ正転駆動される(ST3024,ST3025)。
このST3024、及びST3025における紙幣搬送用のモータ3013の正転駆動処理は、紙幣が、装置本体3002の紙幣搬送路3003の下流側にある排出口3003aから紙幣収容部3100の受入口3103に搬入され、前記一対のベルト3150が、搬入される紙幣の両側表面に接触して安定して、押圧待機部3108に案内される駆動量に対応している。すなわち、紙幣の後端が排出検知センサ3018によって検知された後、更に、所定量、紙幣搬送用のモータ3013を正転駆動することで、前記一対のベルト3150は、搬入される紙幣に接触しつつ紙幣送り方向に駆動され、紙幣を安定した状態で押圧待機部3108に案内する。
そして、上記した紙幣搬送用のモータ3013が停止した後、紙幣を載置プレート3105上に載置すべく押圧板3115の駆動処理を実行し(ST3026)、押圧処理が終了すると、押圧板3115は再び待機位置に移動され、その位置で停止される。
また、上述した処理手順のST3021において、挿入された紙幣が真券でないと判別された場合、搬送路開放処理を実行し(ST3051、図110のST3100〜ST3102参照)、その後、紙幣搬送用のモータ3013を逆転駆動し、搬送ローラ対(3014A,3014B)の挟持処理を実行した後、エスクロ位置に待機している紙幣を、紙幣挿入口3005に向けて搬送する(ST3052,ST3053)。そして、挿入検知センサ3007が、紙幣挿入口3005に向けて差し戻される紙幣の後端を検知した際に、紙幣搬送用のモータ3013の逆転駆動を停止すると共に、上述したローラ昇降用モータ3070を駆動し、紙幣を挟持した状態となっている搬送ローラ対(3014A,3014B)を離間させる(ST3054〜ST3056)。その後、搬送路閉鎖処理を実施(ST3057,図112のST3130〜ST3132参照)すると共に、押圧板3115の駆動用のモータ3020を所定量正転駆動することで(ST3058)、初期位置にある押圧板3115を待機位置に駆動する。
上述したST3026の処理又はST3058の処理を実行した後、図114に示す情報出力処理のサブルーチンを呼び出して実行する(ST3070)。
図114は、PTS端末1700に各種の情報を出力する処理のサブルーチン示すフローチャートである。
最初に、紙幣の真贋判定の結果が真券であるか否かを判断する(ステップST3071)。紙幣の真贋判定の結果は、上述した図113に示したサブルーチンを実行することによって得ることができる。
紙幣の真贋判定の結果が真券であると判別したとき(YES)には、紙幣の金種を示す金種データと、金額を示す金額データとを、I/Oポート3240を介して、PTS端末1700に出力し(ステップST3072)、本サブルーチンを終了する。ここで、紙幣の金種とは、USドル紙幣や円紙幣や香港ドル紙幣などの紙幣を発行したり管理したりする国や政府や中央銀行や地域などを含む紙幣の属性を示す紙幣属性情報からなる。また、金額は、その紙幣の属性によって定まる通貨単位に対応した金額である。通貨単位は、例えば、USドルや円などがある。
紙幣の真贋判定の結果が偽券であると判別したとき(NO)には、投入された紙幣が偽券であることを示すエラー情報を、I/Oポート3240を介して、PTS端末1700に出力し(ステップST3073)、本サブルーチンを終了する。
このように、金種を示す金種データと金額を示す金額データとをPTS端末1700に送信することによって、PTS端末1700は、紙幣処理装置3001に投入された紙幣の金種データと金額データとを取得することができ、これらのデータに基づいて、クレジットの変換や、そのときにおける為替レートに応じた両替などの各種の処理を実行することができる。
上記した構成の紙幣処理装置によれば、真正な紙幣であるにもかかわらず、所定領域に状態変化があるような紙幣が挿入された場合、まず、判別部において、その状態変化(主に水分を含んでいるものや孔等の欠損があるもの)があるか否かを判別し、所定領域に状態変化があれば、その所定領域を真贋判定の対象から除外するようにしている。従って、真正な紙幣であっても、その状態変化が原因で偽券と判定される可能性が少なくなり、真贋判定精度の向上を図ることが可能となる。
特に、カジノなどの遊技場では、プレイの間に、プレーヤは、飲食をする場合もある。このような飲食をした場合に、飲み物や食べ物で紙幣を汚してしまうことも想定される。このような汚れた紙幣は、真券であるにも拘わらず、偽券であると判別されてしまった場合には、プレーヤに迷惑をかけるだけでなく、遊技場の処理も煩雑になる。上述した紙幣処理装置3001は、状態変化が原因で偽券と判定される可能性を少なくできるので、プレーヤに迷惑をかけたり、遊技場の対応が煩雑になったりすることを防止できる。この紙幣処理装置3001は、遊技媒体貸出機や自動販売機や券売機等に搭載するだけでなく、遊技機に搭載することもできる。
特に、第3の実施の形態では、紙幣の所定領域は、紙幣読取手段を構成する発光部から、異なる波長の光を照射した際に異なる画素情報が取得される特徴領域(紙幣の真贋を判定する上では重要となる領域)以外に設定しており、所定領域において上記したような状態変化が生じていても、真贋判定する上で影響を与える可能性は低くなり、真贋判定精度が低下することが防止される。
また、上記した第3の実施の形態では、受光部は、紙幣の幅方向全体の範囲を読取るラインセンサによって構成されているため、上記した所定領域や特徴領域を正確に特定することが可能となり、真贋判定精度をより向上することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することが可能である。
例えば、状態変化が生じていた際に真贋判定から除外される所定領域については、紙幣上、複数箇所に設けておいても良いし、その面積についても適宜変形することが可能である。また、本発明は、紙幣の真贋判定処理において、所定領域に状態変化があった際、その所定領域を除外して真贋判定処理を行うことに特徴があり、それ以外の構成については、第3の実施の形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。例えば、紙幣の読取手段3008の構成、配設位置等については、適宜、変形することが可能である。
本発明は、紙幣処理装置に限定されることはなく、クーポン券やサービス券など、紙葉類が挿入されたことで、各種の商品やサービスを提供する装置に組み込むことが可能である。
<<<第2の態様の制御手段3200>>>
次に、上述した紙幣搬送機構3006、紙幣読取手段3008等の駆動部材の駆動を制御する制御手段3200について、図116のブロック図を参照して説明する。
図116のブロック図に示す制御手段3200は、上記した各駆動装置の動作を制御する制御基板3210を備えており、この制御基板3210上には、各駆動装置の駆動を制御すると共に、紙幣識別手段を構成するCPU(Central Processing Unit)3220と、ROM(Read Only Memory)3222と、RAM(Random Access Memory)3224と、紙幣判別処理部3230とが実装されている。
前記ROM3222には、紙幣搬送機構用のモータ3013、押圧板駆動用のモータ3020、スキュー補正機構用のモータ3040、ローラ昇降用のモータ3070等、各種駆動装置の作動プログラムや、真贋判定部3230における真贋判定プログラム、及び紙幣の損傷を判別する紙幣損傷判別プログラムのような各種プログラム等、恒久的なデータが記憶されている。
前記CPU3220は、ROM3222に記憶されている前記プログラムに従って作動して、I/Oポート3240を介して上述した各種駆動装置との信号の入出力を行い、紙幣処理装置の全体的な動作制御を行う。すなわち、CPU3220には、I/Oポート3240を介して、紙幣搬送機構用のモータ3013、押圧板駆動用のモータ3020、スキュー補正機構用のモータ3040、ローラ昇降用のモータ3070が接続されており、これらの駆動装置は、ROM3222に格納された作動プログラムに従って、CPU3220からの制御信号により動作が制御される。また、CPU3220には、I/Oポート3240を介して、挿入検知センサ3007、可動片通過検知センサ3012、排出検知センサ3018からの検知信号が入力されるようになっており、これら検知信号に基づいて、上記した各種駆動装置の駆動制御が行われる。
さらに、CPU3220には、I/Oポート3240を介して、上述した紙幣読取手段3008における受光部3081aから、識別対象物に照射された光の透過光や反射光に基づく検知信号が入力されるようになっている。
さらにまた、I/Oポート3240には、上述したPTS端末1700に電気的に接続されている。後述するように、紙幣処理装置3001に投入された紙幣の金種データと金額データとは、I/Oポート3240を介して、PTS端末1700に送信される。
前記RAM3224には、CPU3220が作動する際に用いるデータやプログラムが一時的に記憶されると共に、識別対象物である紙幣の受光データ(複数の画素によって構成される画像データ)を取得して一時的に記憶する機能を備えている。
前記紙幣判別処理部3230は、搬送される紙幣の先端が欠けている等の損傷を判別する損傷判別処理、及び、損傷が生じていない紙幣について、それが真正なものであるか否かを判定する真贋判定処理を実施する機能を有する。この紙幣判別処理部3230は、前記RAM3224に格納された識別対象物の受光データに関し、画素毎に、明るさを有する色情報(濃度値)を含んだ画素情報に変換する変換部3231と、この変換部3231で変換された画素情報を基に、例えばエッジ情報を取得して、搬送された紙幣の先端形状を特定するデータ処理部3232とを有する。
また、前記紙幣判別処理部3230は、搬送される紙幣の先端が折れ曲がっていたり、欠けている等の損傷を判別する損傷判別処理、及び、損傷が生じていない紙幣について、それが真正なものであるか否かを判定する真贋判定処理を実施する機能を有する。この紙幣判別処理部3230は、前記RAM3224に格納された識別対象物の受光データに関し、画素毎に、明るさを有する色情報(濃度値)を含んだ画素情報に変換する変換部3231と、この変換部3231で変換された画素情報を基に、例えばエッジ情報を取得して、搬送された紙幣の先端形状を特定するデータ処理部3232とを有する。
また、紙幣判別処理部3230は、真正な紙幣に関する基準データ(真正な紙幣に関する形状データ)を格納した基準データ記憶部3234と、前記データ処理部3232において特定された判別対象となる紙幣の形状データと基準データ記憶部3234に格納されている基準データとを比較し、搬送される紙幣に損傷があるか否かの判別処理を行う比較判定部3235と、を備えている。
なお、基準データ記憶部3234には、更に、上記した真贋判定処理を実施するに際して用いられる真正紙幣に関する画像データや、真正紙幣に関する印刷長の基準値等、真贋判定に際して用いられる各種の基準データが金種毎に記憶されている。この場合、上記した基準データについては、専用の基準データ記憶部3234に記憶させているが、これを上記したROM3222に記憶させておいても良い。
さらに、CPU3220には、I/Oポート3240を介して、上述した紙幣読取手段3008における第1発光部3080aと、第2発光部3081bが接続されている。これら第1発光部3080a及び第2発光部3081bは、上記したROM3222に格納された動作プログラムに従い、CPU3220からの制御信号によって、発光制御回路3260を介して、点灯間隔、及び消灯が制御される。
<<損傷の判断手法(第1の損傷の判断手法及び第2の損傷の判断手法)>>
ここで、図117に示すような、紙幣先端部分に欠けのある紙幣Mが挿入された場合について説明する。
上記したように、紙幣読取手段3008は、紙幣搬送機構3006によって搬送された紙幣に対し、前記第1発光部3080a、及び第2発光部3081bから光(赤色光、赤外光)を照射し、その透過光や反射光を受光部(ラインセンサ)3081aで受光して紙幣の読取りを実行する。この読取りに際しては、紙幣の搬送処理が行われている間、所定の大きさを1単位(例えば、搬送方向における1ピクセルが0.508mm)とする多数の画素情報を取得することが可能であり、このようにして取得された多数の画素(複数の画素)によって構成される画像データは、RAM3224などの記憶手段に記憶される。なお、ここで記憶される多数の画素によって構成される画像データは、変換部3231によって、画素毎に、明るさを有する色情報(濃度値に応じて0から255の数値(0:黒〜255:白)が割り当てられた色情報)を含んだ情報に変換される。
<第1の損傷の判断手法>
この場合、搬送される紙幣Mの先端の隅に欠けMaがあるような紙幣が挿入されて、これが紙幣読取手段3008を通過すると、紙幣の幅方向に亘って配設されるCCDラインセンサを有する受光部3081aによって、その欠けMaの形状を具体的に取得することが可能である。これは、例えば、受光部3081aにおいて受光する透過光データでは、欠けMaの部分を透過する透過光の受光量が大きくなること、或いは、反射光データでは、欠けMaの部分から反射光が得られないこと等から、前記変換部3231で変換される画素情報によって、搬送される紙幣Mの具体的なエッジ形状(欠けMaのあるエッジ形状)のデータを取得することが可能となる。
そして、取得されたエッジ形状のデータと、基準データ記憶部3234に格納されている基準データ(欠けのない紙幣のエッジ形状のデータ)とを比較判定部3235で対比し、その類似度が高いものについては、欠けが生じていない紙幣と判別し、そうでないものについては、欠けが生じている紙幣と判別する。
この場合、類似度の判別の手法については、特に限定されることはないが、例えば、エッジ情報を取得した後、そのエッジ内に含まれる画素数を対比して、所定の閾値以上あるものは、類似(欠けのない紙幣)と判別し、閾値未満のものについては、類似しない(欠けが生じている紙幣)と判別するようにしても良い。
また、このような欠けが生じているか否かの判別については、紙幣読取手段3008による紙幣の読取りが終了する前までに実行される。第3の実施の形態では、搬送される紙幣Mの先端M1から所定の範囲R(例えば、20mmに設定される)読取った段階で、上記した判別処理を実行するようにしており、判別処理が終了するまでには、少なくとも、紙幣は紙幣読取手段3008を通過しないように設定されている。そして、上記したCPU3220は、紙幣に欠け等の損傷が生じていると判別された場合、紙幣搬送機構用モータ3013を逆転駆動し、挿入された紙幣を、そのまま紙幣挿入口3005から排出するようにしている。
<<第2の損傷の判断手法>>
通常、紙幣は、図118(a)に示すように、裁断工程等を考慮して、印刷領域3300の周囲に非印刷領域3301が形成された構成となっている。この非印刷領域3301は、インクが付着していない領域であることから、透過光を受光部3081aにおいて取得すると、印刷領域3300と比較して、ラインP1を境にして画素毎の濃度値は高い値が得られるようになる。
ところが、紙幣の先端M1部分が、例えば図118(b)に示すように内側に折れ曲がっていると、その部分における透過光Raは、折れ曲がった部分を通過することで、その透過光量Ra´が図118(a)で示すものよりも弱くなってしまい、これにより、透過光を受光部3081aにおいて取得すると、通常の透過光量よりもかなり暗い状態となる。すなわち、通常の折れが生じていない紙幣と比較すると、その先端領域で得られる画素毎の濃度値は低くなってしまう。
このため、紙幣の幅方向に亘って配設されるCCDラインセンサを有する受光部3081aによって、搬送される紙幣の先端部分の読取りを実行する際、変換部3231で変換される画素情報によって、搬送される紙幣Mに折れが生じているか否かを判別することが可能となる。例えば、取得された紙幣Mの先端領域における画素データの幅方向の合計値と、基準データ記憶部3234に格納されている基準データ(図118(a)のように先端部分で折れが生じていない非印刷領域3301の画素データの合計値)とを、比較判定部3235で対比し、合計濃度値が所定の閾値より高いものについては、折れが生じていない紙幣と判別し、合計濃度値が所定の閾値より低いものについては、折れが生じている紙幣と判別する。
図118(b)で示すように、紙幣の先端M1部分に折れが生じていた場合、その部分が上述した引抜防止部材3170を通過する際、特に、通過した後に真贋判定処理で真正と判別されず逆搬送されると、折れ部分が引抜防止部材3170に引っ掛かってしまい搬送トラブルが生じる可能性があるが、そのような折れが生じている紙幣を紙幣読取手段3008において検出し、紙幣搬送機構3006を制御することで、そのような搬送トラブルを未然に防止することが可能となる。
また、第3の実施の形態では、図118(c)に示すように、搬送される紙幣Mの先端の隅に欠けMaがあるような紙幣が挿入されて、これが紙幣読取手段3008を通過すると、紙幣の幅方向に亘って配設されるCCDラインセンサを有する受光部3081aによって、その欠けMaの形状を具体的に取得することが可能となっている。
これは、例えば、受光部3081aにおいて受光する透過光データでは、欠けMaの部分を透過する透過光の受光量が大きくなること、或いは、反射光データでは、欠けMaの部分から反射光が得られないこと等から、前記変換部3231で変換される画素情報によって、搬送される紙幣Mの具体的なエッジ形状(欠けMaのあるエッジ形状)のデータを取得することが可能となる。そして、取得されたエッジ形状のデータと、基準データ記憶部3234に格納されている基準データ(欠けのない紙幣のエッジ形状のデータ)とを比較判定部3235で対比し、その類似度が高いものについては、欠けが生じていない紙幣と判別し、そうでないものについては、欠けが生じている紙幣と判別するようにしている。
この第2の損傷の判断手法の場合も、類似度の判別の手法については、特に限定されることはないが、例えば、エッジ情報を取得した後、そのエッジ内に含まれる画素数を対比して、所定の閾値以上あるものは、類似(欠けのない紙幣)と判別し、閾値未満のものについては、類似しない(欠けが生じている紙幣)と判別するようにしても良い。
上記したように、折れや欠けが生じているか否かの判別については、紙幣読取手段3008による紙幣の読取りが終了する前までに実行される。第3の実施の形態では、搬送される紙幣Mの先端M1から所定の範囲R(例えば、20mmに設定される)読取った段階で、上記した判別処理を実行するようにしており、判別処理が終了するまでには、少なくとも、紙幣は紙幣読取手段3008を通過しないように設定されている。そして、上記したCPU3220は、紙幣に欠け等の損傷が生じていると判別された場合、紙幣搬送機構用モータ3013を逆転駆動し、挿入された紙幣を、そのまま紙幣挿入口3005から排出するようにしている。
なお、上記した紙幣の第1の損傷の判断手法又は第2の損傷の判断手法については、遅くとも、紙幣の先端が、上述した引抜防止部材3170を通過する前までに実行されていれば良く、このように設定することにより、紙幣を逆搬送する際に、引っ掛かりが生じることを確実に防止することが可能となる。また、引抜防止部材3170が、搬送方向に沿って複数箇所設置されている構成では、最も上流に設置された引抜防止部材を通過する前までに実行されていれば良い。
<<損傷の判別処理>>
次に、上述した制御手段3200によって実行される紙幣処理装置3001における紙幣の処理動作について、図107、図119、図120、図110〜図112、図121及び図122のフローチャートに従って説明する。なお、上述した第3の実施の形態と同様の処理をするフローチャートは省略した。また、上述した第3の実施の形態と同様の処理をするステップについては、同様の符号を付した。
操作者が紙幣を紙幣挿入口3005に挿入する際、紙幣挿入口の近傍に設置される搬送ローラ対(3014A,3014B)は、初期状態において離間した状態にある(後述するST3016,ST3056参照)。また、押圧板3115は、押圧板3115を駆動する一対のリンク部材3115a,3115bが押圧待機部3108に位置しており、紙幣が一対のリンク部材3115a,3115bによって受入口3103から押圧待機部3108に搬入できない待機位置に設定されている。すなわち、この状態では、一対の規制部材3110の間に形成された開口部に押圧板3115が入り込んでいるため、開口部を介して紙幣収容部内に収容されている紙幣を抜き取ることができない状態となっている。
さらに、搬送ローラ対(3014A,3014B)の下流側に位置するスキュー補正機構3010を構成する一対の可動片3010Aは、初期状態において、あらゆる紙幣の引き抜きができないように最小幅(例えば一対の可動片3010Aの間隔が52mm;後述するST3015,ST3057参照)に移動した状態にある。
上記した搬送ローラ対(3014A,3014B)の初期状態では、皺のある紙幣であっても、操作者は容易に挿入することができる。そして、挿入検知センサ3007によって紙幣の挿入が検知されると(ST3001)、上述した押圧板3115の駆動用のモータ3020を所定量逆転駆動し(ST3002)、押圧板3115を初期位置に移動させる。すなわち、挿入検知センサ3007によって紙幣の挿入が検知されるまでは、前記押圧板3115は、一対の規制部材3110の間に形成された開口部に移動された状態となっており、開口部を介して紙幣が通過できないように設定されている。
押圧板3115が待機位置から初期位置に移動されると、押圧待機部3108は開放状態となり(図104参照)、紙幣は、紙幣収容部3100内に搬入可能な状態となる。すなわち、モータ3020を所定量逆転駆動することで、押圧板3115は、本体側ギヤトレイン3021、及び押圧板駆動機構3120(収容部側ギヤトレイン3124、可動部材3122に形成されるラック、及びリンク部材3115a,3115b)を介して、前記待機位置から初期位置に移動される。
また、上述したローラ昇降用モータ3070を駆動し、上側の搬送ローラ3014Aを下側の搬送ローラ3014Bに当接するように移動させる。これにより、挿入された紙幣は搬送ローラ対(3014A,3014B)によって挟持される(ST3003)。
次いで、紙幣搬送路の開放処理が成される(ST3004)。この開放処理は、図110に示すフローチャートに示すように、述したスキュー補正機構用のモータ3040を逆転駆動することで、一対の可動片3010Aを互いに離間する方向に駆動することで成される(ST3100)。このとき、一対の可動片3010Aの位置を検知する可動片検知センサによって、一対の可動片3010Aが所定位置(最大幅位置)に移動したことが検知されると(ST3101)、モータ3040の逆転駆動が停止される(ST3102)。この搬送路開放処理により、一対の可動片3010A内に紙幣が進入できる状態になっている。なお、このST3004の前段階では、紙幣搬送路3003は、後述する搬送路閉鎖処理(ST3015,ST3057)によって閉鎖された状態にあるが、このように、紙幣挿入前に紙幣搬送路3003を閉じておくことで、例えば、不正目的などで紙幣挿入口から板状の部材を挿入して、ラインセンサなどの素子を破損させることを防止することができる。
次いで、紙幣搬送用のモータ3013が正転駆動される(ST3005)。紙幣は、搬送ローラ対(3014A,3014B)によって装置内部に搬送され、スキュー補正機構3010よりも下流側に配設されている可動片通過検知センサ3012が紙幣の先端を検知すると、紙幣搬送用のモータ3013は停止される(ST3006,ST3007)。このとき、紙幣は、スキュー補正機構3010を構成する一対の可動片3010A間に位置している。
引き続き、上述したローラ昇降用モータ3070を駆動し、紙幣を挟持した状態となっている搬送ローラ対(3014A,3014B)を離間させる(ST3008)。このとき、紙幣には、何等、負荷が作用していない状態となる。
そして、この状態でスキュー補正作動処理を行う(ST3009)。このスキュー補正作動処理は、上述したスキュー補正機構用のモータ3040を正転駆動することで、一対の可動片3010Aを互いに接近する方向に駆動することで成される。すなわち、このスキュー補正作動処理は、図111のフローチャートに示すように、上述したモータ3040を正転駆動することで、一対の可動片3010Aを、互いに接近する方向に移動する(ST3110)。この可動片の移動は、制御手段における基準データ記憶部に登録されている紙幣の最小幅(例;幅62mm)となるまで実行され、これにより、紙幣は、両側に当て付く可動片3010Aによって、スキューが補正され、正確な中心位置となるように位置決めされる。
上述したようなスキュー補正作動処理が終了すると、引き続き、搬送路開放処理が実行される(ST3010)。これは、上述したスキュー補正機構用のモータ3040を逆転駆動することで、一対の可動片3010Aを離間する方向に移動することで成される(図110のST3100〜ST3102参照)。
続いて、上述したローラ昇降用モータ3070を駆動し、上側の搬送ローラ3014Aを下側の搬送ローラ3014Bに当接するように移動させ、紙幣を搬送ローラ対(3014A,3014B)に挟持させる(ST3011)。その後、紙幣搬送用のモータ3013を正転駆動して紙幣を装置内部に向けて搬送し、紙幣が紙幣読取手段3008を通過する際に、紙幣の読取処理を開始する(ST3012,ST3013)。
この紙幣の読取処理の開始に伴って、上述した紙幣の損傷判別処理が実行される(ST3013−2)。この損傷判別処理には、図121のフローチャートに示す第1の損傷判別処理と、図122のフローチャートに示す第2の損傷判別処理とがある。ST3013−2の処理では、この第1の損傷判別処理と第2の損傷判別処理とのうちの少なくとも一方を呼び出して実行すればよい。なお、第1の損傷判別処理と第2の損傷判別処理との双方を順次実行してもよい。2種類の損傷判別処理を実行することによって、紙幣の損傷を的確に判別することができる。
<第1の損傷判別処理>
まず、第1の損傷判別処理では、図121のフローチャートに示すように、最初に、紙幣を所定の長さ読取ったか否かが判断される(ST3250)。この所定長は、上述したように、第3の実施の形態では、搬送される紙幣Mの先端M1から20mmに設定されており(図117;R参照)、この長さの読取りが終了した段階で、制御手段3200の紙幣判別処理部3230は、基準データ記憶部3234に記憶されている基準データを参照し、比較判定部3235で得られた紙幣の形状データを基準となるデータと比較して、紙幣の損傷について判別処理を実行する(ST3251)。
そして、このST3251の処理において、紙幣に損傷が生じていると判別された場合、CPU3220は、その紙幣を直ちに紙幣挿入口3005から排出するように、紙幣搬送用モータ3013を逆転駆動する(ST3251、No,ST3053〜ST3055)。すなわち、このST3251の処理において、紙幣の読取処理が終了する前に、紙幣に損傷が生じていると判別されると、以後の紙幣の読取処理を行うことなく、その紙幣は直ちに逆搬送され、紙幣挿入口3005から排出されて、その紙幣の一連の処理は終了する(ST3053〜ST3060)。また、上記した損傷判別処理(ST3013−2)において、紙幣に損傷が生じていないと判別された場合、そのまま紙幣の読取処理が継続される(ST3014)。
<第2の損傷判別処理>
また、第2の損傷判別処理では、図122のフローチャートに示すように、最初に、紙幣を所定の長さ読取ったか否かが判断される(ST3350)。この所定長は、上述したように、第3の実施の形態では、搬送される紙幣Mの先端M1から20mmに設定されており(図118(c);R参照)、この長さの読取りが終了した段階で、取得された紙幣Mの先端領域における透過光による画素の合計濃度値が算出される(ST3351)。
そして、制御手段3200の紙幣判別処理部3230は、取得された紙幣Mの先端領域における画素データの合計濃度値と、基準データ記憶部3234に格納された同じ領域の基準データの濃度値とを対比し、所定の閾値に基づいて、紙幣に折れが生じているか否かについて判別処理を実行する(ST3352)。
このST3352の処理において、紙幣に折れ等の損傷が生じていると判別された場合、CPU3220は、その紙幣を直ちに紙幣挿入口3005から排出するように、紙幣搬送用モータ3013を逆転駆動する(ST3352、No,ST3053〜ST3055)。すなわち、このST3352の処理において、紙幣の読取処理が終了する前に、紙幣に折れが生じていると判別されると、以後の紙幣の読取処理を行うことなく、その紙幣は直ちに逆搬送され、紙幣挿入口3005から排出されて、その紙幣の一連の処理は終了する(ST3053〜ST3060)。
上記したST3352において、紙幣に折れが生じていないと判別された場合、引き続き紙幣に欠け等の損傷が生じているか否かが判別される(ST3352、Yes,ST3353)。この判別処理は、基準データ記憶部3234に記憶されている基準データを参照し、比較判定部3235で得られた紙幣の形状データを、基準となる形状データと比較することで実行される(ST3353)。
このST3353の処理において、紙幣に欠け等の損傷が生じていると判別された場合、前記同様、CPU3220は、その紙幣を直ちに紙幣挿入口3005から排出するように、紙幣搬送用モータ3013を逆転駆動する(ST3351、No,ST3053〜ST3055)。すなわち、このST3353の処理において、紙幣の読取処理が終了する前に、紙幣に欠け等の損傷が生じていると判別されると、以後の紙幣の読取処理を行うことなく、その紙幣は直ちに逆搬送され、紙幣挿入口3005から排出されて、その紙幣の一連の処理は終了する(ST3053〜ST3060)。
そして、上記した損傷判別処理(ST3352,ST3353)において、紙幣に損傷が生じていないと判別された場合、そのまま紙幣の読取処理が継続される(ST3015)。
なお、上記した紙幣の読取処理においては、図106のタイミングチャートに示すように、上記した第1発光部3080a及び第2発光部3081bにおける赤色光と赤外光の透過用の光源と、赤色光と赤外光の反射用の光源からなる4つの光源が、一定の間隔で点灯、消灯を繰り返し、しかも、各光源の位相を重ねることなく、2つ以上の光源が同時に点灯することがないように点灯制御する。換言すれば、ある光源が点灯しているときには、他の3つの光源は消灯するように点灯制御する。これにより、第3の実施の形態のように、1つの受光部3081aであっても、各光源の光を一定間隔で検出し、赤色光の透過光及び反射光、赤外光の透過光及び反射光による識別対象物の印刷領域の濃淡データからなる画像を読取ることができる。
そして、搬送される紙幣が紙幣読取手段3008を通過して、紙幣の後端が、可動片通過検知センサ3012によって検知されると(ST3014)、紙幣搬送路3003の閉鎖処理が実行される(ST3015)。この処理においては、まず、図112のフローチャートに示すように、紙幣の後端が、可動片通過検知センサ3012によって検知された後、上述したモータ3040を正転駆動することで、一対の可動片3010Aを、互いに接近する方向に移動する(ST3130)。次に、可動片検知センサによって、可動片3010Aが所定位置(最小幅位置、例えば52mm)に移動したことが検知されると(ST3131)、モータ3040の正転駆動が停止される(ST3132)。
この搬送路閉鎖処理により、一対の可動片3010Aは、挿入可能なあらゆる紙幣の幅よりも狭い最小幅位置(幅52mm)に移動されており、これにより、紙幣の引き抜きを効果的に防止するようにしている。すなわち、このような紙幣搬送路の閉鎖処理を実行することで、挿入された紙幣の幅よりも、可動片3010A間の距離が狭くなり、操作者が不正目的で紙幣を挿入口方向に向けて引き抜く等の行為を効果的に防止することが可能となる。
上記した搬送路閉鎖処理(ST3015)に引き続いて、上述したローラ昇降用モータ3070を駆動し、紙幣を挟持可能な状態となっている搬送ローラ対(3014A,3014B)を離間させる搬送ローラ対離間処理が行われる(ST3016)。この搬送ローラ対離間処理を行うことで、操作者が誤って紙幣を追加投入(二重投入)しても、紙幣は、搬送ローラ対(3014A,3014B)による送り動作を受けることはなく、また、ST3017において接近した状態にある一対の可動片3010Aの前面に突き当たることから、紙幣の二重投入動作を確実に防止することができる。
上記した紙幣搬送路の閉鎖処理と共に、紙幣読取手段3008が紙幣の後端までデータを読取ると、紙幣搬送用のモータ3013を所定量駆動し、紙幣を所定位置(エスクロ位置;紙幣読取手段3008の中心位置から13mm紙幣が下流側に搬送された位置)で停止させ、このときに、制御手段3200の紙幣判別処理部3230において、基準データ記憶部3234に記憶されている基準データを参照し、比較判定部3235で紙幣の真贋判定処理を実行する(ST3017〜ST3020)。
上記したST3020の真贋判定処理において、紙幣が真券であると判定されると(ST3021;Yes)、紙幣搬送用のモータ3013を正転駆動する(ST3022)。この紙幣の搬送に際しては、紙幣の後端が排出検知センサ3018によって検知されるまで紙幣搬送用のモータ3013は正転駆動され(ST3023)、紙幣の後端が排出検知センサ3018によって検知されてから、紙幣搬送用のモータ3013は所定量だけ正転駆動される(ST3024,ST3025)。
上記したST3020の真贋判定処理は、第1の態様の制御手段3200と同様に、図113に示したサブルーチンが呼び出されて実行される。この第2の態様の制御手段3200においても、図113に示した真贋判定処理のサブルーチンのST3152における比較処理において、投入された紙幣が真券であると判別したときにときには、投入された紙幣の金種データと金額データとを、紙幣読取手段3008で読み取った画像データを用いて、文字認識などの処理を施すことによって取得し、取得した金種データと金額データとをRAM3224に記憶させる。これらの情報は、後述するように、PTS端末1700に送信される。
このST3024、及びST3025における紙幣搬送用のモータ3013の正転駆動処理は、紙幣が、装置本体3002の紙幣搬送路3003の下流側にある排出口3003aから紙幣収容部3100の受入口3103に搬入され、前記一対のベルト3150が、搬入される紙幣の両側表面に接触して安定して、押圧待機部3108に案内される駆動量に対応している。すなわち、紙幣の後端が排出検知センサ3018によって検知された後、更に、所定量、紙幣搬送用のモータ3013を正転駆動することで、前記一対のベルト3150は、搬入される紙幣に接触しつつ紙幣送り方向に駆動され、紙幣を安定した状態で押圧待機部3108に案内する。
そして、上記した紙幣搬送用のモータ3013が停止した後、紙幣を載置プレート3105上に載置すべく押圧板3115の駆動処理を実行し(ST3026)、押圧処理が終了すると、押圧板3115は再び待機位置に移動され、その位置で停止される。
また、上述した処理手順のST3021において、挿入された紙幣が真券でないと判別された場合、搬送路開放処理を実行し(ST3051、図110のST300100〜ST3102参照)、その後、紙幣搬送用のモータ3013を逆転駆動し、搬送ローラ対(3014A,3014B)の挟持処理を実行した後、エスクロ位置に待機している紙幣を、紙幣挿入口3005に向けて搬送する(ST3052,ST3053)。
なお、第3の実施の形態の構成では、読取った紙幣が真券でない判別されても、直ちに装置外に排出するのではなく、以下の工程のように、所定回数(3回)、読取処理を繰り返すようにしている。
すなわち、上記ST3053によって紙幣が紙幣挿入口3005に向けて搬送され、挿入検知センサ3007が紙幣挿入口3005に向けて差し戻される紙幣の後端を検知した際、紙幣搬送用のモータ3013の逆転駆動を停止する(ST3054,ST3055)。このとき、上述した紙幣の損傷判別処理で、損傷がない紙幣(ST3059、No)であれば、紙幣の真贋判定処理が3回実施されたか否かを判別し(ST3060)、真贋判定処理が3回実施されていなければ(ST3060、No)、上述したST3005以降の処理を実行する(このリトライ処理は2回実行される)。そして、真贋判定処理が3回実施されていれば(ST3060、Yes)、その紙幣については、これ以上、真贋判定処理を実施することなく、排出処理を行う。
この排出処理は、前記ローラ昇降用モータ3070を駆動することで、前記ST3052において紙幣を挟持した状態となっている搬送ローラ対(3014A,3014B)を離間させることで実行される(ST3056)。そして、その後、搬送路閉鎖処理を実施する(ST3057,図112のST3130〜ST3132参照)と共に、押圧板3115の駆動用のモータ3020を所定量正転駆動して(ST3058)、初期位置にある押圧板3115を待機位置に駆動する。
上述したST3026の処理又はST3058の処理を実行した後、図114に示す情報出力処理のサブルーチンを呼び出して実行する(ST3070)。
図114は、PTS端末1700に各種の情報を出力する処理のサブルーチン示すフローチャートである。
最初に、紙幣の真贋判定の結果が真券であるか否かを判断する(ステップST71)。紙幣の真贋判定の結果は、上述した図113に示したサブルーチンを実行することによって得ることができる。
紙幣の真贋判定の結果が真券であると判別したとき(YES)には、紙幣の金種を示す金種データと、金額を示す金額データとを、I/Oポート3240を介して、PTS端末1700に出力し(ステップST72)、本サブルーチンを終了する。ここで、紙幣の金種とは、USドル紙幣や円紙幣や香港ドル紙幣などの紙幣を発行したり管理したりする国や政府や中央銀行や地域などを含む紙幣の属性を示す紙幣属性情報からなる。また、金額は、その紙幣の属性によって定まる通貨単位に対応した金額である。通貨単位は、例えば、USドルや円などがある。
紙幣の真贋判定の結果が偽券であると判別したとき(NO)には、投入された紙幣が偽券であることを示すエラー情報を、I/Oポート3240を介して、PTS端末1700に出力し(ステップST73)、本サブルーチンを終了する。
このように、金種を示す金種データと金額を示す金額データとをPTS端末1700に送信することによって、PTS端末1700は、紙幣処理装置3001に投入された紙幣の金種データと金額データとを取得することができ、これらのデータに基づいて、クレジットの変換や、そのときにおける為替レートに応じた両替などの各種の処理を実行することができる。
なお、上述したように、損傷があると判別された紙幣については、読取動作中に紙幣搬送用モータ3013を逆転駆動することで、紙幣挿入口3005から直ちに排出処理が実行され(ST3053〜ST3055)、その後、ST3060の合計3回の真贋判定処理を実施することなく(ST3059、Yes)、そのまま、排出処理を行って、一連の処理を終了させるようにしている(ST3056〜ST3058)。
上記した構成の紙幣処理装置によれば、紙幣が紙幣搬送機構3006によって搬送されて、紙幣読取手段3008を通過して読取が終了する前までに、紙幣判別処理部3230において紙幣の先端領域(先端から20mmの範囲内)に損傷があるか否かを判別し、その判別結果によって紙幣搬送機構3006のモータ3013を駆動制御するため、損傷のある紙幣を装置下流へ向けて搬送することがなくなり、これにより紙幣の搬送不良が防止することが可能となる。
特に、上記した第3の実施の形態では、紙幣の先端領域に折れ、更には、欠けのような損傷があったと判別された場合、以後の読取処理を実施することなく、紙幣を紙幣挿入口3005側に向けて搬送するため、紙幣が引抜防止部材3170を通過する前までに、確実に損傷のある紙幣を紙幣挿入口3005側に向けて差し戻すことができ、より確実に紙幣の搬送不良を防止することができる。すなわち、紙幣が逆向きに搬送された際、引っ掛かり等が生じ易い引抜防止部材3170を通過する前に、損傷の判別処理を実行し、損傷のある紙幣を戻すようにしているため、より確実に紙幣の搬送不良が防止されるようになる。
また、紙幣の読取処理については、搬送された紙幣の搬送路幅方向全体の範囲を読取るラインセンサを利用するため、紙幣が搬送路の幅方向のいずれかの位置に片寄って搬送された場合でも、紙幣の損傷を確実に検出することが可能となる。
特に、紙幣処理装置3001を、大きさ(幅)が異なる各種の金種の紙幣を投入できるようにした場合に、幅の狭い紙幣は、搬送路の幅方向のいずれかの位置に片寄って搬送される場合もあり得る。このような場合であっても、紙幣処理装置3001は、紙幣の損傷を確実に検出することができ、各種の金種に対応した紙幣処理装置3001を提供することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することが可能である。
本発明は、挿入された紙幣の先端部分に折れや欠け等の損傷が生じている場合、それを検知して、装置の下流側に搬送させないように制御することに特徴があり、それ以外の構成については、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。例えば、紙幣の読取手段3008や引抜防止部材3170の構成、配設位置等については、適宜、変形することが可能である。また、紙幣に損傷が生じているか否かの判別手法についても、紙幣読取手段の構成に応じて適宜変形することが可能である。
本発明は、例えば、紙幣が挿入されたことで、商品やサービスを提供する各種の装置に組み込むことが可能である。
また、上述した第1の損傷判別処理又は第2の損傷判別処理では、紙幣を所定の長さ読取ったか否かを判断する。この判断は、紙幣の読取りが終了したときに、基準データ記憶部3234に記憶されている基準データと、比較判定部3235で得られた紙幣の形状データとを比較する。したがって、基準データ記憶部3234に、金種に応じて各種の紙幣の形状データを記憶させておくことで、投入された紙幣の種類を判別することができる。また、形状データとしては、紙幣の長さだけでなく、紙幣の幅なども含まれる。
例えば、通貨単位が円の場合には、1000円札、2000円札、5000円札及び10000円札の4種類がある。これらの紙幣に応じた形状データを基準データ記憶部3234に記憶させておき、投入された紙幣の形状データと比較することによって、紙幣の種類を金種ごとに判別することができる。上述したように、金種データと金額データとは、紙幣読取手段3008で読み取った画像データを用いて、文字認識などの処理を施すことによって取得する。このように画像データから取得した金種データ及び金額データが、形状データを比較した結果と一致するか否かを判断することによって、金種と金額との判別の精度を高めることができる。
また、基準データ記憶部3234に記憶させた紙幣の長さのいずれにも一致しない場合には、紙幣処理装置3001で対応してない紙幣又は偽札であると判別することができる。
<<<第3の態様の制御手段3200>>>
次に、上述した紙幣搬送機構3006、紙幣読取手段3008等の駆動部材の駆動を制御する制御手段3200について、図123のブロック図を参照して説明する。
図123のブロック図に示す制御手段3200は、上記した各駆動装置の動作を制御する制御基板3210を備えており、この制御基板3210上には、各駆動装置の駆動を制御すると共に、紙幣識別手段を構成するCPU(Central Processing Unit)3220と、ROM(Read Only Memory)3222と、RAM(Random Access Memory)3224と、真贋判定部3230とが実装されている。
前記ROM3222には、紙幣搬送機構用のモータ3013、押圧板駆動用のモータ3020、スキュー補正機構用のモータ3040、ローラ昇降用のモータ3070等、各種駆動装置の作動プログラムや、真贋判定部3230における真贋判定プログラム等の各種プログラム等、恒久的なデータが記憶されている。
前記CPU3220は、ROM3222に記憶されている前記プログラムに従って作動して、I/Oポート3240を介して上述した各種駆動装置との信号の入出力を行い、紙幣処理装置の全体的な動作制御を行う。すなわち、CPU3220には、I/Oポート3240を介して、紙幣搬送機構用のモータ3013、押圧板駆動用のモータ3020、スキュー補正機構用のモータ3040、ローラ昇降用のモータ3070が接続されており、これらの駆動装置は、ROM3222に格納された作動プログラムに従って、CPU3220からの制御信号により動作が制御される。また、CPU3220には、I/Oポート3240を介して、挿入検知センサ3007、可動片通過検知センサ3012、排出検知センサ3018からの検知信号が入力されるようになっており、これら検知信号に基づいて、上記した各種駆動装置の駆動制御が行われる。
さらに、CPU3220には、I/Oポート3240を介して、上述した紙幣読取手段3008における受光部3081aから、識別対象物に照射された光の透過光や反射光に基づく検知信号が入力されるようになっている。
さらに、I/Oポート3240には、上述したPTS端末1700に電気的に接続されている。後述するように、紙幣処理装置3001に投入された紙幣の金種データと金額データとは、I/Oポート3240を介して、PTS端末1700に送信される。
前記RAM3224には、CPU3220が作動する際に用いるデータやプログラムが一時的に記憶されると共に、識別対象物である紙幣の受光データ(複数の画素によって構成される画像データ)を取得して一時的に記憶する機能を備えている。
前記真贋判定部3230は、搬送される紙幣について上記した第1の真贋判定処理、及び第2の真贋判定処理を実施し、その紙幣の真贋を識別する機能を有する。この真贋判定部3230は、前記RAM3224に格納された識別対象物の受光データに関し、画素毎に、明るさを有する色情報(濃度値)を含んだ画素情報に変換する変換部3231と、前記変換部3231で変換された画素情報を元にして、搬送された紙幣の印刷長を特定したり、その印刷長に基づいて後述するような補正処理を実施する等、反射光及び透過光から得られる紙幣に関する画像データを処理する機能を備えたデータ処理部3232とを有する。
また、真贋判定部3230は、真正な紙幣に関する基準データを格納した基準データ記憶部3234と、前記データ処理部3232において真贋対象となる紙幣についての各種のデータ処理が施された比較データと、基準データ記憶部3234に格納されている基準データとを比較し、真贋判定の処理を行う比較判定部3235と、を備えている。この場合、前記基準データ記憶部3234には、例えば、上記した第1の真贋判定処理を実施するに際して用いられる真正紙幣に関する画像データや、上記した第2の真贋判定処理において用いられる真正紙幣に関する印刷長の基準値、及びその基準値から許容される許容範囲データ等が記憶されている。
なお、上記した基準データについては、専用の基準データ記憶部3234に記憶させているが、これを上記したROM3222に記憶させておいても良い。また、比較対象時に参照される基準値や許容範囲データについては、予め基準データ記憶部3234に記憶させておいても良いが、例えば、後述する第2の真贋判定処理のように、所定枚数の真券を、紙幣搬送機構3006を通して搬送させながら受光データを取得し、ここから基準値や許容範囲を算出して基準データとして記憶する構成であっても良い。
さらに、CPU3220には、I/Oポート3240を介して、上述した紙幣読取手段3008における第1発光部3080aと、第2発光部3081bが接続されている。これら第1発光部3080a及び第2発光部3081bは、上記したROM3222に格納された動作プログラムに従い、CPU3220からの制御信号によって、発光制御回路3260を介して、点灯間隔、及び消灯が制御される。
次に、本発明の特徴である第2の真贋判定処理の具体的な処理方法の一例について説明する。
上記したように、紙幣読取手段3008は、紙幣搬送機構3006によって搬送された紙幣に対し、前記第1発光部3080a、及び第2発光部3081bから光(赤色光、赤外光)を照射し、その透過光や反射光を受光部(ラインセンサ)3081aで受光して紙幣の読取りを実行する。この読取りに際しては、紙幣の搬送処理が行われている間、所定の大きさを1単位(例えば、搬送方向における1ピクセルが0.508mm)とする多数の画素情報を取得することが可能であり、このようにして取得された多数の画素(複数の画素)によって構成される画像データは、RAM3224などの記憶手段に記憶される。なお、ここで記憶される多数の画素によって構成される画像データは、変換部3231によって、画素毎に、明るさを有する色情報(濃度値に応じて0から255の数値(0:黒〜255:白)が割り当てられた色情報)を含んだ情報に変換される。
このように、ラインセンサで得られた画像を、変換部によって明るさを有する色情報(濃度値)を含む画素情報に変換することで、搬送される紙幣の一方の面と、他方の面の印刷長を実測することが可能となる。例えば、図124に示すように、紙幣を搬送(D1方向への搬送)する際、非印刷領域から印刷領域に移行すると、印刷領域では画素情報の濃度値は低くなる。従って、幅方向D2における平均の画素情報の濃度値を測定し、その変位する位置を閾値を設定して検出することで、紙幣両面について、所定の領域の印刷長R(ここでは、長手方向に亘る全ての印刷領域が該当する)に関する実測データを取得することが可能となる。
そして、上記したように得られる紙幣両面の実測データを利用して、所定枚数の真券の紙幣を基に、基準値、及びその基準値に対する許容範囲を設定することが可能である。これは、真券の紙幣であっても、印刷時のズレなどの影響により多少の偏差が生じていることから、まず、多数の紙幣を参照して基準値を定めておき、その基準値から、本物であると許容される許容範囲について設定することとしている。
ここでは、統計的な見地に基づいて、基準値及び許容範囲を設定する例について説明する。
例えば、真券の紙幣50枚を紙幣読取手段3008で読取り、その長さについて実測データを取得する。図125は、真券紙幣50枚の一方の面における実測データ例を示しており、その長さ(X)は、画素数(1ピクセル;0.508mm)によって特定されている。このようにして得られる実測データから平均値(μ)を取得し、各紙幣の印刷領域の長さの偏差(X−μ)を算出すると共に、その分散((X−μ)2の平均)を算出する。そして、得られた分散から、標準偏差(σ)を取得することで、その許容範囲を設定することが可能である。
すなわち、紙幣の印刷領域の基準値については、多数の真券の紙幣の平均値(μ)によって特定することで、印刷領域のバラツキの基準となる値を特定することができ、その特定された基準値から、本実施形態では、±3σの範囲を許容範囲として設定するようにしている。もちろん、許容範囲については、偽造券の精度を考慮して任意に設定することが可能である。
図125に示す表の例示では、真券の紙幣50枚の所定の印刷長の平均値(μ)、すなわち基準値は264.36、分散は10.27、標準偏差は3.20と算出されるため、この平均値、及び標準偏差(単位はピクセル)が、基準データ(辞書データ)として、上記した基準データ記憶部3234に記憶される。そして、このような基準データについては、もう一方の面についても実行され、紙幣の両面について、所定の印刷領域について印刷長に関する基準値及び許容範囲が特定される。
図126は、上記したような手法で導き出される分散状態を示したグラフであり、基準値である(μ)を中心として、(μ±3σ)を許容範囲R1として設定してある。
次に、実際に紙幣が搬送されて、第2の真贋判定処理で紙幣の真贋を識別する際には、まず、その紙幣読取手段3008を通過する紙幣の両側から、上記した手順と同様な手順によって、紙幣の両面について実測データを取得する。
実測したデータについて、両面が共に、図126に示すグラフの許容範囲R1(両面それぞれに設定されている)に存在すれば、その紙幣は真正と判定される。また、一方の面の実測データが、上記した許容範囲R1に存在しなければ、その紙幣については、真偽が疑わしいことから、その裏面の実測データについて、補正処理を施す。これは、例えば、搬送された紙幣が、水分などの影響により収縮しているようなケースでは、本物の紙幣であっても、実測データ(表面とする)が、図126のグラフの点P1のような位置にあることが考えられる。或いは、実測データが、このような点P1に位置していれば、それは偽造に基づいて印刷長が短くなっているケースも考えられる。
この場合、本物の紙幣であれば、水分等を含んだ後に乾燥したなどの影響によって収縮が生じていると、裏面の印刷領域も同様に収縮していることから、表面の実測データに基づいて裏面の実測データについて補正処理を行い、その補正した実測データが上記した許容範囲R1に存在していれば、それは真正と判定することが可能となる。もちろん、表面のみの実測データが短いような偽物の紙幣であれば、補正処理を実施すると、裏面の実測データは、許容範囲R1から外れることとなる。
上記した例を参照して具体的に説明すると、表面の実測データが、例えば、図126に示すグラフの点P1や点P2で示す領域にあった場合、表面の補正値(r)を算出する。この表面の補正値(r)は、例えば、[1+(l−μ)/μ]によって導き出すことができる(l;表面の印刷領域の実測値、μ;表面の印刷領域の平均値)。
そして、得られた補正値(r)に対し、裏面の印刷領域の実測値(L)との間で、除算処理(L)/(r)を実施することで、裏面についての実測データに関する補正値(r´)を導き出すことができ、この裏面についての実測データに関する補正値(r´)が、裏面について予め設定されている許容範囲R1(μ±3σ)に存在すれば、それは、表面と同様に収縮したものと評価して、真正と判定される。そして、この補正処理において、裏面の補正値が許容範囲R1から逸脱していれば、それは偽物と判定される。
なお、上記したような補正処理については、一方の面の実測データが、許容範囲R1以外のとき実施すれば良いが、許容範囲R1以下(図126のグラフの点P1で示される領域)となったときにのみ実施するようにしても良い。すなわち、通常、紙幣は膨張して伸びるようなケースは殆どないと考えられることから、許容範囲R1以外であっても、それが許容範囲R1以上(図126のグラフの点P2で示される領域)であるような場合、それは直ちに偽物であると判定するようにしても良い。このように構成することで、補正処理を簡略化することが可能となる。
次に、上述した制御手段3200によって実行される紙幣処理装置3001における紙幣の処理動作について、図107、図108、図127、図110〜図112、図128のフローチャートに従って説明する。
操作者が紙幣を紙幣挿入口3005に挿入する際、紙幣挿入口の近傍に設置される搬送ローラ対(3014A,3014B)は、初期状態において離間した状態にある(後述するST3016,ST3056参照)。また、押圧板3115は、押圧板3115を駆動する一対のリンク部材3115a,3115bが押圧待機部3108に位置しており、紙幣が一対のリンク部材3115a,3115bによって受入口3103から押圧待機部3108に搬入できない待機位置に設定されている。すなわち、この状態では、一対の規制部材3110の間に形成された開口部に押圧板3115が入り込んでいるため、開口部を介して紙幣収容部内に収容されている紙幣を抜き取ることができない状態となっている。
さらに、搬送ローラ対(3014A,3014B)の下流側に位置するスキュー補正機構3010を構成する一対の可動片3010Aは、初期状態において、あらゆる紙幣の引き抜きができないように最小幅(例えば一対の可動片3010Aの間隔が52mm;後述するST3015,ST3057参照)に移動した状態にある。
上記した搬送ローラ対(3014A,3014B)の初期状態では、皺のある紙幣であっても、操作者は容易に挿入することができる。そして、挿入検知センサ3007によって紙幣の挿入が検知されると(ST3001)、上述した押圧板3115の駆動用のモータ3020を所定量逆転駆動し(ST3002)、押圧板3115を初期位置に移動させる。すなわち、挿入検知センサ3007によって紙幣の挿入が検知されるまでは、前記押圧板3115は、一対の規制部材3110の間に形成された開口部に移動された状態となっており、開口部を介して紙幣が通過できないように設定されている。
押圧板3115が待機位置から初期位置に移動されると、押圧待機部3108は開放状態となり(図104参照)、紙幣は、紙幣収容部3100内に搬入可能な状態となる。すなわち、モータ3020を所定量逆転駆動することで、押圧板3115は、本体側ギヤトレイン3021、及び押圧板駆動機構3120(収容部側ギヤトレイン3124、可動部材3122に形成されるラック、及びリンク部材3115a,3115b)を介して、前記待機位置から初期位置に移動される。
また、上述したローラ昇降用モータ3070を駆動し、上側の搬送ローラ3014Aを下側の搬送ローラ3014Bに当接するように移動させる。これにより、挿入された紙幣は搬送ローラ対(3014A,3014B)によって挟持される(ST3003)。
次いで、紙幣搬送路の開放処理が成される(ST3004)。この開放処理は、図110に示すフローチャートに示すように、述したスキュー補正機構用のモータ3040を逆転駆動することで、一対の可動片3010Aを互いに離間する方向に駆動することで成される(ST3100)。このとき、一対の可動片3010Aの位置を検知する可動片検知センサによって、一対の可動片3010Aが所定位置(最大幅位置)に移動したことが検知されると(ST3101)、モータ3040の逆転駆動が停止される(ST3102)。この搬送路開放処理により、一対の可動片3010A内に紙幣が進入できる状態になっている。なお、このST3004の前段階では、紙幣搬送路3003は、後述する搬送路閉鎖処理(ST3015,ST3057)によって閉鎖された状態にあるが、このように、紙幣挿入前に紙幣搬送路3003を閉じておくことで、例えば、不正目的などで紙幣挿入口から板状の部材を挿入して、ラインセンサなどの素子を破損させることを防止することができる。
次いで、紙幣搬送用のモータ3013が正転駆動される(ST3005)。紙幣は、搬送ローラ対(3014A,3014B)によって装置内部に搬送され、スキュー補正機構3010よりも下流側に配設されている可動片通過検知センサ3012が紙幣の先端を検知すると、紙幣搬送用のモータ3013は停止される(ST3006,ST3007)。このとき、紙幣は、スキュー補正機構3010を構成する一対の可動片3010A間に位置している。
引き続き、上述したローラ昇降用モータ3071を駆動し、紙幣を挟持した状態となっている搬送ローラ対(3014A,3014B)を離間させる(ST3008)。このとき、紙幣には、何等、負荷が作用していない状態となる。
そして、この状態でスキュー補正作動処理を行う(ST3009)。このスキュー補正作動処理は、上述したスキュー補正機構用のモータ3040を正転駆動することで、一対の可動片3010Aを互いに接近する方向に駆動することで成される。すなわち、このスキュー補正作動処理は、図108のフローチャートに示すように、上述したモータ3040を正転駆動することで、一対の可動片3010Aを、互いに接近する方向に移動する(ST3110)。この可動片の移動は、制御手段における基準データ記憶部に登録されている紙幣の最小幅(例;幅62mm)となるまで実行され、これにより、紙幣は、両側に当て付く可動片3010Aによって、スキューが補正され、正確な中心位置となるように位置決めされる。
上述したようなスキュー補正作動処理が終了すると、引き続き、搬送路開放処理が実行される(ST3010)。これは、上述したスキュー補正機構用のモータ3040を逆転駆動することで、一対の可動片3010Aを離間する方向に移動することで成される(図110のST3100〜ST3102参照)。
続いて、上述したローラ昇降用モータ3070を駆動し、上側の搬送ローラ3014Aを下側の搬送ローラ3014Bに当接するように移動させ、紙幣を搬送ローラ対(3014A,3014B)に挟持させる(ST3011)。その後、紙幣搬送用のモータ3013を正転駆動して紙幣を装置内部に向けて搬送し、紙幣が紙幣読取手段3008を通過する際に、紙幣の読取処理を開始する(ST3012,ST3013)。
紙幣の読取処理においては、図115のタイミングチャートに示すように、上記した第1発光部3080a及び第2発光部3081bにおける赤色光と赤外光の透過用の光源と、赤色光と赤外光の反射用の光源からなる4つの光源が、一定の間隔で点灯、消灯を繰り返し、しかも、各光源の位相を重ねることなく、2つ以上の光源が同時に点灯することがないように点灯制御する。換言すれば、ある光源が点灯しているときには、他の3つの光源は消灯するように点灯制御する。これにより、本実施形態のように、1つの受光部3081aであっても、各光源の光を一定間隔で検出し、赤色光の透過光及び反射光、赤外光の透過光及び反射光による識別対象物の印刷領域の濃淡データからなる画像を読取ることができる。
そして、搬送される紙幣が紙幣読取手段3008を通過して、紙幣の後端が、可動片通過検知センサ3012によって検知されると(ST3014)、紙幣搬送路3003の閉鎖処理が実行される(ST3015)。この処理においては、まず、図112のフローチャートに示すように、紙幣の後端が、可動片通過検知センサ3012によって検知された後、上述したモータ3040を正転駆動することで、一対の可動片3010Aを、互いに接近する方向に移動する(ST3130)。次に、可動片検知センサによって、可動片3010Aが所定位置(最小幅位置、例えば52mm)に移動したことが検知されると(ST3131)、モータ3040の正転駆動が停止される(ST3132)。
この搬送路閉鎖処理により、一対の可動片3010Aは、挿入可能なあらゆる紙幣の幅よりも狭い最小幅位置(幅52mm)に移動されており、これにより、紙幣の引き抜きを効果的に防止するようにしている。すなわち、このような紙幣搬送路の閉鎖処理を実行することで、挿入された紙幣の幅よりも、可動片3010A間の距離が狭くなり、操作者が不正目的で紙幣を挿入口方向に向けて引き抜く等の行為を効果的に防止することが可能となる。
なお、この状態で、上述した可動片検知センサが、可動片3010Aの移動を検知した際、操作者が何らかの不正行為を行っているとみなし、所定の処理を実行するようにしても良い。例えば、紙幣処理装置の動作を管理する上位装置に対して不正操作信号(異常検知信号)を送信したり、紙幣処理装置に報知ランプを設けておき、これを点滅させたり、その後に操作者によって入力される入力受付(ST3061)の処理を有効化することなく、強制的に排出動作を行う等の処理を実行しても良い。或いは、紙幣処理装置の動作を無効(例えば、処理の停止処理、紙幣の排出処理など)にする等、適正な処理を行うようにしても良い。
また、上記した搬送路閉鎖処理(ST3015)に引き続いて、上述したローラ昇降用モータ3070を駆動し、紙幣を挟持可能な状態となっている搬送ローラ対(3014A,3014B)を離間させる搬送ローラ対離間処理が行われる(ST3016)。この搬送ローラ対離間処理を行うことで、操作者が誤って紙幣を追加投入(二重投入)しても、紙幣は、搬送ローラ対(3014A,3014B)による送り動作を受けることはなく、また、ST3015において接近した状態にある一対の可動片3010Aの前端に突き当たることから、紙幣の二重投入動作を確実に防止することができる。
上記した紙幣搬送路の閉鎖処理と共に、紙幣読取手段3008が紙幣の後端までデータを読取ると、紙幣搬送用のモータ3013を予め特定された所定量だけ駆動し、紙幣を所定位置(エスクロ位置;紙幣読取手段3008の中心位置から13mm紙幣が下流側に搬送された位置とされる)で停止させ、このときに、上述した制御手段3200の真贋判定部3230において、基準データ記憶部3234に記憶されている基準データを参照し、比較判定部3235で紙幣の真贋判定処理を実行する(ST3017〜ST3020)。
この真贋判定処理においては、まず、図128のフローチャートに示すように、上述した第1の真贋判定処理が実行される(ST3450)。この第1の真贋判定処理において、紙幣が本物と判定された場合(ST3451、Yes)、以下のような第2の真贋判定処理、すなわち、印刷長を基にした真贋判定処理が実施され、第1の真贋判定処理において、紙幣が偽物と判定された場合(ST3451、No)、第2の真贋判定処理を実行することなく、偽物と判定して処理を終了する(ST3457)。
第2の真贋判定処理においては、まず、紙幣読取手段3008によって、紙幣の両面における所定の印刷領域の長さ(両面の実測データ)が検出される(ST3452)。次いで、一方の面(表面とする)の実測データが、例えば、図126のグラフに示したような表面で設定されている許容範囲R1に存在するか否かが判断される(ST3453)。一方の面の実測データが許容範囲R1に存在すれば(ST3453、Yes)、引き続き他方の面(裏面)の実測データについても、同様にして、図126のグラフに示したような裏面で設定されている許容範囲R1に存在するか否かが判断される(ST3456)。そして、他方の面の実測データが許容範囲R1に存在すれば(ST3456、Yes)、その紙幣は真正であると判定する(ST3458)。
一方、上記したST3453において、一方の面(表面とする)の実測データが、表面で設定されている許容範囲R1に存在しなければ(ST3453、No)、その表面について、例えば、上述した手法に従って補正値(r)を算出する(ST3454)。そして、得られた表面の補正値(r)に基づいて、裏面の印刷領域の実測値について補正処理を行い(ST3455)、この補正された実測値に基づいて、それが許容範囲にあるか否かが判断される(ST3456)。この裏面についての実測データについて補正された値が、裏面について予め設定されている許容範囲R1に存在すれば、それは表面と同様に伸縮したものと評価し、真正と判定される(ST3456、Yes,ST3458)。これに対し、この補正処理において、裏面の補正された値が許容範囲R1から逸脱していれば、それは偽物と判定される(ST3456、No,ST3457)。
上述したST3458の処理において、紙幣が真正であると判定したときには、投入された紙幣の金種データと金額データとを、紙幣読取手段3008で読み取った画像データを用いて、文字認識などの処理を施すことによって取得し、取得した金種データと金額データとをRAM3224に記憶させる。これらの情報は、後述するように、PTS端末1700に送信される。
以上のような、紙幣の印刷領域の印刷長に基づく真贋判定処理を実施することで、紙幣の真贋判定の精度をより高めることが可能になると共に、紙幣が真正であって伸長が生じたようなケースであっても、適切に真贋の判定処理を行うことが可能となる。
そして、上記したST3020の真贋判定処理において、紙幣が真券であると判定されると(ST3021;Yes)、操作者の入力を受付ける(ST3061)。これは、操作者が、サービスの提供(例えば、ゲーム装置であればゲーム開始に伴う受付処理)を受入れるべく、受入ボタンを押下する受入操作、及び、挿入した紙幣の返却処理を行うべく、返却ボタンを押下する処理が該当する。
そして、各種サービスの提供を受入れる操作が入力されると(ST3062;Yes)、引き続き、この状態で紙幣搬送用のモータ3013を正転駆動し、紙幣を、紙幣収容部3100に向けて搬送する(ST3022)。
このST3022の処理における紙幣の搬送に際しては、紙幣の後端が排出検知センサ3018によって検知されるまでは紙幣搬送用のモータ3013は正転駆動され(ST3023)、紙幣の後端が排出検知センサ3018によって検知されてから、紙幣搬送用のモータ3013は所定量だけ正転駆動される(ST3024,ST3025)。
このST3024、及びST3025における紙幣搬送用のモータ3013の正転駆動処理は、紙幣が、装置本体3002の紙幣搬送路3003の下流側にある排出口3003aから紙幣収容部3100の受入口3103に搬入され、前記一対のベルト3150が、搬入される紙幣の両側表面に接触し、安定して押圧待機部3108に案内される駆動量に対応している。すなわち、紙幣の後端が排出検知センサ3018によって検知された後、更に、所定量、紙幣搬送用のモータ3013を正転駆動することで、前記一対のベルト3150は、搬入される紙幣に接触しつつ送り方向に駆動され、紙幣を安定した状態で押圧待機部3108に案内する。
そして、上記した紙幣搬送用のモータ3013が停止した後、紙幣を載置プレート3105上に載置すべく押圧板3115の駆動処理を実行し(ST3026)、押圧処理が終了すると、押圧板3115は再び待機位置に移動され、その位置で停止される。
また、上述した処理手順のST3021において、挿入された紙幣が真券でないと識別された場合、或いは、操作者によって返却ボタンが押下された場合(ST3062;No)、搬送路開放処理を実行し(ST3051、図110のST3100〜ST3102参照)、その後、紙幣搬送用のモータ3013を逆転駆動し、搬送ローラ対(3014A,3014B)の挟持処理を実行した後、エスクロ位置に待機している紙幣を、紙幣挿入口3005に向けて搬送する(ST3052,ST3053)。そして、挿入検知センサ3007が、紙幣挿入口3005に向けて差し戻される紙幣の後端を検知した際に、紙幣搬送用のモータ3013の逆転駆動を停止すると共に、上述したローラ昇降用モータ3070を駆動し、紙幣を挟持した状態となっている搬送ローラ対(3014A,3014B)を離間させる(ST3054〜ST3056)。その後、搬送路閉鎖処理を実施(ST3057,図112のST3130〜ST3132参照)すると共に、押圧板3115の駆動用のモータ3020を所定量正転駆動することで(ST3058)、初期位置にある押圧板3115を待機位置に駆動し、一連の処理が終了する。
上述したST3026の処理又はST3058の処理を実行した後、図114に示す情報出力処理のサブルーチンを呼び出して実行する(ST3070)。
図114は、PTS端末1700に各種の情報を出力する処理のサブルーチン示すフローチャートである。
最初に、紙幣の真贋判定の結果が真券であるか否かを判断する(ステップST71)。紙幣の真贋判定の結果は、上述した図113に示したサブルーチンを実行することによって得ることができる。
紙幣の真贋判定の結果が真券であると判別したとき(YES)には、紙幣のを示す金種データと、金額を示す金額データとを、I/Oポート3240を介して、PTS端末1700に出力し(ステップST72)、本サブルーチンを終了する。ここで、紙幣の金種とは、USドル紙幣や円紙幣や香港ドル紙幣などの紙幣を発行したり管理したりする国や政府や中央銀行や地域などを含む紙幣の属性を示す紙幣属性情報からなる。また、金額は、その紙幣の属性によって定まる通貨単位に対応した金額である。通貨単位は、例えば、USドルや円などがある。
紙幣の真贋判定の結果が偽券であると判別したとき(NO)には、投入された紙幣が偽券であることを示すエラー情報を、I/Oポート3240を介して、PTS端末1700に出力し(ステップST73)、本サブルーチンを終了する。
このように、金種を示す金種データと金額を示す金額データとをPTS端末1700に送信することによって、PTS端末1700は、紙幣処理装置3001に投入された紙幣の金種データと金額データとを取得することができ、これらのデータに基づいて、クレジットの変換や、そのときにおける為替レートに応じた両替などの各種の処理を実行することができる。
上記した構成の紙幣処理装置3001によれば、紙幣の印刷長に基づいた真贋判定処理を実行するため、真贋判定精度の向上が図れると共に、そのような印刷長に基づいた真贋判定処理を実行するに際して、紙幣に伸縮が発生したような場合であっても、正確に真贋判定が行えるようになる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することが可能である。
本発明は、上記したように紙幣の両面から印刷領域を特定して長さ情報(実測データ)を取得し、この実測データに基づいて(必要であれば補正処理が施される)紙幣の真贋の識別を行うこと(第2の真贋判定処理)に特徴があり、それ以外の構成については、上記した実施の形態に限定されることはない。このため、上記した第1の真贋判定処理における具体的な識別方法、紙幣読取手段の構成(ラインセンサ以外の構成であっても良い)、及び各種駆動部材を駆動するための機構については、適宜変形することが可能である。
また、上記した長さデータの取得方法、及び取得する領域(長さ)については、適宜変更することが可能である。例えば、紙幣の透かしが形成されている領域のみの長さデータを取得するような構成であっても良い。
さらに、印刷領域の実測データの許容範囲や、その許容範囲の設定方法についても、様々な手法を用いることができる。例えば、上記した実施形態では、所定枚数の真券を紙幣読取手段3008で読ませ、読取った各紙幣の画像データから統計的な見地に基づいて基準値及び許容範囲を導き出すようにしたが、予め基準値及び許容範囲を設定しておき、これを基準データ記憶部に記憶させておいても良い。
本発明は、例えば、紙幣が挿入されたことで、商品やサービスを提供する各種の装置に組み込むことが可能である。
<<<<第4の実施の形態>>>>
以下、図面を参照しながら、本発明の第4の実施の形態について説明する。
図129から図131は、本発明に係る紙葉類識別装置を紙幣識別装置に適用した例を示す図であり、図129は、全体構成を示す斜視図、図130は、開閉部材を装置本体の本体フレームに対して開いた状態を示す斜視図、そして、図131は、挿入口から挿入される紙幣の搬送経路を概略的に示した右側面図である。
第4の実施の形態の紙幣識別装置4001は、例えば、スロットマシン等の各種の遊技機に組み込み可能に構成されており、装置本体4002と、この装置本体4002に設けられ、多数の紙幣などを積層、収容することが可能な収容部(収容スタッカ;金庫)4100とを備えている。この収容部4100は、装置本体4002に対して着脱可能であっても良く、例えば、図示されていないロック機構が解除された状態で、前面に設けられた取っ手4101を引くことで、装置本体4002から取り外すことが可能となっている。
前記装置本体4002は、図130に示すように、本体フレーム4002Aと、本体フレーム4002Aに対して一端部を回動中心として開閉されるように構成された開閉部材4002Bとを有している。そして、これら本体フレーム4002A及び開閉部材4002Bは、図131に示すように、開閉部材4002Bを本体フレーム4002Aに対して閉じた際、両者の対向部分に紙幣が搬送される隙間(紙幣搬送
路4003)が形成されると共に、両者の前面露出側に、前記紙幣搬送路4003に一致するようにして、紙幣挿入口4005が形成されるよう構成されている。なお、前記紙幣挿入口4005は、紙幣の短い辺側から装置本体4002の内部に挿入できるようにスリット状の開口となっている。
また、前記装置本体4002内には、前記紙幣搬送路4003に沿って、紙幣を搬送する紙幣搬送機構4006と、紙幣挿入口4005に挿入された紙幣を検知する挿入検知センサ4007と、挿入検知センサ4007の下流側に設置され、搬送状態にある紙幣の情報を読取る紙幣読取手段4008と、この紙幣読取手段4008に対して、紙幣を正確に位置決めして搬送するスキュー補正機構4010とが設けられている。
以下、上記した各構成部材について、詳細に説明する。
前記紙幣搬送路4003は、紙幣挿入口4005から奥側に向けて延出しており、その下流側には、紙幣収容部4100に紙幣を排出する排出口4003aが形成されている。
前記紙幣搬送機構4006は、紙幣挿入口4005から挿入された紙幣を挿入方向に沿って搬送可能にすると共に、挿入状態にある紙幣を紙幣挿入口4005に向けて差し戻し搬送可能とする機構である。この紙幣搬送機構4006は、装置本体4002内に設置された駆動源であるモータ4013(図133参照)と、このモータ4013によって回転駆動され、紙幣搬送路4003に紙幣搬送方向に沿って所定間隔おいて配設される搬送ローラ対(4014A,4014B)、(4015A,4015B)、(4016A,4016B)、及び(4017A,4017B)を備えている。
前記搬送ローラ対は、紙幣搬送路4003に一部が露出するように設置されて、いずれも紙幣搬送路4003の下側に設置される搬送ローラ4014B,4015B,4016B及び4017Bがモータ4013によって駆動されるローラとなっており、上側に設置される搬送ローラ4014A,4015A,4016A及び4017Aが、これらのローラに対して従動するピンチローラとなっている。なお、紙幣挿入口4005から挿入された紙幣を最初に挟持して奥側に搬送する搬送ローラ対(4014A,4014B)は、図130に示すように、紙幣搬送路4003の中心位置に1箇所設置されており、その下流側に順次配置される搬送ローラ対(4015A,4015B)、(4016A,4016B)、及び(4017A,4017B)については、紙幣搬送路4003の幅方向に沿って、所定間隔をおいて2箇所設置されている。
また、上記した紙幣挿入口4005の近傍に配置される搬送ローラ対(4014A,4014B)については、通常は、上側の搬送ローラ4014Aが下側の搬送ローラ4014Bから離間した状態となっており、紙幣の挿入が挿入検知センサ4007によって検知されると、上側の搬送ローラ4014Aが下側の搬送ローラ4014Bに向けて駆動され、挿入された紙幣を挟持するようになっている。
また、前記スキュー補正機構4010は、スキューの補正を果たす左右一対の可動片4010A(片側のみ図示)を備えており、スキュー補正機構用のモータ4040を駆動することで、左右一対の可動片4010Aを接近するように移動させ、これにより、紙幣に対するスキューの補正処理が成される。
紙幣処理装置4001には、各種の金種の紙幣が投入される。これらの紙幣の大きさ(長さや幅)が異なる。このため、紙幣挿入口4005から紙幣が傾いて挿入されることも想定される。特に、紙幣の幅が広い紙幣と狭い紙幣とが、紙幣挿入口4005から挿入される場合には、紙幣挿入口4005は、幅が広い紙幣が挿入できるようにされている。したがって、幅の狭い紙幣が紙幣挿入口4005から挿入された場合には、紙幣の搬送方向に対して傾きやすい。このような場合でも、スキュー補正機構4010によって、紙幣の搬送方向に平行になるように、紙幣の姿勢を調整することができる。このようにすることで、大きさが異なる各種の金種の紙幣を投入することができる紙幣処理装置4001を提供することができる。
前記挿入検知センサ4007は、紙幣挿入口4005に挿入された紙幣を検知した際に検知信号を発生するものであり、この検知信号が発せられると、前記モータ4013が正転駆動され、紙幣を挿入方向に向けて搬送する。第4の実施の形態の挿入検知センサ4007は、搬送ローラ対(4014A,4014B)と、スキュー補正機構4010との間に設置されており、光学式のセンサ、例えば、回帰反射型フォトセンサによって構成されているが、それ以外にも、機械式のセンサによって構成されていても良い。
前記紙幣読取手段4008は、スキュー補正機構4010によってスキューが補正された状態で搬送される紙幣について、その紙幣情報を読取り、その有効性(真贋)を識別する。第4の実施の形態では、紙幣読取手段4008は、搬送される紙幣の両面側から光を照射し、その透過光と反射光を受光素子で検知することで読取を行うラインセンサを備えた構成になっている。
第4の実施の形態における真贋識別処理は、その識別精度を高めるように、上記した紙幣読手段を利用して、搬送される紙幣の印刷部分に光を照射し、その透過光及び反射光を受光して、印刷部分における特徴点(識別の対象とされる特徴点の領域、及び、その抽出の仕方については任意である)が真正のものと一致するか否かを識別する構成となっている。
そして、本発明では、このような真贋識別処理を実行するに際し、紙幣に形成された透かし部分についても、真贋判定における識別対象領域としており、後述するように、紙幣読取手段4008で読取った透かし部分における紙幣情報を、二次元画像にして真贋判定を行うようにしている。すなわち、透かし部分については、紙幣の偽造を防止する一つの手段として、特徴付けされている部分であることから、このような透かし領域について二次元画像を取得し、これを真券の紙幣の透かし部分のデータと比較することで、その識別精度をより向上することが可能となる。
また、真正の紙幣には、照射する光の波長(例えば、可視光や赤外光)によって、取得される画像データが異なる領域があることから、第4の実施の形態では、この点に着目し、複数の光源によって異なる波長(例えば、赤色光及び赤外光を照射する)の光を紙幣に照射し、その透過光と反射光を検出することで、真贋の識別精度をより高めるようにしている。すなわち、赤色光と赤外光では、波長が異なることから、波長の異なる複数の光による透過光データや反射光データを紙幣の真贋判定に用いると、真券と偽札との特定領域を通過する透過光や特定領域から反射する反射光では、透過率、反射率がそれぞれ異なるという性質がある。このため、複数の波長の光源を用いることで、紙幣の真贋の識別精度をより高めるようにしている。
なお、具体的な紙幣の真贋識別方法については、紙幣に照射する光の波長や照射領域により、様々な受光データ(透過光データ、反射光データ)を取得できるため、詳細に説明しないが、例えば、紙幣の透かし領域では、異なる波長の光でその領域の画像を見た場合、画像が大きく異なって見えることから、この部分を特定領域とし、当該特定領域における透過光データや反射光データを取得して、予め記憶手段(ROM)に記憶してある真券の同じ特定領域における正規データと比較して、識別対象となる紙幣が真券であるか偽札であるかを識別することが考えられる。このとき、金種に応じて特定領域を定めておき、この特定領域における透過光データや反射光データに所定の重み付けを設定しておき、真贋識別精度のさらなる向上を図ることも可能である。
そして、上記した紙幣読取手段4008は、後述するように、発光部を所定の間隔で点灯制御し、紙幣が通過する際の透過光及び反射光をラインセンサによって検知するものであることから、ラインセンサによって、所定の大きさを1単位とした複数の画素情報に基づいた画像データを取得することが可能となる。
この場合、ラインセンサによって取得される画像データは、後述する変換部によって、画素毎に、明るさを有する色情報を含んだデータに変換される。なお、変換部において変換される明るさを有する画素毎の色情報とは、濃淡値すなわち濃度値(輝度値)に対応するものであって、例えば、1バイト情報として、その濃度値に応じて、0から255の数値(0:黒〜255:白)が各画素に割り当てられている。
このため、上述した真贋識別処理では、紙幣に形成される透かし部分に限定されることはなく、紙幣の様々な領域を抽出し、その領域に含まれる画素情報(濃度値)と、真券の同じ領域の画素情報とを用い、これらを適宜の相関式に代入して演算した相関係数により、真贋を識別することが可能である。或いは、上記した以外にも、透過光データや反射光データから、例えばアナログ波形を生成し、この波形の形状同士の比較で、真贋を識別することも可能である。
ここで、上記した紙幣読取手段4008の構成について、図130及び図131を参照して詳細に説明する。
上記した紙幣読取手段4008は、開閉部材4002B側に配設され、搬送される紙幣の上側に赤外光及び赤色光を照射可能とした第1発光部4080aを具備した発光ユニット4080と、本体フレーム4002A側に配設された受発光ユニット4081とを有している。
この受発光ユニット4081は、紙幣を挟むようにして第1発光部4080aと対向する受光センサを具備した受光部4081aと、受光部4081aの紙幣搬送方向両側に隣接して配設され、赤外光及び赤色光を照射可能とした第2発光部4081bとを有している。
前記受光部4081aと対向配置された第1発光部4080aは透過用の光源として機能する。この第1発光部4080aは、図130に示すように、一端に取り付けたLED素子4080bからの光を、内部に設けた導光体4080cを通して発光する合成樹脂製の矩形棒状体によって構成されている。このような構成の第1発光部は、受光部4081a(受光センサ)と平行にライン状に配設されており、簡単な構成で、搬送される紙幣の搬送路幅方向全体の範囲に対して全体的に均一に照射することが可能となる。
前記受発光ユニット4081の受光部4081aは、紙幣搬送路4003に対して交差方向に伸延し、かつ受光部4081aに設けた図示しない受光センサの感度に影響を与えない程度の幅を有する帯状に形成された薄肉の板状に形成されている。なお、前記受光センサは、受光部4081aの厚み方向の中央に、複数のCCD(Charge Coupled Device)をライン状に設けるとともに、このCCDの上方位置に、透過光及び反射光を集光させるように、ライン状にグリンレンズアレイ4081cを配置した所謂ラインセンサとして構成されている。このため、真贋識別対象となる紙幣に向けて照射された第1発光部4080aや第2発光部4081bからの赤外光や赤色光の透過光あるいは反射光を受光し、受光データとして、その輝度に応じた濃淡データ(明るさの情報を含んだ画素データ)や、この濃淡データから二次元画像を生成することが可能となっている。
また、受発光ユニット4081の第2発光部4081bは反射用の光源として機能する。この第2発光部4081bは、第1発光部4080aと同様、一端に取り付けたLED素子4081dからの光を、内部に設けた導光体4081eを通して全体的に均一に照射可能とした合成樹脂製の矩形棒状体によって構成されている。この第2発光部4081bについても、受光部4081a(ラインセンサ)と平行にライン状に配設して構成されている。
前記第2発光部4081bは、例えば45度の仰角で光を紙幣に向けて照射可能としており、紙幣からの反射光を受光部4081aで受光するように配設されている。この場合、第2発光部4081bから照射された光が受光部4081aへ45度で入射するようにしているが、入射角は45度に限定されるものではなく、紙幣の表面に対して濃淡なく均一に光が照射できれば、その設置状態については適宜設定することができる。このため、第2発光部4081b、受光部4081aの配置については、紙幣処理装置の構造に応じて、適宜設計変更が可能である。また、前記第2発光部4081bについては、受光部4081aを挟んで両サイドに設置して、両側からそれぞれ入射角45度で光を照射するようにしている。これは、紙幣表面に傷や折皺などがある場合、これら傷や折皺部分に生じた凹凸に光が片側からのみ照射された場合、どうしても凹凸の部分においては光が遮られて陰になってしまう箇所が生じることがある。このため、両側から光を照射することにより、凹凸の部分において陰ができることを防止して、片側からの照射よりも精度の高い画像データを得ることを可能としている。もちろん、第2発光部4081bについては、片方のみに設置した構成であっても良い。
なお、上記した発光ユニット4080、受発光ユニット4081の構成や配置などは、本実施形態に限定されるものではなく、適宜変形することが可能である。
また、上記した発光ユニット4080、及び受発光ユニット4081における各第1発光部4080a、及び第2発光部4081bでは、紙幣の読取り時、図132のタイミングチャートに示すように赤外光と赤色光が、所定の間隔で点灯制御される。すなわち、第1発光部4080a及び第2発光部4081bにおける赤色光と赤外光の透過用の光源と、赤色光と赤外光の反射用の光源からなる4つの光源は、一定の間隔(所定の点灯間隔)で点灯、消灯を繰り返し、各光源の位相を重ねることなく、2つ以上の光源が同時に点灯することがないように点灯制御される。換言すれば、ある光源が点灯しているときには、他の3つの光源は消灯するように点灯制御される。これにより、第4の実施の形態のように、1つの受光部4081aであっても、各光源の光を一定間隔で検出し、赤色光の透過光及び反射光、赤外光の透過光及び反射光による紙幣の印刷領域の濃淡データからなる画像を読取ることができ、また、両面の印刷長を測定することが可能となる。この場合、点灯間隔が短くなるように制御することで、解像度を高めることも可能である。
そして、上記したように構成される紙幣読取手段4008において真性と識別された紙幣は、紙幣搬送機構4006によって紙幣搬送路4003の排出口4003aを介して上述した紙幣収容部4100に搬送され、紙幣収容部内に順次、積層、収容される。また、偽物と識別された紙幣は、紙幣搬送機構4006が逆転駆動されることで紙幣挿入口4005側に戻され、紙幣挿入口4005から排出される。
<<<第1の態様の制御手段4200>>>
次に、上述した紙幣識別装置4001の動作を制御する制御手段4200について、図133のブロック図を参照して説明する。
図133のブロック図に示す制御手段4200は、上記した各駆動装置の動作を制御する制御基板4210を備えており、この制御基板4210上には、各駆動装置の駆動を制御すると共に、紙幣識別手段を構成するCPU(Central Processing Unit)4220と、ROM(Read Only Memory)4222と、RAM(Random Access Memory)4224と、真贋判定部4230とが実装されている。
前記ROM4222には、紙幣搬送機構用のモータ4013、スキュー補正機構用のモータ4040等の各種駆動装置の作動プログラムや、真贋判定部4230における真贋判定プログラム等の各種プログラム等、恒久的なデータが記憶されている。
前記CPU4220は、ROM4222に記憶されている前記プログラムに従って作動して、I/Oポート4240を介して上述した各種駆動装置との信号の入出力を行い、紙幣識別装置の全体的な動作制御を行う。すなわち、CPU4220には、I/Oポート4240を介して、紙幣搬送機構用のモータ4013、スキュー補正機構用のモータ4040等の駆動装置が接続されており、これらの駆動装置は、ROM4222に格納された作動プログラムに従って、CPU4220からの制御信号により動作が制御される。また、CPU4220には、I/Oポート4240を介して、挿入検知センサ4007からの検知信号が入力されるようになっており、この検知信号に基づいて、上記した駆動装置の駆動制御が行われる。
さらに、CPU4220には、I/Oポート4240を介して、上述した紙幣読取手段4008における受光部4081aから、紙幣に照射された光の透過光や反射光に基づく検知信号が入力されるようになっている。
さらにまた、I/Oポート4240には、上述したPTS端末1700に電気的に接続されている。後述するように、紙幣処理装置4001に投入された紙幣の金種データと金額データとは、I/Oポート4240を介して、PTS端末1700に送信される。
前記RAM4224には、CPU4220が作動する際に用いるデータやプログラムが一時的に記憶されると共に、紙幣の受光データ(複数の画素によって構成される画像データ)を取得して一時的に記憶する機能を備えている。
前記真贋判定部4230は、搬送される紙幣について真贋識別処理を実施し、その紙幣についての真贋を識別する機能を有する。この真贋判定部4230は、前記RAM4224に格納された紙幣の受光データに関し、画素毎に、明るさを有する色情報(濃度値)を含んだ画素情報に変換する変換部4231と、前記変換部4231で変換された画素情報を元にして、各画素の色情報の補正処理を施す画像補正処理部4231とを有する。
また、真贋判定部4230は、真正な紙幣に関する基準データを格納した基準データ記憶部4233と、前記画像補正処理部4231において真贋対象となる紙幣についての画像の補正処理が施された比較データと、基準データ記憶部4233に格納されている基準データとを比較し、真贋の識別処理を行う識別処理部4235と、を備えている。この場合、前記基準データ記憶部4233には、透かし画像に関し、真贋識別処理を実施するに際して用いられる真正の紙幣に関する画像データ(標準画像)が、所定のパラメータ(xStart,yStart,xsize,ysize)に関連付けされて記憶されている。
なお、上記した基準データ(標準画像を含む)については、専用の基準データ記憶部4233に記憶させているが、これを上記したROM4222に記憶させておいても良い。また、真贋の識別処理時に参照される基準データについては、予め基準データ記憶部4233に記憶させておいても良いが、例えば、所定枚数の真券を、紙幣搬送機構4006を通して搬送させながら受光データを取得し、得られた多数の真券のデータから平均的な値を算出し、これを基準データとして記憶する構成であっても良い。
さらに、CPU4220には、I/Oポート4240を介して、上述した紙幣読取手段4008における第1発光部4080aと、第2発光部4081bが接続されている。これら第1発光部4080a及び第2発光部4081bは、上記したROM4222に格納された動作プログラムに従い、CPU4220からの制御信号によって、発光制御回路4260を介して、点灯間隔、及び消灯が制御される。
上記したように構成される紙幣読取手段(ラインセンサ)によれば、多数の画素情報から二次元的な画像情報を取得することができる。そして、例えば、上記した変換部4232によって変換された各画素の明るさ情報を基にして、真贋の識別をするに際しての対象領域を抽出し、この抽出した画像情報を、基準データと比較することで真贋の識別を行う。この場合、真贋識別対象とされる領域については、紙幣の印刷領域の内、偽造が困難な部分にすることが好ましく、本発明では、紙幣の透かし部分の領域の二次元画像を抽出して、これを基準データと比較することで真贋識別処理を行うようにしている。
ところで、上述したように、紙幣の透かし部分は、紙幣の中央領域に形成されることが多く、そのような紙幣では、折り畳まれると、透かし部分に折れ目が生じてしまうことがある。このような折れ目が生じた紙幣は、上記したようなラインセンサを用いて二次元画像を取得する際、折れ目部分に沿って画素情報に変化が生じてしまい、基準データと比較する上で、支障が生じる可能性がある。このような折れ目部分に沿った画素情報に変化が生じる要因として、受光部4081aにおいて透過光を取得するケースでは、紙幣に照射された光が折れ目部分で屈折して受光部において、全ての透過光量を検知できなかったり、或いは、反射光を取得するケースでは、紙幣に照射した光が折れ目部分で乱反射してしまい、透過光と同様、受光部において、全ての反射光量を検知できないことによるものと考えられる。この結果、真贋識別領域において、折れ目が生じていることで、本来であれば、真券を挿入したにも拘らず、偽物と判定してしまう可能性が生じてしまう。
第4の実施の形態では、真贋識別対象領域(透かし領域とする)に折れ目が生じていても、その折れ目の影響を軽減するようにしている。
以下、折れ目除去処理を含んだ透かし画像に基づく真贋識別処理の手法例について、図134のフローチャート、及び図135〜図136を参照して具体的に説明する。なお、このような透かし画像に基づく真贋識別処理については、それ以外にいくつか存在する紙幣真贋識別処理の中の一つの処理として実行される。
まず、最初に、紙幣読取手段4008において、搬送される紙幣の読取りを行い、その読取った画像から、変換部4232によって、色情報を含む画素情報への変換処理を行う(ST4001)。上記したように、紙幣読取手段4008は、紙幣搬送機構4006によって搬送された紙幣に対し、前記第1発光部4080a、及び第2発光部4081bから光(赤色光、赤外光)を照射し、その透過光や反射光を受光部(ラインセンサ)4081aで受光して紙幣の読取りを実行する。この読取りに際しては、紙幣の搬送処理が行われている間、照射光毎に、所定の大きさを1単位とする多数の画素情報を取得することが可能であり、このようにして取得された多数の画素によって構成される画像データは、RAM4224などの記憶手段に記憶される。そして、ここで記憶される多数の画素によって構成される画像データは、変換部4232によって、画素毎に、明るさを有する色情報(濃度値に応じて0から255の数値(0:黒〜255:白)が割り当てられた色情報)を含んだ情報に変換される。
次いで、このように変換された画素情報から透かし画像領域の抽出処理を行う(ST4002)。これは、例えば、紙幣を搬送する際、印刷領域から透かし画像領域に移行した段階で、画素情報の濃度値が高くなる(白くなる)ことから、その変位する位置を閾値を設定して検出することで、透かし画像領域を抽出することが可能となる。もちろん、透かし画像領域については、得られた画像情報や変換された画像情報に基づいて様々な手法により抽出することが可能である。また、透かし画像を抽出するのに用いられる照射光については、複数の光源の内、透過光の赤色光、赤外光、及び反射光の赤色光、赤外光の内、いずれか(組み合わせでも良い)が用いられる。
搬送された紙幣の透かし画像領域4100に、例えば、図135(a)に示すように、搬送方向に沿って直交する方向(幅方向であり、後述するY方向となる)に折れ目4105が付いていたとすると、変換部4232で変換された色情報を含んだ透かし画像領域における多数の画素情報は、図135(b)に示すように、対応する方向(縦方向であり、この方向をY方向とする)のある位置において、濃度値が、他の領域の縦方向と比較すると低くなった領域が生じている。
なお、図135(b)では、説明を簡単にするために、透かし画像領域4100におけるY方向では12画素分が抽出され、搬送方向(横方向であり、この方向をX方向とする)では7画素分が抽出されたものとしてある。また、図135(a)に示した紙幣の折れ目4105に対応する画素情報については、分かりやすいように、図135(b)では、X=4の位置における縦ラインに沿って濃度値が低いラインが生じているものとして示してある(もちろん、X=3,5のような周囲の位置についても、折れ目による影響はあると考えられる)。また、方向(一方向、及び他方向)については、紙幣の幅方向と長さ方向に対応させているが、そのような方向に限定されることはない。
次に、このようにして得られた透かし画像領域4100における多数の画素情報(透かし画像)について、それぞれの縦ライン(Y方向)、及び横ライン(X方向)の平均濃度値の算出処理を行う(ST4003)。これは、透かし画像の座標[x,y]における濃度値をf[x,y]、各画素における横幅をxsize、縦幅をysizeとすると、座標[x,y]地点における縦ラインの平均濃度、及び横ラインの平均濃度値は、以下の式2によって導き出される。
そして、引き続き、透かし画像領域全面の平均濃度値の算出処理を行う(ST4004)。この平均濃度値は、以下の式3によって導き出される。
上記したような平均濃度値の算出処理によって、変換部4232で得られた色情報を含む多数の画素情報について、縦ラインの平均濃度値(144,121,150…)、横ラインの平均濃度値(105,132,105…)、及び透かし画像全面の平均濃度値(118)が算出される。
そして、図135(b)における各画素の濃度値について、補正処理を行う(ST4005)。これは、上記したように算出された縦ライン、及び横ラインの平均濃度値を、透かし画像領域全面の平均濃度値(118)に一致するように補正処理を行うものであり、座標[x,y]地点における夫々の画素における補正した濃度値については、以下の式4によって導き出される。
上記した式4において、右辺の第2項目括弧内が縦方向折れ目に対する補正成分、第3項目括弧内が横方向折れ目に対する補正成分であり、元画像における濃度値をf[x,y]に、この補正成分を加えることで、縦横方向の折れ目を除去している。すなわち、この補正処理によって、図136(b)に示すように、縦横の画素情報の補正処理が実行され、このような補正処理によって、図136(a)に示すように、透かし画像領域4100において、折れ目が除去された二次元画像を取得することが可能となる。
なお、補正処理については、上記した式4のような加減算ではなく、例えば、以下の式
4のような乗除算を用いることで、各画素の濃度値を補正することも可能である。
上記した式5において、右辺の第2項目括弧内が縦方向折れ目に対する補正成分、第3項目括弧内が横方向折れ目に対する補正成分であり、元画像における濃度値をf[x,y]に、この補正成分を乗することで、縦横方向の折れ目を除去することも可能である。
上記したST4005における各画素の補正処理によって、図135(a)に示した直線状の折れ目4105による影響が低減し、しかも、透かし画像における人物像の特徴は、折れ目除去処理(ST4001〜ST4005)によって消えることはない。
そして、識別処理部4235において、予め基準データ記憶部4233に記憶されている標準画像から、透かし領域の画像を、上記したパラメータを用いて抽出し、これを上記した補正処理により、折れ目が除去された二次元画像との間で特徴量などを比較することで、透かし画像が正しいものかどうかを識別する(ST4006)。
なお、第4の実施の形態の識別処理部4235において実施される比較処理(ST4006)では、図136(b)に示す補正された画像データと、基準データ記憶部4233に記憶されている標準データとの間で、以下の式6で示す相関係数Rを導くことで、真贋を識別するようにしている。
上記した式6において、[i,j]は、紙幣の透かし形成領域の座標に対応するものであり、この紙幣座標[i,j]における識別対象となる紙幣からの取得データの二次元画像の濃度値をf[i,j]、標準データにおける濃度値をs[i,j]、取得データにおける平均濃度をF、標準データの平均濃度値をSとしている。
上記した式6によって導き出される相関係数Rは、公知のように、−1〜+1までの値をとり、+1に近い方(相関係数が高い)が、類似度が高いとされる。このため、導き出される相関係数Rについて所定の閾値を設定しておき、相関係数Rがその閾値以上にあれば真札と判定し(ST4007;Yes、ST4008)、相関係数Rがその閾値よりも低ければ偽札と判定する(ST4007;No、ST4009)。
上記したST4008の真札と判定する処理においては、投入された紙幣の金種データと金額データとを、紙幣読取手段4008で読み取った画像データを用いて、文字認識などの処理を施すことによって取得し、取得した金種データと金額データとをRAM4224に記憶させる。これらの情報は、後述するように、PTS端末1700に送信される。
上述したST4007の処理又はST4008の処理を実行した後、第1の実施の形態の図114に示した情報出力処理のサブルーチンを呼び出して実行する(ST3070)。
図114は、PTS端末1700に各種の情報を出力する処理のサブルーチン示すフローチャートである。
最初に、紙幣の真贋判定の結果が真券であるか否かを判断する(ステップST71)。紙幣の真贋判定の結果は、上述した図134に示したサブルーチンを実行することによって得ることができる。
紙幣の真贋判定の結果が真券であると判別したとき(YES)には、紙幣の金種を示す金種データと、金額を示す金額データとを、I/Oポート4240を介して、PTS端末1700に出力し(ステップST72)、本サブルーチンを終了する。ここで、紙幣の金種とは、USドル紙幣や円紙幣や香港ドル紙幣などの紙幣を発行したり管理したりする国や政府や中央銀行や地域などを含む紙幣の属性を示す紙幣属性情報からなる。また、金額は、その紙幣の属性によって定まる通貨単位に対応した金額である。通貨単位は、例えば、USドルや円などがある。
紙幣の真贋判定の結果が偽券であると判別したとき(NO)には、投入された紙幣が偽券であることを示すエラー情報を、I/Oポート4240を介して、PTS端末1700に出力し(ステップST73)、本サブルーチンを終了する。
このように、金種を示す金種データと金額を示す金額データとをPTS端末1700に送信することによって、PTS端末1700は、紙幣処理装置4001に投入された紙幣の金種データと金額データとを取得することができ、これらの情報に基づいて、クレジットの変換や、そのときにおける為替レートに応じた両替などの各種の処理を実行することができる。
このように、取得される透かし画像の部分的な領域ではなく、透かし画像全体から相関係数を導き出し、真贋を比較することで、さらに精度良く真贋の識別を行うことが可能となる。
以上、第4の実施の形態では、紙幣における偽造防止用の透かし画像の情報(二次元の画像情報)を取得して、これを基準となる透かし画像情報(標準画像)と比較することで、真贋識別の精度を向上することができる。そして、このような真贋識別方法において、透かし画像の部分に折れ目が付いていたとしても、上述したような折れ目除去処理を施すことで、折れ目による影響を低減した適切な二次元画像を取得することが可能となって、精度良く、真贋識別処理を実行することが可能となる。また、折れ目については、幅方向に生じているものについて例示したが、透かし画像領域に、搬送方向に沿った折れ目が付いていたり、皺が生じているようなケースでも、上述した手法により、折れ目や皺を除去して、真贋の識別処理を行うことが可能となる。
なお、上記した画像補正処理部4231における補正処理では、変換部4232で変換された画素毎の透かし画像から、縦方向の画素列毎の平均濃度値と、横方向の画素列毎の平均濃度値と、透かし画像全面の平均濃度値とを算出し、透かし画像全面の平均濃度値に一致するように各画素の濃度値を補正処理しているが透かし画像全面の平均濃度値に厳密に一致させる必要はなく、透かし画像全面の平均濃度値に近似するように補正処理しても、折れ目による影響を除去することは可能である。このため、その近似量については、折れ目の除去程度、及び真贋識別の精度によって、適宜設定することが可能である。
また、上記した第4の実施の形態において、基準データ記憶部4233に記憶されている基準透かし画像(標準画像)についても、識別対象として取得される紙幣の読取データと同様、縦方向の画素列毎の平均濃度値と、横方向の画素列毎の平均濃度値と、透かし画像全面の平均濃度値とを算出し、その透かし画像全面の平均濃度値と近似ないしは一致するように、各画素の濃度値の補正処理を施しておいても良い。
このように、基準となる透かし画像にも、読取られた紙幣の透かし画像と同様な補正処理を施すことで、両者の特徴量を比較する際の関連性が高くなり、より精度良く真贋の識別を行うことが可能となる。
また、上記した構成では、識別処理部4235において、透かし画像補正処理部で補正された画素毎の濃度値、及び、基準データ記憶部4233に記憶されている基準透かし画像の画素毎の濃度値から相関係数を算出し、その相関係数に基づいて、真札か偽札かを判定するようにしているが、識別方法については、様々な手法を用いることが可能である。例えば、補正処理された画像データと、基準となる画像データとの間で、比較される各画素のバラツキ量を算出し、その平均値に基づいて真贋を識別する等、具体的な真贋の識別手法については、適宜変形することが可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することが可能である。
上述したように、本発明では、識別対象となる紙幣の透かし部分の画像情報から折れ目を除去した上で、真札の透かし領域における画像情報と比較して、真贋を識別することに特徴があり、それ以外の構成については、上記した実施の形態に限定されることはない。このため、様々な手法による真贋識別処理の一つの処理として、上述したような手法が用いられていれば良く、さらにそれ以外の真贋識別処理を備えた構成であっても良い。この場合、その他の真贋識別処理との間での実行される優先順位については、限定されることはない。
また、上述した紙幣読取手段4008の構成(ラインセンサ以外の構成であっても良い)、及び各種駆動部材を駆動するための機構については、適宜変形することが可能である。
本発明は、上記した紙幣以外にも、商品券、クーポン券等、紙幣以外の紙葉類の真贋を
識別する各種の装置に組み込むことが可能である。
<<<第1の態様の制御手段4200>>>
次に、上述した紙幣識別装置4001の動作を制御する制御手段4200について、図137のブロック図を参照して説明する。
図137のブロック図に示す制御手段4200は、上記した各駆動装置の動作を制御する制御基板4210を備えており、この制御基板4210上には、各駆動装置の駆動を制御すると共に、紙幣識別手段を構成するCPU(Central Processing Unit)4220と、ROM(Read Only Memory)4222と、RAM(Random Access Memory)4224と、真贋判定部4230とが実装されている。
前記ROM4222には、紙幣搬送機構用のモータ4013、スキュー補正機構用のモータ4040等の各種駆動装置の作動プログラムや、真贋判定部4230における真贋判定プログラム等の各種プログラム等、恒久的なデータが記憶されている。
前記CPU4220は、ROM4222に記憶されている前記プログラムに従って作動して、I/Oポート4240を介して上述した各種駆動装置との信号の入出力を行い、紙幣識別装置の全体的な動作制御を行う。すなわち、CPU4220には、I/Oポート4240を介して、紙幣搬送機構用のモータ4013、スキュー補正機構用のモータ4040等の駆動装置が接続されており、これらの駆動装置は、ROM4222に格納された作動プログラムに従って、CPU4220からの制御信号により動作が制御される。また、CPU4220には、I/Oポート4240を介して、挿入検知センサ4007からの検知信号が入力されるようになっており、この検知信号に基づいて、上記した駆動装置の駆動制御が行われる。
さらに、CPU4220には、I/Oポート4240を介して、上述した紙幣読取手段4008における受光部4081aから、紙幣に照射された光の透過光や反射光に基づく検知信号が入力されるようになっている。
さらにまた、I/Oポート4240には、上述したPTS端末1700に電気的に接続されている。後述するように、紙幣処理装置4001に投入された紙幣の金種データと金額データとは、I/Oポート4240を介して、PTS端末1700に送信される。
前記RAM4224には、CPU4220が作動する際に用いるデータやプログラムが一時的に記憶されると共に、紙幣の受光データ(複数の画素によって構成される画像データ)を取得して一時的に記憶する機能を備えている。
前記真贋判定部4230は、搬送される紙幣について真贋識別処理を実施し、その紙幣についての真贋を識別する機能を有する。この真贋判定部4230は、前記RAM4224に格納された紙幣の受光データに関し、画素毎に、明るさを有する色情報(濃度値)を含んだ画素情報に変換する変換部4231と、真正な紙幣に関する基準データを格納した基準データ記憶部4233と、真贋対象となる紙幣について、前記変換部4231で変換された画像データ(比較データ)と、基準データ記憶部4233に格納されている基準データとを比較し、真贋の識別処理を行う識別処理部4235と、を備えている。
この場合、前記基準データ記憶部4233には、真贋識別処理を実施するに際して用いられる真正の紙幣に関し、透かし部分の画像データ(標準画像)が記憶されている。具体的に、この標準画像は、真正な紙幣の透かし画像領域に光を照射し、その透過光を受光した際に得られる多数の画素による画像データが該当しており、所定のパラメータ(xStart,yStart,xsize,ysize)に関連付けされて記憶されている。
上記した基準データ(標準画像を含む)については、専用の基準データ記憶部4233に記憶させているが、これを上記したROM4222に記憶させておいても良い。また、真贋の識別処理時に参照される基準データ(標準データ)については、予め基準データ記憶部4233に記憶させておいても良いが、例えば、所定枚数の真券を、紙幣搬送機構4006を通して搬送させながら受光データを取得し、得られた多数の真券のデータから平均的な値を算出し、これを基準データとして記憶する構成であっても良い。
さらに、CPU4220には、I/Oポート4240を介して、上述した紙幣読取手段4008における第1発光部4080aと、第2発光部4081bが接続されている。これら第1発光部4080a及び第2発光部4081bは、上記したROM4222に格納された動作プログラムに従い、CPU4220からの制御信号によって、発光制御回路4260を介して、点灯間隔、及び消灯が制御される。
上記したように構成される紙幣読取手段(ラインセンサ)によれば、多数の画素情報から二次元的な画像情報を取得することができる。そして、例えば、上記した変換部4232によって変換された各画素の明るさ情報を基にして、真贋の識別をするに際しての対象領域を抽出し、この抽出した画像情報を、基準データと比較することで真贋の識別を行う。この場合、真贋識別対象とされる領域については、紙幣の印刷領域の内、偽造が困難な部分にすることが好ましく、本発明では、紙幣の透かし部分の領域の二次元画像を抽出して、これを基準データと比較することで真贋識別処理を行うようにしている。
ところで、上述したように、紙幣の透かし部分は、透過光で見たときと反射光で見たときに、明暗が反転するという現象が生じる。本発明は、このような現象に着目しており、搬送される紙幣の片側のみに設置される受光部4081aによって、透かし部分の真贋を識別するようにしている。なお、そのような明暗の反転現象は、特に、使用される光源が近赤外光であるときに明確に確認できることから、第4の実施の形態では、透かし部分を利用して真贋を識別する処理工程においては、複数の光源のうち、透過用の赤外光、反射用の赤外光を照射する光源を利用するようにしている。すなわち、これにより、真贋の識別精度を、より向上することが可能となる。
具体的に、前記変換部4232において透かし画像の反射光によって得られる画素毎の濃度値は、同じ位置で得られる透過光による画素毎の濃度値(この濃度値については、標準データとして基準データ記憶部4233に予め記憶されている)とは相反する関係となっている。このため、両者の画素毎の濃度値から相関係数Rを算出すると、相関係数Rの取り得る範囲である−1≦R≦1の範囲内において、マイナス側にシフトした相関係数(負の相関係数)が得られるようになる。なお、理想値としては、−1の相関係数になると考えられるが、紙幣の汚損、皺、透かしのずれなどの影響により、実際には−1よりも大きい値となる。
従って、両者の所定値以下の閾値を設定しておくことで、透過光と反射光との間で、そのような相反する濃度値になっている関係を導き出すことが可能となり、搬送される紙幣に対し、片方に設置される受光部4081aでも、紙幣に形成される透かしの真贋を識別することが可能となる。
以下、上記した透かし画像に基づく真贋識別処理の手法例について、図138のフローチャート、及び図139〜図141を参照して具体的に説明する。なお、このような透かし画像に基づく真贋識別処理については、それ以外にいくつか存在する紙幣真贋識別処理の中の一つの処理として実行される。
まず、最初に、紙幣読取手段4008において、搬送される紙幣の読取りを行い、その読取った画像から、変換部4232によって、色情報を含む画素情報への変換処理を行う(ST4011)。上記したように、紙幣読取手段4008は、紙幣搬送機構4006によって搬送された紙幣に対し、前記第1発光部4080a、及び第2発光部4081bから光(赤色光、赤外光)を照射し、その透過光や反射光を受光部(ラインセンサ)4081aで受光して紙幣の読取りを実行する。この読取りに際しては、紙幣の搬送処理が行われている間、照射光毎に、所定の大きさを1単位とする多数の画素情報を取得することが可能であり、このようにして取得された多数の画素によって構成される画像データは、RAM4224などの記憶手段に記憶される。そして、ここで記憶される多数の画素によって構成される画像データは、変換部4232によって、画素毎に、明るさを有する色情報(濃度値に応じて0から255の数値(0:黒〜255:白)が割り当てられた色情報)を含んだ情報に変換される。
次いで、このように変換された画素情報から透かし画像領域の抽出処理を行う(ST4012)。これは、例えば、紙幣を搬送する際、印刷領域から透かし画像領域に移行した段階で、画素情報の濃度値が高くなる(白くなる)ことから、その変位する位置を閾値を設定して検出することで、透かし画像領域を抽出することが可能となる。もちろん、透かし画像領域については、得られた画像情報や変換された画像情報に基づいて様々な手法により抽出することが可能である。また、透かし画像を抽出するのに用いられる照射光については、複数の光源の内、透過光の赤色光、赤外光、及び反射光の赤色光、赤外光の内、いずれか(組み合わせでも良い)が用いられる。
次いで、識別処理部4235において、予め基準データ記憶部4233に記憶されている標準データ(透かし画像に関する標準データ)を、上記したパラメータを用いて抽出し、これを、変換部で変換された反射光による画像データとの間で比較処理する(ST4013)。この場合、抽出される標準データは、例えば、図139に示すように、紙幣Mに関する標準画像が基準データ記憶部4233に記憶されていれば、上記したパラメータを用いて、透かし領域4101や、漉き入れマーク形成領域4105の二次元画像となる。
上記したST4013における比較処理(第1の比較処理とする)は、透かしの有無を判定するための処理であり、搬送される紙幣から取得した透過光による透かし領域の画像情報と、標準画像の透かし領域の透過光による画像情報との間で、以下の式7で示す相関係数Rを導くことで、搬送される紙幣の真贋を識別するようにしている。
上記した式7において、[i,j]は、紙幣の透かし形成領域の座標に対応するものであり、この紙幣座標[i,j]における識別対象となる紙幣からの取得データの二次元画像の濃度値をf[i,j]、標準データにおける濃度値をs[i,j]、取得データにおける平均濃度をF、基準データの平均濃度値をSとしている。
上記した式7によって導き出される相関係数Rは、公知のように、−1〜+1までの値をとり、+1に近い方(相関係数が高い)が、類似度が高いとされる。この場合、搬送された紙幣に透かしが形成されていなければ、両者の間で相関関係はないことから(相関係数は0に近づく)、導き出される相関係数Rについて所定の閾値を設定しておき、相関係数Rが閾値よりも低ければ、透かしが形成されていない偽札と判定する(ST4014;No、ST4018)。
一方、上記ST4014において、相関係数Rが所定の閾値以上であれば、引き続き、第2の比較処理を実行する(ST4015)。この比較処理は、上述したように、透過光と反射光で得られる画像データ(近赤外光で顕著に認められることから、光源の内、赤外光を照射する反射光源による画像データが用いられる)は、明暗反転していることから、その関係を利用して真贋の識別を行う処理であり、搬送される紙幣から取得した反射光による透かし領域の画像情報と、標準画像の透かし領域の透過光による画像情報との間で、上記した式7で示す相関係数R´を導くことで、搬送される紙幣の真贋を識別するようにしている。
この真贋の識別処理について、図140を参照して説明する。
図140(a)は、搬送される紙幣の漉き入れマーク形成領域4105における反射光(近赤外光に基づく反射データ)による画像データであり、変換部4232よって変換された色情報を含む画素情報を示している。なお、図140(a)では、説明を簡単にするために、漉き入れマーク形成領域4105における一方向(縦方向)で12画素分が抽出され、搬送方向(横方向)で7画素分が抽出されたものとしてある。また、図140(b)は、予め基準データ記憶部4233に記憶されている漉き入れマーク形成領域における標準データであり、図140(a)と同じ位置における透過光による画像データを示している。
両者の画像データは、上述したように、明暗が反転した関係となっている。すなわち、変換部4232において、透かし画像の反射光によって得られる画素毎の濃度値は、同じ位置で得られる透過光による画素毎の濃度値とは相反する関係となっているため、両者の画素毎の濃度値から、相関係数R´を算出すると、相関係数R´の取り得る範囲である−1≦R´≦1の範囲内において、マイナス側にシフトした相関係数(負の相関係数)が得られるようになる。
なお、図140(a)と図140(b)で示す画像データの関係では、対応する画素位置における濃度値の全てが合計で255となり、理想として、−1の相関係数が得られるようになっているが、実際には、紙幣の汚損、皺、透かしのずれなどの影響により、−1よりも大きい値となる。このため、閾値を−1(−1に近い数値)に設定しておくと、本物の紙幣であるにも拘らず、偽として排除してしまう可能性があることから、閾値R´については、−1よりも大きい値(+側であっても良い)に設定しておき、相関係数R´が閾値よりも低ければ、真札と判定し(ST4016;Yes、ST4017)、相関係数R´が閾値以上にあれば、偽札と判定する(ST4016;No、ST4018)。
上記したST4018の真札と判定する処理においては、投入された紙幣の金種データと金額データとを、紙幣読取手段4008で読み取った画像データを用いて、文字認識などの処理を施すことによって取得し、取得した金種データと金額データとをRAM4224に記憶させる。これらの情報は、後述するように、PTS端末1700に送信される。
上述したST4017の処理又はST4018の処理を実行した後、第1の実施の形態の図114に示した情報出力処理のサブルーチンを呼び出して実行する(ST3070)。
図114は、PTS端末1700に各種の情報を出力する処理のサブルーチン示すフローチャートである。
最初に、紙幣の真贋判定の結果が真券であるか否かを判断する(ステップST71)。紙幣の真贋判定の結果は、上述した図138に示したサブルーチンを実行することによって得ることができる。
紙幣の真贋判定の結果が真券であると判別したとき(YES)には、紙幣の金種を示す金種データと、金額を示す金額データとを、I/Oポート4240を介して、PTS端末1700に出力し(ステップST72)、本サブルーチンを終了する。ここで、紙幣の金種とは、USドル紙幣や円紙幣や香港ドル紙幣などの紙幣を発行したり管理したりする国や政府や中央銀行や地域などを含む紙幣の属性を示す紙幣属性情報からなる。また、金額は、その紙幣の属性によって定まる通貨単位に対応した金額である。通貨単位は、例えば、USドルや円などがある。
紙幣の真贋判定の結果が偽券であると判別したとき(NO)には、投入された紙幣が偽券であることを示すエラー情報を、I/Oポート4240を介して、PTS端末1700に出力し(ステップST73)、本サブルーチンを終了する。
このように、金種を示す金種データと金額を示す金額データとをPTS端末1700に送信することによって、PTS端末1700は、紙幣処理装置4001に投入された紙幣の金種データと金額データとを取得することができ、これらの情報に基づいて、クレジットの変換や、そのときにおける為替レートに応じた両替などの各種の処理を実行することができる。
以上のように、紙幣に照射される反射光と透過光との間で、そのような相反する濃度値になっている関係を導き出すことが可能となり、搬送される紙幣に対し、片方に設置される受光部4081aでも、紙幣に形成される透かしの真贋を識別することが可能となる。
なお、上述したST4013,ST4015において、識別処理部4235での比較処理では、相関係数を算出する際に、基準となる紙幣の標準画像の画素位置に対応するように、取得した透かし画像の画素位置を移動させて位置補正(近傍検索と称する)を実行し、両者の間で相関係数の絶対値が最も高いところを抽出して真贋を識別することが好ましい。
すなわち、搬送される紙幣については、透かしが形成される位置に多少のばらつきがあったり、或いは、搬送状態によって、多少、斜向するようなケースが考えられる。このため、搬送される紙幣から、紙幣読取手段4008によって読取られる透かし画像については、多少、ずれていることが考えられ、このままの状態で相関係数を取得しても、適切な識別ができない可能性もある。
このため、図141に模式的に示すように、得られた透かし領域の画像データを、例えば、矢印で示すように、上下、及び左右に所定の画素数変位させて(図においては、画像データを全体として上方に3画素シフトさせた際に、特徴のある画像4110の位置P1が、画像4110´としてP2に移動した状態を示している)、夫々変位させた位置において、上記した式7によって相関係数を算出するようにしている。すなわち、このような位置補正を実行するに際し、例えば、上下、左右方向に±4画素シフトして検索を実行するのであれば、近傍探索として、全体で81通りの相関係数が導き出される。そして、導き出された夫々の相関係数については、RAM4224に順次記憶して行き、最終的に全ての相関係数を算出した後、その相関係数の絶対値が最も高くなった位置を、真贋の識別対象として特定が成される。
これにより、透かしが形成される位置に多少のばらつきのある真正の紙幣が搬送されても、取得した画像の画素位置が、その周囲に移動させるような位置補正が成されるため、真札の紙幣であっても偽物と識別する可能性が少なくなり、識別精度の向上を図ることが可能となる。なお、上記したST4013の比較処理において、上述した近傍探索が実行されるのであれば、位置補正された情報を、上記ST4015の処理でそのまま適用しても良い。
以上、第4の実施の形態では、紙幣における偽造防止用の透かし画像の情報(二次元の画像情報)を取得して、これを基準となる透かし画像情報(標準画像)と比較することで、真贋識別の精度を向上することができる。そして、上記したような構成では、搬送される紙幣の片側に設置した受光部4081aのみで真贋識別を実施できるため、コストが高くなるようなこともない。
なお、上記したような透かし部分の識別処理工程は、紙幣識別装置が、多種類の紙幣を処理できるように構成されているのであれば、紙幣金種(どの国のどの発行シリーズのどの額面か)の識別処理が終わった後に実施するよう構成される。このため、透かしが形成されている位置は金種毎に決まっているので、これに応じて、標準データを記憶しておけば良い。
また、上記した構成では、透かし領域の透過光による標準データは、予め、基準データ記憶部4233に記憶されているものを用いたが、このような透過光によるデータは、搬送される紙幣から取得しても良い。すなわち、搬送される紙幣の透かし領域から、反射光と透過光による画像データを取得し、上記した処理を行っても、透かし領域の真贋を識別することは可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することが可能である。
上述したように、本発明では、識別対象となる紙幣の透かし部分の画像情報について、透過光と反射光では、明暗が反転することに着目して真贋を識別することに特徴があり、それ以外の構成については、上記した実施の形態に限定されることはない。このため、上述した第1の比較処理については、行わない構成であっても良い。また、上記したような真贋の識別方法は、様々な手法による真贋識別処理の一つの処理として、上述したような手法が用いられていれば良く、さらにそれ以外の真贋識別処理を備えた構成であっても良い。この場合、その他の真贋識別処理との間での実行される優先順位については、限定されることはない。
また、上述した紙幣読取手段4008の構成(ラインセンサ以外の構成であっても良い)、及び各種駆動部材を駆動するための機構については、適宜変形することが可能である。
本発明は、上記した紙幣以外にも、商品券、クーポン券等、紙幣以外の紙葉類の真贋を識別する各種の装置に組み込むことが可能である。
<<<<第5の実施の形態>>>>
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、本実施形態では、真贋判定処理を行う対象を紙幣として説明すると共に、それを取扱う装置(紙葉識別装置)を紙幣識別装置として説明する。
図142から図145は、紙幣識別装置(紙葉識別装置)の構成を示す図であり、図142は、全体構成を示す斜視図、図143は、上部フレームを下部フレームに対して開いた状態を示す斜視図、図144は、下部フレームの紙幣搬送路部分を示した平面図、そして、図145は、下部フレームの裏面図である。
本実施形態の紙幣識別装置5001は、例えば、スロットマシン等の各種の遊技機間に設置される遊技媒体貸出装置(図示せず)に組み込み可能に構成されている。この場合、遊技媒体貸出装置には、紙幣識別装置5001の上側又は下側に、他の装置(例えば、紙幣収納ユニット、硬貨識別装置、記録媒体処理装置、電源装置など)を設置しておいても良く、紙幣識別装置5001は、これら他の装置と一体化されていたり、別個に構成されていても良い。そして、このような紙幣識別装置5001に紙幣が挿入され、挿入された紙幣の有効性が判定されると、その紙幣価値に応じた遊技媒体の貸出処理、或いは、プリペイドカードのような記録媒体への書き込み処理等が行なわれる。
紙幣識別装置5001は、略直方体状に形成されたフレーム5002を備えており、このフレーム5002が図示されていない遊技媒体貸出装置の係止部に装着される。フレーム5002は、ベース側となる下部フレーム5002Bと、これを覆うように下部フレーム5002Bに対して開閉可能な上部フレーム5002Aとを有しており、これらのフレーム5002A,5002Bは、図143に示すように、基部を回動中心として開閉されるように構成されている。
前記下部フレーム5002Bは、略直方体形状を有しており、紙幣が搬送される紙幣搬送面5003aと、その紙幣搬送面5003aの両サイドに形成される側壁部5003bとを備えている。また、上部フレーム5002Aは、紙幣搬送面5003cを備えたプレート状に構成されており、上部フレーム5002Aが下部フレーム5002Bの両サイドの側壁部5003b間に入り込むように閉塞された際、紙幣搬送面5003aと紙幣搬送面5003cとの対向部分に、紙幣が搬送される隙間(紙幣搬送路)5005が形成される。
そして、上部フレーム5002Aと下部フレーム5002Bには、この紙幣搬送路5005に一致するようにして、夫々紙幣挿入部5006A,5006Bが形成されている。これら紙幣挿入部5006A,5006Bは、上部フレーム5002Aと下部フレーム5002Bが閉じられた際、スリット状の紙幣挿入口5006を形成し、図142に示すように、紙幣Mは、紙幣の短い辺側から矢印A方向に沿って内部に挿入される。
また、前記上部フレーム5002Aの先端側には、下部フレーム5002Bに係止可能なロックシャフト5004が配設されている。このロックシャフト5004には、操作部5004aが設けられており、操作部5004aを、付勢バネ5004bの付勢力に抗して回動操作することで、ロックシャフト5004は回動支点Pを中心に回動し、上部フレーム5002Aと下部フレーム5002Bのロック状態(両者が閉じた状態;重合状態)が解除される。
前記下部フレーム5002Bには、紙幣搬送機構5008、紙幣挿入口5006に挿入された紙幣を検知する紙幣検知センサ5018、紙幣検知センサ5018の下流側に設置され、搬送状態にある紙幣の情報を読取る紙幣読取手段5020、紙幣挿入口5006と紙幣検知センサ5018との間の紙幣搬送路5005に設置され、紙幣挿入口5006を閉塞するように駆動されるシャッタ機構5050、並びに、上記した紙幣搬送機構5008、紙幣読取手段5020、シャッタ機構5050等の構成部材の駆動を制御すると共に、読取った紙幣の有効性を識別する(真贋判定処理を行う)制御手段(制御基板5100)が設けられている。
前記紙幣搬送機構5008は、紙幣挿入口5006から挿入された紙幣を挿入方向Aに沿って搬送可能であると共に、挿入状態にある紙幣を紙幣挿入口5006に向けて差し戻すように搬送可能とする機構である。紙幣搬送機構5008は、下部フレーム5002B側に設置された駆動源である駆動モータ5010と、この駆動モータ5010によって回転駆動され、紙幣搬送路5005に紙幣搬送方向に沿って所定間隔おいて配設される搬送ローラ対5012,5013,5014を備えている。
搬送ローラ対5012は、下部フレーム5002B側に配設される駆動ローラ5012Aと、上部フレーム5002A側に配設されて駆動ローラ5012Aに当接されるピンチローラ5012Bとを備えており、これら駆動ローラ5012Aとピンチローラ5012Bは、紙幣搬送方向と直交する方向に沿って、所定間隔をおいて2箇所設置されている。これらの駆動ローラ5012A及びピンチローラ5012Bは、その一部が紙幣搬送路5005に露出した状態となっている。
前記2箇所に設置される駆動ローラ5012Aは、下部フレーム5002Bに回転可能に支持された駆動軸5012aに固定されており、前記2つのピンチローラ5012Bは、上部フレーム5002Aに支持された支軸5012bに回転可能に支持されている。この場合、上部フレーム5002Aには、支軸5012bを駆動軸5012a側に付勢する付勢部材5012cが設けられており、ピンチローラ5012Bを駆動ローラ5012A側に所定の圧力で当接させている。
なお、ローラ対5012と同様、上記した搬送ローラ対5013,5014も、それぞれ駆動軸5013a,5014aに固定される2つの駆動ローラ5013A,5014Aと、支軸5013b,5014bに回転可能に支持される2つのピンチローラ5013B,5014Bによって構成され、それぞれ付勢部材5013c,5014cによって、各ピンチローラ5013B,5014Bは、各駆動ローラ5013A,5014Aに所定の圧力で当接されている。
前記搬送ローラ対5012,5013,5014は、駆動モータ5010に連結される駆動力伝達機構5015によって同期駆動される。この駆動力伝達機構5015は、下部フレーム5002Bの一方の側壁部5003bに回転可能に配設されるギヤトレインによって構成される。具体的には、駆動モータ5010の出力軸に固定される出力ギヤ5010a、この出力ギヤ5010aに順次噛合され、前記駆動軸5012a,5013a,5014aの端部に装着される入力ギヤ5012G,5013G,5014G、及びこれらのギヤ間に設置されるアイドルギヤ5016を備えたギヤトレインによって構成される。
上記した構成により、駆動モータ5010が正転駆動されると、各搬送ローラ対5012,5013,5014は、紙幣を挿入方向Aに向けて搬送するように駆動され、駆動モータ5010が逆転駆動されると、各搬送ローラ対5012,5013,5014は、紙幣を紙幣挿入口側に差し戻すように逆転駆動される。
前記紙幣検知センサ5018は、紙幣挿入口5006に挿入された紙幣を検知した際に、検知信号を発生するものであり、本実施形態では、後述するシャッタ機構を構成する回動片と、紙幣を読取る紙幣読取手段5020との間に設置されている。前記紙幣検知センサ5018は、例えば、光学式のセンサ、より詳しくは、回帰反射型フォトセンサによって構成されており、図146に示すように、上部フレーム5002A側に設置されるプリズム5018aと、下部フレーム5002B側に設置されるセンサ本体5018bによって構成される。具体的には、プリズム5018aとセンサ本体5018bは、センサ本体5018bの発光部5018cから照射された光が、プリズム5018aを介してセンサ本体5018bの受光部5018dで検知される配置態様となっており、プリズム5018aとセンサ本体5018bとの間に位置する紙幣搬送路5005に紙幣が通過して受光部5018dで光が検知されなくなると検知信号を発生する。
なお、上記した紙幣検知センサ5018は、光学式のセンサ以外にも、機械式のセンサによって構成されていても良い。
前記紙幣検知センサ5018の下流側には、搬送状態にある紙幣について、その紙幣情報を読取る紙幣読取手段5020が設置される。紙幣読取手段5020は、上記した紙幣搬送機構5008によって紙幣が搬送される際、紙幣に光を照射することで紙幣情報の読取を行い、紙幣の有効性(真贋)を判定できるような信号を生成できる構成であれば良く、本実施形態では、紙幣の両側から光を照射し、その透過光と反射光をフォトダイオードのような受光素子で検知することで紙幣の読取を行うようになっている。
この場合、紙幣から得られる透過光と反射光の内、反射光については、後述するように、受光部を有するラインセンサによって所定の大きさを1単位とする画素毎に読取が実行され、このように読取られた複数の画素によって構成される紙幣の画像データは記憶手段に記憶されると共に、ここで記憶された画像データは画像処理部において、画素の数を増加及び/又は減少するように画像処理が施される。そして、このように画素数が増減処理された画像データは、予め格納されている真券の画像データと比較することで真贋の判定処理が実行される。
前記紙幣から得られる透過光と反射光の内、反射光については、後述するように、受光部を有するラインセンサによって、所定の大きさを1単位とする画素毎に読取が実行される。この場合、所定の大きさを1単位とする画素毎の読取を実行するに当たっては、一方の方向よりも他方の方向の読取画素数を下げる処理が行われる。具体的に、本実施形態では、後述するように、紙幣搬送幅方向に沿って延出するラインセンサによって、読取りを実行する際、紙幣の搬送方向(他方の方向)の読取画素数を、紙幣搬送幅方向(一方の方向)と比較して下げるように間引き処理がなされる。そして、このように他方の方向において、画素数が間引き処理された画像データは、予め格納されている真券の画像データと比較することで真贋の判定処理が実行される。
なお、紙幣を透過した透過光については、反射光と同様な手法によって真贋の判定処理を行っても良いし、別の手法を用いて真贋の判定処理を行うようにしても良い。
前記紙幣挿入口5006の下流側には、紙幣挿入口5006を閉塞するシャッタ機構5050が配設されている。このシャッタ機構5050は、常時、紙幣挿入口5006を開放した状態になっており、紙幣が挿入されて、紙幣検知センサ5018が紙幣の後端を検知した際(紙幣検知センサ5018がOFF)に閉塞されて、不正行為等が行えないように構成される。
具体的にシャッタ機構5050は、紙幣搬送路5005の紙幣搬送方向と直交する方向に所定間隔おいて出没するように回動駆動される回動片5052と、この回動片5052を回動駆動する駆動源であるソレノイド(プル型)5054とを有している。この場合、回動片5052は、支軸5055の幅方向に2箇所設置されており、紙幣搬送路5005を形成する下部フレーム5002Bの紙幣搬送面5003aには、各回動片5052が出没できるように紙幣搬送方向に延出する長孔5005cが形成されている。
また、前記紙幣読取手段5020の下流側には、紙幣の通過を検知する紙幣通過検知センサ5060が設けられている。この紙幣通過検知センサ5060は、有効と判定された紙幣が、更に下流側に搬送されて、紙幣の後端を検知した際に検知信号を発生するものであり、この検知信号の発生に基づいて、上記したソレノイド5054の通電が解除され(ソレノイドOFF)、駆動軸5054aに設けられた付勢バネの付勢力によって駆動軸5054aは突出方向に移動する。これにより、シャッタ機構を構成する回動片5052は、駆動軸5054aに連動する支軸5055を介して紙幣搬送路を開放状態とするように回動駆動される。
前記紙幣通過検知センサ5060は、上述した紙幣検知センサ5018と同様、光学式のセンサ(回帰反射型フォトセンサ)によって構成されており、上部フレーム5002A側に設置されるプリズム5060aと、下部フレーム5002B側に設置されるセンサ本体5060bによって構成される。もちろん、上記した紙幣通過検知センサ5060は、光学式のセンサ以外にも、機械式のセンサによって構成されていても良い。
前記紙幣挿入口5006の近傍には、紙幣が挿入された状態にあることを視認可能に報知する報知素子が設けられている。このような報知素子は、例えば、点滅するLED5070によって構成することが可能であり、利用者が紙幣挿入口5006に紙幣を挿入することで点灯し、紙幣の処理状態であることを利用者に知らせる。このため、利用者が誤って次の紙幣を差し込むことを防止することが可能となる。
次に、上部フレーム5002A及び下部フレーム5002Bに設置される紙幣読取手段5020の構成について図143〜図145及び図147を参照して説明する。
前記紙幣読取手段5020は、上部フレーム5002A側に配設され、搬送される紙幣の上側で搬送路幅方向に亘ってスリット状の光を照射可能とした第1発光部5023を具備した発光ユニット5024と、下部フレーム5002B側に配設されたラインセンサ5025とを有している。
前記下部フレーム5002B側に設置されるラインセンサ5025は、紙幣を挟むようにして、前記第1発光部5023と対向するように配設される受光部5026と、受光部5026の紙幣搬送方向両側に隣接して配設され、スリット状の光を照射可能とした第2発光部5027とを有している。
前記ラインセンサ5025の受光部5026と対向配置された第1発光部5023は、透過用の光源として機能する。この第1発光部5023は、図143に示すように、合成樹脂製の矩形棒状体に形成されたいわゆる導光体として構成されており、好ましくは端部に設置されるLED等の発光素子5023aからの射出光を入力して、長手方向に沿って導光させながら発光する機能を有する。これにより、簡単な構成で、搬送される紙幣の搬送路幅方向全体の範囲に対して均一にスリット状の光を照射することが可能となる。
なお、前記ラインセンサ5025の受光部5026は、導光体である第1発光部5023と平行にライン状に配設されており、紙幣搬送路5005に対して交差方向に伸延し、かつ受光部5026に設けた図示しない受光センサの感度に影響を与えない程度の幅を有する帯状に形成された薄肉の板状に形成されている。具体的には、受光部5026の厚み方向の中央に複数のCCD(Charge Coupled Device)をライン状に設けるとともに、このCCDの上方位置に、透過光及び反射光を集光させるように、ライン状にセルフォックレンズアレイ5026aを配置した構成となっている。
前記ラインセンサ5025の第2発光部5027は、反射用の光源として機能する。この第2発光部5027は、第1発光部5023と同様、図144に示すように、合成樹脂製の矩形棒状体に形成されたいわゆる導光体として構成されており、好ましくは端部に設置されるLED等の発光素子5027aからの射出光を入力して、長手方向に沿って導光させながら発光する機能を有する。これにより、簡単な構成で、搬送される紙幣の搬送路幅方向全体の範囲に対して均一にスリット状の光を照射することが可能となる。
なお、前記第2発光部5027は、45度の仰角で光を紙幣に向けて照射可能としており、紙幣からの反射光を受光部5026(受光センサ)で受光するように配設されている。この場合、第2発光部5027から照射された光が受光部5026へ45度で入射するようにしているが、入射角は45度に限定されるものではなく、反射光を確実に受光可能な範囲であれば適宜設定することができる。このため、第2発光部5027、受光部5026の配置については、紙幣識別装置の構造に応じて、適宜設計変更が可能である。また、前記第2発光部5027については、受光部5026を挟んで両サイドに設置して、両側からそれぞれ入射角45度で光を照射するようにしている。これは、紙幣表面に傷や折皺などがある場合、これら傷や折皺部分に生じた凹凸に光が片側からのみ照射された場合、どうしても凹凸の部分においては光が遮られて陰になってしまう箇所が生じることがある。このため、両側から光を照射することにより、凹凸の部分において陰ができることを防止して、片側からの照射よりも精度の高い画像データを得ることを可能としている。もちろん、第2発光部5027については、片方のみに設置した構成であっても良い。
上記したラインセンサ5025は、紙幣搬送路5005に露出することから、その表面部分(搬送面5003aと略面一になる部分)の紙幣搬送方向の両端には、図143に示すように凹凸部5025aが形成されており、搬送される紙幣を引っ掛かり難くしている。また、発光ユニット5024もラインセンサ5025と同様、その表面部分の紙幣搬送方向の両端に、図143に示すように凹凸部5024aが形成されており、搬送される紙幣を引っ掛かり難くしている。
次に、上述した紙幣読取手段5020で読取られた紙幣情報を基に、紙幣の真贋を識別する紙幣識別手段において実行される紙幣の真贋判定方法について具体的に説明する。なお、ここでは、上記したように、反射光を利用した真贋判定処理について説明する。
通常、紙幣には、偽造防止の1つの手段として、マイクロプリント(再現が困難となるような極めて微細な文字や模様など)が形成されている。このマイクロプリントは、図148に模式的に示すように、単位幅内に多数の細線5200を形成することで構成されており、例えば、彫刻凹版によって形成することが可能である。マイクロプリントの構成については、ここでは詳細に説明しないが、図では分かり易いように、単位幅内に多数の直線状の細線を描画することで構成されている。もちろん、細線は、図に示す直線状以外にも、曲線状としたり、直線と曲線を組み合わせたものであっても良い。また、これらの細線によって、別途、文字や模様を構成しても良い。
本実施形態に係る紙幣の真贋判定手法は、まず、紙幣Mが紙幣搬送機構5008によって搬送された状態で、前記ラインセンサ5025における第2発光部5027から紙幣に照射され、その反射光を受光部5026で受光して紙幣の読取を実行する。この読取は、紙幣の搬送処理中、所定の大きさを1単位とする画素毎に実行され、このようにして読取られた多数の画素(複数の画素)によって構成される紙幣の画像データは、RAMなどの記憶手段に記憶される。そして、ここで記憶された複数の画素によって構成される画像データは、画像処理部において、画素の数が増加及び/又は減少するように画像処理が施される。
上記したように画素の数が増加及び/又は減少するように画像処理が施された紙幣の画像データには、上記したマイクロプリント部分において、その紙幣固有の縞状パターン(モアレ縞)が表れたモアレデータを取得することが可能となる。このモアレデータは、画素の数を、拡大又は縮小することで、その拡縮率特有のものが得られることから、予め格納されている真券のモアレデータと比較することで、真贋判定を行うことが可能となる。
また、上記したように、紙幣搬送方向に沿った方向で、画素の数を間引き処理(画素の数を減少させる処理)した紙幣の画像データには、上記したマイクロプリント部分において、その紙幣固有の縞状パターン(モアレ縞)が表れたモアレデータを取得することが可能となる。このモアレデータは、読取時に得られた画素の数を、所定の比率(縮小率)で間引き処理することで、その縮小率特有のものが得られることから、予め格納されている真券のモアレデータと比較することで、真贋判定を行うことが可能となる。
<<<第1の態様の制御手段5030>>>
図149は、上記した紙幣搬送機構5008、紙幣読取手段5020、シャッタ機構5050、紙幣の真贋判定処理を実行する真贋判定部5150等を備えた紙幣識別装置5001を制御する制御手段の概略構成を示すブロック図である。
制御手段5030は、上記した各駆動装置の動作を制御する制御基板5100を備えており、この制御基板5100上には、各駆動装置の駆動を制御すると共に、紙幣識別手段を構成するCPU(Central Processing Unit)5110と、ROM(Read Only Memory)5112と、RAM(Random Access Memory)5114と、画像処理部5116とが実装されている。
前記ROM5112には、上述した駆動モータ5010、ソレノイド5054、LED5070等、各種駆動装置の作動プログラムや、真贋判定プログラム等の各種プログラム、及び画像処理部5116における画素データ増減処理部5116aにて実行される画素データを拡大するか、等倍するか、間引くかを決定するデータからなる変換テーブル等、恒久的なデータが記憶されている。
前記CPU5110は、ROM5112に記憶されている前記プログラムに従って作動して、I/Oポート5120を介して上述した各種駆動装置との信号の入出力を行い、紙幣識別装置の全体的な動作制御を行う。すなわち、CPU5110には、I/Oポート5120を介して、駆動モータ駆動回路5125(駆動モータ5010)、ソレノイド5054、LED5070が接続されており、これらの駆動装置は、ROM5112に格納された作動プログラムに従って、CPU5110からの制御信号により動作が制御される。また、CPU5110には、I/Oポート5120を介して、紙幣検知センサ5018や通過検知センサ5060からの検知信号が入力されるようになっており、これら検知信号に基づいて、駆動モータ5010の駆動制御、並びに、LED5070の点滅制御、ソレノイド5054の駆動制御が行われる。
前記RAM5114には、CPU5110が作動する際に用いるデータやプログラムが一時的に記憶されると共に、判定対象となる紙幣の受光データ(複数の画素によって構成される紙幣の画像データ)を取得して一時的に記憶する機能を有する。
また、前記画像処理部5116は、前記RAM5114に格納された紙幣の画像データに関し、その画素の増減処理を行う画素データ増減処理部5116aと、紙幣に関する基準のデータを格納している基準データ記憶部5116bと、画素データ増減処理部5116aにおいて画素の増減処理が成された画像データと、基準データ記憶部5116bに格納されている基準データとを比較し、紙幣の判定処理を行う判定処理部5116cを備えている。この場合、本実施形態では、基準データを専用の基準データ記憶部5116bに記憶させているが、これを上記したROM5112に記憶させておいても良い。すなわち、画像データの拡縮率を特定する変換テーブルに関連付けして、その真券データを格納しておいても良い。また、真券の基準データについては、基準データ記憶部5116bに予め記憶させても良いが、例えば、真券を、紙幣搬送機構5008を通して搬送させながら受光データを取得し、これを基準データとして記憶させても良い。
さらに、CPU5110には、I/Oポート5120を介して、上記した発光ユニット5024における第1発光部(導光体)5023と、ラインセンサ5025における受光部5026及び第2発光部(導光体)5027が接続されており、これらは、CPU5110、ROM5112、RAM5114、画像処理部5116と共に、紙幣の真贋判定部5150を構成し、紙幣識別装置5001における真贋判定に必要な動作制御を行う。なお、本実施形態では、真贋判定部5150については、紙幣の駆動系を制御する制御部と共通化されているが、真贋判定処理を行う機能を、それ専用のハード構成としても良い。
また、CPU5110は、I/Oポート5120を介して紙幣識別装置5001が組み込まれる遊技媒体貸出装置の制御部や外部装置のホストコンピュータ等の上位装置5300に接続されており、上位装置に対して、各種信号(紙幣に関する情報、警告信号等)を送信するようにしている。
さらにまた、I/Oポート5120には、上述したPTS端末1700に電気的に接続されている。後述するように、紙幣処理装置5001に投入された紙幣の金種データと金額データとは、I/Oポート5120を介して、PTS端末1700に送信される。
ここで、上記した画素データ増減処理部5116aにおける画像データの画素を増減する一手順例について、図150の概念図を参照して説明する。
図150(a)は、最初に読取手段5020を介して読取られた紙幣の画像データを画素毎にした元データを模式的に示している(縦方向:横方向=1:1とし、画素の数を少なくして示す)。1つの四角は1画素に対応しており、各四角内に付されている数字は、読取った紙幣のその画素における色の明るさを示している。なお、実際には、各画素では、RGBのフィルタ制御によって各RGBの明るさが制御されているため、画素毎に異なる明るさの色情報を含んだものとなっている(図150(a)では、全ての画素が夫々異なる明るさの色情報で構成されている)。
このように紙幣読取手段5020によって読取られる紙幣の元データは、記憶手段であるRAM5114に格納された後、画像データ増減処理部5116aにおいて画素データの増減処理が施される。例えば、縦方向はそのままで横方向を2倍(縦方向:横方向=1:2)となるように画素の数を増加させる場合、まず、図150(b)に示すように、各画素の横方向に1つの画素を補完し、次いで、図150(c)に示すように、補完された画素部分に、その横の画素の色情報と同じ色情報の割り当て処理を行う。これにより、縦方向はそのままで、横方向に等倍処理された画像データを生成することが可能となる。なお、等倍処理でない場合は、例えば、変換テーブルにおいて、何番目の画素データについて色情報の割り当て処理を実行させるかを予め定める等しておけば良い。
一方、元データに対して、例えば、縦方向はそのままで横方向を0.25倍(縦方向:横方向=1:0.25)となるように画素の数を減少させる場合、例えば、図150(d)に示すように、横方向の全画素を平均して1/4づつ分割し、間の画素(空白で示す画素)を間引く方法で縮小処理を行えば良い(図150(e))。これにより、縦方向はそのままで、横方向には1/4に縮小された画像データを生成することが可能となる。
図151は、上記したように画素数の増減処理を行った後に得られる紙幣の画像データを示している。図151(a)に示すように、(縦方向:横方向=1:2)となるように画素の数を増加させると、図148に示した紙幣Mに形成されているマイクロプリント部分(多数の細線5200部分)には、その増加率特有のモアレデータ(モアレ縞)5200Aが得られるようになる。また、図151(b)に示すように、(縦方向:横方向=1:0.25)となるように画素の数を減少させると、図148に示した紙幣Mに形成されているマイクロプリント部分(多数の細線5200部分)には、その減少率特有のモアレデータ(モアレ縞)5200Bが得られるようになる。
ここで、上記したモアレ縞の発生原理、及び発生条件について、図152〜図155を参照して説明する。図152に示すように、紙幣Mに形成されている細線(隣接する黒いバーで示す)5200の間隔をbとした場合、その間隔bが、上述した紙幣読取手段5020を構成するラインセンサ5025が1画素を読取る間隔dよりも広ければ(b>d)、紙幣の細線5200を正確に読取ることができるため、読取画像データ(a)は、そのまま紙幣の細線を再現した状態となり、モアレ縞が発生することはない。
これに対して、図153に示すように、紙幣Mに形成されている細線5200の間隔bが、ラインセンサ5025が1画素を読取る間隔dと同一か、それ以下になると(b≦d)細線である黒いバーは、図152で示すような画像データ(a)として再現できなくなり、その読取画像データは、全て黒い状態として読取ってしまう。すなわち、b≦dになると、紙幣の細線5200を正確に読取ることができなくなって、微細な線が粗くなってしまい、これによりモアレ縞が発生する原因となる。
上述したように、画素数の減少処理を行う場合、例えば、図154に示すように、紙幣本来の細線の間隔bが、画素データを間引いたことによって得られる画素間の間隔d以下となったとき(画素数の減少率がb≦dの条件を満足する)、隣接する細線同士が明確に区別することが困難となり(読取った細線データの線が粗くなってしまう)、粗くなった状態の細線同士によってモアレ縞が発生するようになる。
一方、図155に示すように、取込んだ画像データの細線5200の間隔がbであった状態で、画素数の増加処理を行うと、拡大後の画像データによって得られる細線5200の間隔は拡大処理によってb´となる。この拡大後の画像データによって得られる細線5200の間隔b´が、1画素を読取る間隔d以下であれば(増加率がb´≦dの条件を満足する)、上記した原理と同様、モアレ縞が発生するようになる。
以上のように、取込んだ紙幣に関する画像データの画素の数の増減を、紙幣の取込み方向及びこれに直交する方向において、異なる比率で行うことで、画像データにモアレ縞を発生させることが可能となり、モアレデータを容易に取得することが可能になる。
この結果、判定処理部5116cにおいて、基準データ記憶部5116bに予め格納されている基準データ(拡縮倍率に応じて格納されているモアレ縞データ)と比較することで、その紙幣の真贋判定処理を行うことが可能となる。具体的には、例えば、モアレ縞が生じている部分の各画素について、明るさ(濃度)に関する画素データを検出し、それを基準データと比較して、その違いが所定の値以下である場合、その画素部分については等しいとみなし、これをモアレ縞が生じている部分の全ての画素について実行することで、真贋判定を行うことが可能である。
図156は、上記した紙幣識別装置における動作処理、及び上記したモアレデータを利用した真贋判定処理の手順例を示したフローチャートである。以下、このフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る紙幣識別装置の処理動作について説明する。
最初、紙幣識別装置5001のCPU5110は、紙幣を検出したか否かを判定する(ステップS5001)。これは、紙幣検知センサ5018が紙幣の挿入を検知して検知信号を発したか否かで判定され、紙幣検知センサ5018が紙幣を検出すると、駆動モータ5010が駆動されて、紙幣搬送機構5008を介して紙幣の搬送処理が行われる(ステップS5002)。なお、このとき、LED5070が点灯処理され、利用者に対して紙幣処理中であることを知らせて追加の紙幣挿入が防止される。
この紙幣の搬送処理と同期して、紙幣読取手段5020において紙幣の読取処理を実行する(ステップS5003)。この紙幣の読取処理は、CPU5110が、第1,第2発光部5023,5027に照射信号を出力し、各発光部5023,5027から紙幣に向けて照射光を照射し、受光部5026において、その反射光を受光することで成される。なお、紙幣の識別処理に用いられるモアレデータは、上述したように、発光部5027から照射した光の反射光に基づいて取得される。
紙幣の装置内への搬送により、前記紙幣読取手段5020がその情報を読取り、上記した制御手段5030において、真贋判定処理が実行される。上記した紙幣の読取は、ラインセンサ5025の受光部5026において、第2発光部5027から照射され、搬送状態にある紙幣からの反射光を受光することで成される。この読取時においては、上述したように、所定の大きさを1単位とする画素毎に紙幣の画像情報が取得される。また、第1発光部5023から照射されて、紙幣を透過する透過光については、別の真贋判定処理(濃淡データ等による真贋判定処理など)に用いることが可能である。
なお、この真贋判定処理が実行されている際に、紙幣検知センサ5018が搬送状態にある紙幣の後端を検知すると(紙幣検知センサ5018がOFF)ソレノイド5054が通電され、これにより、回動片5052が回動駆動されて紙幣挿入口5006を閉塞し、紙幣の追加投入を防止する。
上記したように、画素毎に読取られた紙幣情報は、複数の画素によって紙幣全体の画像データを構成することとなり、この画像データは、記憶手段であるRAM5114に格納される(ステップS5004)。そして、引き続いて、RAM5114に記憶された画像データは、画像処理部5116において、画素の数が増加及び/又は減少するように画像処理が施される(ステップS5005)。なお、画素の数の増減処理は、ROM5112に格納されている変換テーブルに基づいて実行され、この処理によって得られる紙幣の画像データには、上述したように、増減比率に応じて、マイクロプリント部分において特有のモアレデータが得られる。
そして、引き続き、ステップS5006で紙幣の真贋判定処理を行う。上述したように、ROMに格納されている変換テーブルによる増減率によって、特有のモアレデータ(モアレ縞)が得られることから、これを、判定処理部5116cにおいて、基準データ記憶部5116bに予め格納されている基準データ(拡縮倍率に応じて格納されているモアレ縞データ)と比較することで、その紙幣の真贋が判定される。
上記した真贋判定処理において、搬送された紙幣が真券であると判定された場合(ステップS5007のYes)、紙幣判定OK処理を実行する(ステップS5008)。この処理は、例えば、紙幣をそのまま下流側にあるスタッカに向けて搬送する処理、下流側に向けて搬送される紙幣の後端が紙幣通過検知センサ5060によって検知された段階で駆動モータ5010の駆動を停止する処理、及び、これに伴い、ソレノイド5054の駆動をOFF(通電を解除)して回動片5052を紙幣搬送路5005から引き込ませて、紙幣挿入口5006を開放状態にすると共にLED5070を消灯する処理等が該当する。
一方、上記したステップS5007の処理において、搬送された紙幣が偽札であると判定された場合(紙幣が著しく汚損しているような場合も含む)、紙幣判定NG処理が実行される(ステップS5009)。この処理は、例えば、挿入された紙幣を返却すべく、駆動モータ5010の逆転処理、或いは上位装置5300に対して警報信号を出力する処理等が該当する。
上記したステップS5008の紙幣判定OK処理においては、投入された紙幣の金種データと金額データとを、紙幣読取手段5020で読み取った画像データを用いて、文字認識などの処理を施すことによって取得し、取得した金種データと金額データとをRAM5114に記憶させる。これらの情報は、後述するように、PTS端末1700に送信される。
上述したステップS5008の処理又はステップS5009の処理を実行した後、第1の実施の形態の図114に示した情報出力処理のサブルーチンを呼び出して実行する(ST3070)。
図114は、PTS端末1700に各種の情報を出力する処理のサブルーチン示すフローチャートである。
最初に、紙幣の真贋判定の結果が真券であるか否かを判断する(ステップST71)。紙幣の真贋判定の結果は、上述した図156に示したサブルーチンを実行することによって得ることができる。
紙幣の真贋判定の結果が真券であると判別したとき(YES)には、紙幣の金種を示す金種データと、金額を示す金額データとを、I/Oポート5120を介して、PTS端末1700に出力し(ステップST72)、本サブルーチンを終了する。ここで、紙幣の金種とは、USドル紙幣や円紙幣や香港ドル紙幣などの紙幣を発行したり管理したりする国や政府や中央銀行や地域などを含む紙幣の属性を示す紙幣属性情報からなる。また、金額は、その紙幣の属性によって定まる通貨単位に対応した金額である。通貨単位は、例えば、USドルや円などがある。
紙幣の真贋判定の結果が偽券であると判別したとき(NO)には、投入された紙幣が偽券であることを示すエラー情報を、I/Oポート5120を介して、PTS端末1700に出力し(ステップST73)、本サブルーチンを終了する。
このように、金種を示す金種データと金額を示す金額データとをPTS端末1700に送信することによって、PTS端末1700は、紙幣処理装置5001に投入された紙幣の金種データと金額データとを取得することができ、これらの情報に基づいて、クレジットの変換や、そのときにおける為替レートに応じた両替などの各種の処理を実行することができる。
以上のように構成される紙幣識別装置5001によれば、取込んだ紙幣に関する画像データの画素の数を、増減させることにより、その紙幣固有の縞状パターン(モアレ縞)が表れたモアレデータを取得することが可能となる。これにより、例えば、識別精度向上を図るため、紙幣読取手段5020を構成するセンサを、解像度の高いものに変更する場合であっても、モアレ縞を発生させるためのフィルタ等、新たに製造する必要が無くなって、コストの上昇を抑制することが可能になる。
また、上記した構成では、画素データ増減処理部5116aにおける画素の数の増減については、紙幣の取込み方向及びこれに直交する方向において、所定の増減比率で実行するように、ROM5112に格納されている変換テーブルに基づいて設定するようになっている。従って、単にパラメータ(縦方向;50%、横方向;50%など)を変更するだけでセンサの解像度に応じた最適なモアレデータを取得することが可能になることから、ROMの記憶領域には、画像データを拡縮するためのパラメータを確保するだけで良くなり、無用な記憶領域を確保する必要が無くなって、コストの上昇を抑えることが可能になる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、搬送される紙幣を読取るに際して、読取られた画像データの画素数を増減させることでモアレデータを取得し、そのモアレデータを有する紙幣の画像データに基づいて紙幣の真贋を識別する構成であれば良く、それ以外の構成については適宜変形することが可能である。例えば、紙幣の読取を行う読取手段(センサ)の構成や配置態様については、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変更することが可能である。
本発明の紙幣識別装置は、遊技媒体貸出装置に限られず、紙幣が挿入されたことで、商品やサービスを提供する各種の装置に組み込むことが可能である。また、本発明の紙葉識別装置として、上記した実施形態では、紙幣を処理するものであることを例示して説明したが、紙幣以外にも、金券やその他有価証券などの真贋判定を行う装置として適用可能である。
<<<第2の態様の制御手段5030>>>
図157は、上記した紙幣搬送機構5008、紙幣読取手段5020、シャッタ機構5050、紙幣の真贋判定処理を実行する真贋判定部5150等を備えた紙幣識別装置5001を制御する制御手段の概略構成を示すブロック図である。
制御手段5030は、上記した各駆動装置の動作を制御する制御基板5100を備えており、この制御基板5100上には、各駆動装置の駆動を制御すると共に、紙幣識別手段を構成するCPU(Central Processing Unit)5110と、ROM(Read Only Memory)5112と、RAM(Random Access Memory)5114と、画像処理部5116とが実装されている。
前記ROM5112には、上述した駆動モータ5010、ソレノイド5054、LED5070等、各種駆動装置の作動プログラムや、真贋判定プログラム等の各種プログラム、及び画像処理部5116における画素データ間引き処理部5116aにて実行される画素データの間引き率に関するプログラム等、恒久的なデータが記憶されている。
前記CPU5110は、ROM5112に記憶されている前記プログラムに従って作動して、I/Oポート5120を介して上述した各種駆動装置との信号の入出力を行い、紙幣識別装置の全体的な動作制御を行う。すなわち、CPU5110には、I/Oポート5120を介して、駆動モータ駆動回路5125(駆動モータ5010)、ソレノイド5054、LED5070が接続されており、これらの駆動装置は、ROM5112に格納された作動プログラムに従って、CPU5110からの制御信号により動作が制御される。また、CPU5110には、I/Oポート5120を介して、紙幣検知センサ5018や通過検知センサ5060からの検知信号が入力されるようになっており、これら検知信号に基づいて、駆動モータ5010の駆動制御、並びに、LED5070の点滅制御、ソレノイド5054の駆動制御が行われる。
前記RAM5114には、CPU5110が作動する際に用いるデータやプログラムが一時的に記憶されると共に、判定対象となる紙幣の受光データ(複数の画素によって構成される紙幣の画像データ)を取得して一時的に記憶する機能を有する。
また、前記画像処理部5116は、前記RAM5114に格納された紙幣の画像データに関し、その画素の間引き処理を行う画素データ間引き処理部5116aと、紙幣に関する基準のデータを格納している基準データ記憶部5116bと、画素データ増減処理部5116aにおいて画素の間引き処理が成された画像データと、基準データ記憶部5116bに格納されている基準データとを比較し、紙幣の判定処理を行う判定処理部5116cを備えている。この場合、本実施形態では、基準データを専用の基準データ記憶部5116bに記憶させているが、これを上記したROM5112に記憶させておいても良い。すなわち、画像データの間引き率に関連付けして、その真券データを格納しておいても良い。また、真券の基準データについては、基準データ記憶部5116bに予め記憶させても良いが、例えば、真券を、紙幣搬送機構5008を通して搬送させながら受光データを取得し、これを基準データとして記憶させても良い。
さらに、CPU5110には、I/Oポート5120を介して、上記した発光ユニット5024における第1発光部(導光体)5023と、ラインセンサ5025における受光部5026及び第2発光部(導光体)5027が接続されており、これらは、CPU5110、ROM5112、RAM5114、画像処理部5116と共に、紙幣の真贋判定部5150を構成し、紙幣識別装置5001における真贋判定に必要な動作制御を行う。なお、本実施形態では、真贋判定部5150については、紙幣の駆動系を制御する制御部と共通化されているが、真贋判定処理を行う機能を、それ専用のハード構成としても良い。
また、CPU5110は、I/Oポート5120を介して紙幣識別装置5001が組み込まれる遊技媒体貸出装置の制御部や外部装置のホストコンピュータ等の上位装置5300に接続されており、上位装置に対して、各種信号(紙幣に関する情報、警告信号等)を送信するようにしている。
さらにまた、I/Oポート5120には、上述したPTS端末1700に電気的に接続されている。後述するように、紙幣処理装置5001に投入された紙幣の金種データと金額データとは、I/Oポート5120を介して、PTS端末1700に送信される。
ここで、上記した画素データ間引き処理部5116aにおける画像データの画素を増減する一手順例について、図158の概念図を参照して説明する。
図158(a)は、最初に読取手段5020を介して読取られた紙幣の画像データを画素毎にした元データを模式的に示している(縦方向:横方向=1:1とし、画素の数を少なくして示す)。1つの四角は1画素に対応しており、各四角内に付されている数字は、読取った紙幣のその画素における色の明るさを示している。なお、実際には、各画素では、RGBのフィルタ制御によって各RGBの明るさが制御されているため、画素毎に異なる明るさの色情報を含んだものとなっている(図158(a)では、全ての画素が夫々異なる明るさの色情報で構成されている)。
このように紙幣読取手段5020によって読取られる紙幣の元データは、記憶手段であるRAM5114に格納された後、画像データ間引き処理部5116aにおいて画素データの間引き処理が施される。例えば、縦方向はそのままで横方向を0.25倍(縦方向:横方向=1:0.25)となるように画素の数を間引く場合、例えば、図158(b)に示すように、横方向の全画素を平均して1/4づつ分割し、間の画素(空白で示す画素)を間引く方法で縮小処理を行えば良い(図158(c))。これにより、縦方向はそのままで、横方向には1/4に縮小された画像データを生成することが可能となる。
図159は、上記したように画素数の間引き処理を行った後に得られる紙幣の画像データを示している。上記したように、元データに対して、(縦方向:横方向=1:0.25)となるように画素の数を減少させると、図148に示した紙幣Mに形成されているマイクロプリント部分(多数の細線5200部分)には、その減少率特有のモアレデータ(モアレ縞)5200Aが得られるようになる。すなわち、取込んだ紙幣に関する画像データに関し、一方の方向(紙幣搬送幅方向)よりも他方の方向(紙幣搬送方向)の読取画素数を下げることによって、その紙幣固有のモアレデータを取得することが可能になる。
ここで、上記したモアレ縞の発生原理、及び発生条件について、図152〜図154を参照して説明する。
図152に示すように、紙幣Mに形成されている細線(隣接する黒いバーで示す)5200の間隔をbとした場合、その間隔bが、上述した紙幣読取手段5020を構成するラインセンサ5025が1画素を読取る間隔dよりも広ければ(b>d)、紙幣の細線5200を正確に読取ることができるため、読取画像データ(a)は、そのまま紙幣の細線を再現した状態となり、モアレ縞が発生することはない。
これに対して、図153に示すように、紙幣Mに形成されている細線5200の間隔bが、ラインセンサ5025が1画素を読取る間隔dと同一か、それ以下になると(b≦d)細線である黒いバーは、図152で示すような画像データ(a)として再現できなくなり、その読取画像データは、全て黒い状態として読取ってしまう。すなわち、b≦dになると、紙幣の細線5200を正確に読取ることができなくなって、微細な線が粗くなってしまい、これによりモアレ縞が発生する原因となる。
上述したように、画素数の間引き処理を行う場合、例えば、図154に示すように、紙幣本来の細線の間隔bが、画素データを間引いたことによって得られる画素間の間隔d以下となったとき(画素数の減少率がb≦dの条件を満足する)、隣接する細線同士が明確に区別することが困難となり(読取った細線データの線が粗くなってしまう)、粗くなった状態の細線同士によってモアレ縞が発生するようになる。
この結果、判定処理部5116cにおいて、基準データ記憶部5116bに予め格納されている基準データ(拡縮倍率に応じて格納されているモアレ縞データ)と比較することで、その紙幣の真贋判定処理を行うことが可能となる。具体的には、例えば、モアレ縞が生じている部分の各画素について、明るさ(濃度)に関する画素データを検出し、それを基準データと比較して、その違いが所定の値以下である場合、その画素部分については等しいとみなし、これをモアレ縞が生じている部分の全ての画素について実行することで、真贋判定を行うことが可能である。このように、モアレデータは、紙幣の読取精度を下げたことで得られるものであることから、そのデータ量が少なくなり、かつこれと比較される比較データのデータ量も少なくすることができ、真贋判定処理の処理速度を向上することが可能になる。
図160は、上記した紙幣識別装置における動作処理、及び上記したモアレデータを利用した真贋判定処理の手順例を示したフローチャートである。以下、このフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る紙幣識別装置の処理動作について説明する。
最初、紙幣識別装置5001のCPU5110は、紙幣を検出したか否かを判定する(ステップS5011)。これは、紙幣検知センサ5018が紙幣の挿入を検知して検知信号を発したか否かで判定され、紙幣検知センサ5018が紙幣を検出すると、駆動モータ5010が駆動されて、紙幣搬送機構5008を介して紙幣の搬送処理が行われる(ステップS5012)。なお、このとき、LED5070が点灯処理され、利用者に対して紙幣処理中であることを知らせて追加の紙幣挿入が防止される。
この紙幣の搬送処理と同期して、紙幣読取手段5020において紙幣の読取処理を実行する(ステップS5013)。この紙幣の読取処理は、CPU5110が、第1,第2発光部5023,5027に照射信号を出力し、各発光部5023,5027から紙幣に向けて照射光を照射し、受光部5026において、その反射光を受光することで成される。なお、紙幣の識別処理に用いられるモアレデータは、上述したように、発光部5027から照射した光の反射光に基づいて取得される。
紙幣の装置内への搬送により、前記紙幣読取手段5020がその情報を読取り、上記した制御手段5030において、真贋判定処理が実行される。上記した紙幣の読取は、ラインセンサ5025の受光部5026において、第2発光部5027から照射され、搬送状態にある紙幣からの反射光を受光することで成される。この読取時においては、上述したように、所定の大きさを1単位とする画素毎に紙幣の画像情報が取得される。また、第1発光部5023から照射されて、紙幣を透過する透過光については、別の真贋判定処理(濃淡データ等による真贋判定処理など)に用いることが可能である。
なお、この真贋判定処理が実行されている際に、紙幣検知センサ5018が搬送状態にある紙幣の後端を検知すると(紙幣検知センサ5018がOFF)ソレノイド5054が通電され、これにより、回動片5052が回動駆動されて紙幣挿入口5006を閉塞し、紙幣の追加投入を防止する。
上記したように、画素毎に読取られた紙幣情報は、複数の画素によって紙幣全体の画像データを構成することとなり、この画像データは、記憶手段であるRAM5114に格納される(ステップS5014)。そして、引き続いて、RAM5114に記憶された画像データは、画像処理部5116において、画素の数を間引く画像処理が施される(ステップS5015)。この画像処理における間引き率は、ROM5112に格納されているプログラムに基づいて実行され、この処理によって得られる紙幣の画像データには、上述したように、間引き率に応じて、マイクロプリント部分において特有のモアレデータが得られる。
そして、引き続き、ステップS5016で紙幣の真贋判定処理を行う。上述したように、ROMに格納されている変換テーブルによる増減率によって、特有のモアレデータ(モアレ縞)が得られることから、これを、判定処理部5116cにおいて、基準データ記憶部5116bに予め格納されている基準データ(間引き率に応じて格納されているモアレ縞データ)と比較することで、その紙幣の真贋が判定される。
上記した真贋判定処理において、搬送された紙幣が真券であると判定された場合(ステップS5017のYes)、紙幣判定OK処理を実行する(ステップS5018)。この処理は、例えば、紙幣をそのまま下流側にあるスタッカに向けて搬送する処理、下流側に向けて搬送される紙幣の後端が紙幣通過検知センサ5060によって検知された段階で駆動モータ5010の駆動を停止する処理、及び、これに伴い、ソレノイド5054の駆動をOFF(通電を解除)して回動片5052を紙幣搬送路5005から引き込ませて、紙幣挿入口5006を開放状態にすると共にLED5070を消灯する処理等が該当する。
一方、上記したステップS5017の処理において、搬送された紙幣が偽札であると判定された場合(紙幣が著しく汚損しているような場合も含む)、紙幣判定NG処理が実行される(ステップS5019)。この処理は、例えば、挿入された紙幣を返却すべく、駆動モータ5010の逆転処理、或いは上位装置5300に対して警報信号を出力する処理等が該当する。
上記したステップS5018の紙幣判定OK処理においては、投入された紙幣の金種データと金額データとを、紙幣読取手段5020で読み取った画像データを用いて、文字認識などの処理を施すことによって取得し、取得した金種データと金額データとをRAM5114に記憶させる。これらの情報は、後述するように、PTS端末1700に送信される。
上述したステップS5018の処理又はステップS5019の処理を実行した後、第1の実施の形態の図114に示した情報出力処理のサブルーチンを呼び出して実行する(ST3070)。
図114は、PTS端末1700に各種の情報を出力する処理のサブルーチン示すフローチャートである。
最初に、紙幣の真贋判定の結果が真券であるか否かを判断する(ステップST71)。紙幣の真贋判定の結果は、上述した図160に示したサブルーチンを実行することによって得ることができる。
紙幣の真贋判定の結果が真券であると判別したとき(YES)には、紙幣の金種を示す金種データと、金額を示す金額データとを、I/Oポート5120を介して、PTS端末1700に出力し(ステップST72)、本サブルーチンを終了する。ここで、紙幣の金種とは、USドル紙幣や円紙幣や香港ドル紙幣などの紙幣を発行したり管理したりする国籍や政府や中央銀行や地域などを含む紙幣の属性を示す紙幣属性情報からなる。また、金額は、その紙幣の属性によって定まる通貨単位に対応した金額である。通貨単位は、例えば、USドルや円などがある。
紙幣の真贋判定の結果が偽券であると判別したとき(NO)には、投入された紙幣が偽券であることを示すエラー情報を、I/Oポート5120を介して、PTS端末1700に出力し(ステップST73)、本サブルーチンを終了する。
このように、金種を示す金種データと金額を示す金額データとをPTS端末1700に送信することによって、PTS端末1700は、紙幣処理装置5001に投入された紙幣の金種データと金額データとを取得することができ、これらの情報に基づいて、クレジットの変換や、そのときにおける為替レートに応じた両替などの各種の処理を実行することができる。
以上のように構成される紙幣識別装置5001によれば、取込んだ紙幣に関する画像データの画素の数を間引くことにより、その紙幣固有の縞状パターン(モアレ縞)が表れたモアレデータを取得することが可能となる。これにより、取得されるデータ量、及び比較対象となる基準データのデータ量を少なくすることができ、真贋判定に伴う処理速度を向上することが可能になる。また、例えば、識別精度向上を図るため、紙幣読取手段5020を構成するセンサを、解像度の高いものに変更する場合であっても、モアレ縞を発生させるためのフィルタ等、新たに製造する必要が無くなって、コストの上昇を抑制することが可能になる。
上記した構成では、紙幣読取手段5020において読取られる紙幣の読取精度を下げる手段として、一旦取得した紙幣の画像データ(複数の画素データ)を、画像処理部5116において間引く処理を行ったが、それ以外にも、例えば、読取手段5020におけるラインセンサの読取時に、画像取込周期を変更することで読取精度を下げるように構成しても良い。
図161は、画像データの画素の数を減少するように変更する変更手段(画像取込周期を変更する画像取込周期変更回路)の構成を示すブロック図である。
画像取込周期変更回路5250は、前記ラインセンサ5025の受光部5026の画像を取込む周期を変更できるように構成されており、所定のタイミングでクロック信号を発生するカウンタ5251と、任意の周期を設定する設定部5252と、カウンタ5251からの計数時間と設定部5252の設定時間(画像取込周期;画像の取込みタイミング)が一致することで読取トリガ信号を発するコンパレータ5253を備えている。また、画像取込周期変更回路5250は、受光部5026から得られる紙幣の画像信号をA/D変換するA/D変換器5260、ラインバッファ5261、フレームメモリ5262、及びコンパレータ5253からのトリガ信号に基づいてフレームメモリ5262に格納されているライン毎の画素情報を、設定した周期でCPU5110側に送信制御する制御部5265を備えている。
上記した構成の画像取込周期変更回路5250では、受光部5026より出力される画像データはA/D変換器5260によってデジタルデータに変換され、ラインバッファ5261に、紙幣搬送幅方向における画素の1ライン毎に蓄積される。ラインバッファ5261に蓄積された1ライン毎の紙幣に関する画像データ(1ライン画素データ)は、フレームメモリ5262に送信され、ライン毎の画像データとして蓄積、保持される。そして、フレームメモリ5262に蓄積、保持されている1ライン毎の画像データは、コンパレータ5253から送信されるトリガ信号によって、所定の周期毎に抽出され、この抽出された画像データはCPU5110側に送信される。
このような画像取込周期変更回路5250によれば、設定部5252で設定された画像取得タイミングを変更設定(遅く設定)することで、紙幣の搬送方向における紙幣の読取精度を下げる(画素を間引く)ことができ、上記した構成と同様、特有のモアレデータを取得することが可能となる。そして、読取精度を下げたことによって得られるモアレデータを、その低下率に応じて予め記憶されている基準データと比較することによって、紙幣の真贋を判定することが可能となる。
このような構成においても、モアレデータは、ラインセンサによる読取精度を下げたことで得られるものであることから、データ量を少なくすることができ、真贋判定処理に伴う処理速度を向上することが可能になる。
なお、上記したラインセンサ5025による読取精度を下げる手段としては、画像取込周期変更回路5250を設置する以外にも、上記したCPU5110及び駆動モータ駆動回路5125を介して駆動モータ5010の駆動速度を制御して、紙幣の搬送速度を変更することで実施することが可能である。すなわち、ラインセンサによる1ライン毎の画像取得タイミングを一定とした状態で、駆動モータ5010の駆動速度を高速に変更して紙幣の搬送速度を高速に設定することで、上記した構成と同様、紙幣の搬送方向における読取精度を下げる(画素を間引く)ことが可能となり、同様なモアレデータを取得することが可能になる。
このような構成においても、モアレデータは、ラインセンサによる読取精度を下げたことで得られるものであることから、データ量を少なくすることができ、真贋判定処理に伴う処理速度を向上することが可能になる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、搬送される紙幣を読取るに際して、読取られる画像データの読取画素数(読取精度)を下げることでモアレデータを取得し、そのモアレデータを有する紙幣の画像データに基づいて紙幣の真贋を識別する構成であれば良く、それ以外の構成については適宜変形することが可能である。例えば、紙幣の読取を行う読取手段(センサ)の構成や配置態様については、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変更することが可能である。
本発明の紙幣識別装置は、遊技媒体貸出装置に限られず、紙幣が挿入されたことで、商品やサービスを提供する各種の装置に組み込むことが可能である。また、本発明の紙葉識別装置として、上記した実施形態では、紙幣を処理するものであることを例示して説明したが、紙幣以外にも、金券やその他有価証券などの真贋判定を行う装置として適用可能である。