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JP2013135586A - 電気自動車 - Google Patents

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Abstract

【課題】走行中に車両のメインスイッチがONの位置からOFFの位置へ、そして再度ONの位置に切り換えられた場合に、インバータやモータなどの温度上昇を抑制する。
【解決手段】電気自動車は、ポンプとコントローラを備える。走行中にコントローラは次の処理を実行する。コントローラは、運転席に備えられた車両のメインスイッチがONの位置にある場合は予め定められたポンプ出力上限値以下でポンプを駆動する。コントローラは、メインスイッチがONの位置からOFFの位置に切り換えられた場合はポンプを停止する。コントローラは、OFFの位置からONの位置に切り換えられた場合であって電気デバイスの温度が予め定められた温度閾値よりも高い場合は(S8:YES)、ポンプ出力上限値を超える出力でポンプを駆動する(S10)。
【選択図】図2

Description

本明細書が開示する技術は、電気自動車に関する。本明細書における電気自動車には、モータとエンジンを共に備えるハイブリッド車、及び、燃料電池車も含まれる。
電気自動車は、車輪を駆動するモータ、大容量/大電流のバッテリや、そのバッテリの直流電力をモータ駆動に適した交流電力に変換するインバータなど、従来のエンジン車とは異なり、大電流を扱う電気系を備える。そのため、エンジン車には無い、電気系に対する様々な安全対策や予防措置が講じられる。
例えば、特許文献1には、ハイブリッド車において走行中にエンジン停止信号が制御装置に入力されるとエンジンが強制的に停止されるのでモータに大電流が流れてしまい、メインバッテリの放電量が上限を超え、その結果、メインバッテリの寿命が低下してしまうことを防止する技術が開示されている。
また、特許文献2には、メインバッテリが基準充電量を上回って充電されている状態で、モータ温度が予め定められた温度閾値を上回る場合に、ポンプを作動してモータ等を冷却することにより、モータ温度が過度に上昇することを抑制する技術が開示されている。なお、上記の「メインバッテリ」、「モータ」、「予め定められた温度閾値」、「ポンプ」は、特許文献2の「走行用バッテリ」、「モータジェネレータ」、「冷却開始温度」、「ウォータポンプ」にそれぞれ相当する。
特開2007−216833号公報 特開2009−40322号公報
電気自動車特有の対策の一つに、ドライバが走行中に誤って車両のメインスイッチをOFFの位置に切り換えたり再度ONの位置に戻したりしてしまったときの対策がある。ここで、車両のメインスイッチとは、一般には「イグニッションスイッチ」と呼ばれる、運転席に設けられているスイッチのことを意味する。走行中にメインスイッチがOFFに切り換えられることは、通常の使用態様ではないが、ドライバが誤ってそのような操作を行ってしまうことがある。メインスイッチがONの位置からOFFの位置に切り換えられると、インバータ、モータ、及び、インバータやモータに冷媒を送るポンプが停止する。そのため、メインスイッチがOFFに切り換えられる直前まで作動していたインバータやモータの熱がその中に残存する冷媒に蓄積されるとともに、インバータやモータの温度が下がり難くなる。その状態でメインスイッチが再度OFFの位置からONの位置に切り換えられると、インバータやモータは再始動により発熱する。ポンプが再稼働しても冷媒に蓄積された熱量が多いため、インバータやモータを迅速に冷却できない。インバータやモータの発熱への対応が遅れてしまう。
上記の問題を回避するために、例えば、メインスイッチがOFFである場合にもポンプを停止せずに駆動し続ける方法が考えられる。しかし、メインスイッチがOFFのときはメインバッテリからの電力供給が停止されるため、メインバッテリの出力電圧よりも低い電圧を出力する補機バッテリがポンプに電力供給する。この場合、メインスイッチがOFFの場合にもポンプが駆動し続けるために、ONに切り換えてからインバータやモータの温度が上昇することは抑制できるものの、補機バッテリの電力を消費してしまうという側面がある。また、メインスイッチをOFFの位置からONの位置に切り換えないまま車両を停止する場合には、OFFの間にポンプを駆動するのが無意味となり、やはり補機バッテリの電力を不要に消費してしまう。なお、「メインスイッチをOFFの位置からONの位置に切り換えないまま車両を停止する場合」とは、典型的には車両を停止するために減速しながら、手動でメインスイッチをOFFに切り換えるような場合である。
本明細書は、走行中に車両のメインスイッチがONの位置からOFFの位置へ、そして再度ONの位置に切り換えられた場合に、補機バッテリの電力消費を抑制しつつ、インバータやモータなどの電気デバイスの温度上昇を抑制する技術を提供する。なお、「メインバッテリ」、「補機バッテリ」の呼称は、モータ駆動用の電力を供給する高出力大容量のバッテリ(メインバッテリ)と、モータ駆動電圧よりも低い電圧で駆動する他のデバイス(例えばカーオーディオなど)を駆動するためのバッテリ(補機バッテリ)を区別するための便宜上のものであることに留意されたい。また、以後、説明を簡単にするため、車両のメインスイッチがONの位置からOFFの位置に切り換えられることを「ON/OFF」と称し、OFFの位置から再度ONの位置に切り換えられることを「OFF/ON」と称する場合がある。
本明細書が開示する電気自動車は、車載の電気デバイスに冷媒を循環させるポンプと、ポンプを制御するコントローラを備える。コントローラは、走行中であって、運転席に備えられた車両のメインスイッチがONの位置にある場合は、予め定められたポンプ出力上限値以下でポンプを駆動する(以下、ポンプ出力上限値のことを単に「出力上限値」と称する場合もある)。さらに、コントローラは、走行中にメインスイッチがONの位置からOFFの位置に切り換えられた場合には、ポンプを停止する。また、コントローラは、走行中にOFFの位置からONの位置に切り換えられた場合には、電気デバイスの温度が予め定められた温度閾値よりも高ければ、ポンプ出力上限値を超える出力でポンプを駆動する。
なお、ポンプ出力とは、ポンプ回転数(回転数指令値)あるいは、ポンプ出力トルク(トルク指令値)、あるいは、ポンプに与える駆動電圧などである。即ち、ポンプ出力上限値も、そのような物理単位系(回転数、トルク、電圧)を取り得る。
電気自動車では、ポンプの消耗を抑えるために、通常はポンプの出力に上限値を設けている。ポンプ出力上限値は、コントローラ内のプログラムにて規定されている。本明細書が開示する技術は、メインスイッチがOFF/ONされたときには、例外的に、ポンプ出力の制限を緩和し、電気デバイスを強力に冷却する。
インバータやモータは、上記の「電気デバイス」の一例に相当する。以下では、冷却対象をインバータやモータであるとして説明を続ける。インバータやモータの近傍又は内部には冷媒流路が設けられ、冷媒流路内の冷媒をポンプが循環させることにより、これらの電気デバイスを冷却する。インバータやモータから吸熱して温度が上昇した冷媒は、ラジエータにて外気と熱交換して温度を下げるサイクルを繰り返す。ポンプが冷媒を循環させることにより、このサイクルが成立する。前述のように、走行中にドライバが誤って運転席に備えられた車両のメインスイッチをON/OFFすると、インバータ、モータ、及びポンプが停止する。ポンプが停止すると、冷媒を循環させることができなくなるため、冷媒は、OFFになる直前まで作動していたインバータやモータに残存する熱を吸収して温度が上昇する。ここで再度メインスイッチがONされると、ポンプは駆動を再開する。
仮に、駆動再開後のポンプ出力が、メインスイッチがOFFされる前(即ち、駆動停止前)の出力と同等またはそれ以下であると、駆動再開直後の冷媒の温度は、OFFになる前の冷媒の温度と比べて高温であるため、インバータやモータを十分に冷却できない。そこで、本明細書が開示する技術では、メインスイッチがOFF/ONされた場合(即ち、駆動再開直後)には、コントローラがインバータやモータの温度を計測し、その温度が予め定められた温度閾値よりも高ければ、通常のポンプ出力上限値を超える出力でポンプを駆動する。これによると、インバータやモータの温度が、予め定められた温度閾値より高い場合には、ポンプが通常時よりも高い出力で駆動される。即ちポンプがポンプ出力上限値以上の出力で駆動される。それゆえ、メインスイッチがOFF/ONされた直後には高温であった冷媒は、急速に温度低下し、その結果、インバータやモータは速やかに冷却される。また、メインスイッチがOFFの場合はポンプを停止することにより、補機バッテリの消費電力を低減できる。
なお、前述の「インバータやモータの温度」(電気デバイスの温度)は、インバータに取り付けた温度センサによって直接に計測することのほか、インバータを冷却する冷媒の温度を、「インバータの温度」あるいは「モータの温度」として扱ってもよい。あるいは、インバータの温度とモータの温度との間に一定の関係があることが判明している場合には、モータの温度(あるいはモータを冷却する冷媒の温度)を、インバータの温度の代用値に用いてもよい(モータ等の温度からインバータの温度が推定できる)。また、ポンプが停止して冷媒が循環を停止している場合には、冷媒の温度は冷媒流路内の位置によって異なる可能性があるため、冷媒の温度をインバータやモータの温度の代用値として用いるときは、インバータやモータの近傍の冷媒の温度を計測することが望ましい。なお、「インバータの温度」とは厳密にはインバータに含まれるIGBT素子の温度である。
また、走行中とは、モータ(及びエンジン)が停止しており車両が惰性により走行している場合を含む。即ち、車速がゼロでない場合を意味する。
実施例の電気自動車の冷却システムのブロック図である。 冷却システムの制御のフローチャート図である。 ポンプの制御モードの一例を示す。 ポンプの制御モードの変形例を示す。
図1に、電気自動車100の冷却システムのブロック図を示す。本実施例の電気自動車100は、車輪駆動用のモータを一つ備える1モータの電気自動車である。その電気自動車の冷却システムは、モータ6と、モータ6に交流電力を供給するインバータ3を冷却する。冷却システムは、モータ6とインバータ3とラジエータ2とリザーブタンク5の間で冷媒を循環させる冷媒流路4を備えており、その冷媒流路4には、冷媒を送り出すポンプ10が取り付けられている。インバータ3にはインバータ3の温度(以下、「インバータ温度Ti」と称する)を計測する温度センサ8が取り付けられている。温度センサ8は、厳密には、インバータ3に含まれるIGBT素子の温度を計測するのが望ましい。温度センサ8が計測するインバータ温度Tiはコントローラ12に送られる。コントローラ12は、通常の走行時には、インバータ温度Tiが所定の温度範囲内に収まるように、ポンプ10の出力を調整する。即ち、インバータ温度Tiが高ければポンプ10の出力を高め、インバータ温度Tiが所定の温度範囲となったらポンプ出力を低くする。なお、前述の「通常の走行時」の一つには、運転席に備えられた車両のメインスイッチ14が、走行中にOFFに切り換えられることなく、ONの位置のままで車両が走行する場合がある。他の場合については後述する。また、コントローラ12は、インバータ3の出力が大きい場合、その後にインバータ3の温度上昇(即ち、インバータ温度Tiの温度上昇)が見込まれるので、ポンプ出力を上げる。ただし、通常の走行時においては、コントローラ12は、予め定められたポンプ出力上限値(後述する「Hi」に相当するポンプ出力)以下でポンプの出力を調整する。なお、コントローラ12は、ポンプ10に対して駆動電圧を指令する。即ち、コントローラ12が指令する駆動電圧指令値が高ければポンプ出力が高まり、駆動電圧指令値が低ければポンプ出力が低くなる。
コントローラ12には、車速センサ16と、運転席に備えられた車両のメインスイッチ14が接続されている。メインスイッチ14について説明する。メインスイッチ14は、いわゆるイグニッションスイッチと呼ばれているものである。メインスイッチ14はロータリ式であり、次の3段階の位置を取り得る。
(1)OFF:車両システムが完全に停止した状態である(但し、時計やセキュリティシステムなど、常時通電を要するデバイスには電力が供給される)。
(2)ACC−ON(Ready−OFF):いわゆるアクセサリ−オンの状態であり、オーディオやルームライト、エアコンなどへは電力が供給され得る状態である(ただし、それらのデバイスのスイッチがOFFであればそれらのデバイスは作動しない)。なお、メインバッテリ(不図示)をインバータ3に接続するシステムメインリレー(不図示)は開放されたままであり(即ち、メインバッテリとモータ電気系統は遮断されたままであり)、走行駆動系には電力は供給されない。
(3)Ready−ON:メインスイッチがこの位置に切り換えられると、システムメインリレーが閉じられる(メインバッテリとモータ電気系統が接続される)。この状態では、インバータ3に電力が供給され得る。ただし、インバータ3内のスイッチング素子(即ち、IGBT素子)が作動しないかぎり、モータ6へは電力は供給されない。この状態でアクセルを踏み込めばインバータ3が作動してモータ6を駆動し、車両が走行を開始する。また、走行中にアクセル開度がゼロになれば、モータ6の逆起電力によってメインバッテリが充電される。
車両のメインスイッチ14は上記3種類の位置を取り得るが、本明細書では、メインスイッチ14がReady−ONの位置にあるときを単純に「メインスイッチ14がONの位置にある」(あるいはメインスイッチ14がONである)と称し、Ready−OFF及び、OFFの位置にあるときを、「メインスイッチ14がOFFの位置にある」(あるいはメインスイッチ14がOFFである)と総称する。メインスイッチ14がONの位置からOFFの位置に切り換えられると、メインバッテリがモータ電気系統(走行駆動系)から切り離され、また、インバータ3及び冷却システムも機能を完全に停止する。即ち、ポンプ10への電力供給が遮断され、ポンプ10も停止する。
車両の走行中はメインスイッチ14をOFFの位置に切り換えないことが約束ではあるが、時折、ドライバが誤って走行中にメインスイッチ14をOFFの位置に切り換えてしまうことがある。メインスイッチ14が誤ってOFFの位置に切り換えられたことに気付いたドライバは、直ちにメインスイッチ14を再びONの位置に戻す。即ち、走行中にメインスイッチ14がONからOFFへ、そして再びONへと切り換えられることが起こり得る。走行中にメインスイッチ14がOFFの位置に切り換えられると、ポンプ10は停止する。即ち、冷媒が循環しなくなる。メインスイッチがONであるときは、システムメインリレーが閉じられることによりメインバッテリがインバータ3に電力を供給し、IGBT素子が作動することでモータ6も作動する。このとき、インバータ3やモータ6は発熱し、温度が上昇する。この状態で、メインスイッチ14がOFFへ切り換えられると、前述のように冷媒が循環しなくなる。インバータ3やモータ6の熱は、そこに留まっている冷媒に吸収され、冷媒の温度が上昇する。メインスイッチ14がOFFである時間が十分に長い場合は、インバータ3やモータ6と、冷媒とが熱平衡に達するまで冷媒の温度は上昇する。他方、メインスイッチ14がOFFである時間が比較的に短い場合、即ち、熱平衡に達する前にメインスイッチ14が再びONに切り換えられる場合には、ONに切り換えられるまでの時間分、インバータ3やモータ6の熱により冷媒の温度は上昇する。ここでメインスイッチ14が再びONへ切り換えられると、システムメインリレーが閉じて、再度インバータ3やモータ6が作動する。即ち、インバータ3やモータ6が発熱する。他方、循環しなくなった冷媒は、インバータ3やモータ6の残熱により温度が上昇しているため、OFFからONに切り換わったことにより作動開始するインバータ3やモータ6を十分に冷却することができない。本明細書が開示する技術は、走行中のメインスイッチ14のOFF/ONに伴う冷却システムの対応の遅れをカバーするものである。
コントローラ12は、走行中にメインスイッチ14がON/OFFの場合には、ポンプ10を停止する。メインスイッチ14がOFF/ONの場合にコントローラ12が実行する処理を、図2のフローチャートに沿って説明する。図2の処理は、メインスイッチ14がOFF/ONされたときに開始される。コントローラ12は、まず、車速センサ16から車両速度vを取得する(S2)。次に、コントローラ12は、S2で取得した車両速度vが予め定められた車速閾値vthより大きいか否か判断する(S4)。車両速度vが車速閾値vthより小さい場合には(S4:NO)、コントローラ12は、ポンプ10をノーマルモードの制御に従って駆動する(S12)。ここで、「ノーマルモード」とは、車両が通常走行している場合のポンプ10の駆動モードである。ここでいう「通常走行」とは、以下の2つの場合のいずれかに相当する。即ち、走行中にメインスイッチ14が一度もOFFに切り換えられることなく車両が走行する場合、又は、メインスイッチ14がOFF/ONされた場合に、後述するS12の処理を経て車両が走行する場合、のいずれかである。ノーマルモードの具体例については、後で詳しく説明する。
一方において、車両速度vが車速閾値vthより大きい場合には(S4:YES)、コントローラ12は、温度センサ8からインバータ温度Tiを取得する(S6)。続いて、コントローラ12は、S6で取得したインバータ温度Tiが予め定められた温度閾値Tthより大きいか否か判断する(S8)。インバータ温度Tiが温度閾値Tthよりも小さい場合には(S8:NO)、コントローラ12は、ポンプ10をノーマルモードの制御に従って駆動する(S12)。一方において、インバータ温度Tiが温度閾値Tthより大きい場合には(S8:YES)、コントローラ12は、インバータ3を急速に冷却する必要があると判断して、ポンプ10を非常時モードの制御に従って駆動する(S10)。ここで、「非常時モード」とは、ノーマルモードにおけるポンプ10の出力上限値よりも高出力でポンプ10を駆動するモードである。具体的には、後に詳しく説明する。S10でポンプ10が非常時モードに従った制御に切り換えられると、コントローラ12は、S2に戻り、前述した処理を繰り返す。この処理は、一定時間毎に繰り返し実行される。なお、S10において、ポンプ10を既に非常時モードの制御に従って駆動している場合は、引き続き非常時モードでポンプ10を駆動する。同様に、S12において、ポンプ10を既にノーマルモードの制御に従って駆動している場合は、引き続きノーマルモードでポンプ10を駆動する。
次に、ポンプ10の制御モードを説明する。図3は、ポンプ10の制御モードの一例を示す。コントローラ12は、通常走行時は、インバータ温度Tiに応じてポンプ10の出力を切り換える。概していえば、コントローラ12は、インバータ温度Tiが高いほど、ポンプ10の出力を大きくする。例えば、コントローラ12は、インバータ温度Tiが10[℃]以下の場合は、ポンプ10を停止する。インバータ温度Tiが10[℃]より大きく、30[℃]以下の場合は、ポンプ10を「Lo」出力で駆動する。インバータ温度Tiが30[℃]より大きく、60[℃]以下の場合は、ポンプ10を「Mid」出力で駆動する。インバータ温度Tiが60[℃]を超えている場合は、ポンプ10を「Hi」出力で駆動する。ここで、ポンプ10の出力の大きさは、「Hi」>「Mid」>「Lo」(>「停止」)である。なお、ポンプ出力は、コントローラ12がポンプ10に与える駆動電圧の大きさで定まる。従って別言すれば、コントローラ12がポンプ10に与える駆動電圧の大きさは、「Hi」>「Mid」>「Lo」(>「停止」)である。通常走行時は、コントローラ12は、「ノーマルモード」の制御に従ってポンプ10を駆動する。即ち、コントローラ12は、通常走行時は、ポンプ出力を「Hi」出力以下で調整する。このとき、「Hi」出力が、ポンプ出力上限値に相当する。
図3に示すように、非常時モードでは、インバータ温度Tiが30[℃]以上の場合には、コントローラ12は、ポンプ10を「スーパーHi」出力で駆動する。ここで、「スーパーHi」のポンプ出力は、「Hi」のポンプ出力よりも大きい。即ち、コントローラ12は、通常走行時はポンプ10の出力を予め定められたポンプ出力上限値(図3の「Hi」に相当する)以下に制限し、走行中にメインスイッチ14がOFF/ONされた場合には、インバータ温度Tiが温度閾値Tth(図3の「30[℃]」に相当する)以上の場合に限り、ポンプ出力上限値に関わらず、ポンプ出力上限値よりも高い出力(図3の「スーパーHi」に相当する)でポンプを駆動する。別言すれば、コントローラ12は、通常走行時はポンプ10をノーマルモードの制御に従って駆動する。また、コントローラ12は、メインスイッチ14がOFF/ONであって、インバータ温度Tiが温度閾値Tthより高い場合には、非常時モードの制御に従って駆動し、OFF/ONであってインバータ温度Tiが温度閾値Tthより低い場合には、ノーマルモードの制御に従って駆動する。
上記した冷却システム100の制御の利点を説明する。車両走行中にメインスイッチ14がON/OFFされ、その後OFF/ONされた際、インバータ温度Tiが温度閾値より高い場合には(S8:YES)、コントローラ12は、通常走行時のポンプ制御に関わらず、通常走行時の出力上限値よりも高い出力でポンプ10を駆動する(S10)。そのような処理によって、インバータ3とモータ6は速やかに冷却される。そのため、インバータ3とモータ6の温度上昇が抑制される。逆に、再度ONに切り換えられた場合のインバータ温度Tiが温度閾値Tthを下回る場合は(S8:NO)、コントローラ12はポンプ10を通常走行時の出力上限値以下で駆動する(S12)。従って、インバータ温度Tiがさほど高くない場合に、ポンプ10を通常走行時の出力上限値よりも高い出力で駆動してインバータ3を不必要に冷却する事態の発生を回避できる。インバータ温度Tiに基づいたポンプ出力でポンプ10を駆動することにより、ポンプ10の消費電力(即ち、補機バッテリの消費電力)を低減しつつ、インバータ3やモータ6を適切に冷却できる。
また、図2の冷却システム制御では、車両速度vが車速閾値vthより大きいか否かを判断し(S4)、車両速度vが車速閾値vthより大きいとき(S4:YES)だけ、インバータ温度Tiが温度閾値Tthより高いか低いか判断して(S8)ポンプ出力を決定する(S10,S12)。これによると、車両速度vが車速閾値vthより小さいとき(S4:NO)にはポンプ10を出力上限値以下の出力で駆動する(S12)。車両速度が車速閾値より低いときはモータ6の回転数が小さいため、OFF/ONのときにインバータ3やモータ6はそれほど温度上昇せず、ポンプ出力が出力上限値以下でも、ポンプ10はインバータ3やモータ6を十分に冷却できる。インバータ3やモータ6の温度がそれほど高くないときにはポンプ10を無用に高出力で駆動することがないため、ポンプ10の劣化を防ぐことができるとともに、ポンプ10の消費電力を低減することができる。
図4を参照して、図3のポンプ制御モードの変形例を説明する。通常走行時、即ちポンプ10がノーマルモードの制御に従って駆動する場合は、インバータ温度Tiに基づいたポンプ出力は、図3に示したポンプ制御モードと同様である。他方、非常時モードでは、インバータ温度Tiが80[℃]以上の場合には、コントローラ12は、ポンプ10を「スーパーHi」出力で駆動する。図3と同様に、「スーパーHi」のポンプ出力は、「Hi」のポンプ出力よりも大きい。即ち、コントローラ12は、通常走行時はポンプ10の出力を予め定められたポンプ出力上限値(図4の「Hi」に相当する)以下に制限し、走行中にメインスイッチ14がOFF/ONされた場合には、インバータ温度Tiが温度閾値Tth(図4の「80[℃]」に相当する)以上の場合に限り、ポンプ出力上限値に関わらず、ポンプ出力上限値よりも高い出力(図4の「スーパーHi」に相当する)でポンプを駆動する。別言すれば、図4のポンプ制御モードは、非常時モードにおいて、ポンプ10が「スーパーHi」出力で駆動するときのインバータ温度(即ち、温度閾値Tth)が、図3のポンプ制御モードと比べて高く設定されている。
これによると、メインスイッチ14がOFF/ONされて、インバータ温度Tiが、通常走行時にはあまり到達することのない温度(図4の「80[℃]」に相当する)に達する場合にのみ、コントローラ12はポンプ10をポンプ出力上限値よりも高い出力、即ち「スーパーHi」出力で駆動する。ここで、「通常走行時にはあまり到達することのない温度に達する場合」とは、典型的には、車両が高速度で走行中にメインスイッチ14がON/OFFされ、インバータ3やモータ6と、冷媒が熱平衡に到達するぐらいに十分に時間が経過した場合である。但し、このような場合に限られるわけではない。このような構成をとると、温度閾値Tthが高く設定されているため、メインスイッチ14がOFF/ONされても、ポンプ10がポンプ出力上限値を上回る出力で駆動する回数が、図3の制御モードと比べて減少する。従って、インバータの温度上昇を抑制しつつ、ポンプ10の劣化を防ぎ、ポンプ10の消費電力(即ち、補機バッテリの消費電力)を低減できる。
本明細書が開示する技術についての留意点を述べる。図2の処理において、S10の処理を実行した後は、S2の処理に戻る代わりにS6の処理に戻る構成であってもよい。インバータ温度Ti>温度閾値Tthのために(S8:YES)、一旦ポンプ10を非常時モードの制御に従って駆動した場合(S10)は、その後車速がvthを下回っても、インバータ温度Tiが温度閾値Tthを下回るまでポンプ10を非常時モードの制御に従って駆動し続けてもよい。これによると、インバータ3やモータ6を適切に冷却できる。
また、図2において、不等号(「>」又は「<」)は、等号を含むもの(「≧」や「≦」)であってもよい。また、「上回る」、「より高い」、「超える」といった表現は「以上」であってもよく、「下回る」、「より低い」といった表現は「以下」であってもよい。逆も然りである。上記の説明では2個の値を比較することが重要であり、等号を含むか否かは重要ではない点に留意されたい。
実施例では、コントローラ12は、インバータ温度Tiに応じてポンプ出力を変更した。インバータ温度Tiに代えて、モータ6の温度、あるいは、冷媒の温度に応じてポンプ出力を調整してもよい。
また、実施例の冷却システムは、インバータ3とモータ6の双方を冷却するものであった。本明細書が開示する技術は、インバータとモータの少なくとも一方を冷却する冷却システムに適用してもよい。さらに、実施例の車両は1モータの電気自動車であったが、本明細書が開示する技術は、車輪を駆動するモータとエンジンを備えるハイブリッド車に適用することも好適である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:ラジエータ
3:インバータ
4:冷媒流路
5:リザーブタンク
6:モータ
8:温度センサ
10:ポンプ
12:コントローラ
14:メインスイッチ
16:車速センサ
100:電気自動車

Claims (1)

  1. 車載の電気デバイスに冷媒を循環させるポンプと、
    ポンプを制御するコントローラと、
    を備えており、走行中においてコントローラは、
    運転席に備えられた車両のメインスイッチがONの位置にある場合は予め定められたポンプ出力上限値以下でポンプを駆動し、
    メインスイッチがONの位置からOFFの位置に切り換えられた場合はポンプを停止し、
    OFFの位置からONの位置に切り換えられた場合であって電気デバイスの温度が予め定められた温度閾値よりも高い場合はポンプ出力上限値を超える出力でポンプを駆動する、
    ことを特徴とする電気自動車。
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