JP2013134358A - 防眩層用組成物、防眩層用組成物の調製方法及び防眩性フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光透過性基材の一方の面上に表面に凹凸形状を有する防眩層を形成するための防眩層用組成物であって、シリカ微粒子、有機微粒子、バインダー樹脂のモノマー成分及び溶剤を含有し、上記溶剤は、極性が高くかつ揮発速度が速い溶剤を全溶剤中20質量%以上含有することを特徴とする防眩層用組成物。
【選択図】なし
Description
このような反射防止用の光学積層体は、光の散乱や干渉によって、像の映り込みを抑制したり反射率を低減したりするものである。
また、この光学積層体は、通常、画像表示装置の最表面に設置されるものであるため、取り扱い時に傷がつかないように、ハードコート性を付与することも要求される。
これらの防眩性フィルムは、凝集性シリカ等の粒子の凝集によって防眩層の表面に凹凸形状を形成するタイプ、塗膜の膜厚以上の粒径を有する有機フィラーを樹脂中に添加して層表面に凹凸形状を形成するタイプ、あるいは層表面に凹凸をもったフィルムをラミネートして凹凸形状を転写するタイプがある。
また、従来のタイプの防眩性フィルムは、フィルム表面に、いわゆる面ギラと呼ばれるキラキラ光る輝きが発生し、表示画面の視認性が低下するという問題もあった。面ギラは、画像表示装置を点灯した際、背面からの透過光が画面に到達したときに、画面表面に細かい輝度のむらが現れ、観察者が見る角度を変えていくと、その輝度むらの位置が移り変わっていくように見える現象で、特に全面白色表示や全面緑色表示のときに顕著である。
また、有機微粒子或いは無機微粒子を単独で用いて層表面に凹凸形状を形成する場合、防眩性フィルムの薄膜化を図ると、微粒子が防眩層の上部に存在しすぎたり、微粒子が高さ方向に凝集したりすることがあるため、表面凹凸が高くなってしまい、面ギラ或いは白ぼけが発生していた。この欠点を解消すべく、有機微粒子或いは無機微粒子の平均粒径を小さくして、表面凹凸の高さを低くしようとすると、反対に表面凹凸の高さが低くなりすぎて、防眩性がなくなってしまいやすく、安定して良好な製品を得ることはできなかった。
このため、滑らかな凹凸表面を有する防眩層であって、ハードコート性と防眩性とを維持しつつ、面ギラ及び白ぼけを充分に抑制でき、かつ暗室でのコントラストが優れる一層構成の防眩層を備えた防眩性フィルムが望まれていた。
上記バインダー樹脂は、分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーを主材料とすることが好ましい。
また、上記シリカ微粒子は、表面処理されていることが好ましい。
また、上記有機微粒子は、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びポリフッ化エチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の材料からなる微粒子であることが好ましく、表面親水化処理されていることが好ましい。
また、本発明は、光透過性基材の一方の面上に表面に凹凸形状を有する防眩層を有する防眩性フィルムの製造方法であって、上記光透過性基材の一方の面上に、本発明の防眩層用組成物の調製方法により得られた防眩層用組成物を塗布し、塗膜を形成する工程、上記塗膜を乾燥させる工程、及び、乾燥させた上記塗膜を硬化させる工程を有することを特徴とする防眩性フィルムの製造方法でもある。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の防眩層用組成物において、上記溶剤は、極性が高くかつ揮発速度が速い溶剤を含有する。このような極性が高くかつ揮発速度が速い溶剤を含有することで、本発明の防眩層用組成物中で後述するシリカ微粒子の凝集体が過度に凝集することを防止できる。一方、本発明の防眩層用組成物を用いて光透過性基材上に塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させた際、上記極性が高くかつ揮発速度が速い溶剤が他の溶剤よりも先に揮発するため、塗膜中の組成が変性し、その結果、該塗膜中で上記有機微粒子の周囲に後述する上記シリカ微粒子の凝集体が寄り集まるとともに、シリカ微粒子の凝集体同士も寄り集まって、シリカ微粒子の凝集体が粗密な状態、及び、上記有機微粒子の周囲に密に分布した状態を形成することができる。
なお、本明細書において、「極性が高い溶剤」とは、溶解度パラメータが10[(cal/cm3)1/2]以上の溶剤を意味し、「揮発速度が速い溶剤」とは、相対蒸発速度が150以上の溶剤を意味する。従って、上記「極性が高くかつ揮発速度が速い溶剤」とは、上記「極性が高い溶剤」及び「揮発速度が速い溶剤」の両方の要件を充足する溶剤を意味する。
本明細書において、上記溶解度パラメーターは、Fedorsの方法で計算される。Fedorsの方法は、例えば「SP値 基礎・応用と計算方法」(山本秀樹著 株式会社情報機構発行、2005年)に記載されている。Fedorsの方法において、溶解度パラメーターは下記式より算出される。
溶解度パラメーター=[ΣEcoh/ΣV]2
上記式中、Ecohは凝集エネルギー密度、Vはモル分子容である。原子団ごとに決められたEcoh及びVに基づき、Ecoh及びVの総和であるΣEcoh及びΣVを求めることによって、溶解度パラメーターを算出することができる。
また、本明細書において、上記相対蒸発速度とは、n−酢酸ブチルの蒸発速度を100とした時の相対蒸発速度をいい、ASTM D3539−87に準拠して測定される蒸発速度で、下記式により算出される。具体的には、25℃、乾燥空気下におけるn−酢酸ブチルの蒸発時間と各溶剤の蒸発時間を測定し算出する。
相対蒸発速度=(n−酢酸ブチル90重量%が蒸発するのに要する時間)/(測定溶剤の90重量%が蒸発するのに要する時間)×100
本発明の防眩層用組成物において、上記シリカ微粒子は、本発明の防眩層用組成物を増粘させることができる材料である。このため、上記シリカ微粒子を含有することで、本発明の防眩層用組成物に含まれる有機微粒子の沈降を抑制できる。すなわち、上記シリカ微粒子は、後述する防眩層における有機微粒子とシリカ微粒子の凝集体との所定の分布の形成促進機能とともに、防眩層用組成物のポットライフの向上機能も有すると推測される。
ここで、通常、上記シリカ微粒子の表面には水酸基が存在しているが、上記表面処理がされることで上記シリカ微粒子表面の水酸基が少なくなり、上記シリカ微粒子の比表面積が小さくなる。その結果、上記シリカ微粒子が過度に凝集することを防止でき、上述した効果が発揮される。
上記防眩層中で上記シリカ微粒子の凝集体が上記状態で含有されていることで、後述するように、上記防眩層の表面に形成された凹凸形状が、単一の微粒子(例えば、有機微粒子等)又は単一粒子の凝集体(例えば、シリカ微粒子の凝集体)により防眩層の表面に形成された凹凸形状と比較して、凸部の傾斜が緩やかとなり滑らかな形状となる。これは、後述するように、形成する防眩性フィルムでは、上記シリカ微粒子と有機微粒子とが防眩層中で特定の状態で分布しているためであると推測される。
なお、上記シリカ微粒子の平均1次粒子径は、断面電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型で倍率は5万倍以上が好ましい)の画像から、画像処理ソフトウェアーを用いて測定される値である。
上記防眩層中で上記シリカ微粒子が数珠状に連なった凝集体を形成していることで、後述するように好適に上記防眩層の表面凹凸形状を滑らかな形状とすることができる。
なお、上記シリカ微粒子が数珠状に連なった構造とは、例えば、上記シリカ微粒子が直線状に連続して連なった構造(直鎖構造)、該直鎖構造が複数絡み合った構造、上記直鎖構造にシリカ微粒子が複数連続して形成された側鎖を1又は2以上有する分岐構造等、任意の構造が挙げられる。
なお、上記シリカ微粒子の凝集体の平均粒子径は、形成する防眩層の断面電子顕微鏡による観察(1万〜2万倍程度)からシリカ微粒子の凝集体が多く含まれる5μm四方の領域を選び、その領域中のシリカ微粒子の凝集体の粒子径を測定し、上位10個のシリカ微粒子の凝集体の粒子径を平均したものである。なお、上記「シリカ微粒子の凝集体の粒子径」は、シリカ微粒子の凝集体の断面を任意の平行な2本の直線で挟んだとき、該2本の直線間距離が最大となるような2本の直線の組み合わせにおける直線間距離として測定される。また、上記シリカ微粒子の凝集体の粒子径は、画像解析ソフトを用いて算出してもよい。
本発明の防眩層用組成物がこのような粒子径の関係を有する2種の微粒子を含有することで、本発明の防眩層用組成物を用いて形成した防眩層は、粒子径の揃った有機微粒子の間に粒子径のバラツキが大きいシリカ微粒子が入り込んだ構造を構成しやすく、上述した滑らかな凹凸形状を防眩層表面に好適に形成することができる。
ここで、上記「粒子径が比較的揃った微粒子」とは、重量平均による微粒子の平均粒径をMV、累積25%径をd25、累積75%径をd75としたとき、(d75−d25)/MVが0.25以下であった場合を意味し、上記「粒子径のバラツキが比較的大きい粒子」とは、上記(d75−d25)/MVが0.25を超える場合を意味する。なお、累積25%径とは、粒径分布における粒径の小さい粒子からカウントして、25質量%となったときの粒子径をいい、累積75%径とは、同様にカウントして75質量%となったときの粒子径をいう。なお、上記重量平均による微粒子の平均粒径、累積25%径及び累積75%径は、コールターカウンター法による重量平均径として計測することができる。
なお、上記「球状」とは、例えば、真球状、楕円球状等が挙げられ、いわゆる不定形を除く意味である。
上記親水化処理としては特に限定されず公知の方法が挙げられるが、例えば、カルボン酸基や水酸基等の官能基を有するモノマーを上記有機微粒子の表面に共重合させる方法等が挙げられる。
なお、通常、表面親水化処理された有機微粒子は、防眩層中でゆるやかに集まらせることができないため、防眩層の表面に充分な凹凸形状を形成することができず防眩性能が劣ることとなる。しかしながら、本発明により形成される防眩層では、上記シリカ微粒子が凝集体を形成して防眩層中で粗密に含有され、更に上記有機微粒子の周囲に上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布しているため、表面親水化処理された有機微粒子を含有する防眩層であっても所望の凹凸形状を形成することができる。
また、上記有機微粒子の平均粒子径は、形成する防眩層の厚さに対して20〜60%であることが好ましい。60%を超えると、有機微粒子が形成する防眩層の最表面に突出し、また有機微粒子により生じる凹凸が急峻なものとなる恐れがある。20%未満であると、充分な凹凸形状を防眩層表面に形成できなくなって、形成する防眩層の防眩性能が不充分となることがある。
なお、上記有機微粒子の平均粒子径は、有機微粒子単独で測定する場合、コールターカウンター法による重量平均径として計測できる。一方、形成した防眩層中の有機微粒子の平均粒径は、防眩層の透過光学顕微鏡観察において、10個の粒子の最大径を平均した値として求められる。もしくはそれが不適な場合は、粒子中心近傍を通る断面の電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)観察において、任意の同じ種類で、ほぼ同じ位の粒径として観察される拡散粒子30個選択して(粒子のどの部位の断面であるか不明であるためn数を増やしている)その断面の最大粒径を測定し、その平均値として算出される値である。いずれも画像から判断するため、画像解析ソフトにて算出してもよい。
なお、本明細書において、「樹脂」とは、特に言及しない限り、モノマー、オリゴマー等も包含する概念である。
上記電離放射線硬化型樹脂と併用して使用することができる溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。上記熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、製膜性、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
上記熱硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。
上記光重合開始剤としては特に限定されず、公知のものを用いることができ、具体例には、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
上記レベリング剤としては、例えば、シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤等が挙げられ、好ましくはパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤等が、形成する防眩層がベナードセル構造となることを回避することから好ましい。溶剤を含む樹脂組成物を塗工し、乾燥する場合、塗膜内において塗膜表面と内面とに表面張力差等を生じ、それによって塗膜内に多数の対流が引き起こされる。この対流により生じる構造はベナードセル構造と呼ばれ、形成する防眩層にゆず肌や塗工欠陥といった問題の原因となる。
また、上記ベナードセル構造は、防眩層の表面の凹凸が大きくなりすぎて白ぼけ、面ギラに悪影響を及ぼす。前述のようなレベリング剤を用いると、この対流を防止することができるため、欠陥やムラのない凹凸膜が得られるだけでなく、凹凸形状の調整も容易となる。
すなわち、本発明の防眩層用組成物の調製方法は、シリカ微粒子、有機微粒子、バインダー樹脂のモノマー成分及び溶剤を含有する防眩層用組成物の調製方法であって、上記溶剤は、極性が高くかつ揮発速度が速い溶剤を全溶剤中20質量%以上含有するものであり、上記溶剤に、上記有機微粒子及び上記バインダー樹脂のモノマー成分を添加し、混合物を調製する工程、及び、上記混合物に、上記シリカ微粒子を添加する工程を有することを特徴とする。
また、本発明の防眩層用組成物の調製方法は、上記溶剤に、上記有機微粒子及び上記バインダー樹脂のモノマー成分を添加し、混合物を調製する工程を有する。
上記有機微粒子、バインダー樹脂のモノマー成分及び上記溶剤を添加して混合物を調製する方法としては特に限定されず、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ディスパー、ミキサー等の公知の装置を使用して行うことができる。
また、本工程で調製する混合物における固形分量としては特に限定されないが、好ましくは、10〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%である。
本工程を行うことで、上述した本発明の防眩層用組成物を調製することができる。
上記混合物に、上記シリカ微粒子を添加する方法としては、上記シリカ微粒子を上記溶剤に分散させた状態で添加する方法が挙げられる。このとき、上記シリカ微粒子を分散させる溶剤は、上述した極性が高くかつ揮発速度が速い溶剤を含有する必要はない。すなわち、上記シリカ微粒子を分散させる溶剤の量を適宜調整し、本工程を経て得られる防眩層用組成物における、上記極性が高くかつ揮発速度の速い溶剤の含有量及び固形分を、本発明の防眩層用組成物において説明した範囲とすることが好ましい。
上記溶剤に分散させたシリカ微粒子を上記混合物に添加し、本発明の防眩層用組成物を調製する方法としては、上述した混合物を調製する方法と同様の方法が挙げられる。
これに対して、本発明の防眩層用組成物の調製方法は、上記有機微粒子を上記極性が高くかつ揮発速度が速い溶剤を含む溶剤に分散させた後に、シリカ微粒子を添加する。このため、調製される防眩層用組成物におけるシリカ微粒子と有機微粒子とは、凝集することがなく、均一に分散した状態とすることができる。
このような防眩性フィルムの製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
すなわち、光透過性基材の一方の面上に表面に凹凸形状を有する防眩層を有する防眩性フィルムの製造方法であって、上記光透過性基材の一方の面上に、本発明の防眩層用組成物の調製方法により得られた防眩層用組成物を塗布し、塗膜を形成する工程、上記塗膜を乾燥させる工程、及び、乾燥させた上記塗膜を硬化させる工程を有することを特徴とする防眩性フィルムの製造方法である。
このような防眩性フィルムの製造方法もまた、本発明の一つである。
上記光透過性基材は、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度に優れたものが好ましい。光透過性基材を形成する材料の具体例としては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、又は、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。好ましくは、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテートが挙げられる。
また、トリアセチルセルロースの代替基材として旭化成ケミカルズ社製のFVシリーズ(低複屈折率、低光弾性率フィルム)も好ましい。
また、本発明の防眩層用組成物の塗布量として特に限定されず、目的とする防眩層の厚みに応じて適宜調整される。
なお、本工程により形成された塗膜中の上述したシリカ微粒子の凝集体及び有機微粒子は、それぞれ均一に分散した状態にあることが好ましい。
上記塗膜を乾燥させる方法としては特に限定されず、例えば、従来公知の任意の方法が挙げられる。
ここで、上記塗膜には、上述した極性が高くかつ乾燥速度が速い溶剤を所定量含有されているため、本工程で上記塗膜を乾燥させると、上記塗膜に含有される溶剤が揮発するが、まず、上記極性が高くかつ乾燥速度が速い溶剤が揮発する。この極性が高くかつ乾燥速度が速い溶剤は、上述したように、上記シリカ微粒子の凝集体と有機微粒子との凝集を生じにくくする性質を有するため、本工程で先に極性が高くかつ乾燥速度が速い溶剤が揮発することで、塗膜形成時の組成が変性し、その結果、該塗膜中で上記有機微粒子の周囲に上記シリカ微粒子の凝集体が寄り集まるとともに、シリカ微粒子の凝集体同士も寄り集まって、シリカ微粒子の凝集体が粗密な状態、及び、上記有機微粒子の周囲に密に分布した状態を形成することができる。
なお、上記「粗密に分布している」とは、上記塗膜には、上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している領域(多数のシリカ微粒子が存在している領域)と、上記シリカ微粒子の凝集体が粗に分布している領域(殆どシリカ微粒子が存在しない領域)とが複数存在していることを意味する。すなわち、上記乾燥後の塗膜中に、上記シリカ微粒子は、不均一に分散している。
このようなシリカ微粒子の分布は、後述工程を経て形成した防眩層の断面顕微鏡観察にて容易に判別することができる。より具体的には、上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している領域(電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときに、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が5%以上である領域)と、上記シリカ微粒子の凝集体が粗に分布している領域(電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときに、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が1%未満である領域)とが複数存在していることを意味する。すなわち、上記防眩層中に、上記シリカ微粒子の凝集体は、不均一に分散している。
なお、このようなシリカ微粒子の凝集体の分布は、上記防眩層の厚み方向の断面電子顕微鏡観察にて容易に判別することができる。例えば、図2は、本発明により製造した防眩性フィルムの断面STEM写真であるが、図2において、中央付近の濃色帯状領域が上記防眩層の断面であり、該防眩層の断面において、黒く斑に観察される部分が上記シリカ微粒子の凝集体であり、シリカ微粒子の凝集体が上記防眩層中で不均一に分散していることが明確に確認できる。また、上記シリカ微粒子の凝集体の面積割合は、例えば、画像解析ソフトを用いて算出することができる。
特に、乾燥条件の選定によって有機微粒子及びシリカ微粒子の凝集体の分布状態を調整する方法が簡便で好ましい。具体的な乾燥温度としては、30〜120℃、乾燥風速では0.2〜50m/sであることが好ましく、この範囲内で適宜調整した乾燥処理を、1回又は複数回行うことで有機微粒子及びシリカ微粒子の凝集体の分布状態を所望の状態に調整することができる。
上記塗膜を硬化させる方法としては、上記乾燥させた塗膜に電離放射線を照射する方法が挙げられ、該電離放射線の照射方法としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等の光源を用いる方法が挙げられる。
また、紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
また、得られた防眩性フィルムは、上記防眩層中に有機微粒子を含有し、該有機微粒子の周囲に上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している。
なお、上記シリカ微粒子の凝集体は、上述したように、上記防眩層中で粗密に含有されているため、上記防眩層には、上記有機微粒子の周囲に多数のシリカ微粒子の凝集体が存在している領域と、上記シリカ微粒子の凝集体のみが密に分布している領域とが形成されている。例えば、図4は、本発明により得られた防眩性フィルムの防眩層の断面電子顕微鏡写真であるが、図4に示したように、有機微粒子の周囲にシリカ微粒子の凝集体が密に分布している状態は、上記防眩層の断面の電子顕微鏡観察により容易に確認することができる。
ここで、上記防眩層の断面を電子顕微鏡観察した場合、上記有機微粒子の周囲に密に分布したシリカ微粒子の凝集体は、有機微粒子の中心を通る断面だけではなく、該有機微粒子の中心からずれた断面においても密に分布している状態が観察される。
なお、上記「有機微粒子の周囲に上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している」とは、電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率2万倍の条件で防眩層の厚み方向の上記有機微粒子が観察される断面を観察したときに、上記有機微粒子から200nm外側の円周内でかつ上記有機微粒子を除いた領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が10%以上である状態を意味する。
なお、有機微粒子が集まらせるとは、有機微粒子同士が完全に密着しているのではなく、防眩層の断面観察した折に最も近接する有機微粒子間距離が、その粒子の平均粒子径よりも小さい場合、又は、例えば、図4に示した中央上方に含有された有機微粒子と、右側下方に含有された有機微粒子のように、有機微粒子間を上記シリカ微粒子の凝集体が複数連続して連なっている場合を意味する。
なお、図3は、図2に示した防眩性フィルムの防眩層の断面電子顕微鏡写真を更に拡大した電子顕微鏡写真であるが、図3に示したように、上記有機微粒子の表面に付着等したシリカ微粒子の凝集体は、上記防眩層の断面の電子顕微鏡観察により容易に確認することができる。
また、上記有機微粒子の表面から内部に上記シリカ微粒子の凝集体を構成するシリカ微粒子のうちの一部を含浸させる方法としては、例えば、防眩層を形成する際に、有機微粒子の架橋度を下げる方法や、有機微粒子を膨潤させることができる溶剤を防眩層用組成物の中に用いる方法等が挙げられる。
上記有機微粒子は、そのほぼ全表面で均等に上記シリカ微粒子の凝集体の付着等があることが好ましい。
上記有機微粒子の周囲に密に分布したシリカ微粒子の凝集体に占める、上記有機微粒子の表面に付着等しているシリカ微粒子の凝集体の割合は、電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率2万倍の条件で防眩層の厚み方向の上記有機微粒子が観察される断面を顕微鏡観察したときに、上記有機微粒子から200nm外側の円周内でかつ上記有機微粒子を除いた領域のシリカ微粒子の凝集体のうち、面積割合で50%以上であることが好ましい。50%未満であると、防眩層中で有機微粒子同士を集まらせる効果が不充分となり、充分な防眩性能を有するだけの凹凸を形成できなくなることがある。
これは、以下に挙げる理由によるものと推測される。
すなわち、防眩層用組成物を塗布後、乾燥して溶剤が蒸発する際、粘度が低いとバインダー樹脂が有機微粒子の形状に追随した状態になりやすい。更に、バインダー樹脂は硬化するときに体積が収縮するが、有機微粒子は収縮することが無いため、バインダー樹脂のみが収縮することにより、有機微粒子に対応する位置の表面に形成される凸部が急峻な傾斜になりやすい。
しかしながら、有機微粒子の周りにシリカ微粒子の凝集体が密に分布することにより、上記防眩層用組成物の有機微粒子周りの粘度が上昇し、溶剤が蒸発する際、バインダー樹脂が有機微粒子の形状に追随し難く、また、その部分のバインダー(バインダー樹脂とシリカ微粒子からなる)は硬化収縮し難くなり、結果として、有機微粒子に対応する位置の表面に形成される凸部はなだらかな傾斜となりやすくなる。
このため、上記有機微粒子により防眩層の表面に形成される凹凸形状(凸部)の傾斜角が、微粒子単体で形成される凹凸形状(凸部)の傾斜角よりも緩やかなものになると推測される。
また、上記防眩層の厚さとしては、2.0〜7.0μmであることが好ましい。2.0μm未満であると、防眩層表面が傷付きやすくなることがあり、7.0μmを超えると、防眩層が割れやすくなることがある。上記防眩層の厚さのより好ましい範囲は2.0〜5.0μmである。
50μm<Sm<600μm
0.1°<θa<1.5°
0.02μm<Ra<0.25μm
0.30μm<Rz<2.00μm
100μm<Sm<400μm
0.1°<θa<1.2°
0.02μm<Ra<0.15μm
0.30μm<Rz<1.20μm
上記防眩層の凹凸形状は、更に好ましくは、下記式を満たすことである。下記式を満たすと、外光による反射防止と、画像表示装置を黒表示にした状態での艶黒感がより一層優れたものとなる。
120μm<Sm<300μm
0.1°<θa<0.5°
0.02μm<Ra<0.12μm
0.30μm<Rz<0.80μm
なお、本明細書において、上記Sm、Ra及びRzは、JIS B 0601−1994に準拠する方法で得られる値であり、θaは、表面粗さ測定器:SE−3400 取り扱い説明書(1995.07.20改訂)(株式会社小坂研究所)に記載の定義により得られる値であり、図1に示すように、基準長さLに存在する凸部高さの和(h1+h2+h3+・・・+hn)のアークタンジェントθa=tan−1{(h1+h2+h3+・・・+hn)/L}で求めることができる。
このようなSm、θa、Ra、Rzは、例えば、表面粗さ測定器:SE−3400/株式会社小坂研究所製等により測定して求めることができる。
なお、上記全光線透過率は、JIS K7361に従い、村上色彩技術研究所社製「HM−150」等で測定できる。
なお、上記防眩性フィルムにおいて、上記シリカ微粒子としてフュームドシリカを用いることにより、上記防眩層の内部ヘイズ及び外部ヘイズをそれぞれ独立して制御することができる。また、フュームドシリカを用いることで、該フュームドシリカの平均粒子径が小さいために、内部ヘイズが発現せず、外部ヘイズのみを調整することができる。また、内部ヘイズの調整は有機粒子を用いて調整することができる。
上記ヘイズは、JIS K7136に従い、村上色彩技術研究所社製「HM−150」等で測定できる。
また、上記内部ヘイズは、以下のように求められる。
防眩性フィルムの防眩層の表面にある凹凸上に、表面凹凸を形成する樹脂と屈折率が等しいか屈折率差が0.02以下である樹脂をワイヤーバーで乾燥膜厚が8μm(完全に表面の凹凸形状がなくなり、表面が平坦とできる膜厚とする)となるように塗布し、70℃で1分間乾燥後、100mJ/cm2の紫外線を照射して硬化する。これによって、表面にある凹凸がつぶれ、平坦な表面となったフィルムが得られる。ただし、この凹凸形状を有する防眩層を形成する組成物中にレベリング剤等が入っていることで、上記防眩層の表面に塗布する樹脂がはじきやすく濡れにくいような場合は、あらかじめ防眩層の表面をケン化処理(2mol/LのNaOH(又はKOH)溶液で55℃、3分浸した後、水洗し、キムワイプ(登録商標)等で水滴を完全に除去した後、50℃オーブンで1分乾燥)により、親水処理を施すとよい。
この表面を平坦にしたフィルムは、表面凹凸をもたないので、内部ヘイズだけを持つ状態となっている。このフィルムのヘイズを、JIS K−7136に従ってヘイズと同様な方法で測定することで、内部ヘイズを求めることができる。
また、上記外部ヘイズは、(ヘイズ−内部ヘイズ)として求めることができる。
上記低屈折率層は、外部からの光(例えば蛍光灯、自然光等)が光学積層体の表面にて反射する際、その反射率を低くするという役割を果たす層である。低屈折率層としては、好ましくは1)シリカ、フッ化マグネシウム等の低屈折率粒子を含有する樹脂、2)低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂、3)シリカ又はフッ化マグネシウムを含有するフッ素系樹脂、4)シリカ又はフッ化マグネシウムの薄膜等のいずれかで構成される。フッ素系樹脂以外の樹脂については、上述した防眩層を構成するバインダー樹脂と同様の樹脂を用いることができる。
また、上述したシリカは、中空シリカ微粒子であることが好ましく、このような中空シリカ微粒子は、例えば、特開2005−099778号公報の実施例に記載の製造方法にて作製できる。
これらの低屈折率層は、その屈折率が1.45以下、特に1.42以下であることが好ましい。
また、低屈折率層の厚みは限定されないが、通常は30nm〜1μm程度の範囲内から適宜設定すれば良い。
また、上記低屈折率層は単層で効果が得られるが、より低い最低反射率、あるいはより高い最低反射率を調整する目的で、低屈折率層を2層以上設けることも適宜可能である。上記2層以上の低屈折率層を設ける場合、各々の低屈折率層の屈折率及び厚みに差異を設けることが好ましい。
上記電離放射線で硬化する官能基と熱硬化する極性基とを併せ持つ重合性化合物としては、アクリル又はメタクリル酸の部分及び完全フッ素化アルキル、アルケニル、アリールエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類、完全又は部分フッ素化ビニルエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルケトン類等を例示することができる。
上記電離放射線硬化性基を有する重合性化合物の含フッ素(メタ)アクリレート化合物を少なくとも1種類含むモノマー又はモノマー混合物の重合体;上記含フッ素(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種類と、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートの如き分子中にフッ素原子を含まない(メタ)アクリレート化合物との共重合体;フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンのような含フッ素モノマーの単独重合体又は共重合体など。これらの共重合体にシリコーン成分を含有させたシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体も用いることができる。この場合のシリコーン成分としては、(ポリ)ジメチルシロキサン、(ポリ)ジエチルシロキサン、(ポリ)ジフェニルシロキサン、(ポリ)メチルフェニルシロキサン、アルキル変性(ポリ)ジメチルシロキサン、アゾ基含有(ポリ)ジメチルシロキサン、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、アルキル・アラルキル変性シリコーン、フルオロシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、メチル水素シリコーン、シラノール基含有シリコーン、アルコキシ基含有シリコーン、フェノール基含有シリコーン、メタクリル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が例示される。なかでも、ジメチルシロキサン構造を有するものが好ましい。
dA=mλ/(4nA) (1)
(上記式中、
nAは低屈折率層の屈折率を表し、
mは正の奇数を表し、好ましくは1を表し、
λは波長であり、好ましくは480〜580nmの範囲の値である)
を満たすものが好ましい。
120<nAdA<145 (2)
を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
すなわちバックライトユニットとして冷陰極管光源に拡散板を設置したものを用い、2枚の偏光板(サムスン社製 AMN−3244TP)を用い、該偏光板をパラレルニコルに設置したときに通過する光の輝度のLmaxを、クロスニコルに設置したときに通過する光の輝度のLminで割った値(Lmax/Lmin)をコントラストとし、防眩性フィルム(光透過性基材+防眩層等)のコントラスト(L1)を、光透過性基材のコントラスト(L2)で割った値(L1/L2)×100(%)をコントラスト比とする。
なお、上記輝度の測定は暗室下で行う。上記輝度の測定には、色彩輝度計(トプコン社製 BM−5A)を用い、色彩輝度計の測定角は、1°に設定し、サンプル上の視野φ5mmで測定する。また、バックライトの光量は、サンプルを設置しない状態で、2枚の偏光板をパラレルニコルに設置したときの輝度が3600cd/m2になるように設置する。
上記画像表示装置は、LCD、PDP、FED、ELD(有機EL、無機EL)、CRT、タブレットPC、タッチパネル、電子ペーパー等の画像表示装置であってもよい。
そして、本発明の防眩性フィルムの製造方法は、上述した方法で得られた防眩層用組成物を用いるため、ハードコート性と防眩性とを維持しつつ薄膜化でき、面ギラの発生と、白ぼけの発生とを充分に抑制した防眩性フィルムを製造することができる。
このため、本発明により得られた防眩性フィルムは、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、電子ペーパー等に好適に適用することができる。
下記に示した配合をビーズミルにて分散し、混合物Aを得た。次に、下記に示した配合をビーズミルにて分散し混合物Bを得た。そして、混合物Aをディスパーで撹拌しながら、混合物Bを徐々に加えていき、防眩層用組成物1を得た。
(混合物A)
有機微粒子(親水化処理アクリル−スチレン共重合体粒子、平均粒子径2.0μm、屈折率1.55、積水化成品工業社製) 3質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名:PETA、ダイセル・サイテック社製) 60質量部
ウレタンアクリレート(製品名:UV1700B、日本合成化学社製) 40質量部
イルガキュア184(BASFジャパン社製) 5質量部
ポリエーテル変性シリコーン(TSF4460、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製) 0.025質量部
トルエン 90質量部
イソプロピルアルコール 30質量部
シクロヘキサノン 15質量部
フュームドシリカ(オクチルシラン処理;平均粒子径12nm、日本アエロジル社製)
1質量部
トルエン 15質量部
混合物Aにおける有機微粒子の配合量を8質量部とした以外は、防眩層用組成物1と同様にして防眩層用組成物2を得た。
混合物Aにおける有機微粒子の配合量を1質量部とした以外は、防眩層用組成物1と同様にして防眩層用組成物3を得た。
混合物Bにおけるフュームドシリカの配合量を2質量部とした以外は、防眩層用組成物1と同様にして防眩層用組成物4を得た。
混合物Aにおけるトルエンの配合量を60質量部、イソプロピルアルコールの配合量を60質量部とした以外は防眩層用組成物1と同様にして防眩層用組成物5を得た。
混合物Aにおけるトルエンの配合量を30質量部、イソプロピルアルコールの配合量を90質量部とした以外は防眩層用組成物1と同様にして防眩層用組成物6を得た。
混合物Aにおけるペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)の代わりにペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(製品名:PETIA、ダイセル・サイテック社製)を用いた以外は防眩層用組成物1と同様にして防眩層用組成物7を得た。
混合物Bにおけるフュームドシリカとして、未処理のフュームドシリカを用いた以外は防眩層用組成物1と同様にして防眩層用組成物8を得た。
下記に示した配合をビーズミルにて分散して防眩層用組成物9を得た。
有機微粒子(親水化処理アクリル−スチレン共重合体粒子、平均粒子径2.0μm、屈折率1.55、積水化成品工業社製) 3質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名:PETA、ダイセル・サイテック社製) 60質量部
ウレタンアクリレート(製品名:UV1700B、日本合成化学社製) 40質量部
イルガキュア184(BASFジャパン社製) 5質量部
ポリエーテル変性シリコーン(TSF4460、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製) 0.025質量部
トルエン 105質量部
イソプロピルアルコール 30質量部
シクロヘキサノン 15質量部
有機微粒子として親水化処理をしていないアクリル−スチレン共重合体粒子(平均粒子径2.0μm、屈折率1.55、積水化成品工業社製)8質量部を用い、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)の代わりにペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(製品名:PETIA、ダイセル・サイテック社製)を用いた以外は、防眩層用組成物9と同様にして防眩層用組成物10を得た。
有機微粒子の代わりに湿式沈殿法による疎水性シリカ(コールターカウンター法による体積平均粒径3.0μm、東ソー・シリカ社製)5質量部を用いた以外は、防眩層用組成物9と同様にして防眩層用組成物11を得た。
防眩層用組成物1における混合物A及び混合物Bに示した各組成を同時にビーズミルで分散させて、防眩層用組成物12を得た。しかしながら、得られた防眩層用組成物12は、初期からゲル化、沈殿を生じたため、防眩層の形成には使用できないものであった。
混合物Aにおけるトルエンの配合量を105質量部、イソプロピルアルコールの配合量を15質量部とした以外は、防眩層用組成物1と同様にして防眩層用組成物13を得た。しかしながら、得られた防眩層用組成物13は、初期からゲル化、沈殿を生じたため、防眩層の形成には使用できないものであった。
防眩層用組成物1を光透過性基材(厚み60μmトリアセチルセルロース樹脂フィルム、富士フイルム社製、TD60UL)の片面に塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、0.2m/sの流速で70℃の乾燥空気を15秒間流通させた後、さらに10m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が50mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させることにより、4μm厚み(硬化時)の防眩層を形成し、実施例1に係る防眩性フィルムを作製した。
防眩層用組成物1の代わりに防眩層用組成物2〜5を、それぞれ用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2〜5に係る防眩性フィルムを作製した。
防眩層用組成物1の代わりに防眩層用組成物6〜8を、それぞれ用いた以外は実施例1と同様にして、参考例1〜3に係る防眩性フィルムを作製した。
防眩層用組成物1の代わりに防眩層用組成物9〜11を、それぞれ用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1〜3に係る防眩性フィルムを作製した。
防眩層用組成物の安定性を、下記の基準により評価した。
○:防眩層用組成物に沈殿が無く、塗膜に異物がみられない。
△:防眩層用組成物に沈殿が無いが、塗膜に異物がみられる。
×:防眩層用組成物が初期からゲル化、沈殿を生じた。
得られた防眩性フィルムの防眩性について、黒アクリル板、透明粘着、評価フィルム(粘着側は非塗工面)の順に貼付したものを明室環境下で目視にて、被験者15人により、観測者及び観測者の背景の映り込みが気にならない程度を下記の基準により評価した。観測者及び観測者の背景の映り込みが気にならない状態とは、観測者がいることは認められるが、その輪郭だけは不明瞭なぼやけた状態であり、背景にある物も存在は認められるが、輪郭や境界が不明瞭になっている状態である。また、背景に白い壁があった場合、白い壁が存在することは認められるが、白がぼやけた状態で、壁の境界線が不明瞭な状態である。このように、輪郭などがぼやけるだけで、観測者にとっては映り込みが気にならない状態となる。この防眩性は、従来の防眩性のように、観測者や背景が完全に映り込まない、完全にぼやけ、不明瞭になる状態とは異なる。
◎:良好と答えた人が10人以上
○:良好と答えた人が5〜9人
×:良好と答えた人が4人以下
得られた防眩性フィルムの白ぼけについて、黒アクリル板、透明粘着、評価フィルム(粘着側は非塗工面)の順に貼付したものを照度1000Lxの明室環境下にて30Wの三波長蛍光灯下(サンプル面に、45度の角度で照射)で15人の被験者により官能評価(サンプルから50cm程度上部、45度付近の上記蛍光灯が映り込まない箇所を目視観察し、白ぼけが無く黒く見えるかを評価)を行い、下記の基準により評価した。
◎:良好と答えた人が10人以上
○:良好と答えた人が5〜9人
×:良好と答えた人が4人以下
得られた防眩性フィルムの面ギラについて、輝度1500cd/cm2のライトボックス、140ppiのブラックマトリクスガラス、評価フィルムの順に下から重ねた状態にし、30cm程度の距離から上下、左右様々な角度から、被験者15人が目視評価を行った。面ギラが気になるか否かを判定し、下記の基準により評価した。
◎:良好と答えた人が10人以上
○:良好と答えた人が5〜9人
×:良好と答えた人が4人以下
コントラスト比の測定では、バックライトユニットとして冷陰極管光源に拡散板を設置したものを用い、2枚の偏光板(サムスン社製 AMN−3244TP)を用い、該偏光板をパラレルニコルに設置したときに通過する光の輝度のLmaxを、クロスニコルに設置したときに通過する光の輝度のLminで割ることで、防眩性フィルム(光透過性基材+防眩層)のコントラスト(L1)と、光透過性基材のコントラスト(L2)を求め、(L1/L2)×100(%)を算出することでコントラスト比を算出した。
なお、輝度の測定には、色彩輝度計(トプコン社製 BM−5A)を用い、照度が5Lx以下の暗室環境下で行った。色彩輝度計の測定角は1°に設定し、サンプル上の視野φ5mmで測定した。バックライトの光量は、サンプルを設置しない状態で、2枚の偏光板をパラレルニコルに設置したときの輝度が3600cd/m2になるように設置した。
◎:上記コントラスト比が90を超える
○:上記コントラスト比が80を超え90以下
×:上記コントラスト比が80以下
また、参考例1に係る防眩性フィルムは、防眩層用組成物6において、イソプロピルアルコールの配合量が多すぎたため、得られる防眩性フィルムは防眩性に劣るものであった。また、参考例2に係る防眩性フィルムは、防眩層用組成物7において、水酸基を含むバインダーが主成分であったため、面ギラに劣るものであった。また、参考例3に係る防眩性フィルムは、防眩層用組成物8におけるフュームドシリカが未処理であったため、白ぼけ・面ギラに劣るものであった。
また、比較例1に係る防眩性フィルムは、防眩層用組成物9にシリカ微粒子を含有しなかったため、防眩性に劣るものであった。また、比較例2に係る防眩性フィルムは、防眩層用組成物10がシリカ微粒子を用いずに有機微粒子を凝集させたため、白ぼけ・コントラスト比に劣るものであった。また、比較例3に係る防眩性フィルムは、防眩層用組成物11が有機微粒子を用いず、シリカ微粒子のみを含有するものであったため、白ぼけ及び面ギラに劣るものであった。
なお、防眩層用組成物12は、調製時に有機微粒子とシリカ微粒子とを同時に分散させたため、塗布に適した防眩層用組成物が得られなかった。また、防眩層用組成物13は、イソプロピルアルコールの配合量が少なすぎたために、塗布に適した防眩層用組成物が得られなかった。
(低屈折率層用組成物)
中空シリカ微粒子(該シリカ微粒子の固形分:20質量%、溶液;メチルイソブチルケトン、平均粒径:50nm) 40質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(ダイセル・サイテック社製) 10質量部
重合開始剤(イルガキュア127;BASFジャパン社製) 0.35質量部
変性シリコーンオイル(X22164E;信越化学工業社製) 0.5質量部
MIBK 320質量部
PGMEA 161質量部
Claims (8)
- 光透過性基材の一方の面上に表面に凹凸形状を有する防眩層を形成するための防眩層用組成物であって、
シリカ微粒子、有機微粒子、バインダー樹脂のモノマー成分及び溶剤を含有し、
前記溶剤は、極性が高くかつ揮発速度が速い溶剤を全溶剤中20質量%以上含有する
ことを特徴とする防眩層用組成物。 - 極性が高くかつ揮発速度が速い溶剤は、エタノール及び/又はイソプロピルアルコールである請求項1記載の防眩層用組成物。
- バインダー樹脂は、分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーを主材料とする請求項1又は2記載の防眩層用組成物。
- シリカ微粒子は、表面処理されている請求項1、2又は3記載の防眩層用組成物。
- 有機微粒子は、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びポリフッ化エチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の材料からなる微粒子である請求項1、2、3又は4記載の防眩層用組成物。
- 有機微粒子は、表面親水化処理されている請求項1、2、3、4又は5記載の防眩層用組成物。
- シリカ微粒子、有機微粒子、バインダー樹脂のモノマー成分及び溶剤を含有する防眩層用組成物の調製方法であって、
前記溶剤は、極性が高くかつ揮発速度が速い溶剤を全溶剤中20質量%以上含有するものであり、
前記溶剤に、前記有機微粒子及び前記バインダー樹脂のモノマー成分を添加し、混合物を調製する工程、及び、
前記混合物に、前記シリカ微粒子を添加する工程
を有することを特徴とする防眩層用組成物の調製方法。 - 光透過性基材の一方の面上に表面に凹凸形状を有する防眩層を有する防眩性フィルムの製造方法であって、
前記光透過性基材の一方の面上に、請求項7記載の防眩層用組成物の調製方法により得られた防眩層用組成物を塗布し、塗膜を形成する工程、
前記塗膜を乾燥させる工程、及び、
乾燥させた前記塗膜を硬化させる工程を有する
ことを特徴とする防眩性フィルムの製造方法。
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