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JP2013128006A - 圧電/電歪体膜の製造方法 - Google Patents

圧電/電歪体膜の製造方法 Download PDF

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JP2013128006A
JP2013128006A JP2011276120A JP2011276120A JP2013128006A JP 2013128006 A JP2013128006 A JP 2013128006A JP 2011276120 A JP2011276120 A JP 2011276120A JP 2011276120 A JP2011276120 A JP 2011276120A JP 2013128006 A JP2013128006 A JP 2013128006A
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Hirofumi Yamaguchi
口 浩 文 山
Kazuyuki Umikawa
川 和 之 海
Yukio Osaka
阪 幸 郎 逢
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NGK Insulators Ltd
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Abstract

【課題】正方晶ペロブスカイトからなる特性の高い圧電/電歪体膜を、基板へのリチウムの拡散を効果的に防止しながら狙い組成どおりに製造する方法を提供する。
【解決手段】一般式ABO3±δ(0.90≦x≦1.20)で表され、AサイトがLi、Na及びKを含み、BサイトがNbを含む基本組成を有する原料粉末を仮焼して、正方晶ペロブスカイトからなる仮焼物を形成する。この仮焼物を粉砕して仮焼/粉砕粉を得る。この仮焼/粉砕粉を含む被膜を基板11、電極層121に上に形成する。被膜を焼成して、正方晶ペロブスカイトからなる圧電/電歪体膜122を形成する。
【選択図】図1A

Description

本発明は、圧電/電歪体膜の製造方法に関する。
圧電/電歪アクチュエータは、サブミクロンのオーダーで変位を精密に制御することができるという利点を有する。特に、圧電/電歪磁器組成物の焼結体を圧電/電歪体として用いた圧電/電歪アクチュエータは、変位を精密に制御することができる他にも、電気機械変換効率が高い、発生力が大きい、応答速度が速い、耐久性が高い、消費電力が少ないといった利点も有し、これらの利点を生かして、インクジェットプリンタのヘッドやディーゼルエンジンのインジェクタ等に採用されている。
従来、圧電/電歪アクチュエータ用の圧電/電歪磁器組成物として、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系組成物が用いられていた。しかしながら、PZTは高歪特性を有するものの、有害物質である鉛を含むことから、焼結体からの鉛の溶出が地球環境に与える影響が強く懸念されるようになってきた。
そこで、近年、非鉛の圧電/電歪磁器組成物として、ニオブ酸アルカリ系のものが提案されている。例えば、特許文献1には、組成式がLi(K1−y Na1−x(Nb1−zTa)O(但し、0.001≦x≦0.2、0≦y≦0.8、0<z≦0.4)で表される固溶体からなるアルカリ金属含有ニオブ酸化物系圧電材料組成物が開示されている。特許文献2には、一般式:{Li(K1−yNa1−x}{Nb1−z−wTaSb}O(但し、0≦x≦0.2、0≦y≦1、0≦z≦0.4、0≦w≦0.2、x+z+w>0)で表される等方性ペロブスカイト型化合物を主相とする多結晶体からなり、かつ、該多結晶体を構成する各結晶粒の特定の結晶面が配向している結晶配向セラミックスが開示されている。非特許文献1には、(Li,Na,K)(Nb,Ta)O系圧電体において、非鉛でありながらPZTに匹敵する圧電特性を実現したことが開示されている。非特許文献2には、リチウムを添加した[Li(Na0.50.51−x]NbO(0.04≦x≦0.20)が良好な非鉛高温圧電セラミックスであることが開示されている。これらの文献に開示される体はいずれもバルク形態のものである。
一方、膜形態の体を用いた圧電薄膜素子も知られている。例えば、特許文献3には、基板上に下部電極、圧電薄膜、上部電極を配した圧電薄膜素子において、前記圧電薄膜が(Nax1y1Liz1)NbO(0<x1<1、0.4<y1<1、0≦z1<1、x1+y1+z1=1)で表されるアルカリニオブ酸化物系ペロブスカイト構造の誘電体薄膜であり、前記下部電極と前記圧電薄膜の間に(Nax2y2Liz2)NbO(0<x2<1、0<y2≦0.4、0≦z2<1、x2+y2+z2=1かつy1>y2)で表されるアルカリニオブ酸化物系ペロブスカイト構造の下地誘電体薄膜を有する圧電薄膜素子が開示されている。
特許第3531803号公報 特許第4326374号公報 特許第4258530号公報
Y. Saito et. al., Nature 432, 84-87 (2004) Y. Guo et al., App. Phys. Lett. 85 (2004) 4121
しかしながら、(Li,Na,K)(Nb,Ta)O系非鉛圧電体を膜化した圧電膜型素子では、材料が本来持つ特性を十分に発揮することができない。これは、焼成中にリチウムが下部電極(例えば白金膜)を通過し、基板(例えば酸化ジルコニウム)に拡散し、その結果、(Li,Na,K)(Nb,Ta)O系非鉛圧電体膜中のリチウム濃度が大幅に低下するためと考えられる。すなわち、リチウムは(Li,Na,K)(Nb,Ta)O系非鉛圧電体を圧電特性の高い正方晶にするために必要な元素であるが、焼成中に下部電極の結晶粒界等を通って基板へと拡散することにより、(Li,Na,K)(Nb,Ta)O系非鉛圧電体膜のリチウム濃度が低下して、特性の低い斜方晶となるものと考えられる。このため、膜化した圧電素子の性能が当初の仕込み組成から期待される特性よりも低くなるものと考えられる。
本発明者らは、今般、圧電/電歪体膜用の原料粉末を仮焼する際に実質的に異相の無い正方晶ペロブスカイトを形成させておくことで、基板へのリチウムの拡散を効果的に防止して、狙い組成どおりの正方晶ペロブスカイトからなる特性の高い圧電/電歪体膜を製造できるとの知見を得た。
したがって、本発明の目的は、基板へのリチウムの拡散を効果的に防止して、リチウム不足の無い、狙い組成どおりの正方晶ペロブスカイトからなる特性の高い圧電/電歪体膜が得られる圧電/電歪体膜の製造方法及びその製造に用いられる粉末組成物を提供することにある。
本発明の一態様によれば、一般式ABO3±δ(式中、0.90≦x≦1.20、δは酸素過剰量又は酸素欠損量を示すが0でありうる)で表され、AサイトがLi、Na及びKを含み、BサイトがNbを含む基本組成を有する正方晶ペロブスカイトからなる圧電/電歪体膜の製造方法であって、
前記基本組成を有する原料粉末を用意する工程と、
前記原料粉末を仮焼して、正方晶ペロブスカイトからなる仮焼物を形成する工程と、
前記仮焼物を粉砕して仮焼/粉砕粉を得る工程と、
前記仮焼/粉砕粉を含む被膜を基板上に形成する工程と、
前記被膜を焼成して、正方晶ペロブスカイトからなる圧電/電歪体膜を形成する工程と
を有してなる、方法が提供される。
単層型の圧電/電歪アクチュエータの模式断面図である。 図1Aに示される圧電/電歪アクチュエータの変形例の模式断面図である。 多層型の圧電/電歪アクチュエータの模式断面図である。 図2Aに示される圧電/電歪アクチュエータの変形例の模式断面図である。 多層型の圧電/電歪アクチュエータの模式断面図である。 図3Aに示される圧電/電歪アクチュエータの変形例の模式断面図である。
圧電/電歪体膜の製造方法
本発明による方法は、一般式ABO3±δ(式中、0.90≦x≦1.20、δは酸素過剰量又は酸素欠損量を示すが0でありうる)で表され、AサイトがLi、Na及びKを含み、BサイトがNbを含む基本組成を有する正方晶ペロブスカイトからなる圧電/電歪体膜を製造する方法である。この一般式で表される基本組成は化学量論組成及び非化学量論組成のいずれも包含するものであるが、最新の装置を用いても酸素過剰量又は酸素欠損量(δ)を分析及び定量できない実情に照らして、慣習上ABOと略記されてもよいものである。いずれにせよ0≦δ<1であれば問題無いものと考えられる。このように、本発明の圧電/電歪体膜は(Li,Na,K)(Nb)O系の化学量論組成及び非化学量論組成を有するものであり、このような組成の正方晶ペロブスカイトからなる圧電/電歪体膜を狙い組成どおりに作製することで、非鉛系でありながら優れた圧電/電歪特性を発揮させることができる。
上記一般式において、AサイトはBi、Ba、Sr、Ca、La、Ce、Nd、Sm、Dy、Ho、Yb、及びAgからなる群から選択される少なくとも一種のAサイト置換元素をさらに含んでもよい。これらのAサイト置換元素は、Aサイトを構成する全原子の0.5原子%以下を占めるのが好ましく、より好ましくは0.2原子%以下であり、さらに好ましくは0.1原子%以下である。
上記一般式において、BサイトはTa、Sb、Ti、Zr、V、Cr、Fe、Co、Ni、及びCuからなる群から選択される少なくとも一種のBサイト置換元素をさらに含んでもよく、より好ましくはTa及びSbの組合せである。これらのBサイト置換元素が、Bサイトを構成する全原子の50原子%以下を占めるのが好ましく、より好ましくは25原子%以下であり、さらに好ましくは15原子%以下である。
上記一般式中、Aサイトを構成する原子の、Bサイトを構成する原子に対する比率xは0.90≦x≦1.20であるが、1≦x≦1.20であるのが好ましく、より好ましくは1<x≦1.05である。このようにAサイトを構成する原子がBサイトを構成する原子よりも富む非化学量論組成であると高い圧電/電歪特性が得られやすい反面、アルカリ金属過剰に起因して化学量論組成よりも異相(特にLiNbO)を生成しやすく、それによりアルカリ元素が基板に拡散しやすくなる。この点、本発明の方法によれば、圧電/電歪体膜用の原料粉末を仮焼する際に実質的に異相の無い正方晶ペロブスカイトを形成させておくことでアルカリ元素の基板への拡散を効果的に防止することができ、狙い組成どおりの正方晶ペロブスカイトからなる圧電/電歪体膜を製造することができる。
圧電/電歪体膜は、Mn及びZnからなる群から選択される少なくとも一種をさらに含むものであってもよい。Mn及びZnはいずれも、ペロブスカイトのBサイトに固溶しないが異相又は粒界相に含まれる傾向があるが、膜中のいかなる部位に含まれていてもよい。
原料粉末の用意
本発明の方法においては、まず、最終的に得ようとする圧電/電歪体膜の基本組成を有する原料粉末を用意する。原料粉末の製造は、ペロブスカイト型酸化物の構成元素(Li、Na、K、Nb、Ta、Sb等)の素原料の粉末に分散媒を加え、分散媒が加えられた素原料の粉末を乳鉢混合、ボールミル等のポットミル、ビーズミル、ハンマーミル、ジェットミル等で混合することにより行えばよい。ペロブスカイト型酸化物の構成元素の素原料としては、酸化物又は仮焼過程において酸化物となる炭酸塩、酒石酸塩等の化合物が使用可能である。分散媒としては、エタノール、トルエン、アセトン等の有機溶剤が使用可能である。こうして得られた混合スラリーから蒸発乾燥や濾過等により分散媒が除去され、乾燥した原料粉末が得られる。
乾燥された原料粉末は600〜900℃の温度で予備仮焼されてもよい。仮焼の前に予備仮焼を行うことにより、元素の均一性が高くなったり、余分な異相が無くなる傾向があり、特性の向上に寄与しうる。予備仮焼は、1回だけ行われてもよいし、2回以上行われてもよい。2回以上の予備仮焼が行われる場合は、各予備仮焼の条件は同じであってもよいし、異なっていてもよい。予備仮焼のときの雰囲気は、大気雰囲気であってもよいし、酸素雰囲気であってもよい。予備仮焼のときの昇温速度及び降温速度は20〜2000℃/時間であることが望ましく、予備仮焼温度を保持する時間は30秒〜20時間であることが望ましい。所望の粒子径の予備仮焼/粉砕粉を得るために、予備仮焼後にボールミル等で粉砕を行ってもよい。粉砕が行われる場合は、乳鉢粉砕、ポットミル、ビーズミル、ハンマーミル、ジェットミル、メッシュ又はスクリーンに押し当てる方法等の粉砕方法が用いられる。
正方晶ペロブスカイト仮焼物の形成及び粉砕
得られた原料粉末又は予備仮焼物は仮焼されて正方晶ペロブスカイトからなる仮焼物とされる。これにより、リチウムをペロブスカイトに十分に固溶させて実質的に異相を無くすことができる。したがって、この仮焼物は正方晶ペロブスカイトの単相からなるものが好ましいが、5重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満の不純物レベルの結晶相を含むものも許容される。
前述したとおり、リチウムは(Li,Na,K)(Nb,Ta)O系非鉛圧電体を圧電特性の高い正方晶にするために必要な元素であるが、焼成中に下部電極の結晶粒界等を通って基板へと拡散することにより、(Li,Na,K)(Nb,Ta)O系非鉛圧電体膜のリチウム濃度が低下して、特性の低い斜方晶となるものと考えられる。このような基板へのリチウムの拡散は、とりわけLiNbOを異相として含む場合に起こりやすい。このような基板へのリチウムの拡散が起こりやすい異相を生じさせないようにする上で、圧電/電歪体膜用の原料粉末を仮焼する際に実質的に異相の無い正方晶ペロブスカイトを形成させておくことにより、リチウムを仮焼時にペロブスカイトに十分に固溶させておくことが有効である。
すなわち、公知の方法によれば膜化する前の圧電粉末原料は原料を混合、仮焼及び粉砕して作製されるが、性能低下につながる粉砕時のコンタミネーションや不十分な緻密化度につながる粒径の粗大化を回避するために高温での仮焼は行われていない。その結果、圧電原料粉末はペロブスカイト単相ではなく、膜焼成時に基板(特に酸化ジルコニウム基板)へのリチウムの拡散が優先的に起こりやすいLiNbOが異相として生成してしまう。しかし、本発明の方法は、高温での仮焼に伴う上記の問題を最小限に抑えるか又は回避するように仮焼時の温度制御を所望により適宜行いつつ、実質的に異相の無い正方晶ペロブスカイトからなる仮焼物をむしろ積極的に形成させることの方が、圧電/電歪体膜の特性を向上する上で遙かに有益であるとの新たな知見に基づくものである。
本発明の好ましい態様によれば、仮焼は、原料粉末を200〜2000℃/hの昇温速度で900〜1200℃の温度まで加熱し、この温度で0〜10分間保持し、この温度から800℃まで200〜2000℃/hの降温速度で冷却することを含む温度プロファイルに従って行われる。その際、温度プロファイルにおいて、800℃以上の温度領域における、温度に時間を乗じることにより算出される温度時間面積が67〜200℃・hとなるように温度操作が行われるのが好ましく、より好ましくは67〜155℃・hである。ここで、0時間の保持時間とは、仮焼をしないことを意味するのではなく、昇温して所定の温度に達した後、すぐに冷却することを意味する。このような温度操作条件の範囲内であると、仮焼物を実質的に異相の無い正方晶として確実に得ることができるとともに、粉砕を困難にする焼結や粒成長を回避することができる。これにより、後続の工程における粉砕を容易化して仮焼/粉砕粉の焼結性を向上させる結果、圧電/電歪体膜の相対密度が高くなり圧電/電歪体膜の特性を向上させることができる。
仮焼は、1回だけ行われてもよいし、2回以上行われてもよい。2回以上の仮焼が行われる場合は、各仮焼の条件は同じであってもよいし、異なっていてもよい。仮焼の際の雰囲気は、大気雰囲気であってもよいし、酸素雰囲気であってもよい。
得られた仮焼物はボールミル等で粉砕されて仮焼/粉砕粉とされる。これにより、粒径を小さくして比表面積を大きくし、膜形成時の焼結性を向上することができる。粉砕は、乳鉢粉砕、ポットミル、ビーズミル、ハンマーミル、ジェットミル、メッシュ又はスクリーンに押し当てる方法等により行えばよい。
仮焼/粉砕粉の体積基準D50(メジアン径)は、0.07〜10μmであることが好ましく、0.1〜3μmであることがさらに好ましい。また、仮焼/粉砕粉の粒子径の調整のために、仮焼/粉砕粉を400〜850℃で熱処理してもよい。微細な粒子ほど他の粒子と一体化しやすいので、この熱処理を行うと、粒子径が均一な仮焼/粉砕粉が得られ、粒径が均一な焼結体が得られる。
圧電/電歪体膜の作製
得られた仮焼/粉砕粉を含む被膜が基板上に形成される。この被膜の形成は粉末を用いることが可能な各種の被膜形成方法により行うことができる。被膜が形成される基板は、無機酸化物基材と、無機酸化物基材上に形成される下部電極層とを有してなるのが好ましく、下部電極層上に圧電/電歪体膜が形成される。また、焼成前に、仮焼/粉砕粉を含む被膜上に中間電極層を形成し、この中間電極層上に仮焼/粉砕粉を含む被膜をさらに形成する工程を行ってもよく、この工程を1回又は複数回行うことができる。最上層としての圧電/電歪体膜には中間電極層と同様にして上部電極層をさらに形成してもよい。
こうして形成した被膜を焼成して、正方晶ペロブスカイトからなる圧電/電歪体膜を形成する。この圧電/電歪体膜は正方晶ペロブスカイトの単相からなるものが好ましいが、5重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満の不純物レベルの結晶相を含むものも許容される。こうして得られた圧電/電歪体膜は正方晶ペロブスカイトからなるため高い圧電特性を発揮するものであり、圧電/電歪特性の高い圧電/電歪アクチュエータ等の圧電/電歪素子を実現することができる。
以下、本発明により製造される圧電/電歪体膜を含む圧電/電歪アクチュエータの具体的態様に基づき、圧電/電歪体膜の製造工程を説明するが、本発明の方法は以下の具体的態様に限定されるものではない。
図1Aに単層型の圧電/電歪アクチュエータ1の模式断面図を示す。図1Aに示されるように、圧電/電歪アクチュエータ1は、基板11の上面に、電極層121、圧電/電歪体膜122及び電極層123をこの順序で積層した構造を有する。圧電/電歪体膜122の両主面上の電極層121,123は、圧電/電歪体膜122を挟んで対向する。電極層121、圧電/電歪体膜122及び電極層123を積層した積層体12は基板11に固着される。「固着」とは、有機接着剤や無機接着剤を用いることなく、基板11と積層体12との界面における固相反応により、積層体12を基板11に接合することをいう。なお、基板と積層体の最下層の圧電/電歪体膜との界面における固相反応により積層体を基板に接合してもよい。圧電/電歪アクチュエータ1では、電極層121,123に電圧が印加されると、印加された電圧に応じて圧電/電歪体122が電界と垂直な方向に伸縮し、その結果として屈曲変位を生じる。
圧電/電歪体膜122は、本発明の製造方法により得られる正方晶ペロブスカイトからなる膜である。圧電/電歪体膜122の膜厚は、0.5〜50μmであることが好ましく、0.8〜40μmであることがさらに好ましく、1〜30μmであることが特に好ましい。このような範囲の膜厚であると、十分な緻密化が得られるとともに、焼結時の収縮応力が大きくなりすぎることがないので基板11の板厚を薄くして圧電/電歪アクチュエータ1の小型化を実現することができる。
電極層121,123の材質は、白金、パラジウム、ロジウム、金若しくは銀等の金属又はこれらの合金である。中でも、焼成時の耐熱性が高い点で白金又は白金を主成分とする合金が好ましい。また、焼成温度によっては、銀−パラジウム等の合金も好適に用いられる。電極層121,123の膜厚は、15μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。このような範囲の膜厚であると、電極層121,123が緩和層として機能するのを防止して屈曲変位が大きく確保することができる。また、電極層121,123がその役割を適切に果たすためには、電極層121,123の膜厚は、0.05μm以上であることが好ましい。電極層121,123は、圧電/電歪体膜122の屈曲変位に実質的に寄与する領域を覆うように形成されることが好ましい。例えば、圧電/電歪体膜122の中央部分を含み、圧電/電歪体膜122の両主面の80%以上の領域を覆うように形成されることが好ましい。
基板11の材質は、セラミックスであるが、その種類に制限はない。もっとも、耐熱性、化学的安定性及び絶縁性の観点から、安定された酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ムライト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素及びガラスからなる群より選択される少なくとも1種類を含むセラミックスであることが好ましい。中でも、機械的強度及び靭性の観点から安定化された酸化ジルコニウムがさらに好ましい。「安定化された酸化ジルコニウム」とは、安定化剤の添加によって結晶の相転移を抑制した酸化ジルコニウムをいい、安定化酸化ジルコニウムの他、部分安定化酸化ジルコニムを包含する。
安定化された酸化ジルコニウムとしては、例えば、1〜30mol%の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化イッテルビウム若しくは酸化セリウム又は希土類金属の酸化物を安定化剤として含有させた酸化ジルコニウムがあげられる。中でも、機械的強度が特に高い点で、酸化イットリウムを安定化剤として含有させた酸化ジルコニウムが好ましい。酸化イットリウムの含有量は、1.5〜6mol%であることが好ましく、2〜4mol%であることがさらに好ましい。また、酸化イットリウムに加えて、0.1〜5mol%の酸化アルミニウムを含有させることもさらに好ましい。安定化された酸化ジルコニウムの結晶相は、立方晶と単斜晶との混合晶、正方晶と単斜晶との混合晶又は立方晶と正方晶と単斜晶との混合晶等であってもよいが、主たる結晶相が正方晶と立方晶との混合晶又は正方晶となっていることが、機械的強度、靭性及び耐久性の観点から好ましい。
基板11の板厚は均一になっている。基板11の板厚は、1〜1000μmであることが好ましく、1.5〜500μmであることがさらに好ましく、2〜200μmであることが特に好ましい。このような範囲の板厚であると、圧電/電歪アクチュエータ1の高い機械的強度を確保できるとともに、基板11の剛性が高くなりすぎるのを防止して電圧印加時の圧電/電歪体膜122の伸縮による屈曲変位を大きくすることができる。基板11の表面形状(積層体が固着される面の形状)は、特に制限されず、三角形、四角形(長方形や正方形)、楕円形又は円形とすることができ、三角形及び四角形については角丸めを行ってもよい。これらの基本形を組み合わせた複合形としてもよい。
圧電/電歪アクチュエータ1の製造にあっては、基板11の上に電極層121が形成される。電極層121は、イオンビーム、スパッタリング、真空蒸着、PVD(Physical Vapor Deposition)、イオンプレーティング、CVD(Chemical Vapor Deposition)、メッキ、エアロゾルデポジション、スクリーン印刷、スプレー、ディッピング等の方法で形成される。中でも、基板11及び圧電/電歪体膜122との接合性の観点から、スパッタリング法又はスクリーン印刷法が好ましい。形成された電極層121は、熱処理により、基板11及び圧電/電歪体膜122と固着される。熱処理の温度は、電極層121の材質や形成方法に応じて異なるが、概ね500〜1400℃である。
続いて、本発明による仮焼/粉砕粉を用いて、電極層121の上に圧電/電歪体膜122が形成される。圧電/電歪体膜122は、イオンビーム、スパッタリング、真空蒸着、PVD(Physical Vapor Deposition)、イオンプレーティング、CVD(Chemical Vapor Deposition)、メッキ、ゾルゲル、エアロゾルデポジション、スクリーン印刷、スプレー、ディッピング等の方法で形成される。中でも、平面形状や膜厚の精度が高く、圧電/電歪体膜を連続して形成することができる点で、スクリーン印刷法が好ましい。さらに続いて、圧電/電歪体膜122の上に電極層123が形成される。電極層123は、電極層121と同様に形成される。
電極層123を形成した後に、積層体12が形成された基板11が一体的に焼成される。この焼成により、圧電/電歪体膜122の焼結が進行するとともに、電極層121,123が熱処理される。圧電/電歪体膜122の焼成温度は、800〜1250℃が好ましく、900〜1200℃がさらに好ましい。このような範囲の温度であると、圧電/電歪体膜122を十分に緻密化して、基板11と電極層121との固着や電極層121,123と圧電/電歪体膜122との固着を強固なものとするとともに、高い圧電/電歪特性を実現することができる。また、焼成時の最高温度の保持時間は、0〜20時間とするのが好ましく、1分〜10時間がより好ましく、5分〜4時間がさらに好ましい。この範囲内であると、圧電/電歪体膜122を十分に緻密化することができるとともに、高い圧電/電歪特性を実現することができる。ここで、0時間の保持時間とは、焼成をしないことを意味するのではなく、昇温して所定の温度に達した後、すぐに冷却することを意味する。
なお、電極層121,123の熱処理を焼成とともに行うことが生産性の観点から好ましいが、このことは、電極層121,123を形成するごとに熱処理を行うことを妨げない。ただし、電極層123の熱処理の前に圧電/電歪体膜122の焼成を行っている場合は、圧電/電歪体膜122の焼成温度より低い温度で電極層123を熱処理する。焼成の終了後、圧電/電歪アクチュエータに対して、分極処理及びエージング処理が行われる。
圧電/電歪アクチュエータ1は、積層セラミック電子部品の製造において常用されているグリーンシート積層法によっても製造される。グリーンシート積層法においては、原料粉末にバインダー、可塑剤、分散剤及び分散媒が加えられ、セラミックス、バインダー、可塑剤及び分散媒がボールミル等で混合される。得られたスラリーはドクターブレード法等でシート形状に成形され、成形体が得られる。
続いて、スクリーン印刷法等で成形体の両主面に電極ペーストの膜が印刷される。ここで用いる電極ペーストは、上述の金属又は合金の粉末に、溶媒、ビヒクル及びガラスフリット等を加えたものである。さらに続いて、電極ペーストの膜が両主面に印刷された成形体と基板とが圧着される。しかる後に、積層体が形成された基板が一体的に焼成され、焼成が終わった後に適当な条件下で分極処理及びエージング処理が行われる。
図1Bには、単層型の圧電/電歪アクチュエータ1の変形例の模式断面図が示される。図1Bに示される圧電/電歪アクチュエータ1’は、基板11’に接する電極層121’が圧電/電歪体膜122’よりも広い領域にわたって形成されていること以外は図1Aの単層型の圧電/電歪アクチュエータ1と同様である。この構成によれば、圧電/電歪体膜122’が基板11’に接しにくく、結果として、基板11’へのリチウムの拡散が抑制されやすいという利点がある。
図2Aに、多層型の圧電/電歪アクチュエータ2の模式断面図が示される。図2Aに示されるように、圧電/電歪アクチュエータ2は、基板21の上面に、電極層221、圧電/電歪体膜222、電極層223、圧電/電歪体膜224及び電極層225をこの順序で積層した構造を有する。圧電/電歪体膜222の両主面上の電極層221,223は、圧電/電歪体膜222を挟んで対向し、圧電/電歪体膜224の両主面上の電極層223,225は、圧電/電歪体膜224を挟んで対向する。電極層221、圧電/電歪体膜222、電極層223、圧電/電歪体膜224及び電極層225を積層した積層体22は基板21に固着される。なお、図2Aには、圧電/電歪体膜が2層である場合が図示されているが、圧電/電歪体膜が3層以上となってもよい。圧電/電歪アクチュエータ2の基板21の板厚は積層体22が接合される中央部215が周縁部216よりも薄肉化されている。これにより、基板21の機械的強度を保ちつつ、屈曲変位を大きくすることができる。基板21を第2実施形態の圧電/電歪アクチュエータ1に用いてもよい。圧電/電歪アクチュエータ2も、形成すべき圧電/電歪体膜及び電極層の数が増える点を除いては、単層型の圧電/電歪アクチュエータ1と同様に製造される。
図2Bには、多層型の圧電/電歪アクチュエータ2の変形例の模式断面図が示される。図2Bに示される圧電/電歪アクチュエータ2’は、基板21’に接する電極層221’が圧電/電歪体膜222’よりも広い領域にわたって形成されていること以外は図2Aの多層型の圧電/電歪アクチュエータ2と同様である。この構成によれば、圧電/電歪体膜222’が基板21’に接しにくく、結果として、基板21’へのリチウムの拡散が抑制されやすいという利点がある。
図3Aに、多層型の圧電/電歪アクチュエータ3の模式断面図を示す。図3Aに示されるように、圧電/電歪アクチュエータ3は、第3実施形態の基板21と同様の構造を有する単位構造が繰り返される基板31を備える。基板31の単位構造の各々の上には、第3実施形態の積層体22と同様の構造を有する積層体32が固着される。圧電/電歪アクチュエータ3も、形成すべき積層体の数並びに圧電/電歪体膜及び電極層の数が増える点を除いては、単層型の圧電/電歪アクチュエータ1と同様に製造される。
図3Bには、多層型の圧電/電歪アクチュエータ3の変形例の模式断面図が示される。図3Bに示される圧電/電歪アクチュエータ3’は、基板31’に接する電極層321’が圧電/電歪体膜322’よりも広い領域にわたって形成されていること以外は図3Aの多層型の圧電/電歪アクチュエータ3と同様である。この構成によれば、圧電/電歪体膜322’が基板31’に接しにくく、結果として、基板31’へのリチウムの拡散が抑制されやすいという利点がある。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
例1:圧電/電歪体膜及び圧電/電歪アクチュエータの作製
表1〜4の試料2、4、6〜10及び12に示される各種狙い組成の圧電/電歪体膜の作製を、本発明の方法に従って以下の手順により行った。また、比較のため、試料1、3、5及び11として、本発明の方法に従わない方法によっても各種狙い組成の圧電/電歪体膜の作製も試みた。
(1)ペロブスカイト仮焼/粉砕粉の作製
炭酸リチウム(LiCO)、酒石酸水素ナトリウム一水和物(CNa・HO)、酒石酸水素カリウム(CK)、酸化ニオブ(Nb)及び酸化タンタル(Ta)の素原料の粉末を、焼成後の酸化物において表1〜4に示される狙いの組成となるように秤量した。続いて、秤量した素原料の粉末に分散媒としてアルコールを加えてボールミルで16時間混合した。さらに続いて、得られた混合原料を乾燥し、800℃で5時間予備仮焼し、ボールミルで粉砕して、予備仮焼物の粉砕粉を得た。この予備仮焼は従来法における本仮焼に相当するものであり、比較のため試料1、3、5及び11についてはこの予備仮焼のみを行い、後続の仮焼は行わなかった。一方、試料2、4、6〜10及び12については、予備仮焼/粉砕粉を表1〜4に示される仮焼の条件に従って更に仮焼し、ボールミルで粉砕して、仮焼物の粉砕粉を得た。続いて、粉砕粉を100メッシュのふるいに通して粒度調整を行った。粉砕前の仮焼物の比表面積と、粉砕後の仮焼物の比表面積とを商品名「フローソーブ III2305」(島津製作所社製)により測定した。こうして、ペロブスカイト仮焼/粉砕粉を得た。
得られた仮焼/粉砕粉のX線回折パターンを、X線回折装置(ブルカーAXS社製、D8ADVANCE)により以下の条件で測定し、リートベルト解析(解析ソフト:ブルカーAXS社製、TOPAS)にて結晶構造及び仮焼/粉砕粉に含まれる異相の量を解析した。
‐X線出力:40kV×40mA
‐ゴニオメーター半径:250mm
‐発散スリット:0.6°
‐散乱スリット:0.6°
‐受光スリット:0.2mm
‐ソーラースリット:4°(入射側、受光側)
‐測定法:試料水平型の集中光学系による2θ/θ法(2θ=20〜60°を測定、ステップ幅0.01°)
その結果、試料2、4、6〜10及び12について正方晶ペロブスカイト単相が確認される一方、試料1、3、5及び11においては斜方晶ペロブスカイト以外にLiNbOからなる異相の存在が確認された。
(2)圧電/電歪アクチュエータの作製
得られた仮焼/粉砕粉を用いて、図1Bに示される圧電/電歪アクチュエータ1’を作製した。まず、基材11’としての安定化された酸化ジルコニウム基板上に、白金ペーストをスクリーン印刷し、熱処理により、白金電極層121’を形成した。次いで、白金電極層121’上に、仮焼/粉砕粉をバインダーに混合させたペーストをスクリーン印刷して未焼成の圧電/電歪体膜122’を形成した。続いて、基材11’、白金電極層121’と未焼成の圧電/電歪体膜122’からなる構成物をアルミナ容器内に収納し、1050℃で3時間焼成した。続いて、焼成後の圧電/電歪体膜122’上に金ペーストをスクリーン印刷し、熱処理により、金電極層123’を形成した。こうして正方晶ペロブスカイトからなる圧電/電歪体膜を備えた圧電/電歪アクチュエータを得た。
Figure 2013128006
Figure 2013128006
Figure 2013128006
Figure 2013128006
例2:圧電/電歪体膜の評価
例1で作製された試料1〜11の圧電/電歪体膜について以下のとおり評価を行った。
(1)結晶構造解析
焼成後の圧電/電歪体膜素子のX線回折パターンを、X線回折装置(ブルカーAXS社製、D8ADVANCE)により以下の条件で測定して結晶構造を解析した。
‐X線出力:40kV×40mA
‐ゴニオメーター半径:250mm
‐発散スリット:0.6°
‐散乱スリット:0.6°
‐受光スリット:0.2mm
‐ソーラースリット:4°(入射側、受光側)
‐測定法:試料水平型の集中光学系による2θ/θ法(2θ=20〜60°を測定、ステップ幅0.01°)
(2)表面微構造観察
焼成後の圧電/電歪体素子の表面に、イオンスパッタリング装置(日本電子社製、JFC−1500)にてAuを厚さ10nm程度となるようにスパッタした後、表面微構造を走査型電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−6390)により観察して、二次電子像を得た。
(3)断面微構造観察及び元素分析
圧電/電歪体膜素子を機械研磨し、FE−EPMA(日本電子株式会社製、JXA−8530F)で圧電/電歪体膜素子の断面を観察し、膜の緻密化度を評価した。加えて、元素分析し、リチウム以外の元素の組成を算出した。
(4)リチウム濃度分析
D−SIMS(CAMECA社製、IMS−6f)を用いて、焼成後の圧電/電歪体膜素子のLi深さ方向分析を行い、圧電/電歪体膜のリチウム濃度を算出した。
(5)相対密度の測定
上記(3)で得た、圧電/電歪体膜の断面写真から、画像編集ソフト(商品名「Image−Pro」、Media Cybernetics社製)を使用して、気孔部の面積を求め、圧電/電歪体膜の相対密度を評価した。
得られた結果は表1〜4に示されるとおりであった。なお、これらの表中、得られた圧電/電歪体膜の結晶系は上記(1)により決定したものであり、Li量は上記(4)により決定したものであり、得られた圧電/電歪体膜の最終組成は上記(3)及び(4)の評価結果に基づいて決定したものである。これらの表から分かるように、仮焼時に正方晶ペロブスカイト単相を形成させておいた試料2、4、6〜10及び12にあっては、基板へのリチウムの拡散は実質的に見られず、正方晶ペロブスカイトからなる狙い組成どおりの特性の高い圧電/電歪体膜が得られた。一方、予備仮焼のみが行われ、斜方晶ペロブスカイトに加えて異相LiNbOが生成された試料1、3、5及び11にあっては、基板へのリチウムの拡散に起因して、斜方晶ペロブスカイトからなる特性の低い圧電/電歪体膜が得られた。また、試料2、4、6〜8及び12は仮焼条件が本発明の好ましい態様の範囲内のものであり、この好適範囲外の条件で仮焼された試料9及び10と比較して、比表面積が高く、それ故相対密度が大幅に高くなる。
なお、表1に示されるように、試料1における仮焼/粉砕粉には斜方晶ペロブスカイトに加えてLiNbOが存在する。この仮焼/粉砕粉を用いてバルク形態の圧電/電歪体を形成した場合には、焼成中にLiNbOがペロブスカイトに固溶して、ペロブスカイトのリチウム量が所定量となり、特性の高い正方晶ペロブスカイトとなる。しかし、この試料1の仮焼/粉砕粉を用いて膜形態の圧電/電歪体を形成した場合には、焼成中にLiNbOがセラミックス基板に拡散してしまい、圧電/電歪体膜のLi量は所定量未満となり、特性の低い斜方晶となってしまう。この点、本発明の方法によれば表1の試料2に示されるように膜形態でありながら圧電/電歪特性の高い正方晶を得ることができる。
1,1’,2,2’,3,3’ 圧電/電歪アクチュエータ
11,11’,21,21’,31,31’ 基板
122,122’,222,224,222’,224’,322,324,322’,324’ 圧電/電歪体膜
121,121’,123,123’,221,221’,223,223’,225,225’,321,321’,323,323’,325,325’ 電極層

Claims (18)

  1. 一般式ABO3±δ(式中、0.90≦x≦1.20、δは酸素過剰量又は酸素欠損量を示すが0でありうる)で表され、AサイトがLi、Na及びKを含み、BサイトがNbを含む基本組成を有する正方晶ペロブスカイトからなる圧電/電歪体膜の製造方法であって、
    前記基本組成を有する原料粉末を用意する工程と、
    前記原料粉末を仮焼して、正方晶ペロブスカイトからなる仮焼物を形成する工程と、
    前記仮焼物を粉砕して仮焼/粉砕粉を得る工程と、
    前記仮焼/粉砕粉を含む被膜を基板上に形成する工程と、
    前記被膜を焼成して、正方晶ペロブスカイトからなる圧電/電歪体膜を形成する工程と
    を有してなる、方法。
  2. 前記一般式中、AサイトがBi、Ba、Sr、Ca、La、Ce、Nd、Sm、Dy、Ho、Yb及びAgから選択される少なくとも一種のAサイト置換元素をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記Aサイト置換元素が、Aサイトを構成する全原子の0.5原子%以下を占める、請求項2に記載の方法。
  4. 前記一般式中、BサイトがTa、Sb、Ti、Zr、V、Cr、Fe、Co、Ni及びCuから選択される少なくとも一種のBサイト置換元素をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記Bサイト置換元素が、Bサイトを構成する全原子の50原子%以下を占める、請求項4に記載の方法。
  6. 前記一般式中、1≦x≦1.05である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記圧電/電歪体膜が、Mn及びZnからなる群から選択される少なくとも一種をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記仮焼が、前記原料粉末を200〜2000℃/hの昇温速度で900〜1200℃の温度まで加熱し、該温度で0〜10分間保持し、該温度から800℃まで200〜2000℃/hの降温速度で冷却することを含む温度プロファイルに従って行われる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記温度プロファイルにおいて、800℃以上の温度領域における、温度に時間を乗じることにより算出される温度時間面積が67〜200℃・hである、請求項8に記載の方法。
  10. 前記仮焼工程の前に、前記原料粉末を600〜900℃の温度で予備仮焼して予備仮焼物を得る工程をさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記予備仮焼物を粉砕する工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記焼成が900〜1200℃で0〜20時間行われる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記被膜の形成が、スクリーン印刷法により行われる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記基板が、無機酸化物基材と、該無機酸化物基材上に形成される下部電極層とを有してなり、該下部電極層上に前記圧電/電歪体膜が形成される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記無機酸化物基材が、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ムライト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、及びガラスからなる群から選択される少なくとも一種を含んでなる、請求項14に記載の方法。
  16. 前記無機酸化物基材が、酸化ジルコニウムを含んでなる、請求項14に記載の方法。
  17. 前記下部電極層が、白金、パラジウム、ロジウム、金及び銀から選択される少なくとも一種の金属又は該群から選択される二種以上の金属の合金からなる群から選択される少なくとも一種を含んでなる、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記焼成前に、前記仮焼/粉砕粉を含む被膜上に中間電極層を形成し、該中間電極層上に前記仮焼/粉砕粉を含む被膜をさらに形成する工程をさらに含み、該工程が1回又は複数回行われる、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
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