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JP2013125841A - 光電変換装置の製造方法 - Google Patents

光電変換装置の製造方法 Download PDF

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JP2013125841A JP2011273479A JP2011273479A JP2013125841A JP 2013125841 A JP2013125841 A JP 2013125841A JP 2011273479 A JP2011273479 A JP 2011273479A JP 2011273479 A JP2011273479 A JP 2011273479A JP 2013125841 A JP2013125841 A JP 2013125841A
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Makoto Tokawa
誠 東川
Akira Kobayashi
景 子林
Hiroyoshi Mizukami
大義 水上
Masahiro Date
昌浩 伊達
Takako Shimizu
孝子 清水
Takeshi Nakajima
毅士 中島
Masanori Kurihara
正典 栗原
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Abstract

【課題】大面積の基板を用いて、優れた光電変換効率を有する光電変換装置を作製することができる光電変換装置の製造方法を提供する。
【解決手段】真性微結晶シリコンゲルマニウム膜を形成する工程において、100×(オン時間)/{(オン時間)+(オフ時間)}で表わされるデューティ比が50%以上86%以下である光電変換装置の製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換装置の製造方法に関する。
近年、ガスを原料としてプラズマCVD法により形成される薄膜光電変換装置が注目されている。このような薄膜光電変換装置の例として、シリコン系薄膜からなるシリコン系薄膜光電変換装置や、CIS化合物(CuInSe2)、CIGS化合物(Cu(In,Ga)Se2)からなる薄膜光電変換装置などが挙げられ、その開発が推進され生産量の拡大が進められている。これらの光電変換装置の特徴は、大面積の安価な基板上に、プラズマCVD装置またはスパッタ装置のような成膜装置を用いて半導体層または金属電極膜を積層させ、その後、同一基板上に作製した光電変換装置をレーザパターニングにより分離接続させることにより、光電変換装置の低コスト化と高性能化とを両立できる可能性を有している点である。
このような薄膜光電変換装置の構造の一つとして、入射光を有効利用することができる積層型光電変換装置構造がある。積層型光電変換装置構造とは、入射光スペクトルを複数個の光電変換層で分割して受光するための構造であり、入射光の各波長帯域を吸収するのに適した禁制帯幅を有する半導体材料を用いた複数個の光電変換層を、光の入射側から禁制帯幅の大きい順序で積層した構造をいう。この積層型光電変換装置構造では、短波長の光は禁制帯幅の大きい光電変換層で長波長の光は禁制帯幅の小さい光電変換層でそれぞれ吸収される。このため、光電変換層が1つである光電変換装置と比較して、より広い波長帯域の太陽光を光電変換に寄与させることができるため、光電変換効率を向上させることが可能になる。
ここで、より長波長の光を吸収して高効率化を図るための光電変換層の材料としては、微結晶シリコンゲルマニウム膜が提案されている。
たとえば特許文献1には、p層及びn層のうち基板に近い方の層である基板側不純物添加層と、微結晶シリコンゲルマニウムを主として有するi層との間に、微結晶シリコン又は微結晶シリコンゲルマニウムを主として有し、所定のラマンピーク比を有するバッファ層を設けた光電変換装置が開示されている。
また、たとえば特許文献2には、プラズマCVD法において、プラズマを生成させるために印加する電力のオン時間またはオフ時間を変化させて間欠供給することにより、非晶質シリコンゲルマニウム膜または微結晶シリコンゲルマニウム膜の厚み方向のバンドギャップを制御して、光電変換装置を製造する方法が開示されている。
特開2007−281018号公報 特開2010−262976号公報
しかしながら、近年の光電変換装置の開発競争の激化から、上記の特許文献1および特許文献2に開示された光電変換装置の光電変換効率のさらなる改善が求められている。
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、大面積の基板を用いて、優れた光電変換効率を有する光電変換装置を作製することができる光電変換装置の製造方法を提供することにある。
本発明は、基板上に第1導電型半導体膜を形成する工程と、第1導電型半導体膜上に実質的に真性な半導体膜を形成する工程と、実質的に真性な半導体膜上に第2導電型半導体膜を形成する工程と、を含み、第1導電型半導体膜を形成する工程、実質的に真性な半導体膜を形成する工程および第2導電型半導体膜を形成する工程は、それぞれ、単一の成膜室を有するプラズマCVD装置を用いたプラズマCVD法により行なわれ、実質的に真性な半導体膜を形成する工程は、連続放電によって第1導電型半導体膜上に真性微結晶シリコン膜を形成する工程と、間欠放電によって真性微結晶シリコン膜上に真性微結晶シリコンゲルマニウム膜を形成する工程と、連続放電によって真性微結晶シリコンゲルマニウム膜上に真性非単結晶シリコン膜を形成する工程と、を含み、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜を形成する工程において、間欠放電において供給される電力のオン時間およびオフ時間を用いて、デューティ比(%)が、100×(オン時間)/{(オン時間)+(オフ時間)}で表わされるとき、デューティ比は、50%以上86%以下である光電変換装置の製造方法である。
ここで、本発明の光電変換装置の製造方法において、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜の形成速度は0.2nm/秒以上であることが好ましい。
また、本発明の光電変換装置の製造方法において、オン時間が、2000マイクロ秒以下であることが好ましい。
また、本発明の光電変換装置の製造方法において、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜を形成する工程において、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜は、基板の温度が250℃以下であって、成膜室に、シラン系ガスの流量とゲルマン系ガスの流量との和に対する希釈ガスの流量の比が50以上200以下である原料ガスを導入することによって形成され、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜のラマン分光法により測定される480nm-1におけるピーク強度I480に対する520nm-1におけるピーク強度I520のピーク強度比I520/I480が3以上5以下であることが好ましい。
また、本発明の光電変換装置の製造方法において、真性非単結晶シリコン膜は、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜よりも結晶化率が小さいことが好ましい。
また、本発明の光電変換装置の製造方法において、真性非単結晶シリコン膜は、真性非単結晶シリコン膜をガラス上に形成した場合に非晶質となる条件で形成されることが好ましい。
本発明によれば、大面積の基板を用いて、優れた光電変換効率を有する光電変換装置を作製することができる光電変換装置の製造方法を提供することができる。
実施の形態1の光電変換装置の模式的な断面図である。 第1導電型半導体膜、実質的に真性な半導体膜および第2導電型半導体膜の形成に用いられる単一の成膜室を有するプラズマCVD装置の一例の模式的な構成図である。 (a)および(b)は、それぞれ、間欠放電において供給される電力のオン時間とオフ時間との関係の一例を示す図である。 実施の形態2の光電変換装置の模式的な断面図である。 実施例1におけるi型微結晶シリコンゲルマニウム膜の形成時のデューティ比(%)と、アーバックエネルギー(meV)との関係を示す図である。 実施例1におけるi型微結晶シリコンゲルマニウム膜の形成時のデューティ比(%)と、ゲルマニウム濃度分布との関係を示す図である。 実施例1におけるi型微結晶シリコンゲルマニウム膜の形成時のデューティ比を71%に固定したときのオン時間と、ゲルマニウム濃度分布との関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。以下、スーパーストレート型構造の光電変換装置を例に挙げて説明するが、以下の説明は、サブストレート型構造についても該当するものである。
[実施の形態1]
<構造>
図1に、本発明の光電変換装置の一例である実施の形態1の光電変換装置100の模式的な断面図を示す。実施の形態1の光電変換装置100は、基板1と、基板1上に設けられた第1電極層2と、第1電極層2上に設けられた第1導電型半導体膜3と、第1導電型半導体膜3上に設けられた実質的に真性な半導体膜4と、実質的に真性な半導体膜4上に設けられた第2導電型半導体膜5と、第2導電型半導体膜5上に設けられた第2電極層6とを備えている。なお、第1導電型半導体膜3と、実質的に真性な半導体膜4と、第2導電型半導体膜5との積層体から、光電変換装置100の光電変換層7が構成されている。
ここで、実質的に真性な半導体膜4は、第1導電型半導体膜3上に設けられた真性微結晶シリコン膜4aと、真性微結晶シリコン膜4a上に設けられた真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bと、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4b上に設けられた真性非単結晶シリコン膜4cとの積層体から構成されている。また、第2電極層6は、真性非単結晶シリコン膜4c上に設けられた透明導電膜6aと、透明導電膜6a上に設けられた金属膜6bの積層体から構成されている。
なお、本明細書において、「実質的に真性」とは、半導体膜の形成時にはドーパントを意図的に導入しないので基本的にはノンドープであるが、半導体膜の形成後に他の膜などから不可避的にp型および/またはn型のドーパントが導入され得ることによって、半導体膜の少なくとも一部がp型および/またはn型の導電型を示し得ることを意味する。また、本明細書において、「真性」および「i型」も、上記の「実質的に真性」と同義であるものとする。
また、本明細書において、「微結晶」とは、結晶粒径が小さい(1nm以上1000nm以下の結晶粒径)結晶成分と非晶質成分との混合相を形成している状態を意味を意味し、「非単結晶」とは、単結晶ではない状態(すなわち、非晶質、微結晶または多結晶のいずれかの状態)を意味する。
図1に示す構成を有する光電変換装置100においては、基板1側から光が入射し、実質的に真性な半導体膜4で吸収されて電流が発生し、第1電極層2および第2電極層6から電流が取り出される。
<製造方法>
以下、図1に示す光電変換装置100の製造方法の一例について説明する。本実施の形態では、第1導電型をp型とし、第2導電型をn型として説明を行なうが、これに限定されず、第1導電型がn型であり、第2導電型がp型であってもよい。
まず、基板1上に第1電極層2を形成する。ここで、第1電極層2は、たとえばスパッタリング法、CVD法または真空蒸着法等によって形成することができる。
基板1および第1電極層2は、それぞれ、透光性を有する材料からなるものであれば特に限定されない。ここで、基板1としては、たとえば、ガラス基板、またはポリイミド等の透光性樹脂基板を用いることができる。また、第1電極層2としては、たとえば、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)または錫ドープ酸化インジウム(ITO:Indium Tin Oxide)などを用いることができる。なお、基板1の厚さおよび第1電極層2の厚さは、それぞれ、特に限定されない。
次に、基板1上に、第1電極層2を介して、第1導電型半導体膜3をプラズマCVD法により形成する。第1導電型半導体膜3としては、たとえばp型微結晶シリコン膜などのp型半導体膜を形成することができる。なお、p型半導体膜は、たとえばボロンまたはアルミニウムなどのp型不純物原子がドープされた半導体膜である。
次に、第1導電型半導体膜3上に、実質的に真性な半導体膜4をプラズマCVD法により形成する。なお、実質的に真性な半導体膜4としては、真性微結晶シリコン膜4aと、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bと、真性非単結晶シリコン膜4cとの積層体が形成される。
次に、実質的に真性な半導体膜4上に、第2導電型半導体膜5をプラズマCVD法により形成する。第2導電型半導体膜5としては、たとえばn型非晶質シリコン膜などのn型半導体膜を形成することができる。なお、n型半導体膜は、たとえばリンなどのn型不純物原子がドープされた半導体膜である。
次に、第2導電型半導体膜5上に、第2電極層6を形成する。第2電極層6としては、第2導電型半導体膜5側から、たとえば、SnO2、ZnOまたはITOなどからなる透明導電膜6aと、AgまたはAlなどからなる金属膜6bとをこの順序で積層したものなどを用いることができる。また、第2電極層6は、たとえばスパッタリング法、CVD法または真空蒸着法等によって形成することができる。なお、透明導電膜6aは、省略することもできる。
第1導電型半導体膜3、実質的に真性な半導体膜4および第2導電型半導体膜5は、それぞれ、単一の成膜室を有するプラズマCVD装置を用いたプラズマCVD法により形成される。
図2に、第1導電型半導体膜3、実質的に真性な半導体膜4および第2導電型半導体膜5の形成に用いられる単一の成膜室を有するプラズマCVD装置の一例の模式的な構成図を示す。
図2に示すシングルチャンバ方式のプラズマCVD装置は、単一の成膜室220のみを有するプラズマCVD装置であり、成膜室以外には、たとえばロードロック室(図示せず)および加熱室(図示せず)などを有していてもよい。
図2に示すように、単一の成膜室を有するプラズマCVD装置は、半導体層を内部で形成するための密閉可能な単一の成膜室220と、成膜室220の内部において互いに向かい合うようにして設けられたカソード電極222とアノード電極223とを有し、平行平板型の電極構造を有している。
カソード電極222とアノード電極223との電極間距離は、所望の処理条件に応じて決定され、たとえば数mmから数十mm程度とすることができる。
成膜室220の外部には、カソード電極222に電力を供給するための電力供給部208と、電力供給部208とカソード電極222およびアノード電極223との間のインピーダンス整合を行なうためのインピーダンス整合回路205とが設置されている。電力供給部208とインピーダンス整合回路205とは、電力導入線208aによって接続されている。また、インピーダンス整合回路205とカソード電極222とは、電力導入線208bによって接続されている。電力供給部208は、パルス変調(オンオフ制御)された交流出力が可能であれば、切り替えによりCW(連続波形)交流出力が可能なものであってもよい。
アノード電極223は電気的に接地されており、アノード電極223上には、基板1が設置される。基板1は、第1電極層2(図示せず)が形成された基板である。基板1は、カソード電極222上に載置されてもよいが、プラズマ中のイオンダメージによる膜質低下を低減するためアノード電極223上に設置されることが好ましい。
また、成膜室220には、成膜室220に原料ガス212を導入するためのガス導入部211が設けられている。原料ガス212としては、たとえば、希釈ガス、材料ガスおよびドーピングガスからなる群から選択される少なくとも1種が含まれる。希釈ガスとしては、たとえば水素(H2)ガスを用いることができる。また、材料ガスとしては、たとえば、シラン系ガス、メタンガス、またはゲルマン系ガスなどを用いることができる。ドーピングガスとしては、たとえば、ジボランガス等のp型不純物ドーピングガス、またはホスフィンガス等のn型不純物ドーピングガスを用いることができる。
なお、シラン系ガスは、シリコンと水素との化合物からなるガスを意味し、たとえばシラン(SiH4)ガスなどが挙げられる。また、ゲルマン系ガスは、ゲルマニウムと水素との化合物からなるガスを意味し、たとえばゲルマン(GeH4)ガスなどが挙げられる。また、希釈ガスは、原料ガス212中の材料ガス濃度を希釈するものであれば特に限定されない。
また、成膜室220には、ガス排気部206と圧力調整用バルブ207とが直列に接続されており、成膜室220内のガス圧力が略一定に保たれる。ガス圧力は、成膜室220内のガス導入部211およびガス排気口209の近傍で測定すると若干の誤差を生じるため、ガス導入部211およびガス排気口209から離れた位置で測定することが望ましい。
ガス排気部206は、成膜室220内のガス圧力を1.0×10-4Pa程度の圧力に高真空排気できるものであってもよいが、装置の簡易化、低コスト化およびスループット向上の観点から、0.1Pa程度の圧力とする排気能力を有するものを用いてもよい。
成膜室220の容積は、半導体デバイスの基板サイズの大型化に伴い大容量化している。このような成膜室220を高真空排気する場合、高性能なガス排気部206が必要となり、装置の簡易化および低コスト化の観点から望ましくないことから、簡易な低真空用のガス排気部206を使用することがより望ましい。なお、成膜室220の容積はたとえば約1m3程度とすることができる。
簡易な低真空用のガス排気部206としては、たとえば、ロータリーポンプ、メカニカルブースターポンプまたはソープションポンプなどが挙げられ、これらを単独または2以上の組み合わせて用いることが好ましい。典型的なガス排気部206としては、メカニカルブースターポンプとロータリーポンプとを直列に接続したものなどを用いることができる。
ガス導入部211から成膜室220内に原料ガス212を導入した状態で、カソード電極222に電力を供給することにより、カソード電極222とアノード電極223との間にプラズマを発生させ、導入されたガス212を分解し、基板1上に、第1の電極層2を介して、第1導電型半導体膜3、実質的に真性な半導体膜4および第2導電型半導体膜5をこの順に形成することができる。
ここで、実質的に真性な半導体膜4の形成は、連続放電によって第1導電型半導体膜3上に真性微結晶シリコン膜4aをプラズマCVD法により形成し、間欠放電によって真性微結晶シリコン膜4a上に真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bをプラズマCVD法により形成し、連続放電によって真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4b上に真性非単結晶シリコン膜4cをプラズマCVD法により形成することによって行なわれる。なお、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bとしては、たとえば、真性水素化微結晶シリコンゲルマニウム膜、真性フッ素化微結晶シリコンゲルマニウム膜、真性水素化およびフッ素化微結晶シリコンゲルマニウム膜などが挙げられる。
そして、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bは、間欠放電において供給される電力のオン時間およびオフ時間を用いたデューティ比(%)が、100×(オン時間)/{(オン時間)+(オフ時間)}で表わされるとき、当該デューティ比が50%以上86%以下となる条件で形成される。
これは、本発明者が鋭意検討した結果、単一の成膜室を有するプラズマCVD装置を用いたプラズマCVD法によって、上記のデューティ比の条件で真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bを形成した場合には、大面積の基板を用いて、優れた光電変換効率を有する光電変換装置100を作製することができることを見出したことによるものである。
上記のプラズマCVD法において、プラズマを生成するために印加する電力のオン時間およびオフ時間を上記のデューティ比の条件を満たすように変化させて間欠供給して、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bを形成することにより、欠陥密度が低く、かつ面内における組成および欠陥密度のばらつきの少ない高品質の真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bを形成することができる。
すなわち、電力のオン時間および/またはオフ時間を変化させて電力を間欠供給する場合には、オン時間に生成されたラジカル種のうち良質な半導体膜を形成するために必要とされる長時間寿命を持つラジカル種(たとえばSiH3)以外のものはオフ時間内に消滅させることができるため、電力のオン時間および/またはオフ時間の制御により、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4b中の組成および欠陥密度を制御することができる。
また、成膜室220内に導入される原料ガス212が、2種類以上の材料ガスを含む場合(たとえば、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bの場合には、SiH4およびGeH4)には、それぞれの材料ガスの分解効率が異なるため、大面積の基板を用いたときには、面内の組成および欠陥密度のばらつきが増大することがある。しかしながら、上記のデューティ比の条件を満たす間欠放電によって形成した場合には、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bの面内の組成のばらつきおよび欠陥密度のばらつきの増大を抑制することができる。
これにより、欠陥密度が低く、かつ面内における組成および欠陥密度のばらつきの少ない高品質の真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bを形成することができる。このような高品質の真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bは、入射光に対する光感度が向上するため、優れた光電変換効率を有する光電変換装置100を作製することができる。
上記のデューティ比は、50%以上75%以下であることが好ましい。この場合には、光電変換装置100の光電変換効率がさらに優れる傾向にある。その理由は不明であるが以下のように考えられる。単一の成膜室220で真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bを形成した場合には、複数の成膜室を用いた場合と比べて短波長の光の感度が減少して短絡光電流量の低下が見られることがある。これは、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bの成膜時間が長くなること、および瞬時パワーが大きくなることなどによって、カソード電極222により真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bが汚染されたり、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bと他の膜との界面にゲルマニウムが拡散したりして、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bの欠陥密度が増大することによるものと考えられる。上記のデューティ比を50%以上75%以下とすることによって、このような真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bの欠陥密度の増大を抑制できるため、光電変換装置100の光電変換効率がさらに優れると考えられる。
また、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bの形成速度は、0.2nm/秒以上であることが好ましい。この場合には、短波長の光の感度が大きくなり、短絡電流量が増加する傾向にある。その理由は不明であるが、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bの形成速度が大きくなることにより、真性微結晶シリコン膜4aから真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bへの不純物の拡散を有効に防止でき、また真性微結晶シリコン膜4aと真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bとの界面の欠陥が増大するのを抑止できるためと考えられる。
図3(a)および図3(b)に、それぞれ、間欠放電において供給される電力のオン時間とオフ時間との関係の一例を示す。図3(a)および図3(b)において、縦軸は供給される電力の大きさを示し、横軸は経過時間を示す。
図3(a)において、供給される電力の1サイクルにおける時間をT1とし、オン時間をtON、オフ時間をtOFFとすると、上記のデューティ比(%)は、100×tON/(tON+tOFF)=100×tON/T1で表わされる。
同様に、図3(b)において、供給される電力の1サイクルにおける時間をT2とし、オン時間をtON、オフ時間をtOFFとすると、上記のデューティ比(%)は、100×tON/(tON+tOFF)=100×tON/T2で表わされる。
オン時間は、2000マイクロ秒以下であることが好ましい。オン時間が2000マイクロ秒以下である場合には、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bの欠陥密度が低減できる傾向にある。また、オン時間は、5マイクロ秒以上であることが好ましい。この場合には、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bの面内における組成および欠陥密度のばらつきの少ない高品質の真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bを形成することができる傾向がより大きくなる。
オフ時間は、5マイクロ秒以上2000マイクロ秒以下であることが好ましい。この場合には、欠陥密度が低く、かつ面内における組成および欠陥密度のばらつきの少ない高品質の真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bを形成することができる傾向がより大きくなる。
なお、供給される電力は、交流電力であって、その周波数は13.56MHzとされることが一般的であるが、これに限られるものではなく、たとえばHF帯〜VHF帯の周波数を使用してもよい。
また、電力密度は、周波数により最適範囲が異なるが、0.05W/cm2以上1W/m2以下とすることが好ましく、0.1W/cm2以上0.3W/cm2以下とすることがより好ましい。
真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bの形成時における基板1の温度は250℃以下であることが好ましく、150℃以上200℃以下であることがより好ましい。真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bの形成時における基板1の温度が250℃以下である場合、特に150℃以上200℃以下である場合には、欠陥密度の低い高品質の真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bを形成することができる傾向がより大きくなる。
真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bの形成時における成膜室220内の圧力は、100Pa以上3000Pa以下であることが好ましく、300Pa以上2000Pa以下であることがより好ましい。この場合には、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bへのプラズマによるダメージを抑制することができるため、より高品質の真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bを得ることができる傾向にある。
真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bの形成時に成膜室220内に導入される原料ガス212におけるシラン系ガスの流量とゲルマン系ガスの流量との和に対するゲルマン系ガスの流量の比[(ゲルマン系ガスの流量)/{(シラン系ガスの流量)+(ゲルマン系ガスの流量)}]は、0.02以上0.2以下であることが好ましく、0.05以上0.1以下であることがより好ましい。この比が、0.02以上0.2以下である場合、特に0.05以上0.1以下である場合には、良好な光感度を有する高品質の真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bを形成することができる。
真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bの形成時に成膜室220内に導入される原料ガス212におけるシラン系ガスの流量とゲルマン系ガスの流量との和に対する希釈ガスの流量の比[(希釈ガスの流量)/((シラン系ガスの流量)+(ゲルマン系ガスの流量))]は、50以上であることが好ましく、70以上であることがより好ましい。また、この比は、200以下であることが好ましく、120以下であることがより好ましい。この場合には、良好な光感度を有する真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bに適した結晶化率を付与することができる。
なお、本明細書において、「結晶化率」は、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bのラマン分光法により測定される480nm-1におけるピーク強度I480に対する520nm-1におけるピーク強度I520のピーク強度比I520/I480で表わされる。なお、この値は、体積分率には一致しない。
真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bの厚さは、たとえば0.05μm以上3μm以下とすることができる。本発明によれば、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bの厚さがたとえば0.1μmを超えるような厚膜の場合であっても、良好な光感度を有する高品質の真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bを形成することができる。
また、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bのラマン分光法により測定される480nm-1におけるピーク強度I480に対する520nm-1におけるピーク強度I520のピーク強度比I520/I480は、3以上5以下であることが好ましい。この場合には、欠陥密度の低い高品質の真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bを形成することができる傾向にある。
また、真性非単結晶シリコン膜4cは、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bよりも結晶化率が小さくなるように形成されることが好ましい。この場合には、第2導電型半導体膜5へのゲルマニウムの混入を抑止することができるため、より優れた光電変換効率を有する光電変換装置100を作製することができる。
さらに、真性非単結晶シリコン膜4cは、真性非単結晶シリコン膜4cをガラス上に形成した場合に非晶質となる条件で形成されることが好ましい。この場合には、第2導電型半導体膜5へのゲルマニウムの混入を抑止することができるため、より優れた光電変換効率を有する光電変換装置100を作製することができる。ここで、本明細書において、「真性非単結晶シリコン膜4cが形成されるガラス」は、光電変換装置100の作製にあたって使用されるガラス基板(基板1)を意味する。なお、基板1に用いられるガラス基板としては、たとえば、市販されている白板ガラスやコーニング#7059などの無アルカリガラスなどを用いることができる。
<光電変換装置の形成方法の具体例>
以下、実施の形態1の光電変換装置100の形成方法の具体例について説明する。この具体例では、以下の表1に示す構成を有する光電変換装置100の形成方法の一例について説明するが、本発明はこの具体例に限定されないことは言うまでもない。
Figure 2013125841
まず、基板1としてのガラス基板上に、第1電極層2としてのSnO2膜を形成する。次に、SnO2膜上に、第1導電型半導体膜3としてのp型微結晶シリコン膜、真性微結晶シリコン膜4aとしてのi型微結晶シリコン膜、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bとしてのi型微結晶シリコンゲルマニウム膜、真性非単結晶シリコン膜4cとしてのi型非晶質シリコン膜、ならびに第2導電型半導体膜5としてのn型非晶質シリコン膜を、この順序で、単一の成膜室を有するプラズマCVD装置を用いたプラズマCVD法により形成する。具体的には、以下のようにして形成する。
≪p型微結晶シリコン膜の形成≫
まず、成膜室220内を0.001Pa程度まで排気し、基板1の温度を200℃以下に設定する。次に、成膜室220内に、シランガス、水素ガスおよびジボランガスを含む原料ガス212を導入し、排気系に設けられた圧力調整用バルブ207により成膜室220内の圧力を略一定の圧力(たとえば200Pa以上3000Pa以下)に保つ。原料ガス212中におけるシランガスに対する水素ガスの流量は、好ましくは数倍から数十倍程度とされる。
次に、成膜室220内の圧力が安定した後、カソード電極222に、たとえば数kHz〜80MHzの周波数の交流電力を供給し、カソード電極222とアノード電極223との間に原料ガス212のプラズマを発生させ、p型微結晶シリコン膜を形成する。カソード電極222の単位面積あたりの電力密度は、たとえば0.05W/cm2以上0.3W/cm2以下とされる。
上記のようにして、所望の厚さのp型微結晶シリコン膜を形成した後、交流電力の供給を停止して、成膜室220内を真空排気する。p型微結晶シリコン膜の厚さは、供給された総電力量(電力密度×時間)に比例して大きくすることができる。
p型微結晶シリコン膜の厚さは、i型微結晶シリコン膜、i型微結晶シリコンゲルマニウム膜、およびi型微結晶シリコン膜またはi型非晶質シリコン膜に十分な内部電界を与える観点から、2nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましい。また、p型微結晶シリコン膜の厚さは、光吸収量を抑える観点からは、50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。
≪i型微結晶シリコン膜の形成≫
次に、成膜室220内を真空排気して、成膜室220内のバックグラウンド圧力を0.1Pa程度とした後、成膜室220内に所定の圧力まで水素ガスを導入する。その後、再び、成膜室220内を真空排気して、成膜室220内のバックグラウンド圧力を0.1Pa程度とする。以上の工程を3回繰り返して、成膜室220内に残留するガスの濃度を低減する。
次に、成膜室220内に、シランガスおよび水素ガスを含む原料ガス212を導入し、、圧力調整用バルブ207により成膜室220内の圧力を略一定の圧力(たとえば200Pa以上3000Pa以下)に保つ。原料ガス212中におけるシランガスに対する水素ガスの流量は、好ましくは数倍から数十倍程度とされる。
次に、成膜室220内の圧力が安定した後、カソード電極222に、たとえば数kHz〜80MHzの周波数のCW(連続波形)交流電力を供給する連続放電によって、カソード電極222とアノード電極223との間に原料ガス212のプラズマを発生させ、i型微結晶シリコン膜を形成する。カソード電極222の単位面積あたりの電力密度は、たとえば0.05W/cm2以上0.3W/cm2以下とされる。
上記のようにして、所望の厚さのi型微結晶シリコン膜を形成した後、交流電力の供給を停止して、成膜室220内を真空排気する。i型微結晶シリコン膜をCW(連続波形)交流電力を供給する連続放電によって形成することにより、成膜室220内のボロン原子濃度が低下するため、次に形成されるi型微結晶シリコンゲルマニウム膜へのボロン原子の混入を低減することができる。i型微結晶シリコンゲルマニウム膜にボロン原子が混入した場合には、i型微結晶シリコンゲルマニウム膜おける短波長域の光に対する感度が低下する。特に、微結晶シリコンゲルマニウムは、p型半導体となりやすいため、ボロン原子の混入を防ぐことが好ましい。
i型微結晶シリコン膜の厚さは、p型微結晶シリコン膜からi型微結晶シリコンゲルマニウム膜へのボロン原子の拡散を抑える観点からは、2nm以上であることが好ましい。また、i型微結晶シリコン膜における光吸収を抑える観点からは、i型微結晶シリコン膜の厚さは、50nm以下であることが好ましい。
≪i型微結晶シリコンゲルマニウム膜の形成≫
次に、成膜室220内に、シランガス、ゲルマンガスおよび水素ガスを含む原料ガス212を導入し、圧力調整用バルブ207により成膜室220内の圧力を略一定の圧力(たとえば200Pa以上3000Pa以下)に保つ。
次に、成膜室220内の圧力が安定した後、カソード電極222に、たとえば数kHz〜80MHzの周波数のパルス交流電力を供給する間欠放電によって、カソード電極222とアノード電極223との間に原料ガス212のプラズマを発生させ、i型微結晶シリコンゲルマニウム膜を形成する。カソード電極222の単位面積あたりの電力密度は、たとえば0.05W/cm2以上1W/cm2以下とされる。
上記のようにして、所望の厚さのi型微結晶シリコンゲルマニウム膜を形成した後、交流電力の供給を停止して、成膜室220内を真空排気する。i型微結晶シリコンゲルマニウム膜の厚さは、光吸収量を考慮して、0.5μm〜2μmの値に設定されることが好ましい。
≪i型非晶質シリコン膜の形成≫
次に、成膜室220内を真空排気して、成膜室220内のバックグラウンド圧力を0.1Pa程度とした後、成膜室220内に所定の圧力まで水素ガスを導入する。その後、再び、成膜室220内を真空排気して、成膜室220内のバックグラウンド圧力を0.1Pa程度とする。以上の工程を3回繰り返して、成膜室220内に残留するガスの濃度を低減する。
次に、成膜室220内に、シランガスおよび水素ガスを含む原料ガス212を導入し、、圧力調整用バルブ207により成膜室220内の圧力を略一定の圧力(たとえば200Pa以上3000Pa以下)に保つ。原料ガス212中におけるシランガスに対する水素ガスの流量は、好ましくは数倍から数十倍程度とされる。
次に、成膜室220内の圧力が安定した後、カソード電極222に、たとえば数kHz〜80MHzの周波数のCW(連続波形)交流電力を供給する連続放電によって、カソード電極222とアノード電極223との間に原料ガス212のプラズマを発生させ、i型微結晶シリコン膜を形成する。カソード電極222の単位面積あたりの電力密度は、たとえば0.05W/cm2以上0.3W/cm2以下とされる。
上記のようにして、所望の厚さのi型非晶質シリコン膜を形成した後、交流電力の供給を停止して、成膜室220内を真空排気する。i型非晶質シリコン膜をCW(連続波形)交流電力を供給する連続放電によって形成することにより、成膜室220内の雰囲気中のゲルマニウム原子濃度が低下し、次に形成されるn型非晶質シリコン膜へのゲルマニウム原子の混入を低減することができる。n型非晶質シリコン膜にゲルマニウム原子が混入した場合には、i型微結晶シリコンゲルマニウム膜おける長波長域の光に対する感度が低下する。
i型非晶質シリコン膜は、i型微結晶シリコンゲルマニウム膜よりも結晶化率の小さい膜とすることが好ましい。この場合には、n型非晶質シリコン膜へのゲルマニウム原子の混入をさらに抑止することができる。
i型非晶質シリコン膜は、ガラス上の評価では200nm程度の厚さでは非晶質となる条件に調整することが好ましい。この場合には、n型非晶質シリコン膜へのゲルマニウム原子の混入をさらに抑止することができる。
ここでは、真性非単結晶シリコン膜4cとしてi型非晶質シリコン膜を形成したが、i型微結晶シリコン膜を形成してもよく、i型微結晶シリコン膜とi型非晶質シリコン膜との積層体を形成してもよい。
i型非晶質シリコン膜の厚さは、i型微結晶シリコンゲルマニウム膜からのゲルマニウム原子の拡散を抑える観点からは、2nm以上であることが好ましく、光吸収を抑える観点からは、50nm以下であることが好ましい。
≪n型非晶質シリコン膜の形成≫
次に、成膜室220内を真空排気して、成膜室220内のバックグラウンド圧力を0.1Pa程度とした後、成膜室220内に所定の圧力まで水素ガスを導入する。その後、再び、成膜室220内を真空排気して、成膜室220内のバックグラウンド圧力を0.1Pa程度とする。以上の工程を3回繰り返して、成膜室220内に残留するガスの濃度を低減する。
次に、成膜室220内に、シランガス、水素ガスおよびホスフィンガスを含む原料ガス212を導入し、、圧力調整用バルブ207により成膜室220内の圧力を略一定の圧力(たとえば200Pa以上3000Pa以下)に保つ。原料ガス212中におけるシランガスに対する水素ガスの流量は、好ましくは5倍以上300倍以下程度とされる。なお、第2導電型半導体膜5として、n型微結晶半導体膜を形成する場合には、シランガスに対する水素ガスの流量は、30倍以上300倍以下程度とされることが好ましい。
次に、成膜室220内の圧力が安定した後、カソード電極222に、たとえば数kHz〜80MHzの周波数の交流電力を供給して、カソード電極222とアノード電極223との間に原料ガス212のプラズマを発生させ、i型微結晶シリコン膜を形成する。カソード電極222の単位面積あたりの電力密度は、たとえば0.01W/cm2以上0.3W/cm2以下とされる。
ここでは、第2導電型半導体膜5としてn型非晶質シリコン膜を形成したが、n型微結晶シリコン膜を形成してもよく、n型微結晶シリコン膜とn型非晶質シリコン膜との積層体を形成してもよい。
n型非晶質シリコン膜の厚さは、i型微結晶シリコン膜、i型微結晶シリコンゲルマニウム膜、およびi型微結晶シリコン膜またはi型非晶質シリコン膜に十分な内部電界を与える観点から、2nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましい。また、n型非晶質シリコン膜の厚さは、光吸収量を抑える観点からは、できる限り薄いことが好ましく、50nm以下であることが好ましい。
次に、光電変換層3上に、ZnOからなる透明導電膜6aを形成し、Agからなる金属膜6bを形成して、ZnOとAgとの積層体からなる第2電極層6を形成する。以上により、表1に示す構成の光電変換装置100を形成することができる。
<効果>
上記のようにして製造される光電変換装置は、たとえば2m2以上の大面積の表面を有する基板を用いた場合であっても、高品質な真性微結晶シリコンゲルマニウム膜を形成することができるため、優れた光電変換効率を有する光電変換装置とすることができる。
また、大面積の基板の表面上に、面内の組成および欠陥密度のばらつきを抑えて高品質なi型微結晶シリコンゲルマニウム膜を形成することができ、光電変換層を単一の成膜室で形成する際に、各半導体膜における欠陥の制御、界面の接合、およびコンタミの制御を行なうことができるため、光電変換装置の寿命および信頼性を従来のものに比べて向上させることができる。
さらに、入射光を有効に利用して、高い光電変換効率を発現するとともに、量産において実用的タクトタイムを達成することができ、基板の大面積化にも対応できる実用性の高い光電変換装置とすることができる。
[実施の形態2]
<構造>
図4に、本発明の光電変換装置の他の一例である実施の形態2の光電変換装置400の模式的な断面図を示す。実施の形態2の光電変換装置400は、第1電極層2と、第1導電型半導体膜3との間に、第1の光電変換層405と、第2の光電変換層404との積層体が挿入された構造を有している点に特徴がある。すなわち、実施の形態2の光電変換装置400においては、第1の光電変換層405と、第2の光電変換層404と、光電変換層7との三層の光電変換層が積層された積層型光電変換装置となっている。表2に、実施の形態2の光電変換装置400の構成を示す。
ここで、第1の光電変換層405は、第1電極層2上に設けられたp型非晶質半導体膜405aと、p型非晶質半導体膜405a上に設けられたバッファ膜405bと、バッファ膜405b上に設けられたi型非晶質シリコン膜405cと、i型非晶質シリコン膜405c上に設けられたn型半導体膜405dとの積層体から構成されている。
また、第2の光電変換層404は、n型半導体膜405d上に設けられたp型微結晶半導体膜404aと、p型微結晶半導体膜404a上に設けられたi型微結晶シリコン膜404bと、i型微結晶シリコン膜404b上に設けられたn型半導体膜404cとの積層体から構成されている。
Figure 2013125841
第1の光電変換層405および第2の光電変換層404は、それぞれ以下のようにして形成することができる。
≪p型非晶質半導体膜405aの形成≫
まず、成膜室220内を0.001Pa程度まで排気し、基板1の温度を200℃以下に設定する。次に、成膜室220内に、シランガス、メタンガス、水素ガスおよびジボランガスを含む原料ガス212を導入し、排気系に設けられた圧力調整用バルブ207により成膜室220内の圧力を略一定の圧力(たとえば200Pa以上3000Pa以下)に保つ。原料ガス212中におけるシランガスに対する水素ガスの流量は、好ましくは数倍から数十倍程度とされる。
次に、成膜室220内の圧力が安定した後、カソード電極222に、たとえば数kHz〜80MHzの周波数の交流電力を供給し、カソード電極222とアノード電極223との間に原料ガス212のプラズマを発生させ、p型非晶質シリコンカーバイド膜を形成する。カソード電極222の単位面積あたりの電力密度は、たとえば0.01W/cm2以上0.3W/cm2以下とされる。
上記のようにして、所望の厚さのp型非晶質シリコンカーバイド膜を形成した後、交流電力の供給を停止して、成膜室220内を真空排気する。p型非晶質シリコンカーバイド膜の厚さは、供給された総電力量(電力密度×時間)に比例して大きくすることができる。
p型非晶質半導体膜405aの厚さは、i型非晶質シリコン膜に十分な内部電界を与える観点から、2nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましい。また、p型非晶質半導体膜405aの厚さは、光吸収量を抑える観点からは、50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。
≪バッファ膜405bの形成≫
まず、成膜室220内のバックグラウンド圧力を0.001Pa程度まで排気し、基板1の温度を200℃以下に設定する。次に、成膜室220内に、シランガス、メタンガスおよび水素ガスを含む原料ガス212を導入し、排気系に設けられた圧力調整用バルブ207により成膜室220内の圧力を略一定の圧力(たとえば200Pa以上3000Pa以下)に保つ。原料ガス212中におけるシランガスに対する水素ガスの流量は、好ましくは数倍から数十倍程度とされる。
次に、成膜室220内の圧力が安定した後、カソード電極222に、たとえば数kHz〜80MHzの周波数の交流電力を供給し、カソード電極222とアノード電極223との間に原料ガス212のプラズマを発生させ、i型非晶質シリコンカーバイド膜を形成する。カソード電極222の単位面積あたりの電力密度は、たとえば0.01W/cm2以上0.3W/cm2以下とされる。
上記のようにして、所望の厚さのp型非晶質シリコンカーバイド膜を形成した後、交流電力の供給を停止して、成膜室220内を真空排気する。
バッファ膜405bを形成することにより、成膜室220内の雰囲気中のボロン原子濃度が低下し、次に形成されるi型非晶質シリコン膜405cへのボロン原子の混入を低減することができる。
バッファ膜405bの厚さは、p型非晶質半導体膜405aからi型非晶質シリコン膜405cへのボロン原子の拡散を抑えるため、2nm以上であることが望ましい。一方、光吸収量を抑えて、i型非晶質シリコン膜405cに到達する光を増大させるためには、できる限り薄いことが好ましく、50nm以下であることが好ましい。
≪i型非晶質シリコン膜405cの形成≫
まず、成膜室220内のバックグラウンド圧力を0.001Pa程度まで排気し、基板1の温度を200℃以下に設定する。次に、成膜室220内に、シランガスおよび水素ガスを含む原料ガス212を導入し、排気系に設けられた圧力調整用バルブ207により成膜室220内の圧力を略一定の圧力(たとえば200Pa以上3000Pa以下)に保つ。原料ガス212中におけるシランガスに対する水素ガスの流量は、好ましくは数倍から数十倍程度とされ、より好ましくは5倍以上30倍以下である。
次に、成膜室220内の圧力が安定した後、カソード電極222に、たとえば数kHz〜80MHzの周波数の交流電力を供給し、カソード電極222とアノード電極223との間に原料ガス212のプラズマを発生させ、i型非晶質シリコン膜を形成する。カソード電極222の単位面積あたりの電力密度は、たとえば0.01W/cm2以上0.3W/cm2以下とされる。
上記のようにして、所望の厚さのi型非晶質シリコン膜を形成した後、交流電力の供給を停止して、成膜室220内を真空排気する。
i型非晶質シリコン膜405cの厚さは、光吸収量を低減し、光劣化による光電変換効率の低下を抑制する観点から、0.05μm以上0.25μm以下であることが好ましい。
≪n型半導体膜405dの形成≫
まず、成膜室220内のバックグラウンド圧力を0.001Pa程度まで排気し、基板1の温度を200℃以下、たとえば150℃以下に設定する。次に、成膜室220内に、シランガス、水素ガスおよびホスフィンガスを含む原料ガス212を導入し、排気系に設けられた圧力調整用バルブ207により成膜室220内の圧力を略一定の圧力(たとえば200Pa以上3000Pa以下)に保つ。原料ガス212中におけるシランガスに対する水素ガスの流量は、好ましくは5倍以上300倍以下である。なお、n型半導体膜405dとして、n型微結晶膜を形成する場合には、シランガスに対する水素ガスの流量は、好ましくは30倍以上300倍以下である。
次に、成膜室220内の圧力が安定した後、カソード電極222に、たとえば数kHz〜80MHzの周波数の交流電力を供給し、カソード電極222とアノード電極223との間に原料ガス212のプラズマを発生させ、n型非晶質シリコン膜を形成する。カソード電極222の単位面積あたりの電力密度は、たとえば0.01W/cm2以上0.3W/cm2以下とされる。
上記のようにして、所望の厚さのn型非晶質シリコン膜を形成した後、交流電力の供給を停止して、成膜室220内を真空排気する。
n型半導体膜405dの厚さは、i型非晶質シリコン膜405cに十分な内部電界を与える観点から、2nm以上であることが好ましい。また、n型半導体膜405dの厚さは、光吸収量を抑える観点からは、できる限り薄いことが好ましく、50nm以下であることが好ましい。
以上により、第1電極層2上に第1の光電変換層405を形成することができる。
≪p型微結晶半導体膜404aの形成≫
まず、成膜室220内のバックグラウンド圧力を0.001Pa程度まで排気し、基板1の温度を200℃以下に設定する。次に、成膜室220内に、シランガス、水素ガスおよびジボランガスを含む原料ガス212を導入し、排気系に設けられた圧力調整用バルブ207により成膜室220内の圧力を略一定の圧力(たとえば240Pa以上3600Pa以下)に保つ。原料ガス212中におけるシランガスに対する水素ガスの流量は、好ましくは数十倍から数百倍程度とされ、より好ましくは30倍以上300倍以下である。
次に、成膜室220内の圧力が安定した後、カソード電極222に、たとえば数kHz〜80MHzの周波数の交流電力を供給し、カソード電極222とアノード電極223との間に原料ガス212のプラズマを発生させ、p型微結晶シリコン膜を形成する。カソード電極222の単位面積あたりの電力密度は、たとえば0.01W/cm2以上0.5W/cm2以下とされる。
p型微結晶半導体膜404aの厚さは、i型微結晶シリコン膜404bに十分な内部電界を与える観点から、2nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましい。また、p型微結晶半導体膜404aの厚さは、光吸収量を抑えて、i型微結晶シリコン膜404bへの光の到達量を増大させる観点からは、できる限り薄いことが好ましく、50nm以下であることが好ましい。
≪i型微結晶シリコン膜404bの形成≫
まず、成膜室220内のバックグラウンド圧力を0.001Pa程度まで排気し、基板1の温度を200℃以下に設定する。次に、成膜室220内に、シランガスおよび水素ガスを含む原料ガス212を導入し、排気系に設けられた圧力調整用バルブ207により成膜室220内の圧力を略一定の圧力(たとえば240Pa以上3600Pa以下)に保つ。原料ガス212中におけるシランガスに対する水素ガスの流量は、好ましくは30倍以上数百倍程度以下であり、より好ましくは30倍以上300倍以下である。
次に、成膜室220内の圧力が安定した後、カソード電極222に、たとえば数kHz〜80MHzの周波数の交流電力を供給し、カソード電極222とアノード電極223との間に原料ガス212のプラズマを発生させ、i型微結晶シリコン膜を形成する。カソード電極222の単位面積あたりの電力密度は、たとえば0.02W/cm2以上0.5W/cm2以下とされる。
上記のようにして、所望の厚さのi型微結晶シリコン膜を形成した後、交流電力の供給を停止して、成膜室220内を真空排気する。
i型微結晶シリコン膜404bの厚さは、十分な光吸収量を確保する観点から、0.5μm以上1μm以下であることが好ましい。また、i型微結晶シリコン膜404bの厚さは、良好な生産性を確保する観点から、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。
これにより、ラマン分光法により測定される480nm-1におけるピーク強度I480に対する520nm-1におけるピーク強度I520のピーク強度比I520/I480が3以上10以下である良好な結晶化率を有するi型微結晶シリコン膜404bを形成することができる。
≪n型半導体膜404cの形成≫
まず、成膜室220内のバックグラウンド圧力を0.001Pa程度まで排気し、基板1の温度を200℃以下、好ましくは150℃以下に設定する。次に、成膜室220内に、シランガス、水素ガスおよびホスフィンガスを含む原料ガス212を導入し、排気系に設けられた圧力調整用バルブ207により成膜室220内の圧力を略一定の圧力(たとえば200Pa以上3000Pa以下)に保つ。原料ガス212中におけるシランガスに対する水素ガスの流量は、好ましくは5倍以上300倍以下である。なお、n型半導体膜404cとして、n型微結晶膜を形成する場合には、シランガスに対する水素ガスの流量は、好ましくは30倍以上300倍以下である。
次に、成膜室220内の圧力が安定した後、カソード電極222に、たとえば数kHz〜80MHzの周波数の交流電力を供給し、カソード電極222とアノード電極223との間に原料ガス212のプラズマを発生させ、n型非晶質シリコン膜を形成する。カソード電極222の単位面積あたりの電力密度は、たとえば0.01W/cm2以上0.3W/cm2以下とされる。
上記のようにして、所望の厚さのn型非晶質シリコン膜を形成した後、交流電力の供給を停止して、成膜室220内を真空排気する。
n型半導体膜404cの厚さは、i型非晶質シリコン膜404bに十分な内部電界を与える観点から、2nm以上であることが好ましい。また、n型半導体膜404cの厚さは、光吸収量を抑える観点からは、できる限り薄いことが好ましく、50nm以下であることが好ましい。
以上により、第1の光電変換層405上に第2の光電変換層404を形成することができる。
<効果>
上記のようにして製造される実施の形態2の光電変換装置400においても、実施の形態1と同様にして形成された光電変換層7を備えている。したがって、実施の形態2の光電変換装置400は、たとえば2m2以上の大面積の表面を有する基板を用いた場合であっても、高品質な真性微結晶シリコンゲルマニウム膜を形成することができるため、優れた光電変換効率を有する光電変換装置とすることができる。
また、実施の形態2においても、大面積の基板の表面上に、面内の組成および欠陥密度のばらつきを抑えて高品質なi型微結晶シリコンゲルマニウム膜を形成することができ、光電変換層を単一の成膜室で形成する際に、各半導体膜における欠陥の制御、界面の接合、およびコンタミの制御を行なうことができるため、光電変換装置の寿命および信頼性を従来のものに比べて向上させることができる。
また、実施の形態2においても、入射光を有効に利用して、高い光電変換効率を発現するとともに、量産において実用的タクトタイムを達成することができ、基板の大面積化にも対応できる実用性の高い光電変換装置とすることができる。
さらに、実施の形態2においては、三層の光電変換層が積層された積層型光電変換装置となっていることから、広い波長域の光を吸収して発電することが可能となる。
本実施例では、実施の形態1に沿って、図1に示す構造および表1に示す構成の光電変換装置100を、図2に示す単一の成膜室220を有するプラズマCVD装置を用いて、以下の製造条件に基づいて製造した。本実施例で用いられるプラズマCVD装置の成膜室220の容積は、幅1m×長さ1m×高さ50cmであった。
以下、各工程について詳細に説明する。本実施例では、光電変換層7における真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bとしてのi型微結晶シリコンゲルマニウム膜以外の半導体膜は、単一の成膜室220を有するプラズマCVD装置を用いて、連続放電によるプラズマCVD法で形成した。また、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bとしてのi型微結晶シリコンゲルマニウム膜は、単一の成膜室220を有するプラズマCVD装置を用いて、間欠放電によるプラズマCVD法で形成した。
<第1導電型半導体膜3の形成>
第1導電型半導体膜3としてp型微結晶シリコン膜を形成した。p型微結晶シリコン膜は、基板1の温度が200℃、プラズマCVD装置の成膜室220内の圧力が1000Pa、カソード電極222の単位面積当たりの電力密度が0.15W/cm2、成膜室220内に導入される原料ガス212が、SiH4ガス150sccm、B26ガス(0.1%水素希釈)30sccm、およびH2ガスを含み、(H2ガスの流量)/(SiH4ガスの流量)の流量比が150倍の条件で形成した。p型微結晶シリコン膜の厚さは、40nmであった。
<真性微結晶シリコン膜4aの形成>
真性微結晶シリコン膜4aとしてi型微結晶シリコン膜を形成した。i型微結晶シリコン膜は、基板1の温度が200℃、プラズマCVD装置の成膜室220内の圧力が2000Pa、カソード電極222の単位面積当たりの電力密度が0.15W/cm2、成膜室220内に導入される原料ガス212が、SiH4ガス250sccm、およびH2ガスを含み、(H2ガスの流量)/(SiH4ガスの流量)の流量比が80の条件で形成した。i型微結晶シリコン膜の厚さは、10nmであった。
<真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bの形成>
真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bとしてi型微結晶シリコンゲルマニウム膜を形成した。i型微結晶シリコンゲルマニウム膜は、基板1の温度が200℃、プラズマCVD装置の成膜室220内の圧力が2000Pa、カソード電極222の単位面積当たりの電力密度が0.15W/cm2、成膜室220内に導入される原料ガス212が、GeH4ガス12sccm、SiH4ガス250sccm、およびH2ガスを含み、(H2ガスの流量)/((SiH4ガスの流量)+(GeH4ガスの流量))が100の条件で形成した。i型微結晶シリコン膜の厚さは、1.2μmであった。
本実施例において、プラズマを生成するために印加する電力は間欠供給され、周波数13.56MHzで、オン時間を500マイクロ秒とし、オフ時間を変化させて、Duty比が、比較検討も含めて100%(連続放電条件)〜45%となるように調整した。このときのi型微結晶シリコンゲルマニウム膜の形成速度は、0.22nm/秒以上0.28nm/秒以下であった。また、i型微結晶シリコンゲルマニウム膜の結晶化率は、3〜5であった。
<真性非単結晶シリコン膜4cの形成>
真性非単結晶シリコン膜4cとしてi型非晶質シリコン膜を形成した。i型非晶質シリコン膜は、基板1の温度が200℃、プラズマCVD装置の成膜室220内の圧力が2000Pa、カソード電極222の単位面積当たりの電力密度が0.15W/cm2、成膜室220内に導入される原料ガス212が、SiH4ガス250sccm、およびH2ガスを含み、(H2ガスの流量)/(SiH4ガスの流量)の流量比が60の条件で形成した。i型非晶質シリコン膜の厚さは、10nmであった。
<第2導電型半導体膜5の形成>
第2導電型半導体膜5としてn型非晶質シリコン膜を形成した。n型非晶質シリコン膜は、基板1の温度が200℃、プラズマCVD装置の成膜室220内の圧力が500Pa、カソード電極222の単位面積当たりの電力密度が0.05W/cm2、成膜室220内に導入される原料ガス212が、SiH4ガス150sccm、PH3ガス(1%水素希釈)30sccmおよびH2ガスを含み、(H2ガスの流量)/(SiH4ガスの流量)の流量比が5の条件で形成した。n型非晶質シリコン膜の厚さは、25nmであった。
<特性評価1>
実施例1において、上記のように各デューティ比で形成された光電変換装置について、i型微結晶シリコンゲルマニウム膜の形成時のデューティ比(%)と、アーバックエネルギー(meV)との関係を求めた。その結果を図5に示す。なお、欠陥密度は、一定光電流法(CPM法)にて決定した。
図5に示すように、デューティ比が50%以上86%以下である場合には、デューティ比とアーバックエネルギーとの間に相関が確認された。これは、デューティ比が50%以上86%以下である場合には、i型微結晶シリコンゲルマニウム膜の欠陥密度が低下することを示している。
<特性評価2>
実施例1において、上記のように各デューティ比で形成された光電変換装置について、i型微結晶シリコンゲルマニウム膜の面内の9点について、エネルギー分散型X線分析法(EDX法)によりゲルマニウム濃度を測定し、ゲルマニウム濃度分布を求めた。その結果を図6に示す。なお、図6に示すゲルマニウム濃度分布は、EDX法によるエネルギーと強度の測定結果から各元素の特定を行ない、未知試料の各元素のX線強度から理論的に補正計算を行ない、合計濃度が100%になるように定量分析値を出すスタンダードレス法を用いてゲルマニウム濃度を求め、面内の9点の評価点から分布を求めた。
デューティ比が50%以上86%以下である場合でも、ゲルマニウム濃度が局所的に高い部分が散見されたが、図6に示すように、デューティ比が50%以上86%以下である場合には、面内のゲルマニウム濃度分布が小さくなり、面内の組成のばらつきが低減できることが確認された。
<特性評価3>
実施例1において、デューティ比を71%に固定して、オン時間を変更して、上記のように形成された光電変換装置について、i型微結晶シリコンゲルマニウム膜の面内の9点について、EDX法によりゲルマニウム濃度を測定し、ゲルマニウム濃度分布を求めた。その結果を図7に示す。なお、図7に示すゲルマニウム濃度分布は、各オン時間について図6と同様にして求めた値である。
図7に示すように、デューティ比を71%に固定して、オン時間を2000マイクロ秒以下とした場合には、面内のゲルマニウム濃度分布が小さくなり、面内の組成のばらつきが低減できることが確認された。
<特性評価4>
実施例1において、上記のように各デューティ比で形成された受光面積1cm2の光電変換装置について、AM1.5(100mW/cm2)照射条件下で、電流−電圧曲線を求め、電流−電圧曲線から各光電変換装置の光電変換効率を算出した。なお、後述する光電変換効率は、上記のデューティ比が100%で形成された光電変換装置の光電変換効率を100%としたときの相対値で表わしている。
その結果、上記のデューティ比が50%以上86%以下で形成された光電変換装置の光電変換効率は、113%〜118%であった。また、長波長(800nm)の光を照射したときの、上記のデューティ比が50%以上86%以下で形成された光電変換装置の光電変換効率は、105%であった。
一方、上記のデューティ比が50%未満で形成された光電変換装置の光電変換効率は、104%であった。また、長波長(800nm)の光を照射したときの、上記のデューティ比が50%未満で形成された光電変換装置の光電変換効率は、99%であった。
上記のデューティ比が50%未満で形成された光電変換装置については、短波長(600nm)の光における感度が低下しており、短波長(600nm)の光を照射したときの光電変換効率は、78%であった。これは、ボロンの拡散の影響、i型微結晶シリコン膜とi型微結晶シリコンゲルマニウム膜との界面において、欠陥が発生したことによる影響と考えられる。
本実施例では、実施の形態2に沿って、図4に示す構造および表2に示す構成の光電変換装置400を、図2に示す単一の成膜室220を有するプラズマCVD装置を用いて、以下の製造条件に基づいて製造した。本実施例で用いられるプラズマCVD装置の成膜室220の容積は、幅1m×長さ1m×高さ50cmであった。なお、光電変換層7を構成する各半導体層については、実施例1と同一の製造条件で製造した。
以下、各工程について詳細に説明する。本実施例では、光電変換層7における真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bとしてのi型微結晶シリコンゲルマニウム膜以外の半導体膜は、単一の成膜室220を有するプラズマCVD装置を用いて、連続放電によるプラズマCVD法で形成した。また、真性微結晶シリコンゲルマニウム膜4bとしてのi型微結晶シリコンゲルマニウム膜は、単一の成膜室220を有するプラズマCVD装置を用いて、間欠放電によるプラズマCVD法で形成した。
<p型非晶質半導体膜405aの形成>
p型非晶質半導体膜405aとしてp型非晶質シリコンカーバイド膜を形成した。p型非晶質シリコンカーバイド膜は、基板1の温度が180℃、プラズマCVD装置の成膜室220内の圧力が500Pa、カソード電極222の単位面積当たりの電力密度が0.05W/cm2、成膜室220内に導入される原料ガス212が、SiH4ガス150sccm、B26ガス(0.1%水素希釈)80sccm、CH4ガス150sccmおよびH2ガスを含み、(H2ガスの流量)/(SiH4ガスの流量)の流量比が20倍の条件で形成した。p型非晶質シリコンカーバイド膜の厚さは、10nmであった。
<バッファ膜405bの形成>
バッファ膜405bとしてi型非晶質シリコンカーバイド膜を形成した。i型非晶質シリコンカーバイド膜は、基板1の温度が180℃、プラズマCVD装置の成膜室220内の圧力が500Pa、カソード電極222の単位面積当たりの電力密度が0.05W/cm2、成膜室220内に導入される原料ガス212が、SiH4ガス150sccm、CH4ガス150sccmおよびH2ガスを含み、(H2ガスの流量)/(SiH4ガスの流量)の流量比が10倍の条件で形成した。i型非晶質シリコンカーバイド膜の厚さは、10nmであった。
<i型非晶質シリコン膜405cの形成>
i型非晶質シリコン膜405cとしてi型非晶質シリコン膜を形成した。i型非晶質シリコン膜は、基板1の温度が180℃、プラズマCVD装置の成膜室220内の圧力が500Pa、カソード電極222の単位面積当たりの電力密度が0.07W/cm2、成膜室220内に導入される原料ガス212が、SiH4ガス300sccm、およびH2ガスを含み、(H2ガスの流量)/(SiH4ガスの流量)の流量比が20倍の条件で形成した。i型非晶質シリコン膜の厚さは、100nmであった。
<n型半導体膜405dの形成>
n型半導体膜405dとしてn型非晶質シリコン膜を形成した。n型非晶質シリコン膜は、基板1の温度が180℃、プラズマCVD装置の成膜室220内の圧力が500Pa、カソード電極222の単位面積当たりの電力密度が0.05W/cm2、成膜室220内に導入される原料ガス212が、SiH4ガス150sccm、PH3ガス(0.1%水素希釈)30sccmおよびH2ガスを含み、(H2ガスの流量)/(SiH4ガスの流量)の流量比が5倍の条件で形成した。n型非晶質シリコン膜の厚さは、25nmであった。
<p型微結晶半導体膜404aの形成>
p型微結晶半導体膜404aとしてp型微結晶シリコン膜を形成した。p型微結晶シリコン膜は、基板1の温度が180℃、プラズマCVD装置の成膜室220内の圧力が100Pa、カソード電極222の単位面積当たりの電力密度が0.15W/cm2、成膜室220内に導入される原料ガス212が、SiH4ガス150sccm、およびH2ガスを含み、(H2ガスの流量)/(SiH4ガスの流量)の流量比が150倍の条件で形成した。p型微結晶シリコン膜の厚さは、40nmであった。
<i型微結晶シリコン膜404bの形成>
i型微結晶シリコン膜404bとしてi型微結晶シリコン膜を形成した。i型微結晶シリコン膜は、基板1の温度が180℃、プラズマCVD装置の成膜室220内の圧力が2000Pa、カソード電極222の単位面積当たりの電力密度が0.15W/cm2、成膜室220内に導入される原料ガス212が、SiH4ガス250sccm、およびH2ガスを含み、(H2ガスの流量)/(SiH4ガスの流量)の流量比が100倍の条件で形成した。i型微結晶シリコン膜の厚さは、1000nmであった。
<n型半導体膜404cの形成>
n型半導体膜404cとしてn型非晶質シリコン膜を形成した。n型非晶質シリコン膜は、基板1の温度が180℃、プラズマCVD装置の成膜室220内の圧力が500Pa、カソード電極222の単位面積当たりの電力密度が0.05W/cm2、成膜室220内に導入される原料ガス212が、SiH4ガス150sccm、PH3ガス(0.1%水素希釈)30sccmおよびH2ガスを含み、(H2ガスの流量)/(SiH4ガスの流量)の流量比が5倍の条件で形成した。n型非晶質シリコン膜の厚さは、25nmであった。
<特性評価5>
実施例2において、上記のように各デューティ比で形成された受光面積1cm2の光電変換装置について、AM1.5(100mW/cm2)照射条件下で、電流−電圧曲線を求め、電流−電圧曲線から各光電変換装置の光電変換効率を算出した。なお、後述する光電変換効率は、上記のデューティ比が100%で形成された光電変換装置の光電変換効率を100%としたときの相対値で表わしている。
その結果、上記のデューティ比が50%以上86%以下で形成された光電変換装置の光電変換効率は、107%〜110%であった。
本発明は、光電変換装置の製造方法に利用することができる。
1 基板、2 第1電極層、3 第1導電型半導体膜、4 実質的に真性な半導体膜、4a 真性微結晶シリコン膜、4b 真性微結晶シリコンゲルマニウム膜、4c 真性非単結晶シリコン膜、5 第2導電型半導体膜、6 第2電極層、6a 透明導電膜、6b 金属膜、7 光電変換層、100 光電変換装置、205 インピーダンス整合回路、206 ガス排気部、207 圧力調整用バルブ、208 電力供給部、208a,208b 電力導入線、209 ガス排気口、211 ガス導入部、212 原料ガス、220 成膜室、222 カソード電極、223 アノード電極、400 光電変換装置、405 第1の光電変換層、405a p型非晶質半導体膜、405b バッファ膜、405c i型非晶質シリコン膜、405d n型半導体膜、404 第2の光電変換層、404a p型微結晶半導体膜、404b i型微結晶シリコン膜、404c n型半導体膜。

Claims (6)

  1. 基板上に第1導電型半導体膜を形成する工程と、
    前記第1導電型半導体膜上に実質的に真性な半導体膜を形成する工程と、
    前記実質的に真性な半導体膜上に第2導電型半導体膜を形成する工程と、を含み、
    前記第1導電型半導体膜を形成する工程、前記実質的に真性な半導体膜を形成する工程および前記第2導電型半導体膜を形成する工程は、それぞれ、単一の成膜室を有するプラズマCVD装置を用いたプラズマCVD法により行なわれ、
    前記実質的に真性な半導体膜を形成する工程は、
    連続放電によって前記第1導電型半導体膜上に真性微結晶シリコン膜を形成する工程と、
    間欠放電によって前記真性微結晶シリコン膜上に真性微結晶シリコンゲルマニウム膜を形成する工程と、
    連続放電によって前記真性微結晶シリコンゲルマニウム膜上に真性非単結晶シリコン膜を形成する工程と、を含み、
    前記真性微結晶シリコンゲルマニウム膜を形成する工程において、前記間欠放電において供給される電力のオン時間およびオフ時間を用いて、デューティ比(%)が、100×(オン時間)/{(オン時間)+(オフ時間)}で表わされるとき、前記デューティ比は、50%以上86%以下である、光電変換装置の製造方法。
  2. 前記真性微結晶シリコンゲルマニウム膜の形成速度が、0.2nm/秒以上である、請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
  3. 前記オン時間が、2000マイクロ秒以下である、請求項1または2に記載の光電変換装置の製造方法。
  4. 前記真性微結晶シリコンゲルマニウム膜を形成する工程において、前記真性微結晶シリコンゲルマニウム膜は、前記基板の温度が250℃以下であって、前記成膜室に、シラン系ガスの流量とゲルマン系ガスの流量との和に対する希釈ガスの流量の比が50以上200以下である原料ガスを導入することによって形成され、
    前記真性微結晶シリコンゲルマニウム膜のラマン分光法により測定される480nm-1におけるピーク強度I480に対する520nm-1におけるピーク強度I520のピーク強度比I520/I480が3以上5以下である、請求項1から3のいずれかに記載の光電変換装置の製造方法。
  5. 前記真性非単結晶シリコン膜は、前記真性微結晶シリコンゲルマニウム膜よりも結晶化率が小さい、請求項1から4のいずれかに記載の光電変換装置の製造方法。
  6. 前記真性非単結晶シリコン膜は、前記真性非単結晶シリコン膜をガラス上に形成した場合に非晶質となる条件で形成される、請求項1から5のいずれかに記載の光電変換装置の製造方法。
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