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JP2013123453A - 椅子の身体支持構造物の曲率変更機構 - Google Patents

椅子の身体支持構造物の曲率変更機構 Download PDF

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JP2013123453A
JP2013123453A JP2011272059A JP2011272059A JP2013123453A JP 2013123453 A JP2013123453 A JP 2013123453A JP 2011272059 A JP2011272059 A JP 2011272059A JP 2011272059 A JP2011272059 A JP 2011272059A JP 2013123453 A JP2013123453 A JP 2013123453A
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JP2011272059A
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Nobuhisa Kubota
展久 窪田
Takuma Ikeda
拓馬 池田
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Takano Co Ltd
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Takano Co Ltd
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Abstract

【課題】剛性を保ち耐久性を良好としながらも、撓み量を大きくし、着座者の好みに応じた曲率で支持し、さらに、座または背もたれの撓み変形を助長させて座り心地、凭れ心地をよくすると共に曲率を変更可能とすることで骨盤を矯正する。
【解決手段】支持フレーム1を介して座4または背凭れ5を脚フレーム2あるいは座受け部材263に取り付ける身体支持構造物において、座4または背凭れ5を両者の幅方向の両端支持とする一方、座4または背凭れ5の構造の一部である反復可撓性を有する撓み部材6と、撓み部材6の最大撓み位置を規制する撓み規制部材7とを備え、撓み部材6と撓み規制部材7とを重ねて支持フレーム1に支持させると共に、撓み部材6は両側に回転軸受け部8を備え、体重が作用した際に回転軸受け部8の回転運動で撓み部材6の撓みを許容し、撓み部材6の最大撓み位置が撓み規制部材7で規制されるまでの間で曲率を変更させるようにしている。
【選択図】図4

Description

本発明は、椅子の座または背もたれなどの着座者の身体を受け支える構造物(本明細書では、身体支持構造物と呼ぶ)の身体と接触する面の曲率を変更可能とする機構に関する。更に詳述すると、本発明は、脚フレーム上の座受け部材に支持フレームを介して座または背凭れなどの身体支持構造物を取り付ける椅子の身体支持構造において身体と接触する面の曲率を変更する機構に関する。
従来より、インナーシェルを有する椅子の座または背もたれなどの身体支持構造物において、インナーシェルの身体と接触する部分の撓みを可能にして着座者の身体にフィットさせたり、クッション性を高めることにより、座り心地や凭れ心地を良くすることが行われている。例えば、インナーシェルを合成樹脂により成形して、樹脂の撓みを利用して着座者を包み込むように支持する構造としたり、さらには、合成樹脂製シェルが撓み易い支持構造としたり、変形し易いようにスリットを入れたり、肉厚を部分的に薄くするなどの工夫がほどこされたものが従来ある(特許文献1,2)。
特許文献1記載の椅子等の身体支持装置は、座等のクッション製を向上させるため、座のアウター部材を金属板製のベース体と合成樹脂製の補助支持体とで構成する一方、補助支持体をベース体の張出部に嵌め入れて固定すると共に補助支持体の側部を正面視V字状(或いはU字状)に形成することにより、弾性変形を許容する弾力性とインナーシェルの変形を可能とする空間を内方に形成するようにしている。そして、合成樹脂製インナー部材には多数のスリットを形成して、補助支持体の弾性変形によってインナー部材が全体として下降動し、且つ、インナー部材の人の体圧が強く作用する部分が集中的に凹み変形する構造としている。つまり、座インナーシェルに多数のスリットを形成することによって大きな撓みと伸びとを可能ならしめると共に、座インナーシェルを正面視で両端支持の状態でV字状の補助支持体に取付けることにより、座インナーシェルが体圧で大きく沈み込むことを許容している。
また、上下方向に厚さが一定で比較的大きな断面形状にして前後方向の曲げ剛性を高くしている従来の背凭れでは、背板に背中の押圧荷重が加わった際に、背枠の両側部が後方に撓みにくく、座り心地が悪い上に背中の上部を快適に支持することはできない。そこで、特許文献2の椅子の背凭れ装置は、背枠と背板で構成される合成樹脂製背凭れにおいて、背枠における左右の側枠と背板の厚さを、上方に向かうにしたがって漸次小とすると共に、背板の全面に上下及び左右方向に近接して並ぶ縦長スリット状の開口を多数穿設することにより、背枠及び背板を、上方ほど後方に撓み易くすることにより、背中の上部を快適に支持し、座り心地を向上させうるようにしている。
特開2000−93250号公報 特開2007−125220号公報
しかしながら、特許文献1及び2記載の発明のいずれも、合成樹脂製シェルにスリットを数多く入れる、あるいは合成樹脂を薄くすることにより大きく撓ませることを可能とする構造であるため、大きく撓ませる場合には耐久性の低下が伴う問題を有する。したがって、耐久性を重要視すれば、厚みを薄くしたりスリットを多く入れることができないため、撓み変形に限界が生ずる。即ち、耐久性を強くするため、樹脂シェル自体に剛性をもたせたものでは樹脂の撓み量は少なくなり、着座者を包み込むような撓み量を得ることができなくなる問題がある。このことから、十分な耐久性を要求される椅子等の身体支持構造物に適用する場合、特許文献1及び2記載のシェル撓み構造では、背や座の変形が不十分なものでとなり、フィット性に満足感が得られないという問題を有している。
さらに、樹脂の撓み変形のみを使っているため、撓み量の調整ができないことから、着座者の好みに応じた撓み量を調整することができないという問題も有している。
本発明は、剛性を保ち耐久性を良好としながらも、撓み量を大きくすることが可能な身体支持機構を提供することを目的とする。また、着座者の好みに応じた曲率で着座者を支持することが可能な椅子の身体支持機構を提供することを目的とする。さらに、本発明は、椅子の座または背もたれの撓み変形を助長させて、座り心地あるいは凭れ心地をよくすると共に曲率を変更可能とすることで骨盤を矯正するなどの利点を得ることができる椅子の身体支持機構を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために請求項1記載の発明は、支持フレームを介して座または背凭れを脚フレームあるいはこれに搭載された座受け部材に取り付ける椅子の身体支持構造物において、支持フレームによる座または背凭れの支持を座または背凭れの幅方向の両端付近における2箇所で行う両端支持とする一方、座または背凭れの構造の一部に含まれる反復可撓性を有する撓み部材と、撓み部材の最大撓み位置を規制する撓み規制部材とを備える一方、撓み部材と撓み規制部材とを撓み部材の撓み方向に重ねて配置して支持フレームに支持させると共に、撓み部材は左右両側に支持フレームに回転可能に取り付けられる回転軸受け部を備え、着座者の体重が作用した際に回転軸受け部の回転運動で撓み部材の撓みを許容し、撓み部材の最大撓み位置が撓み規制部材で規制されるまでの間で曲率を変更させるようにしている。
ここで撓み部材及びこの撓み部材の最大撓み位置を規制する撓み規制部材とは、反復可撓性を有し尚かつ最大撓み位置を規制して身体支持構造物としての機能を十分に発揮できるものであれば、特定の材質や構造に特に限られるものではないが、例えば、撓み部材は合成樹脂製インナーシェルであり、撓み規制部材はインナーシェルよりも剛性の高い部材でかつ両端が支持フレームに固定されて撓んだ状態のインナーシェルを受け支えるものであることが好ましい。
また、撓み部材は、可撓性に富む主板と、この主板よりも剛体であり主板の両端を支持すると共に支持フレームに対して回転可能に支持される回転軸受け部をそれぞれ備える左右一対の副板とで構成され、主板と副板とは少なくともいずれか一方の副板に対して主板を幅方向に一定範囲内で摺動可能に連結されているものであることが好ましい。
さらに、身体支持構造物は背凭れであり、各副板は、鉛直面では背支点付近が最も前方へ突出するように前後方向に湾曲しかつ水平面では中央が最も後方に突出するように湾曲した双曲放物面の一部を成し、主板は副板の背支点付近よりも上方を連結する第1の主板と、背支点付近よりも下方を連結する第2の主板とで構成されていることが好ましい。
また、撓み規制部材は支持フレームに固定される両端の間の長さを調整可能とする長さ調整機構を備え、撓み部材の最大撓み位置を変更可能としていることが好ましい。
回転軸受け部は、回転中心から離れた位置に撓み部材を取り付け、回転軸受け部の回転に伴って撓み部材の幅方向の支持間隔を狭めることにより曲率を大きくするものであることが好ましい。
撓み部材には初期位置へ戻すための力を補助する復帰ばねを備えたものであることが好ましい。
これら曲率変更機構を実施した背凭れあるいは座を組み込んだ椅子であることが好ましい。
請求項1記載の椅子の身体支持構造物の曲率変更機構は、椅子の身体接触部を構成する撓み部材例えばインナーシェルの少なくとも一部の領域に可撓性を有する変形部を設けるとともに、シェルの裏面側に撓み部材の最大撓み位置を規制する位置規制部材を配置し、その操作により撓み部材の撓み量を変化させることにより、インナーシェルを含む座あるいは背凭れとしての全体の剛性を変化させずに、インナーシェルの荷重に対する撓み量を調整して座面あるいは背凭れ面の曲率を変更可能とする。つまり、着座者に追随した撓み量を有する支持構造でありながら、最大撓み位置においては撓み部材と撓み規制部材とが協働して着座者を受け支えるため、剛性をも兼ね備える。しかも、撓み部材の両端の軸受け部の回転運動により撓み部材全体を大きく撓ませることを可能とする構造であるため、大きく撓ませる構造とするためにスリットを数多く入れる、あるいは合成樹脂を薄くするなどの構造を採る必要が無く、撓み部材自体の耐久性の低下を伴うことがない。
また、身体支持構造物としての耐久性の低下を伴わずに、着座者を包み込むように大きな曲率で支持することも、小さな曲率で支持することも、撓み規制部材の位置を変えることにより、容易に実現できる。依って、本発明によれば、撓み規制部材の位置を変えることにより、インナーシェルの身体接触部の撓み量を調節することができるので、作業内容に応じて最適な撓み量、即ち身体支持構造物の身体に接する面の曲率を最適なものに変更することができる。例えば、集中して作業する場合、曲率を大きくして体を包み込むように支持する(姿勢を一定にする)方が姿勢が乱れず、長時間作業できる。しかも、曲率のきつい椅子に座ると骨盤が締まって骨盤矯正ともなる。そして、姿勢を一定に保てるので集中力が増す。逆に曲率が緩やかであると、リラックスすることができる。
さらに、本発明の身体支持構造物の曲率変更機構によれば、支持フレームに両端支持される撓み部材と撓み規制部材とを撓み方向に重ねて配置するという簡単な機構であるため、製造並びに組み立てが容易であると共に構造が嵩張らず、小型化、コストダウンを可能とする。しかも、身体支持構造物と接する着座者の身体部分を包み込むように弾性変形するので、椅子の座又は背もたれの安定感、フィット感を向上させることができる。
また、請求項2記載の発明によれば、撓み部材は合成樹脂製インナーシェルであり、撓み規制部材はインナーシェルよりも剛性の高い部材でかつ両端が支持フレームに固定されて撓んだ状態のインナーシェルを受け支えるものであることから、身体支持部材の身体と接する面を連続した曲面に変形させることができる。しかも、合成樹脂製インナーシェルから成る撓み部材とこれを受け支える撓み規制部材とを重ねて配置するため、撓み規制部材による撓み部材の支えが撓み量の増加に従って広がり広域的なものとなるので、最大撓み位置における支持剛性の変化に不連続性を与えることがなく、底突き感のような違和感を与えることが少ない。しかも、インナーシェルと撓み規制部材とは別体の板状の形態とすることができるため、特殊な成形機などを用いなくとも単純な打ち抜き加工などで容易に製造できる。
また、請求項3記載の発明によれば、可撓性に富む主板と、この主板よりも剛体であり主板の両端を支持すると共に支持フレームに対して回転可能に支持される回転軸受け部をそれぞれ備える左右一対の副板とで撓み部材を構成しているので、左右の副板の回転運動により傾きを大きく変更し、それらの間の主板が湾曲により変形するため、身体支持部材の身体と接する面を深くて大きな曲率の曲面に変形させることができる。
また、請求項4記載の発明によれば、背凭れの双曲放物面の一部を成す左右一対の副板と背支点付近よりも上方を連結する第1の主板と、背支点付近よりも下方を連結する第2の主板とで撓み部材を構成しているので、撓み部材が左右並びに上下間で独立して変形可能となるため、三次元での身体構造物の変形が可能となる。
また、請求項5記載の発明によれば、撓み規制部材は支持フレームに固定される両端の間の長さを調整可能とする長さ調整機構を備え、撓み部材の最大撓み位置を変更可能としているので、撓み量を調整することができる。
また、請求項6記載の発明によれば、回転軸受け部は、回転中心から離れた位置に撓み部材を取り付け、回転軸受け部の内向きの回転に伴って撓み部材の幅方向の支持間隔も狭めることにより大きく撓み変形させているので、撓み部材そのものに伸縮性を備えていなくとも、大きな曲率で変形させることができる。
また、請求項7記載の発明によれば、撓み部材には初期位置へ戻すための力を補助する復帰ばねを備えているので、反復可撓性のある撓み部材においてへたりが生じたとしても、復帰ばねの力でインナーシェルが元の位置に復元される。
本発明にかかる身体支持構造物の曲率変更機構を椅子に適用した一実施形態を示す斜視図である。 同椅子の座部分に適用した曲率変更機構を示す分解斜視図である。 同椅子の背もたれ部分に適用した曲率変更機構を主に示す分解斜視図である。 同椅子の正面図である。 同椅子の背面図である。 同椅子の側面図である。 同椅子の背もたれ部分の平面図である。 同椅子の座部分の下からみた斜視図である。 同椅子の座部分の撓み規制部材を構成する長さ調整機構を示す斜視図である。 長さ調整機構の分解斜視図である。 同椅子の背もたれ部分の下から見た斜視図である。 同椅子の背もたれ部分の前上から見た斜視図である。 同椅子の背もたれ部分の分解斜視図である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。尚、本明細書においては、「左右」、「幅方向」、「前後」、「前後方向」、「上下」及び「上下方向」なる語は、特に断りがない限り、椅子に着座した着座者を基準にしたものであり、椅子の「左右」あるいは「幅方向」、「前後」あるいは「前後方向」及び「上下」あるいは「上下方向」若しくは「高さ方向」と同義に用いている。
図1〜図13に、本発明の椅子の支持構造物の曲率変更機構を回転椅子に適用した一実施形態を示す。本発明にかかる椅子の身体支持構造物は、支持フレーム1を介して脚フレーム2あるいは脚上の座受け部材3に取り付けられた座4または背凭れ5であり、身体支持構造物の一部として含まれる反復可撓性を有する撓み部材と、撓み部材の最大撓み位置を規制する撓み規制部材とを備えるものである。尚、この身体支持構造物において、支持フレーム1による座4または背凭れ5の支持は、座4または背凭れ5の幅方向の両端付近における2箇所で行う両端支持とされている。そして、撓み部材6と撓み規制部材7とを撓み部材6の撓み方向に重ねて配置して支持フレーム1に支持させると共に、撓み部材6は左右両側に支持フレーム1に回転可能に取り付けられる回転軸受け部8を備え、着座者の体重が作用した際に回転軸受け部8の回転運動で撓み部材6の撓みを許容し、撓み部材6の最大撓み位置が撓み規制部材7で規制されるまでの間で曲率を変更させるようにしている。
ここで、撓み部材6及びこの撓み部材6の最大撓み位置を規制する撓み規制部材7は、反復可撓性を有し尚かつ最大撓み位置を規制して身体支持構造物としての機能を十分に発揮できるものであれば、特定の材質や構造に特に限られるものではないが、例えば、撓み部材6を合成樹脂製インナーシェルで構成し、撓み規制部材7をインナーシェルよりも剛性の高い部材でかつ両端が支持フレーム1に固定されて撓んだ状態のインナーシェルを受け支えるものとすることが好ましい。座4あるいは背凭れ5の座用インナーシェル6s及び背用インナーシェル6bは、反復可撓性を有する撓み部材6を少なくとも変形を必要とする部位に含み、あるいは全体を撓み部材6で構成し、表面には必要に応じて軟質発泡ウレタン等の軟質発泡樹脂製の薄いクッション(図示省略)を張り、さらにクッションの表面を布製の張地(図示省略)で覆う構造としていることが多いが、これに特に限られるものではなく、場合によってはクッションを省いたり、張力に富む膜状部材を貼り付けるようにしても良い。
また、撓み部材6は、座用として例示するインナーシェルのような単一の部材に構成される場合ばかりではなく、複数の部材例えば背用インナーシェル6bとして例示する分割式の撓み部材6、即ち可撓性に富む主板9と、この主板9よりも剛体であり主板9の両端を支持すると共に支持フレーム1に対して回転可能に支持される回転軸受け部8をそれぞれ備える左右一対の副板10とに分割された部材を組み合わせるように構成しても良い。この分割式撓み部材6の場合には、少なくとも主板9は可撓性を必要とするが、副板10は回転軸受け部8によって支持フレーム1を軸に回転するものであるから、特に可撓性も必要としない。この場合、主板9と副板10とは少なくともいずれか一方の副板10に対して主板9を幅方向に一定範囲内で摺動可能に連結することにより、曲率の変更による周長の差分を吸収する構造とすることが好ましい。この場合には、撓み部材6そのものに伸縮性を備えていなくとも、大きな曲率で変形させることができる。勿論、撓み部材6は、撓み性があれば良く、伸縮性は必要ない。したがって、反復可撓性があれば合成樹脂に限らずばね性を有する金属でも良い。
以上のように構成された身体支持構造物の曲率変更機構によれば、着座者の体重が撓み部材6に作用すると、撓み部材6自体が両端の回転軸受け部8における支持フレーム1を中心とした内向き(背用あるいは座用のインナーシェル全体が後方あるいは下方即ち本来の撓み方向へ向けて凸となる方向)の回転運動に伴って全体が突出するように撓み、着座者の身体支持構造物と接する身体部分を包み込むように弾性変形する。例えば座4の場合には中央に向かうほどに沈むように変形して臀部を包み込み、背の場合には中央に向かうほどに後方に移動するように変形して背部を包み込むように全体として変形する。その結果、座4あるいは背凭れ5を身体にフィットさせることができる。したがって、撓み部材たるインナーシェル6s,6bの広い面積で着座者の体重を受け支えるので、体重が分散されて身体の特定の部分が強く圧迫されることを防止又は著しく低減して、身体を快適な状態に支持することができ、座り心地あるいは凭れ心地を良くする。また、インナーシェル6s,6bにクッションを張っていなくとも、或いはクッションの厚さが薄くとも、高いクッション性能を確保することができる。そして、着座者の体重が作用した際に、インナーシェル6s,6bが大きく撓む場合には、クッションとしての変形量が大となり、着席者は、座面あるいは背凭れ面を柔らかく感じる。しかも、インナーシェルが撓み規制部材7に当接すると、インナーシェル6s,6bそのものの弾性変形が撓み規制部材7によって妨げられるので、それ以上の撓み変形が防がれる。このため、最大撓み位置においては撓み部材6と撓み規制部材7とが協働して着座者を受け支えるため、撓み部材6の撓みが抑制されて剛性が高まる。
ここで、曲率のきつい椅子に座ると、骨盤が締まって骨盤矯正となる。しかも、姿勢を一定に保てるので集中力が増す。したがって、集中して作業する場合などには、体を拘束する(姿勢を一定にする)方が姿勢が乱れず、長時間作業できる。逆に、曲率が緩い椅子に座ると、リラックスができる。
さらに、主に図2〜図6及び図8〜図10に示す座に適用した実施形態に基づいて本発明の曲率変更支持機構を詳細に説明する。
この実施形態における座4の曲率変更支持機構は、撓み部材6と撓み規制部材7とを撓み部材6の撓み方向に重ねて配置して支持フレーム1に支持させると共に、撓み部材6は左右両側に支持フレーム1に回転可能に取り付けられる回転軸受け部8を備え、着座者の体重が作用した際に回転軸受け部8の回転運動で撓み部材6の撓みを許容し、撓み部材6の最大撓み位置が撓み規制部材7で規制されるまでの間で曲率を変更させるようにしている。本実施形態の場合、撓み部材6としての座用のインナーシェルは、より剛性の高い帯板状の撓み規制部材7で下支えされるように構成されている。
ここで、座用の撓み部材6たるインナーシェル(以下、座用インナーシェル6sと呼ぶ)は、人の臀部と太股の外形に合わせて僅かに凹部となるように湾曲させたほぼ板状で、例えばナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂のような可撓性に富む合成樹脂を素材とした射出成形法によって所定の荷重により適当な大きさの弾性変形量を得る薄板構造(形状・厚さ)に成形されている。座用インナーシェル6sの裏面の左右両端部には、支持フレーム1の前後方向に延びる軸部11を貫通させる一対の回転軸受け部8が、前後方向に向けて設けられている。本実施形態の場合は、回転軸受け部8は座用インナーシェル6sとは別体で成形したものを接着剤や高周波溶着、ボルト・ナットやビスなどの締結具で一体化している。例えば、支持フレーム1の軸部11に、羽根付きブラケット(筒状の回転軸受け部8)をそれぞれ回転自在に嵌合させ、羽根部分がそれぞれ座用インナーシェル6sの裏面にビス止めや接着などで固定可能とすることで、座用インナーシェル6sを各軸部11を中心に回転自在に支持するように設けても良いし、回転軸受け部8を二つ割に成形して軸部11を嵌め込んでから蓋側をねじなどで固定する構造としても良い。この回転軸受け部8に支持フレーム1の軸部11を貫通させることで、座用インナーシェル6sが支持フレーム1の軸部11に対して回転可能に両持ち支持されている。つまり、座用インナーシェル6sは支持フレーム1の左右の軸部11の間に支持されると共に、各軸部11を中心に各々回転可能に支持されている。したがって、各軸部11を中心に座用インナーシェル6sが回転することにより、全体として座用インナーシェル6sが湾曲するように設けられている。尚、座用インナーシェル6sの材質には伸縮性は必要なく撓み性があれば良いことから、本実施形態のようなナイロン樹脂やポリプロピレン樹脂のような可撓性に富む合成樹脂によって構成される場合に限られず、ばね鋼のような反復可撓性があれば金属などでも実施可能である。また、本実施形態では、軸部11への組み立てを容易にすると共に構造強度を得るために、座用インナーシェル6sと回転軸受け部8とは異なる材料で別部材に成形されているが、これに特に限られるものではなく、場合によっては座用インナーシェル6sと一体に成形されても良い。
この樹脂製座用インナーシェル6sには、その弾力が劣化しても原位置に復帰可能とするため、座用インナーシェル6sを元の姿勢に戻すための復帰ばねを設けることが好ましい。復帰ばね12としては、本実施形態の場合、S字ばねが採用されており、座用インナーシェル6sの上に幅方向に配置されて両端及び中央部が座用インナーシェル6sに固定されることにより、S字ばね12の張力が座用インナーシェル6sの復帰のための力として作用するように設けられている。例えば、座用インナーシェル6sの左右両端付近にS字状ばねの両端が引っ掛けられる孔13が設けられ、S字ばね12がある程度予張力を付与された状態で座用インナーシェル6sの表側面に装着される一方、図示していない座金とビス等の取り付け具を利用してS字ばね12の中央部分と座用インナーシェル6sとが固定され、座用インナーシェル6sの中央部分をばねの力で引っ張り上げるようにして撓んだ座用インナーシェル6sに対して復帰するための補助力を付加するように設けられている。これにより、座用インナーシェル6sの上に載せられるウレタンなどのクッションは、座用インナーシェル6sと共に復帰ばね12によっても支持されているので、撓み易い座用インナーシェル6sに対して支持剛性を補助して荷重がかかった際の可撓性を確保しつつ、ある程度のクッション性を有する変形部として機能すると共に着座者の体重が除かれたときにはクッションの持ち上げを補助する。また、場合によっては、S字ばね12に代えて、圧縮ばねを採用し、座用インナーシェル6sの下から押し上げるようにしても良い。勿論、復帰ばね12は、座用インナーシェル6sの下に配置されても良い。
尚、図示していないが、本実施形態において座用インナーシェル6sには、軽量化のために孔が開けられているが、撓み易くするためのスリットは入れられていない。しかしながら、スリットを入れることを否定するものではなく、必要に応じてスリットを入れるようにしても良い。座用インナーシェル6sのうち着座者の尻部が当たる箇所及びその近傍には、必要に応じて、複数の孔あるいはスリットを設けることにより、当該孔あるいはスリットを含めたその近傍において座用インナーシェル6sの弾力性能(単位荷重に対する撓み量)が他の部分より柔らかに(大きく)して、着座者が尻部に受ける圧迫感を緩和し、よりクッション性能の高い座り心地の良い椅子としても良い。座用インナーシェル6sの上面には、必要に応じて図示しないウレタン等のクッションが取り付けられ、椅子の身体接触部である座面が形成される。
撓み規制部材7は座用インナーシェル6sよりも剛性の高い部材で構成されかつ支持フレーム1の左右の軸部11の間に配置されて支持されることにより座用インナーシェル6sを下支えする形態を成している。撓み規制部材7は、撓み部材6よりも剛性を有する材料例えばガラス繊維マットを含浸させたガラス強化合成樹脂(FRP)やその他の剛性に優れる合成樹脂などで形成されており、座用インナーシェル6sとの間に一定の間隔を開けて撓み方向即ち座用インナーシェル6sの下方に配置されるように支持フレーム1の軸部11に固定されている。この撓み規制部材7は、撓み部材6たる座用インナーシェル6sが撓んで当接したときに下支えすることにより、座用インターシェル単独の場合よりも剛性を高めて撓み難くあるいはそれ以上に撓まなくするように機能するためのものである。
本実施形態の撓み規制部材7には、撓み規制部材7の実質の長さ(椅子の幅方向の長さ)を調整可能とするための長さ調整機構14を備えている。即ち、撓み規制部材7は、支持フレーム1の一方の軸部11に椅子の幅方向の連結位置が変更可能に支えられる長さ調整用基板15と、一端が支持フレーム1の他方の軸部11に固定されると共に他端が長さ調整用基板15に固定される撓み規制部材本体16と、長さ調整用基板15を複数の位置で支持フレーム1の一方の軸部11に固定可能な締結具17とで構成されている。本実施形態の場合、長さ調整用基板15は、椅子の幅方向に1つあるいは長さの異なる複数の横溝18を備えると共に、この横溝18を前後方向に延びる1本の縦溝19と連通させ、縦溝19あるいは横溝18を利用してこれら溝18,19を貫通する支持フレーム1の軸部11側に固定された係止ピン20との係合位置を切り替え可能としている。他方、軸部11に対して係止ピン20で固定される撓み規制部材本体16との間で長さ調整用基板15の前後方向の移動を可能とするため、撓み規制部材本体16側にも前後方向に伸びる縦長孔27が設けられ、撓み規制部材本体16と長さ調整用基板15とを連結する締結具17を前後方向に相対的に移動可能とされている。係止ピン20が貫通する溝を縦溝19から横溝18へあるいはその逆に切り替えることで、若しくは互いに椅子の幅方向の長さを異にする複数の横溝18の間で切り替えることで、長さ調整用基板15が移動できる椅子の幅方向のストローク量が調整可能とされる。例えば、係止ピン20の位置が縦溝19内に存在する状態と、横溝18内に存在する状態との少なくとも2位置、また複数の横溝18を有する場合には少なくとも3位置以上に切り替え可能とされる。因みに、長さ調整用基板15の縦溝19から横溝18、さらに複数の横溝18の間での係止ピン20の相対的な切り替え動作は、長さ調整用基板15を前後左右方向にスライドさせることにより行われる。これにより、長さ調整用基板15と撓み規制部材本体16との長さの和である座用撓み規制部材7の長さを変更することで、座用インナーシェル6sの最大撓み位置を調整することができる。そして、座用インナーシェル6sの支持フレーム1による幅方向の支持間隔を一定にしたまま最大撓み量即ち曲率を調整できる。これによって、着座者の体重に応じて座用インナーシェル6sの弾性変形量が調整できる。尚、本実施形態では、椅子の前後方向に並設された複数の係止ピン20によって長さ調整用基板15が複数箇所で係合して固定されることによって、長さ調整用基板15延いては撓み規制部材本体16の水平面内での回転・傾きを防ぐように設けられているが、これに特に限定されるものではなく、場合によっては左右の支持フレーム1の軸部11に対して各々1本の係止ピン20で固定されるようにしても良い。
撓み規制部材本体16の一端は身体支持構造物である座受けフレーム・支持フレーム1の一部を構成する軸部11に対して固定され、他端は他方の軸部11に対して固定されないように椅子の幅方向に長い長孔21を介して軸部11に設けられた係止ピン20によって椅子の前後方向には移動しないが椅子の幅方向には移動できるように取り付けられている。この係止ピン20は、通常、撓み規制部材本体16の長孔21と椅子の幅方向において当接することはないが、何らかの原因で長さ調整用基板15と撓み規制部材本体16との連結が解除されたときに、長孔21の縁に当接することで撓み規制部材本体16の脱落を防止することができる。尚、撓み規制部材本体16と支持フレーム1の軸部11との連結は、本実施形態の場合、支持フレーム1の軸部11に溶接などで固着された係止ピン20が撓み規制部材本体16あるいは長さ調整用基板15に貫通させられた状態で抜け止めのための頭部例えばナットを螺合することによって固定するか、あるいは頭付きボルトを軸部11にねじ込むことによって固定している。尚、撓み規制部材本体16の他端と長さ調整用基板15とは、リベットやビスなどの締結具17によって連結され、固定されている。本実施形態の場合、2箇所の締結具17で固定されている。
本実施形態における撓み規制部材本体16は、図2及び図8に示すように、支持フレーム1の軸部11に固定される両端部分に比べて座用インナーシェル6sに当接して受け支える中央部分が両端部よりも幅広に形成された矩形の板状に形成され、座用インナーシェル6sを下支えする面積を増やすようにしているが、この形状に特に限定されるものではなく、円形でも、椅子の幅方向に一様な幅の帯板状でも実施可能である。また、座用インナーシェル6sを下支えする部分の撓み規制部材本体16の椅子の前後方向の長さは、座用インナーシェル6s7を広い範囲にわたって支持できるように前後方向に長く設定されている。
以上のように構成された身体支持構造物の曲率変更支持機構において、着座者の体重が座用インナーシェル6sに作用すると、座用インナーシェル6sの両側端付近を支える支持フレーム1の軸部11を中心に回転軸受け部8が内向きに回転するようにして実質的に座用インナーシェル6sの支持点の間隔を狭めながら座用インナーシェル6sが下向きに凸(上向き凹状)に湾曲することを許容する。そして、撓み規制部材7の撓み規制部材本体16に当接すると、座用インナーシェル6sと共に撓み規制部材本体16も弾性変形し、座用インナーシェル6sと撓み規制部材本体16とが協働して着座者を支えると共にその体重によって上向き凹状に湾曲するように撓む。したがって、着座者は座用インナーシェル6sと撓み規制部材本体16とによって支えられ、座用インナーシェル6sにのみ体重が集中的にかかることはないので、座用インナーシェル6sと撓み規制部材7とで身体支持構造物としての剛性が負担される。つまり、身体支持構造物・座4としての剛性は、座用インナーシェル6sの剛性に加えて撓み規制部材7の剛性が加わったものとなる。そして、身体支持構造物・座4としての撓み易さは、座用インナーシェル6sが撓み規制部材7と一体的に身体に作用するまでは、座用インナーシェル6sそのものの可撓性のみならず、回転軸受け部8での座用インナーシェル6sの両端の支持に起こる回転変位に起因するものであり、身体支持構造物・座4としての剛性に左右されないものである。
特に、座用インナーシェル6sの両端の回転軸受け部8の回転中心と座用インナーシェル6sの回転軸受け部8への取り付け面とのオフセット量が大きく設定されるほど、同じ周長でありながら、座用インナーシェル6sの両端支持の実質間隔が回転半径(オフセット量)の2倍分だけ短くなることから、座用インナーシェル6sが大きな曲率で撓み変形することができる。その結果、座4あるいは背もたれの曲率を変化させて高いフィット性を確保することができる。
このように、身体支持構造物としての剛性を大きく損なうことなく、撓み部材6の撓み量を大きくできるので、クッションの厚さを薄くしても、座4の全体が体重に応じて適当な量だけ変形できるため、着座者に全体がフィットするような柔らかな感じを与えることができ、その結果、快適なクッション性能を与えることができる。したがって、適度のクッション性能を与えることができ、長時間快適な座り心地を与えることができる。さらに、本実施形態によれば、撓み規制部材7の位置変更によって撓み部材6の剛性を調整して、体重が作用したときの撓み部材6の撓み量を変化させることで、身体接触部の撓み量を調節するようにしている。そのため、撓み量の調節を行う機構部を簡略化することができる。さらに、身体接触部の撓み量を変化させるときは、撓み規制部材7の長さ調整用基板15をスライドさせて撓み規制部材7の実質的な長さを調整するだけで、撓み量の調節を行うことができ、操作性にも優れている。
さらに、図1〜図7及び図11〜図13に示す背凭れ5に適用した実施形態に基づいて本発明の曲率変更支持機構を詳細に説明する。
背凭れ5における撓み部材6としての背用のインナーシェル(以下、背用インナーシェル6bと呼ぶ)は、支持フレーム1たる背支桿に対して回転自在に取り付けられる左右一対の副板10とこれらの間に連結される主板9とで構成され、左右の副板10を回転させることで主板9の曲率を変化させ得る構造とされている。ここで、背凭れ5は、図6及び図12に示すように、鉛直面内では着座者の腰部付近を支える部分(背支点)で最も前方へ突出するように全体に椅子の前方へ向けて突出すると共に背支点よりも上方と背支点よりも下方では傾きが逆方向となるように湾曲し、かつ水平面内では全体に中央部が椅子の後方へ向けて最も突出するように(後方に凹むように)湾曲している双曲放物面(鞍形)の三次元形状を成している。そこで、撓み部材6としての背用インナーシェル6bは、双曲放物面の中程が主板9で構成される一方、双曲放物面の両側縁部分が一対の副板10で構成されている。
背凭れ5を支持する支持フレーム1は、背支桿であり、背用インナーシェル6bを支えると共に、左右の副板10を回転させるための軸としても機能するものである。そこで、本実施形態では、背支桿の背凭れ5を支持するフレーム部分は、図2、図6及び図11に示すように、少なくとも背用インナーシェル6bを支持する上端部分と下端部分とが椅子の前方へ向けて突出するようにコ形に屈曲した左右一対の縦桿19とこれら縦桿19の上下を互いに連結する2本の横桿18とでほぼ井桁状に構成されている。この井桁状の支持フレーム1の左右上下端から上あるいは下へ向けて突出した4箇所のパイプ製又は棒材製の軸部11に、羽根付きの有底筒状の回転軸受け部8がそれぞれ回転自在に嵌合され、羽根部分がそれぞれ副板10に固定されることで、副板10を各軸部11を中心に回転自在に支持するように設けられている。
本実施形態の場合、主板9は、背支点よりも上方の部材即ち第1の主板9aと、背支点より下方の部材即ち第2の主板9bとの上下2部材に分離されており、かつそれらの間に十分な隙間Sをあけることによって、敢えて撓み変形の際の逃がしを設けるようにしている。この隙間Sの設定により、撓み易くすると共に、上側の第1の主板9aと下側の第2の主板9bとでは逆の方向に回転しているので、撓みの際の変形が集中するのを防いで、三次元の撓み変形を可能としている。主板9は少なくとも曲率を変化させ得る可撓性を有するものであり、左右の副板10の回転によって変化する副板10間の間隔を調整すると同時に撓み変形するものである。本実施形態の場合には、例えばナイロン樹脂、ポリプロピレンのような可撓性に富む合成樹脂の板によって構成され、左右の副板10に対して水平方向(横方向)に摺動可能に連結されている。この主板9は、例えば図12に示すように、水平方向に伸びる横長の長孔28とこれを貫通する締結手段22とを利用して、左右の副板10に対してそれぞれ摺動可能に連結される場合に限られず、場合によっては一端側を一方の副板10に対して固定するように連結して、他端側を他方の副板10に対して摺動可能に連結するようにしても良い。主板9と副板10との連結は、本実施形態の場合、副板10に対する主板9の摺動を可能とする締結手段22例えばリベットやビス、ボルト・ナットなどを用いているが、これらに特に限られるものでない。
他方、副板10は、鉛直面内では椅子の前方へ向けて着座者の腰部付近を支える部分(背支点)で最も前方へ突出して背支点よりも上方と背支点よりも下方とでは傾きが互いに逆方向となるように「く」の字形に湾曲し、かつ水平面内では内側に向かうほど椅子の後方へ向けて突出するように(後方に凹むように)湾曲している双曲放物面(鞍形)の両端部分を連続的に形成して成る、上端から下端まで連続した1枚の湾曲板構造とされている。ここで、副板10は、主板9よりも剛性を高めるために、例えばナイロン樹脂やポリプロピレン樹脂などをガラス繊維マットに含浸させたガラス強化合成樹脂(FRP)やその他の剛性に優れる合成樹脂で構成されている。左右の副板10は対称形状であり、これら副板10に可撓性の主板9の端部が重なるようにして連結されることにより、全体として平面視略円弧状の背用インナーシェル6bが形成されている。
したがって、左右の副板10とその間を連結する主板9とで構成される背用インナーシェル6bは、支持フレーム1たる背支桿の軸部11を中心に左右の副板10が内向きに回転するようにして実質的に背用インナーシェル6b の支持点の間隔を狭めながら背用インナーシェル6bが後方に向けて凸に湾曲することを許容する。このとき、回転軸受け部8の回転中心と副板10の回転軸受け部8への取り付け面とのオフセット量が大きく設定されるほど、同じ周長でありながら、背用インナーシェル6bの両端支持の実質間隔が短くなることから、背用インナーシェル6bが大きな曲率で撓み変形することができる。その結果、座4あるいは背もたれの曲率を変化させて高いフィット性を確保することができる。
背用撓み規制部材7は、背支桿の背凭れ支持フレーム1部分の縦桿19に設けられたブラケット25に回転自在に両端が支持されたクランク状のロッドから成り、回転させることにより撓み部材6たる背用インナーシェル6bに接近させたり背用インナーシェル6bから離れさせたりする構造とされている。他方、背用インナーシェル6bには、クランク状のロッドが回動して背支桿から最も前方へ突出した位置でクランク状のロッド7を受け支えてロッド7を固定するための受け部材26が備えられている。本実施形態の場合、受け部材26はピンによって構成されている。このピンから成る受け部材26は、背用インナーシェル6bを構成する副板10に固定されており、背用インナーシェル6bの背面側に突出するように設けられている。尚、本実施形態では、クランクロッドで撓み規制部材7を構成しているが、座4の曲率変更機構と同様に、長さ調整用基板15と撓み規制部材本体16と締結具17とから成る撓み規制部材7を配置するようにしても良い。
本実施形態では、主板9は上下に分断された2部材とされており、それぞれは図3に示すように左右横長の板状に形成されている。しかしながら、背用インナーシェル6bが三次元の撓みに対応する必要がないのであれば、上述のように背支点よりも上方の第1の主板9と下方の第2の主板9とに分断する必要もない。図示していないが、主板9を上端から下端まで連続した1枚の湾曲板構造として、その左右両側を副板10に対して幅方向、場合によっては上下方向にも、スライド可能に取り付けるようにしても良い。この場合、主板9が上下連続で一体であり隙間Sがないため、逆方向の撓みが背支点付近に集中することから三次元的な撓みは難しくなる。さらに、上述した実施形態の背凭れ5の撓み部材6は、互いに独立した一対の副板10とこれらの間を上下で連結する第1及び第2の2枚の主板9a,9bとで構成される分割形式としているが、場合によっては座用インナーシェル6sのように一部材で構成するようにしても良い。例えば、背用インナーシェル6bを1枚の可撓性に富む合成樹脂で形成し、その両端付近を背支桿の一部を構成する左右一対の軸部11に対して有底筒状の回転軸受け部8を介して回転自在に支持させるようにしても良い。そして、全体が可撓性の合成樹脂で構成された背用インナーシェル6bの背面側を位置規制部材で受け支えるようにして背凭れ5としての剛性を保つように設けても良い。
本実施形態の背凭れ5によると、着座者が凭れかかることにより、左右の副板10が各々の回転軸受け部8を中心に内向きに回転して左右の副板10の間隔を縮めるように変位する一方、左右の副板10の間に連結されている上下の第1及び第2の主板9a,9bがそれぞれ副板10に対してスライドしながら後方に突出する(平面視前向き凹状に撓む)ように弾性変形し、背凭れ5の全体が後方に突出するように変形する。このため、背用インナーシェル6bで着座者の身体を包み込むような状態となり、その結果、高いフィット性を確保できる。また、左右の副板10は互いに独立して回転可能であるため、背凭れ5に対して偏って凭れかかるときには、荷重分布に応じて左右の副板10の回転角度に相違が生じる。したがって、背凭れ5は着座者の凭れかかる姿勢に応じて左右の回転角度を異ならせて、左右非対称な形状に湾曲することにより、着座者の身体に的確にフィットする。
ここで、回転軸受け部8の回転中心に対して副板10の取り付け面が離れて支持されている場合(オフセット量が大きい場合)には、同じ周長でありながら副板10の内向きの回転によって実質的に左右の副板10の間の支持間隔を回転半径の2倍分だけ短く変化させることができるので、より曲率を大きくすることができる。しかも、クランクロッド状の撓み規制部材7を回転させて後方の退避位置に後退させると、撓み規制部材7が撓み部材6たる背用インナーシェル6bに作用しなくなるため、背用インナーシェル6bの撓みを規制するものがなくなるので、背用インナーシェル6bの撓み量は大きくなる。これにより、背用インナーシェル6b・クッションの変形量は大となり、着座者は、座面をソフトに感じる。つまり、撓み部材6の最大撓み位置における曲率を変えることができ、曲率の大きな状態・位置と曲率の小さな状態・位置との2ポジションがとれる。勿論、変位の途中で背用撓み規制部材7を固定できるロック機構を備えると、段階的に曲率を変化させ得る。
また、背用インナーシェル6bの変形は弾性に抗して行われるため、着座者の身体に対しては背用インナーシェル6bの弾性が作用しており、その結果、高いクッション性も確保される。したがって、背用インナーシェル6bに張ったクッション材の厚さが薄くても、着座者に背凭れ5が柔らかな触感を与えて、背凭れ5の全体のクッション性能が向上して、快適なロッキング状態を与えることができる。そして、着座者が背凭れ5から体を離すと、背用インナーシェル6bは自身の弾性復元力により原状姿勢に復帰する。勿論、座用インナーシェル6sのように、復帰ばねを用いて現状姿勢に復帰するようにしても良い。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述した実施形態では、剛性の高い合成樹脂製板あるいは金属製クランクロッドで構成している撓み規制部材7を例に挙げて主に説明したが、これに特に限られるものではなく、場合によっては締結位置を調整可能なベルトによって構成することも可能である。この場合、座4あるいは背凭れ5の支持フレーム1の左右1対の軸部11にベルト(バンド・紐・革・帯などを含む)の両端が取り付けられ、バックルによってベルトの長さを調整することにより、インナーシェルの撓み量即ち最大撓み位置を調節可能とする。ベルトの位置調整方式としては、通常の孔式のものの他、バックルの締め付けによって固定する位置を調整する摩擦式のようなものでも良く、特定の固定方法に限定されるものではない。
また、撓み規制部材7は撓み部材6よりも剛体であることが好ましいが、剛体に限られない。上述の如きベルトなどの他、メッシュ張地を採用し、このメッシュ張地の張力を巻き取る、引っぱることで調整することにより、撓み部材6の最大撓み位置換言すれば最大撓み量を変更することも可能である。
また、撓み規制部材7の長さ調整機構14は、異なる位置に複数設けられた孔に対してピンを抜き差しすることでも実施可能である。
また、上述の実施形態では、可撓性に富む主板9と、この主板9よりも剛体の左右一対の副板10とで構成される撓み部材6は、背凭れ5用の撓み部材6として構成されているが、これに特に限定されるものではなく、座用撓み部材6として構成すること可能である。例えば、左右一対の副板10にはそれぞれ支持フレーム1に回転可能に嵌合される軸受け部材26を備え、この左右の副板10の間に可撓性に富む主板9が配置されて互いに幅方向に移動可能に連結されている。これにより、座用撓み部材6として構成することができる。
更に、座4や背凭れ5などの身体支持構造物を支持する支持フレーム1の具体的な構造・形態や、背用インナーシェル6b及び座用インナーシェル6sの取付け構造は必要に応じて任意に変更できる。例えば、本発明の身体支持構造物の曲率変更機構は、椅子全般に適用可能であり、特にオフィスにて使用される回転椅子への適用が好ましいが、固定椅子であると、回転椅子であるとを問わないし、ロッキング椅子にも非ロッキング椅子にも適用することができることは言うまでもない。簡易なパイプ脚フレーム2によって支持される固定椅子にも適用できることは言うまでも無い。この際には、脚体の一部をなす左右1対の脚フレーム2に、撓み部材6と撓み規制部材7とを備え、座面後端から立ち上がるように延びる背凭れ支持フレーム1に上記実施形態と同様の構成の撓み部材6と撓み規制部材7とを取付ければよい。また、本発明の身体支持構造物の曲率変更機構は、ベッドや担架などにも適用できる。
1 支持フレーム
4 身体支持構造物である座
5 身体支持構造物である背凭れ
6 撓み部材
6s 座用インナーシェル
6b 背用インナーシェル
7 撓み規制部材
8 回転軸受け部
9 主板
9a 第1の主板
9b 第2の主板
10 副板
11 軸部
12 復帰ばね
14 長さ調整機構
15 長さ調整用基板
16 撓み規制部材本体
17 締結具
20 軸部に固定される係止ピン
22 手段と副板とを連結する締結手段

Claims (8)

  1. 支持フレームを介して座または背凭れを脚フレームあるいはこれに搭載された座受け部材に取り付ける椅子の身体支持構造物において、前記支持フレームによる前記座または背凭れの支持を前記座または背凭れの幅方向の両端付近における2箇所で行う両端支持とする一方、前記座または背凭れの構造の一部に含まれる反復可撓性を有する撓み部材と、前記撓み部材の最大撓み位置を規制する撓み規制部材とを備える一方、前記撓み部材と前記撓み規制部材とを前記撓み部材の撓み方向に重ねて配置して前記支持フレームに支持させると共に、前記撓み部材は左右両側に前記支持フレームに回転可能に取り付けられる回転軸受け部を備え、着座者の体重が作用した際に前記回転軸受け部の回転運動で前記撓み部材の撓みを許容し、前記撓み部材の最大撓み位置が前記撓み規制部材で規制されるまでの間で曲率を変更させる椅子の身体支持構造物の曲率変更機構。
  2. 前記撓み部材は合成樹脂製インナーシェルであり、前記撓み規制部材は前記インナーシェルよりも剛性の高い部材でかつ両端が前記支持フレームに固定された板状あるいはベルト状部材であり、撓んだ状態の前記インナーシェルを受け支えるものである請求項1記載の椅子の身体支持構造物の曲率変更機構。
  3. 前記撓み部材は、可撓性に富む主板と、この主板よりも剛体であり前記主板の両端を支持すると共に前記支持フレームに対して回転可能に支持される前記回転軸受け部をそれぞれ備える左右一対の副板とで構成され、前記主板と前記副板とは少なくともいずれか一方の副板に対して前記主板を幅方向に一定範囲内で摺動可能に連結されているものである請求項1記載の椅子の身体支持構造物の曲率変更機構。
  4. 前記身体支持構造物は背凭れであり、前記各副板は、鉛直面では背支点付近が最も前方へ突出するように前後方向に湾曲しかつ水平面では中央が最も後方に突出するように湾曲した双曲放物面の一部を成し、前記主板は前記副板の前記背支点付近よりも上方を連結する第1の主板と、前記背支点付近よりも下方を連結する第2の主板とで構成されているものである請求項3記載の椅子の身体支持構造物の曲率変更機構。
  5. 前記撓み規制部材は前記支持フレームに固定される両端の間の長さを調整可能とする長さ調整機構を備え、前記撓み部材の最大撓み位置を変更可能としている請求項1から4のいずれか1つに記載の椅子の身体支持構造物の曲率変更機構。
  6. 前記回転軸受け部は、回転中心から離れた位置に前記撓み部材を取り付け、前記回転軸受け部の回転に伴って前記撓み部材の幅方向の支持間隔を狭めることにより曲率を大きくするものである請求項1から4のいずれか1つに記載の椅子の身体支持構造物の曲率変更機構。
  7. 前記撓み部材には初期位置へ戻すための力を補助する復帰ばねを備えたものである請求項1から6のいずれか1つに記載の椅子の身体支持構造物の曲率変更機構。
  8. 請求項1から7のいずれか1つに記載の曲率変更機構を背あるいは座に組み込んだ椅子。
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