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JP2013112737A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【構成】ポリカーボネート樹脂(A)95〜40重量%およびゴム強化スチレン系樹脂(B)5〜60重量%からなる樹脂成分100重量部および特定のアルキルケテンダイマー(C)0.01〜20重量部からなることを特徴とする樹脂組成物。
【効果】本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン系樹脂をブレンドしてからなる樹脂組成物が本来有する耐衝撃性、耐熱性を保持したまま、耐薬品および耐溶剤性を著しく改善したものであり、かかる樹脂組成物から得られた成形品にシンナー等の各種薬品や溶剤が付着しても割れ等の不具合の発生が抑えられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン系樹脂のブレンドからなる樹脂組成物に関する。更に詳しくは、ポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン系樹脂のブレンドからなる樹脂組成物の特徴である成形加工性、耐衝撃性、耐熱性等を保持したまま、耐薬品性および耐溶剤性を著しく改善したポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン系樹脂のブレンドからなる樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン系樹脂のブレンドからなる樹脂組成物は耐衝撃性、耐熱性、塗装性などに優れており、電気、電子、自動車などの分野に広く用いられている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン系樹脂のブレンドからなる樹脂組成物から得られた成形品に塗装を施した際、塗装に使用されるシンナー等の薬品や溶剤により割れ等の不具合が発生する場合があり、かかる不具合が発生しないように耐薬品および耐溶剤性に優れたポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン系樹脂のブレンドからなる樹脂組成物が要望されている。
耐薬品性を改良する方法としては、耐薬品性に優れる結晶性樹脂であるポリアミドをブレンドする方法(特許文献1)が提案されているが、結晶性樹脂をブレンドすると成形収縮率が大きくなり従来の樹脂組成物で使用していた金型が使用出来なくなる事や樹脂組成物への相溶性が不十分な事から機械的強度が低下する事から好ましくない。
特公平6−313091号公報
本発明は、ポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン系樹脂をブレンドしてからなる樹脂組成物が本来有する耐衝撃性、耐熱性を保持したまま、耐薬品および耐溶剤性を著しく改善したポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン系樹脂をブレンドしてからなる樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる課題に鑑み鋭意研究を行った結果、ポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン系樹脂をブレンドしてからなる樹脂組成物に特定のアルキルケテンダイマーを配合することにより驚くべきことに耐薬品性および耐溶剤性が著しく改良できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)95〜40重量%およびゴム強化スチレン系樹脂(B)5〜60重量%からなる樹脂成分100重量部および下記一般式1に示すアルキルケテンダイマー(C)0.01〜20重量部からなることを特徴とする樹脂組成物を提供するものである。
一般式1:
Figure 2013112737
(一般式1において、Rは、同一でも異なっても良いが、炭素数6〜33のアルキル基をあらわす。)
本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン系樹脂をブレンドしてからなる樹脂組成物が本来有する耐衝撃性、耐熱性を保持したまま、耐薬品および耐溶剤性を著しく改善したものであり、かかる樹脂組成物から得られた成形品にシンナー等の各種薬品や溶剤が付着しても割れ等の不具合の発生が抑えられる。
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
これらは単独または2種類以上混合して使用されるが、これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−〔4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル〕−プロパンなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、特に制限はないが、成形加工性、強度の面より通常10000〜100000、より好ましくは14000〜30000、さらに好ましくは16000〜26000の範囲である。また、かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調整剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
本発明にて使用されるゴム強化スチレン系樹脂(B)とは、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)ハイインパクト・ポリスチレン樹脂(HIPS)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)などが挙げられる。好ましいゴム強化スチレン系樹脂(B)の例としては、ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体成分がグラフト共重合したグラフト共重合体を含むものが挙げられ、さらに好ましくは塊状重合によって作られるABS樹脂が挙げられる。
ゴム強化スチレン系樹脂(B)の配合量は、5〜60重量%(ポリカーボネート樹脂(A)との合計量を基準として)である。ゴム強化スチレン系樹脂(B)の配合量が5重量%未満では成形加工性が劣り、60重量%を越えると耐熱性が低下し好ましくない。好ましい配合量は10〜50重量%、更に好ましくは30〜50重量%である。
本発明にて使用されるアルキルケテンダイマー(C)は下記一般式にて示される化合物である。
一般式1:
Figure 2013112737
一般式1において、Rは、同一でも異なっても良いが、炭素数6〜33のアルキル基、好ましくは炭素数10〜21のアルキル基である。
アルキルケテンダイマー(C)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)95〜40重量%およびゴム強化スチレン系樹脂(B)5〜60重量%からなる樹脂成分100重量部あたり0.01〜20重量部である。0.01重量部未満では耐薬品性および耐溶剤性に劣り、20重量部を越えると造粒加工が困難になり樹脂組成物のペレットを得ることができなくなることから好ましくない。好ましい配合量は、0.01〜10重量部、更に好ましくは0.03〜5重量部である。
本発明の各種配合成分(A)、(B)、(C)の配合方法には特に制限はなく、任意の混合機、例えばタンブラー、リボンブレンダー、高速ミキサー等によりこれらを混合し、通常の単軸または二軸押出機等で溶融混練することができる。また、これら配合成分の配合順序や一括混合、分割混合を採用することについても特に制限はない。
また、混合時、必要に応じて他の公知の添加剤、例えば離型剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、染顔料、展着剤(エポキシ大豆油、流動パラフィン等)や強化材(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、マイカ等)等、又、他の樹脂を配合することができる。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。なお、部や%は特に断りのない限り重量基準に基づく。
使用した配合成分は、以下のとおりである。
ポリカーボネート樹脂:
ビスフェノールAとホスゲンから合成されたポリカーボネート樹脂
(住化スタイロンポリカーボネート社製 カリバー200−20
粘度平均分子量:19000、以下、PCと略記)
ゴム強化スチレン系樹脂:
塊状重合法ABS樹脂
(日本エイアンドエル社製 サンタックAT05、ゴム量:20%、
以下ABSと略記)
酸化防止剤(AO):
6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]
−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−ジベンゾ[d,f][1,3,2]
ジオキサホスフェピン
(住友化学社製スミライザーGP、以下、AOと略記)
アルキルケテンダイマー:
永恒化工社製 AKD1840(以下、AKDと略記)
前述の各種配合成分を表1および2に示す配合比率にて一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機(神戸製鋼所製KTX37)を用いて、溶融温度240℃にて混練し、各種樹脂組成物のペレットを得た。
(成形品の耐薬剤性の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ100℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度250℃、射出圧力1600kg/cmにて試験片(127x13x3.2mm)を作成した。
得られた試験片を片持ち梁の耐薬剤試験治具(図1参照)を用いて0.3%の歪みをかけて、試験片の中央部に下記薬剤をそれぞれ塗布した。
評価用薬剤
大橋化学工業社製 No5700シンナー
(以下、シンナーと略記)
上記の薬剤塗布後の試験片を23℃の雰囲気下で72時間放置後、試験片を手にて折り曲げて、試験片が割れない(○)/割れる(×)について評価した。割れない(○)を合格とした。
Figure 2013112737
(成形品の荷重たわみ温度の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ100℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度250℃、射出圧力1600kg/cmにてISO試験法に準じた試験片を作成し、得られた試験片を用いてISO 75−2に準じ荷重たわみ温度を測定し、荷重たわみ温度が95℃以上を合格とした。
(成形加工性の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ100℃で4時間乾燥した後に、
射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度250℃、射出圧力1600kg/cmにてアルキメデススパイラルフロー金型(幅10mm、厚み1.0mm)を用い流動長を測定した。スパイラル流動長が110mm以上を合格とした。
Figure 2013112737
Figure 2013112737
ポリカーボネート樹脂組成物が本発明の構成要件を満足する場合(実施例1〜5)にあっては、耐薬剤性、耐熱性および成形加工性のそれぞれに亘って良好な結果を示した。
一方、ポリカーボネート樹脂組成物およびポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン系樹脂をブレンドしてからなる樹脂組成物が本発明の構成要件を満足しない場合においては、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
比較例1は、ABS樹脂が配合されていない場合であり、成形加工性に劣っていた。
比較例2は、アルキルケテンダイマーが本発明の定める範囲よりも少ない場合であり、耐薬剤性に劣っていた。
比較例3は、アルキルケテンダイマーが本発明の定める範囲より多い事から、造粒困難によりペレットが作成出来なかった。
比較例4は、ABS樹脂が本発明の定める範囲よりも多い場合であり、耐熱性に劣っていた。
片持ち梁の耐薬剤試験評価用治具の説明図である。
1 耐薬剤試験評価用治具本体
2 試験片
3 試験片の固定用ネジ
4 試験片に歪を与えるネジ

Claims (3)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)95〜40重量%およびゴム強化スチレン系樹脂(B)5〜60重量%からなる樹脂成分100重量部および下記一般式1に示すアルキルケテンダイマー(C)0.01〜20重量部からなることを特徴とする樹脂組成物。
    一般式1:
    Figure 2013112737
    (一般式1において、Rは、同一でも異なっても良いが、炭素数6〜33のアルキル基をあらわす。)
  2. ゴム強化スチレン系樹脂(B)が、ABS樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. アルキルケテンダイマー(C)の配合量が、ポリカーボネート樹脂(A)95〜40重量%およびゴム強化スチレン系樹脂(B)5〜60重量%からなる樹脂成分100重量部あたり0.03〜5重量部であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
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