JP2013110327A - 太陽電池用シリコン基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アズスライスシリコン基板を用いて表面にピラミッド状の凹凸構造を有する太陽電池用シリコン基板の製造方法であって、非アルコール系のエッチング抑制剤を含有するアルカリ性のエッチング液でシリコン基板を処理してその表面にピラミッド状の凹凸構造を形成するテクスチャー工程と、当該テクスチャー工程の前段に設けられ、シリコン基板を洗浄液で処理してスライス工程由来の付着物を除去する工程とを包含し、スライス工程由来の付着物を除去する工程において、上記の洗浄液が水媒体中で過酸化水素とアルカリの組合せ又は過酸化水素と炭酸塩との反応物を使用する起泡性洗浄液である太陽電池用シリコン基板の製造方法。
【選択図】なし
Description
Si+4OH−+4H+ → Si(OH)4 + 2H2 反応式(1)
スライス工程由来の付着物は、加工中に生じたシリコン基板の微細なクラック内部にクーラント成分(砥粒を含まない加工液)などが浸透したものである。また、スライス加工時にシリコン基板に付着した研削粉やクーラント成分等を洗浄するために用いる界面活性剤等の洗浄剤の残存物も含まれる。シリコン基板表面に、これらのスライス工程由来の付着物が残存したままでテクスチャー工程で凹凸形状のエッチング処理を実施してしまうと、得られるシリコン基板の表面に「色むら、白曇り、斑点、ギラツキ」等の目視外観評価における不具合が生じる。これらの外観不良は、最終製品の太陽電池用セル、モジュール化してもそのまま残るため、大きな問題となる。
2H2O2 → 2H2O + O2↑ 反応式(2)
エッチング工程はマクロエッチング工程とテクスチャーエッチング工程とが例示されているが、前述の従来技術と同様に、本発明においてもマクロエッチング工程は任意の工程である。
エッチング抑制剤は前述の非アルコール系のエッチング抑制であり、シリコン基板のピラミッド状の凹凸構造の中に残存している。本工程では、シリコン基板を洗浄液で処理してシリコン基板の表面に残存するエッチング抑制剤を除去する。本工程で使用する洗浄液は、水媒体中で過酸化水素とアルカリの組合せ又は過酸化水素と炭酸塩との反応物を使用する起泡性洗浄液である。その詳細および好ましい態様は、前述のスライス工程由来の付着物を除去する工程における場合と同じである。洗浄液温は、通常10〜70℃、好ましくは20〜40℃であり、洗浄時間(浸漬時間)は通常1〜30分である。
スライス工程由来のコンタミ金属は次のようにして生じる。すなわち、太陽電池用基板のスライスには通常マルチワイヤーソーが用いられるが、その方式としては、炭化ケイ素砥粒スラリーを切削部位に供給しながら加工を行なう遊離砥粒方式、表面に予めダイヤモンド砥粒を固定化したワイヤーをクーラントと共に用いる固定砥粒方式が一般的である。そして、遊離砥粒用ワイヤーにおいては、珪素鋼線の表面に銅、亜鉛から成る真鍮めっき、固定砥粒ワイヤーにおいては、ダイヤモンド砥粒を表面に固定化させるために、更にニッケルめっきが施されている。
本工程で使用する水は、エッチング液の調整溶媒に使用する水と同様に不純物を除去した水が好ましく、通常はイオン交換水または蒸留水が好適に用いられる。これらの詳細は、前述の通りである。水洗工程における洗浄水の温度は、通常20〜40℃であり、洗浄時間(浸漬時間)は、通常1〜30分である。湯洗工程における洗浄水の温度は、通常60〜80℃であり、洗浄時間(浸漬時間)は、通常1〜30分である。湯洗工程を行うことにより、より一層の清浄化が図られる。
前記の各工程は、複数枚のアズスライスシリコン基板を収容したキャリアを各工程の処理槽に浸漬することによって行われる。キャリアの移動動作にはロボット機構を利用することも可能である。
本工程においては、ドーパントの熱拡散が阻害されにいように、基板に付着した水分を乾燥して除去する。乾燥方法は、自然乾燥、加熱乾燥、送風乾燥、真空乾燥、スピンドライ等の公知の乾燥手段を適宜に組み合せた方法が採用される。装置コスト及び乾燥効率の観点から、加熱送風乾燥が好ましい。
<アズスライスシリコン基板>
アズスライスシリコン基板として、単結晶シリコンインゴットを切断加工して作製した、厚さ約180μm、156×156mmサイズの単結晶シリコン基板(表面結晶面:(100)面)を用いた。但し、参考例1〜19、21、比較参考例1〜3、後述の実施例1、3〜13については50×50mmサイズを使用した。
(参考例2〜8、11、後述の実施例3〜5及び比較例7)
ステンレス容器中に所定量のイオン交換水を秤取り、これに水酸化ナトリウム濃度が25重量%になるように攪拌下で発熱に注意しながら、所定量の水酸化ナトリウム(フレーク状)を徐々に添加、溶解して調液した。これを80℃に加温してマクロエッチング液として使用した。但し、参考例8については水酸化ナトリウム濃度が48重量%、比較例7については水酸化ナトリウム濃度が3.5重量%となるように調液した。
各諸例で使用したエッチング液は、室温で水に溶解した水酸化アルカリに表1及び表2に示す化合物を添加して、完全に溶解するまで攪拌し、表1及び表2に示すそれぞれのエッチング温度まで加熱することで調液した。珪酸塩化合物は、シリコン基板を水酸化アルカリに浸漬して副生する珪酸塩化合物がSi換算濃度で所定濃度になるまでエッチングを繰り返し実施することにより調液した。
以下の方法によりエッチング後のシリコン基板の評価を行った。結果を表3及び表4に示す。
目視により、以下の基準に沿って評価した。
◎:基板全面が一様にエッチングされて、基板全面としてエッチング均一性が高い。
○:基板全面が一様にエッチングされている。
△:わずかな斑点又はムラが存在するが、基板全面としてエッチング均一性は高い。
×:斑点又は、ムラが確認される。
テクスチャー平均サイズとは、単位面積あたりのピラミッド個数から算術的に得たピラミッドの平均辺長を意味する。具体的には次の方法で算出する。すなわち、先ず、テクスチャー処理済み基板の任意の90×120μmの領域を拡大観察し、当該領域に存在するピラミッドの頂点個数を計数する。次に、前述の計数領域の面積をピラミッド頂点個数で除し、その平方から得られるピラミッドの平均辺長をテクスチャー平均サイズとする。計算式以下に示す。
テクスチャー平均サイズ=√A/N
A(μm2):測定領域(90×120μm)の面積
N(個) :測定領域(90×120μm)内のピラミッドの頂点個数
紫外・可視・近赤外分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−3150)を使用し、測定波長600nmにおける表面反射率測定した。
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM−6510)を使用して行った。
<過酸化水素−アルカリ洗浄液の調製>
炭酸ナトリウムと過酸化水素の濃度35重量%の過酸化水素水を使用し、室温下でイオン交換水に対して上記の各成分を添加し、炭酸ナトリウム濃度が2.7重量%、過酸化水素水濃度が3.0重量%となるように調節した。そして、均一に混合しながら40℃に加温して洗浄液として使用した。
濃度が55重量%のふっ化水素酸と塩化水素の濃度が35重量%の濃塩酸を使用し、室温下でイオン交換水に対して上記の各成分を添加し、ふっ化水素酸濃度が5.0重量%、塩化水素濃度が5.0重量%となるように調節した。そして、均一に混合しながら30℃に加温して洗浄液として使用した。
各工程間の水洗工程および湯洗工程は、イオン交換水を使用して行い、水洗工程の温度は25℃、時間は3分、湯洗工程の温度は80℃、時間は3分とした。
表7−1〜表7−3に記載の条件で同表に示す工程を行った。シリコン基板の評価結果を表8に示す。
目視での外観評価、電子顕微鏡観察、抑制剤の残存測定、ならびに表面反射率測定を行った。なお、抑制剤の残存測定には飛行時間二次イオン質量分析計(ION−TOF社製、TOF−SIMS IV)を使用した。その他の項目の測定方法は、参考例と同じである。
Claims (20)
- アズスライスシリコン基板を用いて表面にピラミッド状の凹凸構造を有する太陽電池用シリコン基板の製造方法であって、非アルコール系のエッチング抑制剤を含有するアルカリ性のエッチング液でシリコン基板を処理してその表面にピラミッド状の凹凸構造を形成するテクスチャー工程と、当該テクスチャー工程の前段に設けられ、シリコン基板を洗浄液で処理してスライス工程由来の付着物を除去する工程とを包含し、スライス工程由来の付着物を除去する工程において、上記の洗浄液が水媒体中で過酸化水素とアルカリの組合せ又は過酸化水素と炭酸塩との反応物を使用する起泡性洗浄液であることを特徴とする太陽電池用シリコン基板の製造方法。
- アズスライスシリコン基板を用いて表面にピラミッド状の凹凸構造を有する太陽電池用シリコン基板の製造方法であって、非アルコール系のエッチング抑制剤を含有するアルカリ性のエッチング液でシリコン基板を処理してその表面にピラミッド状の凹凸構造を形成するテクスチャー工程と、当該テクスチャー工程の後段に設けられ、シリコン基板を洗浄液で処理してシリコン基板の表面に残存するエッチング抑制剤を除去する工程とを包含し、エッチング抑制剤除去工程において、上記の洗浄液が水媒体中で過酸化水素とアルカリの組合せ又は過酸化水素と炭酸塩との反応物を使用する起泡性洗浄液であること特徴とする太陽電池用シリコン基板の製造方法。
- アズスライスシリコン基板を用いて表面にピラミッド状の凹凸構造を有する太陽電池用シリコン基板の製造方法であって、非アルコール系のエッチング抑制剤を含有するアルカリ性のエッチング液でシリコン基板を処理してその表面にピラミッド状の凹凸構造を形成するテクスチャー工程と、当該テクスチャー工程の前段に設けられ、シリコン基板を洗浄液で処理してスライス工程由来の付着物を除去する工程と、上記テクスチャー工程の後段に設けられ、シリコン基板を洗浄液で処理してシリコン基板の表面に残存するエッチング抑制剤を除去する工程とを包含し、上記のスライス工程由来の付着物を除去する工程と上記のエッチング抑制剤除去工程における洗浄液が水媒体中で過酸化水素とアルカリの組合せ又は過酸化水素と炭酸塩との反応物を使用する起泡性洗浄液であることを特徴とする太陽電池用シリコン基板の製造方法。
- 過酸化水素水とアルカリの組合せから成る起泡性洗浄液において、アルカリが炭酸塩である請求項1〜3の何れかに記載の製造方法。
- 炭酸塩が炭酸ナトリウムである請求項4に記載の製造方法。
- 過酸化水素とアルカリの組合せから成る起泡性洗浄液において、水媒体中の過酸化水素の濃度が0.1〜35重量%であり、アルカリの濃度が0.1〜20重量%である請求項1〜5の何れかに記載の製造方法。
- エッチング抑制剤として、アルキルカルボン酸又はその塩、置換又は非置換のベンゼンカルボン酸又はその塩、置換又は非置換のベンゼンスルホン酸又はその塩、置換又は非置換のベンゼンスルホン酸エステル又はその塩、アルキルスルホン酸又はその塩、アルキルスルホン酸エステル又はその塩、置換又は非置換のベンゼンスルホン酸エステル又はその塩、R-O(CH2-CH2-O)n-Hで表されるポリエチレンオキサイド(Rは分岐していてもよい炭素数8〜20のアルキル基、nは3〜20の整数を表す)の群から選択される1種又は2種以上を使用する1〜6の何れかに記載の製造方法。
- エッチング抑制剤として、以下の一般式(1)で表される化合物(A)又は一般式(2)で表される化合物(B)を使用する1〜6の何れかに記載の製造方法。
- 一般式(1)で表される化合物化合物(A)のRが炭素数5〜12のアルキル基である請求項8に記載の製造方法。
- 一般式(2)で表される化合物(B)が少なくとも4位に置換基を有する化合物である請求項8に記載の製造方法。
- エッチング抑制剤の濃度が0.0001〜30重量%である請求項1〜10に記載の製造方法。
- エッチング液のアルカリ成分が水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムである請求項1〜11の何れかに記載の製造方法。
- アルカリの濃度が0.1〜50重量%である請求項1〜12の何れかに記載の製造方法。
- エッチング液が珪酸塩化合物を含有する請求項1〜13の何れかに記載の製造方法。
- 珪酸塩化合物がナトリウム又はカリウムの珪酸塩である請求項14に記載の製造方法。
- 珪酸塩化合物の濃度がSi換算濃度として10重量%以下である請求項14又は15に記載の製造方法。
- 前記テクスチャー工程の後段に設けられ、シリコン基板を洗浄液で処理してスライス工程由来のコンタミ金属を除去工程とを包含し、スライス工程由来のコンタミ金属を除去する工程において、上記の洗浄液が水媒体中で弗化水素と鉱酸の組合せを使用する洗浄液である請求項1〜16の何れかに記載の製造方法。
- 弗化水素と鉱酸の組合せから成る洗浄液において、鉱酸が塩酸である請求項1〜17の何れかに記載の製造方法。
- 弗化水素と鉱酸の組合せから成る洗浄液において、水媒体中の弗化水素酸の濃度が0.01〜20重量%であり、鉱酸の濃度が0.1〜90重量%である請求項18又は19に記載の製造方法。
- ピラミッド状の凹凸の平均サイズが2.0〜4.0μmである1〜19の何れかに記載の製造方法。
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