本願発明の中空ゴルフクラブは、従来技術を大幅に発展させる。ゴルフクラブの好ましい実施形態は、この大幅な発展を、独特かつ今までなかった方法で構成される、従来は実現されなかったが、好ましく所望される機能を示す、新しい今までなかった方法によって達成する。図面を参照して記載される以下の説明は、ゴルフクラブの現時点で好ましい実施形態の説明であり、本願発明のゴルフクラブを作製したり活用したりする、全ての形態を表すものではない。以下の説明では、ゴルフクラブを実施する際の設計、機能、手段および方法を、実施形態に関連して示す。しかし、同様な、または同等な機能および特徴を、特許請求するゴルフクラブヘッドの思想および態様に含まれることが意図される他の異なる実施形態によって達成することも可能である。
本願発明のゴルフクラブに関する理解を完全なものとするべく、本明細書で用いる一般用語をいくつか定義する。最初に、当業者であれば、本明細書でCGと呼ぶこともある、固体力学の基礎レベルのコースで学ぶ、「重心」の意味を理解するであろう。密度が均一であるとは限らない木製ゴルフクラブ、ハイブリッドゴルフクラブ、中空アイアンタイプのゴルフクラブにおいてCGとは、クラブヘッドの全てのバランス点の交点とみなされることが多い。つまり、フェースでヘッドのバランスをとり、それからソールでヘッドのバランスをとると、それらバランス点を直線的に通る2つの想像線の交点が、CGと呼ばれる点となる。
CGの位置を特定し説明する際に用いる座標系を定める。座標系を定めるにあたって、最初に、基面(GP)およびシャフト軸(SA)を特定する。最初に、ゴルフクラブヘッドのフェースを見ている状態の、ゴルフクラブヘッドの正面図である図1に示すようにゴルフクラブヘッドが置かれる水平面が、基面(GP)である。次に、シャフトを受容する、ゴルフクラブヘッドのボアの中心軸が、シャフト軸(SA)である。ゴルフクラブヘッドによっては、シャフトを受容するボアを収容する外側のホーゼルを有しており、当業者であれば、容易にシャフト軸(SA)を理解することができるであろう。他の「ホーゼルのない」ゴルフクラブは、シャフトを受容する内部ボアを有し、この場合でもこの内部ボアが、シャフト軸(SA)を定める。シャフト軸(SA)は、ゴルフクラブヘッドの設計によって決まる。シャフト軸(SA)を図1に示す。
シャフト軸(SA)と基面(GP)との交点が、原点となる。原点は図1の座標系において「原点」と示されている。当技術分野では一般的に知られているが、シャフトが取り付けられるボアに近い側の、図1に示すクラブヘッドの右側は、ゴルフクラブヘッドの「ヒール」側と呼ばれており、その反対側である図1の左側は、ゴルフクラブヘッドの「トウ」側と呼ばれている。さらに、ゴルフクラブヘッドの、ゴルフボールを実際に打つ部位は、ゴルフクラブヘッドのフェースと呼ばれ、一般的にゴルフクラブヘッドのフロントと呼ばれる。一方、ゴルフクラブヘッドのその反対側は、ゴルフクラブヘッドのリアおよび/または後端縁と呼ばれている。
3次元の座標系を原点に基づいて定める。Y方向は、原点から鉛直方向である。X方向は、Y方向に対して垂直な、水平方向であり、設計姿勢としても知られる自然な静止姿勢にあるゴルフクラブヘッドのフェースに対して平行である。Z方向はX方向に対して垂直であり、ゴルフクラブヘッドのリアに向かう方向である。X、Y、Z方向を図1の座標系に符号で示す。なお、この座標系は、従来から用いられているX方向が右側に向かう座標系とは反対であるが、このことによって重心が全方向に正の座標を有することになるので好ましい。
原点と座標系とを定めたので、CGの位置を定義する用語を説明する。当業者であれば、図2に示すような、木製ゴルフクラブヘッドなどの中空ゴルフクラブヘッドのCGが、ゴルフクラブヘッドのフェースの後方にあることを理解するであろう。図2に示すように、原点から後方へCGまでの距離をZcgと呼ぶ。同様に、図3に示すように、原点から上方へCGまでの距離をYcgと呼ぶ。最後に、図3に示すように、原点からCGまでの水平方向の距離をXcgと呼ぶ。よって、Xcg、YcgおよびZcgを用いることによって、CGの位置を容易に特定できる。
ゴルフクラブヘッドの慣性モーメントは、クラブの性能を決める主要な要素である。繰り返すが、当業者であれば、ゴルフクラブヘッドに関して慣性モーメントとは何かを理解するだろうが、本明細書で用いる慣性モーメントの2種類の成分を定義しておく。最初に、図4においてMOIxと示す慣性モーメントは、X軸に対して平行かつCGを通る軸の周りの、ゴルフクラブヘッドの慣性モーメントである。MOIxは、フェースの上側または下側でボールを打つことによって起こる、ロフティングまたはデロフティングモーメントに抵抗する、ゴルフクラブヘッドの慣性モーメントである。次に、図5においてMOIyと示す慣性モーメントは、Y軸に対して平行かつCGを通る軸の周りの、ゴルフクラブヘッドの慣性モーメントである。MOIyは、フェースのトウ側またはヒール側でボールを打つことによって引き起こされるオープニングモーメントに、またはクロージングモーメントに抵抗する、ゴルフクラブヘッドの慣性モーメントである。
ゴルフクラブヘッドの主な寸法の定義についてさらに説明すると、FB寸法と呼ぶ「フロント−バック」寸法は、図6に示すように、ゴルフクラブヘッドの前端縁の最前部から、ゴルフクラブヘッドのリア、すなわち後端縁の最後部までの距離である。HT寸法と呼ぶ「ヒール−トウ」の寸法は、図7に示すように、トウ側の、X方向の正の方向に原点から最も離れたクラブヘッドのフェースの表面上の点から、ヒール側の、X方向の負の方向に原点から最も離れた、基面から0.875インチ上にあるゴルフクラブヘッドのフェースの表面上の点までの距離である。
ゴルフクラブのフェース上の重要な位置は、工学的インパクトポイント(EIP)である。工学的インパクトポイント(EIP)は、本願発明のゴルフクラブヘッドの他の重要な属性のいくつかを定義するのに用いられるので、重要である。工学的インパクトポイント(EIP)とは一般的に、ゴルフボールを打つのに理想的とされるフェース上の点と見なされる。一般的に、ゴルフクラブヘッド上のスコアラインにより、ゴルフクラブの工学的インパクトポイント(EIP)を容易に特定することが出来る。図9に示す実施形態において、工学的インパクトポイント(EIP)を特定するべく実行する最初のステップは、トップスコアライン(TSL)とボトムスコアライン(BSL)とを特定することである。次に、トップスコアライン(TSL)の中間点からボトムスコアライン(BSL)の中間点まで、想像線(IL)を引く。この想像線(IL)は、鉛直方向に延びるものでないことが多い。なぜなら、スコアラインは、クラブが自然姿勢にあるとき、トウ側に行くにつれて高くなるよう角度を付けて設計されることが多いからである。次に、図10に示すように、トップスコアライン(TSL)とボトムスコアライン(BSL)とが、基面(GP)に対して平行になるよう、すなわち想像線(IL)が鉛直方向を向くよう、クラブを回転させる。この姿勢で、基面(GP)からの高さである、下端縁高さ(LEH)および上端縁高さ(TEH)をそれぞれ測る。次に、下端縁高さ(LEH)から上端縁高さ(TEH)を減算し、フェース高さを特定する。フェース高さを2で割り、下端縁高さ(LEH)を加算し、工学的インパクトポイント(EIP)の高さを計算する。図10の姿勢にあるクラブヘッドを引き続き参照すると、想像線(IL)上かつ、基面(GP)から、上述の通り求めた高さ分だけ高い位置に印が付けられている。この印が、工学的インパクトポイント(EIP)を示す。
代替的なスコアラインの構成を有するクラブヘッドに関しても、工学的インパクトポイント(EIP)を容易に特定することが可能である。例えば、図11のゴルフクラブヘッドは、中央に寄せられたトップスコアラインを有さない。このような場合、互いの長さの差が5%以内である2つの最も外側のスコアラインをトップスコアライン(TSL)およびボトムスコアライン(BSL)として用いる。このフェース上での工学的インパクトポイント(EIP)の位置を特定するプロセスは、上述した通りに実施する。さらに、ゴルフクラブヘッドによっては、図12に示すクラブヘッドのフェースの上部に見られるように、非連続的なスコアラインを有するものもある。この場合、2つのトップスコアラインの断絶部分を繋ぐ線を引き、連続的なトップスコアライン(TSL)を引く。この新たに引かれた連続的なトップスコアライン(TSL)を二等分し、想像線(IL)の位置決めに用いる。ここでも、このフェース上で工学的インパクトポイント(EIP)の位置を特定するプロセスは、上述した通りに実施する。
スコアラインのパターンが非対称なゴルフクラブヘッド、またはスコアラインを全く有さないゴルフクラブヘッドなどの稀に見られるケースであっても、工学的インパクトポイント(EIP)を容易に特定することが出来る。そのような実施形態においては、工学的インパクトポイント(EIP)は、USGAが発行する「Procedure for Measuring the Flexibility of a Golf Clubhead」第2.0版2005年3月25日に基づいて特定する。同手順は、参照により本明細書に組み込まれる。このUSGAによる手順は、検査対象のゴルフクラブのフェース上のインパクト位置を特定するプロセスを説明している。同文献内では、インパクト位置のことをフェースセンターと呼んでいる。このUSGAによる手順は、ゴルフクラブのフェース上に置かれるテンプレートを用いて、フェースセンターを特定する。スコアラインのパターンが非対称である、または全くスコアラインがないといった限られたケースにおいては、このUSGAがフェースセンターと呼ぶ位置が、本明細書を通じて工学的インパクトポイント(EIP)と呼ばれる位置となる。
フェース上の工学的インパクトポイント(EIP)は、本願発明のゴルフクラブヘッドの他の属性を定める重要な基準となる。一般的に、工学的インパクトポイント(EIP)は、EIPと示され、フェース上に×印で示されている。工学的インパクトポイント(EIP)の正確な位置は、図22〜24に示すように、寸法Xeip、YeipおよびZeipで特定される。X座標Xeipは、Xcgと同じように測定され、Y座標Yeipは、Ycgと同じように測定され、Z座標Zeipは、Zcgと同じように測定される。Zeipは、原点の手前にあるか原点の奥にあるかに関わらず、常に正の値である。
工学的インパクトポイント(EIP)を用いる重要な寸法は、図8および14に示す、センターフェースプログレッション(CFP)である。センターフェースプログレッション(CFP)は、1次元の測定値であり、シャフト軸(SA)から工学的インパクトポイント(EIP)へのZ方向に向かう距離として定める。工学的インパクトポイント(EIP)を用いるもう一つの寸法を、クラブモーメントアーム(CMA)と呼ぶ。図8に示すように、CMAは、クラブヘッドのCGからフェース上の工学的インパクトポイント(EIP)までの2次元的な距離である。よって、図1の座標系に基づいて説明すると、クラブモーメントアーム(CMA)は、Z方向の成分とY方向の成分を含むが、CGと工学的インパクトポイント(EIP)との間の、X方向での差は無視している。よって、クラブモーメントアーム(CMA)は、工学的インパクトポイント(EIP)を通り、X方向に延びる、インパクト鉛直方向面に関して考えることが出来る。最初に、インパクト鉛直方向面に当たるまでCGをX方向に水平に動かす。それから、クラブモーメントアーム(CMA)は、インパクト鉛直方向面にCGを投影した位置から、工学的インパクトポイント(EIP)までの距離となる。クラブモーメントアーム(CMA)は、インパクト時の、ゴルフボールの発射角とスピンとに大きな影響を与える。
ゴルフクラブの設計に関する他の重要な寸法は、図13および14に示す、クラブヘッドのブレード長さ(BL)である。ブレード長さ(BL)は、原点から、トウ側の、X方向に原点から最も離れたクラブヘッドの表面上の点までの距離である。ブレード長さ(BL)は2つの部位からなっている。それらは、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)およびトウ側ブレード長さ部位(Bbl)である。これらの2つの部位が区別される点は、工学的インパクトポイント(EIP)であり、より適切には、図13に示すように、ゴルフクラブヘッドが設計姿勢とも呼ばれる自然な静止姿勢にあるときに、工学的インパクトポイント(EIP)を通って延びる、フェース中心線(FC)とも呼ばれる鉛直方向の線である。
さらに、ゴルフクラブの設計において必須である他の点との関連でCGの位置を理解するのに役立つ寸法が他にもいくつかある。最初に、CGアングル(CGA)は、図14に示すように、CGと原点とを繋ぐ線と、シャフト軸(SA)の延長線との間の1次元的な角度である。CGアングル(CGA)は、X−Z面内のみにおいて測定され、よって、CGと原点との間の高さの差は考慮されない。よって、図14の上面図を参照すると最もわかりやすい。
最後に、本願発明のゴルフクラブの設計を数値化する際に重要な寸法は、図17に示すトランスファー距離(TD)と呼ばれる、2次元のみを考慮したものである。トランスファー距離(TD)は、CGから、原点から延びる鉛直方向の線までの水平方向の距離である。よって、トランスファー距離(TD)は、CGの高さ、つまりYcgを無視する。よって、単純幾何学のピタゴラスの定理を用いると、トランスファー距離(TD)は、第1の底辺としてXcgを有し、第2の底辺としてZcgを有する直角三角形の斜辺である。
トランスファー距離(TD)は、本願発明のゴルフクラブにとって重要となるもう1つの慣性モーメント値を定めるのに用いられるので重要である。このもう1つの慣性モーメント値は、原点を通る鉛直方向の軸の周りのフェースクロージング慣性モーメント(MOIfcと呼ぶ)である。この慣性モーメントは、MOIyを水平方向に動かしたもの(Y方向への変化はない)である。MOIfcは、クラブヘッドの質量に対してトランスファー距離(TD)の2乗を乗じ、MOIyを加算したものである。よって、MOIfcは以下のとおりとなる。
フェースクロージングモーメント(MOIfc)は、ゴルフボールとのインパクト位置であるスクエアポジションへとクラブのフェースを戻すべくスウィングをする際にゴルファーが感じる抵抗を表すので、重要である。言い換えると、ゴルフスウィングによって、ゴルフクラブヘッドがゴルフボールとのインパクト位置である元の位置に戻されるにしたがって、インパクト時にボールを飛ばす方向に対してフェースが直角であるよう、フェースが閉じられ始める。
本願発明の中空ゴルフクラブは、従来技術の中空タイプのゴルフクラブと異なり、応力低減構造を有している。図21に示すように、中空ゴルフクラブは、シャフト(200)、グリップ(300)およびゴルフクラブヘッド(100)を備える。シャフト(200)は、シャフト近位端(210)およびシャフト遠位端(220)を有する。グリップ(300)は、シャフト近位端(210)に取り付けられる。ゴルフクラブヘッド(100)は、シャフト遠位端(220)に取り付けられる。中空ゴルフクラブの全体的な長さ、つまりクラブ長さは、USGAのガイドラインによれば36インチ以上であり、45インチ以下である。
ゴルフクラブヘッド(400)はそれ自体が中空構造である。その中空構造は、フェース(500)、ソール(700)、クラウン(600)およびスカート(800)を含む。フェース(500)は、ゴルフクラブヘッド(400)のゴルフボールに対するインパクト位置である、ゴルフクラブヘッド(400)のフロント部(402)に位置する。ソール(700)は、ゴルフクラブヘッド(400)の底部に位置する。クラウン(600)は、ゴルフクラブヘッド(400)の頂部に位置する。スカート(800)は、ソール(700)とクラウン(600)との間の、ゴルフクラブヘッド(400)の外縁の一部に亘って位置する。フェース(500)、ソール(700)、クラウン(600)およびスカート(800)によって、アウターシェルが定められ、またそのアウターシェルによって、ゴルフクラブヘッド(400)の、300cm3未満である、ヘッド体積が定められる。さらに、ゴルフクラブヘッド(400)は、フェース(500)の反対側に、リア部(404)を有する。当業者に理解されるように、リア部(404)は、ゴルフクラブヘッド(400)の後端縁を含む。フェース(500)は、12°以上かつ30°以下のロフト角(L)を有し、フェース(500)は、上記の通り定義した工学的インパクトポイント(EIP)を含む。当業者に理解されるように、スカート(800)は、ゴルフクラブヘッド(400)の特定のエリアにおいて大きくてもよく、他の特定のエリアにおいては実質的に存在しなくてもよい。実質的に存在しない部分というのは、特に、単にクラウン(600)によって覆われ、そのままソール(700)へと繋がることも多い、ゴルフクラブヘッド(400)のリア部(404)などである。
ゴルフクラブヘッド(100)は、センターを有するボアを含む。センターは、シャフト軸(SA)を定め、シャフト軸(SA)は、上述したように、水平方向の基面(GP)と交差することにより原点を定める。ボアは、ゴルフクラブヘッド(400)のヒール側(406)に位置し、シャフト遠位端(220)をゴルフクラブヘッド(400)に取り付けるべく受容する。また、ゴルフクラブヘッド(100)は、ヒール側(406)の反対側に位置するトウ側(408)を有する。本願発明のゴルフクラブヘッド(400)の質量であるクラブヘッド質量は、270g未満である。従来技術のロフト、クラブヘッド体積およびクラブ長さを考慮すると、本願発明のゴルフクラブは、フェアウェーウッド、ハイブリッドクラブまた中空アイアンのような中空ゴルフクラブとして意図されている。
ゴルフクラブヘッド(400)は、応力低減構造(1000)を含んでよい。応力低減構造(1000)は、図22に示すように、クラウン(600)に位置するクラウン側SRF(1100)、および/または、図23に示すようにソール(700)に位置するソール側SRF(1300)を含む。図22および25に示すように、クラウン側SRF(1100)は、CSRFの最もトウ寄りのポイント(1112)とCSRFの最もヒール寄りのポイント(1116)との間のCSRF長さ(1110)、CSRF前端縁(1120)、CSRF後端縁(1130)、CSRF幅(1140)およびCSRF深さ(1150)を有する。同様に、図23および25に示すように、ソール側SRF(1300)は、SSRFの最もトウ寄りのポイント(1312)とSSRFの最もヒール寄りのポイント(1316)との間のSSRF長さ(1310)、SSRF前端縁(1320)、SSRF後端縁(1330)、SSRF幅(1340)およびSSRF深さ(1350)を有する。
図24を参照すると、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の両方が含まれる実施形態においてSRF接続面(1500)は、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の一部を通る。SRF接続面(1500)の位置を特定するべく、クラブヘッド(400)を、シャフト軸(SA)を含む鉛直方向面に対して垂直に、フロント−リア方向に切り取った、鉛直方向断面を得る。その断面を図24に示す。その後、クラウン側SRF(1100)のクラウン側SRF中間点を、クラウン(600)の自然な曲がり具合に沿ったクラウンの想像線上の位置において特定する。クラウンの想像線は、図24において、CSRF前端縁(1120)とCSRF後端縁(1130)とをつなぐ破線、または隠れ線によって示し、クラウン側SRF中間点は×印で示す。同様に、ソール側SRF(1300)のソール側SRF中間点を、ソール(700)の自然な曲がり具合に沿ったソールの想像線上の位置において特定する。ソールの想像線は、図24において、SSRF前端縁(1320)とSSRF後端縁(1330)とをつなぐ破線、または隠れ線によって示し、ソール側SRF中間点は、×印で示す。最後に、図24に示すように、SRF接続面(1500)は、クラウン側SRF中間点およびソール側SRF中間点を両方通るヒール−トウ方向に延在する面である。図24に示すSRF接続面(1500)は、鉛直方向に延在しているが、SRF接続面(1500)の方向は、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の位置に応じて変わり、図26に示すようにその上部がフェース側に傾いていたり、図27に示すように上部がフェースから離れるように傾いていたりしてよい。
図26および27では、SRF接続面(1500)は、鉛直方向から接続面角度(1510)分だけ傾けて方向づけられている。接続面角度(1510)は、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の位置を定めるのに用いられる。特定の一実施形態において、図26に示すように、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)は互いに鉛直方向真上または真下に位置しておらず、接続面角度(1510)は0より大きい角度であり、クラブヘッド(400)のロフト角(L)の90%未満の角度である。ソール側SRF(1300)は、同様に、クラウン側SRF(1100)よりも前方に、つまりフェース(500)側に位置していてもよく、この場合でも、本実施形態の条件を満たし得る。その条件とはつまり、接続面角度(1510)が0より大きい角度であり、クラブヘッド(400)のロフト角(L)の90%未満の角度であるということである。
代替的な実施形態において、図27に示すように、SRF接続面(1500)は、鉛直方向から接続面角度(1510)分だけ傾けて方向づけられており、接続面角度(1510)は、クラブヘッド(400)のロフト角(L)よりも10%以上大きい角度である。クラウン側SRF(1100)は、同様に、ソール側SRF(1300)の前方、つまりフェース(500)側に位置していてもよく、この場合でも、本実施形態の条件を満たし得る。その条件とはつまり、接続面角度(1510)がクラブヘッド(400)のロフト角(L)よりも10%以上大きな角度であるということである。さらに他の一実施形態において、SRF接続面(1500)は、鉛直方向から接続面角度(1510)分だけ傾けて方向づけられており、接続面角度(1510)は、クラブヘッド(400)のロフト角(L)よりも50%以上大きく、かつ100%未満大きい角度である。これらの3つの実施形態は、クラウン側SRF(1100)とソール側SRF(1300)との独特な関係を示しており、これらの実施形態においては、クラウン側SRF(1100)とソール側SRF(1300)とが互いに鉛直方向に整列しておらず、クラウン側SRF(1100)とソール側SRF(1300)とは、オフセットされて、接続面角度(1510)がクラブヘッド(400)のロフト角(L)と等しくなくともよい。
図30および31を参照すると、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)のいずれか一方または両方が、図22に24−24と示すCG断面に位置しない場合、CGを通るフロント−リア鉛直方向面(フロント−リア鉛直方向CG通過面)に最も近く位置するクラウン側SRF(1100)が選択される。例えば、図30に示すように、右側のクラウン側SRF(1100)が、左側のクラウン側SRF(1100)よりもフロント−リア鉛直方向CG通過面に近い。言い換えると、右側のクラウン側SRF(1100)の方が、距離「A」が短い。次に、フェース中心線(FC)を、破線「B」で示すようにCSRF前端縁(1120)およびCSRF後端縁(1130)の両方を通る位置まで動かす。その後、線「B」の中間点を特定し、「C」と示す。最後に、線「B」に対して垂直な想像線「D」を引く。
図31に示すように、ソール側SRF(1300)についても同様なプロセスを繰り返す。フロント−リア鉛直方向CG通過面に最も近いクラウン側SRF(1100)とソール側SRF(1300)との両方が、ゴルフクラブヘッド(400)のヒール側(406)にあるというのは単なる偶然に過ぎない。たとえフロント−リア鉛直方向CG通過面に最も近いクラウン側SRF(1100)とソール側SRF(1300)とが互いにゴルフクラブヘッド(400)の反対側にあった場合であっても、同様なプロセスが適用される。ここで、続けて図31を参照し、プロセスでは最初に、右側のソール側SRF(1300)が、左側のソール側SRF(1300)よりもフロント−リア鉛直方向CG通過面に近いことを特定する。言い換えると、ヒール側のソール側SRF(1300)の方が、距離「E」が小さい。次に、フェース中心線(FC)を、破線「F」で示すように、SSRF前端縁(1320)およびSSRF後端縁(1330)の両方を通る位置まで動かす。その後、線「F」の中間点を特定し、「G」と示す。最後に、線「F」に対して垂直な想像線「H」を引く。想像線「D」および想像線「H」の両方を通る面が、SRF接続面(1500)である。
次に、図24に戻り、CG−面オフセット(1600)を、CGの位置に関わらず、重心(CG)からSRF接続面(1500)までの最短距離として定める。特定の一実施形態において、CG−面オフセット(1600)は、クラブモーメントアーム(CMA)より25%以上小さく、クラブモーメントアーム(CMA)は、1.3インチ未満である。本明細書で説明するクラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の位置、および関連するそれらの位置を特定する変数は、ゴルフボールとのインパクト時にフェース(500)にかかる応力を好ましく低減させ、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の一時的な屈曲および変形を、CG位置および/または原点との相対位置を一定にするよう調節し、かつ、フェース(500)、クラウン(600)およびソール(700)の耐久性を維持するよう、選択される。実験およびモデリングにより、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)が、フェース(500)の撓みを増加させ、ゴルフボールとのインパクト時にフェース(500)にかかるピーク応力を低減させることがわかった。この応力の低減により、実質的に厚さが薄いフェースを用いることが出来、減少した分の重量をクラブヘッド(400)の他の部分に用いることが出来る。さらに、フェース(500)の撓みが増加したことにより、特にクラブヘッド(400)が300cc以下の体積を有する場合に、クラブヘッド(400)の反発係数(COR)がさらに向上する。
実際に、さらに他の実施形態において、クラウン側SRF(1100)および/またはソール側SRF(1300)の位置をより詳細に特定し、これらの目的を達成する。例えば、他の一実施形態において、CG−面オフセット(1600)は、クラブモーメントアーム(CMA)の25%以上であり、クラブモーメントアーム(CMA)の75%未満である。さらに他の一実施形態において、CG−面オフセット(1600)は、クラブモーメントアーム(CMA)の40%以上であり、クラブモーメントアーム(CMA)の60%未満である。
代替的な他の実施形態において、単一のSRFが存在する実施形態を包含すべく、上述したようにCG−面オフセット(1600)の変数を用いずに、クラウン側SRF(1100)および/またはソール側SRF(1300)の位置を、フェース高さと呼ぶ、上端縁高さ(TEH)の最大値と下端縁高さ(LEH)の最小値との差と関連付ける。そこで、2つの新たな変数、つまりCSRF前端縁オフセット(1122)およびSSRF前端縁オフセット(1322)を図24に示す。CSRF前端縁オフセット(1122)は、CSRF前端縁(1120)に沿った任意の点から、Zcg方向にまっすぐ前方へ向かい、フェース(500)の上端縁(510)の点までの距離である。よって、CSRF前端縁オフセット(1122)は、CSRF前端縁(1120)の各点において変わり得、または、CSRF前端縁(1120)の曲がり具合が、フェース(500)の上端縁(510)の曲がり具合と一致する場合は、一定である。しかし、CSRF前端縁オフセット(1122)は常に、CSRF前端縁(1120)に沿った点のうち、真っ直ぐ前方のフェース上端縁(510)上の対応する点との距離が最も短い距離となる点において最小値となり、CSRF前端縁(1120)に沿った点のうち、真っ直ぐ前方のフェース上端縁(510)上の対応する点との距離が最も長くなる点において最大値となる。同様に、SSRF前端縁オフセット(1322)は、SSRF前端縁(1320)に沿った任意の点から、Zcg方向にまっすぐ前方へ向かい、フェース(500)の下端縁(520)の点までの距離である。よって、SSRF前端縁オフセット(1322)は、SSRF前端縁(1320)の各点において変わり得、または、SSRF前端縁(1320)の曲がり具合が、フェース(500)の下端縁(520)の曲がり具合と一致する場合は、一定である。しかし、SSRF前端縁オフセット(1322)は常に、SSRF前端縁(1320)に沿った点のうち、真っ直ぐ前方のフェース下端縁(520)上の対応する点との距離が最も短い距離となる点において最小値となり、SSRF前端縁(1320)に沿った点のうち、真っ直ぐ前方のフェース下端縁(520)上の対応する点との距離が最も長くなる点において最大値となる。一般的に、CSRF前端縁オフセット(1122)の最大値およびSSRF前端縁オフセット(1322)の最大値は、フェース高さの75%未満である。この適用において、また定義を簡単なものにするべく、フェース上端縁(510)は、バーチカルフェースロールが1インチ未満になるフェース(500)の頂部に沿った一連の点であり、同様にフェース下端縁(520)は、バーチカルフェースロールが1インチ未満になるフェース(500)の底部に沿った一連の点である。
この特定の一実施形態において、CSRF前端縁オフセット(1122)の最小値はフェース高さ未満であり、SSRF前端縁オフセット(1322)の最小値は、フェース高さの2%以上である。さらに他の実施形態において、CSRF前端縁オフセット(1122)の最大値もフェース高さ未満である。さらに他の実施形態において、CSRF前端縁オフセット(1122)の最小値は、フェース高さの10%以上であり、CSRF幅(1140)の最小値は、CSRF前端縁オフセット(1122)の最小値の50%以上である。さらに他の実施形態において、範囲をより狭めて定め、CSRF前端縁オフセット(1122)の最小値は、フェース高さの20%以上である。
同様に、多くの実施形態において、ソール側SRF(1300)に関する有利な関係を定める。例えば、一実施形態において、SSRF前端縁オフセット(1322)の最小値は、フェース高さの10%以上であり、SSRF幅(1340)の最小値は、SSRF前端縁オフセット(1322)の最小値の50%以上である。さらに、他の実施形態において、範囲をより狭めて定め、SSRF前端縁オフセット(1322)の最小値は、フェース高さの20%以上である。
さらにCSRF前端縁オフセット(1122)と、SSRF前端縁オフセット(1322)と、フェース高さの関係を定めると、一実施形態において、工学的インパクトポイント(EIP)が、以下の条件を満たすYeip座標、Xeip座標およびZeip座標を有する。YeipとYcgとの差が、0.5インチ未満、−0.5インチ超であり、XeipとXcgとの差が、0.5インチ未満、−0.5インチ超であり、ZeipとZcgとの合計が2.0インチ未満である。クラウン側SRF(1100)および/またはソール側SRF(1300)の前端縁の位置と併せて、これらの工学的インパクトポイント(EIP)の位置と、重心(CG)の位置との関係を用いることにより、インパクト時の安定性を向上させ、SRF(1100、1300)およびフェース(500)の望ましい撓みを可能にし、クラブヘッド(400)の耐久性を維持し、フェース(500)が受けるピーク応力を低減させることが出来る。
クラウン側SRF(1100)および/またはソール側SRF(1300)の位置は、本願発明の目的を達成するのに重要ではあるが、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の大きさも重要な役割を果たす。図42および図43に示す、フェアウェーウッドタイプのゴルフクラブおよびハイブリッドタイプのゴルフクラブを対象とした、ブレード長さが長い場合の特定の実施形態において、ゴルフクラブヘッド(400)のブレード長さ(BL)は3.0インチ以上であり、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)は、0.8インチ以上である。本実施形態において、以下のような場合に好ましい結果が得られる。CSRF長さ(1110)が、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)の長さ以上であり、CSRF深さ(1150)の最大値は、距離Ycgの10%以上である。これらにより、クラウン側SRF(1100)の圧縮および/または屈曲が十分なものとなり、インパクト時にフェース(500)が受ける応力を大幅に低減できる。同様に、いくつかのSSRFの実施形態において、以下のような場合に好ましい結果が得られる。SSRF長さ(1310)が、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)の長さ以上であり、SSRF深さ(1350)の最大値が、距離Ycgの10%以上である。これらにより、ソール側SRF(1300)の圧縮および/または屈曲が十分なものとなり、インパクト時にフェース(500)が受ける応力を大幅に低減できる。ここで、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の断面プロファイルの例としては、図24に示す箱型、図28に示す滑らかなU型、および図29に示すV型などの多くの形状が含まれ、またこれらに限定されない。さらに図40および41に示すように、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)は、SRF(1100、1300)の変形をさらに選択的に制御できるよう、補強エリアを含んでいてもよい。さらに、CSRF長さ(1110)およびSSRF長さ(1310)は、湾曲している場合、SRF(1100、1300)の曲がり具合に沿ってではなく、Xcgと同じ方向に測定する。
図25に示すように、クラウン側SRF(1100)は、CSRF壁部厚さ(1160)を有し、ソール側SRF(1300)は、SSRF壁部厚さ(1360)を有する。多くの実施形態において、CSRF壁部厚さ(1160)およびSSRF壁部厚さ(1360)は、0.010インチ以上かつ0.150インチ以下である。特定の一実施形態において、CSRF壁部厚さ(1160)およびSSRF壁部厚さ(1360)をフェース厚さ(530)の10%〜60%の範囲とすることにより、フェース(500)が受ける応力の所望される低減およびフェース(500)の所望される撓みを得つつ、求められる耐久性が得られる。さらに、この範囲の厚さを用いることにより、本願発明の効果を弱めることなく、また、重量配分をクラブヘッド(400)のSRF(1100、1300)の近傍において過度に増加させることなく、本願発明の目的の達成が促される。
さらに、CSRF深さ(1150)の最大値およびSSRF深さ(1350)の最大値といった用語を用いるのは、図32〜35に示すようにクラウン側SRF(1100)の深さと、ソール側SRF(1300)の深さとが、一定である必要がないからであり、実際に、変わり得る。さらに、図35のSRF(1100、1300)の右側と左側とに示すように、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の端壁は、はっきりと区別できるものである必要はなく、深さが最も深い部分からクラウン(600)またはソール(700)の自然な輪郭へと連続するものであってもよい。この連続部分は、滑らかなものである必要はなく、段階的なもの、複数の形状の集まり、または他の形状であってもよい。実際に、端壁が存在するかまたは不在であるかは、本願発明のゴルフクラブの形状の特定において、必須のものではない。しかし、CSRFの最もトウ寄りのポイント(1112)、CSRFの最もヒール寄りのポイント(1116)、SSRFの最もトウ寄りのポイント(1312)およびSSRFの最もヒール寄りのポイント(1316)の位置を特定するべく、基準を設定する必要がある。よって、区別のできる端壁によって特定できない場合、これらのポイントは、クラウン(600)またはソール(700)の自然な曲がり具合からのずれが、CSRF深さ(1150)の最大値またはSSRF深さ(1350)の最大値の10%以上の点から始まるものとする。多くの実施形態において、CSRF深さ(1150)の最大値およびSSRF深さ(1350)の最大値は、0.100インチ以上かつ0.500インチ以下であることが好ましい。
図36に示すように、CSRF前端縁(1120)は直線であってもよく、または、CSRF前端縁曲率半径(1124)を有してもよい。同様に、図37に示すようにSSRF前端縁(1320)は直線であってもよく、または、SSRF前端縁曲率半径(1324)を有してもよい。特定の一実施形態において、CSRF前端縁(1120)およびSSRF前端縁(1320)は湾曲しており、CSRF前端縁曲率半径(1124)とSSRF前端縁曲率半径(1324)との両方が、フェース(500)のバルジの曲がり具合の40%以内である。さらに他の実施形態において、CSRF前端縁曲率半径(1124)とSSRF前端縁曲率半径(1324)との両方が、フェース(500)のバルジの曲がり具合の20%以内である。これらの曲がり具合によって、フェース(500)の撓みの制御がさらにしやすくなる。
図32〜35に示すように、特定の一実施形態において、CSRF深さ(1150)は、フェース中心線(FC)よりトウ側(408)の点における深さ、およびフェース中心線(FC)よりヒール側(406)の点における深さよりも、フェース中心線(FC)において浅い。このことにより、USGAが許可する限界値より一般的にCORが低い、フェース(500)のヒール側(406)およびトウ側(408)で起こり得る撓みが増加する。他の実施形態において、図35に示すように、クラウン側SRF(1100)および/またはソール側SRF(1300)は、深さ減少領域、つまりCSRF深さ減少領域(1152)およびSSRF深さ減少領域(1352)を有する。各深さ減少領域は、特定のSRF深さ(1100、1300)の最大値より20%以上深さが浅くなっている、連続した領域である。CSRF深さ減少領域(1152)は、CSRF深さ減少領域長さ(1154)を有し、SSRF深さ減少領域(1352)は、SSRF深さ減少領域長さ(1354)を有する。特定の一実施形態において、各深さ減少領域長さ(1154、1354)は、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)の50%以上である。図35に示すように、他の実施形態において、CSRF深さ減少領域(1152)およびSSRF深さ減少領域(1352)のおよその中心位置は、フェース中心線(FC)である。さらに他の実施形態における設計では、CSRF深さ減少領域長さ(1154)は、CSRF長さ(1110)の30%以上であり、および/またはSSRF深さ減少領域長さ(1354)は、SSRF長さ(1310)の30%以上である。本願発明の目的の達成を促すことに加え、深さ減少領域(1152、1352)は、SRF(1100、1300)の寿命を向上させ、早期故障の発生確率を低下させることが出来、この場合でも、フェース(500)上の所望される位置でのCORを増加させることが出来る。
図25に示すようにクラウン側SRF(1100)は、CSRF断面積(1170)を有し、ソール側SRF(1300)はSSRF断面積(1370)を有する。断面積は、鉛直方向面においてクラブヘッド(400)のフロント部(402)からリア部(404)に亘る断面を用いて測定する。図28および29の断面プロファイル(1190、1390)がCSRF長さ(1110)およびSSRF長さ(1310)の範囲内の各点において変わり得るように、CSRF断面積(1170)および/またはSSRF断面積(1370)も長さ(1110、1310)の範囲内の各点において変わり得る。実際、特定の一実施形態においては、CSRF断面積(1170)は、フェース中心線(FC)よりトウ側(408)の点における断面積、およびフェース中心線(FC)よりヒール側(406)の点における断面積よりも、フェース中心線(FC)において小さい。同様に、他の実施形態において、SSRF断面積(1370)は、フェース中心線(FC)よりトウ側(408)の点における断面積、およびフェース中心線(FC)よりヒール側(406)の点における断面積よりも、フェース中心線(FC)において小さい。さらに他の実施形態において、CSRF断面積(1170)およびSSRF断面積(1370)に関する前述の2つの実施形態の両方の特徴を含む。特定の一実施形態において、CSRF断面積(1170)および/またはSSRF断面積(1370)は、0.005〜0.375平方インチの間である。さらに、クラウン側SRF(1100)は、CSRF体積を有し、ソール側SRF(1300)は、SSRF体積を有する。一実施形態において、CSRF体積とSSRF体積との合計は、クラブヘッドの体積の0.5%以上かつ10%未満である。この範囲の値を用いることにより、本願発明の効果を弱めることなく、また、重量配分をクラブヘッド(400)のSRF(1100、1300)の近傍において過度に増加させることなく、本願発明の目的の達成が促される。単一のSRFが含まれる変形例であるさらに他の実施形態において、CSRF体積またはSSRF体積のそれぞれは、好ましくは、クラブヘッドの体積の1%以上かつ5%未満である。これにより、本願発明の効果を弱めることなく、また、重量配分をクラブヘッド(400)のSRF(1100、1300)の近傍において過度に増加させることなく、本願発明の目的の達成が促される。上述した体積を採用することによって、SRF(1100、1300)が中空のチャネルであることに限定するわけではない。例えば、上述した体積を採用した場合であっても、SRF(1100、1300)がその後図51に示すように二次的な材料によって充填されてもよく、或いは、SRF(1100、1300)が覆われており、その内部をゴルファーが見えないような状態であってもよい。二次的な材料は、弾力性があり、アウターシェルの圧縮強度の半分未満の圧縮強度を有し、密度が、3g/cm3未満である。
ここで、図36および37に示す別の実施形態においては、距離Xcgと同じ方向への、原点からCSRFの最もヒール寄りのポイント(1116)までの距離を、CSRF原点オフセット(1118)と定める。ここで、CSRFの最もヒール寄りのポイント(1116)が、原点より、ゴルフクラブヘッド(400)のトウ側(408)に位置する場合、CSRF原点オフセット(1118)は正の値であり、CSRFの最もヒール寄りのポイント(1116)が、原点より、ゴルフクラブヘッド(400)のヒール側(406)に位置する場合は、CSRF原点オフセット(1118)は負の値である。同様に、距離Xcgと同じ方向への、原点からSSRFの最もヒール寄りのポイント(1316)までの距離を、SSRF原点オフセット(1318)と定める。ここで、SSRFの最もヒール寄りのポイント(1316)が、原点より、ゴルフクラブヘッド(400)のトウ側(408)に位置する場合、SSRF原点オフセット(1318)は正の値であり、SSRFの最もヒール寄りのポイント(1316)が、原点より、ゴルフクラブヘッド(400)のヒール側(406)に位置する場合は、SSRF原点オフセット(1318)は負の値である。
図37に示す特定の一実施形態において、SSRF原点オフセット(1318)は正の値であり、つまり、SSRFの最もヒール寄りのポイント(1316)は原点の手前にある。さらに、別の実施形態において、図36の実施形態が組み合わされる。CSRF原点オフセット(1118)が負の値であり、つまり、CSRFの最もヒール寄りのポイント(1116)が原点を超え、CSRF原点オフセット(1118)の絶対値は、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)の5%以上である。しかし、代替的な実施形態において、CSRFの最もヒール寄りのポイント(1116)は原点を超えないので、CSRF原点オフセット(1118)は正の値であり、その絶対値は、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)の5%以上である。これらの特定の実施形態において、CSRFの最もヒール寄りのポイント(1116)およびSSRFの最もヒール寄りのポイント(1316)を、それらと原点との距離がヒール側ブレード長さ部位(Abl)の5%未満とならないよう位置させることは、幅広いゴルフボールとのインパクト位置において、本願発明の多くの目的を達成するうえで望ましい。
図36および37に示すように、さらに他の実施形態において、CSRFの最もトウ寄りのポイント(1112)およびSSRFの最もトウ寄りのポイント(1312)の位置の範囲を、CSRFトウオフセット(1114)およびSSRFトウオフセット(1314)を定めることにより特定する。CSRFトウオフセット(1114)は、CSRFの最もトウ寄りのポイント(1112)から、ゴルフクラブヘッド(400)のトウ側(408)の距離Xcgと同じ方向に最も離れた点までの距離であり、同様に、SSRFトウオフセット(1314)は、SSRFの最もトウ寄りのポイント(1312)から、ゴルフクラブヘッド(400)のトウ側(408)の距離Xcgと同じ方向に最も離れた点までの距離である。好ましいフェース応力配分、並びにクラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の圧縮並びに屈曲を生み出す特定の一実施形態において、CSRFトウオフセット(1114)は、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)の50%以上であり、SSRFトウオフセット(1314)は、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)の50%以上である。さらに他の実施形態において、CSRFトウオフセット(1114)およびSSRFトウオフセット(1314)はそれぞれ、ゴルフボールの直径の50%以上であり、よって、CSRFトウオフセット(1114)およびSSRFトウオフセット(1314)はそれぞれ、0.84インチである。これらの実施形態は、クラブヘッド(400)全体の統合性にほとんど影響を与えないので、特にヒール側(406)およびトウ側(408)での所望される耐久性を確保し、この場合でも、センターを外してインパクトした時のフェースの撓みが向上される。
さらに他の実施形態において、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の大きさに注目する。そのような一実施形態において、CSRF幅(1140)の最大値は、距離Zcgの10%以上であり、SSRF幅(1340)の最大値は、距離Zcgの10%以上である。これらにより、インパクト時のクラブヘッド(400)の安定性が増す。さらに他の実施形態において、CSRF幅(1140)の最大値およびSSRF幅(1340)の最大値を増加させ、それぞれ距離Zcgの40%以上とする。これにより、インパクト時の撓みと、フェース(500)が受けるピーク応力の選択的な制御性が向上する。代替的な実施形態において、CSRF深さ(1150)の最大値およびSSRF深さ(1350)の最大値を、上述したように距離Zcgではなく、フェース高さに関連付ける。例えば、さらに他の実施形態おいて、CSRF深さ(1150)の最大値は、フェース高さの5%以上であり、SSRF深さ(1350)の最大値は、フェース高さの5%以上である。さらに他の実施形態において、CSRF深さ(1150)の最大値は、フェース高さの20%以上であり、SSRF深さ(1350)の最大値は、フェース高さの20%以上である。この場合でも、インパクト時の撓みと、フェース(500)が受けるピーク応力の選択的な制御性が向上する。多くの実施形態において、CSRF幅(1140)の最大値およびSSRF幅(1340)の最大値は、好ましくは0.0.050インチ以上であり、0.750インチ以下である。
他の実施形態は、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の、シャフト軸(SA)およびXcg方向によって定められる鉛直方向面に対する位置に注目する。そのような一実施形態において、クラウン側SRF(1100)および/またはソール側SRF(1300)がシャフト軸面の後方に位置するとき、安定性の向上とフェース応力の低減が認められた。他の実施形態において、さらに、この関係について定める。そのような一実施形態においては、CSRF前端縁(1120)は、シャフト軸面の後方に、距離Zcgの20%以上の距離を置いて位置する。さらに他の実施形態は、ソール側SRF(1300)の位置に注目し、SSRF前端縁(1320)は、シャフト軸面の後方に、距離Zcgの10%以上の距離を置いて位置する。クラウン側SRF(1100)に注目するさらに他の実施形態において、CSRF前端縁(1120)は、シャフト軸面の後方に、距離Zcgの75%以上の距離を置いて位置する。ソール側SRF(1300)を対象とした類似の実施形態において、SSRF前端縁(1320)は、シャフト軸面の後方に、距離Zcgの75%以上の距離を置いて位置する。同様に、シャフト軸面の後方のCSRF前端縁(1120)およびSSRF前端縁(1320)の位置は、上述したように距離Zcgではなく、フェース高さに関連付けられてもよい。例えば、一実施形態において、CSRF前端縁(1120)は、シャフト軸面の後方に、フェース高さの10%以上の距離を置いて位置する。他の実施形態は、ソール側SRF(1300)の位置に注目し、SSRF前端縁(1320)は、シャフト軸面の後方に、距離Zcgの5%以上の距離を置いて位置する。クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の両方に注目する、さらに他の実施形態において、CSRF前端縁(1120)は、シャフト軸面の後方に、フェース高さの50%以上の距離を置いて位置し、SSRF前端縁(1320)は、シャフト軸面の後方に、フェース高さの50%以上の距離を置いて位置する。
クラブヘッド(400)が含むのは、単一のクラウン側SRF(1100)および/または単一のソール側SRF(1300)に限らない。実際に、図30、31および39に示すように、多くの実施形態において、複数のクラウン側SRF(1100)および/または複数のソール側SRF(1300)を含んでよく、これらの場合において、複数のSRF(1100、1300)は、互いにヒール−トウの方向に並べられて位置してよく、若しくは、互いにフロント−リア方向に並べられて位置してもよい。そこで、図31に示すように、特定の一実施形態において、上面図で見たときに工学的インパクトポイント(EIP)の両側に位置する2つ以上のクラウン側SRF(1100)を含んでおり、これにより、さらに選択的にCORを増加させることが出来、フェース(500)のピーク応力を向上させることができる。従来技術によると、フェース(500)のCORは、測定ポイントが工学的インパクトポイント(EIP)から離れるにつれて小さくなり、よって、ゴルファーがゴルフクラブヘッドのヒール側(406)か、またはトウ側(408)でゴルフボールを打つと、CORの高いゴルフクラブを用いた場合であっても、その恩恵を受けることが出来なかった。そこで、図30に示すように2つのクラウン側SRF(1100)を位置させることにより、ゴルフクラブヘッド(400)のヒール側(406)か、またはトウ側(408)で打った際のフェースの撓みをさらに向上することが出来る。図31に示す他の実施形態において、述べたばかりの原理を複数のソール側SRF(1300)に適用する。
クラブヘッド(400)とゴルフボールとのインパクトは、実験を行う、またはコンピュータによってモデリングを行うなど、多くの方法でシミュレーションが可能である。最初に、あらゆるゴルフクラブヘッドへの適用が容易であり、主観を省くことが出来るので、実験によるプロセスについて説明する。プロセスでは、フェース(500)に対して、工学的インパクトポイント(EIP)を中心とした直径0.6インチのエリアに力を加える。4000lbfの力は、クラブヘッド(400)とゴルフボールとの間の、およそ100mphでのインパクトに相当する。さらに重要なことには、この力はフェースへの適用と再現とが容易である。クラブヘッドの境界に関する条件として、力を加える際に、クラブヘッド(400)のリア部(404)を固定することにした。言い換えると、クラブヘッド(400)は、材料試験機の固定具に容易に固定することが出来、力を加えることが出来る。一般的に、リア部(404)は、ゴルフボールとの実際のインパクト時、ほとんど負荷を受けない。これは特に、「フロント−バック」寸法(FB)が大きいときに当てはまる。力を加えられた状態でのフェース(500)のピーク撓みは、容易に測定でき、実際のインパクト時に見られるピーク撓みと極めて近い。ピーク撓みは、CORと線形相関の関係にある。フェース(500)に適用された歪みゲージによって、実際の応力を測定する。この実験プロセスの実施は、数分で済み、どのような種類のクラブヘッド(400)にも様々な力を加えることが出来る。さらに、クラブフェース(500)の特定のエリアに、明確に区別可能な負荷を加えられるコンピュータによるモデリングを用いれば、実際の動的なインパクトよりもさらに短時間でのシミュレーションが可能になる。
応力低減構造(1000)を有さないクラブヘッド、ソール側SRF(1300)のみを有するクラブヘッド(400)、クラウン側SRF(1100)とソール側SRF(1300)との両方を有するクラブヘッド(400)に対して、1000lbf、2000lbf、3000lbfおよび4000lbfの負荷を与える実験より得られた、負荷に応じたフェースのずれのグラフを図44に示す。負荷は全て、工学的インパクトポイント(EIP)を中心とした直径0.6インチのエリアに加えられた。フェース厚さ(530)は、いずれの3つのクラブヘッドにおいても同じであり、0.090インチであった。本明細書で説明するようにクラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)を含んだ場合には、フェースの撓みが、4000lbfの負荷レベルで、0.027インチから0.030インチへと11%超増加した。特定の一実施形態において、撓みが増加することによって、クラブヘッドの特性時間(CT)が、187μ秒から248μ秒に長くなった。負荷に応じて、図44に関連して説明した3種類のクラブヘッドのフェースが受けるピーク応力のグラフを、図45に示す。図45に示すように、本明細書で説明するようにクラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)を有する場合には、4000lbfの負荷レベルで、フェースが受けるピーク応力を170.4ksiから128.1ksiへ、およそ25%低減させた。応力低減構造(1000)によって、クラブヘッド(400)の統合性を犠牲にすることなく、極めて薄いフェース(500)を用いることが出来るようになる。実際に、フェース厚さ(530)は、0.050〜0.120インチの範囲で変わり得る。
図44および45から得られる情報を組み合わせると、図46に示すように新たな割合を考えることが出来る。つまり、任意の負荷における、フェースのずれに対するフェース上のピーク応力の割合である、応力−撓みの割合である。一実施形態において、応力−撓みの割合は、撓み1インチあたり5000ksi未満であり、この場合、フェース(500)の工学的インパクトポイント(EIP)を中心とした直径0.6インチのエリアに、インパクト力と似た力を与え、そのインパクト力と似た力は、1000lbf以上かつ4000lbf以下であり、クラブヘッドの体積は300cc未満であり、フェース厚さ(530)は0.120インチ未満であった。さらに他の実施形態において、フェース厚さ(530)は、0.100インチ未満であり、応力−撓みの割合は撓み1インチあたり4500ksi未満であった。さらに他の実施形態において、応力−撓みの割合は、撓み1インチあたり4300ksi未満であった。
述べたばかりの特有な応力−撓みの割合に加え、本願発明の一実施形態において、さらに特性時間が220μ秒以上であり、ヘッドの体積が200cm3未満のフェース(500)を含む。さらに、他の実施形態において、特性時間が240μ秒以上であり、ヘッドの体積が170cm3未満であり、上端縁高さ(TEH)の最大値と下端縁高さ(LEH)の最小値との差であるフェース高さが1.50インチ未満であり、バーチカルロール半径が7〜13インチの間であるフェース(500)を含む。このロール半径により、このように長い特性時間、低いフェース高さおよび小さいゴルフクラブヘッド容量を得ることは、より難しくなる。
当業者であれば、しばしばCT値とも呼ばれるゴルフクラブヘッドの特性時間は、United States Golf Association(USGA)の定める用具に関するルールによって制約を受けることを理解するであろう。そのルールによれば、クラブヘッドの特性時間は、239μ秒以下でなくてはならず、試験における最大の公差は、18μ秒である。よって、ゴルフクラブは目標CT値が239μ秒となるように設計されるが、クラブヘッドによっては製造ばらつきによりCT値が239μ秒を超えることもあり、またそれよりも低いこともある。しかし、CT値が257μ秒を超えてはならず、超えた場合、USGAのルールに準拠していないことになる。USGAが発行する「Procedure for Measuring the Flexibility of a Golf Clubhead」第2.0版2005年3月25日は、特性時間を測定する手順を定める現行の基準である。
図47〜49を参照すると、クラウン側SRF(1100)の他の実施形態は、クラウン(600)から窪んでおり、アウターシェルを貫通するCSRF中空部(1200)を含む。図49に示すように、CSRF中空部(1200)は、上端縁高さ(TEH)から重心(CG)に向かって垂直方向に測定されるCSRF中空部深さ(1250)に位置している。なお、上端縁高さ(TEH)は、フェース(500)に沿った、ヒール側(406)からトウ側(408)の範囲内の各点で変化する。よって図49に示すように、CSRF中空部深さ(1250)を決定するべく、クラブヘッド(400)のフロント−リア方向の断面を切り取る。これにより、フェース(500)上の当該特定の位置で上端縁高さ(TEH)が定められ、この上端縁高さ(TEH)を用いて、CSRF中空部(1200)に沿った当該特定の位置におけるCSRF中空部深さ(1250)が決定される。例えば図47から分かるように、図49に示される断面は、重心(CG)の位置を通るように切り取られており、クラブヘッド(400)の原点から最もトウ寄りの点の間で切り取ることのできる無限の数の断面の単なる1つに過ぎない。図47において重心(CG)からわずかに横に示すのは、フェースセンター(FC)を表す線である。図49に示すような断面をフェースセンター(FC)に沿って切り取った場合、上端縁高さ(TEH)は、この点において一般的に最大となる。
CSRF中空部深さ(1250)の少なくとも一部は0よりも大きい。このことが意味するのは、図49に示すように、CSRF中空部(1200)に沿った任意の点において、CSRF中空部(1200)は、当該点の真っ直ぐ前方にあるフェース(400)の頂部の高さよりも低く位置する。特定の一実施形態において、CSRF中空部(1200)のCSRF中空部深さ(1250)の最大値は、距離Ycgの10%以上である。さらに他の実施形態において、CSRF中空部(1200)のCSRF中空部深さ(1250)の最大値は、距離Ycgの15%以上である。CSRF中空部深さ(1250)が0より大きい、或いはいくつかの実施形態において距離Ycgに対する一定の割合よりも大きい値であることにより、ゴルフボールとのインパクト時にフェース(500)にかかる応力を好ましく低減させ、クラウン側SRF(1100)の一時的な屈曲および変形を、CG位置、工学的インパクトポイント(EIP)、および/またはアウターシェルとの相対位置を一定にするよう調節し、かつ、フェース(500)、およびクラウン(600)の耐久性を維持する。
CSRF中空部(1200)は、CSRF中空部前端縁(1220)とCSRF後端縁(1230)とを隔て、ここでも図49においてフロント−リア方向に測定される、CSRF中空部幅(1240)を有する。一実施形態において、CSRF中空部(1200)のCSRF中空部幅(1240)の最大値は、CSRF中空部深さ(1250)の最大値の25%以上であり、これによりゴルフボールとのインパクトが繰り返されても好ましい撓みおよび変形を可能とし、かつ、耐久性および安定性を維持する。さらに他の変形例においては、これらの目的は、CSRF中空部幅(1240)の最大値をCSRF中空部深さ(1250)の最大値未満とすることにより達成される。さらに他の実施形態において、CSRF中空部(1200)のCSRF中空部幅(1240)の最大値は、フェース厚さ(530)の最小値の50%以上であり、或いは任意で、フェース厚さ(530)の最大値未満であってもよい。
これらの望ましい特性をさらに発展させると、CSRF中空部(1200)の、CSRF中空部の最もトウ寄りの点(1212)とCSRF中空部の最もヒール寄りの点(1216)との間のCSRF中空部長さ(1210)は、距離Xcgの50%以上である。さらに他の実施形態において、CSRF中空部長さ(1210)は、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)の長さ以上であり、または、他の実施形態においては、CSRF中空部長さ(1210)は、ブレード長さ(BL)の50%以上でもある。
図49を参照すると、CSRF中空部前端縁(1220)は、CSRF中空部前端縁オフセット(1222)を有する。一実施形態においては、CSRF中空部前端縁オフセット(1222)の最小値が、上端縁高さ(TEH)の最大値と下端縁高さ(LEH)の最小値との差の10%以上であるとき、好ましい撓みおよび変形が得られ、かつ耐久性が維持される。さらに他の実施形態における好ましい特性としては、CSRF中空部前端縁オフセット(1222)の最小値は、上端縁高さ(TEH)の最大値と下端縁高さ(LEH)の最小値との差の20%以上であり、かつ任意で、CSRF中空部前端縁オフセット(1222)の最大値は、上端縁高さ(TEH)の最大値と下端縁高さ(LEH)の最小値との差の75%未満である。
再び図47〜49を参照し、ここではソール側SRF(1300)に注目を移すと、ソール側SRF(1300)の実施形態は、ソール(700)から窪んでおり、アウターシェルを貫通するSSRF中空部(1400)を含む。図49に示すように、SSRF中空部(1400)は、下端縁高さ(LEH)から重心(CG)に向かって垂直方向に測定されるSSRF中空部深さ(1450)に位置している。なお、下端縁高さ(LEH)は、フェース(500)に沿った、ヒール側(406)からトウ側(408)の範囲内の各点で変化する。よって図49に示すように、SSRF中空部深さ(1450)を決定するべく、クラブヘッド(400)のフロント−リア方向の断面を切り取る。これにより、フェース(500)上の当該特定の位置で下端縁高さ(LEH)が定められ、この下端縁高さ(LEH)を用いて、SSRF中空部(1400)に沿った当該特定の位置におけるSSRF中空部深さ(1450)が決定される。例えば図47から分かるように、図49に示される断面は、重心(CG)の位置を通るように切り取られており、クラブヘッド(400)の原点から最もトウ寄りの点の間で切り取ることのできる無限の数の断面の単なる1つに過ぎない。図47において重心(CG)からわずかに横に示すのは、フェースセンター(FC)を表す線である。図49に示すような断面をフェースセンター(FC)に沿って切り取った場合、下端縁高さ(LEH)は、この点において一般的に最小となる。
SSRF中空部深さ(1450)の少なくとも一部は0よりも大きい。このことが意味するのは、図49に示すように、SSRF中空部(1400)に沿った任意の点において、SSRF中空部(1400)は、当該点の真っ直ぐ前方にあるフェース(400)の底部の高さよりも高く位置する。特定の一実施形態において、SSRF中空部(1400)のSSRF中空部深さ(1450)の最大値は、距離Ycgの10%以上である。さらに他の実施形態においては、SSRF中空部(1400)のSSRF中空部深さ(1450)の最大値は、距離Ycgの15%以上である。SSRF中空部深さ(1450)が0より大きい、或いはいくつかの実施形態において距離Ycgに対する一定の割合よりも大きい値であることにより、ゴルフボールとのインパクト時にフェース(500)にかかる応力を好ましく低減させ、ソール側SRF(1300)の一時的な屈曲および変形を、CG位置、工学的インパクトポイント(EIP)、および/またはアウターシェルとの相対位置を一定にするよう調節し、かつ、フェース(500)、およびソール(700)の耐久性を維持する。
SSRF中空部(1400)は、SSRF中空部前端縁(1420)とSSRF後端縁(1430)とを隔て、ここでも図49においてフロント−リア方向に測定される、SSRF中空部幅(1440)を有する。一実施形態において、SSRF中空部(1400)のSSRF中空部幅(1440)の最大値は、SSRF中空部深さ(1450)の最大値の25%以上であり、これによりゴルフボールとのインパクトが繰り返されても好ましい撓みおよび変形を可能とし、かつ、耐久性および安定性を維持する。さらに他の変形例においては、これらの目的は、SSRF中空部幅(1440)の最大値をSSRF中空部深さ(1450)の最大値未満とすることにより達成される。さらに他の実施形態において、SSRF中空部(1400)のSSRF中空部幅(1440)の最大値は、フェース厚さ(530)の最小値の50%以上であり、或いは任意で、フェース厚さ(530)の最大値未満であってもよい。
これらの望ましい特性をさらに発展させると、SSRF中空部(1400)の、SSRF中空部の最もトウ寄りの点(1412)とSSRF中空部の最もヒール寄りの点(1416)との間のSSRF中空部長さ(1410)は、距離Xcgの50%以上である。さらに他の実施形態において、SSRF中空部長さ(1410)は、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)の長さ以上であり、または、他の実施形態においては、SSRF中空部長さ(1410)は、ブレード長さ(BL)の50%以上でもある。
図49を参照すると、SSRF中空部前端縁(1420)は、SSRF中空部前端縁オフセット(1422)を有する。一実施形態においては、SSRF中空部前端縁オフセット(1422)の最小値が、上端縁高さ(TEH)の最大値と下端縁高さ(LEH)の最小値との差の10%以上であるとき、好ましい撓みおよび変形が得られ、かつ耐久性が維持される。さらに他の実施形態における好ましい特性としては、SSRF中空部前端縁オフセット(1422)の最小値は、上端縁高さ(TEH)の最大値と下端縁高さ(LEH)の最小値との差の20%以上であり、かつ任意で、SSRF中空部前端縁オフセット(1422)の最大値は、上端縁高さ(TEH)の最大値と下端縁高さ(LEH)の最小値との差の75%未満である。
上述したように、図51に示すようにSRF(1100、1300)は二次的な材料で充填されてもよく、あるいは、その内部をゴルファーが見ることが出来ないように覆われていてもよい。同様に、中空部(1200、1400)は、ユーザが見ることが出来ないように、かつ、クラブヘッドの内部へ異物および湿気が意図せず入り込むことがないように、覆われるか充填されていてもよい。言い換えると、中空部(1200、1400)が存在するからと言って、それらを通して、クラブヘッドの内部を見ることが出来るような状態でなくてもよいということである。中空部(1200、1400)は、それらの上に延在するバッジで覆われてもよく、図52に示すようにそのようなカバーの一部は、中空部(1200、1400)内へ延びていてもよい。カバーの一部が中空部(1200、1400)内へ延びている場合、その部分は圧縮性であり、アウターシェルの圧縮強度の50%未満の圧縮強度を有する。中空部(1200、1400)上で延在するバッジは、中空部(1200、1400)の一側面のみでアウターシェルに取り付けられるか、或いは、バッジが屈曲性を有するか、またはバッジのアウターシェルへの取り付けに屈曲可能な接続方法を用いた場合、中空部(1200、1400)の両側面でアウターシェルに取り付けられる。
CSRF中空部(1200)およびSSRF中空部(1400)の大きさ、位置、および構成は、ゴルフボールとのインパクト時にフェース(500)にかかる応力を好ましく低減させ、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の一時的な屈曲および変形を、CG位置および/または原点との相対位置を一定にするよう調節し、かつ、フェース(500)、クラウン(600)およびソール(700)の耐久性を維持するよう、選択される。図47〜49において中空部(1200、1400)は、一般的なものとしてSRF(1100、1300)の底壁に示されている。しかし中空部(1200、1400)は、SRF(1100、1300)の他の位置に設けられてもよい。例えば中空部(1200、1400)は、図50におけるCSRF中空部(1100)、および図53におけるCSRF中空部(1200)とSSRF中空部(1400)との両方のように前壁、並びに、図50におけるSSRF中空部(1400)のように後壁に設けられてもよい。
上述したように、ゴルフクラブヘッド(100)は、ブレード長さ(BL)を有しており、ブレード長さ(BL)は、原点から、ゴルフクラブヘッドのトウ側へ水平方向であり、フェースおよび基面(GP)に対して平行な方向に、ゴルフクラブヘッドの最も離れた点まで測定したものである。特定の一実施形態において、ゴルフクラブヘッド(100)は、ブレード長さ(BL)が3.1インチ以上であり、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)が1.1インチ以上であり、クラブモーメントアーム(CMA)が1.3インチ未満であり、このことにより、フェースが受ける応力を低減させる、向上した特性時間性質を有するブレード長さの長いゴルフクラブとなる。この場合でも、大きすぎるフェアウェーウッドにありがちな、クラブモーメントアーム(CMA)が大きいことによる悪影響を受けることはない。クラブモーメントアーム(CMA)は、センターを外して打った際のボールの飛びに大きな影響を及ぼす。重要なことは、クラブモーメントアーム(CMA)が小さい程、工学的インパクトポイント(EIP)で打った際のショットと、センターを外して打った際のショットとの間に見られる差も小さくなるということである。よって、本願発明のゴルフクラブのヒール近く、またはトウ近くで打ったゴルフボールの飛び方は、完璧なショットで打った場合のものと、より似たものになる。逆に、クラブモーメントアーム(CMA)が大きく、大きさが大きすぎるフェアウェーウッドのヒール近く、またはトウ近くで打ったゴルフボールの飛び方は、同じ、大きさが大きすぎるフェアウェーウッドの工学的インパクトポイント(EIP)で打ったボールの飛び方と、大幅に異なるであろう。一般的に、クラブモーメントアーム(CMA)の大きなゴルフクラブは、工学的インパクトポイント(EIP)で完璧に打った場合、ゴルフボールに対して、より早いスピン速度を与え、センターを外して打った場合には、生まれるスピン速度に大きな差が出る。よって、さらに他の実施形態においては、クラブモーメントアーム(CMA)が1.1インチ未満であり、これにより、発射角の変化に対するボールのスピン速度の変化が小さいなど、より効率的な発射条件を有するゴルフクラブとなり、ボールの飛距離がさらに伸びる。
クラブヘッドの性能を向上させるべくZcg値を増加させる従来の技術知識は、ゴルフクラブの性能およびボールの飛びにより大きな影響を及ぼすのは、クラブモーメントアーム(CMA)であるということを示していなかった。長いブレード長さ(BL)および長いヒール側ブレード長さ部位(Abl)と共に、クラブモーメントアーム(CMA)を制御し、クラブヘッドの、インパクト時の応力を分散させる性能を向上させ、特にセンターを外したインパクト時の、フェースのより大きな範囲に亘る特性時間を向上させることにより、従来技術よりも、完璧なインパクトとセンターを外したインパクトとの間での差異が少ない発射条件がもたらされる。他の実施形態において、図6および13に示すように、ブレード長さ(BL)に対するゴルフクラブヘッドのフロント−バック寸法(FB)の割合は、0.925未満である。本実施形態において、ブレード長さ(BL)に対するクラブヘッド(100)のフロント−バック寸法(FB)を限定することにより、クラブの性能が向上し、この場合でも、特性時間、ヒール側とトウ側のフェースの撓みおよび低減されたクラブモーメントアーム(CMA)などにおいて所望される高い向上を達成することが出来る。本願発明の小さくなったフロント−バック寸法(FB)およびそれに関連して小さくなったZcgによって、ゴルフクラブヘッドのダイナミックロフト角を大幅に低減させることが出来る。フェアウェーウッドのブレード長さ(BL)を長くし、かつ、フロント−バック寸法(FB)を低減させ、応力低減構造(1000)、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)の最小値およびクラブモーメントアーム(CMA)の最大値に関して上述した特徴を組み込むことにより、従来技術による原理を実施する当業者には予期し得ない、向上した性能を有するゴルフクラブヘッドを作製することが出来る。他の実施形態において、ゴルフクラブヘッドのフロント−バック寸法(FB)に対するヒール側ブレード長さ部位(Abl)の特有な割合が特定され、それは0.32以上である。さらに他の実施形態において、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)に対するクラブモーメントアーム(CMA)の割合を特定する。本実施形態において、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)に対するクラブモーメントアーム(CMA)の割合は、0.9未満である。さらに他の実施形態において、本願発明のフェアウェーウッドのゴルフクラブヘッドを、ブレード長さ(BL)に対するヒール側ブレード長さ部位(Abl)の特有な割合によって特徴づけ、その割合を0.33以上とする。他の実施形態において、トランスファー距離(TD)がクラブモーメントアーム(CMA)より10%以上長い場合に、発射条件に関するクラブヘッドの非常に有利な性能が得られる。さらに、フェアウェーウッドに関して特に有効なのは、トランスファー距離(TD)がクラブモーメントアーム(CMA)よりも10〜40%長いときである。この範囲の値が用いられることにより、フェースクロージングモーメント(MOIfc)が確実に高くなり、クラブヘッドをインパクトするべくスクエア位置へ動かす運動が自然に感じられ、小さいクラブモーメントアーム(CMA)およびCG位置に関する有利なインパクト特徴を活用できる。
図10を参照すると、一実施形態において、上端縁高さ(TEH)と距離Ycgとの関係を特定のものにすることによって、所望される性能と感覚とがさらに向上する。本実施形態において、上端縁高さ(TEH)に対する距離Ycgの好ましい割合は、0.40未満であり、この場合でも、ブレード長さが3.1インチ以上と長くなり、このブレード長さは1.1インチ以上のヒール側ブレード長さ部位(Abl)を含んでおり、クラブモーメントアーム(CMA)は1.1インチ未満であり、トランスファー距離(TD)は1.2インチ以上である。ここで、トランスファー距離(TD)は、クラブモーメントアーム(CMA)よりも10〜40%長い。この割合を満たすことにより、CGが確実に工学的インパクトポイント(EIP)より下方に位置し、またこの場合でも、クラブモーメントアーム(CMA)とトランスファー距離(TD)との関係は、応力低減構造(1000)、ブレード長さ(BL)およびヒール側ブレード長さ部位(Abl)の長いクラブヘッドの設計よって確実に達成される。上述したように、CG高さが低くなるにつれ、定義上、クラブモーメントアーム(CMA)は大きくなる。これによりまた、距離Ycgを短くしつつクラブモーメントアーム(CMA)を1.1インチ未満にすること、および長いブレード長さ(BL)と長いヒール側ブレード長さ部位(Abl)とを可能とすべく、トランスファー距離(TD)を長くすることに特に注目する必要が出てくる。さらに他の実施形態において、上端縁高さ(TEH)に対する距離Ycgの割合を0.375未満にすることにより、ボールの飛びの性能がより望ましいものになった。一般的に、フェアウェーウッドのゴルフクラブの上端縁高さ(TEH)は、1.1〜2.1インチの間である。
実際に、偶然にも距離Ycgが短いフェアウェーウッドタイプのゴルフクラブヘッドの多くは、短いブレード長さ(BL)、小さいヒール側ブレード長さ部位(Abl)および/または長いクラブモーメントアーム(CMA)によって悪影響を受けている。図3を参照すると、特定の一実施形態において、0.65インチ未満の距離Ycgによって向上した性能を達成し、またこの場合でも、ブレード長さが3.1インチ以上と長くなり、このブレード長さは1.1インチ以上のヒール側ブレード長さ部位(Abl)を含んでおり、クラブモーメントアーム(CMA)は1.1インチ未満であり、トランスファー距離(TD)は1.2インチ以上である。ここで、トランスファー距離(TD)は、クラブモーメントアーム(CMA)より10〜40%長い。上述したように、これらの関係は、多くの変数の間の繊細なバランスを有しており、所望される性能を得るべく、従来のクラブヘッドの設計原理とは異なるものも多い。さらに、他の実施形態において、距離Ycgを0.60インチ未満までさらに短くしつつ、この関係における繊細なバランスを維持している。
上述したように、従来は、MOIyが大きなフェアウェーウッドを追及し、大きすぎるフェアウェーウッドが作製され、CGの位置を、クラブのフェースから出来る限り遠ざけ、出来る限り低くしようとしてきた。図8を参照すると、この特定のよく行われてきた方法によって、大きなクラブモーメントアーム(CMA)が生み出されてきた。クラブモーメントアーム(CMA)は、本願発明が低減させようとするものである。さらに、当業者であれば、図2および6に示すように距離Zcgを一定に保ちつつ、図8のようにCGの位置を低くするだけでは、実際にはクラブモーメントアーム(CMA)が長くなることを理解するであろう。本願発明では、クラブモーメントアーム(CMA)を1.1インチ未満に保ち、上述した所望される性能上の利点を達成した。この場合でも、上端縁高さ(TEH)に関連して距離Ycgを短くし、このことによって、事実上、距離Zcgは短くなっており、CG位置は、従来の多くの設計目標とは逆に、フェースに近づいている。
これまで説明してきたように、多くの変数の間の関係は、ゴルフクラブの所望される性能および感覚を得るうえで、重要な役割を果たす。これらの重量な関係の1つは、クラブモーメントアーム(CMA)とトランスファー距離(TD)との間の距離である。特定の一実施形態において、クラブモーメントアーム(CMA)は、1.1未満であり、トランスファー距離(TD)は、1.2インチ以上である。しかし、さらに他の特定の一実施形態において、この関係がより一層洗練され、フェアウェーウッドゴルフクラブのトランスファー距離(TD)に対するクラブモーメントアーム(CMA)の割合が、0.75未満であり、特に望ましい性能を可能としている。一実施形態において、さらなる性能の向上が達成され、クラブモーメントアーム(CMA)は、1.0インチ未満であり、さらに好ましくは0.95インチ未満である。部分的に関連する一実施形態においては、質量分布が、距離Ycgに対する距離Xcgの割合を2以上とするものである。
他の実施形態においては、距離Ycgが0.65インチ未満となり、求められるクラブヘッドのシェルの重量が非常に軽くて済む。これにより、通常許容されるヘッド重量を超えることなく、また、必要な耐久性を維持しつつ、出来る限り任意で選択可能な質量をソール領域に加えることができる。このことは、特定の一実施形態において、チタン合金、非金属複合材または熱可塑性プラスチック材料などの密度が5g/cm3未満の材料からシェルを構成することによって達成出来、最終完成品のクラブヘッドの重量の3分の1超を、クラブヘッドのソールに位置する、任意で選択可能な質量とすることが出来る。そのような非金属複合材は、連続繊維プリプレグ材料(熱硬化性材料、または樹脂のかわりに熱可塑性プラスチック材料)などの複合材料を含んでよい。さらに他の実施形態において、任意で選択可能な質量は、タングステンなどの15g/cm3以上の密度を有する第2の材料で構成されている。さらに他の実施形態において、0.55インチ未満の距離Ycgは、チタン合金のシェルおよび80g以上のタングステンの任意で選択可能な質量を用いることによって得られる。この場合でも、上端縁高さ(TEH)に対する距離Ycgの割合を0.40未満とし、ブレード長さ(BL)を3.1インチ以上とし、このブレード長さ(BL)は1.1インチ以上のヒール側ブレード長さ部位(Abl)を含んでおり、クラブモーメントアーム(CMA)を1.1インチ未満とし、トランスファー距離(TD)を1.2インチ以上とする。
他の実施形態において、通常とは異なる、クラブヘッドに関する変数の間の関係をさらに定め、その関係によって、並外れた性能と感覚とを示すフェアウェーウッドタイプのゴルフクラブを作製することが出来る。本実施形態においては、距離Ycgの2倍以上のヒール側ブレード長さ部位(Abl)が、性能、感覚および美的感覚の観点から望ましい。さらに、距離Ycgの2.75倍を超えるヒール側ブレード長さ部位(Abl)では、性能、感覚、美的感覚の観点から望ましくなくなることから、好ましい範囲を特定することが出来る。よって、この一実施形態において、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)は、距離Ycgの2〜2.75倍の間である。
同様に、望ましい全体のブレード長さ(BL)が、距離Ycgに関連づけられる。さらに他の実施形態において、好ましい性能および感覚が、ブレード長さ(BL)が距離Ycgの6倍以上である時に得られる。そのような関係は、ゴルフクラブに関する従来技術では探究されてこなかった。その理由は、ブレード長さ(BL)が過度に長くなるからである。さらに、距離Ycgの7倍を超えるブレード長さ(BL)では性能と感覚の観点から望ましくなくなることから、好ましい範囲を特定することが出来る。よって、一実施形態において、ブレード長さ(BL)は、距離Ycgの6〜7倍である。
ブレード長さ(BL)と距離Ycgとの新しい関係、およびヒール側ブレード長さ部位(Abl)と距離Ycgとの新しい関係が特定されたように、特に性能の優れたゴルフクラブを作製することの出来る、トランスファー距離(TD)と距離Ycgとの関係が、他の実施形態において特定される。一実施形態において、トランスファー距離(TD)が距離Ycgの2.25倍以上である時に、好ましい性能と感覚とが達成される。さらに、トランスファー距離(TD)が距離Ycgの2.75倍を超えると性能と感覚とが低下することから、好ましい範囲を特定することが出来る。よって、さらに他の実施形態において、好ましい性能および感覚を得るには、トランスファー距離(TD)は、距離Ycgの2.25〜2.75倍という比較的狭い範囲内にあるべきである。
本願発明の実施形態において定められる全ての割合は、クラブヘッドに関する主要な工学的変数の間の特有な関係の発見であり、ゴルフクラブヘッドの設計に関する従来の技術知識のように、単にMOIyを大きくしよう、またはCGの位置を低くしようとする試みとは相反する。本明細書に開示した好ましい実施形態について多くの変更例、修正例および変形例が当業者には明らかとなり、それらの変更例、修正例および変形例も本願発明の思想および態様に含まれるものと見なされる。さらに、特定の実施形態を詳細に説明したが、当業者であれば、上述した実施形態および変形例を修正し、様々な種類の代用品、もしくは、追加的または代替的な材料、要素間の相対的な配置、および寸法に関する構成などを組み込むことが出来ることを理解するであろう。したがって、本願発明の変形例のいくつかのみを本明細書で説明したが、そのような追加的な修正例、変形例およびそれらの同等物の実施が、以下の特許請求項の範囲に定める本願発明の思想および態様に含まれることが理解されるであろう。