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JP2013162557A - 電動回転機 - Google Patents

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JP2013162557A
JP2013162557A JP2012020225A JP2012020225A JP2013162557A JP 2013162557 A JP2013162557 A JP 2013162557A JP 2012020225 A JP2012020225 A JP 2012020225A JP 2012020225 A JP2012020225 A JP 2012020225A JP 2013162557 A JP2013162557 A JP 2013162557A
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Masahiro Aoyama
真大 青山
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Suzuki Motor Corp
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Abstract

【課題】永久磁石の減磁を効果的に抑制して、耐久性に優れて高品質な回転駆動をすることのできる電動回転機を提供すること。
【解決手段】固定子11は、回転子12に対面する複数本のティース15と、コイルをティースに巻き掛ける空間の複数のスロット18とを有し、回転子には、ティースに磁気力を働かせる一対の永久磁石16がV字に埋め込まれている電動回転機であって、固定子側の6つのスロットに対応する回転子側の一対の永久磁石側を1磁極としたときに、永久磁石で発生する減磁領域A1に向かうコイルへの通電により発生する磁束の磁路途中に、磁気抵抗を大きくする磁気抵抗増大領域として、その1磁極中心のd軸から正逆方向の両側均等位置の56°(電気角)を最深部21aとする調整溝21がそのティースの対面幅になるように形成されている。
【選択図】図6

Description

本発明は、電動回転機に関し、詳しくは、耐久性の高い高品質な回転駆動を実現したものに関する。
各種装置に搭載する電動回転機には、搭載装置に応じた特性が要求されることになり、例えば、駆動源として内燃機関と共にハイブリッド自動車(Hybrid Electric Vehicle)に搭載されたり、単独の駆動源として電気自動車(Electric Vehicle)に搭載される、駆動用モータの場合には、低回転域で大トルクを発生するのと同時に、広い可変速特性を備えることが要求される。
このような特性を有する電動回転機としては、マグネットトルクと共に、リラクタンストルクを効果的に利用可能な構造を採用するのが有効であり、外周面側に向かって開くV字型になるように、磁力の強い永久磁石を回転子内に埋め込む、IPM(Interior Permanent Magnet)構造を採用することが提案されている(例えば、特許文献1)。
特に、ハイブリッド自動車や電気自動車には、搭載空間の制約と共に、近年のエネルギ効率(燃費)の向上の要求に伴って、軽量化と同時に小型化による高エネルギ密度出力が可能な電動回転機が求められていることから、残留磁束密度の高いネオジム磁石(Neodymium magnet)が埋め込み永久磁石として多用されている。
このネオジム磁石は、Nd−Fe−Bを主組成とする希土類(レアアース)磁石であり、高価であるとともに、保磁力が低く高温になると不可逆減磁をしてしまい耐熱性に問題がある。この問題を解消するために、ジスプロシウム(Dy)やテルビウム(Tb)を添加することにより保磁力を向上させることが検討されているが、これら添加材も極めて局所に偏在する稀少で高価な希土類であることから、コストが増加してしまうという課題がある。
このような課題を解決するために各種提案がなされており、例えば、材料的な観点から、ジスプロシウムやテルビウムに追加する添加剤と共に製造方法の検討をすることにより、高価なジスプロシウムやテルビウムの使用量を抑えつつ残留磁束密度の減少(不可逆減磁)を抑制するとともに、保磁力を増加させる高性能な結晶体磁石が提案されている(特許文献2)。
この材料的な改善以外にも構造的な観点からの改善の要望もあり、構造的な第1の改善としては、例えば、永久磁石を回転子の外周面側と内部側との2領域に区分けして、減磁され易い領域を含む回転子の外周面側を保磁力の高い高価な材料からなる領域にするとともに、内部側は通常の領域にすることにより、高価な材料の使用量を少なくしてコストの大幅な増加を防止することが提案されている(特許文献3)。しかしながら、減磁は、永久磁石における回転子の外周面側の両端側角部に生じる程度であり、保磁力を増加させる領域を永久磁石の片面全面側に設定する必要はなく、必要以上の保磁力の増強を図ることに起因して十分なコスト削減を達成することができない。
また、他の構造的な第2の改善としては、永久磁石の両端側に固定部材として配置されている樹脂内に磁性材料からなる短絡磁路を形成することにより、反磁界を形成して減磁抑制を図ることが提案されている(特許文献4)。しかしながら、樹脂内の短絡磁路は、幅が狭く容易に磁気飽和してしまうことから、ある程度の磁束密度で透磁率が低下してしまい短絡磁路として機能しなくなってしまう。この機能を確保するために、短絡磁路の幅を広くすると、漏れ磁束が増加してトルクに寄与する有効磁束量が減少してしまうとともに、回転子内に組み込んで永久磁石に着磁させる際に、着磁磁束の短絡路として機能してしまい、局所的に着磁率の低い領域が発生して減磁発生要因となってしまう。
また、構造的な第3の改善としては、減磁し易い永久磁石の両端側の磁化方向の厚さを厚くして減磁に対する耐性を向上させることが提案されている(特許文献5)。しかしながら、磁石の体積を大きくすることからコストの増加となる。また、着磁時には、両端側の磁化方向に厚い箇所で磁石と接している透磁率の高い内部側の領域に、着磁磁束が集中して(流れてしまい)十分に着磁できない領域ができるなど、思ったほどの効果を得ることができない。また、永久磁石を凹形状に形成することから、一体ものに成形する場合には、加工コストが掛かってしまう、という問題もある。
その一方で、このIPM構造を採用する電動回転機(モータ)にあっては、回転子内に永久磁石をV字型になるように埋め込んでq軸磁路を確保することによりリラクタンストルクを有効活用可能にすることから、この電動回転機におけるリラクタンストルクの比率がマグネットトルクよりも大きくなり、また、V字に永久磁石を埋め込んだ回転子におけるq軸とd軸のインダクタンス比(Lq/Ld)の突極比も大きくなって磁束波形に空間高調波が重畳し易くなる。なお、d軸は、磁極が作る磁束の方向、すなわち、V字の永久磁石間の中心軸となり、q軸は、そのd軸と電気的・磁気的に直交する、隣接する磁極(永久磁石)間の中心軸となる。
このため、このような電動回転機では、トルクの変動幅であるトルクリプル(torque ripple)が増加してしまう。そして、このトルクリプルの増加は、電動回転機の振動や電磁騒音の増加原因になり、そのうちの電磁騒音は、内燃機関の駆動に起因する騒音よりも比較的周波数帯が高く、電動回転機を搭載する車両の乗員にとって不快な音になることから、できるだけ低減するのが好ましい。
このことから、この種の電動回転機としては、トルクリプルなどを抑えることを目的として、回転子の外周面に軸方向に延在する溝を形成することが提案されている(例えば、特許文献6〜8)。
しかし、この特許文献6〜8にあっては、3相のIPMモータ構造を採用する電動回転機の全ての条件に対応している訳ではなく、溝の形成位置をどのようにして決定すればよいのか、また、その溝幅はどの程度にすればよいのかなどの重要な形成条件が不明である。このため、他の構造に適用することができず、例えば、永久磁石の設置条件や固定子における後述のティース部の先端幅やスロットの開口幅などの各種条件に応じた最適条件にすることができない。増してや、永久磁石の減磁を抑制する効果を得ることもできない。
特開2008− 99418号公報 特開2011− 14668号公報 特開2011−135638号公報 特開2009−232525号公報 特開2008−283823号公報 特開2004−328956号公報 特開2008−206308号公報 特開2008−312316号公報
そこで、本発明は、トルクの低下などを招くことなく、永久磁石の減磁を効果的に抑制して、耐久性に優れて高品質な回転駆動をすることのできる電動回転機を提供することを目的としている。
上記課題を解決する電動回転機に係る発明の第1の態様は、軸心の回転軸を一体回転させる回転子と、該回転子を回転自在に収容する固定子と、を備えて、前記固定子は、前記回転子の周回回転する外周面に向かって延在して該外周面に内周面側を対面させる複数本のティース部と、駆動電力を入力するコイルを前記ティース部に巻き掛ける空間であって該ティース部間に形成される複数のスロットと、を有し、前記回転子には、前記ティース部の対向面に磁気力を働かせるように複数の永久磁石が埋め込まれることにより、前記コイルへの通電時に発生する磁束が、前記ティース部内、当該ティース部背面側および前記回転子内を通過することによるリラクタンストルクおよび前記永久磁石との間で働く吸引力または反発力のマグネットトルクにより前記固定子内の前記回転子を回転駆動させる電動回転機であって、前記回転子側の1組の前記永久磁石と前記固定子側の1組の前記スロットとが対応する構成で、該1組の永久磁石側を1磁極としたときに、該1磁極毎の前記永久磁石で発生する減磁箇所に向かう前記コイルへの通電により発生する前記磁束の磁路途中に、磁気抵抗を大きくする磁気抵抗増大領域を形成することを特徴とするものである。
上記課題を解決する電動回転機に係る発明の第2の態様は、上記第1の態様の特定事項に加え、前記磁気抵抗増大領域として、前記回転子の前記ティース部に対面する外周面に、前記磁気抵抗を調整する調整溝が形成されていることを特徴とするものである。
上記課題を解決する電動回転機に係る発明の第3の態様は、上記第2の態様の特定事項に加え、前記回転子側には、当該外周面側に向かってV字型に開くように一対で前記1組の永久磁石を埋め込んで前記1磁極が構成され、前記固定子側には、6つで前記1組のスロットが構成されており、前記調整溝は、前記1磁極中心から両側に前記ティース部を1歯置いた両側均等の前記ティース部に対向する対面幅以内の幅で該ティース部と平行になるように形成されていることを特徴とするものである。
上記課題を解決する電動回転機に係る発明の第4の態様は、上記第2または第3の態様の特定事項に加え、前記調整溝は、前記1磁極中心に対する両側均等の電気角56°の位置が最深部となるように形成されていることを特徴とするものである。
上記課題を解決する電動回転機に係る発明の第5の態様は、上記第2から第4のいずれか1つの態様の特定事項に加え、前記ティース部の内周面と前記回転子の外周面との間の対面間隔D1と、前記調整溝の最深部の深さFとが、0.2≦F/D1≦0.4の範囲内になるように形成されていることを特徴とするものである。
上記課題を解決する電動回転機に係る発明の第6の態様は、上記第1の態様の特定事項に加え、前記磁気抵抗増大領域として、前記永久磁石を収容する空間を形成する内面と、当該永久磁石の外面との間に、前記磁気抵抗を調整する調整空隙が形成されていることを特徴とするものである。
上記課題を解決する電動回転機に係る発明の第7の態様は、上記第6の態様の特定事項に加え、前記回転子側には、当該外周面側に向かってV字型に開くように一対で前記1組の永久磁石を埋め込んで前記1磁極が構成され、前記調整空隙は、前記回転子の外周面に近接する側に前記ティース部と平行になるように形成されていることを特徴とするものである。
このように、本発明の態様によれば、固定子側のコイルに通電することより生成される磁束は、その固定子側のティース部から対面する回転子側に通過する際に、1磁極毎に、永久磁石で発生する減磁箇所に向かう磁路途中の磁気抵抗の大きな磁気抵抗増大領域を経由する。したがって、コイルによる磁束と永久磁石の磁束とが逆向きになる条件下で、永久磁石の高温領域がコイルによる磁束で減磁される影響(減磁効果)を小さくすることができ、信頼性高く効率のよい回転駆動を継続することができる。
例えば、磁気抵抗増大領域として、磁気抵抗を調整する調整溝を回転子のティース部に対面する外周面に平行に延在するように形成したり、磁気抵抗を調整する調整空隙を永久磁石に隣接して平行に延在するように形成するなどすればよい。その調整溝は、一対1組の永久磁石側の1磁極が1組6スロットに対応する構造の場合、1磁極中心から両側にティース部を1歯置いた両側均等の電気角56°の位置を最深部とし、そのティース部に対する対面幅以内の幅で平行に延在するように形成し、また、そのティース部の内周面と回転子の外周面との間の対面間隔D1に対する最深部の深さFの比率が、0.2〜0.4の範囲内になるように形成することにより、トルクリプルなどを当該構造においても効果的に低減して、振動や騒音と共に損失の少ない高品質な回転駆動を実現することができる。
本発明に係る電動回転機の第1実施形態を示す図であり、その基本構造を示す平面図である。 その回転子側に磁極がない場合の磁束発生の発生状況を示す平面図である。 本発明の課題を説明する一部拡大平面図である。 本発明の課題を説明する図3と異なる使用環境での一部拡大平面図である。 その実施形態の構成を示す一部拡大平面図である。 その実施形態の構成条件を示す一部拡大平面図である。 その基本構造における課題の解決を説明する磁束波形のグラフである。 その実施形態の構成の条件決定を説明するグラフである。 その実施形態の構成の条件決定を説明する図8と異なるグラフである。 その構成による効果を検証するグラフである。 その構成による効果を検証する図8と異なるグラフである。 その構成による効果を検証する図8、図9と異なるグラフである。 本発明に係る電動回転機の第2実施形態を示す図であり、その実施形態の構成を示す一部拡大平面図である。 その実施形態の構成条件を示す一部拡大平面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1〜図12は本発明に係る電動回転機の第1実施形態を示す図である。
図1において、電動回転機(モータ)10は、概略円筒形状に形成された固定子(ステータ)11と、この固定子11内に回転自在に収納されて軸心に一致する回転軸13が固設されている回転子(ロータ)12と、を備えており、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車において、内燃機関と同様の駆動源として、あるいは車輪ホイール内に搭載するのに好適な性能を有している。
固定子11には、回転子12の外周面12aにギャップGを介して内周面15a側を対面させるように軸心の法線方向に延在する複数本のステータティース15が形成されている。このステータティース15には、内部に対面収納されている回転子12を回転駆動させる磁束の発生用コイル(不図示)を構成する3相巻線が分布巻により巻付形成されている。
回転子12は、外周面12aに向かって開くV字型になるように、一対で1組の永久磁石16を1磁極として埋め込むIPM(Interior Permanent Magnet)構造になるように作製されている。この回転子12は、図面の表裏方向に延在する平板状の永久磁石16の角部16aを対面状態に嵌め込んで不動状態に収容する空間17aと、その永久磁石16の幅方向の両側方に位置して磁束の回り込みを制限するフラックスバリアとして機能する空間17b(以下ではフラックスバリア17bともいう)とを形成するV字空間17が外周面12aに対面するように形成されている。このV字空間17の間には、永久磁石16を高速回転時の遠心力に抗して位置決め保持することができるように、永久磁石16間を連結支持するセンタブリッジ20が形成されている。
この電動回転機10は、ステータティース15間の空間が、巻線を通して巻き掛けることによりコイルを形成するためのスロット18を構成しており、8組の永久磁石16側にそれぞれ6本のステータティース15が対面するように、言い換えると、一対の永久磁石16側が構成する1磁極に6スロット18が対応するように構築されている。すなわち、電動回転機10は、隣接する1磁極毎に永久磁石16のN極とS極の表裏を交互にした、8極(4極対)、48スロットで、単相分布巻5ピッチで巻線した3相IPMモータに作製されている。なお、図中のN極、S極の表示は、部材表面に存在する訳ではなく、説明のために図示するものである。
これにより、電動回転機10は、固定子11のスロット18内のコイルに通電してステータティース15から対面する回転子12内に磁束を通したときに、永久磁石16との間に生じる吸引力と反発力に起因するマグネットトルクに加えて、その磁束が通過する磁路を最短にしようとするリラクタンストルクとの総合トルクにより回転駆動することができ、その回転子12と一体回転する回転軸13から通電入力する電気的エネルギを機械的エネルギとして出力することができる。
ここで、この電動回転機10は、図2に示すように、1磁極を構成する一対の永久磁石16に対応する複数のステータティース15毎に、固定子11から回転子12内に進入して通過する磁束mの磁路が均等配置されるように、スロット18内に巻線コイルを分布巻きして形成されており、この磁路に沿うように、言い換えると、磁束mの形成を妨げないように永久磁石16を収容するV字空間17が形成されている。なお、固定子11と回転子12は、ケイ素鋼などの電磁鋼板材料の薄板を所望の出力トルクに応じた厚さになるように軸方向に重ねてボルト穴19などを利用してネジ止めすることにより作製されている。
また、永久磁石16は、内部の磁区内でS極からN極に向かう磁化方向に磁気モーメントが揃うように着磁されて磁力を備えており(図5を参照)、この磁気モーメントは、加熱されるほど熱的影響(外乱)を受けて乱れることにより磁力が弱まる場合があり、キュリー温度を超えると磁区を維持できなくなる不可逆領域が発生して、所謂、減磁箇所ができてしまう。また、永久磁石16の磁区内の磁気モーメントは、加熱時に磁気的影響を受け易く、外部磁気の磁化方向に揃うことにより、その外部磁気の影響がなくなっても元の磁化方向に戻ることができずに、所謂、減磁箇所ができてしまう。
そして、電動回転機10は、永久磁石16を回転子12内に埋め込むIPM構造の場合、一対の永久磁石16の角部16a、特に、回転子12の外周面12a側の外側角部16aoと内側角部16aiが、固定子11側のスロット18に形成されている巻線コイルに通電することにより生成される磁束mのベクトル方向mvに対して対向する領域A1(図3および図5を参照)に位置するので磁化方向の影響を受け易い。また、この永久磁石16の外側角部16aoと内側角部16aiの反対側の領域A2(図4および図5を参照)は、磁束mのベクトル方向mvに対して対向してはいないが片側のみの母材であることから磁化方向の影響を受け易い。
このため、永久磁石16は、図3に示すように、固定子11のスロット18内のコイルへの通電により回転子12が反時計回り(CCW)方向に回転駆動して、例えば、他のモータ構成部品の耐熱温度手前の190℃まで温度上昇したときには、ステータティース15から回転子12内に進入する磁束mに対向する領域A1の外側角部16aoに強い減磁箇所が発生し、また、内側角部16aiにも多少の減磁が認められた。さらに、永久磁石16は、図4に示すように、例えば、他のモータ構成部品の耐熱温度として設定されている200℃まで温度上昇させたときには、領域A1の外側角部16aoと内側角部16aiの減磁がより強くなるとともに、反対側の領域A2の内側角部16aiに強めの減磁が発生し、外側角部16aoにも多少の減磁が認められるようになった。すなわち、永久磁石16は、使用温度範囲内では、磁束mに対向する領域A1の外側角部16aoに強く減磁が現れることから何らかの対策が必要である。なお、永久磁石16の外側角部16aoと内側角部16aiは、隣接する磁力の強さの影響に差があることから先端側ほど減磁が強く現れる。
そこで、電動回転機10では、図5に示すように、ステータティース15の内周面15aとの間の隙間Gを調整するために、凹状の調整溝21が回転子12の外周面12aに近接する永久磁石16の外側角部16ao付近に形成されており、この調整溝21は、ステータティース15の内周面15aと平行に延在して対面するように形成されている。調整溝21は、磁気抵抗増大領域として、ステータティース15の内周面15aとの間の透磁率を下げることにより磁気抵抗を若干高くすることができ、進入する磁束mの強度を抑えて磁気的影響を小さくし減磁の発生を抑制するようになっている。
したがって、この電動回転機10は、回転子12の外周面12aに調整溝21を形成するだけで、永久磁石16に減磁箇所が発生し難く、信頼性高く効率のよい回転駆動を継続することができる。
また、この調整溝21は、特定のステータティース15に鎖交する磁束mに対する磁気抵抗を若干高くすることによりn次の空間高調波による特に高調波トルクを抑えることができ、後述するように、重畳する高調波成分を調整して高品質なトルク波形を得ることを可能にしている。なお、この図5では、調整溝21の大きさを判別し易いように実際の比率よりも大きくデフォルメして図示している(図6も同様)。
この調整溝21は、回転子12の外周面12aに形成する最適な位置や形状を、有限要素法による電磁界解析を行って決定しており、内側(d軸側)の斜面21bと、外側の斜面21cに挟まれている最深部21aの形成位置やその深さの最適条件が決定されて形成されている。
まず、電動回転機10は、永久磁石16を回転子12内に埋め込むIPM構造の場合、固定子11のステータティース15の1歯における磁束の変化は、図7に示すように、矩形波に近似することができる。この磁束波形には、5次や7次などの低次の空間高調波が重畳することにより、鉄損や、トルクの変動幅であるトルクリプルが増加して、熱エネルギとしての浪費による効率低下と共に、振動や騒音の発生要因となっている。鉄損は、ヒステリシス損と渦電流損に分けることができる。ヒステリシス損は周波数と磁束密度の積であるとともに、渦電流損は周波数の2乗と磁束密度の積であることから、空間高調波を抑えることにより損失を低減することができ、電気エネルギの入力に対する駆動効率を向上させることができる。なお、図7では、縦軸を界磁磁束とし、横軸を時間にして、1つのステータティース15に対して、L1間では磁束の鎖交がなく、L2間で磁束が正逆鎖交する、電気角1周期T(4L1+2L2)における磁束波形の近似矩形波を図示している。
また、モータ(電動回転機)の電磁騒音は、ステータ(固定子)側に働く電磁力により、そのステータが振動することで発生しており、ステータに働く電磁力は、ロータ(回転子)とステータの磁気結合に起因する径方向電磁力と、トルクに起因する周方向電磁力とが存在する。径方向電磁力は、1ステータティース15毎に、モータを線形磁気回路で近似して考察した場合には、磁束φ、磁気エネルギW、径方向電磁力fr、磁気抵抗Rg、磁束密度B、磁束鎖交面積S、エアギャップG間距離x、磁路透磁率μとすると、磁気エネルギWと径方向電磁力frは次の式(1)、式(2)のように表すことができる。
Figure 2013162557
よって、空間高調波を考慮して磁束密度Bを次式(3)のように表したときには、径方向電磁力frは磁束密度Bの2乗を含むことから、空間高調波の重畳は径方向電磁力frの増加の要因となる。すなわち、空間高調波を低減することは、トルクリプルの低減、引いては、モータ電磁騒音の低減と共に駆動効率の向上を実現できることが鋭意研究検討することにより判明した。
Figure 2013162557
また、IPM構造の3相モータのトルクリプルは、1相1極磁束の空間高調波と、相電流に含まれる時間高調波とにより、電気角θにおける6f次(f=1、2、3・・・:自然数)成分で発生することが鋭意研究検討することにより判明した。
詳細には、角速度ω、UVWの各相誘起電圧E(t)、E(t)、E(t)、UVWの各相電流I(t)、I(t)、I(t)、としたときには、3相出力P(t)とトルクτ(t)は次の式(4)、式(5)のように表すことができる。
P(t)=E(t)I(t)+E(t)I(t)+E(t)I(t)=ω・τ(t) ……(4)
τ(t)=[E(t)I(t)+E(t)I(t)+E(t)I(t)]/ω ……(5)
3相トルクは、U相、V相、W相のそれぞれのトルクの和であり、mを電流の高調波成分、nを電圧の高調波成分を表すものとし、U相電圧E(t)を次式(6)、U相電流I(t)を次式(7)と置くと、U相トルクτ(t)は次式(8)のように表すことができる。
Figure 2013162557
ここで、相電流I(t)と相電圧E(t)は、いずれも対称波であるために「n」と「m」は奇数のみとなって、U相以外のV相トルクとW相トルクは、それぞれU相誘起電圧E(t)、U相電流I(t)に対して「+2π/3(rad)」、「−2π/3(rad)」の位相差であることから、全体のトルクとしては、「6」の係数の項だけが残るようにキャンセル(相殺)されて、
6f=n±m(f:自然数)、s=nα+mβ、t=nα−mβ
と、置くと、次式(9)のように表すことができる。
Figure 2013162557
また、誘起電圧は磁束を時間微分して求めることができることから、各誘起電圧に含まれる高調波の次数と1相1極磁束に含まれる高調波も同じ次数成分が発生することになり、その結果、3相交流モータにおいては、磁束(誘起電圧)に含まれる空間高調波次数nと相電流に含まれる時間高調波次数mとの組み合わせが6fになるときに、その6f次成分のトルクリプルが発生していることが判明した。
ところで、3相モータのトルクリプルは、上述するように、1相1極における磁束波形における空間高調波nと相電流の時間高調波mにおいては、n±m=6f(f:自然数)のときに発生することから、例えば、相電流の時間高調波m=1のみで正弦波近似した場合には、空間高調波n=5、7、11、13の次数の重畳が発生したときにトルクリプルが生じることになる。
この3相のIPM構造の場合には、図7に示すように、1つのステータティース15に界磁磁束が鎖交する磁束波形がほぼ矩形波となるため、構造的にも、5次、7次の空間高調波n(6f次=6次の高調波)は重畳し易く低減することは困難である。
なお、電気角1周期分(360°)は、回転子12の外周面12a側に対面する一対の永久磁石16のN極・S極分に、言い換えると、1磁極(フラックスバリア17bを含む一対の永久磁石16毎)の回転中心に対する開口角度θ1の2倍に相当する。この電動回転機10の8極48スロットモータの構造(1磁極に対して6スロットが対応する構造)では、8極中の2極で1周期であることから、回転子12の機械角1周期の360°回転は電気角4周期に相当する。
また、この電動回転機10のように1磁極当たり6つのスロット18が対応する3相IPMモータの場合には、1磁極対当たり12個のスロット18が対応することになり、電気角の1周期内においては、スロットオープン(コイルの挿入口となるステータティース15の先端間の隙間)の空気における低い磁束の透磁率により磁気抵抗が12箇所で大となる。この12箇所のスロット18の磁気抵抗により、11次、13次の空間高調波nが磁束波形に重畳することになる。
この11次、13次の空間高調波nは、一般にスロット高調波といって、例えば、永久磁石16の軸方向における設置位置に応じて軸心を中心に捩じったスキュー角を持たせることにより、スロット18における磁気抵抗のタイミングをずらして、11次と13次を低減することができる。しかしながら、回転子12側にスキュー角を持たせるやり方では、上述したように、隣接する永久磁石16間に段差が存在して着磁率が低下するという問題がある。
これに対して、この電動回転機10では、図6に示すように、ステータティース15の内周面15aと回転子12の外周面12aとの間の隙間Gを調整する凹状の調整溝21が形成されている。この調整溝21は、そのステータティース15の内周面15aに対面する回転子12の外周面12aに形成するなどして透磁率を下げることによりそのステータティース15に鎖交する磁束に対する磁気抵抗を高くすることができ、重畳する高調波成分を調整して5次、6次、11次、13次の空間高調波nによる特に高調波トルクを抑えて高品質なトルク波形を得ることをも可能にしている。
詳細には、調整溝21は、例えば、回転子12の外周面12aから最深部21aまでの溝深さRt、ステータティース15の内周面15aの対面幅に一致させた斜面21b、21cの縁間隔の溝幅Tsを一定として、有限要素法による電磁界解析を行って形成位置を決定しており、回転子12の1磁極のd軸(一対の永久磁石16間の中心線)を中心にする対称位置のステータティース15に対面して、その最深部21aの位置の正逆方向のずれ量の変位角θ2をパラメータとしている。なお、本実施形態では、調整溝21の溝幅Tsをステータティース15の内周面15aとの対面幅に一致させているが、適宜、その対面幅よりも小さくするなど調整してもよいが、磁束が通過する対面幅全面で磁気抵抗を調整するのが有効である。
この有限要素法による電磁界解析では、11次、13次の空間高調波nによるトルク波形におけるトルクリプル率やその空間高調波含有率を導出すると、図8のグラフに示すような結果が得られる。この図8のグラフからは、d軸に対する正逆方向の変位角θ2は、56°(電気角)でトルクリプル率と11次、13次の空間高調波nの含有率を最低レベルにすることができ、最適値であることが分かる。すなわち、調整溝21は、回転子12の1磁極のd軸に一致するステータティース15を中心にして、一歯置いて隣接する対称位置のステータティース15の内周面15aに対面する位置で、その最深部21aがそのd軸から正逆方向に56°(変位角θ2)ずれた位置になるように形成されており、ステータティース15の内周面15aと回転子12の外周面12aとの間の隙間間隔xLのエアギャップGにおける磁気抵抗を調整している。なお、ここでのトルクリプル率は、次式で算出している。
トルクリプル率(%)=((最大トルク−最小トルク)/平均トルク)×100
また、調整溝21は、溝幅Tsをそのままにして溝深さRtを変化させ、回転子12の外周面12aとステータティース15の内周面15aとの間のギャップGの隙間間隔(対向面間距離)xLに対するその溝深さRtの比率σ(Rt/xL)をパラメータとして、有限要素法による電磁界解析を行って、その溝深さRtを決定している。
この有限要素法による電磁界解析では、調整溝21が形成されていない構成に対するトルク比率やそのトルクに重畳する6次、12次の高調波トルク比率を導出すると、図9のグラフに示すような結果が得られる。この図9のグラフでは、σ=0(調整溝21なし)を基準にして、トルク比率は溝深さRtを深く(比率を大きく)するのに従ってほぼ変わりなく緩やかに下降する程度で安定し、その比率σ(Rt/xL)が40%以上になると急激に低下してしまう。また、トルク波形における6次の空間高調波nのトルク比率は、反対に、溝深さRtを深くするのに従ってほぼ変わりなく緩やかに上昇する程度で安定し、その比率σ(Rt/xL)が40%以上になると急激に上昇してしまう。さらに、トルク波形における12次の空間高調波nのトルク比率は、反対に、溝深さRtを深くするのに従って急激に下降してその比率σ(Rt/xL)が20%以上になるとほぼ変わりなく緩やかに上昇する程度で安定した後に、その比率σ(Rt/xL)が40%以上になると急激に上昇してしまう。このことから、ステータティース15のエアギャップGの隙間間隔xL(D1)に対する比率σ(Rt/xL)は、次の条件1程度の範囲内に収めることによりトルクを大きく低下させることなく、12次の高調波トルクの低減という効果を得ることができ、また、次の条件2程度の範囲内に狭めることによりその12次の高調波トルクをより低減することができ、さらに、次の条件3の範囲内に絞ることにより12次の高調波トルクをより効果的に低減することができる。
条件1:20%≦σ(Rt/xL)≦40%
条件2:20%≦σ(Rt/xL)≦30%
条件3:20%≦σ(Rt/xL)≦25%
この電動回転機10では、例えば、上記の条件3の範囲内になるように固定子11の外周面12aに形成する調整溝21の深さRtを調整することにより、図10に示すように、誘起電圧に重畳する特に6次の高調波トルクの要因となる5次、7次の空間高調波の含有率を低減することができ、低減の難しい6次の高調波トルクを効果的に低減できることが分かる。なお、鉄損は一般に空間高調波が多く重畳すると増加する傾向にあることから、その含有空間高調波の低減により鉄損も低減することができる。
また、この電動回転機10では、図11に示すように、短期にトルクが大きく急激に変動するためにドライバなどが不快に感じるトルクリプルを、より抑制して緩やかな変動の安定したトルク出力に調整できることが分かる。例えば、この図11からは、調整溝21のない場合よりもトルクの脈動を約30%低減することができていることが分かる。
また、この電動回転機10では、図12に示すように、トルク波形のフーリエ級数の展開を行って確認することによっても、調整溝21の効果を明確に確認することができ、高調波トルクの6次成分を低減するとともに、高調波トルクの12次成分をも大きく低減することができていることが分かる。
したがって、この電動回転機10では、回転子12の1磁極のd軸に一致するステータティース15を中心にして、一歯置いて隣接する対称位置のステータティース15の内周面15aに対面する回転子12の外周面12aに、そのd軸の正逆方向の56°(電気角θ2)が最深部21aとなる調整溝21を形成して、その溝深さRtをステータティース15のエアギャップGの隙間間隔xLに対して、20%≦σ(Rt/xL)≦40%の範囲内になるように、好ましくは、20%≦σ(Rt/xL)≦30%、より好ましくは、20%≦σ(Rt/xL)≦25%の条件を満たすように形成するだけで、高調波トルクの6次、12次成分を大きく低減してトルクリプルを効果的に低減することができる。
このように本実施形態においては、固定子11のステータティース15の内周面15aと同一幅以下、できれば効果的に磁気抵抗増大領域として機能するように同一幅の調整溝21を形成し、その調整溝21としては、回転子12の1磁極のd軸に一致するステータティース15から一歯置いて隣接する対称位置で、そのd軸から両側均等の電気角56°の位置が最深部21aとなって、ステータティース15のエアギャップGの隙間間隔xLに対する溝深さRtの比率σ(Rt/xL)が20%〜40%の範囲内になるように形成している。これにより、回転駆動時にステータティース15から永久磁石16の角部16aにおける磁束に向かって逆向きに進入するコイルの磁束に対する磁気抵抗を、エアギャップGの空間を調整溝(磁気抵抗増大領域)21により拡大して効果的に増大させることができ、そのコイルの磁束による永久磁石16の角部16aの減磁を軽減することができる。
また、トルク波形に重畳する6次、12次の高調波トルクを低減してトルクリプルを抑えることができ、トルクの変動を小さくすることができる。
したがって、電動回転機10を振動や騒音を少なく高品質回転をさせることができるとともに、損失を少なく高効率に回転駆動させることができ、信頼性高く効率や品質のよい回転駆動を継続することができる。
次に、図13および図14は本発明に係る電動回転機の第2実施形態を示す図である。ここで、本実施形態は、上述実施形態と略同様に構成されているので、同様の構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する。
図13において、電動回転機10は、固定子11と、回転子12と、回転軸13と、を備えて構成されており、本実施形態では上述実施形態における調整溝21に代わって磁気抵抗増大領域として調整空隙31が形成されている。なお、調整空隙31は、上述実施形態と同様に、1磁極におけるd軸を中心にする対称位置に形成されており、反時計回り(CCW)だけでなく、上述実施形態では特に言及していないが、時計回り(CW)方向に回転駆動させる際の減磁領域A1の発生をも制限して、1磁極中における磁束(磁路)のバランスを調整するための調整空隙31を形成する場合を図示している。
調整空隙31は、図14に示すように、回転子12内の永久磁石16を収容してフラックスバリアとしても機能するV字空間17(空間17a、17b)を、その永久磁石16の幅方向平面16bと厚さ方向平面16cに挟まれている外側角部16aoに対面する壁面を離隔方向に後退させることにより形成されている。この調整空隙31は、フラックスバリア17bを形成するベース壁面17cを永久磁石16の幅方向平面16bに対面する領域まで延長した延長壁面17dを備える形状に形成されて空隙空間として存在することにより、そのフラックスバリア17bと共に磁束の進入を制限(抑制)する磁気抵抗増大領域として機能する。
詳細には、調整空隙31は、磁気抵抗増大空間として有効に機能するように延長壁面17cの寸法形状が有限要素法による電磁界解析により設定されており、永久磁石16の厚さLmに対して、延長壁面17dの永久磁石16の幅方向平面16bに対面する対面幅Rwと、その幅方向平面16bから離隔する離隔高さRhとの寸法を次のようにして決定している。
永久磁石16の保磁力は、厚さLmに比例して増加することから、逆向きの磁束に対する耐減磁特性を確保するための離隔高さRhはその厚さLmに対して反比例することになり、例えば、図4に示すように、回転子12の回転駆動により200℃まで上昇したときに、厚さLmが6mmの永久磁石16の外側角部16aoに発生した減磁領域A1の幅方向平面16bにおける減磁幅Dwが1.3mmの場合には、対面幅Rwをその減磁幅Dwに一致させるとともに、離隔高さRhを変数にして電磁界解析を行ったところ、離隔高さRhが0.5mmで復帰不能となる不可逆減磁の発生が認められなくなった。このことから、永久磁石16の厚さLmが6mmで、減磁幅Dwが1.3mmの場合には、調整空隙31は、次の寸法形状にすることにより、永久磁石16の外側角部16aoにおける不可逆減磁の発生を回避することができる。
対面幅Rw=1.3mm以上、離隔高さRh=3/Lm
なお、永久磁石16内の内部の渦電流は、表皮効果の影響を受けて外端部分を流れることになり、熱損失はその外端部分に集中することから、永久磁石16における減磁領域の減磁幅Dwが永久磁石16の長さLbの大小に応じて変化することになる。さらに、その永久磁石16の外側角部16aoに向かう逆磁界ベクトルは、ステータティース15の内周面15aの幅や磁石開口度θ1と共にこれらの位置関係に大きく依存し、また、永久磁石16自体の特性にも依ることから、調整空隙31の形状寸法は、電磁界解析により導出するのが簡易である。
ここで提示する上記条件は、20℃での残留磁束密度Brが約1.25T(テスラ)で、保磁力Hcbが965.75kA/mのネオジム磁石を採用して、厚さLmが6mmであるために保磁力5795Aであるのに対して、コイルターン数10を4列並列させて最大電流値500Apk(実効値(500/√2)≒353.6Arms)を印加し発生させる回転磁界の逆磁界の基本波成分が884A((実効値/4)×10)となる駆動環境の場合に最適となる形状寸法である。また、回転子12の温度上昇200℃を念頭に上記条件を導出するが、この温度は他のモータの構成要素の許容耐熱温度に依存していることから、当該温度に限定する必要はなく、適宜設定すればよいパラメータである。
したがって、本実施形態においても、この電動回転機10は、上述実施形態と同様に、回転子12の内部に調整空隙31を形成するだけで、回転子12側の永久磁石16の外側角部16ao周りの透磁率を下げて、固定子11側のステータティース15に鎖交する磁束に対する磁気抵抗を高くすることができ、永久磁石16に減磁箇所が発生し難く、信頼性高く効率のよい回転駆動を継続することができる。
このように本実施形態においては、回転子12側の永久磁石16で減磁が発生する領域A1を覆う調整空隙31を形成しており、上述実施形態と同様に、回転駆動時にステータティース15から永久磁石16の外側角部16aoに向かって逆向きに進入するコイルの磁束に対して調整空隙31が磁気抵抗増大領域として効果的に機能することができ、そのコイルの磁束による永久磁石16の角部16aoの減磁を軽減することができる。したがって、電動回転機10を損失少なく高効率に回転駆動させることができ、信頼性高く効率のよい回転駆動を継続することができる。
ここで、上述実施形態の電動回転機10では、モータの構成要素の許容耐熱温度が200℃であって190℃の駆動環境で効果的に機能すれば十分であることから、永久磁石16の外側角部16aoのみを対象にして調整溝21や調整空隙31を形成する場合を一例にして説明するが、これに限るものではなく、内側角部16aiを対象に形成してもよく、使用環境に応じて調整溝や調整空隙を同様に形成すればよい。
また、上述2実施形態では、永久磁石16をV字型にして回転子12内に埋め込む構造を採用する場合を一例に説明するが、これに限るものではなく、例えば、永久磁石を回転子12の外周面12aに対して平板状に対面する状態に埋め込む平板配置の場合にも適用することができ、同様の作用効果を得ることができる。また、8極48スロットモータの構成の電動回転機10を一例にして、1磁極1対が1周期(360°)に対応する角度を電気角として説明するが、これに限るものではなく、1磁極に対して6スロットが対応する他のモータ構造にも適用することができ、例えば、6極36スロット、4極24スロット、10極60スロットのモータ構造にもそのまま適用することができる。
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
10 電動回転機
11 固定子
12 回転子
12a 外周面
13 回転軸
15 ステータティース
15a 内周面
16 永久磁石
16a 角部
16ai 内側角部
16ao 外側角部
17 V字空間
17b フラックスバリア
18 スロット
20 センタブリッジ
21 調整溝
21a 最深部
21b、21c 斜面
31 調整空隙
A1、A2 減磁領域
G エアギャップ
Rt 溝深さ
Ts 溝幅
xL、xS 隙間間隔
θ1 開口角度
θ2 変位角

Claims (7)

  1. 軸心の回転軸を一体回転させる回転子と、該回転子を回転自在に収容する固定子と、を備えて、
    前記固定子は、前記回転子の周回回転する外周面に向かって延在して該外周面に内周面側を対面させる複数本のティース部と、駆動電力を入力するコイルを前記ティース部に巻き掛ける空間であって該ティース部間に形成される複数のスロットと、を有し、
    前記回転子には、前記ティース部の対向面に磁気力を働かせるように複数の永久磁石が埋め込まれることにより、
    前記コイルへの通電時に発生する磁束が、前記ティース部内、当該ティース部背面側および前記回転子内を通過することによるリラクタンストルクおよび前記永久磁石との間で働く吸引力または反発力のマグネットトルクにより前記固定子内の前記回転子を回転駆動させる電動回転機であって、
    前記回転子側の1組の前記永久磁石と前記固定子側の1組の前記スロットとが対応する構成で、該1組の永久磁石側を1磁極としたときに、該1磁極毎の前記永久磁石で発生する減磁箇所に向かう前記コイルへの通電により発生する前記磁束の磁路途中に、磁気抵抗を大きくする磁気抵抗増大領域を形成することを特徴とする電動回転機。
  2. 前記磁気抵抗増大領域として、前記回転子の前記ティース部に対面する外周面に、前記磁気抵抗を調整する調整溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動回転機。
  3. 前記回転子側には、当該外周面側に向かってV字型に開くように一対で前記1組の永久磁石を埋め込んで前記1磁極が構成され、
    前記固定子側には、6つで前記1組のスロットが構成されており、
    前記調整溝は、前記1磁極中心から両側に前記ティース部を1歯置いた両側均等の前記ティース部に対向する対面幅以内の幅で該ティース部と平行になるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電動回転機。
  4. 前記調整溝は、前記1磁極中心に対する両側均等の電気角56°の位置が最深部となるように形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の電動回転機。
  5. 前記ティース部の内周面と前記回転子の外周面との間の対面間隔D1と、前記調整溝の最深部の深さFとが、
    0.2≦F/D1≦0.4
    の範囲内になるように形成されていることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の電動回転機。
  6. 前記磁気抵抗増大領域として、前記永久磁石を収容する空間を形成する内面と、当該永久磁石の外面との間に、前記磁気抵抗を調整する調整空隙が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動回転機。
  7. 前記回転子側には、当該外周面側に向かってV字型に開くように一対で前記1組の永久磁石を埋め込んで前記1磁極が構成され、
    前記調整空隙は、前記回転子の外周面に近接する側に前記ティース部と平行になるように形成されていることを特徴とする請求項6に記載の電動回転機。
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