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JP2013142095A - ポリグリシドール誘導体及びポリグリシドール誘導体含有固体電解質用組成物 - Google Patents

ポリグリシドール誘導体及びポリグリシドール誘導体含有固体電解質用組成物 Download PDF

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JP2013142095A
JP2013142095A JP2012001871A JP2012001871A JP2013142095A JP 2013142095 A JP2013142095 A JP 2013142095A JP 2012001871 A JP2012001871 A JP 2012001871A JP 2012001871 A JP2012001871 A JP 2012001871A JP 2013142095 A JP2013142095 A JP 2013142095A
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Japan
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solid electrolyte
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branched
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JP2012001871A
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Yuichi Sakanishi
裕一 坂西
Takaya Sato
貴哉 佐藤
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Daicel Corp
Institute of National Colleges of Technologies Japan
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Daicel Corp
Institute of National Colleges of Technologies Japan
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Abstract

【課題】イオン導電性塩の溶解性に優れ、且つイオン伝導性に優れた固体電解質を形成可能な化合物、及び前記化合物を含有する固体電解質用組成物を提供する。
【解決手段】本発明のポリグリシドール誘導体は、下記式(1)及び(2)で示される構成単位を有する分岐鎖状ポリグリシドールから誘導されるポリグリシドール誘導体であって、前記分岐鎖状ポリグリシドールが有するOH基の10%以上がスルホン基又はスルホン基の水素を他のカチオンで置換した基で封鎖されていることを特徴とする。
【化1】
Figure 2013142095

【選択図】なし

Description

本発明は、高いイオン導電性を有する固体電解質を形成可能な化合物、及び該化合物を含む固体電解質用組成物に関する。
二次電池等の電池に用いられる電解質は、目的に応じたイオン導電性塩を含み、そのイオン導電性塩を電極間において輸送する機能(イオン伝導性)を持つ媒体である。例えば、非水二次電池の代表であるリチウム二次電池では、リチウムイオンを電極間において輸送する機能を有する媒体をいう。
従来、二次電池においては、一般に、イオン伝導性が高い溶液系電解質(例えば、水、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、テトラヒドロフラン等)が多く用いられていた。しかし、前記溶液系電解質は、揮発性が高く蒸発して消失又は変性し易い。その上、液漏れし易く、引火、燃焼し易いため、電池外装に金属缶を使用し、容器の気密性を確保することが必要であった。しかし、形状が限定されること及び電池質量が重くなることが問題であった。
そこで、電解質として高分子化合物を使用する二次電池が開発された。高分子化合物は蒸発し難く、液漏れし難い。その上、十分に分子量の大きな高分子化合物は室温以上の温度で流動性を示さないため、固体電解質としても使用することができ、イオン導電性塩を溶解する溶媒の役目と、電解質を固体化する役目とを同時に担えるという利点がある。ここで、固体電解質におけるイオン伝導性は、イオンが固体電解質中のアモルファス(無定形)領域内を移動することにより発現する。
前記固体電解質に使用される高分子化合物としては、イオン導電性塩を溶解する能力が高いポリエチレンオキシド等の直鎖状ポリエーテル系高分子が知られている。しかし、前記ポリエチレンオキシド鎖は半結晶性ポリマーであり、多量のイオン導電性塩を溶解すると前記ポリエチレンオキシド鎖の親水性部分とイオンとが錯体を形成して結晶化するため、イオン伝導性は10-6〜10-7S/cm程度と、かなり低いものであった。
固体電解質のイオン伝導性を改善する方法としては、電解質に含まれる高分子化合物として分岐鎖状のポリグリシドールを使用することが知られている(特許文献1)。分岐鎖を有する高分子化合物を使用すると結晶化度が低下し、多量のイオン導電性塩を溶解しても、密度の低い(すなわち、アモルファス領域を多く有する)固体電解質を形成することができる。しかし、分岐鎖状のポリグリシドールは、イオン導電性塩の溶解性の点で未だ十分ではなく、更に優れたイオン導電性塩の溶解性を有する固体電解質が求められている。
特開2000−234020号公報
従って、本発明の目的は、イオン導電性塩の溶解性に優れ、且つイオン伝導性に優れた固体電解質を形成可能な化合物、及び該化合物を含有する固体電解質用組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、分岐鎖を有するポリグリシドールにおける水酸基のうち、一定の割合の水酸基をスルホン基又はスルホン基の水素を他のカチオンで置換した基で封鎖して得られる化合物は、スルホン基又はスルホン基の水素を他のカチオンで置換した基が高極性を示すためイオン導電性塩の溶解性に優れ、且つ、分岐鎖を有するため、多量のイオン導電性塩を溶解しても結晶化度が低く、アモルファス(無定形)領域を多く含む密度の低い硬化物を形成することができ、高いイオン伝導度を有する固体電解質を形成することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、下記式(1)及び(2)
Figure 2013142095
で示される構成単位を有する分岐鎖状ポリグリシドールから誘導されるポリグリシドール誘導体であって、前記分岐鎖状ポリグリシドールが有するOH基の10%以上がスルホン基又はスルホン基の水素を他のカチオンで置換した基で封鎖されていることを特徴とするポリグリシドール誘導体を提供する。
前記分岐鎖状ポリグリシドールの分岐度としては、50%以上が好ましい。
本発明は、また、前記ポリグリシドール誘導体、及びイオン導電性塩を少なくとも含有する固体電解質用組成物を提供する。
前記固体電解質用組成物は、更に、樹脂成分を含有することが好ましい。
本発明は、更に、前記固体電解質用組成物を硬化して得られる固体電解質を提供する。前記固体電解質の形状としては、例えば、フィルム状が含まれる。
本発明のポリグリシドール誘導体は高極性置換基を有するためイオン導電性塩の溶解性に優れる。また、本発明のポリグリシドール誘導体は分岐構造を有するため、イオン導電性塩を高濃度に溶解しても結晶化することが無く、密度が低く、アモルファス(無定形)領域を多く含む硬化物を形成することができ、金属イオンが前記アモルファス(無定形)領域をスムーズに移動することができる。また、本発明のポリグリシドール誘導体を含む固体電解質は、揮発して消失又は変性することが無く品質保持性に優れ、液漏れすることが無く、難燃性であり安定性に優れる。
従って、本発明のグリシドール誘導体を含む固体電解質を用いた二次電池は、充電及び放電速度が極めて高い。また、金属缶による外装を省略することができ、軽量化が可能となるため、電子機器の薄型化、軽量化に貢献することができる。従って、本発明のポリグリシドール誘導体は、例えば、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)、ノート型パソコン等可搬型電子機器における二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池等)に好適に使用することができる。更にまた、二次電池において、本発明のポリグリシドール誘導体を含有する固体電解質用組成物をシート状に硬化して得られるフィルム状固体電解質を使用すると、正極と負極とを隔離するためのセパレーターが不要となり、電池構成部材の更なる低減化が可能である。
[ポリグリシドール誘導体]
本発明のポリグリシドール誘導体は、下記式(1)及び(2)で示される構成単位を有する分岐鎖状ポリグリシドールから誘導されるポリグリシドール誘導体であって、前記分岐鎖状ポリグリシドールが有するOH基の10%以上がスルホン基又はスルホン基の水素を他のカチオンで置換した基で封鎖されていることを特徴とする
Figure 2013142095
上記式(1)及び(2)で示される構成単位を有する分岐鎖状ポリグリシドールは、例えばグリシドール、3−クロロ−1,2−プロパンジオールを重合することにより合成することができる。平均重合度は、例えば1以上、好ましくは1〜50、特に好ましくは2〜40、最も好ましくは3を超え20以下である。平均重合度が上記範囲を下回ると、得られる固体電解質の結晶化度が上昇してアモルファス領域が減少し、イオン伝導度が低下する傾向がある。一方、平均重合度が上記範囲を上回ると、粘度が高くなりすぎてハンドリング性が低下する傾向がある。
前記分岐鎖状ポリグリシドールを合成する重合反応は、触媒の存在下で行うことが好ましい。前記触媒としては、例えば、塩基性触媒[例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;トリエチルアミン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、ピリジン等の第3級アミン等]、酸触媒[例えば、ヘキサフルオロリン酸・ジエチルエーテレート(HPF6・OEt2)、リン酸、酢酸、ルイス酸(例えば、トリフルオロボレート・ジエチルエーテレート(BF3・OEt2)、SnCl4)等]等を挙げることができる。尚、Etはエチル基を示す。
また、上記重合反応は、開始剤となる活性水素化合物の存在下で行うことが好ましい。前記活性水素化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール等のモノオール類;グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、トリオース、テトラオース、ペンタオース、ヘキソース等のポリオール類;ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール等の水酸基を有する高分子化合物等を挙げることができる。
上記式(1)及び(2)で示される構成単位を有するグリシドール分岐鎖状ポリグリシドールを得る方法としては、例えば、フラスコ内に前記開始剤となる活性水素化合物と触媒を添加し、所定温度(例えば、100〜120℃)に調整した後、グリシドールを滴下し、撹拌しながら反応(ランダム重合及び/又はブロック重合)させることによりポリグリシドールを得る方法等が挙げられる。
前記活性水素化合物の添加量としては、グリシドール 1モルに対し、例えば0.0001〜1モル程度、好ましくは0.001〜1モル、特に好ましくは0.005〜0.5モル、最も好ましくは0.01〜0.1モルである。
前記触媒の添加量としては、仕込み量全体対し、例えば200〜2000ppm程度である。
分岐鎖状ポリグリシドールの重量平均分子量(Mw)(ポリエチレングリコール換算)としては、例えば200〜2000程度、好ましくは250〜1500、特に好ましくは250〜1000である。また、分子量分布(Mw/Mn)としては、例えば1〜3程度、好ましくは1〜2である。分岐鎖状ポリグリシドールの重量平均分子量(Mw)が上記範囲を下回ると、ラジカル重合しても固体電解質を形成することが困難となる傾向がある。一方、分岐鎖状ポリグリシドールの重量平均分子量(Mw)が上記範囲を上回ると、粘度が高くなりすぎ、作業性が低下する傾向がある。分岐鎖状ポリグリシドールの重量平均分子量は、例えばゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)等を用いて求めることができる。
本発明において、分岐鎖状ポリグリシドールの分岐度は、上記式(1)及び(2)で示される構成単位を有するポリグリシドールにおける、上記式(1)で表される構成単位の占める割合で表され、ポリグリシドールが含有する一級水酸基(水酸基が結合している炭素原子に1個の炭素原子が結合している水酸基)及び二級水酸基(水酸基が結合している炭素原子に2個の炭素原子が結合している水酸基)のうち、一級水酸基の割合を算出することにより評価することができる。具体的には、13C−NMRを用い、一級水酸基を有する炭素原子と、二級水酸基を有する炭素原子に由来するピーク面積を測定し、下記式から算出することができる。
分岐度(%)=(一級水酸基を有する炭素原子のピーク面積/一級水酸基を有する炭素原子、及び二級水酸基を有する炭素原子のピーク面積総和)×100
本発明の分岐鎖状ポリグリシドールの分岐度としては、例えば50%以上であり、好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上、最も好ましくは75%以上である。前記範囲の分岐度を有する分岐鎖状ポリグリシドールは、結晶化度が低く、アモルファス(無定形)領域を多く含む密度の低い硬化物を形成することができ、多量のイオン導電性塩を溶解しても結晶化度が上昇することがなく、極めて高いイオン伝導度を有する固体電解質を形成することができる。
本発明における分岐鎖状ポリグリシドールとしては、例えば、商品名「PGL03P」(トリグリセリン、分岐度:71%)、商品名「PGL04P」(テトラグリセリン、分岐度:72%)、商品名「PGL10PS」(デカグリセリン、分岐度:78%)(以上(株)ダイセル製)等の市販品を好適に使用することができる。
本発明のポリグリシドール誘導体は、前記分岐鎖状ポリグリシドールが有するOH基の10%以上(例えば10〜20%程度、好ましくは10〜18%、特に好ましくは10〜16%)がスルホン基(−SO3H)又はスルホン基の水素を他のカチオンで置換した基で封鎖されていることを特徴とする。分岐鎖状ポリグリシドールが有するOH基のうち、前記基で封鎖されている基の割合が上記範囲を下回ると、多量のイオン導電性塩の溶解性が低下し、イオン伝導性が低下する傾向がある。一方、前記基で封鎖されている割合が多くなりすぎると、得られる固体電解質の結晶化度が上昇してアモルファス領域が減少し、やはり、イオン伝導度が低下する傾向がある。
前記スルホン基の水素を他のカチオンで置換した基としては、例えば、−SO3Li、−SO3Na、−SO3K等のスルホン基の水素を金属カチオン(例えば、アルカリ金属カチオン等)で置換した基等を挙げることができる。本発明のポリグリシドール誘導体は前記スルホン基、及びスルホン基の水素を他のカチオンで置換した基から選択される基を1種有していてもよく、2種以上を組み合わせて有していてもよい。
本発明のポリグリシドール誘導体は、また、OH基の10%以上がスルホン基(−SO3H)又はスルホン基の水素を他のカチオンで置換した基で封鎖されていると共に、OH基の10%未満(例えば3〜8%程度)が、重合性官能基(例えば、(メタ)アクリル基、ビニル基等)で封鎖されていてもよい。
更に、疎水性及び/又は難燃性を有するポリグリシドール誘導体を所望する場合は、分岐鎖状ポリグリシドールが有するOH基の例えば10〜20%(好ましくは10〜18%、特に好ましくは10〜16%、最も好ましくは10〜14%)をハロゲン原子、R3Si−基(R:例えば、メチル、エチル、ブチル基等の炭素数1〜6炭化水素基)、リン原子を含む基(例えば、H2PO4基等)で封鎖することが好ましい。
分岐鎖状ポリグリシドールが有するOH基のスルホン基又はスルホン基の水素を他のカチオンで置換した基による封鎖方法としては、公知慣用の方法を採用することができる。例えば、スルホン酸リチウム基(−SO3Li)で封鎖する方法としては、分岐鎖状ポリグリシドールに水酸化リチウム水溶液を添加し、この溶液を140℃程度まで加温し減圧することによりアルコキシド化合物を得、得られたアルコキシド化合物に、1,3−プロパンスルトンを添加する方法等を挙げることができる。スルホン基又はスルホン基の水素を他のカチオンで置換した基の導入量は、1,3−プロパンスルトンの添加量をコントロールすることにより調整することができる。
本発明のポリグリシドール誘導体は上記構成を有するため、イオン導電性塩の溶解性に優れ、且つ、イオン導電性塩を高濃度に添加しても、結晶化度の低いアモルファス領域を多く有する、イオン伝導性に優れた硬化物を形成することができる。
[固体電解質用組成物]
本発明の固体電解質用組成物は、上記ポリグリシドール誘導体、及びイオン導電性塩を少なくとも含有する。
前記イオン導電性塩としては、通常の電気化学素子用に用いられているものであれば特に制限なく使用することができ、例えば、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiSbF6、LiCF3SO3、LiCF3COO、NaClO4、NaBF4、NaSCN、KBF4、Mg(ClO42、Mg(BF42、(C494NBF4、(C254NBF4、(C494NClO4等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
イオン導電性塩の含有量としては、使用するイオン導電性塩の種類、ポリグリシドール誘導体の分子量等により適宜調整することができ、ポリグリシドール誘導体100重量部に対して、例えば1〜50重量部程度、好ましくは5〜30重量部、より好ましくは8〜20重量部である。イオン導電性塩の含有量が上記範囲を下回ると、イオン濃度が希薄となり、イオン伝導性が低くなりすぎる傾向がある。一方、イオン導電性塩の含有量が上記範囲を上回ると、ポリグリシドール誘導体のイオン導電性塩に対する溶解能力を越えてしまいイオン導電性塩の析出が生じる場合がある。
また、本発明の固体電解質用組成物には、上記ポリグリシドール誘導体及びイオン導電性塩以外にも他の成分を含有していても良い。本発明においては、なかでも、樹脂成分を含有することが好ましい。樹脂成分を含有することにより、得られる固体電解質に一層優れた品質保持性、液漏れ防止性及び難燃性を付与することができる。
前記樹脂成分としては、例えば、アセチルセルロース、2酢酸セルロース、3酢酸セルロース等の酢酸セルロース類、ニトロセルロース、セルロース粉末、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ビスコースレーヨン、ビニロン、セロハン等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、なかでも、固体電解質に、イオン伝導性の低下を引き起こすことなく、一層優れた品質保持性、液漏れ防止性及び難燃性を付与することができる点で、ヒドロキシエチルセルロースを使用することが好ましい。
樹脂成分の含有量としては、固体電解質用組成物全量の、例えば20〜60重量%程度であり、好ましくは30〜50重量%である。樹脂成分の含有量が上記範囲を下回ると、固体電解質の品質保持性、液漏れ防止性及び難燃性の向上効果が得られ難くなる傾向がある。一方、樹脂成分の含有量が上記範囲を上回ると、イオン導電性塩の溶解性が低下して、イオン伝導性が低下する傾向がある。
本発明の固体電解質用組成物には、更にまた、ポリグリシドール誘導体以外にもイオン導電性塩を溶解することができる溶媒を配合してもよい。前記溶媒としては、例えば、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、メチルジグライム、メチルトリグライム、メチルテトラグライム、エチルグライム、エチルジグライム、ブチルジグライム、グリコールエーテル類(例えば、エチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等)等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキサン等の複素環式エーテル;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、3−メチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン、3−エチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン等のブチロラクトン類;水、アルコール溶剤(例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等)、ポリオキシアルキレンポリオール(エチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリオキシエチレン・オキシプロピレングリコール並びに、これらの2種以上の併用)、アミド溶剤(例えば、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルピロジリノン等)、カーボネート溶剤(例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、スチレンカーボネート等)、イミダゾリジノン溶剤(例えば、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)等を挙げることができる。これらは単独で或いは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の固体電解質用組成物は、上記ポリグリシドール誘導体、イオン導電性塩、及び必要に応じて他の成分を配合し、例えば真空下で気泡を排除しつつ、撹拌・混合することにより調製される。撹拌・混合する際の温度は、例えば10〜60℃程度である。撹拌・混合には、公知の装置、例えば、自転公転型ミキサー、1軸又は多軸エクストルーダー、プラネタリーミキサー、ニーダー、ディソルバー等を使用できる。
[固体電解質]
本発明の固体電解質は、前記固体電解質用組成物を、室温で又は加熱環境下で乾燥させることにより硬化して得られる。加熱環境下で乾燥させる場合、加熱温度としては、例えば100〜120℃程度である。
本発明の固体電解質は電気抵抗率が低く、電気伝導性に優れる(すなわち、イオン伝導性に優れる)。本発明の固体電解質の電気伝導度[log(σ/Scm-1)]としては、例えば10-5以上、好ましくは10-4以上、特に好ましくは10-4〜10-3である。
また、本発明の固体電解質は、揮発して消失又は変性することが無く品質保持性に優れ、液漏れし難く、難燃性である。そのため、本発明の固体電解質を用いる二次電池は、金属缶による外装を省略することができ、軽量化が可能となる。そのため、電子機器の薄型化、軽量化に貢献することができ、例えば、携帯電話、PDA、ノート型パソコン等可搬型電子機器における二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池等)に好適に使用することができる。
更にまた、本発明の固体電解質用組成物は所望の形状に成型して硬化させることができる。例えば、フィルム状に成型・硬化して得られた固体電解質は、通常、正極板と負極板の間に、両極活物質の接触に伴う短絡を防止することを目的として設けられるセパレーターを不要とし、電池の更なる軽量化を可能にする。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
合成例1[モノスルホン酸リチウム化デカグリセリンの合成]
デカグリセリン(分岐度:78%、商品名「PGL10PS」、株式会社ダイセル製)166.9g(0.22モル)、水酸化リチウム1水和物 9.3g(0.22モル)を四口フラスコに仕込み、反応系内の温度を140℃とし、水分を除去する目的で系中を20torrまで減圧し、8時間乾燥させた。その後、1,3−プロパンスルトン 27.0g(0.22モル)を4時間かけて滴下し、モノスルホン酸リチウム化デカグリセリン(化合物1)を得た。
合成例2[モノスルホン酸リチウム化トリグリセリンの合成]
トリグリセリン(分岐度:71%、商品名「PGL03P」、株式会社ダイセル製)52.8g(0.22モル)、水酸化リチウム1水和物 9.3g(0.22モル)を四口フラスコに仕込み、反応系内の温度を140℃とし、水分を除去する目的で系中を20torrまで減圧し、8時間乾燥させた。その後、1,3−プロパンスルトン 27.0g(0.22モル)を4時間かけて滴下し、モノスルホン酸リチウム化トリグリセリン(化合物2)を得た。
実施例1、2
合成例1、2で得られた化合物1、2を表1の組成に従い等量の水と共に混合し、ガラス基板に展開後、乾燥してフィルム1、2を得た。
比較例1
合成例1で得られた化合物1に代えて、デカグリセリン(分岐度:25%)を使用した以外は実施例1と同様にしてフィルム3を得た。
比較例2
合成例1で得られた化合物1に代えて、トリグリセリン(分岐度:23%)を使用した以外は実施例1と同様にしてフィルム4を得た。
実施例及び比較例で得られたフィルム1〜4について、イオン伝導性を下記方法により評価した。
(イオン伝導性の評価方法)
PSPプローブを備えた抵抗率計(商品名「Loresta−GP MCP−T610」、三菱化学(株)製)を使用し、室温(25℃)における電気伝導度[log(σ/Scm-1)]を測定することによりイオン伝導性を評価した。
Figure 2013142095

Claims (6)

  1. 下記式(1)及び(2)
    Figure 2013142095
    で示される構成単位を有する分岐鎖状ポリグリシドールから誘導されるポリグリシドール誘導体であって、前記分岐鎖状ポリグリシドールが有するOH基の10%以上がスルホン基又はスルホン基の水素を他のカチオンで置換した基で封鎖されていることを特徴とするポリグリシドール誘導体。
  2. 分岐鎖状ポリグリシドールの分岐度が50%以上である請求項1に記載のポリグリシドール誘導体。
  3. 請求項1又は2に記載のポリグリシドール誘導体、及びイオン導電性塩を少なくとも含有する固体電解質用組成物。
  4. 更に、樹脂成分を含有する請求項3に記載の固体電解質用組成物。
  5. 請求項3又は4に記載の固体電解質用組成物を硬化して得られる固体電解質。
  6. フィルム状である請求項5に記載の固体電解質。
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