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JP2013037781A - 透明導電性部材の製造方法、及び中間部材 - Google Patents

透明導電性部材の製造方法、及び中間部材 Download PDF

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JP2013037781A JP2011170461A JP2011170461A JP2013037781A JP 2013037781 A JP2013037781 A JP 2013037781A JP 2011170461 A JP2011170461 A JP 2011170461A JP 2011170461 A JP2011170461 A JP 2011170461A JP 2013037781 A JP2013037781 A JP 2013037781A
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Tomoyuki Inoue
知之 井上
Minoru Inoue
井上  稔
Hiroshi Tamaru
博 田丸
Hikari Tsujimoto
光 辻本
Naemi Minami
名栄美 南
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Abstract

【課題】本発明は、優れた透明性及び導電性を兼ね備える透明導電性部材を生産性良く製造することができる透明導電性部材の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る透明導電性部材の製造方法は、金属箔を準備するステップ、
前記金属箔上にグラフェン層を形成するステップ、前記グラフェン層上に、直接又は一若しくは複数の層を介して、未硬化状態又は半硬化状態の反応性硬化型樹脂組成物からなる樹脂層を形成することで、中間部材を得るステップ、前記中間部材の前記樹脂層に透明な基材を重ね、続いて前記樹脂層を硬化させることで、積層物を得るステップ、及び前記積層物から金属箔を除去するステップを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明性と導電性とを兼ね備える透明導電性部材の製造方法、及びこの方法において使用される中間部材に関する。
透明性と導電性とを兼ね備える部材は、透明電極、タッチパネル用部品等に適用されており、用途の拡大も期待されている。このような部材としては、例えばガラス基材等の透明な基材にITOを堆積させることで構成される部材が代表例として挙げられる。
しかし、ITOの主成分であるインジウムは稀少な金属であることから、コスト面並びに資源枯渇に関する問題がある。
一方、近年、高い透明性と導電性とを兼ね備える材料としてグラフェンシートが注目されつつある(特許文献1参照)。グラフェンシートはsp結合により炭素原子が平面状に六角格子構造で配置されることで構成される1原子分の厚さのシートであって、その室温での電気抵抗値が銅の2/3、その電流密度耐性が銅の100倍以上であるという、導電性、耐久性に共に優れる材料である。
しかし、透明導電性部材にグラフェンシートを適用する場合の透明導電性部材の製造方法は未だ充分に確立されてはいない。
そこで、本発明者らはグラフェンシートを適用する透明導電性部材を製造するために、次の方法について検討した。まず、一層又は複数層のグラフェンシートからなるグラフェン層を蒸着法等により銅箔等の金属箔上に形成する。このグラフェン層4に転写用のプラスチックフィルム(転写用フィルム)を重ね、続いて金属箔を全てエッチング処理等により除去する。これにより、転写用フィルムと、その上に重ねられているグラフェン層4とを備える転写用の部材が形成される。この転写用の部材におけるグラフェン層を、透明な基材に重ねて接合し、続いてグラフェン層から転写用フィルムを剥離する。これにより、透明な基材と、この基材上に積層されているグラフェン層とを備える透明導電性部材が得られる。
しかし、当該方法では、グラフェン層を転写用フィルムへ転写してから更に基材上に転写する必要があり、このため工程数が多くなってしまうという問題がある。また転写用フィルムという、最終製品には含まれない部材が必要となってしまい、このため生産コストが高くなるという問題もある。またグラフェン層と基材との密着性を確保することが難しいという問題もある。
特開2009−107921号公報
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであり、優れた透明性及び導電性を兼ね備える透明導電性部材を生産性良く製造することができる透明導電性部材の製造方法、及びこの方法において使用される中間部材を提供することを目的とする。
本発明に係る透明導電性部材の製造方法は、
金属箔を準備するステップ、
前記金属箔上にグラフェン層を形成するステップ、
前記グラフェン層上に、直接又は一若しくは複数の層を介して、未硬化状態又は半硬化状態の反応性硬化型樹脂組成物からなる樹脂層を形成することで、中間部材を得るステップ、
前記中間部材の前記樹脂層に透明な基材を重ね、続いて前記樹脂層を硬化させることで、積層物を得るステップ、及び
前記積層物から金属箔を除去するステップを含む。
本発明において、前記樹脂層を硬化させることで、この樹脂層の硬化物からなるハードコート層を形成することが好ましい。
本発明において、前記樹脂層を硬化させることで、この樹脂層の硬化物を含む反射防止層を形成することも好ましい。
本発明に係る中間部材は、金属箔と、グラフェン層と、樹脂層とを備え、前記グラフェン層が金属箔に形成されていると共に前記金属箔と前記樹脂層との間に介在し、前記樹脂層が未硬化状態又は半硬化状態の反応性硬化型樹脂組成物からなる。
本発明によれば、優れた透明性及び導電性を兼ね備える透明導電性部材を生産性良く製造することができる。
(a)乃至(e)は本発明の実施形態に係る透明導電性部材の製造方法の第一の態様を示す断面図である。 (a)乃至(f)は本発明の実施形態に係る透明導電性部材の製造方法の第二の態様を示す断面図である。 (a)乃至(e)は本発明の実施形態に係る透明導電性部材の製造方法の第三の態様を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る透明導電性部材の製造方法に適用される製造装置の一例を示す概略図である。 (a)は本発明により製造される透明導電性部材の第一の例を示す断面図、(b)は本発明により製造される透明導電性部材の第二の例を示す断面図、(c)は本発明により製造される透明導電性部材の第三の例を示す断面図である。
本実施形態による透明導電性部材の製造方法によれば、基材と、樹脂層の硬化物からなる層と、グラフェン層とを備える透明導電性部材が得られる。基材と、樹脂層の硬化物からなる層とは直接接している。グラフェン層と樹脂層の硬化物からなる層とは直接接しており、或いはグラフェン層と樹脂層の硬化物からなる層との間に一又は複数の層が介在する。本実施形態で製造される透明導電性部材の第一の例を図5(a)に、第二の例を図5(b)に、第三の例を図5(c)に、それぞれ示す。
図5(a)に示す第一の例では、透明導電性部材1は基材2、ハードコート層5、及びグラフェン層4を備える。本例においては、ハードコート層5が樹脂層の硬化物からなる層である。基材2、ハードコート層5、及びグラフェン層4はこの順番に積層している。すなわち、基材2の第一の主面上にハードコート層5が積層し、ハードコート層5の基材2とは反対側の主面上にグラフェン層4が積層している。基材2、ハードコート層5、及びグラフェン層4のうちのいずれの要素も光透過性を有し、透明導電性部材1が全体として光透過性を有する。
基材2の材質としてはソーダライムガラス、無アルカリガラスなどの透明ガラス;ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂、セルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等のプラスチックなどが挙げられる。基材2の形状はフィルム状でも板状でもよい。特に基材2がポリエステルフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルムなどのプラスチックフィルムから形成される場合には、後述するようにいわゆるロール・ツー・ロール製法により透明導電性部材1が効率良く製造され得る。
基材2がポリエステルフィルムから形成される場合には、ポリエステルとして、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等のグリコール成分とが反応することで生成する芳香族ポリエステルが好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタリンジカルボキシレートなどが好ましい。またポリエステルは、前記例示した複数の成分等の共重合ポリエステルであってもよい。
基材2は有機または無機の粒子を含有してもよい。この場合、基材2の巻き取り性、搬送性等が向上する。このような粒子として、炭酸カルシウム粒子、酸化カルシウム粒子、酸化アルミニウム粒子、カオリン、酸化珪素粒子、酸化亜鉛粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、尿素樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等が挙げられる。基材2は、着色剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、潤滑剤、触媒、他の樹脂等も、透明性を損なわない範囲で含有してもよい。
基材2のヘイズは3%以下であることが好ましく、この場合、透明導電性部材1を通した映像等の視認性が向上し、光学的用途のフィルムとして特に適したものとなる。ヘイズが1.5%以下であれば更に好ましい。
基材2の厚みは特に制限されないが、基材2がフィルム状である場合にはその厚みは25μm以上200μm以下の範囲であることが好ましい。特に基材2の厚みが25μm以上100μm以下であると、透明導電性部材1の薄型化、軽量化が可能となり、また透明導電性部材1の表裏における干渉の発生が抑制され、更に基材2が加熱される際の熱収縮が抑制されて基材2の熱収縮による加工性の悪化等の不具合が抑制される。
ハードコート層5は、基材2よりも高い硬度を有する層である。透明導電性部材1がハードコート層5を備えると、透明導電性部材1の機械的強度が向上する。ハードコート層5の鉛筆硬度はH以上であることが好ましく、2H以上であれば更に好ましい。
ハードコート層5の屈折率は、1.45〜1.65の範囲であることが好ましい。ハードコート層5の屈折率がこのような範囲であると、ハードコート層5と基材2との間における干渉ムラの発生が抑制される。
ハードコート層5の厚みは、特に制限されないが、1〜2μmの範囲、或いはそれ以上の厚みであれば、透明導電性部材1の機械的強度が充分に向上する。
ハードコート層5は、反応性硬化型樹脂組成物から形成されることが好ましく、例えば熱硬化型樹脂組成物と活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の少なくとも一方から形成されることが好ましい。以下、ハードコート層5を形成するための反応性硬化型樹脂組成物を第一の反応性硬化型樹脂組成物という。
熱硬化型樹脂組成物は、例えばフェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等の熱硬化性樹脂を含有する。熱硬化性樹脂と共に、必要に応じて架橋剤、重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤、溶剤等が使用されてもよい。このような熱硬化型樹脂組成物が塗布され、続いてこの熱硬化型樹脂組成物が加熱されて熱硬化することで、ハードコート層5が形成され得る。
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、アクリレート系の官能基を有する樹脂を含むことが好ましい。アクリレート系の官能基を有する樹脂としては、例えば比較的低分子量の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマー、プレポリマーなどが挙げられる。前記の多官能化合物としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等が挙げられる。活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は更に反応性希釈剤を含有することも好ましい。反応性希釈剤としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー、並びにトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートの多官能モノマーが挙げられる。
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が紫外線硬化型樹脂組成物などの光硬化型樹脂組成物である場合には、光硬化型樹脂組成物が光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としてはアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類などが挙げられる。光硬化型樹脂組成物が光重合開始剤に加えて、或いは光重合開始剤に代えて、光増感剤を含有してもよい。光増感剤としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、チオキサントンなどが挙げられる。このような光硬化型樹脂組成物が塗布され、続いてこの光硬化型樹脂組成物に紫外線などの光が照射されて光硬化することで、ハードコート層5が形成され得る。
ハードコート層5の屈折率は、ハードコート層5を形成するための樹脂組成物の組成によって容易に調整され得る。また、ハードコート層5が屈折率調整用の粒子を含有すると共にその割合が調整されることで、ハードコート層5の屈折率が調整されることも好ましい。
屈折率調整用の粒子の粒径は十分に小さいこと、すなわち屈折率調整用の粒子がいわゆる超微粒子であるが好ましく、この場合、ハードコート層5の光透過性が十分に維持されるようになる。屈折率調整用の粒子の粒径は特に、0.5nm〜200nmの範囲であることが好ましい。この屈折率調整用の粒子の粒径とは、粒子の電子顕微鏡写真画像から算出される投影面積と同一の面積を有する円(面積相当円)の径のことである。
屈折率調整用の粒子は、比較的屈折率の高い粒子であることが好ましく、特に屈折率が1.6以上の粒子であることが好ましい。この粒子は、金属や金属酸化物の粒子であることが好ましい。
ハードコート層5中の屈折率調整用の粒子の含有量は、ハードコート層5の屈折率が適切な値となるように適宜調整されるが、特にハードコート層5中の屈折率調整用の粒子の割合が5〜70体積%となるように調整されることが好ましい。
屈折率調整用の粒子の具体例としては、チタン、アルミニウム、セリウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、アンチモンから選ばれる一種あるいは二種以上の酸化物を含有する粒子が挙げられる。酸化物の具体例としては、ZnO(屈折率1.90)、TiO(屈折率2.3〜2.7)、CeO(屈折率1.95)、Sb(屈折率1.71)、SnO、ITO(屈折率1.95)、Y(屈折率1.87)、La(屈折率1.95)、ZrO(屈折率2.05)、Al(屈折率1.63)等が挙げられる。
ハードコート層5には帯電防止性能が付与されていることも好ましい。この場合、透明導電性部材1の帯電が抑制され、また透明導電性部材1へ埃の付着が抑制される。そのためには、ハードコート層5が導電性粒子を含有することが好ましい。導電性粒子は同時に屈折率調整用の粒子としても機能してもよい。導電性粒子はナノ粒子であることが好ましく、特に粒径が0.5〜200nmの超微粒子であることが好ましい。導電性粒子の粒径も面積相当円の径である。導電性粒子の材質としては導電性を有する適宜の金属、金属酸化物等が挙げられ、具体的にはインジウム、亜鉛、錫、アンチモンから選ばれる一種又は二種以上の金属の酸化物が挙げられ、更に具体的には酸化インジウム(ITO)、酸化錫(SnO)、アンチモン/錫酸化物(ATO)、鉛/チタン酸化物(PTO)、アンチモン酸化物(Sb)等が挙げられる。
ハードコート層5に十分な帯電防止性能が付与されるためには、導電性粒子を含有することでハードコート層5のシート抵抗が1015Ω/□以下となることが好ましい。ハードコート層5のシート抵抗は小さいほど帯電防止性が向上するので、下限は特に設定されないが、シート抵抗を小さくするのには限界があるため、ハードコート層5のシート抵抗の実質的な下限は10Ω/□である。
ハードコート層5中の導電性粒子の含有量は、ハードコート層5の帯電防止性能が適切な程度となるように適宜調整されるが、特にハードコート層5中の導電性粒子の割合が5〜70質量%となるように調整されることが好ましい。
グラフェン層4はグラフェンシートから構成される。グラフェンシートは、例えば熱CVD法やプラズマCVD法などの蒸着法により形成される。この場合、例えばチャンバー内に気相状態の炭素源を供給し、この炭素源をチャンバー内で加熱したりプラズマ処理したりすることにより、炭素源が分解すると共に炭素原子が互いに結合して六角形の平面構造を形成し、これによりグラフェンシートが形成される。
グラフェンシートを形成するための炭素源としては、特に制限されないが、一酸化炭素、メタン、エタン、エチレン、エタノール、アセチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブタジエン、ペンタン、ペンテン、シクロペンタジエン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。
熱CVD法によりグラフェン層4が形成される場合、チャンバー内の温度、チャンバー内の炭素源の圧力等は適宜調整される。チャンバー内の温度は例えば300〜2000℃の範囲に調整される。またチャンバー内の炭素源の圧力は例えば1.3×10−4〜1.4×10Paの範囲で調整され、好ましくは1.3×10−1〜1.0×10Paの範囲で調整される。
熱CVD法によりグラフェン層4が形成される場合には、チャンバー内に炭素源と共に水素が供給されることも好ましい。この場合の水素の量は、チャンバー全体の体積の5体積%以上40体積%以下であることが好ましく、10体積%以上30体積%以下であれば更に好ましく、15体積%以上25体積%以下であれば特に好ましい。
グラフェン層4は単層のグラフェンシートから構成されてもよいが、複数層のグラフェンシートから構成されてもよい。グラフェン層4は1層以上300層以下のグラフェンシートからなることが好ましく、1層以上15層以下のグラフェンシートからなることが特に好ましい。
図5(b)に示す第二の例では、透明導電性部材1は基材2、ハードコート層5、反射防止層3、及びグラフェン層4を備える。基材2、ハードコート層5、反射防止層3、及びグラフェン層4はこの順番に積層している。すなわち、基材2の第一の主面上にハードコート層5が積層し、ハードコート層5の基材2とは反対側の主面上に反射防止層3が積層し、反射防止層3の基材2とは反対側の主面上にグラフェン層4が積層している。基材2、ハードコート層5、反射防止層3、及びグラフェン層4のうちのいずれの要素も光透過性を有し、透明導電性部材1が全体として光透過性を有する。本例においては、ハードコート層5が樹脂層の硬化物からなる層である。
本例において、基材2、ハードコート層5、及びグラフェン層4は、第一の例と同じ構成を有する。
反射防止層3は反射光の光学的な干渉を引き起こすことで反射光の強度を低減するように機能する層である。反射防止層3は反応性硬化型樹脂組成物から形成されることが好ましい。反射防止層3は公知の適宜の構成を有すればよいが、例えば高屈折率層31と、この高屈折率層31の基材2とは反対側に積層する低屈折率層32とを備える。低屈折率層32とは高屈折率層31よりも屈折率の低い層である。
高屈折率層31の屈折率は、特に制限されないが、例えば1.50以上2.30以下の範囲である。また高屈折率層31の厚みは例えば50nm以上5000nm以下の範囲である。
高屈折率層31は、反応性硬化型樹脂組成物から形成されることが好ましく、例えば熱硬化型樹脂組成物と活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の少なくとも一方から形成されることが好ましい。以下、高屈折率層31を形成するための反応性硬化型樹脂組成物を第二の反応性硬化型樹脂組成物という。
高屈折率層31を形成するための熱硬化型樹脂組成物は、例えばフェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等の熱硬化性樹脂を含有する。熱硬化性樹脂と共に、必要に応じて架橋剤、重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤、溶剤等が使用されてもよい。このような熱硬化型樹脂組成物が塗布され、続いてこの熱硬化型樹脂組成物が加熱されて熱硬化することで、高屈折率層31が形成され得る。
高屈折率層31を形成するための活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、アクリレート系の官能基を有する樹脂を含むことが好ましい。アクリレート系の官能基を有する樹脂としては、例えば比較的低分子量の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマー、プレポリマーなどが挙げられる。前記の多官能化合物としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等が挙げられる。活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は更に反応性希釈剤を含有することも好ましい。反応性希釈剤としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー、並びにトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートの多官能モノマーが挙げられる。
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が紫外線硬化型樹脂組成物などの光硬化型樹脂組成物である場合には、光硬化型樹脂組成物が光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としてはアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類などが挙げられる。光硬化型樹脂組成物が光重合開始剤に加えて、或いは光重合開始剤に代えて、光増感剤を含有してもよい。光増感剤としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、チオキサントンなどが挙げられる。このような光硬化型樹脂組成物が例えば基材2上或いはアンチブロッキング層上に塗布され、続いてこの光硬化型樹脂組成物に紫外線などの光が照射されて光硬化することで、高屈折率層31が形成され得る。
高屈折率層31の屈折率は、高屈折率層31を形成するための樹脂組成物の組成によって容易に調整され得る。高屈折率層31が屈折率調整用の粒子を含有すると共にその割合が調整されることで、高屈折率層31の屈折率が調整されることも好ましい。
屈折率調整用の粒子の粒径は十分に小さいこと、すなわち屈折率調整用の粒子がいわゆる超微粒子であることが好ましく、この場合、高屈折率層31の光透過性が十分に維持されるようになる。屈折率調整用の粒子の粒径は特に、0.5nm〜200nmの範囲であることが好ましい。この屈折率調整用の粒子の粒径とは、粒子の電子顕微鏡写真画像から算出される投影面積と同一の面積を有する円(面積相当円)の径のことである。
屈折率調整用の粒子は、比較的屈折率の高い粒子であることが好ましく、特に屈折率が1.6以上の粒子であることが好ましい。この粒子は、金属や金属酸化物の粒子であることが好ましい。
高屈折率層31中の屈折率調整用の粒子の含有量は、高屈折率層31の屈折率が適切な値となるように適宜調整されるが、特に高屈折率層31中の屈折率調整用の粒子の割合が5〜70体積%となるように調整されることが好ましい。
屈折率調整用の粒子の具体例としては、チタン、アルミニウム、セリウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、アンチモンから選ばれる一種あるいは二種以上の酸化物を含有する粒子が挙げられる。酸化物の具体例としては、ZnO(屈折率1.90)、TiO(屈折率2.3〜2.7)、CeO(屈折率1.95)、Sb(屈折率1.71)、SnO、ITO(屈折率1.95)、Y(屈折率1.87)、La(屈折率1.95)、ZrO(屈折率2.05)、Al(屈折率1.63)等が挙げられる。
高屈折率層31には帯電防止性能が付与されていることも好ましい。この場合、透明導電性部材1の帯電が抑制され、また透明導電性部材1へ埃の付着が抑制される。そのためには、高屈折率層31が導電性粒子を含有することが好ましい。導電性粒子は同時に屈折率調整用の粒子としても機能してもよい。導電性粒子はナノ粒子であることが好ましく、特に粒径が0.5〜200nmの超微粒子であることが好ましい。導電性粒子の粒径も面積相当円の径である。導電性粒子の材質としては導電性を有する適宜の金属、金属酸化物等が挙げられ、具体的にはインジウム、亜鉛、錫、アンチモンから選ばれる一種又は二種以上の金属の酸化物が挙げられ、更に具体的には酸化インジウム(ITO)、酸化錫(SnO)、アンチモン/錫酸化物(ATO)、鉛/チタン酸化物(PTO)、アンチモン酸化物(Sb)等が挙げられる。
高屈折率層31に十分な帯電防止性能が付与されるためには、導電性粒子を含有することで高屈折率層31のシート抵抗が1015Ω/□以下となることが好ましい。高屈折率層31のシート抵抗は小さいほど帯電防止性が向上するので、下限は特に設定されないが、シート抵抗を小さくするのには限界があるため、高屈折率層31のシート抵抗の実質的な下限は10Ω/□である。
高屈折率層31の導電性粒子の含有量は、高屈折率層31の帯電防止性能が適切な程度となるように適宜調整されるが、特に高屈折率層31中の導電性粒子の割合が5〜70質量%となるように調整されることが好ましい。
高屈折率層31は、チタン、アルミニウム、セリウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、アンチモンから選ばれる一種あるいは二種以上の酸化物を含有する粒子と共に、メタクリル官能性シランと、アクリル官能性シランとのうち少なくとも一方を含有することも好ましい。この場合、高屈折率層31と低屈折率層32との密着性が向上する。メタクリル官能性シランとしては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。アクリル官能性シランとしては3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
高屈折率層31中のメタクリル官能性シランとアクリル官能性シランの含有量は特に制限されないが、高屈折率層31中のメタクリル官能性シランとアクリル官能性シランの総量の割合が5〜30質量%の範囲であることが好ましい。前記割合が5質量%以上であると高屈折率層31と低屈折率層32との密着性が十分に高くなり、また前記割合が30質量%以下であると高屈折率層31中の架橋密度が十分に向上して高屈折率層31の硬度が十分に高くなる。
低屈折率層32の屈折率は、基材2及び高屈折率層31のいずれの屈折率よりも低いことが好ましい。例えば低屈折率層32の屈折率は1.10以上1.45以下の範囲である。また低屈折率層32の厚み(実膜厚)は例えば20nm以上200nm以下の範囲である。
低屈折率層32も反応性硬化型樹脂組成物から形成されることが好ましく、例えば熱硬化型樹脂組成物と活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の少なくとも一方から形成されることが好ましい。以下、低屈折率層32を形成するための反応性硬化型樹脂組成物を、第三の反応性硬化型樹脂組成物という。低屈折率層32は、例えばバインダー材料及び必要に応じて使用される屈折率調整用の粒子を含有する組成物から形成される。バインダー材料と屈折率調整用の粒子とが併用される場合、両者の組み合わせ、配合比等により低屈折率層32の屈折率が適宜調整される。
バインダー材料としては、シリコンアルコキシド系樹脂、飽和炭化水素及びポリエーテルの少なくともいずれかを主鎖とするポリマー(例えばUV硬化型樹脂組成物、熱硬化型樹脂組成物等)、ポリマー鎖中にフッ素原子を含む単位を含む樹脂などが挙げられる。
シリコンアルコキシド系樹脂としては、RSi(OR´)で表されるシリコンアルコキシド(R、R´は炭素数1〜10のアルキル基、m+n=4、m及びnはそれぞれ整数。)の部分加水分解縮合物であるオリゴマー及びポリマーが、挙げられる。シリコンアルコキシドとしては、具体的にはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が例示される。
バインダー材料として、熱又は活性エネルギー線によって反応架橋する複数の基(重合性二重結合基等)を有する反応性有機珪素化合物が用いられてもよい。この有機珪素化合物の分子量は5000以下であることが好ましい。このような反応性有機珪素化合物としては、片末端ビニル官能性ポリシラン、両末端ビニル官能性ポリシラン、片末端ビニル官能ポリシロキサン、両末端ビニル官能性ポリシロキサン、並びにこれらの化合物を反応させて得られるビニル官能性ポリシラン及びビニル官能性ポリシロキサン等が挙げられる。これら以外にも、反応性有機珪素化合物としては、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン化合物が挙げられる。
屈折率調整用の粒子としては、比較的低屈折率の粒子が使用されることが好ましい。屈折率調整用の粒子の材質としては、シリカ、フッ化マグネシウム、フッ化リチウム、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウム等が挙げられる。屈折率調整用の粒子が中空粒子を含むことが好ましい。中空粒子とは外殻によって包囲された空洞を有する粒子である。中空粒子の屈折率は1.20〜1.45であることが好ましい。
屈折率調整用の粒子には、必要に応じて、バインダー材料との濡れ性を向上するための表面処理が施されていることが好ましい。
屈折率調整用の粒子の粒径は十分に小さいこと、すなわち屈折率調整用の粒子がいわゆる超微粒子であることが好ましく、この場合、低屈折率層32の光透過性が十分に維持されるようになる。屈折率調整用の粒子の粒径は特に、0.5nm〜200nmの範囲であることが好ましい。この屈折率調整用の粒子の粒径とは、粒子の電子顕微鏡写真画像から算出される投影面積と同一の面積を有する円(面積相当円)の径のことである。
低屈折率層32中の屈折率調整用の粒子の含有量は、低屈折率層32の屈折率の値が適切な値となるように適宜調整されるが、特に低屈折率層32中の屈折率調整用の粒子の割合が20〜99体積%となるように調整されることが好ましい。
組成物は、更に撥水、撥油性材料を含有してもよい。この場合、低屈折率層32に防汚性が付与され得る。撥水、撥油性材料としては、一般的なワックス系の材料等が使用され得る。特に含フッ素化合物が使用されると、低屈折率層32の汚れ、指紋等の除去性が特に向上すると共に、低屈折率層32の表面の摩擦抵抗が低減して低屈折率層32の耐摩耗性が向上する。
低屈折率層32は、上記のような組成物がバインダー材料の性状に応じて加熱、加湿、紫外線照射、電子線照射等の処理が施されることで硬化することにより、形成され得る。
尚、反射防止層3の構成は上記態様には限られない。例えば反射防止層3が三層以上の多層構造を有してもよい。また反射防止層3が基材2よりも屈折率の低い一つの層のみから構成されてもよく、この場合、反射防止層3は上記の低屈折率層32と同様の構成を有してもよい。また、ハードコート層5が反射防止層3の一部として機能してもよい。すなわち、例えばハードコート層5、高屈折率層31、及び低屈折率層32でそれぞれ反射した光が互いに干渉して打ち消しあうことで、透明導電性部材1での全体的な反射光の強度が低減してもよい。
図5(c)に示す第三の例では、透明導電性部材1は基材2、反射防止層3、及びグラフェン層4を備える。この基材2、反射防止層3、及びグラフェン層4はこの順番に積層している。すなわち、基材2の第一の主面上に反射防止層3が積層し、反射防止層3の基材2とは反対側の主面上にグラフェン層4が積層している。基材2、反射防止層3、及びグラフェン層4のうちいずれの要素も光透過性を有し、透明導電性部材1が全体として光透過性を有する。
本例において、基材2及びグラフェン層4は第一の例及び第二の例と同じ構成を有する。また、反射防止層3は第二の例と同じ構成を有する。すなわち、反射防止層3は高屈折率層31と、この高屈折率層31の基材2とは反対側に積層する低屈折率層32とを備える。本例において、高屈折率層31は基材2に直接接触し、低屈折率層32はグラフェン層に直接接触する。本例において、高屈折率層31が樹脂層の硬化物からなる層である。
本実施形態による透明導電性部材1の製造方法では、金属箔6を準備し、この金属箔6上にグラフェン層4を形成し、このグラフェン層4上に、直接又は一若しくは複数の層を介して、未硬化状態又は半硬化状態の反応性硬化型樹脂組成物からなる樹脂層9を形成することで、金属箔6、グラフェン層4、及び樹脂層9を備える中間部材7を得る。中間部材7とは、金属箔6と、グラフェン層4と、樹脂層9とを備え、グラフェン層4が金属箔6上に形成されていると共に金属箔6と樹脂層9との間に介在している構造を有する部材である。この中間部材7は、銅箔等の金属箔6上に透明導電性部材1を構成する層のうち基材2以外の層が積層して構成され、且つ金属箔6とは反対側の最外に樹脂層9が配置されている。この中間部材7の樹脂層9に透明な基材1を重ね、続いて樹脂層9を硬化させることで、積層物8を得る。この積層物8から金属箔6を除去することで、透明導電性部材1が得られる。
本実施形態における透明導電性部材1の製造方法の第一の態様について、図1を参照して説明する。本態様では、樹脂層9を硬化させることで、この樹脂層9の硬化物からなるハードコート層5を形成する。本態様では、上記第一の例の透明導電性部材1が製造される。
本態様では、銅箔等の金属箔6が用意され、この金属箔6上に蒸着法等でグラフェン層4が形成される(図1(a))。このグラフェン層4上に、ハードコート層5を形成するための第一の反応性硬化型樹脂組成物が塗布され、或いは更にこの第一の反応性硬化型樹脂組成物が半硬化される。これにより、未硬化状態(Aステージ)又は半硬化状態(Bステージ)の第一の反応性硬化型樹脂組成物からなる樹脂層9が形成され、金属箔6、グラフェン層4及び樹脂層9を備える中間部材7が得られる(図1(b))。
尚、反応性硬化型樹脂組成物から上記のような層が形成されるにあたっては、この層が形成される前にこの層と重ねる面に表面処理が施されてもよい。この場合、層間の濡れ性、密着性等の向上が可能となる。すなわち、樹脂層9が形成される前にグラフェン層4における樹脂層9と重なる面に表面処理が施されてもよい。表面処理の方法としては、プラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理などの物理的表面処理、カップリング剤、酸、アルカリによる化学的表面処理などが挙げられる。
続いて中間部材7の樹脂層9上に基材2が重ねられ、この状態で樹脂層9が硬化される(図1(c)及び図1(d))。これにより、ハードコート層5が形成されると共にハードコート層5と基材2とが接合され、金属箔6、グラフェン層4、ハードコート層5、及び基材2がこの順に積層した構造を有する積層物8が得られる。
続いて、積層物8においてグラフェン層4に重ねられている銅箔等の金属箔6がエッチング処理等により全て除去される(図1(e))。これにより、透明導電性部材1が得られる。本態様により透明導電性部材1が製造されると、転写用フィルムが不要となると共に製造工程も簡略化される。このため、透明導電性部材1の製造効率が向上する。しかも、ハードコート層5と基材2とが容易に接合されると共にこの接合強度が高くなり、これによりグラフェン層4を備える透明導電性部材1が容易に得られる。
樹脂層9と基材2が重ねられる際には、この樹脂層9と基材2との間の粘着力が0.01〜4.0N/cmの範囲となるように、樹脂層9の粘着性が調整されることが好ましい。この場合、ハードコート層5と基材2とを容易に接合させることができると共に接合強度が充分に高くなる。樹脂層9の粘着性は、第一の反応性硬化型樹脂組成物の組成に応じ、必要に応じて第一の反応性硬化型樹脂組成物から溶剤を揮発させたり第一の反応性硬化型樹脂組成物の硬化反応を進行させることで容易に調整され得る。
例えば第一の反応性硬化型樹脂組成物が熱硬化性樹脂組成物である場合には、熱硬化性樹脂組成物を加熱することで乾燥させ、或いは更に硬化反応を進行させて半硬化状態(Bステージ)とすることで、熱硬化性樹脂組成物の粘着性が調整される。第一の反応性硬化型樹脂組成物が活性エネルギー線硬化型樹脂組成物である場合には、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を加熱することで乾燥させ、或いは紫外線などの活性エネルギー線を照射することで硬化反応を進行させて半硬化状態(Bステージ)とすることで、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の粘着性が調整される。
また、樹脂層9を硬化させる際には、例えば第一の反応性硬化型樹脂組成物が熱硬化性樹脂組成物である場合には樹脂層9を加熱し、第一の反応性硬化型樹脂組成物が活性エネルギー線硬化型樹脂組成物である場合には、樹脂層9に紫外線などの活性エネルギー線を照射することで、樹脂層9の硬化反応を進行させる。
透明導電性部材1の製造方法の第二の態様について、図2を参照して説明する。本態様では、樹脂層9を硬化させることで、この樹脂層9の硬化物からなるハードコート層5を形成する。本態様では、上記第二の例の透明導電性部材1が製造される。
本態様では、銅箔等の金属箔6が用意され、この金属箔6上に蒸着法等でグラフェン層4が形成される(図2(a))。このグラフェン層4上に低屈折率層32を形成するための第三の反応性硬化型樹脂組成物が塗布され、この第三の反応性硬化型樹脂組成物がその組成に応じた手法により硬化されることで、低屈折率層32が形成される。この低屈折率層32の上に高屈折率層31を形成するための第二の反応性硬化型樹脂組成物が塗布され、この第二の樹脂組成物がその組成に応じた手法により硬化されることで、高屈折率層32が形成される。これにより低屈折率層32と高屈折率層31とを備える反射防止層3が形成される(図2(b))。続いて反射防止層3上にハードコート層5を形成するための第一の反応性硬化型樹脂組成物が塗布され、或いは更にこの第一の反応性硬化型樹脂組成物が半硬化される。これにより、未硬化状態(Aステージ)又は半硬化状態(Bステージ)の第一の反応性硬化型樹脂組成物からなる樹脂層9が形成され、金属箔6、グラフェン層4、反射防止層3、及び樹脂層9を備える中間部材7が得られる(図2(c))。
尚、反応性硬化型樹脂組成物から上記のような層が形成されるにあたっては、各層が形成される前に各層と重ねる面に表面処理が施されてもよい。この場合、層間の濡れ性、密着性等の向上が可能となる。例えば反射防止層3が形成される前にグラフェン層4における反射防止層3と重なる面に表面処理が施されてもよい。反射防止層3が高屈折率層31と低屈折率層32とを備える場合にはグラフェン層4上に低屈折率層32と高屈折率層31が順次形成されるが、この場合は高屈折率層31が形成される前に低屈折率層32における高屈折率層31と重なる面に表面処理が施されてもよい。また樹脂層9が形成される前に反射防止層3における樹脂層9と重なる面に表面処理が施されてもよい。表面処理の方法としては、プラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理などの物理的表面処理、カップリング剤、酸、アルカリによる化学的表面処理などが挙げられる。
続いて中間部材7における樹脂層9上に基材2が重ねられ、この状態で樹脂層9が硬化される(図2(d)及び図2(e))。これにより、ハードコート層5が形成されると共にハードコート層5と基材2とが接合され、金属箔6、グラフェン層4、反射防止層3、ハードコート層5、及び基材2がこの順に積層した構造を有する積層物8が得られる。
続いて、積層物8におけるグラフェン層4に重ねられている銅箔等の金属箔6がエッチング処理等により全て除去される(図2(f))。これにより、透明導電性部材1が得られる。本態様により透明導電性部材1が製造されると、転写用フィルムが不要となると共に製造工程も簡略化される。このため、透明導電性部材1の製造効率が向上する。しかも、ハードコート層5と基材2とが容易に接合されると共にこの接合強度が高くなり、これによりグラフェン層4を備える透明導電性部材1が容易に得られる。
本態様においても、樹脂層9と基材2が重ねられる際には、この樹脂層9と基材2との間の粘着力が0.01〜4.0N/cmの範囲となるように、樹脂層9の粘着性が調整されることが好ましい。この場合、ハードコート層5と基材2とを容易に接合させることができると共に接合強度が充分に高くなる。樹脂層9の粘着性は、第一の反応性硬化型樹脂組成物の組成に応じ、必要に応じて第一の反応性硬化型樹脂組成物から溶剤を揮発させたり第一の反応性硬化型樹脂組成物の硬化反応を進行させることで容易に調整され得る。
例えば第一の反応性硬化型樹脂組成物が熱硬化性樹脂組成物である場合には、熱硬化性樹脂組成物を加熱することで乾燥させ、或いは更に硬化反応を進行させて半硬化状態(Bステージ)とすることで、熱硬化性樹脂組成物の粘着性が調整される。第一の反応性硬化型樹脂組成物が活性エネルギー線硬化型樹脂組成物である場合には、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を加熱することで乾燥させ、或いは紫外線などの活性エネルギー線を照射することで硬化反応を進行させて半硬化状態(Bステージ)とすることで、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の粘着性が調整される。
また、樹脂層9を硬化させる際には、例えば第一の反応性硬化型樹脂組成物が熱硬化性樹脂組成物である場合には樹脂層9を加熱し、第一の反応性硬化型樹脂組成物が活性エネルギー線硬化型樹脂組成物である場合には、樹脂層9に紫外線などの活性エネルギー線を照射することで、樹脂層9の硬化反応を進行させる。
本実施形態における透明導電性部材1の製造方法の第三の態様について、図3を参照して説明する。本態様では、樹脂層9を硬化させることで、この樹脂層9の硬化物を含む反射防止層3を形成する。本態様では、上記第三の例の透明導電性部材1が製造される。
本態様では、銅箔等の金属箔6が用意され、この金属箔6上に蒸着法等でグラフェン層4が形成される(図3(a))。このグラフェン層4上に低屈折率層32を形成するための第三の反応性硬化型樹脂組成物が塗布され、この第三の反応性硬化型樹脂組成物がその組成に応じた手法により硬化されることで低屈折率層32が形成される。続いて低屈折率層32の上に高屈折率層31を形成するための第二の反応性硬化型樹脂組成物が塗布され、或いは更にこの第二の反応性硬化型樹脂組成物が半硬化される。これにより、未硬化状態(Aステージ)又は半硬化状態(Bステージ)の第二の反応性硬化型樹脂組成物からなる樹脂層9が形成され、金属箔6、グラフェン層4、低屈折率層32、及び樹脂層9を備える中間部材7が得られる(図3(b))。
尚、反応性硬化型樹脂組成物から上記のような層が形成されるにあたっては、各層が形成される前に各層と重ねる面に表面処理が施されてもよい。この場合、層間の濡れ性、密着性等の向上が可能となる。すなわち、低屈折率層32が形成される前にグラフェン層4における低屈折率層32と重なる面に表面処理が施されてもよい。また樹脂層9が形成される前に低屈折率層32における樹脂層9と重なる面に表面処理が施されてもよい。表面処理の方法としては、プラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理などの物理的表面処理、カップリング剤、酸、アルカリによる化学的表面処理などが挙げられる。
続いて、中間部材7における樹脂層9上に基材2が重ねられ、この状態で樹脂層9が硬化される(図3(c)及び図3(d))。これにより、高屈折率層31が形成されると共に高屈折率層31と基材2とが接合される。換言すれば、高屈折率層31と低屈折率層32とを備える反射防止層3(高屈折率層31をその一部として備える反射防止層3)が形成されると共に、この反射防止層3と基材2とが接合され、金属箔6、グラフェン層4、反射防止層3、及び基材2がこの順に積層した構造を有する積層物8が得られる。
続いて、積層物8におけるグラフェン層4に重ねられている銅箔等の金属箔6がエッチング処理等により全て除去される(図3(e))。これにより、透明導電性部材1が得られる。本態様により透明導電性部材1が製造されると、転写用フィルムが不要となると共に製造工程も簡略化される。このため、透明導電性部材1の製造効率が向上する。しかも、反射防止層3と基材2とが容易に接合されると共にこの接合強度が高くなり、これによりグラフェン層4を備える透明導電性部材1が容易に得られる。
本態様においても、樹脂層9と基材2が重ねられる際には、この樹脂層9と基材2との間の粘着力が0.01〜4.0N/cmの範囲となるように、樹脂層9の粘着性が調整されることが好ましい。この場合、反射防止層3と基材2とを容易に接合させることができると共に接合強度が充分に高くなる。樹脂層9の粘着性は、第二の反応性硬化型樹脂組成物の組成に応じ、必要に応じて第二の反応性硬化型樹脂組成物から溶剤を揮発させたり第二の反応性硬化型樹脂組成物の硬化反応を進行させることで容易に調整され得る。
例えば第二の反応性硬化型樹脂組成物が熱硬化性樹脂組成物である場合には、熱硬化性樹脂組成物を加熱することで乾燥させ、或いは更に硬化反応を進行させて半硬化状態(Bステージ)とすることで、熱硬化性樹脂組成物の粘着性が調整される。第二の反応性硬化型樹脂組成物が活性エネルギー線硬化型樹脂組成物である場合には、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を加熱することで乾燥させ、或いは紫外線などの活性エネルギー線を照射することで硬化反応を進行させて半硬化状態(Bステージ)とすることで、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の粘着性が調整される。
また、樹脂層9を硬化させる際には、例えば第二の反応性硬化型樹脂組成物が熱硬化性樹脂組成物である場合には樹脂層9を加熱し、第二の反応性硬化型樹脂組成物が活性エネルギー線硬化型樹脂組成物である場合には、樹脂層9に紫外線などの活性エネルギー線を照射することで、樹脂層9の硬化反応を進行させる。
上記いずれの態様においても、基材2が柔軟なプラスチックフィルムから形成される場合には、いわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll)製法により透明導電性部材1を効率良く製造することもできる。ロール・ツー・ロール(Roll to Roll)製法により透明導電性部材1を製造するための製造装置を図4に示す。
図4に示す製造装置は、長尺な中間部材7(図1(b)、図2(c)、及び図3(b)参照)をロール状に巻回して保持すると共にこの中間部材7を繰り出す第一繰出機10と、長尺な基材2をロール状に巻回して保持すると共にこの基材2を繰り出す第二繰出機11とを備える。
製造装置は、更に一対の押圧ロール12を備える。この二つの押圧ロール12の間には第一繰出機10から繰り出される中間部材7と第二繰出機11から繰り出される基材2とが、中間部材7における半硬化状態の樹脂層9と基材2とが対向するように重ねられて供給される。二つの押圧ロール12は、この中間部材7と基材2とに押圧力をかけることにより、中間部材7の樹脂層9と基材2とを密着させる。
尚、製造装置は押圧ロール12に代えて、中間部材7と基材2とに押圧力をかける適宜の設備を備えてもよい。
製造装置は、更に硬化部13を備える。硬化部13は中間部材7における樹脂層9の硬化反応を進行させて樹脂層9を硬化させるように機能する設備である。例えば樹脂層9が半硬化状態(Bステージ)の熱硬化型樹脂組成物から形成される場合には硬化部13は樹脂層9を加熱して硬化させる加熱炉で構成される。また、例えば樹脂層9が半硬化状態(Bステージ)の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物から形成される場合には硬化部13は樹脂層9へ紫外線等の活性エネルギー線を照射して硬化させる光源を備える露光装置で構成される。このため、中間部材7及び基材2が重ねられた状態で硬化部13を通過することで、両者が一体化した積層物8が形成される(図1(d)、図2(e)、及び図3(d)参照)。
製造装置は、更にエッチング部14を備える。エッチング部14は硬化部13から導出される積層物8にエッチング処理を施すように機能する設備である。エッチング部14は例えば積層物8における金属箔6に向けて塩化第二鉄水溶液などのエッチング液を噴射する噴射装置を備える。このため、積層物8がエッチング部14を通過するとエッチング処理が施されることで積層物8から金属箔6が除去され、これにより透明導電性部材1が得られる(図1(e)、図2(f)、及び図3(e)参照)。
製造装置は、更にエッチング後処理部15を備える。エッチング後処理部15はエッチング処理後の透明導電性部材1に洗浄などの後処理を施すものであり、このため例えばエッチング後処理部15は透明導電性部材1に洗浄水を噴射する洗浄装置151や、洗浄後の透明導電性部材1を加熱乾燥するための乾燥炉152などを備える。
製造装置は、更に巻取機16を備える。巻取機16は透明導電性部材1をロール状に巻き取って保持する。巻取機16に巻き取られた透明導電性部材1は必要に応じて次工程へ移送される。
このような製造装置を用いるロール・ツー・ロール(Roll to Roll)製法では、中間部材7と基材2とを連続的に搬送しながら、この中間部材7と基材2とを押圧させて密着させる。続いて中間部材7の樹脂層9を硬化させることで中間部材7と基材2とを一体化して積層物8を形成する。この積層物8の金属箔6にエッチング処理を施すことで透明導電性部材1を作製する。更にこの透明導電性部材1にエッチング後処理を施してからロール状に巻き取ることができる。これにより、透明導電性部材1が非常に効率良く製造される。
尚、ロール・ツー・ロール(Roll to Roll)製法のための製造装置の構成は、図4に示すものに限られない。例えば製造装置を構成する各設備は、同等の機能を発揮する別の設備に置換されてもよいし、必要に応じて上記以外の設備が追加されてもよい。また、図4に示す製造装置が、ロール・ツー・ロール製法による処理を施す複数の装置に適宜分割されてもよい。例えば、図4に示す製造装置において、積層物8を一旦ロール状に巻き取って保持する巻取機と、ロール状の積層物8をエッチング部14へ向けて繰り出す繰出機とが設けられることで、図4に示す製造装置が分割されてもよい。
(実施例1)
厚み70μmの銅箔上に熱CVD法によりグラフェン層4を形成した。このとき、銅箔をチャンバー内に配置し、このチャンバー内にアセチレンガスを200sccm(3.38×10−2Pa・m/sec)の一定速度で投入しつつ、銅箔を400℃で20分間熱処理することにより、銅箔上にグラフェンを生成した。続いて、銅箔を自然冷却することにより、グラフェンを均一に配列した状態で成長させた。冷却速度は600℃/分であった。これにより、グラフェン層4を形成した。
このグラフェン層4の上にウレタンアクリレート(新中村化学工業株式会社製、品番U−15HA)を40質量部、光重合性開始剤(BASF社製、商品名イルガキュア184)を0.8質量部、メチルエチルケトンを59.2質量部含有する第一の反応性硬化型樹脂組成物を塗布し、これを80℃で5分間乾燥後、紫外線照射(積算量50mJ/cm)することにより半硬化させて半硬化状態(Bステージ)の樹脂層9を形成した。
この樹脂層9に基材2として厚み125μm、屈折率1.65のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを重ね、続いて80℃で5分間乾燥後、紫外線照射(積算量50mJ/cm)することにより樹脂層9を硬化させて厚み6μm、屈折率1.58、鉛筆硬度3Hのハードコート層5を形成すると共にこのハードコート層5と基材2とを接合して積層物8を得た。
次に、この積層物8に対して塩化第二鉄水溶液を用いて室温でエッチング処理を施すことで銅箔を除去し、更に洗浄、乾燥処理を施した。これにより、基材2、ハードコート層5、及びグラフェン層4を備える透明導電性部材1を得た。
この透明導電性部材1の導電性を表面抵抗値測定器(三菱化学株式会社製、型番ロレスタEP MCP−T360)により評価したところ表面抵抗値は27Ω/□であった。またこの透明導電性部材1の透明性(反射防止性能)をヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、型番NDH−2000)により評価したところ全光線透過率は88%であった。またこの透明導電性部材1の機械的強度を鉛筆硬度試験(JIS K5600)により評価したところ硬度は3Hであった。このように、優れた導電性と透明性と機械的強度とを備える透明導電性部材1が得られた。
(実施例2)
厚み35μmの銅箔上に熱CVD法によりグラフェン層4を形成した。このとき、銅箔をチャンバー内に配置し、このチャンバー内にアセチレンガスを200sccm(3.38×10−2Pa・m/sec)の一定速度で投入しつつ、銅箔を400℃で20分間熱処理することにより、銅箔上にグラフェンを生成した。続いて、銅箔を自然冷却することにより、グラフェンを均一に配列した状態で成長させた。冷却速度は600℃/分であった。これにより、グラフェン層4を形成した。
このグラフェン層4の上にメチルシリケート(三菱化学株式会社製、品番MS51)を2.9質量部、中空シリカゾル(日揮触媒化成株式会社製、品番CS60−IPA)を7.5質量部、イソプロピルアルコールを89.6質量部含有する第三の反応性硬化型樹脂組成物を塗布し、これを120℃で5分間加熱することにより、厚み100nm、屈折率1.38の低屈折率層32を形成した。
続いて、低屈折率層32の上にジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業株式会社製、品番A−DPH)を3.0質量部、ジルコニアゾルを35.0質量部、光重合性開始剤(BASF社製、商品名イルガキュア184)を0.2質量部、メチルエチルケトン6を1.8質量部含有する第二の反応性硬化型樹脂組成物を塗布し、これを80℃で5分間乾燥後、紫外線照射(積算量500mJ/cm)することにより硬化させて厚み200nm、屈折率1.70の高屈折率層31を形成した。これにより、高屈折率層31と低屈折率層32からなる反射防止層3を形成した。
続いて,反射防止層3の上にウレタンアクリレート(新中村化学工業株式会社製、品番U−15HA)を30質量部、光重合性開始剤を0.6質量部(BASF社製、商品名イルガキュア184)、メチルエチルケトンを69.4質量部含有する第一の反応性硬化型樹脂組成物を塗布し、これを80℃で5分間乾燥後、紫外線照射(積算量50mJ/cm)することにより半硬化させて半硬化状態(Bステージ)の樹脂層9を形成した。
この樹脂層9に基材2として厚み100μm、屈折率1.53のCOP(シクロオレフィンポリマー)フィルムを重ね、続いて紫外線照射(積算量500mJ/cm)することにより樹脂層9を硬化させて厚み3μm、屈折率1.58、鉛筆硬度2Hのハードコート層5を形成すると共にこのハードコート層5と基材2とを接合して積層物8を得た。
次に、この積層物8に対して塩化第二鉄水溶液を用いて室温でエッチング処理を施すことで銅箔を除去し、更に洗浄、乾燥処理を施した。これにより、基材2、反射防止層3、ハードコート層5、及びグラフェン層4を備える透明導電性部材1を得た。
この透明導電性部材1の導電性を表面抵抗値測定器(三菱化学株式会社製、型番ロレスタEP MCP−T360)により評価したところ表面抵抗値は25Ω/□であった。またこの透明導電性部材1の透明性(反射防止性能)をヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、型番NDH−2000)により評価したところ全光線透過率は93%であった。またこの透明導電性部材1の機械的強度を鉛筆硬度試験(JIS K5600)により評価したところ硬度は2Hであった。このように、優れた導電性と透明性と機械的強度とを備える透明導電性部材1が得られた。
(実施例3)
厚み70μmの銅箔上に熱CVD法によりグラフェン層4を形成した。このとき、銅箔をチャンバー内に配置し、このチャンバー内にアセチレンガスを200sccm(3.38×10−2Pa・m/sec)の一定速度で投入しつつ、銅箔を400℃で20分間熱処理することにより、銅箔上にグラフェンを生成した。続いて、銅箔を自然冷却することにより、グラフェンを均一に配列した状態で成長させた。冷却速度は600℃/分であった。これにより、グラフェン層4を形成した。
このグラフェン層4の上にメチルシリケート(三菱化学株式会社製、品番MS51)を2.9質量部、中空シリカゾル(日揮触媒化成株式会社製、品番CS60−IPA)を7.5質量部、イソプロピルアルコールを89.6質量部含有する第三の反応性硬化型樹脂組成物を塗布し、これを120℃で5分間加熱することにより、厚み100nm、屈折率1.38の低屈折率層32を形成した。
続いて、低屈折率層32の上にジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業株式会社製、品番A−DPH)を3.0質量部、ジルコニアゾルを35.0質量部、光重合性開始剤(BASF社製、商品名イルガキュア184)を0.2質量部、メチルエチルケトンを61.8質量部含有する第二の反応性硬化型樹脂組成物を塗布し、これを80℃で5分間乾燥後、紫外線照射(積算量50mJ/cm)することにより半硬化させて半硬化状態(Bステージ)の樹脂層9を形成した。
この樹脂層9に基材2として厚み100μm、屈折率1.59のPC(ポリカーボネート)フィルムを重ね、続いて紫外線照射(積算量500mJ/cm)することにより樹脂層9を硬化させて厚み2μm、屈折率1.70、鉛筆硬度2Hの高屈折率層31を形成した。これにより、これにより、高屈折率層31と低屈折率層32からなる反射防止層3を形成すると共にこの反射防止層3と基材2とを接合して積層物8を得た。
次に、この積層物8に対して塩化第二鉄水溶液を用いて室温でエッチング処理を施すことで銅箔を除去し、更に洗浄、乾燥処理を施した。これにより、基材2、反射防止層3、ハードコート層5、及びグラフェン層4を備える透明導電性部材1を得た。
この透明導電性部材1の導電性を表面抵抗値測定器(三菱化学株式会社製、型番ロレスタEP MCP−T360)により評価したところ表面抵抗値は32Ω/□であった。またこの透明導電性部材1の透明性(反射防止性能)をヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、型番NDH−2000)により評価したところ全光線透過率は94%であった。またこの透明導電性部材1の機械的強度を鉛筆硬度試験(JIS K5600)により評価したところ硬度は2Hであった。このように、優れた導電性と透明性と機械的強度とを備える透明導電性部材1が得られた。
1 透明導電性部材
2 基材
3 反射防止層
4 グラフェン層
5 ハードコート層
6 金属箔
7 中間部材
8 積層物
9 樹脂層

Claims (4)

  1. 金属箔を準備するステップ、
    前記金属箔上にグラフェン層を形成するステップ、
    前記グラフェン層上に、直接又は一若しくは複数の層を介して、未硬化状態又は半硬化状態の反応性硬化型樹脂組成物からなる樹脂層を形成することで、中間部材を得るステップ、
    前記中間部材の前記樹脂層に透明な基材を重ね、続いて前記樹脂層を硬化させることで、積層物を得るステップ、及び
    前記積層物から金属箔を除去するステップを含む透明導電性部材の製造方法。
  2. 前記樹脂層を硬化させることで、この樹脂層の硬化物からなるハードコート層を形成する請求項1に記載の透明導電性部材の製造方法。
  3. 前記樹脂層を硬化させることで、この樹脂層の硬化物を含む反射防止層を形成する請求項1に記載の透明導電性部材の製造方法。
  4. 金属箔と、グラフェン層と、樹脂層とを備え、前記グラフェン層が金属箔に形成されていると共に前記金属箔と前記樹脂層との間に介在し、前記樹脂層が未硬化状態又は半硬化状態の反応性硬化型樹脂組成物からなる中間部材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016190259A1 (ja) * 2015-05-22 2016-12-01 尾池工業株式会社 低反射グラフェン、光学部材用低反射グラフェン
CN107761070A (zh) * 2016-08-16 2018-03-06 中国科学院金属研究所 一种提高电化学气体插层剥离转移石墨烯速度的方法

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