JP2013033084A - 偏光板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】偏光板の製造方法は、基材フィルム11の少なくとも一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程と、当該積層フィルムを延伸して延伸フィルムを得る延伸工程と、当該延伸フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色して偏光子層を形成し偏光性積層フィルムを得る染色工程と、当該偏光性積層フィルムの偏光子層の基材フィルム11と反対側の面に保護フィルムを貼合して多層フィルム10を得る貼合工程と、当該多層フィルム10から基材フィルム11を剥離して偏光板12を得る剥離工程と、を有し、上記剥離工程において、基材フィルム11の剥離方向と偏光子層の配向方向とのなす角度が20度以下である。
【選択図】図3
Description
図1は、本発明の偏光板の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。これによると、偏光板の製造方法は、基材フィルムの少なくとも一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程(S10)、上記積層フィルムを延伸して延伸フィルムを得る延伸工程(S20)、上記延伸フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色して偏光子層を形成し偏光性積層フィルムを得る染色工程(S30)、上記偏光性積層フィルムの偏光子層の基材フィルムと反対側の面に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る貼合工程(S40)、上記多層フィルムから基材フィルムを剥離して偏光板を得る剥離工程(S50)をこの順に備える。
剥離工程(S50)において、基材フィルムの剥離方法は特に限定されないが、基材フィルムの剥離方向と偏光子層の配向方向のなす角度が20度以下となるように剥離する。図2は、剥離工程(S50)における基材フィルムの剥離方向と偏光子層の配向方向の関係を模式的に示す上面図である。図2において、多層フィルム10から基材フィルム11が剥離され、保護フィルムと偏光子層とからなる偏光板12が形成される。ここで、偏光子層の配向方向を矢印Aで示し、基材フィルム11の剥離方向を矢印Bで示し、基材フィルムの剥離方向(矢印B)と偏光子層の配向方向(矢印A)とのなす角度をθで示す。本発明においては、基材フィルムの剥離方向(矢印B)と偏光子層の配向方向(矢印A)とのなす角度θが20度以下、好ましくは10度以下、さらに好ましくは5度以下となるように剥離する。
<樹脂層形成工程(S10)>
樹脂層形成工程(S10)においては、基材フィルムの少なくとも一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成する。
基材フィルムに用いる樹脂としては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられ、それらのガラス転移温度Tgまたは融点Tmに応じて適切な樹脂を選択できる。基材フィルムは、その上に積層するポリビニルアルコール系樹脂層の延伸に適した温度範囲で延伸できるようなものを用いることが好ましい。
プライマー層としては、基材フィルムとポリビニルアルコール系樹脂層との両方にある程度強い密着力を発揮する材料であれば特に限定されない。たとえば、透明性、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑樹脂が用いられる。具体的にはアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂が挙げられるがこれに限定されるものではない。
樹脂層に用いられるポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をけん化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、たとえば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
けん化度が高いほど、水酸基の割合が高いことを示しており、すなわち結晶化を阻害する酢酸基の割合が低いことを示している。
ここでは、基材フィルムおよびポリビニルアルコール系樹脂層からなる積層フィルムを延伸し延伸フィルムを得る。好ましくは、5倍超かつ17倍以下の延伸倍率となるように一軸延伸する。さらに好ましくは5倍超かつ8倍以下の延伸倍率となるように一軸延伸する。延伸倍率が5倍以下だと、ポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層が十分に配向しないため、結果として、偏光子層の偏光度が十分に高くならない不具合を生じることがある。一方、延伸倍率が17倍を超えると延伸時の積層フィルムの破断が生じ易くなると同時に、延伸フィルムの厚みが必要以上に薄くなり、後工程での加工性・ハンドリング性が低下するおそれがある。延伸工程(S20)における延伸処理は、一段での延伸に限定されることはなく多段で行うこともできる。多段で行う場合は、延伸処理の全段を合わせて好ましくは5倍超の延伸倍率となるように延伸処理を行う。
ここでは、延伸フィルムの樹脂層を、二色性色素で染色する。二色性色素としては、たとえば、ヨウ素や有機染料などが挙げられる。有機染料としては、たとえば、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラックなどが使用できる。これらの二色性物質は、一種類でも良いし、二種類以上を併用して用いても良い。
偏光子層は、具体的には、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層に二色性色素を吸着配向させたものである。
ここでは、偏光性積層フィルムの偏光子層の基材フィルムと反対側の面に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る。保護フィルムを貼合する方法としては、粘着剤層で偏光子層と保護フィルムを貼合する方法、接着剤層で偏光子層面と保護フィルムを貼合する方法が挙げられる。貼合工程(S40)の後、上述の剥離工程(S50)を経て偏光板が形成される。
保護フィルムは、光学機能を有さない単なる保護フィルムであってもよく、または位相差フィルムや輝度向上フィルムといった光学機能を併せ持つ保護フィルムであってもよい。
粘着剤層を構成する粘着剤は、通常、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂などをベースポリマーとし、そこに、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物などの架橋剤を加えた組成物からなる。さらに、粘着剤中に微粒子を配合して、光散乱性を示す粘着剤層を形成することもできる。
接着剤層を構成する接着剤としては、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤などを用いた水系接着剤が挙げられる。中でもポリビニルアルコール系樹脂水溶液が好適に用いられる。接着剤として用いるポリビニルアルコール系樹脂には、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをけん化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をけん化処理して得られるビニルアルコール系共重合体、さらにはそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体などがある。水系接着剤には、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物などが添加剤として添加されてもよい。このような水系の接着剤を用いた場合、それから得られる接着剤層は、通常1μmよりもはるかに薄く、通常の光学顕微鏡で断面を観察しても、その接着剤層は事実上観察されない。
本発明の製造方法は、樹脂層形成工程(S10)での樹脂層の形成が、基材フィルムの一方の表面上に形成される場合のみでなく、基材フィルムの両方の表面上に形成される場合も含まれる。両方の表面上に樹脂層が形成される場合は、S10〜S50の各工程を経て2枚の偏光板が形成される。この場合、貼合工程(S40)を経て、第1保護フィルム/第1偏光子層/基材フィルム/第2偏光子層/第2保護フィルムからなる多層フィルムが得られる。
上記偏光板は、実用に際して他の光学層を積層した偏光板として用いることができる。また、上記保護フィルムがこれらの光学層の機能を有していてもよい。
<基材フィルムの作製>
エチレンユニットを5重量%含むプロピレン/エチレンのランダム共重合体(住友化学(株)製「住友ノーブレン W151」、融点Tm=138℃)からなる樹脂層の両側にプロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレン(住友化学(株)製「住友ノーブレンFLX80E4」、融点Tm=163℃)からなる樹脂層を配置した3層構造の基材フィルムを、多層押出成形機を用いた共押出成形により作製した。得られた基材フィルムの合計厚みは90μmであり、各層の厚み比(FLX80E4/W151/FLX80E4)は3/4/3であった。
ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工業(株)製「Z−200」、平均重合度1100、平均ケン化度99.5モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(住友化学(株)製「スミレーズレジン650」)をポリビニルアルコール粉末6重量部に対して5重量部混合した。得られた混合水溶液を、25cm×35cmにカット後、コロナ処理を施した上記基材フィルムのコロナ処理面上に卓上バーコーターを用いて塗工し、80℃で10分間乾燥させることにより、厚み0.2μmのプライマー層を形成した。
ポリビニルアルコール粉末(クラレ(株)製「PVA124」、平均重合度2400、平均けん化度98.0〜99.0モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液を、上記プライマー層上に卓上バーコーターを用いて塗工し、80℃で5分間乾燥させることにより、基材フィルム/プライマー層/ポリビニルアルコール系樹脂層からなる3層構造の積層フィルムを作製した。ポリビニルアルコール系樹脂層の厚みは9.8μmであった。
上記のフィルムから、ポリビニルアルコール系樹脂が未塗布の端部を切り落とし幅18cm×長さ30cmの積層フィルムを得た。この積層フィルムをテンター延伸装置にて160℃の延伸温度で、幅方向に5.8倍に自由端一軸延伸し、延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムの厚みは45.5μmであり、ポリビニルアルコール系樹脂層の厚みは4.2μmであった。
延伸フィルムの中央部10cm×10cmを切り出して、次の手順で偏光性延伸フィルムを作製した。まず、延伸フィルムを30℃のヨウ素とヨウ化カリウムとを含む水溶液である30℃の染色溶液に150秒間程度浸漬して、ポリビニルアルコール系樹脂層の染色を行ない、ついで10℃の純水で余分なヨウ素液を洗い流した。次に、ホウ酸とヨウ化カリウムとを含む水溶液である76℃の架橋溶液に600秒間浸漬させた。その後、10℃の純水で4秒間洗浄し、最後に80℃で300秒間乾燥させることにより、偏光子層を形成し、10cm角の偏光性積層フィルムを得た。
偏光性積層フィルムに、次の手順で保護フィルムを貼合した。まず、ポリビニルアルコール粉末((株)クラレ製「KL−318」、平均重合度1800)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(住友化学(株)製「スミレーズレジン650」)をポリビニルアルコール粉末2重量部に対して1重量部混合し、接着剤溶液とした。
得られた10cm角の多層フィルムの端部をカットして8cm角の多層フィルムを得た。この8cm角の多層フィルムから基材フィルムを剥離し、保護フィルム/接着剤層/偏光子層/プライマー層の4層からなる偏光板を作製した。この際、基材フィルムの剥離方向(矢印B)と偏光子層の配向方向(矢印A)とのなす角度θ、多層フィルムと偏光板とのなす角度φp、多層フィルムと基材フィルムとのなす角度をφkについて、下記の表1に示すような数値で実施した。なお、剥離点において、角度φpおよび角度φkがともに0度でない場合は、多層フィルムに対して基材フィルムと偏光板は反対側に角度を有するように剥離した。
上記のように作製した各偏光板について、「剥離面の状態」および「剥離安定性」について評価を行なった。下記の表1に評価結果を示す。なお、「剥離安定性」とは基材フィルムの剥離を安定して行なうことができたかについての評価である。凝集破壊には至らなくとも、ジッパリングと言われる間欠剥離が生じて剥離時の安定性が得られないことがある。ジッパリングが起こった場合、剥離時の剥離力が細かく上昇下降を繰り返したり、剥離が起こっている箇所が前後に変動したりして、剥離角度が安定しない不具合を生じることがある。
Claims (3)
- 基材フィルムの少なくとも一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程と、
前記積層フィルムを延伸して延伸フィルムを得る延伸工程と、
前記延伸フィルムの前記ポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色して偏光子層を形成し偏光性積層フィルムを得る染色工程と、
前記偏光性積層フィルムの前記偏光子層の基材フィルムと反対側の面に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る貼合工程と、
前記多層フィルムから前記基材フィルムを剥離して偏光板を得る剥離工程と、を有し、
前記剥離工程において、前記基材フィルムの剥離方向と前記偏光子層の配向方向とのなす角度が20度以下である、偏光板の製造方法。 - 前記剥離工程において、剥離点で、前記多層フィルムと前記偏光板のなす角度が、前記多層フィルムと前記基材フィルムのなす角度より小さい、請求項1に記載の偏光板の製造方法。
- 前記剥離工程において、前記剥離点で前記多層フィルムと前記偏光板のなす角度が45度以下である、請求項2に記載の偏光板の製造方法。
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A912 | Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
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