以下、添付図面を参照して、画像処理システム、装置、方法及び医用画像診断装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下では、画像処理装置としての機能を有するワークステーションを含む画像処理システムを実施形態として説明する。ここで、以下の実施形態で用いる用語について説明すると、「視差画像群」とは、ボリュームデータに対して、所定の視差角ずつ視点位置を移動させてボリュームレンダリング処理を行なうことで生成された画像群のことである。すなわち、「視差画像群」は、「視点位置」が異なる複数の「視差画像」から構成される。また、「視差角」とは、「視差画像群」を生成するために設定された各視点位置のうち隣接する視点位置とボリュームデータによって表される空間内の所定位置(例えば、空間の中心)とにより定まる角度のことである。また、「視差数」とは、立体表示モニタにて立体視されるために必要となる「視差画像」の数のことである。また、以下で記載する「9視差画像」とは、9つの「視差画像」から構成される「視差画像群」のことである。また、以下で記載する「2視差画像」とは、2つの「視差画像」から構成される「視差画像群」のことである。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る画像処理システムの構成例について説明する。図1は、第1の実施形態に係る画像処理システムの構成例を説明するための図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る画像処理システム1は、医用画像診断装置110と、画像保管装置120と、ワークステーション130と、端末装置140とを有する。図1に例示する各装置は、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)2により、直接的、又は間接的に相互に通信可能な状態となっている。例えば、画像処理システム1にPACS(Picture Archiving and Communication System)が導入されている場合、各装置は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って、医用画像等を相互に送受信する。
かかる画像処理システム1は、医用画像診断装置110により生成された3次元の医用画像データであるボリュームデータから視差画像群を生成し、この視差画像群を立体視可能なモニタに表示することで、病院内に勤務する医師や検査技師に立体視可能な医用画像を提供する。具体的には、第1の実施形態においては、ワークステーション130が、ボリュームデータに対して種々の画像処理を行ない、視差画像群を生成する。また、ワークステーション130及び端末装置140が、立体視可能なモニタを有し、ワークステーション130にて生成された視差画像群をこのモニタに表示する。また、画像保管装置120は、医用画像診断装置110にて生成されたボリュームデータや、ワークステーション130にて生成された視差画像群を保管する。すなわち、ワークステーション130や端末装置140は、この画像保管装置120からボリュームデータや視差画像群を取得し、これを処理したり、モニタに表示したりする。以下、各装置を順に説明する。
医用画像診断装置110は、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置、SPECT装置とX線CT装置とが一体化されたSPECT−CT装置、PET装置とX線CT装置とが一体化されたPET−CT装置、又はこれらの装置群等である。また、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110は、3次元の医用画像データ(ボリュームデータ)を生成可能である。
具体的には、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110は、被検体を撮影することによりボリュームデータを生成する。例えば、医用画像診断装置110は、被検体を撮影することにより投影データやMR信号等のデータを収集し、収集したデータから、被検体の体軸方向に沿った複数のアキシャル面の医用画像データを再構成することで、ボリュームデータを生成する。例えば、医用画像診断装置110は、500枚のアキシャル面の医用画像データを再構成する。この500枚のアキシャル面の医用画像データ群が、ボリュームデータである。なお、医用画像診断装置110により撮影された被検体の投影データやMR信号等自体をボリュームデータとしても良い。
また、第1の実施形態に係る医用画像診断装置110は、生成したボリュームデータを画像保管装置120に送信する。なお、医用画像診断装置110は、ボリュームデータを画像保管装置120に送信する際に、付帯情報として、例えば、患者を識別する患者ID、検査を識別する検査ID、医用画像診断装置110を識別する装置ID、医用画像診断装置110による1回の撮影を識別するシリーズID等を送信する。
画像保管装置120は、医用画像を保管するデータベースである。具体的には、第1の実施形態に係る画像保管装置120は、医用画像診断装置110から送信されたボリュームデータを記憶部に格納し、これを保管する。また、第1の実施形態においては、ワークステーション130が、ボリュームデータから視差画像群を生成し、生成した視差画像群を画像保管装置120に送信する。このため、画像保管装置120は、ワークステーション130から送信された視差画像群を記憶部に格納し、これを保管する。なお、本実施形態は、大容量の画像を保管可能なワークステーション130を用いることで、図1に例示するワークステーション130と画像保管装置120とが統合される場合であっても良い。すなわち、本実施形態は、ワークステーション130そのものにボリュームデータもしくは視差画像群を記憶させる場合であっても良い。
なお、第1の実施形態において、画像保管装置120に保管されたボリュームデータや視差画像群は、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等と対応付けて保管される。このため、ワークステーション130や端末装置140は、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等を用いた検索を行なうことで、必要なボリュームデータや視差画像群を画像保管装置120から取得する。
ワークステーション130は、医用画像に対して画像処理を行なう画像処理装置である。具体的には、第1の実施形態に係るワークステーション130は、画像保管装置120から取得したボリュームデータに対して種々のレンダリング処理を行ない、視差画像群を生成する。視差画像群とは、複数の視点から撮影された複数の視差画像のことであり、例えば、9視差画像を裸眼にて立体視可能なモニタにて表示される視差画像群とは、視点位置が異なる9つの視差画像のことである。
また、第1の実施形態に係るワークステーション130は、表示部として、立体視可能なモニタ(以下、立体表示モニタ)を有する。ワークステーション130は、視差画像群を生成し、生成した視差画像群を立体表示モニタに表示する。この結果、ワークステーション130の操作者は、立体表示モニタに表示された立体視可能な医用画像を確認しながら、視差画像群生成のための操作を行なうことができる。
また、ワークステーション130は、生成した視差画像群を画像保管装置120に送信する。なお、ワークステーション130は、視差画像群を画像保管装置120に送信する際に、付帯情報として、例えば、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等を送信する。また、視差画像群を画像保管装置120に送信する際に送信される付帯情報としては、視差画像群に関する付帯情報も挙げられる。視差画像群に関する付帯情報としては、視差画像の枚数(例えば、「9」)や、視差画像の解像度(例えば、「466×350画素」)等がある。
端末装置140は、病院内に勤務する医師や検査技師に医用画像を閲覧させるための装置である。例えば、端末装置140は、病院内に勤務する医師や検査技師により操作されるPC(Personal Computer)やタブレット式PC、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話等である。具体的には、第1の実施形態に係る端末装置140は、表示部として立体表示モニタを有する。また、端末装置140は、画像保管装置120から視差画像群を取得し、取得した視差画像群を立体表示モニタに表示する。この結果、観察者である医師や検査技師は、立体視可能な医用画像を閲覧することができる。
ここで、ワークステーション130や端末装置140が有する立体表示モニタについて説明する。現在最も普及している一般的な汎用モニタは、2次元画像を2次元で表示するものであり、2次元画像を立体表示することができない。仮に、観察者が汎用モニタにて立体視を要望する場合、汎用モニタに対して画像を出力する装置は、平行法や交差法により観察者が立体視可能な2視差画像を並列表示させる必要がある。又は、汎用モニタに対して画像を出力する装置は、例えば、左目用の部分に赤色のセロハンが取り付けられ、右目用の部分に青色のセロハンが取り付けられたメガネを用いて余色法により観察者が立体視可能な画像を表示する必要がある。
一方、立体表示モニタとしては、立体視用メガネ等の専用機器を用いることで、2視差画像(両眼視差画像とも称する)を立体視可能とするものがある。
図2は、2視差画像により立体表示を行なう立体表示モニタの一例を説明するための図である。図2に示す一例は、シャッター方式により立体表示を行なう立体表示モニタであり、モニタを観察する観察者が装着する立体視用メガネとしてシャッターメガネが用いられる。かかる立体表示モニタは、モニタにて2視差画像を交互に出射する。例えば、図2の(A)に示すモニタは、左目用の画像と右目用の画像を、120Hzにて交互に出射する。ここで、モニタには、図2の(A)に示すように、赤外線出射部が設置され、赤外線出射部は、画像が切り替わるタイミングに合わせて赤外線の出射を制御する。
また、赤外線出射部から出射された赤外線は、図2の(A)に示すシャッターメガネの赤外線受光部により受光される。シャッターメガネの左右それぞれの枠には、シャッターが取り付けられており、シャッターメガネは、赤外線受光部が赤外線を受光したタイミングに合わせて左右のシャッターそれぞれの透過状態及び遮光状態を交互に切り替える。以下、シャッターにおける透過状態及び遮光状態の切り替え処理について説明する。
各シャッターは、図2の(B)に示すように、入射側の偏光板と出射側の偏光板とを有し、更に、入射側の偏光板と出射側の偏光板との間に液晶相を有する。また、入射側の偏光板と出射側の偏光板とは、図2の(B)に示すように、互いに直交している。ここで、図2の(B)に示すように、電圧が印加されていない「OFF」の状態では、入射側の偏光板を通った光は、液晶層の作用により90度回転し、出射側の偏光板を透過する。すなわち、電圧が印加されていないシャッターは、透過状態となる。
一方、図2の(B)に示すように、電圧が印加された「ON」の状態では、液晶層の液晶分子による偏光回転作用が消失するため、入射側の偏光板を通った光は、出射側の偏光板で遮られてしまう。すなわち、電圧が印加されたシャッターは、遮光状態となる。
そこで、例えば、赤外線出射部は、モニタ上に左目用の画像が表示されている期間、赤外線を出射する。そして、赤外線受光部は、赤外線を受光している期間、左目のシャッターに電圧を印加せず、右目のシャッターに電圧を印加させる。これにより、図2の(A)に示すように、右目のシャッターが遮光状態となり、左目のシャッターが透過状態となるため、観察者の左目に左目用の画像が入射する。一方、赤外線出射部は、モニタ上に右目用の画像が表示されている期間、赤外線の出射を停止する。そして、赤外線受光部は、赤外線が受光されない期間、右目のシャッターに電圧を印加せず、左目のシャッターに電圧を印加させる。これにより、左目のシャッターが遮光状態となり、右目のシャッターが透過状態であるため、観察者の右目に右目用の画像が入射する。このように、図2に示す立体表示モニタは、モニタに表示される画像とシャッターの状態を連動させて切り替えることで、観察者が立体視可能な画像を表示させる。なお、2視差画像を立体視可能な立体表示モニタとしては、上記のシャッター方式以外にも、偏光メガネ方式を採用したモニタも知られている。
更に、近年実用化された立体表示モニタとしては、レンチキュラーレンズ等の光線制御子を用いることで、例えば、9視差画像等の多視差画像を観察者が裸眼にて立体視可能とするものがある。かかる立体表示モニタは、両眼視差による立体視を可能とし、更に、観察者の視点移動に合わせて観察される映像も変化する運動視差による立体視も可能とする。
図3は、9視差画像により立体表示を行なう立体表示モニタの一例を説明するための図である。図3に示す立体表示モニタには、液晶パネル等の平面状の表示面200の前面に、光線制御子が配置される。例えば、図3に示す立体表示モニタには、光線制御子として、光学開口が垂直方向に延びる垂直レンチキュラーシート201が表示面200の前面に貼り付けられている。
表示面200には、図3に示すように、縦横比が3:1であり、縦方向にサブ画素である赤(R)、緑(G)、青(B)の3つが配置された画素202がマトリクス状に配置される。図3に示す立体表示モニタは、9つの画像により構成される9視差画像を、所定フォーマット(例えば格子状)に配置した中間画像に変換したうえで、表示面200に出力する。すなわち、図3に示す立体表示モニタは、9視差画像にて同一位置にある9つの画素それぞれを、9列の画素202に割り振って出力させる。9列の画素202は、視点位置の異なる9つの画像を同時に表示する単位画素群203となる。
表示面200において単位画素群203として同時に出力された9視差画像は、例えば、LED(Light Emitting Diode)バックライトにより平行光として放射され、更に、垂直レンチキュラーシート201により、多方向に放射される。9視差画像の各画素の光が多方向に放射されることにより、観察者の右目及び左目に入射する光は、観察者の位置(視点の位置)に連動して変化する。すなわち、観察者の見る角度により、右目に入射する視差画像と左目に入射する視差画像とは、視差角が異なる。これにより、観察者は、例えば、図3に示す9つの位置それぞれにおいて、撮影対象を立体的に視認できる。また、観察者は、例えば、図3に示す「5」の位置において、撮影対象に対して正対した状態で立体的に視認できるとともに、図3に示す「5」以外それぞれの位置において、撮影対象の向きを変化させた状態で立体的に視認できる。なお、図3に示す立体表示モニタは、あくまでも一例である。9視差画像を表示する立体表示モニタは、図3に示すように、「RRR・・・、GGG・・・、BBB・・・」の横ストライプ液晶である場合であっても良いし、「RGBRGB・・・」の縦ストライプ液晶である場合であっても良い。また、図3に示す立体表示モニタは、図3に示すように、レンチキュラーシートが垂直となる縦レンズ方式である場合であっても良いし、レンチキュラーシートが斜めとなる斜めレンズ方式である場合であっても良い。
ここまで、第1の実施形態に係る画像処理システム1の構成例について簡単に説明した。なお、上述した画像処理システム1は、PACSが導入されている場合にその適用が限られるものではない。例えば、画像処理システム1は、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステムが導入されている場合にも、同様に適用される。この場合、画像保管装置120は、電子カルテを保管するデータベースである。また、例えば、画像処理システム1は、HIS(Hospital Information System)、RIS(Radiology Information System)が導入されている場合にも、同様に適用される。また、画像処理システム1は、上述した構成例に限られるものではない。各装置が有する機能やその分担は、運用の形態に応じて適宜変更されてよい。
次に、第1の実施形態に係るワークステーションの構成例について図4を用いて説明する。図4は、第1の実施形態に係るワークステーションの構成例を説明するための図である。なお、以下において、「視差画像群」とは、ボリュームデータに対してボリュームレンダリング処理を行なうことで生成された立体視用の画像群のことである。また、「視差画像」とは、「視差画像群」を構成する個々の画像のことである。すなわち、「視差画像群」は、視点位置が異なる複数の「視差画像」から構成される。
第1の実施形態に係るワークステーション130は、画像処理等に適した高性能なコンピュータであり、図4に示すように、入力部131と、表示部132と、通信部133と、記憶部134と、制御部135と、レンダリング処理部136とを有する。なお、以下では、ワークステーション130が画像処理等に適した高性能なコンピュータである場合を用いて説明するが、これに限定されるものではなく、任意の情報処理装置であって良い。例えば、任意のパーソナルコンピュータであっても良い。
入力部131は、マウス、キーボード、トラックボール等であり、ワークステーション130に対する各種操作の入力を操作者から受け付ける。具体的には、第1の実施形態に係る入力部131は、レンダリング処理の対象となるボリュームデータを画像保管装置120から取得するための情報の入力を受け付ける。例えば、入力部131は、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等の入力を受け付ける。また、第1の実施形態に係る入力部131は、レンダリング処理に関する条件(以下、レンダリング条件)の入力を受け付ける。
表示部132は、立体表示モニタとしての液晶パネル等であり、各種情報を表示する。具体的には、第1の実施形態に係る表示部132は、操作者から各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、視差画像群等を表示する。通信部133は、NIC(Network Interface Card)等であり、他の装置との間で通信を行う。
記憶部134は、ハードディスク、半導体メモリ素子等であり、各種情報を記憶する。具体的には、第1の実施形態に係る記憶部134は、通信部133を介して画像保管装置120から取得したボリュームデータを記憶する。また、第1の実施形態に係る記憶部134は、レンダリング処理中のボリュームデータや、レンダリング処理により生成された視差画像群、及び、2次元表示用の画像等を記憶する。また、記憶部134は、後述する制御部135によって用いられる振動周波数設定テーブルを記憶する。なお、振動周波数設定テーブルについては、後に詳述する。
制御部135は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路であり、ワークステーション130の全体制御を行なう。
例えば、第1の実施形態に係る制御部135は、表示部132に対するGUIの表示や視差画像群の表示を制御する。また、例えば、制御部135は、画像保管装置120との間で通信部133を介して行なわれるボリュームデータや視差画像群の送受信を制御する。また、例えば、制御部135は、レンダリング処理部136によるレンダリング処理を制御する。また、例えば、制御部135は、ボリュームデータの記憶部134からの読み込みや、視差画像群の記憶部134への格納を制御する。
レンダリング処理部136は、制御部135による制御の下、画像保管装置120から取得したボリュームデータに対して種々のレンダリング処理を行ない、視差画像群を生成する。なお、レンダリング処理部136の処理については、後に詳述する。
レンダリング処理部136は、制御部135による制御の下、画像保管装置120から取得したボリュームデータに対して種々のレンダリング処理を行ない、視差画像群を生成する。具体的には、第1の実施形態に係るレンダリング処理部136は、記憶部134からボリュームデータを読み込み、このボリュームデータに対して、まず前処理を行なう。次に、レンダリング処理部136は、前処理後のボリュームデータに対してボリュームレンダリング処理を行ない、視差画像群を生成する。続いて、レンダリング処理部136は、各種情報(目盛り、患者名、検査項目等)が描出された2次元画像を生成し、これを視差画像群それぞれに対して重畳することで、出力用の2次元画像を生成する。そして、レンダリング処理部136は、生成した視差画像群や出力用の2次元画像を記憶部134に格納する。なお、第1の実施形態において、レンダリング処理とは、ボリュームデータに対して行なう画像処理全体のことであり、ボリュームレンダリング処理とは、レンダリング処理の内、3次元の情報を反映した2次元画像を生成する処理のことである。レンダリング処理により生成される医用画像とは、例えば、視差画像が該当する。
図5は、図4に示すレンダリング処理部の構成例を説明するための図である。図5に示すように、レンダリング処理部136は、前処理部1361と、3次元画像処理部1362と、2次元画像処理部1363とを有する。前処理部1361が、ボリュームデータに対する前処理を行い、3次元画像処理部1362が、前処理後のボリュームデータから視差画像群を生成し、2次元画像処理部1363が、視差画像群に各種情報が重畳された出力用の2次元画像を生成する。以下、各部を順に説明する。
前処理部1361は、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行なう際に、種々の前処理を行なう処理部であり、画像補正処理部1361aと、3次元物体フュージョン部1361eと、3次元物体表示領域設定部1361fとを有する。
画像補正処理部1361aは、2種類のボリュームデータを1つのボリュームデータとして処理する際に画像補正処理を行なう処理部であり、図5に示すように、歪み補正処理部1361b、体動補正処理部1361c及び画像間位置合わせ処理部1361dを有する。例えば、画像補正処理部1361aは、PET−CT装置により生成されたPET画像のボリュームデータとX線CT画像のボリュームデータとを1つのボリュームデータとして処理する際に画像補正処理を行なう。或いは、画像補正処理部1361aは、MRI装置により生成されたT1強調画像のボリュームデータとT2強調画像のボリュームデータとを1つのボリュームデータとして処理する際に画像補正処理を行なう。
また、歪み補正処理部1361bは、個々のボリュームデータにおいて、医用画像診断装置110によるデータ収集時の収集条件に起因するデータの歪みを補正する。また、体動補正処理部1361cは、個々のボリュームデータを生成するために用いられたデータの収集時期における被検体の体動に起因する移動を補正する。また、画像間位置合わせ処理部1361dは、歪み補正処理部1361b及び体動補正処理部1361cによる補正処理が行なわれた2つのボリュームデータ間で、例えば、相互相関法等を用いた位置合わせ(Registration)を行なう。
3次元物体フュージョン部1363eは、画像間位置合わせ処理部1361dにより位置合わせが行なわれた複数のボリュームデータをフュージョンさせる。なお、画像補正処理部1361a及び3次元物体フュージョン部1361eの処理は、単一のボリュームデータに対してレンダリング処理を行なう場合、省略される。
3次元物体表示領域設定部1361fは、操作者により指定された表示対象臓器に対応する表示領域を設定する処理部であり、セグメンテーション処理部1361gを有する。セグメンテーション処理部1361gは、操作者により指定された心臓、肺、血管等の臓器を、例えば、ボリュームデータの画素値(ボクセル値)に基づく領域拡張法により抽出する処理部である。
なお、セグメンテーション処理部1361gは、操作者により表示対象臓器が指定されなかった場合、セグメンテーション処理を行なわない。また、セグメンテーション処理部1361gは、操作者により表示対象臓器が複数指定された場合、該当する複数の臓器を抽出する。また、セグメンテーション処理部1361gの処理は、レンダリング画像を参照した操作者の微調整要求により再度実行される場合もある。
3次元画像処理部1362は、前処理部1361が処理を行なった前処理後のボリュームデータに対してボリュームレンダリング処理を行なう。ボリュームレンダリング処理を行なう処理部として、3次元画像処理部1362は、投影方法設定部1362aと、3次元幾何変換処理部1362bと、3次元物体アピアランス処理部1362fと、3次元仮想空間レンダリング部1362kとを有する。
投影方法設定部1362aは、視差画像群を生成するための投影方法を決定する。例えば、投影方法設定部1362aは、ボリュームレンダリング処理を平行投影法により実行するか、透視投影法により実行するかを決定する。
3次元幾何変換処理部1362bは、ボリュームレンダリング処理が実行されるボリュームデータを3次元幾何学的に変換するための情報を決定する処理部であり、平行移動処理部1362c、回転処理部1362d及び拡大縮小処理部1362eを有する。平行移動処理部1362cは、ボリュームレンダリング処理を行なう際の視点位置が平行移動された場合に、ボリュームデータを平行移動させる移動量を決定する処理部であり、回転処理部1362dは、ボリュームレンダリング処理を行なう際の視点位置が回転移動された場合に、ボリュームデータを回転移動させる移動量を決定する処理部である。また、拡大縮小処理部1362eは、視差画像群の拡大や縮小が要求された場合に、ボリュームデータの拡大率や縮小率を決定する処理部である。
3次元物体アピアランス処理部1362fは、3次元物体色彩処理部1362g、3次元物体不透明度処理部1362h、3次元物体材質処理部1362i及び3次元仮想空間光源処理部1362jを有する。3次元物体アピアランス処理部1362fは、これらの処理部により、例えば、操作者の要求に応じて、表示される視差画像群の表示状態を決定する処理を行なう。
3次元物体色彩処理部1362gは、ボリュームデータにてセグメンテーションされた各領域に対して着色される色彩を決定する処理部である。3次元物体不透明度処理部1362hは、ボリュームデータにてセグメンテーションされた各領域を構成する各ボクセルの不透過度(Opacity)を決定する処理部である。なお、ボリュームデータにおいて不透過度が「100%」とされた領域の後方の領域は、視差画像群において描出されないこととなる。また、ボリュームデータにおいて不透過度が「0%」とされた領域は、視差画像群において描出されないこととなる。
3次元物体材質処理部1362iは、ボリュームデータにてセグメンテーションされた各領域の材質を決定することで、この領域が描出される際の質感を調整する処理部である。3次元仮想空間光源処理部1362jは、ボリュームデータに対してボリュームレンダリング処理を行なう際に、3次元仮想空間に設置する仮想光源の位置や、仮想光源の種類を決定する処理部である。仮想光源の種類としては、無限遠から平行な光線を照射する光源や、視点から放射状の光線を照射する光源等が挙げられる。
3次元仮想空間レンダリング部1362kは、ボリュームデータに対してボリュームレンダリング処理を行ない、視差画像群を生成する。また、3次元仮想空間レンダリング部1362kは、ボリュームレンダリング処理を行なう際、必要に応じて、投影方法設定部1362a、3次元幾何変換処理部1362b、3次元物体アピアランス処理部1362fにより決定された各種情報を用いる。
ここで、3次元仮想空間レンダリング部1362kによるボリュームレンダリング処理は、レンダリング条件に従って行なわれることになる。例えば、レンダリング条件は、「平行投影法」又は「透視投影法」である。また、例えば、レンダリング条件は、「基準の視点位置及び視差角」である。また、例えば、レンダリング条件は、「視点位置の平行移動」、「視点位置の回転移動」、「視差画像群の拡大」、「視差画像群の縮小」である。また、例えば、レンダリング条件は、「着色される色彩」、「透過度」、「質感」、「仮想光源の位置」、「仮想光源の種類」である。このようなレンダリング条件は、入力部131を介して操作者から受け付ける場合や、初期設定される場合が考えられる。いずれの場合も、3次元仮想空間レンダリング部1362kは、制御部135からレンダリング条件を受け付け、このレンダリング条件に従って、ボリュームデータに対するボリュームレンダリング処理を行なう。また、このとき、上述した投影方法設定部1362a、3次元幾何変換処理部1362b、3次元物体アピアランス処理部1362fが、このレンダリング条件に従って必要な各種情報を決定するので、3次元仮想空間レンダリング部1362kは、決定されたこれらの各種情報を用いて視差画像群を生成する。
図6は、第1の実施形態に係るボリュームレンダリング処理の一例を説明するための図である。例えば、3次元仮想空間レンダリング部1362kが、図6の「9視差画像生成方式(1)」に示すように、レンダリング条件として、平行投影法を受け付け、更に、基準の視点位置(5)と視差角「1度」とを受け付けたとする。かかる場合、3次元仮想空間レンダリング部1362kは、視差角が「1度」おきとなるように、視点の位置を(1)〜(9)に平行移動して、平行投影法により視差角(視線方向間の角度)が1度ずつ異なる9つの視差画像を生成する。なお、平行投影法を行なう場合、3次元仮想空間レンダリング部1362kは、視線方向に沿って無限遠から平行な光線を照射する光源を設定する。
或いは、3次元仮想空間レンダリング部1362kが、図6の「9視差画像生成方式(2)」に示すように、レンダリング条件として、透視投影法を受け付け、更に、基準の視点位置(5)と視差角「1度」とを受け付けたとする。かかる場合、3次元仮想空間レンダリング部1362kは、ボリュームデータの中心(重心)を中心に視差角が「1度」おきとなるように、視点の位置を(1)〜(9)に回転移動して、透視投影法により視差角が1度ずつ異なる9つの視差画像を生成する。なお、透視投影法を行なう場合、3次元仮想空間レンダリング部1362kは、視線方向を中心に光を3次元的に放射状に照射する点光源や面光源を各視点にて設定する。また、透視投影法を行なう場合、レンダリング条件によっては、視点(1)〜(9)は、平行移動される場合であってもよい。
なお、3次元仮想空間レンダリング部1362kは、表示されるボリュームレンダリング画像の縦方向に対しては、視線方向を中心に光を2次元的に放射状に照射し、表示されるボリュームレンダリング画像の横方向に対しては、視線方向に沿って無限遠から平行な光線を照射する光源を設定することで、平行投影法と透視投影法とを併用したボリュームレンダリング処理を行なってもよい。
このようにして生成された9つの視差画像が、視差画像群である。第1の実施形態において、9つの視差画像は、例えば制御部135により所定フォーマット(例えば格子状)に配置した中間画像に変換され、立体表示モニタとしての表示部132に出力される。すると、ワークステーション130の操作者は、立体表示モニタに表示された立体視可能な医用画像を確認しながら、視差画像群生成のための操作を行なうことができる。
なお、図6の例では、レンダリング条件として、投影方法、基準の視点位置及び視差角を受け付けた場合を説明したが、レンダリング条件として、他の条件を受け付けた場合も同様に、3次元仮想空間レンダリング部1362kは、それぞれのレンダリング条件を反映しつつ、視差画像群を生成する。
また、3次元仮想空間レンダリング部1362kは、ボリュームレンダリングだけでなく、任意の平面(例えば、アキシャル面、サジタル面、コロナル面など)の平面画像を再構成する。例えば、3次元仮想空間レンダリング部1362kは、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を行なってボリュームデータからMPR画像を再構成する。なお、3次元仮想空間レンダリング部1362kは、「Curved MPR」を行なう機能や、「Intensity Projection」を行なう機能も有する。
続いて、3次元画像処理部1362がボリュームデータから生成した視差画像群は、アンダーレイ(Underlay)とされる。そして、各種情報(目盛り、患者名、検査項目等)が描出されたオーバーレイ(Overlay)がアンダーレイに対して重畳されることで、出力用の2次元画像とされる。2次元画像処理部1363は、オーバーレイ及びアンダーレイに対して画像処理を行なうことで、出力用の2次元画像を生成する処理部であり、図5に示すように、2次元物体描画部1363a、2次元幾何変換処理部1363b及び輝度調整部1363cを有する。例えば、2次元画像処理部1363は、出力用の2次元画像の生成処理に要する負荷を軽減するために、9枚の視差画像(アンダーレイ)のそれぞれに対して1枚のオーバーレイを重畳することで、出力用の2次元画像を9枚、生成する。
2次元物体描画部1363aは、オーバーレイに描出される各種情報を描画する処理部であり、2次元幾何変換処理部1363bは、オーバーレイに描出される各種情報の位置を平行移動処理又は回転移動処理したり、オーバーレイに描出される各種情報の拡大処理又は縮小処理したりする処理部である。
また、輝度調整部1363cは、輝度変換処理を行なう処理部であり、例えば、出力先の立体表示モニタの諧調や、ウィンドウ幅(WW:Window Width)、ウィンドウレベル(WL:Window Level)等の画像処理用のパラメータに応じて、オーバーレイ及びアンダーレイの輝度を調整する処理部である。
このようにして生成された出力用の2次元画像は、例えば制御部135により一旦記憶部134に格納され、その後、通信部133を介して画像保管装置120に送信される。例えば、端末装置140が、画像保管装置120からこの出力用の2次元画像を取得し、所定フォーマット(例えば格子状)に配置した中間画像に変換した上で立体表示モニタに表示すると、観察者である医師や検査技師は、各種情報(目盛り、患者名、検査項目等)が描出された状態で、立体視可能な医用画像を閲覧することができる。
以上、第1の実施形態に係る画像処理システム1及びワークステーション130の構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係るワークステーション130は、以下、詳細に説明する制御部135の処理により、表示対象物の状態を感覚的に把握することを可能とするように構成されている。具体的には、第1の実施形態に係るワークステーション130は、表示対象物のボリュームデータに含まれるボクセルごとの特徴量に応じて、表示対象物を任意の方向及び強度で振動させる。
図7は、第1の実施形態に係る制御部135の構成例を説明するための図である。図7に示すように、制御部135は、振動周波数設定部1351と、画像データ生成部1352と、表示制御部1353とを有する。振動周波数設定部1351は、3次元画像データに含まれるボクセルごとの特徴量に応じて、当該ボクセルに任意の振動を加えた場合の振動周波数をボクセルごとに算出する。具体的には、振動周波数設定部1351は、記憶部134によって記憶された振動周波数設定テーブルを参照して、ボクセルごとの振動周波数を設定する。
ここで、まず、記憶部134によって記憶される振動周波数設定テーブルについて説明する。図8は、第1の実施形態に係る記憶部134によって記憶される振動周波数設定テーブルの一例を示す図である。図8に示すように、記憶部134は、モダリティごとに、硬度情報に振動周波数を対応付けた振動周波数設定テーブルを記憶する。例えば、記憶部134は、図8に示すように、超音波診断装置の振動周波数設定テーブルとして、エラストグラフィ(Elastography)により取得される組織の歪みの情報であるFLR(Fat Lesion Ratio)に振動周波数を対応付けたテーブルを記憶する。ここで、エラストグラフィとは、組織に対して外圧をかけた際の組織の歪みの値を算出して当該組織の硬度を調べる技術である。また、FLRとは、脂肪と病変との歪みの比を示す。なお、図13においては、エラストグラフィにより取得される組織の歪みの情報としてFLRを用いているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、任意の情報を用いることが可能である。例えば、音響放射圧で組織に歪みを与えてその変化を見るARFI(Acoustic Radiation Force Impulse)や、横波を用いて組織の歪みを見るShare Waveなどを組織の歪みの情報として用いる場合であってもよい。
また、例えば、記憶部134は、図8に示すように、X線CT装置の振動周波数設定テーブルとして、CT値(HU:Hounsfield unit)に振動周波数を対応付けたテーブルを記憶する。同様に、記憶部134は、MRI装置の振動周波数設定テーブルを記憶する。MRI装置の振動周波数設定テーブルに用いられる硬度情報としては、例えば、エラストグラフィにより取得される組織の歪みの情報などである。なお、モダリティごとの振動周波数設定テーブルは、予め操作者により設定され、記憶部134に格納される。
例えば、振動周波数設定部1351は、振動モードがONである場合に、ボリュームデータに含まれるボクセルごとの硬度情報を取得する。そして、振動周波数設定部1351は、記憶部134によって記憶された振動周波数設定テーブルを参照して、ボクセルごとに振動周波数を設定する。以下、エラストグラフィにより取得される歪みに関する情報を用いる場合を一例に挙げて説明する。
図9は、第1の実施形態に係る振動周波数設定部1351による処理の一例を説明するための図である。ここで、図9の(A)においては、エラストグラフィを用いることで調べられた硬度に応じてカラー表示した臓器を示している。例えば、超音波診断装置にエラストグラフィを用いる場合には、超音波プローブを利用して超音波の送信方向に組織を圧迫することで、組織の硬さに応じた歪みの値を取得し、取得した歪みの値からFLRを算出して、臓器をカラー表示する。
振動周波数設定部1351は、エラストグラフィにより取得されたFLRを用いて、ボリュームデータのボクセルごとに振動周波数を設定する。例えば、振動周波数設定部1351は、図9の(B)に示す領域300の奥行き方向のボクセル301〜303それぞれのFLRを取得する。そして、振動周波数設定部13521は、図8に示す超音波診断装置の振動周波数設定テーブルを参照して、ボクセルごとに振動周波数を設定する。
図10は、第1の実施形態に係る振動周波数設定部13521の処理結果の一例を示す図である。ここで、図10に示す「ボクセルID」とは、振動の対象となる対象物を示すボリュームデータに含まれるボクセルを一意に識別するための識別子であり、振動周波数設定部1351によってシーケンシャルに付与される。例えば、振動周波数設定部1351は、図10に示すように、「ボクセルID:301」の「振動周波数(Hz)」として「20」を設定する。同様に、振動周波数設定部1351は、「ボクセルID:302」及び「ボクセルID:303」に対して、それぞれ「振動周波数:18」及び「振動周波数:10」を設定する。振動周波数設定部13521は、ボリュームデータに含まれる全てのボクセルに対して振動周波数を設定して、処理結果を記憶部134に格納する。
図7に戻って、画像データ生成部1352は、振動周波数設定部1351によって設定された振動周波数によりボクセルそれぞれを移動させた場合の経時的な3次元画像データを生成する。具体的には、画像データ生成部1352は、振動周波数設定部1351によって設定された振動周波数に、振動の方向、強度及び時間のうち少なくとも一つの条件を反映させた経時的な3次元画像データを生成する。
図11は、第1の実施形態に係る画像データ生成部1352による処理の一例を説明するための図である。例えば、画像データ生成部1352は、図11の(B)に示すように、図11の(A)に示すボリュームデータに含まれるすべてのボクセルを、設定された振動周波数で任意の方向(上下、左右又は前後など)に移動させた場合のボリュームデータを時系列に沿って生成する。なお、図11の(B)に示す「t1」〜「tn」は、ボリュームデータが生成された時相を示し、「t1」から順に「n」個目の時相までボリュームデータが生成されたことを示す。
一例として、図11の(A)に示す臓器を所定の強度で左右方向に振動させる場合について説明する。かかる場合には、まず、画像データ生成部1352は、元のボリュームデータに対して直交三断面となる座標を設定する。そして、画像データ生成部1352は、ボリュームデータに含まれる全てのボクセルを、振動周波数設定部1351により設定された振動周波数で左右方向に交互に振動させる。そして、画像データ生成部1352は、予め設定された所定の時間(例えば、t1=0.5秒)後の座標にボクセルを移動させたボリュームデータを生成する。画像データ生成部1352は、上述した処理をn回繰り返し実行することで、n時相分のボリュームデータを生成する。なお、振動の強度(ボクセルの移動量)は、予め任意に設定される。また、画像データ生成部1352により生成されたn時相分のボリュームデータは、記憶部134によって記憶される。
図7に戻って、表示制御部1353は、画像データ生成部1352によって生成された経時的なボリュームデータに含まれる各時相のボリュームデータからそれぞれ生成された視差画像群を時系列順に表示させる。具体的には、表示制御部1353は、画像データ生成部1352によって生成された各時相のボリュームデータに対して同一視点から9視差分の画像を生成させ、生成させた9視差画像を表示部132にて時系列順に表示させる。
ここで、表示制御部1353は、振動周波数設定部1351によって設定された振動周波数が所定の閾値以下となるボクセルが集合した領域を抽出し、抽出した領域を含む視点位置からの視差画像群を、各時相のボリュームデータからそれぞれ生成させるように制御し、当該各時相のボリュームデータからそれぞれ生成させた視差画像群を時系列順に表示させる。例えば、表示制御部1353は、振動周波数設定部1351によって設定された振動周波数が「5Hz」以下となるボクセルが集合した領域を関心領域として抽出する。そして、表示制御部1353は、各時相のボリュームデータを対象として、抽出した関心領域が見やすい方向を視点位置としたボリュームレンダリング処理をレンダリング処理部136に実行させる。
図12は、第1の実施形態に係る表示制御部1353による処理の一例を説明するための図である。例えば、表示制御部1353は、図12の(A)に示す「t1」〜「tn」までのn時相分のボリュームデータそれぞれから、関心領域が前面に示される視点位置で9視差画像を生成させる。そして、表示制御部1353は、生成された9視差画像それぞれを時系列順に表示部132に表示させる。
その結果、表示制御部1353は、例えば、図12の(B)の領域400に示すように、振動周波数が低い領域がほとんど振動せず、表示部分が鮮明に観察できる立体視可能な画像を表示部132から表示させることとなる。言い換えると、表示される臓器において、硬い部分が鮮明に観察されることとなり、表示対象物の状態を感覚的に把握することが可能である。
次に、図13を用いて、第1の実施形態に係るワークステーション130の処理について説明する。図13は、第1の実施形態に係るワークステーション130による処理の手順を示すフローチャートである。図13に示すように、第1の実施形態に係るワークステーション130においては、振動モードがONの場合には(ステップS101肯定)、振動周波数設定部1351は、硬度情報を取得する(ステップS102)。
そして、振動周波数設定部1351は、振動周波数設定テーブルを参照して、取得した硬度情報からボクセルごとに振動周波数を設定する(ステップS103)。その後、画像データ生成部1352は、振動周波数に応じてボクセルを移動させた場合の経時的なボリュームデータを生成する(ステップS104)。
続いて、表示制御部1353は、振動周波数が所定の閾値よりも低い領域が前面になる視点位置を決定し(ステップS105)、経時的なボリュームデータそれぞれに対して、決定した視点位置からボリュームレンダリングを実行させ(ステップS106)、視差画像群を生成させる。そして、表示制御部1353は、経時的なボリュームデータからそれぞれ生成した視差画像群を時系列順に表示部132にて表示させる(ステップS107)。なお、第1の実施形態に係るワークステーション130は、振動モードがONになるまで待機状態である(ステップS101否定)。
上述したように、第1の実施形態によれば、振動周波数設定部1351が、3次元画像データに含まれるボクセルごとの特徴量に基づいて、当該ボクセルに任意の振動が加えられた場合の振動周波数をボクセルごとに設定する。そして、画像データ生成部1352が、振動周波数設定部1351によって設定された振動周波数に応じて、ボクセルそれぞれを移動させた場合の経時的な3次元画像データを生成する。そして、表示制御部1353が、画像データ生成部1352によって生成された経時的な3次元画像データに含まれる各時相の3次元画像データからそれぞれ生成された視差画像群を時系列順に表示させる。従って、第1の実施形態に係るワークステーション130は、特徴量に応じて振動が異なる画像を観察することができ、表示対象物の状態を感覚的に把握することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、振動周波数設定部1351が、特徴量として、ボクセルごとの硬度情報を用いる。従って、第1の実施形態に係るワークステーション130は、表示対象物の部分的な硬さや周囲の組織との関係を直感的に把握することを可能にする。その結果、第1の実施形態に係るワークステーション130は、例えば、血管と実質との関係や、腫瘍の癒着具合などを容易に把握することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、画像データ生成部1352は、振動周波数設定部1351によって設定された振動周波数に加え、振動の方向、強度及び時間のうち少なくとも一つの条件を反映させた経時的な3次元画像データを生成する。従って、第1の実施形態に係るワークステーション130は、観察者が加えた任意の振動に対する表示対象物の振動の状態を画像として表示させることができ、種々の情報を得ることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、表示制御部1353は、振動周波数設定部1351によって設定された振動周波数が所定の閾値以下となるボクセルが集合した領域を抽出し、抽出した領域を含む視点位置からの視差画像群を各時相の3次元画像データからそれぞれ生成させるように制御し、当該各時相の3次元画像データからそれぞれ生成させた視差画像群を時系列順に表示させる。従って、第1の実施形態に係るワークステーション130は、振動しにくい領域が見やすい画像を自動で観察者に表示することができ、表示対象物の部分的な硬さや周囲の組織との関係を容易に把握させることを可能にする。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、立体視可能な画像を振動させる場合について説明した。第2の実施形態では、関心領域を含む2次元画像を生成し、生成した2次元画像を振動させる場合ついて説明する。なお、第2の実施形態では、図7に示す第1の実施形態に係る制御部135と同一の構成を有する。そこで、第2の実施形態においては、関心領域を含む2次元画像を生成し、生成した2次元画像を振動させる制御部を表示制御部1353aとして説明する。すなわち、表示制御部1353aは、図7に示す表示制御部1353に新たな処理が追加されたものである。
表示制御部1353aは、関心領域を含む2次元画像データを各時相の3次元画像データからそれぞれ生成させるように制御し、当該各時相の3次元画像データからそれぞれ生成させた2次元画像データを時系列順に表示させる。図14は、第2の実施形態に係る表示制御部1353aによる処理の一例を説明するための図である。図14においては、図12に示す臓器のボリュームデータから2次元画像データを生成する場合について示す。
例えば、表示制御部1353aは、図14の(A)に示す関心領域400を含むMPR画像を各時相のボリュームデータからそれぞれ生成させる。なお、関心領域400は、振動周波数設定部1351によって設定された振動周波数が所定の閾値よりも低いボクセルが集合した領域である。
ここで、表示制御部1353aは、任意の断面でMPR画像を生成させることが可能である。具体的には、表示制御部1353aによって生成されるMPR画像の断面の角度や深さは、操作者によって予め任意に設定することが可能である。例えば、表示制御部1353aは、図14の(A)に示すように、表示部132にて立体視可能な画像を振動させて表示させている際に、2次元画像モードをONにするための「MPR画像」ボタンが操作者によって押下されると、図14の(B)に示すように、予め設定された条件で、各時相のボリュームデータからMPR画像を生成させる。そして、表示制御部1353aは、生成されたMPR画像を時系列順に表示部132にて表示させる。これにより、表示制御部1353aは、関心領域の振動の状態をより高精細に描出した画像を観察者に表示することができる。
なお、上述した第2の実施形態では、立体視可能な画像が表示部132にて表示された後に、「MPR画像」ボタンが押下され、2次元画像を表示する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、振動モードがONにされた後、即座に「MPR画像」ボタンが押下された場合に、装置内で処理を実行させ、表示部132にMPR画像のみを表示させることも可能である。
次に、図15を用いて、第2の実施形態に係るワークステーション130の処理について説明する。図15は、第2の実施形態に係るワークステーション130による処理の手順を示すフローチャートである。なお、図15は、表示部132にて立体視可能な画像を表示させた後の処理を示す。
図15に示すように、第2の実施形態に係るワークステーション130においては、2次元画像モードがONにされると(ステップS201肯定)、表示制御部1353aは、関心領域の断面を描出したMPR画像を経時的なボリュームデータそれぞれから生成させる(ステップS202)。
そして、表示制御部1353aは、生成させたMPR画像を時系列順に表示させる(ステップS203)。なお、2次元画像モードがONにされるまでは、表示制御部1353aは、立体視可能な画像を継続して表示させる(ステップS201否定)。
上述したように、第2の実施形態によれば、表示制御部1353aは、関心領域を含む2次元画像データを各時相の3次元画像データからそれぞれ生成させるように制御し、当該各時相の3次元画像データからそれぞれ生成させた2次元画像データを時系列順に表示させる。従って、第2の実施形態に係るワークステーション130は、関心領域の振動の状態をより高精細に描出した画像を観察者に表示することを可能にする。
(第3の実施形態)
さて、これまで第1及び第2の実施形態について説明したが、上述した第1及び第2の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した実施形態においては、エラストグラフィを用いることで取得される歪みの情報を硬度情報として用いる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、X線CT装置により取得されるボクセルごとのCT値を用いる場合であってもよい。かかる場合には、近年、開発が進められているフォトンカウンティング方式の検出器を用いるX線CT装置(フォトンカウンティングCT)が利用される。
フォトンカウンティングCTは、フォトンカウンティング方式の検出器により、被検体を透過したX線を検出する。具体的には、フォトンカウンティングCTは、フォトンカウンティング方式の検出器により被検体を透過したX線のエネルギー値を検出素子ごとにカウントする。これにより、フォトンカウンティングCTは、X線が透過した被検体の人体内組織を構成する元素を推定することが可能となるスペクトラムをX線投影データとして収集することができる。その結果、フォトンカウンティングCTは、元素レベルの違いが詳細に描出されたX線CT画像を再構成することができる。
また、4Dデータが収集された場合には、4Dデータに含まれる情報を用いて、振動周波数を設定することも可能である。図16は、変形例を説明するための図である。図16においては、記憶部134に記憶されるX線CT装置の振動周波数設定テーブルを示す。例えば、記憶部134は、図16に示すように、X線CT装置の振動周波数設定テーブルとして、移動量(ピクセル)に振動周波数を対応付けた情報を記憶する。
ここで、図6に示す「移動量(ピクセル)」とは、4Dデータにおいて、各ボクセルが移動するピクセルの数を示す。すなわち、4Dデータを収集した場合に、実際の臓器の動きを振動周波数に変換して、それに応じて、臓器を振動させた画像を表示する。これにより、例えば、4Dデータの収集時間が短時間であっても、任意の長さの4Dデータを生成することができ、被爆量を低減することを可能にする。なお、上記した変形例では、モダリティがX線CT装置である場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、MRI装置や、超音波診断装置などにも適用可能である。すなわち、各モダリティにおいて、4Dデータが収集された場合には、実際の臓器の動きを振動周波数に変換して、それに応じて、臓器を振動させた画像を表示させることが可能である。
上述した実施形態においては、視差画像群を生成する際の視点位置や、MPR画像を生成する際の断面などが自動で設定される場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものでなく、操作者が任意に設定することが可能である。例えば、操作者が、立体画像上でカーソルを用いて、視点位置や、振動方向や、振動の強度を変えたり、MPR画像上でカーソルを用いて、断面の向きや、断面の深さを変えたりすることが可能である。
上述した実施形態においては、ワークステーション130が、表示対象物を振動させた画像を生成して表示する場合について説明した。しかしながら、開示の技術がこれに限定されるものではなく、例えば、医用画像診断装置110が表示対象物を振動させた画像を生成して表示する場合であってもよい。また、医用画像診断装置110又はワークステーション130が表示対象物を振動させた画像を生成して、端末装置140が、画像を表示する場合であってもよい。
また、上述した実施形態においては、端末装置140は、画像保管装置120から取得した医用画像等を表示等するものとして説明した。しかしながら、開示の技術はこれに限定されるものではなく、例えば、端末装置140は、医用画像診断装置110又はワークステーション130に直接接続される場合であってもよい。
また、上述した実施形態においては、ワークステーション130は、画像保管装置120からボリュームデータを取得し、このボリュームデータから表示対象物を振動させた画像を生成して表示する場合について説明した。しかしながら、開示の技術はこれに限定されるものではなく、例えば、ワークステーション130は、医用画像診断装置110からボリュームデータを取得し、このボリュームデータから表示対象物を振動させた画像を生成して表示する場合であってもよい。
上述した実施形態においては、端末装置140が、画像保管装置120から画像を取得しして表示する場合について説明した。しかしながら、開示の技術はこれに限定されるものではなく、例えば、端末装置140が、医用画像診断装置110から画像を取得して表示する場合であってもよい。
以上説明したとおり、実施形態によれば、本実施形態の画像処理システム、装置、方法及び医用画像診断装置は、表示対象物の状態を感覚的に把握することを可能にする。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。