JP2013095880A - 高分子化合物の製造方法、レジスト組成物及びレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アニオン基と、スルホニウム又はヨードニウムカチオンとを有するモノマーを重合して前駆体ポリマーを合成し、洗浄した後、当該前駆体ポリマーをスルホニウム又はヨードニウムカチオンと塩交換させる、高分子化合化合物の製造方法であって、塩交換に用いるスルホニウム又はヨードニウムカチオンが、前記モノマー中のスルホニウム又はヨードニウムカチオンよりも疎水性が高いことを特徴とする、露光により分解して酸を発生する構成単位を有する高分子化合物の製造方法。
【選択図】なし
Description
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化(高エネルギー化)が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長(高エネルギー)のEUV(極紫外線)や、EB(電子線)、X線などについても検討が行われている。
このような要求を満たすレジスト材料として、従来、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分とを含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。たとえば上記現像液がアルカリ現像液(アルカリ現像プロセス)の場合、ポジ型の化学増幅型レジスト組成物としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(ベース樹脂)と、酸発生剤成分とを含有するものが一般的に用いられている。かかるレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、レジストパターン形成時に選択的露光を行うと、露光部において酸発生剤成分から酸が発生し、該酸の作用によりベース樹脂のアルカリ現像液に対する溶解性が増大して、露光部がアルカリ現像液に対して可溶となる。そのためアルカリ現像することにより、未露光部がパターンとして残るポジ型パターンが形成される。
ここで、前記ベース樹脂は、酸の作用により樹脂の極性が高くなるものが用いられ、アルカリ現像液に対する溶解性が増大する一方で、有機溶剤に対する溶解性は低下する。そのため、アルカリ現像プロセスでなく、有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いた溶剤現像プロセスを適用すると、露光部では、相対的に有機系現像液に対する溶解性が低下するため、該溶剤現像プロセスにおいては、レジスト膜の未露光部が有機系現像液により溶解、除去されて、露光部がパターンとして残るネガ型のレジストパターンが形成される。このようにネガ型のレジストパターンを形成する溶剤現像プロセスをネガ型現像プロセスということがある(たとえば特許文献1)。
ここで、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。
また、上記のような樹脂の製造においては、一部の酸発生基を含むモノマーを用いた場合に樹脂を製造することができないという問題がある。そのため、樹脂に用いる酸発生基の選択の幅が狭く、要求されるリソグラフィー特性やリソグラフィー条件に応じて酸発生基を最適化することが難しいという問題もある。
すなわち、本発明の第一の態様は、アニオン基と、スルホニウム又はヨードニウムカチオンとを有するモノマーを重合して前駆体ポリマーを合成し、洗浄した後、当該前駆体ポリマーをスルホニウム又はヨードニウムカチオンと塩交換させる、高分子化合化合物の製造方法であって、塩交換に用いるスルホニウム又はヨードニウムカチオンが、前記モノマー中のスルホニウム又はヨードニウムカチオンよりも疎水性が高いことを特徴とする、露光により分解して酸を発生する構成単位を有する高分子化合物の製造方法である。
本発明の第三の態様は、支持体上に、前記第二の態様のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法である。
「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン化アルキル基」はアルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、「ハロゲン化アルキレン基」はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」はアルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基であり、「フッ素化アルキレン基」はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基である。
本明細書において「高分子化合物」又は「樹脂」とは、分子量が1000以上の重合体をいう。高分子化合物の場合、「分子量」としてはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
本発明の高分子化合物の製造方法は、アニオン基と、スルホニウム又はヨードニウムカチオンとを有するモノマーを重合して前駆体ポリマーを合成し、洗浄した後、当該前駆体ポリマーをスルホニウム又はヨードニウムカチオンと塩交換させる高分子化合化合物の製造方法であって、塩交換に用いるスルホニウム又はヨードニウムカチオンが、前記モノマー中のスルホニウム又はヨードニウムカチオンよりも疎水性が高いことを特徴とする露光により分解して酸を発生する高分子化合化合物の製造方法(以下、単に「製造方法」ということがある。)である。また、本明細書内では、「アニオン基と、スルホニウム又はヨードニウムカチオンとを有するモノマー」を、「アニオン基含有モノマー」ということがある。
この製造方法により製造される高分子化合物は、露光により酸を発生する。具体的には、当該高分子化合物を構成する前記アニオン含有モノマーから誘導される構成単位であって、そのカチオン部がスルホニウム又はヨードニウムカチオンと塩交換した構成単位の少なくとも一部が露光により分解することにより酸が発生する。
本発明に係る製造方法により製造される高分子化合物は、レジスト組成物の基材成分に用いられるベース樹脂として好適なものである。
以下、かかる高分子化合物の製造方法について、アニオン基含有モノマーを重合して前駆体ポリマーを合成し、洗浄する工程(i)、工程(i)において合成された前駆体ポリマーをスルホニウム又はヨードニウムカチオンと塩交換させる工程(ii)に分けてそれぞれ説明する。
工程(i)は、アニオン基と、スルホニウム又はヨードニウムカチオンとを有するモノマー(アニオン基含有モノマー)を重合して前駆体ポリマーを合成し、洗浄する工程である。
具体的には、少なくとも、アニオン基含有モノマーを重合溶媒に溶解し、ここに重合開始剤を加えて重合させることにより、前駆体ポリマーを合成することができる。
本発明では、アニオン基含有モノマーに加えて、必要に応じて高分子化合物に導入される構成単位を誘導するモノマーを用いてもよい。必要に応じて高分子化合物に導入される構成単位を誘導するモノマーとしては、アニオン基含有モノマーと共重合可能なものであれば特に限定されるものではなく、具体的には後述の構成単位(a1)〜(a6)を誘導するモノマーが挙げられる。該モノマーとしては、市販のものを用いてもよく、公知の方法を用いて合成したものを用いてもよい。
重合溶媒としては、原料であるアニオン基含有モノマーや、必要に応じて導入される各構成単位を誘導するモノマーを溶解できるものであればよく、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン又はこれらの混合溶剤などが挙げられる。
反応時間は、モノマー同士の反応性や反応温度等によっても異なるが、通常、60〜480分間が好ましく、120〜420分間がより好ましい。
モノマーを重合した後、反応重合液を、たとえば大量の水又は有機溶媒(イソプロパノール、ヘプタン、メタノール等)中に滴下等することにより重合体を析出させ、濾別等を行うことにより前駆体ポリマーが得られる。
分散洗浄時に使用する有機溶媒としては極性溶媒が好ましく、例えば、メタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒が好ましく、その他ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等も好適に使用できる。
再溶解・再沈による洗浄時には、たとえば水又はイソプロパノール、ヘプタン、メタノール等の溶媒が用いられる。
液液洗浄による洗浄時には、前駆体ポリマーを溶解しない貧溶媒(たとえば炭化水素系溶媒やエーテル系溶媒)と前駆体ポリマーを溶解する良溶媒(例えば、ジメチルスルホキシドもしくはジメチルホルムアミド等の有機溶媒、または水と極性溶媒との混合溶媒でもよい)とを組み合わせて用いる。
工程(ii)は、工程(i)において合成された前駆体ポリマーを、スルホニウム又はヨードニウムカチオンと塩交換させる工程である。工程(ii)において用いるスルホニウム又はヨードニウムカチオンは、工程(i)の前駆体ポリマー合成に用いるモノマーのスルホニウム又はヨードニウムカチオンよりも疎水性が高い。
以下、前駆体ポリマー合成に用いるアニオン基含有モノマーの有するスルホニウム又はヨードニウムカチオンと区別するため、工程(ii)で用いるスルホニウム又はヨードニウムカチオンを、「第二のスルホニウム又はヨードニウムカチオン」ということがある。
溶離液(展開溶媒):アセトニトリル/バッファー液(50/50体積比)
バッファー液:トリフルオロ酢酸/イオン交換水(0.1質量%)。
装置:Dionex U3000(Dionex社製)。
カラム:Speriorex−ODX(資生堂社製)。
検出器:Corona CAD(ESA Biosciences社製)。
流速:1mL/分。
カラム温度:30℃
サンプル濃度:固形分0.1質量%のアセトニトリル溶液
注入量:2μl
なお、上記サンプル濃度は、アニオンがBr−で、カチオンが種々の目的の構造となる化合物の固形分濃度を示す。
反応温度は、10〜30℃程度が好ましく、15〜25℃程度がより好ましい。
反応時間は、当該前駆体ポリマーと塩交換用化合物との反応性や反応温度等によっても異なるが、通常、0.5分間以上24時間以下が好ましい。
かかる塩交換における塩交換用化合物の使用量は、通常、当該前駆体ポリマーにおける第一のスルホニウム又はヨードニウムカチオンを有する構成単位を誘導するモノマー1モルに対して、1〜5モル程度が好ましい。
なお、当該前駆体ポリマーにおける第一のスルホニウム又はヨードニウムカチオンを有する構成単位を誘導するモノマーの物質量は、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))から換算して求めることができる。
単離、精製には、従来公知の方法が利用でき、たとえば濃縮、水洗浄、有機溶媒洗浄、溶媒抽出、蒸留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等をいずれか単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アニオン基と、スルホニウム又はヨードニウムカチオンとを有するモノマーは、工程(i)における重合により前駆体ポリマーを構成する構成単位となる。該構成単位は、露光により少なくとも一部の構造が分解して、酸を発生する。
また、該モノマー中のカチオン部(スルホニウム又はヨードニウムカチオン)は、工程(ii)における塩交換により第二のスルホニウム又はヨードニウムカチオンと塩交換可能なものであって、第二のスルホニウム又はヨードニウムカチオンよりも疎水性が低い。
本明細書において、工程(ii)で用いる第二のスルホニウム又はヨードニウムカチオンと区別するため、工程(i)で用いるモノマー中のスルホニウム又はヨードニウムカチオンを、「第一のスルホニウム又はヨードニウムカチオン」ということがある。
アニオン基含有モノマーにおけるアニオン基としては特に限定されるものではないが、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、及びトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンからなる群より選択される少なくとも一種の基であることが好ましい。
なかでも、アニオン基としては、下記式(an1)〜(an4)で表される基が好ましい。
W0の置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族基であってもよい。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
W0における脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH2−]、エチレン基[−(CH2)2−]、トリメチレン基[−(CH2)3−]、テトラメチレン基[−(CH2)4−]、ペンタメチレン基[−(CH2)5−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−C(CH2CH3)2−CH2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、水素原子を置換する置換基(水素原子以外の基または原子)を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、水素原子を置換する置換基(水素原子以外の基または原子)を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−が好ましい。
W0における芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
W0における芳香族基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基またはヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を2つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基);等が挙げられる。前記アリール基またはヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記芳香族基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。たとえば当該芳香族基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基としては、前記環状の脂肪族炭化水素基の置換基としてのアルキル基、アルコキシ基と、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基と同様である。
なかでも、下記式(an1−1)で表される基が好ましい。
Rf1、Rf2のアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
Rf1、Rf2のフッ素化アルキル基としては、上記Rf1、Rf2のアルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が好ましい。
Rf1、Rf2としては、フッ素原子又はフッ素化アルキル基であることが好ましい。
式(an1−1)中、p0は1〜8の整数であり、1〜4の整数であることが好ましく、1又は2であることがさらに好ましい。
また、W0の置換基を有していてもよい炭化水素基として、上記式(an1−1)以外の好適な例としては、置換基を有していてもよい脂肪族環式基又は芳香族基であることが好ましく、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、カンファー、ベンゼン等から2個以上の水素原子を除いた基(置換基を有していてもよい)であることがより好ましい。
式(an2)中、Z4及びZ5は、それぞれ独立に、−C(=O)−又は−SO2−であり、少なくとも一方が−SO2−であることが好ましく、両方が−SO2−であることがより好ましい。
R62及びR63は、それぞれ独立に、フッ素原子を有していてもよい炭化水素基であり、後述するR61におけるフッ素原子を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられる。
R61は、フッ素原子を有していてもよい炭化水素基である。R61における炭化水素基としては、アルキル基、1価の脂環式炭化水素基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。
R61におけるアルキル基は、炭素数1〜8であるものが好ましく、炭素数1〜6であるものがより好ましく、炭素数1〜4であるものがさらに好ましく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が好ましいものとして挙げられる。
R61における1価の脂環式炭化水素基は、炭素数3〜20であるものが好ましく、炭素数3〜12であるものがより好ましく、多環式でもよく、単環式でもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
R61におけるアリール基は、炭素数6〜18であるものが好ましく、炭素数6〜10であるものがより好ましく、具体的にはフェニル基が特に好ましい。
R61におけるアラルキル基は、炭素数1〜8のアルキレン基と上記「R61におけるアリール基」とが結合したものが好ましい例として挙げられる。炭素数1〜6のアルキレン基と上記「R61におけるアリール基」とが結合したアラルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基と上記「R61におけるアリール基」とが結合したアラルキル基が特に好ましい。
R61における炭化水素基は、当該炭化水素基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていることが好ましく、当該炭化水素基の水素原子の30〜100%がフッ素原子で置換されていることがより好ましい。なかでも、上述したアルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基であることが特に好ましい。
R64における炭化水素基として、具体的には、上記R61における炭化水素基(アルキル基、1価の脂環式炭化水素基、アリール基、アラルキル基など)についての説明の中で例示したものから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。
R64における炭化水素基は、当該炭化水素基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていることが好ましく、当該炭化水素基の水素原子の30〜100%がフッ素原子で置換されていることがより好ましい。
一方、アニオン基が式(an1)で表される基のうちフッ素原子を有さない場合や、式(an4)で表される基や、Z1及びZ2が−C(=O)−である式(an3)で表される基を有する場合、露光によって該アニオン基からアルキルスルホン酸アニオン、アリールスルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、イミドアニオン等の比較的弱い酸を発生させることができる。
また、例えば、通常レジスト組成物において用いられるクエンチャー(酸発生剤から発生する強酸と塩交換して強酸をトラップするクエンチャー)と同様の機能を該アニオン基が担う場合は、弱酸を発生するアニオン基を選択することが好ましい。
なお、ここで強酸、弱酸とは、後述する構成単位(a1)に含まれるような酸の作用により分解する酸分解性基の活性化エネルギーとの関係性や、共に用いられる酸発生剤の酸強度との関係性において決定されるものである。そのため、上述した“比較的弱い酸”が、必ずクエンチャーとして用いることができるものではない。
当該重合性基としては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、フルオロビニル基、ジフルオロビニル基、トリフルオロビニル基、ジフルオロトリフルオロメチルビニル基、トリフルオロアリル基、パーフルオロアリル基、トリフルオロメチルアクリロイル基、ノニルフルオロブチルアクリロイル基、ビニルエーテル基、含フッ素ビニルエーテル基、アリルエーテル基、含フッ素アリルエーテル基、スチリル基、含フッ素スチリル基、ノルボルニル基、含フッ素ノルボルニル基、シリル基などが挙げられる。
Rにおける炭素数1〜5のアルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
Rにおける炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基としては、前記「Rにおける炭素数1〜5のアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
なかでも、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基であることが好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の基または原子)で置換されていることを意味する。
Q2における該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族基であってもよい。Q2における脂肪族炭化水素基、芳香族基としては、W0の脂肪族炭化水素基、芳香族基と同様である。
ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−、−NH−C(=O)−、=N−、一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−C(=O)−O−、−Y21−O−C(=O)−、−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−、−Y21−O−C(=O)−Y22−、−Y21−O−Y22−O−C(=O)−、−Y21−O−S(=O)2−、−Y21−S(=O)2−Y22−O−S(=O)2−、−Y21−O−C(=O)−Y22−O−S(=O)2−、−Y21−O−Y22−O−C(=O)−Y23−、−Y21−O−S(=O)2−Y22−、−Y21−S−Y22−O−S(=O)2−Y23−、または−Y21−O−C(=O)−Y22−O−S(=O)2−Y23−で表される基[式中、Y21、Y22およびY23はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、Cは炭素原子であり、Sは硫黄原子であり、m’は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
Q2が−NH−の場合、そのHはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。
前記Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」(W0の脂肪族炭化水素基、芳香族基)と同様のものが挙げられる。
Y21としては、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基が好ましく、直鎖状または環状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
Y22としては、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基、アルキルメチレン基、(ポリ)シクロアルキレン基、フェニレン基、またはナフチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
Y23としては、置換基を有していてもよい直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、置換基を有していてもよい直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基がより好ましい。
式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基において、m’は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基としては、式−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CH2)a’−C(=O)−O−(CH2)b’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、ヘテロ原子として酸素原子を有する直鎖状の基、例えばエーテル結合またはエステル結合を含む基、が好ましく、前記式−Y21−C(=O)−O−、−Y21−O−C(=O)−、−Y21−O−Y22−、−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基がより好ましい。
式中、M+はスルホニウム又はヨードニウムカチオンであって、詳細は後述する。
これらのうち、下記式(an11)〜(an14)で表される化合物としてはそれぞれ、下記式(an11−1)〜(an13−1)で表される構成単位が好ましい。
下記式中、M+はそれぞれスルホニウム又はヨードニウムカチオンである。スルホニウム又はヨードニウムカチオンの詳細は後述する。
Rarは置換基を有していてもよい2価の芳香族基である。該2価の芳香族基としては、前記一般式(an1)中のW0における2価の連結基の説明で、2価の炭化水素基として挙げた芳香族基と同様のものが挙げられる。なかでも、置換基を有していてもよいフェニレン基、又は置換基を有していてもよいナフチレン基が好ましい。
式(an12)中、Rnは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。炭素数1〜5のアルキル基としては、前記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられる。なかでもRnとしては、水素原子又はメチル基が好ましい。
Q23として具体的には、−O−、−CH2−O−、又は−C(=O)−O−からなる基;−O−、−CH2−O−又は−C(=O)−O−と、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基とからなる基等が挙げられる。
かかる置換基を有していてもよい2価の炭化水素基としては、前記式Q2における2価の連結基で挙げた置換基を有していてもよい2価の炭化水素基と同様のものが挙げられる。
Q23としては、−C(=O)−O−と置換基を有していてもよい2価の炭化水素基とからなる基が好ましく、−C(=O)−O−と脂肪族炭化水素基とからなる基がより好ましく、−C(=O)−O−と直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基とからなる基がさらに好ましい。
Q23の好適なものとして具体的には、特に、下記一般式(Q23−1)で表される基が挙げられる。
直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の場合、炭素数は1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
環状のアルキル基の場合、炭素数は4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10であることが最も好ましい。具体的には、モノシクロアルカン;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンからそれぞれ1個以上の水素原子を除いた基などが例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンからそれぞれ1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。なかでも、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
当該フッ素化アルキル基において、フッ素原子で置換されていない状態のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよく、上記「Rq2、Rq3におけるアルキル基」と同様のものが挙げられる。
Rq1におけるフッ素化アルキル基において、フッ素原子で置換されていない状態のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基の場合、炭素数は1〜5であることが好ましく、炭素数が1〜3であることがより好ましく、炭素数が1〜2であることが特に好ましい。
環状のアルキル基の場合、炭素数は4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがより好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましい。具体的には、モノシクロアルカン;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンからそれぞれ1個以上の水素原子を除いた基などが例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカン;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンからそれぞれ1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
フッ素化アルキル基においては、当該フッ素化アルキル基に含まれるフッ素原子と水素原子との合計数に対するフッ素原子の数の割合(フッ素化率(%))が、30〜100%であることが好ましく、50〜100%であることがより好ましい。該フッ素化率が高いほど、レジスト膜の疎水性が高まる。
上記の中でも、Rq1はフッ素原子であることが好ましい。
式(an11−1)〜(an13−1)中、R、Q21〜Q23、Rf1、Rf2、p0、Rnは前記と同様である。
式(an24)中、n60は0〜3の整数であって、0又は1であることが好ましい。
Q24、Q25の2価の連結基としては、前記Q2における2価の連結基と同様のものが挙げられる。なお、上述したように、Z1が単結合である場合、Q24、Q25のZ1と結合する末端は−C(=O)−でないことが好ましい。Q24、Q25の2価の連結基としては、特に、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、環状の脂肪族炭化水素基、又はヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。これらの中でも、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、環状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基、環状の脂肪族炭化水素基がより好ましい。
式(an44)中、n30は0〜3の整数であって、0又は1であることが好ましい。
アニオン基含有モノマーは、上述したようなアニオン基の対カチオン(前記式中のM+)となるスルホニウム又はヨードニウムカチオンを有する。
第一のスルホニウム又はヨードニウムカチオン(アニオン基含有モノマーが有するスルホニウム又はヨードニウムカチオン)は、前記工程(ii)において塩交換に用いる第二のスルホニウム又はヨードニウムカチオン(塩交換用化合物が有するカチオン)に対して疎水性が低いものである。このような第一のスルホニウム又はヨードニウムカチオンとしては特に限定されるものではなく、第二のスルホニウム又はヨードニウムカチオンの疎水性度に応じて適宜決定することができる。
第一のスルホニウム又はヨードニウムカチオンとして例えば、下記一般式(c−1)や(c−2)で表されるカチオンを用いることができる。
また、レジスト組成物に配合した際、リソグラフィー特性とレジストパターン形状がより向上することから、R1”〜R3”のうち、少なくとも1つはアリール基であることが好ましく、R1”〜R3”のうち、2つ以上がアリール基であることがより好ましく、R1”〜R3”のすべてがアリール基であることが特に好ましい。
R1”〜R3”において、無置換のアリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
R1”〜R3”の置換アリール基における置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
置換アリール基における置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基であることが最も好ましい。
置換アリール基における置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
置換アリール基における置換基としてのアリール基としては、前記R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられ、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましく、フェニル基、ナフチル基がさらに好ましい。
一般式:−O−C(R47)(R48)−O−R49
[式中、R47、R48はそれぞれ独立して水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であり、R49はアルキル基である。]で表される基が挙げられる。
R47、R48において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
R47、R48は、少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。特に、一方が水素原子であり、他方が水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
R49のアルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
R49における直鎖状、分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
R49における環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
一般式:−O−R50−C(=O)−O−R56
[式中、R50は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基であり、R56は第3級アルキル基である。]で表される基が挙げられる。
R50における直鎖状、分岐鎖状のアルキレン基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基などが挙げられる。
R56における第3級アルキル基としては、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロペンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルペンチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘキシル基などが挙げられる。
さらに、前記一般式:−O−R50−C(=O)−O−R56におけるR56を、R56’で置き換えた基も挙げられる。R56’は、水素原子、アルキル基、フッ素化アルキル基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族環式基である。
R56’におけるアルキル基は、前記R49のアルキル基と同様のものが挙げられる。
R56’におけるフッ素化アルキル基は、前記R49のアルキル基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
R56’における、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族環式基としては、ヘテロ原子を含まない脂肪族環式基、環構造中にヘテロ原子を含む脂肪族環式基、脂肪族環式基中の水素原子がヘテロ原子に置換されたもの等が挙げられる。
R56’について、ヘテロ原子を含まない脂肪族環式基としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
R56’について、環構造中にヘテロ原子を含む脂肪族環式基として具体的には、後述の(B)成分についての説明の中で例示する、式(L1)〜(L6)、(S1)〜(S4)で表される基等が挙げられる。
R56’について、脂肪族環式基中の水素原子がヘテロ原子に置換されたものとして具体的には、脂肪族環式基中の水素原子が酸素原子(=O)に置換されたもの等が挙げられる。
直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素基は、炭素数1〜25であり、炭素数1〜15であることが好ましく、4〜10であることがより好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基としては、第3級アルキル基を除き、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基、カルボキシ基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
R6’、R7’、R8’における炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基としては、多環式基、単環式基のいずれでもよく、例えば、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
該環状の飽和炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該環状のアルキル基が有する環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該環状のアルキル基が有する環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンの環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された複素シクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。また、前記環の構造中にエステル結合(−C(=O)−O−)を有していてもよい。具体的には、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基等のラクトン含有単環式基や、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基等のラクトン含有多環式基等が挙げられる。
後者の例における置換基としては、上述した直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が有してもよい置換基として挙げたものと同様のもの、低級アルキル基等が挙げられる。
また、R6’、R7’、R8’は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と、環状アルキル基との組み合わせであってもよい。
直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と環状アルキル基との組合せとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基に置換基として環状のアルキル基が結合した基、環状のアルキル基に置換基として直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合した基等が挙げられる。
R6’、R7’、R8’における直鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。
R6’、R7’、R8’における分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
該直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R7’、R8’においては、上記のなかでも、リソグラフィー特性、レジストパターン形状が良好であることから、炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、又は炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基が好ましい。
R1”〜R3”のうち、いずれか二つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つは、アリール基であることが好ましい。前記アリール基は、前記R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R5”〜R6”のいずれもアリール基であることが好ましい。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルケニル基としては、R1”〜R3”のアルケニル基と同様のものが挙げられる。
これらの中でも、R5”〜R6”は、すべてフェニル基であることが最も好ましい。
前記式(c−2)で表されるカチオン部の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム等が挙げられる。
式(c−1−01)〜(c−1−04)中、R6a〜R8aは置換基を有していてもよいアルキレン基又は置換基を有していてもよいフェニレン基であり、R6b〜R8bは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基またはナフチル基である。
式(c−1−04)中、R9は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基またはナフチル基である。
該アルキレン基が有していてもよい置換基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基(=O)、シアノ基、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R7”、−O−C(=O)−R8”、−O−R9”等が挙げられる。アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R7”、−O−C(=O)−R8”、−O−R9”としては、前記式(c−1)中のR1”〜R3”の説明で、置換アリール基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様である。
式中、R6b〜R8b、R9における置換基を有していてもよいアルキル基としては、前記一般式(c−1)中のR1”〜R3”の説明で挙げた置換アルキル基と同様のものが挙げられる。
R6b〜R8b、R9におけるフェニル基またはナフチル基が有していてもよい置換基としては、前記一般式(c−1)中のR1”〜R3”の説明で挙げた置換アリール基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記式(c−1−01)〜(c−1−04)で表されるカチオンの好適なものとしては、たとえば以下に示すもの等が挙げられる。式中、RCは、上記置換アリール基についての説明のなかで例示した置換基(アルコキシ基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基(=O)、アリール基、−C(=O)−O−R6’、−O−C(=O)−R7’、−O−R8’)である。
以下に具体例を示す。
一般式(c−3)または(c−4)中のR41〜R46において、アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はtert−ブチル基であることが特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
OR40に付された符号n0が2以上の整数である場合、複数のOR40はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
R41〜R46に付された符号n1〜n6が2以上の整数である場合、複数のR41〜R46はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
n0は、好ましくは0又は1である。
n1は、好ましくは0〜2である。
n2およびn3は、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
n4は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
n5は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
n6は、好ましくは0又は1である。
安定性の高いカチオン骨格としては例えば、トリフェニルスルホニウム骨格、ジフェニルヨードニウム骨格、トリメチルスルホニウム骨格、ジメチルフェニルスルホニウム骨格等が挙げられる。
塩交換用化合物はスルホニウム又はヨードニウムカチオン(「第二のスルホニウム又はヨードニウムカチオン」)を有する化合物であって、工程(ii)における塩交換により、該塩交換用化合物が有する第二のスルホニウム又はヨードニウムカチオンと、工程(i)によって合成された前駆体ポリマー中のスルホニウム又はヨードニウムカチオンとが塩交換可能なものである。即ち、塩交換用化合物の有する第二のスルホニウム又はヨードニウムカチオンが、本発明の製造方法により製造される高分子化合物の有するカチオンとなる。
本発明において塩交換用化合物は、第二のスルホニウム又はヨードニウムカチオンからなるカチオン部、及び非求核性イオンからなるアニオン部で構成される化合物が好ましい。
第二のスルホニウム又はヨードニウムカチオンは、前記第一のスルホニウム又はヨードニウムカチオンよりも疎水性が高いカチオンである。工程(ii)における塩交換を疎水性の低いカチオンから疎水性の高いカチオンへの塩交換とすることにより、塩交換反応を良好に進行させ、所望のカチオンを有する高分子化合物を製造することができる。
・第一のカチオンが前記式(c−1−1)で表されるカチオンであり;第二のカチオンが前記式(c−1−01)〜(c−1−02)、(c−1−03−2)、(c−1−8)若しくは(c−1−31)で表されるカチオン、又はビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムカチオンである組合せ。
・第一のカチオンがジフェニルヨードニウムカチオンであり;第二のカチオンが(c−1−1)〜(c−1−31)、(c−1−01)〜(c−1−04)である組み合わせ。
・第一のカチオンが、トリメチルスルホニウムカチオンまたは(c−1−33)で表されるカチオンあり;第二のカチオンが(c−1−1)〜(c−1−31)、(c−1−01)〜(c−1−04)である組み合わせ。
非求核性イオンとしては、臭素イオン、塩素イオン等のハロゲンイオン;当該前駆体ポリマーよりも酸性度が低い酸になり得るイオン、BF4 −、AsF6 −、SbF6 −、PF6 −またはClO4 −等が挙げられる。当該前駆体ポリマーよりも酸性度が低い酸になり得るイオンとしては特に限定されるものではなく、前駆体ポリマーに用いるモノマーの種類に応じて適宜決定することができるが、例えばp−トルエンスルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン等のスルホン酸イオンが挙げられる。
本発明に係る高分子化合物の製造方法により製造される高分子化合物は、露光により分解して酸を発生する構成単位(以下、この構成単位を「構成単位(a0)」ともいう。)を有するものである。
本発明者らは、一部の酸発生基を含むモノマーを原料として用いた場合に、高分子化合物の合成が困難であることに着目し、これがモノマー中のカチオンの不安定性に起因することを新たに見出した。そこで本発明の製造方法では、構成単位(a0)の有するべきカチオンに替えて、該カチオンに比して(構造的に)安定でかつ疎水性の低いカチオンを有するモノマーを用いて予め前駆体ポリマーを合成し、その後疎水性の高い所望のカチオンに塩交換を行う製造方法を採用した。
かかる製造方法によれば、直接合成することが困難であった特定のカチオンを有する高分子化合物を、容易且つ高収率で製造することができる。
また、本方法によれば、高分子化合物に多種のカチオンを導入可能となるため、高分子化合物中のカチオン種の選択の自由度が高まり、該高分子化合物を用いるレジスト組成物の組成を最適化することができるため、リソグラフィー特性の向上に寄与することができる。
これは、疎水性の低いカチオンを有するモノマーであることにより、合成後に残存モノマーが発生した場合にも該モノマーの除去が容易であるため、と考えられる。
本発明のレジスト組成物は、前記本発明の高分子化合物の製造方法により製造された高分子化合物、すなわち、露光により分解して酸を発生する構成単位(構成単位(a0))を有する高分子化合物、を含有するものである。
本発明のレジスト組成物としては、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)(以下「(A)成分」という。)を含有するものが好ましい。かかるレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行うと、露光部にて、前記構成単位(a0)から酸が発生し、該酸の作用により(A)成分の現像液に対する溶解性が変化する一方で、未露光部では、(A)成分の現像液に対する溶解性が変化しないため、露光部と未露光部との間で現像液に対する溶解性の差が生じる。このため、該レジスト膜を現像すると、当該レジスト組成物がポジ型の場合は露光部が溶解除去されてポジ型のレジストパターンが形成され、当該レジスト組成物がネガ型の場合は未露光部が溶解除去されてネガ型のレジストパターンが形成される。
本明細書においては、露光部が溶解除去されてポジ型レジストパターンを形成するレジスト組成物をポジ型レジスト組成物といい、未露光部が溶解除去されてネガ型レジストパターンを形成するレジスト組成物をネガ型レジスト組成物という。
本発明のレジスト組成物は、ポジ型レジスト組成物であってもよく、ネガ型レジスト組成物であってもよい。
また、本発明のレジスト組成物は、レジストパターン形成時の現像処理にアルカリ現像液を用いるアルカリ現像プロセス用であってもよく、該現像処理に有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いる溶剤現像プロセス用であってもよい。
(A)成分としては、通常、化学増幅型レジスト用の基材成分として用いられている有機化合物を1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
ここで、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
前記基材成分として用いられる「分子量が500以上の有機化合物」は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、「低分子化合物」という場合は、分子量が500以上4000未満の非重合体を示す。
重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。本明細書および特許請求の範囲において「樹脂」という場合、分子量が1000以上の重合体を示す。
重合体の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
(A)成分は、酸の作用により現像液に対する溶解性が増大するものであってもよく、酸の作用により現像液に対する溶解性が減少するものであってもよい。
(A0’)成分としては、アルカリ現像液に対して可溶性の樹脂(以下「アルカリ可溶性樹脂」という。)として公知の樹脂を用いることができる。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば特開2000−206694号公報に開示されている、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸、またはα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸のアルキルエステル(好ましくは炭素数1〜5のアルキルエステル)から選ばれる少なくとも一つから誘導される単位を有する樹脂;米国特許6949325号公報に開示されている、スルホンアミド基を有するα位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいアクリル樹脂またはポリシクロオレフィン樹脂;米国特許6949325号公報、特開2005−336452号公報、特開2006−317803号公報に開示されている、フッ素化アルコールを含有し、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいアクリル樹脂;特開2006−259582号公報に開示されている、フッ素化アルコールを有するポリシクロオレフィン樹脂等が、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。
なお、前記α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸は、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいアクリル酸のうち、カルボキシ基が結合するα位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸と、このα位の炭素原子にヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基)が結合しているα−ヒドロキシアルキルアクリル酸の一方または両方を示す。
架橋剤成分としては、例えば、通常は、メチロール基またはアルコキシメチル基を有するグリコールウリルなどのアミノ系架橋剤、メラミン系架橋剤などを用いると、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。架橋剤成分の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
つまり、アルカリ現像プロセスを適用する場合、(A0)成分は、露光前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、露光により構成単位(a0)から酸が発生すると、該酸の作用により極性が増大してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して難溶性から可溶性に変化する一方で、未露光部はアルカリ難溶性のまま変化しないため、アルカリ現像することによりポジ型パターンが形成できる。
一方、溶剤現像プロセスを適用する場合は、(A0)成分は、露光前は有機系現像液に対して溶解性が高く、露光により構成単位(a0)から酸が発生すると、該酸の作用により極性が高くなり有機系現像液に対する溶解性が減少する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部は有機系現像液に対して可溶性から難溶性に変化する一方で、未露光部は可溶性のまま変化しないため、有機系現像液で現像することにより、露光部と未露光部との間でコントラストをつけることができ、ネガ型パターンが形成できる。
該(A0)成分は、酸の作用により極性が増大する樹脂成分であってもよく、酸の作用により極性が増大する低分子化合物成分であってもよく、又はこれらの混合物であってもよい。
(A0)成分としては、酸の作用により極性が増大する樹脂成分であることが好ましく、特に、露光により酸を発生し、且つ、酸の作用により極性が増大する高分子化合物(A1)(以下「(A1)成分」という。)を含有するものが好ましい。
(A1)成分として具体的には、露光により分解して酸を発生する構成単位(a0)と、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)と、を有する高分子化合物が好ましく、前記第一の態様の高分子化合物の製造方法により製造された高分子化合物が特に好ましい。
構成単位(a0)は、露光により分解して酸を発生する構成単位であり、上述したアニオン基含有モノマーから誘導される構成単位であって、そのカチオン部が上記第二のスルホニウム又はヨードニウムカチオンと塩交換した構成単位である。
構成単位(a0)としては、上記式(I)で表されるモノマーにおける、エチレン性二重結合が開裂して単結合となった構成単位であって、そのカチオン部が上記第二のスルホニウム又はヨードニウムカチオンと塩交換した構成単位が好ましい。具体的には、下記式(a0−1)で表される構成単位が好ましい。
(A1)成分中、構成単位(a0)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜40モル%であることが好ましく、1〜35モル%がより好ましく、3〜30モル%がさらに好ましい。構成単位(a0)の割合が前記範囲の下限値以上であることにより、レジスト組成物とした際、容易にパターンを得ることができ、リソグラフィー特性がより向上する。他方、上限値以下であることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
構成単位(a1)は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位である。
「酸分解性基」は、露光により(A1)成分(構成単位(a0))から発生する酸の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、たとえば、酸の作用により分解して極性基を生じる基が挙げられる。
極性基としては、たとえばカルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SO3H)等が挙げられる。これらのなかでも、構造中に−OHを含有する極性基(以下「OH含有極性基」ということがある。)が好ましく、カルボキシ基または水酸基が好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
酸分解性基としてより具体的には、前記極性基を酸解離性基で保護した基(たとえばOH含有極性基の水素原子を酸解離性基で保護した基)が挙げられる。
「酸解離性基」は、露光により(A1)成分(構成単位(a0))から発生する酸の作用により、少なくとも、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基である。酸分解性基を構成する酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する極性基よりも極性の低い基であることが必要で、これにより、酸の作用により該酸解離性基が解離した際に、該酸解離性基よりも極性の高い極性基が生じて極性が増大する。その結果、(A1)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、相対的に、現像液に対する溶解性が変化し、現像液がアルカリ現像液の場合には溶解性が増大し、他方、現像液が有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)の場合には溶解性が減少する。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状又は環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状又は環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断され、カルボキシ基が形成される。
前記鎖状又は環状のアルキル基は、置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性基」という。
ここで、「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。「脂肪族分岐鎖状酸解離性基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性基としては、たとえば、−C(R71)(R72)(R73)で表される基が挙げられる。式中、R71〜R73は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。−C(R71)(R72)(R73)で表される基は、炭素数が4〜8であることが好ましく、具体的にはtert−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基などが挙げられる。特にtert−ブチル基が好ましい。
「脂肪族環式基を含有する酸解離性基」における脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
該脂肪族環式基の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、該炭化水素基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
脂肪族環式基としては、炭素数が3〜30であるものが好ましく、5〜30であるものがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。単環式の脂肪族環式基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂肪族環式基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。また、これらの脂肪族環式基の環を構成する炭素原子の一部がエーテル基(−O−)で置換されたものであってもよい。
(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上の、当該酸解離性基に隣接する原子(たとえば−C(=O)−O−における−O−)と結合する炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合して第3級炭素原子が形成されている基;
(ii)1価の脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレンとを有する基などが挙げられる。
前記(i)の基において、脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性基に隣接する原子と結合する炭素原子に結合する置換基としては、たとえばアルキル基が挙げられる。該アルキル基としては、たとえば後述する式(1−1)〜(1−9)中のR14と同様のものが挙げられる。
前記(i)の基の具体例としては、たとえば下記一般式(1−1)〜(1−9)で表される基等が挙げられる。
前記(ii)の基の具体例としては、たとえば下記一般式(2−1)〜(2−6)で表される基等が挙げられる。
該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが最も好ましい。
該環状のアルキル基は、炭素数3〜20であることが好ましく、4〜12がより好ましい。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。環状のアルキル基の環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されていてもよい。
gは0〜3の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
式(2−1)〜(2−6)中、R15〜R16のアルキル基としては、前記R14のアルキル基と同様のものが挙げられる。
上記式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されていてもよい。
また、式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基が挙げられる。
アセタール型酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
R1’,R2’のアルキル基としては、上記α置換アクリル酸エステルについての説明で、α位の炭素原子に結合してもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R1’,R2’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基を含有する酸解離性基」で挙げた脂肪族環式基と同様のものが例示できる。
特にR17、R18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
R19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
R19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、エチル基が最も好ましい。
R19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基など、上記「脂肪族環式基」と同様のものを例示できる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式(p2)においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であって、R19とR17とが結合していてもよい。
この場合、R17と、R19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH2=CH−COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
「有機基」は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基は、水素原子以外の原子又は基であり、たとえば炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。
α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ヒドロキシ基で置換した基が挙げられる。
α置換アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基が好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基がより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
「ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位」とは、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ビニル安息香酸誘導体」とは、ビニル安息香酸のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
「有機基」は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
以下、構成単位(a11)、構成単位(a12)、構成単位(a13)について説明する。
構成単位(a11)として、具体的には、下記の一般式(a11−0−1)で表される構成単位、下記一般式(a11−0−2)で表される構成単位等が挙げられる。
X1は、酸解離性基であれば特に限定されることはなく、たとえば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性基、アセタール型酸解離性基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性基が好ましい。
一般式(a11−0−2)において、Rは上記と同様である。
X2は、式(a11−0−1)中のX1と同様である。
置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、前記Q2の2価の連結基として挙げた置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基と同様である。
R1’、R2’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR1’、R2’、n、Yと同様のものが挙げられる。
Y2としては、上述の一般式(a11−0−2)におけるY2と同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
なかでも、下記一般式(a11−0−11)で表される構成単位、下記一般式(a11−0−12)で表される構成単位、下記一般式(a11−0−13)で表される構成単位、下記一般式(a11−0−14)で表される構成単位、および下記一般式(a11−0−15)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を有することがより好ましい。
式(a11−0−11)中、R21のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR14のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基、エチル基またはイソプロピル基が好ましい。
R22が、当該R22が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族単環式基としては、前記第3級アルキルエステル型酸解離性基において挙げた脂肪族環式基のうち、単環式基であるものと同様のものが挙げられる。具体的には、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。該モノシクロアルカンは、3〜11員環であることが好ましく、3〜8員環であることがより好ましく、4〜6員環がさらに好ましく、5または6員環が特に好ましい。
該モノシクロアルカンは、環を構成する炭素原子の一部がエーテル基(−O−)で置換されていてもよいし、されていなくてもよい。
また、該モノシクロアルカンは、置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基を有していてもよい。
かかる脂肪族単環式基を構成するR22としては、たとえば、炭素原子間にエーテル基(−O−)が介在してもよい直鎖状のアルキレン基が挙げられる。
各式中、hは、1〜4の整数であり、1または2が好ましい。
R24が、当該R24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基としては、前記第3級アルキルエステル型酸解離性基において挙げた脂肪族環式基のうち、多環式基であるものと同様のものが挙げられる。
式(a11−0−12)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−1−26)、(a1−1−28)〜(a1−1−30)で表される構成単位が挙げられる。
式(a11−0−12)で表される構成単位としては、R24が、当該R24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基が2−アダマンチル基であるものが好ましく、特に、前記式(a1−1−26)で表される構成単位が好ましい。
R25の直鎖状のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR14のアルキル基で挙げた直鎖状のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が最も好ましい。
式(a11−0−13)で表される構成単位として具体的には、前記一般式(a1−1)の具体例として例示した、式(a1−1−1)〜(a1−1−2)、(a1−1−7)〜(a1−1−15)で表される構成単位が挙げられる。
式(a11−0−13)で表される構成単位としては、R24が、当該R24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基が2−アダマンチル基であるものが好ましく、特に、前記式(a1−1−1)または(a1−1−2)で表される構成単位が好ましい。また、R24が、当該R24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基が「テトラシクロドデカンから1個以上の水素原子を除いた基」であるものも好ましく、前記式(a1−1−8)、(a1−1−9)又は(a1−1−30)で表される構成単位も好ましい。
式(a11−0−14)で表される構成単位として具体的には、前記一般式(a1−1)の具体例として例示した、式(a1−1−35)、(a1−1−36)で表される構成単位が挙げられる。
式(a11−0−15)で表される構成単位として具体的には、前記一般式(a1−1)の具体例として例示した、式(a1−1−4)〜(a1−1−6)、(a1−1−34)で表される構成単位が挙げられる。
式(a11−0−2)で表される構成単位としては、特に、式中のY2が前記−Y21−O−Y22−または−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基であるものが好ましい。
かかる構成単位として、好ましいものとしては、下記一般式(a1−3−01)で表される構成単位;下記一般式(a1−3−02)で表される構成単位;下記一般式(a1−3−03)で表される構成単位などが挙げられる。
R14は、前記式(1−1)〜(1−9)中のR14と同様である。
eは、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2が最も好ましい。
n’は、1または2が好ましく、2が最も好ましい。
式(a1−3−01)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−25)〜(a1−3−26)で表される構成単位等が挙げられる。
式(a1−3−02)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−27)〜(a1−3−28)で表される構成単位等が挙げられる。
Y2’としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
Y2”としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
X’における酸解離性基は、前記と同様のものが挙げられ、第3級アルキルエステル型酸解離性基であることが好ましく、上述した(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性基に隣接する原子と結合する炭素原子に置換基が結合して第3級炭素原子が形成されている基がより好ましく、中でも、前記一般式(1−1)で表される基が好ましい。
wは0〜3の整数であり、wは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
式(a1−3−03)で表される構成単位としては、下記一般式(a1−3−03−1)または(a1−3−03−2)で表される構成単位が好ましく、中でも、式(a1−3−03−1)で表される構成単位が好ましい。
b’は前記と同じであり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
tは1〜3の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
式(a1−3−03−1)または(a1−3−03−2)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−29)〜(a1−3−32)で表される構成単位が挙げられる。
構成単位(a12)は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ベンゼン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていてもよいヒドロキシスチレンから誘導される構成単位の水酸基の水素原子が酸解離性基または酸解離性基を含む置換基で置換されてなる構成単位である。
「ヒドロキシスチレン」は、ベンゼン環に、1つのビニル基と、少なくとも1つの水酸基とが結合した化合物である。ベンゼン環に結合する水酸基の数は、1〜3が好ましく、1が特に好ましい。ベンゼン環における水酸基の結合位置は特に限定されない。水酸基の数が1つである場合は、ビニル基の結合位置のパラ位が好ましい。水酸基の数が2以上の整数である場合は、任意の結合位置を組み合わせることができる。
水酸基の水素原子を置換する酸解離性基としては、前記と同様のものが挙げられ、第3級アルキルエステル型酸解離性基またはアセタール型酸解離性基が好ましく、アセタール型酸解離性基がより好ましい。
酸解離性基を含む置換基としては、酸解離性基と2価の連結基とから構成される基が挙げられる。2価の連結基としては、前記式(I)中のQ2における2価の連結基と同様のものが挙げられ、特に、酸解離性基側の末端構造がカルボニルオキシ基である基が好ましい。この場合、該カルボニルオキシ基の酸素原子(−O−)に酸解離性基が結合していることが好ましい。
酸解離性基を含む置換基としては、R11’−O−C(=O)−で表される基、R11’−O−C(=O)−R12’−で表される基が好ましい。式中、R11’は酸解離性基であり、R12’は直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。
R11’における酸解離性基は、第3級アルキルエステル型酸解離性基またはアセタール型酸解離性基が好ましく、第3級アルキルエステル型酸解離性基がより好ましい。該第3級アルキルエステル型酸解離性基の好ましい例として、前述した−C(R71)(R72)(R73)で表される脂肪族分岐鎖状酸解離性基、式(1−1)〜(1−9)で表される基、式(2−1)〜(2−6)で表される基等が挙げられる。
R12’におけるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基などが挙げられる。R12’としては、直鎖状のアルキレン基が好ましい。
構成単位(a13)は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ナフタレン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていてもよいビニル(ヒドロキシナフタレン)(以下、(α置換)ビニル(ヒドロキシナフタレン))から誘導される構成単位の水酸基の水素原子が酸解離性基または酸解離性基を含む置換基で置換されてなる構成単位である。
「ビニル(ヒドロキシナフタレン)」は、ナフタレン環に、1つのビニル基と、少なくとも1つの水酸基とが結合した化合物である。ビニル基は、ナフタレン環の1位に結合していてもよく、2位に結合していてもよい。ナフタレン環に結合する水酸基の数は、1〜3が好ましく、1が特に好ましい。ナフタレン環における水酸基の結合位置は特に限定されない。ナフタレン環の1位または2位にビニル基が結合している場合、ナフタレン環の5〜8位のいずれかが好ましい。特に、水酸基の数が1つである場合は、ナフタレン環の5〜7位のいずれかが好ましく、5または6位が好ましい。水酸基の数が2以上の整数である場合は、任意の結合位置を組み合わせることができる。
(A1)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、15〜70モル%が好ましく、15〜60モル%がより好ましく、20〜55モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、感度、解像性、パターン形状等のリソグラフィー特性も向上する。また、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
(A1)成分は、構成単位(a0)、(a1)に加えて、−SO2−含有環式基またはラクトン含有環式基を含む構成単位(a2)をさらに有することが好ましい。
構成単位(a2)の−SO2−含有環式基またはラクトン環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めうえで有効なものである。また、アルカリ現像液等の水を含有する現像液との親和性が向上する点で、アルカリ現像プロセスにおいて有効である。
なお、前記構成単位(a0)又は(a1)がその構造中に−SO2−含有環式基またはラクトン含有環式基を含むものである場合、該構成単位は構成単位(a2)にも該当するが、このような構成単位は構成単位(a0)又は(a1)に該当し、構成単位(a2)には該当しないものとする。
−SO2−含有環式基は、特に、その環骨格中に−O−SO2−を含む環式基、すなわち−O−SO2−中の−O−S−が環骨格の一部を形成するサルトン(sultone)環を含有する環式基であることが好ましい。
−SO2−含有環式基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、4〜20であることがより好ましく、4〜15であることがさらに好ましく、4〜12であることが特に好ましい。ただし、該炭素数は環骨格を構成する炭素原子の数であり、置換基における炭素数を含まないものとする。
−SO2−含有環式基は、−SO2−含有脂肪族環式基であってもよく、−SO2−含有芳香族環式基であってもよい。好ましくは−SO2−含有脂肪族環式基である。
−SO2−含有脂肪族環式基としては、その環骨格を構成する炭素原子の一部が−SO2−または−O−SO2−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基が挙げられる。より具体的には、その環骨格を構成する−CH2−が−SO2−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基、その環を構成する−CH2−CH2−が−O−SO2−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基等が挙げられる。
該脂環式炭化水素環は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
該脂環式炭化水素環は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式の脂環式炭化水素環としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
該置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
該置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基に酸素原子(−O−)に結合した基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
該置換基のハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としてはフッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
前記−COOR”、−OC(=O)R”におけるR”は、いずれも、水素原子または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基である。
R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンや、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
該置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、炭素数が1〜6であるものが好ましく、具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
−SO2−含有環式基として、より具体的には、下記一般式(3−1)〜(3−4)で表される基が挙げられる。
A’における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−CH2−、−CH2−O−CH2−、−S−CH2−、−CH2−S−CH2−等が挙げられる。
A’としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
zは0〜2のいずれであってもよく、0が最も好ましい。
zが2である場合、複数のR27はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
R27におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ、前記で−SO2−含有環式基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
以下に、前記一般式(3−1)〜(3−4)で表される具体的な環式基を例示する。なお、式中の「Ac」はアセチル基を示す。
構成単位(a2)におけるラクトン環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、ラクトン含有単環式基としては、4〜6員環ラクトンから水素原子を1つ除いた基、たとえばβ−プロピオノラクトンから水素原子を1つ除いた基、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基、δ−バレロラクトンから水素原子を1つ除いた基等が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a2S)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−0)で表される構成単位が挙げられる。
R28は、前記で挙げた−SO2−含有環式基と同様である。
R29は、単結合、2価の連結基のいずれであってもよい。本発明の効果に優れることから、2価の連結基であることが好ましい。
R29における2価の連結基としては、特に限定されず、たとえば、前記式(a1−0−2)中のY2における2価の連結基と同様のものが挙げられる。それらの中でも、アルキレン基、またはエステル結合(−C(=O)−O−)を含むものが好ましい。
該アルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。具体的には、前記Y2における脂肪族炭化水素基として挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
エステル結合を含む2価の連結基としては、特に、一般式:−R30−C(=O)−O−[式中、R30は2価の連結基である。]で表される基が好ましい。すなわち、構成単位(a2S)は、下記一般式(a2−0−1)で表される構成単位であることが好ましい。
R30の2価の連結基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましく、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、またはヘテロ原子として酸素原子を含む2価の連結基が好ましい。
直鎖状のアルキレン基としては、メチレン基またはエチレン基が好ましく、メチレン基が特に好ましい。
分岐鎖状のアルキレン基としては、アルキルメチレン基またはアルキルエチレン基が好ましく、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−または−C(CH3)2CH2−が特に好ましい。
酸素原子を含む2価の連結基としては、エーテル結合またはエステル結合を含む2価の連結基が好ましく、前述した、−Y21−O−Y22−、−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−がより好ましい。Y21、Y22、m’はそれぞれ前記同様である。
R30としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、または酸素原子を含む2価の連結基が好ましい。R30における直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、酸素原子を含む2価の連結基としては、それぞれ、前記で挙げた直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、酸素原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
式(a2−0−12)で表される構成単位としては、特に、下記一般式(a2−0−12a)または(a2−0−12b)で表される構成単位が好ましい。
構成単位(a2L)の例としては、たとえば前記一般式(a2−0)中のR28をラクトン含有環式基で置換したものが挙げられ、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
R’におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ、前記で−SO2−含有環式基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。R”についても前記同様である。
R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
A”としては、前記一般式(3−1)中のA’と同様のものが挙げられる。A”は、炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子(−O−)または硫黄原子(−S−)であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−がより好ましい。炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基またはジメチルメチレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
R29は、前記一般式(a2−0)中のR29と同様である。
式(a2−1)中、s”は1〜2であることが好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位の具体例を例示する。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
なかでも、前記式(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−2−1)、(a2−2−7)、(a2−2−12)、(a2−2−14)、(a2−3−1)、(a2−3−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
(A1)成分が構成単位(a2)を有する場合、構成単位(a2)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜80モル%であることが好ましく、10〜70モル%であることがより好ましく、10〜65モル%であることがさらに好ましく、10〜60モル%が特に好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができ、DOF、CDU等の種々のリソグラフィー特性及びパターン形状が良好となる。
(A1)成分は、さらに、構成単位(a0)、(a1)に加えて、または構成単位(a0)、(a1)および(a2)に加えて、極性基を含む構成単位(a3)を有してもよい。(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、露光後の(A1)成分の極性がさらに向上する。極性の向上は、特にアルカリ現像プロセスの場合に、解像性等の向上に寄与する。
極性基としては、−OH、−COOH、−CN、−SO2NH2、−CONH2、等が挙げられる。−COOHを含むものとしては、(α置換)アクリル酸の構成単位も含む。
構成単位(a3)は、水素原子の一部が極性基で置換された炭化水素基を含む構成単位であることが好ましい。当該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であってもよい。なかでも、当該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基あることがより好ましい。
当該炭化水素基における脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、脂肪族環式基(単環式基、多環式基)が挙げられる。
該脂肪族環式基(単環式基、多環式基)としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該脂肪族環式基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。該脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基等が挙げられる。
2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基として具体的には、
前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基またはヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を2つ除いた基;前記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基やヘテロアリールアルキル基)における芳香環から水素原子をさらに1つ除いた基;等が挙げられる。前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子を置換するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部又は全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
前記式(a3−1)中、L0は、−C(=O)−O−、−C(=O)−NRn−(Rnは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である)又は単結合である。Rnのアルキル基としては、Rのアルキル基と同様である。
「置換基を有する炭化水素基」とは、炭化水素基に結合した水素原子の少なくとも一部が置換基で置換されていることを意味する。
R0における炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
R0における脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、脂肪族環式基(単環式基、多環式基)が好適に挙げられ、これらの説明は上記と同様である。
R0における芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基であり、この説明は上記と同様である。
R0における置換基としての−C(Rr1)(Rr2)(OH)において、Rr1、Rr2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基としては、上述したα位の置換基としての炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基と同様である。
以下に、一例として任意の位置に酸素原子(O)を有するR0について例示する。
Rmは、直鎖状、分岐鎖状であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基であることが好ましく、メチレン基、エチレン基であることがより好ましい。
(α置換)アクリル酸から誘導される構成単位としては、前記式(a3−1)中のL0が単結合であり、R0が−COOHである構成単位が挙げられる。
前記式(a3−11)中、Rは、前記式(a3−1)中のRの説明と同様である。
W01における芳香族炭化水素基は、前記式(a3−1)中のR0における芳香族炭化水素基の説明と同様である。
以下に、一般式(a3−11)で表される構成単位の好適な具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
前記式(a3−12)中、Rは、前記式(a3−1)中のRの説明と同様である。
P02は、−C(=O)−O−又は−C(=O)−NRn−(Rnは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である)であり、−C(=O)−O−であることが好ましい。Rnのアルキル基としては、Rのアルキル基と同様である。
W02における環状の炭化水素基は、前記式(a3−1)中のR0についての説明の中で例示した脂肪族環式基(単環式基、多環式基)、芳香族炭化水素基とそれぞれ同様のものが挙げられる。
W02は、任意の位置に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよく、この説明は前記式(a3−1)中のR0の説明と同様である。
以下に、一般式(a3−12)で表される構成単位の好適な具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
前記式(a3−13)中、Rは、前記式(a3−1)中のRの説明と同様である。
P03は、−C(=O)−O−又は−C(=O)−NRn−(Rnは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である)であり、−C(=O)−O−であることが好ましい。Rnのアルキル基としては、Rのアルキル基と同様である。
W03における直鎖状の炭化水素基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがより好ましく、炭素数1〜3であることがさらに好ましい。
W03における直鎖状の炭化水素基は、−OH、−COOH、−CN、−SO2NH2及び−CONH2以外の置換基(a)をさらに有していてもよい。この置換基(a)としては、炭素数1〜5のアルキル基、脂肪族環式基(単環式基、多環式基)、フッ素原子、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基等が挙げられる。置換基(a)における脂肪族環式基(単環式基、多環式基)の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
また、W03における直鎖状の炭化水素基は、一例として下記一般式(a3−13−a)で表される構成単位のように、複数の置換基(a)を有してもよく、複数の置換基(a)同士が相互に結合して環が形成されてもよい。
Ra1及びRa2における脂肪族環式基(単環式基、多環式基)は、前記置換基(a)における脂肪族環式基(単環式基、多環式基)と同様である。
また、Ra1とRa2とは、相互に結合して環を形成してもよい。この場合、Ra1と、Ra2と、Ra1とRa2とが共に結合した炭素原子とにより環式基が形成される。該環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよく、具体的には、前記置換基(a)における脂肪族環式基(単環式基、多環式基)についての説明の中で例示したモノシクロアルカン又はポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。
q0は1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
(A1)成分が構成単位(a3)を有する場合、構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位に対して0〜85モル%であることが好ましく、0〜80モル%がより好ましい。構成単位(a3)の割合を下限値以上とすることにより、構成単位(a3)を含有させることによる効果(解像性、リソグラフィー特性、パターン形状の向上効果)が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
(A1)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a0)〜(a3)以外の他の構成単位(以下、構成単位(a4)という。)を含んでいてもよい。
構成単位(a4)は、上述の構成単位(a0)〜(a3)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
構成単位(a4)としては、例えば、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、酸非解離性の脂肪族多環式基を含む構成単位、スチレン単量体から誘導される構成単位、ビニルナフタレン単量体から誘導される構成単位などが好ましい。該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
(A1)成分が構成単位(a4)を含有する場合、構成単位(a4)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、1〜20モル%が好ましく、1〜15モル%がより好ましく、1〜10モル%がさらに好ましい。
かかる共重合体としては、たとえば、構成単位(a0)、(a1)及び(a3)からなる共重合体;構成単位(a0)、(a1)及び(a2)からなる共重合体;構成単位(a0)、(a1)、(a2)及び(a3)からなる共重合体;構成単位(a0)、(a1)、(a2)、(a3)及び(a4)からなる共重合体等が例示できる。
また、(A1)成分の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されるものではなく、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
なお、Mnは数平均分子量を示す。
(A)成分中の(A1)成分の割合は、(A)成分の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%がより好ましく、75質量%がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該割合が25質量%以上であると、リソグラフィー特性等の効果が向上する。
(A2)成分としては、分子量が500以上4000未満であって、上述の(A1)成分の説明で例示したような酸解離性基と、親水性基とを有する低分子化合物を用いてもよい。具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部または全部が上記酸解離性基で置換されたものが挙げられる。
該低分子化合物としては、たとえば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や、耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
該低分子量フェノール化合物としては、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2〜6核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。特には、トリフェニルメタン骨格を2〜6個有するフェノール化合物が、解像性、ラインエッジラフネス(LWR)に優れることから好ましい。該酸解離性基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
[(B)成分]
本発明のレジスト組成物は、上記(A)成分に加えて、さらに、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下「(B)成分」という。)を含有していてもよい。
この(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
式(b−2)中、R5”〜R6”は、上記一般式(c−2)におけるR5”〜R6”と同じである。なかでも、リソグラフィー特性とレジストパターン形状がより向上することから、R5”〜R6”のうち、少なくとも1つはアリール基であることが好ましく、R5”〜R6”のいずれもアリール基であることがより好ましい。
R4”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
R4”におけるハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるため好ましい。
前記R4”におけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R4”におけるアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
前記R4”において、「置換基を有していてもよい」とは、前記のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基における水素原子の一部もしくは全部が置換基(水素原子以外の他の原子または基)で置換されていてもよいことを意味する。
R4”における置換基の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R4”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
Q1は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合;−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。
該組み合わせとしては、たとえば、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R92−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−(式中、R91〜R93はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
R91〜R93におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
Q1としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−または−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−が好ましい。
芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
RXにおいて、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
RXにおける「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば下記式(L1)〜(L6)、(S1)〜(S4)で表される基等が挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記Rxが脂肪族炭化水素基であるときの当該脂肪族炭化水素基の水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L6)、(S3)〜(S4)で表される基等が好ましい。
極性部位を有するものとしては、たとえば、上述したRXの脂肪族環式基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基、すなわち、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−等、で置換されたものが挙げられる。
RX−Q1−Y1−で表される基において、Y1のアルキレン基としては、前記Q1で挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
Y1のフッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
Y1として、具体的には、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2−、−CF(CF2CF3)−、−C(CF3)2−、−CF2CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2CF2−、−CF2CF(CF3)CF2−、−CF(CF3)CF(CF3)−、−C(CF3)2CF2−、−CF(CF2CF3)CF2−、−CF(CF2CF2CF3)−、−C(CF3)(CF2CF3)−;−CHF−、−CH2CF2−、−CH2CH2CF2−、−CH2CF2CF2−、−CH(CF3)CH2−、−CH(CF2CF3)−、−C(CH3)(CF3)−、−CH2CH2CH2CF2−、−CH2CH2CF2CF2−、−CH(CF3)CH2CH2−、−CH2CH(CF3)CH2−、−CH(CF3)CH(CF3)−、−C(CF3)2CH2−;−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−CH(CH2CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH3)−等が挙げられる。
これらの中でも、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、又はCH2CF2CF2−が好ましく、−CF2−、−CF2CF2−又は−CF2CF2CF2−がより好ましく、−CF2−が特に好ましい。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
R50に付された符号(r1〜r2、w1〜w5)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のR50はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。
該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
前記式中、Rhとしては、前記R4”と同様のものが挙げられる。
上記「Rh−COO−」の具体例としては、たとえばトリフルオロ酢酸イオン、酢酸イオン、1−アダマンタンカルボン酸イオン等が挙げられる。
R31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部若しくは全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
R32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
R34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
R34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
R35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は、好ましくは2である。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号パンフレット(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
本発明のレジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.5〜60質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましく、1〜40質量部がさらに好ましい。(B)成分の含有量を上記範囲とすることで、パターン形成が充分に行われる。また、レジスト組成物の各成分を有機溶剤に溶解した際、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
本発明のレジスト組成物においては、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、前記の(A)成分と(B)成分に該当しない、含窒素有機化合物成分(D)(以下「(D)成分」という。)を含有してもよい。
(D)成分としては、酸拡散制御剤、すなわち露光により前記の(A)成分(構成単位(a0))、又は(A)成分(構成単位(a0))と(B)成分とから発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用するものであれば特に限定されず、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよい。たとえば脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミンが挙げられ、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜20であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、たとえば、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数1〜20のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキル基、およびヒドロキシアルキル基におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
該アルキル基が直鎖状または分岐鎖状である場合、その炭素数は2〜20であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましい。
該アルキル基が環状である場合(シクロアルキル基である場合)、その炭素数は、3〜30であることが好ましく、3〜20がより好ましく、3〜15がさらに好ましく、炭素数4〜12であることが特に好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。該アルキル基は単環式であってもよく、多環式であってもよい。具体的には、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等を例示できる。前記モノシクロアルカンとして、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。また、前記ポリシクロアルカンとして、具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
前記アルキルアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミンが挙げられる。
前記アルキルアルコールアミンの具体例としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等が挙げられる。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
その他の脂肪族アミンとして、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミンなどが挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
本発明のレジスト組成物は、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下「(E)成分」という。)を含有してもよい。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸、ホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
本発明のレジスト組成物には、レジスト膜に撥水性を付与するために、フッ素添加剤(以下「(F)成分」という。)を含有させることができる。(F)成分をさらに含有することにより、レジスト膜表面の疎水性が高まり、現像後のディフェクト発生がより抑制される。
(F)成分としては、例えば、特開2010−002870号公報に記載の含フッ素高分子化合物などを用いることができる。
(F)成分として具体的には、下記一般式(f1)で表される構成単位を有する共重合体が好適に挙げられる。より具体的には、下記式(f1)で表される構成単位のみからなる重合体(ホモポリマー)、下記式(f1)で表される構成単位と前記構成単位(a1)との共重合体、下記式(f1)で表される構成単位と、アクリル酸又はメタクリル酸から誘導される構成単位と、前記構成単位(a1)との共重合体が好ましい。
当該構成単位(a1)のなかでも、前記式(a1−1−32)で表される構成単位が特に好ましい。
式(f1)中、R8”のアルキレン基の炭素数は1〜5であり、1〜3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。R8”のアルキレン基の水素原子は、フッ素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基で置換されていてもよい。
式(f1)中、Rは前記と同様である。Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
(F)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物中の(F)成分の含有量は、(A)成分100質量部あたり1〜10質量部の割合で用いることが好ましい。(F)成分の含有量を上記範囲とすることで、レジスト膜表面の疎水性が高まり、現像後のディフェクト発生がより抑制される。
本発明のレジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下「(S)成分」ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサノン、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。たとえば極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。また、極性溶剤としてPGMEおよびシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:(PGME+シクロヘキサノン)の質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA、EL、または前記PGMEAと極性溶剤との混合溶媒と、γ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
本発明のレジストパターン形成方法は、支持体上に、前記本発明のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
本発明のレジストパターン形成方法は、例えば以下のようにして行うことができる。
すなわち、まず支持体上に前記本発明のレジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施してレジスト膜を形成する。
次に、該レジスト膜に対し、例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介した露光、またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等による選択的露光を行った後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。
次に、前記レジスト膜を現像処理する。
現像処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、アルカリ現像液を用い、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)用いて行う。
現像処理後、好ましくはリンス処理を行う。リンス処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、純水を用いた水リンスが好ましく、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
溶剤現像プロセスの場合、前記現像処理またはリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液またはリンス液を超臨界流体により除去する処理を行ってもよい。
現像処理後またはリンス処理後、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。このようにして、レジストパターンを得ることができる。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)とに分けられる。
液浸露光は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ露光されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、C3HCl2F5、C4F9OCH3、C4F9OC2H5、C5H3F7等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
溶剤現像プロセスで現像処理に用いる有機系現像液が含有する有機溶剤としては、(A)成分(露光前の(A)成分)を溶解し得るものであればよく、公知の有機溶剤のなかから適宜選択できる。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができる。
有機系現像液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としてはたとえば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されないが、たとえばイオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、有機系現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
現像処理は、公知の現像方法におり実施でき、該方法としてはたとえば現像液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、支持体表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
リンス液を用いたリンス処理(洗浄処理)は、公知のリンス方法により実施できる。該方法としては、たとえば一定速度で回転している支持体上にリンス液を塗出し続ける方法(回転塗布法)、リンス液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
本実施例では、化学式(1)で表される化合物を「化合物(1)」と記載し、他の化学式で表される化合物についても同様に記載する。
なお、NMRによる分析において、1H−NMRの内部標準および13C−NMRの内部標準はテトラメチルシラン(TMS)である。
温度計、還流管、窒素導入管を繋いだセパラブルフラスコに、38.00g(120.13mmol)の化合物(1)、61.10g(232.84mmol)の化合物(2)、18.25g(37.05mmol)の化合物(3)、を147.76gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/CH)混合溶液に溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)を27.30mmol添加し溶解させた。
これを、81.79gのMEK/CHに、窒素雰囲気下、4時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液を1時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。
得られた反応重合液を大量のn−ヘプタンに滴下して重合体を析出させる操作を行い、沈殿した白色粉体をろ別、メタノールにて分散洗浄、乾燥して、高分子化合物1(前駆体ポリマー)を76.28g得た。
76.28gの高分子化合物1をナスフラスコに入れ、15.10gの化合物(11)と305gのMEKと305gの水を添加して30分攪拌し有機層を抽出した。抽出した有機層を水で洗浄し、溶媒を留去し高分子化合物2を64.84g得た。
この高分子化合物についてGPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は13200であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.48であった。
また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=45.6/40.1/14.3であった。
温度計、還流管、窒素導入管を繋いだセパラブルフラスコに、18.00g(56.90mmol)の化合物(1)、28.94g(110.29mmol)の化合物(2)、9.21g(17.55mmol)の化合物(4)、を70.72gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/CH)混合溶液に溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)を17.55mmol添加し溶解させた。
これを、39.13gのMEK/CHに、窒素雰囲気下、4時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液を1時間加熱攪拌すると白色固体を生じた。
白色固体をろ別しカーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により分析を行ったところ化合物(2)の脱保護が確認され、目的の比較高分子化合物2は得られなかった。目的とした反応は以下の通りである。
高分子化合物3は、化合物(11)に替えて化合物(12)を等モルで用いた以外は上記実施例1と同様にして製造した。下記式中、高分子化合物1の合成は省略する。
比較高分子化合物3は、化合物(4)に替えて化合物(5)を等モルで用いた以外は上記比較例1と同様にして製造を試みたが、目的の比較高分子化合物3は得られなかった。目的とした反応は以下の通りである。
温度計、還流管、窒素導入管を繋いだセパラブルフラスコに、38.00g(120.13mmol)の化合物(1)、61.10g(232.84mmol)の化合物(2)、26.93g(37.05mmol)の化合物(3)、を158.91gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/CH)混合溶液に溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)を27.30mmol添加し溶解させた。
これを、87.83gのMEK/CHに、窒素雰囲気下、4時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液を1時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。
得られた反応重合液を大量のn−ヘプタンに滴下して重合体を析出させる操作を行い、沈殿した白色粉体をろ別、メタノールにて分散洗浄、乾燥して、高分子化合物1(前駆体ポリマー)を75.61g得た。
75.61gの高分子化合物1をナスフラスコに入れ、16.13gの化合物(13)と302gのMEKと302gの水を添加して30分攪拌し有機層を抽出した。抽出した有機層を水で洗浄し、溶媒を留去し高分子化合物4を54.98g得た。
この高分子化合物についてGPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は13000であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.53であった。
また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=46.3/39.9/13.8であった。
温度計、還流管、窒素導入管を繋いだセパラブルフラスコに、18.00g(56.90mmol)の化合物(1)、28.94g(110.29mmol)の化合物(2)、12.75g(17.55mmol)の化合物(6)、を75.27gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/CH)混合溶液に溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)を12.93mmol添加し溶解させた。
これを、41.61gのMEK/CHに、窒素雰囲気下、4時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液を1時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。
得られた反応重合液を大量のn−ヘプタンに滴下して重合体を析出させる操作を行い、沈殿した白色粉体をろ別、メタノールにて分散洗浄、乾燥して、比較高分子化合物4を37.95g得た。
この高分子化合物についてGPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は12200であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.70であった。
また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=46.2/41.4/12.4であった。
高分子化合物5〜7は、化合物(11)に替えて化合物(14)〜(16)をそれぞれ等モルで用いた以外は上記実施例1と同様にして製造した。下記式中、高分子化合物1の合成は省略する。
比較高分子化合物3は、化合物(4)に替えて化合物(7)〜(9)をそれぞれ等モルで用いた以外は上記比較例1と同様にして製造を試み、比較高分子化合物7以外は目的の高分子化合物が製造された。目的とした反応は以下の通りである。
上記実施例1〜6及び比較例1〜6により製造された高分子化合物を用いてレジスト組成物を調製し、レジストパターンの形成を行った後、露光余裕度、ラフネス及び形状の評価を行った。使用した高分子化合物、該高分子化合物中の残存モノマー量、パターン形成時の感度、及び評価結果を表1に示す。なお、高分子化合物が製造できなかった比較高分子化合物2、3及び7については、表1中に「合成できず」と記載する。
また、各例で用いた高分子化合物中のカチオン(実施例においては、第二のスルホニウム又はヨードニウムカチオン由来のカチオン)について、HPLCによりその疎水性を測定した結果(リテンションタイム)を表1中に併せて記載する。なお、化合物(3)及び高分子化合物1中のカチオンのリテンションタイムは2.7分である。
レジスト組成物の組成、パターン形成方法、評価方法は後述する。
また、本発明の製造方法によって得られた高分子化合物2〜7は、比較例の高分子化合物に比べて残存モノマー量が低減されることが明らかである。比較例9〜11に使用した比較高分子化合物4〜6と、実施例9〜11に使用した高分子化合物4〜6の前駆体ポリマーとは、いずれも同様のメタノールによる分散洗浄を行っているが、実施例では残存モノマー低減効率がはるかに良いことがわかる。そして、実施例の高分子化合物2〜7を用いた実施例7〜12のレジスト組成物は、比較例のレジスト組成物に比べて、露光余裕度、ラフネス等のリソグラフィー特性およびパターン形状に優れることが確認できた。
カチオンの疎水性度は、以下の条件のHPLC測定により行った。
溶離液(展開溶媒):アセトニトリル/バッファー液(50/50体積比)
バッファー液:トリフルオロ酢酸/イオン交換水(0.1質量%)。
装置:Dionex U3000(Dionex社製)。
カラム:Speriorex−ODX(資生堂社製)。
検出器:Corona CAD(ESA Biosciences社製)。
流速:1mL/分。
カラム温度:30℃
サンプル濃度:固形分0.1質量%のアセトニトリル溶液
注入量:2μl
なお、上記サンプル濃度は、アニオンがBr−で、カチオンが種々の目的の構造となる化合物の固形分濃度を示す。
レジスト組成物の調製は、下記に示す各成分を[ ]内に示す配合量で混合、溶解することにより行った。
(A)成分:表1に示す各高分子化合物[100質量部]。
(D)成分:トリ−n−オクチルアミン[1.6質量部]。
(E)成分:サリチル酸[0.64質量部]。
(S)成分(1):γ−ブチロラクトン[200質量部]。
(S)成分(2):PGMEA/PGME/シクロヘキサノン=30/20/50(質量比)の混合溶剤[4160質量部]。
残存モノマー量は、以下の手順により測定した。
手順1:化合物(3)をγ−ブチロラクトンに溶解させた、異なる濃度(5点)の溶液に対してHPLC測定を実施し、検量線を作成して「HPLC面積と水溶性モノマーの濃度」の関係式を求めた。
手順2:各実施例については得られた塩交換前の合成物(高分子化合物1)、比較例については最終的に得られた合成物(比較高分子化合物2〜7)をそれぞれγ−ブチロラクトンに溶解させて濃度1質量%溶液を調製した。
手順3:濃度1質量%溶液に対して下記条件でHPLC測定を実施し、上記関係式より、高分子化合物の固形分に対する残存モノマー量(質量%)を算出した。その結果を「残存モノマー量(ppm)」とした。
[HPLC測定条件]
溶離液(展開溶媒):アセトニトリル/バッファー液(80/20体積比)、
バッファー液:トリフルオロ酢酸/イオン交換水(0.1質量%)、
カラム:Superiorex−ODS、
オーブン温度:30℃、
測定波長:210nm、
流速:1mL/分(7分経過まで)3mL/分(20分まで)。
HPLCの展開溶媒の混合比は、用いた水溶性モノマーの種類に応じ、アセトニトリル/バッファー液=90/10〜30/70体積比の間で適宜変更した。
90℃で36秒間のヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した8インチシリコン基板上に、各例のレジスト組成物を、スピンナーを用いて均一にそれぞれ塗布し、140℃で60秒間のベーク処理(PAB)を行い、レジスト膜(膜厚60nm)を成膜した。
該レジスト膜に対し、電子線描画機HL800D(VSB)(Hitachi社製)を用い、加速電圧50keVにて描画(露光)を行った。
次いで、110℃で60秒間のベーク処理(露光後加熱PEB)を行い、さらに23℃にてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の2.38質量%水溶液(商品名:NMD−3、東京応化工業(株)製)を用いて60秒間の現像を行った。
その結果、いずれの例においても、ライン幅100nm、ピッチ200nmのラインアンドスペースのレジストパターン(以下「LSパターン」という。)が形成された。併せて、該LSパターンが形成される最適露光量Eop(μC/cm2;感度)を求めた。
前記最適露光量EopでLSパターンのラインがターゲット寸法(スペース幅100nm)の±5%(95nm〜105nm)の範囲内で形成される際の露光量を求め、次式によりELマージン(単位:%)を求めた。
ELマージン(%)=(|E1−E2|/Eop)×100
E1:ライン幅95nmのLSパターンが形成された際の露光量(mJ/cm2)
E2:ライン幅105nmのLSパターンを形成された際の露光量(mJ/cm2)
なお、ELマージンは、その値が大きいほど、露光量の変動に伴うパターンサイズの変化量が小さいことを示す。
前記最適露光量Eopで形成したLSパターンについて、LERを示す尺度である3σを求めた。
「3σ」は、測長SEM(走査型電子顕微鏡、加速電圧800V、商品名:S−9380、日立ハイテクノロジーズ社製)により、ライン幅を、ラインの長手方向に400箇所測定し、その結果から求めた標準偏差(σ)の3倍値(3s)(単位:nm)を意味する。この3sの値が小さいほど、ライン側壁のラフネスが小さく、より均一幅のLSパターンが得られたことを意味する。
前記最適露光量Eopにおいて形成されたLSパターンの断面形状を、走査型電子顕微鏡(商品名:SU−8000、日立ハイテクノロジー社製)を用いて観察することにより、レジストパターン形状について以下の基準により評価した。
○:矩形性が高い。
×:Top−round形状(パターン断面の上部が丸みを帯びた形状)であり、矩形性が低い。
Claims (4)
- アニオン基と、スルホニウム又はヨードニウムカチオンとを有するモノマーを重合して前駆体ポリマーを合成し、洗浄した後、当該前駆体ポリマーをスルホニウム又はヨードニウムカチオンと塩交換させる、高分子化合化合物の製造方法であって、
塩交換に用いるスルホニウム又はヨードニウムカチオンが、前記モノマー中のスルホニウム又はヨードニウムカチオンよりも疎水性が高いことを特徴とする、露光により分解して酸を発生する構成単位を有する高分子化合物の製造方法。 - 前記アニオン基が、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、及びトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンからなる群より選択される少なくとも一種の基である、請求項1記載の高分子化合物の製造方法。
- 請求項1又は2記載の高分子化合物の製造方法により製造された高分子化合物を含有するレジスト組成物。
- 支持体上に、請求項3記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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