JP2013095369A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】空気入りタイヤは、タイヤサイド部におけるカーカス層のタイヤ幅方向内方に、前記カーカス層に沿って設けられた三日月断面形状を成し、JIS硬度(20℃)が70〜85であり、損失係数tanδ(60℃)が0.10以下の物性を有する補強ゴム部材と、前記タイヤサイド部のカーカス層のタイヤ幅方向外方に設けられたサイドゴム部材、を有する。前記サイドゴム部材のうち、少なくともタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内方に位置する部分は、JIS硬度(20℃)が70〜85であり、損失係数tanδ(60℃)が0.10以下の物性を有するゴムを含む。
【選択図】 図1
Description
当該空気入りタイヤは、 一対のビード部内に埋設したビードコア相互間にわたり、一対のサイドウォール部とトレッド部を補強する1プライ以上のラジアル配列コードのゴム被覆になるカーカスと、該カーカスの外周でトレッド部を強化するベルトとを備え、ビードコアからトレッド部端に向け先細り状に延びるビードフィラーゴムと、最内側カーカスプライの内面に、断面ほぼ三日月状の強化ゴム層とを有する。この空気入りタイヤでは、ビードフィラーゴムとこれを取り囲むカーカスプライとの間及び/又は前記強化ゴム層とこれに最隣接するカーカスプライとの間に、比較的軟質である少なくとも1枚の保護ゴムシートが配置される。
タイヤサイド部におけるカーカス層のタイヤ幅方向内側に、前記カーカス層に沿って設けられた三日月断面形状を成し、JIS硬度(20℃)が70〜85であり、損失係数tanδ(60℃)が0.10以下の物性を有する補強ゴム部材と、
前記タイヤサイド部のカーカス層のタイヤ幅方向外側に設けられたサイドゴム部材、を有する。
前記サイドゴム部材のうち、少なくともタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内方に位置する部分は、JIS硬度(20℃)が70〜85であり、損失係数tanδ(60℃)が0.10以下の物性を有するゴムを含む。
タイヤ10は、骨格材として、カーカスプライ材12(12a,12b)と、ベルト材14(14a,14b)と、ビードコア16とを有し、これらの骨格材の周りに、トレッドゴム部材18と、サイドゴム部材20と、ビードフィラーゴム部材22と、リムクッションゴム部材24と、補強ゴム部材25と、インナーライナゴム部材26と、を主に有する。
補強ゴム部材25は、三日月状の部材であり、トレッド部のショルダー側からサイド部を経てビード部まで、カーカスプライ材12に対してタイヤ空洞領域の側に、カーカスプライ材12とインナーライナゴム部材26との間に挟まれるように設けられる。補強ゴム部材25には、ランフラット走行時、サイド部が必要以上に撓まず、同時にタイヤの変形に伴う発熱を抑えるために、高モジュラスかつ低発熱性のゴム材料が用いられる。すなわち、タイヤ10は、サイド部が補強ゴム部材25で補強されたランフラットタイヤである。
カーカスプライ材12のタイヤ径方向外方に2枚のベルト材14a,14bが設けられている。ベルト材14a,14bは、タイヤ周方向に対して、所定の角度、例えば20〜30度傾斜したスチールコードにゴムを被覆した部材であり、下層のベルト材14aが上層のベルト材14bに比べてタイヤ幅方向の幅が広い。2層のベルト14a,14bのスチールコードの傾斜方向は互いに逆方向である。このため、ベルト材14a,14bは、交錯層となっており、充填された空気圧によるカーカスプライ材12a,12bの膨張を抑制する。図示されないが、ベルト材14の上記機能を補強するように、ベルト材14のタイヤ径方向外方に、有機繊維にゴムを被覆したベルトカバー材が設けられてもよい。
タイヤセンターラインCLからタイヤ幅方向外方に同じ距離離れた位置に溝中心を有する内側周方向主溝32a,32b及び外側周方向主溝34a,34bを有する。
また、サイドゴム部材20のうち、少なくともタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内方に位置する部分は、JIS硬度(20℃)が70〜85であり、損失係数tanδ(60℃)が0.10以下のゴム物性を有する。タイヤ最大幅位置とは、正規リムに装着して正規内圧を充填したときのタイヤ10のタイヤ幅方向におけるタイヤ最大幅を有する位置をいう。正規リムとは、タイヤ10をJATAMAに規定される「標準リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、正規内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。
少なくともタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内方に位置する部分のサイドゴム部材20のゴム物性を、少なくともタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内方において補強ゴム部材25のゴム物性と同等にするのは、タイヤ10において補強ゴム部材26だけではタイヤ重量を維持した状態で、ランフラット耐久性を有することができないからである。すなわち、サイドゴム部材20のゴム物性を補強ゴム部材25のゴム物性と同等にすることにより、タイヤ重量を維持した状態で、ランフラット耐久性を確保することができる。タイヤ10のサイドゴム部材20の上記ゴム物性は、ランフラットタイヤでない通常のタイヤに対してJIS硬度(20℃)が高く、損失係数tanδ(60℃)が低い。
サイドゴム部材20の少なくともタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内方に位置する部分においてJIS硬度(20℃)が70未満であると、ランフラット走行が困難になり、すなわちランフラット耐久性が向上せず、JIS硬度(20℃)が80より大きいと、タイヤのバネ特性が高くなり、振動乗心地性能が低下しロードノイズが増大する。損失係数tanδ(60℃)は、ランフラット耐久性の点で低いほど好ましいが、ランフラット耐久性の向上が見られる損失係数tanδ(60℃)の限界(上限)は、0.10である。
サイドゴム部材20のうち、タイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内方に位置する部分のゴムの100%伸張モジュラスを5.0〜10.0MPaとすることにより、ランフラット耐久性がより一層向上する。
さらに、サイドゴム部材20の上記ゴム物性を有するゴムは、タイヤ断面高さHの50〜80%の範囲にまでタイヤ径方向外方に延びている、ことが好ましい。タイヤ断面高さとは、図3に示すように、正規リムに装着したとき、タイヤ10のビード端のリムRと接触する底部からトレッド部の最大周長を有する位置までの高さHである。したがって、サイドゴム部材20の上記ゴム物性を有するゴムの端部は、リムRと接触するビード端の底部からタイヤ径方向外方に向かって計って高さHの0.5〜0.8倍の位置の範囲に位置する、ことが好ましい。したがって、サイドゴム部材20の上記ゴム物性を有するゴムは、図3に示す斜線の領域に配置されることが好ましい。サイドゴム部材20を、すべて上記ゴム物性を有するゴムで構成すると、振動乗心地性能が低下しロードノイズが増大する。
以下、本実施形態のタイヤ10の効果を調べるために、図1〜3に示すタイヤ10から種々の仕様に変更したタイヤを試作し、タイヤの評価を行った。試作したタイヤのタイヤサイズは225/65RF17 102Hである。
評価は、ランフラット耐久性、振動乗心地・ロードノイズについて、この他に、タイヤ重量を測った。
ランフラット耐久性は、ECE30に記載されているランフラットタイヤ用ドラム耐久試験条件を用いてランフラットタイヤ用ドラム耐久試験を行った。使用したリムのリムサイズは、17×6.5Jであり、タイヤ空気圧を0気圧とし走行速度80km/時とし、タイヤへの負荷荷重はJATMAまたはETRTO規定の最大負荷能力の65%とし、タイヤが故障するまで走行させた。評価は、走行距離で行い、従来例を基準(100)とし、指数で表した。指数が高い程、走行距離が高いことを示す。
振動乗心地・ロードノイズについては、SUVの4輪にタイヤを装着し、テストコース内で、走行速度50km/時で走行し、ドライバによる官能評価を行った。使用したリムのリムサイズは、17×6.5Jであり、タイヤ空気圧はJATMA規定の正規内圧を用い、2名乗車相当の荷重を負荷した。振動乗心地・ロードノイズの評価は、官能評価で、○(良好)、×(不可)、△(可)の3段階評価を行った。
タイヤ重量は、従来例のタイヤ重量を基準(100)とし、指数で表した。指数が高い程、タイヤ重量が軽いことを示す。
下記表2は、実施例7〜11、従来例、比較例5,6の仕様と評価結果を示す。
なお、以降の表1〜4で説明するサイドゴム部材20のゴム物性は、少なくともタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内側に位置する部分に用いるゴムの物性をいう。
実施例1〜3及び比較例1,2の評価結果、さらには、実施例4〜6及び比較例3,4の評価結果より、JIS硬度(20℃)が70〜85であり、損失係数tanδ(60℃)が0.10以下のゴム物性を有する補強ゴム部材25に対して、サイドゴム部材20の少なくともタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内側に位置する部分に、JIS硬度(20℃)が70〜85であり、損失係数tanδ(60℃)が0.10以下の物性を有するゴムを用いることにより、タイヤ重量を従来例と同等に維持しつつ、ランフラット耐久性を向上させることができることがわかる。
実施例7〜11、従来例、比較例5,6の評価結果より、JIS硬度(20℃)が70〜85であり、損失係数tanδ(60℃)が0.10以下のゴム物性を有する補強ゴム部材25に対して、サイドゴム部材20の少なくともタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内側に位置する部分に、JIS硬度(20℃)が70〜85であり、損失係数tanδ(60℃)が0.10以下の物性を有するゴムを用いる実施例7〜11は、タイヤ重量を従来例と同等に維持しつつ、ランフラット耐久性を向上させることができることがわかる。
実施例12〜19、比較例7〜10では、サイドゴム部材20のJIS硬度(20℃)を75に固定して損失係数tanδ(60℃)が変更されている。実施例12〜19及び比較例7〜10の評価結果より、補強ゴム部材25のJIS硬度(20℃)が70〜85であり、損失係数tanδ(60℃)が0.10以下のゴム物性を有する範囲内で、サイドゴム部材20の損失係数tanδ(60℃)を0.1以下にすることにより、タイヤ重量を従来例と同等に維持しつつ、ランフラット耐久性を向上させることができることがわかる。
表4では、補強ゴム部材25及びサイドゴム部材20のJIS硬度(20℃)が70〜85であり、損失係数tanδ(60℃)が0.10以下であるとき、サイドゴム部材20の100%モジュラスを種々変更している。実施例20〜23に示すように100%モジュラスを高くするほどランフラット耐久性が向上することがわかる。実施例21,22に示すように、100%伸張モジュラスを5.0〜10.0MPaにすることは、タイヤ重量を従来同様に維持しつつ、ランフラット耐久性が向上する点で好ましい。なお、100%モジュラスが10.0MPaを越える実施例23は、ランフラット耐久性が100%モジュラスを上げても向上しない一方、振動乗心地性・ロードノイズは、「可」程度となる。これより、100%伸張モジュラスが5.0〜10.0MPaであることが好ましい。
12,12a,12b カーカスプライ材
14,14a,14b ベルト材
16 ビードコア
18 トレッドゴム部材
20 サイドゴム部材
22 ビードフィラーゴム部材
24 リムクッションゴム部材
25 補強ゴム部材
26 インナーライナゴム部材
30 レッドパターン
32a,32b 内側周方向主溝
34a,34b 外側周方向主溝
36 センター陸部
38a,38b 中間陸部
40,42,44a,44b,46a,46b ラグ溝
43,47a,47b,54a,54b,56a,56b サイプ
50a,50b ショルダーラグ溝
52a,52b ショルダー溝
Claims (5)
- 空気入りタイヤであって、
タイヤサイド部におけるカーカス層のタイヤ幅方向内方に、前記カーカス層に沿って設けられた三日月断面形状を成し、JIS硬度(20℃)が70〜85であり、損失係数tanδ(60℃)が0.10以下の物性を有する補強ゴム部材と、
前記タイヤサイド部のカーカス層のタイヤ幅方向外方に設けられたサイドゴム部材、を有し、
前記サイドゴム部材のうち、少なくともタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内方に位置する部分は、JIS硬度(20℃)が70〜85であり、損失係数tanδ(60℃)が0.10以下の物性を有するゴムを含む、ことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記サイドゴム部材のうち、タイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内方に位置する部分のゴムは、100%伸張モジュラスが5.0〜10.0MPaである物性を有する、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイドゴム部材のうち、タイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内方に位置する部分のゴムにおいて、当該ゴムの最小厚さは、2.0〜8.0mmである、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイドゴム部材のうち、JIS硬度(20℃)が70〜85であり、損失係数tanδ(60℃)が0.10以下の物性を有する前記ゴムは、タイヤ断面高さHの50〜80%までタイヤ径方向外方に延びている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- タイヤ偏平比が60以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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