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JP2013091848A - 電子部品用金属材料及びその製造方法 - Google Patents

電子部品用金属材料及びその製造方法 Download PDF

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JP2013091848A JP2012222568A JP2012222568A JP2013091848A JP 2013091848 A JP2013091848 A JP 2013091848A JP 2012222568 A JP2012222568 A JP 2012222568A JP 2012222568 A JP2012222568 A JP 2012222568A JP 2013091848 A JP2013091848 A JP 2013091848A
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Abstract

【課題】低挿抜性、低ウィスカ性及び高耐久性を有する電子部品用金属材料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基材11と、基材11の最表層を構成し、Sn,In,またはそれらの合金で形成されたA層14と、基材11とA層14との間に設けられて中層を構成し、Ag,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,Os,Ir,またはそれらの合金で形成されたB層13と、を備え、最表層(A層)14の厚みが0.2μmよりも厚く、中層(B層)13の厚みが0.001μm以上である電子部品用金属材料10。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子部品用金属材料及びその製造方法に関する。
民生用及び車載用電子機器用接続部品であるコネクタには、黄銅やリン青銅の表面にNiやCuの下地めっきを施し、さらにその上にSn又はSn合金めっきを施した材料が使用されている。Sn又はSn合金めっきは、一般的に低接触抵抗及び高はんだ濡れ性という特性が求められ、更に近年めっき材をプレス加工で成形したオス端子及びメス端子勘合時の挿入力の低減化も求められている。また、製造工程でめっき表面に、短絡等の問題を引き起こす針状結晶であるウィスカが発生することがあり、このウィスカを良好に抑制する必要もある。
これに対し、特許文献1には、表面から厚さ0.05μm以上の表層がNi,Co又はこれらの合金からなる基材上に、Ag又はAg合金を部分被覆し、露出する基材表面と部分被覆したAg又はAg合金層上に、In,Zn,Sn,Pd又はこれらの合金を0.01〜1.0μmの厚さに被覆した銀被覆電気材料が開示されている。そしてこれによれば、電気材料としての優れた半田付け性や機械的電気接続における接続性を長期にわたり維持することができると記載されている。
また、特許文献2には、CuまたはCu合金基材表面にNi、Coまたはこれらを含む合金の第1被覆層を設け、その表面にAgまたはAg合金の第2被覆層を設け、さらにその表面にSnまたはSn合金の被覆層を設けてなるSnまたはSn合金被覆材料が開示されている。そしてこれによれば、高温における使用に拘わらず、表面の酸化変色がなく接触抵抗の増加が少なく、長期間にわたり、外観および接触特性が良好なSnまたはSn合金被覆材料を提供することができると記載されている。
また、特許文献3には、CuまたはCu合金基材表面にNi,Coまたはこれらを含む合金の第1被覆層を設け、その表面にAgまたはAg合金の第2被覆層を設け、さらにその表面にSnまたはSn合金の溶融凝固被覆層を設けてなるSnまたはSn合金被覆材料が開示されている。そしてこれによれば、高温における使用に拘わらず、表面の酸化変色がなく接触抵抗の増加が少なく、長期化にわたり、外観および接触特性が良好なSnまたはSn合金被覆材料を提供することができると記載されている。
また、特許文献4には、導電性の帯条体の片面にAg層又はAg合金層が被覆され、他面にSn層又はSn合金層が被覆されている電気接点用材料が開示されている。そしてこれによれば、硫化環境等に曝されても半田付性の劣化が少ない電気接点用材料又は電気接点部品を提供することができると記載されている。
また、特許文献5には、(a)銀、パラジウム、白金、ビスマス、インジウム、ニッケル、亜鉛、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、クロム、アンチモンよりなる群から選ばれた下地用の金属薄膜のいずれかを被メッキ物上に形成した後、(b)上記下地用の金属薄膜上にスズ又はスズ合金のメッキ皮膜を形成することを特徴とする前処理によるスズホイスカーの防止方法が開示されている。そしてこれによれば、銅系素地を初めとする被メッキ物の表面上にハンダ付け性などを良好に確保するために形成するスズ系皮膜において、簡便な操作でスズホイスカーを有効に防止することができると記載されている。
また、特許文献6には、メッキ用基体の表面に銀メッキ層を形成し、さらに該銀メッキ層の表面に厚さ0.001〜0.1μmの錫またはインジウムまたは亜鉛のメッキ層を形成してなる銀メッキ構造体を熱処理して得られるメッキ構造が開示されている。そしてこれによれば、耐熱性に優れ、かつ銀の硫化による反射率低下の少ない発光素子収納用支持体及び、硫化により変色しにくく、銀本来の光沢を有し、接触抵抗が小さい電気部品用被覆方法を提供することができると記載されている。
特開昭61−124597号公報 特開平1−306574号公報 特開平2−301573号公報 特開平9−78287号公報 特開2003−129278号公報 特開2011−122234号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、Snが極薄に形成されている領域での接触抵抗が大きくなるという問題がある。
また、特許文献2〜5に記載の技術では、はんだ濡れ性又は接触特性は良好であるが、挿抜性やウィスカの抑制に関して満足できるものとはいえない。
また、特許文献6に記載の技術では、接触抵抗は改善されているものの、はんだ濡れ性に関して満足できるものとはいえない。
このように、従来のSn/Ag/Ni下地めっき構造を有する電子部品用金属材料には挿抜性やウィスカに問題があり、挿抜性やウィスカに問題が無い仕様としても、耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、高はんだ濡れ性)についても満足できる仕様とすることは困難であり、明らかになっていなかった。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、低挿抜性(低挿抜性とは、オス端子とメス端子を勘合させた時に生じる挿入力が低いことを示す)、低ウィスカ性及び高耐久性を有する電子部品用金属材料及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、基材上に中層と最表層とを順に設け、中層及び最表層を所定の金属を用い、且つ、所定の厚み又は付着量で形成することで、低挿抜性、低ウィスカ性及び高耐久性のいずれも備えた電子部品用金属材料を作製することができることを見出した。
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、基材と、前記基材の最表層を構成し、Sn,In,またはそれらの合金で形成されたA層と、前記基材とA層との間に設けられて中層を構成し、Ag,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,Os,Ir,またはそれらの合金で形成されたB層とを備え、前記最表層(A層)の厚みが0.2μmよりも厚く、前記中層(B層)の厚みが0.001μm以上である、低ウィスカ性及び高耐久性を有する電子部品用金属材料である。
本発明は別の一側面において、基材と、前記基材の最表層を構成し、Sn,In,またはそれらの合金で形成されたA層と、前記基材とA層との間に設けられて中層を構成し、Ag,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,Os,Ir,またはそれらの合金で形成されたB層とを備え、前記最表層(A層)のSn,Inの付着量が150μg/cm2より多く、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,Os,Irの付着量が1μg/cm2以上である、低ウィスカ性及び高耐久性を有する電子部品用金属材料である。
本発明の電子部品用金属材料は一実施例において、前記最表層(A層)の合金組成がSn,In,またはSnとInとの合計で50質量%以上であり、残合金成分がAg,As,Au,Bi,Cd,Co,Cr,Cu,Fe,Mn,Mo,Ni,Pb,Sb,W,Znからなる群より選択される1種、もしくは2種以上の金属からなる。
本発明の電子部品用金属材料は別の一実施例において、前記中層(B層)の合金組成がAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,Os,Ir,またはAgとAuとPtとPdとRuとRhとOsとIrとの合計で50質量%以上であり、残合金成分がBi,Cd,Co,Cu,Fe,In,Mn,Mo,Ni,Pb,Sb,Se,Sn,W,Tl,Znからなる群より選択される1種、もしくは2種以上の金属からなる。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記最表層(A層)の表面の算術平均高さ(Ra)が0.1μm以下である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記最表層(A層)の表面の最大高さ(Rz)が1μm以下である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記最表層(A層)の表面の反射濃度が0.3以上である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、前記最表層(A層)のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D1)、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D2)が、最表面からD1、D2の順で存在する。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値が10at%以上である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記基材とB層との間に設けられて下層を構成し、Ni,Cr,Mn,Fe,Co,Cuからなる群から選択された1種、もしくは2種以上で形成されたC層をさらに備える。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、下層(C層)の合金の組成がNi,Cr,Mn,Fe,Co,Cuの合計で50質量%以上であり、さらにB,P,Sn,Znからなる群から選択された1種、もしくは2種以上を含む。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、前記最表層(A層)のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D1)、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D2)、前記下層(C層)のNi,Cr,Mn,Fe,CoまたはCuの原子濃度(at%)の最高値示す位置(D3)が最表面からD1、D2、D3の順で存在する。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値が10at%以上であって、前記下層(C層)のNi,Cr,Mn,Fe,CoまたはCuの原子濃度(at%)が25%以上である深さが50nm以上である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記下層(C層)の厚みが0.05μm以上である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記下層(C層)のNi,Cr,Mn,Fe,Co,Cuの付着量が、0.03mg/cm2以上である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記最表層(A層)の厚みが0.2μm超且つ0.6μm未満である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記最表層(A層)のSn,Inの付着量が150μg/cm2超且つ450μg/cm2未満である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記中層(B層)の厚みが0.005〜0.1μmである。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,Os,Irの付着量が4〜120μg/cm2である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記下層(C層)の表面のビッカース硬さがHv300以上である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記下層(C層)の表面のビッカース硬さと厚みとが下記式:
ビッカース硬さ(Hv) ≧ −376.22Ln(厚みμm)+86.411
を満たす。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、超微小硬さ試験機により、前記下層(C層)の表面に荷重980.7mN、荷重保持時間15秒で打根を打って測定して得られた硬度である、前記下層(C層)の表面の押し込み硬さが2500MPa以上である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、超微小硬さ試験機により、前記下層(C層)の表面に荷重980.7mN、荷重保持時間15秒で打根を打って測定して得られた硬度である、前記下層(C層)の表面の押し込み硬さと厚みとが下記式:
押し込み硬さ(MPa) ≧ −3998.4Ln(厚みμm)+1178.9
を満たす。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記下層(C層)の表面のビッカース硬さがHv1000以下である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、超微小硬さ試験機により、前記下層(C層)の表面に荷重980.7mN、荷重保持時間15秒で打根を打って測定して得られた硬度である、前記下層(C層)の表面の押し込み硬さが10000MPa以下である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記基材が金属基材であって、前記金属基材の表面のビッカース硬さがHv90以上である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記基材が金属基材であって、超微小硬さ試験機により、前記金属基材の表面に荷重980.7mN、荷重保持時間15秒で打根を打って測定して得られた硬度である、前記金属基材の表面の押し込み硬さが1000MPa以上である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記基材が金属基材であって、JIS C 2241に従い、前記金属基材の圧延平行方向について、引張速度を50mm/minとして引張試験を行うことで測定した前記金属基材の伸びが5%以上である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記基材が金属基材であって、日本伸銅協会技術標準(JCBA)T307に準じてW曲げ試験を行い前記金属材料の割れが発生しない最小の曲げ半径(MBR)と前記金属材料厚さ(t)の比である前記金属基材の最小曲げ半径比(MBR/t)が3以下である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、前記最表層(A層)のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値示す位置(D1)と前記下層(C層)のNi,Cr,Mn,Fe,Co,CuまたはZnの原子濃度(at%)の最高値示す位置(D3)との間に、Ag,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrについて40at%以上の領域が1nm以上の厚さで存在する。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、XPS(X線光電子分光)のSurvey測定で前記最表層(A層)の表面の元素分析を行ったとき、Oが50at%未満である。
本発明は更に別の一側面において、本発明の電子部品用金属材料を接点部分に用いたコネクタ端子である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のコネクタ端子を用いたコネクタである。
本発明は更に別の一側面において、本発明の電子部品用金属材料を接点部分に用いたFFC端子である。
本発明は更に別の一側面において、本発明の電子部品用金属材料を接点部分に用いたFPC端子である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のFFC端子を用いたFFCである。
本発明は更に別の一側面において、本発明のFPC端子を用いたFPCである。
本発明は更に別の一側面において、本発明の電子部品用金属材料を外部接続用電極に用いた電子部品である。
本発明は更に別の一側面において、前記最表層(A層)及び前記中層(B層)を、それぞれ湿式めっきによる表面処理で形成する工程を含む本発明の電子部品用金属材料の製造方法である。
本発明の電子部品用金属材料の製造方法は一実施形態において、前記湿式めっきの方法が電気めっきである。
本発明の電子部品用金属材料の製造方法は別の一実施形態において、前記最表層(A層)を、酸性めっき液を用いためっき処理で形成する。
本発明の電子部品用金属材料の製造方法は更に別の一実施形態において、前記中層(B層)を、シアン含有めっき液を用いためっき処理で形成する。
本発明の電子部品用金属材料の製造方法は更に別の一実施形態において、前記下層(C層)を、スルファミン酸浴またはワット浴を用いためっき処理で形成する工程を含む。
本発明の電子部品用金属材料の製造方法は更に別の一実施形態において、前記スルファミン酸浴及び前記ワット浴で用いるめっき液が光沢Niめっき液である。
本発明の電子部品用金属材料の製造方法は更に別の一実施形態において、前記下層(C層)を形成するためのめっき液に、添加剤としてサッカリンが含有されている。
本発明によれば、低挿抜性、低ウィスカ性及び高耐久性を有する電子部品用金属材料及びその製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る電子部品用金属材料の構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る電子部品用金属材料のXPS(X線光電子分光)のDepth測定結果の参考例である。
以下、本発明の実施形態に係る電子部品用金属材料について説明する。図1に示すように、実施形態に係る電子部品用金属材料10は、基材11の表面に下層(C層)12が形成され、下層(C層)12の表面に中層(B層)13が形成され、中層(B層)13の表面に最表層(A層)14が形成されている。また、基材11の表面に下層(C層)12を形成せず、基材11の表面に中層(B層)13が形成され、中層(B層)13の表面に最表層(A層)14が形成されている材料も、本発明の実施形態に係る電子部品用金属材料である。
<電子部品用金属材料の構成>
(基材)
基材11としては、特に限定されないが、例えば、銅及び銅合金、Fe系材、ステンレス、チタン及びチタン合金、アルミニウム及びアルミニウム合金などの金属基材を用いることができる。また、金属基材に樹脂層を複合させたものであっても良い。金属基材に樹脂層を複合させたものとは、例としてFPCまたはFFC基材上の電極部分などがある。
基材11のビッカース硬さはHv90以上であるのが好ましい。基材11のビッカース硬さがHv90以上であると、硬い基材によって薄膜潤滑効果が向上し、挿抜力がより低下する。
基材11の押し込み硬さは1000MPa以上であるのが好ましい。基材11の押し込み硬さが1000MPa以上であると、硬い基材によって薄膜潤滑効果が向上し、挿抜力がより低下する。
基材11の伸びは5%以上であるのが好ましい。基材11の伸びが5%以上であると、曲げ加工性が向上し、本発明の電子部品用金属材料をプレス成形した場合に、成形した部分にクラックが入り難くなり、耐ガス腐食性(耐久性)低下を抑制する。
基材11に対してW曲げ試験を行ったときの最小曲げ半径比(MBR/t)は3以下であるのが好ましい。基材11の最小曲げ半径比(MBR/t)が3以下であると、曲げ加工性が向上し、本発明の電子部品用金属材料をプレス成形した場合に、成形した部分にクラックが入り難くなり、耐ガス腐食性(耐久性)低下を抑制する。
(最表層(A層))
最表層(A層)14は、Sn,In,またはそれらの合金である必要がある。Sn及びInは、酸化性を有する金属ではあるが、金属の中では比較的柔らかいという特徴がある。よって、Sn及びIn表面に酸化膜が形成されていても、例えば電子部品用金属材料を接点材料としてオス端子とメス端子を勘合する時に、容易に酸化膜が削られ、Sn及びInの新生面が顔を出し、接点が金属同士となるため、低接触抵抗が得られる。
また、Sn及びInは塩素ガス、亜硫酸ガス、硫化水素ガス等のガスに対する耐ガス腐食性に優れ、例えば、中層(B層)13に耐ガス腐食性に劣るAg、下層(C層)12に耐ガス腐食性に劣るNi、基材11に耐ガス腐食性に劣る銅及び銅合金を用いた場合には、電子部品用金属材料の耐ガス腐食性を向上させる働きがある。なおSn及びInでは、厚生労働省の健康障害防止に関する技術指針に基づき、Inは規制が厳しいため、Snが好ましい。
最表層(A層)14の組成は、Sn,In,またはSnとInとの合計で50質量%以上であり、残合金成分がAg,As,Au,Bi,Cd,Co,Cr,Cu,Fe,Mn,Mo,Ni,Pb,Sb,W,Znからなる群より選択される1種、もしくは2種以上の金属で構成されていても良い。最表層(A層)14の組成が合金になる(例えばSn−Agめっきを施す)ことで、低挿抜性、低ウィスカ性、及び、耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、はんだ濡れ性等)などをより向上させる場合がある。
最表層(A層)14の厚みは0.2μmよりも厚くする必要がある。最表層(A層)14の厚みは0.2μm超且つ0.6μm未満であるのが好ましい。最表層(A層)14の厚みを0.2μmよりも厚くすると、耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、はんだ濡れ性等)が向上する。また、厚みが大きくなると、ウィスカが発生しやすく、またSnやInの凝着磨耗が大きくなって挿抜力も大きくなる。より充分な低ウィスカ性を得るためには、0.6μm未満が好ましい。厚みが0.6μm未満であると長さ20μm以上のウィスカは発生しない。
最表層(A層)14のSn,Inの付着量は、150μg/cm2よりも多くする必要がある。最表層(A層)14の付着量は、150μg/cm2超且つ450μg/cm2未満が好ましい。ここで、付着量で定義する理由を説明する。例えば、最表層(A層)14の厚みを蛍光X線膜厚計で測定する場合、例えば最表層(A層)とその下の中層(B層)との間に形成した合金層により、測定される厚みの値に誤差が生じる場合がある。一方、付着量で制御する場合、合金層の形成状況に左右されず、より正確な品質管理をすることができる。最表層(A層)14のSn,Inの付着量が150μg/cm2よりも多くすると、耐ガス性が向上する。また付着量が多くなると、ウィスカが発生しやすく、またSnやInの凝着磨耗が大きくなって挿抜力も大きくなる。より充分な低ウィスカ性を得るためには、450μg/cm2未満が好ましい。付着量が450μg/cm2未満であると、長さ20μm以上のウィスカは発生しない。
(中層(B層))
中層(B層)13は、Ag,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,Os,Ir,またはそれらの合金で形成されている必要がある。Ag,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,Os,Irは、金属の中では比較的耐熱性を有するという特徴がある。よって基材11や下層(C層)12の組成が最表層(A層)14側に拡散するのを抑制して耐熱性を向上させる。また、これら金属は、最表層(A層)14のSnやInと化合物を形成してSnやInの酸化膜形成を抑制し、はんだ濡れ性を向上させる。なお、Ag,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,Os,Irの中では、導電率の観点でAgがより望ましい。Agは導電率が高い。例えば高周波の信号用途にAg用いた場合、表皮効果により、インピーダンス抵抗が低くなる。
中層(B層)13の合金組成がAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,Os,Ir,またはAgとAuとPtとPdとRuとRhとOsとIrとの合計で50質量%以上であり、残合金成分がBi,Cd,Co,Cu,Fe,In,Mn,Mo,Ni,Pb,Sb,Se,Sn,W,Tl,Znからなる群より選択される1種、もしくは2種以上の金属で構成されていても良い。このような合金組成になる(例えばSn−Agめっきを施す)ことで、低挿抜性、低ウィスカ性、及び、耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、はんだ濡れ性等)などを向上させる場合がある。
中層(B層)13の厚みは0.001μm以上である必要がある。中層(B層)13の厚みは0.005〜0.1μmであるのが好ましい。厚みが0.001μm未満であると、はんだ濡れ性が悪い。より充分なはんだ濡れ性が得られるためには、0.005μm以上の厚みが好ましい。また厚みが大きくなると、挿抜力が大きくなり、より充分な低挿抜性を得るためには好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。
中層(B層)13のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,Os,Ir,またはそれら合金の付着量は1μg/cm2以上である必要がある。中層(B層)13の付着量は4〜120μg/cm2であるのが好ましい。ここで、付着量で定義する理由を説明する。例えば、中層(B層)13の厚みを蛍光X線膜厚計で測定する場合、例えば最表層(A層)14とその下の中層(B層)13との間に形成した合金層により、測定される厚みの値に誤差が生じる場合がある。一方、付着量で制御する場合、合金層の形成状況に左右されず、より正確な品質管理をすることができる。付着量が4μg/cm2未満であると、はんだ濡れ性が悪い。より充分なはんだ濡れ性が得られるためには、4μg/cm2以上の付着量が好ましい。また付着量が多いと、挿抜力が大きく増加なり、より充分な低挿抜性を得るためには330μg/cm2以下、より好ましくは120μg/cm2以下である。
(下層(C層))
基材11と中層(B層)13との間には、Ni,Cr,Mn,Fe,Co,Cuからなる群から選択された1種、もしくは2種以上からなる下層(C層)12を形成するのが好ましい。Ni,Cr,Mn,Fe,Co,Cuからなる群から選択された1種、もしくは2種以上の金属を用いて下層(C層)12を形成することで、硬い下層(C層)形成により薄膜潤滑効果が向上して低挿抜性が向上し、下層(C層)12は基材11の構成金属が中層(B層)に拡散するのを防止し、耐熱性試験や耐ガス腐食性試験後の接触抵抗増加及びはんだ濡れ性劣化を抑制するなど、耐久性が向上する。
下層(C層)12の合金組成が、Ni,Cr,Mn,Fe,Co,Cuの合計で50質量%以上であり、さらにB,P,Sn,Znからなる群から選択された1種、もしくは2種以上を含んでも良い。下層(C層)12の合金組成がこのような構成となることで、下層(C層)がより硬化することで更に薄膜潤滑効果が向上して低挿抜性が向上し、下層(C層)12の合金化は基材11の構成金属が中層(B層)に拡散するのを更に防止し、耐熱性試験や耐ガス腐食性試験後の接触抵抗増加及びはんだ濡れ性劣化を抑制するなど、耐久性が向上する。
下層(C層)12の厚みは0.05μm以上であることが好ましい。下層(C層)12の厚みが0.05μm未満であると、硬い下層(C層)による薄膜潤滑効果が低下して低挿抜性が悪くなり、基材11の構成金属は中層(B層)に拡散しやすくなり、耐熱性試験や耐ガス腐食性試験後の接触抵抗増加及びはんだ濡れ性劣化しやすいなど、耐久性が悪くなる。
下層(C層)12のNi,Cr,Mn,Fe,Co,Cuの付着量が、0.03mg/cm2以上であるのが好ましい。ここで、付着量で定義する理由を説明する。例えば、下層(C層)12の厚みを蛍光X線膜厚計で測定する場合、最表層(A層)14、中層(B層)13、及び基材11等と形成した合金層により、測定される厚みの値に誤差が生じる場合がある。一方、付着量で制御する場合、合金層の形成状況に左右されず、より正確な品質管理をすることができる。また付着量が0.03mg/cm2未満であると、硬い下層(C層)による薄膜潤滑効果が低下して低挿抜性が悪くなり、基材11の構成金属は中層(B層)に拡散しやすくなり、耐熱性試験や耐ガス腐食性試験後の接触抵抗増加及びはんだ濡れ性劣化しやすいなど、耐久性が悪くなる。
(熱処理)
最表層(A層)14を形成させた後に、低挿抜性、低ウィスカ性、耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、はんだ濡れ性等)を向上させる目的で熱処理を施しても良い。熱処理によって最表層(A層)14と中層(B層)13が合金層を形成しやすくなり、Snの凝着力を一層小さくすることにより低挿抜性が得られ、また低ウィスカ性及び耐久性も更に向上させる。なお、この熱処理については、処理条件(温度×時間)は適宜選択できる。また、特にこの熱処理はしなくてもよい。
(後処理)
最表層(A層)14上、または最表層(A層)14上に熱処理を施した後に、低挿抜性や耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、はんだ濡れ性等)を向上させる目的で後処理を施しても良い。後処理によって潤滑性が向上し、更なる低挿抜性が得られ、また最表層(A層)と中層(B層)の酸化が抑制されて、耐熱性、耐ガス腐食性及びはんだ濡れ性等の耐久性が向上する。具体的な後処理としてはインヒビターを用いた、リン酸塩処理、潤滑処理、シランカップリング処理等がある。なお、この熱処理については、処理条件(温度×時間)は適宜選択できる。また、特にこの熱処理はしなくてもよい。
<電子部品用金属材料の特性>
最表層(A層)の表面(最表層の表面から測定した)のビッカース硬さはHv90以上であるのが好ましい。最表層(A層)14の表面のビッカース硬さがHv90以上であると、硬い最表層(A層)によって薄膜潤滑効果が向上し、低挿抜性が向上する。また一方で、最表層(A層)14表面(最表層の表面から測定した)のビッカース硬さはHv300以下あるのが好ましい。最表層(A層)14の表面のビッカース硬さがHv300以下であると、曲げ加工性が向上し、本発明の電子部品用金属材料をプレス成形した場合に、成形した部分にクラックが入り難くなる。
最表層(A層)14の表面(最表層の表面から測定した)の押し込み硬さは1000MPa以上あるのが好ましい。最表層(A層)14の表面の押し込み硬さが1000MPa以上であると、硬い最表層(A層)によって薄膜潤滑効果が向上し、低挿抜性が向上する。また一方で最表層(A層)14の表面(最表層の表面から測定した)の押し込み硬さは4200MPa以下あるのが好ましい。最表層(A層)14の表面の押し込み硬さが4200MPa以下であると、曲げ加工性が向上し、本発明の電子部品用金属材料をプレス成形した場合に、成形した部分にクラックが入り難くなり、耐ガス腐食性(耐久性)低下を抑制する。
最表層(A層)14の表面の算術平均高さ(Ra)は0.1μm以下であるのが好ましい。最表層(A層)14の表面の算術平均高さ(Ra)が0.1μm以下であると比較的腐食しやすい凸部が少なくなり平滑となるため、耐ガス腐食性が向上する。
最表層(A層)14の表面の最大高さ(Rz)は1μm以下であるのが好ましい。最表層(A層)14の表面の最大高さ(Rz)が1μm以下であると比較的腐食しやすい凸部が少なくなり平滑となるため、耐ガス腐食性が向上する。
最表層(A層)14の表面の反射濃度が0.3以上であるのが好ましい。最表層(A層)14の表面の反射濃度が0.3以上であると耐ガス腐食性が向上する。
下層(C層)12のビッカース硬さはHv300以上あるのが好ましい。下層(C層)12のビッカース硬さがHv300以上であると、下層(C層)がより硬化することで更に薄膜潤滑効果が向上して低挿抜性が向上する。また一方で、下層(C層)12のビッカース硬さHv1000以下あるのが好ましい。下層(C層)12のビッカース硬さがHv1000以下であると、曲げ加工性が向上し、本発明の電子部品用金属材料をプレス成形した場合に、成形した部分にクラックが入り難くなり、耐ガス腐食性(耐久性)低下を抑制する。
下層(C層)12のビッカース硬さと下層(C層)12の厚みとが下記式:
ビッカース硬さ(Hv) ≧ −376.22Ln(厚みμm)+86.411
を満たすことが好ましい。下層(C層)12のビッカース硬さと下層(C層)12の厚みとが上記式を満たすと、下層(C層)がより硬化することで更に薄膜潤滑効果が向上して低挿抜性が向上する。
なお、本発明において、「Ln(厚みμm)」とは、厚み(μm)の自然対数の数値を意味する。
下層(C層)12の押し込み硬さは2500MPa以上であるのが好ましい。下層(C層)12の押し込み硬さが2500MPa以上であると、低挿抜性が向上する。また一方で、下層(C層)12の押し込み硬さが10000MPa以下であるのが好ましい。下層(C層)12の押し込み硬さが10000MPa以下であると、曲げ加工性が向上し、本発明の電子部品用金属材料をプレス成形した場合に、成形した部分にクラックが入り難くなり、耐ガス腐食性(耐久性)低下を抑制する。
下層(C層)12の押し込み硬さと下層(C層)12の厚みとが下記式:
押し込み硬さ(MPa) ≧ −3998.4Ln(厚みμm)+1178.9
を満たすことが好ましい。下層(C層)12の押し込み硬さと下層(C層)12の厚みとが上記式を満たすと、下層(C層)がより硬化することで更に薄膜潤滑効果が向上して低挿抜性が向上する。
XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、最表層(A層)14のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D1)、中層(B層)13のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D2)が、最表面からD1、D2の順で存在することが好ましい。最表面からD1、D2の順で存在しない場合、充分な耐ガス腐食性が得られず、電子部品用金属材料を塩素ガス、亜硫酸ガス、硫化水素ガス等のガス腐食試験を行うと腐食して、ガス腐食試験前と比較して大きく接触抵抗が増加するおそれがある。
XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、中層(B層)13のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値が10at%以上であることが好ましい。中層(B層)13のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値が10at%未満である場合、はんだ濡れ性が悪くなるおそれがある。
XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、最表層(A層)14のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D1)、中層(B層)13のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D2)、下層(C層)12のNi,Cr,Mn,Fe,CoまたはCuの原子濃度(at%)の最高値示す位置(D3)が最表面からD1、D2、D3の順で存在することが好ましい。最表面からD1、D2、D3の順で存在しない場合、充分な耐ガス腐食性が得られず、電子部品用金属材料を塩素ガス、亜硫酸ガス、硫化水素ガス等のガス腐食試験を行うと腐食して、ガス腐食試験前と比較して大きく接触抵抗が増加するとなるおそれがある。
XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、中層(B層)13のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値が10at%以上であって、下層(C層)12のNi,Cr,Mn,Fe,CoまたはCuの原子濃度(at%)が25at%以上である深さが50nm以上であることが好ましい。中層(B層)13のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値が10at%未満であって、下層(C層)12のNi,Cr,Mn,Fe,CoまたはCuの原子濃度(at%)が25at%以上である深さが50nm未満である場合、低挿抜性や耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、はんだ濡れ性等)は、基材成分が最表層(A層)14または中層(B層)13に拡散して悪くなるおそれがある。
XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、最表層(A層)14のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値示す位置(D1)と下層(C層)12のNi,Cr,Mn,Fe,Co,CuまたはZnの原子濃度(at%)の最高値示す位置(D3)との間に、Ag,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrについて40at%以上の領域が1nm以上の厚さで存在することが好ましい。1nm未満の厚さで存在すると、例えばAgの場合、はんだ濡れ性が悪くなるおそれがある。
XPS(X線光電子分光)のSurvey測定で前記最表層(A層)の表面の元素分析を行ったとき、Oが50at%未満であることが好ましい。Oが50at%以上であると、接触抵抗が高くなるおそれがある。
図2に、本発明の実施形態に係る、最表層(A層)に厚み0.3μm程度のSn、中層(B層)に厚み0.2μm程度のAg、下層(C層)に厚み1.0μm程度のNiを用いたときの、電子部品用金属材料のXPS(X線光電子分光)のDepth測定結果の参考例を示す。
<電子部品用金属材料の用途>
本発明の電子部品用金属材料の用途は特に限定しないが、例えば電子部品用金属材料を接点部分に用いたコネクタ端子、電子部品用金属材料を接点部分に用いたFFC端子またはFPC端子、電子部品用金属材料を外部接続用電極に用いた電子部品などが挙げられる。なお、端子については、圧着端子、はんだ付け端子、プレスフィット端子等、配線側との接合方法によらない。外部接続用電極には、タブに表面処理を施した接続部品や半導体のアンダーバンプメタル用に表面処理を施した材料などがある。
また、このように形成されたコネクタ端子を用いてコネクタを作製しても良く、FFC端子またはFPC端子を用いてFFCまたはFPCを作製しても良い。
コネクタはオス端子とメス端子の両方が本発明の電子部品用金属材料であっても良いし、オス端子またはメス端子の片方だけであっても良い。なおオス端子とメス端子の両方を本発明の電子部品用金属材料にすることで、更に低挿抜性が向上する。
<電子部品用金属材料の製造方法>
本発明の電子部品用金属材料の製造方法としては、湿式(電気、無電解)めっき、乾式(スパッタ、イオンプレーティング等)めっき等を用いることができる。
但し、乾式めっきよりも湿式めっきの方が、めっき皮膜中に、めっき液中に存在する極微量の不純物成分が共析されウィスカの発生を抑制し、また電着組織が硬くなることで低挿抜性を向上させる場合がある。また製造コストの観点からは、湿式めっきであることが好ましい。
湿式めっきの中では電気めっきの方が好ましい。電気めっきは無電解めっきと比較して均一な皮膜が形成されるため、耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、はんだ濡れ性等)を向上させる場合がある。
最表層(A層)14は、酸性めっき液を用いためっき処理で形成することが好ましい。酸性めっきを用いることにより、中層(B層)13との密着性が向上する。
中層(B層)13は、シアン含有めっき液を用いためっき処理で形成することが好ましい。シアン含有めっきを用いることにより、緻密な皮膜ができ、耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、はんだ濡れ性等)が向上する。
下層(C層)12は、スルファミン酸浴またはワット浴を用いためっき処理で形成することが好ましい。スルファミン酸浴またはワット浴を用いることにより、基材との密着性が向上する。
またスルファミン酸浴またはワット浴で用いるめっき液が、光沢Niめっき液であることが好ましい。めっき液として光沢Niめっきを用いることにより、皮膜が平滑かつ硬くなり、低挿抜性や耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、はんだ濡れ性等)が向上する。
またスルファミン酸浴またはワット浴に添加剤としてサッカリンが含まれていることが好ましい。サッカリンを添加することにより、緻密で硬い皮膜となり、皮膜が平滑かつ硬くなり、低挿抜性や耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、はんだ濡れ性等)が向上する。
以下、本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらは本発明をより良く理解するために提供するものであり、本発明が限定されることを意図するものではない。
実施例及び比較例として、基材、下層(C層)、中層(B層)、最表層(A層)をこの順に設けて熱処理を行うことで形成した試料を、以下の表1〜7に示す条件でそれぞれ作製した。また、下層(C層)については、形成しない例も作製した。
表1に基材の作製条件を、表2に下層(C層)の作製条件を、表3に中層(B層)の作製条件を、表4に最表層(A層)の作製条件を、表5に熱処理条件をそれぞれ示す。また、表6に各実施例で使用した各層の作製条件及び熱処理の条件を、表7に各比較例で使用した各層の作製条件及び熱処理の条件それぞれ示す。
Figure 2013091848
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(厚みの測定)
最表層(A層)、中層(B層)、下層(C層)の厚みは、最表層(A層)、中層(B層)、下層(C層)の組成を有していない基材にそれぞれ表面処理を施し、それぞれ蛍光X線膜厚計(Seiko Instruments製 SEA5100、コリメータ0.1mmΦ)で実際の厚みを測定した。例えば、Snめっきの場合には、基材がCu−10質量%Sn−0.15質量%Pであると、基材にSnが有しており、正確なSnめっきの厚みがわからないため、Snが基材の組成を有していない、Cu−30質量%Znで厚みを測定した。
(付着量の測定)
各試料を硫酸や硝酸等で酸分解し、ICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析により各金属の付着量を測定した。なお具体的に用いる酸は、それぞれのサンプルを有する組成によって異なる。
(組成の決定)
測定した付着量に基づき、各金属の組成を算出した。
(層構造の決定)
得られた試料の層構造は、XPS(X線光電子分光)分析による深さ(Depth)プロファイルで決定した。分析した元素は、最表層(A層)、中層(B層)、下層(C層)の組成と、C及びOである。これら元素を指定元素とする。また、指定元素の合計を100%として、各元素の濃度(at%)を分析した。XPS(X線光電子分光)分析での厚みは、分析によるチャートの横軸の距離(SiO2換算での距離)に対応する。
また、得られた試料の表面は、XPS(X線光電子分光)分析によるSurvey測定にて定性分析も行った。定性分析の濃度の分解能は0.1at%とした。
XPS装置としては、アルバック・ファイ株式会社製5600MCを用い、到達真空度:5.7×10-9Torr、励起源:単色化AlKα、出力:210W、検出面積:800μmΦ、入射角:45度、取り出し角:45度、中和銃なしとし、以下のスパッタ条件で測定した。
イオン種:Ar+
加速電圧:3kV
掃引領域:3mm×3mm
レート:2.8nm/min.(SiO2換算)
(評価)
各試料について以下の評価を行った。
A.挿抜力
挿抜力は,市販のSnリフローめっきメス端子(090型住友TS/矢崎090IIシリーズメス端子非防水/F090−SMTS)を用いて,実施例及び比較例に係るめっきしたオス端子と挿抜試験することによって評価した。
試験に用いた測定装置は,アイコーエンジニアリング製1311NRであり,オスピンの摺動距離5mmで評価した。サンプル数は5個とし,挿抜力は,挿入力と抜去力が同等であるため,各サンプルの最大挿入力の値を平均した値を採用した。挿抜力のブランク材としては、比較例1のサンプルを採用した。
挿抜力の目標は、比較例1の最大挿抜力未満である。
なお今回の試験に用いたメス端子は、市販のSnリフローめっきメス端子を用いたが、実施例に係るめっきやAuめっきを用いると更に挿抜力は低下する。
B.ウィスカ
ウィスカは、JEITA RC−5241の荷重試験(球圧子法)にて評価した。すなわち、各サンプルに対して荷重試験を行い、荷重試験を終えたサンプルをSEM(JEOL社製、型式JSM−5410)にて100〜10000倍の倍率で観察して、ウィスカの発生状況を観察した。荷重試験条件を以下に示す。
球圧子の直径:Φ1mm±0.1mm
試験荷重:2N±0.2N
試験時間:120時間
サンプル数:10
目標とする特性は、現行材(比較例1)よりもウィスカ発生が少ないこととし、長さ20μm以上のウィスカが2本以下であることとした。
C.接触抵抗
接触抵抗は、山崎精機製接点シミュレーターCRS−113−Au型を使用し、接点荷重50gの条件で4端子法にて測定した。サンプル数は5個とし、各サンプルの最小値から最大値の範囲を採用した。目標とする特性は、接触抵抗10mΩ以下である。
D.耐熱性
耐熱性は、大気加熱(155℃×500h)試験後のサンプルの接触抵抗を測定し、評価した。目標とする特性は、接触抵抗10mΩ以下であるが、最大の目標としては、接触抵抗が、耐熱性試験前後で変化がない(同等である)こととした。
E.耐ガス腐食性
耐ガス腐食性は、下記の(1)〜(3)に示す3つの試験環境で評価した。耐ガス腐食性の評価は、(1)〜(3)の環境試験を終えた試験後のサンプルの接触抵抗で測定した。なお目標とする特性は、接触抵抗10mΩ以下であるが、最大の目標としては、接触抵抗が、耐熱性試験前後で変化がない(同等である)こととした
(1)塩水噴霧試験
塩水濃度:5%
温度:35℃
噴霧圧力:98±10kPa
曝露時間:240h
(2)亜硫酸ガス腐食試験
亜硫酸濃度:25ppm
温度:40℃
湿度:80%RH
曝露時間:240h
(3)硫化水素ガス腐食試験
亜硫酸濃度:3ppm
温度:40℃
湿度:80%RH
曝露時間:240h
F.はんだ濡れ性
はんだ濡れ性はめっき後とプレッシャークッカー試験(105℃×不飽和100%RH×96h)後のサンプルを評価した。ソルダーチェッカ(レスカ社製SAT−5000)を使用し、フラックスとして市販の25%ロジンエタノールフラックスを用い、メニスコグラフ法にてはんだ濡れ時間を測定した。はんだはSn−3Ag−0.5Cu(250℃)を用いた。サンプル数は5個とし、各サンプルの最小値から最大値の範囲を採用した。目標とする特性は、ゼロクロスタイム5秒以下である。
G.曲げ加工性
曲げ加工性は、日本伸銅協会技術標準(JCBA)T307に準じてW曲げ試験を行い前記金属材料の割れが発生しない最小の曲げ半径(MBR)と前記金属材料厚さ(t)の比で評価し、最小曲げ半径比(MBR/t)が3以下で良好とした。評価は曲げ加工部表面を光学顕微鏡で観察し、めっき皮膜にクラックが観察されない場合の実用上問題ないと判断した場合には○とし、クラックが認められた場合を×とした。なお、サンプル数は3個とした。
H.ビッカース硬さ
最表層(A層)のビッカース硬さは、サンプル表面より荷重980.7mN、荷重保持時間15秒で打根を打って測定した。なお、1試料当たり5回測定した。
また、下層(C層)のビッカース硬さは、下層(C層)断面より荷重980.7mN、荷重保持時間15秒で打根を打って測定した。
I.押し込み硬さ
最表層(A層)及び金属基材の押し込み硬さは、サンプル表面より荷重980.7mN、荷重保持時間15秒で打根を打って測定した。なお、1試料当たり5回測定した。
また、下層(C層)の押し込み硬さは、下層(C層)断面より荷重980.7mN、荷重保持時間15秒で打根を打って測定した。
J.表面粗さ
表面粗さ(算術平均高さ(Ra)及び最大高さ(Rz))の測定は、JIS B 0601に準拠し、非接触式三次元測定装置(三鷹光器社製、形式NH−3)を用いて行った。カットオフは0.25mm、測定長さは1.50mmで、1試料当たり5回測定した。
K.反射濃度
反射濃度は、デンシトメーター(ND−1,日本電色工業社製)を使用して、反射率を測定した。なお、1試料当たり5回測定した。
L.伸び
伸びは、JIS C 6511に従い、各サンプルの圧延平行方向について引張試験を行うことで測定した。引張速度は50mm/minとした。なお、サンプル数は3個とした。
M.最小曲げ半径比(MBR/t)
最小曲げ半径比は、曲げ加工性と同じ方法で、素材に割れの発生しない最小曲げ半径/試験片厚さを測定した。なお、サンプル数は5個とした。
以上の試験における各条件での評価結果を表8〜22に示す。
Figure 2013091848
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実施例1〜98は、低挿抜性、低ウィスカ性及び耐久性のいずれも優れた電子部品金属材料であった。
比較例1はブランク材である。
比較例2は、比較例1のブランク材のSnめっきを薄くして作製したものであるが、はんだ濡れ性が悪かった。
比較例3は、比較例1と比較して中層にCuめっきを施して作製したものであるが、PCT試験後のはんだ濡れ性が悪かった。
比較例4は、比較例3と比較して中層にCuめっきを薄く施して作製したものであるが、はんだ濡れ性が悪かった。
比較例5は、比較例4と比較して熱処理を施さないで作製したものであるが、はんだ濡れ性が悪かった。
比較例6は、比較例1のブランク材と比較して下層にCuめっきを施して作製したものであるが、比較例1と特性は変わらなかった。
比較例7は、比較例1のブランク材と比較して下層のNiめっきを厚く施して作製したものであるが、比較例1と特性は変わらなかった。
比較例8は、実施例2と比較して中層のAgめっきを施さずに作製したものであるが、XPS(X線光電子分光)でのDepth測定で、前記最表層(B層)のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値が10at%以下であり、はんだ濡れ性が悪かった。
比較例9は、実施例2と比較して最表層のSnめっきを薄くして施して作製したものであるが、耐ガス腐食性が悪く、亜硫酸ガス腐食試験後及び硫化水素ガス腐食試験後の接触抵抗が目標を上回った。
比較例10は、実施例2と比較して、SnとAgのめっき順序を逆にして作製したものであるが、XPS(X線光電子分光)でのDepth測定で前記最表層(A層)のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D1)、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D2)がD2、D1の順で存在するため、耐ガス腐食性が悪く、硫化水素ガス腐食試験後の接触抵抗が目標を上回った。
比較例11は、XPS(X線光電子分光)でのDepth測定で前記最表層(A層)のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D1)、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D2)がD1≒D2であるため、耐ガス腐食性が悪く、硫化水素ガス腐食試験後の接触抵抗が目標を上回った。
比較例12は、実施例57と比較して、SnとAgのめっき順序を逆にして作製したものであるが、XPS(X線光電子分光)でのDepth測定で前記最表層(A層)のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D1)、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D2)がD2、D1の順で存在するため、耐ガス腐食性が悪く、硫化水素ガス腐食試験後の接触抵抗が目標を上回った。
比較例13は、XPS(X線光電子分光)でのDepth測定で前記最表層(A層)のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D1)、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D2)がD1≒D2であるため、耐ガス腐食性が悪く、硫化水素ガス腐食試験後の接触抵抗が目標を上回った。
比較例14は、実施例78と比較して中層(B層)のAgめっきをせずに作製したものであるが、XPS(X線光電子分光)でのDepth測定で、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値が10at%以下であり、耐ガス腐食性が悪く、硫化水素ガス腐食試験後の接触抵抗が目標を上回った。
10 電子部品用金属材料
11 基材
12 下層(C層)
13 中層(B層)
14 最表層(A層)
本発明は、電子部品用金属材料及びその製造方法に関する。
民生用及び車載用電子機器用接続部品であるコネクタには、黄銅やリン青銅の表面にNiやCuの下地めっきを施し、さらにその上にSn又はSn合金めっきを施した材料が使用されている。Sn又はSn合金めっきは、一般的に低接触抵抗及び高はんだ濡れ性という特性が求められ、更に近年めっき材をプレス加工で成形したオス端子及びメス端子勘合時の挿入力の低減化も求められている。また、製造工程でめっき表面に、短絡等の問題を引き起こす針状結晶であるウィスカが発生することがあり、このウィスカを良好に抑制する必要もある。
これに対し、特許文献1には、表面から厚さ0.05μm以上の表層がNi,Co又はこれらの合金からなる基材上に、Ag又はAg合金を部分被覆し、露出する基材表面と部分被覆したAg又はAg合金層上に、In,Zn,Sn,Pd又はこれらの合金を0.01〜1.0μmの厚さに被覆した銀被覆電気材料が開示されている。そしてこれによれば、電気材料としての優れた半田付け性や機械的電気接続における接続性を長期にわたり維持することができると記載されている。
また、特許文献2には、CuまたはCu合金基材表面にNi、Coまたはこれらを含む合金の第1被覆層を設け、その表面にAgまたはAg合金の第2被覆層を設け、さらにその表面にSnまたはSn合金の被覆層を設けてなるSnまたはSn合金被覆材料が開示されている。そしてこれによれば、高温における使用に拘わらず、表面の酸化変色がなく接触抵抗の増加が少なく、長期間にわたり、外観および接触特性が良好なSnまたはSn合金被覆材料を提供することができると記載されている。
また、特許文献3には、CuまたはCu合金基材表面にNi,Coまたはこれらを含む合金の第1被覆層を設け、その表面にAgまたはAg合金の第2被覆層を設け、さらにその表面にSnまたはSn合金の溶融凝固被覆層を設けてなるSnまたはSn合金被覆材料が開示されている。そしてこれによれば、高温における使用に拘わらず、表面の酸化変色がなく接触抵抗の増加が少なく、長期化にわたり、外観および接触特性が良好なSnまたはSn合金被覆材料を提供することができると記載されている。
また、特許文献4には、導電性の帯条体の片面にAg層又はAg合金層が被覆され、他面にSn層又はSn合金層が被覆されている電気接点用材料が開示されている。そしてこれによれば、硫化環境等に曝されても半田付性の劣化が少ない電気接点用材料又は電気接点部品を提供することができると記載されている。
また、特許文献5には、(a)銀、パラジウム、白金、ビスマス、インジウム、ニッケル、亜鉛、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、クロム、アンチモンよりなる群から選ばれた下地用の金属薄膜のいずれかを被メッキ物上に形成した後、(b)上記下地用の金属薄膜上にスズ又はスズ合金のメッキ皮膜を形成することを特徴とする前処理によるスズホイスカーの防止方法が開示されている。そしてこれによれば、銅系素地を初めとする被メッキ物の表面上にハンダ付け性などを良好に確保するために形成するスズ系皮膜において、簡便な操作でスズホイスカーを有効に防止することができると記載されている。
また、特許文献6には、メッキ用基体の表面に銀メッキ層を形成し、さらに該銀メッキ層の表面に厚さ0.001〜0.1μmの錫またはインジウムまたは亜鉛のメッキ層を形成してなる銀メッキ構造体を熱処理して得られるメッキ構造が開示されている。そしてこれによれば、耐熱性に優れ、かつ銀の硫化による反射率低下の少ない発光素子収納用支持体及び、硫化により変色しにくく、銀本来の光沢を有し、接触抵抗が小さい電気部品用被覆方法を提供することができると記載されている。
特開昭61−124597号公報 特開平1−306574号公報 特開平2−301573号公報 特開平9−78287号公報 特開2003−129278号公報 特開2011−122234号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、Snが極薄に形成されている領域での接触抵抗が大きくなるという問題がある。
また、特許文献2〜5に記載の技術では、はんだ濡れ性又は接触特性は良好であるが、挿抜性やウィスカの抑制に関して満足できるものとはいえない。
また、特許文献6に記載の技術では、接触抵抗は改善されているものの、はんだ濡れ性に関して満足できるものとはいえない。
このように、従来のSn/Ag/Ni下地めっき構造を有する電子部品用金属材料には挿抜性やウィスカに問題があり、挿抜性やウィスカに問題が無い仕様としても、耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、高はんだ濡れ性)についても満足できる仕様とすることは困難であり、明らかになっていなかった。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、低挿抜性(低挿抜性とは、オス端子とメス端子を勘合させた時に生じる挿入力が低いことを示す)、低ウィスカ性及び高耐久性を有する電子部品用金属材料及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、基材上に中層と最表層とを順に設け、中層及び最表層を所定の金属を用い、且つ、所定の厚み又は付着量で形成することで、低挿抜性、低ウィスカ性及び高耐久性のいずれも備えた電子部品用金属材料を作製することができることを見出した。
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、基材と、前記基材の最表層を構成し、Sn,In,またはそれらの合金で形成されたA層と、前記基材とA層との間に設けられて中層を構成し、Ag,Au,Pt,PdRh,Os,Ir,またはそれらの合金で形成されたB層とを備え、前記最表層(A層)の厚みが0.2μm超且つ0.6 μm未満であり前記最表層(A層)の合金組成がSn,In,またはSnとInとの合 計で50質量%以上であり、残合金成分がAg,As,Au,Bi,Cd,Co,Cr, Cu,Fe,Mn,Mo,Ni,Pb,Sb,W,Znからなる群より選択される1種、 もしくは2種以上の金属からなり、前記中層(B層)の厚みが0.001〜0.3μmで あり、前記中層(B層)の合金組成がAg,Au,Pt,Pd,Rh,Os,Ir,また はAgとAuとPtとPdとRhとOsとIrとの合計で50質量%以上であり、残合金 成分がBi,Cd,Co,Cu,Fe,In,Mn,Mo,Ni,Pb,Sb,Se,S n,W,Tl,Znからなる群より選択される1種、もしくは2種以上の金属からなる低ウィスカ性及び高耐久性を有する電子部品用金属材料である。
本発明は別の一側面において、基材と、前記基材の最表層を構成し、Sn,In,またはそれらの合金で形成されたA層と、前記基材とA層との間に設けられて中層を構成し、Ag,Au,Pt,PdRh,Os,Ir,またはそれらの合金で形成されたB層とを備え、前記最表層(A層)のSn,Inの付着量が150μg/cm2 超且つ450μg /cm 2 未満であり前記最表層(A層)の合金組成がSn,In,またはSnとInと の合計で50質量%以上であり、残合金成分がAg,As,Au,Bi,Cd,Co,C r,Cu,Fe,Mn,Mo,Ni,Pb,Sb,W,Znからなる群より選択される1 種、もしくは2種以上の金属からなり、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,PdRh,Os,Irの付着量が1〜330μg/cm 2 であり、前記中層(B層)の合金組成 がAg,Au,Pt,Pd,Rh,Os,Ir,またはAgとAuとPtとPdとRhと OsとIrとの合計で50質量%以上であり、残合金成分がBi,Cd,Co,Cu,F e,In,Mn,Mo,Ni,Pb,Sb,Se,Sn,W,Tl,Znからなる群より 選択される1種、もしくは2種以上の金属からなる低ウィスカ性及び高耐久性を有する電子部品用金属材料である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記最表層(A層)の表面の算術平均高さ(Ra)が0.1μm以下である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記最表層(A層)の表面の最大高さ(Rz)が1μm以下である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記最表層(A層)の表面の反射濃度が0.3以上である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、前記最表層(A層)のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D1)、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,PdRh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D2)が、最表面からD1、D2の順で存在する。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,PdRh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値が10at%以上である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記基材とB層との間に設けられて下層を構成し、Ni,Cr,Mn,Fe,Co,Cuからなる群から選択された1種、もしくは2種以上で形成されたC層をさらに備える。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、下層(C層)の合金の組成がNi,Cr,Mn,Fe,Co,Cuの合計で50質量%以上であり、さらにB,P,Sn,Znからなる群から選択された1種、もしくは2種以上を含む。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、前記最表層(A層)のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D1)、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,PdRh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D2)、前記下層(C層)のNi,Cr,Mn,Fe,CoまたはCuの原子濃度(at%)の最高値示す位置(D3)が最表面からD1、D2、D3の順で存在する。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,PdRh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値が10at%以上であって、前記下層(C層)のNi,Cr,Mn,Fe,CoまたはCuの原子濃度(at%)が25%以上である深さが50nm以上である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記下層(C層)の厚みが0.05μm以上である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記下層(C層)のNi,Cr,Mn,Fe,Co,Cuの付着量が、0.03mg/cm2以上である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記中層(B層)の厚みが0.005〜0.1μmである。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,PdRh,Os,Irの付着量が4〜120μg/cm2である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記下層(C層)の表面のビッカース硬さがHv300以上である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記下層(C層)の表面のビッカース硬さと厚みとが下記式:
ビッカース硬さ(Hv) ≧ −376.22Ln(厚みμm)+86.411
を満たす。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、超微小硬さ試験機により、前記下層(C層)の表面に荷重980.7mN、荷重保持時間15秒で打根を打って測定して得られた硬度である、前記下層(C層)の表面の押し込み硬さが2500MPa以上である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、超微小硬さ試験機により、前記下層(C層)の表面に荷重980.7mN、荷重保持時間15秒で打根を打って測定して得られた硬度である、前記下層(C層)の表面の押し込み硬さと厚みとが下記式:
押し込み硬さ(MPa) ≧ −3998.4Ln(厚みμm)+1178.9
を満たす。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記下層(C層)の表面のビッカース硬さがHv1000以下である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、超微小硬さ試験機により、前記下層(C層)の表面に荷重980.7mN、荷重保持時間15秒で打根を打って測定して得られた硬度である、前記下層(C層)の表面の押し込み硬さが10000MPa以下である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記基材が金属基材であって、前記金属基材の表面のビッカース硬さがHv90以上である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記基材が金属基材であって、超微小硬さ試験機により、前記金属基材の表面に荷重980.7mN、荷重保持時間15秒で打根を打って測定して得られた硬度である、前記金属基材の表面の押し込み硬さが1000MPa以上である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記基材が金属基材であって、JIS C 2241に従い、前記金属基材の圧延平行方向について、引張速度を50mm/minとして引張試験を行うことで測定した前記金属基材の伸びが5%以上である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、前記基材が金属基材であって、日本伸銅協会技術標準(JCBA)T307に準じてW曲げ試験を行い前記金属材料の割れが発生しない最小の曲げ半径(MBR)と前記金属材料厚さ(t)の比である前記金属基材の最小曲げ半径比(MBR/t)が3以下である。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、前記最表層(A層)のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値示す位置(D1)と前記下層(C層)のNi,Cr,Mn,Fe,Co,CuまたはZnの原子濃度(at%)の最高値示す位置(D3)との間に、Ag,Au,Pt,PdRh,OsまたはIrについて40at%以上の領域が1nm以上の厚さで存在する。
本発明の電子部品用金属材料は更に別の一実施例において、XPS(X線光電子分光)のSurvey測定で前記最表層(A層)の表面の元素分析を行ったとき、Oが50at%未満である。
本発明は更に別の一側面において、本発明の電子部品用金属材料を接点部分に用いたコネクタ端子である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のコネクタ端子を用いたコネクタである。
本発明は更に別の一側面において、本発明の電子部品用金属材料を接点部分に用いたFFC端子である。
本発明は更に別の一側面において、本発明の電子部品用金属材料を接点部分に用いたFPC端子である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のFFC端子を用いたFFCである。
本発明は更に別の一側面において、本発明のFPC端子を用いたFPCである。
本発明は更に別の一側面において、本発明の電子部品用金属材料を外部接続用電極に用いた電子部品である。
本発明は更に別の一側面において、前記最表層(A層)及び前記中層(B層)を、それぞれ湿式めっきによる表面処理で形成する工程を含む本発明の電子部品用金属材料の製造方法である。
本発明の電子部品用金属材料の製造方法は一実施形態において、前記湿式めっきの方法が電気めっきである。
本発明の電子部品用金属材料の製造方法は別の一実施形態において、前記最表層(A層)を、酸性めっき液を用いためっき処理で形成する。
本発明の電子部品用金属材料の製造方法は更に別の一実施形態において、前記中層(B層)を、シアン含有めっき液を用いためっき処理で形成する。
本発明の電子部品用金属材料の製造方法は更に別の一実施形態において、前記下層(C層)を、スルファミン酸浴またはワット浴を用いためっき処理で形成する工程を含む。
本発明の電子部品用金属材料の製造方法は更に別の一実施形態において、前記スルファミン酸浴及び前記ワット浴で用いるめっき液が光沢Niめっき液である。
本発明の電子部品用金属材料の製造方法は更に別の一実施形態において、前記下層(C層)を形成するためのめっき液に、添加剤としてサッカリンが含有されている。
本発明によれば、低挿抜性、低ウィスカ性及び高耐久性を有する電子部品用金属材料及びその製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る電子部品用金属材料の構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る電子部品用金属材料のXPS(X線光電子分光)のDepth測定結果の参考例である。
以下、本発明の実施形態に係る電子部品用金属材料について説明する。図1に示すように、実施形態に係る電子部品用金属材料10は、基材11の表面に下層(C層)12が形成され、下層(C層)12の表面に中層(B層)13が形成され、中層(B層)13の表面に最表層(A層)14が形成されている。また、基材11の表面に下層(C層)12を形成せず、基材11の表面に中層(B層)13が形成され、中層(B層)13の表面に最表層(A層)14が形成されている材料も、本発明の実施形態に係る電子部品用金属材料である。
<電子部品用金属材料の構成>
(基材)
基材11としては、特に限定されないが、例えば、銅及び銅合金、Fe系材、ステンレス、チタン及びチタン合金、アルミニウム及びアルミニウム合金などの金属基材を用いることができる。また、金属基材に樹脂層を複合させたものであっても良い。金属基材に樹脂層を複合させたものとは、例としてFPCまたはFFC基材上の電極部分などがある。
基材11のビッカース硬さはHv90以上であるのが好ましい。基材11のビッカース硬さがHv90以上であると、硬い基材によって薄膜潤滑効果が向上し、挿抜力がより低下する。
基材11の押し込み硬さは1000MPa以上であるのが好ましい。基材11の押し込み硬さが1000MPa以上であると、硬い基材によって薄膜潤滑効果が向上し、挿抜力がより低下する。
基材11の伸びは5%以上であるのが好ましい。基材11の伸びが5%以上であると、曲げ加工性が向上し、本発明の電子部品用金属材料をプレス成形した場合に、成形した部分にクラックが入り難くなり、耐ガス腐食性(耐久性)低下を抑制する。
基材11に対してW曲げ試験を行ったときの最小曲げ半径比(MBR/t)は3以下であるのが好ましい。基材11の最小曲げ半径比(MBR/t)が3以下であると、曲げ加工性が向上し、本発明の電子部品用金属材料をプレス成形した場合に、成形した部分にクラックが入り難くなり、耐ガス腐食性(耐久性)低下を抑制する。
(最表層(A層))
最表層(A層)14は、Sn,In,またはそれらの合金である必要がある。Sn及びInは、酸化性を有する金属ではあるが、金属の中では比較的柔らかいという特徴がある。よって、Sn及びIn表面に酸化膜が形成されていても、例えば電子部品用金属材料を接点材料としてオス端子とメス端子を勘合する時に、容易に酸化膜が削られ、Sn及びInの新生面が顔を出し、接点が金属同士となるため、低接触抵抗が得られる。
また、Sn及びInは塩素ガス、亜硫酸ガス、硫化水素ガス等のガスに対する耐ガス腐食性に優れ、例えば、中層(B層)13に耐ガス腐食性に劣るAg、下層(C層)12に耐ガス腐食性に劣るNi、基材11に耐ガス腐食性に劣る銅及び銅合金を用いた場合には、電子部品用金属材料の耐ガス腐食性を向上させる働きがある。なおSn及びInでは、厚生労働省の健康障害防止に関する技術指針に基づき、Inは規制が厳しいため、Snが好ましい。
最表層(A層)14の組成は、Sn,In,またはSnとInとの合計で50質量%以上であり、残合金成分がAg,As,Au,Bi,Cd,Co,Cr,Cu,Fe,Mn,Mo,Ni,Pb,Sb,W,Znからなる群より選択される1種、もしくは2種以上の金属で構成されていても良い。最表層(A層)14の組成が合金になる(例えばSn−Agめっきを施す)ことで、低挿抜性、低ウィスカ性、及び、耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、はんだ濡れ性等)などをより向上させる場合がある。
最表層(A層)14の厚みは0.2μmよりも厚くする必要がある。最表層(A層)14の厚みは0.2μm超且つ0.6μm未満であるのが好ましい。最表層(A層)14の厚みを0.2μmよりも厚くすると、耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、はんだ濡れ性等)が向上する。また、厚みが大きくなると、ウィスカが発生しやすく、またSnやInの凝着磨耗が大きくなって挿抜力も大きくなる。より充分な低ウィスカ性を得るためには、0.6μm未満が好ましい。厚みが0.6μm未満であると長さ20μm以上のウィスカは発生しない。
最表層(A層)14のSn,Inの付着量は、150μg/cm2よりも多くする必要がある。最表層(A層)14の付着量は、150μg/cm2超且つ450μg/cm2未満が好ましい。ここで、付着量で定義する理由を説明する。例えば、最表層(A層)14の厚みを蛍光X線膜厚計で測定する場合、例えば最表層(A層)とその下の中層(B層)との間に形成した合金層により、測定される厚みの値に誤差が生じる場合がある。一方、付着量で制御する場合、合金層の形成状況に左右されず、より正確な品質管理をすることができる。最表層(A層)14のSn,Inの付着量が150μg/cm2よりも多くすると、耐ガス性が向上する。また付着量が多くなると、ウィスカが発生しやすく、またSnやInの凝着磨耗が大きくなって挿抜力も大きくなる。より充分な低ウィスカ性を得るためには、450μg/cm2未満が好ましい。付着量が450μg/cm2未満であると、長さ20μm以上のウィスカは発生しない。
(中層(B層))
中層(B層)13は、Ag,Au,Pt,PdRh,Os,Ir,またはそれらの合金で形成されている必要がある。Ag,Au,Pt,PdRh,Os,Irは、金属の中では比較的耐熱性を有するという特徴がある。よって基材11や下層(C層)12の組成が最表層(A層)14側に拡散するのを抑制して耐熱性を向上させる。また、これら金属は、最表層(A層)14のSnやInと化合物を形成してSnやInの酸化膜形成を抑制し、はんだ濡れ性を向上させる。なお、Ag,Au,Pt,PdRh,Os,Irの中では、導電率の観点でAgがより望ましい。Agは導電率が高い。例えば高周波の信号用途にAg用いた場合、表皮効果により、インピーダンス抵抗が低くなる。
中層(B層)13の合金組成がAg,Au,Pt,PdRh,Os,Ir,またはAgとAuとPtとPdとRhとOsとIrとの合計で50質量%以上であり、残合金成分がBi,Cd,Co,Cu,Fe,In,Mn,Mo,Ni,Pb,Sb,Se,Sn,W,Tl,Znからなる群より選択される1種、もしくは2種以上の金属で構成されていても良い。このような合金組成になる(例えばSn−Agめっきを施す)ことで、低挿抜性、低ウィスカ性、及び、耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、はんだ濡れ性等)などを向上させる場合がある。
中層(B層)13の厚みは0.001μm以上である必要がある。中層(B層)13の厚みは0.005〜0.1μmであるのが好ましい。厚みが0.001μm未満であると、はんだ濡れ性が悪い。より充分なはんだ濡れ性が得られるためには、0.005μm以上の厚みが好ましい。また厚みが大きくなると、挿抜力が大きくなり、より充分な低挿抜性を得るためには好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。
中層(B層)13のAg,Au,Pt,PdRh,Os,Ir,またはそれら合金の付着量は1μg/cm2以上である必要がある。中層(B層)13の付着量は4〜120μg/cm2であるのが好ましい。ここで、付着量で定義する理由を説明する。例えば、中層(B層)13の厚みを蛍光X線膜厚計で測定する場合、例えば最表層(A層)14とその下の中層(B層)13との間に形成した合金層により、測定される厚みの値に誤差が生じる場合がある。一方、付着量で制御する場合、合金層の形成状況に左右されず、より正確な品質管理をすることができる。付着量が4μg/cm2未満であると、はんだ濡れ性が悪い。より充分なはんだ濡れ性が得られるためには、4μg/cm2以上の付着量が好ましい。また付着量が多いと、挿抜力が大きく増加なり、より充分な低挿抜性を得るためには330μg/cm2以下、より好ましくは120μg/cm2以下である。
(下層(C層))
基材11と中層(B層)13との間には、Ni,Cr,Mn,Fe,Co,Cuからなる群から選択された1種、もしくは2種以上からなる下層(C層)12を形成するのが好ましい。Ni,Cr,Mn,Fe,Co,Cuからなる群から選択された1種、もしくは2種以上の金属を用いて下層(C層)12を形成することで、硬い下層(C層)形成により薄膜潤滑効果が向上して低挿抜性が向上し、下層(C層)12は基材11の構成金属が中層(B層)に拡散するのを防止し、耐熱性試験や耐ガス腐食性試験後の接触抵抗増加及びはんだ濡れ性劣化を抑制するなど、耐久性が向上する。
下層(C層)12の合金組成が、Ni,Cr,Mn,Fe,Co,Cuの合計で50質量%以上であり、さらにB,P,Sn,Znからなる群から選択された1種、もしくは2種以上を含んでも良い。下層(C層)12の合金組成がこのような構成となることで、下層(C層)がより硬化することで更に薄膜潤滑効果が向上して低挿抜性が向上し、下層(C層)12の合金化は基材11の構成金属が中層(B層)に拡散するのを更に防止し、耐熱性試験や耐ガス腐食性試験後の接触抵抗増加及びはんだ濡れ性劣化を抑制するなど、耐久性が向上する。
下層(C層)12の厚みは0.05μm以上であることが好ましい。下層(C層)12の厚みが0.05μm未満であると、硬い下層(C層)による薄膜潤滑効果が低下して低挿抜性が悪くなり、基材11の構成金属は中層(B層)に拡散しやすくなり、耐熱性試験や耐ガス腐食性試験後の接触抵抗増加及びはんだ濡れ性劣化しやすいなど、耐久性が悪くなる。
下層(C層)12のNi,Cr,Mn,Fe,Co,Cuの付着量が、0.03mg/cm2以上であるのが好ましい。ここで、付着量で定義する理由を説明する。例えば、下層(C層)12の厚みを蛍光X線膜厚計で測定する場合、最表層(A層)14、中層(B層)13、及び基材11等と形成した合金層により、測定される厚みの値に誤差が生じる場合がある。一方、付着量で制御する場合、合金層の形成状況に左右されず、より正確な品質管理をすることができる。また付着量が0.03mg/cm2未満であると、硬い下層(C層)による薄膜潤滑効果が低下して低挿抜性が悪くなり、基材11の構成金属は中層(B層)に拡散しやすくなり、耐熱性試験や耐ガス腐食性試験後の接触抵抗増加及びはんだ濡れ性劣化しやすいなど、耐久性が悪くなる。
(熱処理)
最表層(A層)14を形成させた後に、低挿抜性、低ウィスカ性、耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、はんだ濡れ性等)を向上させる目的で熱処理を施しても良い。熱処理によって最表層(A層)14と中層(B層)13が合金層を形成しやすくなり、Snの凝着力を一層小さくすることにより低挿抜性が得られ、また低ウィスカ性及び耐久性も更に向上させる。なお、この熱処理については、処理条件(温度×時間)は適宜選択できる。また、特にこの熱処理はしなくてもよい。
(後処理)
最表層(A層)14上、または最表層(A層)14上に熱処理を施した後に、低挿抜性や耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、はんだ濡れ性等)を向上させる目的で後処理を施しても良い。後処理によって潤滑性が向上し、更なる低挿抜性が得られ、また最表層(A層)と中層(B層)の酸化が抑制されて、耐熱性、耐ガス腐食性及びはんだ濡れ性等の耐久性が向上する。具体的な後処理としてはインヒビターを用いた、リン酸塩処理、潤滑処理、シランカップリング処理等がある。なお、この熱処理については、処理条件(温度×時間)は適宜選択できる。また、特にこの熱処理はしなくてもよい。
<電子部品用金属材料の特性>
最表層(A層)の表面(最表層の表面から測定した)のビッカース硬さはHv90以上であるのが好ましい。最表層(A層)14の表面のビッカース硬さがHv90以上であると、硬い最表層(A層)によって薄膜潤滑効果が向上し、低挿抜性が向上する。また一方で、最表層(A層)14表面(最表層の表面から測定した)のビッカース硬さはHv300以下あるのが好ましい。最表層(A層)14の表面のビッカース硬さがHv300以下であると、曲げ加工性が向上し、本発明の電子部品用金属材料をプレス成形した場合に、成形した部分にクラックが入り難くなる。
最表層(A層)14の表面(最表層の表面から測定した)の押し込み硬さは1000MPa以上あるのが好ましい。最表層(A層)14の表面の押し込み硬さが1000MPa以上であると、硬い最表層(A層)によって薄膜潤滑効果が向上し、低挿抜性が向上する。また一方で最表層(A層)14の表面(最表層の表面から測定した)の押し込み硬さは4200MPa以下あるのが好ましい。最表層(A層)14の表面の押し込み硬さが4200MPa以下であると、曲げ加工性が向上し、本発明の電子部品用金属材料をプレス成形した場合に、成形した部分にクラックが入り難くなり、耐ガス腐食性(耐久性)低下を抑制する。
最表層(A層)14の表面の算術平均高さ(Ra)は0.1μm以下であるのが好ましい。最表層(A層)14の表面の算術平均高さ(Ra)が0.1μm以下であると比較的腐食しやすい凸部が少なくなり平滑となるため、耐ガス腐食性が向上する。
最表層(A層)14の表面の最大高さ(Rz)は1μm以下であるのが好ましい。最表層(A層)14の表面の最大高さ(Rz)が1μm以下であると比較的腐食しやすい凸部が少なくなり平滑となるため、耐ガス腐食性が向上する。
最表層(A層)14の表面の反射濃度が0.3以上であるのが好ましい。最表層(A層)14の表面の反射濃度が0.3以上であると耐ガス腐食性が向上する。
下層(C層)12のビッカース硬さはHv300以上あるのが好ましい。下層(C層)12のビッカース硬さがHv300以上であると、下層(C層)がより硬化することで更に薄膜潤滑効果が向上して低挿抜性が向上する。また一方で、下層(C層)12のビッカース硬さHv1000以下あるのが好ましい。下層(C層)12のビッカース硬さがHv1000以下であると、曲げ加工性が向上し、本発明の電子部品用金属材料をプレス成形した場合に、成形した部分にクラックが入り難くなり、耐ガス腐食性(耐久性)低下を抑制する。
下層(C層)12のビッカース硬さと下層(C層)12の厚みとが下記式:
ビッカース硬さ(Hv) ≧ −376.22Ln(厚みμm)+86.411
を満たすことが好ましい。下層(C層)12のビッカース硬さと下層(C層)12の厚みとが上記式を満たすと、下層(C層)がより硬化することで更に薄膜潤滑効果が向上して低挿抜性が向上する。
なお、本発明において、「Ln(厚みμm)」とは、厚み(μm)の自然対数の数値を意味する。
下層(C層)12の押し込み硬さは2500MPa以上であるのが好ましい。下層(C層)12の押し込み硬さが2500MPa以上であると、低挿抜性が向上する。また一方で、下層(C層)12の押し込み硬さが10000MPa以下であるのが好ましい。下層(C層)12の押し込み硬さが10000MPa以下であると、曲げ加工性が向上し、本発明の電子部品用金属材料をプレス成形した場合に、成形した部分にクラックが入り難くなり、耐ガス腐食性(耐久性)低下を抑制する。
下層(C層)12の押し込み硬さと下層(C層)12の厚みとが下記式:
押し込み硬さ(MPa) ≧ −3998.4Ln(厚みμm)+1178.9
を満たすことが好ましい。下層(C層)12の押し込み硬さと下層(C層)12の厚みとが上記式を満たすと、下層(C層)がより硬化することで更に薄膜潤滑効果が向上して低挿抜性が向上する。
XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、最表層(A層)14のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D1)、中層(B層)13のAg,Au,Pt,PdRh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D2)が、最表面からD1、D2の順で存在することが好ましい。最表面からD1、D2の順で存在しない場合、充分な耐ガス腐食性が得られず、電子部品用金属材料を塩素ガス、亜硫酸ガス、硫化水素ガス等のガス腐食試験を行うと腐食して、ガス腐食試験前と比較して大きく接触抵抗が増加するおそれがある。
XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、中層(B層)13のAg,Au,Pt,PdRh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値が10at%以上であることが好ましい。中層(B層)13のAg,Au,Pt,PdRh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値が10at%未満である場合、はんだ濡れ性が悪くなるおそれがある。
XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、最表層(A層)14のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D1)、中層(B層)13のAg,Au,Pt,PdRh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D2)、下層(C層)12のNi,Cr,Mn,Fe,CoまたはCuの原子濃度(at%)の最高値示す位置(D3)が最表面からD1、D2、D3の順で存在することが好ましい。最表面からD1、D2、D3の順で存在しない場合、充分な耐ガス腐食性が得られず、電子部品用金属材料を塩素ガス、亜硫酸ガス、硫化水素ガス等のガス腐食試験を行うと腐食して、ガス腐食試験前と比較して大きく接触抵抗が増加するとなるおそれがある。
XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、中層(B層)13のAg,Au,Pt,PdRh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値が10at%以上であって、下層(C層)12のNi,Cr,Mn,Fe,CoまたはCuの原子濃度(at%)が25at%以上である深さが50nm以上であることが好ましい。中層(B層)13のAg,Au,Pt,PdRh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値が10at%未満であって、下層(C層)12のNi,Cr,Mn,Fe,CoまたはCuの原子濃度(at%)が25at%以上である深さが50nm未満である場合、低挿抜性や耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、はんだ濡れ性等)は、基材成分が最表層(A層)14または中層(B層)13に拡散して悪くなるおそれがある。
XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、最表層(A層)14のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値示す位置(D1)と下層(C層)12のNi,Cr,Mn,Fe,Co,CuまたはZnの原子濃度(at%)の最高値示す位置(D3)との間に、Ag,Au,Pt,PdRh,OsまたはIrについて40at%以上の領域が1nm以上の厚さで存在することが好ましい。1nm未満の厚さで存在すると、例えばAgの場合、はんだ濡れ性が悪くなるおそれがある。
XPS(X線光電子分光)のSurvey測定で前記最表層(A層)の表面の元素分析を行ったとき、Oが50at%未満であることが好ましい。Oが50at%以上であると、接触抵抗が高くなるおそれがある。
図2に、本発明の実施形態に係る、最表層(A層)に厚み0.3μm程度のSn、中層(B層)に厚み0.2μm程度のAg、下層(C層)に厚み1.0μm程度のNiを用いたときの、電子部品用金属材料のXPS(X線光電子分光)のDepth測定結果の参考例を示す。
<電子部品用金属材料の用途>
本発明の電子部品用金属材料の用途は特に限定しないが、例えば電子部品用金属材料を接点部分に用いたコネクタ端子、電子部品用金属材料を接点部分に用いたFFC端子またはFPC端子、電子部品用金属材料を外部接続用電極に用いた電子部品などが挙げられる。なお、端子については、圧着端子、はんだ付け端子、プレスフィット端子等、配線側との接合方法によらない。外部接続用電極には、タブに表面処理を施した接続部品や半導体のアンダーバンプメタル用に表面処理を施した材料などがある。
また、このように形成されたコネクタ端子を用いてコネクタを作製しても良く、FFC端子またはFPC端子を用いてFFCまたはFPCを作製しても良い。
コネクタはオス端子とメス端子の両方が本発明の電子部品用金属材料であっても良いし、オス端子またはメス端子の片方だけであっても良い。なおオス端子とメス端子の両方を本発明の電子部品用金属材料にすることで、更に低挿抜性が向上する。
<電子部品用金属材料の製造方法>
本発明の電子部品用金属材料の製造方法としては、湿式(電気、無電解)めっき、乾式(スパッタ、イオンプレーティング等)めっき等を用いることができる。
但し、乾式めっきよりも湿式めっきの方が、めっき皮膜中に、めっき液中に存在する極微量の不純物成分が共析されウィスカの発生を抑制し、また電着組織が硬くなることで低挿抜性を向上させる場合がある。また製造コストの観点からは、湿式めっきであることが好ましい。
湿式めっきの中では電気めっきの方が好ましい。電気めっきは無電解めっきと比較して均一な皮膜が形成されるため、耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、はんだ濡れ性等)を向上させる場合がある。
最表層(A層)14は、酸性めっき液を用いためっき処理で形成することが好ましい。酸性めっきを用いることにより、中層(B層)13との密着性が向上する。
中層(B層)13は、シアン含有めっき液を用いためっき処理で形成することが好ましい。シアン含有めっきを用いることにより、緻密な皮膜ができ、耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、はんだ濡れ性等)が向上する。
下層(C層)12は、スルファミン酸浴またはワット浴を用いためっき処理で形成することが好ましい。スルファミン酸浴またはワット浴を用いることにより、基材との密着性が向上する。
またスルファミン酸浴またはワット浴で用いるめっき液が、光沢Niめっき液であることが好ましい。めっき液として光沢Niめっきを用いることにより、皮膜が平滑かつ硬くなり、低挿抜性や耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、はんだ濡れ性等)が向上する。
またスルファミン酸浴またはワット浴に添加剤としてサッカリンが含まれていることが好ましい。サッカリンを添加することにより、緻密で硬い皮膜となり、皮膜が平滑かつ硬くなり、低挿抜性や耐久性(耐熱性、耐ガス腐食性、はんだ濡れ性等)が向上する。
以下、本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらは本発明をより良く理解するために提供するものであり、本発明が限定されることを意図するものではない。
実施例及び比較例として、基材、下層(C層)、中層(B層)、最表層(A層)をこの順に設けて熱処理を行うことで形成した試料を、以下の表1〜7に示す条件でそれぞれ作製した。また、下層(C層)については、形成しない例も作製した。
表1に基材の作製条件を、表2に下層(C層)の作製条件を、表3に中層(B層)の作製条件を、表4に最表層(A層)の作製条件を、表5に熱処理条件をそれぞれ示す。また、表6に各実施例で使用した各層の作製条件及び熱処理の条件を、表7に各比較例で使用した各層の作製条件及び熱処理の条件それぞれ示す。
Figure 2013091848
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(厚みの測定)
最表層(A層)、中層(B層)、下層(C層)の厚みは、最表層(A層)、中層(B層)、下層(C層)の組成を有していない基材にそれぞれ表面処理を施し、それぞれ蛍光X線膜厚計(Seiko Instruments製 SEA5100、コリメータ0.1mmΦ)で実際の厚みを測定した。例えば、Snめっきの場合には、基材がCu−10質量%Sn−0.15質量%Pであると、基材にSnが有しており、正確なSnめっきの厚みがわからないため、Snが基材の組成を有していない、Cu−30質量%Znで厚みを測定した。
(付着量の測定)
各試料を硫酸や硝酸等で酸分解し、ICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析により各金属の付着量を測定した。なお具体的に用いる酸は、それぞれのサンプルを有する組成によって異なる。
(組成の決定)
測定した付着量に基づき、各金属の組成を算出した。
(層構造の決定)
得られた試料の層構造は、XPS(X線光電子分光)分析による深さ(Depth)プロファイルで決定した。分析した元素は、最表層(A層)、中層(B層)、下層(C層)の組成と、C及びOである。これら元素を指定元素とする。また、指定元素の合計を100%として、各元素の濃度(at%)を分析した。XPS(X線光電子分光)分析での厚みは、分析によるチャートの横軸の距離(SiO2換算での距離)に対応する。
また、得られた試料の表面は、XPS(X線光電子分光)分析によるSurvey測定にて定性分析も行った。定性分析の濃度の分解能は0.1at%とした。
XPS装置としては、アルバック・ファイ株式会社製5600MCを用い、到達真空度:5.7×10-9Torr、励起源:単色化AlKα、出力:210W、検出面積:800μmΦ、入射角:45度、取り出し角:45度、中和銃なしとし、以下のスパッタ条件で測定した。
イオン種:Ar+
加速電圧:3kV
掃引領域:3mm×3mm
レート:2.8nm/min.(SiO2換算)
(評価)
各試料について以下の評価を行った。
A.挿抜力
挿抜力は,市販のSnリフローめっきメス端子(090型住友TS/矢崎090IIシリーズメス端子非防水/F090−SMTS)を用いて,実施例及び比較例に係るめっきしたオス端子と挿抜試験することによって評価した。
試験に用いた測定装置は,アイコーエンジニアリング製1311NRであり,オスピンの摺動距離5mmで評価した。サンプル数は5個とし,挿抜力は,挿入力と抜去力が同等であるため,各サンプルの最大挿入力の値を平均した値を採用した。挿抜力のブランク材としては、比較例1のサンプルを採用した。
挿抜力の目標は、比較例1の最大挿抜力未満である。
なお今回の試験に用いたメス端子は、市販のSnリフローめっきメス端子を用いたが、実施例に係るめっきやAuめっきを用いると更に挿抜力は低下する。
B.ウィスカ
ウィスカは、JEITA RC−5241の荷重試験(球圧子法)にて評価した。すなわち、各サンプルに対して荷重試験を行い、荷重試験を終えたサンプルをSEM(JEOL社製、型式JSM−5410)にて100〜10000倍の倍率で観察して、ウィスカの発生状況を観察した。荷重試験条件を以下に示す。
球圧子の直径:Φ1mm±0.1mm
試験荷重:2N±0.2N
試験時間:120時間
サンプル数:10
目標とする特性は、現行材(比較例1)よりもウィスカ発生が少ないこととし、長さ20μm以上のウィスカが2本以下であることとした。
C.接触抵抗
接触抵抗は、山崎精機製接点シミュレーターCRS−113−Au型を使用し、接点荷重50gの条件で4端子法にて測定した。サンプル数は5個とし、各サンプルの最小値から最大値の範囲を採用した。目標とする特性は、接触抵抗10mΩ以下である。
D.耐熱性
耐熱性は、大気加熱(155℃×500h)試験後のサンプルの接触抵抗を測定し、評価した。目標とする特性は、接触抵抗10mΩ以下であるが、最大の目標としては、接触抵抗が、耐熱性試験前後で変化がない(同等である)こととした。
E.耐ガス腐食性
耐ガス腐食性は、下記の(1)〜(3)に示す3つの試験環境で評価した。耐ガス腐食性の評価は、(1)〜(3)の環境試験を終えた試験後のサンプルの接触抵抗で測定した。なお目標とする特性は、接触抵抗10mΩ以下であるが、最大の目標としては、接触抵抗が、耐熱性試験前後で変化がない(同等である)こととした。
(1)塩水噴霧試験
塩水濃度:5%
温度:35℃
噴霧圧力:98±10kPa
曝露時間:240h
(2)亜硫酸ガス腐食試験
亜硫酸濃度:25ppm
温度:40℃
湿度:80%RH
曝露時間:240h
(3)硫化水素ガス腐食試験
亜硫酸濃度:3ppm
温度:40℃
湿度:80%RH
曝露時間:240h
F.はんだ濡れ性
はんだ濡れ性はめっき後とプレッシャークッカー試験(105℃×不飽和100%RH×96h)後のサンプルを評価した。ソルダーチェッカ(レスカ社製SAT−5000)を使用し、フラックスとして市販の25%ロジンエタノールフラックスを用い、メニスコグラフ法にてはんだ濡れ時間を測定した。はんだはSn−3Ag−0.5Cu(250℃)を用いた。サンプル数は5個とし、各サンプルの最小値から最大値の範囲を採用した。目標とする特性は、ゼロクロスタイム5秒以下である。
G.曲げ加工性
曲げ加工性は、日本伸銅協会技術標準(JCBA)T307に準じてW曲げ試験を行い前記金属材料の割れが発生しない最小の曲げ半径(MBR)と前記金属材料厚さ(t)の比で評価し、最小曲げ半径比(MBR/t)が3以下で良好とした。評価は曲げ加工部表面を光学顕微鏡で観察し、めっき皮膜にクラックが観察されない場合の実用上問題ないと判断した場合には○とし、クラックが認められた場合を×とした。なお、サンプル数は3個とした。
H.ビッカース硬さ
最表層(A層)のビッカース硬さは、サンプル表面より荷重980.7mN、荷重保持時間15秒で打根を打って測定した。なお、1試料当たり5回測定した。
また、下層(C層)のビッカース硬さは、下層(C層)断面より荷重980.7mN、荷重保持時間15秒で打根を打って測定した。
I.押し込み硬さ
最表層(A層)及び金属基材の押し込み硬さは、サンプル表面より荷重980.7mN、荷重保持時間15秒で打根を打って測定した。なお、1試料当たり5回測定した。
また、下層(C層)の押し込み硬さは、下層(C層)断面より荷重980.7mN、荷重保持時間15秒で打根を打って測定した。
J.表面粗さ
表面粗さ(算術平均高さ(Ra)及び最大高さ(Rz))の測定は、JIS B 0601に準拠し、非接触式三次元測定装置(三鷹光器社製、形式NH−3)を用いて行った。カットオフは0.25mm、測定長さは1.50mmで、1試料当たり5回測定した。
K.反射濃度
反射濃度は、デンシトメーター(ND−1,日本電色工業社製)を使用して、反射率を測定した。なお、1試料当たり5回測定した。
L.伸び
伸びは、JIS C 6511に従い、各サンプルの圧延平行方向について引張試験を行うことで測定した。引張速度は50mm/minとした。なお、サンプル数は3個とした。
M.最小曲げ半径比(MBR/t)
最小曲げ半径比は、曲げ加工性と同じ方法で、素材に割れの発生しない最小曲げ半径/試験片厚さを測定した。なお、サンプル数は5個とした。
以上の試験における各条件での評価結果を表8〜22に示す。
Figure 2013091848
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実施例1〜98は、低挿抜性、低ウィスカ性及び耐久性のいずれも優れた電子部品金属材料であった。
比較例1はブランク材である。
比較例2は、比較例1のブランク材のSnめっきを薄くして作製したものであるが、はんだ濡れ性が悪かった。
比較例3は、比較例1と比較して中層にCuめっきを施して作製したものであるが、PCT試験後のはんだ濡れ性が悪かった。
比較例4は、比較例3と比較して中層にCuめっきを薄く施して作製したものであるが、はんだ濡れ性が悪かった。
比較例5は、比較例4と比較して熱処理を施さないで作製したものであるが、はんだ濡れ性が悪かった。
比較例6は、比較例1のブランク材と比較して下層にCuめっきを施して作製したものであるが、比較例1と特性は変わらなかった。
比較例7は、比較例1のブランク材と比較して下層のNiめっきを厚く施して作製したものであるが、比較例1と特性は変わらなかった。
比較例8は、実施例2と比較して中層のAgめっきを施さずに作製したものであるが、XPS(X線光電子分光)でのDepth測定で、前記最表層(B層)のAg,Au,Pt,PdRh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値が10at%以下であり、はんだ濡れ性が悪かった。
比較例9は、実施例2と比較して最表層のSnめっきを薄くして施して作製したものであるが、耐ガス腐食性が悪く、亜硫酸ガス腐食試験後及び硫化水素ガス腐食試験後の接触抵抗が目標を上回った。
比較例10は、実施例2と比較して、SnとAgのめっき順序を逆にして作製したものであるが、XPS(X線光電子分光)でのDepth測定で前記最表層(A層)のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D1)、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,PdRh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D2)がD2、D1の順で存在するため、耐ガス腐食性が悪く、硫化水素ガス腐食試験後の接触抵抗が目標を上回った。
比較例11は、XPS(X線光電子分光)でのDepth測定で前記最表層(A層)のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D1)、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,PdRh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D2)がD1≒D2であるため、耐ガス腐食性が悪く、硫化水素ガス腐食試験後の接触抵抗が目標を上回った。
比較例12は、実施例57と比較して、SnとAgのめっき順序を逆にして作製したものであるが、XPS(X線光電子分光)でのDepth測定で前記最表層(A層)のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D1)、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,PdRh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D2)がD2、D1の順で存在するため、耐ガス腐食性が悪く、硫化水素ガス腐食試験後の接触抵抗が目標を上回った。
比較例13は、XPS(X線光電子分光)でのDepth測定で前記最表層(A層)のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D1)、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,PdRh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D2)がD1≒D2であるため、耐ガス腐食性が悪く、硫化水素ガス腐食試験後の接触抵抗が目標を上回った。
比較例14は、実施例78と比較して中層(B層)のAgめっきをせずに作製したものであるが、XPS(X線光電子分光)でのDepth測定で、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,PdRh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値が10at%以下であり、耐ガス腐食性が悪く、硫化水素ガス腐食試験後の接触抵抗が目標を上回った。
10 電子部品用金属材料
11 基材
12 下層(C層)
13 中層(B層)
14 最表層(A層)

Claims (45)

  1. 基材と、
    前記基材の最表層を構成し、Sn,In,またはそれらの合金で形成されたA層と、
    前記基材とA層との間に設けられて中層を構成し、Ag,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,Os,Ir,またはそれらの合金で形成されたB層と、
    を備え、
    前記最表層(A層)の厚みが0.2μmよりも厚く、
    前記中層(B層)の厚みが0.001μm以上である、低ウィスカ性及び高耐久性を有する電子部品用金属材料。
  2. 基材と、
    前記基材の最表層を構成し、Sn,In,またはそれらの合金で形成されたA層と、
    前記基材とA層との間に設けられて中層を構成し、Ag,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,Os,Ir,またはそれらの合金で形成されたB層と、
    を備え、
    前記最表層(A層)のSn,Inの付着量が150μg/cm2より多く、
    前記中層(B層)のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,Os,Irの付着量が1μg/cm2以上である、低ウィスカ性及び高耐久性を有する電子部品用金属材料。
  3. 前記最表層(A層)の合金組成がSn,In,またはSnとInとの合計で50質量%以上であり、残合金成分がAg,As,Au,Bi,Cd,Co,Cr,Cu,Fe,Mn,Mo,Ni,Pb,Sb,W,Znからなる群より選択される1種、もしくは2種以上の金属からなる請求項1または2に記載の電子部品用金属材料。
  4. 前記中層(B層)の合金組成がAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,Os,Ir,またはAgとAuとPtとPdとRuとRhとOsとIrとの合計で50質量%以上であり、残合金成分がBi,Cd,Co,Cu,Fe,In,Mn,Mo,Ni,Pb,Sb,Se,Sn,W,Tl,Znからなる群より選択される1種、もしくは2種以上の金属からなる請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  5. 前記最表層(A層)の表面の算術平均高さ(Ra)が0.1μm以下である、耐ガス腐食性がより優れた請求項1〜4のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  6. 前記最表層(A層)の表面の最大高さ(Rz)が1μm以下である、耐ガス腐食性がより優れた請求項1〜5のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  7. 前記最表層(A層)の表面の反射濃度が0.3以上である、耐ガス腐食性がより優れた請求項1〜6のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  8. XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、前記最表層(A層)のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D1)、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値を示す位置w(D2)が、最表面からD1、D2の順で存在する請求項1〜7のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  9. XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値が10at%以上である請求項1〜8のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  10. 前記基材とB層との間に設けられて下層を構成し、Ni,Cr,Mn,Fe,Co,Cuからなる群から選択された1種、もしくは2種以上で形成されたC層をさらに備えた、請求項1〜9のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  11. 下層(C層)の合金の組成がNi,Cr,Mn,Fe,Co,Cuの合計で50質量%以上であり、さらにB,P,Sn,Znからなる群から選択された1種、もしくは2種以上を含む請求項10に記載の電子部品用金属材料。
  12. XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、前記最表層(A層)のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D1)、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値を示す位置(D2)、前記下層(C層)のNi,Cr,Mn,Fe,CoまたはCuの原子濃度(at%)の最高値示す位置(D3)が最表面からD1、D2、D3の順で存在する請求項10または11に記載の電子部品用金属材料。
  13. XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、前記中層(B層)のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrの原子濃度(at%)の最高値が10at%以上であって、前記下層(C層)のNi,Cr,Mn,Fe,CoまたはCuの原子濃度(at%)が25%以上である深さが50nm以上である請求項10〜12のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  14. 前記下層(C層)の厚みが0.05μm以上である請求項10〜13のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  15. 前記下層(C層)のNi,Cr,Mn,Fe,Co,Cuの付着量が、0.03mg/cm2以上である請求項10〜14のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  16. 前記最表層(A層)の厚みが0.2μm超且つ0.6μm未満である、低ウィスカ性がより優れた請求項1〜15のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  17. 前記最表層(A層)のSn,Inの付着量が150μg/cm2超且つ450μg/cm2未満である、低ウィスカ性がより優れた請求項1〜16のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  18. 前記中層(B層)の厚みが0.005〜0.1μmである請求項1〜17のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  19. 前記中層(B層)のAg,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,Os,Irの付着量が4〜120μg/cm2である請求項1〜18のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  20. 前記下層(C層)の表面のビッカース硬さがHv300以上である請求項10〜19のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  21. 前記下層(C層)の表面のビッカース硬さと厚みとが下記式:
    ビッカース硬さ(Hv) ≧ −376.22Ln(厚みμm)+86.411
    を満たす請求項10〜20のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  22. 超微小硬さ試験機により、前記下層(C層)の表面に荷重980.7mN、荷重保持時間15秒で打根を打って測定して得られた硬度である、前記下層(C層)の表面の押し込み硬さが2500MPa以上である請求項10〜21のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  23. 超微小硬さ試験機により、前記下層(C層)の表面に荷重980.7mN、荷重保持時間15秒で打根を打って測定して得られた硬度である、前記下層(C層)の表面の押し込み硬さと厚みとが下記式:
    押し込み硬さ(MPa) ≧ −3998.4Ln(厚みμm)+1178.9
    を満たす請求項10〜22のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  24. 前記下層(C層)の表面のビッカース硬さがHv1000以下である、高曲げ加工性を有する請求項10〜23のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  25. 超微小硬さ試験機により、前記下層(C層)の表面に荷重980.7mN、荷重保持時間15秒で打根を打って測定して得られた硬度である、前記下層(C層)の表面の押し込み硬さが10000MPa以下である、高曲げ加工性を有する請求項10〜24のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  26. 前記基材が金属基材であって、前記金属基材の表面のビッカース硬さがHv90以上である請求項1〜25のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  27. 前記基材が金属基材であって、超微小硬さ試験機により、前記金属基材の表面に荷重980.7mN、荷重保持時間15秒で打根を打って測定して得られた硬度である、前記金属基材の表面の押し込み硬さが1000MPa以上である請求項1〜26のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  28. 前記基材が金属基材であって、JIS C 2241に従い、前記金属基材の圧延平行方向について、引張速度を50mm/minとして引張試験を行うことで測定した前記金属基材の伸びが5%以上である、高曲げ加工性を有する請求項1〜27のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  29. 前記基材が金属基材であって、日本伸銅協会技術標準(JCBA)T307に準じてW曲げ試験を行い前記金属材料の割れが発生しない最小の曲げ半径(MBR)と前記金属材料厚さ(t)の比である最小曲げ半径比(MBR/t)が3以下である、高曲げ加工性を有する請求項1〜28のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  30. XPS(X線光電子分光)でDepth分析を行ったとき、前記最表層(A層)のSnまたはInの原子濃度(at%)の最高値示す位置(D1)と前記下層(C層)のNi,Cr,Mn,Fe,Co,CuまたはZnの原子濃度(at%)の最高値示す位置(D3)との間に、Ag,Au,Pt,Pd,Ru,Rh,OsまたはIrについて40at%以上の領域が1nm以上の厚さで存在する請求項10〜29のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  31. XPS(X線光電子分光)のSurvey測定で前記最表層(A層)の表面の元素分析を行ったとき、Oが50at%未満である請求項1〜30のいずれかに記載の電子部品用金属材料。
  32. 請求項1〜31のいずれかに記載の電子部品用金属材料を接点部分に用いたコネクタ端子。
  33. 請求項32に記載のコネクタ端子を用いたコネクタ。
  34. 請求項1〜31のいずれかに記載の電子部品用金属材料を接点部分に用いたFFC端子。
  35. 請求項1〜31のいずれかに記載の電子部品用金属材料を接点部分に用いたFPC端子。
  36. 請求項34に記載のFFC端子を用いたFFC。
  37. 請求項35に記載のFPC端子を用いたFPC。
  38. 請求項1〜31のいずれかに記載の電子部品用金属材料を外部接続用電極に用いた電子部品。
  39. 前記最表層(A層)及び前記中層(B層)を、それぞれ湿式めっきによる表面処理で形成する工程を含む請求項1〜31のいずれかに記載の電子部品用金属材料の製造方法。
  40. 前記湿式めっきの方法が電気めっきである請求項39に記載の電子部品用金属材料の製造方法。
  41. 前記最表層(A層)を、酸性めっき液を用いためっき処理で形成する請求項39又は40に記載の電子部品用金属材料の製造方法。
  42. 前記中層(B層)を、シアン含有めっき液を用いためっき処理で形成する請求項39〜41のいずれかに記載の電子部品用金属材料の製造方法。
  43. 前記下層(C層)を、スルファミン酸浴またはワット浴を用いためっき処理で形成する工程を含む請求項10〜31のいずれかに記載の電子部品用金属材料の製造方法。
  44. 前記スルファミン酸浴及び前記ワット浴で用いるめっき液が光沢Niめっき液である請求項43に記載の電子部品用金属材料の製造方法。
  45. 前記下層(C層)を形成するためのめっき液に、添加剤としてサッカリンが含有されている請求項43又は44に記載の電子部品用金属材料の製造方法。
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